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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】車両用メーター表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/81 20240101AFI20240605BHJP
   B60K 35/22 20240101ALI20240605BHJP
【FI】
B60K35/81
B60K35/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019106069
(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公開番号】P2020199793
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】北村 遥
(72)【発明者】
【氏名】諸川 波動
(72)【発明者】
【氏名】山下 貴克
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107945(JP,A)
【文献】特開2016-141366(JP,A)
【文献】特開2008-230431(JP,A)
【文献】特開2001-063401(JP,A)
【文献】特開2002-120594(JP,A)
【文献】特開2004-268644(JP,A)
【文献】特開2017-069852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0136878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
B60W 30/14-30/16
B60R 16/02
G01D 7/00
G09G 5/00
5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーター表示部に、自車両の自車両表示を表示すると共に、該自車両前方の先行車両の先行車両表示を表示する車両用メーター表示装置であって、
前記先行車両を検出したとき、前記自車両と該先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出装置と、
オートクルーズ機能を作動させるオートクルーズスイッチと、
前記オートクルーズスイッチからOFF信号が入力されるときには、計器表示モードとして、前記メーター表示部に3つの円形状の計器表示を横方向に並列に表示させ、前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されるときには、インフォーメーションモードとして、前記3つの計器表示のうち横方向両側の円形状の計器表示を、前記メーター表示部の横方向中央に向けて開口した円弧状の計器表示に表示変更させると共に、該メーター表示部の横方向中央部に表示されていた円形状の計器表示を消失させて、該メーター表示部の横方向両側の計器表示間において少なくとも前記自車両表示を表示させる表示制御部と、が備えられ、
前記表示制御部は、前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されていると共に、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、設定車間距離を超えたと判断したときには、前記メーター表示部に前記先行車両表示を表示させると共に、該先行車両表示の鮮明度合いを、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離以下である場合に比べて低下させ、しかも、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離よりも長くなるほど、前記先行車両表示の鮮明度合いを次第に低下させるように設定されている、
ことを特徴とする車両用メーター装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示制御部は、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、前記設定車間距離以下であると判断したときには、該車間距離が長いほど、前記自車両表示に対する前記先行車両表示の離間長さを増大させると共に、該自車両表示に対する該先行車両表示の大きさを小さくするように設定されている、
ことを特徴とする車両用メーター装置。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1項において、
前記表示制御部は、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、所定の接近判断距離よりも短くなったと判断したとき、前記メーター表示部に、前記先行車両表示及び自車両表示に代えて警告画像を表示させるように設定されている、
ことを特徴とする車両用メーター装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記メーター表示部が横長形状として形成され、
前記表示制御部は、前記自車両表示及び前記先行車両表示を、前記メーター表示部の横方向中央部において、該自車両表示の上方に該先行車両表示が配置されるように表示させると共に、該メーター表示部の横方向両側において、前記計器表示として該自車両の走行状態に関するものを表示させるように設定されている、
ことを特徴とする車両用メーター装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記表示制御部に、前記設定車間距離として、値の大きさが異なる複数の設定車間距離が備えられ、
オートクルーズ機能作動時において、前記複数の設定車間距離の中から一つを設定するための車間距離設定スイッチが備えられ、
前記表示制御部は、前記車間距離設定スイッチが、前記複数の設定車間距離の中から一つを設定したと判断すると共に、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、前記車間距離設定スイッチが設定した設定車間距離を超えたと判断したときには、該車間距離設定スイッチが設定した設定車間距離が相対的に大きいものほど、前記先行車両表示の鮮明度合いを低下させるように設定されている、
ことを特徴とする車両用メーター装置。
【請求項6】
メーター表示部に、自車両の自車両表示を表示すると共に、該自車両前方に先行車両が存在するときには、該先行車両の先行車両表示を該自車両表示の上方側において表示し、該自車両後方に後行車両が存在するときには、該後行車両の後行車両表示を該自車両表示の下方側において表示する車両用メーター表示装置であって、
