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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】光学デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240605BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240605BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20240605BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240605BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/00 C
G02B5/08 D
G02B5/30
G02B5/26
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196159
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2022530338の分割
【原出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2024023333
(43)【公開日】2024-02-21
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】62/943,867
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
(72)【発明者】
【氏名】エラド・シャーリン
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0151379(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198471(US,A1)
【文献】特表2019-527175(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087576(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/065975(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109613644(CN,A)
【文献】特表2009-516862(JP,A)
【文献】特開2018-205448(JP,A)
【文献】特開2019-061079(JP,A)
【文献】特開2018-049106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0257832(US,A1)
【文献】国際公開第2019/064301(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110161612(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/01
G02B27/02
G02B 5/00
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
少なくとも2つの平行な主要外部表面を有する光透過基板であって、前記主要外部表面における内部反射によって光を誘導するための、光透過基板と、
前記光透過基板内に、前記主要外部表面に対して斜めに配備された少なくとも1つの内部表面であって、前記内部表面が、前記内部表面と前記光透過基板との間の境界領域を画定する前記光透過基板の前記主要外部表面のうちの第1のものと関連付けられている端部領域を有する、少なくとも1つの内部表面と、
前記境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第1のものに形成されたくぼみに位置付けられているある量の光吸収材料と、を備え、当該光吸収材料の前記量が、前記境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第1のものに形成された前記くぼみを埋めるのに十分である、光学デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの内部表面が、複数の相互に平行な部分的に反射する表面を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの内部表面が、内部反射によって前記光透過基板内に誘導された光を前記光透過基板から結合するように構成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの内部表面が、内部反射によって前記光透過基板内を伝播するように、前記光透過基板内に光を結合するように構成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの内部表面が、内部反射によって別の光透過基板内を伝播するように、内部反射によって前記光透過基板内に誘導された光を、前記別の光透過基板内に結合するように構成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記光吸収材料が、黒色吸収塗料を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記内部表面が、前記内部表面と前記光透過基板との間の第2の境界領域を画定する前記光透過基板の前記主要外部表面のうちの第2のものに関連付けられている第2の端部領域を有し、前記光学デバイスが、前記第2の境界領域において前記主要外部表面のうちの前記第2のものに形成されたくぼみに位置付けられたある量の光吸収材料をさらに備え、当該光吸収材料の前記量が、前記第2の境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第2のものに形成された前記くぼみを埋めるのに十分である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項8】
光学デバイスを製造するための方法であって、前記方法が、
主要外部表面における内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの平行な主要外部表面を有する光透過基板を得ることであって、前記光透過基板が、前記主要外部表面の間に、かつ前記主要外部表面に対して斜めに配備された少なくとも1つの内部表面を有し、前記内部表面が、前記光透過基板の前記主要外部表面のうちの第1のものに関連付けられている端部領域を有し、前記内部表面と、前記主要外部表面のうちの前記第1のものとの間の境界領域を画定する、光透過基板を得ることと、
前記境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第1のものに形成されたくぼみ内のある量の光吸収材料を堆積させることと、を含み、
前記光吸収材料の前記量が、前記境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第1のものに形成された前記くぼみを埋めるのに十分である、方法。
【請求項9】
前記光吸収材料の前記量を堆積させる前記のことが、前記主要外部表面のうちの前記第1のものの実質的に全体に前記光吸収材料を適用することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記主要外部表面のうちの前記第1のものを研磨して、前記くぼみの外側にある前記主要外部表面のうちの前記第1のものの実質的にすべての部分から前記光吸収材料を除去することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記光透過基板を得る前記のことが、コーティングされた透明なプレートのセットを一緒に取り付けて積層体を形成することと、前記積層体を斜めにスライスして、前記少なくとも2つの平行な主要外部表面と前記主要外部表面に対して斜めの前記内部表面とを有する前記光透過基板を形成することと、前記主要外部表面を研磨することと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記主要外部表面を研磨する前記のことが、前記境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第1のものに前記くぼみを形成させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内部表面が、前記内部表面と前記主要外部表面のうちの第2のものとの間の第2の境界領域を画定するために、前記光透過基板の前記主要外部表面のうちの前記第2のものに関連付けられている第2の端部領域を有し、前記方法が、前記内部表面と前記主要外部表面のうちの前記第2のものとの間の前記第2の境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第2のものに形成されたくぼみにある量の光吸収材料を堆積させることをさらに含み、当該光吸収材料の前記量が、前記第2の境界領域における前記主要外部表面のうちの前記第2のものに形成された前記くぼみを埋めるのに十分である、請求項に記載の方法。
【請求項14】
光学デバイスであって、
矩形断面を形成する平行な主要外部表面の第1および第2の対を有する光透過基板であって、前記光透過基板が、前記主要外部表面における内部反射によって光を誘導するように構成されている、光透過基板と、
前記光透過基板内に、前記光透過基板から光を結合するように構成された前記光透過基板の伸長方向に対して斜めに配備された少なくとも1つの内部表面と、
前記内部表面の端部領域と前記主要外部表面の一つの境界領域で前記光透過基板の前記主要外部表面の一つに形成された欠陥に位置付けられたある量の光吸収材料と、を備え
前記光吸収材料の前記量が、前記境界領域で前記主要外部表面の一つに形成された前記欠陥を埋めるのに十分である、光学デバイス。
【請求項15】
前記欠陥が、前記境界領域で前記主要外部表面の一つに形成されたかすり傷又はくぼみを含む、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記欠陥が、前記主要外部表面の第1の対の前記主要外部表面のうちの1つと、前記主要外部表面の第2の対の前記主要外部表面のうちの1つとの間に形成された縁部に欠けを含む、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記欠陥が、前記主要外部表面の第1の対の前記主要外部表面のうちの1つと、前記主要外部表面の第2の対の前記主要外部表面のうちの1つとの間に形成された角部の欠けを含む、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記光吸収材料が、黒色吸収塗料を含む、請求項14に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/943,867号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ディスプレイシステム、および特に、ディスプレイでの使用に好適な導光光学素子に関する。
【背景技術】
【0003】
ある特定のディスプレイ技術、つまり仮想現実および拡張現実アプリケーションのための近目ディスプレイ(NED)などのヘッドアップディスプレイ(HUD)に特に好適なものは、「光導波路」または「光透過基板」とも称される導光光学素子を使用し、一連の内部の斜めの相互に平行な部分的に反射する表面を有する。画像プロジェクタは、導波路に光学的に結合され、内部反射によって導波路を伝播するように、コリメートされた画像に対応する光を導波路内に入射する。伝播する光は、一連の部分的に反射する表面での反射によって観察者の目に向かって導波路から徐々に結合され、それによって、目の反対側の有効光学開口部を、画像プロジェクタの出力開口部と比較して拡張させる。
【0004】
部分的に反射する表面の反射率は、スペクトル範囲、偏光方向、および入射角を含む入射光の様々なパラメータに敏感である。部分的に反射する表面は、典型的には、光学コーティングでコーティングされて、所望の反射率パターンを生成する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、導光光学素子である。
【0006】
