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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/163 20160101AFI20240604BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20240604BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20240604BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20240604BHJP
【FI】
A23K20/163
A23K20/158
A23K20/142
A23K50/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023538800
(86)(22)【出願日】2021-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021064254
(87)【国際公開番号】W WO2022140211
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/129,325
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、マシュー
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503034(JP,A)
【文献】特開2016-079118(JP,A)
【文献】特表2019-500047(JP,A)
【文献】特表2019-521646(JP,A)
【文献】特開2012-070724(JP,A)
【文献】特表2016-516405(JP,A)
【文献】特表2022-534665(JP,A)
【文献】特表2020-501503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0216586(US,A1)
【文献】特開2017-057146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 20/163
A23K 20/158
A23K 20/142
A23K 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%以上に等しい総量で存在する1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンであって、前記1-3,1-4ベータグルカンが、前記二つのベータグルカンの約83重量%以上である、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンと、
二つ以上の中鎖飽和脂肪酸と、
前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.5%以上の総量で存在する二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸であって、前記二つ以上の中鎖飽和脂肪酸が、これらの脂肪酸の少なくとも36重量%である、二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸と、
前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.5%以上の量で存在するベタインと、を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンが、前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.8%~約5%または約0.8%~約2%の量で存在する、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記1-3,1-4ベータグルカンが、前記二つのベータグルカンの83重量%~95重量%または約94重量%の量で存在する、請求項1または2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記二つ以上の中鎖飽和脂肪酸が、C8脂肪酸およびC10脂肪酸を含む、または前記二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項5】
前記二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および前記二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.5%~約7%または約0.5%の総量で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項6】
前記C8およびC10が、前記二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および前記二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の前記総量の約36重量%~約60重量%または約36重量%~約45重量%または約36重量%を構成する、請求項4または5に記載のペットフード組成物。
【請求項7】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.5%~約2%または約0.5%の量で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、少なくとも約1.25%または約1.25%~約5%または約1.25%の量で存在するリグニンをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項9】
植物成分をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項10】
前記植物成分が、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶を含む、請求項に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
前記クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶が、前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約1.2%以上の総量で存在する、請求項10に記載のペットフード組成物。
【請求項12】
ビートパルプをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項13】
前記ビートパルプが、前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約1%以上または約1%の量で存在する、請求項12に記載のペットフード組成物。
【請求項14】
コンパニオンアニマルの除脂肪対脂肪比を増加させる方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の前記ペットフード組成物の有効量を、それを必要とする前記コンパニオンアニマルに給餌することを含、方法。
【請求項15】
ペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%以上の総量で存在する一つ以上のベータグルカンと、
一つ以上の中鎖飽和脂肪酸と、
前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.5%以上の総量で存在する一つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸と、
前記ペットフード組成物の前記重量に基づいて、約0.5%以上の量で存在するベタインと、を含む、ペットフード組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/129,325号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
飼育動物の健康は、その給餌と密接に関係している。正しい給餌は、元気で健康なペットをもたらすはずである。正しい給餌を達成するために、動物にとって有益な効果をもたらす特定の成分およびそれら成分の濃度を利用することができる。
【0003】
こうした有益な効果には、体重減少、脂肪減少、除脂肪量の保持、および/または動物の除脂肪量対体重比の高い改善が含まれうる。
【0004】
したがって、過体重であることに苦しむ動物に有益な影響を与えうるペットフード組成物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、本開示の一つ以上の実施の一部の態様の簡略化された要約を単に紹介することを意図するものである。本開示が適用可能であるさらなる範囲は、本明細書で以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。本概要は広範な概説ではなく、本教示の鍵となる要素または重要な要素を特定することも意図しておらず、本開示の範囲を説明することも意図していない。むしろ、その目的は、以下の「発明を実施するための形態」の前置きとして、一つ以上の概念を簡略化された形式で提示することにすぎない。
【0006】
出願人は、ペットフード組成物内の特定の成分を利用することが、効果的な健康上の利益をもたらすことを発見した。一態様では、健康上の利益は、動物の体重を減少させることでありうる。別の態様では、健康上の利益は、動物の脂肪を減少させることでありうる。別の態様では、健康上の利益は、除脂肪量対体脂肪量比を増加させるなど、動物の除脂肪量対脂肪比を改善することでありうる。
【0007】