前記先行車両を検出したとき、該先行車両と前記自車両との間の車間距離を検出する車間距離検出装置と、
前記後行車両を検出したとき、該後行車両と前記自車両との間の車間距離を検出する第2車間距離検出装置と、
オートクルーズ機能を作動させるオートクルーズスイッチと、
前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されるときには、少なくとも前記自車両表示を表示させる表示制御部と、が備えられ、
前記表示制御部は、
前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されていると共に、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、設定車間距離を超えたと判断したときには、該先行車両の先行車両表示を前記メーター表示部に前記自車両表示上方側において表示させると共に、該先行車両表示の鮮明度合いを、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離よりも長くなるほど次第に低下させ、
前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されていると共に、前記第2車間距離検出装置が検出した車間距離が、第2設定車間距離を超えたと判断したときには、該後行車両の後行車両表示を前記メーター表示部に前記自車両表示下方側において表示させると共に、該後行車両表示の鮮明度合いを、前記第2車間距離検出装置が検出した車間距離が前記第2設定車間距離以下にある場合に比べて低下させるように設定されている、
ことを特徴とする車両用メーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用メーター表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用メーター表示装置には、特許文献1、特許文献2に示すようなものが提案されている。特許文献1には、メーター表示部に、その横方向中央部において、接近車両や歩行者の撮影画像を表示するようにしたものが示され、特許文献2には、メーター表示部に、車体前方の撮像画像を表示すると共に、その撮像画像中の注視画像をドライバーに注視させるために中間画像を表示するようにしたものが示されている。
【0003】
ところで、車両用メーター表示装置には、自車両の前方に先行車両を検出した場合、前述のようなメーター表示部に、自車両の自車両表示と共に、その先行車両の先行車両表示を自車両表示の上方(前方)に位置させるように表示したものがある。このものにおいて、そのメーター表示部上での自車両表示と先行車両表示との位置関係(距離関係)を実際の自車両と先行車両との車間距離に対応したもの(相関するもの)とすれば、ドライバーは、先行車両の存在だけでなく、自車両と先行車両との距離感についても視覚を通じて把握できることになり、先行車両に対する認識度合いを高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-254539号公報
【文献】特開2017-77767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、メーター表示部における表示範囲には限りがあり、特に直感的に車間距離を捉えることができる上下方向においては、横方向よりも短い表示範囲となっている。このため、折角、先行車両の検出手段が先行車両を検出していても、先行車両と自車両との車間距離が長くなる場合においては、その先行車両の先行車両表示を、メーター表示部において、ドライバーが自車両と先行車両との距離感を認識できるようにした状況の下で表示することができないことがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、自車両と先行車両との距離感を認識できるようにしながら、先行車両表示を表示できる先行車両と自車両との車間距離の増大を図ることができる車両用メーター表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)~(7)とした構成とされている。
【0008】
(1)メーター表示部に、自車両の自車両表示を表示すると共に、該自車両前方の先行車両の先行車両表示を表示する車両用メーター表示装置であって、
前記先行車両を検出したとき、前記自車両と該先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出装置と、
オートクルーズ機能を作動させるオートクルーズスイッチと、
前記オートクルーズスイッチからOFF信号が入力されるときには、計器表示モードとして、前記メーター表示部に3つの円形状の計器表示を横方向に並列に表示させ、前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されるときには、インフォーメーションモードとして、前記3つの計器表示のうち横方向両側の円形状の計器表示を、前記メーター表示部の横方向中央に向けて開口した円弧状の計器表示に表示変更させると共に、該メーター表示部の横方向中央部に表示されていた円形状の計器表示を消失させて、該メーター表示部の横方向両側の計器表示間において少なくとも前記自車両表示を表示させる表示制御部と、が備えられ、
前記表示制御部は、前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されていると共に、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、設定車間距離を超えたと判断したときには、前記メーター表示部に前記先行車両表示を表示させると共に、該先行車両表示の鮮明度合いを、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離以下である場合に比べて低下させ、しかも、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離よりも長くなるほど、前記先行車両表示の鮮明度合いを次第に低下させるように設定されている構成とされている。
【0009】
