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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】情報処理システム及び自動運転車両
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20240605BHJP
   B60W 30/00 20060101ALI20240605BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240605BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
G06F9/50 120Z
B60W30/00
G08G1/00 X
G08G1/09 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019184029
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021060742
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 颯
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6421403(JP,B2)
【文献】特開2017-182249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
B60W 30/00
G08G 1/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪、前記駆動輪を両端に設ける駆動軸、前記駆動軸に対して動力を供給する駆動源並びに自動運転に関する制御を実行することにより前記駆動源及び前記駆動軸を動作させる制御装置を各々を含む複数の自動運転車両と、
ネットワークを介して前記複数の自動運転車両と相互に通信可能に接続された統括制御装置と、を具備し、
前記統括制御装置は、
前記複数の自動運転車両各々に含まれる前記制御装置の全ての計算資源に関する情報及び前記全ての計算資源のうちのユーザ各々が指定する目的地まで走行する自動運転車両各々の自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源に関する情報を取得する情報取得部と、
前記目的地まで走行する自動運転車両各々が走行を開始した際、前記全ての計算資源に関する情報及び前記割当計算資源に関する情報に基づいて、前記全ての計算資源から前記割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する算出部と、
システム外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求を受信可能な受信部と、
前記計算資源借用要求の受信を契機として、前記計算資源借用要求に対応する前記外部装置での計算作業を前記制御装置各々に割り当て、前記余剰計算資源を用いて前記計算作業を前記制御装置各々に処理させる制御を実行する割当制御部と、を具備する、
情報処理システム。
【請求項2】
現在位置から目的地までの走行経路に関して、前記複数の自動運転車両各々による自動運転の難易度が異なり、
前記割当制御部は、前記難易度の低い自動運転車両に含まれる前記制御装置に前記計算作業を優先的に割り当てる、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複数の自動運転車両各々の自動運転レベルが異なり、
前記割当制御部は、前記自動運転レベルの高い自動運転車両に含まれる前記制御装置に前記計算作業を優先的に割り当てる、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の自動運転車両各々は、前記割当制御部により割り当て可能な前記計算作業の種別を設定可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
駆動輪と、
前記駆動輪を両端に設ける駆動軸と、
前記駆動軸に対して動力を供給する駆動源と、
自動運転に関する制御を実行することにより前記駆動源及び前記駆動軸を動作させる制御装置と、を具備する自動運転車両であって
前記制御装置は、
ネットワークを介して前記自動運転車両とは独立して存在する他の自動運転車両に備えられる他の制御装置と相互に通信可能であり、
前記自動運転車両に備えられる前記制御装置に含まれる全ての計算資源に関する情報及び前記他の自動運転車両に備えられる前記他の制御装置に含まれる全ての計算資源に関する情報、並びに前記制御装置及び前記他の制御装置の全ての計算資源のうちのユーザ各々が指定する目的地まで走行する自動運転車両各々の自動運転に関する制御に割り当てられている割当計算資源に関する情報を取得する情報取得部と、
前記目的地まで走行する自動運転車両各々が走行を開始した際、前記制御装置及び前記他の制御装置の全ての計算資源に関する情報及び前記割当計算資源に関する情報に基づいて、前記制御装置及び前記他の制御装置の全ての計算資源から前記割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する算出部と、
外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求を受信可能な受信部と、
