(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】製袋充填機
(51)【国際特許分類】
B65B 59/04 20060101AFI20240605BHJP
B65B 9/20 20120101ALN20240605BHJP
【FI】
B65B59/04
B65B9/20
(21)【出願番号】P 2020017150
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-12-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 A.展示会による発表 (1)展示会名 「JAPAN PACK 2019」(日本包装産業展) (2)展示年月日 2019年10月29日~11月1日 B.電気通信回線を通じた発表 (1)掲載年月日 2019年12月15日 (2)掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=R8GeWITQ9bM
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一生
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006969(JP,A)
【文献】特開2004-155463(JP,A)
【文献】特開2000-226007(JP,A)
【文献】特公平3-17691(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2003/0093971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/04
B65B 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるサイズの袋を製袋できる製袋充填機において、
シート状のフィルムを筒状に成形するフォーマ及び製袋チューブを有していて異なるサイズのものに交換可能なフォーマ部と、
前記製袋チューブに沿ってフィルムを処理する処理部材と、
前記処理部材を前記製袋チューブに接近させてフィルムを処理する処理位置及び前記製袋チューブから離間する退避位置の間を移動させる駆動部と、
前記処理部材を前記処理位置で位置決めして係止させると共に前記フォーマ部を固定するロック機構と、
を備え、
前記処理部材はフィルムを搬送する繰り出し部
を含み、
前記ロック機構は、前記繰り出し部に設けられた第一受け部と、前記フォーマ部に設けられ
前記第一受け部に係合する第一係合部とを有し、
前記処理部材はフィルムを加熱シールする縦シーラ
を含み、
前記ロック機構は、前記縦シーラに設けられた第二受け部と、前記フォーマ部に設けられ
前記第二受け部に係合する第二係合部とを有し、
前記第一係合部は交換可能な前記フォーマ部ごとに位置調整可能な第一の位置調整部材を備え、
前記第二係合部は交換可能な前記フォーマ部ごとに位置調整可能な第二の位置調整部材を備えた、
ことを特徴とする製袋充填機。
【請求項2】
前記ロック機構は前記繰り出し部に設けられた前記第一受け部と前記フォーマ部に設けられた前記第一係合部とを有している第一のロック機構
を含む請求項1に記載された製袋充填機。
【請求項3】
前記第一のロック機構は前記フォーマ部の上下方向位置と左右方向位置を係止できる請求項2に記載された製袋充填機。
【請求項4】
前記ロック機構は前記縦シーラに設けられた第二受け部と前記フォーマ部に設けられた前記第二係合部とを有している第二のロック機構
を含む請求項1から3のいずれか1項に記載された製袋充填機。
【請求項5】
前記第二のロック機構は前記フォーマ部の上下方向位置と前後方向位置を係止できる請求項4に記載された製袋充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフォーマ部を交換することでサイズの異なる袋を選択的に製袋できる縦型製袋充填機を含む製袋充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋充填機として、内容物を充填する袋のサイズを大小交換して製袋できるようにしたものが提案されている。この種の製袋充填機は袋の大きさを変更する場合、フィルムシートを筒状に成形するフォーマ及び製袋チューブもサイズの違うものに交換する必要があった。しかも、製袋チューブの交換に応じて、フィルムを搬送するフィルムの繰り出し部とフィルムを筒状にシールする縦シーラも位置調整する必要がある。
