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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】電話機
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/03 20060101AFI20240605BHJP
   H04M 1/04 20060101ALI20240605BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H04M1/03 A
H04M1/04 A
H05K5/02 V
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020094693
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190854
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康人
(72)【発明者】
【氏名】赤木 幸知
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利人
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-049848(JP,U)
【文献】特開平10-200609(JP,A)
【文献】特開平07-240776(JP,A)
【文献】特開平11-284709(JP,A)
【文献】特開2013-207741(JP,A)
【文献】特開2000-115313(JP,A)
【文献】特開2001-45120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02-1/23
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機本体と、前記電話機本体に対する載置および取り外しが可能であるとともに、長手方向と短手方向とを有する略直方体状の受話器とを含む電話機であって、
前記受話器の前記長手方向における両端部のうち、一方を第1端部とし、他方を第2端部とすると、
前記受話器が前記電話機本体に載置されている載置状態において、
前記電話機本体と対向する中央面が前記受話器における前記第1端部と前記第2端部との間に形成され、
前記電話機本体は、前記受話器と対向する対向面を有し、
前記電話機本体の前記対向面のうち前記受話器の前記中央面と対向する部分に凹面部が形成されており、
前記受話器の前記第2端部側に形成された突出端部と前記電話機本体に形成された載置部とが当接する当接部位よりも前記第1端部側には、前記電話機本体が設置される設置面に対して垂直な方向において前記第1端部と前記電話機本体とが離れるように、前記受話器の前記中央面と前記電話機本体の前記凹面部を含む前記対向面との間に隙間が形成されており、
前記当接部位には、前記受話器を前記電話機本体に係合させる係合機構が設けられていることを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記係合機構は、前記電話機本体に設けられたフックを有し、
前記フックは、前記載置状態において前記受話器に形成された凹部に係合することを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項3】
前記係合機構は、前記受話器に形成された凹部に係合するためのフック移動機構を有することを特徴とする請求項2に記載の電話機。
【請求項4】
前記フックの先端はテーパ形状であるとともに、前記電話機本体には、前記フックが前記凹部から離れる方向に前記フックを回動させるための回動中心軸が設けられ、前記係合機構は前記回動中心軸を中心に、前記フックが回動する構成であることを特徴とする請求項2に記載の電話機。
【請求項5】
前記フックの先端はテーパ形状であるとともに、前記電話機本体には弾性部材が設けられ、前記係合機構は、前記弾性部材により前記フックが略直線的に移動する構成であることを特徴とする請求項2に記載の電話機。
【請求項6】
前記係合機構は、前記載置状態で前記電話機本体から前記受話器に向かう方向を上方向とすると、前記当接部位の上端位置よりも低い位置に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電話機。
【請求項7】
前記電話機本体の前記当接部位には、磁石が設けられており、
当該磁石は、前記受話器の前記第2端部に設けられた磁性体または磁石を引き付けることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電話機。
【請求項8】
前記係合機構は、前記電話機本体に設けられたフックを有し、
前記フックは、前記載置状態において前記受話器に形成された凹部に係合し、
前記電話機本体の前記当接部位に設けられた前記磁石が、前記受話器の前記第2端部に設けられた前記磁性体または前記磁石を引き付ける方向は、前記フックが前記凹部から離れる方向と同一であることを特徴とする請求項7に記載の電話機。
