IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツミ電機株式会社の特許一覧

特許7498403光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
<>
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図1A
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図1B
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図2
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図3
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図4
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図5
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図6
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図7
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図8
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図9
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図10
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図11
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図12
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図13A
  • 特許-光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図13B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20240605BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240605BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240605BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B15/00 V
G03B30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022125641
(22)【出願日】2022-08-05
(65)【公開番号】P2024022220
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2024-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊
(72)【発明者】
【氏名】大坂 智彦
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/210365(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 15/00
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持可能な保持部と、
所定方向に貫通する開口部を有し、前記所定方向に移動可能に前記保持部を前記開口部の内側に収容し、前記所定方向からの平面視が矩形状の収容部と、
前記保持部を駆動する圧電素子を有する駆動部と、
前記圧電素子への入力電圧を昇圧するインダクタと、
磁石による磁力を検出することにより、前記所定方向における前記保持部と前記収容部との相対位置を取得する位置センサーと、
を備え、
前記収容部の矩形外周を構成する二対の辺をそれぞれ2等分する直線により前記保持部及び前記収容部を前記所定方向の周りに4等分に分割した領域において、前記駆動部及び前記位置センサーは同じ第1の領域に配置され、前記インダクタは、前記第1の領域に隣接する第2の領域に配置され
前記矩形外周のうち前記第1の領域及び前記第2の領域により構成される半周において、前記駆動部は、前記位置センサーと前記インダクタとの間に配置される、
光学素子駆動装置。
【請求項2】
光学素子を保持可能な保持部と、
所定方向に貫通する開口部を有し、前記所定方向に移動可能に前記保持部を前記開口部の内側に収容し、前記所定方向からの平面視が矩形状の収容部と、
前記保持部を駆動する圧電素子を有する駆動部と、
前記圧電素子への入力電圧を昇圧するインダクタと、
磁石による磁力を検出することにより、前記所定方向における前記保持部と前記収容部との相対位置を取得する位置センサーと、
を備え、
前記収容部の矩形外周を構成する二対の辺をそれぞれ2等分する直線及び前記矩形外周の対角を結ぶ直線により前記保持部及び前記収容部を前記所定方向の周りに8等分に分割した領域において、前記駆動部及び前記位置センサーは同じ領域又は隣接する領域に配置され、前記位置センサーと前記インダクタとは、少なくとも1つの領域を隔てて、異なる領域にそれぞれ配置される、
光学素子駆動装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記収容部の角部に配置され、
前記位置センサーと前記インダクタとは、前記角部を形成する2つの辺に分かれて配置される、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項4】
前記駆動部は、第1駆動部と第2駆動部とを有し、
前記第1駆動部と前記第2駆動部とは、前記4等分に分割した領域のうち、対角の領域にそれぞれ配置される、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項5】
前記インダクタを介して、前記圧電素子を制御する制御素子を備え、
前記制御素子は、前記4等分に分割した領域のうち、前記インダクタが配置される領域とは異なる領域に配置される、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える、
カメラモジュール。
【請求項7】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項6に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を駆動する光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォンやドローン等のカメラ搭載装置には、カメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、光学素子を駆動する光学素子駆動装置が使用されている。なお、ドローンとは、遠隔操作又は自動制御により飛行させることができる無人航空機であり、マルチコプターと呼ばれるものもある。
【0003】
光学素子駆動装置は、オートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)を有している。光学素子駆動装置は、AF機能により、レンズを光軸方向に移動して、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行っている。
【0004】
