(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】コンテンツデータ管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240605BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023118301
(22)【出願日】2023-07-20
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2023046075
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523105439
【氏名又は名称】株式会社Digittle
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】韮澤 真人
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
(72)【発明者】
【氏名】上段 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】野中 創矢
(72)【発明者】
【氏名】細野 晃平
(72)【発明者】
【氏名】西山 冬花
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特許第7204272(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0026561(US,A1)
【文献】特開2022-183587(JP,A)
【文献】神社で日本初、NFTを活用した地域文化のデジタル実装に向けて、NFT「竹神社デジタル御朱印」の頒布を8月より開始します。,[online],2022年08月02日,[令和5年7月4日検索], インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000057872.html>
【文献】ファンの熱量や行動をWeb3.0上の価値に換える “推し活“xNFT,[online],2023年03月10日, [令和5年9月13日検索], インターネット<URL:https://bae.dentsu-pmp.co.jp/articles/osikatsunft>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NFTとコンテンツデータ又は当該コンテンツデータを有効化するためのデータであるコンテンツ有効化データを対応付ける処理と、
ユーザの行動に関する情報であ
り、少なくとも前記ユーザの端末装置により受信されたコンテンツの識別情報と前記ユーザの端末装置により当該コンテンツが受信された時期とを示すユーザ行動データを取得する処理と、
前記ユーザ行動データが示す前記ユーザの端末装置により受信されたコンテンツの識別情報と前記ユーザの端末装置により当該コンテンツが受信された時期が所定の条件を満たすか否かによって、前記ユーザが特定の体験をしているか否かを判定する処理と、
前記判定する処理において前記ユーザが特定の体験をしている
と判定した場合に限り、ブロックチェーンの台帳に、前記NFTが前記ユーザのウォレットに追加されたことを示すトランザクションデータを追加する処理と
を行うシステム。
【請求項2】
前記ユーザの前記ウォレットに追加された1以上のNFTの各々に関し、当該NFTに対応付けられたコンテンツデータ又はコンテンツ有効化データに関する情報であるコンテンツメタデータに基づき、前記ユーザが使用する端末装置に広告を示す広告データを送信する処理
を行う請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザ行動データは、前記ユーザのいた場所を示し、
前記ユーザ行動データが示す前記ユーザのいた場所が所定の条件を満たすか否かによって、前記ユーザが特定の体験をしているか否かを判定する
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ユーザ行動データは、前記ユーザのいた場所に加えて、前記ユーザが当該場所にいた時期を示し、
前記ユーザ行動データが示す前記ユーザのいた場所と前記ユーザが当該場所にいた時期が所定の条件を満たすか否かによって、前記ユーザが特定の体験をしているか否かを判定する
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ユーザの端末装置が測定した当該端末装置の位置を示すデータを、前記ユーザ行動データのうち前記ユーザのいた場所を示すデータとして取得する
請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
所定場所に設置された媒体、又は、所定場所で前記ユーザに配布された媒体から前記ユーザの端末装置が撮影により取得した認証情報を、前記ユーザ行動データのうち前記ユーザのいた場所を示すデータとして取得する
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
所定場所に設置されたデバイス、又は、所定場所で前記ユーザに配布されたデバイスから発信され、前記ユーザの端末装置により取得された認証情報を、前記ユーザ行動データのうち前記ユーザのいた場所を示すデータとして取得する
請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
所定場所に設置されたデバイス、又は、所定場所で前記ユーザに配布されたデバイスから発信され、前記ユーザの端末装置により受信されたNFTを、前記ユーザ行動データのうち前記ユーザのいた場所を示すデータとして取得する
請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーザ行動データは、前記ユーザが特定のサービス又は物品を取得したことを示し、
前記ユーザ行動データが示す前記ユーザにより取得されたサービス又は物品が所定の条件を満たすか否かによって、前記ユーザが特定の体験をしているか否かを判定する
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザ行動データは、くじ、競技の投票券、又は、領収書を識別するデータを含む
請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
第1のプログラムに従いWebブラウザとして機能し前記ユーザ行動データを取得する端末装置と、前記第1のプログラムから独立している第2のプログラムに従い前記ウォレットとして機能する前記端末装置と同じ又は異なる端末装置を備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
1つのプログラムに従いWebブラウザとして機能するとともにコンテンツデータが表すコンテンツを再生するプレーヤとして機能する端末装置を備える
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツを表すデータを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像、音声、動画、3次元形状等の人が感知可能な情報(以下、「コンテンツ」という)を表すデータ(以下、「コンテンツデータ」という)は、そのコンテンツデータが表すコンテンツの再生(動画の表示、音声の発音等の人が感知可能な物理信号の生成)に用いられ、コンテンツを視聴等する人に様々な感情変化等をもたらす。そのため、コンテンツデータは人間社会において価値を有し、市場における取引対象となっている。
【0003】
コンテンツデータの複製や変更は容易である。複製されたコンテンツデータが市場に多く出回ると、コンテンツデータの市場価値が低下し、コンテンツデータの出所者や保持者等にとって望ましくない場合がある。また、改変されたコンテンツデータが市場に多く出回ると、いずれのコンテンツデータがオリジナルであるかが不明となって、オリジナルであることによるコンテンツデータの価値が失われ、コンテンツデータの出所者や保持者等にとって望ましくない場合がある。
