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  • 特許-配達管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】配達管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240605BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
G06Q10/08
A47G29/122 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020036549
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021140381
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣内 宏樹
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175167(JP,A)
【文献】特表2020-504853(JP,A)
【文献】特開2019-061474(JP,A)
【文献】国際公開第2006/027867(WO,A1)
【文献】特開2019-210607(JP,A)
【文献】特開2019-036266(JP,A)
【文献】特開2016-137963(JP,A)
【文献】特開2019-016190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47G 29/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達物を一時的に保管するための宅配ボックスと、前記配達物を配達する配達員により携帯される携帯情報端末と、前記携帯情報端末と通信可能な管理サーバとを含む配達管理システムであって、
前記宅配ボックスの存在を示す信号であって、識別子を示す近距離無線通信による信号を前記携帯情報端末に向けて送信する発信機を備え、
前記携帯情報端末は、前記発信機からの前記信号を受信したことを前記配達員に報知すると共に、前記宅配ボックスへの前記配達物の保管が完了したことを示す前記配達員による配達完了操作に応じて、前記発信機の前記識別子前記配達物の配達完了情報および前記配達物の伝票番号を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記携帯情報端末から受信した前記発信機の前記識別子を前記携帯情報端末から受信した前記伝票番号に対応する受取人に紐づけて登録する配達管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配達管理システムにおいて、
前記携帯情報端末は、前記宅配ボックスの位置情報を取得するGPSを含む配達管理システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配達員により配達される配達物を一時的に保管するための宅配ボックス、配達管理プログラムおよび配達管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配達物である荷物の出し入れ口となる開口を有する箱体と、当該箱体の開口を開閉する扉と、当該扉の施錠および開錠を行う電気錠と、当該電気錠を制御する制御部と、予め登録されているユーザの携帯端末との間で双方向に通信して情報を送受信する無線通信部と、情報を記憶する記憶部とを含む宅配ボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。この宅配ボックスの記憶部は、ユーザを特定するための認証データと、荷物の出し入れに関する情報とを記憶可能である。また、制御部は、ユーザの開錠操作に応じて、当該ユーザに宅配ボックスの使用が許諾されているか否かの認証を行い、宅配ボックスの使用が許諾されている場合、電気錠を開錠させる。更に、制御部は、開錠および施錠が行われたときに、ユーザが荷受人であるか配達員であるかに応じて当該ユーザの携帯端末に異なる情報を送信するように無線通信部を制御する。これにより、荷受人と配達員との各々に有用な情報が提供され、宅配ボックスの利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-210607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような宅配ボックスは、電力供給や防犯面等の点から設置箇所に制約を受け、配達員から目立ちにくい場所に設置されることがある。また、宅配ボックスには、美観の向上や景観との調和を図るために、外観を目立ちにくくすることも求められる。このため、住宅等に宅配ボックスが設置されていても、配達物の配達員が当該宅配ボックスを見つけられず、宅配ボックスが有効に利用されないことも多い。
【0005】
そこで、本開示は、宅配ボックスの利用を促進させ、配達物の受け取りの遅れや再配達を減らすことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の宅配ボックスは、配達員により配達される配達物を一時的に保管するための宅配ボックスにおいて、前記配達員により携帯される携帯情報端末に向けて、前記宅配ボックスの存在を示す近距離無線通信による信号を送信する発信機を含むものである。
【0007】
本開示の宅配ボックスの発信機から送信される信号が携帯情報端末により受信されることで、配達物の配達員は、当該宅配ボックスが近くに存在していると認識することができる。これにより、配達物の受取人が不在である場合に、宅配ボックスがわかりにくい場所に設置されていたり、目立ちにくい外観を有するものであったりしたとしても、配達員に宅配ボックスを見つけるように促すことができる。この結果、宅配ボックスの利用を促進させ、配達物の受け取りの遅れや再配達を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の宅配ボックスを含む宅配管理システムを示す概略構成図である。
