(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】空気入りタイヤとリムとの組立体及び空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 5/00 20060101AFI20240605BHJP
B60C 19/12 20060101ALN20240605BHJP
【FI】
B60C5/00 F
B60C5/00 H
B60C19/12 A
(21)【出願番号】P 2020081911
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】渡部 大地
(72)【発明者】
【氏名】丹野 篤
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-063208(JP,A)
【文献】特開2008-213417(JP,A)
【文献】特開2009-292462(JP,A)
【文献】特開2015-077973(JP,A)
【文献】特開2014-097791(JP,A)
【文献】特開2006-264406(JP,A)
【文献】特開2017-137032(JP,A)
【文献】特開2019-085063(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076380(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/076383(WO,A1)
【文献】JATMA YERA BOOK,第33版発行,一般社団法人 日本自動車タイヤ協会,2013年01月01日,''R''章 リムの輪郭(特に「9-8」)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/00
B60C 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤとバルブを備えたリムとの組立体において、前記バルブの中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、前記バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して前記角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されて
おり、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材のバルブ側部分の断面積S
A
と前記吸音材の反バルブ側部分の断面積S
B
がS
A
>S
B
の関係を満足することを特徴とする空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項2】
タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤとバルブを備えたリムとの組立体において、前記バルブの中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、前記バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して前記角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されており、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置での高さH
0と前記吸音材の反バルブ側部分の外端位置での高さH
100と前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での高さH
80とがH
0>H
80>H
100の関係を満足することを特徴と
する空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項3】
タイヤ子午線断面において、前記吸音材の反バルブ側部分の外端位置での外表面と前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での外表面とを結ぶ仮想直線がタイヤ軸方向に対してなす角度βが前記角度αに対してα<βの関係を満足することを特徴とする請求項
2に記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項4】
前記角度αの1.1倍である角度γを規定したとき、前記バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して前記角度γでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されていることを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項5】
前記吸音材がタイヤ周方向に沿って延在し、前記吸音材がタイヤ周方向の少なくとも1箇所に欠落部を有し、各欠落部のタイヤ周方向の長さが5mm~150mmの範囲にあることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項6】
前記吸音材の最大幅W
1が前記空気入りタイヤのトレッド部に埋設されたベルト層の最大幅W
0に対してW
1<W
0の関係を満足することを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項7】
前記吸音材が面ファスナーを介してタイヤ内面に装着されていることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
【請求項8】
タイヤ内面に吸音材が装着されると共に、車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤがリム組みされた際の車両外側のビードヒール頂点位置からタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、前記バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されて
おり、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材のバルブ側部分の断面積S
A
と前記吸音材の反バルブ側部分の断面積S
B
がS
A
>S
B
の関係を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項9】
