(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】モータ駆動制御装置、ファンユニット、およびモータ駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/17 20160101AFI20240605BHJP
H02P 29/028 20160101ALI20240605BHJP
【FI】
H02P6/17
H02P29/028
(21)【出願番号】P 2020146741
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】民辻 敏泰
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010441(JP,A)
【文献】特開2012-175744(JP,A)
【文献】特開2012-105088(JP,A)
【文献】特開2012-157154(JP,A)
【文献】特開2015-039256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/17
H02P 29/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1系統および第2系統のコイルを有するモータを駆動するモータ駆動制御装置であって、
前記第1系統のコイルおよび前記第2系統のコイルにそれぞれ対応して設けられ、対応する系統のコイルに通電する制御を行う2つのモータ駆動回路と、
前記第1系統側のモータ駆動回路の動作と前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御する駆動制御回路と、を備え、
前記第1系統側および前記第2系統側のモータ駆動回路は、夫々、
前記駆動制御回路から入力された駆動指令信号と前記モータの回転に応じて生成された位置検出信号とに基づいて駆動制御信号を生成する制御回路と、
前記駆動制御信号に基づいて前記コイルを駆動するインバータ回路と、
前記駆動制御回路からの制御に応じて、前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力と遮断を切り替える信号遮断回路とを有し、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記制御回路は、夫々、前記駆動制御信号を出力する出力端子を有し、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記インバータ回路は、夫々、第1固定電位と前記第1固定電位よりも低い第2固定電位との間に直列に接続され、入力された前記駆動制御信号に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタおよびローサイドの駆動用トランジスタと、前記ハイサイドの駆動用トランジスタと前記ローサイドの駆動用トランジスタとが共通に接続されるノードであって、対応する系統の前記コイルの一端に接続される負荷駆動端子と、を有し、
前記駆動制御回路は、前記第1系統側および前記第2系統側の何れか一方の異常を検出した場合には、正常である系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にし、異常が検出された系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への
一部の前記駆動制御信号の入力を遮断
し、
前記信号遮断回路は、前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を遮断するとき、前記出力端子から前記ローサイドの駆動用トランジスタの制御電極への前記駆動制御信号の伝達を遮断し、前記出力端子から前記ハイサイドの駆動用トランジスタの制御電極への前記駆動制御信号の伝達を遮断しない
モータ駆動制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のモータ駆動制御装置において、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記信号遮断回路は、夫々、前記制御回路の前記出力端子と前記インバータ回路の前記ローサイドの駆動用トランジスタの制御電極との間に接続された遮断用スイッチ素子を有する
モータ駆動制御装置。
【請求項3】
請求項
1に記載のモータ駆動制御装置において、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記信号遮断回路は、夫々、前記インバータ回路の前記ローサイドの駆動用トランジスタの制御電極と前記第2固定電位との間に接続された遮断用スイッチ素子を有する
モータ駆動制御装置。
【請求項4】
第1系統および第2系統のコイルを有するモータを駆動するモータ駆動制御装置であって、
前記第1系統のコイルおよび前記第2系統のコイルにそれぞれ対応して設けられ、対応する系統のコイルに通電する制御を行う2つのモータ駆動回路と、
前記第1系統側のモータ駆動回路の動作と前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御する駆動制御回路と、
前記駆動制御回路による前記第2系統側のモータ駆動回路の制御を補助する補助回路と
を備え、
前記第1系統側および前記第2系統側のモータ駆動回路は、夫々、
前記駆動制御回路から入力された駆動指令信号と前記モータの回転に応じて生成された位置検出信号とに基づいて駆動制御信号を生成する制御回路と、
前記駆動制御信号に基づいて前記コイルを駆動するインバータ回路と、
前記駆動制御回路からの制御に応じて、前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力と遮断を切り替える信号遮断回路とを有し、
前記駆動制御回路は、前記第1系統側および前記第2系統側の何れか一方の異常を検出した場合には、正常である系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にし、異常が検出された系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を遮断し、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記制御回路は、夫々、前記駆動制御信号を出力する出力端子を有し、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記インバータ回路は、夫々、第1固定電位と前記第1固定電位よりも低い第2固定電位との間に直列に接続され、入力された前記駆動制御信号に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタおよびローサイドの駆動用トランジスタと、前記ハイサイドの駆動用トランジスタと前記ローサイドの駆動用トランジスタとが共通に接続されるノードであって、対応する系統の前記コイルの一端に接続される負荷駆動端子と、を有し、
前記第1系統側および前記第2系統側において、前記信号遮断回路は、前記制御回路の前記出力端子と前記インバータ回路の前記ローサイドの駆動用トランジスタの制御電極との間に設けられ、
前記駆動制御回路は、前記駆動指令信号としての第1駆動指令信号を前記第1系統側のモータ駆動回路に供給することにより前記第1系統側のモータ駆動回路の動作を制御し、前記駆動指令信号として第2駆動指令信号を前記第2系統側のモータ駆動回路に供給することにより前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御し、
前記補助回路は、前記駆動制御回路が動作を停止したとき、前記駆動制御回路に代わって前記第2駆動指令信号を生成して前記第2系統側のモータ駆動回路に供給する
モータ駆動制御装置。
【請求項5】
請求項
1乃至3の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置において、
前記駆動制御回路による前記第2系統側のモータ駆動回路の制御を補助する補助回路を更に有し、
前記駆動制御回路は、前記駆動指令信号としての第1駆動指令信号を前記第1系統側のモータ駆動回路に供給することにより前記第1系統側のモータ駆動回路の動作を制御し、前記駆動指令信号として第2駆動指令信号を前記第2系統側のモータ駆動回路に供給することにより前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御し、
前記補助回路は、前記駆動制御回路が動作を停止したとき、前記駆動制御回路に代わって前記第2駆動指令信号を生成して前記第2系統側のモータ駆動回路に供給する
モータ駆動制御装置。
【請求項6】
請求項
4または5に記載のモータ駆動制御装置において、
前記駆動制御回路は、前記第1系統側の前記信号遮断回路を制御するための第1制御端子と、前記第2系統側の前記信号遮断回路を制御するための第2制御端子とを有し、
前記駆動制御回路は、前記第1系統側が正常である場合に、前記第1制御端子に所定の論理レベルに応じた電圧を出力し、前記第1系統側の異常を検出した場合に、前記第1制御端子を開放状態にし、
前記補助回路は、前記第1制御端子に前記所定の論理レベルに応じた電圧が出力されている場合に、前記第2駆動指令信号の生成を停止し、前記第1制御端子が開放状態である場合に、前記第2駆動指令信号を生成して前記第2系統側のモータ駆動回路に供給する
モータ駆動制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載のモータ駆動制御装置において、
前記第1駆動指令信号および前記第2駆動指令信号は、前記モータの目標回転速度に応じたデューティ比を有するPWM信号であって、
前記駆動制御回路は、前記第2駆動指令信号を出力するための信号出力端子を更に有し、
前記補助回路は、
一端がグラウンド電位に接続されたスイッチ素子と、
一端が前記スイッチ素子の他端に接続され、他端が前記駆動制御回路の前記信号出力端子に接続され、前記一端側から前記他端側に電流を流す整流素子と、
一端がグラウンド電位よりも大きい第3固定電位に接続され、他端が前記スイッチ素子の前記他端に接続された負荷と、を含み、
前記スイッチ素子は、前記第1制御端子に前記駆動制御回路の電源電圧に応じた電圧が出力されている場合にオンし、前記第1制御端子が開放状態である場合にオフする
モータ駆動制御装置。
【請求項8】
請求項
4または5に記載のモータ駆動制御装置において、
前記第1系統側の前記信号遮断回路を制御するための第1制御信号と前記第2系統側の前記信号遮断回路を制御するための第2制御信号を生成する制御信号生成回路を更に備え、
前記第1駆動指令信号および前記第2駆動指令信号は、前記モータの目標回転速度に応じたデューティ比を有するPWM信号であって、
前記駆動制御回路は、前記第2駆動指令信号を出力するための信号出力端子と、前記第1系統側および前記第2系統側の前記信号遮断回路を制御するための制御端子を有し、
前記駆動制御回路は、前記第1系統側および前記第2系統側が正常である場合に、前記制御端子に第1論理レベルに応じた電圧を出力し、前記第1系統側の異常を検出した場合に、前記制御端子を開放状態にし、前記第2系統側の異常を検出した場合に、前記制御端子に前記第1論理レベルと反対の第2論理レベ
ルに応じた電圧を出力し、
前記制御信号生成回路は、前記駆動制御回路の前記制御端子から前記第1論理レベルに応じた電圧が出力されている場合に、前記第1系統側および前記第2系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にする前記第1制御信号および前記第2制御信号を出力し、
前記制御信号生成回路は、前記駆動制御回路の前記制御端子が開放状態である場合に、前記第1系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を遮断する前記第1制御信号を出力するとともに前記第2系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にする前記第2制御信号を出力し、
前記制御信号生成回路は、前記制御端子が前記第2論理レベルに応じた電圧を出力している場合に、前記第1系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にする前記第1制御信号を出力するとともに前記第2系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を遮断する前記第2制御信号を出力し、
前記補助回路は、前記制御信号生成回路が前記第1系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にする前記第1制御信号を出力している場合に、前記信号出力端子への電流の供給を停止し、前記第1系統側における前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を遮断する前記第1制御信号を出力している場合に、前記信号出力端子へ電流を供給する
モータ駆動制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置と、
前記モータと、
前記モータの回転力によって回転するインペラと、を備える
ファンユニット。
【請求項10】
第1系統および第2系統のコイルを有するモータを駆動するモータ駆動制御装置によるモータ駆動制御方法であって、前記モータ駆動制御装置は、前記第1系統のコイルおよび前記第2系統のコイルにそれぞれ対応して設けられ、対応する系統のコイルに通電する制御を行う2つのモータ駆動回路と、前記第1系統側のモータ駆動回路の動作と前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御する駆動制御回路と、を備え、前記第1系統側および前記第2系統側のモータ駆動回路は、夫々、前記駆動制御回路から入力された駆動指令信号と前記モータの回転に応じて生成された位置検出信号とに基づいて駆動制御信号を生成する制御回路と、前記駆動制御信号に基づいて前記コイルを駆動するインバータ回路と、前記駆動制御回路からの制御に応じて、前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力と遮断を切り替える信号遮断回路とを有し、
前記第1系統側および前記第2系統側の前記制御回路は、夫々、前記駆動制御信号を出力する出力端子を有し、前記第1系統側および前記第2系統側の前記インバータ回路は、夫々、第1固定電位と前記第1固定電位よりも低い第2固定電位との間に直列に接続され、入力された前記駆動制御信号に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタおよびローサイドの駆動用トランジスタと、前記ハイサイドの駆動用トランジスタと前記ローサイドの駆動用トランジスタとが共通に接続されるノードであって、対応する系統の前記コイルの一端に接続される負荷駆動端子と、を有し、
前記駆動制御回路が、前記第1系統側および前記第2系統側の状態を判定する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて、前記第1系統側および前記第2系統側の少なくとも一方が正常である場合に、前記駆動制御回路が、正常である系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にする第2ステップと、
