(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/56 20100101AFI20240604BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L33/56
H01L33/54
(21)【出願番号】P 2023010773
(22)【出願日】2023-01-27
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】木田 泉
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171466(JP,A)
【文献】国際公開第2003/034508(WO,A1)
【文献】特開2008-201828(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125713(WO,A1)
【文献】特開2018-030999(JP,A)
【文献】特開2008-041968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤に硬化剤を混合した液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する工程と、
パッケージ基板と、前記パッケージ基板上にフリップチップ接合された発光素子との間の隙間を充填するように前記真空脱泡された液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、
前記塗布された液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる工程と、を備え、
前記真空脱泡する工程は、
前記主剤と前記硬化剤を混合撹拌しながら真空脱泡する第1工程と、
前記第1工程後の前記液状熱硬化性樹脂を塗布用のシリンジに充填する工程と、
前記シリンジ内の前記液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する第2工程と、を備え、
前記塗布する工程は、前記第2工程後の前記シリンジ内の液状熱硬化性樹脂を用いる、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記塗布された液状熱硬化性樹脂は、前記発光素子を被覆するドーム形状を有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記塗布された液状熱硬化性樹脂の前記基板からの高さは、0.2mm以上3mm以下である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記真空脱泡する工程は、前記液状熱硬化性樹脂の温度が20℃以上40℃以下となる条件下で実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記液状熱硬化性樹脂の粘度は、1Pa・s以上50Pa・s以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に接合される発光素子を樹脂で封止した発光装置が知られている。例えば、発光素子が接合されたプリント基板に枠体を載置し、枠体の開口に樹脂を注入し、樹脂の注入後に真空状態で脱泡し、脱泡後に樹脂を硬化する製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上にフリップチップ接合された発光素子を樹脂で封止する場合、基板と発光素子との間の隙間に樹脂が入り込む。基板と発光素子の間の隙間に存在する樹脂は、樹脂充填後の真空脱泡工程にて脱泡されにくいため、気泡が残存することがある。基板と発光素子の間の樹脂に気泡が残存すると、樹脂を硬化させる工程にて気泡が膨張し、基板と発光素子の間の隙間が気泡によって押し広げられ、発光素子と基板の間の接合部が損傷する可能性がある。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、発光装置の製造歩留まりを向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の発光装置の製造方法は、主剤に硬化剤を混合した液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する工程と、パッケージ基板と、パッケージ基板上にフリップチップ接合された発光素子との間の隙間を充填するように真空脱泡された液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、塗布された液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光装置の製造歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】真空ミキサーの回転数および処理時間と樹脂温度の関係性を示すグラフである。