タイヤ内面に吸音材が装着されると共に、車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤがリム組みされた際の車両外側のビードヒール頂点位置からタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、前記バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されており、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置での高さH
0と前記吸音材の反バルブ側部分の外端位置での高さH
100と前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での高さH
80とがH
0>H
80>H
100の関係を満足することを特徴と
する空気入りタイヤ。
【請求項10】
タイヤ子午線断面において、前記吸音材の反バルブ側部分の外端位置での外表面と前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での外表面とを結ぶ仮想直線がタイヤ軸方向に対してなす角度βが前記角度αに対してα<βの関係を満足することを特徴とする請求項
9に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して16.5°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されていることを特徴とする請求項
8~
10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記吸音材がタイヤ周方向に沿って延在し、前記吸音材がタイヤ周方向の少なくとも1箇所に欠落部を有し、各欠落部のタイヤ周方向の長さが5mm~150mmの範囲にあることを特徴とする請求項
8~
11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記吸音材の最大幅W
1がトレッド部に埋設されたベルト層の最大幅W
0に対してW
1<W
0の関係を満足することを特徴とする請求項
8~
12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記吸音材が面ファスナーを介してタイヤ内面に装着されていることを特徴とする請求項
8~
13のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤとバルブを備えたリムとの組立体及び空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、パンク修理液が吸音材に吸収されることを抑制し、パンク修理性能を改善することを可能にした空気入りタイヤとリムとの組立体及び空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、騒音の低減を目的として、タイヤ内面に吸音材が装着されたものがある。一方、空気入りタイヤがパンクした場合、リムのバルブからタイヤ内にパンク修理液を注入する場合がある(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
しかしながら、タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤでは、バルブから注入されたパンク修理液が吸音材に直接当たることにより、パンク修理液が吸音材に吸収されてしまうという問題がある。その結果、タイヤ内で流動可能なパンク修理液の減少により、パンク修理性能が悪化することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2018/143127号
【文献】特許第6481080号公報
【文献】特許第5347555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パンク修理液が吸音材に吸収されることを抑制し、パンク修理性能を改善することを可能にした空気入りタイヤとリムとの組立体及び空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するための本発明の空気入りタイヤとリムとの組立体は、タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤとバルブを備えたリムとの組立体において、前記バルブの中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、前記バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して前記角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されており、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材のバルブ側部分の断面積S
A
と前記吸音材の反バルブ側部分の断面積S
B
がS
A
>S
B
の関係を満足することを特徴とするものである。
更に、上記目的を解決するための本発明の空気入りタイヤとリムとの組立体は、タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤとバルブを備えたリムとの組立体において、前記バルブの中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、前記バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して前記角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されており、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置での高さH
0
と前記吸音材の反バルブ側部分の外端位置での高さH
100
と前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での高さH
80
とがH
0
>H
80
>H
100
の関係を満足することを特徴とするものである。
【0007】
また、上記目的を解決するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内面に吸音材が装着されると共に、車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤがリム組みされた際の車両外側のビードヒール頂点位置からタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、前記バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されており、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材のバルブ側部分の断面積S
