(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】駆動遮蔽及びタッチ要素ロックアルゴリズムの使用
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
G06F3/02 530
G06F3/02 F
G06F3/02 400
(21)【出願番号】P 2021505700
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 US2019043203
(87)【国際公開番号】W WO2020028112
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-24
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】イディン ルオ
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-051587(JP,A)
【文献】特表2017-532676(JP,A)
【文献】特開2015-184888(JP,A)
【文献】特開2009-239649(JP,A)
【文献】特表2016-536726(JP,A)
【文献】特開2013-222283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
タッチインタフェース
であって、
第1の電極と第2の電極とを含
む複数の電極と、
或る平面において前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されて前記第1の電極と前記第2の電極とを囲む遮蔽デバイス
であって、
前記第1の電極との第1の相互容量性結合を確立し、
前記第2の電極との第2の相互容量性結合を確立する、
ように構成され
る、前記遮蔽デバイスと、
を含む、前記タッチインタフェースと、
前記
タッチインタフェースに結合されるコントローラ
であって、
蓄積位相と転送位相との間の前記第1の相互容量性結合の静電容量
における第1の変化と
、
前記蓄積位相と前記転送位相との間の前記第2の相互容量性結合の静電容量
の第2の変化と
、
前記第1の変化と前記第2の変化との大きいものに基づいて前記第1の電極又は前記第2の電極が接触されたかを判定することと、
に基づいて接触を検出するように構成される
、前記コントローラと、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の電極が前記タッチインタフェースの複数のボタンの第1のボタンに対応し、前記第2の電極が前記タッチインタフェースの前記複数のボタンの第2のボタンに対応し、
前記コントローラが、
前記第1の変化と前記第2の変化との大きいものに基づいて前記タッチインタフェースの前記ボタンのうちのどのボタンが前記接触に対応するかを識別するように
更に構成される、装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の装置であって、
前記コントローラが、
前記接触を
検出することに応答して前記タッチインタフェースをロックし、
前記第1のボタンの解除を検出
することに応答して前記タッチインタフェースをロック解除する、
ように更に構成される、装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の装置であって、
前記コントローラが、前記
第1の相互容量性結合の第1の静電容量値、前記
第2の相互容量性結合の第2の静電容量値、又はタッチ検出閾値を満たすそれらの組み合わせ
、に応答して接触を検出するように
更に構成される、装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の装置であって、
前記コントローラが、前記タッチインタフェース上の液体を検出することに応答して、前記タッチ検出閾値を増大させるように
更に構成される、装置。
【請求項6】
請求項
4に記載の装置であって、
前記コントローラが、前記第1の静電容量値
と前記第2の静電容量値
とが前記タッチインタフェースの複数のボタンが同時に接触されたことを示す
こと
を判定することに応答して、前記タッチインタフェース上に液体が存在すると判定するように
更に構成される、装置。
【請求項7】
タッチインタフェースにおける接触を検出する方法であって、
蓄積位相と転送位相との間の前記タッチインタフェース
の遮蔽デバイスと前記タッチインタフェース
の複数の電極の第1の電極との第1の相互容量性結合の静電容量における第1の変化を
検出すること
と、
前記蓄積位相と前記転送位相との間の前記遮蔽デバイスと前記複数の電極の
第2の電極
との第2の相互容量性結合の静電容量
における第2の変化を
検出すること
と、
前記
第1の変化と前記第2の変化との大きいものに基づいて前記第1の電極又は前記第2の電極が接触された