【請求項9】
記対向面は、前記載置状態において前記受話器の前記第2端部から前記第1端部に向かうにつれて、前記電話機本体の前記設置面から高くなるように傾斜するとともに、前記受話器の前記中央面と略平行であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電話機。
【請求項10】
前記受話器の内部には、前記受話器の前記第2端部側にバッテリが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電話機。
【請求項11】
前記受話器の前記長手方向における中央よりも前記第1端部側に音声出力部を設けた場合、前記第1端部における前記受話器が前記電話機本体と対向する側に形成された、音声を出力するための音声出力面は、前記中央面に対して、前記載置状態において前記受話器の前記第2端部から前記第1端部に向かうにつれて、前記電話機本体から離れるように傾斜することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電話機。
【請求項12】
記中央面には、通話を開始するための通話キーと、通信を切断するための切断キーと、が前記受話器の前記長手方向に並ぶように設けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電話機。
【請求項13】
前記通話キーは、前記切断キーよりも、音声を入力する音声入力部が設けられた前記第2端部から遠い位置に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の電話機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電話機本体と、電話機本体に設けられた装着部に装着される受話器と、からなる電話機であって、受話器を電話機本体に形成された放音孔上に被せた状態で、放音孔から発する音声を聞き取り易い電話機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-133746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている発明では、電話機本体から受話器を取り易くするという課題が認識されていなかった。本発明の一態様は、電話機本体から受話器を容易に取ることができる電話機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電話機は、電話機本体と、前記電話機本体に対する載置および取り外しが可能であるとともに、長手方向と短手方向とを有する略直方体状の受話器とを含む電話機であって、前記受話器の前記長手方向における両端部のうち、一方を第1端部とし、他方を第2端部とすると、前記受話器が前記電話機本体に載置されている載置状態において、前記電話機本体と対向する中央面が前記受話器における前記第1端部と前記第2端部との間に形成され、前記電話機本体は、前記受話器と対向する対向面を有し、前記電話機本体の前記対向面のうち前記受話器の前記中央面と対向する部分に凹面部が形成されており、前記受話器の前記第2端部側に形成された突出端部と前記電話機本体に形成された載置部とが当接する当接部位よりも前記第1端部側には、前記電話機本体が設置される設置面に対して垂直な方向において前記第1端部と前記電話機本体とが離れるように、前記受話器の前記中央面と前記電話機本体の前記凹面部を含む前記対向面との間に隙間が形成されており、前記当接部位には、前記受話器を前記電話機本体に係合させる係合機構が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、電話機本体から受話器を容易に取ることができる電話機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る電話機の断面を示す断面図である。
図2図1に示す電話機の外観を示す斜視図である。
図3図1に示す電話機において係合機構付近を拡大した拡大図である。
図4図1に示す電話機が備える受話器の外観を示す斜視図である。
図5図1に示す電話機において係合機構付近を拡大し、弾性部材の構成を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<電話機1の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る電話機1の断面を示す断面図である。図2は、図1に示す電話機1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、電話機1は、電話機本体10と、受話器20と、を備える。図1において、電話機1は、設置面S1に設定されているものとする。
【0009】
設置面S1は、例えば、地面に対して水平なテーブル等の載置面である。ただし、これには限定されず、設置面S1は、地面に対して垂直な建造物の壁面であってもよい。つまり、本発明は、地面に対して水平なテーブル等の載置面に設置される電話機1に適用範囲が限定されるものではなく、地面に対して垂直な建造物の壁面に設置される電話機1にも適用されるものである。
