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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】吸収体及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/534 20060101AFI20240605BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240605BHJP
【ＦＩ】
A61F13/534 110
A61F13/53 300
【請求項の数】
10
(21)【出願番号】P 2020182213
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072652
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 克
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開２００７－２２９４０３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００７－１０５２１７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１３－０１３６４１（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１６－１８５２４１（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０４－１５３３５１（ＪＰ，Ａ）
【文献】米国特許第０４３３８３７１（ＵＳ，Ａ）
【文献】特開２０１２－２１８３２０（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ａ６１Ｆ １３／５３４
Ａ６１Ｆ １３／５３
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンを含む第１の連続多孔質体層と、ポリウレタンを含む第２の連続多孔質体層と、
スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブが積層された複合型不織布と
を、厚さ方向の断面視においてこの順に配置されるように備え、かつ、フラッフパルプを含有せず、
前記第１の連続多孔質体層の坪量が、前記第２の連続多孔質体層の坪量よりも大きく、
前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度が、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度よりも小さく、かつ、
前記第１の連続多孔質体層の表面の一部と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第１の中間層と、
前記第２の連続多孔質体層の表面の一部と、前記複合型不織布の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第２の中間層と、
を備える、吸収体。
【請求項2】
前記第１の連続多孔質体層、前記第２の連続多孔質体層、及び前記複合型不織布を覆う、親水性シートを更に備える、請求項１に記載の吸収体。
【請求項3】
前記第１の連続多孔質体層の坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２であり、前記第２の連続多孔質体層の坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２である、
請求項１又は２に記載の吸収体。
【請求項4】
前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度は、１００～２００ｋｇ／ｍ３であり、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度は、１００～２００ｋｇ／ｍ３である、
請求項１～３のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項5】
前記第１の連続多孔質体層及び／又は前記第２の連続多孔質体層は、その骨格表面が親水性である、請求項１～４のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項6】
前記複合型不織布の引張試験における強度が、テンシロンでの試験において、２５ｍｍ幅に形成した試験片を縦方向に２ｍｍ伸ばすのに必要な力が１．５～５．０Ｎ／２５ｍｍである、請求項１～５のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項7】
前記スパンボンド不織布の材質は、ポリアミド、ビニロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも１つである、請求項１～６のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項8】
前記複合型不織布は、前記スパンボンド不織布及び前記パルプ繊維ウェブが水流交絡された水流交絡不織布であり、前記高吸収性ポリマーが配置されている前記複合型不織布の表面は、凹凸が形成された水流交絡面であり、前記水流交絡面の前記凹凸により前記高吸収性ポリマーが保持されている、
請求項１～７のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項9】
前記第１の中間層における前記高吸収性ポリマーの坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２であり、前記第２の中間層における前記高吸収性ポリマーの坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２である、
請求項１～８のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項10】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、
前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された、請求項１～９のいずれか一項に記載の吸収体と
を備え、
前記吸収体は、前記液透過性のトップシート側に前記第１の連続多孔質体層が位置し、前記液不透過性のバックシート側に前記複合型不織布が位置するように配置されている、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿取りパッド、パンツタイプ、テープ止めタイプ等の吸収性物品は、例えば、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体とから構成されている。このような吸収性物品は、通常、衣類の内部に装着して使用される。近年は、吸収性物品を装着していることが外部から目立たず、かつ、着用時の違和感及び着用感がないことが望まれている。このような観点から、薄型の吸収体を用いた吸収性物品が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献１には、表面シート、裏面シート、及び該表面シートと該裏面シートとの間に配された液保持性の吸収体を備え、前記表面シートと吸収体との間にセカンドシートが配されている吸収性物品であって、前記吸収体が０．１２ｇ／ｃｍ３より高い密度を有し、前記セカンドシートが１．５×１０３Ｎ以上の毛管力を有する吸収性物品が開示されている。
【0004】
そして、特許文献２には、親水性多孔体及び吸収性ポリマーを含んで構成される下部吸収層と、該下部吸収層上に積層され、不織布及び吸収性ポリマーを含んで構成される上部吸収層とを具備する吸収体が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献３には、経血若しくは血液又は膣排泄物の吸収を目的とする吸収性物品のための吸収性コアであって、前記コアは基材層を備え、前記基材層は第１表面と第２表面とを有し、前記吸収性コアは吸収性ポリマー材料層を更に備え、前記吸収性ポリマー材料層は第１表面と第２表面とを有し、前記吸収性コアは接着剤層を更に備え、前記接着剤層は第１表面と第２表面とを有し、前記吸収性ポリマー材料層は前記接着剤層と前記基材層との間に含まれ、前記吸収性ポリマー材料層の前記第２表面は、前記基材層の前記第１表面に接触し、前記吸収性ポリマー材料層の前記第１表面は前記接着剤層の前記第２表面に接触しているものであり、前記基材層は発泡体材料層を備える吸収性コアが開示されている。
【0006】
また、特許文献４には、１又は複数のプラスチック発泡体層及び／又はラテックス発泡体層と、水及び水性の液体を吸収するための粒子状超吸収性ポリマーとからなる層状体において、前記の超吸収性ポリマーが前記発泡プラスチック及び／又は発泡ラテックス層の上に直接、それらの間に、又はその下に、量的に及び／又は場所的に予め決められ固定された面的な配置状態で構成されていること、並びに発泡プラスチック及び／又は発泡ラテックス層：超吸収性ポリマーの量的比率が１：５００乃至５０：１である層状体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開２０１６－０６７８９７号公報
【文献】特開２００９－１３１３４９号公報
【文献】特開２０１４－１４０７７０号公報
