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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】通行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20240605BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240605BHJP
   B64F 1/36 20240101ALI20240605BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20240605BHJP
   B64U 101/64 20230101ALN20240605BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64C27/08
B64F1/36
B64U10/13
B64U101:64
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020117974
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015262
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 泉貴
(72)【発明者】
【氏名】久保庭 拓也
(72)【発明者】
【氏名】根本 征治
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/181899(WO,A1)
【文献】特開2019-36147(JP,A)
【文献】特開2018-77754(JP,A)
【文献】特開2020-91851(JP,A)
【文献】特開2005-263112(JP,A)
【文献】特開2020-90152(JP,A)
【文献】特開2018-16203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上空に存在する複数のドローンの通行を制御するための通行制御システムであって、
前記通行制御システムは、
各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つに付与されると共に、各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つを識別可能とする複数の機体情報と、各々が前記複数のドローンによって運搬される複数の荷物のうちの対応する一つの属性を示す複数の荷物情報とを取得し、
前記複数の機体情報と、前記複数の荷物情報とに基づいて、前記複数のドローンのうち最も通行優先順位の高い第1ドローンを決定し、
上空の通行を許可する通行許可信号と、前記第1ドローンの機体情報を外部に向けて送信
前記通行制御システムは、
各々が前記複数の荷物のうちの対応する一つを示す複数の画像データに基づいて、前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを取得する、
通行制御システム。
【請求項2】
前記通行制御システムを構成する要素の少なくとも一部は、交通インフラ設備に設けられており、
前記交通インフラ設備は、信号機又は街路灯である、
請求項1に記載の通行制御システム。
【請求項3】
前記通行制御システムは、
前記複数のドローンから前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを受信することで、前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを取得する、
請求項1又は2に記載の通行制御システム。
【請求項4】
前記通行制御システムは、
前記複数の機体情報と、前記複数の荷物情報とに基づいて、前記複数のドローンのうち2番目に通行優先順位の高い第2ドローンを決定し、
前記第1ドローンが前記交通インフラ設備の上空を通過したときから所定期間が経過した後に、前記通行許可信号と前記第2ドローンの機体情報を外部に向けて送信する、
請求項に記載の通行制御システム。
【請求項5】
上空に存在する複数のドローンの通行を制御するための通行制御システムであって、
前記通行制御システムは、
各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つに付与されると共に、各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つを識別可能とする複数の機体情報と、各々が前記複数のドローンによって運搬される複数の荷物のうちの対応する一つの属性を示す複数の荷物情報とを取得し、
前記複数の機体情報と、前記複数の荷物情報とに基づいて、前記複数のドローンの通行優先順位を決定し、
前記複数のドローンの通行優先順位に関する情報を外部に向けて送信
前記通行制御システムは、
各々が前記複数の荷物のうちの対応する一つを示す複数の画像データに基づいて、前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを取得する、