このような光学素子駆動装置として、例えば、特許文献1には、レンズを光軸方向に駆動する圧電素子を有するアクチュエーターと、圧電素子への印加電圧を制御する回路を有する基板とを備えたレンズ駆動装置が開示されている。特許文献1において、基板は、レンズの位置を検出するための磁気センサーも有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-13065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すように、レンズ駆動装置では、レンズの駆動源として、圧電素子を有するアクチュエーターが用いられている。アクチュエーターとしては、大きな推力を得ることが可能な超音波モーターを用いることが検討されている。
【0007】
超音波モーターを駆動するためには、比較的大きな駆動電圧が必要となるが、小型、薄型のカメラ搭載装置において、電源からの入力電圧は比較的小さい。そのため、圧電素子への印加電圧を制御する回路において、インダクタを用いて入力電圧を昇圧させて、超音波モーターに供給するようにしている。
【0008】
このように、インダクタは、入力電圧を昇圧可能であるが、コイルを有しているので、コイルからの漏れ磁束がある。レンズ駆動装置は、上述したように、レンズの位置を検出する磁気センサーを有しているので、インダクタのコイルからの漏れ磁束の影響を受けて、レンズ位置の検出精度が低下する可能性がある。そのため、レンズ位置の検出精度の低下を防止可能なレンズ駆動装置が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、光学素子の位置を検出する精度の低下を防止可能な光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な保持部と、
所定方向に貫通する開口部を有し、前記所定方向に移動可能に前記保持部を前記開口部の内側に収容し、前記所定方向からの平面視が矩形状の収容部と、
前記保持部を駆動する圧電素子を有する駆動部と、
前記圧電素子への入力電圧を昇圧するインダクタと、
磁石による磁力を検出することにより、前記所定方向における前記保持部と前記収容部との相対位置を取得する位置センサーと、
を備え、
前記収容部の矩形外周を構成する二対の辺をそれぞれ2等分する直線により前記保持部及び前記収容部を前記所定方向の周りに4等分に分割した領域において、前記駆動部及び前記位置センサーは同じ第1の領域に配置され、前記インダクタは、前記第1の領域に隣接する第2の領域に配置され
前記矩形外周のうち前記第1の領域及び前記第2の領域により構成される半周において、前記駆動部は、前記位置センサーと前記インダクタとの間に配置される。
また、本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な保持部と、
所定方向に貫通する開口部を有し、前記所定方向に移動可能に前記保持部を前記開口部の内側に収容し、前記所定方向からの平面視が矩形状の収容部と、
前記保持部を駆動する圧電素子を有する駆動部と、
前記圧電素子への入力電圧を昇圧するインダクタと、
磁石による磁力を検出することにより、前記所定方向における前記保持部と前記収容部との相対位置を取得する位置センサーと、
を備え、
前記収容部の矩形外周を構成する二対の辺をそれぞれ2等分する直線及び前記矩形外周の対角を結ぶ直線により前記保持部及び前記収容部を前記所定方向の周りに8等分に分割した領域において、前記駆動部及び前記位置センサーは同じ領域又は隣接する領域に配置され、前記位置センサーと前記インダクタとは、少なくとも1つの領域を隔てて、異なる領域にそれぞれ配置される。
【0011】
本発明に係るカメラモジュールは、
前記光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える。
【0012】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
前記カメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学素子の位置を検出する精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す正面図である。
図1B図1Aに示すスマートフォンの背面図である。
図2】カメラモジュール及び撮像部を示す斜視図である。
図3】カメラモジュールの光学素子駆動装置が有する光学素子駆動装置本体の平面図である。
図4図3に示す光学素子駆動装置本体の第1支持部を拡大して示す図である。
図5図3に示す光学素子駆動装置本体の第2支持部を拡大して示す図である。
図6図3に示す光学素子駆動装置本体の第3支持部を拡大して示す図である。
図7図3に示す光学素子駆動装置本体の駆動部を拡大して示す図である。
図8図7に示す光学素子駆動装置本体の駆動部を側面から見た図である。
図9図3に示す光学素子駆動装置本体の基板部を示す平面図であって、基板部を平面に展開した図である。
図10図3に示す光学素子駆動装置本体を外側から見た図である。
図11図3に示す光学素子駆動装置本体の収容部を内側から見た図である。
図12図3に示す光学素子駆動装置本体を光軸周りに8等分する場合を示す平面図である。
図13A】車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す正面図である。
図13B図13Aに示す自動車を斜め後方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[スマートフォン]
図1A及び図1Bは、本実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0017】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
【0018】
カメラモジュールAは、AF機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うことができる。なお、カメラモジュールAは、振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を備えていてもよい。OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して、像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0019】
[カメラモジュール]
図2は、カメラモジュールA及び撮像部5を示す斜視図である。図3は、図2に示すカメラモジュールAの光学素子駆動装置1が有する光学素子駆動装置本体4の平面図である。図2及び図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。また、後述する図においても、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。
【0020】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで撮影が行われる場合、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が、図2に示すレンズ部2の光軸OAの光軸方向であり、図2において、図中上側(+Z側)が光軸方向の受光側、下側(-Z側)が光軸方向の結像側である。
【0021】
なお、以降では、光軸OAを用いて説明を行うが、光軸OAの光軸方向は、光学素子の種類に応じて、光路方向、焦点方向(焦点を調整する方向)と言い換えてもよい。ここで、後述するカバー3の開口部301、後述する保持部10の開口部11、あるいは、後述する収容部20の収容開口部21によって形成される光の通り道が光路であり、この光路の延びる方向(各開口部の貫通方向)が光路方向である。
【0022】
図2及び図3に示すように、カメラモジュールAは、AF機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部5等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆる、レンズ駆動装置である。
【0023】
本実施の形態の光学素子駆動装置1は、上述したカメラモジュールA等へ搭載することを考慮して、Z方向における長さが、X方向及びY方向における長さより短い構成であり、Z方向を高さ方向とすると、低背化した構成である。
【0024】