【文献】特表平０９－５０９９０９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、吸収性物品を上述したような態様で薄型化又は軽量化する場合、吸収性を犠牲にしなければならないという問題がある。特に、吸収体面積の狭い軽失禁製品や尿取りパッドの場合には、吸収体の表面積が小さいため、このような問題が一層顕著となる。
【0009】
また、吸収の速さと逆戻り量の少なさは、吸収性の指標としてどちらも重要であるが、特に薄型の吸収性物品は、これらを高い次元で満たすことは難しいといった問題もある。特に、体液（尿等）の繰り返し吸収を前提とする吸収性物品の場合には、このような問題が一層顕著となる。
【0010】
また、吸収性物品の着用感を良好なものとする観点から、吸収した体液の拡散性に優れている吸収性物品であることも望まれている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、繰り返し吸収の際であっても高い吸収速度を維持でき、逆戻り量が少なく、優れた吸収性を発揮できるとともに、体液の拡散性が高く、良好な着用感を得ることができる吸収体、及びこれを備える吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、吸収体について、ポリウレタンを含む第１の連続多孔質体層と、ポリウレタンを含む第２の連続多孔質体層と、スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブが積層された複合型不織布とを、厚さ方向の断面視においてこの順に配置されるように備え、かつ、フラッフパルプを含有せず、前記第１の連続多孔質体層の坪量が、前記第２の連続多孔質体層の坪量よりも大きく、前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度が、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度よりも小さく、かつ、前記第１の連続多孔質体層の表面の一部と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第１の中間層と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部と、前記複合型不織布の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第２の中間層と、を備える構成とすることに知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0014】
（１）
ポリウレタンを含む第１の連続多孔質体層と、ポリウレタンを含む第２の連続多孔質体層と、スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブが積層された複合型不織布とを、厚さ方向の断面視においてこの順に配置されるように備え、かつ、フラッフパルプを含有せず、前記第１の連続多孔質体層の坪量が、前記第２の連続多孔質体層の坪量よりも大きく、前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度が、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度よりも小さく、かつ、前記第１の連続多孔質体層の表面の一部と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第１の中間層と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部と、前記複合型不織布の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第２の中間層と、を備える、吸収体である。
（２）
前記第１の連続多孔質体層、前記第２の連続多孔質体層、及び前記複合型不織布を覆う、親水性シートを更に備える、（１）に記載の吸収体である。
（３）
前記第１の連続多孔質体層の坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２であり、前記第２の連続多孔質体層の坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２である、（１）又は（２）に記載の吸収体である。
（４）
前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度は、１００～２００ｋｇ／ｍ３であり、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度は、１００～２００ｋｇ／ｍ３である、（１）～（３）のいずれかに記載の吸収体である。
（５）
前記第１の連続多孔質体層及び／又は前記第２の連続多孔質体層は、その骨格表面が親水性である、（１）～（４）のいずれかに記載の吸収体である。
（６）
前記複合型不織布の引張試験における強度が、テンシロンでの試験において、２５ｍｍ幅に形成した試験片を縦方向に２ｍｍ伸ばすのに必要な力が１．５～５．０Ｎ／２５ｍｍである、（１）～（５）のいずれかに記載の吸収体である。
（７）
前記スパンボンド不織布の材質は、ポリアミド、ビニロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも１つである、（１）～（６）のいずれかに記載の吸収体である。
（８）
前記複合型不織布は、前記スパンボンド不織布及び前記パルプ繊維ウェブが水流交絡された水流交絡不織布であり、前記高吸収性ポリマーが配置されている前記複合型不織布の表面は、凹凸が形成された水流交絡面であり、前記水流交絡面の前記凹凸により前記高吸収性ポリマーが保持されている、（１）～（７）のいずれかに記載の吸収体である。
（９）
前記第１の中間層における前記高吸収性ポリマーの坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２であり、前記第２の中間層における前記高吸収性ポリマーの坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２である、（１）～（８）のいずれかに記載の吸収体である。
（１０）
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された、（１）～（９）のいずれかに記載の吸収体とを備え、前記吸収体は、前記液透過性のトップシート側に前記第１の連続多孔質体層が位置し、前記液不透過性のバックシート側に前記複合型不織布が位置するように配置されている、吸収性物品である。
ポリウレタンを含む第１の連続多孔質体層と、ポリウレタンを含む第２の連続多孔質体層と、スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブが積層された複合型不織布とを、厚さ方向の断面視においてこの順に配置されるように備え、かつ、フラッフパルプを含有せず、前記第１の連続多孔質体層の坪量が、前記第２の連続多孔質体層の坪量よりも大きく、前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度が、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度よりも小さく、かつ、前記第１の連続多孔質体層の表面の一部と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第１の中間層と、前記第２の連続多孔質体層の表面の一部と、前記複合型不織布の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマーが配置された第２の中間層と、を備える、吸収体である。
（２）
前記第１の連続多孔質体層、前記第２の連続多孔質体層、及び前記複合型不織布を覆う、親水性シートを更に備える、（１）に記載の吸収体である。
（３）
前記第１の連続多孔質体層の坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２であり、前記第２の連続多孔質体層の坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２である、（１）又は（２）に記載の吸収体である。
（４）
前記第１の連続多孔質体層の見かけ密度は、１００～２００ｋｇ／ｍ３であり、前記第２の連続多孔質体層の見かけ密度は、１００～２００ｋｇ／ｍ３である、（１）～（３）のいずれかに記載の吸収体である。
（５）
前記第１の連続多孔質体層及び／又は前記第２の連続多孔質体層は、その骨格表面が親水性である、（１）～（４）のいずれかに記載の吸収体である。
（６）
前記複合型不織布の引張試験における強度が、テンシロンでの試験において、２５ｍｍ幅に形成した試験片を縦方向に２ｍｍ伸ばすのに必要な力が１．５～５．０Ｎ／２５ｍｍである、（１）～（５）のいずれかに記載の吸収体である。
（７）
前記スパンボンド不織布の材質は、ポリアミド、ビニロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも１つである、（１）～（６）のいずれかに記載の吸収体である。
（８）
前記複合型不織布は、前記スパンボンド不織布及び前記パルプ繊維ウェブが水流交絡された水流交絡不織布であり、前記高吸収性ポリマーが配置されている前記複合型不織布の表面は、凹凸が形成された水流交絡面であり、前記水流交絡面の前記凹凸により前記高吸収性ポリマーが保持されている、（１）～（７）のいずれかに記載の吸収体である。
（９）
