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特許7498646開閉器メンテナンス装置および開閉器メンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】開閉器メンテナンス装置および開閉器メンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20240605BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240605BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20240605BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H01H9/54 C
G05B19/418 Z
H01H9/54 B
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020184144
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074254
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 崇
(72)【発明者】
【氏名】青木 猛史
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山際 真人
(72)【発明者】
【氏名】田中丸 重典
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249656(JP,A)
【文献】特開2002-163968(JP,A)
【文献】特開平02-297818(JP,A)
【文献】特開2015-118864(JP,A)
【文献】国際公開第2020/115828(WO,A1)
【文献】特開2013-062149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 - 9/56
H05K 3/30
H05K 13/00 - 13/08
G05B 19/418
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する判断部を備え、
前記判断部は、前記機器を保管可能な保管装置のスロットに前記機器が保持されているときに、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能であると判断し、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能なときに、前記除去タイミングであると判断る開閉器メンテナンス装置。
【請求項2】
基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する判断部を備え、
前記対基板作業機は、
前記基板製品の生産で使用される前記機器を保持可能な第一スロットと、
前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットと、
を備え、
前記判断部は、前記機器が前記第二スロットに保持されているときに、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能であると判断し、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能なときに、前記除去タイミングであると判断る開閉器メンテナンス装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記機器の着脱回数が、前記異物による前記開閉器の前記接点の導通不良を考慮して予め設定される所定回数以上になったときに、前記除去タイミングであると判断する請求項1または請求項2に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記開閉器の前記接点の抵抗値が、前記異物による前記開閉器の前記接点の導通不良を考慮して予め設定される所定値以上になったときに、前記除去タイミングであると判断する請求項1請求項3のいずれか一項に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項5】
前記判断部によって前記除去タイミングであると判断されたときに、作業者に前記除去タイミングであることを案内する案内部を備える請求項1~請求項のいずれか一項に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項6】
前記判断部によって前記除去タイミングであると判断されたときに、前記基板製品の生産において前記開閉器の前記接点に流す通常時電流よりも大きな電流である除去時電流を前記開閉器の前記接点に流し前記接点にアークを発生させて、前記接点に付着した前記異物を除去する除去部を備える請求項1~請求項のいずれか一項に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項7】
前記除去部は、前記開閉器の前記接点に前記通常時電流を供給する通常時使用回路から前記開閉器の前記接点に前記除去時電流を供給する除去時使用回路に切り替えて、前記開閉器の前記接点に前記除去時電流を流す請求項に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項8】
前記対基板作業機は、前記基板に部品を装着する部品装着機であり、
前記機器は、前記部品を供給するフィーダである請求項1~請求項のいずれか一項に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項9】
前記異物は、前記開閉器の開閉により発生するアークによって、前記接点の表面に生成された酸化シリコン膜である請求項1~請求項のいずれか一項に記載の開閉器メンテナンス装置。
【請求項10】
