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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】容器判別装置及び容器判別方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20240605BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240605BHJP
   G01D 21/00 20060101ALN20240605BHJP
【FI】
B65B57/02 Z
G01B11/24 A
G01D21/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019230903
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021098528
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 栞
(72)【発明者】
【氏名】金沢 久雄
(72)【発明者】
【氏名】原川 健一
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05585917(US,A)
【文献】実開平06-006216(JP,U)
【文献】特開2009-204360(JP,A)
【文献】特開2016-142670(JP,A)
【文献】特開2019-021233(JP,A)
【文献】特開2010-151587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
G01B 11/24
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を判別する容器判別装置であって、
前記容器を搬送する搬送経路と、
前記搬送経路に設けられており、前記搬送経路に沿って搬送されている前記容器を選別する容器選別部と、
を備え、
前記容器選別部は、
前記搬送経路に沿って搬送されている前記容器の上方に設けられ、前記容器の天面部に段差が存在するか否かを判定するセンサ部と、
前記センサ部によって前記段差が存在しないと判定された前記容器を排斥する排斥部と、を含み、
前記容器は、樽容器であり、
前記樽容器は、
前記容器の天面部の外周に位置する凹部、及び前記凹部の内側に位置する凸部を前記段差として有する第1樽と、
前記段差を有しない第2樽と、
を含んでおり、
前記センサ部は、前記容器の天面部の外周に対して交差する方向に延びる帯状のレーザ光を照射するレーザセンサを含み、
前記センサ部は、前記レーザセンサが、前記レーザセンサから前記凸部までの距離と前記レーザセンサから前記凹部までの距離との差から前記段差の有無を判定することによって、前記樽容器が前記第1樽であるか又は前記第2樽であるかを判定し、
前記排斥部は、前記第2樽を排斥する、
容器判別装置。
【請求項2】
容器を判別する容器判別装置であって、
前記容器を搬送する搬送経路と、
前記搬送経路に設けられており、前記搬送経路に沿って搬送されている前記容器を選別する容器選別部と、
を備え、
前記容器選別部は、
前記搬送経路に沿って搬送されている前記容器の上方に設けられ、前記容器の天面部に段差が存在するか否かを判定するセンサ部と、
前記センサ部によって前記段差が存在しないと判定された前記容器を排斥する排斥部と、を含み、
前記容器は、樽容器であり、
前記樽容器は、
前記天面部に前記段差を有すると共に他の樽容器を積み上げることが可能なスタック樽を含んでおり、
前記スタック樽の前記天面部には凸部及び凹部が形成されており、
前記センサ部は、前記容器の天面部の外周に対して交差する方向に延びる帯状のレーザ光を照射するレーザセンサを含み、
前記センサ部は、前記レーザセンサが、前記レーザセンサから前記凸部までの距離と前記レーザセンサから前記凹部までの距離との差から前記段差の有無を判定することによって、前記樽容器が前記スタック樽であるか否かを判定し、
前記排斥部は、前記スタック樽でない樽容器を排斥する、
容器判別装置。
【請求項3】
前記センサ部は、前記容器の天面部の外周に前記段差が存在するか否かを判定する、
請求項1又は請求項2に記載の容器判別装置
【請求項4】
容器を判別する容器判別方法であって、
前記容器を搬送する工程と、
搬送されている前記容器を選別する工程と、
を備え、
前記容器を選別する工程は、
前記容器の天面部に段差が存在するか否かを判定する工程と、
前記段差が存在しないと判定された前記容器を排斥する工程と、
を含み、
前記容器は、樽容器であり、
前記樽容器は、
前記容器の天面部の外周に位置する凹部、及び前記凹部の内側に位置する凸部を前記段差として有する第1樽と、