前記第１の中間層における前記高吸収性ポリマーの坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２であり、前記第２の中間層における前記高吸収性ポリマーの坪量は、３０～３００ｇ／ｍ２である、（１）～（８）のいずれかに記載の吸収体である。
（１０）
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された、（１）～（９）のいずれかに記載の吸収体とを備え、前記吸収体は、前記液透過性のトップシート側に前記第１の連続多孔質体層が位置し、前記液不透過性のバックシート側に前記複合型不織布が位置するように配置されている、吸収性物品である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、繰り返し吸収の際であっても高い吸収速度を維持でき、逆戻り量が少なく、優れた吸収性を発揮できるとともに、体液の拡散性が高く、良好な着用感を得ることができる吸収体、及びこれを備える吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態（以下、単に「本実施形態」という。）について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0018】
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0019】
図１は、第１実施形態に係る吸収性物品の正面模式図であり、図２は、図１のＸ－Ｘ線における断面模式図であり、図３は、図１のＹ－Ｙ線における断面模式図であり、図４は、第１実施形態に係る吸収性物品における吸収体の断面模式図である。そして、図５は、第１実施形態に係る吸収性物品が体液を吸収する一例の説明に供する断面模式図である。
【0020】
本実施形態に係る吸収性物品１は、着用時に肌側に位置する液透過性のトップシート２０と、着用時に非肌側に位置する液不透過性のバックシート３０と、トップシート２０及びバックシート３０の間に配置された吸収体１０とを備えるものである。そして、トップシート２０の長手方向の両端に一対の立体ギャザー２１が設けられている。
【0021】
そして、吸収体１０は、ポリウレタンを含む第１の連続多孔質体層１１と、ポリウレタンを含む第２の連続多孔質体層１２と、スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブが積層された複合型不織布１３とを、厚さ方向の断面視においてこの順に配置されるように備え、かつ、フラッフパルプを含有しない。
【0022】
この第１の連続多孔質体層１１の坪量が、第２の連続多孔質体層１２の坪量よりも大きく、かつ、第１の連続多孔質体層１１の見かけ密度が、第２の連続多孔質体層１２の見かけ密度よりも小さい。
【0023】
さらに、第１の連続多孔質体層１１の表面の一部と、第２の連続多孔質体層１２の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１６が配置された、第１の中間層Ｓ１を備えている。
【0024】
さらに、吸収体１０は、第２の連続多孔質体層１２の表面の一部と、複合型不織布１３の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この内部にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１７が配置された、第２の中間層Ｓ２を備えている。
【0025】
吸収性物品１は、このような吸収体１０を備えることにより、高い吸収速度を維持でき、逆戻り量が少なく、優れた吸収性を発揮できる。そして、体液の拡散性が高いことから良好な着用感を呈することを実現することもできる。また、吸収性物品１の薄型化及び軽量化を図ることもできる。例えば、吸収性物品１を薄型の使い捨て紙おむつに用いる場合、通常、紙おむつの大部分を占める吸収体１０の薄型化が望まれるが、本実施形態によれば、このような要求に応え得る薄型の吸収体１０とすることができる。
【0026】
このように本実施形態に係る吸収体１０及び吸収性物品１は、フラッフパルプを含有せず、吸収性及び着用感に優れたものであり、例えば、ベビー用又は成人用を問わず、軽失禁製品、尿取りパッド、紙おむつ（パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等）等として好適に使用できる。本実施形態は、薄型及び／又は軽量であっても、繰り返し吸収の際に高い吸収速度を維持でき、逆戻り量が少なく、優れた吸収性を発揮できるとともに、体液の拡散性が高く、良好な着用感を得ることができることから、使い捨て紙おむつ等としてより特に好適に使用できる。もちろん、本実施形態に係る吸収体１０及び吸収性物品１は、これらに限定されるものではなく、その他の吸収性物品として使用することもできる。また、本実施形態に係る吸収性物品１は、アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしての吸収性物品とを組み合わせて用いることもできる。したがって、吸収性物品１は、その用途に応じて、体液の流出を防ぐための立体ギャザー２１を設けてもよい。
【0027】
なお、特に断りがない限り、吸収性物品１の着用時とは、吸収性物品１の着用時及び着用後の少なくとも一方をいう。着用とは、吸収性物品１を身体に装着した状態をいう。吸収性物品１は、通常衣類の内部において身体に装着されるものであるが、吸収性物品１の少なくとも一部が外部に露出するように身体に装着してもよい。
【0028】
吸収性物品１の長手方向とは、吸収性物品１の長尺方向をいい、吸収性物品１の幅方向とは、長手方向に対して直交する方向である。吸収性物品１の厚み方向とは、トップシート２０、吸収体１０、及びバックシート３０といった各部材の積層方向である。また、肌側面とは、吸収性物品１の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌を臨む面であり、非肌側面とは、吸収性物品１の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の衣服を臨む面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0029】
吸収性物品１の長手方向の寸法は、特に限定されないが、例えば、１００～８００ｍｍの範囲である。また、吸収性物品１の幅方向の寸法は、特に限定されないが、例えば、５０～５００ｍｍの範囲である。吸収性物品１の寸法をこのような範囲に調整することにより、軽失禁パッド、尿取りパッド、紙おむつ（パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等）等に適した吸収性物品１とすることができる。
【0030】
吸収性物品１が体液を吸収する一例としては、図５に示すように、その中央領域において体液が吸収され、そこから端部に向けて体液が拡散されることができる（矢印Ｆ１，Ｆ２参照）。本実施形態によれば、このように体液の拡散性に優れるため、吸収性物品１に吸収された体液がその領域内部に留まることなく、そこから四周に拡散させることができる。
【0031】
以下、各構成部材について説明する。
【0032】
＜トップシート＞
【0033】
トップシート２０は、吸収体１０の全面を覆うように設けられているが、これに限定されず、例えば、吸収体１０の一部が露出する（後述する親水性シート１８を備える場合は、親水性シート１８の一部が露出する）構成としてもよい。
【0034】
トップシート２０としては、体液が吸収体１０へ移動可能な液透過性を有する基材を用いることができる。液透過性のトップシート２０としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の親水性の不織布、サーマルボンド／スパンボンド等の同種又は異種の不織布を積層した複合不織布、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等からなる発泡フィルム、これらの２種以上の積層体である複合シート等が挙げられる。これらの中でも、体液の吸収体１０への移行性（液透過性）、吸収性物品１内での体液の拡散性等の観点から、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド／スパンボンド複合不織布等であることが好ましい。
【0035】
トップシート２０には、例えば、液透過性を向上させる観点から、その表面にエンボス加工又は穿孔加工を施してもよい。エンボス加工及び穿孔加工は、公知の方法によって施すことができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート２０は、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、ｐＨ調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有してもよい。
【0036】
トップシート２０の坪量は、特に限定されないが、強度、加工性、及び液戻り量の観点から、１８～４００ｇ／ｍ２であることが好ましい。トップシート２０の形状は、特に限定されないが、漏れがないように体液を吸収体１０へと誘導できる形状であればよい。このような観点から、トップシート２０は吸収体１０を覆うように配置されていることが好ましい。
【0037】
＜立体ギャザー＞
【0038】
