(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】団信基幹システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20240604BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2024031779
(22)【出願日】2024-03-04
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517258729
【氏名又は名称】カーディフ生命保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 望
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-025963(JP,A)
【文献】特開2005-316921(JP,A)
【文献】ペアローン利用者の連生団体信用生命保険の取扱開始,[online],2024年02月05日,[検索日 2024.3.12], インターネット<URL: https:www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2023_054.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の住宅ローンの中、少なくともペアローンを含む住宅ローンの審査処理を実行可能な住宅ローン基幹システム、及び被保険者が操作する情報端末と、連携して動作する団体信用生命保険の審査処理を実行する団信基幹システムであって、
前記住宅ローン基幹システムから、申込番号、ペアローンであるか否かの別についての情報を含む審査データを受信する審査データ受信手段と、
被保険者が操作する前記情報端末から、被保険者が選択した種類の団体信用生命保険の情報を受信する団信情報受信手段と、
査定結果を蓄積して記憶する査定結果記憶手段と、
一定期間ごとのバッチ処理で、査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する査定結果送信手段と、を備え、
前記査定結果送信手段は、住宅ローンがペアローンであって、かつ、連生団体信用生命保険が選択されている場合に、2本の団体信用生命保険申請の査定結果が同一となってから、当該査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する
ことを特徴とする団信基幹システム。
【請求項2】
前記団信情報受信手段は、ペアローンが申請される場合に、被保険者ごとに別のタイミングで団体信用生命保険の情報を受信するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の団信基幹システム。
【請求項3】
被保険者が複数種類の団体信用生命保険から一の団体信用生命保険を選択する団信種類選択手段を備え、
前記団信種類選択手段は、先に選択をした被保険者が一の種類の団体信用生命保険を選択した場合に、後に選択をする被保険者が当該一の種類の団体信用生命保険しか選択できないように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の団信基幹システム。
【請求項4】
前記住宅ローン基幹システムから、定期的に被保険者の債務情報データを受信する債務情報受信手段、を備え、
前記債務情報データを受信すると、連生相手方の債務残高を合算して被保険者の保険金額を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の団信基幹システム。
【請求項5】
連生相手方の債務残高を合算して更新される保険金額における前記被保険者は、第一のローン申込者及び第二のローン申込者の双方が対象となる
ことを特徴とする請求項1に記載の団信基幹システム。
【請求項6】
複数種類の住宅ローンの中、少なくともペアローンを含む住宅ローンの審査処理を実行可能な住宅ローン基幹システム、及び被保険者が操作する情報端末と、連携して動作する団体信用生命保険の審査処理を実行する団信基幹システムであって、
前記住宅ローン基幹システムから、申込番号、ペアローンであるか否かの別についての情報を含む審査データ を受信する審査データ受信手段と、
被保険者が操作する前記情報端末から、被保険者が選択した種類の団体信用生命保険の情報を受信する団信情報受信手段と、
査定結果を蓄積して記憶する査定結果記憶手段と、
査定結果が得られる毎の逐次処理により、査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する査定結果送信手段と、を備え、
前記査定結果送信手段は、住宅ローンがペアローンであって、かつ、連生団体信用生命保険が選択されている場合には、1本の団体信用生命保険申請の査定結果が得られても前記逐次処理を行わずに、2本の団体信用生命保険申請の査定結果が同一となってから、当該査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する
ことを特徴とする団信基幹システム。
【請求項7】
複数種類の住宅ローンの中、少なくともペアローンを含む住宅ローンの審査処理を実行可能な住宅ローン基幹システム、及び被保険者が操作する情報端末と、連携して動作する団体信用生命保険の審査処理を実行する団信基幹システムのコンピュータに、
前記住宅ローン基幹システムから、申込番号、ペアローンであるか否かの別についての情報を含む審査データを受信する審査データ受信ステップと、
被保険者が操作する前記情報端末から、被保険者が選択した種類の団体信用生命保険の情報を受信する団信情報受信ステップと、
団信の査定結果を記憶させる
査定結果記憶ステップと、
記憶された査定結果が連生団信のものであるか否かを判定させるステップと、
