(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】映像処理装置、テレビ受信機、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/4402 20110101AFI20240605BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20240605BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240605BHJP
H04N 5/57 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H04N21/4402
H04N21/431
H04N5/66 A
H04N5/57
(21)【出願番号】P 2020065771
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】下田 裕紀
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157838(WO,A1)
【文献】特開2020-025241(JP,A)
【文献】特開2021-150765(JP,A)
【文献】高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン,ARIB TR-B43 1.2版,日本,2019年07月30日,pp.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 5/66
H04N 5/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信部が受信したテレビ放送における番組の映像の輝度情報を取得する輝度情報取得部と、
前記番組の映像方式を、前記輝度情報に基づいて判定する判定部と、
前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を行う補正部と、を備え、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記補正部は、前記判定部が、前記番組が前記第2映像方式であると判定した場合、前記ゲイン補正処理を実行する、
映像処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下である場合に、前記番組が前記第2映像方式であると判定する請求項1記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記変換前映像において、基準白に対応する信号レベルが第1レベルであり、
前記第2映像方式において、前記基準白に対応する信号レベルが前記第1レベルよりも低い第2レベルであり、
前記補正部は、前記
ゲイン補正処理において、前記第2レベルに対する前記第1レベルの割合の値を補正係数として、ガンマカーブの値に乗算する、
請求項1または2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記変換前映像のダイナミックレンジは、SDRであり、
前記第2映像方式は、HLG方式であり、
前記第1レベルは、100%であり、
前記第2レベルは、75%である、
請求項3に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記番組の映像方式を、前記番組のジャンルと前記輝度情報に基づいて判定する請求項1または2記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記番組の映像方式を、現在の時刻と前記輝度情報に基づいて判定する請求項1または2記載の映像処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の映像処理装置と、
前記受信部と、
前記表示部と、を備える、
テレビ受信機。
【請求項8】
コンピュータシステムに、輝度情報取得処理と、判定処理と、ゲイン補正処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記輝度情報取得処理では、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像の輝度情報を取得し、
前記判定処理では、前記番組の映像方式を、前記輝度情報に基づいて判定し、
前記ゲイン補正処理では、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させ、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記ゲイン補正処理は、前記判定処理で、前記番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理装置、テレビ受信機、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送局におけるスタジオ番組制作や番組送出において、HDR(High Dynamic Range)映像を扱う場合の標準的な運用ガイドラインを規定するために、「ARIB TR-B43:高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン」(非特許文献1)が策定されている。ARIB TR-B43には、SDR(Standard Dynamic Range)信号をHLG(Hybrid Log-Gamma)信号にマッピングする場合は、100%のSDR信号を75%HLG信号レベルに割り当てることが規定されている(ARIB TR-B43 第2章 2.3「SDR信号からHLG信号へのマッピングにおける基準レベル」の項を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン」、一般社団法人電波産業会、ARIB TR-B43 1.2版、2019年07月30日改定
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載された規定に基づいてSDR映像から変換されたHDR映像の75%の輝度レベルは、変換前のSDR映像の100%の輝度レベルが割り当てられている。したがって、変換されたHDR映像を表示する場合、変換前のSDR映像よりも、暗く表示される場合がある。例えば、SDR映像とHDR映像のそれぞれの100%の輝度レベルを同じ明るさで表示する表示装置に、変換されたHDR映像を表示させると、変化前のSDR映像を表示させる場合よりも、画像が暗く表示されるおそれがある。