A
と前記吸音材の反バルブ側部分の断面積S
B
がS
A
>S
B
の関係を満足することを特徴とするものである。
更に、上記目的を解決するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内面に吸音材が装着されると共に、車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤがリム組みされた際の車両外側のビードヒール頂点位置からタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、前記バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されており、
タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として前記吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置での高さH
0
と前記吸音材の反バルブ側部分の外端位置での高さH
100
と前記吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での高さH
80
とがH
0
>H
80
>H
100
の関係を満足することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤとバルブを備えたリムとの組立体において、バルブの中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に吸音材が配置されることにより、パンク修理液が吸音材に吸収されることを抑制し、パンク修理性能を改善することができる。
【0009】
また、車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤにおいて、空気入りタイヤがリム組みされた際の車両外側のビードヒール頂点位置からタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に吸音材が配置されることにより、上記と同様に、パンク修理液が吸音材に吸収されることを抑制し、パンク修理性能を改善することができる。
【0010】
本発明では、タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、吸音材のバルブ側部分の断面積SAと吸音材の反バルブ側部分の断面積SBがSA>SBの関係を満足することが好ましい。このように吸音材をバルブ側に偏在させることにより、吸音材の体積を十分に確保しながら、パンク修理性能を改善することができる。
【0011】
また、タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置を境として吸音材をバルブ側部分と反バルブ側部分とに区分したとき、吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置での高さH0と吸音材の反バルブ側部分の外端位置での高さH100と吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での高さH80とがH0>H80>H100の関係を満足することが好ましい。このように吸音材の反バルブ側部分をタイヤ幅方向中心位置から外端位置に向かって傾斜させることにより、パンク修理液の注入開始時や注入完了間際のように注入の勢いが弱いときにパンク修理液が吸音材に掛かった場合でも、そのパンク修理液が吸音材の外方へ流れ易くなる。そのため、吸音材によるパンク修理液の吸収量を可及的に低減し、パンク修理時間を短縮することができる。
【0012】
更に、タイヤ子午線断面において、吸音材の反バルブ側部分の外端位置での外表面と吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での外表面とを結ぶ仮想直線がタイヤ軸方向に対してなす角度βは角度αに対してα<βの関係を満足することが好ましい。このように吸音材の反バルブ側部分の外表面の角度βを角度αよりも大きくすることにより、パンク修理液の注入開始時や注入完了間際のように注入の勢いが弱いときにパンク修理液が吸音材に当たり難くなる。パンク修理液が吸音材に掛かった場合でも、そのパンク修理液が吸音材の外方へ流れ易くなる。そのため、吸音材によるパンク修理液の吸収量を可及的に低減し、パンク修理時間を短縮することができる。
【0013】
本発明の空気入りタイヤとリムとの組立体において、角度αの1.1倍である角度γを規定したとき、バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度γでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に前記吸音材が配置されていることが好ましい。或いは、本発明の空気入りタイヤにおいて、バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して16.5°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線とは重ならない位置に吸音材が配置されていることが好ましい。これにより、パンク修理液の注入軌道が低下した際にも、パンク修理液が吸音材に当たり難くなり、パンク修理性能を効果的に改善することができる。
【0014】
吸音材はタイヤ周方向に沿って延在する場合、その吸音材がタイヤ周方向の少なくとも1箇所に欠落部を有し、各欠落部のタイヤ周方向の長さが5mm~150mmの範囲にあることが好ましい。これにより、タイヤ内に注入されたパンク修理液が欠落部を通って吸音材の両側に移動可能になるので、パンク修理性能を効果的に改善することができる。
【0015】
吸音材の最大幅W1は空気入りタイヤのトレッド部に埋設されたベルト層の最大幅W0に対してW1<W0の関係を満足することが好ましい。このように吸音材の最大幅W1をベルト層の最大幅W0よりも小さくすることにより、パンク修理液がタイヤ内面に溜まり易くなるため、パンク修理時間を短縮することができる。
【0016】
吸音材は面ファスナーを介してタイヤ内面に装着されていることが好ましい。吸音材とタイヤ内面との間に面ファスナーを介在させることにより、これら吸音材とタイヤ内面とが互いに密着しない状態となり、その隙間にパンク修理液が流れ込み易くなるため、パンク修理時間を短縮することができる。
【0017】