査定結果が連生団信のものであると判定された場合に、連生団信の相手方の査定結果が記憶済みであるか否かを判定させるステップ
と、
一定期間ごとのバッチ処理で、査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する査定結果送信ステップ、
を少なくとも実行させるプログラムであって、
前記査定結果送信ステップは、住宅ローンがペアローンであって、かつ、連生団体信用生命保険が選択されている場合に、2本の団体信用生命保険申請の査定結果が同一となってから、当該査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信することを特徴とする団信基幹システムのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、団信基幹システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅を購入する、或いは住宅を建てる際に、住宅ローンが組まれることがある。昨今のDX化の波に遅れることなく、住宅ローンの申請、審査、住宅ローンが実行された後の管理がコンピュータとネットワークを通じて行われることが普通になってきている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
住宅ローンを組む際には、死亡等の際に主債務者負担分の住宅ローンがゼロになる団体信用生命保険(以下、「団信」ということがある。)に加入するケースが殆どである。住宅ローンは金融機関が実行し、団信は生命保険会社が実行するため、両者が保有する基幹システムは別々のものとなるが、2つのシステムは連携して動作することが少なくない。例えば、生命保険会社が管理する基幹システムにおいて実行された保険申請審査の結果は、バッチ処理での送受信処理によって、金融機関が管理する基幹システムへと受け継がれる。
【0005】
ところで、夫婦で住宅ローンを組む場合には、複数通りの借り入れの仕方がある。例えば、収入合算して実行される連帯保証型の借り入れと連帯債務型借り入れ(以下、「連帯債務」ということがある。)とが存在する。しかし、収入合算して実行される契約は1本である。これに対して、夫婦のそれぞれが、借入額も返済期間も独立して決定し、2本の契約となるペアローンが、近年、注目され、普及しつつある。
【0006】
このような住宅ローンの多様化に応じて、団信も変化を続けてきた。かつて、働き手が一人である一馬力世帯が殆どであった時代には、死亡等の際に、単純に債務者の住宅ローンをゼロにする団信(以下、「単生団信」ということがある。)しか存在しなかった。働き手が二人である二馬力世帯が普通になってきてからは、主債務者の死亡時に連帯保証人ないし連帯債務者負担分の住宅ローンを含めて残債をゼロと取り扱う連生団体信用生命保険(以下、「連生団信」ということがある。)が登場した。しかし、連生団信の対象は、連帯保証型の借り入れと連帯債務型借り入れだけであって、ペアローンが対象となることはなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ペアローンは、連帯債務等とは異なり、連生団信の対象とされることはなかった。これは、連生団信が保障する対象は、住宅物件に係る債務そのものであって、それが1本である連帯債務だからこそ、保障できるという考え方にも依るが、そのことに加えて、先述した生命保険会社の基幹システムと金融機関の基幹システムとの連携も連帯債務は契約が1本だからこそ、実行処理が可能であるという技術的制約を受けてのことであった。この状況の下で、ペアローンの場合には、債務者ごとの単生団信を複数設定して、単純に2本の契約を別々に処理するより他なかった。
【0008】
本発明は、2本の融資契約であるペアローンを組む際に、連生団体信用生命保険を適用した上で、金融機関の基幹システムと団信基幹システムの連携を図り、実効性を高めることのできる団信基幹システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明に係る技術的手段は、以下の構成を少なくとも具備する団信基幹システムである。
【0010】
複数種類の住宅ローンの中、少なくともペアローンを含む住宅ローンの審査処理を実行可能な住宅ローン基幹システム、及び被保険者が操作する情報端末と、連携して動作する団体信用生命保険の審査処理を実行する団信基幹システムであって、前記住宅ローン基幹システムから、申込番号、ペアローンであるか否かの別についての情報を含む審査データを受信する審査データ受信手段と、被保険者が操作する前記情報端末から、被保険者が選択した種類の団体信用生命保険の情報を受信する団信情報受信手段と、査定結果を蓄積して記憶する査定結果記憶手段と、一定期間ごとのバッチ処理で、査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する査定結果送信手段と、を備え、前記査定結果送信手段は、住宅ローンがペアローンであって、かつ、連生団体信用生命保険が選択されている場合に、2本の団体信用生命保険申請の査定結果が同一となってから、当該査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る技術的手段は、以下の構成を少なくとも具備するプログラムである。
【0012】
