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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】着用型機器
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/18 20060101AFI20240605BHJP
   A45F 3/08 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
A44B11/18
A45F3/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020122388
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022024341
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正寛
(72)【発明者】
【氏名】間山 翔子
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0309124(US,A1)
【文献】米国特許第05586699(US,A)
【文献】実開昭58-141933(JP,U)
【文献】特開2007-289816(JP,A)
【文献】実開昭58-061027(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B11/00-11/28
A45F3/02
A45F3/04
A45F3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に取り外し可能に取り付けられる紐状部材を備えており、
前記本体は、開口を有する取付部を備えており、
前記紐状部材には、第1バックルと、第2バックルが設けられており、
前記第1バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の一方の側に配置されており、
前記第2バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の他方の側に配置されており、
前記第1バックルと前記第2バックルは、それぞれ、
第1梁部と、
前記第1梁部に対して略平行に伸びる第2梁部と、
前記第1梁部および前記第2梁部に対して略平行に伸びており、前記第1梁部と前記第2梁部の間に配置されている第3梁部と、
前記第1梁部の一端と、前記第2梁部の一端と、前記第3梁部の一端を連結する第1連結部と、
前記第1梁部の他端と、前記第2梁部の他端と、前記第3梁部の他端を連結する第2連結部と、
前記第1梁部と前記第3梁部の間、かつ前記第1連結部と前記第2連結部の間に配置されており、前記紐状部材が通過可能な第1開口と、
前記第2梁部と前記第3梁部の間、かつ前記第1連結部と前記第2連結部の間に配置されており、前記紐状部材が通過可能な第2開口を備えており、
前記紐状部材は、
前記第1バックルの前記第3梁部を取り囲み、前記第1バックルの前記第2梁部の外側を裏面側から表面側へ回って、前記第1バックルの前記第3梁部の表面側を回って、前記第1バックルの前記第1開口を表面側から裏面側へ通過しており、さらに
前記第2バックルの前記第1開口を裏面側から表面側へ通過し、前記第2バックルの前記第3梁部の表面側を回って、前記第2バックルの前記第2開口を表面側から裏面側へ通過しており、さらに
前記第1バックルの前記第1開口を裏面側から表面側へ通過しており、
前記第1バックルは前記紐状部材の張力によって前記一方の側から前記他方の側に向けて前記取付部に押し付けられて、前記第2バックルは前記紐状部材の張力によって前記他方の側から前記一方の側に向けて前記取付部に押し付けられて、前記第1バックルと前記第2バックルは、前記取付部を挟持しており、
前記第1バックルは、前記取付部の前記一方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記一方の側から前記他方の側に向けて移動することを規制し、
前記第2バックルは、前記取付部の前記他方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記他方の側から前記一方の側に向けて移動することを規制する、着用型機器。
【請求項2】
ユーザが肩にかける肩ベルトをさらに備えており、
前記紐状部材が、前記肩ベルトの少なくとも一部を構成する、請求項1の着用型機器。
【請求項3】
前記第1バックルと前記第2バックルが、同一の形状および材料の部品である、請求項1または2の着用型機器。
【請求項4】
前記第1バックルと前記第2バックルが、トリグライド型のバックルである、請求項の着用型機器。
【請求項5】
前記本体が、前記取付部の前記一方の側の面の前記開口の近傍に配置されており、前記第1バックルが嵌合する第1凹部をさらに備えている、請求項1からの何れか一項の着用型機器。
【請求項6】
