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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/534 20060101AFI20240605BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20240605BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240605BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
A61F13/534 110
A61F13/535 200
A61F13/53 300
A61F13/537 220
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020106123
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001083
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-000236(JP,A)
【文献】特開2013-094296(JP,A)
【文献】特開2007-268217(JP,A)
【文献】特開2012-050499(JP,A)
【文献】特開平08-269859(JP,A)
【文献】特開2019-088465(JP,A)
【文献】特開2004-154154(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、
高吸収性ポリマーが親水性不織布2枚に挟持された高吸収性シートを3層積層した積層体であり、
前記高吸収性シートは前記高吸収性ポリマーが前記親水性不織布に接着されており、
前記高吸収性シートの前記積層体において、最も着用者側に設けられたものとしての第1層の高吸収性シート、最も着衣側に設けられたものとしての第3層の高吸収性シート、及びこれらの間に設けられたものとしての第2層の高吸収性シートを有し、
前記第1層の高吸収性シート及び前記第2層の高吸収性シートは、それぞれ、前記親水性不織布がエアスルー不織布であり、前記第3層の高吸収性シートは、前記親水性不織布が、スパンボンド不織布と、スパンボンド不織布の一面に一体化されたパルプ繊維ウェブと、を含むパルプ含有複合型不織布であり、
前記第1層の高吸収性シートは、前記着用者側の前記エアスルー不織布表面に、前記着衣側に凹んだ、平面視ひょうたん型の凹溝を有し、
前記第2層の高吸収性シートは、前記着用者側の前記エアスルー不織布表面に、前記着衣側に凹んだ、平面視斜め格子状の凹溝を有し、
前記第3層の高吸収性シートは、前記パルプ含有複合型不織布が、厚み方向の前記スパンボンド不織布側に突出する凸部と、厚み方向の前記パルプ繊維ウェブ側に凹む凹部と、が所定パターンで面方向に交互に設けられた凹凸部を有し、一方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凸部の内部空間と、他方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凸部の内部空間とが対面して高吸収性ポリマー保持空間を形成し、かつ一方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凹部の底面と、他方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凹部の底面と、が対面するように、一方及び他方の前記パルプ含有複合型不織布が配置され、前記高吸収性ポリマーは、前記高吸収性ポリマー保持空間内に封入され、
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各高吸収性シートにそれぞれ含まれる前記各高吸収性ポリマーのボルテックス法吸収速度を順にX1、X2、及びX3とするとき、X1≧X2≧X3であることを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
前記第1層の高吸収性シートを構成するエアスルー不織布の坪量が35g/m以上45g/m以下であり、前記第2層の高吸収性シートを構成する前記エアスルー不織布の坪量が18g/m以上25g/m以下であり、かつ第3層の高吸収性シートを構成する前記パルプ含有複合型不織布の坪量が37g/m以上90g/m以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各高吸収性シートを構成する前記高吸収性ポリマーのボルテックス法吸収速度は、順に、前記X1が45秒以上70秒以下、前記X2が35秒以上50秒以下、前記X3が15秒以上30秒以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各高吸収性シートを構成する前記各高吸収性ポリマーの坪量は、順に、50g/m以上110g/m以下、50g/m以上300g/m以下、及び200g/m以上360g/m以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今は介護現場の人手不足から、高吸収で大容量の吸収性物品、例えばテープ止め型アウターは大型の尿とりパッド(ワイドパッド)を装着することで交換回数を削減する事例が増えている。尿とりパッドは吸収量を確保するため従来フラッフパルプと高吸収性ポリマーとを多く配合した吸収体を有する製品となっているが、大容量パッドの厚さから装着感の悪化や蒸れは避けがたく、一部の被介護者には睡眠不足や肌荒れ等の健康不良に至るケースがあり、吸収性物品の大容量化により日常のケアが削減するとは言いがたい。そのような体質の被介護者に装着の負担を軽減できる吸収性物品が求められている。
【0003】
尿等の体液の吸収体中での拡散性を確保するためにフラッフパルプを多く配合すると吸収体が厚くなり、逆にフラッフパルプを減じたり、不織布ベースで高吸収性ポリマーの坪量を増やしたりすると体液の拡散が悪くなり、また、吸収速度が低下する。それぞれ相反する要素をバランス良く兼ね備えた、薄型の大容量パッドが望まれている。
【0004】
特許文献1には、一旦吸収した体液を吸収体内部に素早く移行させ、体液の逆戻りや漏れを防止することを目的として、トップシートと、バックシートと、その間に配置された吸収体と、を有し、該吸収体は上層吸収体と下層吸収体との積層体として構成され、該吸収体(又は上層吸収体)のトップシート側表面にてトップシート側に突出する領域として設けられた中高部と、中高部に長手方向に伸びるように設けられた凹部(くぼみ)とを備える、吸収性物品が開示されている。
【0005】
特許文献2には、体液の吸収速度に優れた吸収性物品の提供を目的として、トップシートと、トップシートの非肌面側に配置されたセカンドシートと、セカンドシートの非肌面側に配置された吸収体と、吸収体の非肌面側に配置された不透液性のバックシートと、を有し、セカンドシートが、所定のポリウレタン連続多孔質体からなる、吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-112590号公報