前記計算資源借用要求の受信を契機として、前記計算資源借用要求に対応する前記外部装置での計算作業を前記他の制御装置に割り当て、前記余剰計算資源を用いて前記計算作業を前記他の制御装置に処理させる制御及び前記計算作業を前記制御装置に割り当て、前記余剰計算資源を用いて前記計算作業を処理する制御のうちの少なくとも一つを実行する割当制御部と、を含む、
自動運転車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び自動運転車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下記特許文献1に示す計算手法等の手法を用いて、化学、工学若しくは薬学等の科学分野における学術計算又は仮想通貨マイニングといった多くの計算資源(リソース)が必要とされている計算作業(タスク)が実行されている。これらの計算は、専用のサーバ又はスーパーコンピュータ等の高負荷処理を実行可能な演算装置を用いることが多く、多額の設備費用及び運営費用が掛かるという問題がある。
【0003】
一方で、自動運転を実行可能な自動運転車両には、一般向けのコンピュータに用いられるCPU(Central Processing Unit)より、遥かに高性能なGPU(Graphic Processing Unit)が搭載されており、今後、自動運転レベルが現在のレベルより向上する時代には、現行のものよりさらに高性能なGPUが自動運転車両に搭載されることが予想されている。
【0004】
さらに、現在位置からユーザにより指定された目的地までの走行経路に関して、自動運転車両による自動運転の難易度が高い経路もあれば、低い経路もある。このため、自動運転の難易度が低い経路を走行中の自動運転車両において、使用されていない計算資源(余剰計算資源)が存在することが考えられる。しかしながら、上記余剰計算資源を全て他の計算作業のために貸し出した場合、自動運転車両本体の重要な処理に計算資源を回すことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-038339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、用途の異なる計算資源を有効活用することで他分野における計算資源の確保、並びに設備費用及び運営費用の削減を実現しつつ、自動運転車両における自動運転の安全性を確保することができる情報処理システム及び自動運転車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することができる。
本態様に係る情報処理システムは、駆動輪、前記駆動輪を両端に設ける駆動軸、前記駆動軸に対して動力を供給する駆動源並びに自動運転に関する制御を実行することにより前記駆動源及び前記駆動軸を動作させる制御装置を各々を含む複数の自動運転車両と、ネットワークを介して前記複数の自動運転車両と相互に通信可能に接続された統括制御装置と、を具備し、前記統括制御装置は、前記複数の自動運転車両各々に含まれる前記制御装置の全ての計算資源に関する情報及び前記全ての計算資源のうちのユーザ各々が指定する目的地まで走行する自動運転車両各々の自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源に関する情報を取得する情報取得部と、前記目的地まで走行する自動運転車両各々が走行を開始した際、前記全ての計算資源に関する情報及び前記割当計算資源に関する情報に基づいて、前記全ての計算資源から前記割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する算出部と、システム外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求を受信可能な受信部と、前記計算資源借用要求の受信を契機として、前記計算資源借用要求に対応する前記外部装置での計算作業を前記制御装置各々に割り当て、前記余剰計算資源を用いて前記計算作業を前記制御装置各々に処理させる制御を実行する割当制御部と、を具備する。
【0008】
また、本態様に係る情報処理システムにおいて、現在位置から目的地までの走行経路に関して、前記複数の自動運転車両各々による自動運転の難易度が異なり、前記割当制御部は、前記難易度の低い自動運転車両に含まれる前記制御装置に前記計算作業を優先的に割り当ててもよい。
また、本態様に係る情報処理システムにおいて、前記複数の自動運転車両各々の自動運転レベルが異なり、前記割当制御部は、前記自動運転レベルの高い自動運転車両に含まれる前記制御装置に前記計算作業を優先的に割り当ててもよい。
【0009】
また、本態様に係る情報処理システムにおいて、前記複数の自動運転車両各々は、前記割当制御部により割り当て可能な前記計算作業の種別を設定可能であってもよい。