前記本体が、前記取付部の前記他方の側の面の前記開口の近傍に配置されており、前記第2バックルが嵌合する第2凹部をさらに備えている、請求項1からの何れか一項の着用型機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、着用型機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体と、前記本体に取り外し可能に取り付けられる紐状部材を備える着用型機器が開示されている。前記本体は、開口を有する取付部を備えている。前記紐状部材には、第1バックルが設けられている。前記第1バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の一方の側に配置されている。前記第1バックルは、前記取付部の前記一方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記一方の側から他方の側に向けて移動することを規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2011/0309124号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の着用型機器では、紐状部材が開口を介して他方の側から一方の側へ自由に移動できるため、第1バックルが取付部から外れてしまい、紐状部材が緩んでしまったり、第1バックルが開口から抜け出てしまい、紐状部材が本体から外れてしまうおそれがある。本明細書では、紐状部材を本体に強固に固定することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する着用型機器は、本体と、前記本体に取り外し可能に取り付けられる紐状部材を備えていてもよい。前記本体は、開口を有する取付部を備えていてもよい。前記紐状部材には、第1バックルと、第2バックルが設けられていてもよい。前記第1バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の一方の側に配置されていてもよい。前記第2バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の他方の側に配置されていてもよい。前記第1バックルと前記第2バックルは、前記取付部を挟持していてもよい。前記第1バックルは、前記取付部の前記一方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記一方の側から前記他方の側に向けて移動することを規制してもよい。前記第2バックルは、前記取付部の前記他方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記他方の側から前記一方の側に向けて移動することを規制してもよい。
【0006】
上記の構成によれば、紐状部材は、開口を介して一方の側から他方の側へ移動することも、開口を介して他方の側から一方の側へ移動することも、規制されている。このため、第1バックルや第2バックルが取付部から外れてしまうことを抑制することができ、紐状部材が緩んでしまったり、紐状部材が本体から外れてしまうことを抑制することができる。紐状部材を本体に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の着用型機器10を後方上方右方から見た斜視図である。
図2】実施例の着用型機器10において、第1バックル34が第1凹部32bに篏合しており、第2バックル36が第2凹部32cに篏合している状態を、前方上方左方から見た斜視図である。
図3】実施例の着用型機器10において、第1バックル34が第1凹部32bに篏合しており、第2バックル36が第2凹部32cに篏合している状態を、後方上方左方から見た斜視図である。
図4】実施例の着用型機器10の第1バックル34および第2バックル36の斜視図である。
図5】実施例の着用型機器10において、第1バックル34が第1凹部32bから離脱しており、第2バックル36が第2凹部32cに篏合している状態での、取付部32の近傍の横断面図である。
図6】実施例の着用型機器10において、第2バックル36が取付部32よりも後方に配置された状態を、前方上方左方から見た斜視図である。
図7】実施例の着用型機器10において、第1バックル34が第1凹部32bから離脱しており、第2バックル36が第2凹部32cに篏合している状態を、後方上方左方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された着用型機器を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、着用型機器は、本体と、前記本体に取り外し可能に取り付けられる紐状部材を備えていてもよい。前記本体は、開口を有する取付部を備えていてもよい。前記紐状部材には、第1バックルと、第2バックルが設けられていてもよい。前記第1バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の一方の側に配置されていてもよい。前記第2バックルは、前記紐状部材が前記開口を通過した状態で、前記取付部の他方の側に配置されていてもよい。前記第1バックルと前記第2バックルは、前記取付部を挟持していてもよい。前記第1バックルは、前記取付部の前記一方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記一方の側から前記他方の側に向けて移動することを規制してもよい。前記第2バックルは、前記取付部の前記他方の側の面に当接することで、前記紐状部材が前記開口を介して前記他方の側から前記一方の側に向けて移動することを規制してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、紐状部材は、開口を介して一方の側から他方の側へ移動することも、開口を介して他方の側から一方の側へ移動することも、規制されている。