かを判定すること
によって接触を検出することと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の方法であって、
前記
第1の電極が前記タッチインタフェース
の複数のボタンの第1のボタンに対応し、前記
第2の電極が
前記複数のボタンの第2のボタンに対応し、
前記
方法が、
前記第1の変化と前記第2の変化との大きいものに基づいて前記複数のボタンのうちのどのボタンが前記接触に対応するかを識別することを
更に含む、方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の方法であって、
前記接触を検出することに応答して前記タッチインタフェースをロックすること
と、
前記
第1の
ボタンの開放を検出することに応答して前記タッチインタフェースをロック解除すること
と、
を更に含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1の相互容量性結合の第1の静電容量値、前記第2の相互容量性結合の第2の静電容量値、又は接触検出閾値を満足するそれらの組み合わせ、に応答して接触を検出することを更に含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記タッチインタフェース上の液体を検出することに応答して前記接触検出閾値を増大させることを更に含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記第1の静電容量値と前記第2の静電容量値とが前記タッチインタフェースの複数のボタンが同時に接触されたことを示すことを判定することに応答して、前記タッチインタフェース上に液体が存在すると判定することを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
容量性タッチ検出手法は、タッチスクリーンやキーパッドなどの多くのタッチ駆動デバイスで用いられている。このようなタッチ駆動デバイスは、複数のセンサを含み、センサの静電容量における測定された変化に基づいてタッチ位置を検出する。例えば、センサ付近にユーザーの指があると、複数のセンサのうちの1つのセンサの静電容量が増減し、その結果、タッチ駆動デバイスがセンサの位置における接触を検出する。しかしながら、容量性タッチセンサの表面に存在する液体が、タッチ検出と干渉し得る。例えば、容量性タッチセンサの表面に存在する液体は、第1のセンサと第2のセンサとの間に電気接続を確立し得、そのため、第1のセンサに触れるユーザーが第1のセンサ及び第2のセンサ両方の静電容量に影響を及ぼし得る。更に、容量性タッチセンサ上に存在する液体は、センサと容量性タッチセンサシステムの周囲接地構成要素との間に電気接続を確立し得、センサは静電容量を変化させ、タッチデバイスがユーザータッチを誤って検出し得る。
【発明の概要】
【0002】
幾つかの例において、タッチデバイスが、コントローラと、複数の電極(例えば、センサ)及び駆動遮蔽を含むタッチインタフェースとを含む。コントローラは、複数の電極の各々に結合され、時間の経過に伴う静電容量変化を検出するように構成される。駆動遮蔽は、駆動遮蔽が複数の電極の各々と複数の電極の互いとの間に位置するように、平面において複数の電極を囲む。駆動遮蔽及び複数の電極は、共通の電圧(例えば、基準電圧)に駆動されるように構成される。
【0003】
相互モード実装において、コントローラは、駆動遮蔽に及び複数の電極の各々に結合される。駆動遮蔽は、相互モードレシーバとして動作する複数の電極の各々のための相互モードトランスミッタとして機能するように構成される。レシーバの各々のトランスミッタとして駆動遮蔽を用いることにより、レシーバの各々が対応する固有のトランスミッタを有する実装と比較して、タッチインタフェースとコントローラとの間の入力/出力接続の数が低減される。
【0004】
相互モード実装及びセルフモード実装の両方において、駆動遮蔽は、複数の電極間の交差結合効果を低減し得る。交差結合を低減すると、接触された電極と接触されていない電極との間の静電容量差を大きくなり得る。したがって、コントローラは駆動遮蔽のない実装と比較して、接触が生じたか否かを判定するためにより高い閾値を用いることができる。そのようなより高い閾値は、液体の存在によって引き起こされる偽陽性タッチ検出を減少させることができる。また、駆動遮蔽が接地に保たれていないため、複数の電極が接地に結合して静電容量変化を起こすことを防ぐことができる。従って、駆動遮蔽は、液体の存在下でタッチデバイスの信頼性を増大させることができる。
【0005】
コントローラは、複数の電極に関連する静電容量の変化を監視し、それに応じて接触を検出するように構成される。
【0006】
幾つかの例において、コントローラは、タッチインタフェース上で液体が検出されたか否かに基づいてタッチ検出閾値を設定するように構成される。タッチインタフェース上の液体の検出に応答して高められた閾値を用いることによって、コントローラは、タッチインタフェースにわたって流れる水によって引き起こされる偽陽性を防止し得る。
