(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】アイウェア
(51)【国際特許分類】
G02C 5/14 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
G02C5/14
(21)【出願番号】P 2020166059
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507399276
【氏名又は名称】有限会社レベルコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩一
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204008(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0097360(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0011339(US,A1)
【文献】特開2015-038608(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1972667(KR,B1)
【文献】特開2020-016719(JP,A)
【文献】特開2019-207294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0010254(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイウェアであって、
前記アイウェアが使用者に装着された装着状態において、可視光を透過可能な板状の可視光透過部材を前記使用者の目の前方に保持可能に構成された保持部と、
前記装着状態において前記使用者の側頭部に沿うように、内側に向かって変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成された腕部と、
前記装着状態において、前記使用者の鼻及び頬の少なくとも一方に接触するように構成された支持部と、
を備え、
前記腕部は、前記保持部が前記可視光透過部材を保持している保持状態における前記可視光透過部材の正面視にて、前記保持部と反対側が高くなるように傾斜して
おり、
前記支持部は、前記装着状態において前記使用者の右頬及び左頬のそれぞれに接触するように構成された2つの接触部を有し、
前記アイウェアは、前記保持状態において、前記2つの接触部のみで水平面上に自立可能に構成されている、アイウェア。
【請求項2】
請求項1に記載のアイウェアであって、
前記腕部は、前記装着状態において、前記使用者のこめかみの位置又はこめかみよりも上方の位置を通るように構成されている、アイウェア。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアイウェアであって、
前記腕部は、前記装着状態において前記使用者の耳よりも前記保持部側に位置する部分である前腕部を有し、
前記前腕部は、前記正面視における視線方向及び左右方向のいずれにも平行な面に対する傾斜角度が17度以上となるように構成されている、アイウェア。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載のアイウェアであって、
前記支持部は、前記装着状態において前記使用者の頬に接触し、且つ、前記使用者の鼻に接触しないように構成されている、アイウェア。
【請求項5】
請求項1に記載のアイウェアであって、
前記腕部は、
前記装着状態において、前記使用者の側頭部のみに接触し、且つ、前記使用者のこめかみの位置又はこめかみよりも上方の位置を通るように構成され、
前記装着状態において前記使用者の耳よりも前記保持部側に位置する部分である前腕部と、前記装着状態において前記使用者の耳の上端よりも上方の位置であって前記上端と離間した位置に接触するように構成された上腕部と、を有し、
前記前腕部は、前記正面視における視線方向及び左右方向のいずれにも平行な面に対する傾斜角度が17度以上となるように構成され、
前記上腕部は、任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成され、
前記
2つの接触部は、
前記装着状態において前記使用者の
右頬及び左頬
のそれぞれにおける頬骨が位置する部分のみに接触するように構成さ
れ、
更に、任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成され、