[カバー]
光学素子駆動装置1において、光学素子駆動装置本体4は、外側をカバー3で覆われている。カバー3は、Z方向から見た平面視で略矩形状の有蓋四角筒状体である。本実施の形態では、カバー3は、平面視で略正方形状を有している。カバー3は、上面に略円形の開口部301を有する。レンズ部2は、光学素子駆動装置本体4の保持部10の開口部11に収容され、カバー3の開口部301から外部に臨み、Z方向における移動に伴い、カバー3の開口面よりも受光側に突出するように構成されている。カバー3の内壁は、光学素子駆動装置本体4の収容部20(底部22a)に、例えば、接着により固定され、光学素子駆動装置本体4を収容する。
【0025】
カバー3は、光学素子駆動装置1の外部やカバー3の内部からの電磁波を遮断する部材、例えば、磁性体からなるシールド部材を有している。
【0026】
[撮像部]
撮像部5は、光学素子駆動装置1の結像側に配置される。撮像部5は、例えば、イメージセンサー基板501、イメージセンサー基板501に実装される撮像素子502及び制御部503を有する。撮像素子502は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0027】
制御部503は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1全体の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板501に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。制御部503は、イメージセンサー基板501に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0028】
なお、図2では、位置が固定されたイメージセンサー基板501に対し、レンズ部2を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像しているが、例えば、撮像素子502をZ方向に駆動してもよい。この場合、レンズ部2をカバー3に固定し、光学素子である撮像素子502を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像すればよい。
【0029】
[光学素子駆動装置本体]
光学素子駆動装置本体4は、光学素子であるレンズ部2をZ方向に駆動する光学素子駆動装置1の本体部分である。なお、以降では、説明の便宜上、光学素子駆動装置1がレンズ部2を駆動することを前提に説明を行うが、上述したように、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動してもよい。
【0030】
光学素子駆動装置本体4は、図3に示すように、保持部10、収容部20、第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30C、駆動部40A、40B(本発明における第1駆動部、第2駆動部)、基板部50等を有する。
【0031】
[保持部]
保持部10は、中央部に開口部11が形成された枠部12を有し、開口部11は、レンズ部2を内側に保持可能に構成されている。例えば、開口部11は、その内周面に取付溝等を形成することにより、レンズ部2を内周面に保持可能に構成されている。このように、保持部10は、レンズ部2の外周を囲んでレンズ部2を保持する。
【0032】
枠部12の外周側である外周面13は、その複数箇所(図3では、一例として、3箇所)が、Z方向に沿って延在する第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cにより、Z方向に移動可能に支持されている。
【0033】
また、外周面13は、その複数箇所(図3では、一例として、2箇所)が、駆動部40A、40Bに保持されており、保持部10は、駆動部40A、40Bにより、Z方向に移動可能である。
【0034】
また、外周面13には、その複数箇所(図3では、一例として、2箇所)に、Z方向位置の検出用の磁石14A、14Bが設けられている。磁石14A、14Bに対向するように、後述する位置検出センサー54A、54B(本発明における位置センサー)がそれぞれ設けられている。
【0035】
なお、開口部11は、円筒形状のレンズ部2に対応して、円筒形状に形成されているが、レンズ部2の形状に対応して、適宜な形状に変更可能である。
【0036】
また、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動する場合、保持部10に開口部11はなくてもよく、つまり、保持部10は枠部でなくてもよく、その場合、例えば、保持部10の上面(受光側の面)に撮像素子502を保持するようにすればよい。
【0037】
[収容部]
収容部20は、中央部に収容開口部21が形成された枠部22を有し、収容開口部21は、保持部10の外周を囲んで保持部10を内側に収容可能に構成されている。
【0038】
収容開口部21の内側である内周面23には、その複数箇所に第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cが設けられている。収容部20は、第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cにより、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。
【0039】
また、内周面23には、その複数箇所に駆動部40A、40Bが設けられている。収容部20に設けられた駆動部40A、40Bは、保持部10をZ方向に移動する。保持部10は、駆動部40A、40Bに駆動される可動部として機能し、収容部20は、保持部10に対する固定部として機能する。
【0040】
平面視において、内周面23は、保持部10の外周面13の形状に対応して形成される。図3において、保持部10の外周面13及び収容開口部21の内周面23の形状は一例であり、例えば、第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30C、駆動部40A、40Bの配置等に応じて、適宜に変更可能である。
【0041】
枠部22は、底部22a、側壁部22bを有する。底部22aには、例えば、接着により、上述したカバー3の内壁が固定される。側壁部22bの外周側である外周面24には、外周面24に沿って、基板部50が取り付けられる。
【0042】
[支持部]
第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cは、保持部10の外周面13と収容部20の内周面23との間に介在し、収容部20に対して、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cは、図3に示すように、内周面23(外周面13)において、周方向の3箇所に分散した位置にそれぞれ配置される。
【0043】
第1支持部30A、第2支持部30B及び第3支持部30Cについて、図4図6を参照して説明する。図4は、図3に示す光学素子駆動装置本体4の第1支持部30Aを拡大して説明する平面図である。図5は、図3に示す光学素子駆動装置本体4の第2支持部30Bを拡大して説明する平面図である。図6は、図3に示す光学素子駆動装置本体4の第3支持部30Cを拡大して説明する平面図である。
【0044】
[第1支持部]
収容部20は、図3に示すように、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDを有する。第1支持部30Aは、後述するように、付勢部材として機能する第2レール部材32Aを有し、配置のためのスペースを要する。そのため、第1支持部30Aは、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDの一つである隅部22bAに配置される。このように配置することにより、装置の省スペースを図ることができ、装置全体の小型化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0045】