基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する判断工程を備え
前記判断工程は、前記機器を保管可能な保管装置のスロットに前記機器が保持されているときに、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能であると判断し、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能なときに、前記除去タイミングであると判断する開閉器メンテナンス方法。
【請求項11】
基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する判断工程を備え
前記判断工程は、前記基板製品の生産で使用される前記機器を保持可能な第一スロットと、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットとを備える前記対基板作業機の前記第二スロットに前記機器が保持されているときに、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能であると判断し、前記基板製品の生産を継続しつつ前記異物を除去可能なときに、前記除去タイミングであると判断する開閉器メンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、開閉器メンテナンス装置および開閉器メンテナンス方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の信号切替回路は、通常使用される回路から通常使用されない回路にリレー接点を定期的に切り替えて接点に電流を流し、接点の表面に付着した不伝導被膜を除去する。リレー接点の切り替えは、一日に一度または一週間に一度程度の頻度で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-238423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の信号切替回路は、リレー接点を定期的に切り替えるものであり、対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去するものではない。また、特許文献1に記載の信号切替回路のように、長期間不動状態のリレー接点に付着した不伝導被膜は、定期的に除去すれば済む。しかしながら、上記開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングは、必ずしも一定時間ごとに到来するものではなく、上記除去タイミングを知得したいという要請がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングを知得可能な開閉器メンテナンス装置および開閉器メンテナンス方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、判断部を備える開閉器メンテナンス装置を開示する。前記判断部は、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する。
【0007】
また、本明細書は、判断工程を備える開閉器メンテナンス方法を開示する。前記判断工程は、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する。
【発明の効果】
【0008】
上記の開閉器メンテナンス装置によれば、判断部を備える。よって、対基板作業機に着脱可能に設けられる機器の着脱に合わせて開閉する開閉器の接点に付着した異物を除去すべき除去タイミングを知得することができる。上述されていることは、開閉器メンテナンス方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】基板生産ラインの構成例を示す平面図である。
図2図1の交換システムおよび部品装着機の構成例を示す斜視図である。
図3】搬送装置と部品装着機の部品供給装置との間におけるフィーダの交換作業の一例を示す平面図である。
図4】機器の着脱を検出する検出回路の一例を示す回路図である。
図5】開閉器メンテナンス装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図6】開閉器メンテナンス装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
図7】開閉器の接点の抵抗値を測定する際の回路例を示す回路図である。
図8】開閉器の接点に付着した異物を除去する際の回路例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.基板生産ラインWL0の構成例
本実施形態の開閉器メンテナンス装置70は、基板生産ラインWL0に適用される。図1に示すように、基板生産ラインWL0は、少なくとも一つ(同図では、4つ)の部品装着機10と、交換システム30と、搬送装置40と、保管装置50と、ライン管理装置60とを備えている。4つの部品装着機10は、図2に示す基板90の搬送方向(X方向)に沿って設置されている。部品装着機10は、基板90に所定の対基板作業を行って基板製品900を生産する対基板作業機WM0に含まれる。部品装着機10による対基板作業には、基板90の搬入作業および搬出作業、部品の供給作業、採取作業および装着作業などが含まれる。部品装着機10には、例えば、カセット式のフィーダ20が着脱可能に設けられる。
【0011】
基板生産ラインWL0の基板搬入側(図1の紙面左側)には、例えば、フィーダ20の保管に用いられる保管装置50が設置されている。また、基板生産ラインWL0には、交換システム30および搬送装置40が設けられており、フィーダ20の供給作業、交換作業および回収作業を行う。なお、基板生産ラインWL0は、例えば、生産する基板製品900の種別などに応じて、その構成が適宜追加され、変更され得る。具体的には、基板生産ラインWL0には、例えば、はんだ印刷機、はんだ検査機、リフロー炉、外観検査機などの対基板作業機WM0を適宜設置することができる。このように、基板生産ラインWL0は、種々の対基板作業機WM0を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品900を生産することができる。
