(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/10 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
D06F39/10 B
(21)【出願番号】P 2020141791
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】山内 智博
(72)【発明者】
【氏名】福安 美希
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-141552(JP,A)
【文献】特開昭51-026766(JP,A)
【文献】特開2019-150391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0165766(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111350056(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルセータが底部に配置された洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽の内周面に配置されるバッフルに設けられた糸屑捕集装置とを備え、
前記糸屑捕集装置は、フィルタを有する第1部材と、前記第1部材に対してスライドして着脱可能に形成された第2部材とを有し、
前記第2部材は、前記第1部材が前記第2部材から取り外される際に、前記フィルタに接触する掻き取り部を有して
おり、
前記掻き取り部は、前記第1部材が前記第2部材から取り外される際に、前記フィルタ
の表面に接触する表面接触部と、前記フィルタの裏面に接触する裏面接触部とを有することを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
前記フィルタは、前記第1部材の回転方向上流側及び回転方向下流側の少なくとも何れかの側面に形成されており、
前記第1部材と前記第2部材の内部に供給された水は、前記フィルタを通過して前記洗濯脱水槽内に排水されることを特徴とする請求項1~
3の何れかに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の洗濯脱水槽内の糸屑を捕集する糸屑捕集装置を備える洗濯機に関する。
【0002】
特許文献1に開示された洗濯機では、脱水槽の中央底部にパルセータが配置され、脱水槽の内側側面に還流水路が取り付けられる。還流水路の下端は、パルセータの側方に接続される。還流水路の上部には、糸屑捕集用のフィルタユニットが取り付けられる。パルセータが回転すると、パルセータの下面の洗濯水が押し出されて還流水路に到達し、還流水路を上昇する。還流水路を上昇した洗濯水は、フィルタユニット内部に進入し、ろ過部材を通過してから脱水槽内部に排出される。これにより、洗濯水に含まれる糸屑などのリント類がフィルタユニット内部に捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗濯機において、フィルタユニットは、前カバーと後カバーから構成される。フィルタユニット内部に捕集されたリント類を除去する場合、フィルタユニットを洗濯兼脱水槽から取り外した後、前カバーを後カバーに対して移動させることにより、前カバーの逆止弁により後カバーの内面に付着したリント類を掻き取ることができる。
【0005】
しかしながら、フィルタユニット内部に捕集されたリント類を除去する際、フィルタユニットを洗濯兼脱水槽から取り外した後、前カバーを後カバーから取り外す工程と、前カバーの逆止弁により後カバーの内面に掻き取る工程とが必要である。その場合、フィルタユニットのお手入れ時の工程数が多く、ユーザーの負担が大きい問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、フィルタユニットのお手入れ時の工程数を最小限に抑え、ユーザーの負担を軽減することが可能な洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗濯機は、パルセータが底部に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の内周面に配置されるバッフルに設けられた糸屑捕集装置とを備え、前記糸屑捕集装置は、フィルタを有する第1部材と、前記第1部材に対してスライドして着脱可能に形成された第2部材とを有し、前記第2部材は、前記第1部材が前記第2部材から取り外される際に、前記フィルタに接触する掻き取り部を有しており、前記掻き取り部は、前記第1部材