吸収性物品１は、図１に示すように、使用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品１の長手方向に沿って、トップシート２０の肌側面の両側端部に、一対の立体ギャザー２１を備えていてもよい。吸収性物品１の幅方向における立体ギャザー２１の幅方向一端は、バックシート３０の肌側面の両側端部付近（又は非肌側面の両側端部付近）に固定されている。この幅方向途中部はトップシート２０の肌側面の両側端部付近に固定され、この幅方向他端はトップシート２０に固定されない自由端となるように、立体ギャザーシートが配置されている（図３参照）。
【0039】
また、立体ギャザー２１の自由端付近に立体ギャザー用弾性伸縮部材（不図示）を長手方向に沿って設けることで、立体ギャザー２１の自由端に起立性を付与し、着用者の体型に合わせて変形可能とすることができる。なお、本実施形態の吸収性物品１は、立体ギャザー２１を含まない実施形態をも包含する。
【0040】
立体ギャザー用弾性伸縮部材としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用され、立体ギャザーシートとしては、疎水性繊維によって形成された撥水性又は液不透過性の不織布、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布の積層体である複合不織布等が使用される。
【0041】
＜バックシート＞
【0042】
バックシート３０は、吸収体１０が保持している体液が衣類を濡らしたり、皮膚表面に付着したりすることがないよう、通気性又は非通気性の液不透過性を有する基材（樹脂フィルム等）を用いることができる。液不透過性のバックシート３０としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなるフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との積層体である複合不織布、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とスパンボンド不織布との積層体である複合不織布等が挙げられる。
【0043】
バックシート３０の坪量は、特に限定されないが、強度及び加工性の観点から、１５～４０ｇ／ｍ２であることが好ましい。また、着用時の蒸れを防止する観点から、通気性を有するバックシート３０であることが好ましい。バックシート３０に通気性を付与する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、バックシート３０の基材となる樹脂フィルムを多孔質化する方法、バックシート３０の基材にエンボス加工を施す方法等が挙げられる。樹脂フィルムを多孔質化する方法の一例としては、樹脂にフィラーを含有させてフィルム化し、得られたフィルムからフィラーを除去する方法等が挙げられる。フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム等の無機塩が挙げられる。
【0044】
＜吸収体＞
【0045】
吸収体１０は、フラッフパルプを含有しないものであり、第１の連続多孔質体層１１の表面の一部と、第２の連続多孔質体層１２の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この領域内にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１６が配置されている（第１の中間層Ｓ１）。そして、第２の連続多孔質体層１２の表面の一部と、複合型不織布１３の表面の一部とが接合されることにより複数の領域が形成され、この領域内にはブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１７が配置されている（第２の中間層Ｓ２）。
【0046】
吸収体１０の形状は、本実施形態に係る吸収性物品１の長手方向に延びる帯状又は矩形状に対応する形状であることが好ましいが、これに限定されず、例えば、砂時計状、Ｉ字状等でもよい。また、吸収体１０の厚みは、吸収しようとする体液の種類や、吸収体１０の材質等に応じて適宜選択されるが、吸収性物品１における体液の吸収性、吸収速度、保持性、着用感等の観点から、１～１０ｍｍであることが好ましい。そして、吸収体１０の長手方向の寸法は、５０～７５０ｍｍであることが好ましく、吸収体１０の幅方向の寸法は、２０～４７０ｍｍであることが好ましい。
【0047】
従来、吸収性物品を構成する吸収体については、フラッフパルプと高吸収性ポリマー（Ｓｕｐｅｒ Ａｂｓｏｒｂｅｎｔ Ｐｏｌｙｍｅｒ、「ＳＡＰ」とも称される。）を併用する手法が用いられてきたが、吸収体にフラッフパルプを用いると吸収体が厚くなる傾向にあった。そのため、フラッフパルプを用いずに、高吸収性ポリマーを充填した高吸収性シート（「ＳＡＰシート」とも称される。）を吸収体として用いることが試みられていた。しかし、従来のＳＡＰシートを吸収体として用いると、吸収体の内部に充填された高吸収性ポリマーが着用時の着用者の動作によって位置ずれを起こしてしまう。これによって、高吸収性ポリマーの分布に偏りが生じてしまい、吸収性の低下や着用感の悪化が生じてしまうといった不具合が生じる。
【0048】
この点、本実施形態によれば、第１の連続多孔質体層１１及び第２の連続多孔質体層１２（以下、これらを「連続多孔質体層１１，１２」と総称することがある。）として連続多孔質体であるポリウレタンシートを用いるとともに、これらの層間にブロック状の空間（第１の中間層Ｓ１参照）が形成されるように高吸収性ポリマー１６を配置すること、並びに、第２の連続多孔質体層１２と複合型不織布１３との層間にブロック状の空間（第２の中間層Ｓ２参照）が形成されるように高吸収性ポリマー１７を配置すること等によって、フラッフパルプを含有することなく、上述した不具合を抑制することができる。かかる吸収体１０を用いることによって、上述した従来のＳＡＰシートの不具合を解消することができ、フラッフパルプを含有しない吸収性物品１でありながら、優れた吸収性及び着用感を実現することができる。
【0049】
（連続多孔質体層）
【0050】
第１の連続多孔質体層１１及び第２の連続多孔質体層１２は、ポリウレタンを含む連続多孔質体層であり、例えば、ポリウレタン連続多孔質体シートを用いることができる。連続多孔質体層１１，１２は、細孔を多く含む構造であることにより、体液の吸収前（例えば、排尿前）は高吸収性ポリマー１６の硬さを感じにくい。また、後述する第１の中間層Ｓ１及び第２の中間層Ｓ２（以下、これらを「中間層Ｓ１，Ｓ２」と総称する場合がある。）の空間がブロック状となるように高吸収性ポリマー１６，１７を配置することによって、高吸収性ポリマー１６，１７の位置ずれによる分布の偏りを抑制できる。さらに、体液の吸収後（例えば、排尿後）も厚さや触感を長手方向及び幅方向にわたって均一に保つことができるから、良好な着用感を維持することができる。
【0051】
例えば、第１の中間層Ｓ１の空間をブロック状の空間とするには、例えば、第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２を略直線状に設けられた複数の接合部１４，１５により部分的に接合する方法が挙げられる。図１に示すように、吸収体１０の外周縁が接合部１４により接合されるとともに、その内部が幅方向に沿って接合部１５により接合されている。連続多孔質体層１１，１２及び複合型不織布１３の内部には、略直線状の接合部１４，１５により区画された略矩形状の領域（内部空間又は隙間）が形成されている。そして、この領域には、例えばブロック状、薄葉状等である高吸収性ポリマー１６（第１の中間層Ｓ１参照）が封入されている。また、後述するように、第２の連続多孔質体層１２と複合型不織布１３との間にも複数の接合部１４，１５により略矩形状の領域が形成されており、その領域にも、同様の高吸収性ポリマー１７（第２の中間層Ｓ２参照）が封入されている。このように、吸収体１０には、接合部１４，１５で四周を囲まれた領域が複数形成されている。
【0052】
このようにして接合部１４，１５を設けることで、吸収体１０からの高吸収性ポリマー１６，１７の脱落が防止されることから、体液を複数回吸収しても、吸収性及び体液吸収速度が高水準に維持され、また、体液の拡散性も良好である。その結果、体液の逆戻りもなく、着用感の良好な吸収性物品１が得られる。そして、第２の中間層Ｓ２の空間形成についても同様である。
【0053】
なお、接合部１４，１５の接合方法は特に限定されず、例えば、複合型不織布１３の所定の位置（接合部１４，１５を形成しようとする位置）にヒートシール、超音波シール等の適宜の方法により、接合部１４，１５を形成すればよい。また、複合型不織布１３の所定の位置にホットメルト接着剤を塗布し、これらを重ね合わせて加熱又は加圧加熱することにより、接合部１４，１５を形成してもよい。
【0054】
また、高吸収性ポリマー１６，１７を吸収体１０の内部に固定化する観点から、複数の接合部１４，１５を互いに離隔して設けることが好ましい。接合部１４，１５により区画される領域の形状は特に限定されず、例えば、矩形状、同心円状、ハニカム状、複数の三角形が長手方向及び幅方向に並び、隣り合う一対の三角形が一辺を共有する形状、複数の斜線が連続配置される形状等が挙げられる。
【0055】
連続多孔質体層１１，１２はポリウレタンを含むものであればよいが、ポリウレタンが有する伸縮性等の各種特性を吸収体１０に付与する観点から、ポリウレタンを主成分とすることが好ましい。ここでいう主成分とは、連続多孔質体層１１，１２においてポリウレタンを少なくとも５０質量％以上含有することをいう。連続多孔質体層１１，１２の具体例としては、軟質ポリウレタンフォームの連続多孔質体層であることが好ましい。例えば、軟質ポリウレタンフォームの連続多孔質体から構成される単層シートであることがより好ましい。このような軟質ポリウレタンフォームのシートとしては、軟質ポリウレタンフォームからなる粒子又は繊維を他の合成樹脂中に分散させてシート状に成形した複合シート、軟質ポリウレタンフォームからなる粒子又は繊維を繊維から構成される布（不織布、編物、織物等）と混在させた複合シート等が挙げられる。