本発明の一態様による特定の好ましい実施形態は、スペクトル、偏光、および角度均一性要件を同時に満たすことを可能にする光コーティングスキームに従ってコーティングされた内部部分的反射器を有する導光光学素子を提供する。本発明のこの態様の他の実施形態では、前述の要件は、所望されない方向への反射を同時に最小限に抑えながら満たされる。本発明の別の態様によるある特定の好ましい実施形態は、導光光学素子内の光散乱を低減する、導光光学素子の外部表面または表面のうちの1つ以上の領域に適用されるある量の反射抑制材料の量を有する導光光学素子を提供する。
【0007】
本発明の実施形態の教示によれば、光学デバイスが提供される。光学デバイスは、少なくとも2つの平行な主要外部表面を有する光透過基板であって、主要外部表面における内部反射によってコリメートされた画像を示す光を誘導するための光透過基板と、基板内に、外部表面に対して斜めに配備されている、相互に平行な内部表面の第1のセットと、基板内に、内部表面の第1のセットに対して平行に、内部表面の第1のセットと交互に、かつ内部表面の第1のセットと重なり合う関係に、配備されている、相互に平行な内部表面の第2のセットと、を備え、第1のセットの内部表面の各々の少なくとも一部が、少なくとも入射光の成分の第1のサブセットに少なくとも部分的に反射性であるように、第1の反射特性を有する第1のコーティングを含み、第2のセットの内部表面の各々の少なくとも一部が、少なくとも入射光の成分の第2のサブセットに少なくとも部分的に反射性であるように、第1の反射特性に相補的である第2の反射特性を有する第2のコーティングを含み、そのため、内部表面のセットが、第1および第2のサブセットからの光のすべての成分を反射するように協働する。
【0008】
任意選択的に、成分の第1のサブセットは、第1の色に対応する光を含み、成分の第2のサブセットは、第2の色に対応する光を含む。
【0009】
任意選択的に、成分の第1のサブセットは、第1の偏光方向を有する光を含み、成分の第2のサブセットは、第2の偏光方向を有する光を含む。
【0010】
任意選択的に、第1のコーティングまたは第2のコーティングのうちの少なくとも1つは、構造偏光子を含む。
【0011】
任意選択的に、第1のコーティングまたは第2のコーティングのうちの少なくとも1つが、誘電体コーティングを含む。
【0012】
任意選択的に、第1のコーティングまたは第2のコーティングのうちの少なくとも1つは、金属コーティングを含む。
【0013】
任意選択的に、第1のコーティングは、第1の色に対応する波長を有する光を第1の反射効率で反射することと、第2の色に対応する波長を有する光を第2の反射効率で反射することと、かつ第3の色に対応する波長を有する光を第1の反射効率よりも小さい第3の反射効率で反射することと、を行うように構成されており、第2のコーティングは、第1の色に対応する波長を有する光を第3の反射効率よりも大きい反射効率で反射するように構成されており、そのため、第1および第2のコーティングによる第3の色の組み合わされた反射効率が、第1の反射効率以上である。
【0014】
任意選択的に、第2の反射効率は、第1の反射効率よりも小さく、第2のコーティングは、第2の色に対応する波長を有する光を、第2の反射効率よりも大きい反射効率で反射するように構成されており、そのため、第1および第2のコーティングによる第2の色の組み合わされた反射効率は、第1の反射効率以上である。
【0015】
任意選択的に、第2のコーティングが、第1の色に対応する波長を有する光を、第1の反射効率とほぼ等しい反射効率で反射するように構成されている。
【0016】
任意選択的に、第1のコーティングは、第1の色に対応する波長を有する光を第1の反射効率で反射することと、第2の色に対応する波長を有する光を第1の反射効率よりも小さい第2の反射効率で反射することと、第3の色に対応する波長を有する光を第1の反射効率よりも小さい第3の反射効率で反射することと、を行うように構成されており、第2のコーティングは、第1の色に対応する波長を有する光を第2および第3の反射効率よりも大きい反射効率で反射することと、第2の色に対応する波長を有する光を第2および第3の反射効率よりも大きい反射効率で反射することと、第3の色に対応する波長を有する光を第2および第3の反射効率よりも大きい反射効率で反射することと、を行うように構成されている。
【0017】
任意選択的に、第1のコーティングは、第1のセットの内部表面の各々に所定のパターンで配設された、反射性材料のいくつかの部分を備える、パターン化されたコーティングを含む。
【0018】
任意選択的に、反射性材料の各部分は、内部表面の平面内に円形形状を有する。
【0019】
任意選択的に、反射性材料の各部分は、内部表面の平面内に長円形状を有する。
【0020】
任意選択的に、反射性材料は、誘電体材料である。
【0021】
任意選択的に、反射性材料は、金属材料である。
【0022】
任意選択的に、反射性材料の部分の間に形成される空間は、透明である。
【0023】
任意選択的に、第2の反射性材料は、反射性材料の部分の間に形成される空間内の内部表面上に配備される。
【0024】
任意選択的に、第2の反射性材料は、誘電体材料を含む。
【0025】
任意選択的に、第2の反射性材料は、内部表面上に所定のパターンで配設される。
【0026】
任意選択的に、第1のセットの内部表面上の部分の数または部分のサイズのうちの少なくとも1つは、基板を通る光の伝播の一次方向に対して増加する。
【0027】
任意選択的に光学デバイスが、反射性材料と第1のセットの内部表面の少なくとも一部との間に配備されたある量の光反射抑制材料をさらに備える。
【0028】
任意選択的に、光反射抑制材料は、光吸収材料を含む。
【0029】
任意選択的に、光反射抑制材料は、光散乱材料を含む。
【0030】
第1のコーティングは、第1のセットの内部表面の各々の第1の部分上に配備され、第2のコーティングは、第1のセットの内部表面の各々の第2の部分上に配備され、第2のコーティングは、第2のセットの内部表面の各々の第1の部分上に配備され、第1のコーティングは、第2のセットの内部表面の各々の第2の部分上に配備され、第1のセットの内部表面の第1の部分および第2の部分は、重なり合わない部分であり、第2のセットの内部表面の任意選択的に第1の部分および第2の部分は、重なり合わない部分である。
【0031】
任意選択的に、第1および第2のセットの内部表面は、主要外部表面における内部反射によって誘導されたある割合の光を、基板から視聴者の目に向かって反射する。
【0032】
任意選択的に、第1および第2のセットの内部表面は、第2の光透過基板の外部表面における内部反射によって誘導するために第2の光透過基板に結合されるように、主要外部表面における内部反射によって誘導されるある割合の光を基板から反射する。
【0033】
任意選択的に、基板は、基板を通して1つの次元で光を誘導するように構成されている。
【0034】
任意選択的に、基板は、基板を通して2つの次元で光を誘導するように構成されている。
【0035】
任意選択的に、第1のセットまたは第2のセットのうちの少なくとも1つからの内部表面のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの内部表面と基板との間の境界領域を画定する、基板の外部表面のうちの第1のものに関連付けられている端部領域を含み、外部表面のうちの第1のものは、境界領域における外部表面のうちの第1のものに形成されたくぼみに位置付けられているある量の光吸収材料を有する。
【0036】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、少なくとも2つの平行な主要外部表面を有する光透過基板であって、主要外部表面における内部反射によってコリメートされた画像を示す光を誘導するための、光透過基板と、基板内に、外部表面に対して斜めに配備された複数の相互に平行な内部表面であって、内部表面の第1のサブセットの少なくとも一部が、第1のサブセットの内部表面上に所定のパターンで配設された反射性材料のいくつかの部分を含むパターン化されたコーティングを備え、パターン化されたコーティングが、少なくとも入射光の成分の第1のサブセットに少なくとも部分的に反射し、内部表面の第2のサブセットが、少なくとも入射光の成分の第2のサブセットに対して少なくとも部分的に反射し、第1のサブセットの内部表面が、第2のサブセットの内部表面と重なり合う関係にあり、そのため、内部表面のサブセットが第1および第2のサブセットからの光のすべての成分を反射するように協働する、複数の相互に平行な内部表面と、を備える。
【0037】
任意選択的に、反射性材料の各部分は、第1のサブセットの内部表面の平面内に円形形状を有する。
【0038】
任意選択的に、反射性材料の各部分は、第1のサブセットの内部表面の平面内に長円形状を有する。
【0039】
任意選択的に、反射性材料は、誘電体材料である。
【0040】
任意選択的に、反射性材料は、金属材料である。
【0041】
任意選択的に、反射性材料の部分の間に形成される空間は、透明である。
【0042】
任意選択的に、第2の反射性材料は、反射性材料の部分の間に形成された空間に配備される。
【0043】
任意選択的に、第2の反射性材料は、誘電体材料を含む。
【0044】
任意選択的に、第2の反射性材料は、第1のサブセットの内部表面上に所定のパターンで配設される。
【0045】
任意選択的に、第1のサブセットの内部表面上の部分の数または部分のサイズのうちの少なくとも1つは、基板を通る光の伝播の方向に対して増加する。
【0046】
任意選択的に、光学デバイスは、反射性材料と第1のサブセットの内部表面との間に配備されたある量の光反射抑制材料をさらに備える。
【0047】
任意選択的に、光反射抑制材料は、光吸収材料を含む。
【0048】
任意選択的に、光反射抑制材料は、光散乱材料を含む。
【0049】
任意選択的に、第1のサブセットの内部表面は、第2のサブセットの内部表面と交互になっている。
【0050】
任意選択的に、内部表面の第1のサブセットの表面は、内部表面の第2のサブセットの表面と同一面上にある。
【0051】
任意選択的に、内部表面は、主要外部表面における内部反射によって誘導されたある割合の光を、光透過基板から視聴者の目に向かって反射する。
【0052】
任意選択的に、内部表面は、第2の光透過基板の外部表面における内部反射による誘導のために第2の光透過基板に結合されるように、主要外部表面における内部反射によって誘導されるある割合の光を光透過基板から反射する。
【0053】
任意選択的に、基板は、基板を通して1つの次元で光を誘導するように構成されている。
【0054】
任意選択的に、基板は、基板を通して2つの次元で光を誘導するように構成されている。
【0055】
任意選択的に、内部表面のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの内部表面と基板との間の境界領域を画定する、基板の外部表面のうちの第1のものに関連付けられている端部領域を含み、外部表面のうちの第1のものは、境界領域における外部表面のうちの第1のものに形成されたくぼみに位置付けられているある量の光吸収材料を有する。
【0056】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、主要外部表面における内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの平行な主要外部表面を有する光透過基板と、基板内に、外部表面に対して斜めに配備された少なくとも1つの少なくとも内部表面であって、内部表面が、内部表面と基板との間の境界領域を画定する基板の外部表面のうちの第1のものと関連付けられている端部領域を有する、少なくとも1つの少なくとも内部表面と、境界領域における外部表面のうちの第1のものに形成されたくぼみに位置付けられているある量の光吸収材料と、を備える。
【0057】
任意選択的に、少なくとも1つの内部表面は、複数の相互に平行な部分的に反射する表面を含む。
【0058】
任意選択的に、少なくとも1つの内部表面は、内部反射によって基板内に誘導された光を基板から結合するように構成される。
【0059】
任意選択的に、少なくとも1つの内部表面は、内部反射によって基板内を伝播するように、基板内に光を結合するように構成される。
【0060】
任意選択的に、少なくとも1つの内部表面は、内部反射によって第2の基板内を伝播するように、内部反射によって基板内に誘導された光を、第2の光透過基板内に結合するように構成される。
【0061】
任意選択的に、光吸収材料は、黒色吸収塗料を含む。
【0062】
任意選択的に、光吸収材料の量は、くぼみを埋めるのに十分である。
【0063】
任意選択的に、内部表面は、内部表面と基板との間の第2の境界領域を画定する基板の外部表面のうちの第2のものに関連付けられている第2の端部領域を有し、光学デバイスは、第2の境界領域において外部表面のうちの第2のものに形成されたくぼみに位置付けられたある量の光吸収材料をさらに備える。
