(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】ワックスモデル射出成型方法およびワックスモデル射出成型装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/04 20060101AFI20240605BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240605BHJP
B29C 33/40 20060101ALI20240605BHJP
B22C 7/02 20060101ALI20240605BHJP
B22C 9/04 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
B29C45/04
B29C45/76
B29C33/40
B22C7/02 103
B22C9/04 G
(21)【出願番号】P 2022532937
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025927
(87)【国際公開番号】W WO2022003885
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】517426823
【氏名又は名称】CSG Investments株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100206139
【氏名又は名称】大塚 匡
(72)【発明者】
【氏名】安井 深作
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001738(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076738(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/023212(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/236495(WO,A1)
【文献】特開2007-237186(JP,A)
【文献】実開平02-130313(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/04
B29C 45/76
B29C 33/40
B22C 7/02
B22C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空パターンを内部に有するゴム型をクランプ装置に設けられているクランプ部でクランプして、ゴム型を射出成型装置に設けられたワックス樹脂を射出す
る射出ノズルに嵌合する工程と、ワックス樹脂が充填された充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程を含むワックスモデル射出成型方法において、
充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程の2つの工程を、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型を前記クランプ部内へ移動させ
て押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型を前記クランプ部内から押し出して排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部内に供給するようにした
一の動作で行う1つの工程とすることを特徴とするワックスモデル射出成型方法。
【請求項2】
ワックス樹脂を射出す
る射出ノズルから中空パターンを内部に有するゴム型へワックス樹脂を充填する装置本体に、ゴム型をクランプし前記装置本体の前記射出ノズル方向に前後に移動して、ゴム型に開口する注入口と前記射出ノズルを嵌合・離反させるクランプ装置が併設されたワックスモデル射出成型装置において、
前記クランプ装置は、ゴム型を載置する型台とこの型台に対して鉛直方向に移動可能なクランプヘッドからなるクランプ部を備えており、前記クランプ部には、クランプ装置の前後移動方向と直行する左右方向の一側にゴム型を前記クランプ部内に供給する供給口が設けられ、他側にワックス樹脂が充填された充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する排出口が設けられ、前記クランプ部の前記供給口の外側には、前記クランプ部内へ供給するゴム型を待機させる待機台と、ゴム型を前記待機台の手前まで搬送する搬送部と、前記クランプ装置の移動方向と直行する左右方向に移動して前記待機台に待機しているゴム型を前記供給口から前記クランプ部内へ供給するゴム型供給手段と、前記搬送部で搬送されてきたゴム型を前記待機台に移送するゴム型移送手段を備え、前記排出口には、クランプ部内から排出された充填済みゴム型を受ける充填済みゴム型受け台を備えており、