【文献】特開2017-164356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品は、大量の尿を凹部に保持しつつ吸収することを想定した発明ではなく、大量の尿を素早く吸収することができたとしても、尿の横漏れを防止するには構成上不十分である。その上、特許文献1の吸収性物品は着用感が比較的良好とされる大型のものであるが、着用者へのフィット性を向上させるための構成を備えていないので、着用者の身体へのフィット性に問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の吸収性物品は、吸収速度に優れるものの、横漏れ、前後左右への拡散性、ウエットバックに対して、効果は十分でない。
【0009】
本発明は、尿等の体液が大量であっても素早く吸収し、体液の前後左右への拡散性に優れ、横漏れが防止され、かつ着用性も両立することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フラッフパルプを主成分とする従来の吸収体に代えて、2枚の親水性不織布で高吸収性ポリマーを挟持した高吸収性シートを用い、所定の特性を有する3層の高吸収性シートの積層体を吸収体として用いることにより、所望の吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の吸収性物品に係る。
【0011】
(1)液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、
高吸収性ポリマーが親水性不織布2枚に挟持された高吸収性シートを3層積層した積層体であり、
前記高吸収性シートは前記高吸収性ポリマーが前記親水性不織布に接着されており、
前記高吸収性シートの前記積層体において、最も着用者側に設けられたものとしての第1層の高吸収性シート、最も着衣側に設けられたものとしての第3層の高吸収性シート、及びこれらの間に設けられたものとしての第2層の高吸収性シートを有し、
前記第1層の高吸収性シート及び前記第2層の高吸収性シートは、それぞれ、前記親水性不織布がエアスルー不織布であり、前記第3層の高吸収性シートは、前記親水性不織布が、スパンボンド不織布と、スパンボンド不織布の一面に一体化されたパルプ繊維ウェブと、を含むパルプ含有複合型不織布であり、
前記第1層の高吸収性シートは、前記着用者側の前記エアスルー不織布表面に、前記着衣側に凹んだ、平面視ひょうたん型の凹溝を有し、
前記第2層の高吸収性シートは、前記着用者側の前記エアスルー不織布表面に、前記着衣側に凹んだ、平面視斜め格子状の凹溝を有し、
前記第3層の高吸収性シートは、前記パルプ含有複合型不織布が、厚み方向の前記スパンボンド不織布側に突出する凸部と、厚み方向の前記パルプ繊維ウェブ側に凹む凹部と、が所定パターンで面方向に交互に設けられた凹凸部を有し、一方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凸部の内部空間と、他方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凸部の内部空間とが対面して高吸収性ポリマー保持空間を形成し、かつ一方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凹部の底面と、他方の前記パルプ含有複合型不織布の前記凹部の底面と、が対面するように、一方及び他方の前記パルプ含有複合型不織布が配置され、前記高吸収性ポリマーは、前記高吸収性ポリマー保持空間内に封入され、
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各高吸収性シートにそれぞれ含まれる前記各高吸収性ポリマーのボルテックス法吸収速度を順にX1、X2、及びX3とするとき、X1≧X2≧X3であることを特徴とする、吸収性物品。
(2)前記第1層の高吸収性シートを構成するエアスルー不織布の坪量が35g/m以上45g/m以下であり、前記第2層の高吸収性シートを構成する前記エアスルー不織布の坪量が18g/m以上25g/m以下であり、かつ第3層の高吸収性シートを構成する前記パルプ含有複合型不織布の坪量が37g/m以上90g/m以下である、上記(1)の吸収性物品。
(3)前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各高吸収性シートを構成する前記高吸収性ポリマーのボルテックス法吸収速度は、順に、前記X1が45秒以上70秒以下、前記X2が35秒以上50秒以下、前記X3が15秒以上30秒以下である、上記(1)又は(2)の吸収性物品。
(4)前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各高吸収性シートを構成する前記各高吸収性ポリマーの坪量は、順に、50g/m以上110g/m以下、50g/m以上300g/m以下、及び200g/m以上360g/m以下である、上記(1)~(3)のいずれかの吸収性物品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、尿等の体液が大量であっても素早く吸収し、体液の前後左右への拡散性に優れ、横漏れが防止され、かつ着用性も両立することができる吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。
図2図1のX-X切断線における幅方向の模式断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。
図4図3のX-X切断線における幅方向の模式断面図である。
図5図1に示す吸収性物品中の吸収体の構成を示す模式平面図である。(a)は第1層高吸収性シート、(b)は第2層高吸収性シート、(c)は第3層高吸収性シートをそれぞれ示す。
図6図5(c)の第3層高吸収性シートの着用者側表面の構成を拡大して示す模式平面図である。
図7図5(c)の第3層高吸収性シートの要部の構成を拡大して示す模式断面図である。
図8図5(c)の第3層高吸収性シートが体液を吸収した状態を拡大して示す模式断面図である。
図9】比較例1に係る吸収体積層構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態をいう。吸収性物品において、長手方向とは吸収性物品を身体に着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る方向であり、幅方向とは長手方向に対して直交する方向であり、厚み方向とは各構成部材を積層する方向である。肌側面(又は着用者側面)とは、吸収性物品の着用時において、着用者の肌に当接する表面又は肌を臨む表面であり、非肌側面(又は着衣側面)とは、着用者の衣服に接触する表面又は衣服を臨む表面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0015】
<吸収性物品(第1実施形態)>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態について説明する。図1及び図2は第1実施形態に係る吸収性物品1を示す。図3及び図4は第2実施形態に係る吸収性物品2を示す。図5は、吸収体15の3層積層構造を構成する高吸収性シート16、17、18を示す。図6及び図7は高吸収性シート18を拡大して示す。図8は高吸収性シート18が体液を吸収した状態を示す。これらの図面は本実施形態の吸収性物品1中の各構成部材の形状や寸法、大小関係等を規定するものではない。