したがって、一態様では、本発明は、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.8%に等しい総量で存在する1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンであって、1-3,1-4ベータグルカンが、二つのベータグルカンの少なくとも83重量%である1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンと、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.5%の総量で存在する二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸であって、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸が、これらの脂肪酸の少なくとも36重量%である二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.5%の量で存在するベタインと、を含むペットフード組成物である。特定の実施形態では、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%~約5%の量で存在する。特定の実施形態では、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%~約2%の量で存在する。特定の実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのベータグルカンの83重量%~95重量%の量で存在する。特定の実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのベータグルカンの約94重量%の量で存在する。特定の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸は、C8脂肪酸およびC10脂肪酸を含む。特定の実施形態では、二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。特定の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約7%の総量で存在する。特定の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%の総量で存在する。特定の実施形態では、C8およびC10は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の約36重量%~約60重量%を構成する。特定の実施形態では、C8およびC10は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の約36重量%~約45重量%を構成する。特定の実施形態では、C8およびC10は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の約36重量%を構成する。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約2%の量で存在する。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%の量で存在する。
【0008】
特定の実施形態では、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも1.25%の量で存在するリグニンをさらに含む。特定の実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25%~5%の量で存在する。特定の実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25%の量で存在する。
【0009】
特定の実施形態では、ペットフード組成物は、さらに植物成分を含む。特定の実施形態では、植物成分は、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶を含む。特定の実施形態では、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.2%以上の総量で存在する。特定の実施形態では、組成物は、ビートパルプをさらに含む。特定の実施形態では、ビートパルプは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1%以上の量で存在する。特定の実施形態では、ビートパルプは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1%の量で存在する。
【0010】
さらなる実施形態では、本発明は、コンパニオン動物における脂肪に対する除脂肪対脂肪比を増加する方法を対象とし、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.8%に等しい量で存在する1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンであって、1-3,1-4ベータグルカンが二つのベータグルカンの少なくとも83重量%である1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3, 1-4ベータグルカンと、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.5%の総量で存在する二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸であって、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸が、これらの脂肪酸の少なくとも36重量%の量で存在する二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.5%の量で存在するベタインと、を含む有効量のペットフード組成物を給餌することを含む。特定の実施形態では、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%~約5%の量で存在する。特定の実施形態では、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%~約2%の量で存在する。特定の実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのベータグルカンの83重量%~95重量%である。特定の実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのベータグルカンの94重量%である。特定の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸は、C8脂肪酸およびC10脂肪酸を含む。特定の実施形態では、二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。特定の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約7%の総量で存在する。特定の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%の総量で存在する。特定の実施形態では、C8およびC10は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の約36重量%~約60重量%を構成する。特定の実施形態では、C8およびC10は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の約36重量%~約45重量%を構成する。特定の実施形態では、C8およびC10は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸の約36重量%を構成する。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約2%の量で存在する。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%の量で存在する。
【0011】
さらなる実施形態では、方法は、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも1.25%の量で存在するリグニンをさらに含むペットフード組成物を利用する。特定の実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25%~5%の量で存在する。特定の実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25%の量で存在する。特定の実施形態では、ペットフード組成物は、さらに植物成分を含む。特定の実施形態では、植物成分は、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶を含む。特定の実施形態では、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.2%以上の総量で存在する。特定の実施形態では、ペットフード組成物は、ビートパルプをさらに含む。特定の実施形態では、ビートパルプは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1%以上の量で存在する。特定の実施形態では、ビートパルプは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1%の量で存在する。
【0012】
特定の実施形態では、コンパニオンアニマルは、イヌである。特定の実施形態では、コンパニオンアニマルは、ネコである。
【0013】
本発明が適用可能であるさらなる範囲は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。発明を実施するための形態および特定の実施例は、本発明の典型的な実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読む時によりよく理解されるであろう。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の厳密な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0015】
図1図1は、体重維持期間および体重減少期間における、体重および炎症に対するモデル化された効果を示すグラフを示す。
