(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】脳神経または心臓保護剤としてのアミノチオール系化合物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/06 20060101AFI20240605BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/145 20060101ALI20240605BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240605BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
A61K38/06
A61K38/05
A61K31/145
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P9/00
(21)【出願番号】P 2021573818
(86)(22)【出願日】2020-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2020095998
(87)【国際公開番号】W WO2020249120
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/091065
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521543521
【氏名又は名称】シャンハイ ケチョウ ファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティエン、ホンチ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、ヤホン
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/041245(WO,A1)
【文献】Journal of Radiation Research,2018年,59(3),pp.261-271
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の疾患または状態:脳卒中;脳虚血再灌流障害;脳出血、心筋梗塞;ならびにショック療法、動脈バイパス術、血栓溶解療法、経皮経管冠動脈形成術、心臓外科体外循環、心肺脳蘇生術、または切断肢再移植および臓器移植に起因する虚血再灌流障害の1つ以上の予防または治療における使用のための医薬組成物であって、
当該医薬組成物が、式(I)の化合物、または以下の群(II)のいずれか1つから選択される化合物を含み、
式(I)の化合物が、
であるか、またはその立体異性体、もしくはその薬学的に許容される塩、および溶媒和物であり、
ここで、
A
1は、-C(O)NR
8-、-S(O)
2-NR
8-、-S(O)NR
8-、および-R
7-NR
8-から選択され、
A
2は、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、および非置換のC
1-6アルキルから選択され、
R
1およびR
5は、同一でも異なっていてもよく、水素、および非置換のC
1-C
5アルキルから選択され、
R
2およびR
6は、同一でも異なっていてもよく、非置換のC
1-C
5アルキルから選択され、
nは、0~10の整数であり、
R
3およびR
4は、独立して、水素、X、および非置換のC
1-6アルキルから選択され、
Xは、F、Cl、BrおよびIから選択され、
R
7は、非置換のC
1-C
6アルキルから選択され、R
8は、水素、および非置換のC
1-C
6アルキルから選択され、
群(II)の化合物:(R)-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオールまたはその塩酸塩(化合物1)、(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物2)
、(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物3)、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド、(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド、(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミドおよび(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミドである、医薬組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドもしくはその薬学的に許容される塩、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドもしくはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記式(I)の化合物が、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド 塩酸塩、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド 塩酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物が、脳卒中の予防または治療に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が、虚血性脳卒中または出血性脳卒中の予防または治療に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が、急性虚血性脳卒中に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、心筋虚血、または心筋虚血に起因する心筋梗塞または心脳虚血再灌流障害の予防または治療に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が、脳出血または脳血栓症の後遺症の予防または治療に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物中の式(I)の化合物または群(II)の化合物の用量が、約9~16200mg/kg/日である、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミド、(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミド、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド、(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド、(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミドおよび(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミドから選択される、化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
放射線障害または化学療法剤損傷の治療および/または予防のための医薬組成物であって、当該医薬組成物が、以下の群(II)のいずれか1つから選択される化合物を含み、
群(II)の化合物:(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物2)
、(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物3)、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド、(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド、(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミドおよび(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミドである、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノチオール系化合物の脳神経保護剤としての使用、特に心脳虚血再灌流障害、脳卒中などの心脳血管疾患の予防または治療における使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、世界中で人間の身体障害や死亡の主な原因となっている。国や都市によっては、脳卒中が心血管系疾患を抜いて死因の第1位になっているところもあるほどである。中国生物技術開発センターが実施したサンプル調査のデータによると、中国の都市・農村における脳血管疾患の年間発症率は平均200/10万人、有病率は400~700/10万人で、全国で毎年250万人の脳血管疾患の新規患者が発生し、死亡率は130/10万人と、中国国民の総死因の第2位を占めている。脳卒中患者のうち、70~80%は虚血性脳卒中であり、脳虚血性疾患では、脳組織への血液供給と酸素供給を早期に回復させることが救命や障害率軽減に有効な手段の一つであるが、脳組織への血液/酸素供給の回復後、より深刻な脳機能障害、すなわち脳虚血再灌流障害(Cerebral Ischemia Reperfusion Injury, CIRI)が発生してしまう。
【0003】
脳虚血再灌流障害(CIRI)とは、脳組織がある一定期間虚血状態に陥った後、再び血液の供給が回復し、さらに虚血性障害が発生することがある。脳虚血再灌流障害は、臨床的に非常に一般的であり、避けることのできないものである。脳組織の血流が回復すると、必然的に虚血再灌流の過程を経ることになり、脳組織を救うためにはその血液循環を回復させる必要があるが、再灌流によって引き起こされる一連の複雑な反応は虚血性脳組織の障害を悪化させる可能性がある。現在までのところ、脳虚血再灌流障害を予防・治療する臨床的に有効な方法は一つもない。そのため、脳虚血再灌流障害を遅延・軽減させる有効な手段の探索は、取り組むべき重要な課題となっている。
【0004】
現在、さまざまな薬剤が臨床使用されていますが、治療効果は満足のいくものではない。脳卒中の治療には、超早期血栓溶解療法と神経保護剤が含まれる。早期の血栓溶解療法は、血管を浚渫し、梗塞巣を縮小し、脳浮腫を軽減する最も有効な治療法の一つである。しかし、血栓溶解療法では、治療時間枠を厳密に管理する必要がある(発症から6時間以内)。研究データによると、米国では急性虚血性脳卒中患者のわずか3~5%が静脈内血栓溶解療法を受けているのに対して、中国の全国脳卒中調査では、rt-PA静脈内血栓溶解療法の実施率は1.6%であることが判明している。治療率が低い理由は複雑であるが、血栓溶解療法の時間枠を超えていることが重要な要因の一つである。そのため、血栓溶解療法の適用はやや限定的である。神経保護は、虚血性脳卒中の治療におけるもう一つの重要な手段である。虚血後、頭蓋内神経細胞に「カスケード反応」というウォーターフォール現象が起こし、神経保護剤の臨床適用の理論的根拠を与えている。1950年代以降、カルシウム拮抗薬、抗興奮毒性アミノ酸、γ-アミノ酪酸受容体作動薬、抗細胞間接着分子抗体、神経栄養薬など、虚血後の「カスケード反応」プロセスの多くの側面について、国内外で多くの研究が行われてきた。しかし、動物実験による陽性研究結果は、臨床試験では確認されていない。
【0005】
現在、虚血性脳卒中の治療薬として、日本では2001年に、中国では2005年にエダラボンなどの販売が承認されている。しかし、この化合物は欧米での臨床試験において有意な結果が得られていないため、欧米の医薬品登録機関によって承認されていない。また、エダラボンには、急性腎不全、肝機能異常、黄疸、血小板減少、びまん性血管内凝固などの重篤な副作用があることが開示されている。現在、虚血性脳卒中の治療に有効な神経保護剤は、各国の医薬品登録機関から販売許可を得ていない。
【0006】
CN106432014AまたはWO2018/041245は、放射線障害の予防および救援のための薬剤として有効であることが証明されており、アミフォスチンと比較して半減期が長く、副作用も少ないと考えられるアミノチオール系化合物が開示されている。
【0007】
本発明者らは、これらのアミノチオール系化合物が、例えば脳卒中、特に虚血性脳卒中などの心脳血管疾患の予防または治療のための脳神経保護剤として使用できることを予期せず発見した。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、本発明のアミノチオール系化合物が、同様に放射線障害防止効果を有するアミフォスチンと比較して有意な脳梗塞面積の軽減率を有するために、脳神経保護効果を持ち、また、陽性薬であるエダラボンと比較してより良好な脳梗塞面積および挙動の軽減率を有することを見出した。
【0009】
一方、本発明は、脳神経保護剤または心臓保護剤として使用するための薬剤の製造における、式(I)の化合物、または以下の群(II)のいずれか1つから選択される化合物の使用であって、
前記式(I)の化合物が、
【0010】
【0011】
