(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】熱分解された石油製品の安定性を改善するプロセス
(51)【国際特許分類】
C10G 63/02 20060101AFI20240604BHJP
C10G 35/04 20060101ALI20240604BHJP
C10G 31/08 20060101ALI20240604BHJP
C10G 31/06 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C10G63/02
C10G35/04
C10G31/08
C10G31/06
(21)【出願番号】P 2022577418
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 US2021027720
(87)【国際公開番号】W WO2021257171
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ、キ-ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ファティ、マジン エム
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-500731(JP,A)
【文献】特表2020-512442(JP,A)
【文献】特開平02-075698(JP,A)
【文献】特開2001-279263(JP,A)
【文献】特表2013-540855(JP,A)
【文献】特表2017-519065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油製品を形成するためのプロセスであって、
石油原料を含む供給流を超臨界水反応器に導入する工程と、
前記供給流と超臨界水を前記超臨界水反応器内で反応させる工程であって、それによって、超臨界水反応器の流出液を形成する工程と、
前記超臨界水反応器の流出液を軽流と重流に分離するため、前記超臨界水反応器の流出液を分離器に導入する工程と、
前記軽流の少なくとも一部における芳香族化合物を濃縮するため、前記軽流の少なくとも一部を改質器に導入する工程であって、それによって、改質器の流出液を形成する工程と、
前記改質器の流出液と前記重流を
直接混合する工
程と、を含むプロセス。
【請求項2】
前記軽流が水および石油相を含み、
前記プロセスが、前記軽流中の前記水と前記石油相を分離する工程をさらに含み、
前記軽流の少なくとも一部を前記改質器に導入する工程が、前記石油相を前記改質器に導入することを含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記プロセスが、前記軽流の少なくとも一部を前記改質器に導入する前に、前記軽流中の硫黄の濃度を低下させるため、前記軽流を脱硫ユニットに導入する工程をさらに含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記供給流が、前記超臨界水反応器に導入される前に加圧されるか、予熱されるか、または加圧および予熱される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記供給流が石油供給原料流および水流を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記プロセスが、前記供給流を前記超臨界水反応器に導入する前に、供給流を形成するため、前記石油供給原料流と前記水流とを混合器中で混合する工程をさらに含む、請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
前記プロセスが、前記超臨界水反応器の流出液を前記分離器に導入する前に、前記超臨界水反応器の流出液の温度を低下させるため、前記超臨界水反応器の流出液を冷却器に導入する工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロセスが、前記超臨界水反応器の流出液を前記分離器に導入する前に、前記超臨界水反応器の流出液の圧力を低下させるため、前記超臨界水反応器の流出液を減圧ユニットに導入する工程をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記改質器に導入された前記軽流の少なくとも一部が、
重量パーセントで10
百万分率未満の含水量を有するか、
重量パーセントで0.7
百万分率未満の硫黄濃度を有するか、またはその両方を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記改質器内の温度が、450℃を超えかつ550℃未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記改質器内の圧力が、0.3MPaを超えかつ4.0MPa未満である、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記供給流が、330℃を超える
T5%の常圧残
油を有するか、
前記供給流が、550℃を超えるT5%の真空残油を有するか、
前記供給流が、330℃を超えるT5%の真空ガス油(VGO)を有するか、または
前記供給流が、595℃未満であるT95%のVGOを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記供給流が、2重量%を超えるアスファルテン含有量を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記超臨界水反応器に導入される前記供給流の圧力が、20MPaを超える、請求項1~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記超臨界水反応器内の温度が、350℃を超えかつ600℃未満である、請求項14記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「熱分解された石油製品の安定性を改善するプロセス」と題する、2020年6月16日に出願された米国特許出願第16/902,847号の優先権を主張し、その開示全体は参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、改善された安定性を有する熱分解された石油製品を形成するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
熱分解は、重油をアップグレードするために最も採用されているプロセスの1つである。熱分解のパフォーマンスが供給流の特性に強く依存しないため、熱分解は、その流れの重質部分から貴重な留分を得るために使用される最終工程と見なされてきた。
【発明の概要】
【0004】
たとえ熱分解が供給流の特性に強く依存しなくても、アノードグレードのコークスなどのハイエンドのコークスを生成するためには、供給流成分の精巧な(sophisticated)選択および熱分解操作条件が選択さればならない。これらの供給流および熱分解操作条件は、結果として得られる製品の安定性の問題を引き起こしかねない。
【0005】
熱分解された製品の安定性は、製品の流れ(stream)におけるオレフィンおよびジオレフィンの存在によって低下させられる。これらのオレフィンおよびジオレフィンは、空気によって酸化されて、さまざまなガムを形成する傾向がある。また、熱分解された製品中にアスファルテンの沈殿がしばしば存在する。アスファルテンの沈殿は、過剰な量のパラフィンと、その油のアスファルテン溶媒和力の低下によって引き起こされる。したがって、熱分解された製品中のオレフィン、ジオレフィン、およびパラフィンの存在は、結果として熱分解された製品の安定性を低下させかねない。
【0006】
したがって、改善された安定性を有する熱分解された製品を製造するために、重油などの炭化水素の供給原料を熱分解するためのプロセスが必要とされている。本明細書に開示および記載される実施形態によれば、この必要性および他の必要性は、改質と併せて超臨界水プロセスを使用することによって対処される。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、本明細書に開示および記載されるプロセスは、熱分解された製品中のオレフィン、ジオレフィン、およびパラフィンの含有量を減少させることによって製品の流れの安定性を改善すると考えられる。
【0007】
第1の態様によれば、石油製品を形成するためのプロセスは、石油供給原料を含む供給流を超臨界水反応器に導入する工程と、供給流と超臨界水を超臨界水反応器内で反応させる工程であって、それによって、超臨界水反応器の流出液を形成する工程と、超臨界水反応器の流出液を軽流と重流に分離するため、超臨界水反応器の流出液を分離器に導入する工程と、軽流の少なくとも一部における芳香族化合物を濃縮するため、軽流の少なくとも一部を改質器に導入する工程であって、それによって、改質器の流出液を形成する工程と、改質器の流出液と重流を混合する工程と、を含む。
【0008】
第2の態様は第1の態様によるプロセスを含み、ここで、軽流は水および石油相を含み、上記プロセスは、軽流において水と石油相を分離する工程をさらに含み、軽流の少なくとも一部を改質器に導入する工程が、石油相を改質器に導入することを含む。
【0009】
第3の態様は第1または第2の態様によるプロセスを含み、上記プロセスは、軽流の少なくとも一部を改質器に導入する前に、前記軽流中の硫黄の濃度を低下させるため、軽流を脱硫ユニットに導入する工程をさらに含む。
【0010】