第1支持部30Aは、図4に示すように、第1溝部15A、凹部26A、第1レール部材31A、第2レール部材32Aを有し、また、転動部材33(例えば、ボール部材等)、リテーナー34を有する。
【0046】
第1溝部15Aは、保持部10の枠部12の外周面13において、Z方向に延在して設けられ、V字状に凹むように形成された溝である。凹部26Aは、収容部20の枠部22の内周面23において、Z方向に延在して設けられ、凹状に凹むように形成された溝である。第1溝部15A及び凹部26Aは、互いに対向して配置される。凹部26Aは、付勢部材として機能する第2レール部材32Aを収容可能な大きさに形成されている。
【0047】
第1レール部材31Aは、取り付け時にZ方向となる長手方向に延在するV字断面の部材である。第1レール部材31Aは、転動部材33が転動可能に配置される側にV字状の案内溝31Aaを有し、当該側と反対側が第1溝部15Aに取り付けられる。
【0048】
第2レール部材32Aは、平面視において、V字状の案内溝32Aaと、案内溝32Aaの両端に配置される2つの腕部23Abとを有し、取り付け時にZ方向となる長手方向に延在する部材である。案内溝32Aaには、転動部材33が転動可能に配置される。2つの腕部23Abは、平面視において、U字状に形成されており、U字の開口部分が対向するように配置されている。このような2つの腕部23Abが、凹部26Aの内壁に接するように取り付けられる。
【0049】
第2レール部材32Aは、弾性変形可能な材料、例えば、金属等の材料から形成され、板バネとして機能し、2つの腕部23Abを介して、凹部26Aの内壁に弾性変形可能に支持される。
【0050】
第1レール部材31Aが第1溝部15Aに取り付けられ、第2レール部材32Aが凹部26Aに取り付けられるので、それぞれの案内溝31Aaと案内溝32Aaとが互いに対向して配置されることになる。
【0051】
このように配置された第1レール部材31Aの案内溝31Aaと第2レール部材32Aの案内溝32Aaとの間に、複数(例えば、2個)の転動部材33が収容され、転動可能に挟持される。複数の転動部材33は、案内溝31Aa及び案内溝32Aaに沿って転動して、Z方向に案内される。
【0052】
リテーナー34は、転動部材33の数に応じた保持孔を有する。複数の転動部材33は、それぞれの保持孔に転動可能に保持されて、Z方向に沿って配置されることになる。リテーナー34により、複数の転動部材33は、互いの距離が一定に保たれることになる。
【0053】
従って、付勢部材として機能する第2レール部材32Aの弾性変形に伴う付勢力は、転動部材33を介して、第1レール部材31A、第1溝部15Aを押圧して、保持部10に押圧力を付与することになる。
【0054】
このように、第1支持部30Aは、付勢部材として機能する第2レール部材32Aを用い、転動部材33を介して、開口部11の内側に向かう押圧力を保持部10へ付与する。そのため、第1支持部30Aは、保持部10を開口部11の内側に向かう方向に押圧しながら、保持部10をZ方向に移動可能に支持することになり、保持部10の傾きを抑制することができる。この結果、収容部20は、第1支持部30Aを介して、保持部10を安定して支持することができる。
【0055】
この場合、第1レール部材31Aを、保持部10よりも硬質の金属材料等から形成することで、転動部材33からの押圧力を受けても、第1溝部15Aが変形し難くなる。このような構成により、第1支持部30Aは、Z方向に移動可能に安定して保持部10を支持することができる。
【0056】
[第2支持部]
第2支持部30Bは、上記の第1支持部30Aとは異なり、付勢部材として機能する第2レール部材32Aのような構成を有していないので、第1支持部30Aと比較して、配置のためのスペースを必要としない。そのため、第2支持部30Bは、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDを避けて、隅部22bDと隅部22bBとの間の辺に配置可能である。このように、第2支持部30Bは、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDを避けて配置可能であるので、隅部22bB、22bCに駆動部40A、40Bを配置することができる。
【0057】
第2支持部30Bは、図5に示すように、第1溝部15B、第2溝部26B、第1レール部材31B、第2レール部材32Bを有し、また、転動部材33、リテーナー34を有する。転動部材33及びリテーナー34については、上記の第1支持部30Aで説明した転動部材33及びリテーナー34と同じ構成であるので、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
第1溝部15Bは、保持部10の枠部12の外周面13において、Z方向に延在して設けられ、凹状に凹むように形成された溝である。第2溝部26Bは、収容部20の枠部22の内周面23において、Z方向に延在して設けられ、V字状に凹むように形成された溝である。第1溝部15B及び第2溝部26Bは、互いに対向して配置される。
【0059】
第1レール部材31Bは、取り付け時にZ方向となる長手方向に延在する扁平形状の部材である。第1レール部材31Bは、第1溝部15Bの底部に取り付けられる。第1レール部材31Bは、転動部材33が転動可能に配置される側の案内面31Baが平坦であり、転動部材33と一点で接触する。そのため、転動部材33は、第1溝部15Bの溝内において、その位置が変位可能となっている。
【0060】
第2レール部材32Bは、取り付け時にZ方向となる長手方向に延在するV字断面の部材である。第2レール部材32Bは、転動部材33が転動可能に配置される側にV字状の案内溝32Baを有し、当該側と反対側が第2溝部26Bに取り付けられる。
【0061】
第1レール部材31Bが第1溝部15Bに取り付けられ、第2レール部材32Bが第2溝部26Bに取り付けられるので、それぞれの案内面31Baと案内溝32Baとが互いに対向して配置されることになる。
【0062】
このように配置された第1レール部材31Bの案内面31Baと第2レール部材32Bの案内溝32Baとの間に、リテーナー34に保持された複数の転動部材33が収容され、転動可能に挟持される。複数の転動部材33は、案内溝32Baに沿って転動して、Z方向に案内される。
【0063】
上述したように、転動部材33は、第1溝部15Bの溝内において、その位置が変位可能となっているので、外周面13及び内周面23の周方向において、外周面13と内周面23との相対変位、つまり、保持部10と収容部20との相対変位を許容する。例えば、後述する第3支持部30Cの位置を基準(回転中心)とし、収容部20に対して、保持部10は回転方向に相対変位可能である。
【0064】
保持部10は、上述したように、第1支持部30Aにより押圧されるので、第2支持部30Bでは、転動部材33及び第1溝部15B(第1レール部材31B)が押圧に従って周方向に相対変位する。この相対変位により、転動部材33と第1溝部15B(第1レール部材31B)との接触位置がずれ、このずれに伴って、係合する部分同士に作用する力が安定したとき、第2支持部30Bに対する保持部10の支持位置が定まることになる。
【0065】
つまり、係合する部分同士である、第1溝部15B(第1レール部材31B)、転動部材33及び第2溝部26B(第2レール部材32B)同士に作用する力が安定したとき、第2支持部30Bに対する保持部10の支持位置(係合位置)が定まる。これにより、光学素子駆動装置本体4を構成する部品の寸法やこれらを組み立てた状態に個体差があっても、必ず、がたつきのない安定した支持を実現することができる。
【0066】
第2支持部30Bでも、第1レール部材31Bや第2レール部材32Bを、保持部10や収容部20よりも硬質の金属材料等から形成することで、転動部材33からの押圧力を受けても、第1溝部15Bや第2溝部26Bが変形し難くなる。このような構成により、第2支持部30Bは、Z方向に移動可能に安定して保持部10を支持することができる。
【0067】
[第3支持部]