であるか、またはその立体異性体、もしくはその薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物であり、
ここで、
A1は、-C(O)NR8-、-S(O)2-NR8-、-S(O)NR8-、および-R7-NR8-から選択され、
A2は、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、および置換または非置換のC1-6アルキルから選択され、
R1およびR5は、同一でも異なっていてもよく、水素、および置換または非置換のC1-C5アルキルまたはヘテロアルキルから選択され、
R2およびR6は、同一でも異なっていてもよく、置換または非置換のC1-C5アルキルまたはヘテロアルキルから選択され、
nは、0~20000の整数であり、
R3およびR4は、独立して、水素、X、および置換または非置換のC1-6アルキルから選択され、
Xは、F、Cl、BrおよびIから選択され、
R7は、置換または非置換のC1-C6アルキルから選択され、R8は、水素、および置換または非置換のC1-C6アルキルから選択され、
群(II)の化合物:(R)-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオールまたはその塩酸塩(化合物1)、(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物2)および(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物3)、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド、(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド、(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミドおよび(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミドである使用を提供する。
【0012】
一実施形態において、上記の式(I)の化合物は、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドである。
【0013】
一実施形態において、上記の式(I)の化合物は、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドもしくはその薬学的に許容される塩、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドもしくはその薬学的に許容される塩である。
【0014】
一実施形態において、上記の式(I)の化合物は、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩である。
【0015】
一実施形態において、上記の式(I)の化合物は、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド 塩酸塩、または(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド 塩酸塩である。
【0016】
一実施形態において、式(I)の化合物または群(II)の化合物は、脳神経保護剤として、以下の疾患または状態:虚血性および出血性脳卒中を含む脳卒中;虚血性脳卒中の治療中に誘発される二次障害、すなわち脳虚血再灌流障害;アテローム性動脈硬化症、脳出血、高血圧、心筋梗塞、狭心症、冠動脈疾患、心筋線維症、心臓病、不整脈、めまい、不眠症など;静脈瘤、浮腫などの血管透過性亢進に関与する疾患;パーキンソン病、脳萎縮、老人性認知症などの老人性疾患;脳外傷、脳血管硬化症(脳出血、脳血栓症)後遺症、脳炎と髄膜炎後遺症、脱髄疾患、局所的虚血、低酸素症、脳血管障害、代謝障害、毒性作用、神経毒性作用、外科手術、医原性影響、ストレス、質量効果、出血、熱、化学的要因、放射線、血管痙攣、神経変性疾患、神経変性病変、感染症、てんかんなどに起因する神経損傷を含むが、これらに限定されない他の脳神経損傷疾患;ショック療法、動脈バイパス術、血栓溶解療法、経皮経管冠動脈形成術、心臓外科体外循環、心肺脳蘇生術、または切断肢再移植および臓器移植;および全身性強皮症、筋側索硬化症(ALS)の1つ以上を予防または治療するために用いられる。
【0017】
一実施形態において、式(I)の化合物または群(II)の化合物は、脳神経保護剤として、脳卒中の予防または治療に用いられる。
【0018】
一実施形態において、式(I)の化合物または群(II)の化合物は、脳神経保護剤として、虚血性脳卒中の予防または治療に用いられる。
【0019】
一実施形態において、式(I)の化合物または群(II)の化合物は、脳神経保護剤として、急性虚血性脳卒中に用いられる。
【0020】
一実施形態において、式(I)の化合物または群(II)の化合物は、虚血性脳卒中の急性期の予防または治療のための治療薬、および虚血性脳卒中後の脳神経保護剤として使用される。
【0021】
別の実施形態において、式(I)の化合物または群(II)の化合物は、心臓保護剤として、心筋虚血、または心筋虚血に起因する心筋梗塞または心脳虚血再灌流障害の予防または治療に用いられる。
【0022】
一実施形態において、式(I)の化合物の用量は、約9~16200mg/kg/日である。
【0023】
一実施形態において、本発明は、さらに、(R)-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオールまたはその塩酸塩(化合物1)、(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物2)および(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物3)、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド、(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド、(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミドおよび(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミドから選択される新規アミノチオール誘導体に関する。
【0024】
一実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物またはアミノチオール誘導体は、放射線障害の治療および/または予防用、化学療法剤損傷のための薬剤として、および/または化粧品用に用いられる。一実施形態において、上記の放射線は、電離放射線、非電離放射線または多種類の放射線の組み合わせを含み、電離放射線は、α線、β線、γ線、X線、中性子線を含み、上記の放射線障害は、放射線による直接障害および間接障害を含み、上記の化学療法剤は、DNA、RNA、微小管タンパク質に用いられる抗腫瘍薬をいう。
【0025】
一実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物またはアミノチオール誘導体は、抗腫瘍薬として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施例1の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物Aまたは化合物Bの投与後のラットの神経行動学的評価結果を示している。
【
図2】
図2は、実施例1の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物Aまたは化合物Bの投与後のラットの脳梗塞面積(TTC染色)の評価結果を示している。
【
図3】
図3は、実施例1の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物Aまたは化合物Bの投与後のラットの脳梗塞面積の結果を示している。
【
図4】
図4は、実施例2の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物A、化合物B、エダラボンまたはアミフォスチンの投与後のラットの神経行動学的評価結果を示している。
【
図5】
図5は、実施例2の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物A、化合物B、エダラボンまたはアミフォスチンの投与後のラットの神経行動学的改善率を示している。
【
図6】
図6は、実施例2の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物A、化合物B、エダラボンまたはアミフォスチンの投与後のラットの脳梗塞面積の結果を示している。
【
図7】
図7は、実施例2の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物A、化合物B、エダラボンまたはアミフォスチンの投与後のラットの脳梗塞面積改善率を示している。
【
図8】
図8は、実施例2の動物虚血性脳卒中モデルにおいて、化合物A、化合物B、エダラボンまたはアミフォスチンの投与後のラットの脳梗塞面積(TTC染色)の評価結果を示している。
【
図9】
図9は、実施例3における化合物B/化合物Aによるシスプラチン誘導SDラットの体重変化を示している。
【
図10】
図10Aおよび10Bは、シスプラチン誘発腎毒性に対する実施例3における化合物B/Aの保護効果を示している。
【
図11】
図11は、放射線腸管障害に対する実施例4における化合物Bの保護効果を示している。
【
図12】
図12は、放射線肺障害に対する化合物Bの保護効果を示している。
【
図13】
図13は、放射線誘発造血系障害に対する化合物Bの保護効果を示している。
【
図14】
図14は、化合物1を投与した場合のマウスの生存率を示している。
【
図15】
図15は、化合物2を投与した場合のマウスの生存率を示している。
【
図16】
図16は、化合物3を投与した場合のマウスの生存率を示している。
【
図17】
図17は、皮膚病変部サンプルのH-E染色(×40)を示している。
【
図18】
図18は、各サンプル群の皮膚病変部の真皮の厚さを示している。
【
図19】
図19は、皮膚病変部位のコラーゲンに対する化合物A、Bによる治療の効果を示している。
【
図20】
図20は、皮膚病変部位のH
2O
2レベルに対する化合物A、Bによる治療の効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一方、本発明に係るアミノチオール系化合物には、CN106432014AまたはWO 2018/041245に開示されている式(I)の化合物が含まれる。具体的に、本発明に係るアミノチオール系化合物は、式(I)の化合物、またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物を含む。
【0028】
【0029】
ここで、
A1は、-C(O)NR8-、-S(O)2-NR8-、-S(O)NR8-、および-R7-NR8-から選択され、
A2は、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、および置換または非置換のC1-6アルキルから選択され、
R1およびR5は、同一でも異なっていてもよく、水素、および置換または非置換のC1-C5アルキルまたはヘテロアルキルから選択され、
R2およびR6は、同一でも異なっていてもよく、置換または非置換のC1-C5アルキルまたはヘテロアルキルから選択され、
nは、0~20000の整数であり、
R3およびR4は、独立して、水素、X、および置換または非置換のC1-6アルキルから選択され、
Xは、F、Cl、BrおよびIから選択され、
R7は、置換または非置換のC1-C6アルキルから選択され、R8は、水素、および置換または非置換のC1-C6アルキルから選択される。
【0030】
好ましくは、R1、R2、R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-3アルキル、ヒドロキシまたはアミノ置換C1-C3アルキルまたはヘテロアルキルから選択され、より好ましくは、R1、R2、R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、およびエチルから選択され、より好ましくは、R1およびR2の一方は、水素であり、他方は、C1-C3アルキル(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)であり、また、R5およびR6の一方は、水素であり、他方は、C1-C3アルキル(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)であり、さらにより好ましくは、R1およびR2の一方は、水素であり、他方は、メチルであり、また、R5およびR6の一方は、水素であり、他方は、メチルであり、あるいは、R1およびR2は、メチルまたはエチル、また、R5およびR6は、メチルまたはエチルであり、
nは、0~2000の整数が好ましく、1~200の整数がより好ましく、1~200の整数がさらに好ましく、1~50の整数がなおさらに好ましく、1~10の整数(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を含む)がより好ましく、
