(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】継手間の管曲がり規制構造、および継手装置
(51)【国際特許分類】
F16L 33/22 20060101AFI20240605BHJP
F16L 21/06 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
F16L33/22
F16L21/06
(21)【出願番号】P 2020209533
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳二
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-139676(JP,A)
【文献】特開昭50-035714(JP,A)
【文献】特開2020-133640(JP,A)
【文献】特開2004-239289(JP,A)
【文献】特開2002-005360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/22
F16L 21/06
F16L 33/00
F16L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの流体管継手を連結する流体管の、管曲がり規制構造であって、
前記流体管継手は、前記流体管が接続される流体管接続部を有し、
前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備えて、二つの流体管継手が、それぞれの前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されており、
筒状を成す二つの管曲がり規制部材が、それぞれ、その一端側に設けられた取付け部により、前記二つの流体管継手のそれぞれに取り付けられて、前記流体管の外周部に装着されており、
前記流体管が曲がって前記二つの流体管継手の前記内側挿入筒部の軸心に相対的な傾きが生じたときに、あるいは、前記相対的な傾きが生じる前から、前記二つの管曲がり規制部材の向かい合う他端側が相互に当接しあうことで、前記流体管の曲がりを規制する、継手間の管曲がり規制構造。
【請求項2】
二つの流体管継手を連結する流体管の、管曲がり規制構造であって、
前記流体管継手は、前記流体管が接続される流体管接続部を有し、
前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備えて、二つの流体管継手が、それぞれの前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されており、
筒状を成す管曲がり規制部材が、その一端側に設けられた取付け部により、前記二つの流体管継手のうち一方の流体管継手に取り付けられて、前記流体管の外周部に装着されており、
前記管曲がり規制部材の他端側は、前記二つの流体管継手のうち他方の流体管継手の前記内側挿入筒部の先端を越えて延びて、前記流体管の曲がりを規制する、継手間の管曲がり規制構造。
【請求項3】
前記接続部材は、その軸方向の長さが前記内側挿入筒部の軸方向の長さよりも短く形成されて、前記内側挿入筒部の先端から控えた位置で前記流体管の外側に嵌められており、
前記曲がり規制部材は、前記接続部材と重なり合うとともに、その重なり合う箇所の内径よりも、前記流体管と重なり合う箇所の内径が、小径となるように形成されている、請求項1または2に記載の継手間の管曲がり規制構造。
【請求項4】
前記管曲がり規制部材は、その軸方向に沿った切断面によって分割された複数の分割体からなって、それら分割体が相互に組み付けられて形成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の継手間の管曲がり規制構造。
【請求項5】
流体管が接続される流体管接続部を有する流体管継手
を複数備え、
前記流体管継手は、軸心を同一直線上として先端が反対側を向く二つの前記流体管接続部と、それら二つの流体管接続部の軸心と直交する方向を軸心とする分岐管接続部とを備え、
前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備え、
複数の前記流体管継手は、前記流体管接続部の軸心を同一直線上として並設され、隣接する前記流体管継手が、それらの隣接する前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されており、
連結された前記流体管継手のうち、少なくとも二つの前記流体管継手間に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の管曲がり規制構造が設けられた、継手装置。
【請求項6】
流体管が接続される流体管接続部を有する流体管継手を複数備え、