【0012】
基板生産ラインWL0を構成する対基板作業機WM0は、ネットワークを介してライン管理装置60と種々のデータを入出力可能に構成されている。例えば、保管装置50は、複数のスロット51を備えている。保管装置50は、複数のスロット51の各々に装備されたフィーダ20を保持する。スロット51に装備されたフィーダ20は、ライン管理装置60との間で通信可能な状態になる。これにより、保管装置50のスロット51と当該スロット51に装備されたフィーダ20の識別情報が関連付けられて、ライン管理装置60に記録される。
【0013】
また、ライン管理装置60は、基板生産ラインWL0の動作状況を監視し、部品装着機10などの対基板作業機WM0、交換システム30、搬送装置40および保管装置50を統括制御する。ライン管理装置60には、対基板作業機WM0、交換システム30、搬送装置40および保管装置50を制御するための各種データが記憶されている。ライン管理装置60は、例えば、部品装着機10による部品の装着処理の実行に際して、生産プログラムなどの各種データを送出する。
【0014】
1-2.部品装着機10の構成例
図2に示すように、4つの部品装着機10の各々は、基板搬送装置11と、部品供給装置12と、ヘッド駆動装置13とを備えている。本明細書では、基板90の搬送方向をX方向とする。また、水平面においてX方向と直交する方向をY方向とする。さらに、X方向およびY方向と直交する鉛直方向(図2の紙面上下方向)をZ方向とする。
【0015】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアおよび位置決め装置などによって構成されている。基板搬送装置11は、基板90を搬送方向(X方向)へ順次搬送すると共に、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0016】
部品供給装置12は、基板90に装着される部品を供給する。部品供給装置12は、複数のフィーダ20を装備可能な第一スロット12aおよび第二スロット12bを備えている。本実施形態では、第一スロット12aは、部品装着機10の前部側の上部に配置され、装備されたフィーダ20を動作可能に保持する。第一スロット12aに装備されたフィーダ20は、部品装着機10による装着処理において動作を制御され、当該フィーダ20の上部の規定位置に設けられた取り出し部において部品を供給する。このように、第一スロット12aは、基板製品900の生産で使用されるフィーダ20を保持可能である。
【0017】
本実施形態では、第二スロット12bは、第一スロット12aの下方に配置され、装備されたフィーダ20をストックする。具体的には、第二スロット12bは、基板製品900の生産で使用予定のフィーダ20を予備的に保持する。また、第二スロット12bは、基板製品900の生産で不要になったフィーダ20を一時的に保持する。なお、第一スロット12aと第二スロット12bとの間におけるフィーダ20の交換作業は、搬送装置40によって行われる。
【0018】
図2に示すように、フィーダ20は、フィーダ本体21と、駆動装置22とを備えている。本実施形態のフィーダ本体21は、扁平な箱形状に形成されている。フィーダ本体21は、多数の部品を収容するキャリアテープが巻回されたリール23を着脱可能(交換可能)に保持する。駆動装置22は、キャリアテープに設けられた送り穴に係合するスプロケット22aを備えている。駆動装置22は、スプロケット22aを回転させてキャリアテープを送り移動させる。
【0019】
フィーダ20は、部品装着機10の制御装置によって駆動装置22の駆動制御が行われる。フィーダ20は、部品装着機10の第一スロット12aに装備されると、コネクタを介して部品装着機10から電力の供給を受け、部品装着機10との間で通信可能な状態となる。これにより、部品装着機10は、第一スロット12aにおけるフィーダ20の供給および回収を検出することができる。第一スロット12aについて上述されていることは、第二スロット12bについても同様に言える。
【0020】
第一スロット12aに装備されたフィーダ20は、部品装着機10による制御指令などに基づいて、部品を収容するキャリアテープの送り動作が制御される。これにより、フィーダ20は、フィーダ20の上部に設けられた取り出し部において、装着ヘッド13bの保持部材によって部品を採取可能に供給する。
【0021】
ヘッド駆動装置13は、直動機構によって移動台13aを水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。移動台13aには、クランプ部材によって装着ヘッド13bが交換可能(着脱可能)に固定されている。装着ヘッド13bは、ヘッド駆動装置13の直動機構によって移動台13aと一体的にX方向およびY方向に移動される。装着ヘッド13bは、保持部材を用いて、部品供給装置12によって供給された部品を採取する。保持部材は、例えば、供給される負圧エアによって部品を吸着する吸着ノズル、部品を把持するチャックなどを用いることができる。
【0022】
装着ヘッド13bは、保持部材をZ方向に移動可能に、且つ、Z軸に平行なQ軸周りに回転可能に保持する。装着ヘッド13bは、採取した部品の姿勢に応じて保持部材の位置および角度を調整する。そして、装着ヘッド13bは、生産プログラムによって指令される基板90の装着位置に部品を装着する。上記の部品のピックアンドプレースサイクルの所定サイクル数分の所要時間と、基板90の搬入および搬出に要する所要時間との合計時間は、基板90一枚当たりのサイクルタイムに相当する。
【0023】
なお、装着ヘッド13bに設けられる保持部材は、基板90に部品を装着する装着処理において部品の種別に応じて適宜変更され得る。部品装着機10は、例えば、実行する装着処理において用いる吸着ノズルが装着ヘッド13bに取り付けられていない場合に、ノズルステーションに収容されている吸着ノズルを、装着ヘッド13bに取り付ける。ノズルステーションは、部品装着機10の機内の所定位置に着脱可能に装備される。
