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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】撮像レンズ系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20240605BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20240605BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B13/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020015971
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021124542
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】牧野 由多可
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0254984(US,A1)
【文献】特開2007-101920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に,25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率(dNd/dt)が0/Kより大きく,且つ9×10-6/K未満の材料のみで構成された2枚のレンズが隣接して配列された第1レンズ群と,前記第1レンズ群の像側に,25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率(dNd/dt)が-8×10-5/K以下の材料のみで構成された4枚のレンズが隣接して配列された第2レンズ群からなり,
前記第2レンズ群の合成焦点距離をf(3~6),レンズ系全体の焦点距離をfと定義したときに,下記条件式(1)を満足する撮像レンズ系。
f(3~6)/f≧3.5 …(1)
【請求項2】
下記条件式(2)を満たす請求項1記載の撮像レンズ系。
f(3~6)/f≧4.1 …(2)
【請求項3】
前記第1レンズ群の2枚のレンズを構成する全ての材料の屈折率の温度変化率(dNd/dt)が,3.0×10-6/K以上でかつ,8.2×10-6/K以下であり,前記第2レンズ群の4枚のレンズを構成する全ての材料の屈折率の温度変化率(dNd/dt)が,-12×10-5/K以上でかつ,-8.5×10-5/K以下である請求項1または2記載の撮像レンズ系。
【請求項4】
前記第1レンズ群は,物体側から順に,像側が凹形状で負のパワーを有する第1レンズ,物体側が凸形状で正のパワーを有する第2レンズからなり,
前記第2レンズ群は,物体側から順に,正のパワーを有する第3レンズ,負のパワーを有する第4レンズ,正のパワーを有する第5レンズ,および第6レンズからなり,
前記第1レンズと前記第2レンズの間,前記第2レンズと前記第3レンズの間,前記第3レンズと前記第4レンズの間の何れか1か所に配置された絞りを備える請求項1から3のいずれかに記載の撮像レンズ系。
【請求項5】
前記第4レンズおよび前記第5レンズが,相互に接合されている請求項4記載の撮像レンズ系。
【請求項6】
前記第1レンズ群を構成するレンズの中心厚みの総和をΣA,前記第2レンズ群を構成するレンズの中心厚みの総和ΣBと定義したとき,下記条件式(3)を満たす請求項3または4記載の撮像レンズ系。
0.9≦ΣB/ΣA≦1.8 …(3)
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の撮像レンズ系と,
前記撮像レンズ系の焦点位置に配置された撮像素子と,を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像レンズ及び撮像装置に関し,例えば車載用の撮像レンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるカメラは,広い撮像範囲が得られるように,広画角を有する撮像光学系が求められている。
【0003】
このようなレンズ系として,特許文献1には,物体側からの順で,ガラスレンズである第1レンズL1,プラスチックレンズである第2レンズL2,ガラスレンズである第3レンズL3,プラスチックレンズである第4レンズL4からなる撮像レンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-101920公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたレンズ系では,プラスチックレンズとガラスレンズが混在しており,収差が大きくなる問題及び温度変化により焦点位置が変化するという問題がある。
【0006】
特に,センシングに用いる光学系において温度の違いにより撮像画像が異なると,自動運転における画像認識で温度により判断が異なるという問題も発生する。例えば,車載用の光学系では,自動運転のおける画像認識の誤りを抑制するために,-40℃~105℃の温度範囲でピントずれを±20μm以内とする必要がある。しかしながら特許文献1に記載されたレンズ系では,センシングに用いる光学系の要求を満たしていない。
【0007】
本発明は,このような問題点に鑑みてなされたものであり,自動運転における画像認識に必要なレベルで,収差を小さくし,温度変化による焦点位置の変化を抑制できる撮像レンズ系及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の撮像レンズ系は,物体側から順に,25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率(dNd/dt)が0/Kより大きく,且つ9×10-6/K未満の材料のみで構成された2枚のレンズが隣接して配列された第1レンズ群と,前記第1レンズ群の像側に,25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率(dNd/dt)が-8×10-5/K以下の材料のみで構成された4枚のレンズが隣接して配列された第2レンズ群からなり,
前記第2レンズ群の合成焦点距離をf(3~6),レンズ系全体の焦点距離をfと定義したときに,下記条件式(1)を満足するようにした。
f(3~6)/f≧3.5 …(1)
【0009】
一実施形態の撮像レンズ系によれば,自動運転における画像認識に必要なレベルで,収差を小さくし,温度変化による焦点位置の変化を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,自動運転における画像認識に必要なレベルで,収差を小さくし,温度変化による焦点位置の変化を抑制できる撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図2】実施例1の撮像レンズ系における球面収差図である。
図3】実施例1の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図4】実施例1の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図5】実施例2の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図6】実施例2の撮像レンズ系における球面収差図である。
図7】実施例2の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図8】実施例2の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図9】実施例3の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図10】実施例3の撮像レンズ系における球面収差図である。
図11】実施例3の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図12】実施例3の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図13】実施例4の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図14】実施例4の撮像レンズ系における球面収差図である。