が前記第2部材から取り外される際に、前記フィルタの表面に接触する表面接触部と、前
記フィルタの裏面に接触する裏面接触部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る洗濯機において、前記表面接触部と前記裏面接触部とは、前記フィルタの両側において対向する位置に配置されることが好適である。
【0010】
本発明に係る洗濯機において、前記フィルタの接触面は、平坦な面に形成されることが好適である。
【0011】
本発明に係る洗濯機において、前記フィルタは、前記第1部材の回転方向上流側及び回転方向下流側の少なくとも何れかの側面に形成されており、前記第1部材と前記第2部材の内部に供給された水は、前記フィルタを通過して前記洗濯脱水槽内に排水されることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、糸屑捕集装置の内部に捕集された糸屑を排除する際、糸屑捕集装置を洗濯脱水槽2から取り外した後、フィルタ部材をカバー部材からスライドして取り外すことにより、カバー部材の掻き取り部によりフィルタに付着した糸屑を掻き取って排除することができる。そのため、糸屑捕集装置のお手入れ時の工程数を最小限に抑え、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0013】
本発明によれば、フィルタの表面及び裏面に付着した糸屑を同時に排除できる。
【0014】
本発明によれば、表面接触部と裏面接触部とがフィルタの表面及び裏面において対向する位置に接触するため、フィルタのたわみが低減されて糸屑を適正に排除できる。
【0015】
本発明によれば、第1部材が第2部材からスライドして取り外される際に、フィルタと掻き取り部との抵抗が低減される。
【0016】
本発明によれば、糸屑捕集装置の側面から排水することにより、洗濯脱水槽内の清掃性が上がるとともに、ほこりが見えない等の美観が良くなる。また、衣類などのチャックや装飾品によるフィルタの破れを防ぐことができる。また、フィルタを糸屑捕集装置の左右側面に配置することにより、糸屑の捕集率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る洗濯機1の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1の洗濯機1の洗濯脱水槽2の平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA
1-A
1線での縦断面図である。
【
図3】
図3(a)は、糸屑捕集装置8の外観斜視図であり、
図3(b)は、糸屑捕集装置8の正面図であり、
図3(c)は、糸屑捕集装置8の下面図である。
【
図4】
図4(a)は、フィルタ部材10の外観斜視図であり、
図4(b)は、フィルタ部材10の正面図であり、
図4(c)は、フィルタ部材10の側面図である。
【
図5】
図5(a)は、カバー部材30の外観斜視図であり、
図5(b)は、カバー部材30の正面図であり、
図5(c)は、カバー部材30の側面図である。
【
図6】
図6(a)は、糸屑捕集装置8内の水の流れ方向を示す正面図であり、
図6(b)は、糸屑捕集装置8内の水の流れ方向を示す側面図である。
【
図7】フィルタ部材10をカバー部材30から取り外す動作を説明する図である。
【
図8】フィルタ13に付着した糸屑を掻き取って排除する動作を説明する図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る洗濯機について、
図9(a)は、糸屑捕集装置8Aの正面図であり、
図9(b)は、糸屑捕集装置8Aの側面図であり、
図9 (c)は、糸屑捕集装置8Aの下面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る洗濯機について、
図10(a)は、糸屑捕集装置108の外観斜視図であり、
図10(b)は、糸屑捕集装置108の正面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る洗濯機について、
図11(a)は、糸屑捕集装置108の下面図であり、
図11(b)は、
図10(b)のA
2-A
2線での縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の洗濯機1について、図に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る洗濯機1の外観を示す斜視図である。
図2(a)及び
図2(b)は、
図1の洗濯機1の脱水槽2の上面図、縦断面図である。
【0020】