前記段差を有しない第2樽と、
を含んでおり、
前記判定する工程では、レーザセンサが、前記レーザセンサから前記凸部までの距離と前記レーザセンサから前記凹部までの距離との差から前記段差の有無を判定することによって、前記樽容器が前記第1樽であるか又は前記第2樽であるかを判定し、
前記排斥する工程では、前記第2樽を排斥する、
容器判別方法。
【請求項5】
容器を判別する容器判別方法であって、
前記容器を搬送する工程と、
搬送されている前記容器を選別する工程と、
を備え、
前記容器を選別する工程は、
前記容器の天面部に段差が存在するか否かを判定する工程と、
前記段差が存在しないと判定された前記容器を排斥する工程と、
を含み、
前記容器は、樽容器であり、
前記樽容器は、
前記天面部に前記段差を有すると共に他の樽容器を積み上げることが可能なスタック樽を含んでおり、
前記スタック樽の前記天面部には凸部及び凹部が形成されており、
前記判定する工程では、レーザセンサが、前記レーザセンサから前記凸部までの距離と前記レーザセンサから前記凹部までの距離との差から前記段差の有無を判定することによって、前記樽容器が前記スタック樽であるか否かを判定し、
前記排斥する工程では、前記スタック樽でない樽容器を排斥する、
容器判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器を判別する容器判別装置及び容器判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から容器を判別する容器判別装置及び容器判別方法については種々のものが知られている。特開2010-133824号公報には、容器としての樽の口金部に装着されたキャップが正常に装着されているか否かを検査するキャップ検査装置が記載されている。キャップが装着された樽は、コンベアの搬送経路に沿ってキャップ検査装置に順次搬送される。
【0003】
キャップ検査装置は、キャップの天面までの距離を計測する計測ユニットと、キャップが傾斜して装着された樽を排除するプッシャーと、計測ユニット及びプッシャーのそれぞれに電気的に接続された制御ユニットとを備える。計測ユニットは3つの変位センサを有し、3つの変位センサからはレーザ光がキャップの天面に照射される。3つの変位センサのそれぞれは各変位センサと当該天面との距離をH1,H2,H3として測定する。
【0004】
制御ユニットは、H1とH2との差が所定値未満、H2とH3との差が所定値未満、且つH3とH1との差が所定値未満であるときにキャップが傾いておらず正常にキャップが装着されていると判定する。一方、制御ユニットは、H1とH2との差が所定値以上、H2とH3との差が所定値以上、又はH3とH1との差が所定値以上であるときにキャップが傾いていると判定する。制御装置は、樽のキャップが傾いていると判定したときには、プッシャーに制御信号を出力してその樽を排除する。プッシャーは、キャップが傾斜して装着された不良の樽をコンベアの搬送経路から押し出して排除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-133824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したキャップ検査装置は、3つの変位センサのそれぞれがキャップにレーザ光を照射してキャップが傾斜しているか否かを判定する。しかしながら、傾斜面にレーザ光が照射される場合には、反射したレーザ光を検知できない懸念があるため、容器の判別の精度において改善の余地がある。前述したキャップ検査装置は、3つの変位センサ及び制御ユニットを備え、制御ユニットは、3つの変位センサの測定結果からキャップの傾斜の有無を判定する。このように、3つの変位センサと、3つの変位センサの測定結果の演算とが必要であるため、装置の構成が複雑となりうる。
【0007】
本開示は、容器の判別の精度を高めることができると共に、装置の構成を簡易にすることができる容器判別装置及び容器判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る容器判別装置は、容器を判別する容器判別装置であって、容器を搬送する搬送経路と、搬送経路に設けられており、搬送経路に沿って搬送されている容器を選別する容器選別部と、を備え、容器選別部は、搬送経路に沿って搬送されている容器の上方に設けられ、容器の天面部に段差が存在するか否かを判定するセンサ部と、センサ部によって段差が存在しないと判定された容器を排斥する排斥部と、を含む。
【0009】