通行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、荷物の配送に無人飛行体であるドローンを活用する動きが世界各国で活発化しつつある。例えば、特許文献1では、ドローンを用いた荷物配送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-263112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、将来的に荷物の配送用に空中を飛行するドローンが活用される場合、大都市の空中の配送ルート上においてドローンの渋滞が発生することが想定される。かかる状況下においては、ドローン同士が互いに衝突することで、ドローンが運ぶ荷物(例えば、衝撃によって損傷しやすい食器類等)が損傷する場合が考えられる。さらに、長時間の渋滞に伴い、ドローンが運ぶ速達指定の荷物が指定時間内に届かない場合や、荷物(例えば、生鮮食品等)の鮮度が劣化してしまうことが考えられる。このように、配送ルート上のドローンの渋滞によって生じる様々な問題を解決するための対応策について検討の余地がある。特に、ドローンによって運搬される荷物の属性に応じて、当該ドローンの通行を制御する通行制御システムについて検討の余地がある。
【0005】
本開示は、各ドローンによって運搬される荷物の属性に応じて、上空を飛行する各ドローンの交通整理を行うことが可能な通行制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る通行制御システムは、上空に存在する複数のドローンの通行を制御するように構成されている。
前記通行制御システムは、
各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つに付与されると共に、各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つを識別可能とする複数の機体情報と、各々が前記複数のドローンによって運搬される複数の荷物のうちの対応する一つの属性を示す複数の荷物情報とを取得し、
前記複数の機体情報と、前記複数の荷物情報とに基づいて、前記複数のドローンのうち最も通行優先順位の高い第1ドローンを決定し、
上空の通行を許可する通行許可信号と、前記第1ドローンの機体情報を外部に向けて送信する。
【0007】
上記構成によれば、複数の機体情報と複数の荷物情報とに基づいて、最も通行優先順位が高い第1ドローンが決定された上で、通行許可信号と第1ドローンの機体情報が外部に向けて送信される。このように、各ドローンによって運搬される荷物の属性に応じて上空を飛行する各ドローンの交通整理を行うことが可能な通行制御システムを提供することができる。
【0008】
また、前記通行制御システムを構成する要素の少なくとも一部は、交通インフラ設備に設けられてもよい。
前記交通インフラ設備は、信号機又は街路灯であってもよい。
【0009】
上記構成によれば、ドローンの通行を制御する通行制御システムを構成する要素の少なくとも一部が既存の交通インフラ設備である信号機や街路灯に設けられている。このように、通行制御システムの構成要素を設置する場所として、既存の交通インフラ設備を有効的に活用することができる。
【0010】
また、前記通行制御システムは、
前記複数のドローンから前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを受信することで、前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを取得してもよい。
【0011】
上記構成によれば、通行制御システムは、複数のドローンから複数の機体情報と複数の荷物情報を受信するため、通行制御システムに設けられたカメラ等を用いてこれらの情報を取得する場合と比較して確実にこれらの情報を取得することができる。
【0012】
また、前記通行制御システムは、各々が前記複数の荷物のうちの対応する一つを示す複数の画像データに基づいて、前記複数の機体情報と前記複数の荷物情報とを取得してもよい。
【0013】
上記構成によれば、通行制御システムは、複数のドローンから複数の機体情報と複数の荷物情報を受信することなしに、通行制御システムに設けられたカメラからの画像データに基づいて複数の機体情報と荷物情報とを取得することができる。
【0014】
また、前記通行制御システムは、
前記複数の機体情報と、前記複数の荷物情報とに基づいて、前記複数のドローンのうち2番目に通行優先順位の高い第2ドローンを決定し、
前記第1ドローンが前記交通インフラ設備の上空を通過したときから所定期間が経過した後に、前記通行許可信号と前記第2ドローンの機体情報を外部に向けて送信してもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1ドローンが交通インフラ設備の上空を通過したときから所定期間が経過した後に、2番目に通行優先順位が高い第2ドローンが交通インフラ設備の上空を通行することが許可される。このように、各ドローンによって配送される荷物の属性に応じて上空を飛行する各ドローンの交通整理を行うことが可能な通行制御システムを提供することができる。