【0004】
上記の問題を解決するための手段として、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)と呼ばれる技術がある。NFTとは、ブロックチェーン上に記録されることでその一意性が保証されているデータであるトークンを意味する。NFTはコンテンツデータと関連付けられることで、そのコンテンツデータの一意性、すなわち、複製ではなく、改変もされていないこと、が保証される。
【0005】
NFTに関する技術を提案している特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、NFT又はこれに関連付けられたスマートコントラクトの中に書き換え可能なテキストデータを加え、このテキストデータをNFTの所有者が自由に書き換えることで、本来、改変を許さない技術であるNFT技術を用いつつ、芸術表現における制約を緩和する手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特定の体験をした人にのみ、特別な物品が提供される場合がある。例えば、アーティストのコンサートが開催される場合、そのコンサートに参加した人にのみ販売されるグッズ(Tシャツ、タオル、写真集、アクリルスタンド等)がある場合がある。それらのグッズは、コンサートに参加しなければ購入できないため、それらのグッズを入手したいと思う人(例えば、アーティストのファン)のコンサートに行く動機を高め、例えば、コンサートチケットの販売を促進する役割を果たす。
【0008】
上記のグッズのように、特定の体験をした人のみが入手できるグッズは、そのような制約のないグッズと比較し入手が困難であるため、一般的に市場価値が高く、プレミアムが付いたグッズ(以下、「プレミアムグッズ」という)となる。プレミアムグッズは、所有者の所有欲を満たしたり、市場で売買される際に高値が付いたりする。
【0009】
上述したTシャツ等の物理的な実体がある物品に限られず、実体が情報であるコンテンツデータに関しても、プレミアムが付く場合がある。例えば、コンサートに参加した人のみに提供されるコンテンツデータ(アーティストの特別映像を表す動画データ等)にはプレミアムが付く。以下、プレミアムが付いたコンテンツデータを「プレミアムコンテンツデータ」という。
【0010】
物理的な実体があるプレミアムグッズは複製や改変が困難であるため、それらに起因する価値の低下が起こりにくい。一方、プレミアムコンテンツデータは複製や改変が容易であるため、それらに起因する価値の低下が起こりやすい。
【0011】
上記の事情に鑑み、本発明は、特定の体験をした人にのみ提供されるコンテンツデータの複製や改変に起因する価値低下を防止する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、NFTとコンテンツデータ又は当該コンテンツデータを有効化するためのデータであるコンテンツ有効化データを対応付ける処理と、ユーザの行動に関する情報であり、少なくとも前記ユーザの端末装置により受信されたコンテンツの識別情報と前記ユーザの端末装置により当該コンテンツが受信された時期とを示すユーザ行動データを取得する処理と、前記ユーザ行動データが示す前記ユーザの端末装置により受信されたコンテンツの識別情報と前記ユーザの端末装置により当該コンテンツが受信された時期が所定の条件を満たすか否かによって、前記ユーザが特定の体験をしているか否かを判定する処理と、前記判定する処理において前記ユーザが特定の体験をしていると判定した場合に限り、ブロックチェーンの台帳に、前記NFTが前記ユーザのウォレットに追加されたことを示すトランザクションデータを追加する処理とを行うシステムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるシステムよれば、特定の体験をした人のみが特定のコンテンツデータ又は当該コンテンツデータを有効化するためのコンテンツ有効化データに対応付けられたNFTを取得でき、そのNFTに対応付けられたコンテンツデータを利用できる。そして、NFTに対応付けられたコンテンツデータの複製や改変は困難である。従って、本発明によれば、特定の体験をした人にのみ提供されるコンテンツデータの複製や改変に起因する価値低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態にかかるコンテンツデータ管理システムの構成を示した図。
【
図2】一実施形態にかかるユーザテーブルのデータ構成を例示した図。
【
図3】一実施形態にかかるコンテンツテーブルのデータ構成を例示した図。
【
図4】一実施形態にかかるNFT取得ログテーブルのデータ構成を例示した図。
【
図5】一実施形態にかかるユーザ端末装置の機能構成を示した図。
【
図6】一実施形態にかかるユーザ登録処理フローを示した図。
【
図7】一実施形態にかかるユーザ登録処理フローを示した図。
【
図8】一実施形態にかかるユーザ端末装置が表示するNFT取得申請ページを示した図。
【
図9】一実施形態にかかるユーザ端末装置が表示するウォレットアプリ案内ページを示した図。
【
図10】一実施形態にかかるウォレット生成処理フローを示した図。
【
図11A】一実施形態にかかるNFT付与処理フローを示した図。
【
図11B】一実施形態にかかるNFT付与処理フローを示した図。
【
図12】一実施形態にかかるコンテンツ取得処理フローを示した図。
【
図13】一変形例にかかるコンテンツテーブルの構成を例示した図。
【
図14】一変形例にかかるコンテンツデータ管理システムの構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツデータ管理システム1を説明する。コンテンツデータ管理システム1は、特定の体験をした人にのみ提供されるコンテンツデータであるプレミアムコンテンツデータを管理し、それらのプレミアムコンテンツデータの一意性を保証するシステムである。
【0016】
図1は、コンテンツデータ管理システム1の構成を示した図である。コンテンツデータ管理システム1は、コンテンツデータ管理システム1の基幹をなすコンテンツデータ管理サーバ装置11と、コンテンツデータ管理サーバ装置11がコンテンツデータの管理のために用いるデータを記憶するファイルサーバ装置12と、コンテンツデータを記憶し要求に応じて配信するストレージシステム13と、ブロックチェーン技術に従い台帳を管理する台帳管理システム14と、ユーザが使用するユーザ端末装置15とを備える。
【0017】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、インターネット等の通信ネットワークを介して、ファイルサーバ装置12、ストレージシステム13、台帳管理システム14、及び、ユーザ端末装置15との間でデータ通信を行う。なお、コンテンツデータ管理サーバ装置11が他の装置との間で行うデータ通信は、有線、無線、それらの組合せのいずれによって行われてもよい。
【0018】
また、ユーザ端末装置15は、インターネット等の通信ネットワークを介して、コンテンツデータ管理サーバ装置11に加え、ストレージシステム13及び台帳管理システム14との間でデータ通信を行う。なお、ユーザ端末装置15が他の装置との間で行うデータ通信は、有線、無線、それらの組合せのいずれによって行われてもよい。
【0019】
なお、
図1において、ユーザ端末装置15は1台のみ示されているが、実際にはコンテンツデータ管理システム1を利用するユーザの数に応じて、ユーザ端末装置15の数は変動する。また、各ユーザが使用するユーザ端末装置15は変化してもよい。
【0020】
コンテンツデータ管理サーバ装置11とファイルサーバ装置12のハードウェアは、例えば、一般的なサーバ装置用のコンピュータであり、各種データを記憶するメモリと、メモリに記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、外部の装置との間でデータ通信を行う通信インタフェースとを備える。