【0005】
上述した課題に鑑み、本開示の主な目的は、番組が暗く表示されることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る映像処理装置は、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像の輝度情報を取得する輝度情報取得部と、前記番組の映像方式を、前記輝度情報に基づいて判定する判定部と、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を行う補正部と、を備える。前記映像方式は、第1解像度である第1映像方式と、前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、前記補正部は、前記判定部が、前記番組が前記第2映像方式であると判定した場合、前記ゲイン補正処理を実行する。
【0007】
本開示の一態様に係るテレビ受信機は、前記映像処理装置と、前記受信部と、前記表示部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、輝度情報取得処理と、判定処理と、ゲイン補正処理と、を実行させる。前記輝度情報取得処理では、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像の輝度情報を取得し、前記判定処理では、前記番組の映像方式を、前記輝度情報に基づいて判定し、前記ゲイン補正処理では、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させる。前記映像方式は、第1解像度である第1映像方式と、前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含む。前記ゲイン補正処理は、前記判定処理で、前記番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る映像処理装置を含むテレビ受信機のブロック図である。
【
図3】映像方式がピュア4K方式である映像の輝度のヒストグラムの一例である。
【
図4】映像方式が変換HLG方式である映像の輝度のヒストグラムの一例である。
【
図5】第1の実施の形態に係る映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態に係る映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【
図7】第3の実施の形態に係る映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施の形態は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施の形態に限定されない。この実施の形態以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る映像処理装置1、テレビ受信機10、及びプログラムについて、
図1を参照して説明する。
【0012】
図1は、第1の実施の形態に係る映像処理装置を含むテレビ受信機のブロック図である。
【0013】
本実施形態のテレビ受信機10は、受信したテレビ放送の番組を表示するように構成されている。テレビ受信機10は、映像処理装置1と、受信部2と、表示部3と、スピーカ4と、を備えている。
【0014】
表示部3は、例えば液晶ディスプレイである。表示部3は、映像処理装置1から出力された映像制御信号に基づいて、番組の映像を表示する。
【0015】
スピーカ4は、映像処理装置1から出力された音声制御信号に基づいて、番組の音声を出力する。
【0016】
受信部2は、放送事業者によって配信されたテレビ放送の番組を受信するように構成されている。受信部2は、チューナー21を備えている。チューナー21は、無線又は有線により、テレビ放送を受信する。テレビ放送の受信に無線を利用する場合、チューナー21のアンテナ入力端子には、例えば、アンテナケーブルを介して無線アンテナが接続される。テレビ放送の受信に有線を利用する場合、チューナー21のアンテナ入力端子には、例えば、アンテナケーブルを介して、有線通信(例えば光ファイバーを用いた光通信)の終端装置が接続される。
【0017】
テレビ放送には、地上波放送(地上デジタルテレビ放送)と衛星放送とがある。衛星放送には、BS(Broadcasting Satellites)放送、CS(Communication Satellites)放送、新4K8K衛星放送、等がある。チューナー21は、地上波放送と衛星放送との一方のみに対応している場合がある。また、チューナー21は、衛星放送のうち、BS/CS放送と4K8K衛星放送との一方のみに対応している場合がある。本実施形態では、チューナー21は、新4K8K衛星放送に対応しており、新4K8K衛星放送(テレビ放送)を受信する。なお、受信部2は、地上波放送に対応した地上デジタルチューナー、及びBS/CS放送に対応したBS/CSチューナーを含む、複数のチューナーを備えていてもよい。
【0018】
ここで、新4K8K衛星放送で配信される、解像度が4K(3840×2160、第1解像度)の番組(以降、4K番組ともいう)には、映像方式が、ピュア4K方式(第1映像方式)である番組と、変換HLG(Hybrid Log-Gamma)方式(第2映像方式)である番組とが混在している。
【0019】
映像方式がピュア4K方式である映像(以降、ピュア4K映像ともいう)は、4Kカメラ等の設備を用いて生成された映像であって、生成された時点で解像度が4Kである。また、ピュア4K映像には、ダイナミックレンジがHLG方式のHDR(High Dynamic Range、第1範囲)である映像(HDRピュア4K映像ともいう)と、ダイナミックレンジがHDRよりも狭いSDR(Standard Dynamic Range、第2範囲)である映像(SDRピュア4K映像ともいう)とが混在している。
【0020】
一方、映像方式が変換HLG方式である映像(以降、変換HLG映像ともいう)は、解像度が4Kよりも低い2K(1920×1080、第2解像度)である2K映像(変換前映像)を、ダイナミックレンジ及び解像度を拡大変換(アップコンバート)した映像である。2K映像は、解像度が2K、ダイナミックレンジがSDRであるのに対し、変換HLG映像は、解像度が4K、ダイナミックレンジがHLG方式のHDRである。
【0021】