図15】実施例4の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図16】実施例4の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図17】実施例5の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図18】実施例5の撮像レンズ系における球面収差図である。
図19】実施例5の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図20】実施例5の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図21】実施例6の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図22】実施例6の撮像レンズ系における球面収差図である。
図23】実施例6の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図24】実施例6の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図25】実施例7の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図26】実施例7の撮像レンズ系における球面収差図である。
図27】実施例7の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図28】実施例7の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図29】実施例8の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図30】実施例8の撮像レンズ系における球面収差図である。
図31】実施例8の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図32】実施例8の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図33】実施例9の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図34】実施例9の撮像レンズ系における球面収差図である。
図35】実施例9の撮像レンズ系における像面湾曲図である。
図36】実施例9の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図37】実施の形態2に係る撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,本実施の形態に係る光学レンズ及び撮像装置を説明する。
(実施の形態1:撮像レンズ系)
実施の形態1の撮像レンズ系は,物体側から順に,25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率(dNd/dt)が0/Kより大きく,且つ9×10-6/K未満の材料のみで構成された2枚のレンズが隣接して配列された第1レンズ群と,前記第1レンズ群の像側に,25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率(dNd/dt)が-8×10-5/K以下の材料のみで構成された4枚のレンズが隣接して配列された第2レンズ群からなり,
前記第2レンズ群の合成焦点距離をf(3~6),レンズ系全体の焦点距離をfと定義したときに,下記条件式(1)を満足するようにした。
f(3~6)/f≧3.5 …(1)
【0013】
このように,実施の形態1の撮像レンズ系によれば,自動運転における画像認識に必要なレベルで,収差を小さくし,温度変化による焦点位置の変化を抑制できる撮像レンズ系を提供することができる。
【0014】
上述の効果についてより詳細に説明する。一般に,複数のレンズの合成焦点距離は,隣接するレンズ以外の組み合わせで計算することが困難である。更に温度特性を含めると現実に計算することができない。
【0015】
例えば,特許文献1に記載された撮像レンズでは,第1レンズがガラス,第2レンズがプラスチック,第3レンズがガラス,第4レンズがプラスチックとなっているので,自動運転における画像認識に必要なレベルで収差補正を実現することが難しい。一方,実施の形態1の撮像レンズ系は,第1レンズ群内の複数のレンズが互いに同様の温度特性を有し,第2レンズ群内の複数のレンズが互いに同様の温度特性を有する構成としているので収差を小さくし,温度変化による焦点位置の変化を抑制できる撮像レンズ系を実現できる。
【0016】
本発明者は,温度変化による焦点位置の変化量は,各々のレンズのパワー(1/f)×dNd/dtの総和が支配的であることに着目した。そして,実施の形態1の撮像レンズ系は,屈折率の温度変化率(dNd/dt)が正で9.0×10-6/K未満の第1レンズ群とdNd/dtが負で-8.0×10-5/K以下の第2レンズ群に分かれており,dNd/dtの絶対値の大きな第2レンズ群の合成焦点距離を大きくする(具体的には光学系全体の焦点距離に対して3.2倍以上とする)ことで,撮像レンズ系全体での温度変化による焦点位置の変化量を小さくできる。
【0017】
具体的には,屈折率の温度変化率の絶対値が大きい第2レンズ群の合成焦点距離を第1レンズ群より1.8倍から3.8倍大きくすることで温度変化による焦点位置のズレを互いに打ち消しあいさらに小さくできる。(具体的には-40℃から105℃までの温度変化による焦点位置の変化量が±0.02mm)
【0018】
また,屈折率の温度変化率(dNd/dt)が正の第1レンズ群と負の第2レンズ群を混在させていないので,dNd/Dtの近いレンズを郡内に集めることで,温度変化時の光線変動が少なくなり温度変化時の球面収差が良くなる。
【0019】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は,下記条件式(2)を満たすようにしてもよい。
f(3~6)/f≧4.1 …(2)
【0020】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は,前記第1レンズ群の2枚のレンズを構成する全ての材料の屈折率の温度変化率(dNd/dt)が,3.0×10-6/K以上でかつ,8.2×10-6/K以下であり,前記第2レンズ群の4枚のレンズを構成する全ての材料の屈折率の温度変化率(dNd/dt)が,-12×10-5/K以上でかつ,-8.5×10-5/K以下であるようにしてもよい。
【0021】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は,前記第1レンズ群は,物体側から順に,像側が凹形状で負のパワーを有する第1レンズ,物体側が凸形状で正のパワーを有する第2レンズからなり,
前記第2レンズ群は,物体側から順に,正のパワーを有する第3レンズ,負のパワーを有する第4レンズ,正のパワーを有する第5レンズ,および第6レンズからなり,
前記第1レンズと前記第2レンズの間,前記第2レンズと前記第3レンズの間,前記第3レンズと前記第4レンズの間の何れか1か所に配置された絞りを備えるようにしてもよい。
【0022】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は,前記第4レンズおよび前記第5レンズが,相互に接合されているようにしてもよい。
【0023】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は,前記第1レンズ群を構成するレンズの中心厚みの総和をΣA,前記第2レンズ群を構成するレンズの中心厚みの総和ΣBと定義したとき,下記条件式(3)を満たすようにしてもよい。
0.9≦ΣB/ΣA≦1.8 …(3)
【0024】
次に,実施の形態1の撮像レンズ系に対応する実施例について,図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は,実施例1の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図1において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,第1レンズL1,第2レンズL2,第3レンズL3,開口絞り(STOP),第4レンズL4,第5レンズL5,第6レンズL6からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。
【0025】
第1レンズL1は,負のパワーを有する球面のガラスレンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は,物体側に凹面を向けている。第1レンズL1の像側レンズ面S2は凹形状の曲面部分を有している。
