IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井上 國光の特許一覧

<>
  • 特許-電気抵抗電磁誘導加熱装置 図1
  • 特許-電気抵抗電磁誘導加熱装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】電気抵抗電磁誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 11/00 20060101AFI20240605BHJP
   F24H 1/10 20220101ALI20240605BHJP
   F24H 1/12 20220101ALI20240605BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20240605BHJP
   H05B 3/48 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H05B11/00 G
F24H1/10 J
F24H1/12 A
H05B6/36 Z
H05B3/48
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023176819
(22)【出願日】2023-10-12
【審査請求日】2023-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396014784
【氏名又は名称】井上 國光
(74)【代理人】
【識別番号】100157174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】井上 國光
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6185692(JP,B2)
【文献】特許第6195955(JP,B2)
【文献】特表2006-511906(JP,A)
【文献】特許第2539686(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0136066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/10-1/12
H05B3/48,6/10,6/36,11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気抵抗加熱部と電磁誘導加熱部とから構成された、加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置であって、
電気抵抗加熱部は、金属筒と、ボビンと、電気発熱線と、粉粒状耐熱耐火材とからなり、
前記金属筒はステンレス製で内筒と外筒とからなり、前記ボビンは耐熱耐火性電気絶縁性の酸化マグネシウム製ボビン電気発熱線がコイル状に巻回されており、前記電気発熱線を巻回したボビンには、外筒との間、内筒との間に、熱耐火性及び電気絶縁性の粉粒状耐熱耐火材としての酸化マグネシウムが強圧縮されて充填されており、
前記ボビンの内部には、前記電気発熱線の引出し線が折り返してボビンに平行直線状に差し込まれ、同様にボビンに平行直線状に差し込まれている添え線と密に線接触し、当該添え線は軸対称的に電気熱線の入力側と同じ側から出て、電源に接続しており、
電磁誘導加熱部は、ステンレス製ノズル管と、当該ノズル管内に嵌入された耐熱性磁性金属製丸棒状コアとを備え、前記丸棒状コアには耐熱性磁性金属線コイルが螺旋状に巻回されて、前記電気発熱線を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成しており、
前記ノズル管内に嵌入された前記丸棒状コアは、そこに巻回された耐熱性磁性金属線コイルがノズル管の管壁と接触することによる接触反発力によってノズル管中心部に保持されて、ノズル管の内壁と丸棒状コアとの間にドーナツ状断面の流体流路が形成されおり、
ノズル管後部の流体流入孔から前記内筒内に流入した加圧流体は、前記ドーナツ状断面の流体流路を通ってノズル先端から高温高圧の流体となって、液状及び/又は気体状として噴出される、電気抵抗電磁誘導加熱装置。
【請求項2】
前記丸棒状コアの耐熱性磁性金属がニッケル又はその合金であり、前記丸棒状コアに巻回されたコイルの耐熱性磁性金属線がニッケル又はその合金である、請求項1に記載の電気抵抗電磁誘導加熱装置。
【請求項3】
電気抵抗加熱部と電磁誘導加熱部とから構成された、加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置であって、
前記電気抵抗加熱部は、金属筒と、電気発熱線と、粉粒状酸化マグネシウムとからなり、
前記電気発熱線は外筒と内筒との間に巻回されており、その周囲には、熱耐火性及び電気絶縁性の前記粉粒状酸化マグネシウムが強圧縮充填されており、
