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特許7498501基板上の電子部品を焼結するための焼結プレス
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  • 特許-基板上の電子部品を焼結するための焼結プレス 図1
  • 特許-基板上の電子部品を焼結するための焼結プレス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】基板上の電子部品を焼結するための焼結プレス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021530851
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2019060927
(87)【国際公開番号】W WO2020128836
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102018000020272
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521002822
【氏名又は名称】エイエムエックス - オートマトリックス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】AMX - AUTOMATRIX S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】スキヴァロッキ,ニコラ
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/122795(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182651(US,A1)
【文献】特表2002-534799(JP,A)
【文献】特開2008-145254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の電子部品を焼結するための焼結プレスであって、
第1要素端と第2要素端との間で、プレス軸に平行な要素軸に沿って延び、第1要素端が各基板の支持面を形成する少なくとも1つの反応要素と、
前記第2要素端に動作可能に接続され、前記反応要素によって、前記基板上に配置された焼結対象の各電子部品に1又は複数の押圧部材が付与する力の合計を検出し、冷却回路に動作可能に接続されたセルホルダプレートに収容される少なくとも1つのロードセルと、
前記少なくとも1つの反応要素を摺動可能に支持し、加熱回路を有する要素プレートと、
を備え
前記反応要素は、前記要素プレートを通過する加熱部を有し、前記要素プレートの熱を基板に伝達させるのに適し、前記要素プレートから前記加熱部に伝達された熱を逃がすように形成された、前記第2要素端で終端する冷却部を有する、焼結プレス。
【請求項2】
前記加熱部は柱状である、請求項1に記載の焼結プレス。
【請求項3】
前記冷却部は、前記要素軸と同軸に延びる放熱ディスクの軸方向の連続体で構成されている、請求項1又は2に記載の焼結プレス。
【請求項4】
前記反応要素の第2要素端には、ロードセルに対向する赤外線スクリーンが設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の焼結プレス。
【請求項5】
前記加熱回路は、要素プレートを240℃以上290℃以下の作業温度に加熱するのに適している、請求項1から4のいずれか1項に記載の焼結プレス。
【請求項6】
前記冷却回路は、セルホルダプレートを約25℃の温度に維持するのに適している、請求項1から5のいずれか1項に記載の焼結プレス。
【請求項7】
前記要素プレートによってスライド可能に支持された複数の反応要素を備え、前記ロードセルは前記各反応要素に関連付けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の焼結プレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の電子部品を焼結するための焼結プレスに関するものである。
【0002】
公知のように、いくつかの電子的用途では、集積電子部品、例えば、ダイオード、IGBT、サーミスタ、MOSFETが、焼結ペーストを介して基板に固定されている。各部品を正しく焼結するためには、焼結温度、例えば200℃以上の温度で基板に押圧しなければならない。
【0003】
一般に、焼結プレスは、1枚以上の基板が配置される押圧面を形成するベースを備える。このプレスは、基板毎に、例えば油圧回路によって制御され、焼結対象の電子部品に所定の圧力を付与する1以上の押圧部材を設けた押圧ユニットを備える。
【0004】
プレスのいくつかの実施形態では、ベースは、プレスが正しく動作していることを監視するために、押圧部材が各基板用の電子部品に及ぼす力の合計を検出するのに適した1以上のロードセルをさらに備える。ロードセルは、焼結温度よりもはるかに低い温度で動作させなければならない電子部品である。
【0005】
ロードセルは、押圧部材が基板に付与する力を正確に検出しなければならない。このため、上述のタイプの焼結プレスを悩ませる問題の1つは、押圧面に動作可能に連結されたロードセルを焼結温度よりもはるかに低い動作温度に維持することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決することができるプレスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、請求項1に記載のプレスによって達成される。従属項には、本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【0008】
本発明に係る焼結プレスの特徴及び利点は、添付図面を参照して、表示され、非限定的な例として提供された好ましい実施形態についての以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るプレスの断面図である。
図2】反応要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前記図面では、本発明による焼結プレスをまとめて符号1で示す。
【0011】
このプレスは、基板12上の電子部品10を焼結するのに適している。
【0012】
一実施形態では、プレス1は、複数の基板12上の電子部品を同時に焼結するように設計されている。
【0013】
基板12は、焼結ペースト層上に配置された、焼結対象の電子部品10(例えば、IGBT、ダイオード、サーミスタ、MOSFET)を保持する。部品10は、所定の面圧、例えば30MPaで、所定温度、例えば260℃で、180~300秒間処理されなければならない。