【0003】
このような袋のサイズ交換可能な製袋充填機として、例えば特許文献1に記載された製袋包装機が提案されている。この製袋包装機は、搬送機構によって搬送されるフィルムをチューブ状に成形するフォーマユニットと、搬送機構の駆動時にフォーマユニットを支持する駆動時支持ユニットと、フォーマユニットの交換時にフォーマユニットを支持する交換時支持ユニットと、を有している。交換時支持ユニットは、フォーマユニットを水平方向及び高さ方向に移動可能に支持することで作業性を向上できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された製袋包装機は、フォーマユニットの交換及び固定作業とは別に、フィルムを筒状にシールするシール部とフィルム繰り出し部の作業位置を袋のサイズ変更に合わせて変更しなければならなかった。製袋包装機において、このような作業をフォーマユニットの交換及び固定作業と別個に行うことは煩雑であり作業に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、袋のサイズ変更に応じたフォーマ部の交換作業と処理部材との位置決めを容易に行うことができる製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による製袋充填機は、異なるサイズの袋を製袋できる製袋充填機において、シート状のフィルムを筒状に成形するフォーマ及び製袋チューブを有していて異なるサイズのものに交換可能なフォーマ部と、製袋チューブに沿ってフィルムを処理する処理部材と、処理部材を製袋チューブに接近させてフィルムを処理する処理位置及び製袋チューブから離間させる退避位置の間を移動させる駆動部と、処理部材を処理位置で位置決めして係止させると共に前記フォーマ部を固定するロック機構と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、袋のサイズを交換する場合、駆動部によって処理部材を退避位置に移動させて、フォーマ及び製袋チューブを有するフォーマ部を異なるサイズのものに交換し、駆動部によって処理部材をフォーマ部に接近した処理位置に移動させてロック機構で処理部材とフォーマ部を係止させることで、フォーマ部と処理部材を互いに位置決めして固定できる。
【0008】
また、処理部材はフィルムを搬送する繰り出し部であり、ロック機構は繰り出し部とフォーマ部の一方に設けられた第一係合部と他方に設けられた第一受け部とを有している第一のロック機構であることが好ましい。
第一のロック機構の第一係合部と第一受け部を係合させることで、処理位置で繰り出し部とフォーマ部を互いに位置決めして固定できる。
【0009】
また、第一のロック機構はフォーマ部の上下方向位置と左右方向位置を係止できることが好ましい。
第一のロック機構によってフォーマ部を上下方向と水平方向の左右方向で係止して繰り出し部に固定できる。
【0010】
また、第一係合部は、製袋チューブに対して位置調整可能な第一の位置調整部材を有していてもよい。
フォーマ部のサイズの変更に応じて繰り出し部の位置を調整することで、サイズの異なる袋を製造するべくフィルムの搬送を行うことができる。
【0011】
また、処理部材はフィルムを加熱シールする縦シーラであり、ロック機構は縦シーラとフォーマ部の一方に設けられた第二係合部と他方に設けられた第二受け部とを有している第二のロック機構であることが好ましい。
第二のロック機構の第二係合部と第二受け部を係合させることで、処理位置でフォーマ部に対して縦シーラを位置決めして固定できる。
【0012】
また、第二のロック機構はフォーマ部の上下方向位置と前後方向位置を係止できることが好ましい。
第二のロック機構によってフォーマ部を上下方向と水平方向の前後方向で係止して縦シーラに固定できる。