本発明において、タイヤ子午線断面における各寸法は、空気入りタイヤを正規リムに組み付けて180kPaの内圧を充填した状態でのタイヤ形状に基づいて特定されるものとする。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図2】
図1の空気入りタイヤとリムとの組立体におけるパンク修理液の注入状態を示す子午線断面である。
【
図3】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【
図4】
図3の空気入りタイヤのビード部を拡大して示す断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図15】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図16】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図17】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図18】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図19】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図20】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図21】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図22】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図23】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図24】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図25】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図26】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図27】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示す子午線断面図である。
【
図28】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤを示す赤道線断面図である。
【
図29】
図28の空気入りタイヤにおけるパンク修理液の流動状態を示す切り欠き平面図である。
【
図30】空気入りタイヤとリムとの組立体におけるシール可能時間の測定試験状態を例示する子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示すものである。
図1において、空気入りタイヤTと該空気入りタイヤTが組み付けられたリムRとの組立体が構成されている。
【0020】
空気入りタイヤTは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。トレッド部1には複数層のベルト層4が埋設されている。これらベルト層4はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用されている。
【0021】
空気入りタイヤTにおいて、タイヤ内面5におけるトレッド部1に対応する領域には、タイヤ周方向に沿って延在する帯状の吸音材6が装着されている。吸音材6は、連続気泡を有する樹脂発泡体により構成されている。連続気泡を有する樹脂発泡体としては、ポリウレタンフォーム等が挙げられる。吸音材6のタイヤ子午線断面における形状は特に限定されるものではないが、
図1の例では二等辺三角形になっている。
【0022】
一方、リムRはホイールの一部を構成し、空気入りタイヤTのビード部3に沿って環状に延在している。リムRには空気入りタイヤTの空洞部内に連通するバルブ11が配設されている。バルブ11は車両に対して外側となる位置に配設されている。
【0023】
上述した空気入りタイヤTとリムRとの組立体において、バルブ11の中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、バルブ11の開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L1とは重ならない位置に吸音材6が配置されている。
【0024】
空気入りタイヤTがパンクした場合、
図2に示すように、リムRのバルブ11から空気入りタイヤTの空洞部内にパンク修理液12を注入することができる。パンク修理液12は圧縮空気と共にバルブ11から勢い良く注入されるため、仮想直線L1を中心とする経路で飛散する。上述のようにタイヤ内面5に吸音材6が装着された空気入りタイヤTとバルブ11を備えたリムRとの組立体において、バルブ11の中心軸がタイヤ軸方向に対して角度αで配置されるとき、バルブ11の開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L1とは重ならない位置に吸音材6が配置されることにより、パンク修理液12が吸音材6に吸収されることを抑制し、パンク修理性能を改善することができる。
【0025】
上述した空気入りタイヤTとリムRとの組立体において、角度αの1.1倍である角度γを規定したとき、バルブ11の開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度γでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L2とは重ならない位置に吸音材6が配置されていると良い。これにより、パンク修理液12の注入軌道が低下した際にも、パンク修理液12が吸音材6に当たり難くなり、パンク修理性能を効果的に改善することができる。特に、角度γは角度αの1.2倍であることが望ましい。
【0026】
吸音材6の最大幅W1は、空気入りタイヤTのトレッド部1に埋設されたベルト層4の最大幅W0に対してW1<W0の関係を満足していると良い。このように吸音材6の最大幅W1をベルト層4の最大幅W0よりも小さくすることにより、パンク修理液12がタイヤ内面5に溜まり易くなるため、パンク修理時間を短縮することができる。つまり、吸音材6の最大幅W1がベルト層4の最大幅W0よりも大きいと吸音材6の側面からパンク修理液12が吸収され易くなり、流動可能なパンク修理液12が減少するため、パンク修理時間に掛かる時間が増加する。
【0027】
図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
