(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】照明装置および照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240605BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240605BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240605BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240605BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240605BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21V5/02 100
G03F7/20 501
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019137330
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-07-23
(73)【特許権者】
【識別番号】506032473
【氏名又は名称】株式会社アイテックシステム
(72)【発明者】
【氏名】栗林 拓
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-293152(JP,A)
【文献】特開2019-086532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/02
G03F 7/20
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に互いに間隔をおいて配置され、前記X方向と略直交するY方向にそれぞれ平行光を射出する複数の第1平行光ユニットと、
前記X方向に互いに間隔をおいて前記複数の第1平行光ユニットに各々対応するように配置された複数の反射部材であって、前記複数の第1平行光ユニットからの前記平行光をそれぞれ前記X方向と略直交する所定方向に向かって反射する複数の反射部材と、
前記X方向に互いに間隔をおいて配置され、前記所定方向にそれぞれ平行光を射出する複数の第2平行光ユニットと、を備える照明装置であって、前記複数の第1平行光ユニットの各々からの前記平行光は対応する前記反射部材の前記X方向の全体に照射されるように構成され、
前記照明装置が照明する前記X方向に長い照明エリアにおいて前記複数の第1平行光ユニットからの前記平行光が前記複数の反射部材によって反射した光と前記複数の第2平行光ユニットからの前記平行光とが前記X方向に連なるように、前記X方向において前記複数の第2平行光ユニットは前記複数の反射部材と交互に配置され、
前記各反射部材は、対応する前記第1平行光ユニットからの前記平行光のうち前記X方向の少なくとも一端の光を反射しないものである、照明装置。
【請求項2】
前記各反射部材は、対応する前記第1平行光ユニットからの前記平行光のうち、前記X方向の
両端の光を反射しないものである、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記各反射部材は、少なくとも1つの前記第2平行光ユニットからの前記平行光の前記X方向の端の光を前記所定方向に向かわないように遮断又は反射するものである、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記複数の反射部材の少なくとも1つは、隣り合う2つの前記第2平行光ユニットからの前記平行光の前記X方向の端の光を前記所定方向に向かわないように遮断又は反射するものである、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記複数の第2平行光ユニットは、前記X方向に前記複数の第1平行光ユニットと交互に配置されている、請求項1~4の何れかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記各第1平行光ユニットは、点光源と、前記点光源からの光を前記平行光とするレンズ部と、を有する、請求項1~5の何れかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記各第2平行光ユニットは、点光源と、前記点光源からの光を前記平行光とするレンズ部と、を有する、請求項1~6の何れかに記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数の第2平行光ユニットは、点光源と、前記点光源からの光を平行光とするレンズ部と、前記レンズ部からの前記平行光を前記所定方向に向かって反射する第2反射部材と、を有する、請求項1~6の何れかに記載の照明装置。