第4の態様は第1の態様から第3の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、ここで、供給流は超臨界水反応器に導入される前に加圧される。
【0011】
第5の態様は第1の態様から第4の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、ここで、供給流は超臨界水反応器に導入される前に予熱される。
【0012】
第6の態様は、第1の態様から第5の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、供給流は石油供給原料流および水流を含む。
【0013】
第7の態様は、第6の態様によるプロセスを含み、上記プロセスは、供給流が超臨界水反応器に導入される前に、供給流を形成するため、石油供給原料流と水流とを混合器中で混合する工程をさらに含む。
【0014】
第8の態様は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、上記プロセスは、超臨界水反応器の流出液を分離器に導入する前に、超臨界水反応器の流出液の温度を低下させるため、超臨界水反応器の流出液を冷却器に導入する工程をさらに含む。
【0015】
第9の態様は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、上記プロセスは、超臨界水反応器の流出液を分離器に導入する前に、超臨界水反応器の流出液の圧力を低下させるため、超臨界水反応器の流出液を減圧ユニットに導入する工程をさらに含む。
【0016】
第10の態様は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、改質器に導入された軽流の少なくとも一部は、10重量%ppm未満の含水量を有する。
【0017】
第11の態様は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、改質器に導入された軽流の少なくとも一部は、0.7重量%ppm未満の硫黄濃度を有する。
【0018】
第12の態様は、第1の態様から第11の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、改質器内の温度は、450℃を超えかつ550℃未満である。
【0019】
第13の態様は、第1の態様から第12の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、改質器内の圧力は、0.3MPaを超えかつ4.0MPa未満である。
【0020】
第14の態様は、第1の態様から第13の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、供給流は、330℃を超えるT5%の常圧残油を有する。
【0021】
第15の態様は、第1の態様から第14の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、供給流は、550℃を超えるT5%の真空残油を有する。
【0022】
第16の態様は、第1の態様から第15の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、供給流は、330℃を超えるT5%の真空ガス油(VGO)を有する。
【0023】
第17の態様は、第1の態様から第16の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、供給流は、595℃未満であるT95%のVGOを有する。
【0024】
第18の態様は、第1の態様から第17の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、供給流は、2重量%を超えるアスファルテン含有量を有する。
【0025】
第19の態様は、第1の態様から第18の態様のいずれか1つによるプロセスを含み、超臨界水反応器に導入される供給流の圧力は、20MPaを超える。
【0026】
第20の態様は、第19の態様によるプロセスを含み、超臨界水反応器内の温度は、350℃を超えかつ600℃未満である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の具体的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むときに最もよく理解することができ、ここで、同様の構造が同様の参照番号で示される。
【0028】
【
図1】本開示に記載される1つまたは複数の実施形態によるプロセスのプロセスフローチャートである。
【
図2】本開示に記載される1つまたは複数の実施形態によるプロセスのプロセスフローチャートである。
【
図3】本開示に記載される1つまたは複数の実施形態によるプロセスのプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示全体で使用されるように、「オレフィン」という用語は、二重結合によって結合された1対またはそれ以上の炭素原子を含む炭素と水素から構成される化合物を指す。本明細書で使用されるようなオレフィンは環状および脂肪族オレフィンを含む。
【0030】
本開示全体で使用されるように、「ジオレフィン」という用語は、二重結合によって結合された2対の炭素原子を含む炭素と水素から構成される化合物を指す。
【0031】
本開示全体で使用されるように、「芳香族化合物」という用語は、共鳴結合によって安定化される原子の環状平面不飽和環を含有する化合物を指す。そのような化合物は、限定されないが、ベンゼンを含む。
【0032】
本開示全体で使用されるように、「超臨界水」という用語は、明確な液相および気相が存在しない臨界点を超える温度および圧力の水を指す。超臨界水は、液体および蒸気のような気体の中を拡散し、液体溶媒のように物質を溶解することができる。
【0033】
本開示は、超臨界水反応器を改質と併せて使用して、改善された安定性を有する熱分解された製品を形成するためのプロセスに関する。実施形態では、
図1を参照すると、本明細書に開示または記載される実施形態によるプロセスは、超臨界水反応器110を通る流れを処理する。超臨界水反応器110は分離器120に流体接続される。超臨界水反応器110は分離器120より上流に配置され、したがって、分離器120は超臨界水反応器110より下流に配置される。分離器120はまた改質器130に流体接続される。分離器120は改質器130の上流に配置され、したがって、改質器130は分離器120の下流に配置される。本明細書で使用されるように、「流体接続」とは、気体または液体などの流体が、流体接続されている1つのコンポーネント(たとえば、超臨界水反応器110、分離器120、または改質器130)から流れることができることを意味している。本明細書で使用されるような用語「流体接続」は、2つのコンポーネント間の直接接続を必要とせず、中間コンポーネントが存在してもよい。たとえば、
図1を参照すると、超臨界水反応器110と分離器120との間にポンプ(図示せず)が配置されてもよく、超臨界水反応器110は依然として分離器120に流体接続されている。コンポーネント間で移送されている流体が固体粒子を含有し得ることも理解されるべきである。これらのコンポーネントの各々は以下でより詳細に説明される。
【0034】
実施形態によれば、再び
図1を参照すると、供給流101が超臨界水反応器110に導入され、そこで供給流101は超臨界水反応器110内の超臨界水と反応する。超臨界水反応器110内の超臨界水と供給流101との反応生成物は、超臨界水反応器の流出液102として超臨界水反応器110を出て、超臨界水反応器の流出液102は分離器120に導入される。分離器120では、超臨界水反応器の流出液102は、軽(たとえば、蒸気)流103と重(たとえば、液体)流104とに分離される。生成物の安定性を低下させるオレフィンおよびパラフィンが軽流103に含まれる。軽流103中の石油相が水から分離され、その後、石油相は改質器130に移送されて、芳香族化合物が濃縮される。実施形態では、水-油分離器が軽流103中の石油相と軽流103中の水とを分離するために使用され得る。任意の適切な既知の水-油分離器を使用することができる。
図1に図示される実施形態などの実施形態では、水-油分離器は分離器120の内部にある。しかし、他の実施形態では、水-油分離器は分離器120の外部にある(
図1には図示されず)。芳香族化合物が濃縮された流れは、改質器の流出液105として改質器130を出る。その後、改質器の流出液105は、安定した生成物の流れ106を形成するため重流104と合わせられる。
図1には図示されていないが、改質器の流出液105は異なる流れに分割され得る。流れの一方は重流104と混合され、他方の流れは、ガソリンとブレンドされ得るか、または芳香族化合物のベンゼン、トルエン、およびキシレン(BTX)の抽出プロセスにおける供給原料として使用され得る。
【0035】
1つまたは複数の実施形態では、
図2を参照すると、プロセスは脱硫ユニット210を含み得る。本明細書に開示または記載される実施形態によるプロセスは、超臨界水反応器110を通る流れを処理する。超臨界水反応器110は分離器120に流体接続される。超臨界水反応器110は分離器120より上流に配置され、したがって、分離器120は超臨界水反応器110より下流に配置される。分離器120はまた脱硫ユニット210に流体接続される。分離器120は脱硫ユニット210より上流に配置され、したがって、脱硫ユニット210は分離器120より下流に配置される。脱硫ユニット210はまた改質器130に流体接続される。脱硫ユニット210は改質器130の上流に配置され、したがって、改質器130は脱硫ユニット210の下流に配置される。
