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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】車両用のウインドスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/04 20060101AFI20240605BHJP
   B62J 11/00 20200101ALI20240605BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
B62J17/04
B62J11/00
F16B5/10 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020199623
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087606
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】直井 創
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-224908(JP,A)
【文献】特開2017-165383(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第3941875(DE,A1)
【文献】特開2000-177668(JP,A)
【文献】特開2009-214721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/04
B62J 11/00
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のウインドスクリーン装置であって、
車体に設けられたレールと、
前記レールにスライド移動可能に支持されたスライダ部、及び前記スライダ部に設けられ、前記レールに対して回動可能な回動部を含むスライダと、
前記回動部に結合されたウインドスクリーンと、
前記レールに設けられた複数の第1係止部、及び前記スライダに設けられ、前記第1係止部の少なくとも1つに選択的に係止されることにより、前記レールに対する前記スライダのスライド移動を規制する第2係止部を有する係止機構とを有し、
前記回動部が、前記第2係止部が前記第1係止部に係止される係止位置と、前記第2係止部が前記第1係止部から解除される解除位置との間を回動可能とされ、
前記第1係止部及び前記第2係止部の一方は、前記レール及び前記回動部の一方に設けられた複数の孔であり、
前記第1係止部及び前記第2係止部の他方は、前記レール及び前記回動部の他方から突出し、前記孔の少なくとも1つに突入可能であるウインドスクリーン装置。
【請求項2】
前記回動部は、前記スライダ部に対して回動可能に支持されている請求項1に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項3】
前記回動部は、前記スライダ部に対して第1スライド位置と第2スライド位置との間でスライド移動可能に支持され、
前記回動部が前記第1スライド位置にあるときに前記第2係止部が前記第1係止部に係止されて前記回動部が前記レールに対して回動不能とされ、前記回動部が前記第2スライド位置にあるときに前記回動部が前記レールに対して回動可能とされた請求項2に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項4】
前記スライダ部は、第1端から第2端に延びるスロットを有し、
前記回動部は、前記スロットにスライド移動可能かつ回動可能に受容される軸部を有し、
前記軸部が前記第1端に位置するときに前記回動部が前記第1スライド位置に配置され、前記軸部が前記第2端に位置するときに前記回動部が前記第2スライド位置に配置され、
前記回動部が、前記第2スライド位置において前記軸部を中心として前記スライダ部に対して回動する請求項3に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項5】
前記スロットは前記レールと平行に延びている請求項4に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項6】
前記スロットは、前記第1端と前記第2端との間に突起を有し、
前記突起は、前記軸部が前記第1端及び前記第2端の一方から他方に移動するときに、前記軸部に抵抗力を与える請求項4又は請求項5に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項7】