【
図3】実施の形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0010】
図1は、実施の形態に係る発光装置10の構成を概略的に示す断面図である。発光装置10は、発光素子12と、パッケージ基板14と、第1接合部16aと、第2接合部16bと、封止樹脂18とを備える。
【0011】
発光素子12は、中心波長λが約360nm以下となる紫外光を発するように構成される半導体発光素子である。このような波長の紫外光を出力するため、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料が用いられる。本実施形態では、特に、中心波長λが約240nm~320nmの深紫外光を発するDUV-LED(Deep UltraViolet-Light Emitting Diode)チップについて示す。
【0012】
発光素子12は、透明基板20と、半導体層22と、第1コンタクト電極24aと、第2コンタクト電極24bと、保護層26と、第1パッド電極28aと、第2パッド電極28bとを備える。
【0013】
透明基板20は、発光素子12が発する紫外光に対して透光性を有する材料から構成される。透明基板20は、例えば、サファイア(Al2O3)から構成される。
【0014】
半導体層22は、透明基板20の上に設けられる。半導体層22は、例えば、n型半導体層と、活性層と、p型半導体層とを備える。半導体層22は、AlGaN系半導体材料から構成される。AlGaN系半導体材料は、In1-x-yAlxGayN(0<x+y≦1、0<x<1、0<y<1)の組成で表すことができる。
【0015】
第1コンタクト電極24aおよび第2コンタクト電極24bは、半導体層22と接触する電極である。第1コンタクト電極24aは、n型半導体層と接触するカソード電極である。第1コンタクト電極24aは、例えば、Ti/Alなどの金属層から構成される。第2コンタクト電極24bは、p型半導体層と接触するアノード電極である。第2コンタクト電極24bは、例えば、Rhなどの金属層から構成される。
【0016】
保護層26は、半導体層22、第1コンタクト電極24aおよび第2コンタクト電極24bを被覆する。保護層26は、酸化物や窒化物などの誘電体材料から構成され、例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミウム(Al2O3)、窒化シリコン(SiN)などから構成される。保護層26は、材料の異なる複数の保護層の積層体から構成されてもよい。
【0017】
第1パッド電極28aおよび第2パッド電極28bは、保護層26の上に設けられる。第1パッド電極28aは、第1コンタクト電極24aと電気的に接続するカソード電極である。第2パッド電極28bは、第2コンタクト電極24bと電気的に接続するアノード電極である。第1パッド電極28aおよび第2パッド電極28bは、Ni/Auなどの金属層から構成される。
【0018】
パッケージ基板14は、上面32と、下面34とを備える。パッケージ基板14は、上面32に設けられる凹部36を備える。パッケージ基板14は、凹部36の底面38に設けられる第1接合電極40aおよび第2接合電極40bを備える。パッケージ基板14は、下面34に設けられる第1実装電極42aおよび第2実装電極42bを備える。第1接合電極40aは、第1実装電極42aと電気的に接続される。第2接合電極40bは、第2実装電極42bと電気的に接続される。
【0019】
発光素子12は、パッケージ基板14の凹部36の内部に収容される。凹部36の深さdは、発光素子12の高さよりも大きい。発光素子12の高さは、例えば0.1mm以上1mm以下であり、例えば0.2mm以上0.8mm以下である。凹部36の深さdは、例えば0.2mm以上2mm以下であり、例えば0.3mm以上1mm以下である。
【0020】
発光素子12は、第1接合電極40aおよび第2接合電極40bにフリップチップ接合される。発光素子12は、第1接合部16aおよび第2接合部16bを介してパッケージ基板14に接合される。第1接合部16aは、第1パッド電極28aと第1接合電極40aの間に設けられ、第1パッド電極28aと第1接合電極40aを電気的に接続する。第2接合部16bは、第2パッド電極28bと第2接合電極40bの間に設けられ、第2パッド電極28bと第2接合電極40bを電気的に接続する。
【0021】