本態様に係る自動運転車両は、駆動輪と、前記駆動輪を両端に設ける駆動軸と、前記駆動軸に対して動力を供給する駆動源と、自動運転に関する制御を実行することにより前記駆動源及び前記駆動軸を動作させる制御装置と、を具備する自動運転車両であって、前記制御装置は、ネットワークを介して前記自動運転車両とは独立して存在する他の自動運転車両に備えられる他の制御装置と相互に通信可能であり、前記自動運転車両に備えられる前記制御装置に含まれる全ての計算資源に関する情報及び前記他の自動運転車両に備えられる前記他の制御装置に含まれる全ての計算資源に関する情報、並びに前記制御装置及び前記他の制御装置の全ての計算資源のうちのユーザ各々が指定する目的地まで走行する自動運転車両各々の自動運転に関する制御に割り当てられている割当計算資源に関する情報を取得する情報取得部と、前記目的地まで走行する自動運転車両各々が走行を開始した際、前記制御装置及び前記他の制御装置の全ての計算資源に関する情報及び前記割当計算資源に関する情報に基づいて、前記制御装置及び前記他の制御装置の全ての計算資源から前記割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する算出部と、外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求を受信可能な受信部と、前記計算資源借用要求の受信を契機として、前記計算資源借用要求に対応する前記外部装置での計算作業を前記他の制御装置に割り当て、前記余剰計算資源を用いて前記計算作業を前記他の制御装置に処理させる制御及び前記計算作業を前記制御装置に割り当て、前記余剰計算資源を用いて前記計算作業を処理する制御のうちの少なくとも一つを実行する割当制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本態様に係る情報処理システム及び自動運転車両は、用途の異なる計算資源を有効活用することで他分野における計算資源の確保、並びに設備費用及び運営費用の削減を実現しつつ、自動運転車両における自動運転の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムを示す概略図である。
図2図1に示す自動運転車両を示すブロック図である。
図3図1に示す統括制御装置の構成を示すブロック図である。
図4図1に示す情報処理システムにおいて実行される自動運転に関する制御の流れを示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る情報処理システムを示す概略図である。
図6図5に示す自動運転車両を示すブロック図である。
図7図5に示す情報処理システムにおいて実行される自動運転に関する制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理システム及び自動運転車両について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る情報処理システム1を示す概略図である。第1実施形態に係る情報処理システム1は、自動運転を実行可能な複数の自動運転車両21~2n(nは、整数)各々に含まれる計算資源(リソース)の一部を、複数の自動運転車両21~2n各々の処理状況に応じて、上記学術計算又は仮想通貨マイニングといった多くの計算資源が必要とされている計算作業(タスク)に割り当てるシステムである。例えば、第1実施形態に係る情報処理システム1は、複数の自動運転車両21~2n及び統括制御装置3を備える。複数の自動運転車両21~2n及び統括制御装置3は、ネットワーク4を介して相互に接続されている。なお、図1に示す情報処理システム1において、複数の自動運転車両21~2nとは独立して統括制御装置3を設置しているが、当該設置形態に限らず、本実施形態における複数の自動運転車両21~2nのみで上記情報処理システム1を実現してもよい。また、統括制御装置3の機能の一部又は全てを自動運転車両21~2nにより実現してもよく、自動運転車両21~2n各々の機能の一部を統括制御装置3により実現してもよい。
【0013】
ここで、第1実施形態における複数の自動運転車両21~2nについて、図2を参照して説明する。なお、第1実施形態における複数の自動運転車両21~2n各々は、略一致する構成を有することとし、説明の便宜上、自動運転車両21の構成についてのみ詳しく記載する。
図2は、図1に示す自動運転車両21を示すブロック図である。図2に示す自動運転車両21は、自動運転に関する制御を実行することにより駆動源及び駆動軸を動作させることで、自動運転を実行可能な車両である。具体的には、自動運転車両21は、図示しないカメラ、ミリ波レーダ及び近接センサ等の機器から得られる自車の周辺環境に関する情報、GPS情報及びマップ情報等の自車位置情報、並びに速度センサ及び加速度センサ等の機器から得られる自車の状態情報に基づいて、次に実行する車両動作を判断し、当該判断に基づいて、アクセル、ブレーキ、ステアリング、駆動源及び駆動軸を制御することで、自動運転を実行可能である。
【0014】
ここで、第1実施形態における自動運転車両21は、少なくともモータを駆動源とし、当該モータの駆動力を減速機、差動装置、及び駆動軸等を介して駆動輪に伝達することで走行可能な電気自動車を想定している。なお、第1実施形態における自動運転車両21は、少なくともエンジンを駆動源とし、当該エンジンの駆動力を減速機、差動装置、及び駆動軸等を介して車輪に伝達することで走行可能なエンジン自動車、当該モータをさらに備えるハイブリッド自動車又は当該ハイブリッド自動車にバッテリ27を家庭用電源又は商用電源等の外部電源によって充電可能な充電機を設置したプラグインハイブリッド自動車であってもよい。第1実施形態における自動運転車両21は、図2に示すように、前輪(駆動輪)22を駆動するフロントモータ(駆動源)23及び後輪(駆動輪)24を駆動するリヤモータ(駆動源)25を備える4輪駆動車である。