【0016】
本開示の一態様に係る通行制御システムは、上空に存在する複数のドローンの通行を制御するように構成されている。
前記通行制御システムは、
各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つに付与されると共に、各々が前記複数のドローンのうちの対応する一つを識別可能とする複数の機体情報と、各々が前記複数のドローンによって運搬される複数の荷物のうちの対応する一つの属性を示す複数の荷物情報とを取得し、
前記複数の機体情報と、前記複数の荷物情報とに基づいて、前記複数のドローンの通行優先順位を決定し、
前記複数のドローンの通行優先順位に関する情報を外部に向けて送信する。
【0017】
上記構成によれば、複数の機体情報と複数の荷物情報とに基づいて、複数のドローンの通行優先順位が決定された上で、当該通行優先順位に関する情報が外部に向けて送信される。このように、各ドローンによって運搬される荷物の属性に応じて上空を飛行する各ドローンの交通整理を行うことが可能な通行制御システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、各ドローンによって運搬される荷物の属性に応じて、上空を飛行する各ドローンの交通整理を行うことが可能な通行制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】街路灯に設けられた通行制御システムと街路灯の上空に存在する複数のドローンとを示す図である。
図2】通行制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】ドローンの構成の一例を示すブロック図である。
図4】複数のドローンの通行を制御するための通行制御方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】複数のドローンの通行を制御するための通行制御方法の他の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0021】
最初に、図1から図3を参照して本実施形態に係る通行制御システム1とドローン2a~2cについて以下に説明する。図1は、街路灯40(交通インフラ設備の一例)に設けられた通行制御システム1と街路灯40の上空に存在するドローン2a~2cとを示す図である。図2は、通行制御システム1の構成の一例を示すブロック図である。図3は、ドローン2aの構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、通行制御システム1は、街路灯40に設けられており、上空に存在する複数のドローンの通行を制御するためのシステムである。本実施形態では、通行制御システム1を構成する要素の全てが街路灯40に設けられているが、通行制御システム1の一部の要素が街路灯40とは離れた位置に設けられてもよい。
【0023】
また、上空に存在するドローン2a~2cは、例えば、車道の路面から高さ5~10メートルの位置に存在している。さらに、歩行者が行き交う歩道やアーケード通りでは、ドローン2a~2cは、歩行者の頭上から2~5メートルの位置に存在していることが好ましい。
【0024】
図1及び図2に示すように、通行制御システム1は、制御ユニット12と、カメラ13と、無線通信モジュール14と、有線通信モジュール15とを備える。
【0025】
制御ユニット12は、通行制御システム1に設けられた各構成要素を制御するように構成されている。制御ユニット12は、例えば、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステムと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、フラッシュメモリを含んでもよい。ROMには、街路灯40の周辺環境を特定するための周辺環境特定プログラムが記憶されてもよい。例えば、周辺環境特定プログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた機械学習によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。さらに、ROMには、ドローンが運搬する荷物の種類とドローンの通行優先順位が互いに関連付けられた通行優先順位テーブル(後述する)が記憶されてもよい。
【0026】
カメラ13は、街路灯40の周辺環境を示す画像データを取得するように構成されている。カメラ13は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等により構成されている。無線通信モジュール14は、無線によりドローン2に通信可能に接続されてもよい。無線通信モジュール14は、高周波回路と、送受信アンテナと、信号処理回路とを備えている。無線通信モジュール14は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はLPWA等の無線通信規格に基づいて、通行制御システム1と外部機器(本例では、ドローン2a~2c)とを通信可能に接続してもよい。本実施形態では、通行制御システム1は、無線通信モジュール14を介して、各ドローンから機体情報及び荷物情報を受信すると共に、各ドローンに向けて通行許可信号又は待機信号を送信することが可能となる。有線通信モジュール15は、LANケーブル等の通信ケーブルが挿入される端子を有する。通行制御システム1は、有線通信モジュール15を介して、インターネット等のIP(Internet Protocol)ネットワーク上に配置された外部サーバに通信可能に接続されてもよい。