前記流体管継手は、軸心を同一直線上として先端が反対側を向く二つの前記流体管接続部と、それら二つの流体管接続部の軸心と直交する方向を軸心とする分岐管接続部とを備え、
前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備え、
複数の前記流体管継手は、前記流体管接続部の軸心を同一直線上として並設され、隣接する前記流体管継手が、それらの隣接する前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されており、
連結された前記流体管継手のうち、少なくとも二つの前記流体管継手間に、請求項
1に記載の管曲がり規制構造が設けられ
、
前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手の隣接する前記内側挿入筒部の先端間よりも、二つの前記管曲がり規制部材の前記他端側の間が狭くなっている、継手装置。
【請求項7】
前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手は、前記流体管接続部の軸心を軸として相対的に回動可能であって、その回動により、前記分岐管接続部の軸心を同一方向とする向きと、異なる方向とする向きとに変えることができる、請求項5または6に記載の継手装置。
【請求項8】
前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手は、
前記内側挿入筒部に対して、前記流体管および前記接続部材が一体となって相対的に周方向に滑り動くことが可能であり、前記管曲がり規制部材は、前記流体管継手の本体に対して回動不能である、請求
項7に記載の継手装置。
【請求項9】
前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手
の隣接する内側挿入筒部は、その外面が鏡面状に形成されている、請求項
5ないし8のいずれか1項に記載の継手装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の漏れを防ぐことができる、継手間の管曲がり規制構造、および継手装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、管が接続される継手として、例えば、特許文献1に示される管接続具があった。
図25に示すように、この管接続具21は、接続具本体22と移動スリーブ23とからなり、接続具本体22は、合成樹脂製の管24(例えば、通水管)の端部に内挿される内挿筒部22aを備えていた。そして、移動スリーブ23が、管24の外周側に嵌められ、その管24の端部を内挿筒部22aとで挟持することで、管24が、管接続具21に接続された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の管接続具21においては、内挿筒部22aとか移動スリーブ23とかの先端部近傍で管24を曲げると、管24の抜け出し方向に大きな力がかかり、管24が変形し管24内面と内挿筒部22a外面との密着が緩んで、漏水する虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、流体管の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる、継手間の管曲がり規制構造、および継手装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る継手間の管曲がり規制構造、および継手装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る継手間の管曲がり規制構造は、二つの流体管継手を連結する流体管の、管曲がり規制構造である。前記流体管継手は、前記流体管が接続される流体管接続部を有する。前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備えて、二つの流体管継手が、それぞれの前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されている。そして、筒状を成す二つの管曲がり規制部材が、それぞれ、その一端側に設けられた取付け部により、前記二つの流体管継手のそれぞれに取り付けられて、前記流体管の外周部に装着されている。そこで、前記流体管が曲がって前記二つの流体管継手の前記内側挿入筒部の軸心に相対的な傾きが生じたときに、あるいは、前記相対的な傾きが生じる前から、前記二つの管曲がり規制部材の向かい合う他端側が相互に当接しあうことで、前記流体管の曲がりを規制する。
【0007】