「ARIB TR-B43(1.2版):高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン」において、「SDR信号をHLG信号にマッピングする場合は、100%のSDR信号を75%HLG信号レベルに割り当てる。」と規定されている。つまり、2K映像(SDR信号)の信号レベル100%が、HLG映像(HLG信号)の信号レベル75%に相当する。例えば、2K映像では、基準白に対応する信号レベルが100%(第1レベル)であるのに対して、変換HLG映像では、基準白に対応する信号レベルが100%よりも低い75%(第2レベル)である。基準白とは、所定の運用条件下において照明された輝度率100%の均等拡散反射面を撮像した際の信号レベルである。また、「%HLG」とは、HLGシステムの光-電気伝達関数(OETF:Optical Electro Transfer Function)により[0:1]に正規化された映像信号レベルの百分率表記である。
【0022】
テレビ放送には、複数の周波数帯域(チャンネル)が割り当てられている。複数の放送事業者の各々は、自身に割り当てられたチャンネルを利用して番組の配信を行う。つまり、テレビ放送には、複数の番組が含まれている。チューナー21は、複数のチャンネルのうち選択されたいずれか1つのチャンネルに基づいて、テレビ放送に対して信号処理(例えば、信号抽出、信号増幅、復号化等)を行うことにより、選択されたチャンネルに対応するデータを映像処理装置1に出力する。
【0023】
受信部2から映像処理装置1に出力されるデータには、選択されたチャンネルに対応する番組の映像信号、音声信号等が含まれている。映像信号の信号レベルは、画素ごとの輝度レベル、及び色情報などを示している。映像処理装置1は、映像信号に基づいて、表示部3に番組(映像)を表示させる。なお、映像処理装置1の詳細な構成については後述する。本開示において、「受信部2が受信したテレビ放送における番組」とは、テレビ放送に含まれる複数の番組のうち、表示部3に表示させるために選択されたチャンネルに対応する番組である。以降の説明では、「受信部2が受信したテレビ放送における番組」を「表示番組」という場合がある。
【0024】
また、テレビ放送には、番組情報が付加されている。番組情報は、例えばSI(Service Information)である。番組情報は、所定期間(例えば8日間)における各番組に対応した情報である。番組情報には、例えば、番組名(タイトル、及びサブタイトル)、放送日時、番組内容、番組属性等を示す情報が含まれている。番組内容とは、例えば、番組の説明、番組のジャンルを示すジャンル情報(例えば、映画、スポーツ、アニメ、ニュースなど)、出演者等を示す情報である。番組属性とは、例えば、番組の解像度、アスペクト比、フレームレート、音声モード、映像方式、字幕の有無等を示す情報である。また、番組情報には、番組の放送事業者を示す事業者情報が含まれている。
【0025】
受信部2から映像処理装置1に出力されるデータには、選択されたチャンネルに対応する放送事業者の番組情報が含まれている。この番組情報は、例えば不揮発性のメモリに記憶される。
【0026】
映像処理装置1は、受信部2(チューナー21)からのデータに基づいて、表示部3を制御することによりに映像(番組)を表示させる。映像処理装置1は、分離部11、表示制御部12、音声制御部13、輝度情報取得部14、番組表生成部15、判定部16、及び補正部17を備えている。映像処理装置1は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、映像処理装置1は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、分離部11、表示制御部12、音声制御部13、輝度情報取得部14、番組表生成部15、判定部16、及び補正部17として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、分離部11、表示制御部12、音声制御部13、輝度情報取得部14、番組表生成部15、判定部16、及び補正部17は、複数のマイクロコンピュータで実現されていてもよい。
【0027】
分離部11は、受信部2の出力データから、映像データ、音声データ、及び番組情報を分離する。分離部11は、映像データを表示制御部12及び輝度情報取得部14に出力し、音声データを音声制御部13に出力し、番組情報を番組表生成部15に出力する。
【0028】
表示制御部12は、映像データに基づいて生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示させる。ここで、本実施形態の映像データには、番組の映像の各画素の輝度を示す輝度データ(輝度値)(Y)と、色差データ(Cb,Cr)とが含まれている。表示制御部12は、映像データに含まれる輝度データに対して、ガンマカーブを用いて補正(ガンマ補正)することにより表示制御信号を生成する。具体的には、表示制御部12は、映像データのダイナミックレンジがHLG方式のHDRである場合、HLGガンマカーブを用いてガンマ補正を行う。また、表示制御部12は、映像データのダイナミックレンジがSDRである場合、SDRガンマカーブを用いてガンマ補正を行う。なお、映像データは、RGBの色データを含む構成であってもよく、この場合でもRGBの色データから輝度データの算出が可能である。
【0029】
音声制御部13は、音声データに基づいて生成した音声制御信号をスピーカ4に出力することにより、番組の音声をスピーカ4から出力させる。
【0030】
輝度情報取得部14は、分離部11からの映像データから番組の映像の各画素の輝度値を示す輝度情報を取得する。例えば、輝度情報取得部14は、映像データに含まれる番組の映像の各画素の輝度を示す輝度データ(Y)を輝度情報として取得する。また、輝度情報取得部14は、所定の時間長の映像データに含まれる番組の映像の各画素の輝度を示す輝度データから輝度のヒストグラム(輝度値の分布)を生成し、生成したヒストグラムを輝度情報としてもよい。輝度情報取得部14は、輝度情報を判定部16に出力する。
【0031】
番組表生成部15は、番組情報に基づいて、電子番組表(EPG:Electronic Programming Guide)を生成する。番組表生成部15は、チャンネル(放送事業者)ごとに番組を時系列で並べることにより電子番組表を生成する。電子番組表において、各番組に対応する欄(番組欄)には、少なくとも番組名が記載される。番組表生成部15が生成した電子番組表は、例えば不揮発性のメモリに記憶される。また、電子番組表は、表示部3に表示され、放送中及び放送予定の番組の検索等に用いられる。また、電子番組表は、各番組のジャンル(例えば、映画、スポーツ、アニメ、ニュースなど)を示すジャンル情報を含む。
【0032】