また、第二係合部は、製袋チューブに対して位置調整可能な第二の位置調整部材を有していてもよい。
フォーマ部のサイズの変更に応じて縦シーラの位置を調整することで、サイズの異なる袋を製造するべくフィルムのシールを行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による製袋充填機によれば、処理部材を処理位置に移動することでロック機構によって袋サイズに応じたフォーマ部と処理部材の位置決め固定ができるので、交換作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による製袋充填機の概略構成を示す要部説明図である。
【
図2】縦型製袋充填機における繰り出しベルト及び縦シーラを処理位置でフォーマ部に固定した斜視図である。
【
図3】
図2において、縦シーラを退避位置に移動させた製袋充填機の斜視図である。
【
図5】フォーマ部に繰り出しベルトを装着可能位置に配置した平面図である。
【
図6】フォーマ部に繰り出しベルトを装着可能位置に配置した正面図である。
【
図7】繰り出しベルトをフォーマ部に取り付ける第一のロック機構を示す図である。
【
図9】縦シール部をフォーマ部に取り付ける第二のロック機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による製袋充填機1について添付図面により説明する。
図1に示す実施形態による製袋充填機1は、供給されるフィルムfを製袋して内容物を充填した袋Fを製造する例えば縦型製袋充填機2と、縦型製袋充填機2にフィルムfを供給するフィルム供給装置3とを備えている。本実施形態における縦型製袋充填機2は、サイズの異なる袋Fを製造できるように、フォーマ5及び製袋チューブ6を有するフォーマ部7を交換装着可能とされている。
縦型製袋充填機2は、内容物を製袋チューブ6に投入するホッパ4を備えると共に供給されるフィルムfを成形するフォーマ5と、フィルムfを筒状に成形する製袋チューブ6と、フィルムfを送り出す繰り出しベルト8と、を有している。製袋チューブ6の側部にはフィルムfの端部同士を重ね合わせた状態で縦シールする縦シーラ10が設置され、製袋チューブ6の下側にはフィルムfを横シールして袋Fを形成する横シーラ11が設置されている。
【0016】
フィルム供給装置3は、シート状のフィルムfを繰り出すフィルムリール13と、複数のガイドローラ14と、フォーマ5へフィルムを供給するタンジェントローラ15と、を備えている。タンジェントローラ15は、袋Fのサイズに応じて変更されるフォーマ5の大きさに応じてフォーマ5との間の距離を調整可能とされている。
【0017】
図2及び
図3は縦型製袋充填機2における製袋チューブ6の部分の要部構成を示すものであり、フォーマ部7と、フォーマ部7の下側に設けられた繰り出しベルト接離機構17と、その横側に設けられた縦シーラ接離機構18と、を備えている。これらの部材は縦型製袋充填機2の本体9に取り付けられている。また、
図2及び
図3に示すように、縦型製袋充填機2において互いに直交する水平方向をX方向(左右方向)、Y方向(前後方向)とし、上下方向をZ方向とする。
【0018】
次に縦型製袋充填機2における繰り出しベルト接離機構17及び縦シーラ接離機構18について具体的に説明する。
図4はフォーマ部7を示すものであり、製袋チューブ6の上部側に上部プレート20と下部プレート21が平行に配設されている。製袋チューブ6は下部プレート21の下方から開口21aを貫通して上方に延びており、その上端部が上部プレート20に固定されている。上部プレート20及び下部プレート21は水平方向両端部の支柱22によって互いに連結されている。上部プレート20の開口20aには袋Fの内容物を製袋チューブ6内に投入するためのホッパ4が設置されている。
上部プレート20と下部プレート21の間にはフォーマ5が装着され、フォーマ5の筒状をなす下部ガイド部5aは製袋チューブ6の外周面に装着されて下部プレート21にねじ等で固定されている。
【0019】
次に、繰り出しベルト接離機構17について説明する。
図5は上部プレート20の下側で製袋チューブ6を水平に切断した平面図を示すものである。