前記スライダ部及び前記回動部の一方が、前記スライダ部に対する前記回動部のスライド方向と平行に延びる係止溝を有し、
前記スライダ部及び前記回動部の他方が、前記スライダ部に対する前記回動部のスライド移動によって前記係止溝に突入可能な係止凸部を有し、
前記係止溝が前記係止凸部を相対回動不能に受容することにより、前記回動部が回動不能とされた請求項6に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項8】
前記第1係止部は、前記レールの延在方向に配列された複数の孔であり、
前記第2係止部は、前記スライダ部に対して突出した突出位置と前記スライダ部内に没入した没入位置との間で進退可能に前記スライダ部に支持され、かつ前記突出位置にあるときに先端において前記第1係止部に突入するピンと、前記ピンの基端に設けられたピン側係止部とを有し、
前記回動部は前記ピン側係止部を係止する回動部側係止部を有し、
前記回動部側係止部が前記ピン側係止部を係止することによって、前記回動部が前記係止位置にあるときに前記ピンが前記突出位置にあり、前記回動部が前記解除位置にあるときに前記ピンが前記没入位置にある請求項2から請求項7のいずれか1つの項に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項9】
前記ピン側係止部は、前記ピンの外周に突設され、前記ピンの中心を囲むように延びている請求項8に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項10】
前記第2係止部と前記スライダ部との間には付勢部材が設けられ、前記第2係止部は前記付勢部材によって前記突出位置に付勢されている請求項8又は請求項9に記載のウインドスクリーン装置。
【請求項11】
前記スライダ部は前記レールに回動可能かつスライド移動可能に支持された軸部材であり、
前記回動部は前記スライダ部に一体に結合されている請求項1に記載のウインドスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のウインドスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体に取付けられるレールと、レールに対してスライド移動可能に支持されたスライダと、スライダに締結されたウインドスクリーンとを有するウインドスクリーン装置が開示されている。レールには、複数の係止孔が設けられており、スライダには、スライド方向と直交する方向に進退可能に支持され、係止孔に突入可能なボールが設けられている。ボールはばねによって係止孔側に付勢されている。ボールが係止孔に突入することによって、スライダ及びウインドスクリーンはレールに対して所定の位置に保持される。スライダがスライド方向に所定の荷重を受けると、ボールがばねの付勢力に抗して係止孔から離脱し、スライダ及びウインドスクリーンがレールに対してスライド移動可能になる。
【0003】
特許文献2には、車体に取付けられたガイドと、ガイドにスライド移動可能に設けられたウインドスクリーンと、ガイドに対してウインドスクリーンを固定するピンとを有するウインドスクリーン装置が開示されている。使用者は、ピンを引っ張ることで、ピンとウインドスクリーンとの係合を解除し、ウインドスクリーンをガイドに対してスライド移動可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-238872号公報
【文献】特開2010-070107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のウインドスクリーン装置では、レールの延在方向に所定値以上の荷重が加わったときにウインドスクリーンが意図せず移動するという問題がある。また、特許文献2に記載のウインドスクリーン装置では、使用者はピンを引き抜きつつ、ウインドスクリーンを移動させる必要があるため、操作が煩雑であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような問題を鑑み、ウインドスクリーンを所定の位置に確実に保持することができると共に、位置変更操作が容易な車両用のウインドスクリーン装置を提供することを課題とする。
【0007】