前記第1ステップにおいて、前記第1系統側および前記第2系統側の何れか一方の異常が検出された場合に、前記駆動制御回路が、異常が検出された系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への
一部の前記駆動制御信号の入力を遮断する第3ステップと、を含
み、
前記第3ステップは、
前記信号遮断回路が、前記出力端子から前記ローサイドの駆動用トランジスタの制御電極への前記駆動制御信号の伝達を遮断し、前記出力端子から前記ハイサイドの駆動用トランジスタの制御電極への前記駆動制御信号の伝達を遮断しないステップを含む
モータ駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動制御装置、ファンユニット、およびモータ駆動制御方法に関し、特には、2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サーバ等の電子機器の内部を冷却するためのファン(以下、「ファンモータ」とも称する。)において、モータを駆動するための駆動回路の故障によってモータを所定の方向に回転させる(正回転させる)ことができなくなった場合に、外力が作用してモータが正回転とは反対の方向に強制的に回転する(逆回転する)おそれがある。
【0003】
例えば、ハウジング内部に複数のファンモータが設けられたサーバにおいて、一つのファンモータが故障した場合に、他のファンモータの回転によって発生した風が故障したファンモータに流入すると、その故障したファンモータが逆回転する可能性がある。サーバ内の1つのファンモータが逆回転した場合、サーバの内圧低下により冷却機能が低下し、サーバの動作に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、サーバ等の電子機器に搭載されるファンモータには、正回転を可能な限り継続させることが求められている。
【0004】
上述の課題を解決するために、2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、2系統のコイルを有するモータを駆動するためのモータ駆動制御装置において、モータの各系統のコイルを夫々独立して駆動する2つの駆動回路を設けることが開示されている。このモータ駆動制御装置によれば、一方の駆動回路が故障した場合においても、他方の駆動回路を用いてモータの駆動を継続することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モータ駆動制御装置には、市販されているモータ駆動制御用の汎用ICが用いられることが多い。本願発明者は、上述した2系統のコイルを有するモータを駆動するモータ駆動制御装置を実現するために、各系統のコイルを夫々独立して駆動するためのモータ駆動回路として汎用ICを採用することを検討した。その検討の結果、以下に示す課題があることが明らかとなった。
【0007】
一般に、ブラシレスモータ等の駆動を制御するための汎用ICは、モータの目標回転速度を指定する駆動指令信号が外部から入力されると、その駆動指令信号で指定された目標回転速度でモータを回転させるように、ホール素子等の位置検出装置からの位置検出信号に基づいてモータを駆動する。
【0008】
一般的な汎用ICが備える機能として、ロック保護機能が知られている。ロック保護機能は、モータの駆動信号を出力しているにも関わらず、モータの回転状態に応じた適切な位置検出信号が生成されない場合に、汎用ICは、モータがロック状態であると判定し、モータの駆動を停止させる機能である(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
一般的な汎用ICは、モータのロック状態を検出した場合に、モータのコイルを通電させるためのインバータ回路のロー側の少なくとも一つスイッチ素子(トランジスタ)をオンさせることにより、モータが不適切な回転動作を行わないようにしている。
【0010】
このようなロック保護機能を有する汎用ICを上述のモータ駆動制御装置に適用した場合、以下に示す問題が生じる。例えば、モータの第1系統側のホール素子が故障し、適切な位置検出信号が汎用ICに入力されなくなった場合、第1系統側の汎用ICは、ロック保護機能を働かせて、モータのコイルを通電させるためのインバータ回路のロー側の少なくとも一つスイッチ素子(トランジスタ)をオンさせる。これにより、モータの第1系統側のコイルの一端がグラウンド電位に接続される。
【0011】
このとき、第2系統側の駆動回路およびホール素子は正常に動作しているため、第2系統側の汎用ICは、第2系統側のコイルを通電させてモータの回転を継続させる。このとき、ロータは第2系統側のコイルの通電によって回転しているため、ロータの回転に伴う磁界の変化に起因して第1系統側のコイルに所定値以上の逆起電圧が発生した場合には、第1系統側のコイルに循環電流が流れ、モータの回転を止める方向に磁界を発生させてしまう。すなわち、第2系統側の駆動回路がモータを回転させるように制御しているにも関わらず、第1系統側の駆動回路がモータにブレーキをかけるようにインバータ回路を制御してしまうため、モータが安定して回転できないおそれがある。
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置において、一方の駆動系統に不具合が生じた場合であっても他方の駆動系統によってモータの安定した回転を継続させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の代表的な実施の形態に係る、第1系統および第2系統のコイルを有するモータを駆動するモータ駆動制御装置は、前記第1系統のコイルおよび前記第2系統のコイルにそれぞれ対応して設けられ、対応する系統のコイルに通電する制御を行う2つのモータ駆動回路と、前記第1系統側のモータ駆動回路の動作と前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御する駆動制御回路と、を備え、前記第1系統側および前記第2系統側のモータ駆動回路は、夫々、前記駆動制御回路から入力された駆動指令信号と前記モータの回転に応じて生成された位置検出信号とに基づいて駆動制御信号を生成する制御回路と、前記駆動制御信号に基づいて前記コイルを駆動するインバータ回路と、前記駆動制御回路からの制御に応じて、前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力と遮断を切り替える信号遮断回路とを有し、前記駆動制御回路は、前記第1系統側および前記第2系統側の何れか一方の異常を検出した場合には、正常である系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を可能にし、異常が検出された系統側において、前記信号遮断回路を制御して前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置によれば、一方の駆動系統に不具合が生じた場合であっても他方の駆動系統によってモータの安定した回転動作を継続させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るモータ駆動制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1における信号遮断回路13_1,13_2とその周辺の回路の構成を示す図である。
【
図3A】実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1による異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3B】実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1による異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4A】実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1の先行検討例としての、信号遮断回路13_1,13_2を備えていないモータ駆動制御装置におけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【
図4B】実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1におけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係るモータ駆動制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aにおける信号遮断回路13_1,13_2とその周辺の回路の構成を示す図である。
【
図8A】実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8B】実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8C】実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aにおけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施の形態3に係るモータ駆動制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bにおける信号遮断回路13_1,13_2とその周辺の回路の構成を示す図である。
【
図12A】実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12B】実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12C】実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bにおけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【
図14】制御信号生成回路の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0017】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る、第1系統のコイル(6_1)と第2系統のコイル(6_2)とを有するモータ(3)を駆動するモータ駆動制御装置(1,1A,1B)は、第1系統のコイルおよび前記第2系統のコイルにそれぞれ対応して設けられ、対応する系統のコイルに通電する制御を行う2つのモータ駆動回路(10_1,10_2)と、前記第1系統側のモータ駆動回路の動作と前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御する駆動制御回路(20,20A,20B)と、を備え、前記第1系統側および前記第2系統側のモータ駆動回路(10_1,10_2)は、夫々、前記駆動制御回路から入力された駆動指令信号(Sc1,Sc2)と前記モータの回転に応じて生成された位置検出信号とに基づいて駆動制御信号(Sd1,Sd2)を生成する制御回路(11_1,11_2)と、前記駆動制御信号(Sd1,Sd2)に基づいて前記コイルを駆動するインバータ回路(12_1,12_2)と、前記駆動制御回路からの制御に応じて、前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力と遮断を切り替える信号遮断回路(13_1,13_2)とを有し、前記駆動制御回路は、前記第1系統側および前記第2系統側の何れか一方の異常を検出した場合には、正常である系統側において、前記信号遮断回路(13)を制御して前記制御回路(11)から前記インバータ回路(12)への前記駆動制御信号(Sd)の入力を可能にし、異常が検出された系統側において、前記信号遮断回路(13)を制御して前記制御回路(11)から前記インバータ回路(12)への前記駆動制御信号の入力を遮断することを特徴とする。
【0018】
〔2〕上記〔1〕に記載のモータ駆動制御装置(1,1A,1B)において、第1系統側および第2系統側の制御回路(11_1,11_2)は、夫々、前記駆動制御信号を出力する出力端子(Pd1~Pd4)を有し、前記第1系統側および前記第2系統側の前記インバータ回路(12_1,12_2)は、夫々、第1固定電位(Vdc)と前記第1固定電位よりも低い第2固定電位(GND)との間に直列に接続され、入力された前記駆動制御信号に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタ(Q1,Q3,Q5,Q7)およびローサイドの駆動用トランジスタ(Q2,Q4,Q6,Q8)と、前記ハイサイドの駆動用トランジスタと前記ローサイドの駆動用トランジスタとが共通に接続されるノードであって、対応する系統の前記コイルの一端に接続される負荷駆動端子(16_1/16_2/17_1/17_2)と、を有し、前記第1系統側および前記第2系統側において、前記信号遮断回路は、前記制御回路の前記出力端子(Pd2,Pd4)と前記インバータ回路の前記ローサイドの駆動用トランジスタ(Q2,Q4,Q6,Q8)の制御電極との間に設けられていてもよい。
【0019】
〔3〕上記〔2〕に記載のモータ駆動制御装置(1,1A,1B)において、前記第1系統側および前記第2系統側の前記信号遮断回路(13_1,13_2)は、夫々、前記制御回路の前記出力端子(Pd2,Pd4)と前記インバータ回路の前記ローサイドの駆動用トランジスタ(Q2,Q4,Q6,Q8)の制御電極との間に接続された遮断用スイッチ(Q11,Q12,Q15,Q16)を有していてもよい。
【0020】
〔4〕上記〔2〕に記載のモータ駆動制御装置(1,1A,1B)において、前記第1系統側および前記第2系統側の前記信号遮断回路(13A_1,13A_2)は、夫々、前記インバータ回路の前記ローサイドの駆動用トランジスタ(Q2,Q4,Q6,Q8)の制御電極と前記第2固定電位(GND)との間に接続された遮断用スイッチ(Q20)を有していてもよい。
【0021】
〔5〕上記〔2〕乃至〔4〕の何れかに記載のモータ駆動制御装置において、前記駆動制御回路(20A,20B)による前記第2系統側のモータ駆動回路(10_2)の制御を補助する補助回路(26)を更に有し、前記駆動制御回路は、前記駆動指令信号としての第1駆動指令信号(Sc1)を前記第1系統側のモータ駆動回路(10_1)に供給することにより前記第1系統側のモータ駆動回路(10_1)の動作を制御し、前記駆動指令信号として第2駆動指令信号(Sc2)を前記第2系統側のモータ駆動回路に供給することにより前記第2系統側のモータ駆動回路(10_2)の動作を制御し、前記補助回路(26)は、前記駆動制御回路(20A,20B)が動作を停止したとき、前記駆動制御回路に代わって前記第2駆動指令信号(Sc2)を生成して前記第2系統側のモータ駆動回路(10_2)に供給してもよい。
【0022】