【0026】
第2レンズL2は,正のパワーを有する球面のガラスレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は,物体側に凸面を向けている。また,第2レンズL2の像側レンズ面S4は,像側に凸面を向けている。
【0027】
第3レンズL3は,正のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S5は,物体側に凸面を向けている。また,第3レンズL3の像側レンズ面S6は,像面側に凸面を向けている。
【0028】
絞りSTOPは,レンズ系のF値(Fno)を決める絞りである。絞りSTOPは,第3レンズL3と第4レンズL4との間に配置される。
【0029】
第4レンズL4は,負のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S9は,物体側に凹面を向けている。また,第4レンズL4の像側レンズ面S10は,像面側に凹面を向けている。
【0030】
第5レンズL5は,正のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第5レンズL5の物体側レンズ面S11は,凸形状の曲面部分を有している。また,第5レンズL5の像側レンズ面S12は,像面側に凸面を向けている。
【0031】
第4レンズL4と第5レンズL5は,接合レンズを形成している。すなわち,第4レンズL4の像側レンズ面S10と第5レンズL5の物体側レンズ面S11で接している。例えば,第4レンズL4と第5レンズL5は,軸上厚み0.02mmの接着層で接合するのが好適である。
【0032】
第6レンズL6は,正のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第6レンズL6の物体側レンズ面S13は,凸形状の曲面部分を有している。また,第6レンズL6の像側レンズ面S14は,凹形状の曲面部分を有している。
【0033】
IRカットフィルタ12は,赤外領域の光をカットするためのフィルタである。IRカットフィルタ12は,撮像レンズ系11の設計時には,撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし,IRカットフィルタ12は,撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
【0034】
表1に,実施例1の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表1では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。また,表1において,例えば「-6.522528E-03」は,「-6.522528×10-3」を意味する。以下の表についても数値の表現は同様である。
【0035】
【表1】
【0036】
レンズ面に採用される非球面形状は,zをサグ量,cを曲率半径の逆数,kを円錐係数,rを光軸Zからの光線高さとして,3次,4次,5次,6次,7次,8次,9次,10次,12次,14次,16次の非球面係数をそれぞれA3,A4,A5,A6,A7,A8,A9,A10,A12,A14,A16としたときに,次式により表わされる。
【数1】
【0037】
表2に,実施例1の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【0038】
【表2】
【0039】
次に,収差について図面を用いて説明する。図2は,実施例1の撮像レンズ系における球面収差図である。図3において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図3は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0040】
図3は,実施例1の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図3において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図3において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図3は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0041】
図4は,実施例1の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図5において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0042】
図2に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図2~4に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0043】
次に,レンズの特性値について説明する。表3に,実施例1の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表3において,第1レンズL1の焦点距離をf,第1レンズ群の合成焦点距離をf(1~2),第2レンズL2の焦点距離をf,第3レンズL3の焦点距離をf,第4レンズL4の焦点距離をf,第5レンズL5の焦点距離をf,第6レンズL6の焦点距離をf,第2レンズ群の合成焦点距離をf(3~6),撮像レンズ系11における,レンズ系全体の焦点距離をf,第1レンズL1の中心厚みをL1t,第2レンズL2の中心厚みをL2t,第1レンズ群を構成するレンズの中心厚みの総和をΣA,第3レンズL3の中心厚みをL3t,第4レンズL4の中心厚みをL4t,第5レンズL5の中心厚みをL5t,第6レンズL6の中心厚みをL6t,第2レンズ群を構成するレンズの中心厚みの総和をΣB,第1レンズL1の屈折率の温度変化率をdNd/dt_L1,第2レンズL2の屈折率の温度変化率をdNd/dt_L2,第3レンズL3の屈折率の温度変化率をdNd/dt_L3,第4レンズL4の屈折率の温度変化率をdNd/dt_L4,第5レンズL5の屈折率の温度変化率をdNd/dt_L5,第6レンズL6の屈折率の温度変化率をdNd/dt_L6としたときの各特性値を示している。表3において,焦点距離及び中心厚みの単位はいずれもmmである。屈折率の温度変化率の単位はいずれも1/Kである。また,表3の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0044】
【表3】
【0045】
(実施例2)
図5は,実施例2の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図5において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0046】
表4に,実施例2の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表4では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0047】
【表4】
【0048】
表5に,実施例2の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表5において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0049】
【表5】
【0050】
次に,収差について図面を用いて説明する。図6は,実施例2の撮像レンズ系における球面収差図である。図6において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図6は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0051】
図7は,実施例2の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図7において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図7において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図7は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0052】