前記金属筒はステンレス製で内筒と外筒とからなり、前記内筒の周囲に電気発熱線がコイル状に巻回されており、前記電気発熱線のリード線は、本加熱装置の後端(加圧流体の入口側)と先端(加圧流体の出口側)から出て、それぞれ電源部へと接続しており、
ここで、前記先端(加圧流体の出口側)から出たリード線は直ちに折り返して前記電気発熱線がコイル状に巻回している前記粉粒状酸化マグネシウム充填部に入り、前記電気発熱線に接触することなくその直近を通って前記後端(加圧流体の入口側)から出て、電源部へと接続しており、
前記電磁誘導加熱部は、ステンレス製ノズル管と、その内部に嵌入された耐熱性磁性金属製丸棒状コアとを備え、当該丸棒状コアには耐熱性磁性金属線コイルが螺旋状に巻回されて、前記電気発熱線を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成しており、
ノズル管内に嵌入された前記丸棒状コアは、そこに巻回された金属線コイルがノズル管の管壁と接触することによる接触反発力によってノズル管中心部に保持されて、ノズル管の内壁と丸棒状コアとの間にドーナツ状断面の流体流路が形成されおり、
ノズル管後部の流体流入孔から内筒内に流入した加圧流体は、前記ドーナツ状断面の流体流路を通ってノズル先端から高温高圧の流体となって、液状及び/又は気体状として噴出される、電気抵抗電磁誘導加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気抵抗加熱部と電磁誘導加熱部とを一体として加熱管中に装備する加熱装置であって、当該加熱管内を通過する水、空気等の流体を加熱する電気抵抗電磁誘導加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気抵抗加熱部と電磁誘導加熱部とを一体として加熱管中に装備する加熱装置であって、当該加熱管内を通過する水、空気等の流体を加熱する電気抵抗電磁誘導加熱装置としては、本出願人が発明した特許文献1及び2に開示されている加熱装置が知られており、民生用及び産業用にその利用が広まっている。
【0003】
これらの加熱装置は、流体通路を内部に形成する管の周りに、内筒及び外筒よりなる金属筒を設けるとともに、該金属筒内に、発熱線を巻き回した酸化マグネシア製ボビンを挿入するとともに、粉粒状酸化マグネシアを充填して強圧縮し、前記発熱線、前記酸化マグネシア性ボビン及び、充填強圧縮した前記酸化マグネシアにより、前記流体通路内の流体を電気抵抗加熱するものであり、前記管内の流体通路内に耐熱性金属棒コアを設け、前記発熱線を電磁コイルとして、前記コアが前記流体通路内の流体を電磁誘導加熱することを特徴としている(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6185692号
【文献】特許第6195955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記電気抵抗電磁誘導加熱装置の熱効率はまだ十分とは云えず、ユーザーからは、更なる熱効率の向上を要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はユーザーの要望に応えるべく、熱効率の更なる向上を目指して鋭意検討を行った。特に改良の余地があるのは電磁誘導加熱部であって、電磁誘導励起を受けて高温になる耐熱性金属棒コアに着目し、鋭意検討を進めた。
【0007】
その結果、驚くべき事に、耐熱性金属棒コアに耐熱性の磁性金属線をコイル状に巻回した構造物が、高い電磁誘導加熱効果を発揮することを見出し、その結果、電気抵抗加熱部と併せて高い熱効率を発揮することを見出すに至り、本発明に到達した。
【0008】
本発明における前記電磁誘導加熱効果の高まりは、金属棒コア中の磁束密度の増加に基づく効果と考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、電気抵抗加熱と電磁誘導加熱とを併用することで、熱効率を向上させ短時間に水、空気等の高温加圧流体を得るものである。
【0010】
本発明に係る流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、特に電磁誘導加熱部の熱効率が向上した結果、加熱装置トータルとしての熱効率が向上したものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例を断面図的に示した原理説明図である。
図2】本発明の別の実施例を断面図的に示した原理説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい形態を、実施例1及び実施例2に記載する。
【実施例1】
【0013】
本発明の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置の実施例1の原理説明図を図1に示す。
【0014】
本発明実施例1の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bとから構成されている。
【0015】