前記アイウェアは、前記腕部及び前記
2つの接触部以外に、前記装着状態において前記使用者に接触するように構成された部位を備えない、アイウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アイウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者に装着された状態において、可視光を透過可能な板状の部材を使用者の目の前方に保持可能な保持部と、使用者の耳に載り、使用者の側頭部に接触している腕部と、を備えたアイウェアが知られている。
【0003】
なお、このようなアイウェアは周知であり、公知・公用の技術に該当するため、ここでは特に先行技術文献を開示しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばゲーマーやオペレーター等のヘッドホンの使用者にとっては、アイウェアを装着した状態でヘッドホンを装着したい状況が生じ得る。しかしながら、上述したようなアイウェアでは、腕部が使用者の耳に載る構成であるため、アイウェアがヘッドホンと併せて装着されると両者が相互に干渉してしまい、使用者が不快に感じる場合があった。
【0005】
また、このような課題は、ヘッドホンのような音を発する機能を有するものに限られず、使用者の耳を覆うイヤーパッドを備えるもの、例えばイヤーマフ等についても同様に生じ得る。
【0006】
本開示の一局面は、ヘッドホン等と併せて装着される場合でも使用者が快適に装着することができるアイウェアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、アイウェアであって、保持部と、腕部と、支持部と、を備える。保持部は、アイウェアが使用者に装着された装着状態において、可視光を透過可能な板状の可視光透過部材を使用者の目の前方に保持可能に構成される。腕部は、装着状態において使用者の側頭部に沿うように、内側に向かって変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成される。支持部は、装着状態において、使用者の鼻及び頬の少なくとも一方に接触するように構成される。腕部は、保持部が可視光透過部材を保持している保持状態における可視光透過部材の正面視にて、保持部と反対側が高くなるように傾斜している。
【0008】
このような構成によれば、アイウェアがヘッドホン等と併せて装着される場合でも、使用者がアイウェアを快適に装着することができる。
本開示の一態様では、腕部は、装着状態において、使用者のこめかみの位置又はこめかみよりも上方の位置を通るように構成されてもよい。
【0009】
このような構成によれば、アイウェアがヘッドホン等と併せて装着された場合に、使用者がアイウェアをより快適に装着することができる。
本開示の一態様では、腕部は、装着状態において使用者の耳よりも保持部側に位置する部分である前腕部を有してもよい。前腕部は、保持状態における可視光透過部材の正面視における視線方向及び左右方向のいずれにも平行な面に対する傾斜角度が17度以上となるように構成されてもよい。
【0010】
このような構成によれば、ヘッドホン等のイヤーパッドが使用者の耳よりも一回り以上大きく、使用者の耳を覆うものであっても、アイウェアとヘッドホン等とが併せて装着された場合に、使用者がアイウェアを快適に装着することができる。
【0011】
本開示の一態様では、支持部は、装着状態において使用者の右頬及び左頬のそれぞれに接触するように構成された2つの接触部を有してもよい。アイウェアは、保持状態において、2つの接触部のみで水平面上に自立可能に構成されてもよい。
【0012】
このような構成によれば、装着状態におけるアイウェアの安定性を向上させることができる。
本開示の一態様では、支持部は、装着状態において使用者の頬に接触し、且つ、使用者の鼻に接触しないように構成されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、使用者がアイウェアをより快適に装着することができる。