図1と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
図3において、空気入りタイヤTは、タイヤ内面5に吸音材6が装着されると共に、車両に対する装着方向が指定され、その装着方向がタイヤ外面に表示されている。
図3において、OUTは車両装着時の車両外側であり、INは車両装着時の車両内側である。リムRのバルブ11は車両に対して外側となる位置に配設されるので、車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤTでは、リムRに装着した際のバルブ11の位置が概ね特定される。
【0028】
そこで、空気入りタイヤTがリムRに組み付けられた組みされた際の車両外側のビードヒール頂点位置Phからタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°(α=15°)の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L1とは重ならない位置に吸音材5が配置されている。なお、ビードヒール頂点位置Phは、
図4に示すように、タイヤ子午線断面において、タイヤ軸中心位置からリム半径分だけ離れた位置でタイヤ軸方向に対して平行となるビードベースラインBLとリムフランジに当接するフラットな領域であるビード背面Brの延長線との交点からビードヒールBhに対して垂直に延ばした直線とビードヒールBhとが交差する点である。
【0029】
上述のように車両に対する装着方向が表示された空気入りタイヤTにおいて、空気入りタイヤTがリムRに組み付けられる際の車両外側のビードヒール頂点位置Phからタイヤ幅方向内側へ30mmかつタイヤ径方向内側へ10mmとなる位置をバルブ仮想点Pとしたとき、バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して15°の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L1とは重ならない位置に吸音材6が配置されることにより、パンク修理時にパンク修理液12が吸音材6に吸収されることを抑制し、パンク修理性能を改善することができる。
【0030】
上述した空気入りタイヤTにおいて、バルブ仮想点Pからタイヤ軸方向に対して16.5°(γ=α×1.1=16.5°)の角度でタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L2とは重ならない位置に吸音材6が配置されていると良い。これにより、パンク修理液12の注入軌道が低下した際にも、パンク修理液12が吸音材6に当たり難くなり、パンク修理性能を効果的に改善することができる。特に、タイヤ軸方向に対する仮想直線L2の角度は18°(γ=α×1.2=18°)であることが望ましい。
【0031】
図5~
図17はそれぞれ本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示すものである。
図5~
図17の実施形態では、タイヤ子午線断面において、吸音材6がタイヤ幅方向中心位置の両側で対称的に配置されている。
図5では吸音材6が横長の長方形をなし、
図6では吸音材6が縦長の長方形をなし、
図7では吸音材6が台形をなし、
図8では吸音材6が円形をなし、
図9では円形をなす複数の吸音材6が配設され、
図10では吸音材6が楕円形をなし、
図11では吸音材6が半楕円形をなし、
図12では吸音材6が面取りされた長方形をなしている。
図13では吸音材6が長方形の基礎部分上に一対の台形部分を有し、
図14では吸音材6が長方形の基礎部分上に一対の半楕円形部分を有し、
図15では吸音材6が長円形をなし、
図16では吸音材6が台形の基礎部分上に三角形部分を有し、
図17では吸音材6が星形をなしている。
【0032】
図18~
図27はそれぞれ本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤとリムとの組立体を示すものである。
図18~
図27の実施形態では、タイヤ子午線断面において、吸音材6がタイヤ幅方向中心位置の両側で非対称的に配置されている。
図18では横長の長方形の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLからバルブ11側へずれた位置に配置され、
図19では縦長の長方形の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLからバルブ11側へずれた位置に配置され、
図20では大きさが異なる2つの長方形の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLの両側に配置され、
図21では直角三角形の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLよりもバルブ11側で高くなるように配置され、
図22では階段状の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLよりもバルブ11側で高くなるように配置され、
図23では円形をなす複数の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLよりもバルブ11側で大きな直径を持つように配置され、
図24では台形の吸音材6がバルブ11側で高くなるように配置され、
図25では三角形の吸音材6がタイヤ幅方向中心位置CLからバルブ11側へずれた位置に配置され、
図26ではタイヤ幅方向中心位置CLよりもバルブ11側で長方形をなし、その反対側で半楕円形をなす吸音材6が使用され、
図27ではタイヤ幅方向中心位置CLよりもバルブ11の反対側で一部が欠けた長方形をなす吸音材6が使用されている。
【0033】
上述した空気入りタイヤTとリムRとの組立体では、例えば、
図18に示すように、タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置CLを境として吸音材6をバルブ側部分6Aと反バルブ側部分6Bとに区分したとき、吸音材6のバルブ側部分6Aの断面積S
Aと吸音材6の反バルブ側部分6Bの断面積S
BがS
A>S
Bの関係、より好ましくは、S
A>S
B>0mm
2を満足していると良い。このように吸音材6をタイヤ幅方向中心位置CLよりもバルブ11側に配置するか、或いは、反バルブ側部分6Bの断面積S
Bを相対的に小さくすることにより、吸音材6の体積を十分に確保しながら、パンク修理性能を改善することができる。
【0034】
また、上述した空気入りタイヤTとリムRとの組立体では、例えば、
図24~
図27に示すように、タイヤ子午線断面において、タイヤ幅方向中心位置CLを境として吸音材6をバルブ側部分6Aと反バルブ側部分6Bとに区分したとき、反バルブ側部分6Bのタイヤ幅方向中心位置CLでの高さH