【0021】
コンテンツデータ管理サーバ装置11のハードウェアとして用いられるコンピュータは、本実施形態にかかるコンテンツデータ管理サーバ装置11用のプログラムに従いデータ処理を行うことによって、後述する各種処理を行うコンテンツデータ管理サーバ装置11として機能する。
【0022】
なお、コンテンツデータ管理サーバ装置11及びファイルサーバ装置12の一方又は両方が、互いに連係動作する2以上の装置により構成されるシステムであってもよい。
【0023】
ファイルサーバ装置12は、コンテンツデータ管理サーバ装置11からの指示に従い、各種データの記憶を行う。ファイルサーバ装置12が記憶するデータには、ユーザに関するデータを格納するユーザテーブル、コンテンツに関するデータを格納するコンテンツテーブル、ユーザ毎に設けられユーザによるNFTの取得に関するデータを格納するNFT取得ログテーブル、及び、コンテンツデータが含まれる。
【0024】
図2は、ユーザテーブルのデータ構成を例示した図である。
図2に例示のユーザテーブルは、ユーザの各々に対応するデータレコードの集まりであり、各データレコードは、ユーザを識別する情報であるユーザID(Identifier)を格納する「ユーザID」フィールドと、ユーザの本人確認を行うための情報(パスワード等)を格納する「本人確認情報」フィールドと、ユーザがユーザ端末装置15において使用するブロックチェーンウォレット(以下、単に「ウォレット」という)を識別するウォレットアドレスを格納する「ウォレットアドレス」フィールドを備える。
【0025】
図3は、コンテンツテーブルのデータ構成を例示した図である。
図3に例示のコンテンツテーブルは、コンテンツの各々に対応するデータレコードの集まりであり、各データレコードは、コンテンツを識別する情報であるコンテンツIDを格納する「コンテンツID」フィールドと、コンテンツの提供の条件を示す情報を格納する「提供条件」フィールドを備える。
【0026】
本実施形態において、コンテンツの提供の条件は、例として、そのコンテンツに応じたイベントの開催時期に当該イベントの開催場所にユーザがいることにより満たされる条件であるものとする。具体的には、コンテンツテーブルの「提供条件」フィールドには、例えば「開催時期:2023年3月23日17:00~19:00、開催場所:(緯度,経度)=(35.65917308012245N,139.69496655767185E)半径30m以内」といった情報が格納される。この情報が「提供条件」フィールドに格納されているデータレコードの「コンテンツID」フィールドに格納されているコンテンツIDにより識別されるコンテンツデータは、2023年3月23日17:00~19:00の期間内に、緯度経度が(35.65917308012245N,139.69496655767185E)である地点から半径30m以内のエリアにあるユーザ端末装置15のユーザにのみ、提供される。
【0027】
図4は、NFT取得ログテーブルのデータ構成を例示した図である。なお、既述のように、ファイルサーバ装置12はコンテンツデータ管理システム1を利用する複数のユーザの各々に応じたNFT取得ログテーブルを記憶している。
図4に例示のNFT取得ログテーブルは、ユーザに提供されるNFTの各々に対応するデータレコードの集まりであり、各データレコードは、NFTを格納する「NFT」フィールドと、そのNFTに対応付けられたコンテンツデータを識別するコンテンツIDを格納する「コンテンツID」フィールドと、そのNFTのユーザによる受け取りの状況を示す情報を格納する「受取ステイタス」フィールドを備える。なお、「受取ステイタス」フィールドに格納されるデータは、例えば、「未受取」、「2023年3月23日17:15受取完了」のような情報を示す。
【0028】
ファイルサーバ装置12は、既述のように、ユーザテーブル(
図2)、コンテンツテーブル(
図3)及びNFT取得ログテーブル(
図4)に加え、コンテンツデータを記憶する。コンテンツデータは、例えば、ファイル名にコンテンツIDを含む等により、コンテンツIDにより識別可能な状態でファイルサーバ装置12に記憶されている。
【0029】
ストレージシステム13(
図1参照)は、ファイルサーバ装置12に記憶されているコンテンツデータの複製を、要求に応じてユーザ端末装置15に配信可能な状態で記憶しているシステムである。本実施形態において、ストレージシステム13は、IPFS(InterPlanetary File System)プロトコル等に従ったP2Pネットワークであるものとする。ストレージシステム13としてP2Pネットワークを採用する場合、コンテンツデータの複製が複数のノードの各々に記憶されるため、実質的にコンテンツデータの消失が生じない、というメリットがある。
【0030】
台帳管理システム14は、既知のブロックチェーン技術に従い、複数のノードによりブロックチェーンと呼ばれる台帳を分散管理することにより、時系列データの改ざんを実質的に不可能とするシステムである。
【0031】
ユーザ端末装置15のハードウェアは、例えば、一般的な端末装置用のコンピュータであり、各種データを記憶するメモリと、メモリに記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、外部の装置との間でデータ通信を行う通信インタフェースと、ユーザに対し視覚情報を提供するディスプレイと、ユーザに対し聴覚情報を提供するスピーカと、ユーザからユーザ端末装置15に対する情報の入力を受け付ける入力デバイス(キーボード、マウス、タッチパネル等)とを備える。
【0032】
また、本実施形態においては、ユーザ端末装置15のハードウェアとして用いられるコンピュータは、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)により自装置の地球上における位置を示す緯度及び軽度を測定するデバイスであるGNSSユニットを備える。
【0033】
なお、ユーザ端末装置15のハードウェアとして用いられるコンピュータが備えるディスプレイ、スピーカ、入力デバイス等のデバイスは、コンピュータ本体に内蔵されていてもよいし、外付けの装置としてコンピュータ本体に有線又は無線で接続されていてもよい。
【0034】
以下の説明において、例として、ユーザ端末装置15のハードウェアとして用いられるコンピュータは、一般的にスマートフォンと呼ばれる移動体通信網を介したデータ通信及び通話の機能を備える小型のタブレット型PC(Personal Computer)であるものとし、ディスプレイとタッチパネルが一体化したタッチスクリーン、スピーカ、GNSSユニット、及び、通信インタフェースに加え、カメラ及びマイクを内蔵するものとする。
【0035】
本実施形態において、ユーザ端末装置15は、Webブラウザの機能と、ウォレットの機能と、コンテンツデータが表すコンテンツを再生するプレーヤ機能を備える。
図5は、ユーザ端末装置15の機能構成を示した図である。本実施形態において、ユーザ端末装置15が備えるWebブラウザ機能とウォレット機能は互いに独立している。一方、ユーザ端末装置15が備えるウォレット機能とプレーヤ機能は統合されている。
【0036】
より具体的には、ユーザ端末装置15をWebブラウザとして機能させるためのプログラム(以下、「Webブラウザアプリ」という)と、ユーザ端末装置15をウォレット及びプレーヤとして機能させるためのプログラム(以下、「ウォレットアプリ」という)は、プログラムを配信するサーバ装置(
図1等において図示略)から個別にユーザ端末装置15にダウンロードされ、インストールされ、ユーザ端末装置15において実行される。従って、ユーザ端末装置15には、Webブラウザとして機能している状態(以下、「ユーザ端末装置15B」という)と、プレーヤ機能付きのウォレットとして機能している状態(以下、「ユーザ端末装置15W」という)がある。
【0037】
ユーザ端末装置15のハードウェアとして用いられるコンピュータは、上記のWebブラウザアプリ及びウォレットアプリに従いデータ処理を行うことによって、後述する各種処理を行うユーザ端末装置15として機能する。