本開示の一態様では、腕部は、装着状態において、使用者の側頭部のみに接触し、且つ、使用者のこめかみの位置又はこめかみよりも上方の位置を通るように構成されてもよい。腕部は、前腕部と、上腕部と、を有してもよい。前腕部は、装着状態において使用者の耳よりも保持部側に位置する部分である。上腕部は、装着状態において使用者の耳の上端よりも上方の位置であって使用者の耳の上端と離間した位置に接触するように構成される。前腕部は、保持状態における可視光透過部材の正面視における視線方向及び左右方向のいずれにも平行な面に対する傾斜角度が17度以上となるように構成されてもよい。上腕部は、任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成されてもよい。支持部は、装着状態において使用者の頬における頬骨が位置する部分のみに接触するように構成された接触部を有してもよい。接触部は、任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成されてもよい。アイウェアは、腕部及び接触部以外に、装着状態において使用者に接触するように構成された部位を備えなくてもよい。
【0014】
このような構成によれば、ヘッドホン等のイヤーパッドが使用者の耳よりも一回り以上大きく、使用者の耳を覆うものであっても、アイウェアとヘッドホン等とが併せて装着された場合に、使用者がアイウェアをより快適に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】使用者がアイウェアを装着した状態を示す模式図である。
【
図5】アイウェアの側面視にて、アイウェアの内部に設けられた第1芯部及び第2芯部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1は、アイウェア1の正面図である。アイウェア1の正面とは、アイウェア1が使用者に装着された状態である装着状態において、使用者の前面側から見たアイウェア1の一面をいう。使用者の前面側は、後述するレンズ2の外面側に該当する。以下の説明及び図中における上下、左右、前後それぞれの方向は、装着状態における使用者の目線を基準とする方向である。
【0017】
本実施形態におけるアイウェア1は、使用者がeスポーツを行う際に用いられるもの、すなわちeスポーツ用である。eスポーツとは、Electronics Sportsの略称であって、コンピュータゲーム、ビデオゲーム等による対戦をスポーツ競技として捉えた名称である。eスポーツでは、多くの場合、ヘッドホン、又はヘッドホンとマイクとが一体化したヘッドセットが着用される。
【0018】
図1に示すように、アイウェア1は、左右対称の形状を有する。アイウェア1は、レンズ2と、フレーム3と、を備える。
レンズ2は、可視光を透過可能な板状の部材である。レンズ2は、可視光透過部材の一例に相当する。
【0019】
本実施形態におけるレンズ2は、使用者の右目に対応する右レンズ2aと、使用者の左目に対応する左レンズ2bと、を備える。つまり、本実施形態におけるアイウェア1は、いわゆる二眼型である。右レンズ2a及び左レンズ2bは、いずれも角丸四角形の板状であり、互いに左右対称の形状である。右レンズ2a及び左レンズ2bは、可視光を透過可能に構成されている。
【0020】
また、右レンズ2a及び左レンズ2bは、ブルーライトの透過率を低下させるように構成されている。ブルーライトとは、波長が380nm以上500nm以下の青色光である。すなわち、波長が380nm以上400nm未満の紫外光と、波長が400nm以上500nm以下の可視光と、を合わせてブルーライトという。ブルーライトは、可視光の中で最も波長が短く、エネルギーが大きい。このため、ブルーライトは、角膜や水晶体で完全には吸収されずに網膜まで到達し、眼に大きな負担をかけるといわれている。コンピュータゲーム等を行う際にも用いられるLEDディスプレイでは、ブルーライトの発光量が比較的多いことが知られている。
【0021】
フレーム3は、
図1及び
図2に示すように、保持部31と、2つの腕部32a,32bと、2つの接触部33a,33bと、を備える。
保持部31は、剛性を有する樹脂製、例えばプラスチック製である。保持部31は、装着状態において、使用者の前方に位置し、レンズ2を使用者の目の前方に保持可能に構成されている。本実施形態では、保持部31は、右レンズ2a及び左レンズ2bそれぞれの上部を支持することにより、装着状態において、使用者の右目及び左目それぞれの前方に右レンズ2a及び左レンズ2bのそれぞれを保持する。上述したとおり、右レンズ2a及び左レンズ2bは、ブルーライトの透過率を低下させる。このため、装着状態において、右レンズ2a及び左レンズ2bが使用者の右目及び左目それぞれの前方に保持されることにより、使用者の眼に対するブルーライトの暴露量を低減させることができる。
【0022】
2つの腕部32a,32bは、装着状態における使用者の後方に向かって保持部31から伸びる細長い部材である。本実施形態における2つの腕部32a,32bは、互いに左右対称の形状であり、機能も互いに同様であるため、以下では腕部32bについて説明する。