前記ゴム型移送手段は、前記クランプ装置が前記射出ノズル方向に前進移動し、ゴム型に開口する前記注入口と前記射出ノズルが嵌合し、前記射出ノズルからゴム型内にワックス樹脂が射出充填される過程で、前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を前記待機台へ移送するようになっており、前記ゴム型供給手段は、ゴム型へのワックス樹脂の充填中または充填後に、前記ゴム型移送手段により移送されて前記待機台に待機している次のゴム型を前記クランプ装置に設けられた前記ゴム型供給口から前記クランプ部内へ移動させ、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押し込
んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して前記排出口から充填済みゴム型受け台へ排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台の所定位置に載置させるようになっていることを特徴とするワックスモデル射出成型装置。
【請求項3】
前記クランプ装置の前記供給口側に備えられた前記ゴム型移送手段は、前記クランプ装置の移動方向と同方向に進退するシリンダーロッドを備えたシリンダーで構成されており、前記シリンダーロッドの前進により、前記シリンダーロッドの先端で、前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を押出し前記待機台へ移送させるようになっており、また、前記ゴム型供給手段は、前記クランプ装置の移動方向と直行する左右方向に進退するシリンダーロッドを備えたシリンダーで構成されており、前記シリンダーロッドの前進により、前記シリンダーロッドの先端で前記待機台に待機している次のゴム型を前記供給口から前記クランプ部内へ供給するようになっていることを特徴とする請求項2に記載のワックスモデル射出成型装置。
【請求項4】
前記ゴム型供給手段によりゴム型が前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押しこまれ、前記待機台にゴム型が無いことを検知する第1検知部と、前記第1検知部からの検知信号を受け、前記ゴム型移送手段を作動させて前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を前記待機台へ移送させる第1制御部と、ゴム型へのワックス樹脂の充填後、ゴム型のクランプを解除したことを検知する第2検知部と、第2検知部からの検知信号を受け、前記ゴム型供給手段を作動させて次のゴム型を前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押し込み、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して前記ゴム型排出口から充填済みゴム型受け台へ排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台の所定位置に載置させる第2制御部を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載のワックスモデル射出成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロストワックス鋳造に使用されるワックスモデルを成型するワックスモデル射出成型方法およびワックスモデル射出成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属アクセサリなど複雑な形状の鋳造法の一つとしてロストワックス鋳造法が知られている。一般的にロストワックス鋳造法では、製造しようとする原型をシリコンゴム等で被覆し、シリコンゴム等を加硫することによりゴム型を形成し、このゴム型を分割して原型を取り出した後、ゴム型の内部にワックス樹脂を充填してワックスモデルを成型する工程がある。このゴム型の内部にワックス樹脂を充填してワックスモデルを成型する工程が、本発明の対象となる工程である。
【0003】
従来から、ワックスモデルを成型する手段として、ワックス樹脂を射出す射出ノズルを備え、ゴム型へワックス樹脂を充填する装置本体と、ゴム型をクランプし装置本体の射出ノズル方向に前後に移動して、ゴム型に開口する注入口と射出ノズルを嵌合・離反させるクランプ装置が併設されたワックスモデル射出成型装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このようなワックスモデル射出成型装置にあって、装置本体に併設されたクランプ装置へのゴム型の供給や、クランプ装置からのワックス樹脂を充填した充填済みゴム型の排出にあっては一般に次のように行われている。
【0005】
クランプ装置へのゴム型の供給は、ゴム型をクランプ装置のクランプ部内へ、クランプ装置の移動方向に沿って後方から前方へ押し込んで供給し、ゴム型へのワックス樹脂の充填後、ワックス樹脂を充填した充填済みゴム型をクランプ部内から後方に引き抜いてクランプ装置から排出する。そして、充填済みゴム型をクランプ装置から排出した後、次のゴム型をクランプ部内へ押し込んでクランプ装置へ供給する(例えば、特許文献2参照。)。