【0010】
また、受話器20が電話機本体10に載置されている載置状態において、受話器20から電話機本体10へ向かう方向をD1とし、載置状態で電話機本体10から受話器20に向かう方向をD2とする。図2に示すように、受話器20は、電話機本体10に対する載置および取り外しが可能であるとともに、長手方向LDと短手方向SDとを有する略直方体状の受話器である。受話器20の長手方向LDにおける両端部のうち、一方を第1端部E1とし、他方を第2端部E2とする。
【0011】
<載置部11および突出端部21の構成>
図2に示すように、電話機本体10には、載置部11が形成されている。載置状態において、載置部11は、方向D1に向かって凹んだ形状を有する。具体的には、載置部11は、第1傾斜面11Aおよび第2傾斜面11Bを有する。第1傾斜面11Aは、載置状態において受話器20の第2端部E2から第1端部E1に向かうにつれて、設置面S1から高くなるように傾斜する。第2傾斜面11Bは、載置状態において受話器20の第1端部E1から第2端部E2に向かうにつれて、設置面S1から高くなるように傾斜する。
【0012】
載置状態では、受話器20の第2端部E2側に設けられた突出端部21が載置部11に当接する。具体的には、突出端部21の第1突出斜面21Aが載置部11の第1傾斜面11Aに当接し、突出端部21の第2突出斜面21Bが載置部11の第2傾斜面11Bに当接する。
【0013】
第1突出斜面21Aは、載置状態において受話器20の第1端部E1から第2端部E2に向かうにつれて、設置面S1に近づくように傾斜する。第2突出斜面21Bは、載置状態において受話器20の第2端部E2から第1端部E1に向かうにつれて、設置面S1に近づくように傾斜する。
【0014】
つまり、突出端部21は、載置状態において受話器20の中央面22よりも方向D1側に突出している。中央面22は、受話器20における第1端部E1と第2端部E2との間に形成されており、載置状態において電話機本体10と対向する。載置部11および突出端部21の構造により、載置状態において、当接部位TRよりも第1端部E1側には、第1端部E1と電話機本体10とが離れるように、受話器20と電話機本体10との間に隙間SPが形成される。
【0015】
当接部位TRは、受話器20の第2端部E2側と電話機本体10とが当接する部位である。具体的には、受話器20の突出端部21と電話機本体10の載置部11とが当接することによって、当接部位TRは、電話機本体10の載置部11および受話器20の突出端部21に形成される。
【0016】
<係合機構30の構成>
図3は、図1に示す電話機1において係合機構30付近を拡大した拡大図である。図3に示すように、電話機1は、当接部位TRに設けられた係合機構30を備える。係合機構30は、受話器20が自重により方向D1に回動しようとする力に抗して、受話器20を電話機本体10に係合させる。具体的には、受話器20のうち当接部位TRよりも第1端部E1側のいずれかの点を力点とし、当接部位TRのいずれかの点を支点として、受話器20は方向D1に回動しようとする力を受ける。
【0017】
係合機構30は、フック31および回動中心軸32を有する。フック31は、電話機本体10に設けられており、載置状態において受話器20に形成された凹部23に係合する。具体的には、フック31は、載置部11の第2傾斜面11Bに形成された開口部11Cから突出するように電話機本体10に設けられている。凹部23は、突出端部21の第2突出斜面21Bに形成されている。
【0018】
フック31は、回動中心軸32に接続されて一体となっており、フック31の先端はテーパ形状である。回動中心軸32は、電話機本体10に設けられており、フック31が凹部23から離れる方向D3にフック31を回動させるとともに方向D3と逆方向に回動してフック31を凹部23に係合させるためのものである。つまり、係合機構30は、回動中心軸32を中心に、フック31が回動する構成である。
【0019】
電話機本体10から受話器20を取り外すときに、フック31のテーパ形状の先端が凹部23に接触して方向D3に回動した後、フック31は方向D3と逆方向に回動して元の位置に戻る。また、電話機本体10に受話器20を載置するときにも、同様に方向D3に回動した後、凹部23に係合する位置に戻る。これにより、フック31および凹部23が損傷することを防ぐことができる。
【0020】
回動中心軸32は、受話器20に形成された凹部23に係合するためのフック移動機構の一例である。つまり、係合機構30は、フック31を移動させる該フック移動機構を有することになる。上記フック移動機構によってフック31が移動することにより、係合機構30は、受話器20に形成された凹部23に容易に係合することができる。他のフック移動機構の一例については後述する。
【0021】
フック31が凹部23に係合することにより、電話機本体10は、受話器20と電話機本体10との間に隙間SPが形成される状態を安定して維持するように受話器20を支持することができる。なお、フック31が方向D3に回動したとき、フック31が途中で止まるように、フック31を止めるストッパ等が電話機本体10に設けられてもよい。