【0016】
本実施形態の吸収性物品1、2(以下これらを総称して「本実施形態の吸収性物品」ともいう)は、ベビー用又は成人用を問わず種々の吸収性物品として使用できるが、代表的には、軽失禁パッド、尿吸収パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等が挙げられる。アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしての吸収性物品1、2とを組み合わせてもよい。吸収性物品1、2の、長手方向の寸法、及び幅方向の寸法はいずれも特に限定されないが、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、及び50mm以上500mm以下の範囲である。吸収性物品1、2の寸法を前記の範囲に調整することで、種々の用途のものが得られる。
【0017】
吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、吸収性物品1を着用したときに相対的に肌側に位置する、液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向して配置され、吸収性物品1を着用したときに相対的に非肌側に位置する液不透過性のバックシート24と、トップシート10とバックシート24との間に配置された吸収体15と、トップシート10の肌側表面に設けられた一対の立体ギャザー25と、を備える。吸収体15はトップシート10とバックシート24との間に挟まれた構造となり、尿等の体液はトップシート10を通して吸収体15に吸収及び保持される。吸収性物品1の用途やタイプに応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を適宜設けることができる。
【0018】
本実施形態によれば、吸収体15として、2枚の親水性不織布に高吸収性ポリマー12を挟持した所定の特性を有する高吸収性シート16、17、18の3層積層体とすることにより、夜間等長時間の着用に耐え得る高吸収性を有する薄型の本実施形態の吸収性物品が得られる。特に、3層積層体を構成する高吸収性シート16、17、18中の不織布や高吸収性ポリマー12の坪量、及び高吸収性ポリマー12のボルテックス吸収速度、各高吸収性シート16、17、18の着用者側面に形成される凹溝21、22や凹凸部30の平面視形状等を所定の範囲で変化させることで、着用者側に体液拡散性に優れた第1層の高吸収性シート16を設け、大量の尿等の体液を素早く一旦受け止め、高吸収性ポリマー12が吸収膨潤する前に長手方向に広く拡散させ、かつ第2層、第3層の高吸収性シート17、18へと体液を拡散する、という体液の拡散性を有する本実施形態の吸収性物品が得られる。
【0019】
また、衣類側の高吸収性シート18ほど高吸収性ポリマー12の坪量を高く、かつ凹溝21、22や凹凸部30を細かい目のエンボス形態にすると、体液を漏らさずに吸収及び保持する効果が大きくなる。また、着用者側の第1層、第2層の高吸収性シート16、17に柔らかさと屈曲性とを付与し、第3層の高吸収性シート18に剛性を付与すると、体側部へ広く密着して体液を吸収する第1層、第2層の高吸収性シート16、17と、様々な体勢でも吸収体15がよれずに股間部から前後へ装着形状を保持する第3層の高吸収性シート18とが相互に作用し、長時間着用しても良好な着用感を維持し、体液吸収に必要な機能を補完し合い、薄型でありながらモレにくい本実施形態の吸収性物品が得られる。
【0020】
以下、各構成部材について、トップシート10、バックシート24、吸収体15、及び立体ギャザー25の順でさらに詳しく説明する。なお、これらの構成部材は、シート状及び板状以外の立体構造を有していてもよい。
【0021】
(トップシート)
トップシート10は、吸収体15に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状部材であり、吸収体15を挟んで、バックシート24に対向して配置される。トップシート10を構成する基材としては、着用者の肌に当接する場合があることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない液透過性の基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性不織布、同種又は異種の親水性不織布の積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性不織布は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維の1種又は2種以上を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の方法で加工することにより得られる。
【0022】
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。エンボス加工や穿孔加工は、公知の方法に従って実施することができる。肌への刺激を低減させる観点から、トップシート10には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有させてもよい。強度、加工性及び液戻り量の観点から、トップシート10の坪量は、例えば15g/m以上40g/m以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体15に誘導する観点から、吸収体15の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0023】
(バックシート)
バックシート24は、吸収性物品1の最も非肌側に配置され、例えば、吸収体15が保持する体液が衣類を濡らしたり、皮膚表面に付着したりしないような通気性又は非通気性の液不透過性の基材から構成される。該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなるフィルム、ポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの積層体である複合フィルム等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との積層体である複合不織布、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とスパンボンド不織布との積層体である複合不織布等が挙げられる。
【0024】
バックシート24の坪量は特に限定されないが、強度及び加工性の観点から、例えば、15g/m以上40g/m以下の範囲である。着用時の蒸れを防止する観点から、バックシート24に通気性を付与することができる。バックシート24に通気性を付与する方法としては特に限定されず公知の方法を採用できるが、例えば、バックシート用基材である樹脂フィルムを多孔質化する方法、バックシート用基材にエンボス加工を施す方法等が挙げられる。樹脂フィルムを多孔質化する方法の一例としては、樹脂にフィラーを含有させてフィルム化し、得られたフィルムからフィラーを除去する方法等が挙げられる。フィラーとしては例えば炭酸カルシウム等の無機塩が挙げられる。