このため、第1バックルや第2バックルが取付部から外れてしまうことを抑制することができ、紐状部材が緩んでしまったり、紐状部材が本体から外れてしまうことを抑制することができる。紐状部材を本体に強固に固定することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記着用型機器は、ユーザが肩にかける肩ベルトをさらに備えていてもよい。前記紐状部材は、前記肩ベルトの少なくとも一部を構成していてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、肩ベルトを肩に掛けて着用する着用型機器において、肩ベルトが緩んでしまったり、肩ベルトが本体から外れてしまうことを抑制することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記本体の重量が、5kg以上であってもよい。
【0016】
本体の重量が重い場合、本体が動いた時に紐状部材が緩みやすく、紐状部材が不意に外れてしまうことがある。上記の構成によれば、本体の重量が重い場合であっても、紐状部材が緩んでしまったり、紐状部材が本体から外れてしまうことを抑制することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1バックルと前記第2バックルは、同一の形状および材料の部品であってもよい。
【0018】
上記の構成によれば、第1バックルと第2バックルの部品を共通化することができ、着用型機器の製造コストを低減することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1バックルと前記第2バックルは、トリグライド型のバックルであってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第1バックルと第2バックルとして、広く一般に普及している部品を使用することができ、着用型機器の製造コストを低減することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記本体は、前記取付部の前記一方の側の面の前記開口の近傍に配置されており、前記第1バックルが嵌合する第1凹部をさらに備えていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、第1バックルが取付部に対して相対的に移動することを抑制することができ、紐状部材を本体により強固に固定することができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記本体は、前記取付部の前記他方の側の面の前記開口の近傍に配置されており、前記第2バックルが嵌合する第2凹部をさらに備えていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、第2バックルが取付部に対して相対的に移動することを抑制することができ、紐状部材を本体により強固に固定することができる。
【0025】
(実施例)
図1に示す着用型機器10は、ユーザが背負うことが可能な背負い式の作業用機器である。以下では、ユーザが着用型機器10を背負った状態における、ユーザから見た前後方向、左右方向および上下方向を、着用型機器10の前後方向、左右方向および上下方向という。
【0026】
着用型機器10は、本体12と、肩ベルト16と、腰ベルト18を備えている。本実施例において、本体12は、背負い式の電源装置である。本体12は、例えば、充放電可能な二次電池セル(図示せず)を内蔵している。本体12の重量は、例えば7kgである。本体12は、接続コード20を介して、電動作業機(図示せず)に接続可能である。本体12は、接続コード20に接続された電動作業機への放電を行うことができる。また、本体12は、接続プラグ22を介して、外部電源(図示せず)に接続可能である。本体12は、接続プラグ22に接続された外部電源からの充電も行うことができる。
【0027】
本体12は、着脱可能な背板14を備えている。背板14は、ユーザが着用型機器10を背負った時に、ユーザの背中に当接する。背板14には、肩ベルト16と腰ベルト18が取り付けられている。肩ベルト16は、ユーザが着用型機器10を背負った時に、ユーザの肩に掛けられる。腰ベルト18は、ユーザが着用型機器10を背負った時に、ユーザの腰の周りを取り囲む。肩ベルト16と腰ベルト18によって、ユーザは着用型機器10を安定して背負うことができる。
【0028】
肩ベルト16は、パッド24と、ベルト26を備えている。パッド24は、ユーザの肩の後面、上面および前面に当接する。パッド24の始端は、取付板28を介して背板14に固定されている。パッド24の終端の前面には、バックル30が設けられている。ベルト26の始端は、バックル30に固定されている。
【0029】
図2図3に示すように、ベルト26の終端は、背板14の下部に形成された取付部32に取り外し可能に取り付けられている。ベルト26の終端近傍には、図2に示す第1バックル34と、図3に示す第2バックル36が取り付けられている。
【0030】