好ましくは、R3およびR4は、独立して、水素、X、および置換または非置換のC1-3アルキルから選択され、より好ましくは、R3、R4は、独立して、水素、X、およびメチルから選択され、
好ましくは、Xは、F、およびClから選択され、より好ましくは、XはFであり、
好ましくは、R7は、置換または非置換のC1-C3アルキルから選択され、より好ましくは、R7はメチレンであり、
好ましくは、R8は、水素、および置換または非置換のC1-C3アルキルから選択され、より好ましくは、R8は、水素、メチル、およびエチルから選択され、さらに好ましくは、R8は、水素であり、
上記の化合物において、R3およびR4に直接に連結されたキラル炭素は、R配置またはS配置である。好ましくは、R3およびR4に直接に連結されたキラル炭素は、いずれもR配置である。
【0031】
より好ましくは、R3およびR4に直接に連結されたキラル炭素は、いずれもR配置であり、また、R1およびR2の一方は水素であり、他方はメチルであり、また、R5およびR6の一方は水素であり、他方はメチルである。
【0032】
一実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物は、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド(化合物Aと略称)、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド(化合物Bと略称)である。
【0033】
一実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物は、遊離塩基形態の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。例えば、上記の遊離塩基形態の化合物が、無機酸と形成される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸塩、硫酸一水素塩、ヨウ化水素酸塩または亜リン酸塩など、あるいは比較的無毒な有機酸と形成される塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩などが挙げられる。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物は、上記の化合物Aまたは化合物Bのトリフルオロ酢酸塩、化合物Aまたは化合物Bの塩酸塩である。
【0035】
一実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物は、上記の化合物のプロドラッグ形態を含む。
【0036】
一実施形態において、本発明のアミノチオール系化合物は、上記の化合物の非溶媒和型または溶媒和型、例えば水和型からなる。一般に、溶媒和型は非溶媒和型と同等であり、いずれも本発明の範囲に含まれる。本発明の化合物は、多様な結晶形または無定形型で存在しうる。一般に、本発明の化合物の様々な物理的形態は、使用において同等であり、すべて本発明の範囲に含まれるものである。
【0037】
一方、本発明のアミノチオール系化合物は、(R)-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオールまたはその塩酸塩(化合物1)、(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物2)、(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミド(化合物3)、(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド、(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド、(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミドおよび(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミドから選択される新規アミノチオール誘導体を含む。
【0038】
本発明に係るアミノチオール系化合物は、脳神経保護剤として使用することができる。本願において、脳神経保護作用とは、神経損傷を軽減、停止または解消し、神経損傷を受けた神経組織に対して保護、回復、再活性化の効果があることを意味する。
【0039】
具体的に、本発明に係るアミノチオール系化合物は、脳神経保護剤として、以下の疾患または状態:虚血性と出血性脳卒中を含む脳卒中;虚血性脳卒中の治療中に誘発される二次障害、すなわち脳虚血再灌流障害;アテローム性動脈硬化症、脳出血、高血圧、心筋梗塞、狭心症、冠動脈疾患、心筋線維症、心臓病、不整脈、めまい、不眠症など;静脈瘤、浮腫などの血管透過性亢進に伴う疾患;パーキンソン病、脳萎縮、老人性認知症などの老人性疾患;脳外傷、脳血管硬化症(脳出血、脳血栓症)後遺症、脳炎と髄膜炎後遺症、脱髄疾患、局所的虚血、低酸素症、脳血管障害、代謝障害、毒性作用、神経毒性作用、外科手術、医原性影響、ストレス、質量効果、出血、熱、化学的要因、放射線、血管痙攣、神経変性疾患、神経変性病変、感染症、てんかんなどに起因する神経損傷を含むが、これらに限定されない他の脳神経損傷疾患;ショック療法、動脈バイパス術、血栓溶解療法、経皮経管冠動脈形成術、心臓外科体外循環、心肺脳蘇生術、または切断肢再移植および臓器移植;および全身性強皮症、筋側索硬化症(ALS)などの1つ以上を予防または治療するために用いられる。
【0040】
本発明に係るアミノチオール系化合物、特に化合物Aまたは化合物Bは、虚血性脳卒中または出血性脳卒中などの脳卒中の治療または予防のための脳神経保護剤として効果的に用いることができ、虚血性脳卒中の急性期の予防または治療のための治療薬、虚血性脳卒中後の脳神経保護剤として効果的に用いることができる。上記の疾患の治療は、本発明の範囲に含まれる。
【0041】
本発明に係るアミノチオール系化合物は、式(I)の化合物または群(II)の化合物を含み、心筋虚血または心筋虚血に起因する心筋梗塞の予防または治療のための心臓保護剤として用いることができる。
【0042】
心筋虚血は、冠動脈の血流が炭素燃料の消費とATPの再合成を正常な速度で行うのに十分な酸素を供給できない場合に発生する代謝性疾患である。局所的虚血心筋虚血は、心筋酸素の需給の不均衡につながり、心筋虚血には労作性や血管痙攣性の心筋機能不全がある。労作性の局所的虚血は、一般に、大きな冠動脈によって引き起こされる心内膜下の流れの減少を含む、重症動脈硬化性狭窄の存在によるものである。血管痙攣性局所的虚血は、労作やストレスとは無関係に発症する、病変変化の痙攣を伴う。痙攣とは、血管緊張の突然の増加として最もよく定義される。血管痙攣性局所的虚血のメカニズムとしては、(i)カテコールアミンの増加による狭窄部の血管緊張の増加、(ii)一時的な内腔閉塞、(iii)内皮損傷で血小板が形成する血管作動物質の放出、などが挙げられる。冠循環は、循環全体に全圧を発生させることができる臓器で満たされているため、非常にユニークな循環である。したがって、末梢循環の状況や収縮力を変えることのできる介入は、冠循環に大きな影響を与えることになる。冠状血管系の調節単位は、内径の変化が大きい小さな冠動脈である。上記の内径の変化は、血管平滑筋の本能的な収縮(自動調節)や心室収縮による血管外圧によるものである。局所的虚血性疾患に対する純粋な治療効果には、酸素の需給を決定する相反する因子の複合効果が含まれる。
【0043】
式(I)の化合物または群(II)の化合物は、虚血性障害を改善するため、または心筋梗塞面積や心脳虚血再灌流障害を改善するための心臓保護剤として使用される。
【0044】
「虚血性障害の改善」とは、心筋虚血に起因する心筋虚血性障害を予防または軽減することをいう。「心筋梗塞面積の改善」とは、心筋虚血に起因する心筋梗塞面積の縮小、または心筋虚血に起因する心筋梗塞の予防を意味する。
【0045】
本発明に係るアミノチオール系化合物は、以下の疾患:
肺がん、胃がん、乳がん、直腸がん、鼻咽頭がんなど;
大腿骨壊死、前立腺炎、乳腺炎などの非細菌性炎症;
エリテマトーデス、乾癬、強皮症のような自己免疫疾患などの免疫疾患など;
関節炎、リウマチ、リウマトイドなどの変形性関節症;
白内障、硝子体混濁、緑内障、眼底黄斑変性症、若年性近視など;
糖尿病性腎症、糖尿病性眼病など;
鳥インフルエンザ感染症、敗血症、大腿骨頭壊死症、前立腺炎、乳腺炎、エリテマトーデス、乾癬、強皮症、関節炎、リウマチ、リウマトイド、白内障、硝子体混濁、緑内障、眼底黄斑変性症、若年性近視、ドライアイ症候群、糖尿病及びその合併症(糖尿病性腎症、糖尿病性眼疾患)、間質性肺疾患、特発性肺線維症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シミ、シワ、腎移植における腎虚血再灌流障害、歯周炎、気管支喘息、アレルギー性喘息、閉塞性睡眠時無呼吸、痛み、術後筋痛、肥満、横隔膜機能障害機械的換気、サイトメガロウイルス感染、高脂血症、急性すい炎、膵臓線維症、肝炎、肝硬変、肝線維症、骨粗鬆症、ファンコニー貧血、末梢動脈閉塞性疾患、子宮外膜症、多嚢胞性卵巣症候群、精子無力症、急性高山病などの予防または治療にも用いられることができる。
【0046】
本発明に係るアミノチオール系化合物またはその薬学的に許容される塩あるいは水和物は、様々な投与経路を使用して投与されることができる。適切な投与経路としては、吸入投与、または静脈内投与(注入またはプッシュ投与)、筋肉内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、皮下投与、鼻腔内投与、経粘膜投与、舌下投与、腸内投与、局所投与を含む非経口経路が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明に係るアミノチオール系化合物は、経口投与または静脈内によって投与される。
【0047】
本発明に係るアミノチオール系化合物、またはその薬学的に許容される塩および/または水和物は、被験者に、単独で投与されてもよいし、1つ以上の他の薬剤(他の脳神経保護剤、抗腫瘍薬、化学療法剤等を含むがこれに限らない)と併用して投与されてもよい。
【0048】
本発明のアミノチオール系化合物を投与する場合、投与量の範囲は、患者の体重に応じて、通常約9~16200mg/kg/日、一般に約9~8100mg/kg/日、または約9~4000mg/kg/日、または約9~2000mg/kg/日、または約9~1000mg/kg/日、または約9~500mg/kg/日、または約9~250mg/kg/日、または約9~120mg/kg/日、または約9~50mg/kg/日、または約9~40mg/kg/日、または約9~20mg/kg/日である。
【0049】
具体的な投与方法、投与量、投与間隔は、被験者の体重、疾患の重症度、投与方法、処方医の判断による。
実施例
【0050】
以下、実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
実施例1:虚血性脳卒中モデルにおける化合物Aまたは化合物Bの効果への評価
【0052】
1. 実験動物
健康で雄のSPFグレードのSDラット(体重250g~300g)を選択した。
【0053】
2. 実験の群分け(5群*6匹)
選択したラットを以下のように群分けした(5群:A、B、C、D、E群、各群6匹のラット):
【0054】
【0055】
ここで、化合物Bをリン酸塩バッファー(PBS)に溶解して冷蔵保存し、また、空気や光にさらされないように、すぐに使えるように製造する必要があった 。化合物Aを15% Solutol HS 15 (Shenzhen hiboled century Biotechnology Co. Ltd.から入手)/85% HP-B-CD (Solarbioから入手)の溶媒(20%、w/v)に溶解して、化合物Bと同様に保存した。
【0056】
3. モデリング方法
(1)ラットを麻酔し、頸部の皮膚を整え、体温を37±0.5℃に保った。
(2)頸部正中切開を行い、右総頸動脈、内頸動脈、外頸動脈を露出させた。6-0絹糸を用い、総頸動脈分岐部より4mmの外頸動脈遠位端を結紮し、別の6-0絹糸を外頸動脈に通し、総頸動脈分岐部の近くでスリップノットを結んだ。
(3)動脈クランプを使用して、総頸動脈をクランプした。総頸動脈分岐部から3mmの外頸動脈に小切開を入れ、1本の先端が処理された直径0.33mmのナイロン糸を小切開部から内頸動脈に挿入し、総頸動脈分岐部から約16±1mmの深さで中大脳動脈に内側に向かって挿入した。
(4)虚血後90minで糸栓子を除去し、6-0絹糸で外動脈近位端を結紮し、頸部の創を3-0絹糸で縫合し、創をバイタルヨードで消毒し、ラットを加熱パッドに乗せて覚醒後、恒温槽で飼育した。
(5)手術の24h後、ラットは神経機能を採点され、その後麻酔をかけられ、脳を採り、以下に述べるようにTTC (2,3,5-TripHenyltetrazolium chloride, sigma社)で染色された。
【0057】
4. モデルの神経行動学的評価
実験動物に対して、モデリングの前後で神経学的欠損の兆候を採点した。採点は、動物が麻酔から覚醒した24h後に実施され、得点が高いほど動物の行動障害が深刻であることを示しているLongaとBedersonの5段階評価に基づいている。