【0025】
(本実施形態の吸収体)
図1及び図2に示すように、吸収体15は、トップシート10とバックシート24との間に配置され、例えば、体液を吸収及び保持する。本実施形態の吸収体15は、高吸収性シート16、17、18の3層積層体である。高吸収性シートとは、高吸収性ポリマー12が親水性不織布2枚に挟持され、接着されたものである。本明細書では、3層積層体において、最も着用者側に設けられたものを第1層の高吸収性シート(以下単に「第1層」ともいう)16、最も着衣側に設けられたものを第3層の高吸収性シート18(以下単に「第3層」ともいう)、及びこれらの間に設けられたものを第2層の高吸収性シート(以下単に「第2層」ともいう)17とする。第1層の高吸収性シート16及び第2層の高吸収性シート17は、それぞれ、2枚のエアスルー不織布(親水性不織布)19と、これらの間に配置され接着された高吸収性ポリマー12と、を含むものである。また、第3層の高吸収性シート18は、2枚のパルプ含有不織布(親水性不織布)20と、これらの間に配置され、接着された高吸収性ポリマー12と、を含むものである。ここで、パルプ含有不織布20は、スパンボンド不織布31と、スパンボンド不織布31の一面に一体化されたパルプ繊維ウェブ32と、を含むパルプ含有複合型不織布である。パルプ含有不織布20については後述する。また、第1層の高吸収性シート16、第2層の高吸収性シート17及び第3層の高吸収性シート18は、着用者側の各表面に凹溝21、22や凹凸部30をそれぞれ有している。これらについても、後述する。なお、本実施形態の3層積層体は、縁辺の一部をホットメルト接着剤、熱融着、超音波融着、エンボス加工等で接着し、固定してもよい。
【0026】
本実施形態の吸収体15は、上記3層積層体から構成されるとともに、第1層、第2層、及び第3層の高吸収性シート16、17、18に含まれる高吸収性ポリマー12のボルテックス法吸収速度を順にX1(秒)、X2(秒)、及びX3(秒)とするとき、X1≧X2≧X3であり、好ましくはX1≧X2>X3であり、より好ましくはX1が45秒以上70秒以下の範囲、X2が35秒以上50秒以下の範囲、X3が15秒以上30秒以下の範囲であり、さらに好ましくはX1>X2>X3である。高吸収性シート16、17、18に含まれる高吸収性ポリマー12のボルテックス法吸収速度を層毎に変化させ、特に着用者側から着衣側に向けてボルテックス法吸収速度を段階的に又は徐々に速くすることによって、例えば、良好な着用感を維持しつつ、ウエットバックを防止する効果が大きい薄型の吸収体15になる。
【0027】
高吸収性ポリマー12のボルテックス吸収速度(秒)は、濃度0.900%(±0.009%)、温度25℃(±2℃)の生理食塩水50.0ml(±0.5ml)を実験用ガラス容器に投入し、次いで600rpm(±30rpm)の攪拌下、該容器内の生理食塩水が渦を形成した状態で、高吸収性ポリマー12の2.00g(±0.02g)を該容器内に投入し、高吸収性ポリマー12を該容器内に投入した瞬間から渦が消えて液面が水平になるまでの時間(秒)を計測することにより、求められる。
【0028】
吸収体15の好ましい実施形態では、第1層の高吸収性シート16における、高吸収性ポリマー12の坪量は50g/m以上110g/m以下の範囲であり、第2層の高吸収性シート17における高吸収性ポリマー12の坪量は50g/m以上300g/m以下の範囲であり、かつ、第3層の高吸収性シート18における高吸収性ポリマー12の坪量は200g/m以上360g/m以下の範囲である。高吸収性シート16、17、18における高吸収性ポリマー12の坪量を前記の各範囲から選択することにより、高吸収性シート16、17、18における高吸収性ポリマー12のボルテックス吸収速度を前述の範囲に調整して得られる効果が一層顕著化する。なお、高吸収性シート16、17、18における高吸収性ポリマー12の坪量の各範囲は部分的に重複しているが、第1層、第2層、及び第3層の各坪量を前記各範囲内から選択した上で、第1層、第2層、及び第3層の各坪量が段階的に小さくなるように構成すると、3層積層構造における各層の機能が際だつ。
【0029】
吸収体15の好ましい別の実施形態では、第1層の高吸収性シート16を構成するエアスルー不織布19の坪量が35g/m以上45g/m以下の範囲であり、第2層の高吸収性シート17を構成するエアスルー不織布19の坪量が18g/m以上25g/m以下の範囲であり、かつ第3層の高吸収性シート18を構成するパルプ含有複合型不織布20の坪量が37g/m以上90g/m以下の範囲である。このように、第1層~第3層を構成する不織布の坪量を設定することにより、着用感、ウエットバック防止性、体液の均一拡散性、繰返し吸収速度、体液保持能力等を高水準に維持することができる。
【0030】
本実施形態で使用する高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」ともいう)12としては、体液を吸収及び保持し、体液の逆流を防止できる各種ポリマーを特に限定なく使用でき、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン・アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸・ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の、カルボキシル基含有モノマーを構成単位として含む重合体が挙げられる。高吸収性ポリマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、重量当たりの体液吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
【0031】
高吸収性ポリマー12の形態は特に限定されないが、ゲルブロッキング等の発生を抑制する観点や取扱性等の観点から、好ましくは粒子状であり、より好ましくは中位粒子径を有する粒子状である。高吸収性ポリマー12の中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は50μm以上550μm以下の範囲である。
【0032】
高吸収性シート16、17、18において、高吸収性ポリマー12の接着には、例えば、ホットメルト接着剤を使用できる。ホットメルト接着剤としては融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。
【0033】
なお、図2において、第1層、第2層、第3層の各高吸収性シート16、17、18は、幅方向両端面も親水性不織布で覆われるように記載しているが、これに限定されず、幅方向両端面は親水性不織布で覆われていなくてもよい。また、親水性不織布は1層として記載されているが、複数層でもよい。ただし、親水性不織布の層数の調整は、親水性不織布の坪量の調整で代替することもできる。
【0034】
図5は、第1層の高吸収性シート16、第2層の高吸収性シート17、及び第3層の高吸収シート18の着用者側の各表面に設けられた凹溝21、22及び凹凸部30を示している。図5(a)に示す第1層の高吸収性シート16は着用者側表面に平面視ひょうたん型の凹溝21を有し、図5(b)に示す第2層の高吸収性シート17は着用者側表面に平面視斜め格子状の凹溝22を有し、かつ図5(c)に示す第3層の高吸収性シート18は着用者側表面及び着衣側表面にそれぞれ所定の凹凸部30を有する。