本発明の一態様は、車両用のウインドスクリーン装置(1)であって、車体に設けられたレール(5)と、レールにスライド移動可能に支持されたスライダ部(23)、及びスライダ部に設けられ、レールに対して回動可能な回動部(24)を含むスライダ(6)と、回動部に結合されたウインドスクリーン(7)と、レールに設けられた複数の第1係止部(18)、及びスライダに設けられ、第1係止部の少なくとも1つに選択的に係止されることにより、レールに対するスライダのスライド移動を規制する第2係止部(25)を有する係止機構とを有し、回動部が、第2係止部が第1係止部に係止される係止位置と、第2係止部が第1係止部から解除される解除位置との間を回動可能とされている。
【0008】
この態様によれば、ウインドスクリーンを所定の位置に確実に保持することができると共に、位置変更操作が容易な車両用のウインドスクリーン装置を提供できる。使用者は、ウインドスクリーンを解除位置に回動させることによってウインドスクリーンをレールに対してスライド移動させることができる。また、ウインドスクリーンが係止位置にあるとき、第2係止部が第1係止部に係止されるため、ウインドスクリーンが所定の位置に留まることができる。
【0009】
また、上記の態様において、回動部は、スライダ部に対して回動可能に支持されているとよい。
【0010】
この構成によれば、レールに対してスライドする部品と回動する部品とを別部品とできるため、スライダの製造が容易となる。
【0011】
また、上記の態様において、回動部は、スライダ部に対して第1スライド位置と第2スライド位置との間でスライド移動可能に支持され、回動部が第1スライド位置にあるときに第2係止部が第1係止部に係止されて回動部がレールに対して回動不能とされ、回動部が第2スライド位置にあるときに回動部がレールに対して回動可能とされるとよい。
【0012】
この構成によれば、回動部が第1スライド位置にあるとき、回動部は解除位置に向けて回動することができないため、ウインドスクリーンが意図せず移動することを防止することができる。
【0013】
また、上記の態様において、スライダ部は、第1端(53)から第2端(54)に延びるスロット(51)を有し、回動部は、スロットにスライド移動可能かつ回動可能に受容される軸部(67)を有し、軸部が第1端に位置するときに回動部が第1スライド位置に配置され、軸部が第2端に位置するときに回動部が第2スライド位置に配置され、回動部が、第2スライド位置において軸部を中心としてスライダ部に対して回動するとよい。
【0014】
この構成によれば、簡単な構成で、スライダ部に回動部をスライド移動可能かつ回動可能に支持させることができる。
【0015】
また、上記の態様において、スロットはレールと平行に延びているとよい。
【0016】
この構成によれば、スライダ部のレールに対するスライド方向と回動部のスライダ部に対するスライド方向とが一致しているため、ウインドスクリーン装置の操作を容易にすることができる。
【0017】
また、上記の態様において、スロットは、第1端と第2端との間に突起(69)を有し、突起は、軸部が第1端及び第2端の一方から他方に移動するときに、軸部に抵抗力を与えるとよい。
【0018】
この構成によれば、回動部を第1スライド位置又は第2スライド位置に保持することができる。
【0019】
また、上記の態様において、スライダ部及び回動部の一方が、スライダ部に対する回動部のスライド方向と平行に延びる係止溝(84)を有し、スライダ部及び回動部の他方が、スライダ部に対する回動部のスライド移動によって係止溝に突入可能な係止凸部(85)を有し、係止溝が係止凸部を相対回動不能に受容することにより、回動部が回動不能とされているとよい。
【0020】
この構成によれば、回動部が第1スライド位置に配置されているときに係止凸部が係止溝に突入するため、回動部のスライダ部に対する回動を確実に規制することができる。
【0021】
また、上記の態様において、第1係止部は、レールの延在方向に配列された複数の孔であり、第2係止部は、スライダ部に対して突出した突出位置とスライダ部内に没入した没入位置との間で進退可能にスライダ部に支持され、かつ突出位置にあるときに先端において第1係止部に突入するピン(41)と、ピンの基端に設けられたピン側係止部(42)とを有し、回動部はピン側係止部を係止する回動部側係止部(76)を有し、回動部側係止部がピン側係止部を係止することによって、回動部が係止位置にあるときにピンが突出位置にあり、回動部が解除位置にあるときにピンが没入位置にあるとよい。
【0022】
この構成によれば、回動部をスライダ部に対して回動させることで、第1係止部と第2係止部との係合を選択することができる。
【0023】
また、上記の態様において、ピン側係止部は、ピンの外周に突設され、ピンの中心を囲むように延びているとよい。
【0024】
この構成によれば、ピン側係止部を簡素な構造にすることができる。
【0025】