図5~
図7において、下部プレート21の開口21aの両側にはホルダ25がそれぞれ固定されている。ホルダ25の上部には長穴26aを形成した調整板26が設置され、長穴26aを通してボルト27がホルダ25に捩じ込まれている。
図7に示すように、各調整板26の外側端部にはアーム部26bを介して調整ローラ28がそれぞれ設けられている。
この調整ローラ28は後述する作動プレート30の第一凹部30aに係合することでフォーマ部7と繰り出しベルト8の位置を固定可能である。ボルト27を緩めて長穴26aを通して調整板26の位置を左右方向(X方向)にスライド調整することで調整ローラ28の水平方向位置を調整可能としている。
【0020】
図6において、製袋チューブ6の両側には、上下方向に延びる一対の作動プレート30が製袋チューブ6に接近離間する方向(X方向)にスライド可能に配設されている。各作動プレート30の表面にはそれぞれ繰り出しベルト8が対向して固定されている。各繰り出しベルト8は上下に配設されたプーリ31、32と、その外側に配設されていて駆動モータに連結された駆動プーリ33とを有し、プーリ31、32及び駆動プーリ33を無端状の作動ベルト34が巻回されている。そして、一対の作動プレート30の上端部には調整ローラ28に係合可能な第一凹部30aがそれぞれ形成されている。調整ローラ28と作動プレート30の第一凹部30aは第一のロック機構を構成する。
フォーマ部7の調整ローラ28と作動プレート30の第一凹部30aを係合させることで、フォーマ部7と作動プレート30を上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)に位置決めして係止できる。そのため、調整ローラ28の左右方向(X方向)の間隔を調整板26によって調整することで、製袋チューブ6を外径の異なるものに交換した場合に一対の繰り出しベルト8の間隔を適切に調整できる。調整ローラ28に対して作動プレート30を作動させて第一凹部30aを離間させることで、フォーマ部7を取り外して交換可能である。
【0021】
図5において、左側の作動プレート30に駆動シリンダ37のチューブが設置されている。駆動シリンダ37に設けられたピストンロッド38の先端部分は右側の作動プレート30に連結されている。ピストンロッド38が駆動シリンダ37のチューブを出入りすることで、駆動シリンダ37が伸縮し、左側と右側の作動プレート30の間隔が広がったり狭まったりする。一対の作動プレート30同士の間隔が狭まったり広がったりすることで製袋チューブ6に接近及び離間する方向に移動させることができる。
図8において、作動プレート30に対して繰り出しベルト8と反対側の面に固定されたスライドブロック29にシャフト35が挿通されている。作動プレート30の摺動はシャフト35にガイドされている。
【0022】
例えば
図5において、駆動シリンダ37を収縮させると、
図6に二点鎖線で示すように、一対の作動プレート30が製袋チューブ6に接近して繰り出しベルト8が製袋チューブ6上のフィルムfに接する。この状態で、繰り出しベルト8で製袋チューブ6上のフィルムfを吸着しながら移動させることができる。
また、駆動シリンダ37を伸張させると、実線で示すように、各作動プレート30及び繰り出しベルト8が製袋チューブ6から離間する。この状態で、フォーマ部7を繰り出しベルト8の隙間から取り出しできる。
【0023】
図5及び
図6に示すように、製袋チューブ6の長手方向においてフォーマ5と繰り出しベルト8の間に腕部40が設置され、この腕部40はその一端に設けた回転軸部41を中心に開閉可能とされている。腕部40は平面視略U字状に形成されたU字部40a内にフォーマ部7の製袋チューブ6が装着されることで、フォーマ部7を位置決めできる。腕部40を回転軸部41を中心に開放作動させた際に、フォーマ部7を一対の繰り出しベルト8の間を通して本体9の機外に移動させて取り外し、サイズの異なるものに交換可能としている。
【0024】
次に縦シーラ接離機構18について
図2及び
図3を中心に説明する。
図5及び
図9において、下部プレート21には固定ブロック43が固定され、この固定ブロック43に形成された水平方向のねじ穴43aにストッパー44の雄ねじ部44aが螺合されている。
