(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】シェービング剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240605BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240605BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240605BHJP
A61Q 9/02 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/86
A61K8/44
A61Q9/02
(21)【出願番号】P 2019165386
(22)【出願日】2019-09-11
【審査請求日】2022-06-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 和成
(72)【発明者】
【氏名】平山 貴寛
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-239688(JP,A)
【文献】特表2005-507945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0013633(US,A1)
【文献】特表2012-524039(JP,A)
【文献】No More Cuts. A (Bathroom) Cabinet Promise Shave Gel,ID 1678670,Mintel GNPD[online],2011年11月,[検索日2023.06.30],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Pre Shave Deep Cleansing Scrub,ID 1813961,Mintel GNPD[online],2012年6月,[検索日2023.06.30],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノニオン性界面活性剤(A)と、アニオン性界面活性剤(B)と、セルロース誘導体(C)と、
水と、を含み、
前記(A)及び前記(B)の含有量の合計が、5.0~30.0質量%であり、
前記(B)の含有量に対する前記(A)の含有量の比(質量基準)が1/3以上
3以下であり、
前記(A)が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種であり、
前記(A)の含有量は、2.0~12.0質量%であり、
前記(B)は、カルボン酸系界面活性剤を含み、
前記カルボン酸系界面活性剤は、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、及びヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、
前記(B)からは脂肪酸石鹸が除かれ、
前記(B)の含有量は、4.0~20.0質量%であり、
前記(C)は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースから選ばれる少なくとも1種であり、
前記(C)の含有量は、0.5~3.0質量%であり、
弱酸性であり、
ウルトラマリンを含むものを除く、シェービング剤組成物。
【請求項2】
前記(C)が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項
1に記載のシェービング剤組成物。
【請求項3】
前記(C)の含有量が、0.5~5質量%である請求項1
又は2に記載のシェービング剤組成物。
【請求項4】
ノニオン性界面活性剤(A)と、アニオン性界面活性剤(B)と、セルロース誘導体(C)と、
水と、を含み、
前記(A)及び前記(B)の含有量の合計が、5.0~30.0質量%であり、
前記(B)の含有量に対する前記(A)の含有量の比(質量基準)が1/3以上
3以下であり、
前記(A)が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種であり、
前記(A)の含有量は、2.0~12.0質量%であり、
前記(B)は、カルボン酸系界面活性剤を含み、
前記カルボン酸系界面活性剤は、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、及びヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、
前記(B)からは脂肪酸石鹸、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムが除かれ、
前記(B)の含有量は、4.0~20.0質量%であり、
前記(C)は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースから選ばれる少なくとも1種であり、
前記(C)の含有量は、0.5~3.0質量%であり、
弱酸性であることを特徴とするシェービング剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
髭や体毛を剃る際には、シェービング剤が一般に使用される。従来、シェービング剤には、起泡力や泡質等に優れる脂肪酸石鹸が多用されている。しかし、脂肪酸石鹸を基剤とするシェービング剤はアルカリ性である。このため、上記シェービング剤は、本来弱酸性である肌への刺激が強く、洗い流し後にひりつき感やつっぱり感が残る等の問題を有している。
【0003】
上記問題に鑑み、非石鹸系のアニオン性界面活性剤を脂肪酸石鹸の代わりに使用することが提案されている。特許文献1~3及び特許文献4には、脂肪酸石鹸を代替するアニオン性界面活性剤として、それぞれ、リン酸エステル系界面活性剤及びアミノ酸系界面活性剤が提案されている。また、シェービング剤ではないが、アシルアルキルタウリン塩型アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤とを組み合わせた低刺激性の洗浄剤組成物が提案されている(特許文献5,6)。