【0064】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスの製造方法も提供される。方法は、主要外部表面における内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの平行な主要外部表面を有する光透過基板を得ることであって、基板が、外部表面の間に、かつ外部表面に対して斜めに配備された少なくとも1つの少なくとも内部表面を有し、内部表面が、基板の外部表面のうちの第1のものに関連付けられている端部領域を有し、内部表面と、外部表面のうちの第1のものとの間の境界領域を画定する、光透過基板を得ることと、境界領域における外部表面のうちの第1のものに形成されたくぼみ内のある量の光吸収材料を堆積させることと、を含む。
【0065】
任意選択的に、光吸収材料の量を堆積させることは、外部表面のうちの第1のものの実質的に全体に光吸収材料を適用することを含む。
【0066】
任意選択的に、方法は、外部表面のうちの第1のものを研磨してくぼみの外側にある外部表面のうちの第1のものの実質的にすべての部分から光吸収材料を除去することをさらに含む。
【0067】
任意選択的に、光透過性基板を得ることが、コーティングされた透明なプレートのセットを一緒に取り付けて積層体を形成することと、積層体を斜めにスライスして、少なくとも2つの平行な主要外部表面と外部表面に対して斜めの内部表面とを有する基板を形成することと、外部表面を研磨することと、を含む。
【0068】
任意選択的に、外部表面を研磨することが、境界領域における外部表面のうちの第1のものにくぼみを形成させる。
【0069】
任意選択的に、光吸収材料の量は、くぼみを埋めるのに十分である。
【0070】
任意選択的に、内部表面は、内部表面と外部表面のうちの第2のものとの間の境界領域を画定するために、基板の外部表面のうちの第2のものに関連付けられている第2の端部領域を有し、方法が、内部表面と外部表面のうちの第2のものとの間の境界領域における外部表面のうちの第2のものに形成されたくぼみにある量の光吸収材料を堆積させることをさらに含む。
【0071】
本発明の教示の実施形態による光学デバイスも提供される。光学デバイスは、矩形断面を形成する平行な主要外部表面の第1および第2の対を有する光透過基板であって、基板が、主要外部表面における内部反射によって光を誘導するように構成されている、光透過基板と、基板内に、基板から光を結合するように構成された基板の伸長方向に対して斜めに配備された少なくとも1つの内部表面と、基板の外部領域に形成された欠陥に位置付けられたある量の光吸収材料と、を備える。
【0072】
任意選択的に、欠陥は、外部表面のうちの1つに形成されたかすり傷を含む。
【0073】
任意選択的に、欠陥は、外部表面の第1の対の外部表面のうちの1つと、外部表面の第2の対の外部表面のうちの1つとの間に形成された縁部にチップを含む。
【0074】
任意選択的に、欠陥は、外部表面の第1の対の外部表面のうちの1つと、外部表面の第2の対の外部表面のうちの1つとの間に形成された角部内のチップを含む。
【0075】
任意選択的に、内部表面は、内部表面と基板との間の境界領域を画定するように、基板の外部表面のうちの1つに関連付けられている少なくとも第1の端部領域を含む。
【0076】
任意選択的に、欠陥は、境界領域で形成されたくぼみを含む。
【0077】
任意選択的に、光吸収材料は、黒色吸収塗料を含む。
【0078】
本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に概して理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験において、本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料が使用され得るが、例示的な方法および/または材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、および例は単に例示であり、必ずしも制限することが意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本発明の一部の実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して本明細書に記載される。詳細に図面を具体的に参照すると、図示される詳細は、例として、かつ本発明の実施形態の例示的な考察の目的のためであることが強調される。これに関して、図面とともに行われる説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにするものである。
【0080】
ここで、図面に注目すると、同様の参照番号または文字は、対応するまたは同様の構成要素を示している。図面において、
図1】本発明の一態様の教示に従って構築され、動作する導光光学素子(LOE)の概略側面図表現であり、コーティングの相補的なセットを有する内部の部分的に反射する表面の一連の交互になっているセットを通過する画像照射の成分の進行を示す。
図2】p偏光およびs偏光に対する入射角の関数として、内部の部分的に反射する表面のいくつかで使用され得るコーティングの反射率曲線を示す。
図3】異なる反射角で内部の部分的に反射する表面によって反射される画像照射成分の概略表現である。
図4】照射成分のうちのいくつかのより低い反射を補償するために使用され得る反射性材料の部分を有するパターン化された反射コーティングの概略表現である。
図5図4と同様のパターン化された反射コーティングの概略表現であるが、図4の反射性材料の部分の形状とは異なる形状の反射性材料の部分を有する。
図6】単一のコーティング上に2つの反射パターンを有するコーティングの概略表現である。
図7】内部の部分的に反射する表面のいくつかで使用され得るコーティングに対する波長の関数としての反射率曲線を例示している。
図8図7のコーティングを、内部の部分的に反射する表面のいくつかで使用される相補的コーティングと組み合わせて使用するときに達成される反射率曲線を示す。
図9】内部の部分的に反射する表面のいくつかで使用され得る別のコーティングに対する波長の関数としての反射率曲線を示す。
図10】内部の部分的に反射する表面のいくつかに使用される相補的コーティングと組み合わせて、図9のコーティングを使用するときに達成される反射率曲線を示す。
図11】内部の部分的に反射する表面の各々に交互の順序で配設された2つの相補的コーティングを有する一連の内部の部分的に反射する表面の概略表現である。
図12A】光学開口拡大を2つの次元で実行するための、各々、相補的なコーティングを有することができる部分的に反射する内部表面のセットを有する2つの光導波路を有する光学デバイスの概略側面および正面図である。
図12B】光学開口拡大を2つの次元で実行するための、各々、相補的なコーティングを有することができる部分的に反射する内部表面のセットを有する2つの光導波路を有する光学デバイスの概略側面および正面図である。
図13】光学開口拡大を2つの次元で実行するための、各々、相補的コーティングを有することができる部分的に反射する内部表面を有する2つの光導波路を有する別の光学デバイスの概略表現である。
図14】内部の部分的に反射する表面のセットを有し、LOEを通る画像照射の進行および内部の部分的に反射する表面の1つからの所望されない反射を示すLOEの概略表現である。
図15A図4および図5のパターン化された反射コーティングと同様のパターン化された反射コーティングで実装された図14の内部の部分的に反射する表面の1つの概略表現であり、内部の部分的に反射する表面の表側に入射する光の透過および反射を示す。
図15B図15Aの部分的に反射する表面の概略表現であり、内部の部分的に反射する表面の裏側に入射する光の透過および反射を示す。
図16A】本発明の一態様の教示に従って構築され、動作する、図15Aおよび図15Bの内部の部分的に反射する表面と同様の内部の部分的に反射する表面の概略表現であり、パターン化された反射コーティングの反射部分と内部の部分的に反射する表面の表側との間に配備されたある量の反射抑制材料を有し、内部の部分的に反射する表面の表側に入射する光の透過および反射を示す。
図16B図16Aの部分的に反射する表面の概略表現であり、内部の部分的に反射する表面の裏側の1つの領域に入射する光の透過、および内部の部分的に反射する表面の裏側の別の領域に入射する光の反射抑制材料による抑制を示す。
図17】導光光学素子(LOE)のセクションの概略表現であり、LOEの内部の部分的に反射する表面、およびLOEの内部の部分的に反射する表面と外部の面との間の境界領域に形成されたくぼみの形態の欠陥を示す。
図18図17に対応する概略表現であり、LOEを通る画像照射の進行およびくぼみによって与えられる画像照射に対する散乱効果を示す。
図19図17および図18の導光光学素子(LOE)と同様に、本発明の一態様の教示に従って構築および動作するが、くぼみにおいて適用されるある量の光吸収材料を有し、かつ光吸収材料による画像照射の吸収を示す、LOEのセクションの概略表現である。
図20図12Aと同様の側面図であるが、光導波路のうちの1つの削られた角部または縁部の形態の欠陥を示す。
図21図20に対応する側面図であり、本発明の一態様の教示による、削られた角部または縁部において適用されたある量の光吸収材料を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明の実施形態は、内部部分的反射器が相補的なコーティングスキームに従って適用されるコーティングを有する導光光学素子と、導光光学素子の外部表面または表面の1つ以上の領域に適用される反射抑制材料を有する導光光学素子と、を含む、内部部分的反射器を有する様々な導光光学素子を提供する。
【0082】
本発明による様々な導光光学素子の原理および動作は、説明に付随する図面を参照してより良好に理解され得る。
【0083】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、かつ/または図面および/もしくは実施例に図示された構成要素および/または方法の構造および配設の詳細に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態、または様々な方法で実施または実行することができる。最初に、本書では、例えば、前後、上下、および左右などの方向について言及する。これらの方向の言及は、本発明およびその実施形態を例示するためにのみ例示的である。
【0084】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の非限定的な実施形態に従って構築され、動作する、概して10と指定された導光光学素子(LOE)の形態の光学デバイスを示している。LOE10は、一対の平行な面(「主要外部表面」または「表面」とも称される)12、14、および基板内に、平行な面12、14に対して斜めの角度で配備された複数の平面の部分的に反射する表面16a、16b、16c、18a、18b、18cを有する、透明な材料(ガラスなど)から構成される光透過基板として形成される。図示される非限定的な実施形態では、LOE10は、スラブ型導波路を形成し、すなわち、LOE10の他の2つの次元は、平行な面12、14間の距離よりも少なくとも1桁大きい。部分的に反射する表面(以下、互換的に「内部表面」、「内部部分的反射器」、「部分的な反射器」または「ファセット」と称される)16a、16b、16c、18a、18b、18cは、2つのセットの内部物表面、すなわち、内部表面16a、16b、16cを有する第1のセット16と、内部表面18a、18b、18cを有する第2のセット18と、に細分化される。提示を簡単にするために、セット16、18の各々は、3つの内部表面を有するように本明細書に示されるが、セットのいずれかまたは両方は、任意の好適な数の内部表面を有することができることを理解されたい。
【0085】
特定の好ましいが非限定的な実施形態では、2つのセット16、18の内部表面は交互になっており、そのため、内部表面16a、16b、16cのうちの1つ以上が隣接する一対の内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cの間に配置され、その逆も同様である。好ましくは、内部表面は、2つのセット16、18の内部表面の間で交互になっており、そのため、隣接する内部表面16a、16b、16cの各対に対して、内部表面18a、18b、18cのうちの1つが存在し、その逆も同様である。この交互の構成を図1に示している。
【0086】