【請求項9】
前記X方向に互いに間隔をおいて配置され、前記所定方向にそれぞれ平行光を射出する第3平行光ユニットをさらに備える、請求項1~8の何れかに記載の照明装置。
【請求項10】
前記反射部材によって前記所定方向に向かって反射される前記第1平行光ユニットからの前記平行光と、前記複数の第2平行光ユニットからの前記所定方向に向かう前記平行光とを、前記X方向に屈折させる屈折レンズ部材をさらに備える、請求項1~9の何れかに記載の照明装置。
【請求項11】
前記反射部材によって前記所定方向に向かって反射される前記第1平行光ユニットからの前記平行光と、前記複数の第2平行光ユニットからの前記所定方向に向かう前記平行光とを、前記X方向と直交する方向に集光する集光レンズ部をさらに備える、請求項1~9の何れかに記載の照明装置。
【請求項12】
前記集光レンズ部によって集光された光を平行光とする再平行化レンズ部をさらに備える、請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れかに記載の照明装置と、
前記照明装置による前記照明エリアの長手方向に長手を有するレンズであり、前記照明エリアからの光を検査用のセンサに向かって前記長手方向に集光するレンズと、を備える照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置として、X方向に並設された複数のLEDと、各LEDからの光をX方向と直交するY方向に集光する棒状レンズとを備え、ライン状の照明位置を照明するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。当該照明装置では、照明位置の光のムラを低減するために、X方向に光を拡散する拡散板を用いている。
【0003】
また、X方向に並設された複数の点光源と、複数の点光源にそれぞれ対応する凸レンズとを備え、ライン状の照明位置を照明するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。当該照明装置でも、照明位置の光のムラを低減するために、X方向に光を拡散する拡散板を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4457100号公報
【文献】特開2005-079495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各照明装置は、ラインセンサによって検出される範囲をライン状に照明するために用いられる。前記各照明装置は、光硬化性樹脂の露光のために用いられる場合もある。
前者の照明装置の光源は、X方向に並設された複数のLEDである。このため、照明装置と照明位置とを数十cm以上又は1m以上離せば、照明位置の光のムラを無くすことはできるが、照明位置の照度が低下する。照明位置の照度を上げるために照明装置と照明位置との距離を十数cm以下にする場合は、照明位置の光のムラを低減するために拡散板が必要になる。
【0006】
後者の照明装置も、凸レンズの継ぎ目があるため、前者の照明装置と同様に拡散板が必要である。
また、照明位置に平行光成分が多い光を供給する照明装置も望まれていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、拡散板を用いない場合でもムラが少ない又は無い光を照明位置に供給することが可能であり、小型化も図ることが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る照明装置は、X方向に互いに間隔をおいて配置され、前記X方向と略直交するY方向にそれぞれ平行光を射出する複数の第1平行光ユニットと、前記X方向に互いに間隔をおいて前記複数の第1平行光ユニットに各々対応するように配置された複数の反射部材であって、前記複数の第1平行光ユニットからの前記平行光をそれぞれ前記X方向と略直交する所定方向に向かって反射する複数の反射部材と、前記X方向に互いに間隔をおいて配置され、前記所定方向にそれぞれ平行光を射出する複数の第2平行光ユニットと、を備える照明装置であって、前記複数の第1平行光ユニットの各々からの前記平行光は対応する前記反射部材の前記X方向の全体に照射されるように構成され、前記照明装置が照明する前記X方向に長い照明エリアにおいて前記複数の第1平行光ユニットからの前記平行光が前記複数の反射部材によって反射した光と前記複数の第2平行光ユニットからの前記平行光とが前記X方向に連なるように、前記X方向において前記複数の第2平行光ユニットは前記複数の反射部材と交互に配置され、前記各反射部材は、対応する前記第1平行光ユニットからの前記平行光のうち前記X方向の少なくとも一端の光を反射しないものである。