【0015】
フロントモータ23は、フロントインバータ26を介して、自動運転車両21に搭載されたバッテリ27から高電圧の電力の供給を受けて駆動し、減速機及び差動機構等を含む駆動機構28を介して駆動軸29を駆動する。これにより、前輪22にフロントモータ23の駆動力を伝達する。
リヤモータ25は、リヤインバータ210を介してバッテリ27から高電圧の電力の供給を受けて駆動し、減速機及び差動機構等を含む駆動機構211を介して駆動軸212を駆動する。これにより、後輪24にリヤモータ25の駆動力を伝達する。
【0016】
バッテリ27は、リチウムイオン電池等の二次電池により構成され、複数のバッテリセルを組み合わせて構成される図示しないバッテリモジュールを含む。さらに、バッテリ27は、電池モジュールの温度及び充電率(State Of Charge:SOC)等を監視するバッテリモニタリングユニット27aを含む。さらに、バッテリモニタリングユニット27aは、温度、充電率及び使用状況(入出力電流の積算値)等に基づいて、バッテリ27への受け入れ可能電力を演算する機能を有する。受け入れ可能電力は、バッテリ27に対して充電のために入力可能な電力であって、低温時に低下すると共に、充電率が満充電近辺になると低下し、また使用経過に伴う劣化によっても低下する。
【0017】
フロントインバータ26は、フロントモータコントロールユニット26aを含む。フロントモータコントロールユニット26aは、後述する制御ユニット213からの制御信号に基づいて、フロントモータ23の出力を制御する。
リヤインバータ210は、リヤモータコントロールユニット210aを含む。リヤモータコントロールユニット210aは、制御ユニット213からの制御信号に基づいて、リヤモータ25の出力を制御する。
【0018】
制御ユニット213は、自動運転車両21の統括的な制御を実行するための制御装置である。例えば、第1実施形態における制御ユニット213は、ハードウェア資源として、入出力インタフェース装置、メモリ、演算装置、タイマ及びアンテナ214を介して外部機器(例えば、ネットワーク4を介して自動運転車両21~2nと接続される統括制御装置3)と通信可能な通信機器等を含む。制御ユニット213の入力側には、バッテリ27のバッテリモニタリングユニット27a、フロントインバータ26のフロントモータコントロールユニット26a及びリヤインバータ210のリヤモータコントロールユニット210aが接続されており、これらの機器からの検出情報及び作動情報が入力される。
【0019】
また、制御ユニット213は、上記各種検出情報及び作動情報に基づいて、自動運転車両21の走行駆動に必要とされる要求出力を演算し、フロントモータコントロールユニット26a、リヤモータコントロールユニット210a及び駆動機構28、211に制御信号を送信して、フロントモータ23及びリヤモータ25の出力を制御する。
また、制御ユニット213は、自動運転車両21に含まれる制御ユニット213の全ての計算資源に関する情報及び全ての計算資源のうちの自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源に関する情報を、ネットワーク4を介して統括制御装置3へ送信する。
【0020】
また、制御ユニット213は、タッチパネルディスプレイ215が接続されている。タッチパネルディスプレイ215は、自動運転車両21の統括的な制御を実行するための操作装置である。第1実施形態におけるタッチパネルディスプレイ215は、例えば、ユーザにより目的地を指定する入力操作が入力される。
次に、第1実施形態における統括制御装置3について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示す統括制御装置3の構成を示すブロック図である。第1実施形態における統括制御装置3は、例えば、演算装置30、入力機器40及び表示機器50を備える。演算装置30は、入力機器40及び表示機器50と電気的又は光学的に相互に接続されている。
【0021】
演算装置30は、接続された機器とのデータのやり取り、及び当該計算資源の割り当てに関する演算処理を実行する。図3に示すように、第1実施形態における演算装置30は、入出力インタフェース部31、通信部32、記憶部33及び処理部34を有する。入出力インタフェース部31、通信部32、記憶部33及び処理部34は、装置内に設けられたバス35を介して相互に接続されている。
【0022】
入出力インタフェース部31は、演算装置30と、他の機器とを電気的、又は光学的に相互に接続し、演算装置30内の構成と他の機器との間の通信を確立する。第1実施形態における入出力インタフェース部31は、有線接続又は無線接続のうちの少なくとも一つの接続手法により、演算装置30と、他の機器とを接続する。例えば、入出力インタフェース部31は、入力機器40を介して入力されたユーザの入力操作を電気信号へ変換し処理部34へ出力する。また、入出力インタフェース部31は、処理部34から出力されたデータを表示機器50の制御信号へ変換し表示機器50へ出力する。なお、第1実施形態における入出力インタフェース部31は、図示しない外部機器と接続されてもよい。通信部32は、外部機器(例えば、ネットワーク4を介して統括制御装置3と接続される自動運転車両21~2n)と通信可能である。
【0023】