図8は,実施例2の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図8において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0053】
図6に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図6~8に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0054】
次に,レンズの特性値について説明する。表6に,実施例2の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表6の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表6の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0055】
【表6】
【0056】
(実施例3)
図9は,実施例3の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図9において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0057】
表7に,実施例3の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表7では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0058】
【表7】
【0059】
表8に,実施例3の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表8において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0060】
【表8】
【0061】
次に,収差について図面を用いて説明する。図10は,実施例3の撮像レンズ系における球面収差図である。図10において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図10は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0062】
図11は,実施例3の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図11において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図11において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図11は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0063】
図12は,実施例3の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図12において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0064】
図10に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図10~12に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0065】
次に,レンズの特性値について説明する。表9に,実施例3の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表9の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表9の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0066】
【表9】
【0067】
(実施例4)
図13は,実施例4の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図13において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0068】
表10に,実施例4の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表10では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0069】
【表10】
【0070】
表11に,実施例4の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表11において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0071】
【表11】
【0072】
次に,収差について図面を用いて説明する。図14は,実施例4の撮像レンズ系における球面収差図である。図14において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図14は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0073】
図15は,実施例4の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図15において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図15において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図15は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0074】
図16は,実施例4の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図16において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0075】
図14に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図14~16に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0076】
次に,レンズの特性値について説明する。表12に,実施例4の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表12の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表12の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0077】
【表12】
【0078】
(実施例5)
図17は,実施例5の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図17において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0079】
表13に,実施例5の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表13では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0080】
【表13】
【0081】
表14に,実施例5の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表14において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0082】
【表14】
【0083】
次に,収差について図面を用いて説明する。図18は,実施例5の撮像レンズ系における球面収差図である。図18において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図18は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0084】
図19は,実施例5の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図19において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図19において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図19は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0085】