【0035】
第1層の高吸収性シート16は、着用者側に配置されたエアスルー不織布19のトップシート10を臨む表面に、長手方向に延びて着衣側に凹む、平面視ひょうたん型の凹溝21を有している。ひょうたん型とは、例えば、長手方向に延びる長円(長方形の両短辺が半円状に突出した形状)、楕円形等であって、長手方向中央部に幅方向に対向して凹む2つの窪みを有する形状と言い換えることもできる。前記窪みを設けることにより、長手方向両端に向かう体液の流れを作ることができる。凹溝21の平面視形状は、本実施形態のひょうたん型に限定されず、長手方向に延びる、長方形、4角が丸まった角丸長方形、長円形、楕円形等の、1又は複数の直線状凹状エンボス及び/又は1又は複数の曲線状凹状エンボスで形成された形状であってもよく、これらの長手方向中央部に本実施形態と同様の窪みを形成することもできる。また、凹溝21の数は本実施形態の1個に限定されず、幅方向に複数の凹溝21を配置してもよい。
【0036】
凹溝21の断面視形状は特に限定されず、例えば、長方形状、正方形状、三角形状、逆台形状、半円状、Uの字状、Wの字状等が挙げられる。凹溝21の開口部幅寸法及び深さ寸法(エアスルー不織布19表面から凹溝21の最深部におろした垂線の長さ)は特に限定されないが、例えば、0.5mm以上10.0mm以下の範囲、及び1.0mm以上12.0mm以下の範囲である。ひょうたん型の凹溝21の形成により、トップシート10から供給された体液が吸収体15の長手方向両端部まで行き渡り易くなり、例えば、ウエットバックの防止性や、体液分散性等の一層の向上が得られる。本実施形態の凹溝21は、例えば、公知のエンボス加工法により形成されたエンボス形態の凹溝21である。
【0037】
第2層の高吸収性シート17は、着用者側に配置されたエアスルー不織布19のトップシート10側表面に、着衣側に凹む、平面視斜め格子状の凹溝22を有している。この凹溝22により、第1の高吸収性シート16で形成された体液の流れをより一層均一に細分化し、吸収体15の体液均一分散性を向上させることで、通常では長手方向両端部周辺に存在して体液吸収に利用され難い高吸収性ポリマー12の利用が可能になることから、吸収体15全体としての体液吸収能力が増加し、長時間にわたる複数回の体液排出にも耐え得る吸収性物品1が得られる。
【0038】
第2層の高吸収性シート17における斜め格子状の凹溝22は、着用者側のエアスルー不織布19の表面において、エアスルー不織布19の縁辺に交差する方向に略平行に延びる一の複数の凹溝22と、一の複数の凹溝22に交差する方向に略平行に延びる他の複数の凹溝22と、を含んで構成される。同じ方向に延びる複数の凹溝22において、一の凹溝22と、それに隣り合う他の凹溝22との間隔は特に限定されないが、間隔の目安として、四周を凹溝22で囲まれた略閉形状部分の面積が挙げられる。四周を凹溝22で囲まれた略閉形状部分は図5(b)に示すように複数個存在する。これらの1単位(1個)あたりの合計面積(以下「略閉形状の面積」ともいう)は、例えば、200mm以上750mm以下の範囲である。略閉形状の面積を前記範囲とすることにより、体液の細かくかつ均一な流れを形成できる。凹溝22の断面視形状、開口部幅寸法及び深さ寸法等は、第1層の高吸収性シート16における凹溝21に準ずる。凹溝22も、例えば、公知のエンボス加工法により形成できる。略閉形状は、本実施形態の方形に限定されず、例えば、円形、三角形等でもよい。略閉形状が円である場合、例えば、着用者側エアスルー不織布19のトップシート10側表面に形成される平面視形状は、円形を最密充填した形状、円形を水玉模様状に配した形状等が挙げられる。
【0039】
第3層の高吸収性シート18は、図5図7に示すように、スパンボンド不織布31と、これに一体化されたパルプ繊維ウェブ32と、を含み、凹凸部30をその全面に有している。本実施形態では、パルプ含有複合型不織布20の全面に凹凸部30が形成されているが、これに限定されず、パルプ含有複合型不織布20の一部に形成されていてもよい。第3層の高吸収性シート18により、例えば、吸収体15の体液吸収量が著しく増加するとともに、凹凸部30により吸収性物品1のクッション性や着用感が向上する。
【0040】
本実施形態の高吸収性シート18では、2枚のパルプ含有複合型不織布20の各パルプ繊維ウェブ32同士が向き合って部分的に接触し、2枚のパルプ含有複合型不織布20の凸部28同士が対面して高吸収性ポリマー保持空間27を形成し、かつ2枚のパルプ含有複合型不織布20の凹部29同士が対面してそれらのパルプ繊維ウェブ32側底面が接触面又は緩い接合面26となるように、2枚のパルプ含有複合型不織布20が積層されている。パルプ含有複合型不織布20を構成する材料については後述し、ここでは凹凸部30について先に説明する。
【0041】
本実施形態の凹凸部30は、図6等に示すように、略六角形状の頂面を有する凸部28と溝状の凹部29とが、所定パターンでパルプ含有複合型不織布20の面方向に交互に設けられた形態を有する。本実施形態のパターンとは、1つの凸部28と、その左右方向、上斜め左右方向、及び下斜め左右方向である周囲の6つの凸部28と、六角形の6辺のうちの1辺が略平行になり、かつ凸部28の周囲に沿って配置された凹部29により互いに離隔するように配置されたパターンであり、複数の多角形が互いに等間隔で上下左右方向に配置されたパターンの一実施形態である。ここで、多角形としては、例えば、略正三角形、略正方形、略長方形、略ひし形、略平行四辺形、略五角形、六角形以上の略多角形等が挙げられる。凹凸部30のパターンは本実施形態に限定されず、格子状、波状、エイコンパターン状(どんぐりの連続形状)、水玉模様状、鱗文様状、市松模様状等でもよい。また、2つ以上のパターンを組み合わせたパターンでもよい。いずれのパターンにおいても、一応の閉空間である高吸収性ポリマー保持空間27を形成するという点では同じであることから、同じ効果が得られることも自明である。これらのパターンが形成する略閉形状の1単位(1個)あたりの面積は、例えば25mm以上180mm以下である。
【0042】
本実施形態では、凸部28は、パルプ含有複合型不織布20の厚み方向において、スパンボンド不織布31(又はトップシート10)側に突出し、その頂面が略六角形の平面視形状を有する平坦面である。凹部29は、パルプ繊維ウェブ32(又はバッグシート12)側に凹み、凸部28の縁辺に沿って折れ曲がりながら線状に延びる凹溝であり、体液の拡散経路になり易い。したがって、凹部29は、パルプ繊維ウェブ32が本来有する吸液性や体液拡散性をより一層向上させ、高吸収性シート18中のほぼ全部の高吸収性ポリマー12を体液の吸収に利用できるようにする。凹部29は、断面視が逆台形状(開口部の径が底面の径よりも大きい形状)、U字状、V字状等でもよい。凹部29の開口部の幅寸法a(図6)は、凸部28の頂面の面積や平面視形状、凸部28と凹部29との配置パターン等に応じて適宜選択されるが、後述する緩い接合の状態を実現する観点からは、例えば0.3mm以上1.0mm以下である。
【0043】