【0027】
次に、ドローン2a~2cについて以下に説明する。以降では、説明の便宜上、ドローン2a~2cをドローン2と総称する場合がある。無人飛行体であるドローン2は、遠隔操作モード又は自律走行モード(自動運転モード)で空中を飛行するように構成されている。ドローン2は、例えば、荷物配送サービスに活用されており、荷物を運搬している。ドローン2aは、荷物3aを運搬している。ドローン2bは、荷物3bを運搬している。ドローン2cは、荷物3cを運搬している。以降の説明では、各荷物3a~3cを荷物3と総称する場合がある。
【0028】
ドローン2は、空中を飛行しながら外部に向けてドローン2を識別可能とする機体情報と荷物3の属性を示す荷物情報を外部に向けてブロードキャストするように構成されている。また、ドローン2は、無線により図示しない無線基地局に接続されてもよい。この点において、ドローン2は、データ通信用のSIMカードを備えていると共に、第4世代又は第5世代移動通信システムを通じて無線基地局に通信可能に接続されてもよい。ドローン2は、無線基地局を介してIPネットワーク上の外部サーバに通信可能に接続されてもよい。
【0029】
図3を参照して、ドローン2aの構成について以下に説明する。ドローン2b,2cもドローン2aと同様の構成を有するものとする。図3に示すように、ドローン2aは、制御部20と、無線通信モジュール21と、カメラ22と、GPS(Global Positioning System)23と、記憶装置24とを備える。ドローン2aは、センサ25と、バッテリー26と、モータ27と、モータドライバ28とをさらに備える。
【0030】
制御部20は、ドローン2aに設けられた各構成要素を制御するように構成されている。制御部20は、例えば、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステムと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPUのうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROMと、RAMを含む。
【0031】
無線通信モジュール21は、高周波回路と、送受信アンテナと、信号処理回路とを有している。無線通信モジュール21は、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee又はLPWA等の無線通信規格に基づいて、ドローン2aと外部機器とを通信可能に接続してもよい。本実施形態では、ドローン2aは、無線通信モジュール21を介して、機体情報と荷物情報を外部に向けてブロードキャストしている。また、無線通信モジュール21は、第4世代又は第5世代移動通信システムを通じて、ドローン2aと無線基地局とを通信可能に接続してもよい。
【0032】
カメラ22は、ドローン2の周辺環境を示す画像データを取得するように構成されている。カメラ22は、例えば、CCDやCMOSにより構成されている。GPS23は、ドローン2の現在位置座標を示す現在位置情報を取得するように構成されている。記憶装置24は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置24には、画像データ等の各種データが保存されてもよい。
【0033】
センサ25は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサのうち少なくとも一つを有してもよい。例えば、センサ25は、ドローン2aの飛行速度や飛行姿勢を検出するように構成されている。バッテリー26は、ドローン2aの各構成部品に電力を供給するように構成されている。モータ27は、ドローン2aの駆動源として機能しており、ドローン2aの飛行機構である複数のプロペラを回転させるように構成されている。モータドライバ28は、制御部20から送信された飛行制御信号に基づいて、モータ27の駆動を制御するように構成されている。
【0034】
次に、図4を参照してドローン2a~2cの通行を制御するための通行制御方法の一例について以下に説明する。図4は、ドローン2a~2cの通行を制御するための通行制御方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0035】
図4に示すように、ステップS1において、通行制御システム1の制御ユニット12は、街路灯40の周辺環境を示す画像データをカメラ13から取得する。次に、制御ユニット12は、取得した画像データとメモリに保存された周辺環境特定プログラムに基づいて街路灯40に付近を飛行するドローン2a~2cを検出する。