この動作を繰り返し行いながら連続してワックスモデル射出成型が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6059248号公報
【文献】特開2007-237186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、金属アクセサリなど、同一形状の製品を大量に製造するロストワックス鋳造にあっては大量のワックスモデルを用意しなければならず、そのためにワックスモデル射出成型の効率化が求められる。
【0008】
発明者は、ワックスモデル射出成型の効率化を図るべく検討した結果、従来のワックスモデル射出成型装置では、装置本体に併設されたクランプ装置へのゴム型の供給と、クランプ装置からのワックス樹脂を充填した充填済みゴム型の排出は、供給と排出の2つの工程で行っていることに着目し、この2つの工程を1つの工程で行うことによりワックスモデルの成型の効率化を図ることを思いつき、試験研究を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0009】
本発明の目的は、ワックスモデル射出成型を効率よく行い時間の短縮化を図ることができるワックスモデル射出成型方法およびワックスモデル射出成型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、中空パターンを内部に有するゴム型をクランプ装置に設けられているクランプ部でクランプして、ゴム型をワックスモデル射出成型装置の装置本体に設けられたワックス樹脂を射出する射出ノズルに嵌合する工程と、ワックス樹脂が充填された充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程を含むワックスモデル射出成型方法であって、充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程の2つの工程を、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型を前記クランプ部内へ移動させて押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型を前記クランプ部内から押し出して排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部内に供給するようにした一の動作で行う1つの工程とすることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載のワックスモデル射出成型方法によれば、充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程の2つの工程を、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型を前記クランプ部へ移動させて押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型を前記クランプ部内から押し出して排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部内に供給するようにした一の動作で行う1つの工程とするので、充填済みゴム型の前記クランプ部内からの排出から次のゴム型の前記クランプ部内への供給を効率よく行うことができ、充填済みゴム型の排出から次のゴム型の供給までの時間の短縮化を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、ワックス樹脂を射出す射出ノズルから中空パターンを内部に有するゴム型へワックス樹脂を充填する装置本体に、ゴム型をクランプし前記装置本体の前記射出ノズル方向に前後に移動して、ゴム型に開口する注入口と前記射出ノズルを嵌合・離反させるクランプ装置が併設されたワックスモデル射出成型装置において、前記クランプ装置は、ゴム型を載置する型台とこの型台に対して鉛直方向に移動可能なクランプヘッドからなるクランプ部を備えており、前記クランプ部には、クランプ装置の前後移動方向と直行する左右方向の一側にゴム型を前記クランプ部内に供給する供給口が設けられ、他側にワックス樹脂が充填された充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する排出口が設けられ、前記クランプ部の前記供給口の外側には、前記クランプ部内へ供給するゴム型を待機させる待機台と、ゴム型を前記待機台の手前まで搬送する搬送部と、前記クランプ装置の移動方向と直行する左右方向に移動して前記待機台に待機しているゴム型を前記供給口から前記クランプ部内へ供給するゴム型供給手段と、前記搬送部で搬送されてきたゴム型を前記待機台に移送するゴム型移送手段を備え、前記排出口には、クランプ部内から排出された充填済みゴム型を受ける充填済みゴム型受け台を備えており、前記ゴム型移送手段は、前記クランプ装置が前記射出ノズル方向に前