〔6〕上記〔5〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記駆動制御回路(20A)は、前記第1系統側の前記信号遮断回路(13_1)を制御するための第1制御端子(P1)と、前記第2系統側の前記信号遮断回路(13_2)を制御するための第2制御端子(P2)とを有し、前記駆動制御回路(20A)は、前記第1系統側が正常である場合に、前記第1制御端子(P1)に所定の論理レベル(ハイレベル)に応じた電圧を出力し、前記第1系統側の異常を検出した場合に、前記第1制御端子(P1)を開放状態(Hi-Z)にし、前記補助回路(26)は、前記第1制御端子(P1)に前記所定の論理レベル(ハイレベル)に応じた電圧が出力されている場合に、前記第2駆動指令信号(Sc2)の生成を停止し、前記第1制御端子が開放状態(Hi-Z)である場合に、前記第2駆動指令信号(Sc2)を生成して前記第2系統側のモータ駆動回路(10_2)に供給してもよい。
【0023】
〔7〕上記〔6〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記第1駆動指令信号(Sc1)および前記第2駆動指令信号(Sc2)は、前記モータの目標回転速度に応じたデューティ比を有するPWM信号であって、前記駆動制御回路は、前記第2駆動指令信号(Sc2)を出力するための信号出力端子(P5)を更に有し、前記補助回路(26)は、一端がグラウンド電位に接続されたスイッチ素子(Q26)と、一端が前記スイッチ素子の他端に接続され、他端が前記駆動制御回路の前記信号出力端子(P5)に接続され、前記一端側から前記他端側に電流を流す整流素子(D26)と、一端がグラウンド電位よりも大きい第3固定電位(Vdc3)に接続され、他端が前記スイッチ素子の前記他端に接続された負荷(R26)とを含み、前記スイッチ素子は、前記第1制御端子(P1)に前記駆動制御回路の電源電圧(Vdc1)に応じた電圧(ハイレベル)が出力されている場合にオンし、前記第1制御端子が開放状態(Hi-Z)である場合にオフしてもよい。
【0024】
〔8〕上記〔5〕に記載のモータ駆動制御装置(1B)において、前記第1系統側の前記信号遮断回路(13_1)を制御するための第1制御信号(St1)と前記第2系統側の前記信号遮断回路(13_2)を制御するための第2制御信号(St2)を生成する制御信号生成回路(30)を更に備え、前記第1駆動指令信号(Sc1)および前記第2駆動指令信号(Sc2)は、前記モータの目標回転速度に応じたデューティ比を有するPWM信号であって、前記駆動制御回路(20B)は、前記第2駆動指令信号を出力するための信号出力端子(P5)と、前記第1系統側および前記第2系統側の前記信号遮断回路(13_1,13_2)を制御するための制御端子(P3)とを有し、前記駆動制御回路(20B)は、前記第1系統側および前記第2系統側が正常である場合に、前記制御端子(P3)に第1論理レベル(ハイレベル)に応じた電圧を出力し、前記第1系統側の異常を検出した場合に、前記制御端子(P3)を開放状態(Hi-Z)にし、前記第2系統側の異常を検出した場合に、前記制御端子(P3)に前記第1論理レベルと反対の第2論理レベル(ローレベル)に応じた電圧を出力し、前記制御信号生成回路は、前記駆動制御回路の前記制御端子(P3)から前記第1論理レベルに応じた電圧が出力されている場合に、前記第1系統側および前記第2系統側における前記制御回路(11)から前記インバータ回路(12)への前記駆動制御信号(Sd)の入力を可能にする前記第1制御信号(St1)および前記第2制御信号(St2)を出力し、前記制御信号生成回路は、前記駆動制御回路の前記制御端子(P3)が開放状態である場合に、前記第1系統側における前記制御回路(11_1)から前記インバータ回路(12_1)への前記駆動制御信号(Sd1)の入力を遮断する前記第1制御信号(St1)を出力するとともに前記第2系統側における前記制御回路(11_2)から前記インバータ回路(12_2)への前記駆動制御信号(Sd2)の入力を可能にする前記第2制御信号(St2)を出力し、前記制御信号生成回路は、前記制御端子(P3)から前記第2論理レベルに応じた電圧が出力されている場合に、前記第1系統側における前記制御回路(11_1)から前記インバータ回路(12_1)への前記駆動制御信号(Sd1)の入力を可能にする前記第1制御信号(St1)を出力するとともに前記第2系統側における前記制御回路(11_2)から前記インバータ回路(12_2)への前記駆動制御信号(Sd2)の入力を遮断する前記第2制御信号(St2)を出力し、前記補助回路(26)は、前記制御信号生成回路(30)が前記第1系統側における前記制御回路(11_1)から前記インバータ回路(12_1)への前記駆動制御信号(Sd1)の入力を可能にする前記第1制御信号(St1)を出力している場合に、前記信号出力端子(P5)への電流の供給を停止し、前記第1系統側における前記制御回路(11_1)から前記インバータ回路(12_1)への前記駆動制御信号(Sd1)の入力を遮断する前記第1制御信号(St1)を出力している場合に、前記信号出力端子(P5)に電流を供給することを特徴とする。
【0025】
〔9〕本発明の代表的な実施の形態に係るファンユニット(101,101A,101B)は、上記〔1〕乃至〔8〕の何れかに記載のモータ駆動制御装置(1,1A,1B)と、前記モータ(3)と、前記モータの回転力によって回転するインペラ(4)と、を備えることを特徴とする。
【0026】
〔10〕本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御方法は、第1系統および第2系統のコイル(6_1,6_2)を有するモータ(3)を駆動するモータ駆動制御装置(1,1A,1B)によるモータ駆動制御方法である。モータ駆動制御装置(1,1A,1B)は、前記第1系統のコイル(6_1)および前記第2系統のコイル(6_2)にそれぞれ対応して設けられ、対応する系統のコイルに通電する制御を行う2つのモータ駆動回路(10_1,10_2)と、前記第1系統側のモータ駆動回路の動作と前記第2系統側のモータ駆動回路の動作を制御する駆動制御回路(20)とを備える。前記第1系統側および前記第2系統側のモータ駆動回路(10_1,10_2)は、夫々、前記駆動制御回路から入力された駆動指令信号(Sc1,Sc2)と前記モータの回転に応じて生成された位置検出信号とに基づいて駆動制御信号(Sd1,Sd2)を生成する制御回路(11_1,11_2)と、前記駆動制御信号(Sd1、Sd2)に基づいて前記コイルを駆動するインバータ回路(12_1,12_2)と、前記駆動制御回路からの制御に応じて、前記制御回路から前記インバータ回路への前記駆動制御信号の入力と遮断を切り替える信号遮断回路(13_1,13_2)とを有する。本モータ駆動制御方法は、前記駆動制御回路(20,20A,20B)が、前記第1系統側および前記第2系統側の状態を判定する第1ステップ(S7,S11,S18)と、前記第1ステップにおいて、前記第1系統側および前記第2系統側の少なくとも一方が正常である場合に、前記駆動制御回路が、正常である系統側において、前記信号遮断回路(13)を制御して前記制御回路(11)から前記インバータ回路(12)への前記駆動制御信号(Sd)の入力を可能にする第2ステップ(S1,S2,S8)と、前記第1ステップにおいて、前記第1系統側および前記第2系統側の何れか一方の異常が検出された場合に、前記駆動制御回路(20,20A,20B)が、異常が検出された系統側において、前記信号遮断回路(13)を制御して前記制御回路(11)から前記インバータ回路(12)への前記駆動制御信号(Sd)の入力を遮断する第3ステップ(S14,S15,S21,S22)と、を含むことを特徴とする。
【0027】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0028】
≪実施の形態1≫
図1は、本発明の実施の形態1に係るモータ駆動制御システムの構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示されるモータ駆動制御システム100は、駆動対象の負荷としてのモータ3と、モータ3を駆動するモータ駆動制御装置1と、モータ駆動制御装置1を制御する上位装置2とを備えている。
【0030】
モータ駆動制御システム100は、例えば、電気機器システムに用いられ、複数のファンの動作を1つの制御装置によって制御して、複数の冷却対象のそれぞれに対して送風するファンシステムを構成している。本実施の形態に係るモータ駆動制御システム100は、例えば、サーバ内の閉ざされた空間に配置されて、当該サーバを構成する各種の電子部品等を冷却する冷却システムを構成しているものとする。
【0031】
例えば、モータ3の出力軸(図示せず)には、インペラ(羽根車)4が接続されており、モータ3とインペラ4とは、モータ3の回転力によってインペラ4を回転させて風を発生させる一つのファン(ファンモータ)5を構成している。
【0032】
ファン5は、機器の内部で発生する熱を外部へ排出し、その機器の内部を冷却する冷却装置の一つとして利用可能であり、例えば、サーバ等の情報処理装置の他に、オイルミスト、切削屑、煙、埃などが発生する環境下で使用される工作機械等に搭載可能である。ファン5は、例えば、軸流ファンである。
【0033】
ファン5とモータ駆動制御装置1とは、一つのファンユニット101を構成している。なお、
図1には、一例として、一つのファンユニット101のみが図示されているが、モータ駆動制御システム100が備えるファンユニット101の個数は特に制限されない。
【0034】
上位装置2(ホストデバイス)は、例えば、ファン5を搭載したサーバ内のCPU等のプログラム処理装置である。上位装置2は、モータ駆動制御装置1に駆動指令信号Scを出力することにより、モータ駆動制御装置1を介してモータ3の回転を制御するとともに、モータ駆動制御装置1からモータ3(ファン5)の駆動状態に関するモータ駆動情報信号Soを取得してモータ3(ファン5)の動作を監視する。
【0035】
駆動指令信号Scは、モータ3の駆動に関する指令を含む信号である。駆動指令信号Scは、例えば、モータ3の目標回転速度(目標回転数)を指示する指令を含む。例えば、駆動指令信号Scは、モータ3の目標回転速度に対応したデューティ比のPWM(パルス幅変調)信号である。なお、駆動指令信号Scは、目標回転速度に対応する周波数を有するPFM信号やモータのトルクの目標値を示すトルク指令信号等、他の形式の信号であってもよい。
【0036】
モータ3は、例えば、ブラシレスDCモータである。例えば、モータ3は、ティース(図示せず)に巻回された2系統のコイル(第1,第2系統のコイルの一例)6_1,6_2を備えた単相のブラシレスモータである。各コイル6_1,6_2の周辺には、位置検出器7_1,7_2が設けられている。
【0037】
以下の説明において、コイル6_1を「第1系統のコイル6_1」、コイル6_2を「第2系統のコイル6_2」とも称する。また、コイル6_1側を「第1系統側」、コイル6_2側を「第2系統側」とも称する。
【0038】
位置検出器7_1,7_2は、モータ3のロータの位置に応じて位置検出信号を出力する装置である。位置検出器7_1,7_2は、例えば、ホール素子を含んで構成されている。ホール素子は、位置検出信号として、例えば、正の極性を有するホール信号を出力する。
【0039】
位置検出器7_1は、第1系統のコイル6_1に対応する位置に配置され、後述するモータ駆動回路10_1の制御回路11_1に位置検出信号を出力する。位置検出器7_2は、第2の系統のコイル6_2に対応する位置に配置され、後述するモータ駆動回路10_2の制御回路11_2に位置検出信号を出力する。位置検出器7_1と位置検出器7_2は、例えば、相対位置が電気角でπ/2(90度)になる位置にそれぞれ配置されている。
【0040】
モータ駆動制御装置1は、モータ3の回転を制御するための装置である。モータ駆動制御装置1は、モータ3を構成する各単相のコイル6_1,6_2に周期的に駆動電流を流すことで、モータ3を回転させる。
【0041】
モータ駆動制御装置1には、外部から直流の電源電圧Vdcが供給され、電源電圧Vdcによってモータ駆動制御装置1内の回路が動作可能に構成されている。モータ駆動制御装置1は、上位装置2との間でデータの送受信(例えば、シリアル通信により)を行うことにより、上位装置2から各種指令を受信するとともに、受信した指令に対する応答等を上位装置2に送信する。
【0042】
モータ駆動制御装置1は、上位装置2から出力された駆動指令信号Scにしたがってモータ3を駆動する。また、モータ駆動制御装置1は、上位装置2に対して、モータ3の状態に関する情報を出力する。例えば、後述するように、モータ駆動制御装置1は、モータ3の実回転数に応じた信号や後述するモータの異常状態を示す信号をモータ駆動情報信号Soとして上位装置2に対して出力する。これにより、上位装置2は、モータ3の回転状態やモータ3の異常の有無等を知ることができる。
【0043】
モータ駆動制御装置1は、例えば、モータ3の2系統のコイル6_1,6_2に夫々対応して設けられたモータ駆動回路10_1,10_2と、モータ駆動回路10_1,10_2の動作を制御する駆動制御回路20と、電源回路23とを備えている。なお、モータ駆動制御装置1は、上述した回路に加えて、突入電流の抑制や電源の逆接続による回路の故障を防止するための保護回路等を備えていてもよい。
【0044】
モータ駆動制御装置1の電源端子Pvには、モータ3およびモータ駆動制御装置1を駆動するための主電源としての電源電圧Vdc(直流電圧)が供給される。電源電圧Vdcは、電源端子Pvから電源ラインLpに供給される。電源ラインLpは、モータ駆動回路10_1,10_2を介してモータ3を駆動するための電力を供給する電力供給経路である。
【0045】
電源回路23は、モータ駆動制御装置1内の一部の回路に供給する電源電圧を生成する回路である。電源回路23は、例えば、シリーズレギュレータやスイッチングレギュレータ等によって実現されている。電源回路23は、例えば、電源端子Pvに供給された電源電圧Vdcを降圧して直流電圧を生成し、電源電圧Vdc1として駆動制御回路20に供給する。
【0046】
駆動制御回路20は、モータ駆動制御装置1の動作を統括的に制御する回路である。駆動制御回路20は、電源回路23から電源電圧Vdc1が供給されることによって動作する。本実施の形態において、駆動制御回路20は、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM,ROM、フラッシュメモリ等の各種記憶装置と、カウンタ(タイマ)、A/D変換回路、D/A変換回路、クロック発生回路、および入出力インターフェース回路等の周辺回路とがバスや専用線を介して互いに接続された構成を有するプログラム処理装置であり、例えば、マイクロコントローラ(MCU:Micro Controller Unit)である。
【0047】
本実施の形態において、駆動制御回路20は、一つの半導体装置(IC:Integrated Circuit)としてパッケージ化されているが、これに限られるものではない。
【0048】
駆動制御回路20は、外部(上位装置2やモータ駆動回路10_1,10_2等)との間で信号の送受信を行うための複数の外部端子を有している。
図1には、複数の外部端子の一例として、制御端子P1,P2、信号出力端子P4,P5,信号入力端子P6,P7が参照符号とともに図示されている。
【0049】
駆動制御回路20は、主たる機能として、モータ駆動回路10_1,10_2の動作を制御する駆動制御機能と、モータ3等の異常の有無を判定する異常判定機能とを有している。具体的に、駆動制御回路20は、上記機能の実現するための機能部として、駆動制御部21および監視部22を有している。駆動制御部21および監視部22は、例えば、駆動制御回路20を構成するプログラム処理装置において、プロセッサが、メモリに記憶されたプログラムに従って各種演算処理を実行するとともに、カウンタやA/D変換回路等の周辺回路を制御することによって実現される。