【0056】
軟質ポリウレタンフォームは、公知の製造方法に従って、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート等の原料化合物、発泡剤、整泡剤、触媒等の添加剤等を混合し、得られた混合物を加熱して発泡させることにより得ることができる。また、原料化合物を加熱下に反応させつつ、気体系の発泡剤を注入してもよい。原料化合物の種類、添加剤の種類と添加量、発泡時の加熱温度、発泡時間、発泡時の加圧力といった反応条件を適宜選択することにより、軟質ポリウレタンフォームの発泡倍率、見かけ密度、引張強度、引張破断伸び、伸長応力、平均摩擦係数（ＭＩＵ）、摩擦係数変動（ＭＭＤ）等の各特性を調整できる。
【0057】
この発泡倍率は、１０～６０倍であることが好ましい。発泡倍率をこのような範囲内とすることにより、全方位に伸縮可能な材料となり易い。特に、発泡倍率が１０倍以上であることにより、伸縮性が更に向上し、フィット性が更に向上する。また、発泡倍率が６０倍以下であることにより、強度が一層向上し、体液を吸収した後の吸収体１０の所定移置からのずり落ちを防ぐことができる。
【0058】
連続多孔質体層１１，１２は、ポリウレタンを含むことにより、全方位への伸縮性を有するが、連続多孔質体であることによって伸縮性以外の特性を向上させることもできる。ここでいう連続多孔質体とは、多数の連続した気孔を有し、かつ、隣接した気孔間の壁面が開口して、連続しているものをいい、連続気泡体等と呼ばれることもある。例えば、ポリウレタンを含む層が連続気泡体であることにより、独立気泡体である場合よりも着用者のフィット性が更に向上する。なお、連続気泡体であることは、当該層を切断し、その切断面を顕微鏡で観察することにより確認できる。
【0059】
連続多孔質体層１１，１２について、その製造方法は特に限定されないが、例えば、発泡法、抽出法、又はＷ／Ｏエマルション法によって作製された連続多孔質体を用いることができる。また、連続多孔質体層１１，１２は、その厚さ方向に熱圧縮処理が施されていることが好ましい。熱圧縮処理により、連続多孔質体中の骨格が、圧縮方向に沿って変形され、折りたたまれたように変形させることができる。これにより、熱圧縮成形後の連続多孔質体は、熱圧縮成形される前と比較して、圧縮方向にセル空間が密な状態となり、かつ、セル骨格が水平方向に並ぶ状態となる。そのため、厚さ方向の透水性及び水平方向の拡散性が一層向上する。
【0060】
第１の連続多孔質体層１１の坪量が、第２の連続多孔質体層１２の坪量よりも大きく、第１の連続多孔質体層１１の見かけ密度が、第２の連続多孔質体層１２の見かけ密度よりも小さい。このような構成とすることにより、肌側面に配置される第１の連続多孔質体層１１が嵩高構造となり、繰り返し吸収時の吸収速度等が向上する。また、肌側面から非肌側面に向かって、相対的に坪量が低く、かつ見かけ密度が高い第２の連続多孔質体層１２、さらには複合型不織布１３を配置することにより、吸収された体液の流れは、厚さ方向の流れよりも、縦横方向への流れが多くなるので拡散性等が向上する（図５参照）。
【0061】
第１の連続多孔質体層１１及び／又は第２の連続多孔質体層１２は、その坪量が３０～３００ｇ／ｍ２であることが好ましい。この下限は５０ｇ／ｍ２以上であることがより好ましく、この上限は２５０ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。坪量がこのような範囲であることにより、体液の漏れを効果的に防止できるとともに、通気性が更に向上し、蒸れ等の発生を更に効果的に防ぐことができる。このような観点から、第１の連続多孔質体層１１及び第２の連続多孔質体層１２のいずれの坪量も上記範囲であることがより好ましい。
【0062】
第１の連続多孔質体層１１及び／又は第２の連続多孔質体層１２は、その見かけ密度が１００～２００ｋｇ／ｍ３であることが好ましい。この下限は１２０ｋｇ／ｍ３以上であることがより好ましく、この上限は１８０ｋｇ／ｍ３以下であることがより好ましい。見かけ密度がこのような範囲であることにより、強度が一層向上し、体液を吸収した後の吸収体１０のずり落ちを防ぐことができるとともに、伸縮性及びフィット性が更に向上する。このような観点から、第１の連続多孔質体層１１及び第２の連続多孔質体層１２のいずれの見かけ密度も上記範囲であることがより好ましい。
【0063】
第１の連続多孔質体層１１及び／又は第２の連続多孔質体層１２の厚みは、１．０～４．０ｍｍであることが好ましい。この下限は１．５ｍｍ以上であることがより好ましく、この上限は３．２ｍｍ以下であることがより好ましい。厚みがこのような範囲であることにより、薄型の吸収体１０でありながら、その連続多孔質体層１１，１２の破断を効果的に防ぐことができるため、着用感の負担を一層軽減することができる。厚みは、例えば「ハイトゲージ」（ミツトヨ社製）を用いて、無荷重条件下で測定することができる。このような観点から、第１の連続多孔質体層１１及び第２の連続多孔質体層１２のいずれの厚みも上記範囲であることがより好ましい。
【0064】
第１の連続多孔質体層１１及び／又は第２の連続多孔質体層１２は、ポリウレタンの原料化合物を適宜選択することにより、その骨格表面を親水性にも疎水性にも調整することができるが、高吸収性ポリマー１６，１７の吸水性を発揮する観点から、これらの骨格表面はいずれも親水性であることが好ましい。
【0065】
骨格表面が親水性であるか否かは、下記の方法により判断することができる。まず、連続多孔質体層１１，１２（幅１０ｍｍ以上、長さ１０ｍｍ以上）を撓みがないように静置する。そして、連続多孔質体層１１，１２上にイオン交換水の水滴（０．０５ｍＬ）を１０滴たらし、連続多孔質体層１１，１２に吸収されるまでの時間を測定する。この時間が５秒以内である場合、又は８滴以上の液滴が吸収された場合を親水性であると判断する。
【0066】
骨格表面が親水性である連続多孔質体層１１，１２としては、例えば、骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有するもの、疎水性のポリウレタン連続多孔質体を親水化処理したもの等が挙げられる。例えば、骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有するものとしては、ポリオール成分にポリアルキレンオキシドポリオールを含有するものが挙げられる。また、疎水性のポリウレタン連続多孔質体を親水化処理したものとしては、ポリウレタン連続多孔質体の骨格表面の少なくとも一部が界面活性剤やエチレンオキシド等の反応性ガスによって処理され、その細孔表面に親水基が導入されたもの等が挙げられる。
【0067】
第１の連続多孔質体層１１及び第２の連続多孔質体層１２の材料、寸法形状、及び層構造は、本実施形態の作用が得られる範囲内であれば特に限定されず、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0068】
（複合型不織布）
【0069】
複合型不織布１３は、スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブが積層された不織布である。複合型不織布１３としては、例えば、スパンボンド不織布の表面上にパルプ繊維ウェブを積層し一体化した不織布を用いることができる。ここでいう「一体化」とは、少なくとも吸収性物品１の使用前後にスパンボンド不織布とパルプ繊維ウェブとが部分的でも剥離してその機能が大きく低減することがない状態にあることを意味する。この複合型不織布１３の表面には高吸収性ポリマー１７が配置されている。
【0070】
複合型不織布１３は、例えば、スパンボンド不織布と高吸収性ポリマー１７とパルプ繊維ウェブと、を積層する工程と、得られた積層体を必要に応じてロール等を用いて加圧及び／又は加熱する工程と、を含む製造方法により作製することができる。スパンボンド不織布と高吸収性ポリマー１７とパルプ繊維ウェブとを、接着剤による接着又は縫製によって一体化してもよい。また、スパンボンド不織布と高吸収性ポリマー１７とパルプ繊維ウェブとの積層体のパルプ繊維ウェブに対してウォータージェットを噴射する水流交絡工程と、を含む製造方法により作製することもできる。さらに、複合型不織布１３は、その表面にエンボス加工が施されていてもよい。
【0071】
上述した製造方法の中でも、外観、触感の柔らかさと強度の両立の観点から、水流交絡法を利用する方法が好ましい。水流交絡工程では、外観、触感の柔らかさと効率のバランスの観点から、ウォータージェットを噴射するウォータージェットノズルの穴直径が０．０６～０．１５ｍｍであることが好ましく、かつ、ウォータージェットノズルの間隔が０．４～１．０ｍｍであることが好ましい。
【0072】
すなわち、複合型不織布１３の好適な態様としては、水流交絡による一体化物であることが挙げられる。具体的には、スパンボンド不織布及びパルプ繊維ウェブが水流交絡されていることが好ましい。このような水流交絡による一体化物は、例えば、スパンボンド不織布の表面に、バインダーを用いることなく、木材パルプ繊維をウォータージェットで交絡し、一体化することによって、パルプ繊維ウェブが設けられたパルプ含有複合型不織布として得ることができる。
【0073】