【0036】
次に、ステップS2において、ドローン2aは、ドローン2aの機体情報とドローン2aにより運搬される荷物3aの属性を示す荷物情報とを外部に向けてブロードキャストする。ここで、ドローン2aの機体情報は、ドローン2aに付与されると共に、ドローン2aを識別可能とする情報である。例えば、ドローン2aの機体情報は、行政機関から付与されたドローン2aに固有の識別番号であってもよい。また、「荷物情報」は、衣類、食器、食品、日用品、スポーツ用品などの配送される荷物の種類を示す種類情報と、通常配送用の荷物や速達配送用の荷物等の荷物の配送優先度を示す配送優先度情報を含んでもよい。本例では、荷物3aの属性を示す荷物情報は、スポーツ用品を示す種類情報と、速達配送用の荷物を示す配送優先度情報とを含むものとする。ドローン2aは、所定の時間間隔で機体情報と荷物情報を外部に向けてブロードキャストするものとする。
【0037】
次に、ステップS3において、ドローン2bは、ドローン2bの機体情報とドローン2bにより運搬される荷物3bの属性を示す荷物情報とを外部に向けてブロードキャストする。ここで、ドローン2bの機体情報は、ドローン2bに付与されると共に、ドローン2bを識別可能とする情報である。例えば、ドローン2bの機体情報は、行政機関から付与されたドローン2bに固有の識別番号であってもよい。本例では、荷物3bの属性を示す荷物情報は、食品を示す種類情報と、通常配送用の荷物を示す配送優先度情報とを含むものとする。ドローン2bは、所定の時間間隔で機体情報と荷物情報を外部に向けてブロードキャストするものとする。
【0038】
次に、ステップS4において、ドローン2cは、ドローン2cの機体情報とドローン2cにより運搬される荷物3cの属性を示す荷物情報とを外部に向けてブロードキャストする。ここで、ドローン2cの機体情報は、ドローン2cに付与されると共に、ドローン2cを識別可能とする情報である。例えば、ドローン2cの機体情報は、行政機関から付与されたドローン2cに固有の識別番号であってもよい。本例では、荷物3cの属性を示す荷物情報は、衣類を示す種類情報と、通常配送用の荷物を示す配送優先度情報とを含むものとする。ドローン2cは、所定の時間間隔で機体情報と荷物情報を外部に向けてブロードキャストするものとする。尚、ステップS2からS4の順番は特に限定されるものではなく、ステップS2からS4の処理は同時に実行されてもよい。
【0039】
次に、ステップS5において、制御ユニット12は、無線通信モジュール14を介して各ドローン2a~2cから機体情報と荷物情報を受信することで、各ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とを取得する。その後、制御ユニット12は、各ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とに基づいて、各ドローン2a~2cの通行優先順位を決定する(ステップS6)。
【0040】
具体的には、制御ユニット12は、メモリに保存されたドローン2が運搬する荷物の種類とドローン2の通行優先順位が互いに関連付けられた通行優先順位テーブルを参照することで、各ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とに基づいて、各ドローン2a~2cの通行優先順位を決定する。通行優先順位テーブルの一例を以下に示す。また、荷物の種類に関係なく、速達配送用の荷物を運ぶドローンの通行優先順位は、通常配送用の荷物を運ぶドローンの通行優先順位よりも高いものとする。
【表1】
【0041】
本例では、荷物3aの荷物情報が速達配送用の荷物を示す配送優先度情報を含む一方、荷物3b,3cの荷物情報が通常配送用の荷物を示す配送優先度情報を含む。このため、ドローン2a~2cにおいて荷物3aを運ぶドローン2aの通行優先順位が最も高くなるため、制御ユニット12は、ドローン2aを最も通行優先順位が高いドローンとして決定する。一方で、荷物3bの種類は、通行優先順位が1番目である食品である。一方、荷物3cの種類は、通行優先順位が5番目である衣類である。このため、荷物3bを運ぶドローン2bの通行優先順位は、荷物3cを運ぶドローン2cの通行優先順位よりも高くなるため、制御ユニット12は、ドローン2bを二番目に通行優先順位が高いドローンとして決定する一方で、ドローン2cを最も優先順位が低いドローンとして決定する。このように、制御ユニット12は、各荷物3a~3cの優先順位を決定した上で、各ドローン2a~2cの通行優先順位を決定する。
【0042】
その後、制御ユニット12は、街路灯40の上空の通行を許可する通行許可信号と共にドローン2aの機体情報を外部に向けてブロードキャストする(ステップS7)。また、制御ユニット12は、街路灯40の上空で待機することを指示する待機信号と共にドローン2bの機体情報を外部に向けてブロードキャストする(ステップS8)。さらに、制御ユニット12は、当該待機信号と共にドローン2cの機体情報を外部に向けてブロードキャストする(ステップS9)。
【0043】