【0004】
その他、剃刀の滑り性の向上を目的として、界面活性剤を基剤としない非発泡性のゲル状シェービング剤が提案されている(特許文献7~9)。また、シェービング機能以外の機能(洗浄機能)にも着目した、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び水溶性多糖類を含むシェービング剤が提案されている(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2799777号
【文献】特開平7-316031号公報
【文献】特開平7-316547号公報
【文献】特開2018-131542号公報
【文献】特許第4830305号
【文献】特許第3178085号
【文献】特開平9-132516号公報
【文献】特許第4148546号
【文献】特開2005-206464号公報
【文献】特開2006-96754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アニオン性界面活性剤を含む従来のシェービング剤において、肌への刺激性の低減は未だ不十分である。また、シェービング剤には、特にヘアサロンや医療等の業務での使用において、ボリュームのある泡を速やかに立てることができる起泡力(以下、「良好な気泡力」と記載)と共に、濃密かつ髭や体毛を剃りやすい泡質の泡を立てることができる発泡性(以下、「良質な発泡性」と記載)が求められている。更に、シェービング機能以外の機能についても、単なる洗浄機能ではなく、日常的に繰り返し使用した場合にも肌の状態を良好に保つ肌清浄機能が求められている。
【0007】
本発明は、アニオン性界面活性剤を含みながらも、肌への刺激性の更なる低減が達成され、良好な起泡力及び良質な発泡性を有し、更に肌清浄機能をも備えるシェービング剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
ノニオン性界面活性剤(A)と、アニオン性界面活性剤(B)と、セルロース誘導体(C)と、を含み、
前記(A)及び前記(B)の含有量の合計が、5.0~30.0質量%であり、
前記(B)の含有量に対する前記(A)の含有量の比(質量基準)が1/3以上であり、
弱酸性であることを特徴とするシェービング剤組成物、
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アニオン性界面活性剤を含みながらも、肌への刺激性の更なる低減が達成され、良好な起泡力及び良質な発泡性を有し、更に肌清浄機能をも備えるシェービング剤組成物が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシェービング剤組成物は、ノニオン性界面活性剤(A)と、アニオン性界面活性剤(B)と、セルロース誘導体(C)とを含む。
【0011】
ノニオン性界面活性剤(A)及びアニオン性界面活性剤(B)の含有量の合計は、5.0~30.0質量%である。合計が5.0質量%未満では、起泡力及び肌清浄機能が不十分となり、良質な発泡性の達成も難しい。合計が30.0質量%を超えると、肌への刺激性が増大すると共に、肌清浄機能の達成が難しくなる。合計の下限は、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上、9.0質量%以上、10.0質量%以上、更には11.0質量%以上であってもよい。合計の上限は、27.5質量%以下、25.0質量%以下、22.5質量%以下、20.0質量%以下、18.0質量%以下、更には15.0質量%以下であってもよい。
【0012】
アニオン性界面活性剤(B)の含有量CBに対するノニオン性界面活性剤(A)の含有量CAの比CA/CB(質量基準)は、1/3以上である。比CA/CBが1/3未満では、弱酸性であったとしても肌への刺激性の更なる低減が難しい。また、肌清浄機能の達成が難しくなる。比CA/CBは、1/2.75以上、1/2.5以上、更には1/2.25以上であってもよい。比CA/CBの上限は、好ましくは4以下であり、3以下、2以下、1.5以下、1以下、1/1.33以下、更には1/1.5以下であってもよい。アニオン性界面活性剤は、通常、ノニオン性界面活性剤に比べて高い起泡力を有する。比CA/CBが過度に大きくなると、起泡力が低下する傾向を示す。また、使用後にべたつきを感じやすい。
【0013】
本発明の組成物は、弱酸性である。本発明の組成物のpHは7.0未満であり、6.9以下、更には6.8以下であってもよい。pHが7.0以上になる、特に7.0を超える(アルカリ性になる)と、洗浄力及び起泡力は向上するものの、肌への刺激性の更なる低減及び肌清浄機能の達成が難しくなる。pHの下限は、好ましくは、3.0以上であり、4.0以上、5.0以上、5.5以上、更には6.0以上であってもよい。pHが過度に小さくなると、起泡力が低下すると共に発泡性の質が低下する傾向を示す。また、組成物としての安定性が低下する傾向にある。
【0014】
ノニオン性界面活性剤(A)の例は、ポリグリセリン系界面活性剤及び糖系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。ただし、ノニオン性界面活性剤(A)は、上記例に限定されない。ノニオン性界面活性剤(A)は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種であってもよい。この場合、良好な起泡力及び肌清浄機能の達成がより確実となる。