ここで、サンプル光線20Aおよび20Bを含む照射のビーム20によって概略的に表される投射画像20は、内方結合反射器として概略的に表される光学内方結合構成22によってLOE10(すなわち、基板内)に結合される。好適に角度を付けられた結合プリズムまたは回折光学要素の使用などによって、画像照射をLOE10に結合するための他の好適な内方結合構成は、当技術分野で周知である。画像照射20は、平行な面12、14での繰り返される内部反射によってLOE10内に誘導される(すなわち、画像照射20は、LOE基板内の内部反射によってトラップされる)。特定の好ましいが非限定的な実装態様では、内部反射によるLOE10を通る伝播は、全内部反射(TIR)の形態であり、それによって、臨界角度よりも大きい角度での平行な面12、14での伝播画像照射20の入射は、平行な面12、14での照射の反射を引き起こす。他の非限定的な実装態様では、内部反射によるLOE10を通る伝播は、平行な面12、14に適用される反射コーティング(例えば、角度選択的反射コーティング)によって実現される。
【0087】
画像照射20は、一連の内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cに到達するまでLOE10を通って伝播し、そこで画像強度の一部が光線24A、24BとしてLOE10から反射される。図1に示される実施形態などの特定の実施形態では、内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cは、LOE10から観察者の目に向かって画像強度の一部を結合するように、反射光線24A、24Bとして画像照射を反射する。考察されるように、他の実施形態では、内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cは、反射光線24A、24Bとして画像照射を反射し、他のLOEの平行な面間で誘導するために、および他のLOE内に配備された一組の内部表面によって観察者の目に向かって外方結合するために、別のLOEに結合される。
【0088】
画像照射20は、典型的には、例えば、異なる偏光成分および異なる色(すなわち、スペクトル)成分を含む、照射の複数の成分を含む。内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cは、好ましくは、プレートまたはスラブの側面または表面の少なくとも一部に適用されるコーティングを有する透明なプレートまたはスラブから形成される。コーティングは反射特性で設計されており、そのため、照射の成分に対して所望の反射率パターンを生成するために、コーティングが特に対応する特性を有する入射光に少なくとも部分的に反射し、その詳細は以下で詳細に説明される。一般に、内部表面16a、16b、16cの少なくとも一部は、反射率特性を有するコーティングを有し、そのため、画像照射の特定の成分が内部表面16a、16b、16cによって反射される。また、内部表面18a、18b、18cの少なくとも一部は、内部表面16a、16b、16cの反射率特性に相補的な反射特性を有するコーティングも有し、そのため、内部表面16a、16b、16cによって十分に反射されない画像照射の成分が、好適かつ十分に内部表面18a、18b、18cによって反射される。
【0089】
さらに詳細に、反射器16a、16b、16c、18a、18b、18cの設計の詳細を説明する前に、投射された画像照射20は、コリメートされた画像であり、すなわち、各ピクセルは、観察者から遠く離れたシーンからの光に相当する、対応する角度の平行光線のビームによって表される(コリメートされた画像は、「無限大にコリメートされる」と称され得る)ことに留意されたい。ここでは、画像20は、画像の単一の点、典型的には画像の重心に対応する単一の光線として単純に表されるが、画像は、実際には、中心光線の各側への角度の範囲を含み、それらは、対応する角度の範囲で基板内に結合され、および同様に、対応する角度で基板から結合され、それにより、観察者の目に方向に到達する画像の部分に対応する視野を生成することに留意されたい。
【0090】
各内部表面は、内部表面がそれぞれどこから始まり、どこで停止するかを画定する対向する端部を有する。これらの対向する端部は、「開始端部」および「停止端」と称される。例えば、内部表面16aおよび18aを見ると、内部表面16aは、開始端17a-1および停止端17a-2を有し、内部表面18aは、開始端19a-1および停止端19a-2を有することが分かる。内部表面16a、16b、16cは、好ましくは、LOE10内に配備されており、そのため、内部表面16b、16cの各々が、以前の内部表面16a、16bが内部表面の投射平面内で終了するところから開始する。言い換えれば、内部表面16bの開始端17b-1は、内部表面16aの停止端17a-2と位置合わせされ、内部表面16cの開始端17c-1は、内部表面16bの停止端17b-2と位置合わせされる。そのような配備では、ファセット16a、16b、16cは、投射平面内で連続しており、重なり合わないように見え、図1に示されている非限定的な実装形態では、表面12、14の平面に平行である平面である。この配備は、LOE10を通る一次光伝播方向(図1の水平軸に沿って左から右であるとして任意に図示されている)において隣接する内部表面16a、16b、16cの間に隙間がないことを保証し、それによって、第1のセット16によって反射される光の成分のための連続的な開口拡大(すなわち、開口増倍)を維持する。同様に、内部表面18a、18b、18cは、好ましくは、LOE10内に配備され、そのため、内部表面18b、18cの各々が、前の内部表面18a、18bが終了するところから開始し、それによって、第2のセット18によって反射された光の成分の連続的な開口拡大を維持する。言い換えれば、内部表面18bの開始端19b-1は、内部表面18aの停止端19a-2と位置合わせされ、内部表面18cの開始端19c-1は、内部表面18bの停止端19b-2と位置合わせされる。
【0091】
2つのセット16、18の内部表面が交互になっている実施形態では、2つのセット16、18も重なり合う関係にあることが好ましく、それにより、第1のセット16の内部表面の少なくともいくつかが、第2のセット18の内部表面のいくつかと重なり合い、逆もまた同様であることが好ましい。特定の場合において、重なり合う関係は、セット16、18のうちの一方の少なくとも1つの内部表面があり、その開始端がセット16、18のうちの他方の単一の内部表面の開始端と停止端との間にある投射平面内の位置に位置付けられ、セット16、18のうちの一方の内部表面の停止端がセット16、18のうちの一方の別の単一の内部表面の開始端と停止端との間にある投射平面内の位置に位置付けられているようなものである。
【0092】
図1は、交互になり、かつ重なり合う構成における2つのセット16、18を示しており、内部表面18aの開始端19a-1は、内部表面16aの開始端17a-1と停止端17a-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面18aの停止端19a-2は、内部表面16bの開始端17b-1と停止端17b-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面18bの開始端19b-1は、内部表面16bの開始端17b-1と停止端17b-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面18bの停止端19b-2は、内部表面16bの開始端17c-1と停止端17c-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面18cの開始端19c-1は、開始端17c-1と停止端17c-2との間にある投射平面の位置に位置付けられる。同様に、内部表面16aの停止端17a-2は、内部表面18aの開始端19a-1と停止端19a-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面16bの開始端17b-1は、内部表面18aの開始端19a-1と停止端19a-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面16bの停止端17b-2は、内部表面18bの開始端19b-1と停止端19b-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面16cの開始端17c-1は、内部表面18bの開始端19b-1と停止端19b-2との間の投射平面内の位置に位置付けられ、内部表面16cの停止端17c-2は、内部表面18cの開始端19c-1と停止端19c-2との間の投射平面内の位置に位置付けられる。
【0093】
好ましくは、2つのセット16、18の内部表面間の重なり合う構成は、セット16、18のうちの一方の内部表面の開始および停止端が、セット16、18のうちの他方の内部表面の開始端と停止端との間の中間点にあるようなものである。特定の例では、「重なり合う関係」は、セット16の内部表面およびセット18の内部表面が同一平面であるように完全に重なり合う構成を含み得、それによって、セット16のファセットの開始端および停止端は、セット18のファセットの開始端および停止端とそれぞれ一致することに留意されたい。従来のコーティングアーキテクチャを有する重なり合う内部表面を使用する光導波路のさらなる詳細は、出願人が共通に所有する米国特許第10,481,319号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
以下の段落は、本発明の実施形態による内部表面のセット16、18のためのコーティング設計を説明する。内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cは、内部表面16a、16b、16cのうちの1つによって十分に反射されない画像照射の成分が、内部表面18a、18b、18cのうちの1つによって好適かつ十分に反射されるように、相補的な反射率特性を有するコーティングを有する。具体的には、以下で詳細に説明されるように、内部表面16a、16b、16cは、画像照射の成分のサブセット内の各照射成分についてのある割合の強度を反射するように構成されたコーティングを有し、内部表面18a、18b、18cは、画像照射の成分の別のサブセット内の各照射成分についてのある割合の強度を反射するように構成されたコーティングを有し、その結果、内部表面の2つのセット16、18のコーティングは、2つのサブセット内のすべての照射成分素の強度の組み合わされた割合を反射するように協働する。2つのセット16、18のコーティングによって協働的に反射される強度の組み合わせの割合は、2つのセット16、18のコーティングによって個別に反映される強度の割合以上である。
【0095】
図1に示されるように、内部表面が交互の構成に従って交互にされる場合、2つの異なるセットからの隣接する内部表面の対の相補的コーティングは、2つのセットからの内部表面が、連続的な開口拡大を維持するために、画像照射のすべての成分を、内部表面の投射平面の部分にわたって反射するように協働することを可能にする。
【0096】
第1の非限定的な例の一部として、照射の異なるスペクトル成分、例えば赤色光、緑色光、および青色光に対応するスペクトル成分を含む画像照射20が考慮される。この例では、内部表面16a、16b、16cは、高い効率で赤色光(すなわち、638nm付近の波長を有する光)を反射し、中程度の効率で緑色光(すなわち、532nm付近の波長を有する光)を部分的に反射するように構成されているが、低い効率で青色光(すなわち、456nm付近の波長を有する光)を部分的に反射するように構成されている第1のコーティングを含み得る。緑色光の中程度の反射効率および内部表面16a、16b、16cによって与えられる青色光の低い反射効率を補償するために、内部表面18a、18b、18cは、(赤色光上の内部表面16a、16b、16cによって与えられる効率と同等に)高効率で青色光を反射させ、(緑色光上の内部表面16a、16b、16cによって与えられる効率と同等に)中程度の効率で緑色光を部分的に反射させるように構成されている第2のコーティングを含むことができる。内部表面18a、18b、18cのコーティングはまた、低い効率で赤色光を部分的に反射し得る。結果として、光線24Aは、高い効率の赤色光、中程度の効率の緑色光、および低い効率の青色光を運び、光線24Bは、高い効率の青色光および中程度の効率の緑色光を運び、そのため、2つの交互になっておりかつ重なり合うセット16、18による反射から生じる全体的な反射画像は、連続した開口拡大(内部表面が交互になっていることに起因する)を維持しながら、3つの色にわたって色差をほとんどまたはまったく有しない。2つのセット16、18のコーティングによって排除することができない任意の残留色差は、コリメート画像照射20を生成するために使用される着色光源の調整によって補償することができる。