この管曲がり規制構造によると、二つの流体管継手が、流体管によって連結されている。そして、二つの管曲がり規制部材が、それぞれ、その一端側に設けられた取付け部により二つの流体管継手のそれぞれに取り付けられて、流体管の外周部に装着されている。そこで、これら管曲がり規制部材の向かい合う他端側が、相互に当接しあうことで、流体管の曲がりを規制し、この規制により、流体管の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る継手間の管曲がり規制構造は、二つの流体管継手を連結する流体管の、管曲がり規制構造である。前記流体管継手は、前記流体管が接続される流体管接続部を有する。前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備えて、二つの流体管継手が、それぞれの前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されている。そして、筒状を成す管曲がり規制部材が、その一端側に設けられた取付け部により、前記二つの流体管継手のうち一方の流体管継手に取り付けられて、前記流体管の外周部に装着されている。そこで、前記管曲がり規制部材の他端側は、前記二つの流体管継手のうち他方の流体管継手の前記内側挿入筒部の先端を越えて延びて、前記流体管の曲がりを規制する。
【0009】
この管曲がり規制構造によると、二つの流体管継手が、流体管によって連結されている。そして、管曲がり規制部材が、その一端側に設けられた取付け部により一方の流体管継手に取り付けられて、流体管の外周部に装着されている。そこで、この管曲がり規制部材の他端側が、他方の流体管継手の内側挿入筒部の先端を越えて延びることで、流体管の曲がりを規制し、この規制により、流体管の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係る継手間の管曲がり規制構造は、請求項1または2に記載の管曲がり規制構造において、前記接続部材は、その軸方向の長さが前記内側挿入筒部の軸方向の長さよりも短く形成されて、前記内側挿入筒部の先端から控えた位置で前記流体管の外側に嵌められている。そして、前記曲がり規制部材は、前記接続部材と重なり合うとともに、その重なり合う箇所の内径よりも、前記流体管と重なり合う箇所の内径が、小径となるように形成されている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明に係る継手間の管曲がり規制構造は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の管曲がり規制構造において、前記管曲がり規制部材は、その軸方向に沿った切断面によって分割された複数の分割体からなって、それら分割体が相互に組み付けられて形成される。管曲がり規制部材が複数の分割体からなることで、流体管継手を流体管で連結した後に、この管曲がり規制部材を流体管に装着することができる。
【0012】
【0013】
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る継手装置は、流体管が接続される流体管接続部を有する流体管継手を複数備える。前記流体管継手は、軸心を同一直線上として先端が反対側を向く二つの前記流体管接続部と、それら二つの流体管接続部の軸心と直交する方向を軸心とする分岐管接続部とを備える。前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備える。そして、複数の前記流体管継手は、前記流体管接続部の軸心を同一直線上として並設され、隣接する前記流体管継手が、それらの隣接する前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されている。そこで、連結された前記流体管継手のうち、少なくとも二つの前記流体管継手間に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の管曲がり規制構造が設けられる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係る継手装置は、流体管が接続される流体管接続部を有する流体管継手を複数備える。前記流体管継手は、軸心を同一直線上として先端が反対側を向く二つの前記流体管接続部と、それら二つの流体管接続部の軸心と直交する方向を軸心とする分岐管接続部とを備える。前記流体管接続部は、前記流体管継手の本体に設けられて前記流体管の内側に挿入される内側挿入筒部と、前記流体管の外側に嵌められて前記内側挿入筒部とで前記流体管を挟持する筒状の接続部材とを備える。そして、複数の前記流体管継手は、前記流体管接続部の軸心を同一直線上として並設され、隣接する前記流体管継手が、それらの隣接する前記流体管接続部に接続された前記流体管によって連結されている。そこで、連結された前記流体管継手のうち、少なくとも二つの前記流体管継手間に、請求項1に記載の管曲がり規制構造が設けられている。そして、前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手の隣接する前記内側挿入筒部の先端間よりも、二つの前記管曲がり規制部材の前記他端側の間が狭くなっている。