一のパルプ含有複合型不織布20の凸部28(以下「一の凸部28」ともいう)と、他のパルプ含有複合型不織布20の凸部28(以下「他の凸部28」ともいう)とは、その内部空間同士が対面して高吸収性ポリマー保持空間27を形成する。高吸収性ポリマー保持空間27に封入された高吸収性ポリマー12は、高吸収性ポリマー保持空間27の内壁面であるパルプ繊維ウェブ32の表面に接着されているが、別の実施形態では非接着でもよく、一部が接着されかつ残部が非接着でもよい。高吸収性ポリマー12は、例えば、前述のホットメルト接着剤等で接着される。
【0044】
凸部28の内部空間の高さは、高吸収性ポリマー保持空間27内への高吸収性ポリマー12の封入量と体液を最大に吸収した時点での高吸収性シート18の厚みとのバランス、凸部28の形態保持性等の観点から、例えば、0.2mm以上3.0mm以下である。ここで、凸部28の内部空間の高さとは、複数の、接触面又は緩い接合面26を縦横方向に連結した仮想面に対する垂直方向の高さである。また、凸部28のパルプ繊維ウェブ32側開口部の面積は、高吸収性ポリマー12の封入量の調整等の観点から、例えば7mm以上95mm以下である。なお、凸部28が柱状体である場合は、凸部28の頂面の面積と、パルプ繊維ウェブ32側開口部の面積とは略等しい。
【0045】
一のパルプ含有複合型不織布20の凹部29のパルプ繊維ウェブ32側の底面と、他のパルプ含有複合型不織布20の凹部29のパルプ繊維ウェブ32側の底面とは、図7に示すように対面して、接触面又は緩い接合面26となる。ここで、緩い接合とは、一及び他の凹部29の底面同士が接合し、各高吸収性ポリマー保持空間27を閉空間にするものの、高吸収性ポリマー12が体液を吸収して膨潤したときに、その体積膨張に伴って接合状態が解消し、一及び他の凹部29の底面同士が離反するような接合をいう。ここで、接合方法としては熱融着、超音波接着等の公知の方法を利用できる。また、緩い接合のためには、高吸収性ポリマー12の封入量を一定にした上で、接合条件を種々設定し、反復実験を繰り返し、高吸収性ポリマー12の封入量に応じて前述の緩い接合を実現し得る接合条件を適宜選択すればよい。
【0046】
パルプ含有複合型不織布20のスパンボンド不織布20側表面において、面積比(凹部29の開口部面積:凸部28の頂面面積)は、高吸収性ポリマー12の封入量と接合強度、拡散性確保等観点から、例えば、38:62以上62:38以下の範囲に設定してもよい。また、略閉形状の面積(本実施形態では凹部29で周囲を囲まれた凸部28の頂面の面積)を、例えば、25mm以上180mm以下の範囲に設定してもよい。なお、凸部28、及び凹部29の各寸法は、例えば、ワンショット3D形状測定機(商品名:コントローラ VR-3000 Series、(株)キーエンス製)の解析アプリケーションを使用して求められる。例えば、前記解析アプリケーションを用いて凸部28と凹部29との高低差を測定すると、凸部28の高さや凹部29の深さが求められる。また、凸部28の中心間の距離を測定すると、凸部28の間隔が求められる。
【0047】
パルプ含有複合型不織布20のスパンボンド不織布31としては、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等で作製された不織布を特に限定なく使用できるが、その材質としては、例えば、ナイロン(商標名)、ビニロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂を好ましく使用できる。スパンボンド不織布31は、複数の合成樹脂繊維を含んでいてもよい。これらの中でも、強度、柔らかさ等の観点から、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布31が好ましく、構成繊維が全てポリプロピレン繊維であるスパンボンド不織布31がより好ましい。また、スパンボンド不織布31の坪量は特に限定されないが、引張強度と触感の柔らかさの観点から、例えば、7g/m以上20g/m以下である。
【0048】
パルプ繊維ウェブ32としては特に制限されないが、例えば、パルプ繊維を主体とする不織布(以下「パルプ不織布」ともいう)からなる層、パルプ繊維が互いに絡み合った層、パルプ繊維をごく少量の接着剤やバインダーで固着した層等が挙げられる。これらの中でも、強度、柔らかさ等の観点から、パルプ繊維が互いに絡み合った層が好ましい。パルプ繊維としては特に限定されないが、例えば、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース、ダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(以下「NBKP」ともいう)が挙げられる。NBKPは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。パルプ繊維ウェブ32の坪量は特に限定されないが、均一性、触感、吸収性等の観点から、例えば30g/m以上70g/m以下である。
【0049】
パルプ繊維の含有量は、例えば、パルプ含有複合型不織布20全量の65質量%以上90質量%以下であり、残部がスパンボンド不織布31であり、又は70質量%以上85質量%以下であり、残部がスパンボンド不織布31である。パルプ繊維の含有量が65質量%未満であると体液の吸収性、拡散性等の面で安定したパルプ含有複合型不織布20が形成されない傾向があり、90質量%超えるとパルプ含有複合型不織布20が硬くなる傾向がある。
【0050】
パルプ含有複合型不織布20全体としての坪量は、例えば、40g/m以上80g/m以下、又は40g/m以上60g/m以下である。40g/m未満であるとパルプ含有複合型不織布20が柔らかくなりすぎる傾向があり、80g/mを超えるとパルプ含有複合型不織布20が硬くなりすぎる傾向がある。
【0051】
パルプ含有複合型不織布20について、テンシロンでの引張強度試験において、25mm幅に形成した試験片を縦方向に2mm伸ばすのに必要な力(引張強度)は特に限定されないが、例えば、1.5N/25mm以上5.0N/25mm以下である。
【0052】
パルプ含有複合型不織布20の厚さは、シックネスゲージ(商品名:ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK(登録商標)、(株)尾崎製作所製)を用いて測定したとき、例えば、0.25mm以上0.50mm以下、又は0.30mm以上0.45mm以下である。この範囲より低い値の場合、パルプ含有複合型不織布20が柔らかくなりすぎ、吸収性物品1の製造時にパルプ含有複合型不織布20を安定して固定できない傾向がある。また、この範囲よりも高い値の場合、パルプ含有複合型不織布20が硬くなる傾向がある。
【0053】
スパンボンド不織布31とパルプ繊維ウェブ32との一体化は、例えば、熱圧着法、水流交絡法、接着剤による一体化等の方法により実施できる。これらの方法の中でも、水流交絡法を利用すれば、外観、触感の柔らかさと強度の両立等を有するパルプ含有複合型不織布20が得られる。水流交絡法によれば、バインダーや接着剤を用いることなく、スパンボンド不織布31の非肌側表面に水流と共にパルプ繊維を吹き付けることで、パルプ繊維ウェブ32中にてパルプ繊維が絡み合うとともに、スパンボンド不織布31の構成繊維とパルプ繊維とが絡み合い、スパンボンド不織布31とパルプ繊維ウェブ32とが強固に一体化した水流交絡一体化物が得られる。
【0054】