図2】本開示の宅配管理プログラムがインストールされた携帯情報端末において実行されるルーチンを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示の宅配ボックス1を含む配達管理システム30を示す概略構成図である。同図に示す配達管理システム30は、少なくとも1つの宅配ボックス1に加えて、配達物を配達する配達員により携帯される少なくとも1つの携帯情報端末10と、管理サーバ20とかを含む。宅配ボックス1は、例えば戸建て住宅の玄関先等に設置され、配達員により配達される配達物を一時的に保管するのに用いられる。ただし、宅配ボックス1は、集合住宅の玄関ロビーや、公共施設、コンビニエンスストア等に設置されてもよい。また、集合住宅等には、縦横に配列された複数の宅配ボックス1を含むストッカシステムが設置されてもよい。
【0011】
図示するように、宅配ボックス1は、配達物を出し入れするための開口を有するボックス本体(筐体)2と、図示しないヒンジを介してボックス本体2に連結されて当該ボックス本体2の開口を開閉する扉3とを含む。また、宅配ボックス1は、扉3を施錠するための図示しない施錠機構(例えば、電気錠)と、施錠機構を操作するための操作部4とを含む。本実施形態において、操作部4は、扉3上に配置されているが、操作部4は、ボックス本体2に配置されてもよく、宅配ボックス1から分離されていてもよい。
【0012】
更に、宅配ボックス1は、近距離無線通信による信号を発信する発信機5および当該発信機5に電力を供給する太陽電池(太陽光発電装置)6とを含む。本実施形態において、発信機5は、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))ビーコンであり、太陽電池6からの電力により駆動されて宅配ボックス1の存在(設置)を示す信号(以下、「ボックス存在信号」という。)を常時発信する。また、本実施形態において、ボックス存在信号は、当該発信機5の識別子であるUUID(Universally Unique Identifier)を示すものとされ、発信機5からのボックス存在信号の到達距離は、例えば3~5メートル程度に定められる。更に、発信機5および太陽電池6は、防水ケース7内に収容されてユニット化されており、太陽電池6が受光可能となるように扉3に設置される。ただし、発信機5および太陽電池6は、ボックス本体2に設置されてもよく、宅配ボックス1とは別体の発信機5(あるいは発信機5および電源を含むユニット)が当該宅配ボックス1の近傍に設置されてもよい。
【0013】
携帯情報端末10は、配達員が携帯(所持)するスマートフォンまたは通信可能なタブレット、あるいは宅配事業者から配達員に支給される専用端末であって、宅配ボックス1の発信機5からのボックス存在信号を受信可能なものである。また、携帯情報端末10は、現在位置を取得可能なGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を搭載すると共に、計時機能を有する。そして、携帯情報端末10には、本開示の配達管理プログラムとしての配達管理アプリケーションがインストールされている。
【0014】
管理サーバ20は、配達物の配達状況や宅配ボックス1の使用状況等を管理するために宅配事業者等により設置されたものであって、CPU,ROM,RAM、入出力装置、各種情報を記憶する記憶装置等(何れも図示省略)を含むコンピュータである。管理サーバ20は、インターネット等のネットワークを介して携帯情報端末10と通信可能である。
【0015】
続いて、図2を参照しながら、配達管理アプリケーションがインストールされた携帯情報端末10の動作について説明する。
【0016】
配達物を配達する配達員は、配達作業中、携帯情報端末10にインストールされた配達管理アプリケーションを起動させると共にGPSを作動させておく。配達管理アプリケーションが起動されると、携帯情報端末10は、宅配ボックス1の発信機5から送信されているボックス存在信号を受信したか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS100)。携帯情報端末10は、ボックス存在信号を受信していないと判定する間(ステップS110:NO)、予め定められた微小時間おきにステップS100の判定処理を実行する。
【0017】
また、配達員が配達先となる住宅等に設置された宅配ボックス1にある程度接近すると、当該宅配ボックス1の発信機5から送信されているボックス存在信号が携帯情報端末10により受信される。宅配ボックス1の発信機5からボックス存在信号を受信したと判定すると(ステップS110:YES)、携帯情報端末10は、例えばディスプレイ上に表示される「宅配ボックスがあります。」といったメッセージや、音声および/またはバイブレーションにより当該ボックス存在信号を受信したことを配達員に報知する(ステップS120)。これにより、配達物の受取人が不在である場合に、配達員に宅配ボックス1を見つけるように促すことができる。
【0018】
また、ステップS110の処理の後、携帯情報端末10は、宅配ボックス1の発信機5のUUIDをボックス存在信号から取得してRAM等に格納すると共に、計時を開始する(ステップS130)。更に、携帯情報端末10は、配達員により配達物の受取人への受け渡しまたは宅配ボックス1への保管が完了したことを示す配達員による携帯情報端末10への配達完了操作がなされたか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS140)。携帯情報端末10は、配達完了操作がなされていないと判定する間(ステップS150:NO)、予め定められた微小時間おきにステップS140の判定処理を実行する。
【0019】