第1接合部16aおよび第2接合部16bは、例えば、スタッドバンプである。第1接合部16aおよび第2接合部16bは、例えば、Auなどの金属ワイヤの先端部を溶融させてボール状にしたものを第1接合電極40aおよび第2接合電極40bに押しつけることによりそれぞれ形成される。第1接合電極40aおよび第2接合電極40bに形成された第1接合部16aおよび第2接合部16bは、例えば、超音波接合によって第1パッド電極28aおよび第2パッド電極28bにそれぞれ接合される。
【0022】
発光素子12とパッケージ基板14の間には隙間30が存在する。隙間30は、発光素子12の保護層26とパッケージ基板14の底面38の間、第1パッド電極28aと第1接合電極40aの間、または第2パッド電極28bと第2接合電極40bの間に形成される。隙間30の高さは、パッケージ基板14から発光素子12までの距離に相当する。隙間30の高さは、第1接合部16aおよび第2接合部16bの高さと同じか、それよりも大きい。隙間30の高さは、例えば、0.01mm以上0.3mm以下であり、例えば、0.02mm以上0.15mm以下である。
【0023】
封止樹脂18は、発光素子12を収容する凹部36を充填するように設けられる。封止樹脂18は、発光素子12が発する紫外光に対して透光性を有する材料から構成される。封止樹脂18は、例えば、シリコーン樹脂やフッ素樹脂から構成される。封止樹脂18は、発光素子12とパッケージ基板14との間の隙間30にも設けられる。
【0024】
封止樹脂18は、パッケージ基板14の上面32から上方に突出するドーム形状を有し、凸レンズとして機能する。パッケージ基板14の上面32から封止樹脂18の頂部44までの高さhは、例えば0.1mm以上2mm以下であり、例えば0.2mm以上1mm以下である。パッケージ基板14の底面38から封止樹脂18の頂部44までの高さ(d+h)は、0.2mm以上3mm以下であり、例えば0.4mm以上1.8mm以下である。
【0025】
封止樹脂18は、ドーム形状を有さなくてもよく、封止樹脂18の頂部44が平坦面や凹面となるように形成されてもよい。封止樹脂18は、凹部36の内側のみに設けられてもよく、封止樹脂18の頂部44がパッケージ基板14の上面32よりも下側に位置してもよい。
【0026】
つづいて、発光装置10の製造方法について説明する。まず、パッケージ基板14に発光素子12をフリップチップ接合する。例えば、パッケージ基板14の第1接合電極40aおよび第2接合電極40bにスタッドバンプを形成し、スタッドバンプに第1パッド電極28aおよび第2パッド電極28bを超音波接合する。これにより、発光素子12とパッケージ基板14の間を接合する第1接合部16aおよび第2接合部16bが形成される。
【0027】
次に、発光素子12を封止するための液状樹脂を用意する。本実施形態では、封止樹脂18として液状熱硬化性樹脂を用いる。液状熱硬化性樹脂は、例えば、主剤と硬化剤を混合、撹拌および真空脱泡することにより調製される。撹拌および真空脱泡する工程は、液状熱硬化性樹脂の硬化が開始する温度よりも低い温度に樹脂温度が維持されることが好ましく、20℃以上40℃以下であることが好ましい。撹拌および真空脱泡する工程における樹脂温度は、25℃以上に維持されてもよく、36℃以下に維持されてもよい。
【0028】
液状熱硬化性樹脂の撹拌および真空脱泡は、例えば、自転公転方式の真空ミキサーを用いることができる。例えば、真空ミキサーの回転数を500rpm以上1500rpm以下に設定し、真空減圧値を0.1kPa以上1kPa以下に設定し、処理時間を1分以上10分以下に設定することができる。真空ミキサーの回転数や処理時間が大きすぎると、真空ミキサーの駆動モータの熱によって樹脂温度が40℃を超える可能性があるため、回転数や処理時間を抑制することが好ましい。
【0029】
図2は、真空ミキサーの回転数および処理時間と樹脂温度の関係性を示すグラフである。
図2は、真空ミキサーの回転数を500rpm、1000rpm、1500rpmおよび2000rpmに設定したときの真空ミキサー内の樹脂温度の計測値を示す。真空ミキサーとして、シンキー製のあわとり練太郎ARV-310を使用した。真空ミキサーでの処理開始前の樹脂温度は25℃である。回転数が500rpmの場合、真空ミキサーの動作時間に拘わらず、真空ミキサー内の樹脂温度は25℃程度に維持できることが分かる。回転数が1000rpm以上の場合、真空ミキサーの動作時間に応じて真空ミキサー内の樹脂温度が上昇することが分かる。回転数が1000rpmの場合、5分後に36℃に達し、10分後に40℃に達する。回転数が1500rpmの場合、1.5分後に36℃に達し、2分後に40℃に達する。回転数が2000rpmの場合、1分後に40℃に達する。したがって、回転数を1000rpmに設定する場合には処理時間を10分以下とする必要があり、処理時間を5分以下とすることが好ましい。回転数を1500rpmに設定する場合には処理時間を2分以下とする必要があり、処理時間を1.5分以下とすることが好ましい。
【0030】