【0036】
実施形態によれば、再び
図2を参照すると、供給流101が超臨界水反応器110に導入され、そこで供給流101は超臨界水反応器110内の超臨界水と反応する。超臨界水反応器110内の超臨界水と供給流101との反応生成物は、超臨界水反応器の流出液102として超臨界水反応器110を出て、超臨界水反応器の流出液102は分離器120に導入される。分離器120では、超臨界水反応器の流出液102は、軽(たとえば、蒸気)流103と重(たとえば、液体)流104とに分離される。生成物の安定性を低下させるオレフィンおよびパラフィンが軽流103に含まれる。軽流103中の石油相が水から分離される。実施形態では、水-油分離器が軽流103中の石油相と軽流103中の水とを分離するために使用され得る。任意の適切な既知の水-油分離器を使用することができる。
図2に図示される実施形態などの実施形態では、水-油分離器は分離器120の内部にある。しかし、他の実施形態では、水-油分離器は分離器120の外部にある(
図2には図示されず)。しかし、軽流103中の水から分離された石油相は、触媒の改質を阻害しかねない比較的高濃度の硫黄を含有し得る。このような場合、石油相は、分離器120を出た後、脱硫ユニット210に導入され、そこで硫黄が石油相から除去される。脱硫流201が、脱硫ユニット210を出て、改質器130に導入され、脱硫流201中の芳香族化合物が濃縮される。芳香族化合物が濃縮された蒸気は、改質器の流出液105として改質器130を出る。その後、改質器の流出液105は、安定した生成物の流れ204を形成するため、重流104と合わせられる。
図2には図示されていないが、改質器の流出液105は異なる流れに分割され得る。流れの一方は重流104と混合され、他方の流れは、ガソリンとブレンドされ得るか、または芳香族化合物のベンゼン、トルエン、およびキシレン(BTX)の抽出プロセスにおける供給原料として使用され得る。
【0037】
図1および
図2によって図示される実施形態に示されるように、超臨界水反応器の流出液102は、軽流103と重流104とに分離される。その後、軽流の少なくとも一部は、重流104に戻され混合される前に、改質器130において接触改質などの改質を受ける。超臨界水反応器の流出液102を分離することによって、超臨界水反応器の流出液102のより軽い留分を処理するために蒸留ユニットは必要とされない。また、改質器130において軽流103の、石油相などの、少なくとも一部を処理することによって、安定した生成物のために別個の安定剤は必要とされない。
【0038】
1つまたは複数の実施形態によれば、さまざまな流れは、たとえば、プロセスのコンポーネント(たとえば、超臨界水反応器110、分離器120、改質器130、および脱硫ユニット210)の1つに導入される前に、温度および圧力の1つまたは複数を変更するように処理され得る。そのような処理を開示する実施形態が、ここで
図3を参照して説明される。
図3に図示される実施形態によるプロセスでは、流れをポンプ310aおよび310bに通して送る。ポンプ310aおよび310bは、それぞれ、予熱器320aおよび320bに流体接続される。ポンプ310aおよび310bは予熱器320aおよび320bより上流に配置され、したがって、予熱器320aおよび320bはポンプ310aおよび310bより下流にある。ポンプ320aおよび320bは混合器330に流体接続され、そこで予熱器320aおよび320bからの流出液が混合される。予熱器320aおよび320bは混合器330より上流に配置され、したがって、混合器330は予熱器320aおよび320bより下流に配置される。1つまたは複数の実施形態では、予熱器320aおよび予熱器320bの一方または両方は、それぞれ、熱を別の流れから石油供給原料流101aおよび水流101bの一方または両方に移動する熱交換器であり得る。混合器330は超臨界水反応器110に流体接続される。混合器330は超臨界水反応器110より上流に配置され、したがって、超臨界水反応器110は混合器330より下流に配置される。超臨界水反応器110は冷却器340に流体接続される。超臨界水反応器110は冷却器340より上流に配置され、したがって、冷却器340は超臨界水反応器110より下流に配置される。冷却器340は減圧器350に流体接続される。冷却器340は減圧器350より上流に配置され、したがって、減圧器350は冷却器340より下流に配置される。いくつかの実施形態では、冷却器350は、熱を超臨界水反応器の流出液102から、たとえば水流101bなどの、別のより冷たい流れに移動する熱交換器であり得ることが理解されるべきである。減圧器350は分離器120に流体接続される。減圧器350は分離器120より上流に配置され、したがって、分離器120は減圧器350より下流に配置される。
図3には示されていないが、
図1および
図2に示したように、分離器120は改質器に流体接続される。分離器120は改質器より上流に配置され、したがって、改質器は分離器より下流に配置される。
【0039】
図3に図示される実施形態によれば、供給流101は、2つの別個の流れ101aおよび101bから生成される。流れ101aは石油供給原料流であり、流れ101bは水流である。石油供給原料流101aはポンプ310aに導入され、水流101bはポンプ310bに導入される。ポンプ310aおよびポンプ310bは、それぞれ、石油供給原料流101aおよび水流101bの圧力を上昇させるために使用することができる。加圧された石油供給原料流101aはポンプ310aから予熱器320aに移送され、加圧された水流101bはポンプ310bから予熱器320bに移送される。予熱器320aおよび予熱器320bは、それぞれ、石油供給原料流101aおよび水流101bの温度を上昇させる。加圧され、加熱された石油供給原料流101cは、予熱器320aから混合器330に移送され、加圧された加熱器の水流101dは、予熱器320bから混合器330に移送される。混合器330では、加圧され、加熱された石油供給原料流101cと、加圧され、加熱された水流101bとが供給流101を形成するために合わせられる。供給流101は混合器330から超臨界水反応器110に移送される。供給流101は、超臨界水反応器110内で超臨界水と反応し、超臨界水反応器の流出液102として超臨界水反応器110を出る。超臨界水反応器の流出液102は冷却器340に導入され、そこで超臨界水反応器の流出液の温度が下げられる。冷却された超臨界水反応器の流出液102は冷却器340から減圧器350に移送される。減圧器350では、冷却された超臨界水反応器の流出液102の圧力が下げられる。冷却され、減圧された超臨界水反応器の流出液102は、減圧器350から分離器120に移送される。分離器120では、冷却され、減圧された超臨界水反応器の流出液102は、軽(たとえば、蒸気)流103と重(たとえば、液体)流104とに分離される。
図3には図示されていないが(しかし、
図1および
図2で示されているように)、軽流103の少なくとも一部は改質器に導入され、そこで軽流103の少なくとも一部における芳香族化合物が濃縮される。その後、改質器からの流出液は安定した生成物の流れを形成するため重流104と混合される。
【0040】
図3によって図示される実施形態に示されるように、超臨界水反応器の流出液102は、軽流103と重流104とに分離される。その後、軽流は、重流104に導入される前に、改質器において接触改質などの改質を受ける。超臨界水反応器の流出液102を分離することによって、超臨界水反応器の流出液102のより軽い留分を処理するために蒸留ユニットは必要とされない。また、改質器において軽流103の少なくとも一部を処理することによって、安定した生成物のために別個の安定剤は必要とされない。
【0041】
本明細書において上記で提供されたさまざまなプロセスのコンポーネント、プロセスの流れ、およびプロセスの条件の詳細は、より詳細に説明される。
【0042】
実施形態によるプロセスでは、供給流101が超臨界水反応器110に導入される。実施形態によれば、供給流101は、全範囲原油(whole range crude oil)、蒸留原油、残油、抜頭原油、製油所からの生成物流、蒸気分解プロセスからの生成物流、液化石炭、油またはタールサンドから回収された液体生成物、ビチューメン、オイルシェール、アスファルテン、バイオマス炭化水素、ガス-ツー-リキッド(Gas-to-Liquid)(GTL)プロセスからの液体生成物、およびそれらの組み合わせを含む。供給流101のタイプおよび化学組成は、実施形態によれば、最終生成物の流れに影響を与え、プロセスの条件も決定し得る。
【0043】
実施形態によれば(ASTM D86、ASTM 1160、および/またはASTM 7169を参照すると)、供給流101は、335℃を超える、340℃を超える、345℃を超える、350℃を超える、355℃を超える、360℃を超える、365℃を超える、370℃を超える、または375℃を超えるなど、330℃を超える最大5体積パーセント蒸留点(T5%)を有する常圧残油を有する。実施形態では、供給流101は、340℃を超えかつ400℃未満、350℃を超えかつ400℃未満、360℃を超えかつ400℃未満、370℃を超えかつ400℃未満、380℃を超えかつ400℃未満、390℃を超えかつ400℃未満、330℃を超えかつ390℃未満、340℃を超えかつ390℃未満、350℃を超えかつ390℃未満、360℃を超えかつ390℃未満、370℃を超えかつ390℃未満、380℃を超えかつ390℃未満、330℃を超えかつ380℃未満、340℃を超えかつ380℃未満、350℃を超えかつ380℃未満、360℃を超えかつ380℃未満、370℃を超えかつ380℃未満、330℃を超えかつ370℃未満、340℃を超えかつ370℃未満、350℃を超えかつ370℃未満、360℃を超えかつ370℃未満、330℃を超えかつ360℃未満、340℃を超えかつ360℃未満、350℃を超えかつ360℃未満、330℃を超えかつ350℃未満、340℃を超えかつ350℃未満、または330℃を超えかつ340℃未満などの、330℃を超えかつ400℃未満のT5%の常圧残油を有する。