本実施形態において、携帯情報端末10は、配達物の受取人への受け渡し後または宅配ボックス1への保管の完了後に、配達員により携帯情報端末10のディスプレイ上に表示される配達完了ボタンがタッチされ、更に、ディスプレイ上で受取人への受け渡しまたは宅配ボックス1への保管の何れかが選択されると、配達完了操作がなされたと判定する(ステップS150:YES)。配達員により配達完了操作がなされた判定した場合、携帯情報端末10は、計時を停止させる(ステップS160)。この時点で得られる計時時間は、ボックス存在信号の受信開始から配達物の配達(受け渡し、または宅配ボックス1への保管)が完了するまでの時間を示す。
【0020】
ステップS160にて計時を停止させた後、携帯情報端末10は、GPSにより取得された現在位置すなわち宅配ボックス1の位置情報を取得する(ステップS170)。続いて、携帯情報端末10は、ステップS130にて取得した発信機5のUUIDと、配達物の受け渡しまたは保管に際して配達員により図示しないバーコードリーダー等を介して伝票から読み取られて携帯情報端末10に入力されている伝票番号と、上記計時時間と、宅配ボックス1の位置情報と、配達物の配達完了および配達形態すなわち受取人への受け渡しまたは宅配ボックス1への保管を示す配達完了情報とを管理サーバ20に送信する(ステップS180)。そして、携帯情報端末10は、配達管理アプリケーションが起動されている場合(ステップS190:NO)、再度ステップS100以降の処理を実行し、配達管理アプリケーションが終了させられると(ステップS190:YES)、上述の一連の処理を終了させる。
【0021】
上記ステップS180にて携帯情報端末10から送信された情報を受信した管理サーバ20は、携帯情報端末10からのUUIDや伝票番号、配達完了情報等に基づいて、該当する配達物の配達状況を示す情報や宅配ボックス1の使用状況を示す情報を更新する。また、配達物が宅配ボックス1に保管された場合であって、管理サーバ20に上記UUIDや伝票番号に対応した受取人のメールアドレス等が登録されている場合、当該管理サーバ20は、当該受取人に対してリマインダを送信する。更に、伝票番号等に対応した受取人が宅配ボックス1を設置していることが管理サーバ20に登録されていない場合、当該管理サーバ20は、伝票番号に対応した住所や携帯情報端末10からのUUIDおよび位置情報等を受取人に紐付けて登録(記憶)する。
【0022】
上述のように、宅配ボックス1によれば、発信機5から送信されるボックス存在信号が配達員の携帯情報端末10により受信されることで、配達員は、当該宅配ボックス1が近くに存在していると認識することができる。これにより、配達物の受取人が不在である場合に、宅配ボックス1がわかりにくい場所に設置されていたり、目立ちにくい外観を有するものであったりしたとしても、配達員に宅配ボックス1を見つけるように促すことができる。この結果、宅配ボックス1の利用を促進させ、配達物の受け取りの遅れや再配達を減らすことが可能となる。
【0023】
また、宅配ボックス1の発信機5として、BLEビーコンを用いることで、当該発信機5の搭載に伴う宅配ボックス1の消費電力の増加を極めて良好に抑制することが可能となる。ただし、発信機5における近距離無線通信方式は、Bluetooth(登録商標)に限られるものではなく、例えばWIFIや赤外線通信といった他の方式であってもよい。
【0024】
更に、宅配ボックス1は、発信機5に電力を供給する電源として、太陽電池6を含む。これにより、電池交換の手間を減らしつつ、発信機5から宅配ボックス1の存在を示すボックス存在信号を常時発信させることができる。加えて、発信機5と太陽電池6とをユニット化することで、既設の宅配ボックスに、その存在を示すボックス存在信号を送信する発信機5を追加することも可能となる。ただし、発信機5の電源は、太陽電池6に限られるものではなく、ボタン電池や乾電池、二次電池、家庭用電源に接続された電力・電圧変換装置等であってもよい。
【0025】
また、発信機5から送信されるボックス存在信号は、当該発信機5のUUID(識別子)を示すものである。これにより、発信機5のUUIDに基づいて宅配ボックス1すなわち受取人を識別することが可能となるので、当該UUIDに宅配ボックス1の情報を紐付けることで、配達物の配達状況や宅配ボックス1の使用状況を効率よく管理することが可能となる。
【0026】
更に、配達管理アプリケーションは、管理サーバ20と通信可能であって配達物を配達する配達員により携帯される携帯情報端末10に、配達物を一時的に保管するための宅配ボックス1の存在を示す信号として発信機5から送信される信号であって、当該発信機5のUUID(識別子)を示す近距離無線通信による信号を受信した否かを判定する受信判定手順(ステップS100,S110)と、発信機5からの信号を受信したことを配達員に報知する報知手順(ステップS120)と、宅配ボックス1への配達物の保管が完了したことを示す配達員による配達完了操作に応じて、発信機5のUUIDや配達物の配達完了情報等を管理サーバ20に送信する情報送信手順(ステップS130-S180)とを実行させるものである。これにより、配達員に宅配ボックス1を見つけるように促して宅配ボックス1の利用を促進させ、配達物の受け取りの遅れや再配達を減らすと共に、配達物の配達状況や宅配ボックス1の使用状況を効率よく管理することが可能となる。
【0027】
また、配達管理アプリケーションは、GPSを含む携帯情報端末10に、宅配ボックス1の位置情報を取得する位置情報取得手順(ステップS170)を実行させる。これにより、携帯情報端末10により取得された宅配ボックス1の位置情報(設置情報)を管理サーバ20に蓄積していくことができる。この結果、配達管理システム30をドローンやロボットを用いた配達物の配達にも対応させることが可能となる。
【0028】
なお、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本開示の発明は、宅配ボックスの製造産業や宅配業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 宅配ボックス、2 ボックス本体、3 扉、4 操作部、5 発信機、6 太陽電池、7 防水ケース、10 携帯情報端末、20 管理サーバ、30 配達管理システム。
図1
図2