また、番組欄には、番組の番組属性に応じてロゴが記載される場合がある。番組属性には、ロゴに対応した項目(ロゴ項目)が含まれている。例えば、番組属性には、ロゴ項目として、字幕の有無を示す項目が含まれている。番組表生成部15は、番組属性に「字幕あり」という情報を含まれている場合、番組欄に「字」というロゴを表記する。また、番組属性には、ロゴ項目として、映像方式を示す項目が含まれている。番組表生成部15は、番組属性に「映像方式がピュア4Kである」という情報が含まれている場合、番組欄に「4K」というロゴを表記する。また、番組表生成部15は、番組属性に「HDRピュア4K映像である」という情報が含まれている場合、番組欄に「HDR」というロゴを表記する。ロゴ項目は、上記以外にもあり、例えば「二ヶ国語放送である」、「5.1chサラウンド放送である」、「再放送である」等という項目があり、該当する場合それぞれに対応したロゴが番組欄に記載される。
【0033】
なお、番組情報がテキストデータ形式で送信され、番組表生成部15は、テキストデータを番組欄に表記してもよい。この場合、ロゴは、例えば区点コードで送信されてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、番組表生成部15は、テレビ放送に含まれる番組情報に基づいて電子番組表を生成しているが、これに限らない。例えば、番組表生成部15は、サーバから取得した番組情報に基づいて電子番組表を生成してもよい。この場合、テレビ受信機10は、インターネット回線に接続可能な通信部(例えば、通信インターフェイス)を備えている。サーバは、各テレビ放送の各放送事業者の番組情報を記憶している。番組表生成部15は、通信部及びインターネット回線を介して、サーバから番組情報を取得して各テレビ放送の電子番組表を生成する。また、番組表生成部15は、テレビ放送またはサーバ等から取得した番組情報を単に判定部16に出力してもよい。
【0035】
判定部16は、受信部2が受信したテレビ放送における番組(表示番組)の映像方式を、表示番組の輝度情報に基づいて判定する判定処理を行う。具体的には、判定部16は、輝度情報取得部14からの輝度情報に基づいて、表示番組の映像方式が変換HLG方式(第2映像方式)であるか否かを判定する。具体的には、例えば、判定部16は、輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下であるか否かに基づいて、表示番組の映像方式が変換HLG方式(第2映像方式)であるか否かを判定する。例えば、判定部16は、輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下である場合、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定する。例えば、判定部16は、輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下でない場合、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(ない(すなわち、ピュア4K方式)と判定する。
【0036】
また、判定部16は、表示番組のジャンルと表示番組の輝度情報に基づいて、受信部2が受信したテレビ放送における番組(表示番組)の映像方式を判定してもよい。また、判定部16は、現在の時刻と表示番組の輝度情報に基づいて、受信部2が受信したテレビ放送における番組(表示番組)の映像方式を判定してもよい。
【0037】
ここで、ピュア4K方式であるピュア4K映像の輝度値と変換HLG方式である変換HLG映像の輝度値について
図2~4を用いて説明する。
【0038】
表示番組の映像方式がピュア4K方式である場合、輝度値の範囲は16から235となる。上述したように、変換HLG映像の変換前の映像である2K映像(変換前映像)では、基準白に対応する信号レベルが100%であるのに対して、変換HLG映像では、基準白に対応する信号レベルが75%である。したがって、変換HLG映像の映像データの輝度値の範囲は、16から176(≒235*0.75)の範囲となる。すなわち、変換HLG映像の映像データには、輝度レベルが75%より大きい領域が含まれていない。ただし、厳密には、2K映像(変換前映像)に、基準白よりも信号レベルが僅かに高いスーパーホワイトが含まれ、変換HLG映像の映像データに輝度レベルが75%(輝度値が176)よりも大きい値が含まれている場合がある。
【0039】
例えば、受信部2により受信されたテレビ放送の映像信号が
図2に示すような中心に矩形の白色の領域と白色の領域の周囲に黒色の領域がある映像であるとする。
図2に示す映像が4Kカメラ等の設備を用いて生成された映像であって、生成された時点で解像度が4Kであるピュア4K映像であり、映像方式がピュア4K方式である場合、輝度情報取得部14により、輝度のヒストグラムを生成すると、
図3に示すようなヒストグラムが得られる。
【0040】
図3は、映像方式がピュア4K方式である映像の輝度のヒストグラムの一例である。
図3において、横軸は輝度値、縦軸は画素数を示す。
【0041】
図3のヒストグラムは、
図2における黒色に相当する輝度値が16の画素と白色に相当する輝度値が235の画素とがあることを示している。映像方式がピュア4K方式である場合、輝度値の範囲は16から235の範囲であるため、
図3のヒストグラムのように輝度値が235の画素が存在する場合、映像方式がピュア4K方式であることが分かる。
【0042】
また、
図2に示す映像が、解像度が4Kよりも低い2K(1920×1080)である2K映像を、ダイナミックレンジ及び解像度を拡大変換(アップコンバート)した映像であり、映像方式が変換HLG方式である場合、輝度情報取得部14により、輝度のヒストグラムを生成すると、
図4に示すようなヒストグラムが得られる。
【0043】
図4は、映像方式が変換HLG方式である映像の輝度のヒストグラムの一例である。
図4において、横軸は輝度値、縦軸は画素数を示す。
【0044】
図4のヒストグラムは、
図2における黒色に相当する輝度値が16の画素と白色に相当する輝度値が176の画素とがあることを示している。上述したように、変換HLG映像の変換前の映像である2K映像(変換前映像)では、基準白に対応する信号レベルが100%であるのに対して、変換HLG映像では、基準白に対応する信号レベルが75%である。よって、映像方式が変換HLG方式である場合、輝度値の範囲は16から176の範囲であるため、
図4のヒストグラムのように輝度値の最大値が176であり、輝度値が177以上の画素がない場合、映像方式が変換HLG方式である可能性が高いと考えられる。尚、