電気抵抗加熱部Aは、金属筒10と、ボビン20と、電気発熱線21と、耐熱耐火性で電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム22とからなる。なお、電気発熱線のオーバーヒート防止のため、その傍には熱電対を添えて周囲温度を測定するのが好ましい。
【0016】
金属筒10は、ステンレス製で内筒11と外筒12とからなる。
【0017】
ボビン20は、熱耐火性の酸化マグネシウム製で、その周囲にはニクロム線等の公知の電気発熱線21がコイル状に巻回されている。
【0018】
電気発熱線を巻回したボビン20は、外筒12との間、内筒11との間に挿入されて、熱耐火性及び電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム22(黒点々で示される)が強圧縮されて充填されている。
【0019】
ボビン20の内部には、電気発熱線の引出し線23が折り返してボビンに平行に直線状に差し込まれ、同様にボビンに平行直線状に差し込まれている添え線24と密に線接触し、添え線24は電源に接続している。この様にして、添え線24は軸対照的に電気抵抗加熱部の同じ側から出て、電源に接続する。
【0020】
電磁誘導加熱部Bは、ステンレス製ノズル管30と、ノズル管30内に嵌入された耐熱性磁性金属製丸棒状コア40とを備え、前記電気発熱線21を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成している。
【0021】
前記丸棒状コア40には耐熱性磁性金属線コイル41が螺旋状に巻回されて、前記電気発熱線を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成している。耐熱性磁性金属としては、ニッケル及びその合金等が例示されるが、これ等に限定されるものではない。
【0022】
前記ノズル管30に嵌入された前記丸棒状コア40は、そこに巻回された金属線コイル41がノズル管30の管壁と接触することによる接触反発力によって、ノズル管中心部に保持される。この様にして、ノズル管30の内壁と丸棒状コア40との間にドーナツ状断面の流体流路が形成される。
【0023】
ノズル管30は、管後部の流体流入孔31から加圧流体を流入させてノズル先端32から高温高圧流体が流出できるように形成されている。
【0024】
流体の流れは黒矢印で示され、流体流入孔31から内筒11内に流入し、ノズル管30の内壁と丸棒状コア40との間に形成されたドーナツ状断面の流路を通過して高温高圧の流体となってノズル32から、液状及び/又は気体状として噴出される。
【0025】
この様に、本発明実施例1の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、加圧流体の熱効率を飛躍的に向上させてノズル32から短時間に高温噴出させる。
【0026】
以上の説明をまとめると、本発明実施例1の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、図1に示すように、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bとから構成されており
電気抵抗加熱部Aは、金属筒10と、ボビン20と、電気発熱線21と熱耐火性で電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム22とからなり、
金属筒10はステンレス製で内筒11と外筒12とからなり、ボビン20は、熱耐火性の酸化マグネシウム製で、ニクロム線等の公知の電気発熱線21がコイル状に巻回されており、電気発熱線を巻回したボビン20は、外筒12との間、内筒11との間に挿入されて、熱耐火性及び電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム22(黒点々で示される)が強圧縮されて充填されており、
ボビン20の内部には、電気発熱線の引出し線23が折り返してボビンに平行に直線状に差し込まれ、同様にボビンに平行直線状に差し込まれている添え線24と密に線接触し、添え線24は電源に接続していて、添え線24は軸対照的に電気抵抗加熱部の同じ側(流体入口側)から出て、電源に接続しており、
電磁誘導加熱部Bは、ステンレス製ノズル管30と、ノズル管30内に嵌入された耐熱性磁性金属製丸棒状コア40とを備え、耐熱性磁性金属製丸棒状コア40には耐熱性磁性金属線コイル41が螺旋状に巻回されて、前記電気発熱線21を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成しており、
ノズル管30に嵌入された丸棒状コア40は、そこに巻回された金属線コイル41がノズル管30の管壁と接触することによる接触反発力によって、ノズル管中心部に保持されて、ノズル管30の内壁と丸棒状コア40との間にドーナツ状断面の流体流路が形成されおり、
ノズル管30は、管後部の流体流入孔31から加圧流体を流入させてノズル先端32から高温高圧流体が流出できるように形成されており、