複合型不織布１３がこのようなパルプ含有複合型不織布である場合、スパンボンド不織布の一方の表面において、このスパンボンド不織布を構成する繊維と木材パルプ繊維とが絡み合うことによってパルプ繊維ウェブが一体化されるとともに、木材パルプ繊維の一部が、スパンボンド不織布を厚み方向に突き抜けて他方の面に露出した状態になっており、スパンボンド不織布及びパルプ繊維ウェブを強固に結合させることができる。
【0074】
さらに、複合型不織布１３は、スパンボンド不織布及びパルプ繊維ウェブが水流交絡された水流交絡不織布であり、高吸収性ポリマー１７が配置されている複合型不織布１３の表面は、凹凸が形成された水流交絡面であり、水流交絡面の凹凸により高吸収性ポリマー１７が保持されていることがより好ましい。複合型不織布１３の水流交絡された面（水流交絡面）の凹凸が、高吸収性ポリマー１７を保持することにより、複合型不織布１３上の高吸収性ポリマー１７の位置ずれによる分布の偏りを一層効果的に防止することができる。
【0075】
例えば、高吸収性ポリマーが充填された従来の高吸収性シート（ＳＡＰシート）を吸収体として用いた場合、吸収体の内部に充填された高吸収性ポリマーが着用時の着用者の動作によって位置ずれしてしまい、これによって高吸収性ポリマーの分布に偏りが生じ、吸収性の低下や着用感の悪化が起きるといった不具合が起こるが、このような凹凸を設けることによって、このような不具合を一層効果的に防止することができ、吸収性や着用感が一層優れたものとなる。
【0076】
複合型不織布１３の引張試験の強度について、テンシロンでの試験において、２５ｍｍ幅に形成した試験片を縦方向に２ｍｍ伸ばすのに必要な力（引張強度）は特に限定されないが、１．５～５．０Ｎ／２５ｍｍであることが好ましい。これにより着用時の保形性と快適性を両立させることができる。
【0077】
複合型不織布１３について、スパンボンド不織布とパルプ繊維ウェブとの質量構成比（スパンボンド不織布／パルプ繊維ウェブ；質量％基準）は、４０／６０～１０／９０の範囲であることが好ましい。この質量構成比が４０／６０以上であることにより、パルプ繊維ウェブを十分に充填することができ、風合いや汗の吸収性が一層良好になり、蒸れにくくすることができる。また、この質量構成比が１０／９０以下であることにより、複合型不織布１３の硬さが硬くならず、柔らかさが優れたものとなる。このような観点から、この質量構成比の下限は３５／６５以上であることがより好ましい。また、この質量構成比の上限は２５／７５以下であることがより好ましい。
【0078】
以下、複合型不織布１３を構成するスパンボンド不織布及びパルプ繊維ウェブについて説明する。
【0079】
スパンボンド不織布を用いることによって、パルプ繊維ウェブに対する支持性、並びに複合型不織布１３の全体の強度、柔らかさ、及び風合い等が優れたものとなる。このような観点から、スパンボンド不織布は、スパンボンド不織布の材質が、ポリアミド（ナイロン（商標名）等）、ビニロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも１つの合成樹脂を好ましく用いることができる。例えば、スパンボンド不織布は、これらの材質からなる合成樹脂繊維から構成されるものを用いることができ、２種以上の合成樹脂繊維から構成されているものを用いることもできる。
【0080】
また、スパンボンド不織布の製法は特に限定されず、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、又はフラッシュ紡糸法等によって作製された不織布を用いることができる。さらに、スパンボンド不織布は、界面活性剤等の公知の親水剤によって親水化処理されていてもよい。このような親水化処理により、体液がスパンボンド不織布を通液して、パルプ繊維ウェブに到達しやすくすることができる。
【0081】
スパンボンド不織布の坪量は、７～２０ｇ／ｍ２の範囲であることが好ましい。この下限は１０ｇ／ｍ２以上であることがより好ましい。また、この上限は１７ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。そして、パルプ繊維ウェブの坪量は、３０～５０ｇ／ｍ２の範囲であることが好ましい。この下限は３５ｇ／ｍ２以上であることがより好ましい。また、この上限は４５ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。スパンボンド不織布及びパルプ繊維ウェブの各坪量を、このような範囲とすることにより、複合型不織布１３の坪量を、適切な範囲に調整することが容易になる。
【0082】
パルプ繊維ウェブは、良好な体液吸収性を有することから、例えば、スパンボンド不織布を局所的に通過した体液を素早く拡散させ、吸収体１０の全領域に体液を容易に拡散させることができる。したがって、スパンボンド不織布が吸収体１０の外側に位置し、パルプ繊維ウェブが吸収体１０の内側に位置していることが好ましい。
【0083】
パルプ繊維ウェブは、パルプ繊維を主体とする不織布を特に限定なく用いることができる。パルプ繊維としては、特に限定されないが、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース、ダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ（ＮＢＫＰ）であることが好ましい。ＮＢＫＰは、１種単独で用いてもよいし、２種以上を併用してもよい。また、パルプ繊維ウェブの坪量は、特に限定されないが、均一性、触感、吸収性等の観点から、３０～７０ｇ／ｍ２であることが好ましい。
【0084】
（中間層、高吸収性ポリマー）
【0085】
吸収体１０は、第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２と複合型不織布１３とを接合部１４，１５によって一体化した複合シートであり、その内部には、略直線状の接合部１４，１５により区画形成された略矩形状の領域（内部空間又は隙間）が複数設けられており、第１の中間層Ｓ１及び第２の中間層Ｓ２が形成されている。第１の中間層Ｓ１には、ブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１６が封入され、第２の中間層Ｓ２には、ブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１７が封入されている。
【0086】
すなわち、第１の中間層Ｓ１は、高吸収性ポリマー１６を含む層であり、第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２とが部分的に接合されることにより形成された領域内に、ブロック状の空間を形成するよう高吸収性ポリマー１６が配置されている。
【0087】
そして、第２の中間層Ｓ２は、高吸収性ポリマー１７を含む層であり、第２の連続多孔質体層１２と複合型不織布１３とが部分的に接合されることにより形成された領域内において、ブロック状の空間を形成するように高吸収性ポリマー１７が配置されている。
【0088】
第１の中間層Ｓ１としては、高吸収性ポリマー１６はブロック状の空間内で固定されていなくてもよいが、バインダーやホットメルト等の固着剤によってこの空間内で第１の連続多孔質体層１１又は第２の連続多孔質体層１２、第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２との双方に固定されてもよい。例えば、高吸収性ポリマー１６のみからなる層（例えば、高吸収性ポリマー１６の粒子（ＳＡＰ粒子）をシート状の形状である型に充填し、高吸収性ポリマー１６の粒子形状が残存する程度に加熱及び／又は加圧したシート状の層等）、高吸収性ポリマー１６とバインダーとを含む層（例えば、高吸収性ポリマー１６の粒子、吸収性に影響を与えない程度の適量のバインダー、及び溶剤との分散液を、スパンボンド不織布の表面に塗布し、加熱及びバインダーを固化させた層等）、高吸収性ポリマー１６とパルプ繊維ウェブを構成するパルプ繊維とを含む層等が挙げられる。
【0089】
第２の中間層Ｓ２としては、高吸収性ポリマー１７はブロック状の空間内で固定されていなくてもよいが、バインダーやホットメルト等の固着剤によってこの空間内で第２の連続多孔質体層１２又は複合型不織布１３、第２の連続多孔質体層１２と複合型不織布１３との双方に固定されてもよい。例えば、高吸収性ポリマー１７のみからなる層（例えば、高吸収性ポリマー１７の粒子（ＳＡＰ粒子）をシート状の形状である型に充填し、高吸収性ポリマー１７の粒子形状が残存する程度に加熱及び／又は加圧したシート状の層等）、高吸収性ポリマー１７とバインダーとを含む層（例えば、高吸収性ポリマー１７の粒子、吸収性に影響を与えない程度の適量のバインダー、及び溶剤との分散液を、スパンボンド不織布の表面に塗布し、加熱及びバインダーを固化させた層等）、高吸収性ポリマー１７とパルプ繊維ウェブを構成するパルプ繊維とを含む層等が挙げられる。
【0090】
高吸収性ポリマー１６，１７の形状は、特に限定されず、粒子状、繊維状、薄片状、薄葉状等の種々の形状を採ることができるが、ブロック状の空間を形成しやすいという観点から、粒子状（ＳＡＰ粒子）であることが好ましい。
【0091】
例えば、第１の中間層Ｓ１におけるブロック状の空間は、第１の連続多孔質体層１１の表面側に高吸収性ポリマー１６ａ，１６ｃ，１６ｅ・・・が配置され、第２の連続多孔質体層１２の表面側に高吸収性ポリマー１６ｂ，１６ｄ・・・が配置されていることにより形成することができる。同様に、第２の中間層Ｓ２におけるブロック状の空間は、第２の連続多孔質体層１２の表面側に高吸収性ポリマー１７ａ，１７ｃ，１７ｅ・・・が配置され、複合型不織布１３の表面側に高吸収性ポリマー１７ｂ，１７ｄ・・・が配置されていることにより形成することができる。
【0092】