第3支持部30Cも、上記の第1支持部30Aとは異なり、付勢部材として機能する第2レール部材32Aのような構成を有していないので、第1支持部30Aと比較して、配置のためのスペースを必要としない。そのため、第3支持部30Cは、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDを避けて、隅部22bDと隅部22bCとの間の辺に配置可能である。このように、第3支持部30Cは、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDを避けて配置可能であるので、隅部22bB、22bCに駆動部40A、40Bを配置することができる。
【0068】
第3支持部30Cは、図6に示すように、第1溝部15C、第2溝部26C、第1レール部材31C、第2レール部材32Cを有し、また、転動部材33、リテーナー34を有する。転動部材33及びリテーナー34については、上記の第1支持部30Aで説明した転動部材33及びリテーナー34と同じ構成であるので、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0069】
第1溝部15Cは、保持部10の枠部12の外周面13において、Z方向に延在して設けられ、V字状に凹むように形成された溝である。第2溝部26Cは、収容部20の枠部22の内周面23において、Z方向に延在して設けられ、V字状に凹むように形成された溝である。第1溝部15C及び第2溝部26Cは、互いに対向して配置される。
【0070】
第1レール部材31Cは、取り付け時にZ方向となる長手方向に延在するV字断面の部材である。第1レール部材31Cは、転動部材33が配置される側にV字状の案内溝31Caを有し、当該側と反対側が第1溝部15Cに取り付けられる。
【0071】
第2レール部材32Cも、取り付け時にZ方向となる長手方向に延在するV字断面の部材である。第2レール部材32Cは、転動部材33が配置される側にV字状の案内溝32Caを有し、当該側と反対側が第2溝部26Cに取り付けられる。第1レール部材31Cが第1溝部15Cに取り付けられ、第2レール部材32Cが第2溝部26Cに取り付けられるので、それぞれの案内溝31Caと案内溝32Caとが互いに対向して配置されることになる。
【0072】
このように配置された第1レール部材31Cの案内溝31Caと第2レール部材32Cの案内溝32Caとの間に、リテーナー34に保持された複数の転動部材33が収容され、転動可能に挟持される。複数の転動部材33は、案内溝31Ca及び案内溝32Caに沿って転動して、Z方向に案内される。
【0073】
第3支持部30Cでは、転動部材33がV字断面の第1レール部材31C及び第2レール部材32Cに挟持されるので、これらが取り付けられる保持部10及び収容部20は、Z軸直交方向への変位は許容されないが、Z軸周りの回転方向への変位は許容される。
【0074】
このように、保持部10のZ軸周りの回転方向への変位は許容するので、第3支持部30Cが収容部20に対する保持部10の変位の基準の位置(回転中心)となって、上述した第2支持部30Bでの保持部10の変位を許容することになる。この結果、第2支持部30Bにおいて、光学素子駆動装置本体4を構成する部品の寸法の個体差やこれらを組み立てた状態の個体差を吸収することができる。
【0075】
第3支持部30Cでも、第1レール部材31Cや第2レール部材32Cを、保持部10や収容部20よりも硬質の金属材料等から形成することで、転動部材33からの押圧力を受けても、第1溝部15Cや第2溝部26Cが変形し難くなる。このような構成により、第3支持部30Cは、Z方向に移動可能に安定して保持部10を支持することができる。
【0076】
以上のように構成される第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cにより、保持部10は、収容部20に対して、Z方向に移動可能に安定して支持される。
【0077】
なお、第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30Cにおいて、外周面13及び内周面23の少なくとも一方のリテーナー34に対向する部分に、外周面13、内周面23から凹設され、Z方向に延在する対向凹部を設けてもよい。
【0078】
リテーナー34に保持される転動部材33にはグリスが塗布される。落下等の衝撃により、グリスが転動部材33から飛散した場合、飛散したグリスにより、リテーナー34が外周面13や内周面23に張り付く可能性がある。このような可能性を考慮し、上述した対向凹部を設けることで、飛散したグリスがリテーナー34に接触し難いようにして、グリスによるリテーナー34の張り付きを防止するようにしてもよい。
【0079】
[駆動部]
駆動部40A、40Bは、収容部20に対して、保持部10をZ方向に駆動する。駆動部40A、40Bは、図3に示すように、内周面23(外周面13)において、周方向の2箇所に分散した位置にそれぞれ配置される。光学素子駆動装置本体4は、上述した第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30C及び駆動部40A、40Bにより、保持部10と共にレンズ部2をZ方向に駆動することができ、これにより、AF機能を実現する。
【0080】
駆動部40A、40Bは、図3に示す例では、第1支持部30Aが配置された隅部22bAとは異なる隅部であって、平面視において、光軸OAに点対称となるような位置の隅部22bB、22bCにそれぞれ配置される。このように配置することにより、レンズ部2等の光学素子の重量が増加しても、保持部10を安定して移動することができる。
【0081】
駆動部40A、40Bとしては、圧電素子を有するアクチュエーター、例えば、超音波モーターを用いる。
【0082】
駆動部40A、40Bについて、図7図8を参照して説明する。図7は、図3に示す光学素子駆動装置本体4の駆動部40Aを拡大して示す図である。図8は、図7に示す光学素子駆動装置本体4の駆動部40Aを側面から見た図である。なお、図7及び図8には、駆動部40Aを図示するが、駆動部40Bは、駆動部40Aと同等の構成であり、その詳細な図示及び説明は省略する。
【0083】
駆動部40Aは、圧電素子41、共振部42、動力伝達部43等を有する。圧電素子41の振動に共振して共振部42で生成される駆動力は、動力伝達部43を介して、保持部10に伝達される。駆動部40Aにおいて、共振部42が能動要素を構成し、動力伝達部43が受動要素を構成する。
【0084】
圧電素子41は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。共振部42の胴部(符号省略)を挟み込むように、2枚の圧電素子41が配置される。図示は省略するが、後述するFPC51に設けられた接続配線が電気的に圧電素子41に接続されて、圧電素子41に電圧を印加するよう構成されている。
【0085】
共振部42は、導電性材料で形成され、圧電素子41の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。共振部42は、例えば、金属板のレーザー加工、エッチング加工又はプレス加工等により形成される。
【0086】
共振部42は、圧電素子41に挟持される略矩形状の胴部、胴部の両側部からZ方向に延在する2つのアーム部42a、胴部の中央部からZ方向に延在する突出部42b、胴部の中央部から突出部42bとは反対側に延在する通電部42c等を有している。
【0087】
共振部42の胴部は、圧電素子41に挟持される部分である。2つのアーム部42aは対称的な形状を有し、圧電素子41の振動に共振して対称的に変形する。共振部42は、2つのアーム部42aがZ方向に延在して、自由端部で動力伝達部43を挟持するように配置される。
【0088】
突出部42bには、リベット等を挿通する貫通孔が形成されている。突出部42bは、リベット等を用いて、収容部20の枠部22に設けられた固定部27に固定される。通電部42cは、共振部42の胴部を介して、圧電素子41への給電ラインを構成する部分であり、図示は省略するが、FPC51に設けられた接続配線が電気的に接続される。