進移動し、ゴム型に開口する前記注入口と前記射出ノズルが嵌合し、前記射出ノズルからゴム型内にワックス樹脂が射出充填される過程で、前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を前記待機台へ移送するようになっており、前記ゴム型供給手段は、ゴム型へのワックス樹脂の充填中または充填後に、前記ゴム型移送手段により移送されて前記待機台に待機している次のゴム型を前記クランプ装置に設けられた前記ゴム型供給口から前記クランプ部内へ移動させ、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して前記排出口から充填済みゴム型受け台へ排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台の所定位置に載置させるようになっていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載のワックスモデル射出成型装置によれば、ゴム型へのワックス樹脂の充填中または充填後に、前記ゴム型移送手段により移送され前記待機台に待機している次のゴム型を、前記ゴム型供給手段により前記クランプ部に設けられた前記供給口から前記クランプ部内へ移動させ、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して前記排出口から充填済みゴム型受け台へ排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台の所定位置に載置させることができる。
これにより、充填済みゴム型の前記クランプ部内からの排出から次のゴム型の前記クランプ部内への供給を一の動作で効率よく行うことができ、充填済みゴム型の排出から次のゴム型の供給までの時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワックスモデル射出成型装置において、前記クランプ装置の前記供給口側に備えられた前記ゴム型移送手段は、前記クランプ装置の移動方向と同方向に進退するシリンダーロッドを備えたシリンダーで構成されており、前記シリンダーロッドの前進により、前記シリンダーロッドの先端で、前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を押出し前記待機台へ移送させるようになっており、また、前記ゴム型供給手段は、前記クランプ装置の移動方向と直行する左右方向に進退するシリンダーロッドを備えたシリンダーで構成されており、前記シリンダーロッドの前進により、前記シリンダーロッドの先端で前記待機台に待機している次のゴム型を前記供給口から前記クランプ部内へ供給するようになっていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載のワックスモデル射出成型装置によれば、前記クランプ装置の前記供給口側に備えられた前記ゴム型移送手段は、前記クランプ装置の移動方向と同方向に進退するシリンダーロッドを備えたシリンダーで構成されており、前記シリンダーロッドの前進により、前記シリンダーロッドの先端で、前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を押出し前記待機台へ移送させるようになっているので、簡単な構成で、前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を前記待機台へ確実に移送させることができる。
また、前記ゴム型供給手段は、前記クランプ装置の移動方向と直行する左右方向に進退するシリンダーロッドを備えたシリンダーで構成されており、前記シリンダーロッドの前進により、前記シリンダーロッドの先端で前記待機台に待機している次のゴム型を前記供給口から前記クランプ部内へ供給するようになっているので、簡単な構成で、前記待機台に待機している次のゴム型を前記クランプ部内へ確実に供給することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のワックスモデル射出成型装置において、前記ゴム型供給手段によりゴム型が前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押しこまれ、前記待機台にゴム型が無いことを検知する第1検知部と、前記第1検知部からの検知信号を受け、前記ゴム型移送手段を作動させて前記搬送部で搬送されてきた次のゴム型を前記待機台へ移送させる第1制御部と、ゴム型へのワックス樹脂の充填後、ゴム型のクランプを解除したことを検知する第2検知部と、第2検知部からの検知信号を受け、前記ゴム型供給手段を作動させて次のゴム型を前記クランプ部の前記型台と前記クランプヘッドの間に押し込み、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して前記ゴム型排出口から充填済みゴム型受け台へ排出させるとともに、次のゴム型を前記クランプ部の前記型台の所定位置に載置させる第2制御部を備