流体の流れは黒矢印で示される様に、流体流入孔31から内筒11内に流入し、ノズル管30の内壁と丸棒状コア40との間に形成されたドーナツ状断面の流路を通過して高温高圧の流体となってノズル32から、液状及び/又は気体状として噴出され、
かくして、本発明実施例1の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、加圧流体の熱効率を飛躍的に向上させてノズル32から短時間に高温噴出させる。
【実施例2】
【0027】
本発明の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置の実施例2の原理説明図を図2に示す。
【0028】
本発明実施例2の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bとから構成されている。
【0029】
電気抵抗加熱部Aは、金属筒10と、電気発熱線21と耐熱耐火性で電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム22とからなる。なお、電気発熱線のオーバーヒート防止のため、その傍には熱電対を添えて周囲温度を測定するのが好ましい。
【0030】
金属筒10は、ステンレス製で内筒11と外筒12とからなる。
【0031】
内筒11の周囲にはニクロム線等の公知の電気発熱線21がコイル状に巻回されている。
【0032】
外筒12と内筒11との間に巻回された電気発熱線21周囲には、熱耐火性及び電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム(図中、黒点々で示される)が、強圧縮充填されている。
【0033】
電気発熱線21のリード線23は、本加熱装置の後端(加圧流体の入口側)と先端(出口ノズル側)から出て、それぞれ電源部へと接続している。ここで、先端部から出たリード線23は直ちに折り返して電気発熱線21がコイル状に巻回されている粉粒状酸化マグネシウム充填部22に入り、電気発熱線21に接触することなくその直近をすり抜けて後端部から出て、電源部へと接続している。
【0034】
電磁誘導加熱部Bは、ステンレス製ノズル管30と、その内部に嵌入された耐熱性磁性金属製丸棒状コア40とを備え、当該丸棒状コア40には耐熱性磁性金属線コイル41が螺旋状に巻回されて、前記電気発熱線21を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成している。耐熱性磁性金属としては、ニッケル及びその合金等が挙げられるが、これ等に限定されるものではない。
【0035】
前記丸棒状コア40は、そこに螺旋状に巻回されている金属線コイル41とノズル管30の内壁面間との接触反発力によってノズル管内中央に保持されて、ノズル管30の内壁と丸棒状コア40との間にドーナツ状断面の流体流路を形成する。
【0036】
ノズル管30は、管後部の流体流入孔31から加圧流体を流入させてノズル先端32から高温高圧流体が流出できるように形成されている。
【0037】
流体の流れは黒矢印で示され、流体流入孔31から内筒11内に流入し、ノズル管30の内壁と丸棒状コア40との間に形成されたドーナツ状断面の流路を通過して高温高圧の流体となってノズル32から、液状及び/又は気体状として噴出される。
【0038】
この様に、本発明実施例2の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、加圧流体の熱効率を飛躍的に向上させてノズル32から短時間に高温噴出させる。
【0039】
以上の説明をまとめると、本発明実施例2の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、図2に示すように、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bとから構成されており、
電気抵抗加熱部Aは、金属筒10と、電気発熱線21と、耐熱耐火性で電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム22とからなり、
前記金属筒10は、ステンレス製で内筒11と外筒12とからなり、前記内筒11の周囲にはニクロム線等の公知の電気発熱線21がコイル状に巻回されており、前記外筒12と前記内筒11との間に巻回された前記電気発熱線21周囲には、熱耐火性及び電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシウム(図中、黒点々で示される)が、強圧縮充填されており、
前記電気発熱線21のリード線23は、本加熱装置の後端(加圧流体の入口)と先端(出口ノズル)から出て、それぞれ電源部へと接続しており、ここで、先端から出たリード線23は直ちに折り返して前記電気発熱線21がコイル状に巻回されている前記粉粒状酸化マグネシウム充填部22に入り、前記電気発熱線21に接触することなくその直近をすり抜けて後端部から出て、電源部へと接続しており、