また、上記の態様において、第2係止部とスライダ部との間には付勢部材(48)が設けられ、第2係止部は付勢部材によって突出位置に付勢されているとよい。
【0026】
この構成によれば、付勢部材によって、第2係止部が第1係止部に係止された状態に維持される。また、回動部側係止部及びピン側係止部を介してピンに接続された回動部が、付勢部材によって係止位置に維持される。
【0027】
また、上記の態様において、スライダ部(208)はレール(201)に回動可能かつスライド移動可能に支持された軸部材であり、回動部(206)はスライダ部に一体に結合されているとよい。
【0028】
この態様によれば、ウインドスクリーン装置を簡素な構造にすることができる。
【0029】
また、上記の態様において、第1係止部(216)及び第2係止部(217)の一方は、レール及び回動部の一方に設けられた複数の孔であり、第1係止部及び第2係止部の他方は、レール及び回動部の他方から突出し、孔の少なくとも1つに突入可能であるとよい。
【0030】
この構成によれば、使用者はウインドスクリーンを解除位置に回動させることによってウインドスクリーンをレールに対してスライド移動させることができる。また、ウインドスクリーンが係止位置にあるとき、第2係止部が第1係止部に係止されるため、ウインドスクリーンが所定の位置に留まることができる。
【発明の効果】
【0031】
ウインドスクリーンを所定の位置に確実に保持することができると共に、位置変更操作が容易な車両用のウインドスクリーン装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態に係るウインドスクリーン装置が設けられた自動二輪車の正面図
図2】第1実施形態に係るウインドスクリーン装置の斜視図
図3】第1実施形態に係るレールの斜視図
図4】第1実施形態に係るスライダ部の斜視図
図5】第1実施形態に係る回動部の斜視図
図6】第1実施形態に係るスライダ部及び回動部の斜視図
図7】第1実施形態に係る軸部が第1スライド位置に配置され、かつ回動部が係止位置に配置されているときの、図2におけるVII-VII線断面図
図8】第1実施形態に係る軸部が第1スライド位置に配置され、かつ回動部が係止位置に配置されているときの、図2におけるVIII-VIII線断面図
図9】第1実施形態に係る軸部が第2スライド位置に配置され、かつ回動部が係止位置に配置されているときの断面図
図10】第1実施形態に係る軸部が第2スライド位置に配置され、かつ回動部が係止位置に配置されているときの断面図
図11】第1実施形態に係る軸部が第2スライド位置に配置され、かつ回動部が回動位置に配置されているときの断面図
図12】第1実施形態に係る軸部が第2スライド位置に配置され、かつ回動部が回動位置に配置されているときの断面図
図13】第2実施形態に係るウインドスクリーン装置の側面図
図14】第2実施形態に係るウインドスクリーン装置の断面図
図15】第2実施形態に係るウインドスクリーン装置の改変例を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る車両用のウインドスクリーン装置1の実施形態について説明する。図1及び図2に示すように、本発明に係るウインドスクリーン装置1は、自動二輪車3の車体に設けられたレール5と、レール5にスライド移動可能に設けられたスライダ6と、スライダ6に結合されたウインドスクリーン7とを有している。
【0034】
自動二輪車3の車体は、エンジン等を支持する車体フレーム9と、車体フレーム9の前端に回動可能に支持され、前輪を支持するフロントフォーク10とを有している。レール5は、ステー11を介して、車体フレーム9の前端部又はフロントフォーク10の上端部に支持されている。車体フレーム9又はフロントフォーク10には、フロントカウル12が設けられてもよい。
【0035】
レール5は、上下に延びる板形状を有する頭部14と、頭部14の後面15から略垂直に突出して上下に延びる脚部16とを有し、断面が略T字状に形成されている。レール5には複数の第1係止部18が設けられている。図3に示すように、第1係止部18は、頭部14の前面20に上下方向に配列された複数の孔である。頭部14の後面15の上端には、略垂直に突出する突出部21が設けられている。
【0036】
レール5は、脚部16において、ボルト等の締結具によってステー11に結合されているとよい。レール5は、樹脂や金属によって形成されているとよい。他の実施形態では、脚部16が省略されてもよい。
【0037】