【0024】
1-3.交換システム30および搬送装置40の構成例
図1および図2に示すように、交換システム30は、第一レール31と、第二レール32とを備えている。第一レール31および第二レール32は、搬送装置40の走行路30Rを形成する。第一レール31は、基板90の搬送方向(X方向)に沿って延伸し、鉛直方向(Z方向)において、第一スロット12aと、第二スロット12bとの間に設けられている。
【0025】
第二レール32は、基板90の搬送方向(X方向)に沿って延伸し、鉛直方向(Z方向)において、第二スロット12bの下方に設けられている。第一レール31および第二レール32は、基板生産ラインWL0において、基板90の搬送方向(X方向)の概ね全域に亘って延伸している。基板90の搬送方向(X方向)は、4つの部品装着機10の配置方向に相当する。
【0026】
搬送装置40は、第一レール31および第二レール32によって形成される走行路30Rを走行可能に設けられている。搬送装置40は、例えば、第一レール31に設けられる送電部と対向して設けられる受電部を介して、非接触給電によって送電部から電力の供給を受ける。受電部が受け取った電力は、受電回路を介して搬送装置40の走行、所定作業などに用いられる。なお、搬送装置40は、例えば、位置検出装置によって走行路30R上の位置(現在位置)を知得する。位置検出装置は、例えば、光学的な検出方法、電磁誘導を用いた検出方法などによって上記位置を検出することができる。
【0027】
上記の所定作業には、部品装着機10などの対基板作業機WM0による基板製品900の生産で使用される機器DD0を、対基板作業機WM0との間で交換する交換作業が含まれる。本実施形態の搬送装置40は、基板90に装着される部品を供給するフィーダ20を機器DD0として、対基板作業機WM0である部品装着機10との間でフィーダ20の交換作業を行う。また、搬送装置40は、フィーダ20を機器DD0として、保管装置50との間でフィーダ20の交換作業を行うこともできる。
【0028】
本実施形態の搬送装置40は、保管装置50から部品装着機10の第一スロット12aまたは第二スロット12bにフィーダ20を搬送して、フィーダ20の供給作業を行う。また、搬送装置40は、部品装着機10の第一スロット12aと第二スロット12bとの間で、フィーダ20の交換作業を行う。さらに、搬送装置40は、不要になったフィーダ20を部品装着機10から保管装置50に搬送して、フィーダ20の回収作業を行う。
【0029】
図3に示すように、搬送装置40は、少なくとも一つ(同図では、2つ)の保持部41と、制御装置42とを備えている。本実施形態では、2つの保持部41の各々は、複数(同図では、2つ)のフィーダ20を同時にクランプ可能であり、複数(2つ)のフィーダ20を同時に保持することができる。また、2つの保持部41の各々は、例えば、直動機構などによって、フィーダ20の着脱方向(本実施形態ではY方向)に沿って独立して移動可能であり、複数(2つ)のフィーダ20を同時にY方向に沿って移動させることができる。
【0030】
さらに、2つの保持部41は、例えば、直動機構などによって、鉛直方向(Z方向)に一体的に移動可能であり、複数(4つ)のフィーダ20を同時にZ方向に移動させることもできる。なお、搬送装置40は、例えば、複数(4つ)の保持部41を備えることもできる。この場合、複数(4つ)の保持部41の各々が一つのフィーダ20をクランプして、複数(4つ)のフィーダ20を独立にY方向およびZ方向に移動させることができる。また、保持部41の形態は、クランプ機構、直動機構に限定されるものではなく、種々の形態をとり得る。例えば、保持部41は、フィーダ20に設けられる穴部と嵌合可能な突出部を備えることもできる。この場合、保持部41の突出部がフィーダ20の穴部と嵌合することにより、フィーダ20が保持される。
【0031】
制御装置42は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置42は、4つの部品装着機10、交換システム30、保管装置50およびライン管理装置60と通信可能に接続されている。制御装置42は、搬送装置40の走行、2つの保持部41の動作などを制御する。上記の構成により、搬送装置40は、第一レール31および第二レール32に沿って所定位置まで移動すると共に、停止位置においてフィーダ20の交換作業を行うことができる。
【0032】
なお、保管装置50は、フィーダ20に限らず、対基板作業機WM0を用いた基板製品900の生産で使用される機器DD0を保管することができる。例えば、対基板作業機WM0が部品装着機10の場合、複数の部品を収容するトレイを収容するトレイユニット、装着ヘッド13bは、機器DD0に含まれる。対基板作業機WM0が基板90にはんだを印刷するはんだ印刷機の場合、ディスペンスヘッドは、機器DD0に含まれる。対基板作業機WM0が検査機の場合、検査ヘッドは、機器DD0に含まれる。検査機には、基板90に印刷されたはんだを検査するはんだ検査機、基板90に装着された部品を検査する外観検査機が含まれる。
【0033】
また、搬送装置40は、フィーダ20に限らず、上述されている機器DD0を対基板作業機WM0に供給することができる。具体的には、搬送装置40は、保管装置50に保管されている機器DD0を対基板作業機WM0に供給することができる。また、搬送装置40は、基板製品900の生産で不要になった機器DD0を保管装置50に回収することもできる。
【0034】
1-4.開閉器メンテナンス装置70の構成例
上述されている機器DD0は、対基板作業機WM0に着脱可能に設けられる。機器DD0の着脱を検知するために、機器DD0または対基板作業機WM0には、機器DD0の着脱に合わせて開閉する開閉器SW0が設けられる。
【0035】