【0089】
以上のような電気的な接続により、共振部42の胴部に厚さ方向で貼り合わされた圧電素子41に電圧が印加され、振動が発生する。共振部42は、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、共振部42は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。
【0090】
ここで、異なる挙動とは、動力伝達部43をZ方向に前進させる挙動と、後退させる挙動である。従って、共振部42を所望の共振周波数で振動させることにより、動力伝達部43をZ方向に前進又は後退させることができる。
【0091】
動力伝達部43は、Z方向に所定の長さを有するチャッキングガイドである。動力伝達部43は、共振部42の2つのアーム部42aを広げる方向に付勢する部材である。動力伝達部43の構造は適宜に変更可能であるが、ここでは、一例として、動力伝達部43は、一対の板バネから構成され、保持部10の枠部12の外周面13に嵌め込まれた取付部16から外側に向かって植設されている。
【0092】
このように、共振部42の2つのアーム部42aは、一対の板バネである動力伝達部43を内側に押し込むように当接する。そして、動力伝達部43は、板バネとして機能するので、2つのアーム部42aが当接されたときに、共振部42の変形によって生じる駆動力が効率よく伝達され、また、動力伝達部43により、アーム部42aを押し返す方向に付勢力が働く。これにより、共振部42の変形によって生じる駆動力が、動力伝達部43に、より効率よく伝達され、駆動部40Aの駆動力が保持部10に伝達される。
【0093】
従って、駆動部40Aに電圧を印加すると、圧電素子41が振動し、共振部42が周波数に応じた挙動で変形する。駆動部40Aの駆動力により、動力伝達部43がZ方向に摺動される。これに伴い、保持部10がZ方向に移動し、ピント合わせが行われる。
【0094】
なお、上述した取付部16には、一対の動力伝達部43の間において、外周面13側の方から外側に向かって突出する突起部16aが設けられている。突起部16aは、図7に示す平面視において、動力伝達部43に沿うように延在している。動力伝達部43は、例えば、落下等の衝撃により、突起部16aの方に移動する可能性があるが、突起部16aを設けることにより、動力伝達部43の移動が突起部16aとの接触により規制されて、動力伝達部43の変形を防止することができる。この結果、アーム部42aと動力伝達部43との当接状態を維持することができ、共振部42の変形によって生じる駆動力を、アーム部42aから動力伝達部43へ効率よく伝達することができる。
【0095】
[基板部]
基板部50について、図3と共に、図9図10も参照して説明を行う。図9は、図3に示す光学素子駆動装置本体4の基板部50を示す平面図であって、基板部50を平面に展開した図である。図10は、図3に示す光学素子駆動装置本体4を外側から見た図であり、図3に示す方向D1から見た図である。なお、駆動部40A、40Bは基板部50のFPC51上に実装されていないが、図9においては、位置関係を分かりやすくするため、駆動部40A、40Bを図示している。
【0096】
基板部50は、駆動部40A、40Bを駆動する回路を有する。基板部50は、FPC(Flexible Printed Circuit;フレキシブルプリント基板)51、ドライバーIC52(本発明における制御素子)、インダクタ53A、53B、位置検出センサー54A、54B等を有する。
【0097】
FPC51は、可撓性がある基板であり、樹脂フィルム等の薄い絶縁層や銅箔等の金属層が積層されて構成される。図示は省略するが、金属層は、信号線や電源線の回路として形成されており、駆動部40A、40B、ドライバーIC52、インダクタ53A、53B、位置検出センサー54A、54B等が電気的に接続される。
【0098】
ドライバーIC52は、駆動部40A、40Bを駆動する駆動信号を制御するICである。ドライバーIC52は、例えば、位置検出センサー54A、54Bで検出した検出信号に基づいて、駆動信号を出力し、出力された駆動信号は、インダクタ53A、53Bを介して、駆動部40A、40Bへ出力される。
【0099】
インダクタ53A、53Bは、それぞれコイルを有し、ドライバーIC52から入力された駆動信号における電圧(入力電圧)を昇圧して、駆動部40A、40Bへそれぞれ出力する。
【0100】
位置検出センサー54A、54Bは、例えば、ホール素子等の磁気センサーである。
位置検出センサー54A、54Bは、対向して配置された磁石14A、14Bによる磁力の強さを検出することにより、Z方向における保持部10と収容部20との相対位置を取得して、検出信号として出力する。
【0101】
なお、図示は省略しているが、FPC51には、駆動部40A、40Bと電気的に接続される接続配線が設けられている。
【0102】
以上説明したドライバーIC52、インダクタ53A、53B、位置検出センサー54A、54BをFPC51上に実装するため、FPC51は、1枚の長尺な基板としている。そして、FPC51は、収容部20の枠部22の外周面24に沿って、外周面24を略一周するように配置される。
【0103】
FPC51を外周面24に沿って配置するため、例えば、隅部22bAの部分の外周面24は、平面視において、円弧状に形成されている。これにより、隅部22bAの部分の外周面24にFPC51を密着させて配置することができる。このため、FPC51の外側に配置されるカバー3のサイズを大きくする必要はなく、装置全体の小型化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0104】
また、FPC51は、FPC主部51aと、FPC狭窄部51b、51cと、FPC端部51d、51eとを有する。FPC主部51aは、長手方向の一端側のFPC狭窄部51b及びFPC端部51dと他端側のFPC狭窄部51c及びFPC端部51eとを接続し、ドライバーIC52、位置検出センサー54A、54Bが実装される。
【0105】
FPC狭窄部51b、51cは、それぞれ、FPC主部51aとFPC端部51dとの間、FPC主部51aとFPC端部51eとの間に配置され、長手方向に直交する方向の幅が狭くなっている部分である。FPC狭窄部51b、51cは、図10に示すように、第2支持部30B、第3支持部30Cが配置される収容部20の部分を避けるように形成された部分である。このようなFPC狭窄部51b、51cを設けることにより、FPC51の外側に配置されるカバー3のサイズを大きくする必要はなく、装置全体の小型化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0106】
FPC51の長手方向における両端部であるFPC端部51d、51eには、それぞれ、インダクタ53A、53Bが実装される。インダクタ53A、53Bは、上述したように、コイルを有し、コイルからの漏れ磁束やノイズの放射がある。漏れ磁束やノイズの放射の影響を受ける可能性がある位置検出センサー54A、54Bとの距離を確保するため、インダクタ53A、53BはFPC端部51d、51eに配置される。一方、位置検出センサー54A、54Bは、位置検出のため、駆動力が作用する(力点となる)駆動部40A、40Bに近い位置に配置される。
【0107】
また、光学素子駆動装置本体4は、漏れ磁束やノイズを抑制するため、カバー部材60A、60Bと金属層55とを備える。
【0108】
カバー部材60A、60Bは、漏れ磁束やノイズをシールドする金属性の材料から形成される。カバー部材60A、60Bは、蓋部61、フランジ部63、開口部等を有する。
【0109】
蓋部61は、開口部を有する有蓋四角筒状体である。フランジ部63は、蓋部61の開口部の外周に延在する。具体的には、開口部62の外周部である蓋部61の縁の外周に、FPC端部51d、51eの表面に沿うように、延在する。
【0110】
そして、カバー部材60A、60Bは、FPC端部51d、51e上に実装されたインダクタ53A、53Bを、蓋部61の開口部内に収容し、且つ、フランジ部63をFPC端部51d、51e上に配置した状態で覆うよう構成されている。