【0016】
また、請求項7に記載の発明に係る継手装置は、請求項5または6に記載の継手装置において、前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手は、前記流体管接続部の軸心を軸として相対的に回動可能であって、その回動により、前記分岐管接続部の軸心を同一方向とする向きと、異なる方向とする向きとに変えることができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明に係る継手装置は、請求項7に記載の継手装置において、前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手は、前記内側挿入筒部に対して、前記流体管および前記接続部材が一体となって相対的に周方向に滑り動くことが可能であり、前記管曲がり規制部材は、前記流体管継手の本体に対して回動不能である。
【0018】
また、請求項9に記載の発明に係る継手装置は、請求項5ないし8のいずれか1項に記載の継手装置において、前記管曲がり規制構造が間に設けられた二つの前記流体管継手の隣接する内側挿入筒部は、その外面が鏡面状に形成されている。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る継手間の管曲がり規制構造、および継手装置によれば、流体管の外周部に装着される管曲がり規制部材を設けることで、流体管の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の第一の実施の形態の、管曲がり規制構造および継手装置の縦断面である。
【
図4】同じく、管曲がり規制部材を外した縦断面図である。
【
図7】同じく、
図6におけるA-A線による断面図である。
【
図9】同じく、管曲がり規制部材を逆方向から見た斜視図である。
【
図10】同じく、管曲がり規制部材の分解斜視図である。
【
図11】同じく、管曲がり規制部材を逆方向から見た分解斜視図である。
【
図12】同じく、隣合う流体管継手を連結する手順を示す断面図である。
【
図14】同じく、
図13におけるB-B線による断面図である。
【
図16】同じく、ヘッダーを固定具で保持した正面図である。
【
図17】同じく、
図16におけるC-C線による断面図である。
【
図18】同じく、ヘッダーを固定具で保持した斜視図である。
【
図19】この発明の第二の実施の形態の、管曲がり規制構造および継手装置の縦断面図である。
【
図21】同じく、管曲がり規制部材の分解斜視図である。
【
図22】この発明の第三の実施の形態の、継手装置の縦断面図である。
【
図24】同じく、管曲がり規制部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明に係る継手間の管曲がり規制構造、および継手装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図18は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、継手間の管曲がり規制構造を示す。2は、前記管曲がり規制構造1が設けられた継手装置を示す。
【0023】
管曲がり規制構造1は、二つの流体管継手3、3を連結する流体管4(流体を通す管であって、例えば、通水管)の、管曲がり規制構造である。ここで、流体管継手3は、流体管4が接続される流体管接続部3aを有する。この流体管接続部3aは、流体管継手3の本体3bに設けられて流体管4の内側に挿入される内側挿入筒部3cと、流体管4の外側(図示実施の形態においては、端部外側)に嵌められて内側挿入筒部3cとで流体管4を挟持する筒状の接続部材5とを備えており、二つの流体管継手3、3が、それぞれの流体管接続部3a、3aに接続された流体管4によって連結されている。そして、筒状を成す二つの管曲がり規制部材6、6が、それぞれ、その一端側に設けられた取付け部6aにより、二つの流体管継手3、3のそれぞれに取り付けられて、流体管4の外周部に装着されている。そこで、流体管4が曲がって二つの流体管継手3、3の内側挿入筒部3c、3cの軸心に相対的な傾きが生じたときに、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側が相互に当接しあうことで、流体管4の曲がりを規制する。
【0024】
そして、管曲がり規制構造1が間に設けられた二つの流体管継手3、3の隣接する内側挿入筒部3c、3cの先端間よりも、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側の間が狭くなっている。