スライダ6は、レール5にスライド移動可能に支持されたスライダ部23と、スライダ部23に設けられ、レール5に対して回動可能な回動部24とを含む。また、スライダ6は、第1係止部18の少なくとも1つに選択的に係止され、レール5に対するスライダ6のスライド移動を規制する第2係止部25を有している。
【0038】
図4に示すように、第1実施形態に係るスライダ部23は、レール5の頭部14の前面20に対向する基部27と、基部27の両側部のそれぞれからレール5の脚部16側に延びる一対の側部28と、側部28の先端のそれぞれに設けられ、互いに近接する方向に延び、頭部14の後面15に対向する一対の掛止部29とを有している。基部27、一対の側部28、及び一対の掛止部29は、レール5の頭部14をスライド移動可能に受容する受容溝31を形成する。レール5の脚部16は、各側部28の一対の掛止部29の間を通過して受容溝31から外方に突出している。
【0039】
基部27の前面33には、略垂直な方向に延びる筒部34が設けられている。筒部34の先端は、端壁35によって閉じられている。筒部34はその内部に第2係止部25を受容するための受容孔37を有している。受容孔37は、基部27を貫通して、基部27の後面38に開口している。筒部34は、径方向に貫通し、受容孔37に接続した一対の開口39を有している。一対の開口39は、受容孔37の両側に設けられ、それぞれレール5の延在方向と平行に延びている。
【0040】
第2係止部25は、円柱状に形成されたピン41と、ピン41に設けられたピン側係止部42とを有している。ピン側係止部42は、ピン41の外周面に突設され、ピン41の中心を囲むように延びている。また、ピン41の外周面には、ピン側係止部42と間隔をおいて、ピン41の中心を囲むようにストッパ45が突設されている。ピン側係止部42及びストッパ45は、それぞれ円環状に形成されている。ピン41、ピン側係止部42、及びストッパ45は受容孔37に受容され、ピン側係止部42及びストッパ45の外周面において受容孔37の内面46に摺接する。ピン側係止部42はストッパ45よりも端壁35側に配置されている。また、一対の開口39を介してピン側係止部42は外部に露出している。このようにして、第2係止部25は、スライダ部23に対して突出した突出位置とスライダ部23内に没入した没入位置との間で進退可能にスライダ部23に支持されている。
【0041】
第2係止部25とスライダ部23との間には付勢部材48が設けられ、第2係止部25は付勢部材48によって突出位置に付勢されている。付勢部材48は、ピン41と同軸であり、かつ端壁35とピン側係止部42との間に配置されている。付勢部材48は圧縮コイルばねである。
【0042】
スライダ部23の側部28のそれぞれの互いに相反する外側面50には、第1端53から第2端54に延びるスロット51が形成されている。スロット51はレール5と平行に延びている。スロット51は、側部28の外側面50に凹設された溝であり、略四角形の横断面を有している。スロット51の第2端54は通路溝55に接続されている。通路溝55は、側部28の外側面50に凹設された溝であり、その端部は基部27の前面33に到達している。スロット51の第2端54と通路溝55とは、弾性爪58によって区画されている。弾性爪58は、通路溝55の内部に突出し、通路溝55の深さ方向に進退可能に設けられている。弾性爪58は、スロット51側に逆止面60を有し、通路溝55側に傾斜面61を有している。弾性爪58の逆止面60は、スロット51の第2端54を画定している。
【0043】
図5に示すように、回動部24は、スライダ部23の基部27の前面33に対向する基部63と、基部63の両側部のそれぞれからレール5側に延びる一対の側部64とを有している。一対の側部64は、左右において対応する側部28と左右方向から対向している。基部63及び一対の側部64のそれぞれは、上下に延びている。
【0044】
各側部64の互いに対向する内側面66には、互いに近接する方向に突出した一対の軸部67が設けられている。各軸部67は、円柱状に形成され、互いに同軸に配置されている。各軸部67は、左右において対応するスロット51に突入している。各軸部67は、第1端53と第2端54との間でスライド移動可能にスロット51に受容されている。また、各軸部67は、各スロット51に、軸部67を中心としてスライダ部23に対して回動可能に受容されている。各軸部67が対応するスロット51に受容されることによって、回動部24はスライダ部23にスライド移動可能かつ回動可能に支持されている。
【0045】