【0111】
このように、カバー部材60A、60Bは、蓋部61だけでなく、フランジ部63も備える。そのため、インダクタ53A、53Bからカバー部材60A、60B側へ放射された漏れ磁束やノイズを、蓋部61及びフランジ部63でより広い範囲でシールドすることができる。この結果、フランジ部がないカバー部材よりも、外部に漏れる磁束やノイズを低減することができる。
【0112】
フランジ部63は、例えば、接着剤等により、FPC端部51d、51eの表面上に固定してもよい。フランジ部がない場合と比較して、フランジ部63とFPC端部51d、51eの表面との接触面積が広くなるので、カバー部材60A、60BをFPC端部51d、51eの表面に確実に固定することができる。
【0113】
金属層55は、FPC端部51dにおいて、FPC端部51dに取り付けられるインダクタ53Aに対向するように配置される。金属層55は、例えば、FPC端部51dにおいて、インダクタ53Aが実装される面と反対側の面に設けられる。そして、金属層55は、平面視において、インダクタ53Aが配置される領域を少なくとも含むようなベタパターンで形成される。
【0114】
このように、インダクタ53Aが実装されるFPC端部51dに金属層55を設けているので、インダクタ53AからFPC端部51d側へ放射された漏れ磁束やノイズを、金属層55でシールドすることができる。この結果、上述した金属層55を有していないFPCよりも、FPC51を通過して外部に漏れる磁束やノイズを低減することができる。
【0115】
更に、金属層55は、図9に示すように、フランジ部63と重なるように形成されることが望ましい。この結果、フランジ部63と金属層55との間の隙間を小さくすることができる。これは、基板として、FPCを用いる場合に特に有効である。
【0116】
このように、フランジ部63と金属層55との間の隙間を小さくするので、インダクタ53Aの周囲の略全部をカバー部材60Aと金属層55とで覆うことになる。これにより、インダクタ53Aから放射された漏れ磁束やノイズを、カバー部材60Aと金属層55とでシールドすることができる。この結果、外部に漏れる磁束やノイズをより低減することができる。
【0117】
カバー部材60A、60Bは、漏れ磁束やノイズを低減する金属材料から構成される。カバー部材60A、60Bとしては、例えば、強磁性体であるSPCC(Steel Plate Cold Commercial;冷間圧延鋼板)等の鉄からなる層に、少なくとも、銅、ニッケルからなる層を積層する積層構造を用いる。この積層構造では、鉄層、銅層、ニッケル層の順に積層されており、これにより、鉄層の錆を防ぐことができる。
【0118】
銅層は、鉄層によりインダクタンスが高くなる影響を相殺することも目的として、積層されており、銅層をニッケル層より厚くすることにより、ノイズに対するシールド性を向上させることもできる。このように、カバー部材60A、60Bとしては、少なくとも、鉄層、銅層及びニッケル層を積層する積層構造において、銅層をニッケル層より厚くする構成がより好適である。
【0119】
また、金属層55は、FPC51の回路において、電源を供給する電源層又はグランド層を利用してもよい。また、金属層55は、1つの層に限らず、絶縁層を介して積層された複数の層から構成してもよい。例えば、絶縁層を介して積層された2つの層から構成する場合、一方の層を上述した電源層とし、他方の層をグランド層としてもよい。
【0120】
また、金属層55として、FPC51の回路の電源層又はグランド層を利用しない場合には、金属層55は、カバー部材60A、60Bと同様に、複数の金属層を積層して構成してもよい。
【0121】
ここで、図11は、図3に示す光学素子駆動装置本体4の収容部20を内側から見た図であり、レンズ部2及び保持部10を取り外した状態で、図3に示す方向D2から見た図である。
【0122】
装置の小型化を図るため、収容部20は、上述した構成のカバー部材60A、60Bが挿入される挿入部25A、25Bを有する。挿入部25A、25Bは、図11に示すように、枠部22の側壁部22bを貫通して設けられているが、カバー部材60A、60Bが挿入できれば、側壁部22bを貫通しない構成、例えば、凹部のような構成でもよい。
【0123】
このような挿入部25A、25Bにカバー部材60A、60Bを挿入することにより、装置全体の小型化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0124】
また、図11に示す構成の場合、例えば、収容部20とFPC端部51dとの間を接着剤等で固定すれば、収容部20とFPC51との間にフランジ部63が固定されるので、フランジ部63をFPC端部51d、51eの表面上に固定しなくてもよい。これにより、光学素子駆動装置本体4の製造工程を簡略化できる。
【0125】
また、挿入部25A、25Bに篏合するように、カバー部材60A、60Bを挿入する場合には、カバー部材60A、60Bが、挿入部25A、25Bを有する収容部20の補強を兼ねることになり、収容部20の変形等を抑制することができる。
【0126】
[光学素子駆動装置本体内での配置]
光学素子駆動装置本体4内におけるインダクタ53A、53Bや位置検出センサー54A、54B等の配置について、図3図12を参照して説明する。図12は、図3に示す光学素子駆動装置本体4を光軸周りに8等分する場合を示す平面図である。
【0127】
上述したように、インダクタ53A、53Bは、そのコイルからの漏れ磁束があり、また、光学素子駆動装置本体4は、上述したように、磁気センサーを用いる位置検出センサー54A、54Bを有している。そのため、インダクタ53A、53Bのコイルからの漏れ磁束の影響を受けて、位置検出センサー54A、54Bが検出する保持部10の位置の検出精度が低下する可能性がある。
【0128】
そこで、本実施の形態では、インダクタ53A、53Bと位置検出センサー54A、54Bとの距離を所定量確保するため、以下に説明する配置としている。具体的には、インダクタ53A、53Bと位置検出センサー54A、54Bとを、光軸OA周りに4等分に分割した領域R1~R4のうちの異なる領域にそれぞれ配置する。図3に示す例では、インダクタ53A、53Bを領域R1に配置し、位置検出センサー54Aを領域R2に配置し、位置検出センサー54Bを領域R4に配置している。
【0129】
更に、図12を参照して説明すると、インダクタ53A、53Bと位置検出センサー54A、54Bとを、光軸OA周りに8等分に分割した領域R1-1~R4-2において、少なくとも1つの領域を隔てて、異なる領域にそれぞれ配置する。図12に示す例では、インダクタ53Aを領域R1-2に配置し、インダクタ53Bを領域R1-1に配置し、位置検出センサー54Aを領域R2-2に配置し、位置検出センサー54Bを領域R4-1に配置している。インダクタ53Aと位置検出センサー54Aとは、領域R2-1を隔てて、それぞれ領域R1-2と領域R2-2とに配置され、インダクタ53Bと位置検出センサー54Bとは、領域R4-2を隔てて、それぞれ領域R1-1と領域R4-1とに配置されている。
【0130】
また、図3及び図12に示すように、収容部20は、平面視で矩形状であり、インダクタ53A、53Bと位置検出センサー54A、54Bとを、収容部20における異なる辺に配置する。図3図12に示す例では、インダクタ53Aは隅部22bDと隅部22bBとの間の辺に配置され、インダクタ53Bは隅部22bDと隅部22bCとの間の辺に配置される。そして、位置検出センサー54Aは隅部22bBと隅部22bAとの間の辺に配置され、位置検出センサー54Bは隅部22bCと隅部22bAとの間の辺に配置される。
【0131】
なお、ここでは、収容部20の辺に沿って、時計回りに、インダクタ53A、第2支持部30B、駆動部40A、位置検出センサー54Aの順に配置されているが、第2支持部30Bと駆動部40Aとは、順序が逆でもよい。同様に、収容部20の辺に沿って、反時計回りに、インダクタ53B、第3支持部30C、駆動部40B、位置検出センサー54Bの順に配置されているが、第3支持部30Cと駆動部40Bとは、順序が逆でもよい。