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載のワックスモデル射出成型装置によれば、充填済みゴム型の前記クランプ部内からの排出から次のゴム型の前記クランプ部内への供給を一連の動作を自動的に連続して行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るワックスモデル射出成型方法およびワックスモデル射出成型装置によれば、充填済みゴム型の前記クランプ部内からの排出から次のゴム型の前記クランプ部内への供給を効率よく行うことができ、充填済みゴム型の排出から次のゴム型の供給までの時間の短縮化を図ることができ、これによりワックスモデル射出成型のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るワックスモデル射出成型装置を示す一部を省略し、一部を断面した正面図である。
【
図2】
図1に示すワックスモデル射出成型装置における装置本体を省略したクランプ装置の左側面図である。
【
図3】
図1に示すワックスモデル射出成型装置における装置本体とクランプ装置とを分離した斜視図である。
【
図4】クランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【
図5】クランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【
図6】クランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【
図7】クランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【
図8】クランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【
図9】クランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るワックスモデル射出成型方法およびワックスモデル射出成型装置の実施の形態を説明する。
【0021】
先ず、ワックスモデル射出成型方法の実施の形態の一例を説明する。
本発明に係るワックスモデル射出成型方法は、中空パターンを内部に有するゴム型をクランプ装置に設けられているクランプ部でクランプして、ゴム型をワックスモデル射出成型装置の装置本体に設けられたワックス樹脂を射出す射出ノズルに嵌合する工程と、ワックス樹脂が充填された充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程を含んでいる。
【0022】
本例では、前記した充填済みゴム型を前記クランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出した前記クランプ部内に次のゴム型を供給する工程の2つの工程を、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型をクランプ部内へ移動させて押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して排出させるとともに、次のゴム型をクランプ部内に供給するようにした一の動作で行う1つの工程とする。
【0023】
以上のように、本発明のワックスモデル射出成型方法によれば、充填済みゴム型をクランプ部内から排出する工程と、充填済みゴム型を排出したクランプ部内に次のゴム型を供給する工程の2つの工程を、ゴム型へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型をクランプ部内へ移動させて押し込んで充填済みゴム型を押圧することにより、充填済みゴム型をクランプ部内から押し出して排出させるとともに、次のゴム型をクランプ部内に供給するようにした一の動作で行う1つの工程とするので、充填済みゴム型のクランプ部内からの排出から次のゴム型のクランプ部内への供給を効率よく行うことができ、充填済みゴム型の排出から次のゴム型の供給までの時間の短縮化を図ることができる。
【0024】
次に、前記のワックスモデル射出成型方法を実施するワックスモデル射出成型装置の実施の形態の一例を
図1~
図9により説明する。
図1は本例のワックスモデル射出成型装置を示す一部を省略し、一部を断面した正面図、
図2は
図1に示すワックスモデル射出成型装置における装置本体を省略したクランプ装置の左側面図、
図3は
図1に示すワックスモデル射出成型装置における装置本体とクランプ装置とを分離した斜視図、
図4~
図9はクランプ装置のクランプ部へゴム型を供給し、充填済みゴム型を排出する工程を示す説明図である。
【0025】
本例のワックスモデル射出成型装置1は、装置本体2と、装置本体2に併設されたクランプ装置3とで構成されている。
【0026】
装置本体2は、内部にワックス樹脂を貯蔵する加圧タンクと、真空タンクとを備えており(図示せず)、外部に射出ノズル4が突出するように設けられている。このように構成される装置本体2は公知であり、(特許第6059248号)、本例では公知の装置本体を使用している。
【0027】