複数種類の住宅ローンの中、少なくともペアローンを含む住宅ローンの審査処理を実行可能な住宅ローン基幹システム、及び被保険者が操作する情報端末と、連携して動作する団体信用生命保険の審査処理を実行する団信基幹システムのコンピュータに、前記住宅ローン基幹システムから、申込番号、ペアローンであるか否かの別についての情報を含む審査データを受信する審査データ受信ステップと、被保険者が操作する前記情報端末から、被保険者が選択した種類の団体信用生命保険の情報を受信する団信情報受信ステップと、団信の査定結果を記憶させる査定結果記憶ステップと、記憶された査定結果が連生団信のものであるか否かを判定させるステップと、査定結果が連生団信のものであると判定された場合に、連生団信の相手方の査定結果が記憶済みであるか否かを判定させるステップと、一定期間ごとのバッチ処理で、査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する査定結果送信ステップ、を少なくとも実行させるプログラムであって、前記査定結果送信ステップは、住宅ローンがペアローンであって、かつ、連生団体信用生命保険が選択されている場合に、2本の団体信用生命保険申請の査定結果が同一となってから、当該査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る住宅ローン基幹システム及び団信基幹システム並びに情報処理装置から構成されるシステム構成兼機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る団信基幹システムにおける保険審査実行手段及び査定結果記憶手段により実行される処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る団信基幹システムにおける査定結果記憶手段及び査定結果送信手段により実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な要素を意図的に図示していない場合がある。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る住宅ローン基幹システム及び団信基幹システム並びに情報処理装置から構成されるシステム構成兼機能ブロック図である。図示されるように、2つの基幹システムに、顧客が操作する複数の情報処理装置3(汎用PC、タブレット、スマートフォン)がネットワークで接続されたシステム構成となっている。情報処理装置3は、顧客の数に対応して複数が接続されることになるが、夫婦が一つの情報処理装置3を共用する場合もある。団信基幹システム1、住宅ローン基幹システム2、情報処理装置3のハードウェア構成は、CPU、CPUとバス接続されたメモリ(ROM及びRAM)、ストレージデバイス、表示手段、通信手段、操作入力手段といった汎用PCやサーバーが通常に備えるシステム構成にすぎないため、ここでは図示を省略し、機能ブロック図として示している。また、破線矢印で示される向きは、各機能ブロックでの実行処理の順序ないしデータ(情報)の流れを表している。なお、
図1は、飽くまで、一例であって、例えば、住宅ローン基幹システムと団信基幹システムは、直接的に、ネットワークで接続されている必要はなく、後述するバッチ処理において、大量のファイルを転送する上では、ファイル転送システムを介在させるようなことも可能である。また、情報処理装置3は、団信基幹システム1とネットワークで接続される必要はあるものの、ローン申請が店頭で実施される業態においては、必ずしも、住宅ローン基幹システム2とネットワーク接続される必要はない。
【0016】
(システム全体の構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る住宅ローン基幹システム及び団信基幹システム並びに情報処理装置から構成されるシステムは、団信基幹システム1、住宅ローン基幹システム2及び情報処理装置3から構成され、当該情報処理装置3と団信基幹システム1及び住宅ローン基幹システム2とは携帯電話通信網及び/又はインターネット通信網で接続されている。ここに、信用情報機関DB4や、図示されない医療機関DBなども接続され、ローン審査や団体信用生命保険審査に際して、これらDBの内容が参照される場合もある。
【0017】
情報処理装置3は、住宅ローン申込者ないし被保険者が操作するものであって、
図1に示される例としてはパーソナルコンピュータ(汎用PC)が想定されているが、スマートフォン、タブレット端末等の携帯通信端末であってもよいし、情報処理装置3はサーバーに接続される複数の端末と位置付けられるところ、汎用PCとスマートフォン等が併用される態様であっても良い。情報処理装置3は、後記する住宅ローン基幹システム2のサーバーや団信基幹システム1のサーバーとWEB上で接続され、WEBアプリを機能させ、ローン申込に関する各種入力や、団信申込での告知等の入力操作に用いられる。本発明の実施形態のシステム構成としては、SaaS(Software as a Service)として観念されるものである。また、実施形態において、情報処理装置3は被保険者が所持するものとの想定がされているが、例えば、情報処理装置3を金融機関が所持するものとしてもよく、飽くまで、被保険者が操作するものであればよい。この場合には、情報処理装置3に実装されるアプリとサーバーとから成る構成、いわゆるクライアントサーバモデルとして観念されるシステム構成とすることも可能である。プログラム中に、XML等でデータを扱えるようにすることで、詳細で複雑な情報も情報処理装置3側で処理することが可能となり、通信環境が不安定な状況でも、安定した処理を実行できるようになる。
【0018】
住宅ローン基幹システム2は、金融機関が管理し、種々の処理を実行するサーバーであり、情報処理装置3から必要な情報を受け取り、生命保険の引受査定に必要となる基礎情報を団信基幹システム1のサーバーに送信する他、情報処理装置3のWEBアプリを機能させるために、情報処理装置3の表示装置に必要な入力フォーム等を表示させるといった処理を行うためのものである。
【0019】
団信基幹システム1は、生命保険会社が管理するものであって、団信の引受査定を行う上で必要な情報を、ローン申込者毎の格納領域に分けて蓄積している。ただし、後記するペアローン申込者であって、かつ、連生団信を申し込んだ者に対しては、二人の申込者の情報がセットとして取り扱われるように、関連付けがされる。また、一の格納領域に二人の申込者分のデータを蓄積するように構成してもよい。