高吸収性ポリマー１６，１７は、体液を吸収し、かつ、体液の逆流を防止できるものであれば特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有モノマーを含む重合体が挙げられる。かかる重合体としては、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、（デンプン－アクリル酸）グラフト共重合体、（アクリル酸－ビニルアルコール）共重合体、（イソブチレン－無水マレイン酸）共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらは１種単独で用いてもよいし、２種以上を併用してもよい。これらの中でも、質量当たりの体液吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
【0093】
第１の中間層Ｓ１における高吸収性ポリマー１６の坪量は、特に限定されないが、例えば、吸収量、触感、及び吸収後の快適性等の観点から、３０～３００ｇ／ｍ２であることが好ましい。このような観点から、この下限は５０ｇ／ｍ２以上であることがより好ましく、この上限は２５０ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。なお、ここでいう第１の中間層Ｓ１における高吸収性ポリマー１６の坪量とは、第１の連続多孔質体層１１又は第２の連続多孔質体層１２の接合部を含む全面積の小さい方に対する高吸収性ポリマーの坪量をいう。
【0094】
同様に、第２の中間層Ｓ２における高吸収性ポリマー１７の坪量は、特に限定されないが、例えば、吸収量、触感、及び吸収後の快適性等の観点から、３０～３００ｇ／ｍ２であることが好ましい。このような観点から、この下限は５０ｇ／ｍ２以上であることがより好ましく、この上限は２５０ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。なお、ここでいう第２の中間層Ｓ２における高吸収性ポリマー１７の坪量とは、第２の連続多孔質体層１２又は複合型不織布１３の接合部を含む全面積の小さい方に対する高吸収性ポリマーの坪量をいう。
【0095】
第１の中間層Ｓ１及び第２の中間層Ｓ２は、本実施形態の効果が得られる範囲内であれば、公知の製造方法に従って、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート等の原料化合物、発泡剤、整泡剤、触媒等の添加剤等を混合し、得られた混合物を加熱して発泡させることにより得ることができる。また、原料化合物を加熱下に反応させつつ、気体系の発泡剤を注入してもよい。
【0096】
本実施形態に係る吸収体１０及び吸収性物品１は、親水性シートを設けてもよい。以下にその一例を説明する。
【0097】
図６は、第２の実施形態に係る吸収性物品の断面模式図である。
【0098】
図６に示す吸収性物品２は、吸収体４０が、第１の連続多孔質体層１１、第２の連続多孔質体層１２、及び複合型不織布１３を覆う、親水性シート１８を更に備えた態様である点で、第１の実施形態である吸収性物品１と相違する。親水性シート１８を設けることで、吸収体４０の形状の更なる安定化や、高吸収性ポリマー１６，１７の更なる脱落防止を図ることができるため、好適である。親水性シート１８は、第１の連続多孔質体層１１の少なくとも一部と第２の連続多孔質体層１２の少なくとも一部と複合型不織布１３の少なくとも一部とを覆うように配置されていればよいが、高吸収性ポリマー１６，１７の安定的な配置及び脱落防止の観点から、第１の連続多孔質体層１１、第２の連続多孔質体層１２、及び複合型不織布１３の全体を覆うように配置されていることが好ましい。
【0099】
親水性シート１８の材料は、親水性を有するものであればよく、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布等が挙げられる。親水性シート１８は複数用いてもよく、その場合、複数の親水性シート１８の基材は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0100】
接合部１４，１５によって区画形成されている各領域の形状は、第１の実施形態及び第２の実施形態の形状に限定されず、用途及び寸法形状等を考慮して、適宜変形させることができる。
【0101】
＜吸収体の製造方法＞
【0102】
本実施形態に係る吸収体１０，４０は、接合前の第１の連続多孔質体層１１、第２の連続多孔質体層１２、及び複合型不織布１３を、所定の位置で接合することにより作製できる。例えば、（１）接合前の第１の連続多孔質体層１１と、高吸収性ポリマー１６と、第２の連続多孔質体層１２と、高吸収性ポリマー１７と、複合型不織布１３と、をこの順に配置して積層体とする工程と、（２）得られた積層体において第１の連続多孔質体層１１の表面の一部と第２の連続多孔質体層１２の表面の一部と複合型不織布１３の表面の一部とを接合する工程と、を行う製造方法が挙げられる。そして、上述した親水性シート１８を有する吸収体４０場合には、（２）工程の後に、さらに（３）親水性シート１８によって第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２と複合型不織布１３とを被覆する工程を行う製造方法によって得ることができる。
【0103】
上述した接合方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。用いる部材の材質及び形状等を考慮して、適宜好適な方法を採用することができる。例えば、加圧、加熱、接着、縫製等による方法が挙げられる。加圧の場合、ロールを用いることができる。加熱の場合、ヒーターを用いることができる。接着の場合、化学的な接着剤を用いてもよいし、熱接着（ヒートシール）や超音波接着（超音波シール）等によって接着してもよい。
【実施例】
【0104】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0105】
図６に示す吸収体４０及び吸収性物品２（実施例１）、図７に示す吸収体ａ１及び吸収性物品ａ（比較例１）、図８に示す吸収体ｂ１及び吸収性物品ｂ（比較例２）、並びに図９に示す吸収体ｃ１及び吸収性物品ｃ（比較例３）をそれぞれ作製した。そして、各吸収体及び各吸収性物品について、後述する条件にて試験評価を行った。
【0106】
（実施例１）
以下に示すトップシート２０、バックシート３０、第１の連続多孔質体層１１、第２の連続多孔質体層１２、複合型不織布１３、及び親水性シート１８を準備して、図６に示す構成を有する吸収体４０及び吸収性物品２を作製した。
以下に示すトップシート２０、バックシート３０、第１の連続多孔質体層１１、第２の連続多孔質体層１２、複合型不織布１３、及び親水性シート１８を準備して、図６に示す構成を有する吸収体４０及び吸収性物品２を作製した。
【0107】
トップシート２０として液透過性のエアスルー不織布（坪量２０ｇ／ｍ２）を用い、バックシート３０として液不透過性の通気性ポリエチレンフィルム（坪量３５ｇ／ｍ２）を用いた。
【0108】
第１の連続多孔質体層１１は、ポリウレタン連続多孔質体シート（軟質ポリウレタンフォーム、商品名：モルトプレン、イノアックコーポレーション社製、１枚当たり坪量の１００ｇ／ｍ２、見かけ密度６０ｋｇ／ｍ３、発泡倍率２０、厚み３．５ｍｍ）を用意した。該多孔質体シートから幅２０ｍｍ、長さ５０ｍｍの試料を作製し、平板な実験台上に載置した状態でその表面にイオン交換水の水滴（０．０５ｍＬ）を１０滴たらしたところ、該水滴を５秒以内に吸収したことから、該多孔質体の少なくとも表面の骨格は親水性であることを確認した。このようにして、第１の連続多孔質体層１１となる軟質ポリウレタンフォームの連続多孔質体層を得た。
【0109】
第２の連続多孔質体層１２は、ポリウレタン連続多孔質体シート（軟質ポリウレタンフォーム、商品名：モルトプレン、イノアックコーポレーション社製、１枚当たり坪量の６０ｇ／ｍ２、見かけ密度１２０ｋｇ／ｍ３、発泡倍率１０、厚み１．２ｍｍ）を用意した。該多孔質体シートから幅２０ｍｍ、長さ５０ｍｍの試料を作製し、平板な実験台上に載置した状態でその表面にイオン交換水の水滴（０．０５ｍＬ）を１０滴たらしたところ、該水滴を５秒以内に吸収したことから、該多孔質体の少なくとも表面の骨格は親水性であることを確認した。このようにして、第２の連続多孔質体層１２となる軟質ポリウレタンフォームの連続多孔質体層を得た。
【0110】
複合型不織布１３は、以下の方法によって作製した。まず、スパンボンド不織布（ポリプロピレン製、１枚当たりの坪量１５ｇ／ｍ２）とパルプ繊維ウェブ（１枚当たりの坪量４０ｇ／ｍ２）とを、ウォータージェットで交絡し、一体化させることによって、スパンボンド不織布／パルプ繊維ウェブの質量構成比（質量％基準）が３０／７０であるパルプ含有複合型不織布シートを得た。このような水流交絡法によって得られたパルプ含有複合型不織布シートを、複合型不織布１３として用いた。なお、このパルプ含有複合型不織布シートは、スパンボンド不織布の表面にパルプ繊維ウェブが一体化されており、水流交絡面には凹凸が形成されているものであった。そして、このパルプ含有複合型不織布シートは、テンシロンでの引張強度試験において、２５ｍｍ幅に形成した試験片を縦方向に２ｍｍ伸ばすのに必要な力を測定したところ、１．５～５．０Ｎ／２５ｍｍの範囲内にあることが確認された。
【0111】
このようにして得られた第１の連続多孔質体層１１、第２の連続多孔質体層１２、複合型不織布１３の各表面上に高吸収性ポリマー１６，１７（ＳＡＰ；ポリアクリル酸ナトリウム製、第１の中間層Ｓ１における高吸収性ポリマー１６の坪量３８０ｇ／ｍ２、第２の中間層Ｓ２における高吸収性ポリマー１７の坪量３８０ｇ／ｍ２）を分散配置させた。そして、これらを重ね合わせ、ホットメルト接着剤により部分的に固着し、各表面に固着担持させることによって、高吸収性シートを得た。なお、第１の中間層Ｓ１で用いられたＳＡＰは、第２の中間層Ｓ２に用いられたＳＡＰと同じである。