【0050】
監視部22は、モータ3(ファン5)の動作状態を監視する機能部である。監視部22は、後述するモータ駆動回路10_1,10_2によって生成された信号FG1,FG2に基づいてファン5の異常の有無を判定し、ファン5の状態を示すモータ駆動情報信号Soを上位装置2に対して出力する。また、監視部22は、後述するように、ファン5の監視結果に基づいて、駆動制御信号Sdのインバータ回路12_1,12_2への入力を遮断する。なお、監視部22の詳細については後述する。
【0051】
駆動制御部21は、上位装置2からの駆動指令信号Scに基づいて、モータ3の駆動を指示する第1駆動指令信号Sc1および第2駆動指令信号Sc2を生成し、信号出力端子P4,P5から夫々出力する。第1駆動指令信号Sc1および第2駆動指令信号Sc2は、各モータ駆動回路10_1,10_2にそれぞれ入力される。
【0052】
なお、駆動制御部21は、例えば一つの外部端子から1つの駆動指令信号を出力し、その駆動指令信号を2つの線路を介して各モータ駆動回路10_1,10_2にそれぞれ供給するようにしてもよい。
【0053】
以下の説明において、第1駆動指令信号Sc1および第2駆動指令信号Sc2を、単に、「駆動指令信号Sc1」および「駆動指令信号Sc2」とも称する。
【0054】
ここで、駆動指令信号Sc1,Sc2は、上述した駆動指令信号Scと同様に、モータ3の目標回転速度(目標回転数)を指示する指令を含み、例えば、モータ3の目標回転速度に対応したデューティ比のPWM信号である。
【0055】
駆動制御部21は、モータ3の回転の停止を指示する場合には、例えば、デューティ比が0%の駆動指令信号Sc1,Sc2を出力し、設定可能な最大回転速度でモータ3を回転させるように指示する場合には、デューティ比が100%の駆動指令信号Sc1,Sc2を出力する。このように、駆動制御回路20は、駆動指令信号Sc1,Sc2のデューティ比を変えることによって、モータ3の制御内容を各モータ駆動回路10_1,10_2に指示する。
なお、駆動指令信号Sc1,Sc2は、例えば、目標回転速度に対応する周波数のPFM信号など、他の形式の信号であってもよい。
【0056】
モータ駆動回路10_1,10_2は、駆動指令信号Sc1,Sc2に基づいてモータ3に通電する制御を行う回路である。モータ駆動回路10_1,10_2は、電源ラインLpから電力(電源電圧Vdc)が供給されることにより、動作可能に構成されている。モータ駆動回路10_1およびモータ駆動回路10_2は、例えば、互いに同一の回路構成を有している。
【0057】
モータ駆動回路10_1は、制御回路11_1と、制御回路11_1による制御に基づいてコイル6_1に通電するインバータ回路(通電回路)12_1と、信号遮断回路13_1を有している。モータ駆動回路10_2は、制御回路11_2と、制御回路11_2による制御に基づいてコイル6_2に通電するインバータ回路(通電回路)12_2、信号遮断回路13_2とを有している。
【0058】
なお、以下の説明において、第1系統側および第2系統側に共通する構成要素である、位置検出器7_1と位置検出器7_2、モータ駆動回路10_1とモータ駆動回路10_2、制御回路11_1と制御回路11_2、インバータ回路12_1とインバータ回路12_2、および信号遮断回路13_1と信号遮断回路13_1を夫々区別しない場合には、単に、「位置検出器7」、「モータ駆動回路10」、「制御回路11」、「インバータ回路12」、および「信号遮断回路13」と夫々称する場合がある。
【0059】
モータ駆動回路10_1,10_2は、一端が電源ラインLpに接続されたヒューズ19をそれぞれ有している。各モータ駆動回路10_1,10_2を構成するインバータ回路12_1,12_2、制御回路11_1,11_2、および信号遮断回路13_1,13_2には、電源ラインLpからヒューズ19を介して電源電圧Vdcが供給される。
【0060】
制御回路11_1と制御回路11_2は、互いに異なる集積回路(IC)によってそれぞれ実現されている。本実施の形態において、制御回路11_1と制御回路11_2はともに、ハードウェアとして同一の回路構成を有する、市販のモータ駆動制御用の汎用ICを用いて構成されている。なお、制御回路11_1と制御回路11_2は、汎用ICによる構成に限定されず、例えば、マイクロコントローラ(MCU)で構成してもよい。また、制御回路11_1,11_2は、対応するインバータ回路12_1,12_2を含んだ一つのICとして実現されていてもよい。
【0061】
インバータ回路12_1は、制御回路11_1から出力された駆動制御信号Sd1に基づいて、負荷駆動端子16_1,17_1に接続されたモータ3のコイル6_1を駆動する。インバータ回路12_2は、インバータ回路12_1と同様に、制御回路11_2から出力された駆動制御信号Sd2に基づいて、負荷駆動端子16_2,17_2に接続されたモータ3のコイル6_2を駆動する。駆動制御信号Sd1,Sd2は、例えば、PWM(パルス幅変調)信号である。なお、以下の説明において、駆動制御信号Sd1と駆動制御信号Sd2を夫々区別しない場合には、「駆動制御信号Sd」とも称する。
【0062】
インバータ回路12_1,12_2は、例えば、複数のスイッチ素子としてのトランジスタを含むHブリッジ回路である。具体的には、インバータ回路12_1,12_2は、第1固定電位としての電源電圧Vdcが供給される電源ラインLpと第1固定電位よりも低い第2固定電位としてのグラウンド電位(GND)との間に直列に接続されている。インバータ回路12_1は、入力された駆動制御信号Sd1に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタQ1およびローサイドの駆動用トランジスタQ2を含むスイッチングレグと、電源ラインLpとグラウンド電位との間に直列に接続され、入力された駆動制御信号Sd1に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタQ3およびローサイドの駆動用トランジスタQ4を含むスイッチングレグとを有している。また、インバータ回路12_1,12_2は、入力された駆動制御信号Sd2に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタQ5およびローサイドの駆動用トランジスタQ6を含むスイッチングレグと、電源ラインLpとグラウンド電位との間に直列に接続され、入力された駆動制御信号Sd2に応じてスイッチング動作を行うハイサイドの駆動用トランジスタQ7およびローサイドの駆動用トランジスタQ8を含むスイッチングレグとを有している。
【0063】
ハイサイドの駆動用トランジスタQ1,Q3,Q5,Q7は、例えば、Pチャネル型のMOSFETであり、ローサイドの駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8は、例えば、Nチャネル型のMOSFETである。なお、各スイッチングレグは、
図1に示すように、電流検出用抵抗Rs1,Rs2を介してグラウンド電位に接続されていてもよい。
【0064】
更に、インバータ回路12_1は、負荷としてのコイル6_1を駆動するための負荷駆動端子16_1,17_1を有し、インバータ回路12_2は、負荷としてのコイル6_2を駆動するための負荷駆動端子16_2,17_2を有している。
【0065】
負荷駆動端子16_1は、インバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ1と駆動用トランジスタQ2とが共通に接続されるノードであって、第1系統のコイル6_1の一端に接続されている。負荷駆動端子17_1は、インバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ3と駆動用トランジスタQ4とが共通に接続されるノードであって、第1系統のコイル6_1の他端に接続されている。
【0066】
負荷駆動端子16_2は、インバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ5と駆動用トランジスタQ6とが共通に接続されるノードであって、第2系統のコイル6_2の一端に接続されている。負荷駆動端子17_2は、インバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ7と駆動用トランジスタQ8とが共通に接続されるノードであって、第2系統のコイル6_2の他端に接続されている。
【0067】
インバータ回路12_1,12_2を構成する各駆動用トランジスタQ1~Q4,Q5~Q8は、制御回路11_1,11_2からそれぞれ出力される駆動制御信号(PWM信号)Sd1,Sd2によって、オン・オフが制御される。
【0068】
制御回路11_1は、駆動制御回路20から供給される駆動指令信号Sc1と位置検出器7_1から出力された位置検出信号とに基づいて、駆動制御信号Sd1を生成し、インバータ回路12_1を駆動する。制御回路11_2は、駆動制御回路20から供給される駆動指令信号Sc2と、位置検出器7_2から出力された位置検出信号とに基づいて、駆動制御信号Sd2を生成し、インバータ回路12_2を駆動する。制御回路11_1,11_2は、生成した駆動制御信号Sd1,Sd2を出力する出力端子Pd1~Pd4をそれぞれ有している(
図2を参照)。
【0069】
例えば、制御回路11_1は、位置検出器7_1からの位置検出信号に基づいてモータ3の回転速度(実回転数)を検出し、モータ3の回転速度が駆動指令信号Sc1で指定された目標回転速度と一致するようにデューティ比を調整したPWM信号を生成し、駆動制御信号Sd1として出力端子Pd1~Pd4から出力する。同様に、制御回路11_2は、位置検出器7_2からの位置検出信号に基づくモータの回転速度が駆動指令信号Sc2で指定された目標回転速度と一致するようにPWM信号を生成し、駆動制御信号Sd2として出力端子Pd1~Pd4から出力する。制御回路11_1,11_2から出力された駆動制御信号Sd1,Sd2は、信号遮断回路13を介してインバータ回路12_1,12_2にそれぞれ供給される。
【0070】
インバータ回路12_1,12_2の各駆動用トランジスタQ1~Q4,Q5~Q8は、入力された駆動制御信号Sd1,Sd2に基づいてスイッチング動作を行う。これにより、位置検出信号に応じたタイミングでモータ3のコイル6_1,6_2に流れる電流の向きが切り替わるように、コイル6_1,6_2の通電が制御される。
【0071】
なお、制御回路11_1,11_2は、それぞれ、実回転速度に関わらず、駆動指令信号Sc1,Sc2で指定された目標回転速度に対応したデューティ比のPWM信号を生成し、駆動制御信号Sd1,Sd2としてインバータ回路12_1,12_2に供給するようにしてもよい(フィードフォワード制御)。
【0072】
更に、制御回路11_1は、位置検出器7_1からの位置検出信号に基づいて、モータ3の実際の回転速度(実回転速度)に対応する周波数を有する回転速度信号である第1FG(Frequency Generator)信号(以下、「信号FG1」と称する。)を生成して出力する。制御回路11_2は、位置検出器7_2からの位置検出信号に基づいて、モータ3の実回転数に対応する第2FG信号(以下、「信号FG2」と称する。)を生成して出力する。
【0073】
信号FG1,FG2は、例えば、所定のデューティ比を有する矩形波状の信号であり、位相が互いに相違している。例えば、信号FG1,FG2は、モータ3の実回転速度に対応する周波数を有し、回転速度が一定の場合にデューティ比が50%になるように生成される2値信号(デジタル信号)である。
【0074】
更に、制御回路11_1,11_2は、ロック保護機能として、位置検出器7_1からの位置検出信号に基づいてモータ3がロック状態であるか否かを判定し、モータ3がロック状態であると判定した場合には、コイル6への通電を停止する。具体的には、制御回路11は、駆動指令信号Sc1または駆動指令信号Sc2によってモータ3の目標回転速度で回転するように指示されているときに、位置検出器7から位置検出信号が入力されていない場合には、モータ3がロック状態であると判定する。この場合、制御回路11は、例えば、上述の一般的な汎用ICのように、インバータ回路12のハイサイドの駆動用トランジスタQ1,Q3,Q5,Q7がオフし、ローサイドの駆動用トランジスタQ2,Q6またはQ4,Q8の何れか一方がオフ、他方がオンするように駆動制御信号Sdを生成する。
【0075】
信号遮断回路13_1,13_2は、駆動制御回路20からの制御に応じて、制御回路11_1,11_2からインバータ回路12_1,12_2への駆動制御信号Sd1,Sd2の入力の可否を制御する回路である。
【0076】
図2は、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1における信号遮断回路13_1,13_2とその周辺の回路の構成を示す図である。
【0077】
図2に示すように、第1系統側の信号遮断回路13_1は、制御回路11_1における駆動制御信号Sd1が出力される出力端子Pd2,Pd4とインバータ回路12_1のローサイドの駆動用トランジスタQ2,Q4の制御電極としてのゲート電極との間に設けられている。同様に、第2系統側の信号遮断回路13_2は、制御回路11_2における駆動制御信号Sd2が出力される出力端子Pd2,Pd4とインバータ回路12_2のローサイドの駆動用トランジスタQ6,Q8の制御電極としてのゲート電極との間に設けられている。
【0078】
なお、本実施の形態では、信号遮断回路13_1と信号遮断回路13_2とは同一の回路構成を有するため、代表して信号遮断回路13_1の回路構成について説明する。
【0079】
具体的には、信号遮断回路13_1は、制御回路11_1の出力端子Pd2とインバータ回路12_1のローサイドの駆動用トランジスタQ2の制御電極(ゲート電極)との間に接続された遮断用スイッチ素子Q11と、制御回路11_1の出力端子Pd4とインバータ回路12_1のローサイドの駆動用トランジスタQ4の制御電極(ゲート電極)との間に接続された遮断用スイッチ素子Q12とを有している。また、信号遮断回路13_1は、遮断用スイッチ素子Q11,Q12のオン・オフを切り替えるための切替用スイッチ素子Q13,Q14を有している。
【0080】
遮断用スイッチ素子Q11,Q12は、例えば、PNP型のバイポーラトランジスタであり、切替用スイッチ素子Q13,Q14は、例えば、NPN型のバイポーラトランジスタである。なお、
図2に示すように、遮断用スイッチ素子Q11,Q12および切替用スイッチ素子Q13,Q14としての各トランジスタの電極には抵抗が接続されていてもよい。例えば、各トランジスタにおいて、ベース電極に抵抗が接続され、エミッタ電極とベース電極との間に抵抗が接続されていてもよい。
【0081】
遮断用スイッチ素子Q11の第1主電極(例えばエミッタ電極)は制御回路11_1の出力端子Pd2に接続され、遮断用スイッチ素子Q11の第2主電極(例えばコレクタ電極)は駆動用トランジスタQ2の制御電極(ゲート電極)に接続されている。遮断用スイッチ素子Q12の第1主電極(例えばエミッタ電極)は制御回路11_1の出力端子Pd4に接続され、遮断用スイッチ素子Q12の第2主電極(例えばコレクタ電極)は駆動用トランジスタQ4の制御電極(ゲート電極)に接続されている。