クランプ装置3は、クランプ部5と支持台6を備えている。クランプ部5は、ゴム型7を載置するための平面部8aを有する型台8と、この型台8の平面部8aに対して鉛直方向に移動可能なクランプヘッド9を備えている。クランプヘッド9は、支持台6上に支持枠10が設置されており、支持枠10にクランプヘッド9が鉛直方向に移動可能に支持されている。支持枠10の上板部11には、例えば空気駆動のシリンダー12が設置されている。シリンダー12のシリンダーロッド13は、シリンダー12の駆動により型台8の平面部8aに接近・離間するように昇降可能となっている。シリンダーロッド13の先端にはクランプヘッド9が取り付けられており、シリンダーロッド13を下降させることにより、クランプヘッド9で型台8の平面部8aに載置されているゴム型7を上方から押さえつけ固定するようになっている。
【0028】
型台8の平面部8aに載置されクランプヘッド9で固定されるゴム型7は、ゴム型7に開口する注入口14が、装置本体2から外部に突出する射出ノズル4に対向し、且つ同一軸線上に位置するように位置決めされて固定される。
【0029】
また、本例では、クランプ部5は、支持台6に装置本体2の射出ノズル4方向に前後に移動可能に支持されており、ゴム型7をクランプしたクランプ部5を装置本体2の射出ノズル4方向に前後に移動させることにより、ゴム型7に開口する注入口14と射出ノズル4が嵌合・離反するようになっている。
【0030】
クランプ部5を支持台6に移動可能に支持する手段として、本例では、クランプ部5の下面に溝状部15が形成され、支持台6の上面には溝状部15に摺動自在に嵌合する突状部16が形成されており、突状部16に沿ってクランプ部5が移動するようになっているが、特に限定されない。
【0031】
また、クランプ部5を移動させる手段として、本例では、装置本体2内に、例えば空気駆動のシリンダーが設置されており(図示せず。)、シリンダーのシリンダーロッド17の先端がクランプ部5に接続されており、シリンダーの駆動で進退するシリンダーロッド17によりクランプ部5が装置本体2方向に前後に移動するようになっているが、特に限定されない。
【0032】
また、クランプ部5には、支持枠10における前後移動方向と直行する左右方向の一側(本例では図上左側)にゴム型7をクランプ部5内に供給する供給口18が設けられ、他側(本例では図上右側)に充填済みゴム型7aをクランプ部5内から排出する排出口19が設けられている。供給口18および排出口19の大きさは、ゴム型7の供給や排出の妨げにならない限り特に限定されない。
【0033】
クランプ部5の供給口18側には、型台8の平面部8aと面の位置を同じくする平面部20aを有し、クランプ部5へ供給するゴム型7を待機させる待機台20と、ゴム型7を待機台20の手前まで搬送する搬送部21と、クランプ部5の移動方向と直行する左右方向に移動して待機台20に待機しているゴム型7を供給口18からクランプ部5内へ供給するゴム型供給手段22と、搬送部21で搬送されてきたゴム型7を待機台20に移送するゴム型移送手段23とを備えている。
【0034】
待機台20は型台8に繋がっており、クランプ部5と一体となってクランプ部5の移動に伴って移動する。搬送部21は、本例では、ベルトコンベアー24で構成され、架台25に架けられた搬送ベルト26が待機台20に隣接するように設けられており、搬送ベルト26の搬送面26aと待機台20の平面部20aの面の位置が同じ高さとなっている。そして、搬送ベルト26は駆動手段(図示しない。)により間欠的に回転し、ゴム型7を順次待機台20の手前までへ搬送するようになっている。
【0035】
ゴム型供給手段22は、本例では、クランプ部5の移動方向と直行する左右方向に進退するシリンダーロッド28を備えた空気駆動のシリンダー27で構成されている。そして、シリンダーロッド28の前進により、シリンダーロッド28の先端に設けた押板29で待機台20に待機しているゴム型7を供給口18からクランプ部5内へ押し込み供給し、型台8の平面部8aにおける固定位置に位置させるようになっている。シリンダー27は、固定部30により待機台20に固定されている。
【0036】
ゴム型移送手段23は、本例では、クランプ部5の移動方向と同方向に進退するシリンダーロッド32を備えた空気駆動のシリンダー31で構成されている。そして、シリンダーロッド32の前進により、シリンダーロッド32の先端に設けた押板33で、搬送部21を構成するベルトコンベアー24の搬送ベルト26で待機台20の手前まで搬送されてきたゴム型7を押出し、待機台20へ移送させるようになっている。シリンダー31は、固定部34によりベルトコンベアー24の架台25に固定されている。
【0037】
また、クランプ部5の排出口19には、ゴム型7にワックス樹脂が充填されクランプ部5から排出された充填済みゴム型7aを受ける充填済みゴム型受け台35を備えている。本例では、充填済みゴム型受け台35はローラーコンベアー36で構成されており、ローラーコンベアー36は排出口19から下方に傾斜するように設置されており、排出口19から排出され、ローラーコンベアー36上に受けられた充填済みゴム型7aは、ローラーコンベアー36上を移動して所定の場所に送られる。