【0015】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリン系界面活性剤の1種である。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、特に限定されず、2以上20以下であってもよく、6以上10以下であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、6以上30以下であってもよく、8以上22以下であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの例は、ラウリン酸デカグリセリル(ラウリン酸ポリグリセリル-10)、ステアリン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、ラウリン酸ペンタグリセリル、ステアリン酸ペンタグリセリル、イソステアリン酸ペンタグリセリル、オレイン酸ペンタグリセリル、ラウリン酸オクタグリセリル、ミリスチン酸オクタグリセリル、ミリスチン酸ペンタグリセリル及びミリスチン酸デカグリセリルである。
【0016】
ポリグリセリンアルキルエーテルは、ポリグリセリン系界面活性剤の1種である。ポリグリセリンアルキルエーテルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、特に限定されず、2以上100以下であってもよく、4以上40以下であってもよい。アルキル基の炭素数は、特に限定されない。アルキル基の炭素数は、6以上30以下であってもよく、8以上22以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。ポリグリセリンアルキルエーテルの例は、ジグリセリンモノオクチルエーテル、ジグリセリンモノデシルエーテル、ジグリセリンモノドデシルエーテル、ジグリセリンモノテトラデシルエーテル、トリグリセリンモノオクチルエーテル、トリグリセリンモノデシルエーテル、トリグリセリンモノドデシルエーテル、トリグリセリンモノテトラデシルエーテル、テトラグリセリンモノオクチルエーテル、テトラグリセリンモノデシルエーテル、テトラグリセリンモノドデシルエーテル、テトラグリセリンモノテトラデシルエーテル、ヘキサグリセリンモノオクチルエーテル、ヘキサグリセリンモノデシルエーテル、ヘキサグリセリンモノドデシルエーテル、ヘキサグリセリンモノテトラデシルエーテル、オクタグリセリンモノオクチルエーテル、オクタグリセリンモノデシルエーテル、オクタグリセリンモノドデシルエーテル、オクタグリセリンモノテトラデシルエーテル、デカグリセリンモノオクチルエーテル、デカグリセリンモノデシルエーテル、デカグリセリンモノドデシルエーテル、デカグリセリンモノテトラデシルエーテル、エイコサグリセリンモノオクチルエーテル、エイコサグリセリンモノデシルエーテル、エイコサグリセリンモノドデシルエーテル(ポリグリセリル-20ラウリルエーテル)及びエイコサグリセリンモノテトラデシルエーテルである。
【0017】
アルキルグルコシドは、糖系界面活性剤の1種である。アルキルグルコシドを構成するアルキル基の炭素数は、特に限定されず、6以上30以下であってもよく、8以上22以下であってもよい。アルキルグルコシドの例は、ラウリルグルコシド、カプリルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、ミリスチルグルコシド、デシルグルコシド、セトステアリルグルコシド、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド及びヤシ油アルキルグルコシドである。
【0018】
本発明の組成物は、2種以上のノニオン性界面活性剤(A)を含んでいてもよい。
【0019】
ノニオン性界面活性剤(A)の含有量は、例えば、1.5~20.0質量%である。含有量の上限は、15.0質量%以下、12.0質量%以下、10.0質量%以下、更には8.0質量%以下であってもよい。含有量の下限は、2.0質量%以上、2.5質量%以上、更には3.0質量%以上であってもよい。ノニオン性界面活性剤(A)の含有量が過度に大きくなると、使用後にべたつきを感じやすい。
【0020】
アニオン性界面活性剤(B)の例は、カルボン酸系界面活性剤である。ただし、アニオン性界面活性剤(B)は、上記例に限定されない。カルボン酸系界面活性剤は、アニオン性界面活性剤のなかでも肌への刺激性が低い。
【0021】
カルボン酸系界面活性剤の例は、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩及びヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩である。塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩である。N-アシルアミノ酸塩を構成するアミノ酸は、例えば、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン酸、アラニンである。N-アシル-N-アルキルアミノ酸を構成するアミノ酸は、例えば、グルタミン酸、グリシン、アラニンである。N-アシルアミノ酸塩及びN-アシル-N-アルキルアミノ酸塩を構成するアシル基は、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ヤシ油脂肪酸基である。N-アシル-N-アルキルアミノ酸を構成するアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。N-アシルアミノ酸塩の例は、ココイルグリシン、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸及びココイルグルタミン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びトリエタノールアミン塩である。