【0016】
図2図2は、体重維持および体重減少期間の間の重量の変化を示すグラフと、定量化された結果を表す表の両方を示す。
【0017】
図3図3は、体重維持および体重減少期間の間の脂肪の変化を示すグラフと、定量化された結果を表す表の両方を示す。
【0018】
図4図4は、体重維持および体重減少期間の間の除脂肪量の変化を示す表を示す。
【0019】
図5図5は、体重維持および体重減少期間の間の除脂肪対脂肪比の変化を示すグラフを示す。
【0020】
図6図6A~6Cは、炎症促進性脂質バイオマーカーに対する試験食組成物の効果を示し、
【0021】
図7図7は、炎症性サイトカインIL-13、Fas-L、およびIL-2に対する試験食への効果を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示の目的のために、本発明の原理は、その様々な例示的な実施形態を参照することによって記述されている。本発明の特定の実施形態が本明細書に具体的に記述されているものの、当業者であれば、同じ原理が等しく適用可能であり、他の用途および方法に採用されることができることを容易に認識するであろう。本発明が、その用途において、示された任意の特定の実施形態の詳細に限定されないことが理解される。本明細書で使用される用語は、記述の目的のためのものであり、本発明、その用途、または使用を限定しない。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって別途規定されない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種だけでなく、それらの化学種の混合物も指す。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」および「少なくとも一つの」という用語は本明細書において、互換的に使用されてもよい。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」および「有する(having)」という用語は、互換的に使用されてもよい。「含む(include)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0024】
全体を通して使用されている「範囲」は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。
【0025】
別段の特定のない限り、本明細書において、および本明細書のどこか他の箇所で表現される割合および量はすべて、全組成物の重量割合を指すものと理解されるべきである。「重量%」で存在する分子、または複数の分子への言及は、組成物の総重量に基づいて、組成物中に存在するその分子、または複数の分子の量を指す。
【0026】
本出願によると、数値に伴う「約」という用語の使用は、その数字の+/-5%であってもよい値を指す。本明細書で使用される場合、用語「実質的に無い(substantially free)」は、組成物の約5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.25重量%未満の量を意味することを意図する。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに有効な量を指し、対象に投与される時、所望の結果に向けた効果を達成するのに十分である組成物の量を含む。有効量は、組成物、疾患、およびその重症度、および治療される対象の年齢、体重などに応じて変化しうる。有効量は、一定範囲の量を含みうる。当技術分野で理解されるように、有効量は、一回以上の用量であってもよく、すなわち、所望の評価項目を達成するために、一回または複数回の用量が必要となる場合がある。
【0028】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用または参照されるすべての特許、特許出願、刊行物、その他の参考文献は、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0029】
本開示は、ペットフード組成物、およびこうしたペットフード組成物を家庭用ペットの治療のために使用する方法を対象とする。特定の実施形態では、ペットはイヌである。他の実施形態では、イヌは過体重で苦しんでいる。他の実施形態では、イヌは肥満である。二重エネルギー吸収測定法(DEXA)スキャンを使用して30%超の脂肪率を有するイヌは、場合により、肥満として特定されうる。
【0030】
本発明者らは、驚くべきことに、そして予想外に、動物に、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8重量%以上の量で存在するベータグルカン、好ましくは、ベータ1,3リンクを有するベータグルカン(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)と、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上の総量で存在する二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸と、を含むペットフード食を提供することが、動物に強化された健康上の利益をもたらすことを発見した。ベータグルカン、中鎖飽和脂肪酸、およびオメガ3脂肪酸の特定の割合および比が、ペットに対する特定の利益をさらに強化しうることがさらに発見された。例えば、ペットフード組成物は、1-3,1-4ベータグルカンが、二つのベータグルカンの総量の少なくとも83%重量であり、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸が、これらの脂肪酸の少なくとも36%重量であるように製剤化されてもよく、および/またはペットフード組成物は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%以上の量で存在するベタインを含む。こうした健康上の利益の向上は、多数の態様によって例示されうる。第一の態様では、健康上の利益は、動物の体重を減少させることでありうる。別の態様では、健康上の利益は、動物の脂肪を減少させることでありうる。別の態様では、健康上の利益は、動物の除脂肪量を保つことでありうる。別の態様では、健康上の利益は、動物の除脂肪量対脂肪比を改善することでありうる。
【0031】
一態様では、本開示は、ベータグルカンを含むペットフード組成物を提供する。ベータグルカンは、ベータ1,3リンク(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)を含むことが好ましい。例えば、一実施形態では、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8重量%以上の量で存在する1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンであって、1-3,1-4ベータグルカンが、二つのベータグルカンの少なくとも83重量%である1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンと、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上の総量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAであって、C8およびC10が、これらの脂肪酸の少なくとも36重量%であるC8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAと、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%以上の量で存在するベタインと、を含みうる。
【0032】
一つ以上のベータグルカン(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)は、様々な量または濃度で存在しうる。一つの実施形態では、一つ以上のベータグルカン(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8%~約5%の量で存在しうる。例えば、一つ以上のベータグルカン(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)は、約0.8重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.2重量%、約約2.4重量%、約2.6重量%、約2.8重量%、約3.0重量%、約3.2重量%、約3.4重量%、約3.6重量%、約3.8重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%、または約5.0重量%、またはこれらから形成される任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンなどの一つ以上のベータグルカンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6重量%、約0.5重量%~約5.0重量%、約0.8重量%~約5.0重量%、または約0.8重量%~約2.0重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、一つ以上のグルカン(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上、約0.8重量%以上、約1.0重量%以上、または約0.5重量%以上から最大約6.0重量%の量で存在する。別の実施例では、一つ以上のグルカン(例えば、1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカン)は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約5重量%、約0.8重量%~約5重量%、約0.8重量%~約4重量%、または約0.8重量%~約3重量%の量で存在しうる。
【0033】