図20は,実施例5の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図20において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0086】
図18に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図18~20に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0087】
次に,レンズの特性値について説明する。表15に,実施例5の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表15の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表15の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0088】
【表15】
【0089】
(実施例6)
図21は,実施例6の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図21において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,正のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0090】
表16に,実施例6の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表16では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0091】
【表16】
【0092】
表17に,実施例6の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表17において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0093】
【表17】
【0094】
次に,収差について図面を用いて説明する。図22は,実施例6の撮像レンズ系における球面収差図である。図22において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図22は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0095】
図23は,実施例6の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図23において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図23において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図23は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0096】
図24は,実施例6の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図24において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0097】
図22に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図22~24に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0098】
次に,レンズの特性値について説明する。表18に,実施例6の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表18の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表18の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0099】
【表18】
【0100】
(実施例7)
図25は,実施例7の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図25において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0101】
表19に,実施例7の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表19では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0102】
【表19】
【0103】
表20に,実施例7の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表20において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0104】
【表20】
【0105】
次に,収差について図面を用いて説明する。図26は,実施例7の撮像レンズ系における球面収差図である。図26において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図26は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0106】
図27は,実施例7の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図27において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図27において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図27は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0107】
図28は,実施例7の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図28において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0108】
図26に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図26~28に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0109】
次に,レンズの特性値について説明する。表21に,実施例7の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表21の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表21の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0110】
【表21】
【0111】
(実施例8)
図29は,実施例8の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図29において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,開口絞り(STOP),正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの材質は実施例1と同様である。
【0112】
第1レンズL1の物体側レンズ面S1は,物体側に凹面を向けている。第1レンズL1の像側レンズ面S2は凹形状の曲面部分を有している。
【0113】
第2レンズL2の物体側レンズ面S5は,物体側に凸面を向けている。また,第2レンズL2の像側レンズ面S6は,像側に凸面を向けている。
【0114】
第3レンズL3の物体側レンズ面S7は,物体側に凸面を向けている。また,第3レンズL3の像側レンズ面S8は,像面側に凸面を向けている。
【0115】
絞りSTOPは,レンズ系のF値(Fno)を決める絞りである。絞りSTOPは,第1レンズL1と第2レンズL2との間に配置される。また,絞りSTOPは,第3レンズL3と第4レンズL4との間にも配置される。
【0116】
第4レンズL4の物体側レンズ面S11は,物体側に凹面を向けている。また,第4レンズL4の像側レンズ面S12は,像面側に凹面を向けている。
【0117】
第5レンズL5の物体側レンズ面S13は,凸形状の曲面部分を有している。また,第5レンズL5の像側レンズ面S14は,像面側に凸面を向けている。
【0118】