スロット51は、第1端53と第2端54との間に突起69を有する。突起69は、スロット51を画定する壁部70に設けられ、スロット51内に突出している。突起69はスロット51の横断面積を絞っている。突起69は、軸部67が第1端53及び第2端54の一方から他方に移動するときに、軸部67に抵抗力を与える。すなわち、突起69は、軸部67をスロット51内の第1端53又は第2端54に維持する。
【0046】
回動部24の基部63には、基部63を前後に貫通し、かつレール5の延在方向、すなわち上下に延びるピン受容孔72が設けられている。ピン受容孔72の下端には、ピン受容孔72の左右幅よりも大きい直径を有する円孔73が形成されている。円孔73は基部63を前後に貫通している。ピン受容孔72の上下に延びる一対の側縁74は、それぞれ回動部側係止部76を形成する。回動部側係止部76の左右幅は、筒部34の外径よりも小さく、ピン側係止部42の直径よりも小さく、かつピン41の直径よりも大きく設定されている。一対の回動部側係止部76は、筒部34に形成された開口39を通過してピン受容孔72内に突入し、ピン側係止部42の後方に配置されている。回動部側係止部76の前面77がピン側係止部42の後面78と当接することで、付勢部材48によってレール5側に付勢された第2係止部25の移動を規制している。すなわち、回動部側係止部76がピン側係止部42を係止している。
【0047】
基部63の外周部には、ウインドスクリーン7が締結される複数の締結部80が形成されている。各締結部80は前後に貫通する締結孔81を有するとよい。ウインドスクリーン7は、例えば締結孔81に挿通されるボルト及びボルトに螺合するナットによって回動部24に締結されるとよい。締結部80には、ボルトが螺合するナットが埋設されてもよい。第1実施形態では、基部63は前方から見て略四角形に形成され、各締結部80は基部63の角部82に設けられている。
【0048】
スライダ部23及び回動部24の一方は、スライダ部23に対する回動部24のスライド方向と平行に延びる係止溝84を有する。また、スライダ部23及び回動部24の他方は、スライダ部23に対する回動部24のスライド移動によって係止溝84に突入可能な係止凸部85を有する。
【0049】
図4に示すように、第1実施形態では、スライダ部23の側部28のそれぞれの互いに相反する外側面50に、レール5の延在方向、すなわち上下に延びる係止溝84が設けられている。係止溝84の上端は側部28の上端に到達している。また、係止溝84の上端部88は下端部89に対して前方に幅が拡大され、基部27の前面33に到達している。
【0050】
図5に示すように、第1実施形態では、回動部24の側部64のそれぞれの内側面66に、互いに近接する方向に突出する係止凸部85が形成されている。係止凸部85は、基部63の後面93から側部64の内側面66上を後方に延びる基端部94と、基端部94の後端から側部64の内側面66上を下方に延びる先端部95とを有する。各係止凸部85は対応する係止溝84に受容されている。
【0051】
軸部67がスロット51の第1端53に位置するとき、回動部24はスライダ部23に対して第1スライド位置にある。回動部24がスライダ部23に対して第1スライド位置にあるとき、係止凸部85の先端部95が係止溝84の下端部89に突入することによって、スライダ部23に対する回動部24の回動が規制される。軸部67がスロット51の第2端54に位置するとき、回動部24はスライダ部23に対して第2スライド位置にある。回動部24は、第1スライド位置から、スライダ部23に対して上方に移動することによって、第2スライド位置に到達する。回動部24がスライダ部23に対して第2スライド位置にあるとき、係止凸部85の先端部95が係止溝84の下端部89から離脱して上端部88に位置している。これにより、回動部24は、軸部67を中心としてスライダ部23に対して回動可能になる。
【0052】
回動部24は、付勢部材48に付勢されたピン側係止部42が回動部側係止部76をスライダ部23側に押すことによって、回動部24の基部63がスライダ部23の基部27に当接する方向に付勢されている。これにより、回動部24は、回動部24が第2スライド位置にあるときに、回動部24の基部63がスライダ部23の基部27に当接した状態となる。この状態では、第2係止部25のピン41がピン受容孔72から突出し、レール5に形成された第1係止部18に突入した状態となる。そのため、このときの回動部24の回動位置を係止位置という。回動部24が、付勢部材48の付勢力に抗して係止位置から回動すると、回動部側係止部76がピン側係止部42を押し、ピン41が付勢部材48の付勢力に抗してピン受容孔72内に没入する。これにより、第2係止部25のピン41が第1係止部18から離脱する。そのため、このときの回動部24の回動位置を解除位置という。第2係止部25のピン41が第1係止部18から離脱すると、スライダ部23がレール5に対してスライド移動可能になる。