図9において、雄ねじ部44aには固定ナット45が螺合されている。ストッパー44の固定ブロック43への捩じ込み量によってストッパー44の突出位置を調整可能である。ストッパー44の適宜の捩じ込み位置で固定ナット45を固定ブロック43に向けて締め込むことによってストッパー44を固定できる。
図2及び
図3において、縦シーラ10は一対の縦シールブロック10aが開閉機構47によって左右方向(X方向)に開閉可能に設けられている。各縦シールブロック10aを支持する支持アーム48はシャフト49に沿って開閉可能に支持されている。各支持アーム48は不図示の作動シリンダによってシャフト49に沿って開閉作動させられる。
【0025】
縦シーラ10の開閉機構47にはシャフト49に沿って上部支持プレート51と下部支持プレート52が上下二段に設けられている。上部支持プレート51及び下部支持プレート52は互いに連結されている。上部支持プレート51及び下部支持プレート52の一方の端部には、縦シーラ10及びその開閉機構47を製袋チューブ6に対して回動させて接近及び離間させる回転軸54が配設されている。
回転軸54は開閉機構47の上部支持プレート51及び下部支持プレート52を開閉可能に支持し、回転軸54はその上下の受け部53a、53bを介して連結板53に回転可能に支持されている。
【0026】
作動プレート30の側方には上下方向に起立する基板56が本体9に固定設置され、基板56の外側には作動ヘッド57が配設されている。作動ヘッド57と連結板53は基板56を貫通する一対のシャフト58によって連結されている。基板56の連結板53側の面にはシャフト58の相対摺動をガイドする筒状のスライダ60が上下方向に一対固定されている。
上下に配設されたスライダ60の中間には駆動シリンダ61が基板56に固定されている。駆動シリンダ61はピストンロッド62が基板56を貫通して作動ヘッド57に固定されている。
【0027】
図2に示すように、駆動シリンダ61が伸張しているため、縦シーラ10及び開閉機構47は製袋チューブ6に接近した処理位置にある。この位置で縦シーラ10は、製袋チューブ6に保持された合掌状態のフィルムfを加熱シール可能な状態にある。
また
図3に示すように、駆動シリンダ61が収縮しているため、ピストンロッド61により引き込まれた押された作動ヘッド57が基板56側に移動してシャフト58をスライダ60にガイドされて移動させ、連結板53を基板56から離間した退避位置に押動させる。連結板53が退避位置に後退すると、連結板53に保持された縦シーラ10及び開閉機構47も一体に製袋チューブ6から離間させられる。
【0028】
開閉機構47の上部支持プレート51上には、揺動板59が支軸63を中心に揺動可能に取り付けられ、揺動板59の一端には操作ハンドル64が設けられている。
図2及び
図9に示すように支軸63は上方に延びており、その上端部には上下に所定間隔を設けた円板状の係止プレート64a、64bが設けられている。
係止プレート64a、64b間の空間は、フォーマ部7の下部プレート21に設けたストッパー44の先端が係止可能な第二凹部65を形成している。係止プレート64a、64bを円板状に形成したことで、揺動板59及び支軸63の回転角度に関わらずストッパー44を第二凹部65に係合できる。ストッパー44と支軸63の第二凹部65は第二のロック機構を構成する。
【0029】
縦シーラ10及び開閉機構47が製袋チューブ6に近接した処理位置にあると、ストッパー44が支軸63の第二凹部65に係合され(
図2参照)、フォーマ部7を上下方向(Z方向)及び前後方向(Y方向)に係止できる。前後方向は作動プレート30のスライド方向(X方向)に直交する方向である。縦シーラ10及び開閉機構47が製袋チューブ6から離間した退避位置にあると、支軸63の第二凹部65がストッパー44から離間し(
図3参照)、フォーマ部7の交換が可能になる。
【0030】
本実施形態による製袋充填機1は上述の構成を有しており、次にその使用方法について説明する。