【0009】
上記第1の態様では、各第1平行光ユニットからの平行光がそれぞれ反射部材によって所定方向に向かって反射される。また、複数の第2平行光ユニットは、X方向に互いに間隔をおいて配置され、所定方向にそれぞれ平行光を射出する。また、X方向において、複数の第2平行光ユニットは複数の反射部材と交互に配置されている。このような交互配置のため、各第2平行光ユニットからの光が反射部材の間を通過して照明エリアに到達する。当該構成によって、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一にする照明システムを容易且つ確実に構成することが可能となる。また、反射部材がX方向に並んでおり、当該構成は照明装置の小型化を図るために有利である。
【0010】
本発明の第2の態様に係る照明システムは、前記照明装置と、前記照明装置による照明エリアの長手方向に長手を有するレンズであり、前記照明エリアからの光を検査用のセンサに向かって前記長手方向に集光するレンズと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、拡散板を用いない場合でも照明位置にムラが少ない又は無い光を供給することが可能であり、小型化も図ることが可能な照明装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の照明装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線断面図である。
【
図5】本実施形態の第1変形例の照明装置の断面図である。
【
図6】本実施形態の第2変形例の照明装置の断面図である。
【
図7】本実施形態の第3変形例の照明装置の断面図である。
【
図8】本実施形態の第4変形例の屈折レンズ部の正面図である。
【
図9】本実施形態の第5変形例の照明装置の概略構成を示す正面図である。
【
図10】本実施形態の第6変形例の照明装置の断面図である。
【
図11】本実施形態の第7変形例の照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る照明システムについて図面を参照して以下に説明する。
この照明システムの照明装置1は、検査対象物をライン状に照明するものである。当該ラインは、幅が数cmであってもよく、1cm以下であってもよい。本実施形態では前記ラインの幅は以下の構造によって数cmとなる。
この照明装置1は、
図1~
図4に示されるように、X方向に長手を有する筐体10と、筐体10内にX方向に互いに間隔をおいて配置された複数の反射部材20と、X方向に互いに間隔をおいて配置された複数の第1平行光ユニット30と、X方向に互いに間隔をおいて配置された複数の第2平行光ユニット40と、を備えている。
【0014】
図3等に示されるように、各第1平行光ユニット30は、点光源31と、点光源31から放射状に射出される光を平行光とする1枚のフレネルレンズであるレンズ部32と、を備える。点光源31は、レーザーダイオード、LED等である。点光源31が光ファイバーの一端であり、光ファイバーの他端に光源装置から光を入れてもよい。本実施形態では、レンズ部32は、同心円状に並んだ複数のプリズムレンズを有し、各プリズムレンズは点光源31からの光を平行光とするように形成されている。
【0015】
点光源31からレンズ部32の全体に亘って均一な光が照射されることが好ましいが、光軸の付近の光が最も強く、光軸から離れるに従って徐々に光量が低下する点光源31であってもよい。
【0016】
なお、レンズ部32は、点光源31からの光を平行光とするものであればよく、単一又は複数のレンズを有していればよい。また、レンズ部32を構成するレンズとして、凸レンズ、凸レンズと凹レンズの組合せ、リニアフレネルレンズ等の周知のレンズを用いることが可能である。
各第1平行光ユニット30は、X方向と略直交するY方向に平行光PL1を射出する。平行光PL1のX方向の幅は数cmであり、本実施形態では5cm程度である。平行光PL1のZ方向の幅は数cmであってもよく、1cm以下であってもよい。本実施形態では平行光PL1のZ方向の幅は5cm程度である。
【0017】
本実施形態では、
図3に示されるように、第1平行光ユニット30は筐体33によって覆われている。また、第1平行光ユニット30は、点光源31の基板31aが一端面に固定されたブロック34を有し、ブロック34は筐体33にY方向に移動可能に取付けられている。また、筐体33に対してブロック34を移動しないように固定する移動規制部材35も設けられている。本実施形態では、移動規制部材35はネジ部材であり、移動規制部材35は筐体33に螺合しており、ブロック34に当接する。