記憶部33は、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性RAM)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等のデータを記憶可能な媒体を含む。例えば、第1実施形態における記憶部33は、自動運転車両21~2n各々に含まれる制御ユニット(制御装置)213各々からネットワーク4及び通信部32を介して送信された、上記全ての計算資源に関する情報及び全ての計算資源のうちの自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源に関する情報を記憶する。また、第1実施形態における記憶部33は、メモリ、HDD又はSSD等の媒体以外にも、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクを利用してもよい。また、記憶部33の保存領域は、演算装置30内にあってもよいし、入出力インタフェース部31を介して接続された外部記憶装置(図示せず)内にあってもよい。
【0024】
処理部34は、ハードウェア資源として、所定のプロセッサを有する。処理部34は、情報取得部341、算出部342、受信部343及び割当制御部344を有する。
情報取得部341は、上記記憶部33から全ての計算資源に関する情報及び全ての計算資源のうちの自動運転に関する制御に割り当てられている割当計算資源に関する情報を取得する。
【0025】
算出部342は、情報取得部341により取得された、全ての計算資源に関する情報及び割当計算資源に関する情報に基づいて、全ての計算資源から割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する。
受信部343は、情報処理システム1の外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求を受信可能である。例えば、第1実施形態における受信部343は、多くの計算資源が必要とされている計算作業を処理する、会社若しくは機関等の法人が所有する演算装置又は個人が所有する演算装置からの計算資源借用要求を受信可能である。
【0026】
割当制御部344は、上記受信部343による計算資源借用要求の受信を契機として、上記計算資源借用要求に対応する外部装置での計算作業を制御ユニット213各々に割り当て、上記余剰計算資源を用いて上記計算作業を制御ユニット213各々に処理させる制御を実行する
次に、入力機器40は、ユーザからの入力操作を受け付ける。ここで、第1実施形態における入力機器40は、スイッチボタン、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、又は表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイのうちの少なくとも一つである。
【0027】
最後に、表示機器50は、処理部34による制御に従い、種々のデータを表示する。表示機器50は、表示インタフェース回路、及び表示パネルを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示パネルに供給される。表示パネルは、表示対象を表すビデオ信号を表示する。ここで、第1実施形態における表示機器50としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)又は当該技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0028】
次に、第1実施形態に係る情報処理システム1において実行される自動運転に関する制御について、図4を参照して説明する。図4は、図1に示す情報処理システム1において実行される自動運転に関する制御の流れを示すフローチャートである。なお、図4では、受信部343において、上記計算資源借用要求が既に受信されているものとして以降の説明を記載する。
【0029】
まず、情報処理システム1において、自動運転車両21~2n各々のタッチパネルディスプレイ215には、ユーザにより目的地を指定する入力操作が入力される。情報処理システム1は、自動運転車両21~2n各々の制御ユニット213において、当該目的地を指定する入力操作を受信する(ステップSa1)。
ステップSa1の終了後、情報処理システム1は、制御ユニット213において、当該入力操作に基づいて、現在位置から上記目的地までの走行経路を検索する(ステップSa2)。ここで、制御ユニット213は、移動予定地域の地形、構造物の立地、周辺環境及び人口密度等の要因による自動運転の難易度を推測する。例えば、高速道路や地方の道路を走行する場合、自動運転車両21~2nの走行環境の大きな変化は生じにくいと予想されるため、自動運転の難易度は低くなると推測する。また、繁華街や人口密集地を走行する場合、自動運転車両21~2nの走行環境の変化が頻発すると予想されるため、自動運転の難易度は高くなると推測する。さらに、情報処理システム1は、制御ユニット213において、当該推測結果に基づいて、制御ユニット213の全ての計算資源のうちの自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源を算出する。例えば、自動運転の難易度は高くなる場合、不測の事態に対処するために、マージンを含めて割当計算資源を算出してもよい。また、自動運転の難易度を推測するための情報は、統括制御装置3に蓄積されたものを取得しても、車車間通信により他の自動運転車両21~2nから取得してもよい。