【0044】
実施形態では(ASTM D86、ASTM 1160、および/またはASTM 7169を参照すると)、供給流101は、555℃を超える、560℃を超える、565℃を超える、570℃を超える、575℃を超える、580℃を超える、585℃を超える、590℃を超える、または595℃を超えるなど、550℃を超えるT5%の真空残油を有する。1つまたは複数の実施形態では、供給流101は、560℃を超えかつ620℃未満、570℃を超えかつ620℃未満、580℃を超えかつ620℃未満、590℃を超えかつ620℃未満、600℃を超えかつ620℃未満、610℃を超えかつ620℃未満、550℃を超えかつ610℃未満、560℃を超えかつ610℃未満、570℃を超えかつ610℃未満、580℃を超えかつ610℃未満、590℃を超えかつ610℃未満、600℃を超えかつ610℃未満、550℃を超えかつ600℃未満、560℃を超えかつ600℃未満、570℃を超えかつ600℃未満、580℃を超えかつ600℃未満、590℃を超えかつ600℃未満、550℃を超えかつ590℃未満、560℃を超えかつ590℃未満、570℃を超えかつ590℃未満、580℃を超えかつ590℃未満、550℃を超えかつ580℃未満、560℃を超えかつ580℃未満、570℃を超えかつ580℃未満、550℃を超えかつ570℃未満、560℃を超えかつ570℃未満、または550℃を超えかつ560℃未満などの、550℃を超えかつ620℃未満のT5%の真空残油を有する。
【0045】
実施形態によれば(ASTM D86、ASTM 1160、および/またはASTM 7169を参照すると)、供給流101は、335℃を超える、340℃を超える、345℃を超える、350℃を超える、355℃を超える、360℃を超える、365℃を超える、370℃を超える、または375℃を超えるなど、330℃を超えるT5%の真空ガス油(VGO)を有する。実施形態では、供給流101は、340℃を超えかつ400℃未満、350℃を超えかつ400℃未満、360℃を超えかつ400℃未満、370℃を超えかつ400℃未満、380℃を超えかつ400℃未満、390℃を超えかつ400℃未満、330℃を超えかつ390℃未満、340℃を超えかつ390℃未満、350℃を超えかつ390℃未満、360℃を超えかつ390℃未満、370℃を超えかつ390℃未満、380℃を超えかつ390℃未満、330℃を超えかつ380℃未満、340℃を超えかつ380℃未満、350℃を超えかつ380℃未満、360℃を超えかつ380℃未満、370℃を超えかつ380℃未満、330℃を超えかつ370℃未満、340℃を超えかつ370℃未満、350℃を超えかつ370℃未満、360℃を超えかつ370℃未満、330℃を超えかつ360℃未満、340℃を超えかつ360℃未満、350℃を超えかつ360℃未満、330℃を超えかつ350℃未満、340℃を超えかつ350℃未満、または330℃を超えかつ340℃未満など、330℃を超えかつ400℃未満のT5%のVGOを有する。
【0046】
実施形態によれば(ASTM D86、ASTM 1160、および/またはASTM 7169を参照すると)、供給流101は、590℃未満、585℃未満、580℃未満、575℃未満、570℃未満、565℃未満、または560℃未満など、595℃未満である最大95体積パーセント(T95%)までの蒸留点を有するVGOを有する。1つまたは複数の実施形態では、供給流101は、555℃を超えかつ595℃未満、565℃を超えかつ595℃未満、575℃を超えかつ595℃未満、585℃を超えかつ595℃未満、545℃を超えかつ585℃未満、555℃を超えかつ585℃未満、565℃を超えかつ585℃未満、575℃を超えかつ585℃未満、545℃を超えかつ575℃未満、555℃を超えかつ575℃未満、565℃を超えかつ575℃未満、545℃を超えかつ565℃未満、555℃を超えかつ565℃未満、または545℃を超かつ555℃未満など、545℃を超えかつ595℃未満のT95%のVGOを有する。
【0047】
実施形態によれば、供給流101のアスファルテン含有量は、標準IP-143またはASTM D3279を使用してC7不溶分によって測定されるように、3重量%を超える、4重量%を超える、5重量%を超える、6重量%を超える、7重量%を超える、8重量%を超える、9重量%を超える、または10重量%を超えるなど、2重量パーセント(wt.%)を超える。1つまたは複数の実施形態によれば、供給流101のアスファルテン含有量は、C7不溶分によって測定されるように、3重量%を超えかつ15重量%未満、5重量%を超えかつ15重量%未満、8重量%を超えかつ15重量%未満、10重量%を超えかつ15重量%未満、12重量%を超えかつ15重量%未満、2重量%を超えかつ12重量%未満、3重量%を超えかつ12重量%未満、5重量%を超えかつ12重量%未満、8重量%を超えかつ12重量%未満、10重量%を超えかつ12重量%未満、2重量%を超えかつ10重量%未満、3重量%を超えかつ10重量%未満、5重量%を超えかつ10重量%未満、8重量%を超えかつ10重量%未満、2重量%を超えかつ8重量%未満、3重量%を超えかつ8重量%未満、5重量%を超えかつ8重量%未満、2重量%を超えかつ5重量%未満、3重量%を超えかつ5重量%未満、または2重量%を超えかつ3重量%未満など、2重量%を超えかつ15重量%未満である。
【0048】
図3に図示される実施形態では、供給流101は、石油供給原料流101aおよび水流101bから形成され得る。石油供給原料流101aおよび水流101bは、合わされ、供給流101としての上記した特性を有することが理解されるべきである。したがって、実施形態では、石油供給原料流の特性を所望のパラメータ内になるように修正するために水が加えられ得る。
【0049】
実施形態によれば、水流101bは、0.8μS/cm未満、0.5μS/cm未満、0.2μS/cm未満、または約0.1μS/cmなど、1センチメートル当たり1.0マイクロジーメンス(μS/cm)未満の導電率を有する脱塩水であり得る。1つまたは複数の実施形態では、脱塩水は、0.2μS/cmを超えかつ1.0μS/cm未満、0.5μS/cmを超えかつ1.0μS/cm未満、0.8μS/cmを超えかつ1.0μS/cm未満、0.1μS/cm以上かつ0.8μS/cm未満、0.2μS/cmを超えかつ0.8μS/cm未満、0.5μS/cmを超えかつ0.8μS/cm未満、0.1μS/cm以上かつ0.5μS/cm未満、0.2μS/cmを超えかつ0.5μS/cm未満、または0.1μS/cm以上かつ0.2μS/cm未満など、0.1μS/cm以上かつ1.0μS/cm未満の導電率を有する。
【0050】
実施形態によれば、脱塩水は、4.5μg/l未満、4.0μg/l未満、3.5μg/l未満、3.0μg/l未満、2.5μg/l未満、2.0μg/l未満、1.5μg/l未満、または約1.0μg/lなど、1リットル当たり5.0マイクログラム(μg/l)未満のナトリウム含有量を有する。1つまたは複数の実施形態では、脱塩水は、2.0μg/lを超えかつ5.0μg/l未満、3.0μg/lを超えかつ5.0μg/l未満、4.0μg/lを超えかつ5.0μg/l未満、1.0μg/l以上かつ4.0μg/l未満、2.0μg/lを超えかつ4.0μg/l未満、3.0μg/lを超えかつ4.0μg/l未満、1.0μg/l以上かつ3.0μg/l未満、2.0μg/lを超えかつ3.0μg/l未満、または1.0μg/l以上かつ2.0μg/l未満など、1.0μg/l以上かつ5.0μg/l未満のナトリウム含有量を有する。
【0051】
実施形態によれば、脱塩水は、4.5μg/l未満、4.0μg/l未満、3.5μg/l未満、3.0μg/l未満、2.5μg/l未満、2.0μg/l未満、1.5μg/l未満、または約1.0μg/lなど、5.0μg/l未満の塩化物含有量を有する。1つまたは複数の実施形態では、脱塩水は、2.0μg/lを超えかつ5.0μg/l未満、3.0μg/lを超えかつ5.0μg/l未満、4.0μg/lを超えかつ5.0μg/l未満、1.0μg/l以上かつ4.0μg/l未満、2.0μg/lを超えかつ4.0μg/l未満、3.0μg/lを超えかつ4.0μg/l未満、1.0μg/l以上かつ3.0μg/l未満、2.0μg/lを超えかつ3.0μg/l未満、または1.0μg/l以上かつ2.0μg/l未満など、1.0μg/l以上かつ5.0μg/l未満の塩化物含有量を有する。
【0052】
実施形態によれば、脱塩水は、2.5μg/l未満、2.0μg/l未満、1.5μg/l未満、1.0μg/l未満、または0.5μg/l未満など、3.0μg/l未満のシリカ含有量を有する。1つまたは複数の実施形態では、脱塩水は、1.0μg/lを超えかつ3.0μg/l未満、2.0μg/lを超えかつ3.0μg/l未満、0.0μg/l以上かつ2.0μg/l未満、1.0μg/lを超えかつ2.0μg/l未満、または0.0μg/l以上かつ1.0μg/l未満など、0.0μg/l以上かつ3.0μg/l未満のシリカ含有量を有する。
【0053】