この構成によれば、先行車両表示の大きさ、自車両表示に対する先行車両表示の離間長さを変化させなくても、人間の感性に基づき、先行車両表示の鮮明度合いが鮮明な状態から低下する現象、その低下した鮮明度合い状態(不鮮明状態)を、先行車両が自車両から遠のく感じ乃至は先行車両が遠のいた感じとして、ドライバーに感じさせることができることを利用し、先行車両と自車両との車間距離が設定車間距離以下であるときには、先行車両表示の鮮明度合いを鮮明な状態にして、先行車両が自車両から遠くない前方に位置する距離感をドライバーに認識させる一方で、先行車両と自車両との車間距離が設定車間距離を超えたときには、車間距離が設定車間距離以下であるときに比べて先行車両表示の鮮明度合いを低下させて、その鮮明度合いの低下により、比較的注意を要しない車間距離にまで先行車両が遠のいている距離感(距離の増大感)をドライバーに感じさせることができる。これにより、メーター表示部における表示範囲に限りがある中で、自車両表示に対する先行車両表示の離間長さを増大させた状態にしなくても、先行車両表示の鮮明度合い(不鮮明度合い)を利用することにより、先行車両が自車両に対して遠い距離にあることをドライバーに認識させることができる。このため、自車両と先行車両との距離感を認識できるようにしながら、先行車両表示を表示できる先行車両と自車両との間の車間距離の増大を図ることができる。
【0010】
また、前記表示制御部は、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、前記設定車間距離を超えたと判断したときには、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離よりも長くなるほど、前記先行車両表示の鮮明度合いを低下させるように設定されていることから、車間距離が設定車間距離を超えている場合であっても、先行車両表示の鮮明度合いの変化を通じて、自車両に対して先行車両が遠のいていくこと、及び自車両に対して先行車両が近づいてくることを、より具体的且つ的確に感じ取ることができ、自車両に対する先行車両の距離感を高めることができる。
【0011】
【0012】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記表示制御部は、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、前記設定車間距離以下であると判断したときには、該車間距離が長いほど、前記自車両表示に対する前記先行車両表示の離間長さを増大させると共に、該自車両表示に対する該先行車両表示の大きさを小さくするように設定されている構成とされている。
【0013】
この構成によれば、ドライバーにとって注意を要する設定車間距離以下において、先行車両表示の表示に関し、鮮明な状態で遠近法が取り入れられることになり、自車両に対する先行車両の距離感を、ドライバーに対して的確に感じさせることができる。
【0014】
(3)前記(1)~(2)のいずれかの構成の下で、
前記表示制御部は、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、所定の接近判断距離よりも短くなったと判断したとき、前記メーター表示部に、前記先行車両表示及び自車両に代えて警告画像を表示させるように設定されている構成とされている。
【0015】
この構成によれば、先行車両と自車両との車間距離が、所定の接近判断距離よりも短くなったときには、緊急状態であるとして、警告画像により先行車両表示及び自車両の状態を隠し、その警告画像により緊急性をドライバーに伝えることができる。
【0016】
(4)前記(1)~(3)のいずれかの構成の下で、
前記メーター表示部が横長形状として形成され、
前記表示制御部は、前記自車両表示及び前記先行車両表示を、前記メーター表示部の横方向中央部において、該自車両表示の上方に該先行車両表示が配置されるように表示させると共に、該メーター表示部の横方向両側において、前記計器表示として該自車両の走行状態に関するものを表示させるように設定されている構成とされている。
【0017】
この構成によれば、自車両表示及び先行車両表示が、メーター表示部における横方向中央部において上下方向に列状に配置されるだけでなく、メーター表示部における横方向両側から自車両の走行状態に関する情報表示によって挟まれる配置となり、列状に表示された自車両表示及び先行車両表示を、注意を向ける存在としてドライバーに印象付けることができる。
【0018】
(5)前記(1)~(4)のいずれかの構成の下で、
前記表示制御部に、前記設定車間距離として、値の大きさが異なる複数の設定車間距離が備えられ、
オートクルーズ機能作動時において、前記複数の設定車間距離の中から一つを設定するための車間距離設定スイッチが備えられ、
前記表示制御部は、前記車間距離設定スイッチが、前記複数の設定車間距離の中から一つを設定したと判断すると共に、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、前記車間距離設定スイッチが設定した設定車間距離を超えたと判断したときには、該車間距離設定スイッチが設定した設定車間距離が相対的に大きいものほど、前記先行車両表示の鮮明度合いを低下させるように設定されている構成とされている。
【0019】
この構成によれば、オートクルーズ機能作動時(追従機能作動時)において、車間距離検出装置が検出した車間距離が、設定車間距離を超えたときには、先行車両表示は、その超えた各設定車間距離に応じた鮮明度合いの低下状態となり、ドライバーは、先行車両が設定車間距離よりも離れていることを知ることができると共に、そのときの設定車間距離を先行車両表示の鮮明度合いの低下状態により知ることができる。
【0020】
【0021】
(6)メーター表示部に、自車両の自車両表示を表示すると共に、該自車両前方に先行車両が存在するときには、該先行車両の先行車両表示を該自車両表示の上方側において表示し、該自車両後方に後行車両が存在するときには、該後行車両の後行車両表示を該自車両表示の下方側において表示する車両用メーター表示装置であって、
前記先行車両を検出したとき、該先行車両と前記自車両との間の車間距離を検出する車間距離検出装置と、
前記後行車両を検出したとき、該後行車両と前記自車両との間の車間距離を検出する第2車間距離検出装置と、
オートクルーズ機能を作動させるオートクルーズスイッチと、
前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されるときには、少なくとも前記自車両表示を表示させる表示制御部と、が備えられ、
前記表示制御部は、
前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されていると共に、前記車間距離検出装置が検出した車間距離が、設定車間距離を超えたと判断したときには、該先行車両の先行車両表示を前記メーター表示部に前記自車両表示上方側において表示させると共に、該先行車両表示の鮮明度合いを、該車間距離検出装置が検出した車間距離が該設定車間距離よりも長くなるほど次第に低下させ、