この容器判別装置において、容器選別部は、搬送経路に沿って搬送されている容器の上方に設けられるセンサ部と、容器を排斥する排斥部とを含んでいる。従って、搬送されている容器の上方にセンサ部が設けられることにより、容器の側方等にセンサ部が設けられる場合と比較して、センサ部の配置を容易に行うことができる。センサ部は、搬送される容器の天面部に段差が存在するか否かを判定する。従って、天面部における段差の有無に応じて容器を判別することができるので、容器の判別の精度を高めることができる。また、この容器判別装置では、段差が存在するか否かを判定する1つのセンサ部を備えればよいので、容器判別装置の構成を簡易にすることができる。
【0010】
センサ部は、容器の天面部の外周に段差が存在するか否かを判定してもよい。この場合、センサ部によって、容器の天面部の外周における段差有無の判定を容易に且つ高精度に行うことができる。
【0011】
容器は、樽容器であり、樽容器は、容器の天面部の外周に位置する凹部、及び凹部の内側に位置する凸部を段差として有する第1樽と、当該段差を有しない第2樽と、を含んでおり、センサ部は、樽容器が第1樽であるか又は第2樽であるかを判定し、排斥部は、第2樽を排斥してもよい。この場合、第1樽は、天面部の外周に位置する凹部と、凹部の内側に位置する凸部とを段差として有し、第2樽は当該凹部及び当該凸部を有しない。また、排斥部は第2樽を排斥する。従って、第2樽を排斥することによって当該凹部及び当該凸部を有する第1樽のみを容易に且つ高精度に選別することができる。
【0012】
容器は、樽容器であり、樽容器は、天面部に段差を有すると共に他の樽容器を積み上げることが可能なスタック樽を含んでおり、センサ部は、樽容器がスタック樽であるか否かを判定し、排斥部は、スタック樽でない樽容器を排斥してもよい。この場合、排斥部は、スタック樽でない樽容器を排斥すると共に、段差を有するスタック樽を排斥しない。従って、搬送される樽容器のうち、スタック樽のみを容易に且つ高精度に選別することができる。
【0013】
センサ部は、容器の天面部の外周に対して交差する方向に延びる帯状のレーザ光を照射するレーザセンサを含んでもよい。この場合、レーザセンサは、天面部の外周に対し、当該外周に交差する方向に延びる帯状のレーザ光を照射する。従って、外周に対して交差するようにレーザ光を照射することにより、段差の有無をより高精度に判定することができる。従って、センサ部による段差有無の判定を更に高精度に行うことができる。
【0014】
本開示に係る容器判別方法は、容器を判別する容器判別方法であって、容器を搬送する工程と、搬送されている容器を選別する工程と、を備え、容器を選別する工程は、容器の天面部に段差が存在するか否かを判定する工程と、段差が存在しないと判定された容器を排斥する工程と、を含む。
【0015】
この容器判別方法は、容器の天面部に段差が存在するか否かを判定する工程と、段差が存在しないと判定された容器を排斥する工程とを備える。従って、前述した容器判別装置と同様、天面部における段差の有無に応じて容器を判別することができるので、容器の判別の精度を高めることができる。また、この容器判別方法では、段差が存在するか否かを判定する1つのセンサ部が設けられればよいので、装置の構成を簡易にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、容器の判別の精度を高めることができると共に、装置の構成を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る容器判別装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図1の容器判別装置において判別対象となる例示的な樽容器を示す側面図である。
図3図2の樽容器が上下に重ねられた状態の例を示す縦断面図である。
図4図1の容器判別装置の容器選別部を拡大した模式的な平面図である。
図5】(a)は、図4の容器選別部の例示的なレーザセンサから容器に照射されたレーザ光を模式的に示す平面図である。(b)は、(a)のレーザ光が照射された容器の一部の縦断面図である。
図6】実施形態に係る容器判別方法の各工程の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、説明の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
本開示において、「容器」とは、物を収容する器を示しており、例えば、液体を収容する樽容器、缶、瓶及びペットボトル等の容器を含んでいる。「容器判別装置」は、容器の種類を判別する装置であって、例えば、複数の容器のうちの一部を排斥する装置である。「容器判別装置」は、複数の容器を搬送しながら複数の容器を判別する装置であってもよく、この場合、搬送しながら容器の判別を行うことが可能となる。本実施形態では、容器が樽容器である例について説明する。
【0020】
樽容器としては種々のものが知られており、樽容器の材料は、例えば、ステンレスである。但し、一部(例えば、把持部、天面部又は底面部)の材料が樹脂によって構成されている樽容器も知られている。樽容器の種類としては、樽容器同士を積み上げることが可能なスタック樽と、積み上げに適しないノンスタック樽とが含まれうる。