総1-3,1-6ベータグルカンおよび1-3,1-4ベータグルカンの量または濃度に対する1-3,1-4ベータグルカンの量または濃度は、変化しうる。一実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのベータグルカンの約83重量%~約95重量%の量で存在しうる。例えば、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのグルカンの重量の約83重量%、約85重量%、約87重量%、約90重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、またはそれらから形成される任意の範囲の量で存在しうる。他の実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのグルカンの重量の約83重量%~約95重量%、または約83重量%~約92重量%、または約83重量%~約90重量%、または約83重量%~約88重量%、または約83重量%~約85重量%の量で存在しうる。特定の実施形態では、1-3,1-4ベータグルカンは、二つのベータグルカンの約94重量%で存在する。
【0034】
中鎖飽和脂肪酸は、典型的には、三つの飽和脂肪酸基に連結されたグリセロール分子エステルを含み、好ましくは、各脂肪酸基は、6~12個の炭素の炭素鎖を有する。飽和脂肪酸基のうちの一つ以上は、6~11個の炭素、6~10個の炭素、6~9個の炭素、6~8個の炭素、7~12個の炭素、7~11個の炭素、7~10個の炭素、7~9個の炭素、7または8個の炭素、8~12個の炭素、8~11個の炭素、8~10個の炭素、または8または9個の炭素の炭素鎖を含みうる。中鎖飽和脂肪酸の三つの脂肪酸基は同一であってもよいが、一部の実施形態では、脂肪酸基のうちの一つ以上は、別の脂肪酸基とは異なる。ペットフード組成物で使用される中鎖飽和脂肪酸は、様々な供給源から取得されてもよい。ペットフード組成物は、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、またはそれらの二つ以上の組み合わせから選択される一つ以上の中脂肪酸を含みうる。一部の場合では、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、またはそれら二つ以上の組み合わせから選択される二つ以上の中脂肪酸が、ペットフード組成物に存在する。
【0035】
オメガ3多価不飽和脂肪酸は、典型的には、多価不飽和脂肪族カルボン酸の群のメンバーを含む。一般に、オメガ3脂肪酸は、メチレン中断二重結合を有する12~26個の炭素原子を含有し、メチレン中断二重結合うちの一つは、脂肪酸分子のメチル末端から数えて3番目と4番目の炭素原子の間である。オメガ3脂肪酸は、16~24個の炭素、17~24個の炭素、18~24個の炭素、19~24個の炭素、20~24個の炭素、16~23個の炭素、17~23個の炭素、18~23個の炭素、19~23個の炭素、20~23個の炭素、16~22個の炭素、17~22個の炭素、18~22個の炭素、19~22個の炭素、または20~22個の炭素の一つの脂肪族末端を有してもよい。好ましくは、ペットフード組成物は、18~22個の炭素の少なくとも一つの脂肪族末端を有するオメガ3脂肪酸を含む。オメガ3脂肪酸は、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせ含んでもよい。一部の実施例では、ペットフード組成物は、EPA、DHA、アルファ-リノレン酸(ALA)、およびそれらの誘導体から選択されるオメガ3脂肪酸を含む。特定の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、トリグリセリドの構成成分としてペットフード組成物中に含まれうる。誘導体の追加的な非限定的な例には、オメガ3脂肪酸の分岐または非分枝状および/あるいは飽和または不飽和C-C30アルキルおよびシクロアルキルエステルなどの、塩およびエステルが含まれる。
【0036】
ペットフード組成物は、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸を含む。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAが含まれる。8個の炭素原子を有する脂肪酸は、本明細書では「C8脂肪酸」または「C8」と称されうる。10個の炭素原子を有する脂肪酸は、本明細書では「C10脂肪酸」または「C10」と称されうる。
【0037】
飽和C8脂肪酸の非限定的な例は、カプリル酸である。ペットフード組成物は、一つ以上のC8脂肪酸を含んでもよい。C8脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、C8は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6.5重量%の量で存在しうる。例えば、C8は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、またはこれらから形成される任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、C8は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6重量%、約0.8重量%~約5.5重量%、約1.0重量%~約5.0重量%、または約1.5重量%~約4重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、C8は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.3重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、C8は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~6重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、または約1重量%~約2重量%の量で存在する。
【0038】
C10脂肪酸の非限定的な例は、カプリン酸である。特定の実施形態では、ペットフード組成物は、一つ以上のC10脂肪酸を含みうる。C10脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、C10は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6.5重量%の量で存在しうる。例えば、C10は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、またはこれらから形成される任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、C10は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6重量%、約0.8重量%~約5.0重量%、約1.0重量%~約4.0重量%、または約1.0重量%~約3重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、C10は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.3重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、C10は、ペットフード組成物の重量に基づいて、0.5重量%~6重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、または約1重量%~約2重量%の量で存在する。
【0039】
ペットフード組成物は、一つ以上のオメガ3脂肪酸、好ましくは、二つ以上のオメガ3脂肪酸を、ペットフード組成物の重量に基づいて、典型的には約0.5%以上の量を含んでもよい。例えばオメガ3脂肪酸は、ペットフード化合物中に、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%、約0.5重量%~約9重量%、約0.5重量%~約8重量%、約0.5重量%~約7重量%、約0.5重量%~約6重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4重量%、約0.5重量%~約3重量%、約0.5重量%~約2重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約9重量%、約1重量%~約8重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約6重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約1~約2重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約9重量%、約2重量%~約8重量%、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約2重量%~約3重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約9重量%、約3重量%~約8重量%、約3重量%~約7重量%、約3重量%~約6重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約4重量%、約4重量%~約10重量%、約4重量%~約9重量%、約4重量%~約8重量%、約4重量%~約7重量%、約4重量%~約6重量%、または約4重量%~約5重量%の量で存在しうる。
【0040】
オメガ3脂肪酸は、16~24個の炭素、17~24個の炭素、18~24個の炭素、19~24個の炭素、20~24個の炭素、16~23個の炭素、17~23個の炭素、18~23個の炭素、19~23個の炭素、20~23個の炭素、16~22個の炭素、17~22個の炭素、18~22個の炭素、19~22個の炭素、または20~22個の炭素の一つの脂肪族末端を有してもよい。好ましくは、ペットフード組成物は、18~22個の炭素の少なくとも一つの脂肪族末端を有するオメガ3脂肪酸を含む。オメガ3脂肪酸は、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせ含んでもよい。
【0041】