第4レンズL4と第5レンズL5は,接合レンズを形成している。すなわち,第4レンズL4の像側レンズ面S12と第5レンズL5の物体側レンズ面S13で接している。例えば,第4レンズL4と第5レンズL5は,軸上厚み0.02mmの接着層で接合するのが好適である。
【0119】
第6レンズL6の物体側レンズ面S15は,凸形状の曲面部分を有している。また,第6レンズL6の像側レンズ面S16は,凹形状の曲面部分を有している。
【0120】
表22に,実施例8の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表22では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dtを提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0121】
【表22】
【0122】
表23に,実施例8の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表23において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0123】
【表23】
【0124】
次に,収差について図面を用いて説明する。図30は,実施例8の撮像レンズ系における球面収差図である。図30において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図30は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0125】
図31は,実施例8の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図31において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図31において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図31は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0126】
図32は,実施例8の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図32において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0127】
図30に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図30~32に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0128】
次に,レンズの特性値について説明する。表24に,実施例8の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表24の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表24の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0129】
【表24】
【0130】
(実施例9)
図33は,実施例9の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図33において,撮像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,負のパワーを有する第1レンズL1,正のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,開口絞り(STOP),負のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5,負のパワーを有する第6レンズL6,からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,撮像レンズ系11は,IRカットフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0131】
表25に,実施例9の撮像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表25では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,d線に対するアッベ数Vd,及び25℃での波長588nmにおける屈折率の温度変化率dNd/dt(1/K)を提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0132】
【表25】
【0133】
表26に,実施例9の撮像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表26において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例1と同様の式にて表される。
【0134】
【表26】
【0135】
次に,収差について図面を用いて説明する。図34は,実施例9の撮像レンズ系における球面収差図である。図34において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図34は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0136】
図35は,実施例9の撮像レンズ系における像面湾曲図である。図35において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図35において,Sagはサジタル面における非点収差を示し,Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図35は,波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0137】
図36は,実施例9の撮像レンズ系における歪曲収差図である。図36において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
【0138】
図34に示すように,実施例1の撮像レンズ系11では,Fナンバが2.0である。また,半画角は,52度である。また,図34~36に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0139】
次に,レンズの特性値について説明する。表27に,実施例9の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表27の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表27の各種の焦点距離は,546nmの波長の光線を用いて計算した。
【0140】
【表27】
【0141】
(実施の形態2:撮像装置への適用例)
図37は,撮像装置21は,撮像レンズ系11と,撮像素子22と,を備える。撮像レンズ系11と,撮像素子22と,は筐体(不図示)に収容されている。撮像レンズ系11は,上述の実施の形態1に記載された撮像レンズ系11である。
【0142】
撮像素子22は,受光した光を電気信号に変換する素子であり,例えば,CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子22は,撮像レンズ系11の結像位置に配置されている。
【0143】
このように,実施の形態2の撮像装置によれば,自動運転における画像認識に必要なレベルで,収差を小さくし,温度変化による焦点位置の変化を抑制できる撮像装置を提供することができる。
【0144】
なお,本発明は上記実施例に限られたものではなく,趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば,実施例2は,実施例1~9に適用してもよい。例えば,本発明の撮像レンズ系の用途は,車載カメラや監視カメラに限定されるものではなく,携帯電話等の小型電子機器に搭載する等の他の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0145】
11 撮像レンズ系
12 IRカットフィルタ
21 撮像装置
22 撮像素子
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
STOP 絞り
IMG 結像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37