【0025】
また、管曲がり規制構造1が間に設けられた二つの流体管継手3、3は、流体管接続部3aの軸心を軸として相対的に回動可能となっている。詳細には、管曲がり規制構造1が間に設けられた二つの流体管継手3、3は、内側挿入筒部3cに対して、流体管4および接続部材5が一体となって相対的に周方向に滑り動くことが可能であり(つまり、内側挿入筒部3cの外周面と流体管4の内周面との間で滑ることができ)、管曲がり規制部材6は、流体管継手3の本体3bに対して回動不能となっている。そして、管曲がり規制構造1が間に設けられた二つの流体管継手3、3の隣接する内側挿入筒部3c、3cは、その外面が鏡面状に形成されている。
【0026】
継手装置2は、流体管4が接続される流体管接続部3aを有する流体管継手3(図示実施の形態においては、前記流体管継手3としての第1の流体管継手301)を複数備え、これら流体管継手3、3(つまり、第1の流体管継手301、301)は、軸心を同一直線上として先端が反対側を向く二つの流体管接続部3a、3aと、それら二つの流体管接続部3a、3aの軸心と直交する方向を軸心とする分岐管接続部3d(つまり、分岐管(図示せず)が接続される接続部)とを備える。そして、複数の流体管継手3、3は、流体管接続部3a、3aの軸心を同一直線上として並設され、隣接する流体管継手3、3が、それらの隣接する流体管接続部3a、3aに接続された流体管4によって連結されている。そこで、連結された流体管継手3、3のうち、少なくとも二つの流体管継手3、3間に、前記管曲がり規制構造1が設けられる。なお、
図1~
図5においては、流体管継手3の二つの流体管接続部3a、3aのうち、流体管4が接続されていない側の流体管接続部3aにおける接続部材5は、図面上省略している(後述する、第二の実施の形態における
図19、および、第三の実施の形態における
図22においても同様)。
【0027】
そして、前述したように、管曲がり規制構造1が間に設けられた二つの流体管継手3、3は、流体管接続部3aの軸心を軸として相対的に回動可能となっている。そこで、その回動により、これら二つの流体管継手3、3は、分岐管接続部3dの軸心を同一方向とする向きと、異なる方向とする向きとに変えることができる。
【0028】
具体的には、流体管4は、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブテン等の合成樹脂製の管からなり、可撓性を有する。流体管継手3としての第1の流体管継手301においては、その本体3bは、筒状の本体部3eと、その本体部3eの中央位置から一体に突出形成された筒状の枝部3fとで、T字状に形成されている。そして、本体部3eの両端に、前記流体管接続部3aを構成する前記内側挿入筒部3cが形成され、枝部3fの先端に、前記分岐管接続部3dを構成する分岐管接続用筒部3gが形成される。また、第1の流体管継手301は、本体3b(詳しくは、本体部3e)に、内側挿入筒部3cに隣接するようにして、環状の鍔部3hが突出形成されており、この鍔部3hが、管曲がり規制部材6の取付け部6aが係合する被取付け部3iとなる。
【0029】
流体管接続部3aにおける接続部材5は、例えば金属製であって、リング状に形成されている。そして、接続部材5には、一端にフランジ部5aが突出して設けられ、接続部材5は、このフランジ部5aが内側挿入筒部3cの基端側となる向きで、流体管4に嵌められる。また、流体管接続部3aにおいて、接続部材5は、その軸方向の長さが前記内側挿入筒部3cの軸方向の長さよりも短く形成されて、内側挿入筒部3cの先端から控えた位置で流体管4の外側に嵌められる。すなわち、接続部材5は、内側挿入筒部3cの先端側にある端部(つまり、フランジ部5aのある側とは反対側の端部)が、内側挿入筒部3cの先端から控えて位置することで、接続部材5(つまり、接続部材5の全体)が、内側挿入筒部3cの先端から控えて位置する。
【0030】
図12は、隣合う流体管継手3、3を、流体管4を用いて連結する手順を示す。まず、
図12(a)に示すように、一方の流体管継手3の内側挿入筒部3cを、流体管4の一方の端からその内側に圧入するようにして挿入する。そして、
図12(b)に示すように、一方の接続部材5を、流体管4の外側に嵌めてその流体管4の一方の端に向かって押し込む。その後、
図12(c)に示すように、他方の接続部材5を、流体管4の外側に、略中央位置まで嵌める。そして、
図12(d)に示すように、他方の流体管継手3の内側挿入筒部3cを、流体管4の他方の端からその内側に圧入するようにして挿入する。次いで、
図12(e)に示すように、他方の接続部材5を、流体管4の他方の端に向かって押し込む。こうして、接続部材5、5のそれぞれが、流体管4を押圧し、さらには、その流体管4が内側挿入筒部3c、3cを押圧し、その結果、流体管4は、接続部材5と内側挿入筒部3cとで挟持される。ここで、前述したように、接続部材5は、その軸方向の長さが内側挿入筒部3cの軸方向の長さよりも短いことから、流体管継手3、3同士を近接して連結することができる。