液状熱硬化性樹脂の粘度は、25℃において0.1Pa・s以上100Pa・s以下である。封止樹脂18をドーム形状とする場合、液状熱硬化性樹脂の粘度は、25℃において1Pa・s以上50Pa・s以下であることが好ましい。このような粘度の液状硬化性樹脂を十分に脱泡するためには、回転数が1000rpmの場合、処理時間を2分以上とする必要があり、3分以上とすることが好ましい。また、回転数が1500rpmの場合、処理時間を1分以上とする必要があり、1.5分以上とすることが好ましい。回転数が500rpmの場合、処理時間を10分以上とする必要があり、20分以上とすることが好ましい。
【0031】
真空ミキサーを用いて液状熱硬化性樹脂を撹拌および真空脱泡した後、塗布用のシリンジに液状熱硬化性樹脂を充填する。塗布用のシリンジに液状熱硬化性樹脂を充填した後、シリンジ内の液状熱硬化性樹脂に対して追加の真空脱泡を行ってもよい。つまり、シリンジに充填する前に真空脱泡する第1工程に加えて、シリンジに充填した後に真空脱泡する第2工程を実行してもよい。第2工程は、第1工程と同じ真空ミキサーを用いて、第1工程と同様の条件で実行することができる。第2工程においても、樹脂温度が20℃以上40℃以下に維持されることが好ましい。第2工程における樹脂温度は、25℃以上に維持されてもよく、36℃以下に維持されてもよい。第1工程と第2工程に分けて真空脱泡することにより、第1工程のみで長時間の真空脱泡をする場合に比べて、樹脂温度の上昇を好適に抑制できる。
【0032】
その後、シリンジ内に充填された液状熱硬化性樹脂を発光素子12に塗布する。より具体的には、パッケージ基板14にフリップチップ接合された発光素子12に液状熱硬化性樹脂を塗布し、発光素子12を収容する凹部36を液状熱硬化性樹脂で充填する。発光素子12に塗布される液状熱硬化性樹脂は、発光素子12とパッケージ基板14の間の隙間30にも入り込み、隙間30が液状熱硬化性樹脂によって充填される。液状熱硬化性樹脂は、発光素子12を被覆するドーム形状を有するように塗布されてもよい。
【0033】
発光素子12に液状熱硬化性樹脂を塗布した後、液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、封止樹脂18を形成する。これにより、
図1に示す発光装置10ができあがる。
【0034】
図3は、実施の形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。まず、主剤と硬化剤を混合した液状熱硬化性樹脂を撹拌しながら真空脱泡する(ステップS10)。次に、真空脱泡された液状熱硬化性樹脂を塗布用シリンジに充填する(ステップS12)。つづいて、シリンジ内の液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する(ステップS14)。なお、S14の処理は省略されてもよい。つづいて、パッケージ基板14と、パッケージ基板14上にフリップチップ接合された発光素子12との間の隙間30を充填するようにシリンジ内の液状熱硬化性樹脂を塗布する(ステップS16)。最後に、塗布された液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる(ステップS18)。
【0035】
本実施形態によれば、発光素子12に塗布する前の樹脂を十分に真空脱泡することにより、封止樹脂18に気泡が混入することに起因する第1接合部16aまたは第2接合部16bの損傷を防止できる。樹脂に気泡が混入する場合、樹脂を硬化させる加熱工程において気泡が膨張する。発光素子12とパッケージ基板14の隙間30を充填する樹脂に気泡が混入する場合、膨張する気泡によって発光素子12とパッケージ基板14の隙間30が押し広げられ、第1接合部16aまたは第2接合部16bの剥離といった損傷が発生する可能性がある。
【0036】
発光素子12とパッケージ基板14の間の隙間30に充填された樹脂を脱泡させる方法として、樹脂を塗布した後に真空脱泡する方法が考えられる。しかしながら、フリップチップ接合された発光素子12とパッケージ基板14の間の隙間30に充填された樹脂を事後的に十分に脱泡させることは容易ではない。特に、封止樹脂18の厚みが大きい場合や封止樹脂18がドーム形状を有する場合には事後的な脱泡は極めて困難となる。事後的な脱泡が不十分である場合、第1接合部16aまたは第2接合部16bの損傷が発生しうる。例えば、塗布前の脱泡処理を行わずに塗布後に2回の真空脱泡処理を実行した場合の接合部の損傷率は4%程度であった。
【0037】
一方、本実施形態によれば、発光素子12に塗布する前の樹脂を真空脱泡することにより、樹脂を加熱硬化させる工程における第1接合部16aまたは第2接合部16bの損傷率をゼロにすることができた。したがって、本実施の形態によれば、発光装置10の製造歩留まりを向上できる。