前記オートクルーズスイッチからON信号が入力されていると共に、前記第2車間距離検出装置が検出した車間距離が、第2設定車間距離を超えたと判断したときには、該後行車両の後行車両表示を前記メーター表示部に前記自車両表示下方側において表示させると共に、該後行車両表示の鮮明度合いを、前記第2車間距離検出装置が検出した車間距離が前記第2設定車間距離以下にある場合に比べて低下させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、自車両と先行車両との距離感を認識できるようにしながら、先行車両表示を表示できる先行車両と自車両との間の車間距離の増大を図ることができると共に、自車両と後行車両との距離感を認識できるようにしながら、後行車両表示を表示できる後行車両と自車両との間の車間距離の増大を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自車両と先行車両との距離感を認識できるようにしながら、先行車両表示を表示できる先行車両と自車両との車間距離の増大を図ることができる車両用メーター表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るメーター表示部が計器表示モードの状態を示す説明図。
図2】第1実施形態に係るメーター表示部がインフォーメーションモードの下で先行車両表示と自車両表示とを表示している状態を示す説明図。
図3】第1実施形態に係る制御系統例を示す図。
図4】第1実施形態に係る表示制御部における演算処理部が、各種機能要素として機能する状態を概念的に示す図。
図5】第1実施形態に係るメーター表示部がインフォーメーションモードの下で警告画像を表示する状態を示す説明図。
図6】第1実施形態に係るメーター表示部が、インフォーメーションモードの下で、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離を超えた場合の表示状態を示す説明図。
図7】第1実施形態に係る制御例を示すフローチャート。
図8】第2実施形態に係る制御例を示すフローチャート。
図9図8の続きを示すフローチャート。
図10】第3実施形態に係るメーター表示部における表示状態の一部を示す説明図。
図11】第3実施形態に係る制御系統例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1図7は第1実施形態を示す。この第1実施形態における図1図2において、符号1は、車両用メーター表示装置2に用いられる横長形状のメーター表示部ある。このメーター表示部1は、その表示面1A全体が液晶画面として形成され、その表示面1Aは、メーター表示部1の横方向を車幅方向に向けつつドライバーに対向した状態で配置されている。具体的には、メーター表示部1の表示面1Aは、その横方向中央を中心として対称な形状に形成され、メーター表示部1における表示面1Aの下縁1Aaは、横方向(車幅方向)に真っ直ぐに伸び、その横方向両端から側縁1Abが、横方向外側に膨らみつつそれぞれ立ち上がっている。メーター表示部1における表示面1Aの上縁1Acは、緩やかな傾斜角度をもって、両側縁1Abの上端から横方向中央に向かうに従って上方に向うように傾斜され、それらは、その横方向中央部において上方に凸となる湾曲状の上縁中央部1Accに連なっている。このため、メーター表示部1の横方向中央部においては、その上縁中央部1Accに基づき、表示面1Aの面積を上方に拡張する拡張部3が形成されている。尚、メーター表示部1を示す各図においては、表示面1Aの周縁をもって外形を示し、その表示面1Aの周縁部材は省略されている。
【0025】
前記メーター表示部1は、計器表示モードと、インフォーメーションモードとに応じた表示内容を表示する。計器表示モードにおいては、図1に示すように、メーター表示部1の表示面1Aに3つの円形状の計器表示M1~M3が横方向に並列に表示される。本実施形態においては、メーター表示部1における横方向中央部の計器表示M1として、スピード計が表示され、メーター表示部1における横方向左側の計器表示M2としては、回転数計が表示され、メーター表示部1における横方向右側の計器表示M3としては、燃料計が表示される。計器表示M1は、メーター表示部1の上縁中央部1Accに基づき拡張された拡張部3を利用して、その径が、メーター表示部1における横方向両側の計器表示M2,M3の径よりも大きくされている。この計器表示M1は、その上部が表示面1Aの拡張部3内に入り込んで表示面1Aの上縁中央部1Accに沿いながら、表示面1Aの上下幅のほぼ全体を使うようにして表示されている。計器表示M2,M3は、前記計器表示M1の径よりも小さい径をもって、表示面1Aの上下幅のほぼ全体を使うようにして表示されており、その両計器表示M2,M3の上部は、計器表示M1の上部よりも低い位置となっている。このため、メーター表示部1における横方向中央部において、計器表示M1を目立たせて視認し易くすることができるばかりか、その計器表示M1を他の計器表示M2,M3よりも上方に突き出すような表示形態をとることができ、運転時における進行軸の意識化を高めることができる。
【0026】
インフォーメーションモードでは、図2に示すように、メーター表示部1における横方向両側において、計器表示モード時における円形状の計器表示M2,M3が円弧状の計器表示MA2,MA3に表示変更され、計器表示モード時に表示されていた計器表示M1は、メーター表示部1の表示面1Aから消失される。円弧状の両計器表示MA2,MA3については、その開口をメーター表示部1の横方向内方側に向けた状態の下で、その円弧状の各計器表示M2,M3の二等分線dの方向が横方向内方に向かうに従って上方に向くように傾斜配置される。そのうち、回転数計をなす計器表示MA2については、その円弧状の計器表示内に収まるように目盛りがふり直される(図2参照)。計器表示M1の消失については、本実施形態においては、その計器表示M1の倒伏動作に伴って行われ、その計器表示M1の消失に伴い、計器表示M1に相当するデジタル表示(例えば数値表示「65」及び単位表示「MPH」)D1が、メーター表示部1の横方向中央上部に表示される。
【0027】
また、インフォーメーションモードにおいては、図2に示すように、メーター表示部1の表示面1Aに、インフォーメーション映像が表示される。インフォーメーション映像は、計器表示M1の消失等に伴って生成された表示領域に表示され、そのインフォーメーション映像においては、表示領域の下方側に自車両の自車両表示5がその進行方向を上方とした状態で表示されると共に、その自車両の前方に先行車両が存在するときには、その先行車両の先行車両表示6が、自車両表示5の上方側に表示される。このインフォーメーション映像(自車両表示5と先行車両表示6との関係)については、後に詳述する。