【0031】
分岐管接続部3dは、本体3bに設けられて分岐管の端部内側に挿入される前記分岐管接続用筒部3gと、分岐管の端部外側に嵌められて分岐管接続用筒部3gとで分岐管の端部を挟持するスリーブ7とを備える。
【0032】
管曲がり規制部材6は、その取付け部6aが、本体3bの鍔部3h(被取付け部3i)に被るように径方向に膨出して形成されている。そこで、管曲がり規制部材6は、その取付け部6aが本体3bの鍔部3hに被る(つまり、係合する)ことで、内側挿入筒部3cの軸方向(すなわち、流体管接続部3aの軸方向)に移動不能となる。そして、管曲がり規制部材6(図示実施の形態においては、管曲がり規制部材6の取付け部6a)は、流体管継手3における本体3bの枝部3fを避けるように、切欠き部6bを有する。そこで、この切欠き部6bが、枝部3fに係合することで、管曲がり規制部材6は、本体3bに対して回動不能となる。さらに、図示実施の形態においては、流体管継手3の本体3b(詳しくは、本体部3e)には、その周方向に、鍔部3hに沿って、突起3zが、間隔を空けて複数設けられている。そして、管曲がり規制部材6は、取付け部6aに、突起3zを避けるように、窪み6zを有する。そこで、窪み6zが突起3zに係合することによっても、管曲がり規制部材6は、本体3bに対して回動不能となる。また、管曲がり規制部材6は、接続部材5と重なり合うとともに、その重なり合う箇所の内径よりも、接続部材5よりも内側挿入筒部3cの先端側で流体管4と重なり合う箇所の内径が、小径となるように形成されている。
【0033】
また、管曲がり規制部材6は、その軸方向に沿った切断面6xによって分割された複数の分割体6c、6cからなって、それら分割体6c、6cが相互に組み付けられて形成される。図示実施の形態においては、管曲がり規制部材6は、半割状の二つの分割体6c、6c(一方の分割体6cと他方の分割体6c)からなる。そこで、一方の分割体6cに、先端に爪部6dを有する爪片6eが設けられ、他方の分割体6cに、爪部6dが係合する係合孔6fが設けられて、両分割体6c、6cは、その係合により、分離可能に組み付けられる。また、一方の分割体6c(詳しくは、一方の分割体6cの切断面6x)には、凸部6gが設けられ、他方の分割体6c(詳しくは、他方の分割体6cの切断面6x)には、凸部6gが嵌まる凹部6hが設けられて、両分割体6c、6cは、その嵌め合いにより、互いに位置決めされる。
【0034】
ところで、
図13~
図15は、前記継手装置2を備えたヘッダー8を示す。このヘッダー8は、中間に、前記継手装置2(つまり、前記第1の流体管継手301、301)が位置し、一方の端に、主管(図示せず)が接続される流体管継手3としての第2の流体管継手302が位置し、他方の端に、流体管継手3としての第3の流体管継手303が位置する。
【0035】
第2の流体管継手302においては、その本体3bは、筒状の本体部3eと、その本体部3eの中間位置から一体に突出形成された筒状の枝部3fとで、T字状に形成されている。そして、本体部3eの一端に、流体管接続部3aを構成する内側挿入筒部3cが形成され、本体部3eの他端に、主管接続部3jを構成する主管接続用筒部3kが形成され、枝部3fの先端に、分岐管接続部3dを構成する分岐管接続用筒部が形成される。そこで、第1の流体管継手301と第2の流体管継手302とが、第1の流体管継手301、301同士と同様の方法で連結され、第1の流体管継手301と第2の流体管継手302との間に、前述の管曲がり規制構造1が設けられる。このとき、第2の流体管継手302は、第1の流体管継手301と同様に、本体3b(詳しくは、本体部3e)に、内側挿入筒部3cに隣接するようにして、環状の鍔部3hが突出形成されており、この鍔部3hが、管曲がり規制部材6の取付け部6aが係合する被取付け部3iとなる。また、主管接続部3jは、本体3bに設けられて主管の端部内側に挿入される前記主管接続用筒部3kと、主管の端部外側に嵌められて主管接続用筒部3kとで主管の端部を挟持するスリーブ9とを備える。
【0036】
第3の流体管継手303においては、その本体3bは、筒状の本体部3eと、その本体部3eの一方端から一体に突出形成された筒状の枝部3fとで、L字状に形成されている。そして、本体部3eの先端に、流体管接続部3aを構成する内側挿入筒部3cが形成され、枝部3fの先端に、分岐管接続部3dを構成する分岐管接続用筒部が形成される。そこで、第1の流体管継手301と第3の流体管継手303とが、第1の流体管継手301、301同士と同様の方法で連結され、第1の流体管継手301と第3の流体管継手303との間に、前述の管曲がり規制構造1が設けられる。このとき、第3の流体管継手303は、第1の流体管継手301と同様に、本体3b(詳しくは、本体部3e)に、内側挿入筒部3cに隣接するようにして、環状の鍔部3hが突出形成されており、この鍔部3hが、管曲がり規制部材6の取付け部6aが係合する被取付け部3iとなる。