図4に示すように、第1バックル34は、いわゆるトリグライド型のバックルである。第1バックル34は、第1梁部34aと、第2梁部34bと、第3梁部34cと、第1連結部34dと、第2連結部34eを備えている。第1梁部34a、第2梁部34b、第3梁部34cは、互いに略平行に、第1バックル34の長手方向に沿って伸びている。第3梁部34cは、第1梁部34aと第2梁部34bの間に配置されており、第1梁部34aと第2梁部34bに比べて第1バックル34の表面側にオフセットして配置されている。第1連結部34dと第2連結部34eは、第1バックル34の短手方向に沿って伸びている。第1連結部34dは、第1梁部34aの一端と、第2梁部34bの一端と、第3梁部34cの一端を連結している。第2連結部34eは、第1梁部34aの他端と、第2梁部34bの他端と、第3梁部34cの他端を連結している。第1梁部34aと、第2梁部34bと、第1連結部34dと、第2連結部34eは、略長方形の枠形状を有している。第1梁部34aの裏面と、第2梁部34bの裏面と、第1連結部34dの裏面と、第2連結部34eの裏面は、略同一平面上に配置されている。第1バックル34は、ベルト26が通過可能な第1開口34fおよび第2開口34gを備えている。第1開口34fは、第1梁部34aと、第3梁部34cと、第1連結部34dと、第2連結部34eによって区画されている。第2開口34gは、第2梁部34bと、第3梁部34cと、第1連結部34dと、第2連結部34eによって区画されている。第1バックル34の長手方向の寸法は、例えば30mm程度であり、第1バックル34の短手方向の寸法は、例えば20mm程度であり、第1バックル34の厚みは、例えば5mm程度である。
【0031】
第2バックル36と第1バックル34は、部品が共通化されている。すなわち、第2バックル36は、第1バックル34と、同一の材料からなり、同一の形状を有している。第2バックル36は、第1バックル34と同様に、第1梁部36aと、第2梁部36bと、第3梁部36cと、第1連結部36dと、第2連結部36eと、第1開口36fと、第2開口36gを備えている。
【0032】
図5に示すように、ベルト26の終端は、第1バックル34の第3梁部34cを取り囲んでベルト26に縫い付けられている。そして、ベルト26は、第1バックル34の第2開口34gを表面側から裏面側に通過しており、第2梁部34bの外側を回って、第1開口34fを表面側から裏面側へ通過している。さらに、ベルト26は、第2バックル36の第1開口36fを裏面側から表面側へ通過し、第3梁部36cの表面側を回って、第2開口36gを表面側から裏面側へ通過している。そして、ベルト26は、第2バックル36の第1開口34fを裏面側から表面側へ通過し、パッド24のバックル30に固定された始端に向けて延びている。
【0033】
図6に示すように、背板14の取付部32は、下方から上方へ向かうにつれて前方から後方へ向かうように、傾斜して配置されている。取付部32には、略長方形状の開口32aが形成されている。開口32aの長手方向の寸法は、例えば28mm程度であり、開口32aの短手方向の寸法は、例えば11mm程度である。背板14の前面側の取付部32の近傍には、第1バックル34が嵌合可能な第1凹部32bが形成されている。背板14の後面側の取付部32の近傍には、第2バックル36が嵌合可能な第2凹部32c(図7参照)が形成されている。
【0034】
ベルト26を取付部32へ取り付ける際には、図6に示すように、背板14の前面側で、第2バックル36の第1連結部36d(または第2連結部36e)を、取付部32の開口32aに対向させる。この状態から、図6に矢印で示すように、第2バックル36に開口32aを通過させる。その後、第2バックル36の裏面側が取付部32に対向し、かつ第2バックル36の長手方向が開口32aの長手方向と一致するように、第2バックル36を回転させて、図7に示すように、第2バックル36を第2凹部32cに嵌合させる。その後、ベルト26を前方に向けて引っ張りながら、図7に矢印で示すように、第1バックル34を後方に向けて移動させて、第1バックル34を第1凹部32bに嵌合させる。これによって、ベルト26が取付部32に取り付けられる。
【0035】
図2図3に示すように、ベルト26が取付部32に取り付けられた状態では、背板14の前面側に配置された第1バックル34と、背板14の後面側に配置された第2バックル36によって、取付部32が挟持されている。ユーザが着用型機器10を背負った状態では、第1バックル34はベルト26の張力によって前方から後方に向けて取付部32に押し付けられており、第2バックル36はベルト26の張力によって後方から前方に向けて取付部32に押し付けられている。このため、第1バックル34が第1凹部32bから外れてしまったり、第2バックル36が第2凹部32cから外れてしまったりすることを抑制することができる。ベルト26が不意に取付部32から外れてしまうことを防止することができる。
【0036】
なお、ベルト26を取付部32から取り外す際には、ベルト26に張力を作用させない状態で、第1バックル34を第1凹部32bから離脱させて、図7に示すように、第1バックル34を前方に向けて移動させる。この状態から、第2バックル36を第2凹部32cから離脱させて、第2バックル36の第1連結部36d(または第2連結部36e)が、取付部32の開口32aに対向するように、第2バックル36を回転させる。この状態から、第2バックル36に開口32aを通過させることで、図6に示すように、ベルト26を取付部32から取り外すことができる。
【0037】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、着用型機器10は、本体12と、本体12に取り外し可能に取り付けられるベルト26(紐状部材の例)を備えている。本体12は、開口32aを有する取付部32を備えている。ベルト26には、第1バックル34と、第2バックル36が設けられている。第1バックル34は、ベルト26が開口32aを通過した状態で、取付部32の後側(一方の側の例)に配置されている。第2バックル36は、ベルト26が開口32aを通過した状態で、取付部32の前側(他方の側の例)に配置されている。第1バックル34と第2バックル36は、取付部32を挟持している。第1バックル34は、取付部32の後側の面に当接することで、ベルト26が開口32aを介して後側から前側に向けて移動することを規制する。第2バックル36は、取付部32の前側の面に当接することで、ベルト26が開口32aを介して前側から後側に向けて移動することを規制する。