【0028】
前記車両用メーター表示装置2には、図3に示すように、前記メーター表示部1を制御すべく、マイクロコンピュータを利用して構成された表示制御部U1が備えられている。このため、表示制御部U1からメーター表示部1に表示制御信号が出力される一方、この表示制御部U1には、他の制御部U2が取得した車両の基本動作状態情報がインターフェースIFを介して入力されている他に、車間距離検出装置としてのレーダ装置7からの出力情報、カメラ8からの出力情報、オートクルーズスイッチ9からのON,OFF信号、車間距離設定スイッチ10からの押圧操作に基づく設定車間距離信号が入力される。車両の基本動作状態情報としては、車速情報、エンジン回転数情報、燃料残量情報、エンジン冷却水温情報等が取得され、それら情報は、計器表示M1~M3の内容を表示する際に利用される。レーダ装置7は、超音波を発信してその反射波により前方車両との車間距離を検出するものである。カメラ8は、自車両のルームミラーの前部に取付けられて、自車両の前方を撮像するものである。オートクルーズスイッチ9は、本実施形態において、インフォーメーションモードスイッチの一例として挙げたものであり、このオートクルーズスイッチ9からのON、OFF信号により、全車速追従機能(オートクルーズ機能)及びインフォーメーション映像の表示機能を発揮するか否かが決められる。車間距離設定スイッチ10は、追従走行のための設定車間距離L0を選択するものであり、この車間距離設定スイッチ10による設定、変更は、オートクルーズスイッチ9のON状態が条件となる。
【0029】
前記表示制御部U1には、図3に示すように、コンピュータとしての機能を確保すべく、記憶部11と、演算制御部12とが備えられている。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されており、その記憶部11には、必要な情報として、計器表示モードにおいて使用される各計器表示M1~M3の基本画像、インフォーメーションモードにおいて使用される計器表示MA2,MA3の基本画像及びデジタル表示D1、自車両表示5及び先行車両表示6の画像、オートク
ルーズ機能作動時における設定車間距離L0等が格納されている。
【0030】
また、必要な各種プログラムとしては、基本プログラムの他に、車両の基本動作状態情報を計器表示M1~M3の基本画像に指針等として反映させるもの(基本動作状態を反映処理するもの)、先行車両の存在をカメラ8の出力情報から判別するもの(先行車両の存在を判別処理するもの)、先行車両と自車両との車間距離Lを測定するもの(測距処理するもの)、オートクルーズスイッチ9からOFF信号が入力されるときには、計器表示モードとして、メーター表示部1に3つの円形状の計器表示M1~M3を横方向に並列に表示させ、オートクルーズスイッチ9からON信号が入力されるときには、インフォーメーションモードとして、メーター表示部1に、メーター表示部1の横方向両側において、円弧状の計器表示MA2,MA3を表示させると共に、その両計器表示MA2,MA3間において、インフォーメーション映像として、自車両表示5、先行車両表示6等を表示させるもの(表示調整するもの)、測距処理により求められた車間距離Lと設定車間距離L0とを比較するもの(比較処理)、先行車両と自車両との車間距離が長いほど、先行車両表示6を自車両表示5から離間させると共にその大きさを小さくするもの(先行車両表示を調整処理するもの)、設定車間距離L0とメーター表示部1上での自車両表示5から一定の上方領域とを仮想的な被写界深度として関連付け、先行車両が設定車間距離内にあるときには仮想的被写界深度内に先行車両表示6が存在するべきものとして、その先行車両表示6の鮮明度合いを鮮明な状態(焦点が合っている状態)とし、先行車両が設定車間距離L0を超えたときには仮想的被写界深度内に先行車両表示6が存在するべきものでないとして、その仮想的被写界深度から離れて位置するほどその先行車両表示6の鮮明度合いを低下表示状態(不鮮明ないしはぼかし状態)とするもの(仮想的被写界深度処理するもの)等が格納されている。これら各種プログラム等は、必要に応じて、演算制御部12により読み出され、また、必要な情報が記憶部11に適宜、記憶される。
【0031】
前記演算制御部12は、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、その演算制御部12は、記憶部11から読み出されたプログラムの下で、図4に示すように、基本動作状態反映部12a、先行車両存在判別部12b、測距部12c、表示調整部12d、先行車両表示調整部12e、比較部12g、仮想的被写界深度処理部12h等として機能する。
【0032】
前記表示制御部U1は、次のような表示制御を行う。
【0033】
(1)表示制御部U1は、オートクルーズスイッチ9のON信号が入力されない限り(OFF状態である限り)、メーター表示部1を計器表示モードとし、メーター表示部1に、図1に示すように、その全体を利用して、3つの計器表示M1~M3を横方向に並列した状態で表示させる。このとき、基本動作状態反映部12aは、計器表示M1~M3において、現時点の基本動作状態情報を指針の動きとして反映させる。
【0034】
(2)オートクルーズスイッチ9のON信号の入力を条件として実行されるオートクルーズ制御は、他の制御部U2により実行される(他の制御部U2に対する入力関係については図示略)。この他の制御部U2には、既知の如く、オートクルーズスイッチ9のON、OFF信号、車速設定スイッチのON、OFF信号、車間距離設定スイッチ10の押圧操作信号が入力される。他の制御部U2においては、オートクルーズスイッチ9のON信号が入力されると、オートクルーズ制御が実行状態となり、そのオートクルーズ制御の下において、さらにアクセルペダル操作により設定したい車速に調整した上で車速設定スイッチのON信号が入力されると、その車速が設定され、車間距離設定スイッチ10の押圧操作信号が入力されると、車間距離が選択設定されることになる。これにより、自車両は、先行車両が存在しないときに設定車速の下で定速走行を行い、先行車両を検知すると、その先行車両に対して追従走行を行うことになる。
【0035】