【0082】
切替用スイッチ素子Q13の第1主電極(例えばエミッタ電極)はグラウンド電位に接続され、切替用スイッチ素子Q13の第2主電極(例えばコレクタ電極)は遮断用スイッチ素子Q11の制御電極(ベース電極)に接続されている。切替用スイッチ素子Q14の第1主電極(例えばエミッタ電極)はグラウンド電位に接続され、切替用スイッチ素子Q14の第2主電極(例えばコレクタ電極)は遮断用スイッチ素子Q12の制御電極(ベース電極)に接続されている。
【0083】
信号遮断回路13_1における切替用スイッチ素子Q13,Q14の制御電極(ベース電極)は、駆動制御回路20の制御端子P1に接続され、信号遮断回路13_2における切替用スイッチ素子Q13,Q14の制御電極(ベース電極)は、駆動制御回路20の制御端子P2に接続されている。
なお、信号遮断回路13_2における遮断用スイッチ素子Q15,Q16および切替用スイッチ素子Q17,Q18は、それぞれ、信号遮断回路13_1における遮断用スイッチ素子Q11,Q12および切替用スイッチ素子Q13,Q14に相当する。
【0084】
信号遮断回路13_1,13_2における各遮断用スイッチ素子Q11,Q12,Q15,Q16のオン・オフの切り替えは、駆動制御回路20の制御端子P1,P2に制御される。
【0085】
ここで、駆動制御回路20における駆動制御部21および監視部22の動作について詳細に説明する。
【0086】
駆動制御回路20において、監視部22は、信号入力端子P6,P7に入力された、モータ3の実回転速度に対応した回転速度信号としての信号FG1,FG2に基づいてファン5の異常の有無を判定する。
【0087】
より具体的には、監視部22は、駆動制御部21がモータ3を目標回転速度で回転させるように指示する駆動指令信号Sc1,Sc2が出力しているときに、信号FG1,FG2の一方が入力されていないことを検出した場合には、第1系統側および第2系統側の何れか一方が異常であると判定する。
【0088】
例えば、監視部22は、駆動制御部21がモータ3を目標回転速度で回転させるように指示する駆動指令信号Sc1,Sc2を出力しているときに、一定の周波数の周期信号である信号FG1,FG2が入力されている場合には、第1系統側および第2系統側が正常であると判定する。
【0089】
一方、監視部22は、駆動制御部21がモータ3を目標回転速度で回転させるように指示する駆動指令信号Sc1,Sc2を出力しているときに、信号FG1として周期信号が入力され、且つ信号FG2として周期信号が駆動制御回路20に入力されていない(信号FG2が一定の電圧である)場合には、第1系統側が正常であり、第2系統側が故障していると判定する。同様に、監視部22は、駆動制御部21がモータ3を目標回転速度で回転させるように指示する駆動指令信号Sc1,Sc2を出力しているときに、信号FG2として周期信号が入力され、且つ信号FG1として周期信号が駆動制御回路20に入力されていない(信号FG1が一定の電圧である)場合には、監視部22は、第2系統側が正常であり、第1系統側が故障していると判定する。
【0090】
第1系統側および第2系統側が正常である場合には、監視部22は、第1系統および第2系統の両系統側において、信号遮断回路13_1,13_2を制御して制御回路11_1,11_2からインバータ回路12_1,12_2への駆動制御信号Sd1,Sd2の入力を可能にする。具体的には、監視部22が制御端子P1,P2をハイレベル(電源電圧Vdc1に応じた電圧)にすることにより、信号遮断回路13_1,13_2の切替用スイッチ素子Q13,Q14,Q17,Q18がオンし、遮断用スイッチ素子Q11,Q12,Q15,Q16がオンする。これにより、制御回路11_1,11_2の出力端子Pd2,Pd4から出力された信号は、インバータ回路12_1,12_2の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の制御電極(ゲート電極)に入力可能となる。このとき、駆動制御部21は、目標回転速度を指示する駆動指令信号Sc1,Sc2の出力を継続する。
【0091】
一方、監視部22は、第1系統側および第2系統側の何れか一方の異常を検出した場合には、正常な系統側のインバータ回路12_1,12_2への駆動制御信号Sd1,Sd2の入力を可能にする一方で、異常が検出された側の系統側のインバータ回路12_1,12_2への駆動制御信号Sd1,Sd2の入力を遮断する。
【0092】
例えば、第1系統側が正常、第2系統側が異常である場合を考える。この場合、監視部22は、正常な第1系統側において、信号遮断回路13_1を制御して制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sdの入力を可能にするとともに、異常が検出された第2系統側において、信号遮断回路13_2を制御して制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力を遮断する。より具体的には、監視部22は、例えば、正常な第1系統側の制御端子P1をハイレベル(≒Vdc1)にするとともに、異常が検出された第2系統側の制御端子P2を開放(オープン)またはローレベル(≒グラウンド電位)にする。これにより、第1系統側の信号遮断回路13_1において、遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオンする一方で、第2系統側の信号遮断回路13_2において、切替用スイッチ素子Q17,Q18がオフし、遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオフする。
【0093】
その結果、第1系統側において、制御回路11_1の出力端子Pd2,Pd4から出力された信号がインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ2,Q4の制御電極(ゲート電極)に入力される一方で、第2系統側において、制御回路11_2の出力端子Pd2,Pd4から出力された信号は、遮断用スイッチ素子Q15,Q16によって伝達が遮断され、インバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ6,Q8の制御電極(ゲート電極)に入力されない。
【0094】
このとき、駆動制御部21は、監視部22による異常検出結果に応じて、正常な第1系統側のモータ駆動回路10_1にはモータ3を目標回転速度で回転させることを指示する駆動指令信号Sc1を出力する一方で、異常が検出された第2系統側のモータ駆動回路10_2には、モータ3の停止を指示する駆動指令信号Sc2(例えばデューティ比が0%の駆動指令信号Sc2)を出力する。これにより、モータ3は、第1系統側のモータ駆動回路10_1によって回転が制御される。
【0095】
次に、モータ駆動制御装置1による異常検出時の処理の流れについて説明する。
【0096】
図3Aおよび
図3Bは、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1による異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
先ず、外部からモータ駆動制御装置1の電源端子Pvに電源電圧Vdcが供給され、電源回路23が電源電圧Vdc1を生成してモータ駆動制御装置1に供給し、駆動制御回路20が起動する。駆動制御回路20の起動後、監視部22が、制御端子P1,P2をハイレベル(V=Vdc1)にする(ステップS1)。これにより、第1系統および第2系統の両系統側の信号遮断回路13の遮断用スイッチ素子Q11,Q12,Q15,Q16がオンし、制御回路11からインバータ回路12(具体的には、駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の制御電極)への駆動制御信号Sdの入力が可能になる(ステップS2)。
【0098】
次に、上位装置2がモータ3を目標回転速度で回転させることを指示する駆動指令信号Scを出力し、駆動制御回路20がその駆動指令信号Scを受信する(ステップS3)。
【0099】
駆動制御回路20の駆動制御部21は、例えば、受信した駆動指令信号Scで指定された目標回転速度に対応するデューティ比を有するPWM信号を生成し、駆動指令信号(第1,第2駆動指令信号)Sc1,Sc2として制御回路11_1,11_2にそれぞれ出力する(ステップS4)。
【0100】
次に、駆動制御回路20が、モータ駆動制御装置1の第1系統側の状態を判定する(ステップS5)。具体的には、監視部22が、上述した手法により、第1系統側の信号FG1としての周期信号の入力の有無に基づいて、第1系統側が正常であるか否かを判定する。
【0101】
また、駆動制御回路20は、モータ駆動制御装置1の第2系統側の状態を判定する(ステップS6)。具体的には、監視部22が、上述した手法により、第2系統側の信号FG2としての周期信号の入力の有無に基づいて、第2系統側が正常であるか否かを判定する。
【0102】
次に、駆動制御回路20は、第1系統側および第2系統側の双方が正常であるか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、監視部22が、ステップS5による第1系統側の判定結果とステップS6による第2系統側の判定結果とに基づいて、第1系統側および第2系統側の双方が正常であるか否かを判定する。
【0103】
第1系統側および第2系統側の双方が正常である場合には(ステップS7:YES)、駆動制御回路20は、駆動指令信号Sc1,Sc2の出力を継続することにより、モータ駆動回路10_1およびモータ駆動回路10_2が2つの系統のコイル6_1,6_2を通電させて、モータ3を目標回転速度で回転させる(ステップS8)。なお、第1系統側および第2系統側の双方が正常でない場合については後述する。
【0104】
ステップS8の後、駆動制御回路20は、外部(例えば上位装置2)からモータ3の駆動の停止命令があるか否かを判定する(ステップS9)。例えば、上位装置2がモータ3の駆動の停止を指示する駆動指令信号Scを出力し、駆動制御回路20がその駆動指令信号Scを受信した場合には(ステップS9:YES)、駆動制御部21は、目標回転速度を示す駆動指令信号Sc1,Sc2の出力を停止する(ステップS10)。例えば、駆動制御部21は、駆動指令信号Sc1,Sc2のデューティ比を0%(例えば0V)にする。これにより、各系統のモータ駆動回路10_1,10_2は、各系統のコイル6_1,6_2の通電を停止し、モータ3の回転を停止させる。
【0105】
一方、駆動制御回路20が、モータ3の駆動の停止を指示する駆動指令信号Scを受信していない場合には(ステップS9:NO)、駆動制御回路20はステップS1に戻り、上述したステップS1~S9の処理を再度実行する。
【0106】
ここで、ステップS7において第1系統側および第2系統側の少なくとも一方が正常でなかった場合について説明する。
【0107】
ステップS7において第1系統側および第2系統側の少なくとも一方が正常でなかった場合には(ステップS7:NO)、
図3Bに示すように、駆動制御回路20が、第1系統側が正常であるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、監視部22が、ステップS5による第1系統側の判定結果に基づいて、第1系統側が正常であるか否かを判定する。
【0108】
第1系統側が正常である場合には(ステップS11:YES)、監視部22は、第2系統側が異常であると判定する(ステップS12)。駆動制御部21は、ステップS12での監視部22の監視結果に応じて、第2系統側のモータ駆動回路10_2への駆動指令信号Sc2の出力を停止する(ステップS13)。例えば、駆動制御部21は、駆動指令信号Sc2のデューティ比を0%にする。このとき、駆動制御部21は、第1系統側については、目標回転速度に応じたデューティ比の駆動指令信号Sc1の出力を継続する。
【0109】
次に、監視部22は、第2系統側の信号遮断回路13_2を制御するための制御端子P2を開放またはローレベル(≒グラウンド電位)にする(ステップS14)。これにより、第2系統側の信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオフし、制御回路11_2からインバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ6,Q8への信号の入力が遮断される(ステップS15)。これにより、第2系統側のインバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ5~Q8が全てオフ状態となる(ステップS16)。その後は、駆動指令信号Sc1が入力されている第1系統側のモータ駆動回路10_1によってモータ3の駆動が継続される(ステップS17)。
【0110】
これによれば、制御回路11_2のロック保護機能が働いてインバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ6,Q8の少なくとも一方をオンさせるような駆動制御信号Sd2が出力されている場合であっても、ステップS16において第2系統側のインバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ5~Q8が全てオフ状態となっているので、モータ3の第2系統側のコイル6_2に循環電流が発生することを防止できる。これにより、第1系統側のモータ駆動回路10_1による駆動によって回転しているモータ3に対してブレーキをかけるような磁界の発生を防止することができる。
【0111】
一方、ステップS11において、第1系統側が正常でなかった場合には(ステップS11:NO)、監視部22は、第2系統側が正常であるか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、監視部22が、ステップS6による第2系統側の判定結果に基づいて、第2系統側が正常であるか否かを判定する。
【0112】
第2系統側が正常である場合には(ステップS18:YES)、監視部22は、第1系統側が異常であると判定する(ステップS19)。駆動制御部21は、ステップS19での監視部22の監視結果に応じて、第1系統側のモータ駆動回路10_1への駆動指令信号Sc1の出力を停止する(ステップS20)。例えば、駆動制御部21は、駆動指令信号Sc1のデューティ比を0%にする。このとき、駆動制御部21は、第2系統側については、目標回転速度に応じたデューティ比の駆動指令信号Sc2の出力を継続する。
【0113】
次に、監視部22は、第1系統側の信号遮断回路13_1を制御するための制御端子P1を開放またはローレベル(≒グラウンド電位)にする(ステップS21)。これにより、第1系統側の信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオフし、制御回路11_1からインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ2,Q4への信号の入力が遮断される(ステップS22)。これにより、第1系統側のインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ1~Q4が全てオフ状態となる(ステップS23)。その後は、駆動指令信号Sc2が入力されている第2系統側のモータ駆動回路10_2によってモータ3の駆動が継続される(ステップS24)。