【0097】
別の非限定的な例では、2つの直交直線偏光成分、すなわちs偏光成分およびp偏光成分を含む画像照射20が考慮される。ここで、内部表面の2つのセット16、18は、相補的な方法で直交偏光に対して選択的に反射するコーティングを含み、それによって、セット16のうちの1つの内部表面は、偏光方向のうちの1つに偏光する光(例えば、p偏光)をセット16の内部表面の表面に対して主に反射し、他方のセット18の内部表面は、直交する偏光方向(例えば、s偏光)に偏光された光をセット18の内部表面の表面に対して主に反射する。
【0098】
このような偏光選択的反射率を提供することができるコーティングの1つのタイプは、誘電体コーティングである。図2は、入射角(AOI)にわたるp偏光およびs偏光に対するこのような誘電体コーティングの反射率特性を示している。見て分かるように、より低い範囲のAOI、例えば、0~20度の範囲のAOI(すなわち、内部表面に垂直に近い)では、sおよびp偏光の両方が、ほぼ同じ効率で反射され、すなわち、sおよびp偏光の反射率は、ほぼ同じである(25%をわずかに上回る)。AOIが所与の範囲にわたって増加すると、2つの偏光の反射率が逸脱する。具体的には、より高い範囲のAOI、例えば、20~55度の範囲のAOIでは、p偏光の反射率は、s偏光の反射率と比較して減少する。例えば、およそ40度のAOIでは、s偏光の反射率は50%をわずかに上回る(それによって、ほぼ完璧な部分的反射器として動作する)が、p偏光の反射率は15%未満である。
【0099】
観察者の視野が広い画像を生成するために、異なる角度が異なる内部表面から反射される。図3は、すべての内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cが、図2を参照して上述した反射特性を有する誘電体コーティングを含むLOE10を示している。この構成では、LOEを通って伝播する画像照射は、s偏光およびp偏光成分の両方を有する。例示として、LOE10を通って伝播する画像照射のいくつかは、誘電体コーティングがほぼ同じ効率で両方の偏光を反射するように、より低い範囲のAOIで内部表面18cに衝突する。結果として、反射光線R18cの偏光成分は、ほぼ等しい強度である。しかしながら、画像照射のいくつかは、より高い範囲のAOIにおいて、内部表面18a、18b、16bに衝突し、その結果、内部表面18a、18b、16bの誘電体コーティングは、主にs偏光を反射する。結果として、反射光線R18a、R18b、R16bの各々のs偏光成分が支配的な成分である。特定のAOI範囲における低減されたp偏光成分を補償するために、内部表面18a、18bは、主にp偏光光を反射する(またはほぼ等しい効率で両方の偏光を反射する)ように再設計される。
【0100】
ある特定の実施形態によれば、p偏光の所望の反射率を達成するために、内部表面18a、18bは、さらに、1つの入射偏光を透過し、反射器の固有の軸配向に従って直交偏光を反射する方位感応性偏光反射器(または「構造偏光子」)を含む。1つの非限定的な構造偏光子の例は、3M Company(米国ミネソタ州)から市販されている複屈折誘電体コーティングまたはフィルムである。別の非限定的な構造偏光子の例は、例えば、Moxtek Inc.(米国ユタ州)から市販されているワイヤーグリッドフィルムである。さらに別の非限定的な構造偏光子の例は、薄膜または透明基板上にパターンで配備された反射性材料の複数の部分を有するパターン化された部分反射コーティングである。
【0101】
図1図3を引き続き参照して、本発明の非限定的な実施形態による、パターン化された反射コーティング(「反射パターンコーティング」とも称される)30の非限定的な例の図を示す図4を参照する。コーティング30は、1つの偏光方向に偏光される(例えば、s偏光されるまたはp偏光される)光が、コーティング30によって主に/大部分が反射され、直交偏光方向に偏光される(例えば、p偏光されるまたはs偏光される)光が、コーティング30によって主に/大部分が透過されるような反射特性を有する。好ましくは、反射偏光は、90%よりも大きい反射(「実質的に完全反射」と称される)を示し、最も好ましくは95%を超える反射を呈する。逆に、透過偏光は、好ましくは90%よりも大きい透過(「実質的に完全透過」と称される)を示し、最も好ましくは95%を上回る透過を呈する。
【0102】
コーティング30は、離間した関係で配備され、平面基部表面32上に所定のパターンで配設された反射性材料(以下、「部分」34と称される)の量34を含む。基部表面32は、反射性材料の部分34の間およびその周囲に形成される基部表面32上の空間35が光透過性であるように、光に対して透明であることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。特定の実施形態では、平面基部表面32は、内部の部分的に反射する表面を形成するために透明プレートに接合することができる薄膜または薄型基板である。他の実施形態では、平面基部表面32自体は、ファセットが形成される透明プレートであり、反射性材料の部分34は、透明プレート上に直接堆積される。特定の実施形態では、反射性材料は、誘電体材料である。他のときにより好ましい実施形態では、反射性材料は、銀などの金属材料である。反射性材料の各部分34は、1つの偏光方向の光が電流の流れを誘発することを可能にする形状を有する。したがって、電流の流れを誘導する偏光方向に偏光された光は、コーティング30に入射されたときにコーティング30を反射器とみなし、直交偏光方向に偏光された光は、コーティング30に入射されたときにコーティング30を光透過性とみなす。
【0103】
図4に示される非限定的な例では、部分34の各々は、サイズが同一であり、各々、基部表面32の平面内(すなわち、内部表面の平面内)に略円形の形状を有する。ここで、部分34は、配設されたパターンで基部表面32に堆積された反射性材料の(基部表面32の平面内の)円形対称ドットである。この構成では、部分34は、均一に間隔を置くように所定のパターンで配設され、その結果、隣接するドットの各対の中心間の距離がコーティング30全体にわたって一定である。
【0104】
図5は、コーティング30の別の非限定的な例を示しており、基部表面32の平面に非円形対称性を有する反射性材料の部分36が所定のパターンで基部表面32上に配備される。ここで、部分36は、基部表面32の平面内(すなわち、内部表面の平面内)に、略楕円形状または長円形状(対称の2つの直交軸)を有する。基部表面32の平面内の部分36の配向は、支配的な反射偏光を決定する。例えば、図5に示される部分36の構成では、支配的な反射偏光は、p偏光であってもよく、一方、基部表面32の平面内で部分36を90度回転させることは、支配的な反射偏光をs偏光に切り替え得る。円形形状および長円形状以外の反射性材料の他の形状が本明細書で企図されており、例えば、反射性材料の部分は、基部表面32上の線のパターンで配備され得る。
【0105】
コーティング30を有する内部表面18a、18bを用いることによって、内部表面18a、18bは、内部表面16bによって完全に反射されない照射成分(この場合、p偏光成分)のサブセットを反射することができる。言い換えれば、より高いAOI範囲内の所与のAOIに対して、内部表面16aは、画像照射の成分の第1のサブセット(s偏光成分の形態)を高反射率で反射し、画像照射の成分の第2のサブセット(p偏光成分の形態)を低反射率で反射する。同じ所与のAOIに対して、内部表面18a、18bは、内部表面16bによって与えられた低い反射率を補償するように、低い反射率成分、すなわち画像照射の成分の第2のサブセット(この場合、p偏光成分)を高い反射率で反射する。結果として、内部表面18a、16b、18bは、両方の偏光成分(すなわち、両方のサブセットからの成分)を反射して、開口部倍増の連続性を維持するように協働する。画像照射の成分の2つのサブセットは、相補的であり、2つのサブセットからの成分の結合が、伝播画像照射の成分のすべてを占めることを意味する。この特定の例では、sおよびp偏光成分は、画像照射の偏光成分を構成しているため、相補的である。
【0106】
特定の実施形態では、2つの異なるコーティングは、単一のコーティングを使用して同じ内部表面平面上に実装され得る。例えば、誘電体コーティングは、部分34の間の空間に配備することができる。結果として、部分34または36は、1つのタイプの誘電体コーティングまたは金属コーティングとして実装することができ、部分34または36の間および周囲に形成される基部表面32上の空間35は、別のタイプの誘電体コーティングとして実装することができる。図6は、そのようなコーティング31の例を概略的に示しており、第2の反射性材料の部分38は、部分34の間および周囲に形成された基部表面32上の空間35の所定のパターンで堆積される。図6に示される非限定的な例では、部分34の各々は略円形の形状であり、一方、部分38の各々は略楕円の形状である。
【0107】
考察したように、本発明の実施形態のコーティング設計は、画像照射が異なる可視色成分を含む状況に等しく適用可能である。そのような状況では、図4図6を参照して上述したパターン化された反射器コーティングの原理のいくつかを使用して、色の不均一性の問題に対処することができる。例えば、内部表面16a、16b、16cは、好適な反射効率で3色の第1のサブセットを部分的に反射するコーティングを含むことができ、内部表面18a、18b、18cは、好適な効率で3色の第2のサブセットを部分的に反射するコーティングを含むことができ、ここで、色の第2のサブセットは、内部表面16a、16b、16cによって好適に反射されない色を含む。一般に、画像照射の色成分のサブセットは、相補的であり、サブセットからの成分の結合が、伝播画像照射の色成分のすべてを占めることを意味する。以下の段落は、色の均一性を維持するための2つのセット16、18の内部表面のコーティングの設計の様々な例を説明する。
【0108】
前置きとして、観察者が均一な画像を知覚するように、反射性材料の部分34、36を比較的小さいパターンで配設することが好ましい。特に、観察者の目の瞳孔のサイズに従って、例えば、およそ2mmの直径を有する円として、反射性材料の部分34、36を幾何学的配設で配備することが好ましい(人間の目の瞳孔は、通常、明るい証明条件で2~4mmの範囲の直径を有する)。しかしながら、小さなサイズを有し、小さなパターンで配設された反射性材料の部分は、入射光を大きな角度に回折させる傾向があり、それによって、画像解像度を低下させる。したがって、本発明の非限定的な実装形態では、2つのセット16、18の内部表面は、誘電体コーティングと組み合わせて、反射パターンを有するコーティング(図4図6を参照して上述した)を使用して実装される。
【0109】
1つの非限定的な例では、内部表面16a、16b、16cは、赤色、緑色、および青色の光に対して少なくとも部分的に反射するように誘電体コーティングを使用して実装され、内部表面18a、18b、18cは、コーティング30の反射性材料が金属材料(例えば、銀)であるパターン化されたコーティング30を使用して実装される。内部表面16a、16b、16cの誘電体コーティングは、図7に示されるグラフに従う反射特性を有する。ここで、内部表面16a、16b、16cの誘電体コーティングは、緑色光(すなわち、532nm付近の波長を有する光)の形態の画像照射の成分の第1のサブセットを適度に高い効率で反射するが(およそ10%の反射率)、緑色光の反射よりも低い効率(およそ4%の反射率)で赤色光および青色光(すなわち、それぞれ638nmおよび456nm付近の波長を有する光)の形態の画像照射の成分の第2のサブセットを反射させる。内部表面18a、18b、18cのコーティング30は、部品の第2のサブセットの低い反射率を補償するために、十分な効率で成分の両方のサブセットに対して反射するような反射特性を有する。内部表面16a、16b、16cの誘電体コーティングと、内部表面18a、18b、18cのコーティング30との組み合わせによって与えられる全体的な反射率が図8に示されている。推測できるように、コーティング30は、少なくともおよそ6%の反射率で画像照射の成分の第2のサブセット(すなわち、赤色光および青色光)を反射し、これは、内部表面16a、16b、16cの誘電体コーティングによって第2のサブセットの成分に与えられるよりも高い効率である。コーティング30はまた、およそ4%の反射率を有する画像照射(すなわち、緑色光)の成分の第1のサブセットも反射する。色成分の2つのサブセットは、2つのサブセット(高い効率の緑色光を有する第1のサブセット、高い効率の赤色光および青色光を有する第2のサブセット)の結合が、画像照射の3つの色成分のすべてを占めるという点で相補的である。結果として、全体的な反射画像は、赤色および青色の色成分よりも高い解像度の緑色成分を有するものの、色差が低減される。しかしながら、人間の目は、画像の緑色光成分の解像度に最も敏感であり、したがって、緑色成分のより高い解像度を有する全体画像は、観察者によって、いかなる顕著な解像度低下も有していないと認識される可能性がある。