0点:神経損傷症状なし;
1点:反対側の前足を完全に伸ばすことができない;
2点:反対側へ旋回する;
3点:反対側にダンプする;
4点:自発的に歩くことができない、意識を失う。
【0058】
5. TTC染色と梗死面積の統計 (5群*6匹)
ラットに麻酔をかけた後、ラットの脳組織を採取し、-20℃の冷蔵庫で30min凍結した。PBSで1% TTC(W/V)を準備し、TTCが溶解するまで37℃で水浴し、凍結した脳組織をスライスして10ml のTTC溶液に入れ、37℃の恒温で10minインキュベートした。脳組織を均一に染色するために時々脳スライスを回した。正常な脳組織は染色後は真っ赤になるが、梗塞部位はカラー画像では淡い白色に、または白黒画像では薄い白色に見える。また、梗塞面積の測定と統計解析には、ソフトウェアを使用した。
【0059】
6.実験結果
次の表は、各動物の行動学的採点と脳梗塞面積のデータをまとめたものである。
【0060】
【0061】
以上の結果から、化合物Aまたは化合物Bは、動物の虚血性脳卒中モデル(MCAO)に対して、脳梗塞面積評価と行動学的採点の両面から優れた改善効果を示し、モデル動物の虚血再灌流障害を有意に変化させることが明らかになった。例えば、神経学的改善率はC群66.7%、D群66.7%、E群77.8% (
図1参照)、脳梗塞面積改善率はそれぞれ62.5%、44.4%、83.9%(
図2、3参照)になっている。
【0062】
実施例2:SDラット脳虚血再灌流障害モデルに対する化合物B、化合物A、アミフォスチン、エダラボンの効果の評価
【0063】
実験動物を7群(すなわち、A、B、C、D、E、FおよびG群、ここでC、DおよびE群には実施例1と異なる用量を投与し、F群にはエダラボンを投与し、G群にはアミフォスチンを投与)に分けた以外は実施例1と同様の方法で実験動物を選択した。その後、実施例1と同様の方法でモデリングを行い、7群の実験モデルについて同様の方法で神経行動学的評価を行い、7群の実験について同様の方法でTTC染色と梗塞面積統計を行った。
【0064】
実施例2の実験は、以下のように群分けした:
【0065】
【0066】
ここで、化合物Bをリン酸塩バッファー(PBS)に溶解して冷蔵保存し、また、空気や光にさらされないように、すぐに使えるように製造する必要があった。化合物Aを15% Solutol HS 15/85% HP-B-CDの溶媒(20%、w/v)に溶解して、化合物Bと同様に保存した。エダラボンを、1N NaOHに溶解して、1N HClで7.4まで滴定し、アミフォスチンをPBSに溶解させた。
【0067】
次の表は、各動物の行動学的採点と脳梗塞面積のデータをまとめたものである。
【0068】
【0069】
上記の結果から、神経学的改善率は、C群29.32%、D群46.99%、E群59.01%、F群46.99%、G群29.32 (
図4、5参照)、脳梗塞面積改善率は、それぞれ59.5%、72.97%、87.32%、58.85%、23.24% (
図6、7、8参照)になっていることが明らかになった。さらに、化合物Bの用量を100mg/kgに減らしても、ラットMCAOモデルに対して良好な保護効果を示した。また、化合物Aの用量を800mg/kgおよび400mg/kgに減量したところ、MCAOラットの症状と脳梗塞面積が用量依存的に有意に緩和された。陽性薬XH-001 (エダラボン)と比較すると、化合物Aは、脳梗塞面積の寛解率が87.32%と効果が高く、アミフォスチンは、脳梗塞面積の寛解率が23.24%と最も効果が低かった。
【0070】
実施例3:SDラットにおけるシスプラチン誘発腎毒性に対する化合物B/化合物Aの保護効果
【0071】
1.実験動物
健康で雄のSPFグレードのSDラット(体重250g~300g)を選択した。
【0072】
2.実験プログラム
Conrol群:PBS
シスプラチン:5mg/kg ip
シスプラチン+化合物B群:5mg/kg ip+化合物B 200mg/kg ip、シスプラチン投与30min前に化合物Bを投与
シスプラチン+アミフォスチン群:5mg/kg ip+AMI 200mg/kg ip、シスプラチン投与30min前にAMIを投与
シスプラチン+化合物A群:5mg/kg ip+化合物A 800mg/kg po、シスプラチン投与30min前に化合物Aを投与
【0073】
3.実験ステップ
(1)実験で用いられるSDラットに対して、体重を測定し、ラベルを付け、3匹を1群として5群に均等に分けた。
(2)化合物B、化合物A、AMI群は、それぞれ予定濃度で投与30分後、それぞれシスプラチン群、化合物B群、化合物A群、アミフォスチン群にシスプラチン5mg/kgを、対照群にPBSを投与した。
(3)ラットに対して、毎日体重を測定して記録し、5日目にSDラットの内眼角から抗凝固チューブに採血した。
(4)各チューブから全血100 μLを採取し、SMARTerキットに入れて、全自動生化学分析装置(SMT-100V)に置き、全血中の血中クレアチニンおよび尿素窒素のレベルを測定した。
【0074】
4.実験結果
SDラットの体重の推移を
図9に示す。SDラットにシスプラチンを単独で投与した場合、体重は著しく減少し、化合物Bを投与すると、体重は減少する代わりに増加し、シスプラチン群と比較して、化合物A群およびアンフォテリシン群のラットの体重は減少したものの、その減少程度はシスプラチン群より有意に優れており、これは化合物Bおよび化合物Aがラットにおけるシスプラチン誘発体重減少に対して一定の予防効果があることが示唆された。
【0075】
(2)血中クレアチニンと尿素窒素のレベルの変化
表と図から、シスプラチンはラットの血液中のクレアチニンと尿素窒素のレベルを有意に増加させる一方、化合物A、化合物B、アンフォテリシンはいずれもシスプラチンによる血中クレアチニンと尿素窒素のレベルの増加を有意に抑え、ひいては化合物Bと化合物Aでもアンフォテリシンよりも若干活性が高いことがわかった。
【0076】
【0077】
以上の表および
図10A、10Bに示すように、化合物B(TFA)/化合物A(TFA)は、シスプラチン誘発腎毒性に対して良好な保護効果を示し、腫瘍患者における化学療法中の化学療法剤による腎障害の予防に用いられることができた。
【0078】
実施例4:アミノチオール系化合物による放射線防護
【0079】
以下の実施例は、放射性腸管障害、放射性肺障害および放射線誘発造血系障害に対する本発明のアミノチオール系化合物の保護効果を証明したものである。
【0080】
1. 放射線腸管障害に対する保護効果
C57雄マウスを、それぞれブランク対照群、照射群、化合物B(TFA)照射群、AMI照射群の4群にランダムに分け、照射30min前にすべて腹腔内注射により517mpK投与し、そして、16Gyの腹部放射線量で照射し、5日目に小腸組織を採取してHE染色を実施した。
【0081】
図11は、正常な未照射腸絨毛の明瞭で緻密な構造と、照射後の小腸絨毛の変化した構造を示しており、化合物B(TFA)照射群およびアミフォスチン照射群の腸絨毛の構造は照射群よりも変化が軽度であり、放射性腸管障害に対する化合物B(TFA)の保護効果は高く、その効果はアミフォスチンと同様であることが示された。
【0082】
2. 放射線肺障害に対する保護効果
【0083】
C57雄マウスを、それぞれブランク対照群、照射群、化合物B(TFA)照射群、AMI照射群の4群にランダムに分け、照射30min前にすべて腹腔内注射により517mpk投与し、そして、17Gyの右肺放射線量で照射し、2、4、6ヶ月目に肺組織を採取してHE染色を実施した。
【0084】
図12は、片側肺照射後、肺の最も主な症状は放射線肺炎であり、対照群マウスは肺組織が明らかな空胞様構造を示し、17Gy群マウスは肺胞構造が変化し、肺胞が炎症細胞で満たされた肺への大きな炎症浸潤(青い点が炎症細胞)が示され、アミフォスチンおよび化合物Bは、炎症細胞浸潤を一部緩和して放射線肺炎を軽減することができ、これは化合物Bがアミフォスチンと同様の効果で、放射線肺障害に対して良好な保護効果を持つことを示唆している。
【0085】
3. 放射線誘発造血系障害に対する保護効果
【0086】
C57雄マウスを、それぞれブランク対照群、照射群、化合物B(TFA)群、AMI群、化合物B(TFA)照射群、AMI照射群の6群にランダムに分け、照射30min前に、腹腔内注射により517mpk投与し、そして、4Gyの全身放射線量で照射し、15日目にマウスを採取して末梢血指標を検出した。
【0087】
図13は、照射によってマウスの末梢血中のWBC、RBC、PLTの数が減少し、化合物B(TFA)の投与によって照射後のこれらの細胞の数が増加したことを示している。同時に、照射後、マウスの末梢血でLY%が減少し、NE%が増加し、化合物B(TFA)はこの分化異常を緩和することができるため、血液系に対して良好な保護効果を有することがわかった。
【0088】
実施例5:いくつかの新規アミノチオール系化合物の合成
【0089】
実施例5A:(R)-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオール 塩酸塩の合成:
【0090】
【0091】
ステップ1:S-トリチル-L-システインの合成:
【0092】
【0093】
化合物L-システイン 塩酸塩(10g、63.45mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(120ml)に溶解して、トリフェニルクロロメタン(19.46g、69.795mmol)を加え、60~65℃に加熱して8時間反応し、TLCにより反応終了を検出後に室温まで冷却し、10%の酢酸ナトリウム溶液(300ml)を加えて白色固体を析出させてろ過し、残渣を純水(300ml)で洗浄し、次にアセトン(200ml)で洗浄して乾燥させることにより、生成物が白色固体として得られた(17.56g、収率:76.15%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.28 (m, 18H), 2.92 (dd, 1H), 2.59 (dd, 1H), 2.41 (dd, 1H)。
【0094】
ステップ2:N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-トリチル-L-システインの合成:
【0095】
【0096】
化合物S-トリチル-L-システイン(5g、13.76mmol)を、ジオキサン(40ml)、水(20ml)、1Mの水酸化ナトリウム溶液(14ml)の混合溶液に溶解し、氷浴中で撹拌しながらBoc-無水物(3.5ml、15.14mmol)を加え、反応が自然に室温になると、8時間撹拌後、TLCにより反応終了を検出後に反応混合物を20~25mlに濃縮し、酢酸エチルを入れて、氷浴中で撹拌しながら重硫酸ナトリウム溶液を滴下して、pHを2~3に調整してから、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(5.5g、収率:86.21%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.26 (m、16H)、3.78 (d, 1H)、2.51 (m, 1H), 2.36 (dd, 1H), 1.4 (d, 9H)。
【0097】
ステップ3:N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-S-トリチル-L-システインの合成:
【0098】
【0099】
化合物N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-トリチル-L-システイン(2.1g、4.53mmol)を無水テトラヒドロフラン(6ml)に溶解し、水素化ナトリウム(436mg、10.9mmol)を無水テトラヒドロフラン(14ml)に溶解し、アミノ酸のテトラヒドロフラン溶液を氷浴条件で水素化ナトリウムのテトラヒドロフラン溶液に滴下し、次にヨードメタン(0.93ml、14.95mmol)をゆっくりと滴下し、一晩撹拌後、TLCにより反応終了を検出後に、pH=7のリン酸塩バッファーを入れてクエンチし、飽和塩化アンモニウム溶液でpHを6~7に調整し、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(1.3g、収率:60.19%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.3 (m, 15H), 3.75 (s, 1H), 2.8 (s, 1H), 2.66 (d, 4H), 1.4 (d, 9H)。
【0100】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル(R)-(1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸の合成:
【0101】
【0102】