N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩の例は、ラウロイルイソプロピルグリシン、ラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン及びラウロイルメチルアラニンのナトリウム塩、カリウム塩及びトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルカルボン酸塩の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸(例えば、ラウレス-4酢酸)及びトリデセスカルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩である。ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩の例は、ラウリルグリコールカルボン酸及びトリデシルグリコールカルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩である。
【0022】
本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤(B)として、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩を含んでいてもよい。
【0023】
本発明の組成物は、2種以上のアニオン性界面活性剤(B)を含んでいてもよい。本発明の組成物は、2種以上のアニオン性界面活性剤(B)として、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩と、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種とを含んでいてもよく、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩とN-アシルアミノ酸塩とを含んでいてもよい。
【0024】
アニオン性界面活性剤(B)からは、脂肪酸石鹸が除かれていてもよい。脂肪酸石鹸は、脂肪酸とアルカリとの中和により形成され、通常、アルカリ性である。アニオン性界面活性剤(B)として脂肪酸石鹸を含む場合、弱酸性の組成物とすることが難しくなる傾向にある。
【0025】
アニオン性界面活性剤(B)の含有量は、例えば、4.0~25.0質量%である。含有量の上限は、20.0質量%以下、15.0質量%以下、12.0質量%以下、更には10.0質量%以下であってもよい。含有量の下限は、5.0質量%以上、6.0質量%以上、更には7.0質量%以上であってもよい。アニオン性界面活性剤(B)の含有量が過度に大きくなると、肌への刺激性が増す傾向にある。
【0026】
セルロース誘導体(C)の例は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースから選ばれる少なくとも1種である。セルロース誘導体(C)を構成するアルキル基の炭素数は、1~5であってもよく、1~3であってもよい。アルキルセルロースの例は、メチルセルロース及びエチルセルロースである。ヒドロキシアルキルセルロースの例は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである。ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。カルボキシアルキルセルロースの例は、カルボキシメチルセルロースである。セルロース誘導体(C)は、好ましくは、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースであり、より好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。この場合、良質な発泡性をより確実に達成できる。
【0027】
セルロース誘導体(C)は、常温(25℃)の水に溶解する水溶性を有していてもよい。
【0028】
セルロース誘導体(C)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、5万~50万であり、10万~45万、更には20万~40万であってもよい。Mwがこれらの範囲にある場合、良好な起泡力及び良質な発泡性の達成がより確実となる。Mwは、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により評価できる。
【0029】
本発明の組成物は、2種以上のセルロース誘導体(C)を含んでいてもよい。
【0030】
セルロース誘導体(C)の含有量は、例えば、0.5~5.0質量%である。含有量の上限は、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.5質量%以下、2.0質量%以下、更には1.5質量%以下であってもよい。含有量の下限は、0.6質量%以上、0.75質量%以上、更には0.8質量%以上であってもよい。セルロース誘導体(C)の含有量が過度に小さくなると、発泡性の質が低下する傾向にある。セルロース誘導体(C)の含有量が過度に大きくなると、組成物の粘度が増大して、起泡力が低下する傾向にある。
【0031】
本発明の組成物は、通常、水を含む。ノニオン性界面活性剤(A)、アニオン性界面活性剤(B)及びセルロース誘導体(C)を除く残部の主成分が水であってもよい。主成分は、最も含有量の大きい成分を意味する。主成分の含有量は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、更には99質量%以上であってもよい。
【0032】