図4は、スーパーホワイトが含まれていない場合であり、スーパーホワイトが含まれている場合も考慮すると、輝度値の最大値が180以下の場合、映像方式が変換HLG方式である可能性が高いと考えられる。
【0045】
【0046】
補正部17は、表示番組が表示部3に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を実行する。ゲイン補正処理とは、表示制御部12が映像データに基づいて表示制御信号を生成する際に用いるガンマカーブ(HLGガンマカーブ)のゲインを増加させる処理である。ここでいう「HLGガンマカーブのゲインを増加」とは、HLGガンマカーブに対して1以上の係数(補正係数)を乗算することを意味する。補正部17がゲイン補正処理を実行した場合、表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示制御信号を生成する。これにより、ゲイン補正処理が実行されない場合に比べて、表示番組が表示部3に表示されるときの輝度レベルが増加する。
【0047】
補正部17は、判定部16の判定処理の結果に基づいて、ゲイン補正処理を実行する。補正部17は、表示番組の映像方式が変換HLG方式である、と判定部16が判定した場合、ゲイン補正処理を実行する。補正部17は、表示番組の映像方式がピュア4K方式である、言い換えれば、表示番組の映像方式が変換HLG方式ではない、と判定部16が判定した場合、ゲイン補正処理を実行しない。
【0048】
上述したように、変換HLG映像の変換前の映像である2K映像(変換前映像)では、基準白に対応する信号レベルが100%であるのに対して、変換HLG映像では、基準白に対応する信号レベルが75%である。したがって、変換HLG映像の映像データには、輝度レベルが75%より大きい領域が含まれていない。厳密には、2K映像(変換前映像)に、基準白よりも信号レベルが僅かに高いスーパーホワイトが含まれ、変換HLG映像の映像データに輝度レベルが75%よりも大きい値が含まれている場合がある。
【0049】
本実施形態では、表示番組の映像方式が変換HLG方式である場合、表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示制御信号を生成する。つまり、表示制御信号には、輝度レベルが75%よりも大きい領域が含まれる可能性がある。これにより、表示番組である変換HLG映像が、ピュア4K映像に比べて暗く表示されることが抑制される。
【0050】
また、ゲイン補正処理に用いる補正係数は、2K映像と変換HLG映像との信号レベル比に基づいて決定される。具体的には、2K映像における基準白に対応する信号レベルが100%(第1レベル)であり、変換HLG映像における基準白に対応する信号レベルが75%(第2レベル)である。補正係数は、第2レベル(75%)に対する第1レベル(100%)の割合の値(=1.25)である。したがって、変換HLG映像の輝度レベルの上限が75%であるのに対して、ゲイン補正処理後である表示制御信号の輝度レベルの上限が100%となる。これにより、変換HLG映像の輝度レベルの上限を、ピュア4K映像の輝度レベルの上限と同等にすることができる。なお、本実施形態では、補正係数を1.25としているが、ゲイン補正処理後である表示制御信号の輝度レベルの上限が100%付近となる値であればよく、1.25に限らず、例えば1.33であってもよい。
【0051】
次に、第1の実施形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10の動作例について、
図5を参照して説明する。
【0052】
図5は、第1の実施の形態に係る映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【0053】
まず、受信部2は、テレビ放送(新4K8K衛星放送)を受信する(S501)。そして、受信部2は、選択されたチャンネルに対応するデータを映像処理装置1に出力する。ここでは、4K番組に対応するチャンネルが選択されているとする。
【0054】
次に、輝度情報取得部14は、表示番組の映像データから表示番組の映像の各画素の輝度値を示す輝度情報を取得する(S502)。具体的には、例えば、輝度情報取得部14は、所定の時間長の映像データに含まれる表示番組の映像の各画素の輝度を示す輝度データ(Y)を輝度情報として取得する。
【0055】
次に、判定部16は、表示番組の映像方式を、輝度情報に基づいて判定する判定処理を行う。本実施形態では、判定部16は、輝度情報取得部14が取得した輝度情報を参照する。そして、判定部16は、輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下であるか否かを判定する(S503)。例えば、第1の実施の形態では、閾値として180を用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下ある(例えば、
図4参照)と判定された場合(S503:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、輝度値の最大値が閾値以下でない(例えば、
図3参照)と判定された場合(S503:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定する。
【0056】
上述のように変換HLG映像の映像データには、通常、輝度レベルが75%より大きい領域が含まれていないが、厳密には、2K映像(変換前映像)に、基準白よりも信号レベルが僅かに高いスーパーホワイトが含まれ、変換HLG映像の映像データに輝度レベルが75%よりも大きい値が含まれている場合がある。すなわち、変換HLG映像の映像データの輝度値は、通常、16から176の範囲内であるが、スーパーホワイトが含まれている場合、輝度値が176よりも僅かに大きくなる場合がある。そのため、スーパーホワイトが含まれている場合を考慮して、映像方式がピュア4K方式であるか否かの判定に用いられる閾値として、176より大きい180を用いる。尚、スーパーホワイトを考慮しない場合、例えば、閾値として176を用いてもよい。
【0057】
輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下でないと判定された場合(S503:No)、表示制御部12は、HLGガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する(S504)。この場合のガンマ補正に用いられるHLGガンマカーブは、補正部17によるゲイン補正処理がされていない。表示制御部12は、生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示する(S505)。