化合物(R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルスルファニル)プロパン酸(10g、17.07mmol)を、テトラヒドロフラン(50ml)に溶解し、0~5℃でN,N-カルボニルジイミダゾール(5.59g、34.48mmol)を加えて窒素条件で2時間撹拌後に、メチルアミン(3.03ml、68.28mmol)を加え、0~5℃で2時間反応させ、反応物が消費された後、2Mの塩酸(60ml)を加えてクエンチし、反応混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮することによって、粗生成物を得て、メタノール(20ml)を加えて室温で一晩撹拌後、析出した白色固体をろ過して、残渣を生成物とし、メタノール相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、白色固体が得られた(9.44g、収率:92.37%)。1H NMR (400MHz, DMSO) δ 7.89 (d, 2H), 7.81 (d, 1H), 7.74 (d, 2H), 7.66 (d, 1H), 7.41 (t, 2H), 7.29 (m, 17H), 4.31 (d, 1H), 4.22 (t, 2H), 4.00 (d, 1H), 2.53 (d, 3H), 2.39 (d, 2H)。
【0103】
ステップ5:(R)-2-アミノ-N-メチル-3-(トリチルスルファニル)プロパンアミドの合成
【0104】
【0105】
化合物(9H-フルオレン-9-イル)メチル(R)-(1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸(2g、3.34mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解し、ピペリジン(0.07ml、0.668mmol)を加えて、室温下で4時間反応させ、TLCにより反応終了を検出後に反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が黄白色固体として得られた(879mg、収率:69.76%)。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.77 (d, 1H), 7.29 (m, 15H), 3.08 (m, 1H), 2.55 (d, 3H), 2.37 (dd, 1H), 2.19 (dd, 1H), 1.80 (s, 2H)。
【0106】
ステップ6:tert-ブチルメチル((R)-1-(((R)-1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸の合成:
【0107】
【0108】
化合物N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-S-トリチル-L-システイン(150mg、0.314mmol)を、ジクロロメタン(5ml)に溶解し、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(63.7mg、0.471mmol)、EDCI(90.3mg、0.471mmol)を加えて室温で5分間撹拌後に、(R)-2-アミノ-N-メチル-3-(トリチルスルファニル)プロパンアミド(141.9mg、0.377mmol)を加えて室温で30分間撹拌後に、TLCにより反応終了を検出し、混合物を飽和食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に濃縮して、TLC(ジクロロメタン:メタノール15:1)で精製することによって、生成物が白色固体として得られた(260mg、収率:99.2%)。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.39 (m, 12H), 7.22 (m, 20H), 4.1 (d, 1H), 3.95 (s, 1H), 2.61 (dd, 10H), 1.39 (s, 9H)。
【0109】
ステップ7:(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-フェニルプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩の合成:
【0110】
【0111】
化合物tert-ブチルメチル((R)-1-(((R)-1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸(1.1g、1.32mmol)を、ジクロロメタン:トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン(体積比50:47:3)(25ml)に溶解して、室温下で5min撹拌後に、TLCにより反応終了を検出し、濃縮してジエチルエーテルを加え、氷浴中で撹拌して析出した白色固体をろ過し、乾燥することによって生成物が得られた(400mg、収率:86.9%)。1H NMR (400MHz,MeOD) δ 4.5 (m, 1H), 4.07 (t, 1H), 3.18-2.96 (m, 3H), 2.82 (m, 1H), 2.78 (s, 3H), 2.74 (s, 3H); ESI-MS:252 [M+H]+。
【0112】
ステップ8:(R-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドの合成:
【0113】
【0114】
(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-フェニルプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩(2.0g、5.7mmol)を、ジクロロメタン(20ml)に加え、次にトリエチルアミン(2.0g、20mmol)および塩化p-メトキシベンジル(1.9g、12mmol)を加え、25℃で12時間撹拌した。反応液を濃縮して、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン5%~1%)、無色オイルが得られた(790mg、収率:29.3%)。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.9 (m, 1H), 7.28-7.25 (m, 4H), 6.88-6.84 (m, 4H), 6.35 (m, 1H), 4.47-4.42 (m, 1H), 3.81 (d, 6H), 3.72-3.70 (m, 3H), 3.51 (s, 2H), 3.04-3.01 (m, 1H), 2.95-2.90 (m, 1H), 2.84-2.72 (m, 5H), 2.67-2.64 (m, 1H), 2.32 (s, 3H)。
【0115】
ステップ9:(R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N2-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-2-(メチルアミノ)プロピル)-N1-メチルプロパン-1,2-ジアミンの合成:
【0116】
【0117】
(R-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド(790mg、1.6mmol)を、テトラヒドロフラン(10ml)に加え、次にボランテトラヒドロフラン溶液(21ml、21mmol)を加え、窒素の保護下で還流まで加熱し、8時間撹拌した。TLCにより反応終了を検出し、冷却後、メタノール(5ml)を加えてクエンチし、反応液を1時間撹拌して還流させた。反応液を濃縮することによって黄色オイルが得られた(740mg、収率:100%)。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.28-7.23 (m, 4H), 6.87-6.84 (m, 4H), 3.81 (s, 6H), 3.75 (t, 3H), 3.70 (s, 4H), 2.65-2.40 (m, 10H), 2.30 (dd, 3H)。
【0118】
ステップ10:(R)-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオール 塩酸塩の合成:
【0119】
【0120】
(R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N2-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-2-(メチルアミノ)プロピル)-N1-メチルプロパン-1,2-ジアミン(800mg、1.7mmol)とo-クレゾール(1.9g、17mmol)を、トリフルオロ酢酸(30ml)に加え、窒素の保護下で還流まで加熱し、8時間撹拌した。TLCにより反応終了を検出し、冷却後に濃縮して水(10ml)およびジエチルエーテル(20ml)を添加した。反応液を分液して、水相をジエチルエーテル(15ml)で洗浄した。水相を炭酸カリウム水溶液(10%)でpHが10になるように調整して、次にジクロロメタン(10ml X 2)で抽出し、有機相を合わせて、塩化水素/ジクロロメタン溶液(1M、10ml)を加えた。白色固体はろ過によって得られた(200mg、収率:45%)。1H NMR (400MHz,D2O) δ 3.93 (bs, 1H), 3.71-3.67 (m, 1H), 3.44-3.35 (m, 2H), 3.29-3.22 (m, 3H), 3.17 (d, 2H), 3.03-2.99 (m, 1H), 2.67 (d, 6H); ESI-MS:224 [M+H]+。
【0121】
実施例5B:(R-2-(((R)-3-メルカプト-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオール 塩酸塩の合成:
【0122】
【0123】
ステップ1:S-トリチル-L-システインの合成:
【0124】
【0125】
化合物L-システイン 塩酸塩(10g、63.45mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(120ml)に溶解し、トリフェニルクロロメタン(19.46g、69.795mmol)を加え、60~65℃に加熱して、8時間反応させ、TLCにより反応終了を検出後に室温まで冷却し、10%の酢酸ナトリウム溶液(300ml)を加えて、白色固体を析出させてろ過し、残渣を純水(300ml)で洗浄し、次にアセトン(200ml)で洗浄し、乾燥させることにより、生成物が白色固体として得られた(17.56g、収率:76.15%)。1H NMR (400MHz, DMSO) δ 7.28 (m, 18H), 2.92 (dd, 1H), 2.59 (dd, 1H), 2.41 (dd, 1H)。
【0126】
ステップ2:N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-トリチル-L-システインの合成:
【0127】
【0128】
化合物S-トリチル-L-システイン(5g、13.76mmol)を、ジオキサン(40ml)、水(20ml)、1M水酸化ナトリウム溶液(14ml)の混合溶液に溶解し、氷浴中で撹拌しながらBoc-無水物(3.5ml、15.14mmol)を加えて、反応が自然に室温になると、8時間撹拌し、TLCにより反応終了を検出後に反応混合物を20~25mlに濃縮し、酢酸エチルを加え、氷浴中で撹拌しながら重硫酸ナトリウム溶液を滴下し、pHを2~3に調整してから、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(5.5g、収率:86.21%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.26 (m, 16H), 3.78 (m, 1H), 2.51 (m, 1H), 2.36 (dd, 1H), 1.4 (s, 9H)。
【0129】
ステップ3:N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-S-トリチル-L-システインの合成:
【0130】
【0131】
化合物N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-トリチル-L-システイン(2.1g、4.53mmol)を、無水テトラヒドロフラン(6ml)に溶解し、水素化ナトリウム(436mg、10.9mmol)を無水テトラヒドロフラン(14ml)に溶解し、アミノ酸のテトラヒドロフラン溶液を氷浴条件で水素化ナトリウムのテトラヒドロフラン溶液に滴下し、次にヨードメタン(0.93ml、14.95mmol)をゆっくりと滴下し、一晩撹拌後、TLCにより反応終了を検出し、pH7のリン酸塩バッファーを加えてクエンチし、飽和塩化アンモニウム溶液でpHを6~7に調整し、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(1.3g、収率:60.19%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.3 (m, 15H), 3.75 (s, 1H), 2.8 (s, 1H), 2.66 (d, 4H), 1.4 (d, 9H)。
【0132】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル(R)-(1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸の合成:
【0133】
【0134】