【0020】
(情報処理装置の構成)
情報処理装置3は、
図1において機能ブロックとして示されるように、主として、ローン申込送信手段31、顧客誘引情報受信手段32、団信プラン選択手段33、告知手段34から構成される。
図1は、飽くまで、本発明との関係において重要な主要機能を示しているのであって、これ以外にも適宜、必要な付随処理を行う機能を有するものである。また、例えば、後記するローン申込送信手段31も、この後に続けて説明するように、単に、ローン申込についての情報を送信する手段に止まるものではなく、それに付随する操作者の情報入力処理などの機能も具備したものとして理解される。
【0021】
ローン申込送信手段31は、住宅ローン基幹システム2とWEB上で接続されて、仮審査(事前審査)と本審査に必要な情報を入力フォームやテキスト入力手段を用いて入力処理した上で、住宅ローン基幹システム2のサーバーに送信する。具体的に、例えば、仮審査では、借入予定金額や借入期間等を入力することになる。
本来的に、購入物件が決まっていない状態では、金融機関は住宅ローンの融資に関する正式な審査を行うことができないものの、ローン申込者としては、借入額が不明なままでは、資金の目途が立たず、購入する物件を選定できないことになる。そこで、簡易的な審査を事前に実施し、ローン申込者に対して、借入可能についての見込みや借入金額の目安を提示するのが、仮審査(事前審査)である。一方、本審査とは、住宅ローンの融資に際して行われる正式な審査であり、仮審査に比べてチェックされる項目が多岐にわたり、提出する書類の内容も精査され、厳格に審査が行われる。情報処理装置3のローン申込送信手段31は、仮審査と本審査の両方に対応している。仮審査の処理の殆どが機械による自動審査で行われるのに対して、本審査は担当者が手動で審査を実施するという違いがあることから、仮審査の情報入力が原則として、入力フォームの操作だけで行われる一方で、本審査では、入力フォームの他、テキスト入力手段や、必要に応じて、提出書類のアップロード手段等も併用して、情報送信が行われる。ただし、別途、郵送にて書類送付する態様を伴うものであっても、本発明の範囲から除外されるものではない。
ローン申込をする際には、審査番号が付与される。
【0022】
住宅ローン基幹システム2から後記する審査データを受信した団信基幹システム1が、団信の引受査定申込を促すために、団信基幹システム1のサーバーへのリンク情報を含んだサイトへの誘導メールを、ローン申込者に向けて送信する。顧客誘引情報受信手段32は、誘導手段としての電子メールを受信する手段である。なお、このような誘導手段は、電子メールでなくとも、Instagram(登録商標)やLINE(登録商標)等のソーシャルネットワーキングサービスを利用するものであってもよく、顧客誘引情報受信手段32は、団信基幹システム1のサイトへの誘導を図れるものであれば、任意の手段を採用し得るものである。
【0023】
団信プラン選択手段33は、単生団信、連生団信の別の他、一般団信、がん保障付団信、全疾病団信などのプランを選択する手段である。夫婦や親子によるペアローンであっても、それぞれのローン申込者が単生団信をそれぞれで申し込むことは可能である。逆に、単独ローン申込者が、連生団信を申込むことはできない。ペアローンで連生団信を申込む場合には、生命保険会社の実効性の確保という観点から、一方が一般団信で他方ががん保証付団信を申込むというようなことは認めておらず、ペアの団信種類は同じでなければならない。そのため、ペアローン申込者のうち、先に、団信基幹システム1にアクセスした者が、一の団信を選択した後に、ペアローンの相手方は、団信プランを選択できず、先に選択された団信種類を承認するだけの操作を要求されることになる。
【0024】
告知手段34は、告知フォームを用いて、現在の体調や過去の病歴を告知するための手段である。基本的には、プルダウンメニューでの選択入力により行われるが、必要に応じて、テキストでの入力が要求される場合もある。告知情報に基づいて、若しくは、適宜要求される追加情報に基づいて、保険審査がされ、保険審査の結果は、後記するように、所定のタイミング、具体的には、連生団信付帯のペアローン申込者の2人分の保険審査の結果が一致した段階で、団信基幹システム1から住宅ローン基幹システム2へ送られることになる。なお、保険審査の結果、(1)合格、(2)保留、(3)情報不足による追加情報の要求、(4)謝絶という4種類の状態に振り分けられる。
【0025】
(住宅ローン基幹システム(サーバー)の構成)
住宅ローン基幹システム2は、
図1において機能ブロックとして示されるように、ローン申込受信手段21、審査データ送信手段22、ローン仮審査実行手段23、ローン本審査実行手段24から構成される。飽くまで、本発明との関係において重要な主要機能を示しているのであって、これ以外にも適宜、必要な付随処理を行う機能を有するものである。例えば、住宅ローン基幹システム2は、住宅ローンが既に実行している債務者の膨大なデータを蓄積するデータベースも有している。このデータベースは、住宅ローン基幹システム2の主要処理を司るサーバー内に単一のサーバーとして構築されていてもよいし、主要処理を司るサーバーとデータベースサーバとは別のサーバーとしてインターネット通信網や他のネットワークで接続されるように構成してもよい。
【0026】
ローン申込受信手段21は、情報処理装置3にて入力・送信される仮審査(事前審査)と本審査に関する必要となる借入予定金額や借入期間等の情報を受信する。より、具体的には、例えば、カナ氏名、漢字氏名、生年月日、メールアドレス、借入予定金額、借入予定期間、借入予定日、住所、取扱店等の情報を受信する。
【0027】