図3に図示される実施形態のように、供給流101が石油供給原料流101aおよび水流101bから形成される実施形態では、水流101bと石油供給原料流101aとの、標準的な大気温度および圧力での、体積流量の比率は、1.0:9.0~1.0:0.1、1.0:8.0~1.0:0.1、1.0:7.0~1.0:0.1、1.0:6.0~1.0:0.1、1.0:5.0~1.0:0.1、1.0:4.0~1.0:0.1、1.0:3.0~1.0:0.1、1.0:2.0~1.0:0.1、1.0:1.0~1.0:0.1、1.0:0.5~1.0:0.1、1.0:10.0~1.0:0.5、1.0:9.0~1.0:0.5、1.0:8.0~1.0:0.5、1.0:7.0~1.0:0.5、1.0:6.0~1.0:0.5、1.0:5.0~1.0:0.5、1.0:4.0~1.0:0.5、1.0:3.0~1.0:0.5、1.0:2.0~1.0:0.5、1.0:1.0~1.0:0.5、1.0:10.0~1.0:1.0、1.0:9.0~1.0:1.0、1.0:8.0~1.0:1.0、1.0:7.0~1.0:1.0、1.0:6.0~1.0:1.0、1.0:5.0~1.0:1.0、1.0:4.0~1.0:1.0、1.0:3.0~1.0:1.0、1.0:2.0~1.0:1.0、1.0:10.0~1.0:2.0、1.0:9.0~1.0:2.0、1.0:8.0~1.0:2.0、1.0:7.0~1.0:2.0、1.0:6.0~1.0:2.0、1.0:5.0~1.0:2.0、1.0:4.0~1.0:2.0、1.0:3.0~1.0:2.0、1.0:10.0~1.0:3.0、1.0:9.0~1.0:3.0、1.0:8.0~1.0:3.0、1.0:7.0~1.0:3.0、1.0:6.0~1.0:3.0、1.0:5.0~1.0:3.0、1.0:4.0~1.0:3.0、1.0:10.0~1.0:4.0、1.0:9.0~1.0:4.0、1.0:8.0~1.0:4.0、1.0:7.0~1.0:4.0、1.0:6.0~1.0:4.0、1.0:5.0~1.0:4.0、1.0:10.0~1.0:5.0、1.0:9.0~1.0:5.0、1.0:8.0~1.0:5.0、1.0:7.0~1.0:5.0、1.0:6.0~1.0:5.0、1.0:10.0~1.0:6.0、1.0:9.0~1.0:6.0、1.0:8.0~1.0:6.0、1.0:7.0~1.0:6.0、1.0:10.0~1.0:7.0、1.0:9.0~1.0:7.0、1.0:8.0~1.0:7.0、1.0:10.0~1.0:8.0、1.0:9.0~1.0:8.0、または1.0:10.0~1.0:9.0など、SATPで1.0:10.0~1.0:0.1である。
【0054】
供給流101の組成に加えて、供給流の温度および圧力は、超臨界水反応器110で起こる反応のパフォーマンスに影響を与え得る。
【0055】
供給流101が石油供給原料流101aおよび水流101bから形成される実施形態(
図3に図示される実施形態など)では、水流101bは、混合器330で混合される前に、400℃を超えかつ600℃未満、425℃を超えかつ600℃未満、450℃を超えかつ600℃未満、475℃を超えかつ600℃未満、500℃を超えかつ600℃未満、525℃を超えかつ600℃未満、550℃を超えかつ600℃未満、575℃を超えかつ600℃未満、375℃を超えかつ575℃未満、400℃を超えかつ575℃未満、425℃を超えかつ575℃未満、450℃を超えかつ575℃未満、475℃を超えかつ575℃未満、500℃を超えかつ575℃未満、525℃を超えかつ575℃未満、550℃を超えかつ575℃未満、375℃を超えかつ550℃未満、400℃を超えかつ550℃未満、425℃を超えかつ550℃未満、450℃を超えかつ550℃未満、475℃を超えかつ550℃未満、500℃を超えかつ550℃未満、525℃を超えかつ550℃未満、375℃を超えかつ525℃未満、400℃を超えかつ525℃未満、425℃を超えかつ525℃未満、450℃を超えかつ525℃未満、475℃を超えかつ525℃未満、500℃を超えかつ525℃未満、375℃を超えかつ500℃未満、400℃を超えかつ500℃未満、425℃を超えかつ500℃未満、450℃を超えかつ500℃未満、475℃を超えかつ500℃未満、375℃を超えかつ475℃未満、400℃を超えかつ475℃未満、425℃を超えかつ475℃未満、450℃を超えかつ475℃未満、375℃を超えかつ450℃未満、400℃を超えかつ450℃未満、425℃を超えかつ450℃未満、375℃を超えかつ425℃未満、400℃を超えかつ425℃未満、または375℃を超えかつ400℃未満など、375℃を超えかつ600℃未満の温度に予熱され得る。
【0056】
供給流101が石油供給原料流101aおよび水流101bから形成される実施形態(
図3に図示される実施形態など)では、石油供給原料流101aは、混合器330で混合される前に、100℃を超えかつ300℃未満、150℃を超えかつ300℃未満、200℃を超えかつ300℃未満、250℃を超えかつ300℃未満、50℃を超えかつ250℃未満、100℃を超えかつ250℃未満、150℃を超えかつ250℃未満、200℃を超えかつ250℃未満、50℃を超えかつ200℃未満、100℃を超えかつ200℃未満、150℃を超えかつ200℃未満、50℃を超えかつ150℃未満、100℃を超えかつ150℃未満、または50℃を超えかつ100℃未満など、50℃を超えかつ300℃未満の温度に予熱され得る。
【0057】
(
図3に図示される実施形態などにおいて)供給流101が、石油供給原料流101aおよび水流101bから形成されるか、または(
図1および
図2に図示される実施形態などにおいて)単一の供給流であるかにかかわらず、超臨界水反応器110に入る供給流101は、21MPaを超える、22MPaを超える、23MPaを超える、24MPaを超える、25MPaを超える、26MPaを超える、または27MPaを超えるなど、20メガパスカル(MPa)を超える圧力を有する。1つまたは複数の実施形態では、超臨界水反応器110に入る供給流101は、23MPaを超えかつ35MPa未満、25MPaを超えかつ35MPa未満、27MPaを超えかつ35MPa未満、30MPaを超えかつ35MPa未満、33MPaを超えかつ35MPa未満、20MPaを超えかつ33MPa未満、23MPaを超えかつ33MPa未満、25MPaを超えかつ33MPa未満、27MPaを超えかつ33MPa未満、30MPaを超えかつ33MPa未満、20MPaを超えかつ30MPa未満、23MPaを超えかつ30MPa未満、25MPaを超えかつ30MPa未満、27MPaを超えかつ30MPa未満、20MPaを超えかつ27MPa未満、23MPaを超えかつ27MPa未満、25MPaを超えかつ27MPa未満、20MPaを超えかつ25MPa未満、23MPaを超えかつ25MPa未満、または20MPaを超えかつ23MPa未満など、20MPa超かつ35MPa未満の圧力を有する。
【0058】
上記のように、供給流101は、超臨界水反応器110に導入され、そこで供給流101は超臨界水反応器110内の超臨界水と反応する。超臨界水中の反応は、超臨界水が希釈剤および水素源である熱分解プロセスとして分類することができる。超臨界水反応によって、従来のコークス化プロセスよりもはるかに少量のコークスが処理されるが、反応媒体における水素欠乏の結果として、生成物に不飽和結合が生じる。また、一部がアルキル化芳香族化合物からの分解生成物である、生成物のパラフィン部分は、生成物中のアスファルテンを不安定にする。
【0059】
特に、1つまたは複数の実施形態によれば、超臨界水反応器110において、超臨界水の存在下の反応ではラジカル連鎖反応を受ける。特定の理論に縛られることなく、供給流101中のさまざまな結合が、超臨界水に存在する熱エネルギーにより超臨界水反応器に導入された後、急速に切れると考えられる。チオールおよびスルフィドを含む炭素-硫黄結合、炭素-窒素結合、炭素-金属結合、および弱い炭素-炭素結合のような、炭素-ヘテロ原子結合は、容易に切断され、ラジカルを生成する。切断された結合のラジカルはラジカル連鎖反応を開始する。分子上のラジカルが他の分子に伝播されることで、結果として分子の分子構造が再配置され、分解、オリゴマー化、異性化、脱水素、環化、芳香族化、および他の反応が達成される。しかし、アップグレード反応の生成物の順序および性質は、反応器の操作条件の影響を受け、したがって予測することは困難である。芳香族化合物、特に、ベンゼン、トルエン、およびキシレン(BTX)などの軽質な芳香族化合物は、自己阻害物質である。すなわち、芳香族構造によるラジカルの非局在化によって、ラジカルの濃度が低下し、停止工程が増加する。
【0060】
超臨界水反応器110として使用される反応器のタイプは特に限定されない。実施形態では、超臨界水反応器110は、容器または管状反応器であり得る。超臨界水反応器110のサイズおよび具体的な形状は、反応させられる材料の量と必要な反応条件とのバランスを取るように決定されることが理解されるべきである。超臨界水反応器110内の温度および圧力は、そこで生じる反応に影響を与える。超臨界水反応器110内の圧力は、主に、超臨界水反応器110に入る供給流101の圧力、および超臨界水反応器の流出液102の圧力に対する任意の制約によって決定される。たとえば、
図3に示されるように、超臨界水反応器110より下流に減圧器350が配置される。そのような実施形態では、圧力は、ポンプ310aおよび310bから減圧器350まで相対的に一定である。したがって、実施形態では、超臨界水反応器110内の圧力は、上記で開示した圧力などの、超臨界水反応器110に入る供給流101の圧力と同じである。
【0061】