オメガ3脂肪酸は、少なくとも一つのオメガ3 C18脂肪酸を含みうる。オメガ3 C18脂肪酸の一例は、アルファリノレン酸(ALA)である。ペットフード組成物は、一つ以上のオメガ3 C18脂肪酸を含んでもよい。オメガ3 C18脂肪酸は、アルファリノレン酸、ステアリドン酸、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。オメガ3 C18脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。エイコサペンタエン酸(EPA)は、オメガ3脂肪酸である。それは、サバ、ニシン、マグロ、オヒョウ、サケ、タラ肝、クジラの皮下脂肪、またはアザラシの皮下脂肪を含む、冷水魚の肉中に見出される。ドコサヘキサエン酸(DHA)は、オメガ3脂肪酸である。それは、サバ、ニシン、マグロ、オヒョウ、サケ、タラ肝、クジラの皮下脂肪、およびアザラシの皮下脂肪を含む、冷水魚の肉中に見出される。それはまた、藻によって生成されてもよい。
【0042】
二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも0.5重量%の総量で存在しうる。例えば、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%、約0.7重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.5重量%、約1.8重量%、約2重量%、約2.3重量%、約2.5重量%、約2.8重量%、約3.0重量%、約3.5重量%の量で存在してもよい。他の実施形態では、二つ以上の中鎖飽和脂肪酸および二つ以上のオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約8.0重量%、約0.5重量%~約7.0重量%、約0.5重量%~約5.0重量%、約0.5重量%~約3.0重量%、または約0.5重量%~約1.0重量%の総量で存在しうる。
【0043】
総C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAの量または濃度に対するC8およびC10の量または濃度は、変化しうる。一つの実施形態では、C8およびC10は、総C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAの量または濃度の、少なくとも約36重量%の量で存在しうる。例えば、C8およびC10は、C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAの量または濃度の総量の約36重量%、約38重量%、約40重量%、約42重量%、約44重量%、約46重量%、約50重量%、または約60重量%の量で存在しうる。他の実施形態では、C8およびC10は、C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAの量または濃度の総量の、36重量%~約85重量%、約36重量%~約75重量%、約36重量%~約65重量%、約36重量%~約55重量%、約36重量%~約45重量%の量で存在しうる。他の実施形態では、C8およびC10は、総C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAの量または濃度の、36重量%~約60重量%、約36重量%~約70重量%、約36重量%~約60重量%、約36重量%~約50重量%、約36重量%~約45重量%の量で存在しうる。他の実施形態では、C8およびC10は、総C8脂肪酸、C10脂肪酸、EPAおよびDHAの量または濃度の、約36重量%の量で存在しうる。
【0044】
ベタインは、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.5%の量で存在しうる。例えば、ベタインは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約0.7重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.2重量%、約2.4重量%、約2.6重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、またはこれらから形成される任意の範囲の量で存在しうる。別の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約7.0重量%、0.5重量%~約6.5重量%、0.5重量%~約6.0重量%、0.5重量%~約5.0重量%、0.5重量%~約4.0重量%、または0.5重量%~約3.0重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.3重量%以上、約0.5重量%以上、約0.8重量%以上、または約1重量%以上から最大約5重量%以上の量で存在する。さらなる実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、0.5重量%~4重量%、約0.5重量%~約3重量%、約0.5重量%~約2重量%、約0.5重量%~約1重量%の量で存在する。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%の量で存在する。
【0045】
ペットフード組成物は、リグニンを含んでもよい。リグニンは、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約1.25重量%の量で存在しうる。例えば、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.3重量%、またはこれらから形成される範囲の量で存在しうる。別の実施例では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25重量%~約6重量%、約1.25重量%~約5.5重量%、約1.25重量%~約5.0重量%、または約1.25重量%~約4重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.3重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、リグニンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、1.25重量%~6重量%、約1.25重量%~約5重量%、約1.25重量%~約4重量%、約1.25重量%~約3重量%の量で存在する。特定の実施形態では、リグニンはペットフード組成物の重量に基づいて、約1.25重量%の量で存在する。
【0046】
ペットフード組成物は、一つ以上の植物成分を含んでもよい。植物成分は、様々な量または濃度で存在しうる。本明細書で使用される場合、「植物成分」という用語は、健康利益を提供、および/または疾患を治療/予防できる植物またはハーブ源から抽出または派生した食品または栄養補助食品を指す。一部の例示的植物成分としては、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、クルクミン、緑茶、ザクロ、カモミール、ローズマリー、アロエ、イラクサ、ツボクサ、イチョウ、カバノキ、マンサク、ぶどう皮エキス、ぶどう種子エキス、グレープフルーツエキス、グレープフルーツ種子エキス、ビルベリーエキス、ブルーベリーエキス、ダイズイソフラボン、ブラックコホッシュ、セイヨウオトギリソウ、エキナセア、およびカモミールなどの構成成分が挙げられうるがこれらに限定されない。植物成分は、アサイー、アロエベラ、オタネニンジン、ゲンゲ、ビルベリー、ダイダイ、ブラックコホッシュ、バターバリー(butterbury)、キャッツクロー、カモミール、チェストベリー、シナモン、クランベリー、タンポポ(candelion)、エキナセア、マオウ、セイヨウニワトコ、ヤドリギ、マツヨイグサ油、フェヌグリーク、ナツシロギク、アマニおよびアマニ油、ニンニク、ショウガ、イチョウ、ヒドラスチス、グレープシードエキス、緑茶、サンザシ、フーディア、セイヨウトチノキ、カヴァ、ラベンダー、カンゾウ根、オオアザミ、ノニ、トケイソウ、ペパーミント油、ムラサキツメクサ、セージ、ノコギリヤシ、ダイズ、セイヨウオトギリソウ、ティーツリー油、ライコウトウ、ウコン、バレリアン、およびヨヒンベ、ならびにnlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/herb_All.htmlにリストされるその他の発生源などであるがこれらに限定されない発生源から抽出または派生されてもよい。特定の好ましい実施形態では、ペットフード組成物は、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロおよび緑茶を含む。他の実施形態では、ペットフード組成物は、クランベリーの絞りかす、ショウガの根、ザクロ、緑茶およびビートパルプを含む。
【0047】
一実施形態では、一つ以上の植物成分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、少なくとも約1.2重量%の量で存在しうる。例えば、植物成分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.2重量%、約1.5重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、またはこれらの間の範囲の量で存在しうる。別の実施形態では、植物成分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、1.2重量%~約6.0重量%、1.2重量%~約5.5重量%、1.2重量%~約5.0重量%、1.2重量%~約4.5重量%、または1.2重量%~約4.0重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、植物成分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.2重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.5重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、植物成分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、1.2重量%~6重量%、約1.2重量%~約5重量%、約1.2重量%~約4重量%、約1.2重量%~約3重量%の量で存在する。特定の実施形態では、植物成分はペットフード組成物の重量に基づいて、約1.2重量%の量で存在する。