【0018】
移動規制部材35を緩めると共に、ブロック34をY方向に移動することによって、点光源31とレンズ部32とのY方向の距離を調節することができる。当該調節によって、平行光PL1を若干拡がる光、若干収束する光、又は完全な平行光に近い光等に調節することができる。若干広がる光および若干収束する光も本実施形態では平行光である。
【0019】
図4等に示されるように、各第2平行光ユニット40は、点光源41と、点光源41から放射状に射出される光を平行光とする1枚のフレネルレンズであるレンズ部42と、を備える。点光源41は、レーザーダイオード、LED等である。点光源41が光ファイバーの一端であり、光ファイバーの他端に光源装置から光を入れてもよい。本実施形態では、レンズ部42は、同心円状に並んだ複数のプリズムレンズを有し、各プリズムレンズは点光源41からの光を平行光とするように形成されている。
【0020】
点光源41からレンズ部42の全体に亘って均一な光が照射されることが好ましいが、光軸の付近の光が最も強く、光軸から離れるに従って徐々に光量が低下する点光源41であってもよい。
【0021】
なお、レンズ部42は、点光源41からの光を平行光とするものであればよく、単一又は複数のレンズを有していればよい。また、レンズ部42を構成するレンズとして、凸レンズ、凸レンズと凹レンズの組合せ、リニアフレネルレンズ等の周知のレンズを用いることが可能である。
各第2平行光ユニット40は、X方向およびY方向と略直交するZ方向に平行光PL2を射出する。なお、Z方向が、X方向およびY方向と交差する方向であって、Y方向と45°、30°等の所定の角度を成す方向であってもよい。
【0022】
平行光PL2のX方向の幅は数cmであり、本実施形態では5cm程度である。平行光PL2のY方向の幅は数cmであってもよく、1cm以下であってもよい。本実施形態では平行光PL2のY方向の幅は5cm程度である。
【0023】
本実施形態では、
図4に示されるように、第2平行光ユニット40は筐体43によって覆われている。また、第2平行光ユニット43は、点光源41の基板41aが一端面に固定されたブロック44を有し、ブロック44は筐体43にZ方向に移動可能に取付けられている。また、筐体43に対してブロック44を移動しないように固定する移動規制部材45も設けられている。本実施形態では、移動規制部材45はネジ部材であり、移動規制部材45は筐体43に螺合しており、ブロック44に当接する。
【0024】
筐体33および筐体43は、筐体10の一部として機能し、本実施形態では、筐体10の中に複数の点光源31,41、複数のレンズ部32,42、および複数の反射部材20が設けられている。
筐体10には、第1平行光ユニット30からの平行光PL1であって、反射部材20によって反射された平行光PL1と、第2平行光ユニット40からの平行光PL2とが通過する開口部10aが設けられている。本実施形態では、開口部10aにプラスチック、ガラス等の透光材料から成るカバー11が取付けられている。
【0025】
移動規制部材45を緩めると共に、ブロック44をY方向に移動することによって、点光源41とレンズ部42とのY方向の距離を調節することができる。当該調節によって、平行光PL1を若干拡がる光、若干収束する光、又は完全な平行光に近い光等に調節することができる。若干広がる光および若干収束する光も本実施形態では平行光である。
【0026】
本実施形態では、各反射部材20は金属板、ガラス板等の矩形状の平板状部材である。一例では、各反射部材20の厚さ方向一方の面である反射面20aには銀等の金属が蒸着されており、鏡面となっている。反射面20aは反射部材20において第1平行光ユニット30側の面である。各反射部材20は、対応する第1平行光ユニット30に対応した位置に配置されている。また、
図2に示されるように、各反射部材20のX方向の中央又はその近傍に、対応する第1平行光ユニット30の光軸L1が向いている。各反射部材20は、対応する第1平行光ユニット30からの光をZ方向に反射する。
【0027】
図2に示されるように、第1平行光ユニット30からの平行光PL1のX方向の幅は、対応する反射部材20のX方向の幅よりも大きい。このため、
図2に示されるように、平行光PL1のX方向の両端には、反射部材20によって反射されない部分がある。なお、第1平行光ユニット30と反射部材20のX方向の位置を調整することによって、平行光PL1のX方向の一端に反射部材20によって反射されない部分を作りながら、平行光PL1のX方向の他端と反射部材20のX方向の端を完全に一致させる場合もある。しかし、このような位置調整には手間およびコストがかかるため、平行光PL1のX方向の両端に反射部材20によって反射されない部分がある本実施形態の方が好ましい。