このような水流交絡一体化物の一実施形態として、少なくとも一部のパルプ繊維がスパンボンド不織布31を構成する繊維(合成樹脂繊維等)及び/又は他のパルプ繊維と絡み合って、スパンボンド不織布31の一方の面に固着したパルプ繊維ウェブ32と、スパンボンド不織布31を厚み方向に貫通してその他方の面から外方に突出したパルプ繊維と、を含む水流交絡一体化物が挙げられる。この実施形態に前述の凹凸部30を形成した場合、凸部28及び凹部29のスパンボンド不織布31側表面にパルプ繊維の一部が露出し、この露出したパルプ繊維が体液の誘導路となり、凹凸部30の立体構造(特に凹部29)とパルプ繊維ウェブ32とが相乗的に協働し、高吸収性シート18全体への体液の極めて速やかな拡散及び吸収保持が得られ、吸収速度が高まり、ウエットバック防止性が向上する。前記実施形態の水流交絡一体化物は、例えば、スパンボンド不織布31に吹き付ける水流の圧力を適宜調整することにより得ることができる。前記実施形態の水流交絡一体化物の中でも、強度、柔らかさ、吸収性の観点から、スパンボンド不織布31がポリプロピレンからなることがより好ましい。
【0055】
パルプ含有複合型不織布20への凹凸部30の形成は、例えば、エンボス加工により行われる。エンボス加工としては、例えば、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の公知の方法が挙げられる。加圧及び/又は加熱と、エンボス加工と、を同時に実施してもよい。
【0056】
吸収体15の寸法は特に限定されないが、例えば、長手方向の寸法は380mm以上750mm以下の範囲又は430mm以上680mm以下の範囲、幅方向の寸法は50mm以上480mm以下の範囲又は80mm以上450mm以下の範囲である。吸収体15の平面視形状は特に限定されないが、例えば、矩形状(長方形状)、砂時計状、I字状、長方形の4角が丸まった角丸四角形状、長円状、一方向に長い楕円形状等が挙げられる。なお、幅が150mm以上になる場合には、砂時計状のように股間の部分の幅を狭くすることで、着用者が足を動かしやすくすることがより望ましい。その場合、一番幅が狭い部分の寸法は例えば80mm以上120mm以下の範囲である。吸収体15の厚みは、吸収体15の形態や材質等に応じて適宜選択される。また、体液の吸収性、保持性や、吸収体15の形状保持性、SAPの脱落防止等の観点から、必要に応じて吸収体15全体をティシュー等の親水性シートで被覆してもよい。
【0057】
(立体ギャザー)
吸収性物品1は、図1に示すように、例えば、着用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、必要に応じて、トップシート10の肌側面の幅方向両側端部に、一対の立体ギャザー25を備えていてもよい。立体ギャザー25は、弾性伸縮部材25aと、ギャザーシート25bとを備えている。本実施形態のギャザーシート25bの幅方向一端及び途中部は、それぞれ、バックシート24及びトップシート10の各肌側面の幅方向両端部周辺に長手方向に延びるように固定され、幅方向他端は遊離端になっている。遊離端付近には遊離端の長手方向に沿って弾性伸縮部材25aが配設され、遊離端に起立性が付与され、着用者の体型に合わせて変形可能になる。
【0058】
ギャザーシート25bの一端(遊離端とは幅方向で反対側の端部)の固定位置は本実施形態に限定されず、例えば、バックシート24の幅方向両端部周辺、吸収体15を内部に収納したトップシート10とバックシート24との接合体又は部分接合体の幅方向両端部周辺、トップシート10の肌側面の幅方向両端部周辺等が挙げられる。弾性伸縮部材25aには、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等を使用できる。ギャザーシート25bには、疎水性繊維にて形成された撥水性又は液不透過性の不織布、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層体である複合不織布等を使用できる。なお、本実施形態の吸収性物品1は、立体ギャザー25を含まない実施形態をも包含する。
【0059】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、吸収体15をトップシート10とバックシート24との間に配置する工程と、トップシート10の縁辺とバックシート24の縁辺とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、バックシート24及び/又はトップシート10の所定位置に立体ギャザー25を設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。そして、吸収性物品1が尿取りパッドや軽失禁パッドである場合は、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折りたためばよい。また、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を必要に応じて設けることができる。
【0060】
<第2実施形態>
図3及び図4に示す第2実施形態の吸収性物品2は、吸収性物品1の変形例であり、トップシート10と吸収体15との間にセカンドシート11を配置する以外は、吸収性物品1と同じ構成である。セカンドシート11としては、体液透過性を有する親水性不織布であれば特に制限されず、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの不織布の中でも、体液拡散性等の観点から、エアスルー不織布が好ましい。セカンドシート11の坪量は、好ましくはトップシート10よりも大きく、例えば35g/m以上125g/m以下の範囲、又は35g/m以上125g/m以下の範囲である。セカンドシート11をトップシート10と吸収体15との間に介在させることにより、吸収体15に対して一時的に供給される体液量が増加するが、吸収体15は体液を受け止めて直ぐに拡散させる能力が高いので、ウエットバックやモレ等を発生させることなく、体液を拡散、吸収及び保持することができる。その結果、一度の体液量が通常より多い場合でも、着用者の肌や衣服を汚すことなく体液を円滑に吸収できる。
【0061】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例
【0062】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をさらに具体的に説明する。
【0063】
(実施例1)
トップシートとしては坪量20g/mのエアスルー不織布(寸法:200mm×630mm)を用い、バックシートとしては坪量35g/mの通気性ポリエチレンフィルム(寸法:200mm×630mm)を用いた。表1及び表2に記載のエアスルー不織布、パルプ含有複合型不織布(以下単に「パルプ含有」ともいう)及び高吸収性ポリマーを用い、第1層吸収体(第1層高吸収性シート)、第2層吸収体(第2層高吸収性シート)及び第3層吸収体(第3層高吸収性シート)を作製し、この順に積層して3層積層体である吸収体を作製した。第1層吸収体、及び第2層吸収体の着用者側エアスルー不織布の表面に、それぞれ、エンボス加工により平面視ひょうたん型(以下「曲線2本」ともいう)の凹溝、及び平面視斜め格子状の凹溝を形成した。パルプ含有複合型不織布にエンボス加工により、図6及び図7に示す凹凸部を形成した。得られた凹凸部(以下単に「六角形」ともいう)を有するパルプ含有複合型不織布2枚と表2に記載の高吸収性ポリマーとを用い、図6に示す構造を有する第3層吸収体を作製した。なお、第1層及び第2層の凹溝、第3層の凹部は、いずれも、断面視長方形状、幅1.5mm×深さ2.0mmであった。第1層、第2層及び第3層の各吸収体をこの順に積層し、3層積層構造の吸収体を作製した。トップシートとバックシートとの間に吸収体を配置し、トップシート及びバックシートの各縁辺を部分的に溶着し、パッドタイプ紙おむつである実施例1の吸収性物品を作製した。なお、実施例1の吸収体の3層積層構造は図2と同じである。