【0023】
図3及び
図4に示すように、本実施形態における腕部32bは、アイウェア1の側面視にて直線状の形状を有する。
図4は、使用者がアイウェア1を装着した状態を、使用者の左手側から側面視した模式図である。
【0024】
腕部32bは、装着状態において、使用者の側頭部に接触するように構成されている。本実施形態における腕部32bは、使用者の側頭部のみに接触し、使用者の頭部におけるその他の部分、具体的には使用者の頭頂部や前頭部、後頭部には接触しないように構成されている。
【0025】
また、腕部32bは、装着状態において、使用者のこめかみの位置又はこめかみよりも上方の位置を通るように構成されている。こめかみとは、目尻の外側に位置する部分であって、頭蓋骨がへこんでいる部分を指す。
図4では、使用者のこめかみの位置が破線Mで囲われた範囲として示されている。また、腕部32bが特定の位置を通ることとは、装着状態におけるアイウェア1の側面視において、腕部32bが当該特定の位置と重なる部分を有することを意味する。
【0026】
図3に示すように、腕部32bは、保持部31がレンズ2を保持している状態である保持状態におけるレンズ2の正面視にて、保持部31と反対側が高くなるように傾斜している。保持状態におけるレンズ2の正面視とは、保持状態におけるレンズ2の平行投影面積が最大となる投影方向に沿って、レンズ2の外面側から保持状態におけるレンズ2を見ることをいう。レンズ2の外面とは、レンズ2が有する2つの表面のうち、装着状態において使用者からの距離が遠い表面を指す。本実施形態のようにレンズ2が複数のレンズにより構成されている場合、上記の投影方向を定めるにあたっては、保持状態における複数のレンズをまとめて1つのレンズとして取り扱う。すなわち、複数のレンズそれぞれに対して上記の投影方向が定められるのではなく、複数のレンズを1つのレンズとして取り扱った場合における上記の投影方向が1つ定められる。
図3では、本実施形態における上記の投影方向が一点鎖線Xで示されている。
【0027】
図3及び
図4に示すように、腕部32bは、装着状態において、使用者の耳よりも保持部31側に位置する部分である前腕部321bと、使用者の耳の上端よりも上方の位置であって使用者の耳の上端と離間した位置に接触するように構成された上腕部322bと、を有する。
【0028】
ここで、保持状態におけるレンズ2の正面視における視線方向及び左右方向のいずれにも平行な面を基準面とする。保持状態におけるレンズ2の正面視における視線方向とは、上述した、保持状態におけるレンズ2の平行投影面積が最大となる投影方向とも言い換えられる。保持状態におけるレンズ2の左右方向とは、装着状態における使用者の目線を基準した左右方向、若しくは装着状態におけるレンズ2の水平方向とも言い換えられる。
図3において、上記の基準面は、一点鎖線Xを面内方向とする、紙面に垂直な平面である。
【0029】
例えばアイウェア1がヘッドホン又はヘッドセットと併せて装着される場合に腕部32bとヘッドホン等との干渉を回避する観点からは、基準面に対する前腕部321bの傾斜角度θ1は、17度以上であることが好ましく、より好ましくは19度以上である。基準面に対する前腕部321bの傾斜角度とは、アイウェア1の側面視にて、基準面と前腕部321bの長手方向の軸とが成す角度とも言い換えられる。
図3において、前腕部321bの長手方向の軸は、一点鎖線Yで示されている。なお、ここでいうヘッドホンとは、イヤーパッドが使用者の耳よりも一回り以上大きく、使用者の耳を覆うタイプ、いわゆるオーバーイヤータイプのヘッドホンを指す。また、ここでいうヘッドセットとは、オーバーイヤータイプのヘッドホンとマイクとが一体化したものを指す。このようなヘッドホン又はヘッドセットが有するイヤーパッドの大きさの一例として、
図4では、二点鎖線の円Qが示されている。
【0030】
また、アイウェア1の装着性の観点からは、上述した傾斜角度θ1は、35度以下であることが好ましい。そこで、本実施形態における傾斜角度θ1は、21度に設定されている。
【0031】
なお、装着状態における水平面と基準面との成す角度φが例えば15度である場合、上述した傾斜角度θ1を装着状態における水平面を基準とする傾斜角度θ2に換算すると、上述した好適値のそれぞれは、32度以上、34度以上、及び45度以下になる。また、本実施形態における傾斜角度θ1は、傾斜角度θ2に換算すると36度になる。
図3において、装着状態における水平面は、破線Zを面内方向とする、紙面に垂直な平面である。
【0032】