【0030】
次に、情報処理システム1は、制御ユニット213の全ての計算資源に関する情報及び割当計算資源に関する情報を、ネットワーク4を介して自動運転車両21~2nから統括制御装置3へ送信する(ステップSa3)。
ステップSa3の終了後、情報処理システム1は、自動運転車両21~2nにおいて、自動運転を開始する(ステップSa4)。ステップSa4の終了後、情報処理システム1は、統括制御装置3において、自動運転車両21~2nから送信された全ての計算資源に関する情報及び割当計算資源に関する情報に基づいて、貸出可能な余剰計算資源を決定する(ステップSa5)。例えば、情報処理システム1は、統括制御装置3の算出部342において、全ての計算資源に関する情報及び割当計算資源に関する情報に基づいて、全ての計算資源から割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する。情報処理システム1は、統括制御装置3において、算出部342により算出した余剰計算資源を貸出可能な余剰計算資源として決定する。
【0031】
ステップSa5の終了後、情報処理システム1は、複数の自動運転車両21~2n各々において、上記余剰計算資源の範囲内での上記計算資源借用要求に対応する計算作業の処理を開始する(ステップSa6)。ステップSa6の終了後、情報処理システム1は、複数の自動運転車両21~2n各々において、複数の自動運転車両21~2n各々が目的地に到着したか否かを判定する(ステップSa7)。目的地に到着していない場合(ステップSa7のNo)、情報処理システム1は、統括制御装置3において、自動運転の難易度を推測するための情報及び自動運転の難易度を更新し(ステップSa8)、ステップSa5へ戻る。目的地に到着した場合(ステップSa7のYes)、情報処理システム1は、複数の自動運転車両21~2n各々の自動運転を終了し(ステップSa9)、一連の処理を終了する。
【0032】
なお、図4に示すフローチャートは、あくまで一例であり、各ステップにおける処理を自動運転車両21~2nの制御ユニット213及び統括制御装置3において、分散して処理可能である。また、統括制御装置3の機能の一部又は全てを自動運転車両21~2nにより実現してもよく、自動運転車両21~2n各々の機能の一部を統括制御装置3により実現してもよい。
【0033】
上述の通り、第1実施形態に係る情報処理システム1は、複数の自動運転車両21~2n各々に含まれる制御装置(制御ユニット)213の全ての計算資源に関する情報及び全ての計算資源のうちの自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源に関する情報を取得する。また、情報処理システム1は、全ての計算資源に関する情報及び割当計算資源に関する情報に基づいて、全ての計算資源から割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する。さらに、情報処理システム1は、システム外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求の受信を契機として、計算資源借用要求に対応する外部装置での計算作業を制御装置213各々に割り当て、余剰計算資源を用いて計算作業を制御装置213各々に処理させる制御を実行する。これにより、第1実施形態に係る情報処理システム1は、自動運転に関する制御に用いられる計算資源の一部を他分野における計算作業に割り当てることができる。また、第1実施形態に係る情報処理システム1は、余剰計算資源を他分野における計算作業に割り当てるため、自動運転に関する制御に用いられる計算資源を確実に確保することができる。また、第1実施形態に係る情報処理システム1は、自動運転車両21~2nの計算資源を他分野における計算作業の処理に用いているため、新たな設備及び当該設備の運用を実施しなくてもよい。すなわち、第1実施形態に係る情報処理システム1は、設備費用及び運営費用の削減を実現することができる。
【0034】
ここで、第1実施形態に係る情報処理システム1において、現在位置から目的地までの走行経路に関して、複数の自動運転車両21~2n各々による自動運転の難易度が異なる場合であって、情報処理システム1の割当制御部344は、自動運転の難易度の低い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当ててもよい。例えば、自動運転の難易度の高い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を割り当てた場合、自動運転車両21~2nの周辺状況の急激な変化によっては、自動運転車両21~2nの重要な処理に計算資源を回すことができない可能性がある。また、自動運転の難易度の低い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を割り当てた場合、自動運転車両21~2nの周辺状況が急激に変化し、余剰計算資源が変動する可能性が低くなるため、自動運転車両21~2nの重要な処理に計算資源を回すことができない可能性も低くなる。このため、第1実施形態に係る情報処理システム1は、自動運転の難易度の低い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てることで、自動運転車両における自動運転の安全性を確保しつつ、さらに自動運転に関する制御に用いられる計算資源を確保しつつ、上記計算作業に対して上記計算資源を確実に割り当てることができる。