【0058】
輝度情報において、輝度値の最大値が閾値以下であると判定された場合(S503:Yes)、補正部17は、ゲイン補正処理を実行する(S506)。補正部17は、ゲイン補正処理において、HLGガンマカーブの各値に対して1以上の補正係数を乗算することにより、補正後のHLGガンマカーブを生成する。表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する(S507)。そして、表示制御部12は、生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示する(S505)。
【0059】
このように、第1の実施の形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10では、表示番組の映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定する判定処理を行う。そして、表示番組の映像方式が変換HLG方式である場合、HLGガンマカーブの各値を増加させるゲイン補正処理が実行される。これにより、表示番組である変換HLG映像が、ピュア4K映像に比べて暗く表示されることが抑制される。また、表示番組の映像方式がピュア4K方式である場合、ゲイン補正処理が実行されないので、輝度レベルの飽和(いわゆる白あたり)が抑制される
【0060】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、非特許文献1に記載のように、100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられている場合を説明した。すなわち、第1の実施の形態では、番組のジャンルにかかわらず、100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられている。第2の実施の形態では、番組のジャンルによって、100%のSDR信号が割り当てられるHLG信号レベルが異なる場合について説明する。
【0061】
第2の実施の形態において、番組のジャンルによって、100%のSDR信号が割り当てられるHLG信号レベルが異なっており、例えば、映画の番組は100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられ、スポーツの番組は100%のSDR信号が90%HLG信号レベルに割り当てられ、映画とスポーツ以外の番組は100%のSDR信号が80%HLG信号レベルに割り当てられているとする。
【0062】
第2の実施形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10の動作例について、
図6を参照して説明する。
【0063】
図6は、第2の実施の形態に係る映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【0064】
S601において、受信部2は、テレビ放送(新4K8K衛星放送)を受信し、選択されたチャンネルに対応するデータを映像処理装置1に出力する。ここでは、4K番組に対応するチャンネルが選択されているとする。
【0065】
S602において、輝度情報取得部14は、表示番組の映像データから表示番組の映像の各画素の輝度値を示す輝度情報を取得する。具体的には、例えば、輝度情報取得部14は、所定の時間長の映像データに含まれる表示番組の映像の各画素の輝度を示す輝度データ(Y)を輝度情報として取得する。
【0066】
S603において、番組表生成部15は、番組情報を取得し、番組情報に基づいて、電子番組表(EPG)を生成する。
【0067】
S604~S608において、判定部16は、表示番組の映像方式を、S602で取得した輝度情報およびS603で取得した番組情報に基づいて判定する判定処理を行う。以下、判定処理(S604~S608)の詳細について説明する。
【0068】
S604において、判定部16は、S603で取得した番組情報に基づいて、表示番組のジャンルが映画であるか否か判定する。具体的には、例えば、判定部16は、電子番組表に含まれるジャンル情報に基づいて、表示番組のジャンルが映画であるか否か判定する。判定部16は、電子番組表に含まれるジャンル情報が「映画」である場合、表示番組のジャンルが映画であると判定し、制御はS607に進む。判定部16は、電子番組表に含まれるジャンル情報が「映画」でない場合、表示番組のジャンルが映画でないと判定し、制御はS605に進む。
【0069】
S605において、判定部16は、S603で取得した番組情報に基づいて、表示番組のジャンルがスポーツであるか否か判定する。具体的には、例えば、判定部16は、電子番組表に含まれるジャンル情報に基づいて、表示番組のジャンルがスポーツであるか否か判定する。判定部16は、電子番組表に含まれるジャンル情報が「スポーツ」である場合、表示番組のジャンルがスポーツであると判定し、制御はS608に進む。判定部16は、電子番組表に含まれるジャンル情報が「スポーツ」でない場合、表示番組のジャンルがスポーツでないと判定し、制御はS606に進む。
【0070】
S606において、判定部16は、S602で取得した輝度情報において、輝度値の最大値が第1の閾値以下であるか否かを判定する。例えば、第2の実施の形態では、映画とスポーツ以外の番組は100%のSDR信号が80%HLG信号レベルに割り当てられてので、ピュア4K方式における輝度値の最大値235の80%に相当する188を第1の閾値として用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が第1の閾値以下あると判定された場合(S606:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、制御はS609に進む。輝度値の最大値が第1の閾値以下でないと判定された場合(S606:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定し、制御はS611に進む。
【0071】
S607において、判定部16は、S602で取得した輝度情報において、輝度値の最大値が第2の閾値以下であるか否かを判定する。例えば、第2の実施の形態では、映画の番組は100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられてので、ピュア4K方式における輝度値の最大値235の75%に相当する176を第2の閾値として用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が第2の閾値以下あると判定された場合(S607:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、制御はS609に進む。輝度値の最大値が第2の閾値以下でないと判定された場合(S607:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定し、制御はS611に進む。