【0038】
前記のように構成されたゴム型移送手段23にあっては、クランプ部5が装置本体2から突出する射出ノズル4方向に前進移動し、クランプ部5でクランプされているゴム型7に開口する注入口14と射出ノズル4が嵌合し、射出ノズル4からゴム型7内にワックス樹脂が射出充填される過程で、あるいは充填後、搬送部21で搬送されてきた次のゴム型7bを待機台20へ移送するようになっている。
【0039】
また、ゴム型供給手段22にあっては、ゴム型7へのワックス樹脂の充填中または充填後に、ゴム型供給手段22により移送されて待機台20に待機している次のゴム型7bをクランプ部5に設けられた供給口18からクランプ部5内へ移動させ、ゴム型7へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8とクランプヘッド9の間に押し込んで充填済みゴム型7aを押圧することにより、充填済みゴム型7aをクランプ部5内から押し出して排出口19から充填済みゴム型受け台35へ排出させるとともに、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8の所定位置に載置させるようになっている。
【0040】
また、本例では、クランプ装置3は、ゴム型供給手段22によりゴム型7がクランプ部5の型台8とクランプヘッド9の間に押しこまれ、待機台20にゴム型7が無いことを検知する第1検知部37と、第1検知部37からの検知信号を受け、シリンダー31を駆動してシリンダーロッド32を前進させ、ベルトコンベアー24の搬送ベルト26で供給口18側へ搬送されてきたゴム型7を押出して待機台20へ移送させる第1制御部38と、ゴム型7へのワックス樹脂の充填後、充填済みゴム型7aのクランプが解除されたことを検知する第2検知部39と、第2検知部39からの検知信号を受け、シリンダー27を駆動してシリンダーロッド28を前進させ、待機台20に待機している次のゴム型7bを供給口18からクランプ部5内へ供給して型台8とクランプヘッド9の間に押し込んで充填済みゴム型7aを押圧することにより、充填済みゴム型7aをクランプ部5内から押し出して排出口19から排出させるとともに、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8の平面部8aにおける固定位置に位置させる第2制御部40を備えている。
なお、第1検知部37及び第2検知部39の設置箇所は本例に限られず、検知を行うことができる箇所であればいずれの位置に設置してもよい。
また、本例の第2検知部39はシリンダー12が駆動してシリンダーロッド13が上昇したことを検出することにより充填済みゴム型7aのクランプが解除されたことを検知しているが、クランプの解除の検知方法は本例に限られず、他の方法によって検知してもよい。
【0041】
次に、クランプ装置2のクランプ部5へゴム型7の供給から充填済みゴム型7aを排出するまでの工程を
図4~
図9により説明する。
【0042】
先ず、ゴム型供給手段22を構成するシリンダー27を駆動し、シリンダーロッド28を後退させた状態とし、ゴム型移送手段23を構成するシリンダー31を駆動してシリンダーロッド32を前進させ、搬送部21を構成する搬送ベルト26により待機台20の手前まで搬送されてきたゴム型7を押出し、待機台20へ移送させる(
図4)。
【0043】
次に、ゴム型移送手段23のシリンダーロッド32を後退させ、ゴム型供給手段22のシリンダーロッド28を前進させて、待機台20に待機しているゴム型7を供給口18からクランプ部5内へ押し込み供給し、型台8の平面部8aにおける固定位置に位置させる。
この過程で、搬送部21の搬送ベルト26を駆動して次のゴム型7bを待機台20の手前まで搬送する(
図5)。
【0044】
次に、クランプ部5でゴム型7をクランプし、ゴム型供給手段22のシリンダーロッド28を後退させ、この状態でクランプ部5を装置本2体側に前進させ、射出ノズル4にゴム型7の注入口14を嵌合し、ゴム型7内へのワックス樹脂の充填を開始する(
図6)。
【0045】
次に、第1検知部37により待機台20にゴム型7が無いことを検知したら、クランプ装置3が射出ノズル4方向に前進移動し、ゴム型7に開口する注入口14と射出ノズル4が嵌合し、ゴム型7内にワックス樹脂が射出充填される過程で、ゴム型移送手段23を構成するシリンダー31を駆動してシリンダーロッド32を前進させ、搬送部21を構成する搬送ベルト26により待機台20の手前まで搬送されてきた次のゴム型7bを押出し、待機台20へ移送させる(
図7)。
【0046】
次に、ゴム型供給手段22のシリンダーロッド28を前進させて、待機台20に待機している次のゴム型7bをクランプ部5内へ押し込む(
図8)。ゴム型7bの押し込みはクランプされているゴム型7が動かない力で行う。なお、本例では、ゴム型7内へのワックス樹脂の充填が完了し、クランプ部5を後退させて射出ノズル4とゴム型7を離反させた後に次のゴム型7bをクランプ部5内へ押し込みを行っているが、充填中に次のゴム型7bを押し込んでもよい。