【0007】
幾つかの例において、コントローラは、電極に関連する静電容量の変化がタッチインタフェースの他の電極に関連する静電容量の検出された変化よりも大きいことを判定するのに応答して、その電極を検出され接触された電極として選択するように構成される。静電容量の最大の検出された変化に関連する電極を選択することは、コントローラが、タッチインタフェースにわたって流れる水によって生じる静電容量変化に関連する電極を選択する尤度を低減し得る。例えば、タッチインタフェースにわたって流れる水は、ユーザーの指を一つ又は複数の電極に結合し得るが、ユーザーの指に最も近い電極は、タッチインタフェースの他の電極と比べてより大きな静電容量変化に関連し得る。従って、最も多く検出された変化に関連する電極を選択することで、タッチ検出の精度が向上し得る。
【0008】
幾つかの例において、コントローラは、電極の1つに対応するタッチの検出に応答して、タッチインタフェースをロックするように構成される。例えば、コントローラは、「1」鍵に関連する電極に対応する接触を検出することに応答して、検出を「1」にロックし得る。コントローラが特定の値にロックされている一方で、コントローラは、複数の電極のうちの他のものに対応するタッチを示す静電容量変化を無視する。例えば、タッチインタフェースがロックされている一方で、コントローラは、「2」鍵に関連する電極に対応する静電容量変化を検出しているにもかかわらず、「2」を出力しないことがある。コントローラは、複数の電極のうちの1つもはや接触されていないことを示す静電容量変化をコントローラが検出するまで、ロックを維持する。タッチインタフェースをロックすることは、複数の電極のうちの他のものに対応するタッチをコントローラが誤って報告することを防止し得、一方で、複数の電極のうちの特定のものにユーザーがタッチし、ユーザーと複数の電極のうちの他のものとの間の電気接続を確立するタッチデバイスにわたって水が動的に流れる。
【0009】
幾つかの例において、或る装置が、複数の電極と遮蔽デバイスとを含むタッチインタフェースを含む。遮蔽デバイスは、複数の電極の第1の電極との第1の相互容量性結合を確立するように構成される。遮蔽デバイスは更に、複数の電極の第2の電極との第2の相互容量性結合を確立するように構成される。装置は、タッチインタフェースに結合されたコントローラを更に含む。コントローラは、第1の相互容量性結合の検出された第1の静電容量値と、第2の相互容量性結合の検出された第2の静電容量値とに基づいて、接触を検出するように構成される。
【0010】
幾つかの例において、或る方法が、コントローラにおいて、タッチインタフェース上に液体が存在するか否かを判定することを含む。この方法は、タッチインタフェース上に液体が存在するか否かの判定に基づいてタッチ検出閾値を設定する工程を更に含む。この方法は、タッチ検出閾値を満たす複数の電極のうちの或る電極に関連する静電容量の変化を判定することに応答して、タッチインタフェースが接触されたことを判定する工程を更に含む。
【0011】
幾つかの例において、コンピュータ読み取り可能ストレージデバイスが、一つ又は複数のプロセッサにより実行可能な命令を記憶して、コントローラにおいて、タッチインタフェース上に液体が存在するか否かを判定する。命令は更に、タッチインタフェース上に液体が存在するか否かの判定に基づいてタッチ検出閾値を設定するように、一つ又は複数のプロセッサによって実行可能である。命令は更に、タッチ検出閾値を満たす複数の電極のうちの或る電極に関連する静電容量の変化の判定に応答して、タッチインタフェースが接触されたことを判定するために、一つ又は複数のプロセッサによって実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】駆動遮蔽を含むタッチ検出システムのブロック図である。
【0013】
【
図2】タッチ検出システムを含むタッチデバイスの図である。
【0014】
【
図3】平面における駆動遮蔽及び電極の配置を示すタッチデバイスの第1の断面図である。
【0015】
【
図4】第2の平面における駆動遮蔽及び電極の配置を示すタッチデバイスの第2断面図である。
【0016】
【
図5】容量性タッチインタフェース上の接触を検出する方法を図示するフローチャートである。
【0017】
【
図6】本明細書に記載されるタッチ検出手法を実装し得るコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
液体の存在に対してより回復性があり得る容量性タッチデバイス及び方法が記載される。