【0114】
これによれば、制御回路11_1のロック保護機能が働いてインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ2,Q4の少なくとも一方をオンさせるような駆動制御信号Sd1が出力されている場合であっても、ステップS23において第1系統側のインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ1~Q4が全てオフ状態となっているので、モータ3の第1系統側のコイル6_1に循環電流が発生することを防止できる。これにより、第2系統側のモータ駆動回路10_2による駆動によって回転しているモータ3に対してブレーキをかけるような磁界の発生を防止することができる。
【0115】
一方、ステップS18において、第2系統側が正常でなかった場合には(ステップS18:NO)、監視部22は、モータ3がロック状態であると判定する(ステップS25)。駆動制御部21は、ステップS25での監視部22の監視結果に応じて、両系統側のモータ駆動回路10_1,10_2への駆動指令信号Sc1,Sc2の出力を停止する(ステップS26)。その後、各制御回路11_1,11_2は、モータ3の駆動を停止し、制御回路11_1,11_2のロック保護機能により、モータ3はロック保護状態となる(ステップS27)。
【0116】
図4Aは、上述した実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1の先行検討例としての、信号遮断回路13_1,13_2を備えていないモータ駆動制御装置におけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【0117】
図4Bは、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1におけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【0118】
上述の先行検討例のように、各系統のモータ駆動回路10_1,10_2において、ロック保護機能を有する汎用IC(制御回路11)とインバータ回路12とが直接接続されているモータ駆動制御装置を考える。このモータ駆動制御装置では、
図4Aに示すように、位置検出器7の故障等によって何れか一方の系統側の異常が検出された場合には、正常な系統側のインバータ回路12の全ての駆動用トランジスタQ1~Q8がスイッチング動作を行ってモータの回転を継続させる一方で、異常が検出された系統側の制御回路11(汎用IC)のロック保護機能が働くことにより、異常が検出された側のインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q6またはQ4,Q8の何れか一方がオンしてしまう。その結果、上述したように、一方のモータ駆動回路10によって駆動されているモータ3に対してブレーキをかけるような磁界が発生し、モータ3の回転が不安定になるおそれがある。
【0119】
これに対し、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1には、ロック保護機能を有する汎用IC(制御回路11)とインバータ回路12との間に信号遮断回路13が設けられている。そのため、位置検出器7の故障等によって何れか一方の系統側の異常が検出された場合には、異常が検出された系統側の制御回路11(汎用IC)のロック保護機能が働いたとしても、異常が検出された系統側の制御回路11とインバータ回路12との間の信号の伝達が信号遮断回路13によって遮断されるので、異常が検出された側のインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4またはQ6,Q8をオフすることが可能となる。これにより、異常が検出された側の制御回路11のロック保護機能が働いた場合であっても、一方のモータ駆動回路10によって駆動されているモータ3に対してブレーキをかけるような磁界が発生することを抑制し、モータ3を安定して回転させることが可能となる。
【0120】
以上、実施の形態1に係る2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置1によれば、一方の駆動系統に不具合が生じた場合であっても他方の駆動系統によってモータの安定した回転を継続させることが可能となる。
【0121】
なお、上記実施の形態において開示した信号遮断回路13の回路構成は一例であって、制御回路11とインバータ回路12との間の信号の伝達を遮断することができれば、その他の回路構成を採用してもよい。
図5に、信号遮断回路13の別の一例を示す。
【0122】
図5に示す信号遮断回路13Aは、インバータ回路12のローサイドの駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)の制御電極(ゲート電極)とグラウンド電位との間に接続された遮断用スイッチ素子Q20を有する。遮断用スイッチ素子Q20は、例えば、NPN型のバイポーラトランジスタである。信号遮断回路13Aにおいて、遮断用スイッチ素子Q20の第1主電極としてのエミッタ電極がグラウンド電位に接続され、遮断用スイッチ素子Q20の第2主電極としてのコレクタ電極が整流素子としてのダイオードD1,D2のカソードに接続されている。遮断用スイッチ素子Q20の制御電極としてのベース電極は、駆動制御回路20の制御端子P1,P2にそれぞれ接続されている。
【0123】
ダイオードD1のアノードは駆動用トランジスタQ2(Q6)のゲート電極に接続され、ダイオードD2のアノードは駆動用トランジスタQ4(Q8)のゲート電極に接続されている。ここで、ダイオードD1,D2の順方向電圧は駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)の閾値電圧よりも小さい。
【0124】
また、制御回路11_1,11_2の出力端子Pd2と駆動用トランジスタQ2(Q6)のゲート電極との間に、抵抗R1とキャパシタC1とが並列に接続されていてもよい。同様に、制御回路11_1,11_2の出力端子Pd4と駆動用トランジスタQ4(Q8)のゲート電極との間に、抵抗R2とキャパシタC2とが並列に接続されていてもよい。
【0125】
図5に示された信号遮断回路13Aによれば、対応する系統が正常である場合には、駆動制御回路20(監視部22)が制御端子P1,P2を開放(オープン)またはローレベルにすることにより、遮断用スイッチ素子Q20がオフし、制御回路11の出力端子Pd2,Pd4から出力された信号が駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)のゲート電極に入力される。
【0126】
一方、対応する系統が異常である場合には、駆動制御回路20(監視部22)が制御端子P1,P2をハイレベル(例えば電源電圧Vdc1に相当する電圧)にすることにより、遮断用スイッチ素子Q20がオンし、駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)のゲート電極がダイオードD1,D2および遮断用スイッチ素子Q20を介してグラウンド電位に接続される。これにより、制御回路11の出力端子Pd2,Pd4から信号が出力されたとしても、駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)のゲート電極には、ダイオードD1,D2の順方向電圧に相当する電圧が印加されるため、駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)はオフする。これにより、制御回路11の出力端子Pd2,Pd4から駆動用トランジスタQ2,Q4(Q6,Q8)のゲート電極への信号の入力が遮断される。
【0127】
≪実施の形態2≫
図6は、本発明の実施の形態2に係るモータ駆動制御システムの構成を示すブロック図である。
【0128】
図6に示されるモータ駆動制御システム100Aにおけるモータ駆動制御装置1Aは、駆動制御回路20としてのMCUが故障した場合であっても、モータ3の回転を継続させる機能を有する点において、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1と同様である。
【0129】
図7は、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1における信号遮断回路13_1,13_2とその周辺の回路の構成を示す図である。
【0130】
図7に示すように、モータ駆動制御装置1Aは、補助回路26を更に有し、実施の形態1に係る電源回路23および駆動制御回路20の代わりに電源回路23Aおよび駆動制御回路20Aを有している。
【0131】
電源回路23Aは、レギュレータ24、25、および整流素子としてのダイオードD21,D22を有している。レギュレータ24,25は、例えば、シリーズレギュレータやスイッチングレギュレータ等によって実現されている。
【0132】
レギュレータ24は、電源端子Pvに供給された電源電圧Vdcを降圧した直流電圧を生成し、電源電圧Vdc1として駆動制御回路20Aに供給する。レギュレータ25は、電源端子Pvに供給された電源電圧Vdcを降圧した直流電圧を生成し、電源電圧Vdc2として出力する。電源電圧Vdc2は、第2系統側の信号遮断回路13_1を制御する制御端子P2を抵抗Rpによってプルアップするためのプルアップ電源として利用される。例えば、Vdc1=Vdc2である。
【0133】
ダイオードD21,D22は、電源電圧Vdc1と電源電圧Vdc2の何れか大きい方の電圧に基づいて電源電圧Vdc3を生成する。電源電圧Vdc3は、補助回路26に供給される。
【0134】
駆動制御回路20Aは、制御端子P1,P2を駆動する回路として、例えば、オープンドレイン形式の出力回路27A,28Aを有している。出力回路27Aは、例えば、電源電圧Vdc1と制御端子P1との間に接続されたPチャネル型のMOSFETを有し、制御端子P1をハイレベル(≒Vdc1)または開放(Hi-Z)にする。出力回路28Aは、例えば、グラウンド電位と制御端子P2との間に接続されたNチャネル型のMOSFETを有し、制御端子P1をローレベル(≒グラウンド電位)または開放(Hi-Z)にする。
【0135】
補助回路26は、駆動制御回路20Aによる第2系統側のモータ駆動回路10_2の制御を補助する回路である。補助回路26は、駆動制御回路20Aが動作を停止したとき、駆動制御回路20Aに代わって駆動指令信号(第2駆動指令信号)Sc2を生成して第2系統側のモータ駆動回路10_2に供給する。
【0136】
具体的には、補助回路26は、制御端子P1に第1論理レベル(例えばハイレベル)に応じた電圧(≒Vdc1)が出力されている場合に、駆動指令信号Sc2の生成を停止し、制御端子P1が開放状態である場合に、駆動指令信号Sc2を生成して第2系統側のモータ駆動回路10_2(信号出力端子P5)に供給する。
【0137】
例えば、補助回路26は、スイッチ素子としてのトランジスタQ26と、負荷としての抵抗R26と、整流素子としてのダイオードD26とを含む。トランジスタQ26は、例えば、NPN型のバイポーラトランジスタである。トランジスタQ26の第1主電極としてのエミッタ電極がグラウンド電位に接続され、トランジスタQ26の第2主電極としてのコレクタ電極が抵抗R26の一端に接続され、トランジスタQ26の制御電極としてのゲート電極が駆動制御回路20Aの制御端子P1に接続されている。トランジスタQ26のベース電極には抵抗が接続され、トランジスタQ26のベース電極とエミッタ電極との間に抵抗が接続されていてもよい。
【0138】
整流素子としてのダイオードD26は、一端(アノード)がトランジスタQ26の第2主電極としてのコレクタ電極に接続され、他端(カソード)が駆動制御回路20Aの信号出力端子P5に接続される。抵抗R26の他端は、グラウンド電位よりも大きい第3固定電位としての電源電圧Vdc3が供給される電源ラインに接続されている。
【0139】
モータ駆動制御システム100Aにおいて、第1系統側および第2系統側が正常である場合、駆動制御回路20Aの監視部22Aは、出力回路27Aを制御して制御端子P1をハイレベル(≒Vdc1)にするとともに、出力回路28Aを制御して制御端子P2を開放する。これにより、信号遮断回路13_1,13_2の遮断用スイッチ素子Q11,Q12,Q15,Q16がオンし、制御回路11_1,11_2からインバータ回路12_1,12_2への駆動制御信号Sd1,Sd2の入力が可能になる。また、制御端子P1がハイレベルになることにより、補助回路26のトランジスタQ26がオンする。これにより、ダイオードD26のアノードがトランジスタQ26を介してグラウンド電位に接続されるので、ダイオードD26から信号出力端子P5に電流は流れ込まない。すなわち、駆動制御回路20Aの信号出力端子P5から出力された駆動指令信号Sc2は、補助回路26から影響を受けることなく、第2系統側の制御回路11_2に入力される。
【0140】
モータ駆動制御システム100Aにおいて、第1系統側に異常が発生し、適切な信号FG1が生成されなくなった場合、駆動制御回路20Aの監視部22Aは、出力回路27Aを制御して制御端子P1を開放する。これにより、信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオフし、制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が遮断される。また、制御端子P1が開放状態になることにより、補助回路26のトランジスタQ26がオフする。これにより、電源電圧Vdc3が供給される電源ラインから抵抗R26およびダイオードD26を経由して信号出力端子P5に電流経路が形成される。この場合、第2系統側は正常であるため、駆動制御部21が目標回転速度を指示する駆動指令信号Sc2を信号出力端子P5から出力する。
【0141】
駆動制御回路20Aが駆動指令信号Sc2を出力するとき、上述した抵抗R26およびダイオードD26から成る電流経路から信号出力端子P5に電流が流入するが、駆動制御回路20A内の信号出力端子P5の出力回路(不図示)のドライブ能力が十分に高ければ、駆動指令信号Sc2(PWM信号)への影響はない。
【0142】
モータ駆動制御システム100Aにおいて、第2系統側に異常が発生し、適切な信号FG2が生成されなくなった場合、駆動制御回路20Aの監視部22Aは、出力回路28Aを制御して制御端子P2を開放状態からローレベルにする。これにより、信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオフし、制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力が遮断される。
【0143】
モータ駆動制御システム100Aにおいて、例えば、駆動制御回路20AとしてのMCUの故障や電源回路23Aのレギュレータ24が故障に起因する電源電圧Vdc1の供給停止によってMCUの動作が停止した場合、駆動制御回路20Aから駆動指令信号Sc1,Sc2の出力が停止する。
【0144】