上腕部322bは、外力により任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成されている。これにより、腕部32bでは、例えば、装着状態において使用者の側頭部に沿うように、内側に向かって変形すること、言い換えれば内側に向かって曲げることができ、曲げた状態を維持することができる。
【0033】
具体的には、本実施形態における腕部32bでは、
図5に示すように、上腕部322bを含む多くの部分において、腕部32bの内部に、変形自在且つ形状維持可能な第1芯部323bが設けられている。第1芯部323bは、金属製、例えばステンレス製である。第1芯部323bは、腕部32bの長手方向に沿って設けられている。また、腕部32bの全体は、弾性を有する樹脂製、例えばエラストマー製である。このような構成により、上腕部322bについて、外力により任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能としている。
【0034】
以上では腕部32bについて詳述したが、腕部32aについても同様である。
図2に示す前腕部321a、上腕部322a及び第1芯部323aは、前腕部321b、上腕部322b及び第1芯部323bにそれぞれ対応する。
【0035】
図1及び
図2に示す2つの接触部33a,33bは、装着状態において、使用者の頬に接触するように構成されている。2つの接触部33a,33bは、互いに左右対称の形状であり、機能も同様であるため、以下では接触部33bについて説明する。
【0036】
図3及び
図4に示すように、接触部33bは、フレーム3における腕部32bに設けられている。本実施形態における接触部33bは、アイウェア1の側面視にてL字状である。本実施形態における接触部33bは、装着状態において、使用者の頬における頬骨が位置する部分のみに接触するように構成されている。
図4では、使用者の頬における頬骨が位置する部分を破線Nで囲われた範囲として示している。
【0037】
接触部33bは、外力により任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成されている。具体的には、本実施形態では、
図5に示すように、接触部33bの内部に、変形自在且つ形状維持可能な第2芯部331bが設けられている。第2芯部331bは、金属製、例えばチタン製である。第2芯部331bは、接触部33bのL字状に沿って設けられている。接触部33bの全体は、弾性を有する樹脂製、例えばエラストマー製である。このような構成により、接触部33bについて、外力により任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能としている。
【0038】
以上では接触部33bについて詳述したが、接触部33aについても同様である。
図2に示す第2芯部331aは、第2芯部331bに対応する。
本実施形態におけるアイウェア1は、2つの腕部32a,32b、及び2つの接触部33a,33b以外に、装着状態において使用者に接触するように構成された部位を備えない。すなわち、本実施形態におけるアイウェア1は、装着状態において、使用者の両側頭部及び両頬における頬骨が位置する部分にのみ接触するように構成されている。
【0039】
例えばメガネやサングラスといった一般的なアイウェアでは、装着状態において使用者の鼻、具体的には鼻における鼻骨が位置する部分に接触するように構成されたノーズパッドを備える場合が多い。これに対して、本実施形態のアイウェア1は、ノーズパッドを備えない構成を採用している。
【0040】
また、アイウェア1は、上述した保持状態において、2つの接触部33a,33bのみで水平面上に自立可能に構成されている。言い換えれば、2つの接触部33a,33bのみが水平面に接触し、アイウェア1におけるその他の部分は水平面に接触しない状態で、アイウェア1は、単独で水平面上に静止し続けられるように構成されている。
図3において、アイウェア1が自立している状態における水平面は、破線Sを面内方向とする、紙面に垂直な平面である。
【0041】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)2つの腕部を備えた一般的なアイウェアでは、アイウェアを装着した状態において、2つの腕部が使用者の耳に載り、使用者の側頭部に接触している。このようなアイウェアがヘッドホン等と併せて装着されると、2つの腕部とヘッドホン等とが相互に干渉してしまい、使用者が不快に感じる場合がある。
【0042】