【0053】
基部27の前面33の下端には、係止爪97が形成されている。係止爪97は、前面33に対して略垂直な方向に延びる基端部98と、基端部98から上方に向かって基部27と略並行に延びる先端部99とを有している。基部63の下端には上方に延びる凹部102が形成されている。回動部24が第1スライド位置に配置されているとき、係止爪97の先端部99が凹部102に突入し、回動部24のスライダ部23に対する回動が規制される。
【0054】
次に、ウインドスクリーン装置1の組立方法及び作用を説明する。最初に、作業者は、ピン41を受容孔37に挿入する。このとき、作業者は、端壁35とピン側係止部42との間に付勢部材48を配置する。次に、作業者は、回動部24の左右の軸部67をスライダ部23の左右の通路溝55を介してスロット51内に配置させる。作業者は、軸部67を通路溝55に挿入するときには、スライダ部23に対して回動部24を傾斜させた状態に維持する。そして、作業者は、左右の軸部67が弾性爪58を越える前に、回動部24の基部63がスライダ部23の基部27と平行になるように回動させる。これにより、スライダ部23の筒部34が回動部24の円孔73を通過すると共に、係止凸部85と係止溝84とがスロット51の延在方向において対向する。この状態で、作業者が軸部67をスロット51側にスライド移動させると、左右の軸部67が弾性爪58を乗り越えてスロット51内に進入する。弾性爪58は変形して軸部67の通過を許容し、その後復元して軸部67の通路溝55側への移動を規制する。軸部67がスロット51内に配置されると、係止凸部85が係止溝84に進入する。また、左右の回動部側係止部76が筒部34の対応する開口39を通過して受容孔37内に突入する。このとき、作業者は、ピン41を端壁35側に押し込んで、左右の回動部側係止部76と端壁35との間にピン側係止部42を配置させる。これにより、スライダ部23、回動部24、及び第2係止部25が互いに組付けられる。
【0055】
次に、作業者は、スライダ部23の受容溝31にレール5の頭部14を挿入し、レール5とスライダ部23とを結合させる。その後、レール5の脚部16が車体に締結され、回動部24の締結部80にウインドスクリーン7が締結されるとよい。
【0056】
次に、ウインドスクリーン装置1について説明する。図7及び図8に示すように、回動部24がスライダ部23に対して第1スライド位置にあるとき、軸部67が第1端53に配置され、回動部24の回動位置は係止位置にあり、ピン41が第1係止部18に突入している。係止凸部85の先端部95が係止溝84の下端部89に突入しているため、回動部24はスライダ部23に対して回動不能である。
【0057】
回動部24がスライダ部23に対して第2スライド位置にあるとき、軸部67が第2端54に配置され、係止凸部85の先端部95が係止溝84の下端部89から離脱して上端部88に位置している。これにより、回動部24はスライダ部23に対して係止位置と回動位置との間を回動可能である。図9及び図10に示すように、軸部67が第2端54に配置され、かつ回動部24が係止位置に配置されているとき、ピン41は第1係止部18に突入しており、スライダ部23はレール5に対してスライド移動不能である。また、図11及び図12に示すように、軸部67が第2端54に配置され、かつ回動部24が解除位置に配置されているとき、ピン41は第1係止部18から離脱しており、スライダ部23はレール5に対してスライド移動可能である。回動部24は、付勢部材48の付勢力によって回動位置から係止位置に付勢されている。
【0058】
軸部67が第1端53に配置されているとき、使用者はウインドスクリーン7を上方に移動させることで、回動部24をスライダ部23に対して第1スライド位置から第2スライド位置に移動させることができる。使用者は、ウインドスクリーン7の上部を前方に押すことによって、軸部67を中心として回動部24をスライダ部23に対して係止位置から解除位置に回動させることができる。回動部24が係止位置から解除位置に回動すると、回動部側係止部76とピン側係止部42との係合により、ピン41が付勢部材48の付勢力に抗して受容孔37内を端壁35側に移動する。これにより、ピン41が第1係止部18から離脱して、スライダ部23がレール5に対してスライダ移動可能になる。この状態では、使用者はウインドスクリーン7をレール5に対して上下に移動させることができる。使用者がウインドスクリーン7の前方への押圧をやめると、付勢部材48に付勢された回動部24が解除位置から係止位置に回動し、ピン41が受容孔37から突出して第1係止部18に突入する。これにより、レール5に対するスライダ部23の位置が固定される。その後、使用者がウインドスクリーン7を下方に押すと、回動部24がスライダ部23に対して第2スライド位置から第1スライド位置に移動する。これにより、回動部24のスライダ部23に対する回動が規制され、第2係止部25と第1係止部18との係合が意図せず解除されることが防止される。