【0110】
代替の構成では、コーティング30は、緑色光よりも赤色光および青色光に対して高い反射率を有する反射性材料を使用して実装することができる(すなわち、コーティング30は、ほとんど赤色光および青色光を反射する)。結果として、全体的に反射した画像は、顕著な色の違いをほとんどまたはまったく有しないであろう。
【0111】
別の非限定的な例では、内部表面16a、16b、16cは、図9に示されるグラフに従って反射特性を有する誘電体コーティングを使用して実装される。ここで、内部表面16a、16b、16cの誘電体コーティングは、画像照射の成分の第1のサブセットを、緑色光および赤色光の形態で、高い効率(およそ15%の反射率)で反射するが、画像照射の成分の第2のサブセットを、青色光の形態で、緑色光および赤色光の反射(およそ10%の反射率)よりも低い効率で反射する。成分の第2のサブセットの低い反射率を補償するために、コーティング30の特定の実装形態が、内部表面18a、18b、18cに使用される。この実装形態では、(誘電体材料または金属材料として実装される)反射性材料の部分は小さく(好ましくは、上で考察した人間の瞳孔サイズに応じた)、コーティング30によって青色光のみが反射されるような反射特性を有する。内部表面16a、16b、16cの誘電体コーティングと、内部表面18a、18b、18cのコーティング30との組み合わせによって与えられる全体的な反射率は、図10に示され、それによって、全体的な反射率は、可視光スペクトルにわたっておよそ15%で一定である。その結果、回折のないホワイトバランスのとれた画像が得られる(青色光は緑色光および赤色光に比べてはるかに回折しにくい傾向がある)。
【0112】
図11は、非限定的な例による、色の均一性を維持するために2つのコーティングスキームを使用する別の実装形態を示している。ここで、内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cは、交互の構成で配設された各反射器上にコーティングの2つのセットを有し、各内部表面のコーティングに横方向の変化が存在する。非限定的な図示される例では、各内部表面は、2つの重なり合わない部分、すなわち、第1の部分および第2の部分を有する。内部表面16a、16b、16cの第1の部分40a、40b、40cは、第1のコーティング33、例えば、図7または図9による反射特性を有する誘電体コーティングを有し、内部表面16a、16b、16cの第2の部分42a、42b、42cは、第2のコーティング37、例えば、コーティング30を有する。内部表面18a、18b、18cの第1の部分44a、44b、44cは、第2のコーティング37を有し、内部表面18a、18b、18cの第2の部分46a、46b、46cは、第1のコーティング33を有する。
【0113】
図11に示される非限定的な例では、コーティング33、37は、連続する内部表面の交互の部分上に配備され、そのため、隣接する内部表面(例えば、内部表面16a、18a、内部表面18a、16b、内部表面16b、18bなど)の各対上のコーティングが、色の均一性を維持するために、画像照射の成分のサブセットのすべてを合理的な効率で反射するように協働する。この特定の構成では、2組の内部表面は、効果的に同一平面であると考えることができ、それによって、各内部表面は、両方のコーティング33、37を有する。図11は、内部表面の各々の2つの部分の各々が内部表面平面のほぼ半分を構成することを示しているが、コーティングが配備される内部表面の部分が連続した内部表面間で交互に配備される限り、他の構成が可能であることに留意されたい。
【0114】
色均一性を維持するための実施形態は、誘電体コーティングを有する内部表面16a、16b、16cと、コーティング30に従って実装されたコーティングを有する内部表面18a、18b、18cとの文脈で説明したが、内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cが交互になっている他の実施形態では、例えば図4図6を参照して上で考察したように、両方のタイプのコーティングが単一の内部表面に実装される他の実施形態が可能である。例えば、内部表面16a、16b、16c、18a、18b、18cの各々は、次の2つのコーティングを備え得る。1)第1のコーティング、例えばコーティング30、および2)第2のコーティング、例えばコーティング30の部分34の間に形成された空間に配備された誘電体。第2のコーティングは、図7または図9による反射特性を有し得、それによって、画像照射の成分の第1のサブセットは、画像照射の成分の第2のサブセットよりも高い効率で第2のコーティングによって反射される。次いで、第1のコーティングは、第2のコーティングによって第2のサブセットに与えられる低い反射率を補償する反射特性を有し得、そのため、各個々の内部表面は、例えば、図8および図10に示すように、3色にわたってほぼ均一である全体的な反射率を達成する。そのような構成では、2つのセット16、18は、交互になっている必要はない。代わりに、セット16、18の両方の内部表面は同一にコーティングされているので、2つのセット16、18は同一であり、好ましくは、各内部表面が前の内部表面が終了するところで開始するように配備される。
【0115】
特定の実施形態では、視野全体にわたって均一な強度を提供するために、内部表面のパターン化された反射コーティング30は、内部表面上の部分34、36の数および/または部分34、36の大きさがファセットからファセットまで変化するように構成され得る。例えば、内部表面16a、16b、16cは、(上で考察したように)誘電体コーティングを使用して実装され得、内部表面18a、18b、18cは、パターン化された反射コーティング30を使用して実装され得る。LOEを通して光が伝播するにつれて、各連続するファセットに衝突する光の強度は、前のファセットに衝突する光の強度よりも小さい。これは、特定のファセットに衝突する光のある割合の強度が、その特定のファセットによってLOEから反射されるという事実に起因する。光伝播方向における光強度の減少を補償するために、各ファセットによって与えられる反射率は、先行するファセットによって与えられる反射率と比較して、概して増加するべきである。これは、例えば、部分34、36の数および/または部分34、36のサイズを増加させることによって、LOEを通る光の一次伝播方向に対して、第2のセット18の内部表面上のコーティング30上の反射性材料の密度を増加させることによって実現することができる。例えば、内部表面18aのコーティング30は、第1の数の部分34、36および/または部分34、36の第1のサイズで実装することができ、内部表面18bのコーティング30は、第2の数の部分34、36および/または部分34、36の第2のサイズで実装することができ、内部表面18cのコーティング30は、第3の数の部分34、36および/または部分34、36の第3のサイズで実装することができる。第1の部分の数は、第3の部分の数よりも小さい第2の部分の数よりも小さく、第1の部分のサイズは、第3の部分のサイズよりも小さい部分の第2のサイズよりも小さい。
【0116】
ここまで説明した実施形態のいくつかは、相補的コーティングを有する内部部分的反射器の2つのセットに関するものであったが、相補的コーティングを有する部分的反射器が2セット以上存在する他の実施形態も可能である。単純な例として、内部表面の第3のセットは、他の2つのセット16、18の内部表面と平行に配備され得、かつそれらと交互配置され得る。内部表面の各セットは、画像照射の成分の特定のサブセットを反射させるように構成されたコーティングを含むことができる。例えば、第1のセットの内部表面のコーティングは、主に赤色光を反射するように構成することができ、第2のセットの内部表面のコーティングは、主に緑色光を反射するように構成することができ、第3のセットの内部表面のコーティングは、主に青色光を反射するように構成することができる。結果として、3つの(好ましくは連続した)内部表面の所与のグループ(3つのセットの各々からの1つの内部表面を有するグループ)は、画像照射の3つの成分すべてを反射するように協働することができる。
【0117】
上で考察したコーティングおよびファセット配備手法は、異なるスペクトル成分または異なる偏光成分のいずれかを有する画像照射の非限定的な例の文脈内で説明されている。しかしながら、画像照射は、多くの場合、スペクトルおよび偏光成分(例えば、線形偏光赤色光、緑色光、および青色光)の両方を有することを理解されたい。より高い範囲のAOI(例えば、20~50度)でファセットに衝突する画像照射のために、ファセットのコーティングは、広い視野にわたる透過均等化を達成するためのスペクトル要件と偏光要件との両方を満たすように設計され得る。
【0118】
これまでに、コーティング設計および内部表面の配備は、光が1つの次元でLOEを通って誘導され、1つの次元で開口拡大を実行する(本明細書では「誘導から非誘導」の画像伝播と称されているものを実行する)ように内部表面(ファセット)によって(「非誘導」光として)外方結合されるLOEの文脈で説明されてきたが、本発明の実施形態に従って本明細書に記載されたコーティング設計およびファセット配備は、2つの次元で開口拡大を実行するために2つの次元で光を誘導するために協働する少なくとも2つの光導波路を有する光学デバイスに等しく適用可能である。これらのタイプの光学デバイスは、本明細書で「誘導から誘導」と称される画像伝播を実行し、それによって、画像照射は、(1つまたは2つの次元の)第1の光導波路を通して誘導され、第2の光導波路に結合されるように、第1の光導波路に配備されたファセットのセットによって反射される。次いで、画像照射は、第2の光導波路を通して(1つの次元で)誘導され、観察者によって見るために第2の光導波路から画像照射を結合するように、第2の光導波路に配備されたファセットのセットによって反射される。以下の段落では、誘導から誘導の画像伝播を実行する光学デバイスの例を提供する。
【0119】
図12Aおよび12Bは、光学的に一緒に結合された2つの光導波路50、60による誘導から誘導の画像伝播を実行する光学デバイスの概略側面図および正面図をそれぞれ示している。光導波路50は、「x軸」に対応するものとして任意に図示される伸長方向を有し、矩形断面を形成する平行な面の2つの対(すなわち、主要外部表面)52a、52b、54a、54bを含む。複数の相互に平行な内部に部分的に反射する表面(すなわち、ファセット)58は、伸長方向に対して斜めの角度で光導波路50を少なくとも部分的に横断する。光導波路50に光学的に結合された光導波路60は、スラブ型導波路を形成する一対の平行な面62a、62bを有する。ここでも、複数の相互に平行な内部に部分的に反射する表面(すなわち、ファセット)64は、少なくとも部分的に、平行な面62a、62bに対して斜めの角度で光導波路60を横断する。ファセット58を含む平面は、ファセット64を含む平面に対して斜めである。
【0120】
光導波路50、60間の光結合、ならびに部分的に反射する表面58、64の配備および構成は、第1および第2の対の平行な面52a、52b、54a、54bの両方に対して斜めの結合角で初期伝播方向を有する画像が光導波路50内に結合されるとき、画像が、光導波路50に沿って4倍の内部反射によって(すなわち、2つの次元で)、光導波路50から光導波路60に結合されるように部分的に反射する表面58で反射されたある割合の画像の強度で進むように、そして、観察者の目によって見られる可視画像として光導波路60から結合されるように、光導波路60内に2倍の内部反射を通じて(すなわち、LOE10と同様に1つの次元で)、部分的に反射する表面64で反射されたある割合の画像の強度で伝播するようなものである。この構築の結果、光導波路50を通って伝播する光は(光導波路50によって2つの次元で)誘導され、部分的に反射する表面58によって反射される光も(光導波路60によって1つの次元で)誘導される。
【0121】
本発明の実施形態によるコーティング設計原理および/またはファセットの交互になる原理は、内部に部分的に反射する表面58、64のセットのいずれかまたは両方に適用することができる。2つの光導波路50、60を使用するこのような光学デバイスのさらなる詳細は、出願人が共通に所有する米国特許第10,133,070号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