【0038】
以上がコンテンツデータ管理システム1の構成の説明である。続いて、コンテンツデータ管理システム1の動作を説明する。なお、以下に、ユーザがコンサートに参加し、コンサートに参加した人にのみ提供されるコンテンツデータを取得する場合を例として、コンテンツデータ管理システム1の動作を説明する。
【0039】
コンテンツデータ管理システム1の処理フローは、例えば、ユーザ登録処理フロー、NFT申請受付処理フロー、ウォレット生成処理フロー、NFT付与処理フロー、及び、コンテンツ取得処理フローに区分される。以下にそれらの処理フローを順に説明する。
【0040】
(ユーザ登録処理フロー)
図6は、ユーザ登録処理フローを示した図である。コンテンツデータ管理システム1を新たに利用するユーザは、まず、ユーザ端末装置15を用いてコンテンツデータ管理サーバ装置11に対しユーザ登録を行う必要がある。そのために、ユーザがWebブラウザアプリを実行している状態のユーザ端末装置15(ユーザ端末装置15B)にユーザ情報登録用のURLを入力する。
【0041】
ユーザ端末装置15Bは、ユーザ情報登録用のURLの入力に応じて、ユーザ情報登録ページを表示する(ステップS101)。なお、ユーザ情報登録ページの表示を指示するデータ(HTMLデータ等。以下、「Webページ表示指示データ」という)の配信元は、コンテンツデータ管理サーバ装置11であってもよいし、コンテンツデータ管理サーバ装置11とは異なる装置であってもよい。
【0042】
ユーザは、ユーザ端末装置15Bに表示されるユーザ情報登録ページにユーザIDと本人確認情報(例えば、パスワード)を入力する。これにより、ユーザ端末装置15BはユーザIDと本人確認情報を取得する(ステップS102)。続いて、ユーザがユーザ端末装置15Bに対し所定の操作(例えば、「送信」ボタンに対するタッチ操作)を行うと、その操作に応じて、ユーザ端末装置15BはユーザIDと本人確認情報をコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信する(ステップS103)。
【0043】
続いて、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ファイルサーバ装置12に新規ユーザ登録の指示を送信する(ステップS104)。この指示には、コンテンツデータ管理サーバ装置11がユーザ端末装置15Bから受信したユーザIDと本人確認情報が含まれている。ファイルサーバ装置12は、コンテンツデータ管理サーバ装置11から受信した指示に従い、ユーザテーブル(
図2)に新規のデータレコードを追加し、追加したデータレコードに、指示に含まれるユーザIDと本人確認情報を格納する(ステップS105)。これにより、ユーザ登録処理フローが完了する。
【0044】
なお、上述したステップS101~S105の処理フローはユーザ登録処理フローの一例であって、他の様々な代替的な処理フローが採用されてもよい。例えば、本人確認情報としてユーザ端末装置15の電話番号又は電子メールアドレスを用い、コンテンツデータ管理サーバ装置11が電話番号又は電子メールアドレスに宛てて認証コードを送信し、ユーザがユーザ端末装置15Bに表示されているユーザ情報登録ページにその認証コードを正しく入力した場合に限り、ファイルサーバ装置12がユーザテーブルに対するユーザIDと本人確認情報の格納を行うようにしてもよい。
【0045】
(NFT申請受付処理フロー)
図7は、ユーザ登録処理フローを示した図である。ユーザは、コンサートに参加した人にのみ提供されるコンテンツデータを取得するために、コンサート会場において、まず、そのコンテンツデータに対応付けられたNFTの取得申請を行う必要がある。そこで、ユーザは、ユーザ端末装置15を携帯してコンサート会場に到着すると、コンサート会場においてユーザ端末装置15Bにログイン用のURLを入力しユーザ端末装置15Bにログインページを表示させ、ログインページでユーザIDと本人確認情報を入力し、コンテンツデータ管理サーバ装置11により提供されるサービスへのログインを行う。
【0046】
続いて、ユーザは、ユーザ端末装置15BにNFT取得申請用のURLを入力する。ユーザ端末装置15Bは、NFT取得申請ページの表示に先立ち、もしくは表示と並行して、NFT取得申請ページの表示を指示するWebページ表示指示データに含まれるスクリプトに従い、ユーザに関し、コンテンツデータの提供条件が満たされているか否かを判定する(ステップS201)。
【0047】
ここで、コンテンツデータの提供条件とは、コンテンツテーブル(
図3)のデータレコードのうち、このコンサートの参加者に提供されるコンテンツデータに応じたデータレコードの「提供条件」フィールドに格納されているデータが示す条件である。以下、例として、「開催時期:2023年3月23日17:00~19:00、開催場所:(緯度,経度)=(35.65917308012245N,139.69496655767185E)半径30m以内」という提供条件が用いられるものとする。
【0048】
ユーザ端末装置15Bは、ステップS201の判定において、現在時刻が2023年3月23日17:00~19:00の期間内であり、かつ、GNSSユニットにより測定されるユーザ端末装置15の現在位置を示す緯度経度が(35.65917308012245N,139.69496655767185E)から半径30m以内のエリア内の緯度経度であるか否かを判定する。ステップS201の判定の結果に応じて、ユーザ端末装置15Bは異なるNFT取得申請ページを表示する(ステップS202)。
【0049】
図8は、ユーザ端末装置15Bが表示するNFT取得申請ページの例である。
図8(A)はステップS201の判定結果が肯定的であった場合に表示されるNFT取得申請ページの例であり、
図8(B)~(D)はステップS201の判定結果が否定的であった場合に表示されるNFT取得申請ページの例である。
【0050】
図8(A)のNFT取得申請ページが表示された場合、ユーザは「Get」ボタンにタッチ操作を行う。この操作に応じて、ユーザ端末装置15BはNFTの取得申請をコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信する(ステップS203)。この取得申請には、ユーザが取得するコンテンツデータのコンテンツIDが含まれている。
【0051】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15Bから受信した取得申請に応じて、ファイルサーバ装置12にNFTの受取ステイタスを「未受取」へ変更するように指示する更新指示を送信する(ステップS204)。この更新指示には、ユーザIDとコンテンツIDが含まれている。
【0052】
ファイルサーバ装置12は、コンテンツデータ管理サーバ装置11から受信した更新指示に従い、NFT取得ログテーブル(
図4)の更新を行う(ステップS205)。より具体的には、ファイルサーバ装置12は、更新指示に含まれるユーザIDに応じたNFT取得ログテーブルに新しいデータレコードを追加し、そのデータレコードの「コンテンツID」フィールドに更新指示に含まれるコンテンツIDを格納し、「受取ステイタス」フィールドに「未受取」を格納する。
【0053】
ユーザがコンサートの開催期間の開始前にユーザ端末装置15BにNFT取得申請用のURLを入力すると、ユーザ端末装置15Bは
図8(B)に示すようなNFT取得申請ページを表示する。この場合、ユーザは、コンサート会場内においてコンサートの開催期間が到来するまで待った後、再度、ユーザ端末装置15BにNFT取得申請用のURLを入力することで、
図8(A)に示すようなNFT取得申請ページをユーザ端末装置15Bに表示させることができる。
【0054】
ユーザがコンサートの開催期間の終了後にユーザ端末装置15BにNFT取得申請用のURLを入力すると、ユーザ端末装置15Bは
図8(C)に示すようなNFT取得申請ページを表示する。この場合、ユーザはNFTの取得申請ができず、コンテンツデータを取得できない。