本実施形態の洗濯機1は、略直方体形状の洗濯機本体1aと、洗濯機本体1aの内部に配置された洗濯脱水槽2とを有している。洗濯機本体1aの上面には、洗濯脱水槽2に対して洗濯物を出し入れするための開口11が形成されるとともに、この開口11を開閉可能な開閉蓋11aが取り付けられる。
【0021】
洗濯脱水槽2は、洗濯機本体1a内において図示しない外槽の内側に配置される。洗濯脱水槽2は、上端に出入口を有する略円筒状の円周壁2aと、円周壁2aの中空部分を下方から塞ぐ円板形状の底部2bとを一体的に有する。洗濯脱水槽2は、内部に洗濯物を収容可能で、その壁面2aに多数の通水孔2tを有する。洗濯脱水槽2の中心軸線は、上下方向に沿って垂直に延びる。そのため、洗濯機1は、洗濯脱水槽2が縦に配置された縦型洗濯機である。なお、中心軸線が上下方向および水平方向のそれぞれに対する傾斜方向に延びることによって、洗濯脱水槽2が斜めに配置されてもよい。
【0022】
洗濯脱水槽2の底部2b中央には、パルセータ(撹拌翼)4が回転自在に配置される。パルセータ4は、略円盤形状であり、その上面に形成される複数の上羽根部4aと、下面に形成される複数の下羽根部4bとを有する。このようなパルセータ4は、外槽3内に貯留された洗濯水を撹拌して水流を発生させる。
【0023】
洗濯脱水槽2及びパルセータ4は、図示しない駆動部により回転駆動される。駆動部は、洗い工程では主としてパルセータ4のみを回転させ、脱水工程では洗濯脱水槽2とパルセータ4とを一体的に高速で回転させる。
【0024】
図2に示すように、洗濯脱水槽2の円周壁2aの内周面には、円周壁2aの内周面から径方向内側へ突出しつつ上下方向に沿って延びるバッフル6が2つ設けられる。2つのバッフル6は、洗濯脱水槽2の円周方向に180度離れて配置されており、洗濯脱水槽2とともに回転する。
【0025】
2つのバッフル6には、糸屑捕集装置8がそれぞれ設けられている。糸屑捕集装置8は、洗濯脱水槽2内に溜まった水の中を漂う糸屑を捕集するために洗濯機1に用いられる装置である。なお、ここでの糸屑には、洗濯物から抜き出た糸だけでなく、ごみなどの固形浮遊物も含まれる。
【0026】
糸屑捕集装置8は、
図3に示すように、略直方体形状を有しており、その内部は中空となっている。糸屑捕集装置8の下面には、洗濯脱水槽2内の水が流れ込む給水口8aが形成されており、糸屑捕集装置8の両側の側面には、洗濯脱水槽2内へ水を排水する排水口8bがそれぞれ形成されている。
【0027】
糸屑捕集装置8は、フィルタ部材10と、フィルタ部材10に対してスライドして着脱可能に形成されたカバー部材30とを有している。糸屑捕集装置8は、カバー部材30がフィルタ部材10に取り付けられた状態で洗濯脱水槽2に取り付けられるが、その取り付け状態では、フィルタ部材10が径方向外側に配置され、カバー部材30が径方向内側に配置される。
【0028】
フィルタ部材10は、
図4に示すように、縦長形状を有する板状の本体部11と、本体部11の上端に配置された把持部12と、本体部11の左右側面にそれぞれ配置された2つのフィルタ13を有している。以下、糸屑捕集装置8が洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において内側に向いた面を本体部11の表面とし、外側に向いた面を本体部11の裏面とする。
【0029】
2つのフィルタ13は、長方形状であり、洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において、本体部11の表面の左右両端部から径方向内側に向かって突出するように形成される。フィルタ13は、糸屑を捕集するための複数の穴部13aを有している。2つのフィルタ13は離れて配置されており、その間には洗濯脱水槽2内から流れ込んだ水が流れる空間が形成される。
【0030】
糸屑捕集装置8において、2つのフィルタ13は、洗濯脱水槽2とともに回転するフィルタ部材10の回転方向上流側及び回転方向下流側の側面に形成されており、糸屑捕集装置8の内部に供給された水は、フィルタ13を通過して洗濯脱水槽2内に排水される。フィルタ13として、例えば樹脂メッシュ、樹脂板、金属パンチング等が使用可能である。
【0031】
カバー部材30は、
図5に示すように、縦長形状を有する板状の本体部31と、本体部31の上端に配置された平面部32と、本体部31の左右側面にそれぞれ配置された2つの側面部33とを有している。以下、糸屑捕集装置8が洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において内側に向いた面を本体部31の表面とし、外側に向いた面を本体部31の裏面とする。
【0032】