【0038】
以上、本発明を実施形態にもとづいて説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0039】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0040】
本発明の第1の態様は、主剤に硬化剤を混合した液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する工程と、パッケージ基板と、前記パッケージ基板上にフリップチップ接合された発光素子との間の隙間を充填するように前記真空脱泡された液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、前記塗布された液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる工程と、を備える発光装置の製造方法である。第1の態様によれば、フリップチップ接合される発光素子を封止するための液状熱硬化性樹脂を真空脱泡してから発光素子に塗布することにより、樹脂に気泡が残存することを防ぐことができる。これにより、樹脂に含まれる気泡が加熱硬化工程で膨張してフリップチップ接合における接合部の損傷を防ぐことができ、発光装置の製造歩留まりを向上できる。
【0041】
本発明の第2の態様は、前記塗布された液状熱硬化性樹脂は、前記発光素子を被覆するドーム形状を有する、第1の態様に記載の製造方法である。第2の態様によれば、ドーム形状を有するために厚みのある封止樹脂とする場合であっても、樹脂に気泡が残存することを防ぐことができる。
【0042】
本発明の第3の態様は、前記塗布された液状熱硬化性樹脂の前記基板からの高さは、0.2mm以上3mm以下である、第1または第2の態様に記載の製造方法である。第3の態様によれば、厚みのある封止樹脂を用いる場合であっても、樹脂に気泡が残存することを防ぐことができる。
【0043】
本発明の第4の態様は、前記真空脱泡する工程は、前記液状熱硬化性樹脂の温度が20℃以上40℃以下となる条件下で実行される、第1から第3のいずれか一つの態様に記載の製造方法である。第4の態様によれば、樹脂の温度を20℃以上とすることにより、樹脂の温度が低すぎる場合に比べて樹脂の粘度を下げることができ、樹脂の十分な脱泡を促進できる。また、樹脂の温度を40℃以下とすることにより、脱泡工程において樹脂の熱硬化が開始してしまうことを防ぐことができる。
【0044】
本発明の第5の態様は、前記液状熱硬化性樹脂の粘度は、1Pa・s以上100Pa・s以下である、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の製造方法である。第5の態様によれば、樹脂の粘度を1Pa・s以上とすることにより、ドーム形状の封止樹脂の形成が容易となる。また、樹脂の粘度を100Pa・s以下とすることにより、樹脂の十分な脱泡を促進できる。
【0045】
本発明の第6の態様は、前記真空脱泡する工程は、前記主剤と前記硬化剤を混合撹拌しながら真空脱泡する第1工程と、前記第1工程後の前記液状熱硬化性樹脂を塗布用のシリンジに充填する工程と、前記シリンジ内の前記液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する第2工程と、を備え、前記塗布する工程は、前記第2工程後の前記シリンジ内の液状熱硬化性樹脂を用いる、第1から第5のいずれか一つの態様に記載の製造方法である。第6の態様によれば、真空脱泡する工程を第1工程と第2工程に分けることにより、樹脂の温度上昇を抑制しながら、樹脂の十分な脱泡を促進できる。
【符号の説明】
【0046】
10…発光装置、12…発光素子、14…パッケージ基板、16a…第1接合部、16b…第2接合部、18…封止樹脂、20…透明基板、22…半導体層、24a…第1コンタクト電極、24b…第2コンタクト電極、26…保護層、28a…第1パッド電極、28b…第2パッド電極、30…隙間、32…上面、34…下面、36…凹部、38…底面、40a…第1接合電極、40b…第2接合電極、42a…第1実装電極、42b…第2実装電極、44…頂部。
【要約】
【課題】発光素子の製造歩留まりを向上させる。
【解決手段】発光装置10の製造方法は、主剤に硬化剤を混合した液状熱硬化性樹脂を真空脱泡する工程と、パッケージ基板14と、パッケージ基板14上にフリップチップ接合された発光素子12との間の隙間30を充填するように真空脱泡された液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、塗布された液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる工程と、を備える。
【選択図】
図1