【0022】
また、係合機構30は、載置状態で方向D2を上方向とすると、当接部位TRの上端位置TPよりも低い位置に設けられている。設置面S1が地面に対して水平なテーブル等の載置面である場合、方向D2は地面に対して垂直な方向となる。また、設置面S1が地面に対して垂直な建造物の壁面である場合、方向D2は地面に対して水平な方向となる。
【0023】
係合機構30が上端位置TPよりも低い位置に設けられることにより、電話機本体10から受話器20が外れにくい状態にすることができるとともに、ユーザが電話機本体10に受話器20を戻し易くすることができる。
【0024】
以上により、当接部位TRよりも第1端部E1側で、受話器20と電話機本体10との間に隙間SPが形成されていることから、ユーザが受話器20と電話機本体10との間に手を入れ易くなる。このため、ユーザは、電話機本体10から受話器20を容易に取ることができる。
【0025】
<磁石41および磁性体42の構成>
電話機本体10の当接部位TRには、磁石41が設けられている。具体的には、磁石41は、第2傾斜面11Bに設けられるとともに、フック31よりも上側に設けられている。磁石41は、受話器20の第2端部E2に設けられた磁性体42を引き付ける。磁性体42は、第2突出斜面21Bに設けられるとともに、載置状態において凹部23よりも上側に設けられている。
【0026】
受話器20の第2端部E2に磁性体42を設けることで、クリップ等の金属が磁性体42に引き付けられるため、受話器20の凹部23に設けられた図示しない端子に該金属が引っ付いてしまう可能性を低減することができる。また、磁石41および磁性体42は、載置状態において、互いに対向する。
【0027】
なお、受話器20の第2端部E2には、磁性体42に代えて磁石が設けられていてもよい。この場合、磁石41は、受話器20の第2端部E2に設けられた該磁石を引き付ける。上記構成により、電話機本体10に対する受話器20の位置決めを行い易くなるとともに、電話機本体10に対する受話器20の載置状態を安定させることができる。
【0028】
また、電話機本体10の当接部位TRに設けられた磁石41が、受話器20の第2端部E2に設けられた磁性体42または磁石を引き付ける方向は、フック31が凹部23から離れる方向D3と同一である。つまり、受話器20の第2突出斜面21Bを電話機本体10の第2傾斜面11Bに押し付けるように磁性体42または磁石を引き付ける力が働く。これにより、フック31が凹部23に係合する方向に、受話器20を電話機本体10に引き寄せることができるため、電話機本体10に対する受話器20の載置状態を安定させることができる。
【0029】
<対向面12の構成>
電話機本体10は、載置状態において受話器20と対向する対向面12を有する。対向面12は、載置状態において受話器20の第2端部E2から第1端部E1に向かうにつれて、電話機本体10の設置面S1から高くなるように傾斜するとともに、受話器20の中央面22と略平行である。
【0030】
これにより、受話器20の重心が、受話器20の中心よりも第2端部E2側に位置することになるため、電話機本体10に対する受話器20の載置状態を安定させることができる。なお、対向面12と中央面22とのなす角度は、0°以上3°以下であることが好ましく、略1.7°であることがさらに好ましい。
【0031】
電話機本体10には凹面部13が形成されており、凹面部13は、電話機本体10の対向面12のうち、受話器20の中央面22と対向する部分に形成されている。これにより、ユーザが電話機本体10と受話器20との間に手を入れ易くなるため、ユーザは、受話器20を容易に取ることができる。また、対向面12には、表示部14と、ダイヤルボタン15を含む各種ボタンと、が設けられている。
【0032】
<充電端子50およびバッテリ60の構成>
図3に示すように、充電端子50はフック31に設けられている。充電端子50は、受話器20のバッテリ60に対して充電を行うためのものである。充電端子50は、回動中心軸32に巻き付けられるとともに、第2傾斜面11Bに沿って延伸し、フック31の先端に向かって曲がる。
【0033】
載置状態において充電端子50が、受話器20の凹部23に設けられた端子と電気的に接続されることにより、電話機本体10から受話器20へ電力が供給される。このとき、電話機本体10から、充電端子50および凹部23に設けられた端子を介して、バッテリ60に電力が供給される。これによりバッテリ60が充電される。
【0034】
受話器20の内部には、受話器20の第2端部E2側にバッテリ60が設けられている。また、バッテリ60は、第1突出斜面21Aの上方に設けられている。受話器20の第2端部E2側にバッテリ60が設けられることにより、バッテリ60の自重が当接部位TRにかかるため、電話機本体10に対する受話器20の載置状態を安定させることができる。
【0035】
なお、本発明は、図1に示すような、電話機本体10と受話器20とが無線により通信接続される電話機1に適用範囲が限定されるものではなく、電話機本体10と受話器20とがカールコード等の有線により通信接続される電話機1にも適用されるものである。