【0132】
このように、インダクタ53A、53Bと位置検出センサー54A、54Bとを、互いに異なる領域や異なる辺に配置することにより、インダクタ53A、53Bと位置検出センサー54A、54Bとの距離を所定量確保することができる。これにより、インダクタ53A、53Bのコイルからの漏れ磁束の影響を抑制することができ、この結果、位置検出センサー54A、54Bによる位置検出の精度の低下を防止することができる。
【0133】
図3に示す構成において、駆動部40Aと駆動部40Bとを、4等分に分割した領域R1~R4のうち、対角の領域にそれぞれ配置する。図3に示す例では、領域R2に駆動部40Aを配置し、領域R2に対角の領域R4に駆動部40Bを配置している。
【0134】
そして、保持部10を駆動する駆動部40A、40Bと保持部10の位置を検出する位置検出センサー54A、54Bとを、近接して配置する。図3に示す例では、駆動部40Aを領域R2に配置しているので、位置検出センサー54Aを領域R2に配置しており、駆動部40Aと位置検出センサー54Aとを同じ領域R2に配置している。また、駆動部40Bを領域R4に配置しているので、位置検出センサー54Bを領域R4に配置しており、駆動部40Bと位置検出センサー54Bとを同じ領域R4に配置している。
【0135】
このように、保持部10を駆動する駆動部40A、40Bに近接して位置検出センサー54A、54Bを設けるので、駆動部40A、40Bに駆動される保持部10の位置検出の精度を向上させることができる。
【0136】
また、インダクタ53A、53Bは、そのコイルの漏れ磁束に起因するノイズがあり、また、光学素子駆動装置本体4は、上述したように、駆動部40A、40Bを駆動する駆動信号を制御するドライバーIC52を有している。ドライバーIC52は、インダクタ53A、53Bのコイルからの漏れ磁束に起因するノイズの影響を受ける可能性がある。
【0137】
そこで、インダクタ53A、53BとドライバーIC52との距離も所定量確保するため、インダクタ53A、53BとドライバーIC52とを、光軸OA周りに4等分に分割した領域R1~R4のうちの異なる領域にそれぞれ配置する。図3に示す例では、インダクタ53A、53Bを領域R1に配置し、ドライバーIC52を領域R3及びR4に配置している。
【0138】
このように、インダクタ53A、53BとドライバーIC52とを、互いに異なる領域に配置することにより、インダクタ53A、53BとドライバーIC52との距離を所定量確保することができる。これにより、インダクタ53A、53Bのコイルからの漏れ磁束に起因するノイズの影響を抑制することができ、この結果、ドライバーIC52から出力する駆動信号への影響を防止することができる。
【0139】
[他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0140】
例えば、上記実施の形態では、2つの位置検出センサー54A、54Bを設けているが、位置検出センサーは1つでもよい。この場合、収容部20に対して、相対変位可能な保持部10の基準(回転中心)となる第3支持部30Cの近傍に位置検出センサーを設けることが望ましく、図3の例では、位置検出センサー54Bが第3支持部30Cの近傍の位置検出センサーに該当する。
【0141】
また、上記実施の形態では、第1溝部15A~15C、凹部26A、第2溝部26B、26Cに第1レール部材31A~31C、第2レール部材32A~32Cを設けているが、これらを設けなくてもよい。この場合、第1溝部15A~15C、凹部26A、第2溝部26B、26Cが転動部材33を直接挟持する構成でもよい。
【0142】
また、上記実施の形態では、第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30C同士の間の角度は、120°間隔で配置することが望ましいが、この角度は適宜に変更可能である。第1支持部30A、第2支持部30B、第3支持部30C同士を120°間隔以外の角度で配置する場合、以下のような構成、配置とすることが望ましい。
【0143】
例えば、平面視において、第1支持部30Aの付勢部材である第2レール部材32Aによる転動部材33の押圧方向を光軸OAに向かう方向とし、当該方向に対し、線対称の位置となるように、第2支持部30B及び第3支持部30Cを配置する。このような構成、配置とすることにより、第2支持部30B及び第3支持部30Cにおいて、第1支持部30A側から受ける押圧力が均等になり、保持部10を安定して支持することができる。
【0144】
また、支持部は、内周面23(外周面13)の周方向の3箇所以上に分散配置されてもよい。この場合、対象を安定して支持可能な3点支持を基本として、3点支持の間を更に支持するよう、6箇所や9箇所等の3の倍数箇所に支持部を配置することが望ましい。
【0145】
また、上記実施の形態では、スマートフォンMを例に挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部とを有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)等を含む。また、輸送機器は、例えば、自動車やドローン等を含む。
【0146】
図13A図13Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図13Aは自動車Vの正面図であり、図13Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、上記実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図13A図13Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0147】
また、上記実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズム等のレンズ以外の光学素子であっても、撮像素子502のような光学素子でもよい。この場合、保持部10の開口部11は、取り付ける光学素子の形状に応じて、形状を変更したり、場合によっては、無くしたりしてもよい。
【0148】
また、上記実施の形態では、光学素子駆動装置1はAF機能を有しているが、AF機能だけでなく、ズーム機能等、レンズ部2をZ方向に移動させる機能を有するものでもよい。
【0149】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明に係る光学素子駆動装置及びカメラモジュールは、例えば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラ、ドローン等のカメラ搭載装置に搭載して、有用なものである。
【符号の説明】
【0151】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部
3 カバー
4 光学素子駆動装置本体
5 撮像部
10 保持部
11 開口部
12 枠部
13 外周面
14A、14B 磁石
15A、15B、15C 第1溝部
16 取付部
20 収容部
21 収容開口部
22 枠部
22a 底部
22b 側壁部
22bA、22bB、22bC、22bD 隅部
23 内周面
24 外周面
25A、25B 挿入部
26A 凹部
26B、26C 第2溝部
27 固定部
30A 第1支持部
30B 第2支持部
30C 第3支持部
31A~31C 第1レール部材
32A~32C 第2レール部材
33 転動部材
34 リテーナー
34a 保持孔
40A、40B 駆動部
50 基板部
51 FPC
51a FPC主部
51b、51c FPC狭窄部
51d、51e FPC端部
52 ドライバーIC
53A、53B インダクタ
54A、54B 位置検出センサー
55 金属層
60A、60B カバー部材
61 蓋部
63 フランジ部
301 開口部
501 イメージセンサー基板
502 撮像素子
503 制御部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B