【0048】
一つ以上の植物成分は、エルバアンドログラフス(Herba Andrographis)、大きなBulbus Allii、Radix Et Caulis Acanthopanacis Senticosi(Siberian ginseng)、グアイヤコール成分(ケイヒ油(ケイヒ)由来)、Flos Caryophylli(クローブツリー、Flos Caryophylli、第四の香水(またはスパイス))、またはケイヒ(ケイヒ、Cinnamomum zeylanicum Bl.、Cortex Cinnamomi Bejolgotae、Radix Cinnamomi porrecti、ベイビン(bavin)オスマンサス、曇った香り))、ボリジ種子油(ボリジ)、アキノタムラソウThunb.(アキノタムラソウ Thunb.の薬、lavandula angustifolia、アキノタムラソウ Thunb.の葉、Salvia hispanolum)、ゲンゲ属(Radix Astragali)、ユーパトリウム ペルフォリアタム(eupatorium perfoliatum)、カモミール(Flos Matricariae chamomillae、Chamaemelum nobile (L.) A L L)、ノムシタケ属、エキナセア(Echinacea Angustifolia, Echinacea, Echinacea)、ラムルスサンブチウイリアムシ(Ramlus Sambuci Williamsii)(Sambucus nigra L.)、トウダイグサ属、ニンジン(Radix Panacis Quinquefolii、アジアニンジン、中国ニンジン、ニンジン、オタネニンジン属は、中国ニンジンとRadix Panacis Quinquefoliiを含むニンジン)、ホワイトヘアー(white hair)(カナダイエロールート(canada yellow-root))、ハーバ・チェリドニイ(Herba Chelidonii)(山オウレン)、Wasabia japonic(ワサビ)(Radix Cochleariae officinalis、West Wasabia japonic(ワサビ)、Fructus actinidiae chinensis(緑色果実のFructus actinidiae chinensis、Fructus actinidiae chinensis)、ダンスマッシュルーム(dance mushroom)(Grifola frondosa)、桑寄生(Visvum album L.)、Herba Erodii(ヘルバエロディ)(Flos Pelargonii)、Mentha arvensis L. syn.M.haplocalyxBrig/Oleum menthae(Mentha arvensis L. syn.M.haplocalyxBrig)、プロポリス、レッドエルム(レッドエルム、粗分岐エルム)、ペパリー(葉酸のRadix rumicis acetosae、ヒメスイバ)、Herba thymi vulgaris/Thymi Serpylli Herbaの抽出物(Herba thimi vulgaris)、インディゴ草(インディゴの花に合う)、クェルセチン(フラボノール)、およびそれらの二つ以上の組合せから選択されてもよい。追加的または代替的に、ペットフード組成物は、リゾマジンギベリレセンスセクション(Rhizoma Zingiberis Recens section)(ショウガ科)、甘草、Althaea rosa (L.) Cavin. (Althaea officinalis L., Radix althae roseae)、カモミール(Flos Matricariae chamomillae, Chamaemelum nobile (L.) A L L)、ウイキョウ油、Foeniculum vulgare(Fructus Foeniculi)、キャラウェイ油、Fructus cari carvi種子(キャラウェイ種子、Fructus cari carvi、キャラウェイ油)、Fructus Citri Limoniaeフェイスクリーム(Herba Melissae officinalisの葉、Herba melissae axillaris)、Ou Xiazhi Riziおよびradix valerianae(Murrubii herba)、Semen Lini α-linoleic acid (Semen Lini)、およびそれらの二つ以上の組合せから選択される一つ以上の植物成分を含んでもよい。
【0049】
本発明の組成物は、任意選択的に、ペットフード組成物での使用に適した追加の成分を含んでもよい。こうした成分の例としては、タンパク質、脂肪、炭水化物、食物繊維、アミノ酸、ミネラル、微量元素、ビタミン、添加物が挙げられるがこれに限定されない。
【0050】
ペットフード組成物は、タンパク質および/または可消化粗タンパク質を含んでもよい。「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリペプチド、またはペプチド、またはポリマーを意味する。この用語は、自然発生的および非自然発生(合成)ポリマーと、人工化学模倣品が一つ以上のアミノ酸に対して置換されているポリマーとを包含する。この用語はまた、同じまたは実質的に同じ特性を有し、かつ元の配列と同じまたは実質的に同じ機能を実施する断片、バリアント、相同体を包含する。この用語は、約2~1000、4~800、6~600、8~400のアミノ酸を含有するポリマーを含む、任意の長さのポリマーを包含する。この用語は、合成された、ならびに天然源から単離および精製されたアミノ酸ポリマーを含む。一部の実施形態において、「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」という用語は互換的に使用される。
【0051】
組成物のタンパク質および/または可消化粗タンパク質は、様々な量または濃度で存在する場合がある。一実施形態では、タンパク質は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約20重量%~約45重量%の量で存在しうる。例えば、タンパク質は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、または約45重量、またはそれらの範囲の量で存在しうる。別の実施例では、タンパク質は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約25重量%~約40重量%、約30重量%~約40重量%、または約30重量%~約35重量%の量で存在しうる。特定の実施形態では、タンパク質は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約20重量%~約35重量%、約25重量%~約35重量%、または約28重量%~約35重量%の量で存在する。
【0052】
「可消化粗タンパク質」は、胃の酵素で消化した後、利用可能な、または遊離窒素(アミノ酸)へと変換することができるタンパク質の部分である。可消化粗タンパク質のインビトロ測定は、ペプシンなどの胃の酵素を使用することと、試料を消化することと、消化後に遊離アミノ酸を測定することと、によって達成されうる。可消化粗タンパク質のインビボ測定は、飼料/フード試料中のタンパク質レベルを測定することと、試料を動物に給餌することと、動物の糞便中で収集される窒素の量を測定することと、によって達成されうる。
【0053】
ペットフード組成物中のタンパク質の一部分は、可消化タンパク質であってもよい。例えば、組成物は、タンパク質の約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、または約99重量%以上が可消化タンパク質である、タンパク質の量を含んでもよい。一部の実施形態では、例えば望ましい組成物が体重減少を促進する時、可消化タンパク質であるタンパク質の一部分は、組成物中のタンパク質の総量に基づいて、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、または約10重量%以下である。さらなる実施形態では、可消化タンパク質であるタンパク質の量は、組成物中のタンパク質の総量に基づいて、約10~約99重量%、約10~約95重量%、約10~約90重量%、約10~約70重量%、約10~約50重量%、約10~約30重量%、約30~約99重量%、約30~約95重量%、約30~約90重量%、約30~約70重量%、約30~約50重量%、約50~約99重量%、約50~約95重量%、約50~約90重量%、約50~約70重量%、または約70~約99重量%、約70~約95重量%、約70~約90重量%であり、その中の範囲および部分範囲を含む。
【0054】
必須アミノ酸を含むアミノ酸は、遊離アミノ酸として本開示の組成物に添加されることができ、または任意の数の成分源(例えば粗タンパク質)によって本開示の組成物に供給されることができる。必須アミノ酸は、新規に合成できない、または生命体により不十分な量しか合成できないアミノ酸であり、それ故に食事内に供給されなければならない。必須アミノ酸は、生命体の代謝に依存して、種ごとに異なる。例えば、イヌおよびネコ(ならびにヒト)の必須アミノ酸はフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンであることが一般的に理解されている。加えて、タウリンは、専門的にはアミノ酸ではないがシステインの誘導体であり、ネコにとっての必須栄養素である。
【0055】