【0014】
電子部品10は、分類によって厚さが異なる部品であることを考慮して、その投影面に比例した力で押圧しなければならない。
【0015】
焼結プレス1は、垂直方向に延び、少なくとも1つの基板12、好ましくは複数の基板のために、上部で押圧ユニット14を支持し、下部で支持ベース60を支持するフレームワーク8を備える。
【0016】
押圧ユニット14及びベース60の一方又は双方は、プレス軸Xに沿って他方に対して移動可能であり、焼結対象の電子部品10を押圧ユニット14に実質的に当接させた後、押圧する。
【0017】
一実施形態では、押圧ユニット14は、基板12毎に、電子部品10に必要な焼結圧力を付与するのに適した1又は複数の押圧部材を備える。
【0018】
一実施形態では、押圧ユニット14は、平行で独立した押圧ロッド28を有するマルチロッドシリンダ20を備える。各押圧ロッド28は、焼結対象の各電子部品10と同軸で重心が一致し、焼結対象の各電子部品の面積に比例した力を作用させるスラスト部を有する。なお、「重心が一致」とは、各押圧ロッド28が各電子部品10の重心と一致するロッド軸を有することを意味する。
【0019】
一実施形態では、押圧ロッド28は、加圧された制御流体によって駆動される。例えば、押圧ロッド28は圧縮チャンバ30に連通している。押圧ロッドには制御流体が導入される。また、制御流体によって作用する圧力を押圧ロッドに伝達するために、押圧ロッドには適切な制御要素が収容されている。例えば、制御要素は膜32である。圧縮チャンバ30が焼結圧力に加圧されると、膜32は、各押圧ロッド28に焼結圧力を伝達するために、押圧ロッド28の後端28’に押し付けられて変形する。
【0020】
勿論、他の押圧ロッド作動システムを使用することもできる。
【0021】
本発明の一態様によれば、プレス1は、複数の反応要素40を備える。各反応要素は、第1要素端40’と第2要素端40’’の間をプレス軸Xに平行な要素軸に沿ってそれぞれ延びている。第1要素端40’は、各基板12のための支持面を形成する。
【0022】
第2要素端40''には、ロードセル50が動作可能に接続されている。ロードセル50は、反応要素40によって、押圧ユニット14の1又は複数の押圧ロッド28が、基板12上に位置する焼結対象の電子部品10に付与する力を検出するのに適している。
【0023】
ロードセル50は、特定の要件に従って、単に、各基板12に圧力が付与されたことを検出するために、オン/オフ動作モードで使用してもよいし、例えば、フィードバック圧力制御によって、付与された圧力の値を検出するために使用してもよい。
【0024】
一実施形態では、ロードセル50は、冷却回路54に動作可能に接続されたセルホルダプレート52に収容されている。
【0025】
反応要素40は、要素プレート70に摺動可能に支持されている。「摺動可能に支持」という用語は、反応要素40が必ずしも要素プレート70内で摺動しなければならないということではなく、この要素が要素プレート70に形成された各ガイドシートに、拘束されることなく挿入されることを意味する。要するに、以下に説明するように、要素プレート70は、反応要素40への熱伝達を確実にし、反応要素40をプレス軸Xに平行な適切な位置に維持しなければならないが、同時に、各ロードセル50によって検出される力に影響を与えることはない。
【0026】
好ましい実施形態では、反応要素40の第2端40’’が常にロードセル50に当接することにより、押圧ステップの間、反応要素40は、実質的に無効又は無視できる軸方向の変位を受ける。この場合、反応要素40は、押圧部材によって作用する力に対して全く反対に作用し、その力は、焼結対象の電子部品10によって完全に吸収される。
【0027】
一実施形態では、要素プレート70は、要素プレート70と、伝導によって反応要素40とを必要な焼結温度にするのに適した加熱回路72によって加熱される。例えば、加熱回路72は、要素プレート70の周囲に配置したヒータ本体74に組み込まれている。
【0028】
各反応要素40は、要素プレート70を通過し、要素プレート70から各基板12に伝導によって熱を伝達させるのに適した加熱部40a有する。
【0029】
一実施形態では、反応要素40は、さらに、第2端40’’で終端し、要素プレート70から加熱部40aに伝達された熱を放散するように形成された冷却部40bを有する。
【0030】
例えば、加熱部40a及び冷却部40bは連続して設けられている。
【0031】
一実施形態では、加熱部40aは、要素プレート70の厚さと実質的に等しいか、僅かに大きい軸方向の延伸部を有する。例えば、加熱部40aは、要素プレート70から軸方向に突出する反応要素の第1端部40’で終端する。
【0032】
一実施形態では、要素プレート70とセルホルダプレート52とは、反応要素の熱を放散させるのに適した分離流体、例えば空気によって軸方向に分離されている。
【0033】
例えば、冷却部40bは、要素プレート70とセルホルダプレート52との間の距離にほぼ等しい延在部を有する。
【0034】
一実施形態では、加熱部40aは柱状である。例えば、加熱部40aは、基板の支持面の直径よりも大きい軸方向の延在部を有する。
【0035】
一実施形態では、冷却部40bは要素軸と同軸に延び、軸方向に連続する放熱ディスク44を備える。
【0036】
一実施形態では、反応要素40の第2端40’’は、ロードセル50に対向する赤外線遮蔽体46を備える。
【0037】
一実施形態では、加熱回路72は、要素プレートを240℃から290℃の間の作業温度に加熱するのに適している。
【0038】
例えば、要素プレートは、熱伝導率の高い金属材料で構成されている。
【0039】
例えば、加熱回路72は、抵抗温度計によって制御される電気抵抗器で構成されている。
【0040】
一実施形態では、冷却回路54は、セルホルダプレートを約25℃に維持するのに適している。
【0041】
例えば、冷却システムは、冷却器によって調整された冷却剤の循環に基づいている。
【0042】
反応要素40は、加熱可能な要素プレート70及び冷却可能なセルホルダプレートを組み合わせることにより、
要素プレートから反応要素の加熱部分への伝導による熱の伝達を介して焼結対象の基板を加熱し、
上方の押圧部材によって付与される焼結圧力を打ち消し、
打ち消す力をロードセルに伝達し、
ロードセルへの熱伝達を低減することを可能とする。
【0043】
したがって、冷却回路は、過剰なエネルギーを消費することなく、ロードセルを許容可能な作業温度、例えば60℃に維持することができる。
【0044】
本発明に係る焼結プレスの実施形態に対し、当業者は、付随するニーズを満足するために、以下の請求項の範囲から逸脱することなく、改良、適合、及び機能的に等価な他の要素と交換することができる。可能な実施形態に属するものとして記載された特徴のそれぞれは、記載された他の実施形態とは独立して実施することができる。
図1
図2