例えば、本実施形態では、対基板作業機WM0は、基板90に部品を装着する部品装着機10であり、機器DD0は、部品を供給するフィーダ20である。既述したように、フィーダ20は、部品供給装置12の第一スロット12aまたは第二スロット12bに着脱可能に設けられる。また、フィーダ20は、保管装置50のスロット51に着脱可能に設けられる。第一スロット12a、第二スロット12bおよびスロット51は、いずれもパレット部材PL0に形成されている。
【0036】
図4は、機器DD0の着脱を検出する検出回路C0の一例を示している。本実施形態では、開閉器SW0は、機器DD0であるフィーダ20に設けられている。図3に示すように、フィーダ20には、突起部20aが設けられている。また、パレット部材PL0には、凹部PL0aが設けられている。例えば、フィーダ20が第一スロット12aに装備されると、突起部20aおよび凹部PL0aが嵌合して、開閉器SW0の接点CP0が開状態から閉状態に切り替わる。逆に、フィーダ20が第一スロット12aから取り外されると、突起部20aが凹部PL0aから離脱して、開閉器SW0の接点CP0が閉状態から開状態に切り替わる。
【0037】
図4に示すように、検出回路C0は、電圧源V0、抵抗器R1、検知回路D0および接点CP0を備えている。電圧源V0、抵抗器R1、検知回路D0および接点CP0は、この順に直列接続されている。例えば、フィーダ20が第一スロット12aに装備されて、開閉器SW0の接点CP0が開状態から閉状態に切り替わったとする。この場合、検知回路D0が検出する電圧は、ハイレベルの電圧(電圧源V0が出力する直流電圧Vccと略同等)からローレベルの電圧(検出回路C0の基準電圧(例えば、ゼロボルト)と略同等)に変動する。これにより、検知回路D0は、フィーダ20が第一スロット12aに装備されたことを検知することができる。
【0038】
逆に、フィーダ20が第一スロット12aから取り外されて、開閉器SW0の接点CP0が閉状態から開状態に切り替わったとする。この場合、検知回路D0が検出する電圧は、ローレベルの電圧からハイレベルの電圧に変動する。これにより、検知回路D0は、フィーダ20が第一スロット12aから取り外されたことを検知することができる。上述されていることは、第二スロット12bおよびスロット51についても同様に言える。
【0039】
このように、機器DD0が着脱されて開閉器SW0の開閉が繰り返されると、開閉器SW0の接点CP0に異物が付着する可能性がある。例えば、低分子シロキサンの雰囲気中で機器DD0が使用されると、開閉器SW0の開閉によって発生するアーク熱により、低分子シロキサンが分解され、開閉器SW0の接点CP0の表面に酸化シリコンが生成される。開閉器SW0の開閉が繰り返されると、開閉器SW0の接点CP0の表面に酸化シリコンが堆積し、酸化シリコン膜が生成される。酸化シリコン膜は、絶縁物であり、開閉器SW0の接点CP0の導通不良の要因になり得る。
【0040】
そこで、本実施形態の基板生産ラインWL0には、開閉器メンテナンス装置70が設けられている。開閉器メンテナンス装置70は、制御ブロックとして捉えると、判断部71を備える。開閉器メンテナンス装置70は、案内部72を備えることもできる。開閉器メンテナンス装置70は、除去部73を備えることもできる。図5に示すように、本実施形態の開閉器メンテナンス装置70は、判断部71と、案内部72と、除去部73とを備えている。
【0041】
また、開閉器メンテナンス装置70は、ライン管理装置60に設けることができる。開閉器メンテナンス装置70は、複数の基板生産ラインWL0を管理する管理装置、クラウド上などに設けることもできる。図5に示すように、本実施形態では、開閉器メンテナンス装置70は、ライン管理装置60に設けられている。さらに、開閉器メンテナンス装置70は、例えば、図6に示すフローチャートに従って、制御を実行する。判断部71は、ステップS11に示す判断を行う。案内部72は、ステップS12に示す処理を行う。除去部73は、ステップS13に示す処理を行う。
【0042】
1-4-1.判断部71
判断部71は、開閉器SW0の接点CP0に付着した異物を除去すべき除去タイミングであるか否かを判断する(図6に示すステップS11)。既述したように、本実施形態では、機器DD0は、フィーダ20であり、異物は、開閉器SW0の開閉により発生するアークによって、接点CP0の表面に生成された酸化シリコン膜である。
【0043】
判断部71は、除去タイミングであるか否かを判断することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、機器DD0の着脱回数が増加するほど、開閉器SW0の開閉が繰り返されて、接点CP0の表面に異物が付着し易くなる。そこで、判断部71は、機器DD0の着脱回数が、異物による開閉器SW0の接点CP0の導通不良を考慮して予め設定される所定回数以上になったときに、除去タイミングであると判断することができる。
【0044】
既述したように、機器DD0の着脱は、図4に示す検知回路D0によって検知される。また、機器DD0が装備される部材(例えば、既述したパレット部材PL0)には、制御装置CU0が設けられている。さらに、機器DD0には、機器DD0を識別可能な識別情報が付与されている。制御装置CU0は、検知回路D0によって、機器DD0が上記部材(パレット部材PL0)に装備されて、その後、取り外されたことが検知されると、当該機器DD0の識別情報と、当該機器DD0が着脱されたことを示す着脱情報とをライン管理装置60に送信する。
【0045】
図5に示すように、ライン管理装置60は、記憶装置60mを備えている。記憶装置60mは、機器DD0ごとの着脱回数を記憶することができる。ライン管理装置60は、制御装置CU0から機器DD0の識別情報および着脱情報を受信すると、記憶装置60mから当該識別情報に関連付けて記憶されている機器DD0の着脱回数を取得する。ライン管理装置60は、当該機器DD0の着脱回数を一回、増加させて着脱回数を更新し、更新後の着脱回数を記憶装置60mに記憶させる。機器DD0が着脱される度に上記更新が繰り返される。
【0046】