【0028】
図2に示されるように、各第2平行光ユニット40の光軸L2は、X方向に隣り合う反射部材20の間に配置される。本実施形態では、X方向に隣り合う反射部材20間の空間のX方向の中央又はその近傍を、各第2平行光ユニット40の光軸L2が通過する。
図2に示されるように、各第2平行光ユニット40からZ方向に射出される平行光PL2のX方向の両端は、対応する2つの反射部材20によって、Z方向への進行が妨げられる。
【0029】
上記構成によって、
図2に示されるように、照明エリアにおいて複数の平行光PL1と複数の平行光PL2がX方向に交互に並び、平行光PL1のX方向の端と平行光PL2のX方向の端が一致又はほぼ一致する。これにより、照射位置に平行光PL1,PL2と略一致する幅の光が照射可能である。本実施形態では、開口部10aと略一致する幅の光が照射される。例えば、平行光PL1のX方向の端と平行光PL2のX方向の端が一致することによって、照明エリアの略全体において照度が均一又は略均一となる。
【0030】
なお、第2平行光ユニット40と反射部材20のX方向の位置を調整することによって、平行光PL2のX方向の一端に反射部材20によってZ方向への進行が妨げられる部分を作りながら、平行光PL2のX方向の他端と反射部材20のX方向の端を完全に一致させることもできる。しかし、このような位置調整には手間およびコストがかかるため、平行光PL2のX方向の両端に反射部材20によってZ方向への進行が妨げられる部分がある本実施形態の方が好ましい。
【0031】
さらに、第2平行光ユニット40からの平行光PL2のX方向の寸法を反射部材20の間隔寸法と一致させることも可能である。この場合、第2平行光ユニット40と反射部材20のX方向の位置を調整すると、平行光PL2のX方向の両端は反射部材20によってZ方向への進行が妨げられない。この場合でも、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一とすることが可能である。
また、本実施形態では、反射部材20がX方向に間隔をおいて並んでおり、当該構成は照明装置1の小型化を図るために有利である。
【0032】
本実施形態では、各第1平行光ユニット30からの平行光PL1がそれぞれ反射部材20によってZ方向に向かって反射される。また、複数の第2平行光ユニット40は、X方向に互いに間隔をおいて配置され、Z方向にそれぞれ平行光PL2を照射する。また、
図2に示されるように、X方向において、複数の第2平行光ユニット40は複数の反射部材20と交互に配置されている。このような交互配置のため、各第2平行光ユニット40からの光が反射部材20の間を通過して照明エリアに到達する。当該構成によって、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一にする照明装置1を容易且つ確実に構成することが可能となる。本実施形態では、第1平行光ユニット30から照明エリアに照射される平行光PL1と第2平行光ユニット20から照明エリアに照射される平行光PL2はX方向に連なり、両平行光の重なりは無い又は僅かである。両平行光の重なりがある場合でも、その重なりは規則正しくあらわれる。このため、照明エリアの画像をセンサで得た時に、両平行光の重なりがある範囲を画像処理で調整することが可能である。
【0033】
また、各反射部材20は、対応する第1平行光ユニット30からの平行光PL1のうち、X方向の端の光を反射しない。当該構成は、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一にする照明装置1を容易且つ確実に構成するために有利である。
また、各反射部材20は、少なくとも1つの第2平行光ユニット40からの平行光PL2のX方向の端の光をZ方向に向かわないように遮断および/又は反射するものである。本実施形態では、各反射部材20の反射面20aと反対の面は黒アルマイト処理等の反射防止処理が施され、平行光PL2のX方向の端の光を主に遮断する。
【0034】
また、本実施形態では、反射部材20のアレイの端に配置されていない各反射部材20は、隣り合う2つの第2平行光ユニット40の平行光PL2のX方向の端の光を遮断および/又は反射する。当該構成は、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一にする照明装置1をより確実に構成するために有利である。
【0035】
また、本実施形態では、複数の第2平行光ユニット40は、X方向に複数の第1平行光ユニット30と交互に配置されている。当該構成は、照明装置1の小型化を図るために有利である。
【0036】