審査データ送信手段22は、団信引受査定を処理する上で必要となる情報、例えば、仮審査番号や顧客誘引のための電子メールアドレス等の必要情報を送信する。ここで、ペアローンの申込で連生団信が申し込まれている場合で、かつ、一人目のローン申込者のときには、上記必要情報に加えて、ペアローンである旨の情報と、ペアローンの相手方のID(個人識別情報であり、例えば、カナ氏名が含まれる。)が送信される。また、ペアローンの申込で連生団信が申し込まれている場合で、かつ、二人目のローン申込者のときには、ペアローンである旨の情報と、ペアローンの相手方の入力情報の主要部が含まれる。もちろん、ペアローンの相手方の入力情報の全部であってもよい。本実施形態では、仮審査の申込がされた後に、審査データの送信が行われるように構成されているが、仮審査の際には、団信引受査定の実行は行わずに、本審査の申込がされた後に団信引受査定の実行を初めて行うようにするべく、その時点で、審査データを送受信するようにしてもよい。この場合に、仮審査の段階を既に経ていて、ペアローンの両者についての相応の情報が得られているときには、審査データとして、相手方の入力情報の主要部(全部であってもよい)が含まれるように構成してもよい。もっとも、仮審査の申し込みをせずに、いきなり本審査申込がされるケースもあり、その場合には、先に説明したことと同様に、一人目の申込と二人目の申込とで伝達される情報に差が設けられることになる。
【0028】
ローン仮審査実行手段23は、情報処理装置3にて入力フォームに従って入力送信された簡易的なローン申込情報を、ローン申込受信手段21が受信し、当該受信された簡易的なローン申込情報に基づいて、コンピュータによる自動処理で審査を行う。簡単なテーブル処理で構成するものであってもよいが、ディープラーニング等のAI技術を利用するものであってもよい。
ローン本審査実行手段24は、情報処理装置3から伝えられる詳細なローン申込情報を、ローン申込受信手段21が受信し、当該受信された詳細なローン申込情報を、適宜の記憶手段に一時記憶させる。当該記憶された情報に、担当者がアクセスし、提出された各種書類の内容も精査し、必要に応じて、信用情報基幹DB4等にもアクセスした上で、手動での審査を行う。ローン本審査実行手段24は、担当者による審査を補助するために必要な処理を適宜に行う。
【0029】
(団信基幹システム(サーバー)の構成)
団信基幹システム1は、
図1において機能ブロックとして示されるように、審査データ受信手段11、顧客誘引情報送信手段12、保険審査実行手段13、査定結果記憶手段14、査定結果送信手段15から構成される。飽くまで、本発明との関係において重要な主要機能を示しているのであって、これ以外にも適宜、必要な付随処理を行う機能を有するものである。例えば、団信基幹システム1は、保険契約が既に締結されている被保険者の膨大なデータを蓄積するデータベースも有している。このデータベースは、団信基幹システム1の主要処理を司るサーバー内に単一のサーバーとして構築されていてもよいし、主要処理を司るサーバーとデータベースサーバとは別のサーバーとしてインターネット通信網で接続されるように構成してもよい。
【0030】
審査データ受信手段11は、団信引受査定を処理する上で必要となる情報、例えば、仮審査番号を受信する。ペアローンの申込で連生団信が申し込まれている場合で、かつ、一人目のローン申込者のときには、ペアローンである旨の情報と、ペアローンの相手方のID(個人識別情報であり、例えば、カナ氏名が含まれる。)を受信することになる。また、ペアローンの申込で連生団信が申し込まれている場合で、かつ、二人目のローン申込者のときには、ペアローンである旨の情報と、ペアローンの相手方の入力情報の主要部(全部であってもよい)を受信することになる。本実施形態では、仮審査の申込がされた後に、審査データを受信するように構成されているが、仮審査の際には、団信引受査定の処理は行わずに、本審査の申込がされた後に団信引受査定の処理を初めて行うようにするべく、その時点で、審査データが受信されるように構成してもよい。
【0031】
以上のように、審査データには、連生相手方の情報が含まれているというのが重要なのであるが、実施をするに際しての効率性も考えると、審査データには、次のような情報が含まれることが望ましい。
<必須の情報>
カナ氏名、申込番号、生年月日:被保険者が団信基幹システム1のサイトにアクセスして入力する際に、審査データとの一致を確認するために、必要。
メールアドレス:審査データ受領後、被保険者を団信基幹システム1のサイトにアクセスさせるための誘導手段として、必要。ただし、他のソーシャルネットワーキングサービスの手段を代替させることも可能。
借入予定金額:保険金額に相当するため、引受査定上必要。
借入予定日:団信引受上限・下限年齢の判断基準日として必要。
漢字氏名:顧客台帳や御客様用控え帳票に使用するため、必要。
住所:顧客台帳や御客様用控え帳票に使用するとともに、引受査定の過程で詳細な告知が必要となった場合、郵送でのやりとりが発生するため、必要。
<任意付加的情報>
電話番号:個別に被保険者と連絡を取る手段の一つとして、記録されることが望ましい。
借入予定期間:保険金額や保険期間に関係するため、記録されることが望ましい。
取扱店:被保険者がサイトから申込を完了したのち、銀行担当者が管理サイト上で案件を取り扱う際に、扱える案件を店ごとにわけるため、記録されることが望ましい。
【0032】
顧客誘引情報送信手段12は、ローン申込をした者が団信基幹システム1のサイトへアクセスすることを促すための誘導手段としての電子メールを、ローン申込者に対して送信する手段である。この際、電子メールアドレスの情報は、審査データから取得される。なお、このような誘導手段は、電子メールでなくとも、Instagram(登録商標)やLINE(登録商標)等のソーシャルネットワーキングサービスを利用するものであってもよく、顧客誘引情報送信手段12は、団信基幹システム1のサイトへの誘導を図れるものであれば、任意の手段を採用し得るものである。