本発明の組成物は、ノニオン性界面活性剤(A)、アニオン性界面活性剤(B)及びセルロース誘導体(C)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、好ましくは、化粧料、医薬部外品又は医薬品等に一般的に使用される成分である。他の成分の例は、(A)及び(B)以外の界面活性剤、並びに多価アルコール、高級アルコール、カチオン性高分子、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、保湿剤、湿潤剤、抗菌・殺菌剤、消炎剤、ビタミン、アミノ酸、粘度調整剤、冷感剤、温感剤、着色剤及び香料等の添加剤である。ただし、他の成分及び添加剤は、上記例に限定されない。本発明の組成物は、2種以上の他の成分を含んでいてもよい。他の成分を含む場合、その含有量の合計は、例えば、5.0質量%以下であり、4.0質量%以下、更には3.0質量%以下であってもよい。
【0033】
本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を実質的に含んでいなくてもよく、含んでいなくてもよい。例えば、両性界面活性剤が含まれる場合には、組成物としての安定性が低下したり、使用後にべたつきを感じる傾向にある。本明細書において実質的に含まないとは、含有量が、例えば、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であることを意味する。
【0034】
本発明の組成物の剤型は、例えば、溶液状、クリーム状、乳液状、ジェル状である。ただし、剤型は、上記例に限定されない。本発明の組成物は、公知の手法により、各剤型とすることができる。
【0035】
本発明の組成物は、手、シェービングブラシ、ラザーミキサー等で泡を立てることができる発泡性の組成物である。本発明の組成物は、例えば、発泡(ラザリング)させた後、人間又は人間以外の動物の体におけるシェービングの実施箇所に塗布して使用できる。発泡及び/又はシェービングは、理容師等によってなされてもよい。シェービングの対象は、典型的には、髭及び脚や腋等にある体毛である。また、洗顔やボディウォッシュに使用することも可能である。ただし、本発明の組成物の使用方法は、上記例に限定されない。
【0036】
本発明の組成物は、各成分を所定の含有量で混合する常法により製造できる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0038】
[組成物の調製]
以下の表1~3に示す組成を有するシェービング剤組成物を、各材料と精製水とを混合して調製した。表に示された各成分の含有量の単位は質量%であり、比CA/CBは質量基準である。組成物の剤型は、溶液状とした。また、調製した組成物のpHは、いずれも、pH調整剤の添加により6.5とした。
【0039】
[評価]
調製した組成物を以下のように評価した。
【0040】
(泡立ち、泡の濃密さ、髭の剃りやすさ、肌のひりつき感のなさ)
専門評価者20名が、濡らしたシェービングブラシを用いて組成物を泡立てると共に、得られた泡を用いて髭を剃ることで、泡立ち(ボリュームのある泡が速やかに得られるか)、泡の濃密さ(もっちり感のある濃密な泡が得られるか)、髭の剃りやすさ、及び剃毛時の肌のひりつき感のなさを評価した。泡立ちは起泡力に、泡の濃密さ及び髭の剃りやすさは発泡性の質に、ひりつき感のなさは肌への刺激性に、それぞれ対応する。評価は、5点(大変良い)、4点(良い)、3点(ふつう)、2点(あまり良くない)、1点(悪い)の5段階とし、各評価項目について上記20名の平均が4.0点以上の場合を◎(優)、3.0点以上4.0点未満の場合を〇(良)、2.0点以上3.0点未満の場合を△(可)、2.0点未満の場合を×(不可)とした。
【0041】
(肌のつっぱり感のなさ、肌のツルツル感)
専門評価者20名が、自らの顔を軽く素洗いした後、濡れた手を用いて組成物を泡立て、得られた泡による洗顔を行った。その後、泡を十分に洗い流し、タオルで軽く水気をふき取った後、肌のつっぱり感のなさと肌のツルツル感とを評価した。つっぱり感のなさは肌への刺激性に、肌のツルツル感は肌清浄機能に、それぞれ対応する。評価は、上記と同様に、◎、〇、△及び×を判定して実施した。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
表1~3に示すように、各実施例では、比CA/CBが1/3未満である比較例1に比べて、肌のひりつき感のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び肌のツルツル感が向上した。比CA/CBのコントロールにより、肌への刺激性の更なる低減及び肌清浄機能が達成できたことが確認された。また、各実施例では、アニオン性界面活性剤(B)を含まない比較例2に比べて、泡立ち、泡の濃密さ及び肌のツルツル感が向上した。セルロース誘導体(C)を含まない比較例3に比べて、泡の濃密さ、髭の剃りやすさ及び肌のひりつき感のなさが向上した。セルロース誘導体(C)を含まず、多糖類系ポリマーを含む比較例4に比べて、肌のツルツル感が向上した。
【0046】
上記とは別に、実施例1と同じ成分及び含有量でノニオン性界面活性剤(A)、アニオン性界面活性剤(B)及びセルロース誘導体(C)を含むが、pH調整剤の添加量の調整により弱アルカリ性(pH=7.5)とした比較例5の組成物を調製した。当該組成物に対して上記評価を実施したところ、肌のひりつき感のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び肌のツルツル感が×(不可)となった。また、実施例1と同じ成分及び含有量でノニオン性界面活性剤(A)、アニオン性界面活性剤(B)及びセルロース誘導体(C)を含むが、pH調整剤の添加量の調整により酸性(pH=2.5)とした比較例6の組成物を調製した。当該組成物に対して上記評価を実施したところ、泡立ち、泡の濃密さ及び髭の剃りやすさが×(不可)となった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のシェービング剤組成物は、例えば、髭や体毛のシェービングに使用できると共に、日々の洗顔やボディウォッシュにも使用できる。