【0059】
スロット51の第1端53と第2端54との間に突起69が設けられているため、回動部24が第1スライド位置又は第2スライド位置に維持され易くなる。これにより、ウインドスクリーン7がスライダ部23に対してスライド移動可能な方向に荷重を受けても、ウインドスクリーン7が所定の位置から移動する虞が低減される。また、回動部24に対するスライダ部23のがたつきが抑制される。
【0060】
図13及び図14に示すように、第2実施形態に係るウインドスクリーン装置200では、レール201は上下方向及び左右方向に延びている。レール201の側部202のそれぞれの外側面203には、上下に延びるスロット204が設けられている。各スロット204は、側部202に凹設された溝である。スライダ205は、回動部206と、回動部206に結合されたスライダ部208とを有している。スライダ部208は、回動部206の両側部から互いに近接する方向に突出した一対の軸部材であり、互いに同軸に配置されている。スライダ部208は、各スロット204によって、レール201に対してスライド移動可能かつ回動可能に支持されている。また、図15に示すように、スロット204が側部202を左右方向に貫通し、スライダ部208が回動部206の両側部から互いに相反する方向に突出した一対の軸部材であってもよい。
【0061】
スライダ部208は、スロット204に対して第1位置と第2位置との間を上下にスライド移動できる。各スロット204の第1位置と第2位置との間には、突起212が設けられている。突起212は、スロット204の横断面積を絞っている。突起212は、スライダ部208が第1位置及び第2位置の一方から他方に移動するときに、スライダ部208に抵抗力を与える。すなわち、突起212はスライダ部208をスロット204内の第1位置又は第2位置に維持する。回動部206の前面213には、ウインドスクリーン214が固定されている。第1係止部216及び第2係止部217の一方は、レール201及び回動部206の一方に設けられた複数の孔である。また、第1係止部216及び第2係止部217の他方は、レール201及び回動部206の他方から突出し、孔の少なくとも1つに突入可能である。第2実施形態では、第1係止部216が回動部206に設けられた孔であり、第2係止部217がレール201から突出している。
【0062】
スライダ部208がスロット204の第1位置、第2位置、又は突起212によって維持される所定位置に配置されているとき、使用者が回動部206を回動させて回動部206及びレール201を近接させると、第2係止部217が第1係止部216に突入する。これにより、スライダ部208のレール201に対する上下方向へのスライド移動が規制される。また、使用者が回動部206を回動させて回動部206及びレール201を離すと、第2係止部217が第1係止部216から離脱する。これにより、スライダ部208がレール201に対して上下方向へのスライド移動可能となる。使用者は、スライダ部208をレール201に対してスライド移動させることで、ウインドスクリーン214の位置を調節することができる。ウインドスクリーン装置200では、スライダ部208及び回動部206の形状が簡素となり、スライダ205の成形を容易にすることができる。
【0063】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :ウインドスクリーン装置
5 :レール
6 :スライダ
7 :ウインドスクリーン
18 :第1係止部
23 :スライダ部
24 :回動部
25 :第2係止部
41 :ピン
42 :ピン側係止部
48 :付勢部材
51 :スロット
53 :第1端
54 :第2端
55 :通路溝
58 :弾性爪
67 :軸部
69 :突起
76 :回動部側係止部
84 :係止溝
85 :係止凸部
200:ウインドスクリーン装置
201:レール
204:スロット
205:スライダ
206:回動部
208:スライダ部
214:ウインドスクリーン
216:第1係止部
217:第2係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15