【0072】
S608において、判定部16は、S602で取得した輝度情報において、輝度値の最大値が第3の閾値以下であるか否かを判定する。例えば、第2の実施の形態では、スポーツの番組は100%のSDR信号が90%HLG信号レベルに割り当てられてので、ピュア4K方式における輝度値の最大値235の90%に相当する211を第3の閾値として用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が第3の閾値以下あると判定された場合(S608:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、制御はS609に進む。輝度値の最大値が第3の閾値以下でないと判定された場合(S608:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定し、制御はS611に進む。
【0073】
S609において、補正部17は、ゲイン補正処理を実行する。補正部17は、ゲイン補正処理において、HLGガンマカーブの各値に対して1以上の補正係数を乗算することにより、補正後のHLGガンマカーブを生成する。
【0074】
S610において、表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する。
【0075】
S611において、表示制御部12は、HLGガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する。
【0076】
S612において、表示制御部12は、生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示する。
【0077】
尚、S606~S608それぞれで用いられる第1~第3の閾値は、変換前映像にスーパーホワイトが含まれる場合を考慮して、上述した値よりも大きい値を用いてもよい。
【0078】
このように、第2の実施の形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10では、表示番組の映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定する判定処理を行う。そして、表示番組の映像方式が変換HLG方式である場合、HLGガンマカーブの各値を増加させるゲイン補正処理が実行される。これにより、表示番組である変換HLG映像が、ピュア4K映像に比べて暗く表示されることが抑制される。また、表示番組の映像方式がピュア4K方式である場合、ゲイン補正処理が実行されないので、輝度レベルの飽和(いわゆる白あたり)が抑制される。第2の実施の形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10では、番組のジャンルによって、100%のSDR信号が割り当てられるHLG信号レベルが異なっている場合でも、映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定することができる
【0079】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、非特許文献1に記載のように、100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられている場合を説明した。すなわち、第1の実施の形態では、時刻にかかわらず、100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられている。第3の実施の形態では、時刻によって、100%のSDR信号が割り当てられるHLG信号レベルが異なる場合について説明する。
【0080】
第3の実施の形態において、番組の放送時刻によって、100%のSDR信号が割り当てられるHLG信号レベルが異なっており、例えば、6時から18時の間に放送される番組は100%のSDR信号が90%HLG信号レベルに割り当てられ、5時30分から6時または18時から18時30分の間に放送される番組は100%のSDR信号が80%HLG信号レベルに割り当てられ、18時30分から5時30分の間に放送される番組は100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられているとする。
【0081】
第3の実施形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10の動作例について、
図7を参照して説明する。
【0082】
図7は、第3の実施の形態に係る映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【0083】
S701において、受信部2は、テレビ放送(新4K8K衛星放送)を受信し、選択されたチャンネルに対応するデータを映像処理装置1に出力する。ここでは、4K番組に対応するチャンネルが選択されているとする。
【0084】
S702において、輝度情報取得部14は、表示番組の映像データから表示番組の映像の各画素の輝度値を示す輝度情報を取得する。具体的には、例えば、輝度情報取得部14は、所定の時間長の映像データに含まれる表示番組の映像の各画素の輝度を示す輝度データ(Y)を輝度情報として取得する。
【0085】
S703において、判定部16は、現在の時刻を取得する。判定部16は、例えば、受信したテレビ放送から現在の時刻を取得する。また、判定部16は、例えば、テレビ受信機が有する時計(不図示)またはインターネット等の電気通信回線を通じてサーバから現在の時刻を取得してもよい。
【0086】
S704~S708において、判定部16は、表示番組の映像方式を、S702で取得した輝度情報およびS703で取得した現在の時刻に基づいて判定する判定処理を行う。以下、判定処理(S704~S708)の詳細について説明する。
【0087】
S704において、判定部16は、S703で取得した現在の時刻に基づいて、現在の時刻が6時から18時の間であるか否か判定する。現在の時刻が6時から18時の間であると判定された場合、制御はS707に進む。現在の時刻が6時から18時の間でないと判定された場合、制御はS705に進む。
【0088】