図13は、光学的に一緒に結合された2つのスラブ型光導波路70、80による誘導から誘導の画像伝播を実行する光学デバイスの概略図を示している。光導波路70は、スラブ型導波路を形成する平行な面の2つの対72a、72b、74a、74bを有する(図において、面72a、72bは、それぞれ、光導波路70の前面および後面にあり、面74a、74bは、それぞれ、光導波路70の左側および右側にある)。複数の相互に平行な内部に部分的に反射する表面(すなわち、ファセット)76は、平行な面72a、72b、74a、74bに対して斜めの角度で光導波路70を少なくとも部分的に横断する。光導波路80は、スラブ型導波路を形成する平行な面の2つの対82a、82b、84a、84bを有する(図において、面82a、82bは、光導波路80の前面および後面にそれぞれあり、面84a、84bは、光導波路80の左側および右側にそれぞれある)。複数の相互に平行な内部に部分的に反射する表面(すなわち、ファセット)86は、平行な面82a、82b、84a、84bに対して斜めの角度で光導波路80を少なくとも部分的に横断する。さらに、ファセット76を含む平面は、ファセット86を含む平面に対して斜めであるか、または垂直である。
【0123】
図示される非限定的な実装形態では、光導波路70、80は、光導波路70が光導波路80の上部に積み重ねられる構成で光学的に一緒に結合される。しかしながら、光導波路70、80は、前方から後方に(例えば、面72b、82aが互いに向き合う関係で)積み重ねることができることに留意されたい。光導波路70、80間の光結合、ならびに部分的に反射する表面76、86の配備および構成は、画像が光導波路70内に結合されたときに、画像は、光導波路70から光導波路80内に結合されるように、面72a、72b間の光導波路70内で2回の内部反射を通じて第1の誘導方向に部分的に反射する表面76で反射されたある割合の画像の強度で伝播するように、そして、観察者の目で見る可視画像として光導波路80から結合されるように、面82a、82b間の光導波路80内で2回の内部反射を通じて第2の誘導方向(第1の誘導方向に対して斜め)に、部分的に反射する表面86で反射したある割合の画像の強度で伝播するようなものである。
【0124】
本発明の実施形態によるコーティング設計原理および/またはファセットの交互になる原理は、内部に部分的に反射する表面76、86のセットのいずれかまたは両方に適用することができる。2つの光導波路70、80を使用するこのような光学デバイスのさらなる詳細は、出願人が共通に所有する米国特許第10,551,544号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
本明細書に開示される反射パターンコーティングの使用は、色の均一性および強度の均一性を維持する利点を有するが、反射パターンコーティングの使用は、内部表面から所望されない反射を引き起こし得、それはゴースト画像をもたらし得る。内部表面からの所望されない反射の一般的な概念は、図14を参照して説明される。ここで、LOE100は、平行な面の対(主要外部表面)102、104に対して斜めに配備された3つの相互に平行な部分的に反射する内部表面106a、106b、106cを有する。内部表面106a、106b、106cの厚さは、図14において、内部表面106a、106b、106cの表側108a、108b、108c、および裏側110a、110b、110cを明確に示すために誇張される。内部表面の表側および裏側は、概して対向する側であり、表側は、所望の反射率パターンに従って伝播画像照射の反射を可能にする反射特性を有するコーティング(図1図11を参照して説明した)でコーティングされた内部表面の側面である。
【0126】
光線108によって概略的に表される画像照射108は、内方結合反射器110(または任意の他の好適な光学内方結合構成、例えば、結合プリズム)によってLOE100に内方結合される。画像照射108は、面102、104における内部反射を繰り返すことによって(全内部反射によって、または面において適用される角度選択的反射コーティングに起因して)、一連の内部表面106a、106b、106cに到達するまでLOE100を通って伝播し、内部面106a、106b、106cの表側108a、108b、108cにおいて、画像強度の一部が光線116a~116dとしてLOE100から反射される。光線118によって概略的に表される伝播画像照射118を見ると、光線118の強度の一部が(光線120として)内部表面106aによって透過され、その後、光線120が面102で反射され、次いで、ある割合の強度は、光線116bとしてLOE100から反射されるように、内部表面106aの表側108aで反射される(残りの強度は、光がLOE100を通って伝播し続けるように、内部表面106aによって透過される)。しかしながら、光線118の強度の一部は、内部表面106aの裏側110aにおいて所望されない反射を受け、反射光122をもたらす。反射光線122は、ある特定の状況では、反射光線124を生成するように、面102での反射によって例示される、面102、104での内部反射を受けることができる。反射光線124は、ゴースト光線126としてLOE100から反射されるように、内部表面106bの表側108bで反射される。
【0127】
図15Aおよび図15Bは、反射パターンコーティング30が、内部表面の表側での所望の反射と、内部表面の裏側での所望されない反射の両方を可能にする方法を示している。図15Aおよび図15Bは、縮尺どおりに描画されておらず、内部表面の次元の一部および反射パターンコーティング30の成分は、例示の明確さのために誇張されていることに留意されたい。
【0128】
最初に図15Aを見ると、任意の内部表面130(例えば、セット18の内部表面の1つであり得る)が、内部表面130の表側132に衝突する伝播画像照射140をどのように扱うかが示されている。内部表面130は、内部表面130の表側132に堆積された反射パターンコーティング30を有する。特に、平面基部表面32は、部分34が表側132上の所望のパターンで配設されるように、表側132上に堆積される。代替的に、部分34は、平面基部表面32を使用しない配設されたパターンで表側132上に直接堆積され得る。光線140Aおよび140Bによって概略的に表される伝播画像照射140は、内部表面130の表側132の異なる領域に衝突する。この場合、伝播画像照射140は、LOEの下側面(例えば、図14の面102または図1の面12)で反射を受けた画像照射である。光線140Aによって表される伝播画像照射の一部は、反射光線142として反射性材料の部分34のうちの1つによって(LOEから)反射されるように、反射性材料を有する内部表面130の領域に衝突する。光線140Bによって表される伝播画像照射の一部は、反射性材料の部分34の間に空間35を有する内部表面130の領域に衝突し、光線142として内部表面130によって透過される(すなわち、空間35が透明であることに起因して、光線140Bは、内部表面130を通って光線142として表側132から裏側134に通過する)。この光線140Bは、LOEの面で反射される、および/または後続の内部表面によって反射される、LOEを通って伝播し続ける。その結果、画像照射140Aの一部は、内部表面130によってLOEから反射され、画像照射140Bの一部は、内部表面130によって透過される。
【0129】
ここで、図15Bを参照すると、内部表面130は、内部表面130の裏側134に衝突する、光線118Aおよび118Bによって概略的に表される、伝播画像照射118をどのように扱うかが示されている。この場合、伝播画像照射は、LOEの上面(例えば、図14の面104または図1の面14)で反射を受けた画像照射である。光線118Aによって表される伝播画像照射の一部は、反射性材料の部分34の間に空間35を有する内部表面130の領域に衝突し、したがって、光線120として内部表面130によって透過される(すなわち、空間35が透明であることに起因して、光線118Aは、裏側134から表側132に内部表面130を通過する)。光線118Bによって表される伝播画像照射の一部は、内部表面130の裏側134を通過し、反射光線122として反射性材料の部分34の1つによって反射されるように反射性材料を有する内部表面130の領域に衝突する。上で考察したように、この光線122は、LOEの面で追加の反射を受け、最終的に、ゴースト光線としてLOEから反射されるように、1つの内部表面の表側で反射され得る。
【0130】
これらの所望されない反射に対抗するために、本発明の実施形態は、反射性材料の部分と内部表面の表側との間に適用される反射抑制材料のコーティングを提供する。図16Aおよび図16Bは、反射抑制材料および伝播画像照射に対するその効果を示している。図15Aおよび図15Bと同様に、図16Aおよび図16Bは、例示の明確さのために、縮尺どおりに描画されていない。
【0131】
まず、図16Aを見ると、部分150として指定された反射抑制材料のコーティングは、反射性材料の部分34と、内部表面130の表側132との間に配備されている。コーティング30が平面の基部表面32(例えば、薄膜)を使用して実装される場合、部分150を表面32上に直接堆積させることができ、次いで、部分34を部分150上に堆積させることができる。好ましくは、反射抑制材料の部分は、部分34および150がサイズ、形状、および数において同一であるように、反射性材料の部分と同一のパターン構成で配設される。図16Aに見られるように、反射抑制材料は、内部表面130の表側132に入射する画像照射の伝播に影響をほとんどまたはまったく与えない。図15Aを参照して上で考察したように、光線140Aによって表される伝播画像照射の一部は、反射光線142として反射性材料の部分34のうちの1つによって反射されるように、反射性材料を有する内部表面130の領域に衝突する。光線140Bによって表される伝播画像照射の一部は、反射性材料の部分34の間に空間35を有する内部表面130の領域に衝突し、光線142として内部表面130によって透過される。
【0132】
ここで、図16Bを参照すると、反射抑制材料を有する内部表面130が、内部表面130の裏面134に衝突する伝播画像照射118をどのように扱うかが示されている。図15Bを参照して上で考察したように、光線118Aによって表される伝播画像照射の部分は、反射性材料の部分34の間に空間35を有する内部表面130の領域に衝突し、したがって、光線120として内部表面130によって透過される。しかしながら、図15Bの構成とは異なり、光線118Bによって表される伝播画像照射の一部は、内部表面130の裏側134を通過し、反射抑制材料の一部分150を有する内部表面130の領域に衝突する。反射抑制材料は、光線118Bの裏側反射を防止するため、伝播画像照射の所望されない反射は発生しない。
【0133】
反射抑制材料は、様々な方法で実装され得る。1つの非限定的な例では、反射抑制材料は、入射光を吸収するある量の黒色吸収塗料として実装される。別の非限定的な例では、反射抑制材料は、入射光の強度よりも桁違いに小さい強度で複数方向に入射光を散乱させるある量の光散乱材料(例えば、拡散材料)として実装される。結果として、LOEを通って伝播し続け、後続の内部表面によって反射される任意の散乱光は、一般に観察者が気付くには低すぎる強度を有することになる。
【0134】
反射抑制材料は、LOEの製造中に反射性材料と内部表面の表側との間に堆積されることが好ましい。LOEは、内部表面が埋め込まれており、好ましくは、それらの境界で好適なコーティングと一緒に接合された透明なプレート(例えば、ガラスプレート)の積層体を形成することによって構築される。接合は、通常、光学セメントを使用して実行される。コーティングは、すべて上述したように、パターン化された反射コーティングおよび/または誘電体コーティングを含むことができる。コーティングは、プレートを一緒に接合する前に透明プレートの間の境界で適用される、薄膜または薄型基板(例えば、基部表面32)上の層で構築することができる。代替的に、コーティングは、透明プレートが基部表面32として機能するように、プレートを一緒に接合する前に、透明プレート上に直接構築することができる。ゴースト画像を低減するために反射抑制材料を使用する場合、反射抑制材料の層は、パターンで(透明プレート上、または薄膜または薄型基板上のいずれかで直接)構築され得、パターン反射性材料の層は次いで反射抑制材料上に構築され、それによって、透明プレートと反射性材料との間の反射抑制材料を挟み込む。
【0135】