【0036】
<受話器20の構成>
図4は、図1に示す電話機1が備える受話器20の外観を示す斜視図である。図1および図4に示すように、第1端部E1側に音声を出力する音声出力部53を設けた場合、第1端部E1における受話器20が電話機本体10と対向する側には、音声を出力するための音声出力面24が形成されている。音声出力面24は、中央面22に対して、載置状態において第2端部E2から第1端部E1に向かうにつれて電話機本体10から離れるように傾斜する。
【0037】
上記構成により、ユーザが受話器20を用いて通話を行うとき、ユーザの顔が受話器20の中央面22に接触することを低減することができる。例えば、受話器20の中央面22にボタンが設けられている場合、ユーザの顔が受話器20の中央面22に接触することによりボタンが誤って操作されることを低減することができる。
【0038】
また、受話器20の第2端部E2に設けられた突出端部21には、音声を入力する音声入力部54が設けられている。このことと、音声出力面24が中央面22に対して電話機本体10から離れるように傾斜することから、音声入力部54にユーザの口元を近づけることができる。よって、ユーザが発した声を音声入力部54に安定して入力することができる。
【0039】
中央面22には、通話を開始するための通話キー51と、通信を切断するための切断キー52と、が受話器20の長手方向LDに並ぶように設けられている。これにより、左利きのユーザおよび右利きのユーザの両方にとって操作性が変わらない電話機1を実現することができる。
【0040】
また、通話キー51は、切断キー52よりも、音声入力部54が設けられた第2端部E2から遠い位置に設けられている。これにより、ユーザが受話器20を用いて通話を行うとき、通話キー51が切断キー52よりも高い位置にある。このため、ユーザが受話器20を持った状態において、通話キー51が、親指が自然にタッチする位置に配置されるとともに、切断キー52が意識的でないと押せない位置に配置される。これにより、ユーザが受話器20を誤操作する可能性を低減することができる。
【0041】
図2に示すように、受話器20における中央面22とは反対側の面には、電話機1の状態をユーザに知らせる状態表示部25が設けられている。例えば、状態表示部25は、受話器20のバッテリ60の充電状態をユーザに知らせるものであってもよく、着信をユーザに知らせるものであってもよい。また、状態表示部25としては、LED(Light Emitting Diode)、液晶表示部、あるいは有機EL(Electro luminescence)表示部などが挙げられる。
【0042】
<弾性部材33の構成>
図5は、図1に示す電話機1において係合機構30付近を拡大し、弾性部材33の構成を示す拡大図である。図5に示すように、電話機本体10には弾性部材33が設けられるとともに、係合機構30は弾性部材33をさらに備える。弾性部材33は、上述したフック移動機構の一例である。弾性部材33は、フック31を付勢する付勢部材である。弾性部材33は、回動中心軸32に巻き付けられるとともに、第2傾斜面11Bに沿って延伸し、フック31が凹部23に近づく方向にフック31を付勢する。
【0043】
なお、係合機構30は、フック31と回動中心軸32と弾性部材33を組み合わせた構成に代えて、フック31および弾性部材33のみから構成されてもよい。この場合、弾性部材33は、フック31に対して凹部23側とは反対側に設けられるとともに、フック31が凹部23に近づく方向に伸縮する圧縮バネである。弾性部材33は、フック31が凹部23に近づく方向にフック31を略直線的に付勢する。これにより、係合機構30は、弾性部材33によりフック31が略直線的に移動する構成となる。これにより、係合機構30は、受話器20に形成された凹部23に容易に係合することができる。
【0044】
また、係合機構30は、回動中心軸32を備えず、フック31のみから構成されていてもよい。この場合、フック31は、開口部11Cから突出するとともに開口部11Cに固定されてもよい。つまり、フック31は移動するものではなく、電話機本体10に固定されるものである。
【0045】
〔変形例〕
変形例において、係合機構30は、電話機本体10に設けられるのではなく、受話器20に設けられてもよく、凹部23は、受話器20に形成されるのではなく、電話機本体10に形成されてもよい。この場合、受話器20に設けられた係合機構30のフック31は、載置状態において電話機本体10に形成された凹部23に係合する。
【0046】
また、磁石41は、電話機本体10に設けられるのではなく、受話器20の第2端部E2に設けられてもよく、磁性体42は、受話器20に設けられるのではなく、電話機本体10の当接部位TRに設けられてもよい。さらに、音声出力部53は、第1端部E1側に設けられるのではなく、第2端部E2側に設けられてもよく、音声入力部54は、第2端部E2側に設けられるのではなく、第1端部E1側に設けられてもよい。