図1を参照すると、タッチ検出システム100のブロック図が示されている。タッチ検出システム100は、コントローラ104に結合されるタッチインタフェース102を含む。タッチインタフェース102は、複数の電極106と、駆動遮蔽110とを含む。駆動遮蔽110は電極を含み得る。ある実装では、複数の電極及び駆動遮蔽110が、印刷回路基板(PCB)上のトレース又はパッドに対応する。コントローラ104は、タッチインタフェース102と同じ基板上に含まれ得る。図示した例において、タッチインタフェース102はオーバーレイ111を更に含む。オーバーレイ111は、複数の電極106及び駆動遮蔽110に近接して位置する層に対応し得る。オーバーレイ111は、プラスチック又は他の材料を含み得、複数の電極106に対応するタッチボタンを含み得る。
【0019】
コントローラ104は、マイクロコントローラ又は本明細書に記載されるオペレーションを行うように構成される他の処理デバイスに対応する。コントローラ104は、駆動遮蔽110を基準電圧に駆動し、複数の電極106を充電するように構成される。コントローラ104は更に、複数の電極106を基準電圧に駆動し得る。相互モードの例では、複数の電極106がレシーバとして作用する一方で駆動遮蔽110がトランスミッタとして作用し、駆動遮蔽110と複数の電極106との間に相互容量性結合がつくられる。そのため、相互モードの例では、複数の電極106の各々が、駆動遮蔽110と共に静電容量センサを形成する。自己モードの例では、複数の電極106の各々が静電容量センサに対応する。
【0020】
コントローラ104は、複数の電極106に関連する静電容量値の変化を検出するように構成される。相互モードの例において、電極に関連する静電容量値が、その電極と駆動遮蔽110との間の相互静電容量に対応する。セルフモードの例では、電極に関連する静電容量値が、電極の静電容量に対応する。例示的な例において、コントローラ104は、基準コンデンサを基準静電容量に充電するために電極が用いる充電サイクルの数をカウントすることによって、複数の電極106のうちの1つに関連する静電容量変化を検出するように構成される。
【0021】
相互モード例のオペレーションにおいて、コントローラ104は、複数の電極106と駆動遮蔽110との間の相互静電容量結合の静電容量値の変化を監視し、検出された変化と閾値との比較に基づいて接触を検出する。例えば、コントローラ104は、ユーザーがオーバーレイ111のタッチボタンの1つにタッチしたことを、駆動遮蔽110とそのボタンに対応する複数の電極106のうちの1つとの間の相互静電容量の静電容量変化に基づいて判定し得る。相互静電容量の変化は、充電位相と移送位相との間の電極と駆動遮蔽110との間の相互静電容量の変化(例えば、相互モードの例において)に対応し得る。相互モードの例では、コントローラ104は、閾値を満たす相互静電容量の低下を検出することに応答して接触を検出し得る。自己モードの例のオペレーションにおいて、コントローラ104は、複数の電極106の静電容量値の変化を監視し、検出された変化と閾値との比較に基づいて接触を検出する。例えば、コントローラ104は、ユーザーがオーバーレイ111のタッチボタンの1つにタッチしたことを、複数の電極106のうちの対応するものにおける静電容量変化に基づいて判定し得る。自己モードの例では、コントローラ104は、閾値を満たす静電容量の増大を検出することに応答して接触を検出し得る。駆動遮蔽110の配置は、以下に更に説明するように、タッチインタフェース102の表面上に液体が存在する場合に、(相互モード及び自己モードの両例において)コントローラ104によって生成される不正確なタッチ検出の出現を低減し得る。
【0022】
図2を参照すると、タッチ検出システム100を含む例示的なタッチデバイス200の図が示される。図示した例において、オーバーレイ111は、ケース206に埋め込まれるタッチ表面に対応する。ケース206は、プラスチック又は他の材料を含み得る。タッチ表面は、第1のボタン202及び第2のボタン204を含む12個のタッチボタンを含む。いくつかの実装において、タッチデバイス200は、電子機器ロックシステムを制御するように構成される。例えば、コントローラ104は、タッチインタフェース102上で検出された接触に基づいて電子機器ロックを係合及び係合解除するように構成され得る。代替的に、コントローラ104は、タッチインタフェース102上で検出された接触に基づいて、別個の電子機器ロックコントローラに合図するように構成されてもよい。幾つかの例において、オーバーレイ111は、図示されたものとは異なる個数のタッチボタンを含み得、又はタッチスクリーンに対応し得る。
【0023】
図3は、駆動遮蔽110及び複数の電極106を示すタッチデバイス200の第1の断面図を図示する。複数の電極106の各々は、オーバーレイ111の複数のボタン(例えば、相互モード又は自己モード静電容量ボタン)の1つに対応する。例えば、第1の電極l06aが第1のボタン202に対応し、第2の電極l06bが第2のボタン204に対応する。