これに対して、アイウェア1では、2つの腕部32a,32bが、保持状態におけるレンズ2の正面視にて、保持部31と反対側が高くなるように傾斜している。このような構成によれば、アイウェア1がヘッドホン等と併せて装着される場合でも、2つの腕部32a,32bとヘッドホン等との干渉を回避することができるため、使用者がアイウェア1を快適に装着することができる。
【0043】
(2b)2つの腕部を備えた一般的なアイウェアでは、アイウェアを装着した状態において、2つの腕部が使用者の耳に載るように構成されている。すなわち、当該2つの腕部は、使用者のこめかみの位置よりも下方を通るように構成されている。
【0044】
これに対して、アイウェア1では、2つの腕部32a,32bが、装着状態において、使用者のこめかみの位置又はこめかみよりも上方の位置を通るように構成されている。このような構成によれば、アイウェア1がヘッドホン等と併せて装着される場合に、2つの腕部32a,32bとヘッドホン等との干渉をより確実に回避することができ、使用者がアイウェア1をより快適に装着することができる。
【0045】
(2c)2つの腕部32a,32bは、装着状態において使用者の耳よりも保持部31側に位置する部分である前腕部321a,321bを有する。前腕部321a,321bは、保持状態におけるレンズ2の正面視における視線方向及び左右方向のいずれにも平行な面に対する傾斜角度が17度以上となるように構成されている。
【0046】
このような構成によれば、ヘッドホン等のイヤーパッドが使用者の耳よりも一回り以上大きく、使用者の耳を覆うものであっても、アイウェア1とヘッドホン等とが併せて装着される場合に、2つの腕部32a,32bとヘッドホン等との干渉を回避することができ、使用者がアイウェア1を快適に装着することができる。
【0047】
(2d)アイウェア1は、保持状態において、2つの接触部33a,33bのみで水平面上に自立可能に構成されている。このような構成によれば、装着状態におけるアイウェア1の安定性を向上させることができる。
【0048】
(2e)アイウェア1は、2つの接触部33a,33bを備え、ノーズパッドを備えない。このような構成によれば、鼻への圧迫感がないため、使用者がアイウェア1をより快適に装着することができる。レンズ2の内面と使用者の顔との間において空気が流れやすくなるため、レンズ2が曇りにくくなる。また、鼻に汗がたまりにくくなる。さらに、ノーズパッドによる化粧剥がれを回避することもできる。
【0049】
(2f)上腕部322a,322bは、任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成されている。
アイウェア1は、一般的なアイウェアのように、装着状態において2つの腕部32a,32bが使用者の耳に載る構成でないため、装着状態における上腕部322a,322bと使用者の頭部との密着性が乏しい場合にアイウェア1の安定性が低下する可能性がある。
【0050】
上記のような構成によれば、使用者の頭部の大きさや形状に応じて上腕部322a,322bの形状を変更し、且つ、その形状を維持することができる。このため、上腕部322a,322bと使用者の頭部との密着性を向上させ、装着状態におけるアイウェア1の安定性を向上させることができる。
【0051】
(2g)2つの接触部33a,33bは、装着状態において使用者の頬における頬骨が位置する部分のみに接触するように構成されている。使用者の頬において、頬骨が位置する部分は、他の部分に比べて硬さがあるため、装着状態における2つの接触部33a,33bの位置が安定しやすい。したがって、上記のような構成によれば、装着状態におけるアイウェア1の安定性を向上させることができる。
【0052】
(2h)2つの接触部33a,33bは、任意に変形可能、且つ、変形された状態を維持可能に構成されている。このような構成によれば、2つの接触部33a,33bは、例えば装着状態において使用者の頬骨に載るように、使用者の頬への接触部分の位置及び角度を調整することができる。
【0053】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0054】
(3a)上記実施形態では、アイウェア1は、左右対称の形状であるが、左右非対称の形状であってもよい。
(3b)上記実施形態では、可視光透過部材の一例に相当するレンズ2は、右レンズ2a及び左レンズ2bの2つの部材を備えるが、可視光透過部材は、例えば、使用者の右目及び左目のそれぞれに対応する部分を有する1つの部材のみを備えてもよい。この場合、アイウェア1は、いわゆる一眼型に該当する。また例えば、可視光透過部材は、3つ以上の部材により構成されてもよい。
【0055】