【0033】
保険審査実行手段13は、情報処理装置3の団信プラン選択手段33で選択された団信種類について、情報処理装置3の告知手段34で入力された現在の体調や過去の病歴等の告知情報に基づいて、保険審査を行うものである。ペアローンで連生団信を申込む場合には、先述したように、ペアの団信種類は同じでなければならない。ペアローン申込者のうち、先に、団信基幹システム1にアクセスした者については、選択した団信種類についての審査が行われるが、ペアローンの相手方は、先に選択された団信種類と同じ種類の団信についての審査が行われることになる。審査の結果は、(1)合格、(2)保留、(3)情報不足による追加情報の要求、(4)謝絶という4種類の状態に振り分けられることになる。
【0034】
ところで、保険ないし生命保険とは、裏書やunderwritingから徴することのできる歴史的背景から窺えるように、本来的には、対象者一人一人の申込内容に対して、リスクを勘案して、対象者に合った内容や条件をカスタムメイドするというものであった。しかし、それでは、適切な対応を効率よく行うことができないということから、一定の質問をして擬制的に審査を行う告知制度の仕組が出来上がった。この告知での審査に通れば、(1)の合格となるが、通らなかったら、即(4)の謝絶という結果になる訳ではなく、(2)の保留や、(3)の追加情報の要求という状態になることもある。むしろ、(2)や(3)の状態になる方が多い。
【0035】
保険審査実行手段13による処理は、告知による情報だけで、簡単なテーブル処理で構成するものであってもよいが、ディープラーニング等のAI技術を利用するものであってもよい。情報処理装置3から送られる告知情報だけで、(1)合格の結果が得られる場合には、コンピュータによる自動処理だけで完結することになる。(2)の保留や、(3)の追加情報の要求という結果になれば、担当者が追加書類等も精査して判断をした上で、必要な入力処理等も行った上で、最終的な結果としての合格、謝絶が決定され、可能であれば、(一般団信からワイド団信への変更といった)プラン見直しの提案等もなされることになる。見直しの提案がされた場合には、図示されない通信手段、例えば、電子メール等により、団信プランの選び直しをするように、ペアローンの申込者の両名に、催促を行う。
【0036】
査定結果記憶手段14は、最終的な審査結果である「合格」と「謝絶」を仮審査番号ごとに蓄積記憶する。査定結果送信手段15は、一定期間ごとのバッチ処理(例えば、1日1回)によって、査定結果を住宅ローン基幹システム2へ送信する。単生団信の場合には、審査結果が確定すれば、ほぼ同日に、団信基幹システム1から、住宅ローン基幹システム2のローン仮審査実行手段23へ、「合格」ないし「謝絶」の別の審査結果が送信されることになる。なお、本審査に際して、団信引受査定の申込がなされる態様とされている場合には、住宅ローン基幹システム2のローン本審査実行手段24へ、「合格」ないし「謝絶」の別の審査結果が送信されることになる。
【0037】
以上は、単生団信の場合の処理についての説明であるが、連生団信の場合は、処理が大幅に異なる。そして、この点が、本発明の重要な部分でもある。連生団信の場合には、一方の審査結果が確定していても、他方の審査結果が留保であったり、必要な追加情報の待ちの状態であったりすることから、さらに審査に数日の期間を要する場合がある。そこで、査定結果送信手段15は、ペアローン申込者であって、かつ、連生団信を申し込んだ者に対しては、仮審査番号と相手方のIDや仮審査番号を突き合わせて、両者の査定結果が得られ、かつ、査定結果が一致するまで、査定結果を送信しないようにしている。換言すれば、バッチ処理の中で、査定結果の送信は先送りされ、両者の査定結果が一致したら、初めて、査定結果送信手段15が、住宅ローン基幹システム2のローン仮審査実行手段23へ査定結果のセットを送信する。この際、結果が「合格」でなく、「謝絶」であっても、送信が行われる。そして、住宅ローン基幹システム2は、ローン申込者に対して、ローン仮審査の結果を伝えることが可能となる。
【0038】
本実施形態は、バッチ処理において、セットとなるデータが出揃う迄、待機するという単純な発想ではない。そのような単純な発想を持ち込んだならば、「合格」の結果と「謝絶」の結果がセットとなって、送信がされるだけのことである。近年のネット銀行は全国規模で対象顧客を抱え、住宅ローンの対象者も特定地域の居住者だけが対象となる訳でなく、やはり対象は全国規模となる。そして、全国規模での要処理数は莫大な数となり、「合格」と「謝絶」のセットの査定結果を金融機関が受けたところで、ローン審査での処理は煩雑となるだけで、無駄となること、この上ない。そうした金融機関におけるローン審査と連生団信の審査の特性を熟慮した上での最適な方法を見出し、それに適したソフトウェアによる情報処理の態様を発案したという点に、本発明の最大の価値が存するのである。換言すれば、この着想やそれに続く具体的な解決手段に到達し得なかったからこそ、ペアローンでは、単生団信しか存在しなかったのである。
【0039】
本発明の実施形態に係る団信基幹システムが実行する処理につき、フローチャートを用いて、説明する。ここでは、保険審査実行手段13及び査定結果記憶手段14が連携して行う処理と、査定結果記憶手段14及び査定結果送信手段15が連携して行う処理と、に分けて説明する。なお、既に記載した以上の説明を要しないと思われる処理については、適宜説明を省略する。
【0040】
(保険審査実行手段及び査定結果記憶手段による処理)
図2は、本発明の実施形態に係る団信基幹システムにおける保険審査実行手段13及び査定結果記憶手段14により実行される処理を示すフローチャートである。