本組成物の全食物繊維は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、全食物繊維はペットフード組成物の重量に基づいて、約20重量%未満の量で存在しうる。特定の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約10重量%~約20重量%の量で存在する。例えば、全食物繊維は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、約15.5重量%、約16.0重量%、約16.5重量%、約17.0重量%、約17.5重量%、約18.0重量%、約18.5重量%、約19.0重量%、約19.5重量%、約20.0重量%、またはその間の範囲の量で存在してもよい。別の実施例において、全食物繊維はペットフード組成物の重量に基づいて、約10重量%~約18重量%、約12重量%~約18重量%、または約15重量%~約18重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約15重量%~約20重量%、約16重量%~約19重量%、または約16重量%~約18重量%の量で存在する。
【0056】
炭水化物は、オート麦繊維、セルロース、落花生殻、ビートパルプ、パーボイルド米、コーンスターチ、コーングルテンミール、およびこれら原料源の任意の組み合わせを含む、当業者に知られている任意の様々な原料源から供給されることができる。炭水化物を供給する穀物としては、小麦、トウモロコシ、大麦、および米を挙げることができるが、これらに限定されない。フードの炭水化物含有量は、当業者に知られている任意の数の方法によって決定されることができる。一般的に、炭水化物の割合は、可溶無窒素物(「NFE」)として計算されることができ、これは以下のように計算されることができる。NFE=100%-水分%-タンパク質%-脂肪%-灰分%-粗繊維%。組成物中に存在する炭水化物の量(例えば、NFEとして計算される)は、乾燥物質基準でのペットフード組成物の総重量に基づいて、約10~約90重量%、約10~約70重量%、約10~約50重量%、約10~約40重量%、約10~約30重量%、約10~約20重量%、約20~約90重量%、約20~約70重量%、約20~約50重量%、約20~約40重量%、約30~約90重量%、約30~約70重量%、約30~約50重量%、約30~約40重量%、約50~約90重量%、約50~約70重量%、または約70~約90重量%であってもよい。
【0057】
食物繊維とは、動物の消化酵素による消化に耐性を有する植物の構成成分を指す。食物繊維としては、可溶性繊維および不溶性繊維が挙げられる。可溶性繊維は、小腸での消化および吸収に対して耐性があり、かつ大腸で完全にまたは部分的に発酵されるものであり、例えばビートパルプ、グアーガム、チコリー根、サイリウム、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、オート麦、マメ類、柑橘類、大麦、フラクトオリゴ糖(FOS)またはエンドウである。不溶性繊維は、例えばセルロース、全粒小麦製品、小麦オート麦(wheat oat)、コーンブラン、亜麻仁、ブドウ、セロリ、サヤインゲン、カリフラワー、ジャガイモの皮、果物の皮、野菜の皮、落花生殻、ライ麦の実、サツマイモおよび大豆繊維を含む、任意の様々な原料源から供給されることができる。粗繊維としては、例えば米、トウモロコシ、およびマメなどの穀物の殻である、穀物などの植物の細胞壁および細胞含有物に含有される消化されにくい成分が挙げられる。本開示の組成物中の典型的な繊維量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0~20重量%、または約10重量%~約20重量%とすることができる。特定の実施形態では、全食物繊維はペットフード組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約20重量%の量で存在する。例えば、全食物繊維は、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、約15.5重量%、約16.0重量%、約16.5重量%、約17.0重量%、約17.5重量%、約18.0重量%、約18.5重量%、約19.0重量%、約19.5重量%、または約20.0重量%の量で存在してもよい。別の実施例において、全食物繊維はペットフード組成物の総重量に基づいて、約10%~約18%、約12%~約18%、または約15%~約18%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、全食物繊維は、乾燥物質基準でのペットフード組成物の総重量に基づいて、約15%~約20重量%、約16重量%~約19重量%、または約16重量%~約18重量%の量で存在する。
【0058】
一実施形態では、ペットフード組成物は、一つ以上の植物成分およびビートパルプを含む。一部の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、植物成分は、約1.2重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.5重量%の量で存在し、およびビートパルプは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.8以上、約1.0重量%以上、または約1.3重量%以上から最大約5重量%の量で存在する。特定の実施形態では、植物成分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.2重量%の量で存在し、ビートパルプは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1.0重量%の量で存在する。
【0059】
本発明の組成物は任意選択的に、脂肪を含んでもよい。「脂肪」という用語は一般的に、通常の室温(例えば、25℃)および圧力(例えば、1気圧)にて概して固体または液体であってもよい脂質または脂質の混合物を指す。一部の場合において、脂肪は、標準室温および標準圧力にて粘性液体または非結晶性固体であってもよい。脂肪は、肉、食肉副産物、キャノーラ油、魚油、および植物を含む、当業者に知られている様々な原料源のいずれかによって供給されることができる。植物性脂肪源としては、小麦、亜麻仁、ライ麦、大麦、米、ソルガム、トウモロコシ、オート麦、粟、小麦胚芽、トウモロコシ胚芽、大豆、落花生、綿実だけでなく、これらおよび他の植物性脂肪源に由来する油が挙げられる。本開示の組成物はペットフード組成物の総重量に基づいて、少なくとも約9重量%(または約9重量%~約25重量%、または約10重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%)の総脂肪を含有してもよい。一部の場合において、組成物中の脂肪は粗脂肪である。粗脂肪は、乾燥物質基準での組成物の総重量に基づいて、約10~約20重量%、約10~約18重量%、約10~約16重量%、約12~約20重量%、約12~約18重量%、または約12~約16重量%の量で組成物の中に含まれてもよい。一部の場合において、総脂肪の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が動物源から得られることが好ましい場合がある。代替的に、総脂肪の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が植物源から得られてもよい。
【0060】
本開示の組成物はまた、例えば塩化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、もしくは酸化物などの対イオンを有する、一つ以上のミネラルおよび/または微量元素(例えば、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、セレン、もしくは鉄塩類)を、欠乏を回避し、かつ健康を維持するために必要とされる量で含有してもよい。これらの量は、例えばthe Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials, Inc. (“AAFCO”) 2020、またはthe National Research Council, 2006, Nutrient requirements of dogs and cats, National Academies Pressで提供されている通り、当業者に知られている。典型的なミネラルの量は、約0.1%~約4%、または約1%~約2%である。
【0061】
本発明の組成物はまた、欠乏を回避し、かつ健康を維持するために必要とされる量でビタミンを含むことができる。これらの量および測定方法は当業者に知られている。例えば、Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.(“AAFCO”),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2020は、イヌおよびネコにとってのこうした成分の推奨される量を提供している。本明細書で企図される通り、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、コリン、イノシトール、ナイアシン、パントテン酸が挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の組成物中の典型的なビタミンの量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、0重量%~約3重量%または約1重量%~約2重量%である。
【0062】
本開示の組成物は、食味強化剤および安定剤などの他の添加物を、当業者によく知られている量および組み合わせで追加的に含むことができる。安定化物質としては、例えば組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向にある物質が挙げられる。本発明の組成物中に含めるために潜在的に適切である他のこうした添加物の他の例としては、例えば防腐剤、着色剤、抗酸化剤、風味剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、および加工デンプンが挙げられる。組成物中のこうした添加物の濃度は典型的に、ペットフード組成物の総重量に基づいて、最大約5重量%とすることができる。一部の実施形態では、こうした添加物の濃度(特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤(ビタミンおよびミネラルなど)である場合)は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0~約2.0重量%である。一部の実施形態では、こうした添加物の濃度(この場合も特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤である場合)は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0~約1.0重量%である。