圧力と同様に、超臨界水反応器110内の温度は、超臨界水反応器110に入る供給流101の温度および超臨界水反応器の流出液102の温度によって決定される。これら2つの流れの温度を調節することによって、超臨界水反応器110内の温度が調節され得る。たとえば、
図3に図示される実施形態に示されるように、予熱器320aおよび予熱器320bは、供給流101の温度を調節するために使用することができ、冷却器340は、超臨界水反応器の流出液105の温度を調節するために使用することができる。
【0062】
実施形態によれば、超臨界水反応器110内の温度は、380℃を超えかつ600℃未満、400℃を超えかつ600℃未満、450℃を超えかつ600℃未満、500℃を超えかつ600℃未満、550℃を超えかつ600℃未満、350℃を超えかつ550℃未満、380℃を超えかつ550℃未満、400℃を超えかつ550℃未満、450℃を超えかつ550℃未満、500℃を超えかつ550℃未満、350℃を超えかつ500℃未満、380℃を超えかつ500℃未満、400℃を超えかつ500℃未満、450℃を超えかつ500℃未満、350℃を超えかつ450℃未満、380℃を超えかつ450℃未満、400℃を超えかつ450℃未満、350℃を超えかつ400℃未満、380℃を超えかつ400℃未満、または350℃を超えかつ380℃未満など、350℃を超えかつ600℃未満である。
【0063】
超臨界水反応器110内の温度および圧力に加えて、反応物が超臨界水反応器110内に存在する持続時間(滞留時間とも呼ばれる)は、超臨界水反応器110内で生じる反応に影響を与える。持続時間は、超臨界水反応器110内の反応物質の密度が超臨界水反応器110内の反応条件での水の密度と同じであるという仮定に基づいて計算される。実施形態によれば、反応物質が超臨界水反応器110内に存在する持続時間は、30秒を超えかつ60分未満、1分を超えかつ60分未満、10分を超えかつ60分未満、15分を超えかつ60分未満、30分を超えかつ60分未満、45分を超えかつ60分未満、10秒を超えかつ45分未満、30秒を超えかつ45分未満、1分を超えかつ45分未満、10分を超えかつ45分未満、15分を超えかつ45分未満、30分を超えかつ45分未満、10秒を超えかつ30分未満、30秒を超えかつ30分未満、1分を超えかつ30分未満、10分を超えかつ30分未満、15分を超えかつ30分未満、10秒を超かつ15分未満、30秒を超えかつ15分未満、1分を超かつ15分未満、10分を超えかつ15分未満、10秒を超えかつ10分超未満、30秒を超えかつ10分未満、1分を超えかつ10分未満、10秒を超えかつ1分未満、30秒を超えかつ1分未満、または10秒を超えかつ30秒未満など、10秒を超えかつ60分未満である。
【0064】
超臨界水反応器110からの反応生成物は、超臨界水反応器の流出流102として超臨界水反応器110を出て、分離器120に導入される。任意の従来の分離器が使用され得る。実施形態によれば、分離器は分留塔(fractionator)などであり得る。上記のように、ならびに
図1、
図2、および
図3に図示される実施形態に示されるように、分離器120は、超臨界水反応器の流出流102を2つの流れに分割する。軽(たとえば、蒸気)流103は、超臨界水反応器の流出流102からの水の大部分を含むが、重(たとえば、液体)流はほとんど乾燥している。実施形態では、軽流103は、92重量%を超える、95重量%を超える、97重量%を超える、または99重量%を超えるなど、超臨界水反応器の流出流102からの90重量%を超える水を含む。分離器120内のプロセス条件は、軽流103中のパラフィン、オレフィン、ナフテン、および軽質な芳香族化合物の留分を最大化するように選択される。軽流103に存在するパラフィン、オレフィン、ナフテン、および軽質な芳香族化合物は、12未満の炭素数、たとえば、216℃の沸点を有するドデカン(C
12H
26)を有する。軽流103に存在するパラフィン、オレフィン、ナフテン、軽質な芳香族化合物は、実施形態によれば、軽流103に存在する水から分離され得る軽流の石油相に存在し得る。
【0065】
分離器120内の温度および圧力を緩和するために、超臨界水反応器の流出流102の温度および圧力は変更され得る。たとえば、
図3に図示される実施形態では、超臨界水反応器の流出流102の温度は冷却器340によって調節され得、超臨界水反応器の流出流102の圧力は減圧器350によって調節され得る。分離器120に入る前の超臨界水反応器の流出流102の温度および圧力、およびそれによる分離器内の温度および圧力が、超臨界水反応器の流出流102内の材料と軽流103の所望の成分とのバランスに基づいて選択されることが理解されるべきである。
【0066】
実施形態では、軽流103中の石油相と軽流103中の水とを分離するために、水-油分離器が使用され得る。任意の適切な既知の水-油分離器を使用することができる。実施形態では、水-油分離器は分離器120の内部にある。しかし、他の実施形態では、水-油分離器は分離器120の外部にある(図示せず)。軽流103の、石油相などの、成分が、改質器130に導入され、改質器に送られた軽流103の成分内の芳香族化合物が濃縮される。
図3は改質器を明示的に示していないが、
図3に図示される実施形態では、軽流103の成分は分離器120から改質器に移送される。実施形態で使用される改質器のタイプは特に限定されず、1つまたは複数の実施形態では、改質器130は接触改質器であってもよい。たとえば、1つまたは複数の実施形態では、改質器130は、アルミナ-(Al
2O
3)ベースの支持体上に支持された白金-レニウム(Pt-Re)触媒を含む接触改質器、または白金-スズ(Pt-Sn)触媒を含む接触改質器であってもよい。実施形態では、アルミナベースの支持体は微孔質構造を有し得る。
【0067】
軽流103に存在し得る特定の成分は、改質器中の触媒に有害であり得る。たとえば、水および硫黄は、たとえばPt-ReまたはPt-Sn触媒などの従来の改質触媒を害しかねない。したがって、実施形態によれば、改質器130に入る水および硫黄の含有量は制限されるべきである。軽流102に最初に存在する水の大部分は、分離器120で除去されて、流れ103を生成し得る。
図2に図示される実施形態に示されるように、軽流に存在する硫黄は、改質器130に入る前に脱硫ユニット210によって除去され得る。脱硫ユニット210が、本明細書に開示および記載される任意の実施形態では改質器130より上流に配置され得、脱硫ユニット210が、
図2に図示される実施形態に明示的に限定されないことが理解されるべきである。改質器130および脱硫ユニット210に入る硫黄の含有量は、以下により詳細に説明される。
【0068】
実施形態によれば、改質器130に入る軽流103の少なくとも一部は、9重量%ppm未満、8重量%ppm未満、7重量%ppm未満、6重量%ppm未満、5重量%ppm未満、4重量%ppm未満、2重量%ppm未満、または1重量%ppm未満など、重量パーセントで10百万分率(重量%ppm)未満の含水量を有する。1つまたは複数の実施形態によれば、改質器130に入る軽流103の成分は、1重量%ppmを超えかつ10重量%ppm未満、3重量%ppmを超えかつ10重量%未満、5重量%ppmを超えかつ10重量%ppm未満、8重量%ppmを超えかつ10重量%ppm未満、1重量%ppmを超えかつ8重量%ppm未満、3重量%ppmを超えかつ8重量%ppm未満、5重量%ppmを超えかつ8重量%ppm未満、1重量%ppmを超えかつ5重量%未満ppm、3重量%ppmを超えかつ5重量%ppm未満、または1重量%ppmを超かつ3重量%ppm未満の含水量を有する。
【0069】
改質器130内の温度はまた、改質器130内で生じる芳香族化合物の濃度に影響を与え得る。実施形態によれば、改質器内の温度は、475℃を超えかつ550℃未満、500℃を超えかつ550℃未満、525℃を超えかつ550℃未満、450℃を超えかつ525℃未満、475℃を超えかつ525℃未満、500℃を超えかつ525℃未満、450℃を超えかつ500℃未満、475℃を超えかつ500℃未満、または450℃を超えかつ475℃未満など、430℃を超えかつ550℃未満である。
【0070】
実施形態によれば、改質器130内の圧力は、0.5MPaを超えかつ4.0MPa未満、1.0MPaを超えかつ4.0MPa未満、1.5MPaを超えかつ4.0MPa未満、2.0MPaを超えかつ4.0MPa未満、2.5MPaを超えかつ4.0MPa未満、3.0MPaを超えかつ4.0MPa未満、3.5MPaを超えかつ4.0MPa未満、0.3MPaを超えかつ3.5MPa未満、0.5MPaを超えかつ3.5MPa未満、1.0MPaを超えかつ3.5MPa未満、1.5MPaを超えかつ3.5MPa未満、2.0MPaを超えかつ3.5MPa未満、2.5MPaを超えかつ3.5MPa未満、3.0MPaを超えかつ3.5MPa未満、0.3MPaを超えかつ3.0MPa未満、0.5MPaを超えかつ3.0MPa未満、1.0MPaを超えかつ3.0MPa未満、1.5MPaを超えかつ3.0MPa未満、2.0MPaを超えかつ3.0MPa未満、2.5MPaを超えかつ3.0MPa未満、0.3MPaを超えかつ2.5MPa未満、0.5MPaを超えかつ2.5MPa未満、1.0MPaを超えかつ2.5MPa未満、1.5MPaを超えかつ2.5MPa未満、2.0MPaを超えかつ2.5MPa未満、0.3MPaを超えかつ2.0MPa未満、0.5MPaを超えかつ2.0MPa未満、1.0MPaを超えかつ2.0MPa未満、1.5MPaを超えかつ2.0MPa未満、0.3MPaを超えかつ1.5MPa未満、0.5MPaを超えかつ1.5MPa未満、1.0MPaを超えかつ1.5MPa未満、0.3MPaを超えかつ1.0MPa未満、0.5MPaを超えかつ1.0MPa未満、または0.3MPaを超えかつ0.5MPa未満など、0.3MPaを超えかつ4.0MPa未満である。