【0035】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1において、複数の自動運転車両21~2n各々の自動運転レベルが異なる場合であって、情報処理システム1の割当制御部344は、自動運転レベルの高い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当ててもよい。例えば、自動運転レベルの低い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てた場合、自動運転車両21~2nの周辺状況の急激な変化によっては、計算資源が足りず、自動運転車両21~2nの重要な処理に計算資源を回すことができない可能性がある。一方、自動運転レベルの高い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てた場合、計算資源に余裕があるため、計算資源が足りなくなる可能性は自動運転レベルの低い自動運転車両21~2nと比較して低くなる。このため、第1実施形態に係る情報処理システム1は、自動運転レベルの高い自動運転車両21~2nに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てることで、自動運転車両21~2nにおける自動運転の安全性を確保しつつ、さらに自動運転に関する制御に用いられる計算資源を確保しつつ、上記計算作業に対して上記計算資源を確実に割り当てることができる。
【0036】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1において、複数の自動運転車両21~2n各々は、情報処理システム1の割当制御部344により割り当て可能な計算作業の種別を設定可能であってもよい。これにより、第1実施形態に係る情報処理システム1は、自動運転車両における自動運転の安全性を確保しつつ、特定の技術分野における発展に寄与することができる。
【0037】
かくして、第1実施形態に係る情報処理システム1は、用途の異なる計算資源を有効活用することで他分野における計算資源の確保、並びに設備費用及び運営費用の削減を実現しつつ、自動運転車両21~2nの安全性を確保することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態に係る情報処理システム1は、複数の自動運転車両21~2n及び統括制御装置3により実現している。第2実施形態に係る情報処理システム10は、自動運転車両のみの構成により、第1実施形態における複数の自動運転車両21~2nとしての機能に加えて、第1実施形態における統括制御装置3としての機能も実現する。図5は、第2実施形態に係る情報処理システム10を示す概略図である。第2実施形態に係る情報処理システム10は、複数の自動運転車両21~2n、2zを備える。複数の自動運転車両21~2n、2zは、ネットワーク4を介して相互に接続されている。
【0038】
ここで、第2実施形態における複数の自動運転車両21~2n、2zについて、図6を参照して説明する。なお、第2実施形態における複数の自動運転車両21~2n、2z各々は、略一致する構成を有することとし、説明の便宜上、自動運転車両21の構成についてのみ詳しく記載する。
図6は、図5に示す自動運転車両21を示すブロック図である。第2実施形態における自動運転車両21は、第1実施形態における自動運転車両21と略一致する構成を有している。当該自動運転車両21の構成のうち、制御ユニット(制御装置)213及びタッチパネルディスプレイ215が、第1実施形態における統括制御装置3の演算装置30、入力機器40及び表示機器50として機能する。
【0039】
また、第2実施形態に係る情報処理システム10において実行される自動運転に関する制御については、図7に示すフローチャートに含まれるステップSb1~ステップSb9の処理が実行される。これらの処理は、複数の自動運転車両21~2n、2z各々において実行される。なお、詳細な処理は、第1実施形態に係る情報処理システム1と略一致するため、詳細な説明を省略する。
【0040】
上述の通り、第2実施形態に係る情報処理システム10は、複数の自動運転車両21~2n、2z各々に含まれる制御装置213の全ての計算資源に関する情報及び全ての計算資源のうちの自動運転に関する制御に割り当てている割当計算資源に関する情報を取得する。また、情報処理システム10は、全ての計算資源に関する情報及び割当計算資源に関する情報に基づいて、全ての計算資源から割当計算資源を差し引いた余剰計算資源を算出する。さらに、情報処理システム10は、システム外部に存在する外部装置からの計算資源借用要求の受信を契機として、計算資源借用要求に対応する外部装置での計算作業を制御装置213各々に割り当て、余剰計算資源を用いて計算作業を制御装置213各々に処理させる制御を実行する。これにより、第2実施形態に係る情報処理システム10は、自動運転に関する制御に用いられる計算資源の一部を他分野における計算作業に割り当てることができる。また、第2実施形態に係る情報処理システム10は、余剰計算資源を他分野における計算作業に割り当てるため、自動運転に関する制御に用いられる計算資源を確実に確保することができる。また、第2実施形態に係る情報処理システム10は、自動運転車両21~2n、2zの計算資源を他分野における計算作業の処理に用いているため、新たな設備及び当該設備の運用を実施しなくてもよい。すなわち、第2実施形態に係る情報処理システム10は、設備費用及び運営費用の削減を実現することができる。