図1に示す製袋充填機1では、フィルム供給装置3のフィルムリール13から繰り出されるフィルムfを、タンジェントローラ15を介して縦型製袋充填機2に供給して製袋しながら内容物を充填して袋Fを順次製造する。縦型製袋充填機2において、フォーマ部7のフォーマ5から製袋チューブ6に供給されるフィルムfは筒状に成形され、製袋チューブ6上のフィルムfは繰り出しベルト8によって下方に間欠搬送される。
また、製袋チューブ6で円筒状に成形されたフィルムfは、停止状態で合掌状態の両端部を縦シーラ10で押圧して加熱シールされる。その後、製袋チューブ6の下側で横縦シーラ11によって袋Fの下端部が横シールされ、内容物の充填後に上端部の横シールとカッタによる切断が行われて袋Fが製造される。
【0031】
このような製袋充填機1における袋Fのサイズの変更に応じたフォーマ部7の交換方法について説明する。
図2において、袋サイズ変更のためにフォーマ部7を変更する際、縦シーラ接離機構18の駆動シリンダ61を収縮することでピストンロッド62が引き込まれて作動ヘッド57が基板56側に移動する。すると、
図3に示すように、2本のシャフト58がスライダ60にガイドされて連結板53を押して、縦シーラ10及びその開閉機構47を前後方向(Y方向)に移動させて製袋チューブ6から退避させる。これにより、支軸63の第二凹部65はフォーマ部7のストッパー44から離脱し、フォーマ部7の第二のロック機構を解除する。そして、作業者は回転軸54を中心に縦シーラ10及び開閉機構47を外側に開放作動することができる。
【0032】
次に、
図5及び
図6において、繰り出しベルト接離機構17の駆動シリンダ37を収縮状態から伸張状態にすることで、製袋チューブ6の左右に配設された一対の作動プレート30を左右方向(X方向)外側に離間させる。これにより、下部プレート21に固定された一対の調整ローラ28から作動プレート30の第一凹部30aが外側に離脱され、フォーマ部7の第一のロック機構を解除する。一対の作動プレート30が製袋チューブ6から離間することで、作動プレート30に固定された一対の繰り出しベルト8も製袋チューブ6から退避する(
図6参照)。
【0033】
この状態から、作業者が手動で腕部40を回転軸部41を中心に開くことで、腕部40のU字部40aで支持されたフォーマ部7を一対の繰り出しベルト8の間の空間を通して縦型製袋充填機2の機外に移動させることができる。
縦型製袋充填機2の機外では、袋サイズの変更に応じて、フォーマ部7をフォーマ5の寸法及び製袋チューブ6の外径寸法の異なるものに交換して腕部40のU字部40aに装着し固定する。
【0034】
また、下部プレート21に固定されたホルダ25において、ボルト27を緩めて長穴26aによって調整板26を左右方向(X方向)に位置調整することで、一対の調整ローラ28の左右方向の間隔を調整する。その後、ボルト27を締め込む。これにより、腕部40を回動してフォーマ部7を本体9に装着した状態で、作動プレート30に設けた繰り出しベルト8の間隔を、外径を変更した製袋チューブ6に非接触な離間距離に調整できる。
そして、駆動シリンダ37を収縮することで、作動プレート30を製袋チューブ6に接近する左右方向(X方向)に移動させて第一のロック機構である第一凹部30aを調整ローラ28にそれぞれ係合させる。この位置で、一対の繰り出しベルト8は製袋チューブ6上のフィルムfに接近される。
【0035】
また、縦シーラ接離機構18において、固定ブロック43のねじ穴43aに対するストッパー44の雄ねじ部44aの捩じ込み量を、製袋チューブ6の外径寸法の変化に応じて調整する。そして、雄ねじ部44aに固定ナット45を締め込むことでストッパー44の先端位置を固定する。これによって、縦シーラ10を、外径を変更した製袋チューブ6上を搬送される筒状フィルムfの合掌部に対する加熱シール可能な処理位置に移動するよう調整することができる。
【0036】
更に、作業者は手動で、縦シーラ10及び開閉機構47を回転軸54を中心に製袋チューブ6側に回動させる。そして、駆動シリンダ61を伸張させることで、押し出されるピストンロッド62を介して作動ヘッド57が基板56から離間する方向に移動する。これにより、摺動するシャフト58及び連結板53を介して縦シーラ10及び開閉機構47が前後方向(Y方向)に移動して製袋チューブ6の処理位置に保持され、フィルムfの合掌部を加熱シール可能な状態になる。この位置で第二のロック機構であるフォーマ部7のストッパー44は支軸63の第二凹部65と係合され、フォーマ部7及び縦シーラ10を上下方向及び前後方向(Y方向)に固定する。