【0021】
樽容器を搬送するときに、スタック樽のみを搬送すべき場合があり、このような場合にノンスタック樽が紛れ込んでいると問題となりうるので、スタック樽か否かの判別は重要となる場合がある。本実施形態に係る容器判別装置1は、樽容器がスタック樽であるか否かを判別する。
【0022】
図1は、例示的な容器判別装置1の各機器を示す図である。図2は、スタック樽である樽容器50(第1樽)の例を示す図である。容器判別装置1は、搬送経路Lに沿って樽容器50、及びノンスタック樽である樽容器60(図4参照)を搬送しながら樽容器50,60がスタック樽であるか否かを判別する。
【0023】
容器判別装置1は、例えば、スタック樽でない樽容器60(第2樽)を排斥する。例えば、容器判別装置1は、樽容器50,60を洗浄した後に、樽容器50,60がスタック樽であるか否かを判別する。容器判別装置1は、例えば、スタック樽である樽容器50に、洗浄及び飲料の充填を行う。樽容器50に充填される飲料は、特に限定されないが、例えば、ビール、発泡酒、スパークリンクワイン、サワー、ハイボール又は炭酸を含有する清涼飲料水等、発泡性を有する炭酸飲料であってもよいし、発泡性を有しない清涼飲料水であってもよい。
【0024】
容器判別装置1には、飲食店等から回収された樽容器50,60が搬入され、樽容器50,60に対して容器判別装置1が判別を行う。容器判別装置1は、一例として、樽容器50,60の口金を洗浄する口金洗浄部2と、樽容器50を選別する容器選別部10と、容器選別部10によって選別された樽容器50を洗浄する洗浄部20と、洗浄部20によって洗浄された樽容器50に飲料を充填するフィラー30とを備える。しかしながら、容器判別装置1の各機器の構成及び配置態様は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0025】
口金洗浄部2は、例えば、搬送経路Lに導入された樽容器50,60の口金に水をかけて樽容器50,60の口金を洗浄する。口金が洗浄された樽容器50,60は容器選別部10に導入される。例えば、容器選別部10によって、搬送経路Lに沿って搬送される複数の樽容器50,60からスタック樽である樽容器50が選別される。容器選別部10の詳細については後述する。
【0026】
容器選別部10において選別された樽容器50は、洗浄部20に搬送され、洗浄部20によって洗浄される。洗浄部20は、例えば、外洗機21とクリーナー22とを備える。外洗機21は、例えば、樽容器50の外面に水をかけて樽容器50の外面を洗浄する。外洗機21に洗浄された樽容器50は、例えば、反転されてクリーナー22に導入され、クリーナー22は反転された樽容器50に対し洗浄及び殺菌を行う。
【0027】
一例として、クリーナー22は、ロータリー式のクリーナーであって、平面視において円形状の搬送経路を有する。樽容器50は、クリーナー22の当該円形状の搬送経路に導入された後、当該搬送経路に沿って搬送されながら内部洗浄及び殺菌が行われてクリーナー22から搬送経路Lに搬出される。
【0028】
なお、クリーナー22は、ロータリー式でなくてもよく、例えば、直線状の搬送経路を備えるレーン式のクリーナーであってもよい。更に、洗浄部20の構成は外洗機21及びクリーナー22を備えるものに限られない。すなわち、洗浄部20に配置される機器の種類、及び洗浄部20の機器の配置態様については、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0029】
洗浄部20から搬出された樽容器50は搬送経路Lを介してフィラー30に搬入され、フィラー30は複数の樽容器50のそれぞれに対して飲料の充填を行う。飲料が充填された樽容器50は、例えば、キャップシールが装着されて封止され、当該キャップシールの印字が検査された後に搬出される。
【0030】
図3は、スタック樽である樽容器50が積み上げられている構成を模式的に示す縦断面図である。樽容器50の容量は、一例として、10L(10リットル)であるが、10Lに限定されない。図2及び図3に示されるように、例示的な樽容器50は、天面部53と側面部54とを有し、天面部53に凸部51及び凹部52が形成されている。本開示において、「天面部」とは、段差の有無が判定されるときに鉛直上方を向いている容器の部位を示している。「天面部」は、容器の実際の天面部だけでなく、段差の有無が判定されるときに反転された状態となっている容器の底面部を含んでいる。
【0031】