【0064】
(比較例1)
フラッフパルプ及び高吸収性ポリマーを、表1(第1層吸収体)及び表2(第2層吸収体)に記載の坪量で用い、第1層フラッフパルプ吸収体(図9、41)及び第2層フラッフパルプ吸収体(図9、42)を作製し、これらをこの順に積層して比較例1の吸収体(図9、40)を作製した。この吸収体を用いる以外は、実施例1と同様にして、パッドタイプ紙おむつである比較例1の吸収性物品を作製した。
【0065】
(比較例2)
第3層吸収体として、表2に記載のエアスルー不織布2枚の間に高吸収性ポリマーを挟持及び接着した高吸収性シートを用いる以外は、実施例1と同様にして、パッドタイプ紙おむつである比較例2の吸収性物品を作製した。なお、比較例2の吸収体の3層積層構造は図2と同様である。
【0066】
(比較例3)
第1層吸収体のエアスルー不織布(坪量40g/m)と、第2層吸収体のエアスルー不織布(坪量20g/m)とを交換する以外は、比較例2と同様にして、吸収体(図10、35)を作製し、パッドタイプ紙おむつである比較例3の吸収性物品を作製した。なお、比較例3の吸収体の3層積層構造は図2と同じである。
【0067】
(比較例4)
第1層吸収体における高吸収性ポリマーのボルテックス吸収速度を52秒から30秒に変更し、第3層吸収体における高吸収性ポリマーのボルテックス吸収速度を30秒から52秒に変更する以外は、実施例1と同様にして、パッドタイプ紙おむつである比較例4の吸収性物品を作製した。なお、比較例4の吸収体の3層積層構造は図2と同様である。
【0068】
(比較例5)
第1層吸収体として、表1に記載のパルプ含有複合型不織布及び高吸収性ポリマーを用い、パルプ含有複合型不織布には凹凸部形成のエンボス加工を施さず、着用者側表面に平面視ひょうたん型(曲線2本)の凹溝エンボスを形成した高吸収性シートを用いる以外は、実施例1と同様にして、吸収体(図2)を作製し、パッドタイプ紙おむつである比較例5の吸収性物品を作製した。なお、比較例5の吸収体の3層積層構造は図2と同じである。
【0069】
(比較例6)
第1層吸収体として、表1に記載のエアスルー不織布に実施例1の第3層吸収体と同様の凹凸部を形成し、加工されたエアスルー不織布2枚と表1に記載の高吸収性ポリマーとを用いて高吸収性シートを作製した。第2層吸収体として、実施例2と同じものを用いた。第3層吸収体として、表3に記載のパルプ含有複合型不織布及び高吸収性ポリマーを用い、パルプ含有複合型不織布には凹凸部形成のエンボス加工を施さず、着用者側表面に平面視ひょうたん型(曲線2本)の凹溝エンボスを形成した高吸収性シートを用いた。これらの、第1層~第3層吸収体を積層し、比較例6の吸収体を作製した。この吸収体を用いる以外は、実施例2と同様にして、パッドタイプ紙おむつである比較例6の吸収性物品を作製した。なお、比較例6の吸収体の3層積層構造は図2と同様である。
【0070】
実施例1及び比較例1~6で得られた各吸収性物品について、次の方法に従って、荷重下厚さ(mm)、尿量が多い人の夜間着用時のモレ有無、1週間着用の着用感及び肌状態のモニター回答、吸収速度(150ml×3回合計、秒)並びに逆戻り量(150ml×8回注水、g)を評価した。結果を表3に示す。
【0071】
(荷重下厚さ)
ハイトゲージ(商品名、(株)ミツトヨ製)を用い、35g/cm加圧下に、実施例1及び比較例1~6の吸収性物品の3層吸収体積層体を収納した部分の厚さ(mm)を測定した。なお、35g/cmの荷重下での厚さは、吸収性物品におもりを乗せた状態のおもりの所定位置の高さから、おもり自体における同所定位置の高さを減じた値として求められる。
【0072】
〔尿量が多い人の夜間着用時のモレ評価〕
介護施設において比較的尿量の多い8人のパネラーの協力の下、実施例1及び比較例1~6の各吸収性物品を着用してもらい、一晩着用後のモレの有無について評価を行った。横モレや縦モレ(長手方向前端部又は後端部からのモレが生じる)等、モレの状態を観察し、次の基準で評価した。
〇:「モレがない」の評価が6人以上8人以下のとき
△:「モレがない」の評価が3人以上5人以下のとき
×:「モレがない」の評価が1人若しくは2人のとき又は「モレがない」の評価が1人もいないとき
【0073】
(1週間着用のモニター評価)
日常を主に寝た状態で生活する紙おむつ着用者8人の各パネラーの協力の下、実施例1及び比較例1~6の各吸収性物品を着用した場合の、着用感(つけ心地のやわらかさ、動きやすさ)及び肌状態について、「良い」又は「悪い」の2択で官能評価を行った。着用者は1回あたり8時間使用し、1週間使用してもらい就寝時の体勢変換や食事、脱衣といった日常動作における評価を行った。
〇:「良い」を選んだ着用者が5人以上8人以下のとき
△:「良い」を選んだ着用者が3人以上4人以下のとき
×:「良い」を選んだ着用者が1人若しくは2人のとき、又は「良い」を選んだ着用者が1人もいないとき
【0074】
(繰返し吸収速度)
実施例1及び比較例1~6の各吸収性物品を平面に伸ばして広げた状態で固定し、内径30mmの筒状吸収速度治具(重量700g)を吸収性物品の肌当接面側の幅方向、長手方向の中央に設置し、1回あたり150mlの0.9%生理食塩水を注入し、紙おむつ表面に液面が吸収されるまでの時間を計測した。吸収後から3分後に次の150mlを注入し、同様に吸収されるまでの時間を計測した。この操作を繰り返し、150ml×3回の吸収に要する時間の合計を吸収速度(秒)とした。
【0075】
(逆戻り量)
実施例1及び比較例1~6の各吸収性物品を平面に伸ばして広げた状態で固定し、吸収性物品の肌側面の幅方向、長手方向の中央に0.9%生理食塩水150mlを8回注入し10分間静置した。吸収性物品の肌側面の幅方向、長手方向の中央に濾紙を置き、さらにその上に錘(重量700g)を置き1分間静置した。1分間静置後に錘を取りのぞき、濾紙が吸収した0.9%生理食塩水の重量を、吸収前後の重量差より求め、逆戻り量(ウエットバック、g)とした。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【符号の説明】
【0079】
1、2 吸収性物品
10 トップシート
11 セカンドシート
12 高吸収性ポリマー
15 吸収体
16、17、18 高吸収性シート
19 エアスルー不織布
20 パルプ含有複合型不織布
21、22 凹溝
24 バックシート
25 立体ギャザー
25a 弾性伸縮部材
25b ギャザーシート
26 接触面又は緩い接合面
27 高吸収性ポリマー保持空間
28 凸部
29 凹部
30 凹凸部
31 スパンボンド不織布
32 パルプ繊維ウェブ
40、41、42 吸収体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9