S705において、判定部16は、S603で取得した番組情報に基づいて、現在の時刻が5時30分から6時の間または18時から18時30分の間であるか否か判定する。現在の時刻が5時30分から6時の間または18時から18時30分の間であると判定された場合、制御はS708に進む。現在の時刻が5時30分から6時の間または18時から18時30分の間でないと判定された場合、制御はS706に進む。
【0089】
S706において、判定部16は、S702で取得した輝度情報において、輝度値の最大値が第4の閾値以下であるか否かを判定する。例えば、第3の実施の形態では、18時30分から5時30分の間に放送される番組は100%のSDR信号が75%HLG信号レベルに割り当てられているので、ピュア4K方式における輝度値の最大値235の75%に相当する176を第4の閾値として用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が第4の閾値以下あると判定された場合(S706:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、制御はS709に進む。輝度値の最大値が第4の閾値以下でないと判定された場合(S706:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定し、制御はS711に進む。
【0090】
S707において、判定部16は、S702で取得した輝度情報において、輝度値の最大値が第5の閾値以下であるか否かを判定する。例えば、第3の実施の形態では、6時から18時の間に放送される番組は100%のSDR信号が90%HLG信号レベルに割り当てられているので、ピュア4K方式における輝度値の最大値235の90%に相当する211を第5の閾値として用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が第5の閾値以下あると判定された場合(S707:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、制御はS709に進む。輝度値の最大値が第5の閾値以下でないと判定された場合(S707:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定し、制御はS711に進む。
【0091】
S708において、判定部16は、S602で取得した輝度情報において、輝度値の最大値が第6の閾値以下であるか否かを判定する。例えば、第3の実施の形態では、5時30分から6時の間または18時から18時30分の間に放送される番組は100%のSDR信号が80%HLG信号レベルに割り当てられているので、ピュア4K方式における輝度値の最大値235の80%に相当する188を第6の閾値として用いる。輝度情報において、輝度値の最大値が第6の閾値以下あると判定された場合(S708:Yes)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定し、制御はS709に進む。輝度値の最大値が第6の閾値以下でないと判定された場合(S708:No)、判定部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式でない(すなわち、ピュア4K方式)と判定し、制御はS711に進む。
【0092】
S709~S712のそれぞれの処理は、S609~S612のそれぞれの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0093】
尚、S706~S708それぞれで用いられる第4~第6の閾値は、変換前映像にスーパーホワイトが含まれる場合を考慮して、上述した値よりも大きい値を用いてもよい。
【0094】
このように、第3の実施の形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10では、表示番組の映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定する判定処理を行う。そして、表示番組の映像方式が変換HLG方式である場合、HLGガンマカーブの各値を増加させるゲイン補正処理が実行される。これにより、表示番組である変換HLG映像が、ピュア4K映像に比べて暗く表示されることが抑制される。また、表示番組の映像方式がピュア4K方式である場合、ゲイン補正処理が実行されないので、輝度レベルの飽和(いわゆる白あたり)が抑制される。第3の実施の形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10では、番組の放送時刻によって、100%のSDR信号が割り当てられるHLG信号レベルが異なっている場合でも、映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定することができる。
【0095】
第1~第3の実施の形態の映像処理装置1と同様の機能は、映像処理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0096】
映像処理方法は、輝度情報取得処理、判定処理と、ゲイン補正処理と、を含む。輝度情報取得処理では、受信部2が受信したテレビ放送における番組の映像の輝度情報を取得する。判定処理では、受信部2が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、番組の輝度情報に基づいて判定する。ゲイン補正処理では、番組が表示部3に表示されるときの輝度レベルを増加させる。映像方式は、第1解像度である第1映像方式と、第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含む。ゲイン補正処理は、判定処理で、番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行される。
【0097】
プログラムは、コンピュータシステムに映像処理方法を実行させる。
【0098】
(変形例)
上述した例では、映像処理装置1がテレビ受信機10に適用される場合を例に説明したが、映像処理装置1は、例えば、セットトップボックス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等のモバイル端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 映像処理装置
10 テレビ受信機
11 分離部
12 表示制御部
13 音声制御部
14 輝度情報生成部
15 番組表生成部
16 判定部
17 補正部
2 受信部
3 表示部
4 スピーカ