(3)表示制御部U1にも、前述のオートクルーズスイッチ9のON、OFF信号、及び車間距離設定スイッチ10の押圧操作信号が入力される。表示制御部U1にオートクルーズスイッチ9のON信号が入力されると、表示制御部U1は、メーター表示部1での計器表示モードの表示内容をインフォーメーションモードの表示内容に変更する。具体的には、計器表示モード時においてメーター表示部1における横方向両側に表示されていた円形状の計器表示M2,M3が、円弧状のものMA2,MA3に表示変更されると共に、計器表示モードにおいて、メーター表示部1の横方向中央部に表示されていた円形状の計器表示M1が消失される。そして、上記円弧状の両計器表示MA2,MA3間の表示領域(下側領域)に、図2に示すように、インフォーメーション映像として、自車両表示5及びデジタル表示(車速)D1が表示される。しかも、カメラ8からの出力情報を先行車両存在判別部12bが処理して先行車両が検知されたときには、その先行車両表示6もメーター表示1に、自車両表示5の上方において表示される(図2参照)。
【0036】
この場合、表示制御部U1では、車間距離設定スイッチ10からの押圧操作信号の入力に基づいて設定車間距離L0情報が取得される一方で、レーダ装置7からの出力情報が測距部12cにより処理されて、自車両と先行車両との間の車間距離Lが算出されることになる。この車間距離Lと設定車間距離L0とが比較部12gにより比較され、その比較部12gにより、車間距離Lが設定車間距離L0以下にあると判断されたときには、仮想的被写界深度処理部12hが、先行車両表示6が仮想的被写界深度内にあるべきものとして、その鮮明度合いを鮮明な表示状態に処理する。この先行車両表示6は、表示調整部12dによりメーター表示部1上に表示される。
【0037】
しかもこの車間距離Lが設定車間距離L0以下にあるときには、表示制御部U1の先行車両表示調整部12eは、メーター表示部1において、車間距離Lが長くなるほど、それに対応して、自車両表示5に対する先行車両表示6の離間長さを増大させると共に、自車両表示5に対する先行車両表示6の大きさを相対的に縮小させる。ドライバーにとって注意を要する距離(車間距離Lが設定車間距離L0以下)において、先行車両表示6の表示に関し、鮮明な表示状態の下で遠近法を取り入れ、自車両に対する先行車両の距離感を、ドライバーに対して的確に認識させるためである。勿論このとき、メーター表示部1においては、先行車両表示6の上方に未だ表示可能な表示領域が残されている。
【0038】
またこの場合(車間距離Lが設定車間距離L0以下にあるとき)、表示制御部U1は、車間距離Lが所定の接近判断距離Ldよりも短くなったと判断したときには、図5に示すように、メーター表示部1に、先行車両表示6を重畳した状態である覆い隠す状態で警告画像15を表示させる。緊急状態であるとして、警告画像15により先行車両表示6を隠し、その警告画像15により緊急性をドライバーに伝えるためである。このため、警告画像15には、ブレーキペダルを踏み込んで車速の減速を促す内容が示される。
【0039】
(4)他方、表示制御部U1(比較部12g)により車間距離Lが設定車間距離L0を超えたと判断されたときには、図6に示すように、表示制御部U1における仮想的被写界深度処理部12hは、先行車両表示6が仮想的被写界深度内に存在すべきものでないとして、その鮮明度合いを不鮮明な表示状態(ぼかし表示状態)とする(この不鮮明な表示状態の先行車両表示を符号6Aをもって示す)。先行車両表示6の存在をその不鮮明な表示状態の存在をもって明確にしながら(存在自体は明確)、先行車両と自車両との車間距離Lが、比較的注意する必要がある設定車間距離L0を超えた距離(比較的注意を要しない距離)にあるとの距離感(距離の増大感)を先行車両表示の不鮮明な表示状態をもってドライバーに認識させるためである。これは、メーター表示部1上で、先行車両表示6の大きさ、自車両表示5に対する先行車両表示6の離間長さを変化させなくても(遠近法を用いなくても)、人間の感性として、先行車両表示6の鮮明度合いが鮮明な状態から低下する現象、その低下した鮮明度合い状態(不鮮明状態)が、先行車両が自車両から遠のく感じ、先行車両が遠のいた感じをドライバーに認識させることができることに着目し、それを利用したものである。ここで、先行車両表示6の鮮明度合いが不鮮明な表示状態(ぼかし表示状態)とは、先行車両表示6の輪郭、色の境目を不鮮明(ぼかし)な状態等に表示することをいい、図6において、その先行車両表示6の鮮明度合いが不鮮明な表示状態(ぼかし表示状態)であることは(6A)、図面で描くことの制約上、薄れた状態で示されている。
【0040】
また、本実施形態においては、この車間距離Lが設定車間距離L0を超えているときには、表示制御部U1は、その仮想的被写界深度処理部12hにより、車間距離Lが設定車間距離L0よりも長くなるほど、先行車両表示6の鮮明度合いを次第に低下させる。先行車両表示6の鮮明度合いの変化を通じて、自車両に対して先行車両が遠のいていくこと又は自車両に対して先行車両が近づいてくることを、より的確に認識させて、自車両に対する先行車両の距離感を高めるためである。
【0041】
これにより、基本的に、車間距離Lが設定車間距離L0を超えて増大しても、メーター表示部1上での自車両表示5と先行車両表示6との離間長さを増大させる必要がなくなり、メーター表示部1に上下方向の長さ(上下方向の表示領域)に限りがあるといえども、先行車両と自車両との距離感を認識させながら、先行車両表示6と自車両表示5とをメーター表示部1に的確に表示できる。
【0042】
但し、本実施形態においては、この場合、車間距離Lが設定車間距離L0以下である場合ほどではないものの、表示制御部U1の先行車両表示調整部12eが、車間距離Lが長いほど、自車両表示5に対する先行車両表示の離間長さを増大させると共に、自車両表示5に対する先行車両表示6の大きさを相対的に縮小させる。メーター表示部1において、できるだけ長い車間距離Lの範囲で先行車両表示6を表示したい要求と、車間距離Lが設定車間距離L0以内であるときにおける表示領域を、その重要性から大きく占めたい要求がある一方で、車間距離Lが設定車間距離L0を超える場合においても、多少なりとも、遠近法をメーター表示部1上での表示に取り入れて、先行車両と自車両との距離感に対するドライバーの認識を高めたいからである。このため、車間距離Lが設定車間距離L0を超えた場合においては、その実際の車間距離Lの変化に対するメーター表示部1上での先行車両表示6の離間長さ及び大きさの変化の割合が、車間距離Lが設定車間距離L0以下である場合よりも小さくされている(あまり変化しないこと)。
【0043】
表示制御部U1の制御内容等を、図7に示すフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。尚、Qはステップを示す。
【0044】