(3c)上記実施形態では、可視光透過部材の一例に相当するレンズ2は、ブルーライトの透過率を低下させるように構成されているが、可視光透過部材は、必ずしもブルーライトの透過率を低下させるように構成されなくてもよい。また例えば、可視光透過部材は、ブルーライトに限らず可視光の少なくとも一部について、その透過率を低下させるように構成されてもよい。
【0056】
(3d)可視光透過部材は、例えば、光を屈折させて収束又は発散させるように構成された、いわゆる度付きレンズであってもよいし、光を屈折させないように構成された、いわゆる度無しレンズであってもよい。
【0057】
(3e)上記実施形態では、保持部31は、可視光透過部材の一例に相当するレンズ2の上部を支持することにより、装着状態において、使用者の目の前方にレンズ2を保持する。しかし、保持部31が可視光透過部材を保持する方法は、これに限定されるものではない。例えば、保持部31は、可視光透過部材の上部に加えて又は代えて、可視光透過部材の下部及び側部の少なくとも1つを支持することにより、装着状態において、使用者の目の前方に可視光透過部材を保持するように構成されてもよい。
【0058】
(3f)上記実施形態では、保持部31は、剛性を有する樹脂製であるが、例えば、金属製、木製等であってもよい。
(3g)保持部31は、例えば、可視光透過部材に形成された孔に対応するネジ等の固定具として実現されてもよい。この場合、アイウェア1は、いわゆるリムレスタイプに該当する。
【0059】
(3h)上記実施形態では、2つの腕部32a,32bは、アイウェア1の側面視にて直線状の形状を有するが、2つの腕部32a,32bの形状は、これに限定されるものではない。例えば、2つの腕部32a,32bは、全部又は一部が湾曲した形状であってもよいし、屈折した部分を1つ以上有する形状であってもよい。
【0060】
(3i)上記実施形態では、第1芯部323a,323bは、腕部32a,32bにおける上腕部322a,322bを含む多くの部分に設けられているが、第1芯部323a,323bが設けられる範囲は、これに限定されるものではない。例えば、第1芯部323a,323bは、腕部32a,32bにおける、上腕部322a,322bのみに設けられ、その他の部分に設けられなくてもよい。
【0061】
(3j)上記実施形態では、腕部32a,32bは、全体が弾性を有する樹脂製であるが、例えば、腕部32a,32bにおける、第1芯部323a,323bが設けられた範囲のみが弾性を有する樹脂製であり、その他の部分が剛性を有する樹脂製、金属製、木製等であってもよい。
【0062】
(3k)上記実施形態では、アイウェア1は、2つの腕部32a,32b、及び2つの接触部33a,33b以外に、装着状態において使用者に接触するように構成された部位を備えないが、例えば、これらに加えて又は2つの接触部33a,33bに代えて、ノーズパッドを備えてもよい。
【0063】
(3l)上記実施形態では、アイウェア1は、装着状態において、使用者の頬における頬骨が位置する部分のみに接触するように構成された2つの接触部33a,33bを備えるが、例えば、使用者の頬におけるその他の部分に接触するように構成された部材を更に備えてもよい。また例えば、2つの接触部33a,33b自体が、当該その他の部分に接触するように構成されてもよい。
【0064】
(3m)上記実施形態では、アイウェア1は、eスポーツ用であるが、アイウェア1の用途は、これに限定されるものではない。例えば、アイウェア1は、ヘッドホン又はヘッドセットが装着され得る他の場面で用いられてもよい。具体的には、例えば、WEB会議やコールセンターにおける電話対応等の場面が挙げられる。
【0065】
また例えば、アイウェア1は、イヤーマフが装着され得る場面で用いられてもよい。イヤーマフとは、聴覚保護具を指し、工事現場等での騒音対策として用いられたり聴覚過敏対策として用いられたりする器具である。イヤーマフは、上述したオーバーイヤータイプのヘッドホンと同様に、使用者の耳よりも一回り以上大きく、使用者の耳を覆うイヤーパッドを有する。このため、一般的なアイウェアでは、ヘッドホンと同様に腕部とイヤーマフとの干渉が生じ得るところ、アイウェア1では、このような干渉を回避することができる。
【0066】
(3n)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…アイウェア、2…レンズ、3…フレーム、31…保持部、32a,32b…腕部、321a,321b…前腕部、322a,322b…上腕部、323a,323b…第1芯部、33a,33b…接触部、331a,331b…第2芯部。