判断部71は、記憶装置60mから機器DD0ごとの着脱回数を取得する。判断部71は、着脱回数が所定回数以上の機器DD0について、除去タイミングであると判断する。また、判断部71は、着脱回数が所定回数未満の機器DD0について、除去タイミングでないと判断する。なお、所定回数は、異物による開閉器SW0の接点CP0の導通不良を考慮して予め設定される。具体的には、所定回数は、シミュレーション、実機による検証などによって、予め取得しておくことができる。このように、判断部71は、機器DD0の着脱回数に基づいて、除去タイミングを容易に判断することができる。
【0047】
また、開閉器SW0の接点CP0に異物が付着するほど、接点CP0の抵抗値が増加し易くなる。そこで、判断部71は、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値が、異物による開閉器SW0の接点CP0の導通不良を考慮して予め設定される所定値以上になったときに、除去タイミングであると判断することもできる。例えば、図7に示すように、検出回路C0は、測定回路M0を備えることができる。
【0048】
測定回路M0は、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値を測定する。例えば、測定回路M0は、抵抗器R1の一端側(電圧源V0の側)の電圧V11と、抵抗器R1の他端側(検知回路D0の側)の電圧V12とを測定する。抵抗器R1に流れる電流(後述する通常時電流UI0)は、電圧V11から電圧V12を減じた電圧差を、抵抗器R1の抵抗値で除した除算値である。開閉器SW0の接点CP0の抵抗値は、電圧V12を通常時電流UI0で除した除算値である。
【0049】
判断部71は、測定回路M0によって測定された電圧V11および電圧V12を取得する。判断部71は、任意のタイミングで電圧V11および電圧V12を取得することができる。例えば、判断部71は、機器DD0の着脱回数が、既述した所定回数(異物による開閉器SW0の接点CP0の導通不良を考慮して予め設定される回数)より少ない任意の回数に到達する度に、電圧V11および電圧V12を取得することができる。例えば、判断部71は、機器DD0が着脱される度に、電圧V11および電圧V12を取得しても良い。
【0050】
判断部71は、電圧V11から電圧V12を減じた電圧差で電圧V12を除した除算値に、抵抗器R1の抵抗値を乗じて、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値を算出することができる。判断部71は、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値が所定値以上の機器DD0について、除去タイミングであると判断する。また、判断部71は、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値が所定値未満の機器DD0について、除去タイミングでないと判断する。
【0051】
なお、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値と比較される上記所定値は、異物による開閉器SW0の接点CP0の導通不良を考慮して予め設定される。具体的には、上記所定値は、シミュレーション、実機による検証などによって、予め取得しておくことができる。このように、判断部71は、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値に基づいて、除去タイミングを判断することもできる。
【0052】
また、開閉器SW0の接点CP0に付着した異物を除去するために、基板製品900の生産を停止させると、生産効率が低下する。そこで、判断部71は、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能なときに、除去タイミングであると判断すると良い。これにより、開閉器メンテナンス装置70は、基板製品900の生産効率を低下させないで、異物を除去可能な除去タイミングを取得することができる。
【0053】
例えば、機器DD0を保管可能な保管装置50のスロット51に機器DD0が保持されている場合、当該機器DD0は、基板製品900の生産に使用されておらず、かつ、異物を除去可能な状態にある。そこで、判断部71は、機器DD0を保管可能な保管装置50のスロット51に機器DD0が保持されているときに、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断することができる。
【0054】
また、既述したように、対基板作業機WM0である部品装着機10は、第一スロット12aと、第二スロット12bとを備えている。第一スロット12aは、基板製品900の生産で使用される機器DD0を保持可能である。第二スロット12bは、基板製品900の生産で使用予定の機器DD0を予備的に保持可能または基板製品900の生産で不要になった機器DD0を一時的に保持可能である。
【0055】
機器DD0が第二スロット12bに保持されている場合、当該機器DD0は、基板製品900の生産に使用されておらず、かつ、異物を除去可能な状態にある。そこで、判断部71は、機器DD0が第二スロット12bに保持されているときに、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断することができる。
【0056】
なお、判断部71は、機器DD0の着脱回数が所定回数以上になり、かつ、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値が所定値以上になったときに、除去タイミングであると判断することもできる。また、判断部71は、機器DD0の着脱回数、および、開閉器SW0の接点CP0の抵抗値のうちの少なくとも一方が既述した条件を満たし、かつ、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能なときに、除去タイミングであると判断することもできる。
【0057】