【0038】
上記の構成によれば、ベルト26は、開口32aを介して後側から前側へ移動することも、開口32aを介して前側から後側へ移動することも、規制されている。このため、第1バックル34や第2バックル36が取付部32から外れてしまうことを抑制することができ、ベルト26が緩んでしまったり、ベルト26が本体12から外れてしまうことを抑制することができる。ベルト26を本体12に強固に固定することができる。
【0039】
1つまたはそれ以上の実施形態において、着用型機器10は、ユーザが肩にかける肩ベルト16をさらに備えている。ベルト26は、肩ベルト16の一部を構成している。
【0040】
上記の構成によれば、肩ベルト16を肩に掛けて着用する着用型機器10において、肩ベルト16が緩んでしまったり、肩ベルト16が本体12から外れてしまうことを抑制することができる。
【0041】
1つまたはそれ以上の実施形態において、本体12の重量は、5kg以上である。
【0042】
本体12の重量が重い場合、本体12が動いた時にベルト26が緩みやすく、ベルト26が不意に外れてしまうことがある。上記の構成によれば、本体12の重量が重い場合であっても、ベルト26が緩んでしまったり、ベルト26が本体12から外れてしまうことを抑制することができる。
【0043】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1バックル34と第2バックル36は、同一の形状および材料の部品である。
【0044】
上記の構成によれば、第1バックル34と第2バックル36の部品を共通化することができ、着用型機器10の製造コストを低減することができる。
【0045】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1バックル34と第2バックル36は、トリグライド型のバックルである。
【0046】
上記の構成によれば、第1バックル34と第2バックル36として、広く一般に普及している部品を使用することができ、着用型機器10の製造コストを低減することができる。
【0047】
1つまたはそれ以上の実施形態において、本体12は、取付部32の後側の面の開口32aの近傍に配置されており、第1バックル34が嵌合する第1凹部32bをさらに備えている。
【0048】
上記の構成によれば、第1バックル34が取付部32に対して相対的に移動することを抑制することができ、ベルト26を本体12により強固に固定することができる。
【0049】
1つまたはそれ以上の実施形態において、本体12は、取付部32の前側の面の開口32aの近傍に配置されており、第2バックル36が嵌合する第2凹部32cをさらに備えている。
【0050】
上記の構成によれば、第2バックル36が取付部32に対して相対的に移動することを抑制することができ、ベルト26を本体12により強固に固定することができる。
【0051】
なお、上記の実施例では、本体12が二次電池セルを内蔵する電源装置である場合について説明したが、本体12は二次電池セルを内蔵するバッテリパックを着脱可能な電源装置であってもよい。あるいは、本体12は、電源装置ではなく、動力作業機であってもよい。動力作業機は、エンジンを動力源とするものであってもよいし、モータを動力源とするものであってもよい。動力作業機は、例えば、ブロワ、刈払い機、ヘッジトリマ、チェーンソー、掃除機、ミストブロワであってもよい。この場合、本体12は、ユーザが背負うのではなく、ユーザの一方の肩に肩ベルト16を掛けた状態で、ユーザが一方または両方の手で把持して使用する手持ち式の動力作業機であってもよい。あるいは、本体12は、動力源を備えていない搬送具であってもよい。
【0052】
上記の実施例では、紐状部材がベルト26である場合について説明したが、紐状部材は、糸、ロープ、ケーブル等の、柔軟性を有する張力部材であれば、どのような部材であってもよい。
【0053】
上記の実施例では、第1バックル34と第2バックル36が、ベルト26に対して着脱不能に取り付けられている場合について説明したが、例えば、第1バックル34および/または第2バックル36に、ベルト26が通過可能な切れ込みを設けて、第1バックル34および/または第2バックル36を、ベルト26に対して着脱可能に取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 :着用型機器
12 :本体
14 :背板
16 :肩ベルト
18 :腰ベルト
20 :接続コード
22 :接続プラグ
24 :パッド
26 :ベルト
28 :取付板
30 :バックル
32 :取付部
32a :開口
32b :第1凹部
32c :第2凹部
34 :第1バックル
34a :第1梁部
34b :第2梁部
34c :第3梁部
34d :第1連結部
34e :第2連結部
34f :第1開口
34g :第2開口
36 :第2バックル
36a :第1梁部
36b :第2梁部
36c :第3梁部
36d :第1連結部
36e :第2連結部
36f :第1開口
36g :第2開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7