樽容器50において、凸部51は上方に突出する部位を示しており、凹部52は凸部51に対して下方に窪む部位を示している。一例として、天面部53は、平面視において円形状とされている。天面部53は、平面視における中央を含む領域に口金55を有し、凸部51及び凹部52は平面視における径方向外側(外周)に設けられる。例えば、凹部52は凸部51よりも天面部53の径方向の外側に位置しており、凹部52の径方向内側に凸部51が設けられる。すなわち、平面視において、凸部51は凹部52の内側に設けられている。
【0032】
凸部51は、一例として、天面部53の径方向外側を向く外側面51bと、天面部53の径方向内側に膨らむ内側面51cとを有する。凹部52は、例えば、外側面51bの下方に連続する傾斜面52bを有する。なお、樽容器50の形状は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0033】
前述した容器選別部10は、例えば、樽容器50の凸部51及び凹部52を段差として検出することによって樽容器50を選別する。以下では、凹部52に対する凸部51の突出状態を段差と称することがある。しかしながら、段差の態様及び配置箇所は、凸部51及び凹部52の態様及び配置箇所に限られず、適宜変更可能である。
【0034】
図1及び図4に示されるように、例示的な容器選別部10は、樽容器50,60の段差(凸部51及び凹部52)の有無を検出するセンサ部11と、樽容器50,60の残液を判定するウエイトチェッカー12と、樽容器60を排斥する排斥部13とを備える。一例として、樽容器60は、径方向外側に設けられる凸部61のみを有するノンスタック樽である。
【0035】
センサ部11は、例えば、樽容器50,60を検知する樽容器検知部11bと、樽容器50,60の段差の有無を判定するレーザセンサ11cとを備える。一例として、樽容器検知部11bは、搬送経路Lに交差する方向に光を照射する光電センサであり、当該光の照射に伴う樽容器50,60からの反射光を受光することによって樽容器50,60の存在を検知する。
【0036】
レーザセンサ11cは、ウエイトチェッカー12及び排斥部13が設けられた容器選別部10に後付けで組み込まれる機器であってもよい。この場合、ウエイトチェッカー12及び排斥部13を備える容器選別部10に後付けでレーザセンサ11cを組み込むことができると共に、排斥部13によって残液が多い樽容器50,60と共にノンスタック樽である樽容器60を排斥できる。
【0037】
図5(a)及び図5(b)は、レーザセンサ11cによる樽容器50,60の段差有無の判定を模式的に示す平面図及び縦断面図である。図4図5(a)及び図5(b)に示されるように、レーザセンサ11cは搬送経路Lの上方に配置されており、例えば、上方から樽容器50,60に光を照射して樽容器50,60の段差の有無を判定する。
【0038】
レーザセンサ11cは、帯状のレーザ光Rを照射して樽容器50,60の段差有無を判定する帯センサであってもよい。一例として、レーザセンサ11cは、カメラ内蔵レーザ変位センサであってもよい。レーザセンサ11cは、例えば、凸部51の内側面51cの位置補正を行った後に帯状のレーザ光Rを照射して凸部51及び凹部52の有無を判定する。
【0039】
例えば、レーザセンサ11cは、レーザセンサ11cから天面部53までの距離の差から段差有無を判定してもよい。この場合、レーザセンサ11cは、レーザセンサ11cから凸部51の天面までの距離と、レーザセンサ11cから凹部52(傾斜面52b)の下端までの距離と、の差から段差有無を判定する。
【0040】
一例として、レーザセンサ11cは、凸部51の天面までの距離と、凹部52の下端までの距離との差がXmm以上且つYmm以下である場合に段差があると判定してもよい。Xの値は、例えば、2mm以上且つ12mm以下(一例として7mm)であり、Yの値は15mm以上且つ30mm以下(一例として20mm又は24.5mm)である。しかしながら、Xの値、及びYの値は、上記の例に限られず適宜変更可能である。なお、樽容器50の段差の平均値は、例えば、14mmである。
【0041】
ウエイトチェッカー12は、樽容器50,60の残液を判定する部位である。残液があると判定された樽容器50,60は排斥部13によって排斥される。ウエイトチェッカー12は、例えば、樽容器50,60の残液がZml以上であるか否かを判定する。Zの値は、例えば、1000であるが、適宜変更可能である。
【0042】
排斥部13は、例えば、ウエイトチェッカー12によって残液がZml以上であると判定された樽容器50,60、及びレーザセンサ11cによって段差を有しないと判定された樽容器60を排斥する。これにより、残液がZml以下であって且つ段差を有する樽容器50のみが排斥されずに搬送経路Lを移動し続ける。排斥部13は、一例として、排斥された樽容器50,60が貯められる排斥領域13cと、排斥領域13cに樽容器50,60を案内するガイド部13bと、搬送経路Lの樽容器50,60をガイド部13bに押し出すプッシャー(不図示)とを備える。
【0043】