また、タンジェントローラ15が作動位置に移動すると同時にフォーマ部7の位置を固定することができる。そして、縦型製袋充填機2は新たなサイズの袋Fを製造できる状態になる。
【0037】
上述したように本実施形態による製袋充填機1によれば、フォーマ部7を交換する際、第一のロック機構により、作動プレート30による繰り出しベルト8の位置決めと同時にフォーマ部7の上下方向(Z方向)と左右方向(X方向)の位置を固定できる。また、第二のロック機構により、縦シーラ10の位置決めと同時にフォーマ部7の上下方向(Z方向)と前後方向(Y方向)の位置を固定できる。そのため、繰り出しベルト8及び縦シーラ10を処理位置に装着すると同時にフォーマ部7の位置決め固定ができるので、交換作業が容易である。さらに第一のロック機構と第二のロック機構の3ヶ所でフォーマ部7の上下方向(Z方向)の位置を固定できるので、フォーマ部7の一部が浮くようなことがなく、確実にフォーマ部7の上下方向の位置を固定できる。
【0038】
また、袋サイズの変更に応じたサイズのフォーマ5及び製袋チューブ6を有するフォーマ部7を縦型製袋充填機2の機外で交換できる。しかも、フォーマ部7に設けた調整ローラ28を有する調整板26の調整によって、フォーマ部7のサイズに応じた繰り出しベルト8の位置を縦型製袋充填機2の機外で設定できる。また、フォーマ部7のストッパー44の固定ブロック43への捩じ込み量の調整によって、フォーマ部7のサイズに応じた縦シーラ10の位置を縦型製袋充填機2の機外で設定することができる。そのため、この点でもフォーマ部7の交換作業が容易になった。
【0039】
以上、本発明の実施形態による製袋充填機1について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0040】
上述した実施形態による製袋充填機1において、第一のロック機構としてフォーマ部7に調整ローラ28を、作動プレート30に第一凹部30aを設けたが、これとは逆にフォーマ部7に第一凹部30aを、作動プレート30に調整ローラ28及び調整板26を設けてもよい。なお、調整ローラ28は第一係合部に、第一凹部30aは第一受け部に含まれる。
同様に、第二のロック機構として縦シーラ10の開閉機構47に第二凹部65を、フォーマ部7にストッパー44を設けたが、これとは逆に開閉機構47にストッパー44を、フォーマ部7に第二凹部65を設けてもよい。なお、ストッパー44は第二係合部に、第二凹部65は第二受け部に含まれる。
【0041】
また、製袋チューブ6に接近して作動可能な処理位置と製袋チューブ6から離間させる退避位置との間で、繰り出しベルト8を作動させる駆動シリンダ37と、縦シーラ10を同様に作動させる駆動シリンダ61はそれぞれ駆動部に含まれる。
また、長穴26aを有する調整板26は第一の位置調整部材に含まれ、ストッパー44の雄ねじ部44a及びホルダ25は第二の位置調整部材に含まれる。
また、繰り出しベルト8及び縦シーラ10は処理部材に含まれる。
上述した実施形態では、製袋充填機1の縦型製袋充填機2について説明したが、本発明は横型製袋充填機にも採用することもできる。この場合、縦シーラ10は横縦シーラとすることができ、これらは縦シーラに含まれる。また、繰り出しベルト8は繰り出し部に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 製袋充填機
2 縦型製袋充填機
5 フォーマ
6 製袋チューブ
7 フォーマ部
8 繰り出しベルト
10 縦シーラ
17 繰り出しベルト接離機構
18 縦シーラ接離機構
26 調整板
28 調整ローラ
30 作動プレート
30a 第一凹部
35、58 シャフト
37、61 駆動シリンダ
40 腕部
40a U字部
41 回転軸部
44 ストッパー
53 連結板
54 回転軸
56 基板
57 作動ヘッド
63 支軸
65 第二凹部
f フィルム
F 袋