ステップS10において、ドローン2aは、通行許可信号とドローン2aの機体情報との受信に応じて、街路灯40の上空の通行が許可されていることを認識した後に、街路灯40の上空を通過する。さらに、ドローン2bは、待機信号とドローン2bの機体情報との受信に応じて、街路灯40の上空で待機する必要があることを認識した上で、街路灯40の上空にて待機する。ドローン2cも同様に、待機信号とドローン2cの機体情報との受信に応じて、街路灯40の上空で待機する必要があることを認識した上で、街路灯40の上空にて待機する。
【0044】
次に、制御ユニット12は、ドローン2aが街路灯40の上空を通過したときから所定期間が経過したことを判断する(ステップS11)。その後、制御ユニット12は、通行許可信号と共にドローン2bの機体情報を外部に向けてブロードキャストする(ステップS12)。ステップS13において、ドローン2bは、通行許可信号とドローン2bの機体情報との受信に応じて、街路灯40の上空の通行が許可されていることを認識した後に、街路灯40の上空を通過する。
【0045】
次に、制御ユニット12は、ドローン2bが街路灯40の上空を通過したときから所定期間が経過したことを判断する(ステップS14)。その後、制御ユニット12は、通行許可信号と共にドローン2cの機体情報を外部に向けてブロードキャストする(ステップS15)。ステップS16において、ドローン2cは、通行許可信号とドローン2cの機体情報との受信に応じて、街路灯40の上空の通行が許可されていることを認識した後に、街路灯40の上空を通過する。
【0046】
このように、複数のドローン2が街路灯40の付近に存在する場合において、各ドローン2が運搬する荷物の属性に応じて通行制御システム1によって各ドローン2の交通整理が実行される。
【0047】
本実施形態によれば、ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とに基づいて、最も優先順位の高いドローン2aが決定された上で、通行許可信号とドローン2aの機体情報が外部に向けてブロードキャストされる。さらに、ドローン2aが街路灯40の上空を通過したときから所定期間が経過した後に通行許可信号とドローン2bの機体情報が外部に向けてブロードキャストされる。次に、ドローン2cが街路灯40の上空を通過したときから所定期間が経過した後に通行許可信号とドローン2cの機体情報が外部に向けてブロードキャストされる。このように、各ドローン2a~2cによって運搬される荷物3a~3cの属性に応じて街路灯40の上空を飛行する各ドローン2a~2cの交通整理を行うことが可能な通行制御システム1を提供することができる。
【0048】
また、本実施形態では、通行制御システム1を構成する各構成要素が街路灯40に設けられている。このように、通行制御システム1の構成要素を設置する場所として既存の街路灯40を有効的に活用することができる。
【0049】
また、本実施形態では、通行制御システム1は、ドローン2a~2cから機体情報と荷物情報とを受信するため、通行制御システム1に設けられたカメラ13を用いてこれらの情報を取得する場合と比較して確実にこれらの情報を取得することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、各ドローン2a~2cが機体情報と荷物情報を外部に向けてブロードキャストする実施態様に代わって、通行制御システム1のカメラ13を通じて各ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報が取得されてもよい。例えば、カメラ13が荷物3aを示す画像データを取得したときに、制御ユニット12は、当該取得された画像データに基づいてドローン2aの機体情報と荷物情報とを取得してもよい。この点において、荷物3a又は荷物3aの外側面には、ドローン2aの機体情報と荷物3aの荷物情報を示す2次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))が表示されてもよい。制御ユニット12は、当該2次元バーコードを示す画像データに基づいてドローン2aの機体情報と荷物情報とを取得してもよい。
【0051】
同様に、カメラ13が荷物3bを示す画像データを取得したときに、制御ユニット12は、当該取得された画像データに基づいてドローン2bの機体情報と荷物情報とを取得してもよい。この点において、荷物3bの外側面には、ドローン2bの機体情報と荷物3bの荷物情報を示す2次元バーコードが表示されてもよい。制御ユニット12は、当該2次元バーコードを示す画像データに基づいてドローン2bの機体情報と荷物情報とを取得してもよい。
【0052】
また、カメラ13が荷物3cを示す画像データを取得したときに、制御ユニット12は、当該取得された画像データに基づいてドローン2cの機体情報と荷物情報とを取得してもよい。この点において、荷物3cの外側面には、ドローン2cの機体情報と荷物3cの荷物情報を示す2次元バーコードが表示されてもよい。制御ユニット12は、当該2次元バーコードを示す画像データに基づいてドローン2cの機体情報と荷物情報とを取得してもよい。
【0053】