電磁誘導加熱部Bは、ステンレス製ノズル管30と、その内部に嵌入された耐熱性磁性金属製丸棒状コア40とを備え、前記丸棒状コア40には耐熱性磁性金属線コイル41が螺旋状に巻回されて、前記電気発熱線21を電磁コイルとする電磁誘導加熱部を形成しており、
前記丸棒状コア40は、そこに螺旋状に巻回されている前記金属線コイル41と前記ノズル管30の内壁面間との接触反発力によってノズル管内中央に保持されて、前記ノズル管30の内壁と前記丸棒状コア40との間にドーナツ状断面の流体流路を形成し、
前記ノズル管30は、管後部の流体流入孔31から加圧流体を流入させてノズル32から高温高圧流体が流出できるように形成されており、
流体の流れは黒矢印で示され、前記流体流入孔31から前記内筒11内に流入し、前記ノズル管30の内壁と前記丸棒状コア40との間に形成されたドーナツ状断面の流路を通過して高温高圧の流体となって前記ノズル32から、液状及び/又は気体状として噴出され、
かくして、本発明実施例2の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、加圧流体の熱効率を飛躍的に向上させて前記ノズル32から短時間に高温噴出させる。
【0040】
この様に、本発明実施例2の水、空気等の加圧流体の電気抵抗電磁誘導加熱装置は、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bとから構成されており、加圧流体の熱効率を飛躍的に向上させて前記ノズル32から短時間に高温噴出できるようにしたものである。
【0041】
試験1
本発明に係る電気抵抗電磁誘導加熱装置を、前記実施例2の原理説明図2に従って製造した(試験機)。この試験機を用いて、流入水(水道水:水温29.2℃)の流入速度を1000ml/min.、測定時間1.0min.での流入量=1000ml、交流電源(実測値:95.6V)、電流実測値:15.2A、流出水受け器はSUS製容器を使い、流入水温度29.2℃と加熱処理後の流出水到達温度49.2℃の差から獲得熱量を算出し、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率ηを計算した。ここで、流入水(29.2℃)の比熱は30℃での比熱≒4.18(J/g・℃)、流出水(49.2℃)の比熱は50℃での比熱≒4.20(J/g・℃)とした。(水比熱の温度変化データは、(株) 熱学技術のHPより引用:(https://www.netugakugijutu.com/tech/sh_liquid/))。
【0042】
試験1で得られた結果は以下のとおりである。
加熱処理熱量(供給熱量)=95.6V×15.2A×1.0min.
=1,453.1W×1.0min.×60sec.=87,187J
流出水温度=49.2℃;
流出水の比熱=4.20J/g・℃
獲得熱量=(4.20×49.2-4.18×29.2)×1,000g=(206.64-122.06)×1,000g=84,580J
よって、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率η=(84,580/87,187)×100=97.01%であった。
【0043】
試験2
試験1で用いた試験機を用いて、水道水(水温29.2℃)の流入量を1000ml/min.に調節し、交流電源(実測値:96.7V)、電流実測値:11.8A、流出水受け器はポリ容器を使い、流入水温度29.2℃と加熱処理後の到達温度47.1℃の差から獲得熱量を算出し、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率ηを計算した。ここで、流入水(29.2℃)の比熱は30℃の比熱≒4.18(J/g・℃)、流出水(47.1℃)の比熱は50℃の比熱≒4.20(J/g・℃)とした。(水比熱の温度変化データは、(株) 熱学技術のHP(https://www.netugakugijutu.com/tech/sh_liquid/))より引用(単位はJ/g・℃):30℃で4.18;40℃で4.19;50℃で4.20)。
【0044】
試験2で得られた結果は以下のとおりである。
加熱処理熱量(供給熱量)=96.7V×11.8A×1.0min.=1,141.06×60sec.=68,464J
流出水温度=47.1℃;
流出水の比熱=4.20J/g・℃
獲得熱量=(4.20×47.1-4.18×29.2)×1,000g=(197.82-122.06)×1,000g=75,760J
よって、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率η=(75,760/68,464)×100=110.7%であった。
【0045】
試験3