先ず、R1において、オートクルーズスイッチ9がONされたか否かが判別され、R1がNOのときには、計器表示モードであるとして、R2において、メーター表示部1全体を利用して3つの計器表示M1~M3が横方向に並列した状態で表示される(図1参照)。このとき、各計器表示M1~M3には、車速情報、エンジン回転数情報、燃料残量情報、エンジン冷却水温情報等の車両の基本動作状態情報が指針等を通じて反映される。
【0045】
前記R1がYESのときには、オートクルーズ制御の実行及びインフォーメーションモードを選択したと判断され、このときには、R5以降において、メーター表示部1で計器表示モードの表示内容からインフォーメーションモードの表示内容に変更される。すなわち、R5において、メーター表示部1における横方向両側に表示されていた円形状の計器表示M2,M3が、円弧状のものMA2,MA3に表示変更されると共に、計器表示モードにおいて、メーター表示部1の横方向中央部に表示されていた円形状の計器表示M1が消失されて、上記円弧状の両計器表示MA2,MA3間の表示領域(下側領域)に、インフォーメーション映像として、自車両表示5及びデジタル表示D1が表示される。尚、オートクルーズ制御については、他の制御部U2が実行することになる。
【0046】
次いで、R6において、カメラ8からの出力情報に基づき先行車両が存在するか否かが判別される。先行車両が存在する場合には、それを表示することによりその存在をドライバーに情報として認識させるためである。このため、R6がNOのときには、前述のR5のインフォーメーション映像の表示が維持される一方、R6がYESのときには、R7において、自車両と先行車両との車間距離Lが算出され、次のR8において、その車間距離Lが設定車間距離L0以下であるか否かが判別される。先行車両表示6の鮮明度合いを不鮮明な表示状態(ぼかし状態)にする必要がないか否かを判別するためである。このため、R8がYESのときには、R9において、先行車両表示6は鮮明な鮮明度合い(仮想的に焦点が合っている状態)Cの下で表示される。この車間距離Lが設定車間距離L0以下にあるときには、先行車両表示6の表示に関して、遠近法が取り入れられて、車間距離Lが長くなることに対応して、自車両表示5に対する先行車両表示6の離間長さが長くなる位置に位置されると共に、先行車両表示6の大きさが縮小される。
【0047】
次のR10では、自車両が先行車両に接近し過ぎていないことを確認すべく、車間距離Lが所定の接近距離Ldを超えているか否かが判別される。このR10がYESのときには、R11において、既に警告画像15が表示されているか否かが判別され、そのR11がNOのときには、処理はそのままR1にリターンされる一方、R11がYESのときには、R12において警告画像15を消去した後、処理はR1にリターンされる。
【0048】
前記R10がNOのときには、自車両が先行車両に接近しすぎたことをドライバーに知らせるべく、R13において、警告画像15が先行車両表示6を覆い隠す状態(重畳した状態)で表示され、その状態で処理はR1にリターンされる。
【0049】
前記R8がNOのときには、R14において、車間距離Lが設定車間距離L0よりもΔLだけ長いL0+ΔL以下であるか否かが判別されて、車間距離Lが、設定車間距離L0を超えてL0+ΔL以下の範囲に存在するか否かが判断される。R14がYESのときには、R15において、先行車両表示6は、鮮明度合いが鮮明な鮮明度合いCよりもΔCだけ低下された不鮮明な表示状態(ぼかした状態)で表示される。この先行車両表示6の不鮮明な表示状態だけで、ドライバーは、先行車両が設定車間距離L0よりも遠いL0を超えたL0+ΔLまでの距離にある距離感を認識できることになり、その車間距離Lが設定車間距離L0を超えた場合には、基本的に、自車両表示5と先行車両表示6との離間長さの増減、先行車両表示6の大きさの増減を行わなくても済むことになる。これにより、車間距離Lが設定車間距離L0を超えたとしても、先行車両表示6の表示に当たり、その表示がメーター表示部1の上下長さに制限されなくなる。尚、本実施形態においては、前述の如く、車間距離Lの増減に対応して、車間距離Lが設定車間距離L以内にある場合の変化割合ほどでないものの(あまり変化しない変化割合)、自車両表示5と先行車両表示6との離間長さの増減、先行車両表示6の大きさの増減が行われる。
【0050】
R14がNOのときは、車間距離Lが、設定車間距離L0にΔLが加えられた距離を超えているときであり、このときには、R16において、先行車両表示6の鮮明度合いは、鮮明な鮮明度合いCよりも2ΔCだけ低下された不鮮明な表示状態(よりぼかした状態)で表示される。このさらに進んだ不鮮明状態に基づき、先行車両が自車両よりもさらに遠い位置にあることを認識させるためである。この後、処理はR1にリターンされる。
【0051】
図8図9は第2実施形態、図10図11は第3実施形態を示すものである。この各実施形態において、前記第1実施形態と道津構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図8図9に示す第2実施形態は、オートクルーズ機能作動時に設定可能とされる複数の各設定車間距離L0(K1~K4)毎に先行車両表示6における鮮明度合いの不鮮明表示状態を変えることとしたものを示している。これにより、オートクルーズ機能作動時(追従機能作動時)において、レーダ装置7が検出した車間距離Lが、設定車間距離L0を超えたときには、先行車両表示6は、その超えた各設定車間距離L0(K1~K4)に応じた鮮明度合いの低下表示状態となり、ドライバーは、その先行車両表示6の鮮明度合いの低下表示状態により、先行車両が設定車間距離L0から離れていくことを知ることができると共に、そのときの設定車間距離L0(K1~K4)を知ることができる。この場合、先行車両表示6に対する各鮮明度合いの低下処理は、仮想的被写界深度処理部12hが、車間距離設定スイッチ10により設定された設定車間距離L0(K1~K4のいずれか)に応じて仮想的被写界深度を調整することにより行われる。
【0053】
第2実施形態の制御例を、図8図9に示すフローチャートに基づき具体的に説明する。第2実施形態の制御例は、基本的に第1実施形態の制御例と同様のものとなっており、その第2実施形態においては、独自内容として、車間距離設定スイッチ10により設定されている設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか(K1<K2<K3<K4))の読み込みが繰り返され、その読み込まれた設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか)と車間距離Lとの比較により、その読み込まれた設定車間距離L0を車間距離Lが超えるときには、先行車両表示6が、その読み込まれた設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか)に応じた不鮮明表示状態で表示されることになる。尚、図8図9において、Tはステップを示す。