排斥部13は、一例として、レーザセンサ11cによって検出された差がXmm未満又はYmm以上である樽容器50,60、及びウエイトチェッカー12によって残液がZml以上であると判定された樽容器50,60を搬送経路Lから排斥領域13cに排斥してもよい。排斥領域13cには、例えば、複数の樽容器50,60を流し込むことが可能とされており、一例として6個の樽容器50,60を流し込むことが可能である。
【0044】
次に、本実施形態に係る容器判別方法の例について図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る容器判別方法の各工程の例を示すフローチャートである。まず、図1及び図6に示されるように、例えば、容器判別装置1の搬送経路Lに樽容器50,60を搬入し、搬送経路Lに沿った樽容器50,60の搬送を行う(容器を搬送する工程)。
【0045】
搬送経路Lに沿った樽容器50,60の搬送において、口金洗浄部2が樽容器50,60の口金を洗浄する(ステップS1)。次に、センサ部11が樽容器50の選別を行う(容器を選別する工程)。具体的には、センサ部11の樽容器検知部11bが搬送経路Lに樽容器50,60が搬入されていることを検知し(ステップS2)、センサ部11のレーザセンサ11cが樽容器50,60の段差の有無の検出を行う(段差が存在するか否かを判定する工程)。
【0046】
そして、ウエイトチェッカー12が樽容器50,60の残液がZml以上であるか否かをウエイトチェッカー12が判定し(ステップS4)、ステップS3において段差を有しないと判定された樽容器60を排斥部13が排斥する(ステップS5,S6)。このとき、排斥部13は、例えば、凸部51の天面までの距離と、凹部52の下端までの距離との差がXmm未満である樽容器60、及び、当該差がYmmより大きい樽容器60を排斥領域13cに排斥してもよい。更に、排斥部13は、ウエイトチェッカー12によって残液がZml以上であると判定された樽容器50,60を排斥領域13cに排斥してもよい。
【0047】
排斥部13によって排斥されなかった樽容器50は、搬送経路Lを通って洗浄部20に搬送され、洗浄部20において洗浄される(ステップS7)。そして、洗浄部20において洗浄された樽容器50はフィラー30に搬送され、フィラー30は搬送された樽容器50に飲料を充填する(ステップS8)。その後、樽容器50にキャップシールの装着等が行われた後に一連の工程を完了する。
【0048】
次に、本実施形態に係る容器判別装置1及び容器判別方法の作用効果について詳細に説明する。図4及び図5に示されるように、容器判別装置1において、容器選別部10は、搬送経路Lに沿って搬送されている樽容器50,60の上方に設けられるセンサ部11と、樽容器60を排斥する排斥部13とを含んでいる。従って、センサ部11が搬送されている樽容器50,60の上方に設けられることにより、樽容器50,60の側方等にセンサが設けられる場合と比較して、センサ部11の配置を容易に行うことができる。
【0049】
センサ部11は、搬送される樽容器50,60の天面部53に段差が存在するか否かを判定する。従って、天面部53における段差の有無に応じて樽容器50,60を判別することができるので、樽容器50,60の判別の精度を高めることができる。また、容器判別装置1では、段差が存在するか否かを判定する1つのセンサ部11を備えればよいので、容器判別装置1の構成を簡易にすることができる。
【0050】
センサ部11は、樽容器50,60の天面部53の外周に段差が存在するか否かを判定してもよい。この場合、センサ部11によって、樽容器50,60の天面部53の外周における段差有無の判定を容易に且つ高精度に行うことができる。
【0051】
本実施形態において、容器は、樽容器であり、樽容器は、天面部53の外周に位置する凹部52、及び凹部52の内側に位置する凸部51を段差として有する第1樽である樽容器50と、当該段差を有しない第2樽である樽容器60と、を含んでおり、センサ部11は、樽容器が樽容器50であるか又は樽容器60であるかを判定し、排斥部13は樽容器60を排斥してもよい。
【0052】
この場合、樽容器50は、天面部53の外周に位置する凹部52と、凹部52の内側に位置する凸部51とを段差として有し、樽容器60は凹部52及び凸部51を有しない。また、排斥部13は樽容器60を排斥する。従って、樽容器60を排斥することによって凹部52及び凸部51を有する樽容器50のみを高精度に選別することができる。
【0053】
樽容器50は、天面部53に段差を有すると共に他の樽容器50を積み上げることが可能なスタック樽であり、センサ部11は、樽容器50,60がスタック樽であるか否かを判定し、排斥部13は、スタック樽でない樽容器60を排斥してもよい。この場合、排斥部13は、スタック樽でない樽容器60を排斥すると共に、段差を有する樽容器50を排斥しない。従って、搬送される樽容器50,60のうち、スタック樽である樽容器50のみを高精度に選別することができる。