【0055】
ユーザがコンサートの開催期間中にコンサート会場の中心位置から30mを超えて離れた位置においてユーザ端末装置15BにNFT取得申請用のURLを入力すると、ユーザ端末装置15Bは
図8(D)に示すようなNFT取得申請ページを表示する。この場合、ユーザはコンサート会場の中心に近づくように移動した後、再度、ユーザ端末装置15BにNFT取得申請用のURLを入力することで、
図8(A)に示すようなNFT取得申請ページをユーザ端末装置15Bに表示させることができる。
【0056】
なお、NFT取得申請ページの表示を指示するWebページ表示指示データの配信元は、コンテンツデータ管理サーバ装置11であってもよいし、コンテンツデータ管理サーバ装置11とは異なる装置であってもよい。
【0057】
(ウォレット生成処理フロー)
【0058】
本実施形態においては、ユーザ端末装置15にウォレットアプリがインストールされて、ウォレットアプリにより初回ログインが行われた後、利用規約等に対するユーザの同意操作が行われた際に、ユーザ端末装置15Wにより管理されるウォレットがユーザ端末装置15内に生成される。
【0059】
図8(A)のNFT取得申請ページにおいて「Get」ボタンにタッチ操作が行われると、ユーザ端末装置15Bは続いて、
図9に例示するようなウォレットアプリ案内ページを表示する。ウォレットアプリ案内ページにおいて、ユーザが「インストール」ボタンにタッチ操作を行うと、ウォレット生成処理フローが開始される。
図10は、ウォレット生成処理フローを示した図である。
【0060】
ウォレットアプリ案内ページの「インストール」ボタンに対するユーザによりタッチ操作に応じて、ユーザ端末装置15に対するウォレットアプリのダウンロードとインストールが行われる(ステップS301)。なお、ウォレットアプリの配信元はコンテンツデータ管理サーバ装置11であってもよいし、コンテンツデータ管理サーバ装置11とは異なる装置であってもよい。
【0061】
ユーザ端末装置15においてウォレットアプリが実行されると、ユーザ端末装置15はプレーヤ機能付きウォレットとして機能する状態(ユーザ端末装置15W)となる。ユーザは、ユーザ端末装置15Wが表示するログイン画面においてユーザIDと本人確認情報を入力し、初回ログインを行う。初回ログインが成功すると、ユーザ端末装置15Wは、続いて、コンテンツデータ管理システム1によりユーザに対し提供されるサービスの利用規約、プライバシーポリシー等を表示し、それらに対するユーザの同意を確認するための「同意」ボタンを表示する。ユーザが利用規約等に同意し、「同意」ボタンにタッチ操作を行うと、ユーザ端末装置15Wは新たにウォレットを生成する(ステップS302)。
【0062】
続いて、ユーザ端末装置15Wは、ステップS302において生成したウォレットを識別するウォレットアドレスをコンテンツデータ管理サーバ装置11に通知する(ステップS303)。
【0063】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15Wから通知されたウォレットアドレスの登録をファイルサーバ装置12に指示する(ステップS304)。この指示には、ユーザIDとウォレットアドレスが含まれている。
【0064】
ファイルサーバ装置12は、コンテンツデータ管理サーバ装置11からの指示に従い、ユーザテーブル(
図2)から指示に含まれるユーザIDに応じたデータレコードを検索し、検索したデータレコードの「ウォレットアドレス」フィールドに、指示に含まれるウォレットアドレスを格納する(ステップS305)。
【0065】
(NFT付与処理フロー)
ファイルサーバ装置12は、所定のイベントの発生に応じて、未受取のNFTの有無を判定する。所定のイベントとは、例えば、上記のウォレット生成処理フローにおけるステップS305の処理、すなわち、ユーザテーブルに対する新たに生成されたウォレットのウォレットアドレスの格納の処理の完了の他、ウォレットアプリの起動によるユーザのログイン、ウォレットアプリの起動後の所定時間の経過、等である。
【0066】
それらのイベントをトリガとする、ファイルサーバ装置12が行う未受取のNFTの有無の判定により、NFT付与処理フローが開始される。
図11A及び
図11Bは、NFT付与処理フローを示した図である。
【0067】
まず、所定のイベントの発生に応じて、ファイルサーバ装置12は、個々のユーザに関し、未受取のNFTが有るか否かを判定する(ステップS401)。より具体的には、ファイルサーバ装置12は、NFT取得ログテーブル(
図4)から「受取ステイタス」が「未受取」であるデータレコードを抽出し、1以上のデータレコードが抽出された場合、未受取のNFTが有ると判定し、データレコードが抽出されなかった場合、未受取のNFTは無いと判定する。
【0068】
ステップS401の判定において、ファイルサーバ装置12が未受取のNFTは無いと判定した場合、NFT付与処理フローに含まれる以下の処理は実行されない。
【0069】
一方、ステップS401の判定において、未受取のNFTがあると判定した場合、ファイルサーバ装置12は、未受取のNFTの所有者であるユーザのウォレットアドレスをユーザテーブル(
図2)から検索し、検索したウォレットアドレスと、ユーザIDと、未受取のNFTをコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信する(ステップS402)。
【0070】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ファイルサーバ装置12からウォレットアドレスと未受取のNFTを受信すると、受信したウォレットアドレスで識別されるウォレットに未受取のNFTが追加された、というトランザクションを示すトランザクションデータを生成する(ステップS403)。続いて、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、台帳管理システム14に対し、ステップS403において生成したトランザクションデータの台帳への追加を指示する(ステップS404)。
【0071】
台帳管理システム14は、コンテンツデータ管理サーバ装置11からの指示に従い、トランザクションデータを台帳に追加する(ステップS405)。続いて、台帳管理システム14は、コンテンツデータ管理サーバ装置11に対し、トランザクションデータの台帳への追加の完了通知を送信する(ステップS406)。
【0072】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、台帳管理システム14からの完了通知に応じて、ファイルサーバ装置12にNFT取得ログテーブル(
図4)の更新を指示する(ステップS407)。この更新の指示には、ユーザIDと、NFTが含まれている。
【0073】
ファイルサーバ装置12は、コンテンツデータ管理サーバ装置11からの指示に従い、NFT取得ログテーブルを更新する(ステップS408)。具体的には、ファイルサーバ装置12は、指示に含まれるユーザIDに対応するNFT取得ログテーブル(
図4)から、指示に含まれるNFTに対応するデータレコードを検索し、検索したデータレコードの「受取ステイタス」フィールドに格納されている「未受取」を「2023年3月23日17:15受取完了」のような情報に書き換える。この「2023年3月23日17:15」は、例えば、ファイルサーバ装置12がNFT取得ログテーブルを更新する時点における現在時刻であるが、台帳に追加されたトランザクションデータが示す時刻等であってもよい。
【0074】
続いて、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15Wに対し、台帳への追加が完了したトランザクションデータを通知する(ステップS409)。ユーザ端末装置15Wは、コンテンツデータ管理サーバ装置11から通知されたトランザクションデータに従い、ウォレットに未受取であったNFTを追加する(ステップS410)。
【0075】
上記の処理により、コンテンツデータの所有者がユーザとなる。