ステップS101において、情報処理装置3より送信される団信プラン種類と告知情報についての一次データが受付けられる。ステップS102において、保険審査実行手段13は、コンピュータによる自動処理のみで、審査が合格か否かを判定する。結果が合格であれば、査定結果記憶手段14は、仮審査番号ごとに区分けされた所定の記憶領域に、合格の結果を記憶させる(ステップS103)。
【0041】
結果が合格でないならば、ステップS104において、留保であるか否かが判定される。留保である場合は、審査再開まで待機することになるが(ステップS105)、これは、例外処理である。具体的には、例えば、借入金額を減額することによって、引受査定が合格となるようなケースもあるので、必要に応じて、ローン申請の内容を見直してから、改めて、団信引受査定の要請がされる場合などがあるが、詳細な内容についての説明は省略する。
【0042】
留保でない場合に、団信基幹システム1は、追加の情報を要求するか否かを判定する(ステップS106)。追加の情報を要求する場合には、電子メール等の適宜の通信手段を用いて、ローン申込者に追加情報が求められている旨を報知する(ステップS107)。ローン申込者は、書類のアップロードなどを行い、追加の情報を送信する。また、団信基幹システム1が、ローン申込者が指定した情報に基づいて、医療機関のDB等にアクセスして、必要な情報を入手できるように構成してもよい。追加情報が求められない場合は、査定結果が謝絶であることを意味するので、査定結果記憶手段14は、仮審査番号ごとに区分けされた所定の記憶領域に、謝絶の結果を記憶させる(ステップS109)。
【0043】
ステップS108では、追加情報が受付けられ、追加情報に基づいて、再度の審査が行われる。一度目の審査と同じステップS102として示しているが、再度の審査では、コンピュータによる自動処理に加えて、必要に応じて、担当者による手動での判断も行われる。ただし、システムとしては、担当者(判断者)が行う人的判断の入力支援などを適宜に行うように構成されている。二度目の審査では、ステップS104やステップS106の工程は、原則として、省略されるため、ステップS102による判定処理の結果、審査が合格であれば、合格の結果が記憶され(ステップS103)、合格でなければ、謝絶の結果が記憶される(ステップS109)。
【0044】
以上、説明したステップS101からステップS103ないしステップS109までの工程は、単生団信のローン申込者、連生団信の一人目のローン申込者、連生団信の二人目のローン申込者であっても、同一の処理である。しかしながら、単生団信であるか、連生団信であるかによって、査定結果の送信処理が異なってくるので、そのことについて、説明する。
【0045】
(査定結果記憶手段及び査定結果送信手段による処理)
図3は、本発明の実施形態に係る団信基幹システムにおける査定結果記憶手段14及び査定結果送信手段15により実行される処理を示すフローチャートである。
ステップS201において、査定結果が記憶される。この処理は、
図2において説明したステップS103若しくはステップS109の処理のことである。ステップS202では、団信が単生団信であるか否かが判定される。単生団信である場合には、バッチ処理にて、査定結果が、団信基幹システム1の査定結果送信手段15より、住宅ローン基幹システム2のローン仮審査実行手段23に通知される。例えば、1日分の査定結果が蓄積された後に、データの送信が実行される。なお、本審査の際に、団信引受査定を行うことをシステムが予定している場合には、査定結果は、住宅ローン基幹システム2のローン本審査実行手段24に通知されることになる。
【0046】
ステップS202の判定が単生団信でない場合には、連生団信であることを意味するため、ステップS204では、ペアローンの相手方であって、連生団信の相手方のデータが記憶済みであるか否かが判定される。記憶されていない場合には、相手方のデータが記憶されるまで、次処理を待機することになる。
【0047】
ステップS204において、連生団信のローン申込者二人分のデータが揃ったと判定されたならば、次いで、ステップS205において、査定結果が一致しているか否かが判定される。査定結果が合格であれ、謝絶であれ、結果が一致している場合には、バッチ処理にて、査定結果が、団信基幹システム1の査定結果送信手段15から、住宅ローン基幹システム2のローン仮審査実行手段23に通知される(ステップS206)。例えば、1日分の査定結果が蓄積された後に、データの送信が実行される。なお、本審査の際に、団信引受査定を行うことをシステムが予定している場合には、査定結果は、住宅ローン基幹システム2のローン本審査実行手段24に通知されることになる。このように、本実施形態は、データが出揃うまで、次処理を待機させる、すなわち、ステップS204を設けただけ、という単純な発想ではなく、ステップS204の後に、ステップS205を設けたという点に最大の特徴がある。このことによって、全国規模での共通の顧客を抱える金融機関と生命保険会社双方にとっての効率が最大となる処理負担分配の最適化が実現できるのである。
【0048】
ステップS205において、査定結果が一致していないと判定された場合には、必要に、応じてプラン変更の催促を、適宜の通信手段を用いて、ローン申込者に報知する(ステップS207)。
【0049】
(団信基幹システムが行う団信加入後の保全処理)
本発明の実施形態に係る住宅ローン基幹システム及び団信基幹システム並びに情報処理装置は、団信加入後においても、連生団信に適した処理を実行できるように構成されている。この点について、説明する。
【0050】
連生団信、単生団信の別に関わらず、債務残高といった被保険者のデータは、毎月、銀行から保険会社に通知されることになる。生命保険を引き受けている保険会社としては、保障額を把握する必要があるためである。毎月の返済額によって、月ごとの債務残高が算出できるといった簡単なことではない。繰上げ返済が実行されるケースもあるからである。このため、毎月データが更新されるのである。