いずれの形態においても、判断部71によって、少なくとも一つの機器DD0について、除去タイミングであると判断されると(図6に示すステップS11でYesの場合)、開閉器メンテナンス装置70による制御は、ステップS12に示す制御に進む。判断部71によって、すべての機器DD0について、除去タイミングでないと判断されると(ステップS11でNoの場合)、開閉器メンテナンス装置70による制御は、一旦、終了する。
【0058】
1-4-2.案内部72
案内部72は、判断部71によって除去タイミングであると判断されたときに、作業者に除去タイミングであることを案内する(図6に示すステップS12)。具体的には、図5に示すように、ライン管理装置60は、表示装置60dを備えている。例えば、案内部72は、判断部71によって除去タイミングであると判断されたときに、表示装置60dに除去タイミングである旨を表示させる。これにより、作業者は、開閉器SW0の接点CP0に付着した異物を除去すべき除去タイミングを知得することができる。
【0059】
なお、案内部72は、判断部71によって除去タイミングであると判断されたときに、作業者の携帯端末機器に除去タイミングである旨を表示させることもできる。また、案内部72は、除去タイミングの機器DD0を特定可能な情報(例えば、識別情報)、当該機器DD0の所在(例えば、パレット部材PL0およびスロット番号)、当該機器DD0の状態(基板製品900の生産で使用中であるか否か)などを作業者に案内することもできる。作業者は、例えば、当該機器DD0を正常な機器DD0(接点CP0に異物が付着していない機器DD0または許容レベルの異物が接点CP0に付着している機器DD0)と交換することができる。また、作業者は、入力装置としても機能する表示装置60dまたは携帯端末機器を介して、以下に示す除去部73に接点CP0に付着した異物を除去させることもできる。
【0060】
1-4-3.除去部73
除去部73は、判断部71によって除去タイミングであると判断されたときに、除去時電流RI0を開閉器SW0の接点CP0に流し接点CP0にアークを発生させて、接点CP0に付着した異物を除去する(図6に示すステップS13)。除去時電流RI0は、基板製品900の生産において開閉器SW0の接点CP0に流す通常時電流UI0よりも大きな電流である。除去時電流RI0は、シミュレーション、実機による検証などによって、予め取得しておくことができる。
【0061】
除去部73は、除去時電流RI0を開閉器SW0の接点CP0に流し接点CP0にアークを発生させて、接点CP0に付着した異物を除去することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、異物が既述した酸化シリコン膜であって、通常時電流UI0が数ミリアンペアの場合、除去時電流RI0は、数百ミリアンペアから数アンペア必要である。よって、開閉器SW0の接点CP0に通常時電流UI0を供給する通常時使用回路UC0、既述した検知回路D0、測定回路M0などの保護の観点から、開閉器SW0の接点CP0に除去時電流RI0を供給する除去時使用回路RC0を別途設けると良い。
【0062】
具体的には、除去部73は、開閉器SW0の接点CP0に通常時電流UI0を供給する通常時使用回路UC0から開閉器SW0の接点CP0に除去時電流RI0を供給する除去時使用回路RC0に切り替えて、開閉器SW0の接点CP0に除去時電流RI0を流すと良い。例えば、図8に示すように、検出回路C0は、電圧源V0と、通常時使用回路UC0と、除去時使用回路RC0と、接点CP0とを備えることができる。検出回路C0は、検知回路D0および測定回路M0のうちの少なくとも検知回路D0をさらに備えることもできる。同図に示すように、本実施形態の検出回路C0は、電圧源V0と、通常時使用回路UC0と、除去時使用回路RC0と、接点CP0と、検知回路D0と、測定回路M0とを備えている。
【0063】
通常時使用回路UC0および除去時使用回路RC0は、並列接続されている。通常時使用回路UC0は、既述した抵抗器R1と、切り替え用開閉器SW1を備えており、既述した検知回路D0および測定回路M0が設けられる。切り替え用開閉器SW1は、通常時使用回路UC0と除去時使用回路RC0を選択的に切り替えるための開閉器である。切り替え用開閉器SW1は、通常時使用回路UC0が選択されるときに閉状態に制御され、除去時使用回路RC0が選択されるときに開状態に制御される。
【0064】
除去時使用回路RC0は、抵抗器R2と、切り替え用開閉器SW2を備えている。抵抗器R2の抵抗値は、除去時電流RI0を供給可能に、抵抗器R1の抵抗値と比べて小さく設定される。例えば、通常時電流UI0が一ミリアンペアであり、除去時電流RI0が百ミリアンペア必要な場合、抵抗器R2の抵抗値は、抵抗器R1の抵抗値の百分の一に設定される。また、切り替え用開閉器SW2は、通常時使用回路UC0と除去時使用回路RC0を選択的に切り替えるための開閉器である。切り替え用開閉器SW2は、通常時使用回路UC0が選択されるときに開状態に制御され、除去時使用回路RC0が選択されるときに閉状態に制御される。切り替え用開閉器SW1および切り替え用開閉器SW2の開閉制御は、制御装置CU0を介して行われる。
【0065】
除去部73は、判断部71によって除去タイミングであると判断されたときに、除去時電流RI0を開閉器SW0の接点CP0に流し接点CP0にアークを発生させて、接点CP0に付着した異物を除去する。具体的には、判断部71によって除去タイミングであると判断されると、除去部73は、開閉器SW0の接点CP0を開状態に制御する。例えば、図3に示す搬送装置40の保持部41は、保持している機器DD0(この場合、フィーダ20)の開閉器SW0の接点CP0を開状態または閉状態に切り替え可能な操作部41aを備えている。判断部71によって除去タイミングであると判断されると、除去部73は、操作部41aを用いて、開閉器SW0の接点CP0を開状態に切り替える。
【0066】