【0076】
(コンテンツ取得処理フロー)
ユーザは、ユーザ端末装置15Wにより管理されるウォレットに含まれるNFTに対応するコンテンツデータをいつでもストレージシステム13からダウンロードし、ユーザ端末装置15Wにおいて再生することができる。
【0077】
図12は、コンテンツ取得処理フローを示した図である。ユーザ端末装置15Wは、ウォレットに含まれるNFTの中に、ユーザ端末装置15Wにダウンロードされていないコンテンツデータに対応するNFTが有るか否かを判定する(ステップS501)。ステップS501において、ダウンロードされていないコンテンツデータに対応するNFTが無いと判定された場合、コンテンツ取得処理フローのうち以下に説明する処理は実行されない。
【0078】
一方、ステップS501において、ダウンロードされていないコンテンツデータに対応するNFTが有ると判定した場合、ユーザ端末装置15Wは、台帳管理システム14に対しダウンロードされていないコンテンツデータのダウンロード元のURI(Uniform Resource Identifier)を要求する(ステップS502)。この要求には、ダウンロードされていないコンテンツデータに対応するNFTが含まれている。台帳管理システム14は、ユーザ端末装置15Wから受信した要求に含まれるNFTに対応するURIを、要求されたコンテンツデータのダウンロード元のURIとして、ユーザ端末装置15Wに送信する(ステップS503)。
【0079】
ユーザ端末装置15Wは、台帳管理システム14から受信したURIを用いて、ストレージシステム13に対しコンテンツデータの送信を要求する(ステップS504)。ストレージシステム13は、ユーザ端末装置15Wからの送信要求に応じて、コンテンツデータをユーザ端末装置15Wに送信する(ステップS505)。
【0080】
ユーザ端末装置15Wは、ユーザの指示に応じて、ダウンロードしたコンテンツデータを再生することができる。例えば、コンテンツデータが3D形状を表すデータ(3Dデータ)であれば、ユーザ端末装置15Wは、仮想空間を表示すると共に、その仮想空間内に配置された、3Dデータが表す3D形状の物体(以下、「仮想オブジェクト」という)の画像を表示する。ユーザは、仮想空間内における仮想オブジェクトの位置や角度等を自由に変更できると共に、仮想空間内の視点及び視線方向を自由に変更することで、仮想空間内を移動しながら仮想空間内の仮想オブジェクトを様々な方向から見ることができる。
【0081】
例えば、コンテンツデータが音声データであれば、ユーザ端末装置15Wは音声データが表す音声を発音する。また、コンテンツデータが静止画データや動画データであれば、ユーザ端末装置15Wは静止画データが表す静止画、又は、動画データが表す動画を表示する。
【0082】
上述したコンテンツデータ管理システム1によれば、コンサートへの参加に例示される特定の体験をしたユーザにのみ提供されるコンテンツデータに対応付けられたNFTがそのユーザのウォレットに含まれる。その結果、ブロックチェーン技術に従い管理される台帳により、コンテンツデータの一意性が保証されると共に、ユーザがそのコンテンツデータの正統な所有者であることも保証される。従って、そのようなコンテンツデータの複製が他人により利用されることはなく、また、そのようなコンテンツデータが他人により改変されることもない。その結果、コンテンツデータに伴うプレミアムの価値が、コンテンツデータの不正な複製や改変により低下することがない。
【0083】
[変形例]
上述した実施形態は本発明の一実施形態であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下の変形例のうち2以上が適宜、組み合わされてもよい。
【0084】
(1)
図1に示した構成はコンテンツデータ管理システム1の構成の一例であって、様々に変更されてよい。例えば、Webブラウザアプリを実行するユーザ端末装置15と、ウォレットアプリを実行するユーザ端末装置15は物理的に同じ端末装置であるものとしたが、これらのユーザ端末装置15が物理的に異なる端末装置であってもよい。また、コンテンツデータ管理サーバ装置11とファイルサーバ装置12は異なる装置であるものとしたが、これらの装置が同じ装置により実現されてもよい。
【0085】
また、ストレージシステム13はP2Pネットワークによる分散型ストレージであるものとしたが、これに限られず、単体のサーバ装置、又は、冗長化された複数のサーバ装置群によりストレージシステム13が構成されてもよい。その場合、ファイルサーバ装置12がストレージシステム13の役割を果たしてもよい。
【0086】
なお、実施形態で説明したように、ユーザ端末装置15が実行するウォレットアプリがWebブラウザアプリから独立していると、ユーザは、コンサート会場等の外出先で、既にインストールされているWebブラウザアプリを用いてユーザ登録処理フロー(
図6)及びNFT申請受付処理フロー(
図7)を実行させ、帰宅等した後にウォレットアプリをユーザ端末装置15にダウンロードして、ウォレット生成処理フロー(
図10)以降を実行させることができる。そのため、外出先等で通信環境が悪い、又は、データ通信に料金等が発生する、といった理由により、ユーザ端末装置15が通信するデータ量をできるだけ小さくした場合、ウォレットアプリがWebブラウザアプリから独立していることが望ましい。
【0087】
(2)上述した実施形態において、ユーザ端末装置15において実行されるWebブラウザアプリとウォレットアプリは個別のプログラムであるものとしたが、Webブラウザ機能とウォレット機能とプレーヤ機能を備える1つのプログラムがユーザ端末装置15により実行されてもよい。
【0088】
(3)上述した実施形態において、ユーザ端末装置15において実行されるウォレットアプリはプレーヤ機能を備えるものとしたが、ウォレットアプリがプレーヤ機能を備えず、プレーヤ機能を提供するプログラムであるプレーヤアプリがウォレットアプリとは個別にユーザ端末装置15により実行されてもよい。
【0089】
(4)上述した実施形態において、ウォレットはユーザ端末装置15に生成され保持されるものとしたが、ウォレットがユーザ端末装置15によりアクセス可能な他の装置(例えば、コンテンツデータ管理サーバ装置11、又は、コンテンツデータ管理サーバ装置11とは異なるサーバ装置)において生成され保持されてもよい。
【0090】
(5)上述した実施形態において説明したコンテンツデータ管理システム1が行う処理の順序は一例であって、様々に変更されてよい。例えば、上述した実施形態においては、ユーザ登録処理フロー(
図6)の後にNFT申請受付処理フロー(
図7)が行われるものとしたが、NFT申請受付処理フローのステップS201において行うものとした提供条件の判定が行われた後、その判定の結果が肯定的な場合にユーザ登録処理フロー(
図6)が行われ、その後、NFT申請受付処理フローのステップS202以降の処理が行われてもよい。
【0091】
(6)上述した実施形態において、ユーザが所定期間内に所定エリア内にいることは、ユーザ端末装置15が測定した自装置の現在位置と、現在時刻に基づき確認されるものとしたが、ユーザが所定期間内に所定エリア内にいることを確認する方法はこれに限られない。
【0092】
例えば、イベント会場内にそのイベントに応じた認証情報(キーワード等)を表すQRコード(登録商標)を設置し、ユーザがユーザ端末装置15のカメラでそのQRコードを撮影し、デコードして取得した認証情報をコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信するようにしてもよい。この場合、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15から送信されてくる認証情報により、その認証情報に対応するイベント会場に、イベントの開催中、ユーザ端末装置15のユーザがいたことを確認できる。なお、QRコードに代えて、QRコード以外のコードや、コード化されていない認証情報が用いられてもよい。
【0093】