第1平行光ユニット30は、点光源31と、点光源31からの光を平行光とするレンズ部32とを有する。また、第2平行光ユニット40も、点光源41と、点光源41からの光を平行光とするレンズ部42とを有する。当該構成は、照明装置1の小型化を図るために有利である。特に、レンズ部32,42が1枚のフレネルレンズであることによって、照明装置1をより小型化できる。
【0037】
図5に示されるように、第2平行光ユニット40の代わりに、平行光ユニット50が設けられてもよい。この場合、平行光ユニット50は第2平行光ユニットとして機能し、X方向において、複数の平行光ユニット50はそれぞれ第2平行光ユニット40と同じ位置に配置される。また、各平行光ユニット50は、Y方向に平行光PL2を照射するために、点光源31,41と同様の点光源51と、レンズ部32,42と同様のレンズ部52と、筐体33,43と同等の筐体53と、ブロック34,44と同様のブロック54と、移動規制部材35,45と同様の移動規制部材55とを有する。
【0038】
また、各平行光ユニット50は、第2反射部材21を有する。各第2反射部材21は、隣り合う反射部材20の間に配置され、隣り合う反射部材20のX方向の間隔と等しいX方向寸法を有する。各第2反射部材21は、点光源51側の反射面21aによって平行光PL2をZ方向に向かって反射する。平行光PL2のうち、X方向の端の光は反射面21aによって反射されず、又は、反射部材20によって遮断および/又は反射される。このような平行光ユニット50が用いられる場合も、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一にする照明装置1を容易且つ確実に構成することができる。
【0039】
図6に示されるように、第1平行光ユニット30および第2平行光ユニット40に加え、前記平行光ユニット50が設けられてもよい。この場合、平行光ユニット50は第3平行光ユニットとして機能し、X方向において、隣り合う第1平行光ユニット30の間に第2平行光ユニット40および平行光ユニット50が配置される。つまり、この場合でも、X方向において、複数の第2平行光ユニット40および複数の平行光ユニット50は複数の反射部材20と交互に配置される。
【0040】
図6の構造の場合、例えば、第2平行光ユニット40は、隣り合う第1平行光ユニット20のX方向の間隔の略1/2のX方向寸法を有する平行光PL2を照射する。また、平行光ユニット50の第2反射部材21は、隣り合う第1平行光ユニット20のX方向の間隔の略1/2のX方向寸法を有する。そして、第2平行光ユニット40から照明エリアに照射される平行光PL2と平行光ユニット50から照明エリアに照射される平行光は、前記各実施形態と同様にX方向に連なり、両平行光の重なりは無い又は僅かである。
【0041】
また、平行光PL2のX方向の一端の光は反射部材20によって遮断および/又は反射される。平行光PL2のX方向の他端の光は平行光ユニット50の第2反射部材21によって遮断および/又は反射される。
図5および
図6のように構成された場合も、照明エリアの略全体に亘って照度を均一又は略均一にする照明装置1を容易且つ確実に構成することができる。
【0042】
この照明装置1は、
図7に示すように、照明装置1からの光をY方向に収束する集光レンズ部61と、集光レンズ部61からの光をY方向に拡げる再平行化レンズ部62とを有する場合もある。再平行化レンズ部62によって、集光レンズ部61からの光を照射位置に向かって平行光とすることができる。これにより、照明エリアの照度を上げることができる。なお、再平行化レンズ部62を設けない場合もある。この場合、照明装置1からの光が集光レンズ部61によって照明エリアに向かって収束する。
【0043】
集光レンズ部61は、単一又は複数のレンズを有していればよい。再平行化レンズ部62も、単一又は複数のレンズを有していればよい。当該レンズとして、凸レンズ、凸レンズと凹レンズとの組合せ、リニアフレネルレンズ等の周知のレンズを用いることが可能である。
【0044】
図3、
図7等において、照明装置1と照明エリアとの間に、光を主にX方向に拡散する拡散レンズを設けることも可能である。当該拡散レンズとしては、特許第4457100号公報に記載された各種拡散レンズを用いることも可能であり、光を主にX方向い拡散する他の公知の拡散レンズを用いることも可能である。この場合、照明エリアにおける光における平行光成分以外の光を増加することができる。または、照明エリアにおける光の均一性を向上することができる。
【0045】
図3、
図7等において、照明装置1と照射位置との間に、光をX方向に曲げるための屈折レンズ部材(
図8)70が設けられてもよい。例えば、
図3において、カバー11の代わりに屈折レンズ部材70が設けられる。
図7では、例えば、再平行化レンズ部62と照射位置との間に屈折レンズ部材70が設けられる。