除去部73は、開閉器SW0の接点CP0が開状態に制御された状態で、制御装置CU0に切り替え信号を送出して、通常時使用回路UC0から除去時使用回路RC0に切り替える。これにより、切り替え用開閉器SW1は、開状態に制御され、切り替え用開閉器SW2は、閉状態に制御される。除去部73は、この状態で、操作部41aを用いて、開閉器SW0の接点CP0を閉状態に切り替えて、除去時使用回路RC0から接点CP0に除去時電流RI0を供給する。そして、除去部73は、操作部41aを用いて、開閉器SW0の接点CP0を開状態に切り替える。開閉器SW0の接点CP0の切り替え時に、接点CP0にアークが発生して、接点CP0に付着した異物が除去される。
【0067】
なお、除去部73は、複数の機器DD0について、接点CP0に付着した異物を同時に除去することもできる。例えば、除去部73は、同一の保持部41に保持されている複数(図3では、2つ)の機器DD0について、接点CP0に付着した異物を同時に除去することもできる。また、除去部73は、異なる保持部41に保持されている複数(図3では、4つ)の機器DD0について、接点CP0に付着した異物を同時に除去することもできる。これらにより、異物を除去する除去作業の作業効率が向上する。
【0068】
接点CP0に付着した異物の除去が終了すると、除去部73は、制御装置CU0に切り替え信号を送出して、除去時使用回路RC0から通常時使用回路UC0に切り替える。これにより、切り替え用開閉器SW1は、閉状態に制御され、切り替え用開閉器SW2は、開状態に制御される。なお、除去部73は、判断部71によって除去タイミングであると判断されたときに、作業者による指示を受けることなく、接点CP0に付着した異物を除去することもできる。
【0069】
1-5.変形形態
既述した形態では、判断部71は、保管装置50のスロット51に機器DD0が保持されているときに、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断する。また、判断部71は、機器DD0が第二スロット12bに保持されているときに、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断する。しかしながら、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能な除去タイミングは、これらに限定されない。
【0070】
例えば、機器DD0がフィーダ20の場合、判断部71は、フィーダ20を保管するフィーダラックのスロットにフィーダ20が保持されているときに、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断することもできる。また、判断部71は、フィーダ20を検査するフィーダ検査治具、フィーダ20の清掃、駆動調整を行うフィーダ自動メンテナンスユニットなどのスロットにフィーダ20が保持されているときに、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断することもできる。
【0071】
このように、機器DD0を保管する保管庫のスロット、機器DD0のメンテナンスを行うメンテナンス装置のスロットなどに機器DD0が保持されているときに、判断部71は、基板製品900の生産を継続しつつ異物を除去可能であると判断することもできる。また、機器DD0を保管する保管庫のスロット、機器DD0のメンテナンスを行うメンテナンス装置のスロットなどに機器DD0が保持されているときに、除去部73は、接点CP0に付着した異物を除去することもできる。
【0072】
既述した形態では、機器DD0は、搬送装置40によって保管装置50から第二スロット12bに供給され、第二スロット12bから保管装置50に回収される。しかしながら、機器DD0は、種々の方法によって搬送することができる。例えば、機器DD0は、作業者または無人搬送車によって搬送することもできる。
【0073】
既述した形態では、通常時使用回路UC0および除去時使用回路RC0は、同一の電圧源V0に接続されている。そして、除去部73は、通常時使用回路UC0から除去時使用回路RC0に切り替えて、開閉器SW0の接点CP0に除去時電流RI0を流す。しかしながら、除去時電流RI0の供給方法は、上記の形態に限定されない。
【0074】
例えば、通常時使用回路UC0のみを用いて、電圧源V0の出力電圧を昇圧して、開閉器SW0の接点CP0に除去時電流RI0を流すこともできる。但し、例えば、通常時電流UI0が一ミリアンペアであり、除去時電流RI0が百ミリアンペア必要な場合、除去時電流RI0を供給するときの電圧源V0の出力電圧は、通常時電流UI0を供給するときの出力電圧の百倍に設定される。そのため、この形態では、通常時使用回路UC0、検知回路D0、測定回路M0などの耐圧が、除去時電流RI0を供給するときの出力電圧以上であることが必要である。
【0075】
2.開閉器メンテナンス方法
開閉器メンテナンス装置70について既述されていることは、開閉器メンテナンス方法についても同様に言える。具体的には、開閉器メンテナンス方法は、判断工程を備える。判断工程は、判断部71が行う制御に相当する。開閉器メンテナンス方法は、案内工程を備えることもできる。案内工程は、案内部72が行う制御に相当する。開閉器メンテナンス方法は、除去工程を備えることもできる。除去工程は、除去部73が行う制御に相当する。
【0076】
3.実施形態の効果の一例
開閉器メンテナンス装置70によれば、判断部71を備える。よって、対基板作業機WM0に着脱可能に設けられる機器DD0の着脱に合わせて開閉する開閉器SW0の接点CP0に付着した異物を除去すべき除去タイミングを知得することができる。上述されていることは、開閉器メンテナンス方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0077】
10:部品装着機、12a:第一スロット、12b:第二スロット、20:フィーダ、
50:保管装置、51:スロット、70:開閉器メンテナンス装置、71:判断部、
72:案内部、73:除去部、90:基板、900:基板製品、DD0:機器、
SW0:開閉器、CP0:接点、UC0:通常時使用回路、UI0:通常時電流、
RC0:除去時使用回路、RI0:除去時電流、WM0:対基板作業機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8