また、QRコードの読み取りに代えて、認証情報を記憶したNFC(Near Field Communication、近距離無線通信)タグ等のデータ発信機能を備えるデバイスをイベント会場内に配置して、ユーザがユーザ端末装置15を用いてそのデバイスから発信される認証情報を取得し、コンテンツデータ管理サーバ装置11に送信してもよい。その場合、データ発信機能を備えるデバイスが認証情報を発信する方法は、電波を用いる方法、音(例えば、人間に聞こえない高周波数帯域の音)を用いる方法、光を用いる方法等のいずれであってもよい。
【0094】
また、QRコード等のコード又はコード化されていない認証情報の印刷されたカードや、認証情報を記憶したNFCタグ等のデバイスが、イベント会場に配置される代わりに、イベントに参加したユーザに配布されてもよい。その場合、ユーザは配布されたカードやデバイスを用いて、イベント会場以外の場所においてユーザ端末装置15から認証情報をコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信することにより、イベントに参加したことをコンテンツデータ管理サーバ装置11に確認させることができる。なお、その場合、例えば、イベント終了後、所定時間が経過する前(例えば、2時間以内)にユーザ端末装置15からコンテンツデータ管理サーバ装置11に対し認証情報が送信されなければ、ユーザにコンテンツデータが提供されない、といった時間制限が設けられてもよい。
【0095】
また、イベント会場に設置、又は、イベントに参加したユーザに配布されるデータ発信機能を備えるデバイスが、認証情報に代えて、NFTを発信してもよい。この場合、ユーザは、ウォレットアプリを実行中のユーザ端末装置15(ユーザ端末装置15W)によりデバイスから発信されるNFTを受信し、受信したNFTをウォレットに追加した後、そのNFTの受取をコンテンツデータ管理サーバ装置11に通知する。その通知には、NFTが含まれている。コンテンツデータ管理サーバ装置11は、この通知に応じて、NFT取得ログテーブル(
図4)を更新するとともに、ユーザのウォレットにNFTが追加されたことを示すトランザクションデータを台帳管理システム14に送信する。台帳管理システム14は、コンテンツデータ管理サーバ装置11から受信したトランザクションデータを台帳に追加する。この場合、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15から受信するNFTの受取の通知により、ユーザがイベントに参加したことを確認することができる。
【0096】
(7)上述した実施形態においては、ユーザが現実空間におけるイベント会場に行き、そのイベント会場においてイベントに参加した場合に、そのユーザに特定のコンテンツデータが提供されるものとした。コンテンツデータ管理システム1によるコンテンツデータの提供は、特定の体験をしたユーザに対してのみ行われる限り、その特定の体験の種類は現実空間におけるイベントへの参加に限られない。例えば、イベントの開催中にリアルタイムでストリーミング配信又は放送される映像等を、ユーザ端末装置15を用いて視聴することが、コンテンツデータの提供条件であってもよい。また、イベントの開催後にアーカイブされた映像等を、ユーザ端末装置15を用いて視聴することが、コンテンツデータの提供条件であってもよい。映像等が配信される場合、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15を用いてログインしたユーザを識別し、そのユーザ端末装置15に映像等を配信することで、そのユーザが特定の体験をしたことを確認できる。また、映像等が放送局から放送される場合、ユーザ端末装置15はテレビチューナー等の受信機を備え、受信機により映像等を受信した番組の識別情報をコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信する。コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ端末装置15から受信した番組の識別情報により、ユーザ端末装置15のユーザが特定の体験をしたことを確認できる。
【0097】
なお、特定の体験がイベント会場におけるイベントへの参加である場合、ユーザが特定の体験をしたことの確認に用いられる、ユーザの行動に関するデータ(ユーザ行動データ)は、ユーザ端末装置15の現在位置と現在時刻を示すデータである。すなわち、ユーザ端末装置15の現在位置と現在時刻は、ユーザ端末装置15のユーザが、その時刻にその位置にいた、というユーザの行動を示す。
【0098】
また、特定の体験がユーザ端末装置15により受信された映像等の視聴である場合、ユーザが特定の体験をしたことの確認に用いられるユーザ行動データは、例えば、ユーザ端末装置15により受信された映像等の識別情報である。例えば、映像等がコンテンツデータ管理サーバ装置11からユーザ端末装置15に配信される場合、ユーザ端末装置15により受信された映像等の識別情報は、例えば、映画のタイトル等である。また、映像等が放送局から放送されてユーザ端末装置15により受信される場合、ユーザ端末装置15により受信された映像等の識別情報は、例えば、ユーザ端末装置15が備える受信機が放送の受信に用いたチャンネルと受信時期である。
【0099】
(8)上述した実施形態においては、ユーザが特定の体験をしたか否かの判定(
図7、ステップS201)は、ユーザ端末装置15により行われるものとしたが、その判定がコンテンツデータ管理サーバ装置11により行われてもよい。その場合、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、判定に用いるユーザの行動に関するデータ(ユーザ行動データ、例えば、ユーザ端末装置15の現在位置を示す位置データ)をユーザ端末装置15から取得してもよいし、他の装置から取得してもよい。コンテンツデータ管理サーバ装置11は、そのように取得したユーザ行動データに基づき、ユーザが特定の体験をしたか否かを確認する。
【0100】
(9)上述した実施形態においては、ユーザ端末装置15が取得したコンテンツデータは、ユーザ端末装置15で実行されるウォレットアプリのプレーヤ機能による再生に用いられるものとしたが、ユーザ端末装置15が取得したコンテンツデータの使用方法はこれに限られない。例えば、コンテンツデータが表すコンテンツが、ウォレットアプリとは異なるアプリを実行中のユーザ端末装置15により再生されてもよい。
【0101】
また、コンテンツデータがユーザ端末装置15から外部の装置に送信又は出力されて、その外部の装置によりコンテンツデータが用いられてもよい。例えば、コンテンツデータが3Dプリンタ用データである場合、ユーザ端末装置15は取得した3Dプリンタ用データを3Dプリンタに出力し、3Dプリンタに3Dプリンタ用データに従う物体の造形を行わせてもよい。
【0102】
(10)上述した実施形態においては、コンテンツデータ管理サーバ装置11が、ユーザ端末装置15Wに対し、NFTがウォレットに追加されたことを示すトランザクションデータが台帳に追加され、そのNFTに対応付けられたコンテンツデータの所有者がユーザに移ったことを通知するものとしたが、ユーザ端末装置15Wがそのトランザクションの完了を認知する方法はこれに限られない。例えば、ユーザ端末装置15Wが台帳管理システム14に問い合わせを行い、台帳管理システム14からの応答によって、ウォレットにNFTが追加されたことを認知してもよい。
【0103】
(11)上述した実施形態においては、ユーザ端末装置15Wが、台帳管理システム14から通知されるURIを用いてコンテンツデータをストレージシステム13から取得するものとしたが、ユーザ端末装置15Wがコンテンツデータのダウンロード元のURIを取得する方法はこれに限られない。例えば、コンテンツデータ管理サーバ装置11が台帳管理システム14からURIを取得し、ユーザ端末装置15Wに通知してもよい。
【0104】
(12)上述した実施形態においては、ユーザ端末装置15Wが、ストレージシステム13から直接、コンテンツデータを取得するものとしたが、例えば、コンテンツデータ管理サーバ装置11がコンテンツデータをストレージシステム13から取得し、ユーザ端末装置15Wに送信してもよい。