平面部32は、長方形状であり、洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において本体部31の上端部から径方向外側に向かって突出するように形成され、2つの側面部33は、長方形状であり、洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において本体部31の左右両端部から径方向外側に向かって突出するように形成される。
【0033】
カバー部材30の上端部において、平面部32の左右両端部と2つの側面部33の上端部との間には、隙間34がそれぞれ形成される。隙間34は、フィルタ部材10のフィルタ13の厚さより広く形成される。そのため、カバー部材30をフィルタ部材10に対して取り付ける際には、フィルタ部材10のフィルタ13の下端部がカバー部材30の隙間34に挿入される。その後、フィルタ部材10のフィルタ13がカバー部材30の側面部33と対向した状態でスライドさせることにより、カバー部材30をフィルタ部材10に対して取り付けることができる。
【0034】
また、カバー部材30がフィルタ部材10に取り付けられた状態から、フィルタ部材10のフィルタ13がカバー部材30の側面部32と対向した状態でスライドさせることにより、フィルタ部材10をカバー部材30から取り外すことができる。
【0035】
2つの側面部33には、2つの矩形状の開口33aが形成される。カバー部材30がフィルタ部材10に取り付けられた状態では、開口33aがフィルタ13と対向し、糸屑捕集装置8の外部からフィルタ13が見える状態となる。
【0036】
また、カバー部材30の本体部31の裏面には、
図5(b)に示すように、2つの仕切り部35が形成される。2つの仕切り部35は、上下方向に延びる板状であり、本体部31の裏面から突出するように形成される。2つの仕切り部35は、2つの側面部33とそれぞれ対向するように形成される。
【0037】
上述したように、糸屑捕集装置8の下面には、洗濯脱水槽2内の水が流れ込む給水口8aが形成され、その側面には、水を洗濯脱水槽2内に排水する排水口8bが形成されている。2つの仕切り部35は、
図6に示すように、給水口8aから流れ込んだ水が糸屑捕集装置8内を上方に向かって流れた後で、糸屑捕集装置8の側面に形成された排水口8bへ向かって流れるようにするためのものである。
【0038】
そのため、本体部31の裏面からの仕切り部35の突出量は、カバー部材30をフィルタ部材10に対して取り付けられた状態での本体部11の表面と本体部31の裏面との距離と略同一である。2つの仕切り部35の下端部は、下方にいくにつれて間隔が広がるようにR形状に湾曲しており、給水口8aの両端部に接続される。このように、糸屑捕集装置8では、給水口8a近傍をR形状にすることにより洗濯脱水槽2内の糸屑が入りやすくなるとともに、糸屑捕集場所であるフィルタ13に対して水の入口である給水口8aを大きくすることにより水の抵抗を低減している。
【0039】
図7は、フィルタ13に付着した糸屑を排除する際の動作を示している。
図7(a)に示すようにカバー部材30がフィルタ部材10に取り付けられた状態から、
図7(b)に示すように、フィルタ部材10の上端部をカバー部材30の外部に向かってスライドさせる。その後、
図7(c)に示すように、フィルタ部材10がカバー部材30の外部に向かってスライドさせて、フィルタ部材10の全体がカバー部材30から取り外される。
【0040】
カバー部材30は、
図8に示すように、フィルタ部材10がカバー部材30からスライドして取り外される際に、フィルタ13に接触する掻き取り部36を有している。掻き取り部36は、フィルタ13の表面(外側面)に接触する表面接触部36aと、フィルタ13の裏面(内側面)に接触する裏面接触部36bとを有している。
【0041】
表面接触部36aは、カバー部材30の2つの側面部33の上端部に配置され、裏面接触部36bは、
カバー部材30の平面部32の左右両端部に配置される。すなわち、表面接触部36aと裏面接触部36bとは、隙間34の両側に配置される。表面接触部36aと裏面接触部36bとは、フィルタ13の両側において対向する位置に配置される。フィルタ13の接触面は平坦な面に形成されているが、裏面接触部36bがフィルタ13の裏面に接触する部分と略同一高さにおいて、表面接触部36aはフィルタ13の表面に接触する。
【0042】