試験1で用いた試験機を用いて、水道水(水温27.3℃)の流入量を2000ml/min.に倍増し、交流電源(実測値:110V)、電流実測値:13.9A、流出水受け器はポリ容器を使い、流入水温度27.3℃と加熱処理後の到達温度38.3℃の差から獲得熱量を算出し、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率ηを計算した。ここで、流入水(27.3℃)の比熱は30℃の比熱≒4.18(J/g・℃)とし、流出水(38.3℃)の比熱は40℃の比熱≒4.19(J/g・℃)とした。(水比熱の温度変化データは、(株) 熱学技術のHP(https://www.netugakugijutu.com/tech/sh_liquid/))より引用(単位はJ/g・℃):30℃で4.18;40℃で4.19;50℃で4.20)。
【0046】
試験3で得られた結果は以下のとおりである。
加熱処理熱量(供給熱量)=110V×13.9A×1.0min.=1,529×60sec.=91,740J
流出水温度=38.3℃;
流出水の比熱=4.19J/g・℃
獲得熱量=(4.19×38.3-4.18×27.3)×2,000g=(160.48-114.11)×2,000g=92,740J
よって、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率η=(92,740/91,740)×100=101.1%であった。
【0047】
(1)試験1~3の結果、流出水受け器がSUS製容器であって流入水量が1,000ml/min.の場合、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率η=97.01%(試験1)、流出水受け器がポリ容器であって流入水量が1,000ml/min.の場合の電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率η=110.7%(試験2)、流出水受け器がポリ容器であって流入水量が2,000ml/min.の場合の電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率η=101.1%(試験3)、となった。
【0048】
(2)試験1の熱エネルギーへの変換効率η=96.0%が、試験2の熱エネルギーへの変換効率η=110.7%より低かったことは、試験1の流出水受け容器がSUS製のため、試験2のポリ容器に較べて容器壁からの放熱が多かったため、及びSUS容器自体の昇温に伴う顕熱ロスが生じたため、と説明することができる。
【0049】
(3)一方、流出水受け器が同じポリ容器であるにもかかわらず、試験3の熱エネルギーへの変換効率η=101.1%が、試験2の熱エネルギーへの変換効率η=109.4%より低かったことは、試験3の流入水量が2,000ml/min.と試験2の2倍の水量であったため、電気抵抗電磁誘導加熱部での流入水の滞留時間(接触時間)が1/2に短縮されたために、電気抵抗電磁誘導加熱効果が低下したため、と説明することができる。
【0050】
(4)以上のとおり、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率ηが、試験2のη=110.7%、及び試験3のη=101.1%と、いずれも100%を超えたことは、一見、エネルギー保存の法則に反する結果にもみえるが、本発明の電気抵抗電磁誘導加熱装置が、電気抵抗加熱効果と電磁誘導加熱効果を独立的、且つ、累積的に発揮することに起因すると考えると、納得がゆく。これらの110.7%及び101.1%という100%を超える高い変換効率が得られたことは、画期的なことである。
【0051】
(5)そもそも、本発明者の知る限りでは、電気抵抗加熱効果と電磁誘導加熱効果を独立的、且つ、累積的に発揮する電気抵抗電磁誘導加熱装置としては、本発明以外には、先行文献の項で引用した本発明者自身による特許第6185692号と特許第6195955号があるのみである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
エネルギー資源の枯渇が叫ばれる昨今、本発明に係る電気抵抗電磁誘導加熱装置は、省エネが求められる民生用及び産業用として、広範な利用が期待される。
【符号の説明】
【0053】
10 金属筒
11 内筒
12 外筒
20 ボビン
21 電気発熱線
22 粉粒状熱耐火材
23 リード線
24 添え線
A 電気抵抗加熱部
30 ノズル管
31 流体流入孔
32 ノズル(流体出口)
40 磁性金属製丸棒状コア
41 磁性金属製コイル
B 電磁誘導加熱部
黒矢印 流体の流れ

【要約】      (修正有)
【課題】流体通路を内部に形成する管の周りに、内筒及び外筒よりなる金属筒を設けるとともに、金属筒内に、発熱線を巻回した酸化マグネシウム製ボビンを挿入して、流体通路内の流体を電気抵抗加熱すると共に、管内の流体通路内に耐熱性金属棒コアを設け、発熱線を電磁コイルとして、コアが流体通路内の流体を電磁誘導加熱する流体の電気加熱装置において、熱効率の更なる向上を図る。
【解決手段】電磁誘導加熱部の耐熱金属棒コア40に、磁性金属線コイル41が螺旋状に巻回された電磁誘導加熱部Bを形成することにより、電気抵抗電磁誘導加熱装置は、電気抵抗加熱部と併せて、トータル熱効率の向上を図る。
【選択図】図2
図1
図2