【0037】
また、
図16~
図18は、ヘッダー8を固定具10で保持した例を示す。この固定具10は、ヘッダー8を壁等の被取付け物に取付け固定するためのものであり、ヘッダー8(詳しくは、管曲がり規制部材6)に跨るように湾曲してヘッダー8を保持する固定具本体10aと、固定具本体10aの各端から延びて被取付け物に固定される固定部10bとを備える。
【0038】
次に、以上の構成からなる管曲がり規制構造1および継手装置2の作用効果について説明する。この管曲がり規制構造1および継手装置2によると、二つの流体管継手3、3が、流体管4によって連結されている。そして、二つの管曲がり規制部材6、6が、それぞれ、その一端側に設けられた取付け部6aにより、二つの流体管継手3、3のそれぞれに取り付けられて、流体管4の外周部に装着されている。そこで、流体管4が曲がって二つの流体管継手3、3の内側挿入筒部3c、3cの軸心に相対的な傾きが生じたときに、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側が、相互に当接しあうことで、流体管4の曲がりを制限するように規制し、この規制により、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。すなわち、流体管4の外周部に装着される管曲がり規制部材6を設けることで、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【0039】
また、管曲がり規制構造1が間に設けられた二つの流体管継手3、3の隣接する内側挿入筒部3c、3cの先端間よりも、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側の間が狭くなっている。このため、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側が離れている場合であっても、流体管4が曲がり始めたときに、それら他端側が直ちに当接して流体管4の曲がりを規制することができる。
【0040】
また、管曲がり規制部材6は、接続部材5と重なり合う箇所の内径よりも、流体管4と重なり合う箇所の内径が、小径となるように形成されている。このため、管曲がり規制部材6と流体管4との隙間を極力減らして流体管4の曲がりを一層規制することができる。
【0041】
また、管曲がり規制部材6が複数の分割体6c、6cからなることで、流体管継手3、3を流体管4で連結した後に、この管曲がり規制部材6を流体管4に装着することができる。
【0042】
また、管曲がり規制部材6は、流体管継手3の本体3bに対して回動不能となっている。このため、サドル等の固定具10を用いて、ヘッダー8等の継手装置2を被取付け物に取付け固定するにあたって、この固定具10で管曲がり規制部材6を保持しても、安定して継手装置2を固定することができる。
【0043】
また、流体管継手3の内側挿入筒部3cは、その外面が鏡面状に形成されている。このため、隣接する流体管継手3、3は、相対的な回動が容易となる。そして、さらに、内側挿入筒部3cの外面と流体管4の内面との間に潤滑剤を介在させれば、その回動が一層容易となる。
【0044】
図19~
図21は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、管曲がり規制構造1に用いられる管曲がり規制部材6の数が一つであり、かつ、その長さが異なるが、他は同様であり、以下に異なる部分を主に説明する。
【0045】
管曲がり規制構造1においては、筒状を成す管曲がり規制部材6が、その一端側に設けられた取付け部6aにより、二つの流体管継手3、3のうち一方の流体管継手3に取り付けられて、流体管4の外周部に装着されている。そして、管曲がり規制部材6の他端側は、二つの流体管継手3、3のうち他方の流体管継手3の内側挿入筒部3cの先端を越えて延びて、流体管4の曲がりを規制する。
【0046】
図示実施の形態においては、管曲がり規制部材6の他端側は、二つの流体管継手3、3のうち他方の流体管継手3の内側挿入筒部3cの基端部分まで延びて、その内側挿入筒部3cの側にある接続部材5と重なり合っている。なお、
図19および
図20は、二つの流体管継手3、3として第1の流体管継手301を代表して示しているが、第1の流体管継手301と、第2の流体管継手302や第3の流体管継手303とを組み合わせた場合も同様である。
【0047】