そのため、フィルタ部材10がカバー部材30からスライドして取り外される際に、表面接触部36aは、フィルタ13の表面と接触し、フィルタ13の表面に付着した糸屑を掻き取って排除することが可能であり、裏面接触部36bは、フィルタ13の裏面と接触し、フィルタ13の裏面に付着した糸屑を掻き取って排除することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機1は、パルセータ4が底部に配置された洗濯脱水槽2と、洗濯脱水槽2の内周面に配置されるバッフル6に設けられた糸屑捕集装置8とを備え、糸屑捕集装置8は、フィルタ13を有する第1部材であるフィルタ部材10と、フィルタ部材10に対してスライドして着脱可能に形成された第2部材であるカバー部材30とを有し、カバー部材30は、フィルタ部材10がカバー部材30から取り外される際に、フィルタ13に接触する掻き取り部36を有している。
【0044】
このような構成であると、糸屑捕集装置8の内部に捕集された糸屑を排除する際、糸屑捕集装置8を洗濯脱水槽2から取り外した後、フィルタ部材10をカバー部材30からスライドして取り外すことにより、カバー部材30の掻き取り部36によりフィルタ13に付着した糸屑を掻き取って排除することができる。そのため、糸屑捕集装置8のお手入れ時の工程数を最小限に抑え、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0045】
本実施形態の洗濯機1において、掻き取り部36は、フィルタ部材10がカバー部材30から取り外される際に、フィルタ13の表面に接触する表面接触部36aと、フィルタ13の裏面に接触する裏面接触部36bとを有する。
【0046】
このような構成であると、フィルタ13の表面及び裏面に付着した糸屑を同時に排除できる。
【0047】
本実施形態の洗濯機1において、表面接触部36aと裏面接触部と36bは、フィルタ13の両側において対向する位置に配置される。
【0048】
このような構成であると、表面接触部36aと裏面接触部と36bとがフィルタ13の表面及び裏面において対向する位置に接触するため、フィルタ13のたわみが低減されて糸屑を適正に排除できる。
【0049】
本実施形態の洗濯機1において、フィルタ13の接触面は、平坦な面に形成される。
【0050】
このような構成であると、フィルタ部材10がカバー部材30からスライドして取り外される際に、フィルタ13と掻き取り部36との抵抗が低減される。
【0051】
本実施形態の洗濯機1において、フィルタ13は、フィルタ部材10の回転方向上流側及び回転方向下流側の側面に形成されており、フィルタ部材10とカバー部材30の内部に供給された水は、フィルタ13を通過して洗濯脱水槽2内に排水される。
【0052】
このような構成であると、糸屑捕集装置8の側面から排水することにより、洗濯脱水槽2内の清掃性が上がるとともに、ほこりが見えない等の美観が良くなる。また、衣類などのチャックや装飾品によるフィルタの破れを防ぐことができる。また、フィルタ13を糸屑捕集装置8の左右側面に配置することにより、糸屑の捕集率を上げることができる。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態の洗濯機が、第1実施形態の洗濯機1と異なる点は、第1実施形態の糸屑捕集装置8において2つの仕切り部35(下端部の湾曲した部分以外の部分)の間隔は、略一定であるのに対して、本実施形態の糸屑捕集装置8Aにおいて2つの仕切り部35Aの間隔が全体にわたって変化する点である。なお、本実施形態の洗濯機の構成において、第1実施形態の洗濯機1の構成と同様である点については、詳細説明を省略する。
【0054】
糸屑捕集装置8Aにおいて、カバー部材30Aの裏面には、
図9に示すように、2つの仕切り部35Aが形成される。2つの仕切り部35Aは、上下方向に延びる板状であり、カバー部材30Aの裏面から突出するように形成される。2つの仕切り部35Aは、2つの側面部33とそれぞれ対向するように形成される。2つの仕切り部35Aは、給水口8aから流れ込んだ水が糸屑捕集装置8A内を上方に向かって流れた後で、糸屑捕集装置8Aの側面に形成された排水口8bへ向かって流れるようにするためのものである。
【0055】
本実施形態では、2つの仕切り部35Aの間隔を下方から上方に向かって徐々に小さくしている。そのため、洗濯脱水槽2内の糸屑が糸屑捕集装置8A内へ入りやすくなる。
【0056】
本実施形態の糸屑捕集装置8Aにおいても、第1実施形態の糸屑捕集装置8と同様に、カバー部材30は、フィルタ部材10がカバー部材30からスライドして取り外される際に、フィルタ13に接触する掻き取り部36として、表面接触部36a及び裏面接触部36bを有している。
【0057】
本実施形態の洗濯機では、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
(第3実施形態)