図3に示す平面において、駆動遮蔽110は、複数の電極106の各々を囲み、複数の電極106の各々と複数の電極106の互いとの間に位置する。例えば、駆動遮蔽110は、第1の電極l06a及び第2の電極l06bを囲み、第1の電極l06aと第2の電極l06bとの間に位置する。上述したように、コントローラ104は、駆動遮蔽110を基準電圧に駆動し、複数の電極106を充電するように構成される。コントローラ104は更に、複数の電極106を基準電圧に駆動し得る。従って、複数の電極106及び駆動遮蔽110を駆動する信号は、類似又は同一の波形を有し得る。駆動遮蔽110は、複数の電極106の各々と複数の電極106の互いとの間に位置するので、駆動遮蔽110によって生成される電界は、複数の電極106の交差結合を低減し得る。
【0024】
交差結合は、オーバーレイ111上に存在する空気又は液体を介して生じ得る。例えば、第1のボタン202と第2のボタン204との間でオーバーレイ111の表面上を流れる液体は、第1の電極l06aと第2の電極l06bとを電気的に結合し得る。第1の電極l06a間の相互結合は、第1の電極l06a(例えば、タッチ)に関連する静電容量に影響を与える要因に、第2の電極l06bに関連する静電容量にも影響を与えさせ得る。駆動遮蔽110によって生成される電界は、第1のボタン202と第2のボタン204との間を液体が流れている場合であっても、第1の電極l06aと第2の電極l06bとの間の相互結合を低減し得る。第1の電極l06aと第2の電極l06bとの間の相互結合を減少させることは、ユーザーの指が第1のボタン202に触れることに起因する2つの電極l06a、l06bに関連する静電容量変化の差を増大させ得る。従って、コントローラ104は、駆動遮蔽のないシステムと比較して、接触が第2のボタン204ではなく第1のボタン202に対応することをより容易に識別し得る。
【0025】
また、駆動遮蔽110を置くことで、液体が複数の電極106を接地(又は複数の電極106の電圧とは別の電圧)と結合することを妨げることができる。例示のため、タッチインタフェースの例は、第1の電極l06aを囲む接地された要素を含み得る。そのような例では、タッチインタフェース上に存在する液体が電極を接地された要素と結合させ、その結果、電極に関連する静電容量の変化をもたらし得る。これにより、タッチインタフェース上に指が存在しない場合でも、電極に関連する接触が検出される可能性がある。これに対し、第1のボタン202からオーバーレイ111の別の部分に流れる液体は、第1の電極l06aを接地に結合しない可能性がある。なぜなら、駆動遮蔽110と第1の電極l06aは、同じ基準電圧に駆動されるからである。そのため、駆動遮蔽110は、タッチインタフェース102上に存在する液体の結果として、接触が発生したことをコントローラ104が誤って検出する可能性を更に低減し得る。
【0026】
相互モードの例では、コントローラ104は、複数の電極106の電極の各々を相互モードレシーバとして動作させるように、及び、複数の電極106の各々について相互モードトランスミッタとして駆動遮蔽110を駆動するように構成される。例示的な例において、コントローラ104は、第1の電極l06aと駆動遮蔽110との間に第1の相互容量性結合を確立し、第2の電極l06bと駆動遮蔽110との間に第2の相互容量性結合を確立するために、複数の電極106と駆動遮蔽110とを駆動する。コントローラは、第1の相互容量性結合の第1の静電容量値と、第2の相互容量性結合の第2の静電容量値とを監視して、第1のボタン202又は第2のボタン204のうちの1つが接触されたか否かを判定するように構成される。いくつかの実装において、電極106の各々が、コントローラ104への対応するディスクリート接続を有する。従って、コントローラ104は、一群のトランスミッタからの多重化された信号をコントローラが受信するシステムと比較して、液体の存在下での接触をより正確に検出し得る。駆動遮蔽110は、第1の電極l06a及び第2の電極l06bの両方のためのトランスミッタとして用いられるので、各レシーバに対して固有のトランスミッタを用いる相互モードタッチセンサシステムと比較して、トランスミッタからコントローラ104への接続がより少ない可能性がある。従って、コントローラ104が含み得る、トランスミッタ専用の入力/出力ピンを、他のシステムで用いられるコントローラと比較して少なくし得る。
【0027】
加えて、タッチインタフェース102上に位置する液体は、電極106のうちの1つと駆動遮蔽110との間の電界結合を増大させ得る(例えば、液体は空気よりも高い誘電率を有するため)。従って、タッチインタフェース102上に存在する液体は、電極106のうちの1つと駆動遮蔽110との間の相互静電容量を増大させ得る。上述したように、コントローラ104は、相互静電容量の減少に基づいて接触を検出し得る。したがって、駆動遮蔽110は、少なくともこの追加の理由について偽陽性を低減し得る。
【0028】