【0071】
実施形態によれば、改質器130内の軽流103の成分の液空間速度(LHSV)での流量は、1.5/hrを超えかつ4.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ4.0/hr未満、2.5/hrを超えかつ4.0/hr未満、3.0/hrを超えかつ4.0/hr未満、3.5/hrを超えかつ4.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ3.5/hr未満、1.5/hrを超えかつ3.5/hr未満、2.0/hrを超えかつ3.5/hr未満、2.5/hrを超えかつ3.5/hr未満、3.0/hrを超えかつ3.5/hr未満、1.0/hrを超えかつ3.0/hr未満、1.5/hrを超えかつ3.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ3.0/hr未満、2.5/hrを超えかつ3.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ2.5/hr未満、1.5/hrを超えかつ2.5/hr未満、2.0/hrを超えかつ2.5/hr未満、1.0/hrを超えかつ2.0/hr未満、1.5/hrを超えかつ2.0/hr未満、または1.0/hrを超えかつ1.5/hr未満など、1.0/時間(hr)を超えかつ4.0/hr未満である。流量が多すぎると芳香族化合物が十分に濃縮されず、流量が少なすぎると触媒の消耗が早すぎる。
【0072】
改質器内の供給油(流れ103)に対する水素(H2)のモル比は、2を超えかつ10未満、3を超えかつ10未満、4を超えかつ10未満、5を超えかつ10未満、6を超えかつ10未満、7を超えかつ10未満、8を超えかつ10未満、9を超えかつ10未満、1を超えかつ9未満、2を超えかつ9未満、3を超えかつ9未満、4を超えかつ9未満、5を超えかつ9未満、6を超えかつ9未満、7を超えかつ9未満、8を超えかつ9未満、1を超えかつ8未満、2を超えかつ8未満、3を超えかつ8未満、4を超えかつ8未満、5を超えかつ8未満、6を超えかつ8未満、7を超えかつ8未満、1を超えかつ7未満、2を超えかつ7未満、3を超えかつ7未満、4を超えかつ7未満、5を超えかつ7未満、6を超えかつ7未満、1を超えかつ6未満、2を超えかつ6未満、3を超えかつ6未満、4を超えかつ6未満、5を超えかつ6未満、1を超えかつ5未満、2を超えかつ5未満、3を超えかつ5未満、4を超えかつ5未満、1を超えかつ4未満、2を超えかつ4未満、3を超えかつ4未満、1を超えかつ3未満、2を超えかつ3未満、または1を超えかつ2未満など、1を超えかつ10未満である。水素含有量を炭化水素より過剰に保つことによって、生成された炭化水素ラジカルおよびオレフィンが飽和する。
【0073】
上記のように、硫黄は改質器130内の触媒を害しかねない。したがって、改質器に導入されている流れにおける、本明細書で硫黄含有成分を含む、硫黄含有量は低く保たれるべきである。したがって、実施形態では、改質器130に導入されている流れにおける硫黄の濃度は、0.6重量%ppm未満、0.5重量%ppm未満、0.4重量%ppm未満、0.3重量%ppm未満、または0.2重量%ppm未満など、0.7重量%ppm未満である。1つまたは複数の実施形態では、改質器130に導入されている流れにおける硫黄の濃度は、0.2重量%ppmを超えかつ0.7重量%ppm未満、0.3重量%ppmを超えかつ0.7重量%ppm未満、0.4重量%ppmを超えかつ0.7重量%ppm未満、0.5重量%ppmを超えかつ0.7重量%ppm未満、0.6重量%ppmを超えかつ0.7重量%ppm未満、0.1重量%ppmを超えかつ0.6重量%ppm未満、0.2重量%ppmを超えかつ0.6重量%ppm未満、0.3重量%ppmを超えかつ0.6重量%ppm未満、0.4重量%ppmを超えかつ0.6重量%ppm未満、0.5重量%ppmを超えかつ0.6重量%ppm未満、0.1重量%ppmを超えかつ0.5重量%ppm未満、0.2重量%ppmを超えかつ0.5重量%ppm未満、0.3重量%ppmを超えかつ0.5重量%ppm未満、0.4重量%ppmを超えかつ0.5重量%ppm未満、0.1重量%ppmを超えかつ0.4重量%ppm未満、0.2重量%ppmを超えかつ0.4重量%ppm未満、0.3重量%ppmを超えかつ0.4重量%ppm未満、0.1重量%ppmを超えかつ0.3重量%ppm未満、0.2重量%ppmを超えかつ0.3重量%ppm未満、または0.1重量%ppmを超えかつ0.2重量%ppm未満など、0.1重量%ppmを超えかつ0.7重量%ppm未満である。
【0074】
改質器に入る軽流103の成分中の硫黄の含有量は、実施形態によれば、上記のように、脱硫ユニット210によって減少させられ得る。脱硫ユニット210のタイプは特に限定されない。実施形態では、脱硫ユニット210は従来の水素化脱硫ユニットである。そのようなユニットでは、苛性処理または吸着脱硫(米国特許出願公開第2009/0145807号明細書に開示されるものなど)を利用することができる。触媒水素化脱硫は、改質ユニットのための良好な供給分子であるオレフィンを飽和させるため、1つまたは複数の実施形態で使用することができる。本発明の目的を達成するための具体的な要件はない。
【0075】
実施形態によれば、脱硫ユニット内の触媒は、アルミナベースの支持体上のコバルトモリブデン(CoMo)触媒またはニッケルモリブデン(NiMo)触媒を含み得る。実施形態によれば、アルミナベースの支持体は微孔性アルミナベースの支持体であり得る。
【0076】
脱硫ユニット210内の温度はまた、改質器130に導入された供給流に存在する硫黄の量に影響を与え得る。実施形態によれば、脱硫ユニット210内の温度は、275℃を超えかつ350℃未満、300℃を超えかつ350℃未満、325℃を超えかつ350℃未満、250℃を超えかつ325℃未満、275℃を超えかつ325℃未満、300℃を超えかつ325℃未満、250℃を超えかつ300℃未満、275℃を超えかつ300℃未満、または250℃を超えかつ275℃未満など、250℃を超えかつ350℃未満である。
【0077】
実施形態によれば、脱硫ユニット210内の圧力は、改質器130に導入されている供給流中の硫黄の量に影響を与えることができる。実施形態では、脱硫ユニット210内の圧力は、0.3MPaを超えかつ3.0MPa未満、0.5MPaを超えかつ3.0MPa未満、1.0MPaを超えかつ3.0MPa未満、1.5MPaを超えかつ3.0MPa未満、2.0MPaを超えかつ3.0MPa未満、2.5MPaを超えかつ3.0MPa未満、0.3MPaを超えかつ2.5MPa未満、0.5MPaを超えかつ2.5MPa未満、1.0MPaを超えかつ2.5MPa未満、1.5MPaを超えかつ2.5MPa未満、2.0MPaを超えかつ2.5MPa未満、0.3MPaを超えかつ2.0MPa未満、0.5MPaを超えかつ2.0MPa未満、1.0MPaを超えかつ2.0MPa未満、1.5MPaを超えかつ2.0MPa未満、0.3MPaを超えかつ1.5MPa未満、0.5MPaを超えかつ1.5MPa未満、1.0MPaを超えかつ1.5MPa未満、0.3MPaを超えかつ1.0MPa未満、0.5MPaを超えかつ1.0MPa未満、または0.3MPaを超えかつ0.5MPa未満である。
【0078】
実施形態によれば、脱硫ユニット210内の軽流103の成分のLHSVの流量は、2.0/hrを超えかつ8.0/hr未満、3.0/hrを超えかつ8.0/hr未満、4.0/hrを超えかつ8.0/hr未満、5.0/hrを超えかつ8.0/hr未満、6.0/hrを超えかつ8.0/hr未満、7.0/hrを超えかつ8.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ7.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ7.0/hr未満、3.0/hrを超えかつ7.0/hr未満、4.0/hrを超えかつ7.0/hr未満、5.0/hrを超えかつ7.0/hr未満、6.0/hrを超えかつ7.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ6.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ6.0/hr未満、3.0/hrを超えかつ6.0/hr未満、4.0/hrを超えかつ6.0/hr未満、5.0/hrを超えかつ6.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ5.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ5.0/hr未満、3.0/hrを超えかつ5.0/hr未満、4.0/hrを超えかつ5.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ4.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ4.0/hr未満、3.0/hrを超えかつ4.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ3.0/hr未満、2.0/hrを超えかつ3.0/hr未満、1.0/hrを超えかつ2.0/hr未満など、1.0/hrを超えかつ8.0/hr未満である。流量が多すぎると芳香族化合物が十分に濃縮されず、流量が少なすぎると触媒の消耗が早すぎる。
【0079】