この管曲がり規制構造1によると、二つの流体管継手3、3が、流体管4によって連結されている。そして、管曲がり規制部材6が、その一端側に設けられた取付け部6aにより一方の流体管継手3に取り付けられて、流体管4の外周部に装着されている。そこで、この管曲がり規制部材6の他端側が、他方の流体管継手3の内側挿入筒部3cの先端を越えて延びることで、流体管4の曲がりを制限するように規制し、この規制により、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。すなわち、流体管4の外周部に装着される管曲がり規制部材6を設けることで、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【0048】
図22~
図24は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、一つの流体管継手3に接続された流体管4の曲がりを規制するものである点が異なるが、他は同様であり、以下に異なる部分を主に説明する。
【0049】
継手装置2は、流体管4が接続される流体管接続部3aを有する流体管継手3と、流体管4の曲がりを規制する管曲がり規制部材6とを備える。流体管接続部3aは、流体管継手3の本体3bに設けられて流体管4の内側に挿入される内側挿入筒部3cと、流体管4の外側に嵌められて内側挿入筒部3cとで流体管4を挟持する筒状の接続部材5とを備える。そして、管曲がり規制部材6は、流体管4の外周部に装着されるように筒状を成しており、その一端側に流体管継手3に取り付けられる取付け部6aを備えるとともに、他端側が内側挿入筒部3cの先端を越えて延びて、内側挿入筒部3cの先端付近での流体管4の曲がりを規制する。
【0050】
図示実施の形態においては、管曲がり規制部材6の他端側は、第一の実施の形態に示す管曲がり規制部材6よりも、長く延びている。なお、
図22および
図23は、流体管継手3として第1の流体管継手301を代表して示しているが、第2の流体管継手302や第3の流体管継手303の場合も同様である。
【0051】
この継手装置2によると、流体管継手3の流体管接続部3aに流体管4が接続されている。そして、管曲がり規制部材6が、その一端側に設けられた取付け部6aにより、流体管継手3に取り付けられて、流体管4の外周部に装着されている。そこで、この管曲がり規制部材6が、流体管接続部3aの内側挿入筒部3cの先端を越えて延びることで、流体管4の曲がりを制限するように規制し、この規制により、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。すなわち、流体管4の外周部に装着される管曲がり規制部材6を設けることで、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、管曲がり規制部材6は、二つの分割体6c、6cからなるが、三つ以上の分割体6c、6cからなってもよい。また、管曲がり規制部材6は、複数の分割体6c、6cからならなくてもよい。
【0053】
また、二つの流体管継手3、3は、流体管接続部3aの軸心を軸として相対的に回動可能となっているが、回動不能であってもよい。
【0054】
また、第一の実施の形態においては、流体管4の曲がりを規制するために、流体管4が曲がって二つの流体管継手3、3の内側挿入筒部3c、3cの軸心に相対的な傾きが生じたときに、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側が相互に当接しあうが、相対的な傾きが生じる前から(つまり、流体管4が曲がる前から)、二つの管曲がり規制部材6、6の向かい合う他端側が相互に当接しあっていてもよい。
【0055】
また、第二の実施の形態に示す管曲がり規制構造1おいて、管曲がり規制部材6の他端側は、二つの流体管継手3、3のうち他方の流体管継手3の内側挿入筒部3cの基端部分まで延びているが、さらに延びて、その延びた部分に、他方の流体管継手3に取り付けるための取付け部が設けられてもよい。すなわち、筒状を成す管曲がり規制部材6が、その両端に設けられた取付け部により、二つの流体管継手3、3に渡るように取り付けられて、流体管4の外周部に装着されてもよい。この管曲がり規制構造1によると、管曲がり規制部材6が、取付け部により、二つの流体管継手3、3に渡るように取り付けられて、流体管4の外周部に装着されることで、流体管4の曲がりを制限するように規制し、この規制により、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。すなわち、流体管4の外周部に装着される管曲がり規制部材6を設けることで、流体管4の曲がりを抑えて、流体の漏れを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 管曲がり規制構造
2 継手装置
3 流体管継手
3a 流体管接続部
3b 本体
3c 内側挿入筒部
3d 分岐管接続部
4 流体管
5 接続部材
6 管曲がり規制部材
6a 取付け部
6c 分割体
6x 切断面