【0041】
ここで、第2実施形態に係る情報処理システム10において、現在位置から目的地までの走行経路に関して、複数の自動運転車両21~2n、2z各々による自動運転の難易度が異なる場合であって、情報処理システム10の割当制御部344は、自動運転の難易度の低い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当ててもよい。例えば、自動運転の難易度の高い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を割り当てた場合、自動運転車両21~2n、2zの周辺状況の急激な変化によっては、自動運転車両21~2n、2zの重要な処理に計算資源を回すことができない可能性がある。また、自動運転の難易度の低い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を割り当てた場合、自動運転車両21~2n、2zの周辺状況が急激に変化し、余剰計算資源が変動する可能性が低くなるため、自動運転車両21~2n、2zの重要な処理に計算資源を回すことができない可能性も低くなる。このため、第2実施形態に係る情報処理システム10は、自動運転の難易度の低い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てることで、自動運転車両における自動運転の安全性を確保しつつ、さらに自動運転に関する制御に用いられる計算資源を確保しつつ、上記計算作業に対して上記計算資源を確実に割り当てることができる。
【0042】
また、第2実施形態に係る情報処理システム10において、複数の自動運転車両21~2n、2z各々の自動運転レベルが異なる場合であって、情報処理システム10の割当制御部344は、自動運転レベルの高い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当ててもよい。例えば、自動運転レベルの低い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てた場合、自動運転車両21~2n、2zの周辺状況の急激な変化によっては、計算資源が足りず、自動運転車両21~2n、2zの重要な処理に計算資源を回すことができない可能性がある。一方、自動運転レベルの高い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てた場合、計算資源に余裕があるため、計算資源が足りなくなる可能性は自動運転レベルの低い自動運転車両21~2n、2zと比較して低くなる。このため、第2実施形態に係る情報処理システム10は、自動運転レベルの高い自動運転車両21~2n、2zに含まれる制御ユニット213に上記計算作業を優先的に割り当てることで、自動運転車両21~2n、2zにおける自動運転の安全性を確保しつつ、さらに自動運転に関する制御に用いられる計算資源を確保しつつ、上記計算作業に対して上記計算資源を確実に割り当てることができる。
【0043】
また、第2実施形態に係る情報処理システム10において、複数の自動運転車両21~2n、2z各々は、情報処理システム10の割当制御部344により割り当て可能な計算作業の種別を設定可能であってもよい。これにより、第2実施形態に係る情報処理システム10は、自動運転車両における自動運転の安全性を確保しつつ、特定の技術分野における発展に寄与することができる。
【0044】
かくして、第2実施形態に係る情報処理システム10は、用途の異なる計算資源を有効活用することで他分野における計算資源の確保、並びに設備費用及び運営費用の削減を実現しつつ、自動運転車両21~2n、2zの安全性を確保することができる。
ここで、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等の専用又は汎用のプロセッサ、若しくは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理部)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理部)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1,10 情報処理システム
21~2n,2z 自動運転車両
3 統括制御装置
4 ネットワーク
22 前輪(駆動輪)
23 フロントモータ(駆動源)
24 後輪(駆動輪)
25 リヤモータ(駆動源)
26 フロントインバータ
26a フロントモータコントロールユニット
27 バッテリ
27a バッテリモニタリングユニット
28,211 駆動機構
29,212 駆動軸
30 演算装置
31 入出力インタフェース部
32 通信部
33 記憶部
34 処理部
35 バス
40 入力機器
50 表示機器
210 リヤインバータ
210a リヤモータコントロールユニット
213 制御装置(制御ユニット)
214 アンテナ
215 タッチパネルディスプレイ
341 情報取得部
342 算出部
343 受信部
344 割当制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7