化合物(R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルスルファニル)プロパン酸(10g、17.07mmol)を、テトラヒドロフラン(50ml)に溶解し、0~5℃でN,N-カルボニルジイミダゾール(5.59g、34.48mmol)を加え、窒素条件で2時間撹拌後に、メチルアミン(3.03ml、68.28mmol)を加えて、0~5℃で2時間反応させ、反応物が消費された後、2Mの塩酸(60ml)を加えてクエンチし、反応混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に濃縮することによって、粗生成物を得て、メタノール(20ml)を加えて室温で一晩撹拌後、析出した白色固体をろ過し、残渣を生成物とし、メタノール相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、白色固体が得られた(9.44g、収率:92.37%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.89 (d, 2H), 7.81 (d, 1H), 7.74 (d, 2H), 7.66 (d, 1H), 7.41 (t, 2H), 7.29 (m, 17H), 4.31 (d, 1H), 4.22 (t, 2H), 4.00 (d, 1H), 2.53 (d, 3H), 2.39 (d, 2H)。
【0135】
ステップ5:(R)-2-アミノ-N-メチル-3-(トリチルスルファニル)プロパンアミドの合成:
【0136】
【0137】
化合物(9H-フルオレン-9-イル)メチル(R)-(1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸(2g、3.34mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解し、ピペリジン(0.07ml、0.668mmol)を加えて室温下で4時間反応させ、TLCにより反応終了を検出後に、反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が黄白色固体として得られた(879mg、収率:69.76%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.77 (d, 1H), 7.29 (m, 15H), 3.08 (m, 1H), 2.55 (d, 3H), 2.37 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 1.80 (s, 2H)。
【0138】
ステップ6:(9H-フルオレン-9-イル)メチル((R)-1-(((R)-1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸の合成:
【0139】
【0140】
化合物(R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルスルファニル)プロパン酸(100mg、0.17mmol)を、ジクロロメタン(5ml)に溶解し、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(34.5mg、0.255 mmol)、EDCI(48.9mg、0.255mmol)を加えて室温で5分間撹拌後に、(R)-2-アミノ-N-メチル-3-(トリチルスルファニル)プロパンアミド(76.8mg、0.204mmol)を加えて室温で30分間反応させ、TLCにより反応終了を検出後に混合物を飽和食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(160mg、収率:99.68%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.89 (d, 2H), 7.71 (m, 4H), 7.40 (m, 2H), 7.38-7.25 (m, 30H), 4.25 (m, 4H), 4.01 (m, 1H), 2.50-2.33 (m, 7H)。
【0141】
ステップ7:(R)-2-アミノ-N-((R)-1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)-3-(トリチルスルファニル)プロパンアミドの合成:
【0142】
【0143】
化合物(9H-フルオレン-9-イル)メチル((R)-1-(((R)-1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)カルバミン酸(3.6g、3.8mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(15ml)に溶解し、ピペリジン(0.07ml、0.76mmol)を加えて室温下で4時間反応させ、TLCにより反応終了を検出後に反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(1.3g、収率:47.44%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.12 (s, 1H), 7.83 (d, 1H), 7.27 (m, 30H), 4.25 (s, 1H), 3.29 (m, 2H), 3.20 (s, 1H), 2.65-2.23 (m, 5H)。
【0144】
ステップ8:メチル((4R,7R,10R)-3,6,9-トリオキソ-13,13,13-トリフェニル-4,7-ビス((トリチルスルファニル)メチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)カルバミン酸tert-ブチルの合成:
【0145】
【0146】
化合物N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-S-トリチル-L-システイン(509mg、1.07mmol)を、ジクロロメタン(10ml)に溶解し、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(218mg、1.61mmol)、EDCI(309mg、1.61mmol)を加えて室温で5分間撹拌後に、(R)-2-アミノ-N-((R)-1-(メチルアミノ)-1-オキソ-3-(トリチルスルファニル)プロパン-2-イル)-3-(トリチルスルファニル)プロパンアミド(924mg、1.28mmol)を加えて室温で30分間反応させ、TLCにより反応終了を検出後に混合物を飽和食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン1%~5%)、生成物が白色固体として得られた(985mg、収率:77.93%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.11 (d, 1H), 7.73 (d, 2H), 7.32-7.21 (m, 45H), 4.25 (m, 3H), 2.62 (m, 1H), 2.49 (m, 6H)2.47-2.23 (m, 5H), 1.35-1.21 (d, 9H)。
【0147】
ステップ9:(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩の合成:
【0148】
【0149】
メチル((4R,7R,10R)-3,6,9-トリオキソ-13,13,13-トリフェニル-4,7-ビス((トリチルスルファニル)メチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)カルバミン酸tert-ブチル(1.5g、1.27mmol)を、ジクロロメタン:トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン(体積比50:47:3)(40ml)に溶解して室温下で5min撹拌後に、TLCにより反応終了を検出し、濃縮してジエチルエーテルを加え、氷浴中で撹拌して析出した白色固体をろ過し、乾燥することによって生成物が得られた(446mg、収率:77.77%)。1HNMR(400MHz, MeOD) δ 4.54 (m, 1H), 4.42 (m, 1H), 4.05 (t, 1H), 3.13 (m, 1H), 2.99 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 2.79 (m, 1H), 2.73 (s, 3H), 2.70 (s, 3H)。ESI-MS: 355, [M+H]+。
【0150】
ステップ10:(R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-1-(((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミドの合成:
【0151】
【0152】
(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩(1.1g、2.4mmol)を、ジクロロメタン(20ml)に加え、次にトリエチルアミン(1.1g、11mmol)および塩化p-メトキシベンジル(1.1g、7.2mmol)を加えて25℃で12時間撹拌した。反応液を濃縮して、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(メタノール:ジクロロメタン5%~1%)、無色オイルが得られた(640mg、収率:36%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.84 (s, 1H), 7.28-7.22 (m, 6H), 6.96 (d, 1H)、6.88-6.83 (m, 6H), 6.70 (s, 1H)4.55-4.53 (m, 2H), 3.79 (s, 9H), 3.71-3.67 (m, 7H), 3.03-2.79 (m, 6H), 2.80 (d, 3H), 2.65-2.61 (m, 1H)2.34 (s, 3H)。
【0153】
ステップ11:(R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N2-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-2-(((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)プロピル)-N1-メチルプロパン-1,2-ジアミンの合成:
【0154】
【0155】
(R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-1-(((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド(3.2g、4.5mmol)を、テトラヒドロフラン(100ml)に加え、次にボランテトラヒドロフラン溶液(140ml、140mmol)を加えて窒素の保護下で還流まで加熱し、8時間撹拌した。TLCにより反応終了を検出し、冷却後、メタノール(20ml)を加えてクエンチし、反応液を1時間撹拌して還流させた。反応液を濃縮することによって黄色オイルが得られた(3.1g、収率:100%)。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.25-7.22 (m, 6H), 6.86-6.84 (m, 6H), 3.80 (d, 9H), 3.67 (d, 6H), 2.65-2.44 (m, 19H), 2.30 (d, 6H)。
【0156】
ステップ12:(R-2-(((R)-3-メルカプト-2-(((R)-3-メルカプト-2-(メチルアミノ)プロピル)アミノ)プロピル)アミノ)-3-(メチルアミノ)プロパン-1-チオール 塩酸塩の合成:
【0157】
【0158】
(R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-N2-((R)-3-((4-メトキシベンジル)チオ)-2-(メチルアミノ)プロピル)-N1-メチルプロパン-1,2-ジアミン(3.1g、4.5mmol)およびo-クレゾール(15g、140mmol)を、トリフルオロ酢酸(120ml)に加えて窒素の保護下で還流まで加熱し、8時間撹拌した。TLCにより反応終了を検出し、冷却後に濃縮して水(15ml)およびジエチルエーテル(30ml)を添加した。反応液を分液して、水相をジエチルエーテル(30ml)で洗浄し、次に水相を炭酸カリウム水溶液(10%)でpHが10になるように調整して、ジクロロメタン(10ml X 2)で抽出し、有機相を合わせて、塩化水素/ジクロロメタン溶液(1M、30ml)を加えた。白色固体はろ過によって得られた(200mg、収率:28%)。1H NMR (400MHz, D2O) δ 4.01-3.93 (m, 1H), 3.75-3.70 (m, 1H), 3.63-3.61 (m, 1H), 3.44-3.37 (m, 3H), 3.27-2.93 (m, 10H), 2.70 (d, 3H), 2.65 (d, 3H); ESI-MS:313 [M+H]+。
【0159】
実施例5C:(R)-N-((R)-3-((2-メトキシプロパン-2-イル)チオ)-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2,2,3-トリメチルチアゾリジン-4-カルボキサミドの合成:
【0160】
【0161】