【0047】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電話機は、電話機本体と、前記電話機本体に対する載置および取り外しが可能であるとともに、長手方向と短手方向とを有する略直方体状の受話器とを含む電話機であって、前記受話器の前記長手方向における両端部のうち、一方を第1端部とし、他方を第2端部とすると、前記受話器が前記電話機本体に載置されている載置状態において、前記受話器の前記第2端部側と前記電話機本体とが当接する当接部位よりも前記第1端部側には、前記第1端部と前記電話機本体とが離れるように、前記受話器と前記電話機本体との間に隙間が形成されており、前記当接部位には、前記受話器を前記電話機本体に係合させる係合機構が設けられている構成である。
【0048】
本発明の態様2に係る電話機は、上記の態様1において、前記係合機構は、前記電話機本体に設けられたフックを有し、前記フックは、前記載置状態において前記受話器に形成された凹部に係合する構成としてもよい。
【0049】
本発明の態様3に係る電話機は、上記の態様2において、前記係合機構は、前記受話器に形成された凹部に係合するためのフック移動機構を有する構成としてもよい。
【0050】
本発明の態様4に係る電話機は、上記の態様2において、前記フックの先端はテーパ形状であるとともに、前記電話機本体には、前記フックが前記凹部から離れる方向に前記フックを回動させるための回動中心軸が設けられ、前記係合機構は前記回動中心軸を中心に、前記フックが回動する構成である構成としてもよい。
【0051】
本発明の態様5に係る電話機は、上記の態様2において、前記フックの先端はテーパ形状であるとともに、前記電話機本体には弾性部材が設けられ、前記係合機構は、前記弾性部材により前記フックが略直線的に移動する構成である構成としてもよい。
【0052】
本発明の態様6に係る電話機は、上記の態様1から5のいずれかにおいて、前記係合機構は、前記載置状態で前記電話機本体から前記受話器に向かう方向を上方向とすると、前記当接部位の上端位置よりも低い位置に設けられている構成としてもよい。
【0053】
本発明の態様7に係る電話機は、上記の態様1から6のいずれかにおいて、前記電話機本体の前記当接部位には、磁石が設けられており、当該磁石は、前記受話器の前記第2端部に設けられた磁性体または磁石を引き付ける構成としてもよい。
【0054】
本発明の態様8に係る電話機は、上記の態様7において、前記係合機構は、前記電話機本体に設けられたフックを有し、前記フックは、前記載置状態において前記受話器に形成された凹部に係合し、前記電話機本体の前記当接部位に設けられた前記磁石が、前記受話器の前記第2端部に設けられた前記磁性体または前記磁石を引き付ける方向は、前記フックが前記凹部から離れる方向と同一である構成としてもよい。
【0055】
本発明の態様9に係る電話機は、上記の態様1から8のいずれかにおいて、前記受話器における前記第1端部と前記第2端部との間には、前記載置状態において前記電話機本体と対向する中央面が形成され、前記電話機本体は、前記載置状態において前記受話器と対向する対向面を有しており、前記対向面は、前記載置状態において前記受話器の前記第2端部から前記第1端部に向かうにつれて、前記電話機本体の設置面から高くなるように傾斜するとともに、前記受話器の前記中央面と略平行である構成としてもよい。
【0056】
本発明の態様10に係る電話機は、上記の態様1から9のいずれかにおいて、前記受話器の内部には、前記受話器の前記第2端部側にバッテリが設けられている構成としてもよい。
【0057】
本発明の態様11に係る電話機は、上記の態様1から10のいずれかにおいて、前記受話器における前記第1端部と前記第2端部との間には、前記載置状態において前記電話機本体と対向する中央面が形成され、前記第1端部側に音声出力部を設けた場合、前記第1端部における前記受話器が前記電話機本体と対向する側に形成された、音声を出力するための音声出力面は、前記中央面に対して、前記載置状態において前記受話器の前記第2端部から前記第1端部に向かうにつれて、前記電話機本体から離れるように傾斜する構成としてもよい。
【0058】
本発明の態様12に係る電話機は、上記の態様1から11のいずれかにおいて、前記受話器における前記第1端部と前記第2端部との間に形成されるとともに、前記載置状態において前記電話機本体と対向する中央面には、通話を開始するための通話キーと、通信を切断するための切断キーと、が前記受話器の前記長手方向に並ぶように設けられている構成としてもよい。
【0059】
本発明の態様13に係る電話機は、上記の態様12において、前記通話キーは、前記切断キーよりも、音声を入力する音声入力部が設けられた前記第2端部から遠い位置に設けられている構成としてもよい。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 電話機
10 電話機本体
20 受話器
22 中央面
23 凹部
24 音声出力面
30 係合機構
31 フック
32 回動中心軸
33 弾性部材
41 磁石
42 磁性体
51 通話キー
52 切断キー
53 音声出力部
60 バッテリ
E1 第1端部
E2 第2端部
S1 設置面
図1
図2
図3
図4
図5