次に、図5を参照してドローン2a~2cの通行を制御するための通行制御方法の他の一例について以下に説明する。図5は、ドローン2a~2cの通行を制御するための通行制御方法の他の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0054】
図5に示すように、ステップS21において、制御ユニット12は、街路灯40の周辺環境を示す画像データをカメラ13から取得する。次に、制御ユニット12は、取得した画像データとメモリに保存された周辺環境特定プログラムに基づいて街路灯40に付近を飛行するドローン2a~2cを検出する。
【0055】
ステップS22において、ドローン2aは、ドローン2aの機体情報と荷物3aの属性を示す荷物情報とを外部に向けてブロードキャストする。ステップS23において、ドローン2bは、ドローン2bの機体情報と荷物3bの属性を示す荷物情報とを外部に向けてブロードキャストする。ステップS24において、ドローン2cは、ドローン2cの機体情報と荷物3cの属性を示す荷物情報とを外部に向けてブロードキャストする。
【0056】
次に、ステップS25において、制御ユニット12は、無線通信モジュール14を介して各ドローン2a~2cから機体情報と荷物情報を受信することで、各ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とを取得する。その後、制御ユニット12は、表1に示す通行優先順位テーブルを参照することで、各ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とに基づいて、各ドローン2a~2cの通行優先順位を決定する(ステップS26)。
【0057】
次に、制御ユニット12は、各ドローン2a~2cの通行優先順位に関する情報を外部に向けてブロードキャストする(ステップS27)。ここで、通行優先順位に関する情報は、ドローン2aの通行優先順位が1番目であり、ドローン2bの通行優先順位が2番目であり、ドローン2cの通行優先順位が3番目であることを示す。
【0058】
ステップS28において、ドローン2aは、通行優先順位に関する情報の受信に応じて、ドローン2aの通行優先順位が1番目であることを認識した後に、街路灯40の上空を通過する。さらに、ドローン2bは、通行優先順位に関する情報の受信に応じて、ドローン2bの通行優先順位が2番目であることを認識した上で、街路灯40の上空で待機する。ドローン2cも同様に、通行優先順位に関する情報の受信に応じて、ドローン2cの通行優先順位が3番目であることを認識した上で、街路灯40の上空で待機する。
【0059】
ステップS29において、ドローン2bは、ドローン2aが街路灯40の上空を通過したときから所定期間が経過したことを判断した後に、街路灯40の上空を通過する(ステップS30)。次に、ステップS31において、ドローン2bは、ドローン2bが街路灯40の上空を通過したときから所定期間が経過したことを判断した後に、街路灯40の上空を通過する(ステップS32)。
【0060】
このように、複数のドローン2が街路灯40の付近に存在する場合において、各ドローン2が運搬する荷物3の属性に応じて通行制御システム1によって各ドローン2の交通整理が実行される。
【0061】
本例に係る通行制御方法によれば、ドローン2a~2cの機体情報と荷物情報とに基づいて、各ドローン2a~2cの通行優先順位に関する情報が決定された上で、当該通行優先順位に関する情報が外部に向けてブロードキャストされる。各ドローン2a~2cは、受信した通行優先順位に関する情報に基づいて、街路灯40の上空を通過する又は街路灯40の上空で待機する。このように、ドローン2a~2cによって運搬される荷物3a~3cの属性に応じて街路灯40の上空を飛行する各ドローン2a~2cの交通整理を行うことが可能な通行制御システム1を提供することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0063】
例えば、本実施形態では、通行制御システム1は交通インフラ設備の一例である街路灯40に設けられているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、通行制御システム1は信号機等の交通インフラ設備に設けられてもよい。また、本実施形態では、各ドローンの通行優先順位を決定する処理(ステップS6,S26で実行される処理)が制御ユニット12によって実行されているが、本処理は通行制御システム1に通信可能に接続されたIPネットワーク上の外部サーバによって実行されてもよい。この場合、外部サーバが各ドローンの通行優先順位を決定した上で、当該通行優先順位に関する情報を通行制御システム1に送信する。その後、通行制御システム1は、外部サーバから受信した通行優先順位に関する情報に基づいて、通行許可信号と機体情報を外部に向けてブロードキャストする。
【符号の説明】
【0064】
1:通行制御システム
2,2a,2b,2c:ドローン
3,3a,3b,3c:荷物
12:制御ユニット
13:カメラ
14:無線通信モジュール
15:有線通信モジュール
20:制御部
21:無線通信モジュール
22:カメラ
23:GPS
24:記憶装置
25:センサ
26:バッテリー
27:モータ
28:モータドライバ
40:街路灯
図1
図2
図3
図4
図5