【0047】
次に、充填済みゴム型7aのクランプを解除し、さらにゴム型供給手段22のシリンダーロッド28を前進させて、クランプ部5内に押し込んだ次のゴム型bにより充填済みゴム型7aを
押圧してクランプ部5内から押し出して排出口19から充填済みゴム型受け台35へ排出させるとともに、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8の所定位置に載置させる(
図9)。
なお、本例では充填済みゴム型7aのクランプが解除されたことを第2検知部39で検知した後にシリンダーロッド28を前進させるようにしているが、シリンダーロッド28による次のゴム型7bの押し込みを充填済みゴム型7aのクランプが解除される前から継続し、充填済みゴム型7aのクランプが解除されたら第2検知部39による検知を介さずに次のゴム型bをクランプ部内に押し込むとともに充填済みゴム型7aが排出されるようにしてもよい。
次に、
図6に示す工程に戻り、
図6~
図9に示す工程を繰り返し行う。
【0048】
以上のように、本発明のワックスモデル射出成型装置によれば、ゴム型7へのワックス樹脂の充填中または充填後に、ゴム型移送手段23により移送され待機台20に待機している次のゴム型7bを、ゴム型供給手段22によりクランプ部5に設けられた供給口18からクランプ部5内へ移動させ、ゴム型7へのワックス樹脂の充填後に、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8とクランプヘッド9の間に押し込んで充填済みゴム型7aを押圧することにより、充填済みゴム型7aをクランプ部5内から押し出して排出口19から充填済みゴム型受け台35へ排出させるとともに、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8の所定位置に載置させることができる。
【0049】
これにより、充填済みゴム型7aのクランプ部5内からの排出から次のゴム型7bのクランプ部5内への供給を一の動作で効率よく行うことができ、充填済みゴム型7aの排出から次のゴム型7bの供給までの時間の短縮化を図ることができる。
【0050】
また、本例では、クランプ部5の供給口18側に備えられたゴム型移送手段23は、クランプ部5の移動方向と同方向に進退するシリンダーロッド32を備えたシリンダー31で構成されており、シリンダーロッド32の前進により、シリンダーロッド32の先端で、搬送部21で搬送されてきた次のゴム型7bを押出し待機台20へ移送させるようになっているので、簡単な構成で、搬送部21で搬送されてきた次のゴム型7bを待機台20へ確実に移送させることができる。
【0051】
また、ゴム型供給手段22は、クランプ部5の移動方向と直行する左右方向に進退するシリンダーロッド28を備えたシリンダー27で構成されており、シリンダーロッド28の前進により、シリンダーロッド28の先端で待機台20に待機している次のゴム型7bを供給口18からクランプ部5内へ供給するようになっているので、簡単な構成で、待機台20に待機している次のゴム型7bをクランプ部5内へ確実に供給することができる。
【0052】
また、本例では、待機台20にゴム型7が無いことを検知する第1検知部37と、第1検知部37からの検知信号を受けゴム型移送手段23を作動させて搬送部21で搬送されてきた次のゴム型7bを待機台20へ移送させる第1制御部38と、ゴム型7へのワックス樹脂の充填後、充填済みゴム型7Aのクランプを解除したことを検知する第2検知部39と、第2検知部39からの検知信号を受けゴム型供給手段22を作動させて次のゴム型7bをクランプ部5の型台8とクランプヘッド9の間に押し込んで充填済みゴム型7aを押圧することにより、充填済みゴム型7aをクランプ部5内から押し出して排出口19から充填済みゴム型受け台35へ排出させるとともに、次のゴム型7bをクランプ部5の型台8の所定位置に載置させる第2制御部40を備えているので、充填済みゴム型7aのクランプ部5内からの排出から次のゴム型7bのクランプ部5内への供給を自動的に連続して行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ワックスモデル射出成型装置
2 装置本体
3 クランプ装置
4 射出ノズル
5 クランプ部
6 支持体
7 ゴム型
7a 充填済みゴム型
7b 次のゴム型
8 型台
8a 平面部
9 クランプヘッド
10 支持枠
11 上板部
12 シリンダー
13 シリンダーロッド
14 注入口
15 溝状部
16 突状部
17 シリンダーロッド
18 供給口
19 排出口
20 待機台
20a 平面部
21 搬送部
22 ゴム型供給手段
23 ゴム型移送手段
24 ベルトコンベアー
25 架台
26 搬送ベルト
26a 搬送面
27 シリンダー
28 シリンダーロッド
29 押板
30 固定部
31 シリンダー
32 シリンダーロッド
33 押板
34 固定部
35 充填済みゴム型受け台
36 ローラーコンベアー
37 第1検知部
38 第1制御部
39 第2検知部
40 第2制御部