【0054】
従来は、スタック樽であるか否かを目視で判別することがあった。しかしながら、本実施形態では、容器判別装置1の容器選別部10により、搬送された樽容器50,60がスタック樽であるか否かを判別するので、スタック樽であるか否かの判別を容易に且つ高精度に行うことができる。
【0055】
センサ部11は、樽容器50,60の天面部53の外周に対して交差する方向に延びる帯状のレーザ光Rを照射するレーザセンサ11cを含んでいてもよい。この場合、レーザセンサ11cは、天面部53の外周に対し、当該外周に交差する方向に延びる帯状のレーザ光Rを照射する。従って、外周に対して交差するようにレーザ光Rを照射することにより、段差の有無をより高精度に判定することができる。従って、センサ部11による段差有無の判定を更に高精度に行うことができる。
【0056】
本実施形態に係る容器判別方法は、樽容器50,60の天面部53に段差が存在するか否かを判定する工程と、段差が存在しないと判定された樽容器60を排斥する工程とを備える。従って、天面部53における段差の有無に応じて樽容器50,60を判別することができるので、樽容器50,60の判別の精度を高めることができる。また、この容器判別方法では、段差が存在するか否かを判定する1つのセンサ部11が設けられればよいので、装置の構成を簡易にすることができる。
【0057】
以上、本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、本開示に係る容器判別装置の各機器の機能、種類及び配置態様、並びに、本開示に係る容器判別方法の各工程の内容及び順序は、前述した実施形態の例に限られず適宜変更可能である。
【0058】
例えば、前述の実施形態では、容量が10Lである樽容器50について例示した。しかしながら、例えば、樽容器の容量は、20Lであってもよく、適宜変更可能である。また、センサ部による段差の有無の判別は、予め反転された樽容器に対して行われてもよい。このように、搬送されている樽容器に対する反転の有無、及び天面部の種類については適宜変更可能である。
【0059】
また、前述した実施形態では、搬送経路Lにおいて、センサ部11が口金洗浄部2とウエイトチェッカー12の間に設けられ、レーザセンサ11cが樽容器検知部11bとウエイトチェッカー12の間に設けられる例について説明した。しかしながら、センサ部が設けられる部位、及びレーザセンサが設けられる部位は、上記の例に限られず適宜変更可能である。更に、容器判別装置は、口金洗浄部2、樽容器検知部11b、ウエイトチェッカー12、洗浄部20及びフィラー30の少なくともいずれかを有しない容器判別装置であってもよい。
【0060】
また、前述した実施形態では、センサ部11がレーザセンサ11cによって段差の有無の判定する例について説明した。しかしながら、センサ部のセンサの種類はレーザセンサ以外のものであってもよい。例えば、センサ部のセンサは、画像センサであってもよく、天面部を撮影し、撮影した画像から段差の有無を判定するものであってもよい。
【0061】
また、前述した実施形態では、搬送された樽容器50、60がスタック樽であるか否かを判別する容器判別装置1について説明した。しかしながら、本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法は、スタック樽以外の樽容器を判別するものであってもよいし、樽容器以外の容器を判別するものであってもよい。
【0062】
例えば、本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法は、搬送されるプラスチック製の容器に配置されている瓶の本数を判別するものであってもよい。また、本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法は、搬送される飲料缶の缶蓋の装着状態を判別するものであってもよい。このように、本開示に係る容器判別装置及び容器判別方法が対象とする容器の種類は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…容器判別装置、2…口金洗浄部、10…容器選別部、11…センサ部、11b…樽容器検知部、11c…レーザセンサ、12…ウエイトチェッカー、13…排斥部、13b…ガイド部、13c…排斥領域、20…洗浄部、21…外洗機、22…クリーナー、30…フィラー、50…樽容器(第1樽)、51…凸部、51b…外側面、51c…内側面、52…凹部、52b…傾斜面、53…天面部、54…側面部、55…口金、60…樽容器(第2樽)、61…凸部、L…搬送経路、R…レーザ光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6