【0051】
保障する対象が1本の契約の債務残高である連帯債務とは異なり、保障対象が2本の契約の債務残高であるペアローンに係る連生団信という特殊性があるため、本実施形態のシステムでは、毎月、銀行から保険会社に、債務残高に加えて、連生相手方の被保険番号も通知されるように構成されている。
【0052】
毎月の団信保険の保全処理として、団信基幹システム1は、連生相手方のデータを検出して、相手方の債務残高を足し合わせた上で、被保険者の保険金額を設定(再設定)するという処理を行うように構成されている。
なお、この保全処理を、団信基幹システムのコンピュータに実行させるプログラムとして、特定すると、次のとおりである。
複数種類の住宅ローンの中、少なくともペアローンを含む住宅ローンの債権処理を実行可能な住宅ローン基幹システムと、連携して動作する団体信用生命保険の管理処理を実行する団信基幹システムのコンピュータに、少なくとも債務残高と連生相手方の被保険番号を含む被保険者のデータを、月に一度、住宅ローン基幹システムから受信するステップと、前記被保険者の当月の債務残高と前記連生相手方の当月の債務残高を合算するステップと、合算された債務残高を、新たな債務残高として、再設定するステップ、を少なくとも実行させることを特徴とする団信基幹システムのプログラム。
【0053】
このようなことから、本実施形態のシステムでは、被保険者が保険金請求をする事態が生じた場合には、速やかに、保険金支払いが実行され、住宅ローンに係る債務は清算されて、保険契約の脱退までの処理が速やかに実行されることを可能としている。保険金請求がなされてから支払いが実行される迄が如何に短期間であるかということは、保険会社の評価において、最も重要視される要素の一つである。債務残高を合算させるのは当然のことだ等と言って片づけられるべきものではない。従前に存在した連帯債務等における連生団信においては、債務残高は一つしかあり得ず、債務残高が2つ、しかも、借入金額、借入期間、利率等が異なることが十分にあり得る2つのローンの債務残高を処理するという事態は、全く想定されないことであったのである。仮に、ペアローンでの連生団信の実施に興味を抱く者がいたとしても、それぞれのローンの債務残高を毎月、淡々と情報更新し、保険金支払い請求が生じてから、合算処理するという態様に止まるものであろう。しかし、それでは、短期間での保険金支払いは実現できないのである。
【0054】
以上、本発明の実施形態に係る住宅ローン基幹システム及び団信基幹システム並びに情報処理装置から構成されるシステムについて、特に、団信基幹システムについて、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態では、住宅ローン申込者が行う手続について、コンピュータとネットワークを利用して実行される態様として説明したが、この手続きについては、対面での申請や、書類の郵送による申請として、金融機関のシステムにおいて必要な入力作業がされてデータ化がされた以降に、住宅ローン基幹システム及び団信基幹システム並びに情報処理装置が連携処理を開始するような態様であっても、本発明の技術的思想に含まれるものである。また、実施形態では、団体信用生命保険の種類は、生命保険会社の実効性の確保という観点から、連生相手方と同一のものしか選択できないものとして説明したが、顧客にとって魅力ある商品とするために、連生相手方とは別の種類の団信を選択できるように構成した場合であっても、本発明の技術的思想に含まれるものである。また、実施形態では、査定結果の送信は、バッチ処理で行われるものとして説明したが、連生相手方との査定結果が一致するまで、送信を止めておくようにさえすれば、査定結果が逐次に送信されるように構成しても、本発明の技術的思想に含まれるものである。さらに、金融機関の窓口で、ペアローンの申込者二名が同時に申請手続きをする場合も、本発明の技術的思想に含まれるものであり、その際、団信情報受信手段は、被保険者二名分の団体信用生命保険の情報を同一のタイミングで受信するケースもあり得ることになる。この場合であっても、保険審査に要する日数は被保険者毎に異なることが大いに考えられるため、両者の査定結果が得られ、かつ、査定結果が一致するまで、査定結果を送信しないという処理は、依然として重要な構成なのである。
【符号の説明】
【0055】
1 団信基幹システム(サーバー)
11 審査データ受信手段
12 顧客誘引情報送信手段
13 保険審査実行手段
14 査定結果記憶手段
15 査定結果送信手段
2 住宅ローン基幹システム(サーバー)
21 ローン申込受信手段
22 審査データ送信手段
23 ローン仮審査実行手段
24 ローン本審査実行手段
3 情報処理装置
31 ローン申込送信手段
32 顧客誘引情報受信手段
33 団信プラン選択手段
34 告知手段
【要約】 (修正有)
【課題】2本の融資契約であるペアローンを組む際に、連生団体信用生命保険を適用した上で、金融機関の基幹システムと団信基幹システムの連携を図り、実効性を高める団信基幹システムを提供する。
【解決手段】システム構成兼機能ブロックにおいて、団信基幹システムは、住宅ローン基幹システムから、申込番号、ペアローンであるか否かの情報を含む審査データを受信する審査データ受信手段、情報処理装置の団信プラン選択手段で選択された団信種類について、告知手段で入力された現在の体調や過去の病歴等の告知情報に基づき保険審査を行う保険審査実行手段、査定結果を蓄積して記憶する査定結果記憶手段及び一定期間毎のバッチ処理で、住宅ローンがペアローンであって、かつ、連生団体信用生命保険が選択されている場合に、2本の団体信用生命保険申請の査定結果が同一となってから、当該査定結果を住宅ローン基幹システムへ送信する査定結果送信手段を備える。
【選択図】
図3