【0105】
(13)各ユーザに応じたNFT取得ログテーブル(
図4)に格納されているNFT、すなわち、各ユーザのウォレットに追加されたNFTは、そのユーザが特定の体験をした場合に提供されるコンテンツデータを識別する役割を果たす。従って、コンテンツデータがどのような体験をしたユーザに提供されたかを示す、当該コンテンツデータに関する情報であるコンテンツメタデータがあれば、各ユーザが過去にどのような体験をしたかが分かる。そこで、コンテンツデータ管理システム1が、ウォレットに追加されたNFTに基づき、そのウォレットのユーザに適する広告を選定し、選定した広告を示す広告データをそのユーザのユーザ端末装置15に送信してもよい。
【0106】
図13は、この変形例においてファイルサーバ装置12が記憶するコンテンツテーブルの構成を例示した図である。すなわち、この変形例においては、コンテンツテーブルが、「コンテンツID」フィールドと「提供条件」フィールドに加えて、「コンテンツメタデータ」フィールドを備える。この「コンテンツメタデータ」フィールドには、コンテンツIDにより識別されるコンテンツデータが提供されるユーザによる体験の内容を示すデータが格納される。例えば、コンテンツIDにより識別されるコンテンツデータが、山田花子のコンサートにコンサート会場において参加したユーザにのみ提供される場合、そのコンテンツIDに関するコンテンツテーブルのデータレコードの「コンテンツメタデータ」フィールドには、例えば、「山田花子のコンサート(会場参加)」といったデータが格納される。
【0107】
図14は、この変形例にかかるコンテンツデータ管理システム1の構成を示した図である。この変形例において、コンテンツデータ管理システム1は、広告配信サーバ装置16を備える。広告配信サーバ装置16は広告を示す広告データを多数、記憶しており、コンテンツデータ管理サーバ装置11から、ユーザの属性を示すユーザ属性データを含む要求を受信すると、そのユーザ属性データが示す属性に応じた広告を示す広告データを選定し、選定した広告データをコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信する。
【0108】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、NFT取得ログテーブル(
図4)に記憶されているコンテンツID(NFTに対応付けられたコンテンツデータを識別するコンテンツID)に応じたコンテンツメタデータを、コンテンツテーブル(
図13)から読み出し、読み出したコンテンツメタデータを、ユーザ属性データとして含む要求を広告配信サーバ装置16に送信する。広告配信サーバ装置16は、その要求に含まれるコンテンツメタデータが示すユーザの属性、すなわち、ユーザが過去に体験したイベント等が示すユーザの趣味嗜好等に応じた広告を示す広告データを選定し、選定した広告データをコンテンツデータ管理サーバ装置11に送信する。
【0109】
コンテンツデータ管理サーバ装置11は、広告配信サーバ装置16から受信した広告データをユーザ端末装置15に送信する。ユーザ端末装置15は、コンテンツデータ管理サーバ装置11から受信した広告データが示す広告を表示又は発音(もしくは、表示及び発音)する。
【0110】
この変形例によれば、ユーザは、自分の過去の体験に応じた広告を受けることができる。
【0111】
(14)ユーザが特定の体験をしたことの確認に用いられるユーザ行動データが、ユーザが特定のサービス又は物品を取得したことを示すデータであってもよい。その場合、コンテンツデータ管理サーバ装置11は、ユーザ行動データが示すユーザにより取得されたサービス又は物品が所定の条件を満たすか否かによって、そのユーザが特定の体験をしているか否かを判定する。
【0112】
例えば、宝くじ等のくじの当選者は、くじに当選した、という特定の体験をしている。また、競馬、競輪、ボートレース、オートレース等の競技における投票券(馬券、車券、舟券等)を購入して高額配当を得た人は、高額配当を得た、という特定の体験をしている。また、店舗で特定の商品を購入した人は、その商品を入手できた、又は、その商品を使用した、という特定の体験をしている。従って、コンテンツデータ管理システム1において、当選したくじ、高額配当をもたらした投票券、又は、特定の商品を購入した際に店舗から発行された領収書を識別するデータ(くじの番号、投票券の番号、領収書の番号等)が、ユーザ行動データとして用いられてもよい。
【0113】
(15)上述した実施形態において、NFTに対応付けて管理されるデータはコンテンツデータであるものとしたが、コンテンツデータに代えて、コンテンツデータを有効化するためのデータであるコンテンツ有効化データがNFTに対応付けて管理されてもよい。
【0114】
この変形例において、ユーザ端末装置15は無効化されたコンテンツデータを記憶している。無効化されたコンテンツデータは、例えば、視聴できるが価値のないコンテンツ(例えば、記名等のされていないトロフィーや賞状)を示すデータであってもよいし、暗号化されて復号化されなければコンテンツを示さないデータであってもよい。
【0115】
また、この変形例において、ファイルサーバ装置12は、コンテンツIDにより識別されるデータとして、コンテンツデータに代えて、コンテンツデータを有効化するためのコンテンツ有効化データを記憶している。コンテンツ有効化データは、例えば、価値のないコンテンツに追加されてコンテンツに価値を付与するデータ(例えば、トロフィーや賞状に刻まれる氏名、賞名等を示すデータ)であってもよいし、暗号化されているコンテンツデータを復号化するための復号鍵を示すデータであってもよい。
【0116】
ユーザが特定の体験をしてNFTを取得すると、ユーザ端末装置15はそのNFTに対応付けられているコンテンツ有効化データを取得し、予め記憶している無効化されているコンテンツデータを、取得したコンテンツ有効化データを用いて有効化する。具体的には、ユーザ端末装置15は、コンテンツ有効化データが示す氏名、賞名等を、予め記憶しているコンテンツデータが示すトロフィーや賞状等に刻み込み、価値のあるコンテンツデータを生成したり、コンテンツ有効化データが示す復号鍵を用いて、予め記憶しているコンテンツデータを復号化したりする。その結果、ユーザは、有効化されたコンテンツデータが示すコンテンツを利用できるようになる。
【0117】
この変形例によれば、ユーザが特定の体験をして、ユーザのウォレットにコンテンツデータに応じたNFTが格納された後、コンテンツデータをダウンロード等してユーザ端末装置15が取得する場合と比較し、ユーザが速やかにコンテンツデータを利用できる、というメリットや、ユーザ端末装置15の通信環境が悪くてもコンテンツデータを利用できる、というメリットがある。
【符号の説明】
【0118】
1…コンテンツデータ管理システム、11…コンテンツデータ管理サーバ装置、12…ファイルサーバ装置、13…ストレージシステム、14…台帳管理システム、15…ユーザ端末装置、16…広告配信サーバ装置。
【要約】
【課題】特定の体験をした人にのみ提供されるコンテンツデータの複製や改変に起因する価値低下を防止する手段を提供する。
【解決手段】ユーザは、コンサート会場に行き、Webブラウザアプリを実行中のユーザ端末装置15に所定のURLを入力する。その入力に応じて、ユーザ端末装置15はWebページ表示指示データ(HTMLデータ等)を取得する。ユーザ端末装置15は、そのWebページ表示指示データに含まれるスクリプトに従い、自装置の現在位置がコンサート会場内であり、現在時刻がコンサートの開催期間内であることを確認すると、コンサートの参加者のみに提供されるプレミアムコンテンツのNFTの取得申請を促すWebページを表示する。ユーザがそのページに対し所定の操作を行うと、台帳管理システム14が管理するブロックチェーンの台帳に、そのNFTがユーザのウォレットに追加されたことを示すトランザクションデータが追加される。
【選択図】
図1