(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-フェニルプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩(4g、11mmol)、1gのモンモリロナイトK10、50mlアセトン、150mlの2,2-ジメトキシプロパンを混合して溶解し、N2保護で25℃で24h撹拌した。TLCにより反応終了を検出後に、ろ過し、ろ液をスピンドライし、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(中性Al2O3、MeOH/DCM=1/450)、600mg、収率15.1%の生成物が得られた。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.86 (d, 1H), 6.29 (s, 1H), 4.49 (dd, 1H), 3.53 (dd, 1H), 3.41 (dd, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.10 (dd, 1H), 3.00-2.77 (m, 5H), 2.34 (s, 3H), 1.65-1.53 (m, 9H), 1.46 (s, 3H), ESI-MS:365 [M+H]+。
【0162】
実施例5D:(R)-2,2,3-トリメチル-N-((6R,9R)-3,3,12,12-テトラメチル-6-(メチルカルバモイル)-8-オキソ-2,13-ジオキサ-4,11-ジチア-7-アザテトラデカン-9-イル)チアゾリジン-4-カルボキサミドの合成:
【0163】
【0164】
(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-(((R)-3-メルカプト-1-(メチルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド トリフルオロ酢酸塩(4.5g、9.6mmol)、0.9gのモンモリロナイトK10、45mlのアセトン、135mlの2,2-ジメトキシプロパンを混合して溶解し、窒素保護で25℃で24h撹拌した。TLCにより反応終了を検出後に、ろ過し、ろ液をスピンドライし、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(中性Al2O3、MeOH/DCM=1/350)、650mg、収率12.5%の生成物が得られた。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.95 (d, 1H), 7.36 (d, 1H), 6.78 (s, 1H), 4.68 (dt, 1H), 4.56 (dd, 7.3 Hz, 1H), 3.57 (dd, 1H), 3.42 (dd, 1H), 3.32 (d, 6H), 3.15 (ddd, 2H), 2.93 (ddd, 3H), 2.84 (d, 3H), 2.40 (s, 3H), 1.58 (dt, 15H), 1.48 (s, 3H), ESI-MS:539 [M+H]+。
【0165】
実施例5E:(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミド
【0166】
【0167】
ステップ1:(R)-(2-(2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルスルファニル)プロピオンアミド)エチル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチルの合成
【0168】
【0169】
N-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-S-トリチル-L-システイン(10g、17.07mmol)を100mlのジクロロメタンに溶解して、室温条件で1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(EDCI)を加え、10分間撹拌し、(2-アミノエチル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチル(3.6g、20.48mmol)を加え、室温で40分間撹拌し、TLCにより反応終了を検出後に50%の飽和塩化ナトリウムおよび水を加えてクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(石油エーテル:酢酸エチル=3:1-1:3)、標題生成物が白色固体として得られた(10g、収率86%),HESI:742.45 [M+H]+
【0170】
ステップ2:(R)-2-(2-アミノ-3-(トリフェニルスルファニル)プロピオンアミド)エチル(メチル)カルバミン酸tert-ブチルの合成
【0171】
【0172】
(R)-(2-(2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルスルファニル)プロピオンアミド)エチル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチル(8.8g、11.86mmol)を、80mlのジクロロメタンに溶解し、1,8-ジアザビシクロウンデック-7-エン(DBU)(8.2g、53.90mmol)を加えて室温条件で40分間撹拌し、TLCにより反応終了を検出後に50%の飽和塩化ナトリウムおよび水を加えてクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(石油エーテル:酢酸エチル=3:1-1:3)、標題生成物が白色固体として得られた(5.6g、収率89%)。1H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.49-7.44 (m, 5H), 7.34-7.28 (m, 7H), 7.26-7.21 (m, 3H), 3.33 (s, 4H), 3.04 (s, 1H), 2.85 (s, 3H), 2.77 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 2.54 (s, 1H), 1.46 (s, 9H)。
【0173】
ステップ3:((5R,8R)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9-トリオキソ-5,8-ビス((トリチルスルファニル)メチル)-2-オキサ-4,7,10-トリス(システイニル)-12-イル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチルの合成:
【0174】
【0175】
N-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-S-トリチル-L-システイン(10g、17.07mmol)を100mlジクロロメタンに溶解し、室温条件で1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(EDCI)を加えて10分間撹拌し、(R)-2-(2-アミノ-3-(トリフェニルスルファニル)プロピオンアミド)エチル(メチル)カルバミン酸tert-ブチルを加え、次に室温で40分間撹拌し、TLCにより反応終了を検出後に50%の飽和塩化ナトリウムおよび水を加えてクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(石油エーテル:酢酸エチル=3:1-1:3)、標題生成物が白色固体として得られた(9.8g、収率87.5%), 1H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.77 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.47-7.33 (m, 14H), 7.28-7.13 (m, 20H), 5.00 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 4.38 (dt, J = 17.2, 9.2 Hz, 2H), 4.17 (dd, J = 16.8, 7.2 Hz, 2H), 3.26 (s, 2H), 3.14 (s, 2H), 2.79 (s, 3H), 2.76-2.36 (m, 4H), 1.45 (s, 9H)。
【0176】
ステップ4:(2-((R)-2-((R)-2-アミノ-3-(トリチルスルファニル)プロピオンアミド)-3-(トリチルスルファニル)プロピオンアミド)エチル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチルの合成
【0177】
【0178】
((5R,8R)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9-トリオキソ-5,8-ビス((トリチルスルファニル)メチル)-2-オキサ-4,7,10-トリス(システイニル)-12-イル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチル(2g、1.840mmol)を、50mlのジクロロメタンに溶解し、1,8-ジアザビシクロウンデック-7-エン(DBU)(8.2g、53.90mmol)を加えて室温条件で40分間撹拌し、TLCにより反応終了を検出後に50%の飽和塩化ナトリウムおよび水を加えてクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(石油エーテル:酢酸エチル=3:1-1:3)、標題生成物が白色固体として得られた(1.28g、収率80%)。1H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.58-7.14 (m, 30H), 4.28-4.06 (m, 1H), 3.24 (s, 4H), 2.82 (s, 3H), 2.71 (s, 2H), 2.47 (s, 2H), 1.43 (s, 9H)。
【0179】
ステップ5:((6R,9R)-7,10-ジオキソ-6,9-ビス((トリチルスルファニル)メチル)-2,5,8,11-テトラアザトライデカン-13-イル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチルの合成
【0180】
【0181】
(2-((R)-2-((R)-2-アミノ-3-(トリチルスルファニル)プロピオンアミド)-3-(トリチルスルファニル)プロピオンアミド)エチル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチル(500mg、0.578mmol)を、10mlのメタノール溶液に溶解し、0℃の条件で水素化ホウ素ナトリウムを加え、一滴の氷醋酸を滴下して、メチル(2-オキソエチル)カルバミン酸tert-ブチル(150mg、0.868mmol)を加えて室温で1時間撹拌し、真空濃縮し、反応物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、カラムクロマトグラフィーによる分離を行うことによって(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)、生成物が得られた(370mg、収率63%)。1H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.49-7.33 (m, 13H), 7.29-7.19 (m, 18H), 3.98 (m, 1H), 3.24-3.16 (m, 6H), 2.81 (s, 3H), 2.79 (s, 3H), 2.65-2.62 (m, 2H), 2.58-2.55 (m, 2H), 2.51-2.36 (m, 3H), 1.45 (s, 9H), 1.43 (s, 9H)。
【0182】
ステップ6:(R)-3-メルカプト-N-((R)-3-メルカプト-1-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)プロパンアミドの合成
【0183】
【0184】
((6R,9R)-7,10-ジオキソ-6,9-ビス((トリチルスルファニル)メチル)-2,5,8,11-テトラアザトライデカン-13-イル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチル(360mg、0.390mmol)を、5mlジクロロメタン溶液に溶解して、窒素の保護下で、トリフルオロ酢酸(4.45g、39.03mmol)、トリイソプロピルシラン(0.17g、0.109mmol)を加えて40分間撹拌し、TLCにより反応終了を検出後に反応系を真空濃縮し、メチルtert-ブチルエーテルで洗浄することによって、生成物が得られ (TFA塩形態、125mg、収率81%)、6段階反応後の総収率は、25.7%であって、1H NMR (400 MHz,酸化重水素) δ 4.48 (dd, J = 7.8, 5.3 Hz, 1H), 4.23 (s, 1H), 3.50 (q, J = 5.8 Hz, 2H), 3.45-3.29 (m, 4H), 3.17-3.11 (m, 3H), 3.04 (dd, J = 14.9, 6.0 Hz, 1H), 2.94 (dd, J = 14.3, 5.3 Hz, 1H), 2.83 (dd, J = 14.2, 7.7 Hz, 1H), 2.71 (s, 3H), 2.66 (s, 3H)。HESI: 436.70 [M+H]+