【0063】
任意の堅さまたは含水量の食品が企図されていて、例えば本発明の組成物は、例えばドライ、モイスト、またはセミモイストの動物用食品組成物とすることができる。一部の実施形態では、含水量は、組成物の総重量の約3重量%~約90重量%である。「セミモイスト」は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約25重量%~約35重量%の水分を含有する食品組成物を指す。「モイスト」は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約60重量%~90重量%以上の含水量を有する食品組成物を指す。「ドライ」フードは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3重量%~約12重量%の含水量を有する食品組成物を指し、多くの場合、小片またはキブルの形態で製造される。
【0064】
組成物の水分は、様々な量または濃度で存在しうる。水分は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約5重量%~約15重量%の量で存在しうる。例えば、水分は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、またはそれらの範囲の量で存在しうる。別の実施例では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約8重量%~約13重量%、約9重量%~約13重量%、約9重量%~約重量11%、または約9重量%~約13重量%の量で存在しうる。特定の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約10重量%~約12重量%、約10.5重量%~約12重量%、または約10.5重量%~約11.5重量%の量で存在する。
【0065】
特定の態様では、本出願は、本開示の組成物のいずれかを作製する方法をさらに開示する。ウェット形態または缶詰形態での本発明の組成物の調製において、任意の成分(例えば、可溶性繊維および望ましいリノレン酸):(全18炭素多価不飽和脂肪酸の比)は一般的に例えば、配合物の加工中、例えば組成物の他の構成成分の混合中および/または混合後に、組成物の中に組み込まれることができる。これらの構成成分の組成物への分配は、従来の手段によって達成されることができる。一部の実施形態では、粉砕した動物タンパク性組織および家禽タンパク性組織は、魚油、穀物粒、他の栄養的にバランスが取れている成分、特殊目的の添加物を含む他の成分(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、増量剤、ならびにこれに類するもの)と混合されていて、また加工のために十分な量の水が添加されている。これらの成分は、構成成分をブレンドしながら加熱するために適切な容器内で混合されることができる。例えば、直接蒸気注入によって、または熱交換器を備えた容器を使用することによってなど、任意の適切なやり方を使用して、混合物の加熱を行うことができる。最後の成分の添加に続いて、混合物を約50°F(10℃)~約212°F(100℃)の温度範囲に加熱することができる。一部の場合において、混合物を約70°F(21℃)~約140°F(60℃)の温度範囲に加熱することができる。これらの範囲外の温度も一般的に許容可能であるが、他の加工助剤を使用しなければ、商業的に非実用的である場合がある。適切な温度に加熱されると、材料は典型的に、濃厚液の形態になるであろう。この濃厚液は缶の中に充填されることができる。缶の中に充填されると、蓋が付けられ、容器は気密密封される。次いで、密封した缶は、内容物を滅菌するために設計された従来の機器の中に定置される。これは通常、約230°F(110℃)を超える温度に、適切な時間にわたって加熱することによって達成され、この時間は例えば、使用する温度および組成物に依存する。
【0066】
ペットフード組成物は代替的に、従来のプロセスを使用して、乾燥形態で調製されることができる。典型的に、例えば動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物等をなどの乾燥成分は粉砕され、一緒に混合される。次いで、脂肪、油、動物性タンパク質、水などの湿った成分または液体成分を加え、乾燥混合物と混合する。次いで、混合物をキブルまたは類似の乾燥片へと加工する。キブルは多くの場合、乾燥成分とウェット成分との混合物に高圧および高温にて機械作業を施し、次いで小さい開口部を通して押し出し、回転ナイフによってキブルへと切断される、押出成形プロセスを使用して形成される。次いで、ウェットキブルを乾燥させ、例えば風味剤、脂肪、油、粉末、およびこれに類するものを含んでもよい、一つ以上の局所的なコーティングを用いて任意選択的にコーティングする。キブルはまた、押出成形ではなく焼き上げるプロセスを使用してドウから作製されることができ、ここでドウは型の中に定置された後、乾燥加熱処理される。
【0067】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される組成物の有効量を動物に給餌することを含む、コンパニオンアニマルの体重を減少させる方法を提供する。コンパニオンアニマルは、イヌまたはネコであってもよい。
【0068】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される組成物の有効量を動物に給餌することを含む、コンパニオンアニマルの脂肪を減少させる方法を提供する。コンパニオンアニマルは、イヌまたはネコであってもよい。
【0069】
特定の実施形態では、コンパニオン動物の除脂肪量は、脂肪が減少している間、維持される。このように、特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される組成物の有効量を動物に給餌することを含む、コンパニオンアニマルの除脂肪対脂肪比を増加する方法を提供する。コンパニオンアニマルは、イヌまたはネコであってもよい。
【実施例
【0070】
本明細書に記載の実施例およびその他の実施は例示的であり、本開示の組成物および方法の全範囲の記述に限定することを意図しない。特定の実施、材料、組成物および方法の同等の変更、修正、および変形は、実質的に類似の結果を伴って、本開示の範囲内で行われてもよい。
【0071】
慢性全身性疾患の証拠がないとみなされる十八匹の健康なネコに、対照組成物または試験組成物のいずれかを与えた。試験は二つの段階から構成された。第一の段階は、基準時点から介入後の体重維持時点まで、体重を維持するための食物の量を、ネコに与えることを含んだ。第二の段階では、ネコに、介入後の体重維持時点から介入後の体重減少時点まで、合計体重の約0.75~1%を失う量のペットフード組成物を与えた。これを達成するため、体重を給餌前期間の間に測定し、意図した減少率をもたらす食品の量を提供することによって体重減少を最適化するために、観察される維持エネルギー必要量(体重維持に必要なカロリー数)の割合として提供する食料を計算した。これは多くの場合、維持に必要なカロリーの約90%であった。具体的には、安静時のエネルギー必要量(RER)を、式(70kg理想体重0.75)によって決定した。その後、調節活性因子を、肥満状態を支持した元の値(活性因子1.2~1.8)から約90%未満の値に調整した。毎週、対象は再計量され、活性因子は、率が週当たり体重の0.75~1%の目標率よりも低い(または多い)場合、体重減少率を増加(または減少)するように調整された。ペットフード組成物の詳細を表1および表2に要約する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「対照」は比較例を指し、また「試験」は本発明の例示的な組成物を指す。
【表1】

【表2】
【0073】
図2は、試験食を与えたネコの質量に対する効果を示す。体重減少は、対照食と比較した場合、試験食についてより大きいことが示されている。図3は、試験食を与えたネコの動物脂肪に対する効果を示す。脂肪減少は、対照食と比較した場合、試験食についてより大きいことが示されている。図4は、試験食を与えたネコの除脂肪量に対する効果を示す。除脂肪量は、対照食と比較した場合、試験食についてより多く増加することが示されている。図5は、試験食を与えたネコの除脂肪対脂肪比に対する効果を示す。除脂肪対脂肪比は、対照食と比較して、試験食を摂取する動物についてより大きい。これらの驚くべき予想外の結果は、試験食を与えられた動物が、体重減少、脂肪減少を増強し、なおかつ除脂肪量を保持したことを示す。こうした結果は、改善された動物除脂肪対脂肪比をもたらす。
【0074】
図6Aは、試験食を与えられたネコの1-リノレオイル-2-アラキドノイル-GPCに対する効果を示す。図6Bは、試験食を与えられたネコの1-ステアロイル-2-アラキドノイル-GPEに対する効果を示す。図6Cは、試験食を与えられたネコの1-パルミトイル-2-アラキドノイル-GPEに対する効果を示す。これらの図は、試験食が、炎症性プロスタグランジンおよびロイコトリエンのアラキドネート前駆体を減少させたことを示す。有意なことに、これらの減少の結果は、達成された動物体重減少と関連して生じた。興味深いことに、抗炎症性エンドカンナビノイド2-AGは、対照食組成物(データは示さず)と比較して、試験食組成物内の一部の時点でより高いことが観察された。
【0075】
図7は、対照食組成物と比較して、試験食組成物が様々な炎症性サイトカインレベルを減少させることを示す。
【0076】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に記載されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または代表することを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7