本実施形態の洗濯機が、第1実施形態の洗濯機1と異なる点は、第1実施形態において洗濯脱水槽2内の流れ込む給水口8aが糸屑捕集装置8の下端部に形成されるが、本実施形態において洗濯脱水槽2内の流れ込む給水口108aが糸屑捕集装置108の上端部近傍に形成される点である。なお、本実施形態の洗濯機の構成において、第1実施形態の洗濯機1の構成と同様である点については、詳細説明を省略する。
【0059】
糸屑捕集装置108は、フィルタ部材10と、フィルタ部材10に対してスライドして着脱可能に形成されたカバー部材130とを有している。
【0060】
カバー部材130は、
図10に示すように、縦長形状を有する板状の本体部131と、本体部31の上端に配置された平面部132と、本体部131の左右側面にそれぞれ配置された2つの側面部133とを有している。
【0061】
平面部132は、長方形状であり、洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において本体部131の上端部から径方向外側に向かって突出するように形成され、2つの側面部133は、長方形状であり、洗濯脱水槽2に取り付けられた状態において本体部131の左右両端部から径方向外側に向かって突出するように形成される。
【0062】
カバー部材130の上端部において、平面部132の左右両端部と2つの側面部133の上端部との間には、隙間(図示しない)がそれぞれ形成される。その隙間は、フィルタ部材10のフィルタ13の厚さより広く形成される。そのため、カバー部材130をフィルタ部材10に対して取り付ける方法及びフィルタ部材10をカバー部材30から取り外す方法は、第1実施形態と同様である。
【0063】
2つの側面部133には、2つの矩形状の開口133aが形成される。カバー部材130がフィルタ部材10に取り付けられた状態では、開口133aがフィルタ13と対向し、糸屑捕集装置108の外部からフィルタ13が見える状態となる。
【0064】
本実施形態では、糸屑捕集装置108の内側面には、洗濯脱水槽2内の水が流れ込む給水口108aが形成されており、糸屑捕集装置108の側面には、洗濯脱水槽2内へ水を排水する排水口108bが形成されている。具体的には、給水口108aは、カバー部材130の本体部131の上端部近傍に形成される。給水口108aは、略矩形状であり、カバー部材130の本体部131の幅方向略全域に形成される。
【0065】
また、カバー部材130の本体部131は、その2つの両端部131aの幅方向内側にそれぞれ配置された2つの第1部分131bと、2つの第1部分131bの間に配置された第2部分131cとを有している。第1部分131bは、両端部131aからフィルタ部材10の本体部11に近づくように傾斜している。
【0066】
第2部分131cは、2つの両端部131aと比べて、フィルタ部材10の本体部11と近い位置に配置される。また、第2部分131cは、下方から上方に向かうにつれてフィルタ部材10の本体部11から離れるように傾斜している。そのため、フィルタ部材10のフィルタ13までの流路を確保することができる。
【0067】
本実施形態の糸屑捕集装置108においても、第1実施形態の糸屑捕集装置8と同様に、カバー部材130は、フィルタ部材10がカバー部材130からスライドして取り外される際に、フィルタ13に接触する掻き取り部36として、表面接触部36a及び裏面接触部36bを有している。
【0068】
本実施形態の洗濯機では、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0070】
例えば、上記第1~第3実施形態では、掻き取り部36が、フィルタ13の表面に接触する表面接触部36aと、フィルタ13の裏面に接触する裏面接触部36bとを有しているが、掻き取り部36は、表面接触部36a及び裏面接触部36bの少なくとも1つを有していればよい。
【0071】
上記第1~第3実施形態では、表面接触部36aと裏面接触部36bとがフィルタ13の両側において対向する位置に配置されているが、表面接触部36aと裏面接触部36bとは、フィルタ13の両側において対向しない位置に配置されてよい。
【0072】
上記第1~第3実施形態では、フィルタ13の接触面が平坦な面に形成されているが、それに限られない。例えば、フィルタ13の接触面が湾曲した面に形成されてよい。
【0073】
上記第1~第3実施形態では、フィルタ13がフィルタ部材10の両側の側面に配置されているが、フィルタ13は、フィルタ部材10の両側の側面の少なくとも1つに配置されてよい。
【0074】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 洗濯機
2 洗濯脱水槽
4 パルセータ
6 バッフル
8 糸屑捕集装置
10 フィルタ部材(第1部材)
13 フィルタ
30 カバー部材(第2部材)
36 掻き取り部
36a 表面接触部
36b 裏面接触部