図4は、タッチデバイス200の第2の断面図を示す。図示した例において、複数の電極106及び駆動遮蔽110は、PCB402のトレース又はパッドに対応する。複数の電極106及び駆動遮蔽110は、接地層306に近接するPCBコア層304に埋め込まれる。PCBコア層304は、FR‐4材料などの合成材料を含み得る。接地層306は、接地点に結合された銅フォイルを含み得る。図示されていないが、コントローラ104もPCB402上に配置され得る。図示するように、駆動遮蔽110は、複数の電極106の間に位置する。例えば、駆動遮蔽110は、第1の電極l06aと第2の電極l06bとの間に位置する。従って、駆動遮蔽110の電界は、オーバーレイ111にわたって流れる液体によって生じる交差結合効果を低減し得る。また、駆動遮蔽110は、液体が複数の電極106のうちの1つの接地に結合することを防止し得る。
【0029】
図5を参照すると、容量性タッチシステムにおける接触を検出する方法500が図示される。方法500は、コントローラ104によって、又は容量性タッチシステム内の別のコントローラによって実施され得る。方法500を実施する一方で、コントローラ104又は他のコントローラは、複数の要素(例えば、複数の電極106)に関連する静電容量値(例えば、静電容量の変化)を定期的に評価する。方法500は、502において、タッチインタフェース上に液体が存在するか否かを判定することを含む。例えば、コントローラ104は、オーバーレイ111上に液体が存在するか否かを判定し得る。コントローラ104は、時間の閾値期間内にオーバーレイ111の2つ又はそれ以上のボタンの同時接触を検出することに応答して、オーバーレイ111上に液体が存在することを判定し得る。例えば、コントローラ104は、コントローラ104が最後の5分以内の同時に第1のボタン202及び第2のボタン204両方への接触を検出したと判定することに応答して、オーバーレイ111上に液体が存在すると判定し得る。
【0030】
タッチインタフェース上に液体が存在しないと判定することに応答して、方法500は、504において、タッチ閾値をベースレベルに設定することを含む。タッチインタフェース上に液体が存在することを判定することに応答して、方法500は、506において、タッチ閾値を高められたレベルに設定することを含む。タッチ閾値は、接触が生じたか否かを判定するために容量性のタッチシステムによって用いられる静電容量変化に対応する。例えば、コントローラ104は、オーバーレイ111上に液体が存在しないと判定したことに応答して、タッチ閾値を1ピコファラド(pF)に設定し得る。あるいは、コントローラ104がオーバーレイ上に液体が存在することを判定することに応答して、タッチ閾値を2pFに設定し得る。
【0031】
方法500は、508において、或る電極に関連する静電容量の変化がタッチ閾値を超えるか否かを判定することを更に含む。例えば、コントローラ104は、複数の電極106のいずれかに関連付けられた静電容量がタッチ閾値を満たす分だけ変化したか否かを判定し得る。相互モードの例において、複数の電極106に関連する静電容量は、複数の電極106の各々と駆動遮蔽110との間の相互静電容量に対応する。コントローラ104はオーバーレイ111上に液体が存在すると判定することに応答して、上昇されたタッチ閾値を用いるので、複数のボタンの外側のオーバーレイ111の湿ったエリアへの接触は、タッチ閾値を満たす複数の電極106のうちの1つに関連する静電容量変化を引き起こしにくくなり得る。したがって、偽陽性を防止し得る。監視された要素に関連する静電容量変化がタッチ閾値を超えない場合、方法500は、502において、静電容量変化を監視し続けること及びタッチ閾値を再評価することを含む。
【0032】
方法500は更に、510において、検出された接触された要素を、複数の監視された要素の中で静電容量の最大の変化に関連する要素に設定することを含む。例えば、コントローラ104は、検出された接触された電極を、複数の電極106の中で静電容量の最大の変化に関連する複数の電極106の電極に設定し得る。例示のため、コントローラ104は、第1の電極l06aが、複数の電極106内の他の電極に関連する検出された静電容量変化よりも大きい検出された静電容量変化に関連すると判定することに応答して、検出されたタッチ電極を第1の電極l06aに設定し得る。コントローラ104は、複数の電極106の中で最も高い静電容量変化に関連する電極を、検出された電極として選択するので、コントローラ104は、ユーザーの指を電極に液体結合させることによって生じる静電容量変化に関連する電極を選択することを回避し得る。
【0033】
方法500は、512において、検出された接触された要素に基づいて値を出力することを更に含む。例えば、第1の電極106aが接触された要素であると判定することに応答して、コントローラ104は、第1の電極106aに関連付けられた第1のボタン202に対応する値(例えば、「1」)を出力し得る。いくつかの実装において、コントローラ104は、値を電子ロックコントローラに出力し得る。
【0034】