この場合、駆動制御回路20Aの第1系統側の制御端子P1は開放状態となり、第2系統側の制御端子P2は開放状態となる。これにより、信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオフし、制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が遮断される。第2系統側では、信号遮断回路13_2の切替用スイッチ素子Q17,Q18の制御電極が抵抗Rpによって電源電圧Vdc2にプルアップされるため、切替用スイッチ素子Q17,Q18がオンして遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオンする。これにより、制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力が可能になる。
【0145】
また、第1系統側の制御端子P1が開放状態になることにより、補助回路26のトランジスタQ26がオフする。これにより、電源電圧Vdc3が供給される電源ラインから抵抗R26およびダイオードD26を経由して信号出力端子P5に至る電流経路が形成される。このとき、駆動制御回路20A(MPU)の動作が停止しているため、駆動制御回路20Aの第2系統側の信号出力端子P5から駆動指令信号Sc2が出力されないが、信号出力端子P5が補助回路26を介して電源電圧Vdc3に接続されているため、信号出力端子P5には、電源電圧Vdc3に相当する直流電圧が印加される。すなわち、補助回路26によってデューティ比が100%の駆動指令信号Sc2が生成され、その駆動指令信号Sc2が制御回路11_2に入力される。
【0146】
これにより、制御回路11_2は、100%のデューティ比に対応する回転速度、すなわち最大回転速度でモータ3を回転させるように駆動制御信号Sd2を生成し、モータ3を回転させる。このように、駆動制御回路20AとしてのMCUが故障等により動作不能に陥った場合であっても、補助回路26によって駆動指令信号Sc2が生成されるので、第2系統側のモータ駆動回路10_2によってモータ3の回転を継続させることが可能となる。
【0147】
次に、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによる異常検出時の処理の流れについて説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1Aの処理と同様の処理については、説明を省略する(
図3Aおよび
図3B参照)。
【0148】
図8A乃至
図8Cは、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【0149】
先ず、外部からモータ駆動制御装置1Aの電源端子Pvに電源電圧Vdcが供給されたとき、駆動制御回路20Aが正常に動作可能か否かによってその後の処理内容が異なる。
【0150】
例えば、電源電圧Vdcの投入後、電源回路23Aから電源電圧Vdc1が駆動制御回路20A(MCU)に供給され、駆動制御回路20Aが正常に動作した場合には(ステップS0:YES)、駆動制御回路20Aの監視部22Aが、出力回路27Aを制御して制御端子P1をハイレベル(≒Vdc1)にするとともに、出力回路28Aを制御して制御端子P2を開放する(ステップS1A)。ステップS1A以降の処理フロー(S2~S27)の全体的な流れは、
図4Aおよび
図4Bに示した実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1による処理フローと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0151】
一方、ステップS0において、電源電圧Vdcの投入後、電源回路23Aが正常に動作できず、適切な電源電圧Vdc1が生成されなかった場合や駆動制御回路20Aが故障していた場合には(ステップS0:NO)、駆動制御回路20Aが動作しない。そのため、駆動制御回路20Aから駆動指令信号Sc1,Sc2が出力されない(ステップS30)。この場合、駆動制御回路20Aの制御端子P1,P2は開放状態となる(ステップS31)。
【0152】
したがって、第1系統側では、信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオフし、制御回路11_1からインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ2,Q4への信号の入力が遮断される(ステップS32)。これにより、第1系統側のインバータ回路12_1の駆動用トランジスタQ1~Q4が全てオフ状態となる(ステップS33)。
【0153】
一方、第2系統側では、制御端子P2が抵抗Rpによって電源電圧Vdc2にプルアップされているため、信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオンし、制御回路11_2からインバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ6,Q8への信号の入力が可能となる(ステップS34)。これにより、第2系統側のインバータ回路12_2の駆動用トランジスタQ5~Q8が動作可能な状態となる(ステップS35)。
【0154】
また、ステップS31において駆動制御回路20Aの制御端子P1が開放状態であるため、補助回路26のトランジスタQ26がオフするので、電源電圧Vdc2に応じた一定電圧(デューティ比が100%)の駆動指令信号Sc2が、補助回路26から制御回路11_2に供給される(ステップS36)。その後は、制御回路11_2が、設定可能な最大の回転速度でモータ3を回転させるように駆動制御信号Sd2を生成してインバータ回路12_2を制御することにより、コイル6_2を通電させてモータ3を駆動する(ステップS37)。
【0155】
なお、実施の形態2では、実施の形態1に対して、駆動制御回路20Aによる制御端子P2の論理が反転する点について注意が必要である。具体的には、
図8Bに示すように、ステップS12において第2系統側が異常であると判定された場合に、駆動制御回路20Aの監視部22Aが出力回路28Aを制御して制御端子P2をローレベル(GND)にする(ステップS14A)。これにより、第2系統側のモータ駆動回路10_2において、制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力が遮断される。
【0156】
図9は、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aにおけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【0157】
図9に示すように、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによれば、第1系統側および第2系統側の何れか一方に異常が発生した場合には、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1と同様に、異常が検出された側のインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4またはQ6,Q8をオフすることが可能となるので、異常が検出された側の制御回路11のロック保護機能が働いた場合であっても、ブレーキをかけることなくモータ3を安定して回転させることが可能となる。
【0158】
更に、
図9に示すように、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによれば、駆動制御回路20AとしてのMCUが動作できない場合であっても、補助回路26によって第2系統側の制御回路11_2に駆動指令信号Sc2を供給することができるので、第1系統側が故障した場合と同様に、第2系統側のモータ駆動回路10_2によってモータ3を回転させることが可能となる。この場合においても、第1系統側のインバータ回路12_1のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4がオフするので、ブレーキをかけることなくモータ3を安定して回転させることが可能となる。
【0159】
以上、実施の形態2に係る2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置1によれば、一方の駆動系統に不具合が生じた場合であっても他方の駆動系統によってモータの安定した回転を継続させることが可能となるとともに、駆動制御回路20Aが正常に動作できなくなった場合であっても、モータ3の回転を継続させることが可能となる。
【0160】
≪実施の形態3≫
図10は、本発明の実施の形態3に係るモータ駆動制御システムの構成を示すブロック図である。
【0161】
図10に示されるモータ駆動制御システム100Bにおけるモータ駆動制御装置1Bは、2系統の信号遮断回路13_1,13_2の動作を駆動制御回路20Bの一つの外部端子によって制御する点において、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aと同様である。
【0162】
図11は、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Aにおける信号遮断回路13_1,13_2とその周辺の回路の構成を示す図である。
【0163】
図11に示すように、モータ駆動制御装置1Bは、制御信号生成回路30を更に有し、実施の形態2に係る駆動制御回路20Aの代わりに駆動制御回路20Bを有している。駆動制御回路20Bは、上述した制御端子P1,P2の代わりに、第1系統側および第2系統側の信号遮断回路13_1,13_2を制御するための制御端子P3を有している。
【0164】
また、駆動制御回路20Bは、制御端子P3を駆動する回路として、制御端子P3を、第1論理レベル(例えば、ハイレベル(=Vdc1))、第2論理レベル(例えば、ローレベル(=GND))、およびハイインピーダンス(開放)の何れかの状態に遷移させることが可能な3ステート出力形式(例えば、プッシュプル形式)の出力回路29Bを有している。例えば、出力回路29Bは、電源電圧Vdc1と制御端子P3との間に接続されたPチャネル型のMOSFETと、制御端子P3とグラウンド電位との間に接続されたNチャネル型のMOSFETとを有する回路である。
【0165】
駆動制御回路20Bの監視部22Bは、第1系統側および第2系統側が正常である場合に、駆動制御回路20Bの電源電圧Vdc1に応じた電圧(ハイレベル)を制御端子P3に出力し、第1系統側の異常を検出した場合に、制御端子P3を開放状態(Hi-Z)にし、第2系統側の異常を検出した場合に、グラウンド電位に応じた電圧(ローレベル)を制御端子P3に出力する。
【0166】
制御信号生成回路30は、第1系統側の信号遮断回路13_1を制御するための第1制御信号St1と第2系統側の信号遮断回路13_2を制御するための第2制御信号St2を生成する回路である。なお、第1制御信号St1および第2制御信号St2を単に「制御信号St1」および「制御信号St2」と称する場合がある。
【0167】
図11に示すように、制御信号生成回路30は、例えば、スイッチ素子Q22、抵抗R5,R6、および整流素子D5,D6を有する。スイッチ素子Q22は、グラウンド電位よりも高い第4固定電位としての電源電圧Vdc4と、補助回路26の入力端子(トランジスタQ26の制御電極)および信号遮断回路13_1の入力端子(切替用スイッチ素子Q13,Q14としてのトランジスタの制御電極)との間に接続されている。
【0168】
ここで、電源電圧Vdc4は、電源電圧Vdc1,Vdc2よりも低い電圧であり、例えば、Vdc1,Vdc2=5.0Vであるとき、Vdc4=3.3Vである。電源電圧Vdc4は、電源回路23Aにレギュレータを設けることによって生成してもよいし、制御回路11_2としての汎用ICによって生成される内部電源電圧を用いてもよく、電源電圧Vdc4の生成方法は特に限定されない。
【0169】
スイッチ素子Q22は、例えば、PNP型のバイポーラトランジスタである。以下、スイッチ素子Q22を「トランジスタQ22」とも称する。トランジスタQ22のエミッタ電極は、電源電圧Vdc4が供給される電源ラインに接続され、トランジスタQ22のコレクタ電極は、トランジスタQ26の制御電極および信号遮断回路13_1の切替用スイッチ素子Q13,Q14の制御電極に接続されている。抵抗R5の一端は、電源電圧Vdc2が供給される電源ラインに接続され、抵抗R5の他端は、信号遮断回路13_2の入力端子(切替用スイッチ素子Q17,Q18としてのトランジスタの制御電極)に接続されている。
【0170】
整流素子D5,D6は、例えばダイオードである。以下、整流素子D5,D6を「ダイオードD5,D6」とも称する。ダイオードD5のアノードは、抵抗R5の他端と信号遮断回路13_2の入力端子(切替用スイッチ素子Q17,Q18としてのトランジスタの制御電極)とに接続されている。ダイオードD5のカソードは、駆動制御回路20Bの制御端子P3に接続されている。ダイオードD6のアノードは、ダイオードD5のカソードと駆動制御回路20Bの制御端子P3とに接続されている。ダイオードD6のカソードは、抵抗R6の一端に接続されている。抵抗R6の他端は、トランジスタQ22のコレクタ電極に接続されている。
【0171】
第1系統側および第2系統側の双方が正常である場合、すなわち、駆動制御回路20Bの制御端子P3がハイレベルである場合、制御信号生成回路30は、第1系統側および第2系統側における制御回路11からインバータ回路12への駆動制御信号Sdの入力を可能にする第1制御信号St1および第2制御信号St2を出力する。
【0172】
具体的には、駆動制御回路20Bの制御端子P3がハイレベル(≒Vdc1)となったとき、制御信号生成回路30のダイオードD6および抵抗R6を介して、ハイレベル(≒Vdc1)の第1制御信号St1が第1系統側の信号遮断回路13_1と補助回路26にそれぞれ入力される。これにより、第1系統側の信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオンするので、第1系統側の制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が可能になる。また、このとき、補助回路26のトランジスタQ26もオンするため、ダイオードD26がオンせず、補助回路26による駆動指令信号(第2駆動指令信号)Sc2の生成は停止する。
【0173】
一方、第2系統側においては、第2系統側の信号遮断回路13_2の入力端子(切替用スイッチ素子Q17,Q18の制御電極)が抵抗R5を介して電源電圧Vdc2にプルアップされており、ダイオードD5のアノードはハイレベル(≒Vdc1)であるため、ダイオードD5はオンしない。そのため、第2制御信号St2がハイレベル(≒Vdc2)となり、第2系統側の信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオンする。
【0174】
第1系統側の異常が検出された場合、すなわち駆動制御回路20Bの制御端子P3が開放状態(Hi-Z)である場合、制御信号生成回路30は、第1系統側における制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力を遮断する第1制御信号St1を出力するとともに、第2系統側における制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力を可能にする第2制御信号St2を出力する。