0と、反バルブ側部分6Bの外端位置での高さH
100と、反バルブ側部分6Bのタイヤ幅方向中心位置CLから外端位置までの距離の80%となる位置での高さH
80とが、H
0>H
80>H
100の関係を満足していると良い。このように吸音材6の反バルブ側部分6Bをタイヤ幅方向中心位置CLから外端位置に向かって傾斜させることにより、パンク修理液12の注入開始時や注入完了間際のように注入の勢いが弱いときにパンク修理液12が吸音材6に掛かった場合でも、そのパンク修理液12が吸音材6の外方へ流れ易くなる。そのため、吸音材6によるパンク修理液12の吸収量を可及的に低減し、パンク修理時間を短縮することができる。
【0035】
更に、上述した空気入りタイヤTとリムRとの組立体では、例えば、
図24~
図27に示すように、タイヤ子午線断面において、反バルブ側部分6Bの外端位置での外表面と反バルブ側部分6Bのタイヤ幅方向中心位置CLから外端位置までの距離の80%となる位置での外表面とを結ぶ仮想直線L3がタイヤ軸方向に対してなす角度βは角度αに対してα<βの関係を満足していると良い。このように吸音材6の反バルブ側部分6Bの外表面の角度βを角度αよりも大きくすることにより、パンク修理液12の注入開始時や注入完了間際のように注入の勢いが弱いときにパンク修理液12が吸音材6に当たり難くなる。また、パンク修理液12が吸音材6に掛かった場合でも、そのパンク修理液12が吸音材6の外方へ流れ易くなる。そのため、吸音材6によるパンク修理液12の吸収量を可及的に低減し、パンク修理時間を短縮することができる。ここで、角度βが角度αよりも小さいと、パンク修理液12の流れが減速した際に吸音材6にパンク修理液12が当たり易くなり、パンク修理に掛かる時間が増加する恐れがある。
【0036】
図28及び
図29は本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
図28において、吸音材6はタイヤ周方向に沿って延在しているが、その吸音材6がタイヤ周方向の少なくとも1箇所(好ましくは、複数個所)に欠落部6Xを有し、各欠落部6Xのタイヤ周方向の長さXが5mm~150mmの範囲に設定されている。これにより、
図29に示すように、空気入りタイヤT内に注入されたパンク修理液12が欠落部6Xを通って吸音材6の両側に移動可能になるので、パンク修理性能を効果的に改善することができる。
【0037】
ここで、各欠落部6Xのタイヤ周方向の長さXが5mm未満であると吸音材6の両側にパンク修理液12が十分に流れ込まなくなり、逆に150mm超であるとタイヤ周方向のバランスが崩れ、空気入りタイヤTのユニフォミティが悪化する要因となる。特に、各欠落部6Xのタイヤ周方向の長さXが10mm~120mmの範囲にあることが望ましい。
【0038】
図28に示すように、吸音材6は面ファスナー7を介してタイヤ内面5に装着されていると良い。吸音材6とタイヤ内面5との間に面ファスナー7を介在させることにより、これら吸音材6とタイヤ内面5とが互いに密着しない状態となり、その隙間にパンク修理液12が流れ込み易くなるため、パンク修理時間を短縮することができる。なお、吸音材6は接着剤や粘着剤によりタイヤ内面5に装着されていても良い。また、
図28及び
図29の構造は
図1~
図27の実施形態において適用することが好ましい。
【実施例】
【0039】
タイヤ内面に吸音材が装着された空気入りタイヤ(タイヤサイズ:225/45R18)とバルブを備えたリム(リムサイズ:18×7.5J)との組立体において、吸音材の配置を種々異ならせた比較例1及び実施例1~8の組立体を製作した。比較のため、吸音材を持たない空気入りタイヤとリムとの組立体(基準例)を用意した。バルブの中心軸のタイヤ軸方向に対する角度αは15°である。
【0040】
比較例1及び実施例1~8において、バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度αでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L1上の吸音材の有無、吸音材のバルブ側部分の断面積SAと吸音材の反バルブ側部分の断面積SBとの比SB/SA、吸音材の反バルブ側部分の傾斜の有無、吸音材の反バルブ側部分の角度βと角度αとの比α/β、バルブの開口端の中心位置からタイヤ軸方向に対して角度γでタイヤ径方向外側に向かって延びる仮想直線L2上の吸音材の有無、吸音材の欠落部の数、吸音材の最大幅W1とベルト層の最大幅W0との比W1/W0、吸音材の固定形態を表1のように種々異ならせた。
【0041】
なお、吸音材の反バルブ側部分の傾斜について、吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置での高さH0と吸音材の反バルブ側部分の外端位置での高さH100と吸音材の反バルブ側部分のタイヤ幅方向中心位置から外端位置までの距離の80%となる位置での高さH80とがH0>H80>H100の関係を満足する場合を「有」で示し、この関係を満足しない場合を「無」で示した。
【0042】
これら基準例、比較例1及び実施例1~8の組立体について、下記の方法により、シール可能時間を測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0043】
シール可能時間:
図30に示すように、空気入りタイヤのセンター部に、「JIS A 5508」の規格に基づいた鉄丸釘「N38(長さ:38mm、胴部径:2.15mm)」を、タイヤトレッド面と釘頭部が接するように打ち込んでパンクさせ、釘を抜き取り、バルブを介して空気と共に450mlのパンク修理液を注入して空気圧を230kPaとした後、速度40km/hで走行させ、パンク孔がシールするまでに要した時間を測定した。評価結果は、基準例を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほどシール可能時間が短いことを意味する。特に、指数値が200より大きいと空気圧の低下が顕著になり、空気の再注入が必要となるが、200以下であればパンク修理性能が良好である。
【0044】
【0045】
表1から判るように、実施例1~8の組立体では、吸音材を備えた比較例1との対比において、いずれもシール可能時間が短く、パンク修理性能が良好であった。
【符号の説明】
【0046】
1 トレッド部
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 ベルト層
5 タイヤ内面
6 吸音材
6A バルブ側部分
6B 反バルブ側部分
7 面ファスナー
11 バルブ
12 パンク修理液
R リム
T 空気入りタイヤ