方法500は更に、514において、タッチインタフェースをロックし、514において、検出された静電容量値が、検出された接触された要素が解除されたことを示すか否かを判定することを含む。検出された接触された要素が解除されていないと判定することに応答して、方法500は、514において、タッチインタフェースのロックを維持する。検出された接触された要素が解放されたと判定することに応答して、方法500は、518において、タッチインタフェースをロック解除すること、及び、検出された接触を監視し続けることとを含む。そのため、方法500は、検出された接触された要素が解放されたという判定まで、他の要素に対する検出された接触を示す静電容量値を無視することを含み得る。例えば、第1の電極l06aに関連する第1のボタン202に対応する値を出力した後、コントローラ104は、第1の電極l06a(又は第1のボタン202)が解放されたという判定まで、タッチインタフェース102をロックし得る。コントローラ104は、タッチインタフェース102のロックに応答して、タッチ出力を生成しないことがある。したがって、コントローラ104はタッチインタフェース102がロックされている間に、第2の電極l06b(又は第2のボタン204)に関連する感知された接触を無視し得る(例えば、接触に応答して出力を生成しない)。従って、コントローラ104は、オーバーレイ111にわたって流れる水が複数の電極106の静電容量を変化させる際に誤ったタッチ検出出力を出力することを防止し得る。第1の電極l06a(又は第1のボタン202)が解放されたと検出したことに応答して、コントローラ104は接触の検出を再開し得る。
【0035】
このように、方法500は、液体の存在に応答してタッチ検出閾値を増大させることによって、複数の要素のうちのいずれが静電容量の最大の変化に関連しているかを判定することによって接触された要素を識別することによって、及び、接触された要素が解放されるまでタッチ検出出力をロックすることによって、誤ったタッチ検出出力を低減し得る。従って、方法500は、気象により液体に晒されることになる屋外に配置されるタッチ検出システムの精度を改善するために用いられ得る。
【0036】
図6を参照すると、本明細書に記載される手法に従って接触を検出し得るコンピュータシステム600のブロック図である。コンピュータシステム600は、コンピューティングデバイス602及びタッチインタフェース610を含む。コンピューティングデバイス602は、コントローラ104に対応し得、タッチデバイス200などのタッチデバイスに含まれ得る。コンピューティングデバイス602は、一つ又はそれ以上のプロセッサ604、及び一つ又はそれ以上のコンピュータ読み取り可能ストレージデバイス606を含む。一つ又は他のプロセッサ604は、一つ又はそれ以上のCPU、一つ又はそれ以上のGPU、一つ又はそれ以上の他のプロセッサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。一つ又はそれ以上のコンピュータ読み取り可能ストレージデバイス1106は、一つ又はそれ以上の読み出し専用メモリ(ROM)デバイス、一つ又はそれ以上のランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、一つ又はそれ以上のディスク駆動デバイス、一つ又はそれ以上の他のタイプのメモリデバイス、又はそれらの組み合わせを含み得る。一つ又は複数のコンピュータ読み取り可能ストレージデバイス606は、本明細書に記載される機能のうちの一つ又は複数を実施するために一つ又は複数のプロセッサ604によって実行可能なタッチ検出命令608を格納する。例えば、タッチ検出命令608は、
図1~
図3、方法500、又はそれらの組み合わせに関して本明細書に記載されるオペレーションを実施するために、一つ又は複数のプロセッサ604によって実行可能であり得る。特に、タッチ検出命令608は、本明細書に記載される手法及び方法に従って、タッチインタフェース610の接触を検出するために一つ又は複数のプロセッサ604によって実行可能であり得る。タッチインタフェース610は、一つ又はそれ以上の容量性タッチ要素(例えば、電極)を含み、幾つかの例において、駆動遮蔽110などの駆動遮蔽を含む。
【0037】
本明細書において、「結合する」という用語は、間接的又は直接的な有線又はワイヤレス接続を意味する。従って、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は直接的接続を介するか、又は、他のデバイス及び接続を介して間接的接続を介するものであり得る。「~に基づく」という記載は、「少なくとも部分的に~に基づく」ことを意味する。従って、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0038】
本発明の特許請求の範囲内で、記載した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例も可能である。