脱硫ユニット210内の供給油(流れ103)に対する水素(H2)のモル比は、35NM3/m3から60NM3/m3未満、40NM3/m3から60NM3/m3未満、45NM3/m3から60NM3/m3未満、50NM3/m3から60NM3/m3未満、55NM3/m3から60NM3/m3未満、30NM3/m3から55NM3/m3未満、35NM3/m3から55NM3/m3未満、40NM3/m3から55NM3/m3未満、45NM3/m3から55NM3/m3未満、50NM3/m3から55NM3/m3未満、30NM3/m3から50NM3/m3未満、35NM3/m3から50NM3/m3未満、40NM3/m3から50NM3/m3未満、45NM3/m3から50NM3/m3未満、30NM3/m3から45NM3/m3未満、35NM3/m3から45NM3/m3未満、40NM3/m3から45NM3/m3未満、30NM3/m3から40NM3/m3未満、35NM3/m3から40NM3/m3未満、または30NM3/m3から35NM3/m3未満など、立方メートル当たり30標準立方メートル(NM3/m3)より大きくかつ60NM3/m3未満である。水素含有量を炭化水素より過剰に保つことによって、生成された炭化水素ラジカルおよびオレフィンが飽和する。
【0080】
超臨界水反応器110内の超臨界水の反応の厳しさ(severity)を増加させる(たとえば、高温で長時間反応を行う)ことによって、熱分解された石油製品の安定性を改善するプロセスのさまざまな実施形態を参照して上記で詳細に説明したように、石油原料のアップグレードの程度は増加される(たとえば、アップグレードされた石油原料は、より高い米国石油協会(API)比重度、より低い残留物画分、より低い硫黄含有量、より低い金属含有量などを有する)。しかし、これらの超臨界水との強い反応によって、パラフィン(C5-C12)含有量が増加して、製品中のアスファルテン画分が不安定になり、結果として最終製品が不安定になりかねない。超臨界水のプロセスは、概して、アスファルテンをマルテンに分解することによってアスファルテン含有量を減少させるが、未転化および/または残留アスファルテンは油から分離相を形成する傾向が強く、最終製品の不安定性の原因になる。このような現象は、パラフィンが芳香族コアの側鎖に加えてワックスなどの独立した化合物として存在する「比較的パラフィン系の残留物」を処理する場合により顕著になる。本明細書で使用されるように、「比較的パラフィン系の残留物」は、以下の特性を有する成分として定義される:340℃を超えるT5%;6%未満のプロトン核磁気共鳴(NMR)によって測定された芳香族性;3重量%を超えるC7不溶分で測定されたアスファルテン含有量。簡単に言えば、沸点は高いが芳香族性が低い流れは、パラフィン含有量が比較的高くなる。比較的パラフィン系の残留物を含む組成物は、最終製品の安定性を低下させかねない。それゆえ、本明細書に開示および記載される実施形態によれば、超臨界水反応器の流出液102は、軽流103と重流104とに分離される。軽流は比較的パラフィン系の残留物を含む。軽流は改質器130で処理されて、軽流中の芳香族化合物を濃縮し、パラフィンを減少させる。軽流103と比較して高濃度の芳香族化合物および低濃度のパラフィンを有する、改質器の流出液は、その後、重流と混合されて、安定した最終製品が得られる。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するが、本開示の範囲を限定することを意図されていない。
【0082】
図3に示される実施形態によるプロセスのために、Aspen HYSYSソフトウェアビルド8.0を使用してシミュレーションを行った。石油供給原料流101aは、以下の表1に示される特性を有する重質な減圧軽油であった。
【0083】
【0084】
水流101bは、ASTM D1193によるタイプIの脱塩水である。石油供給原料流101aは、最初に(すなわち、ポンプ310aおよび予熱器320aに導入される前に)、0.1MPaの圧力、15.6℃の温度、および1日当たり1679.1トン(トン/日)の質量流量を有していた。水流101bは、最初に(すなわち、ポンプ310bおよび予熱器320bに導入される前に)、0.0MPaの圧力、25.0℃の温度、および1日当たり793.3トン(トン/日)の質量流量を有していた。
【0085】
石油供給原料流101aは、ポンプ310aに導入された後、27.0MPaの圧力、19.2℃の温度、および1679.1トン/日の流量を有していた。石油供給原料流101aは、予熱器320aに導入された後、27.0MPaの圧力、150.0℃の温度、および1679.1トン/日の流量を有し、これらは、混合器330に導入された、加圧され、予熱された石油供給原料流101aの状態であった。
【0086】
水流101bは、ポンプ310bに導入された後、27.0MPaの圧力、26.7℃の温度、および793.3トン/日の流量を有していた。水流101bは、予熱器320bに導入された後、27.0MPaの圧力、520.0℃の温度、793.3トン/日の流量を有し、これらは、混合器330に導入された、加圧され、予熱された水流101bの状態であった。混合器を出る供給流の蒸留プロファイルは、元の供給油の蒸留プロファイルとほとんど同じであり、これは、反応がほとんど生じないか、またはまったく生じないことを示唆している。
【0087】
混合器330において、加圧され、予熱された石油供給原料流101cと、加圧され、加熱された水流101dとを混合して、混合器330を出る流れである供給流101を形成した。供給流101は、27.0MPaの圧力、379.0℃の温度、および2472.5トン/日の流量を有していた。供給流101は、混合器330から超臨界水反応器110に移送され、そこで供給流101は超臨界水反応器110内で超臨界水と反応した。超臨界水反応器110内の供給流101と超臨界水との間の反応の生成物は、超臨界水反応器の流出液102として超臨界水反応器110を出た。超臨界水反応器の流出液102は、27.0MPaの圧力、425.0℃の温度、および2472.5トン/日の流量を有していた。反応器の流出液中の油留分は、以下の表2に示される以下の蒸留データを有する。
【0088】
【0089】
超臨界水反応器の流出液102は冷却器340に導入され、超臨界水反応器の流出液102の温度を低下させた。超臨界水反応器の流出液102は、冷却器340を出ると、27.0MPaの圧力、365.0℃の温度、および2472.5トン/日の流量を有していた。冷却された超臨界水反応器の流出液102は、その後、減圧器350に移送され、そこで超臨界水反応器の流出液102の圧力を低下させた。超臨界水反応器の流出液102は、減圧器350を出ると、0.3MPaの圧力、241.6℃の温度、および2472.5トン/日の流量を有し、これらは、分離器に入ったときの超臨界水反応器の流出液102の状態であった。
【0090】
分離器において、超臨界水反応器の流出液102は、軽(たとえば、蒸気)流103と重(たとえば、液体)流104とに分離された。分離器120を出る重流104は、0.3MPaの圧力、241.6℃の温度、および1370トン/日の流量を有していた。続いて、
図3には示されていないが、重流104を任意に第2の減圧ユニットに導入して、重流104を減圧した。第2の減圧ユニットの出口では、重流104は、0.2MPaの圧力、241.6℃の温度、および1370.0トン/日の流量を有していた。この流れは、以下の表3に示される以下の蒸留データを有する。
【0091】
【0092】
分離器120を出る軽流103は、0.3MPaの圧力、241.6℃の温度、および1103.0トン/日の流量を有していた。
図3には示されていないが、軽流103は第3の減圧ユニットに導入された。第3の減圧ユニットの出口では、軽流103は、0.2MPaの圧力、241.6℃の温度、および1141.8トン/日の流量を有していた。
図3には示されていないが、減圧された軽流103は第2の冷却器に導入された。第2の冷却器の出口では、減圧され、冷却された軽流103は、0.2MPaの圧力、210.0℃の温度、および1141.8トン/日の流量を有していた。
図3には示されていないが、減圧され、冷却された軽流103は、水-油分離器に導入され、そこで、減圧され、冷却された軽流103中の水は、減圧され、冷却された軽流103中の油成分から分離された。水-油分離器の出口では、分離された軽流103は、0.1MPaの圧力、135.0℃の温度、および310.1トン/日の流量を有していた。分離された軽流103は、本質的に水を含まず、およそ18重量%の石油原料を含み、硫黄、窒素、硫化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、およびC
1~C
4パラフィンを含む。分離された軽流103中の油成分は、44のAPI比重および350℃のT90%を有する。この分離された軽流103は、最終製品を不安定にする傾向があるため、最終製品に混合するのには適していない。それゆえ、分離された軽流103は改質器130に導入された。
【0093】
改質器130では、分離された軽流中の芳香族成分の濃度は増加される。改質器130を出ると、改質器の流出液105は、0.7MPaの圧力、485℃の温度、および269.9トン/日の液体生成物の流量を有していた。この流れは、以下の表4に示される以下の蒸留データを有する。
【0094】
【0095】
改質器の流出液105は、その後、重流104と混合されて、最終製品の流れ106を形成する。最終製品の流れは、0.2MPaの圧力、241.3℃の温度、および1600.5トン/日の流量を有していた。この流れは、以下の表5に示される以下の蒸留データを有する。
【0096】