【0175】
具体的には、駆動制御回路20Bの制御端子P3が開放状態となったとき、電源電圧Vdc2が供給される電源ラインから、抵抗R5、ダイオードD5、ダイオードD6、抵抗R6、およびトランジスタQ26および第1系統側の信号遮断回路13_1の切替用スイッチ素子Q13,Q14のベース-エミッタ間に接続されている抵抗を経由してグラウンド電位に電流が流れる。このとき、トランジスタQ22がオフするように、電源電圧Vdc4の大きさと抵抗R5,R6およびダイオードD5,D6等の定数を設定しておくことにより、ローレベルの第1制御信号St1が第1系統側の信号遮断回路13_1と補助回路26にそれぞれ入力される。
【0176】
これにより、第1系統側の信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオフし、第1系統側における制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が遮断される。このとき、補助回路26のトランジスタQ26もオフするため、電源電圧Vdc3が供給される電源ラインからダイオードD26を介して信号出力端子P5に電流が流れ込む。このとき、駆動制御回路20B内の信号出力端子P5の出力回路(不図示)のドライブ能力が十分に高ければ、駆動指令信号Sc2(PWM信号)への影響はない。
【0177】
一方、第2系統側において、第2系統側の信号遮断回路13_2の入力端子(切替用スイッチ素子Q17,Q18の制御電極)が抵抗R5を介して電源電圧Vdc2にプルアップされているため、第2制御信号St2がハイレベル(≒Vdc2)となる。これにより、第2系統側の信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオンする。
【0178】
第2系統側の異常が検出された場合、すなわち制御端子P3がローレベルである場合、制御信号生成回路30は、第1系統側における制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力を可能にする第1制御信号St1を出力するとともに、第2系統側における制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力を遮断する第2制御信号St2を出力する。
【0179】
具体的には、駆動制御回路20Bの制御端子P3がローレベルとなったとき、電源電圧Vdc2が供給される電源ラインから、抵抗R5、ダイオードD5、駆動制御回路20Bの出力回路29Bを介してグラウンド電位に電流が流れ込む。これにより、トランジスタQ22のベース電極の電圧、すなわち第2制御信号St2が、ダイオードD5の順方向電圧に相当する電圧まで低下する。その結果、トランジスタQ22がオンし、電源電圧Vdc4に相当する電圧の第1制御信号St1が第1系統側の信号遮断回路13_1と補助回路26にそれぞれ入力される。これにより、第1系統側の信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオンする。このとき、補助回路26のトランジスタQ26もオンするため、補助回路26による駆動指令信号Sc2の生成は停止する。
【0180】
一方、第2系統側において、上述したように第2制御信号St2がダイオードD5の順方向電圧に相当する電圧まで低下するので、第2系統側の信号遮断回路13_2の切替用スイッチ素子Q17,Q18はオンしない。その結果、第2系統側の信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16はオフする。
【0181】
駆動制御回路20Bの故障等により、駆動制御回路20Bが動作不能である場合には、駆動制御回路20Bの制御端子P3が開放状態(Hi-Z)になるとともに、駆動制御回路20Bによる駆動指令信号Sc1,Sc2の出力が停止する。この場合、制御信号生成回路30は、第1系統側および第2系統の双方における制御回路11からインバータ回路12への駆動制御信号Sdの入力を遮断する第1制御信号St1および第2制御信号St2を出力する。
【0182】
具体的には、駆動制御回路20Bの制御端子P3が開放状態となったとき、上述した第1系統側の異常が検出された場合と同様に、制御信号生成回路30のトランジスタQ22がオフするので、ローレベルの第1制御信号St1が第1系統側の信号遮断回路13_1と補助回路26にそれぞれ入力される。これにより、第1系統側の信号遮断回路13_1の遮断用スイッチ素子Q11,Q12がオフするので、制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が遮断される。
【0183】
一方、第2系統側において、駆動制御回路20Bの制御端子P3が開放状態となったとき、第2制御信号St2がハイレベル(≒Vdc2)となる。これにより、第2系統側の信号遮断回路13_2の遮断用スイッチ素子Q15,Q16がオンする。このとき、ローレベルの第1制御信号St1によって、補助回路26のトランジスタQ26がオフしているため、補助回路26は、ダイオードD26から電源電圧Vdc3に相当する直流電圧の駆動指令信号Sc2を制御回路11_2に供給する。これにより、モータ3は、設定可能な最大回転速度で回転するように制御される。
【0184】
次に、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによる異常検出時の処理の流れについて説明する。なお、以下の説明において、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aの処理(
図8A~
図8C参照)と同様の処理については、説明を省略する。
【0185】
図12A乃至
図12Cは、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによる異常検出時の処理の流れを示すフローチャートである。
【0186】
図12A乃至
図12Cに示される処理フローの全体的な流れは、
図9A乃至
図9Cに示した実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによる処理フローと同様である。駆動制御回路20Bが、制御端子P1,P2の代わりに制御端子P3の状態を切り替える点において、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aと相違する。
【0187】
具体的には、
図12Aに示すように、ステップS0において電源電圧Vdcの印加後に駆動制御回路20Bが動作可能である場合に、駆動制御回路20Bの監視部22Bが出力回路29Bを制御して制御端子P3をハイレベル(≒Vdc1)にする(ステップS1B)。これにより、各系統のモータ駆動回路10において、制御回路11からインバータ回路12への駆動制御信号Sd1,Sd2の入力が可能な状態となる。
【0188】
また、
図12Bに示すように、ステップS12において第2系統側が異常であると判定された場合に、駆動制御回路20Bの監視部22Bが出力回路29Bを制御して制御端子P3をローレベル(GND)にする(ステップS14B)。これにより、第1系統側のモータ駆動回路10_1において制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が可能になる一方で、第2系統側のモータ駆動回路10_2において、制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力が遮断される。
【0189】
また、
図12Bに示すように、ステップS19において第1系統側が異常であると判定された場合に、駆動制御回路20Bの監視部22Bが出力回路29Bを制御して制御端子P3を開放(Hi-Z)する(ステップS21B)。これにより、第2系統側のモータ駆動回路10_1において制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力が可能になる一方で、第1系統側のモータ駆動回路10_1において、制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が遮断される。
【0190】
更に、
図12Cに示すように、ステップS0において電源電圧Vdcの印加後に駆動制御回路20Bが動作不能である場合に、駆動制御回路20Bの制御端子P3が開放状態になる(ステップS31B)。これにより、第2系統側のモータ駆動回路10_1において制御回路11_2からインバータ回路12_2への駆動制御信号Sd2の入力が可能になる一方で、第1系統側のモータ駆動回路10_1において、制御回路11_1からインバータ回路12_1への駆動制御信号Sd1の入力が遮断される。その後、補助回路26から一定電圧(=Vdc3)の駆動指令信号Sc2が生成され(ステップS36)、制御回路11_2に入力されることにより、第2系統側のモータ駆動回路10_2のみによってモータ3が駆動される(ステップS37)。
【0191】
図13は、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bにおけるインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8の状態を説明するための図である。
【0192】
図13に示すように、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによれば、第1系統側および第2系統側の何れか一方に異常が発生した場合には、一つの制御端子P3を開放(Hi-Z)またはローレベル(GND)にすることにより、異常が検出された側のインバータ回路12のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6,Q8をオフすることが可能となる。これにより、実施の形態1,2に係るモータ駆動制御装置1,1Aと同様に、異常が検出された側の制御回路11のロック保護機能が働いた場合であっても、ブレーキをかけることなくモータ3を安定して回転させることが可能となる。
【0193】
更に、
図13に示すように、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによれば、駆動制御回路20BとしてのMCUが動作できない場合であっても、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aと同様に、補助回路26によって第2系統側の制御回路11_2に駆動指令信号Sc2を供給することができるので、第2系統側のモータ駆動回路10_2によってモータ3を回転させることが可能となる。この場合においても、第1系統側のインバータ回路12_1のロー側の駆動用トランジスタQ2,Q4がオフするので、ブレーキをかけることなくモータ3を安定して回転させることが可能となる。
【0194】
以上、実施の形態3に係る2つの駆動系統を有するモータ駆動制御装置1Bによれば、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aと同様に、一方の駆動系統に不具合が生じた場合であっても他方の駆動系統によってモータ3の安定した回転を継続させることが可能になるとともに、駆動制御回路20BとしてのMCUが正常に動作できなくなった場合であっても、モータ3の回転を継続させることが可能となる。
【0195】
また、実施の形態3に係るモータ駆動制御装置1Bによれば、信号遮断回路13_1,13_2を制御するための制御信号St1,St2を生成する制御信号生成回路30を設けることにより、駆動制御回路20B(MCU)における3ステート出力形式の一つの外部端子のみよって、両系統の信号遮断回路13_1,13_2の個別の制御と、MCU故障時の補助回路26による駆動指令信号Sc2の生成が可能となる。
【0196】
なお、制御信号生成回路30は、
図11に示した回路構成に限定されない。
図14は、制御信号生成回路の別の一例を示す図である。
図14に示す制御信号生成回路30Bのように、制御信号生成回路30におけるダイオードD5を削除するとともに、抵抗R6の代わりにシャントレギュレータ31を用いてもよい。制御信号生成回路30Bによれば、制御信号生成回路30と同様に、制御端子P3の3つの状態(ハイレベル、ローレベル、およびハイインピーダンス)に応じて適切な制御信号St1,St2を生成することができる。
【0197】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0198】
また、上記実施の形態において、モータ駆動制御装置1を、2系統のコイル6_1,6_2を備えた単相のブラシレスモータを有するファンユニットに適用する場合を例示したが、これに限られない。例えば、モータ駆動制御装置1を、1系統のコイルを備えた単相のブラシレスモータを2つ有するファンユニットに適用してもよい。
【0199】
また、上記実施の形態において、モータ3が単相のブラシレスモータである場合を例示したが、モータ3の種類や相数等はこれに限定されない。
【0200】
また、上述のフローチャートは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。すなわち、フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではない。例えば、一部の処理の順番が変更されてもよいし、各処理間に他の処理が挿入されてもよいし、一部の処理が並列に行われてもよい。
【符号の説明】
【0201】
1,1A,1B…モータ駆動制御装置、2…上位装置、3…モータ、4…インペラ(羽根車)、5…ファン(ファンモータ)、6_1,6_2…コイル(第1,第2系統のコイルの一例)、7_1,7_2…位置検出器、10_1,10_2…モータ駆動回路、11_1,11_2…制御回路、12_1,12_2…インバータ回路、13_1,13_2,13A_1,13A_2…信号遮断回路、16_1,16_2,17_1,17_2…負荷駆動端子、19…ヒューズ、20,20A,20B…駆動制御回路、21…駆動制御部、22,22A,22B…監視部、23,23A…電源回路、24,25…レギュレータ、26…補助回路、27A,28A,29,29B…出力回路、30,30B…制御信号生成回路、31…シャントレギュレータ、100,100A,100B…モータ駆動制御システム、101,101A,101B…ファンユニット、C1,C2…キャパシタ、D1,D5,D6,D21,D22,D26…整流素子(ダイオード)、FG1,FG2…信号(第1,第2FG信号)、Lp…電源ライン、Pv…電源端子、P1,P2,P3…制御端子、P4,P5…信号出力端子、P6,P7…信号入力端子、Pd1~Pd4…出力端子、Q1~Q8…駆動用トランジスタ、Q11,Q12,Q15,Q16,Q20…遮断用スイッチ素子、Q13,Q14,Q17,Q18…切替用スイッチ素子、Q22,Q26…スイッチ素子、R1,R2,R5,R6,R26,Rp…抵抗、Rs1,Rs2…電流検出用抵抗、Sc,Sc1,Sc2…駆動指令信号、Sd…駆動制御信号(PWM信号)、Sd1,Sd2…駆動制御信号(第1,第2駆動制御信号の一例)、So…モータ駆動情報信号、St1,St2…制御信号(第1,第2制御信号)、Vdc,Vdc1,Vdc2,Vdc3,Vdc4…電源電圧。