【0112】
そして、親水性シート１８であるエアスルー不織布（幅方向寸法１４０ｍｍ、長手方向寸法３００ｍｍ、坪量５０ｇ／ｍ２）を内三つ折りにし、そこに高吸収性シートを配置した。そして、高吸収性シートの全面が親水性シート１８によって包み込まれるように被覆して、吸収体４０を得た（図６参照）。
【0113】
得られた吸収体４０を、トップシート２０及びバックシート３０と重ね合わせ、ホットメルトの接着によって一体化することによって、吸収性物品１を得た（図６参照）。その際、第１の連続多孔質体層１１が肌側面素材（表１参照）となり、第２の連続多孔質体層１２が中間素材（表１参照）となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体４０をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
【0114】
（比較例１）
表１に示す条件に変更した以外は実施例１と同様にして、図７に示す構成を有する吸収体ａ１及び吸収性物品ａを得た。吸収体ａ１は、第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２の配置の上下が異なる点で実施例１と相違する。つまり、図７に示すように、断面視において、上から第２の連続多孔質体層１２、第１の連続多孔質体層１１、及び複合型不織布１３をこの順に積層したものである。すなわち、第２の連続多孔質体層１２が肌側面素材（表１参照）となり、第１の連続多孔質体層１１が中間素材となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体ａ１をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
表１に示す条件に変更した以外は実施例１と同様にして、図７に示す構成を有する吸収体ａ１及び吸収性物品ａを得た。吸収体ａ１は、第１の連続多孔質体層１１と第２の連続多孔質体層１２の配置の上下が異なる点で実施例１と相違する。つまり、図７に示すように、断面視において、上から第２の連続多孔質体層１２、第１の連続多孔質体層１１、及び複合型不織布１３をこの順に積層したものである。すなわち、第２の連続多孔質体層１２が肌側面素材（表１参照）となり、第１の連続多孔質体層１１が中間素材となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体ａ１をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
【0115】
（比較例２）
表１に示す条件に変更した以外は実施例１と同様にして、図８に示す構成を有する吸収体ｂ１及び吸収性物品ｂを得た。吸収体ｂ１は、２つの連続多孔質体層１９，１９が同一のポリウレタン連続多孔質体である点で実施例１と相違する。すなわち、連続多孔質体層１９が肌側面素材（表１参照）となり、もう１枚の連続多孔質体層１９が中間素材（表１参照）となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体ｂ１をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
表１に示す条件に変更した以外は実施例１と同様にして、図８に示す構成を有する吸収体ｂ１及び吸収性物品ｂを得た。吸収体ｂ１は、２つの連続多孔質体層１９，１９が同一のポリウレタン連続多孔質体である点で実施例１と相違する。すなわち、連続多孔質体層１９が肌側面素材（表１参照）となり、もう１枚の連続多孔質体層１９が中間素材（表１参照）となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体ｂ１をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
【0116】
（比較例３）
表１に示す条件に変更した以外は実施例１と同様にして、図９に示す構成を有する吸収体ｃ１及び吸収性物品ｃを得た。吸収体ｃ１は、連続多孔質体層１９が単層である（２層ではない）点で実施例１と相違する。すなわち、連続多孔質体層１９が肌側面素材（表１参照）となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体ｃ１をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
表１に示す条件に変更した以外は実施例１と同様にして、図９に示す構成を有する吸収体ｃ１及び吸収性物品ｃを得た。吸収体ｃ１は、連続多孔質体層１９が単層である（２層ではない）点で実施例１と相違する。すなわち、連続多孔質体層１９が肌側面素材（表１参照）となり、複合型不織布１３が非肌側面素材（表１参照）となるように、吸収体ｃ１をトップシート２０及びバックシート３０の間に配置した。
【0117】
得られた各吸収体及び各吸収性物品について、以下の方法に準拠して、総吸収量、繰り返し吸収速度、液戻り量、拡散長さ、及び着用感を評価した。
【0118】
（総吸収量の測定）
予め質量を測定した各吸収体を、生理食塩水に完全に浸かるように５分間浸漬させた。浸漬から５分後、吸収体を金網の上において３０秒水切りをして、吸収後の質量を測定し、吸収前後の質量差を計測することで、総吸収量（ｇ）を測定した。
予め質量を測定した各吸収体を、生理食塩水に完全に浸かるように５分間浸漬させた。浸漬から５分後、吸収体を金網の上において３０秒水切りをして、吸収後の質量を測定し、吸収前後の質量差を計測することで、総吸収量（ｇ）を測定した。
【0119】
（繰り返し吸収速度の測定）
底面１４０×１００ｍｍ、外径４０ｍｍ、内径３５ｍｍ、質量１４００ｇの治具を用いて、荷重下１２０ｍＬの生理食塩水を１０分間隔で３回注水し、３回目の注水分１２０ｍＬを吸収するのに要した時間を測定した。
底面１４０×１００ｍｍ、外径４０ｍｍ、内径３５ｍｍ、質量１４００ｇの治具を用いて、荷重下１２０ｍＬの生理食塩水を１０分間隔で３回注水し、３回目の注水分１２０ｍＬを吸収するのに要した時間を測定した。
【0120】
（液戻り量の測定）
繰り返し吸収速度の測定試験における注水３回目の測定終了時から１０分経過後に、３５ｇｆ／ｃｍ２の荷重条件の下、円形定性ろ紙（アドバンテック東洋社製、ＡＤＶＡＮＴＥＣ Ｎｏ．２、直径５５ｍｍ）に１分間で逆戻り吸収された水分量を測定した。
繰り返し吸収速度の測定試験における注水３回目の測定終了時から１０分経過後に、３５ｇｆ／ｃｍ２の荷重条件の下、円形定性ろ紙（アドバンテック東洋社製、ＡＤＶＡＮＴＥＣ Ｎｏ．２、直径５５ｍｍ）に１分間で逆戻り吸収された水分量を測定した。
【0121】
（拡散長さの測定）
繰り返し吸収速度の測定試験における注水３回目の測定終了後に、生理食塩水を吸収した領域の最大長さを測定した。
繰り返し吸収速度の測定試験における注水３回目の測定終了後に、生理食塩水を吸収した領域の最大長さを測定した。
【0122】
（着用感、装着から交換まで）
２０名のモニターテストを実施し、下記の基準で着用感を評価した。
○：「着用感が良い」が１６人以上２０人以下であった。
△：「着用感が良い」が１１人以上１５人以下であった。
×：「着用感が良い」がいないか、１人以上１０人以下であった。
２０名のモニターテストを実施し、下記の基準で着用感を評価した。
○：「着用感が良い」が１６人以上２０人以下であった。
△：「着用感が良い」が１１人以上１５人以下であった。
×：「着用感が良い」がいないか、１人以上１０人以下であった。
【0123】
表１に、実施例１及び比較例１～３の各吸収性物品及び各吸収体の条件、並びにこれらの評価結果を示す。なお、表１中の「肌側面ＳＡＰ量」とは、第１の中間層Ｓ１における高吸収性ポリマー１６の質量であり、「非肌側面ＳＡＰ量」とは、第２の中間層Ｓ２における高吸収性ポリマー１７の質量である。
【0124】
【表1】
【0125】
表１に示すように、本実施例の吸収体及び吸収性物品は、薄型でありながら、繰り返し吸収の際であっても高い吸収速度を維持でき、逆戻り量が少なく、優れた吸収性を発揮できるとともに、体液の拡散性が高く、良好な着用感を得ることができることが少なくとも確認された。
【符号の説明】
【0126】
１：吸収性物品、
１０，４０：吸収体、
１１：第１の連続多孔質体層、
１２：第２の連続多孔質体層、
１３：複合型不織布、
１４，１５：接合部、
１６，１６ａ，１６ｂ，１６ｃ，１６ｄ，１６ｅ，１７，１７ａ，１７ｂ，１７ｃ，１７ｄ，１７ｅ：高吸収性ポリマー、
１８：親水性シート、
１９：比較例の連続多孔質体層、
２０：トップシート、
２１：立体ギャザー、
３０：バックシート、
Ｆ１，Ｆ２：矢印、
Ｓ１：第１の中間層、
Ｓ２：第２の中間層、
ａ，ｂ，ｃ：比較例の吸収性物品、
ａ１，ｂ１，ｃ１：比較例の吸収体
１０，４０：吸収体、
１１：第１の連続多孔質体層、
１２：第２の連続多孔質体層、
１３：複合型不織布、
１４，１５：接合部、
１６，１６ａ，１６ｂ，１６ｃ，１６ｄ，１６ｅ，１７，１７ａ，１７ｂ，１７ｃ，１７ｄ，１７ｅ：高吸収性ポリマー、
１８：親水性シート、
１９：比較例の連続多孔質体層、
２０：トップシート、
２１：立体ギャザー、
３０：バックシート、
Ｆ１，Ｆ２：矢印、
Ｓ１：第１の中間層、
Ｓ２：第２の中間層、
ａ，ｂ，ｃ：比較例の吸収性物品、
ａ１，ｂ１，ｃ１：比較例の吸収体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