図7において、再平行化レンズ部62が設けられない場合は、集光レンズ部61と照射位置との間に屈折レンズ部材70が設けられる。集光レンズ部61、再平行化レンズ部62、および屈折レンズ部材70が筐体10に取付けられていてもよい。この場合、照明装置1が集光レンズ部61、再平行化レンズ部62、および屈折レンズ部材70を備える。
【0046】
屈折レンズ部材70は、例えば
図8に示されるように、X方向に並んだ複数のプリズムレンズを有し、各プリズムレンズはY方向に延びている。屈折レンズ部材70として、Z方向に向かう平行光をX方向に曲げることができる公知の屈折レンズを用いることが可能である。
照明装置1からの光に平行光成分が多く含まれているため、屈折レンズ部材70を通過した光の向かう方向が一定となる。当該構成は、対象物に広範囲に亘って特定の方向から光を当てる用途において極めて有用である。
【0047】
なお、点光源31,41,51は可視光を射出するものであってもよく、紫外光を射出するものであってもよく、赤外光を射出するものであってもよい。
【0048】
照明装置1からの光に平行光成分が多いので、照明装置1を光硬化性プラスチック等の露光用に用いる場合、露光の効率の向上および露光の均一性の向上をより高いレベルで実現することが可能となる。
また、照明装置1を検査に用いる場合、照明装置1からの光が、検査対象物で反射した後、又は、検査対象物を透過した後、検査用のセンサに届く。この場合も、照明装置1からの光に平行光成分が多いので、センサにおいて検出される光の量が多くなる。これは、検査の高速化、検査の精度向上等を図る上で有利である。
【0049】
また、
図7に示されるように、当該照明システムに、検査対象物からの光をセンサ82に向かってX方向に収束するためのレンズ81が設けられてもよい。照明エリアは検査対象物の表面、検査対象物が存在する面等であり、レンズ81は照明エリアの長手方向に長手を有する。照明装置1からの光が検査対象物を透過する場合も、照明エリアとセンサ82との間にレンズ81を設けることが可能である。照明装置1は平行光成分が多いので、レンズ81によって、照明装置1よりもX方向の寸法が小さなセンサ82に光を効果的に収束することが可能となる。
【0050】
なお、
図5の実施形態において、反射面20a,21aが、平行光PL1,PL2をY方向に少し拡げる凸面であってもよく、平行光PL1,PL2をY方向に収束する凹面であってもよい。この場合でも、反射面20a,21aによって反射された光はY方向から見ると平行光である。このような光もX方向について見ると平行光である。このため、前記各実施形態と同様に、照明エリアの略全体において照度を均一又は略均一にすることが可能である。第1平行光ユニット30および平行光ユニット50のレンズ部32,52が、光をZ方向又はY方向に少し拡げる、又は、収束してもよい。
【0051】
なお、
図9に示されるように、前記各実施形態において、複数の反射部材20が1枚の板Pの一部であってもよい。
また、
図10に示されるように、各反射部材20が三角柱形状を有していてもよい。この場合でも前述と同様の作用効果を奏するが、照明エリアにおける平行光PL1と平行光PL2の重なりの調整を容易にする上で、各反射部材20が板状である方が好ましい。
【0052】
また、
図3等において、筐体10をY方向およびZ方向に大きくし、筐体10の中に点光源31および点光源41を配置してもよい。また、レンズ部32に対し点光源31の位置を調整する機構およびレンズ部42に対して点光源41の位置を調整する機構を省くことも可能である。
また、第1平行光ユニット30の光軸L1等の位置に局部的に光量が多い部分ができ、第2平行光ユニット40の光軸L2等の位置に局部的に光量が多い部分ができる場合がある。この場合、照明エリアに幅があるので、光量が多い部分を避けてセンサ等で観察すると、センサで見る範囲の光量ムラが無くなる。
【0053】
なお、
図11に示されるように、第1平行光ユニット30が、点光源31からの光をリフレクタ37によって平行光PL1になるように反射してもよい。また、第2平行光ユニット40も、点光源41からの光をリフレクタ37によって平行光PL2になるように反射してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…照明装置、10…筐体、10a…開口部、20…反射部材、20a…反射面、21…第2反射部材、21a…反射面、30…第1平行光ユニット、31…点光源、32…レンズ部、33…筐体、34…ブロック、35…移動規制部材、40…第1平行光ユニット、41…点光源、42…レンズ部、43…筐体、44…ブロック、45…移動規制部材、61…集光レンズ部、62…再平行化レンズ部、70…屈折レンズ部材、81…レンズ、82…センサ