【0185】
このようにして、以下の実施例5F、5G、5Hを製造した。
【0186】
実施例5F:(R)-N-((7R,10R)-6,9-ジオキソ-13,13,13-トリフェニル-7-(トリチルチオメチル)-12-チア-2,5,8-トリアザトリデカン-10-イル)-3-メルカプト-2-(2-(メチルアミノ)エチルアミノ)プロパンアミド
【0187】
【0188】
実施例5G:(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロパンアミド
【0189】
【0190】
実施例5H:(R)-N-((R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-2-オキサ-4-チア-8,11-ジアザドデカン-6-イル)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-((R)-3-(2-メトキシプロパン-2-イルチオ)-2-(2,2,3-トリメチルイミダゾリジン-1-イル)プロピオンアミド)プロパンアミド
【0191】
【0192】
実施例5I:生物学的活性実施例-化合物1、化合物2、化合物3の保護効果。
【0193】
材料:γ線照射装置は137Cs照度計、線量率は0.99Gy/minであった。C57BL/6マウスは雄性で、体重21~22gであって、北京華阜康バイオテクノロジー会社から購入し、許可証番号がSCXK(京)2014-0004であり、群分けは、照射・ブランク溶媒投与群、照射・薬剤投与群があり、6匹を1群とした。化合物1、化合物2、化合物3 (それぞれが実施例5A、5C、5Dから製造された)の構造を表1に示している。
【0194】
【0195】
方法:照射と薬剤処理方法:137Csγ線を1回全身照射し、放射線量率は0.99 Gy/minであって、マウスの吸収線量はそれぞれ8.0 Gyであって、化合物1を生理食食塩水に溶解して投与しながらよく振り,照射30分間前に腹腔内注射した(200mg/kgBW)。対照群には生理食食塩水を注射し、8.0Gyの放射線量を照射した。各群のマウスの30日生存率を観察し、生存率を算出した。
【0196】
結果:化合物1 (200mg/kg BW)を腹腔内注射して8.0Gyの
137Cs γ線を1回全身照射後、照射・ブランク溶媒投与群と比較して、各群のマウスの生存率を
図1に示している。
【0197】
方法:照射と薬剤処理方法:137Cs γ線を1回全身照射し、放射線量率は0.99 Gy/minであって、マウスの吸收用量はそれぞれ8.0 Gyであって、化合物2、3を85% HP-β-CDと15% Solutol HSの混合溶媒に溶解して投与しながらよく振いた。化合物2を照射4時間前に強制経口投与し(1600mg/kg BW)、化合物3を照射1時間前に強制経口投与した(1500mg/kg BW)。対照群に、85% HP-β-CDと15% Solutol HSの混合溶媒を強制経口投与し、放射線量は8.0Gyであった。各群のマウスの30日生存率を観察し、生存率を算出した。
【0198】
結果:化合物2 (1600mg/kg BW)を強制経口投与して8.0Gy
137Csγ線を1回全身照射後、照射・ブランク溶媒投与群と比較して、各群のマウスの生存率を
図2に示している。化合物3 (1500mg/kg BW)を強制経口投与して8.0Gy
137Csγ線を1回全身照射後、照射・ブランク溶媒投与群と比較して、各群のマウスの生存率を
図3に示している。
【0199】
実施例6:心筋虚血再灌流モデルにおける本発明の化合物の効果の評価
【0200】
本発明の化合物の効果を評価するために、以下の心筋虚血再灌流モデルを使用した。
【0201】
1.0 g・kg~1のウラン溶液でラットを腹腔内注射して麻酔した。
【0202】
針状の電極をラットの四肢に皮下挿入し、心電図に接続し、リード線IIをトレースして、心電図の変化を連続的に観察し、さらに正常な心電図のラットをテスト用に選択し、異常なものは除外した。
【0203】
ラットの頸部正中切開を行い、気管を分割して、気管挿管を挿入した。小動物用人工呼吸器に接続して、呼吸数が7080回/分間、呼吸比が1.5:1、潮量が11.5ml/100gになるように確保した。最初に、右総頸動脈を剥離し、左心カテーテルを挿入して心機能の各種パラメータを観察し、胸骨左端の第24肋間で胸を開き、開創器で肋骨を引き離して心臓を露出させて10分間静置し、血圧と呼吸を安定させ、冠動脈の左前下行枝(LAD)を3-0縫合糸で結紮して虚血障害を30分間行い、30分間後に縫合糸を抜糸して血液供給を回復し、再灌流障害を行った。心筋梗塞の面積はTTC染色で評価した
【0204】
モデリングを成功させるための基準:
冠動脈結紮の成功基準:心電図上、S-Tセグメントの上昇および/またはT波の増高が明らかであり、心外膜縫合部遠位端でチアノーゼが認められれば、冠動脈結紮は成功したことを判明した。
虚血後再灌流の成功基準:上昇したS-Tセグメントの50%以上が降下し、心外膜の色が元の色合いに戻った場合に、虚血後再灌流モデルが正常に構築されたことを示している。
【0205】
実験除外基準:
実験的手術中の過度出血のモデル
虚血処理の前に、ラットは重度の不整脈を発症し、そのうちの67%が心室細動、心室粗動、心房細動、心房粗動、上室性頻拍、心室性頻拍、頻繁な心室性期外収縮、房室ブロック、束枝伝道ブロックを含む。
【0206】
ラットでは70mmHg以上の平均動脈圧の持続的な減少が見られた。
【0207】
実施例7:心筋梗塞モデルにおける本発明の化合物の効果の評価
【0208】
1. 以下のように、ラットを群分けて投与した。
(1)モデル
(2)化合物B(iv)100mg/kg
(3)化合物A(iv)100mg/kg
(4)化合物A(経口)500mg/kg
(5)一硝酸イソソルビド注射剤(iv)1 mg/kg(臨床等価用量に相当)。
【0209】
各群の10匹は、30 min虚血して再灌流直後に、10%iv 1min+90%ivdrip 30minの静脈内投与を行い、投与体積が2ml/匹であった。化合物A(経口)500 mg/kgを再灌流2時間後の動物覚醒後に強制経口投与し、投与体積が10 ml/kgであった。
注:該実施例で用いられた化合物A、Bは、それらの塩酸塩形態であった。
【0210】
2. モデル作成
【0211】
ラットは3%ペントバルビタールナトリウム60mg/kgの腹腔内注射による全身麻酔下で手術台上に仰臥位で固定された。胸部前外側は、外科手術で剥離され、定期的に消毒された。皮膚と筋層を切開し、筋層を巾着縫合し、左第4肋間腔を開き、リング開創器で心臓を引き抜いた。左心耳から3~4mm下の冠動脈前下行枝に6/0非侵襲性絹糸を通し、直径1.6mmのナイロン糸を並べて冠動脈前下行枝と一緒に結紮し、他端は体外使用可能ように残した。心臓を胸腔内に戻し、胸腔の空気を排出して胸腔を閉じた。結紮30min後に、再灌流のためにナイロン糸を注意深く取り除いた。
【0212】
冠動脈結紮30min後に、正常なリードII心電図(ECG-II)と比較して、ECG-IIのSTセグメントの0.1mV以上の上昇は、虚血成功とした。上記の基準を満たさない動物はモデリングに失敗したことを意味し、実験から除外された。
【0213】
3. 心筋梗塞範囲と心筋酵素の測定
【0214】
心臓の左心室を採取して、冠状面に沿って2mm厚さの切片に切り出し、2%TTC染色液に入れ、37°Cで暗所で2分間インキュベートして染色し、デジタル画像をCOOLPIX955デジタルカメライメージングシステムを用いてコンピューターに記憶し、画像分析システムv4.0ソフトウェアで梗塞領域と全脳面積を計測して心筋梗塞範囲(左心室面積に対する梗塞領域面積の割合)を算出した。
【0215】
ラットより腹部大動脈より採血し、4℃、3000rpm×10minで遠心分離し、上層の血清を取り出して酵素結合免疫吸着測定法によりLDHを測定した。
【0216】
4. 実験結果
【0217】
4.1. 心筋梗塞範囲
モデル対照群に比べて、化合物B(iv)100mg/kg群、化合物A(iv)100mg/kg群、化合物A(経口)500mg/kg群を治療後、心筋梗塞範囲をそれぞれ25.2%(P<0.05)、24.5%(P<0.05)、28.5%(P<0.01)縮小することができ、一硝酸イソソルビド注射剤1mg/kg群の場合、25.5%(P<0.05)縮小することができた。各群と一硝酸イソソルビド注射剤群との間に有意差はなかった(P>0.05)。
【0218】
【0219】
4.2.心筋酵素測定結果
モデル対照群に比べて、化合物B(iv)100 mg/kg群、化合物A(iv)100 mg/kg群、化合物A(経口)500 mg/kg群を治療後、心筋酵素LDHをそれぞれ22.2%(P<0.05)、19.9%(P<0.05)、25.8%(P<0.01)減少することができ、一硝酸イソソルビド注射剤1 mg/kg群の場合、22.4%(P<0.05)減少することができた。各群と一硝酸イソソルビド注射剤群との間に有意差はなかった(P>0.05)。結果を表2に示した。
【0220】
【0221】
実施例8:ブレオマイシン(BLM)誘発強皮症マウスモデルにおける真皮線維化に対する本発明の化合物の保護効果
【0222】
材料:体重20~25gのC57BL/6雌マウスを、上海スラック実験動物株式会社から購入し、24匹のマウスを、6匹を1群として、乱数表法によりブランク対照群(1)、強皮症モデル群(2)、強皮症+化合物A治療群(3)、強皮症+化合物B治療群(4)に分けた。ブレオマイシン(bleomycin,BLM)はSigma社から購入した。H-E染色キットはBeijing solarbio science&technology Co.,Ltdから購入した。該実施例で用いられた化合物Aはその塩酸塩の形態、化合物Bはそのトリフルオロ酢酸塩の形態であった。
【0223】
方法:電気シェーバーでマウスの注射予定部位(面積1cm2)を剃毛した。(1)、(2)群のマウスにPBSを腹腔内注射し、(3)群のマウスに化合物A(600 mg/kg/D、PBSに溶解)を強制経口投与し、(4)群のマウスに化合物B (200 mg/kg/D、PBSに溶解)を腹腔内注射し、その直後に(1)群のマウスにPBSを背部皮下注入し、(2)、(4)群のマウスにBLM (1 mg/ml、PBSに溶解)を背部皮下注入15 min後に、(3)群のマウスにBLM (1 mg/ml、PBSに溶解)を背部皮下注入した。1日1回、28日間連続で投与後、29日目に頸椎脱臼により動物を屠殺した。マウスに対して、背部皮膚を通常のヨウ素で消毒し、局所病変皮膚組織を外科的に切り取り、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、切片化し、H-E染色で分析した。
【0224】
結果:
図17に示すように、H-E染色によって、ブランク対照群では、真皮層のコラーゲン線維分布構造が正常であり、脂肪層が明瞭であることがわかった。一方、BLMモデル群では、真皮のコラーゲンが著しく増加し、脂肪層が消失し、明らかな炎症性細胞の浸潤が見られた。BLMモデル群と比較して、化合物B治療群では真皮層のコラーゲン増殖が改善され、化合物A治療群では真皮層のコラーゲンの厚さが有意に減少し、脂肪層が有意に肥厚していた。
図18から、BLMモデル群ではブランク対照群と比較して真皮の厚さが増加し(p<0.001)、化合物B治療群ではBLMモデル群と比較して真皮の厚さが減少し(p<0.01)、化合物Aによる治療はBLMモデル群と比較して皮膚病変部位の真皮の厚さをより低減でき、その差は統計的に有意であったことがわかる(p<0.001)。
【0225】
実施例9:ブレオマイシン(BLM)誘発強皮症マウスモデルにおけるヒドロキシプロリン発現量に対する本発明の化合物の影響
【0226】
材料:ヒドロキシプロリンキット、H2O2キットは南京建成生物工程研究所から購入した。
【0227】
方法:マウスの皮膚病変組織の一部を採取し、キットの説明書に従って、皮膚病変部のヒドロキシプロリン、過酸化水素の含有量を検出した。
【0228】
結果:この研究では、コラーゲンの含有量をヒドロキシプロリンの量により間接的評価した、
図19に示されるように、BLM処理後、皮膚組織におけるヒドロキシプロリン発現量は有意に高くなり(p<0.05)、皮膚病変部位は、化合物A、Bによる治療後にヒドロキシプロリンレベルをダウンレギュレートし、ここで、BLM+化合物B群がBLMモデル群と比較して有意差が認められた(p<0.05)。なお、この研究では、組織中の過酸化水素の濃度を調べることで,組織中の酸化ストレスレベルを検出し、
図20に示されるように、BLMは組織中のH
2O
2レベルを有意にアップレギュレートでき(p<0.001)、A、Bによる治療後に皮膚中のH
2O
2の濃度は低下し,BLMモデル群と比較して差が有意であった(p<0.01、p<0.001)。該実施例で用いられた化合物Aはその塩酸塩形態、化合物Bはそのトリフルオロ酢酸塩形態であった。
【0229】
これまでに、本発明は、本発明の多数の例示的な実施形態が本明細書で詳細に図示および説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の原理に従った他の多くの変形または修正が本発明の開示から直接特定または推論できることが当該技術分野における当業者には認識されるべきである。従って、本発明の範囲は、このような他のすべての変形または修正をカバーするものと理解され、保持されるべきである。