【0054】
先ず、オートクルーズスイッチ9がONされていない場合には、計器表示モードとなり、メーター表示部1には、計器表示M1~M3が表示される(T1,T2、図1参照)。
【0055】
オートクルーズスイッチ9がON状態になると、メーター表示部1では、その横方向両側において円弧状の計器表示MA2,MA3が表示されると共に、その両計器表示MA2,MA3間において、自車両表示5及びデジタル表示(設定車速)D1が表示される(T6、図2参照)。
【0056】
このような状況の下で、自車両の前方に先行車両が検知されたときには(T7)、その先行車両の先行車両表示6は、自車両と先行車両との車間距離Lに応じた位置(離間長さ)、大きさをもってメーター表示部1上に表示される(T8,T11)。このとき、車間距離設定スイッチ10により設定される設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか)が繰り返して読み込まれており(T5)、その時点での自車両と先行車両との車間距離L(T8)が、そのとき読み込まれている設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか:T5)以下であるときには(T9及びT10YES,T17及びT18YES,T20及びT21YES,T23YES)、自車両に先行車両が接近し過ぎることにより警告画像15が表示されている場合(T12,T14)を除き、先行車両表示6が鮮明な鮮明度合いCをもってメーター表示部1上に表示される。
【0057】
その一方で、自車両と先行車両との車間距離L(T8)が設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか)を超えたときには、先行車両表示6の鮮明度合いが、鮮明な状態の鮮明度合いCよりも低下した表示状態(ぼかし状態)とされ、その鮮明度合いの低下(ぼかし状態の程度)は、設定車間距離L0が大きくなるに伴い(K1<K2<K3<K4)、大きくなっている。具体的には、設定車間距離L0が最も短いK1であるときに(T9YES)、そのK1を車間距離L(T8)が超えたときには(T10NO)、先行車両表示6の鮮明度合いはC-ΔC(鮮明状態よりもぼかし状態に進んだことをΔCをもって概念的に示す)に低下し(T16)、設定車間距離L0が、K1に次いで長いK2であるときに(T17YES)、そのK2を車間距離L(T8)が超えたときには(T18NO)、先行車両表示6の鮮明度合いはC-2ΔCに低下する(T19)。さらに、設定車間距離L0が、K2に次いで長いK3であるときに(T20YES)、そのK3を車間距離L(T8)が超えたときには(T21NO)、先行車両表示6の鮮明度合いはC-3ΔCに低下し(T22)、設定車間距離L0が、K3に次いで長いK4であるときに(T20NO)、そのK4を車間距離L(T8)が超えたときには(T23NO)、先行車両表示6の鮮明度合いはC-4ΔCに低下する。
【0058】
これにより、前述の通り、先行車両表示6の鮮明度合いの低下表示状態により、先行車両が設定車間距離L0を離れて位置することを知ることができると共に、そのときの設定車間距離L0(K1~K4のうちのいずれか)を知ることができる。
【0059】
図10図11に示す第3実施形態は、メーター表示部1に、先行車両表示6だけでなく、自車両の後方を走行する後行車両の後行車両表示16をも表示し、自車両と後行車両との車間距離Lbが後方用設定車間距離L0bを超えている場合には、後行車両表示16の鮮明度合いを、前記第1実施形態同様(図7の制御例を利用)、不鮮明な表示状態(ぼかし状態)としている。この後行車両表示16の鮮明度合いを不鮮明な表示状態とすることにより、メーター表示部1における上下方向の表示領域に限りがある中で、後行車両の存在と、後行車両との車間距離Lbが後方用設定車間距離L0bを超えている距離感とを、ドライバーに認識させることができる。
【0060】
このため、この第3実施形態においては、図11に示すように、前方用のレーダ装置7、カメラ8及び車間距離設定スイッチ10からの各情報が表示制御部U1に入力されるだけでなく、その表示制御部U1には、後方用のレーダ装置17、カメラ18、及び車間距離設定スイッチ20からの各情報も入力されることになる。
【0061】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては次の態様を包含する。
(1)車間距離Lが設定車間距離L0を超える場合において、車間距離Lが増大しても先行車両表示6の位置をずらさず、表示状態を一律な不鮮明な状態又は車間距離Lの増大に応じて先行車両表示6の鮮明度合いを次第に低下させること。
(2)車間距離Lが設定車間距離L0を超える場合において、車間距離Lが増大するほど、自車両表示5に対する先行車両表示の離間長さを増大させること、自車両表示5に対する先行車両表示6の大きさを相対的に縮小することを単独的に用いること。
(3)第2実施形態において、車間距離Lが設定車間距離L0(K1~K4のいずれか)を超えた場合には、車間距離Lの増大に伴い、車間距離Lが各設定車間距離L0(K1~K4をいずれか)を超える毎に設定された先行車両表示6の不鮮明状態を基準として低下させること。
(4)先行車両、後行車両が走行する走行路は、1車路に限らず、複数車路を含むこと。
(5)先行車両表示6として、カメラ8によって撮像されたものを表示すること。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、自車両と先行車両との距離感を認識できるようにしながら、先行車両表示を表示できる先行車両と自車両との車間距離の増大を図るために利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 メーター表示部
2 車両用メーター表示装置
5 自車両表示
6 先行車両表示
7 レーダ装置(車間距離検出装置)
9 オートクルーズスイッチ
10 車間距離設定スイッチ
16 後行車両表示
17 後方用レーダ装置(第2車間距離検出装置)
10 後方用車間距離設定スイッチ
MA2 円弧状の計器表示(情報表示)
MA3 円弧状の計器表示(情報表示)
U1 表示制御部
L 先行車両と自車両との間の車間距離
Lb 後行車両と自車両との間の車間距離
L0 設定車間距離
L0b 後方用設定車間距離(第2設定車間距離)
Ld 所定の接近判断距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11