透明プレートの積層体が、境界で適切なコーティング(好ましくは反射抑制材料)と一緒に接合されると、積層体は、適切な角度(内部表面が配備される所望の斜め角度に対応する)で切断(すなわち、スライス)され、平行な主要外部表面(すなわち、面)の間に埋め込まれた部分反射性の内部表面を有するLOEを形成する。適切な角度でのスライスは、「斜め切断」または「斜めスライス」と称される。次に、LOEの主要外部表面は、主要外部表面で光学品質を向上させるために研磨される。LOEが光学内方結合構成として内方結合反射器を使用する実施形態では、埋め込まれた内方結合反射器を有する基板を生成するために、同様のステップを実行することができる。
【0136】
研磨プロセスは、LOEの平行な面で光学品質を向上させる所望の効果を有するが、研磨プロセスは、特定の例では、LOE出力での光学性能および画像品質に悪影響を及ぼす可能性のあるLOE基板と内部表面との間の境界領域に欠陥を生じ得る。研磨プロセスによって引き起こされ得る1つのタイプの欠陥は、基板の内部表面と平行な面との間の境界領域におけるLOEの平行な面の一方または両方のくぼみである。そのような欠陥は、図17(縮尺どおりに描画されていない)に概略的に示されており、図17は、内部の部分的に反射する表面206が面202、204に対して斜めに配備された、平行な面202、204を有するLOE200のセクションを示している。図面には示されていないが、追加の内部の部分的に反射する表面は、内部表面206に平行なLOE200内に配備される。
【0137】
内部表面206は、それぞれ面202、204に関連付けられた対応する端部領域210a、210bにおける2つの対向する端部208a、208b(すなわち、開始端および停止端)を含む。面202、204およびそれぞれの端部領域210a、210b(および特にそれぞれの端部208a、208b)は、内部表面206とLOE基板との間に(破線円によって指定された)境界領域212a、212bを画定する。くぼみ214は、例えば、研磨プロセスの結果として、対応する境界領域212aの面202のうちの1つに形成される(ただし、両方の面、すなわち、両方の境界領域212a、212bに形成され得る)。くぼみ214は、一般に、LOEの面内のへこみ、凹部、ピット、空洞、または隙間として形成され、これにより、面202の一部分(小さい部分であるが)は、内部表面が配備されているLOE200の内部セクション内に内向きに突出する。突出部分(すなわち、突出部)は、図17において一般に216とされている。
【0138】
典型的には、くぼみ214は、面202、204の残りの部分と比較して低減された構造的完全性を有し得る、境界領域212a、212bでの研磨中に印加される圧力による研磨プロセスの結果として形成される。研磨以外の他の原因は、くぼみ214の形成、例えば、LOEの誤った取り扱い(例えば、落下)を引き起こし得る。
【0139】
くぼみ214の結果として、境界領域212aまたはその近くに伝播する画像照射は、突出部216による散乱を受け得る。これは、図18に概略的に示されており、画像照射218(光線218によって概略的に表される)は、内部表面206によって透過され、反射光線220(画像照射の一部でもある)を生成するように面204で内部反射を受ける。光線220は、突出部216に衝突するように突出部216またはその付近で面202に入射し、入射光線220を、散乱光線222a~222cによって概略的に表される突出部216によって複数の方向に(すなわち、散乱されて)反射させる。光線は、突出部216の変化する表面プロファイルに起因して、様々な方向に散乱される。これらの散乱光線222a~222bは、所望されない反射であり、望ましくない角度で後続の内部表面のうちの1つによって反射されるようにLOE200を通って伝播し、図15Bを参照して上で考察した光線122と同様に、観察者の目にゴースト画像をもたらし得る。
【0140】
ここで図19を参照すると、くぼみ214を含む面202の一部分を光吸収材料でコーティングすることによって、くぼみ214によって引き起こされる散乱効果に対抗する方法が示されている。特に、ある量の光吸収材料224が、くぼみ214を含む面202の部分上に堆積される。好ましくは、くぼみ214内に位置付けられている光吸収材料224の量は、くぼみ214を、面202の少なくとも欠陥のない部分のレベルまで埋めるのに十分である。1つの非限定的な例では、光吸収材料224は、くぼみ214を埋めるのに十分な量で面202に塗布される黒色吸収塗料として実装される。次いで、面202は、好ましくは、くぼみ214内に位置付けられている光吸収材料のみが残るように、面202から任意の余分な光吸収材料を除去するように研磨され、くぼみ214内の光吸収材料224のレベルは、面202の欠陥のない部分と同じである。
【0141】
伝播画像照射に対する光吸収材料224の効果もまた、図19に示されている。図18を参照して上で考察したのと同様に、光線218は、内部表面206によって透過され、反射光線220を生成するように、面204で内部反射を受ける。しかしながら、光線220は、突出部216に衝突すると、光吸収材料224によって吸収され、それによって、突出部216による光の散乱を防止する。
【0142】
光吸収材料は、そのようなくぼみが存在する内部表面とLOE基板との間の境界領域のいずれかに適用され、次いで上述したように研磨され得る。例えば、境界領域212bに形成されたくぼみに、光吸収材料を適用することができる。加えて、光学内方結合構成として内方結合反射器(すなわち、内部の反射する表面)を使用する場合、研磨プロセス中に内部の反射する表面とLOE基板との間の境界領域にくぼみが形成され得る。ここでは、内部反射表面とLOE基板との間の境界領域にも少量の光吸収材料を適用して、くぼみによって誘発される散乱効果に対抗することができる。
【0143】
LOEの外部領域における欠陥に適用される光吸収材料の使用による散乱低減は、光が1つの次元で伝播し、1つの次元で開口拡大を実行するように内部表面によって外方結合されるLOEの文脈内で説明されてきたが、光吸収材料は同様に、図12A図12Bおよび図13を参照して説明される誘導から誘導の画像伝播を実行する光導波路などの、開口拡大を2つの次元で実行する外部領域または光導波路の部分の欠陥に適用され得る。これらの欠陥は、様々なファセット(例えば、ファセット58、64、76、86)と対応する面(例えば、面52a、52b、54a、54b、62a、62b、72a、72b、74a、74b、82a、82b、84a、84b)との間の境界領域に形成されるくぼみを含むことができる。
【0144】
また、光吸収材料を使用して、光導波路の面および/または光導波路の削られた角部または縁部にかすり傷の形態の欠陥を修正することもできる。例えば、図20に再現された、図12Aおよび図12Bの光導波路50を考える。ここで、面52a、54aによって形成される角部/縁部の一部分が削られており(例えば、光導波路50の誤った取り扱いに起因して)、欠陥230が生じている。欠陥230の領域に衝突する4倍の内部反射によって光導波路50を通って伝播する光は、散乱されるか、または所望されない方向の反射を受けるであろう。図21に示すように、散乱効果を防止するために、ある量の光吸収材料224を欠陥230に適用することができる。図21において、光導波路50の矩形断面を復元するには、欠陥に位置付けられている光吸収材料の量で十分である。しかしながら、光導波路をその欠陥のない構造に復元しない欠陥には、少量の光吸収材料が適用され得る。光吸収材料は、例えば、光導波路10、50、60、70、80、100のいずれかに対して、(一次元および二次元の開口拡大光学デバイスの両方の)光導波路の面におけるかすり傷を埋めるために等しく適用され得る。
【0145】
本明細書に記載される本発明の特定の態様は、本発明の他の態様とは独立して利点を得るために使用され得ることに留意されたい。例えば、ファセットの交互になっているセットの有無にかかわらず使用される相補的なコーティング手法を使用して、欠陥修正技術とは別に利点を得ることができる。さらに、欠陥修正技術は、それ以外の場合、従来のコーティングアーキテクチャを有するLOEまたは光導波路(一次元および二次元の開口拡大を実行する)に適用することができる。
【0146】
図面にはLOEおよび光導波路構造のみが例示されているが、本明細書に記載される様々なLOEおよび光導波路は、観察者の目に画像を提供するために、ディスプレイの一部、典型的にはヘッドアップディスプレイ(HUD)、好ましくはヘッドマウントディスプレイ(HMD)またはメガネフレーム支持ディスプレイなどの近目ディスプレイ(NED)として使用することを意図していることが理解されるであろう。特定の好ましい実施形態では、ディスプレイは、観察者の目に提供される画像が外部の「現実世界」の景色にオーバーレイされる拡張現実(AR)ディスプレイシステムの一部である。他の実施形態では、ディスプレイは、LOE/光導波路によって提供される画像のみが観察者に視認可能である、仮想現実(VR)ディスプレイシステムの一部である。すべてのそのような場合において、ディスプレイは、好ましくは、コリメート画像を生成する小さな形態因子の画像プロジェクタを含み、該プロジェクタは、コリメート画像を、LOE/光導波路内の内部反射によって伝播し、内部の選択的に反射する表面によって徐々に外方結合されるように、光内方結合構成(例えば、内方結合反射器22、結合プリズムなど)を介してLOE/光導波路内に導入するように、LOE/光導波路に光学的に結合される。
【0147】
コリメート画像に対応する(すなわち、それを示す)照射(すなわち、光)を投影するための好適な画像プロジェクタの例は、例えば、照射源、シリコン上の液晶(LCoS)チップなどの空間光変調器、およびコリメート光学系を採用し、典型的にはすべてが偏光選択ビームスプリッタ(PBS)キューブまたは他のプリズム配設の1つ以上の表面上に配設されており、当技術分野において周知されている。
【0148】
ARシステムの文脈内で使用される場合、光導波路の外部部分での欠陥に少量の光吸収材料を適用することはまた、外部景色からの光の散乱を低減または抑制する利点も提供し得ることに留意されたい。
【0149】
画像照射およびコーティングの偏光特性について考察する場合、本明細書に記載される実施例において特定の偏光波経路が従った各例について、偏光は交換可能であり、それにより、例えば、コーティングの偏光選択的特性を変更する際に、p偏光の各言及は、s偏光に置き換えることが可能であり、その逆も可能であることに留意されたい。
【0150】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的のために提示されているが、網羅的であることを意図せず、または開示される実施形態に限定されない。多くの修正例および変形例は、記載される実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用的な応用または技術的な改善を最良に説明するために、または当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0151】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が明確に別様に示さない限り、複数の参照を含む。
【0152】
「例示的な」という用語は、本明細書において、「例、事例、または例示としての役割を果たす」を意味するように使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましいもしくは有利であると解釈されず、かつ/または他の実施形態から特徴の組み込みを除外しない。
【0153】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴もまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の記載された実施形態で好適に提供され得る。様々な実施形態の文脈において説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能である場合を除き、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0154】
添付の特許請求の範囲が複数の従属性なしに起草されている限りにおいて、これは、かかる複数の従属性を許容しない法域における形式的要件に対応するためにのみ行われている。特許請求の範囲を多重従属にすることによって示唆される特徴のすべての可能な組み合わせが明示的に想定され、本発明の一部とみなされるべきであることに留意されたい。
【0155】
本発明は、その特定の実施形態と併せて説明されてきたが、多くの代替物、修正例、および変形例が、当業者に明らかであろうことは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広範な範囲内であるすべてのかかる代替物、修正例、および変形例を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21