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特許7498657バックアップ部材の配置方法および部品装着機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】バックアップ部材の配置方法および部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020209937
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096772
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 健二
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-120765(JP,A)
【文献】特開2004-140161(JP,A)
【文献】特開2011-014626(JP,A)
【文献】特開2016-146454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対基板作業機の機内を移動可能な第一ヘッドに設けられた保持ツールを用いてバックアップ部材を保持し目標位置まで移動させる配置工程と、
前記第一ヘッドとは独立して前記対基板作業機の機内を移動可能な第二ヘッドに設けられたカメラを用いて前記目標位置に配置された前記バックアップ部材を撮像する撮像工程と、
前記カメラの撮像により取得した画像データに基づいて前記バックアップ部材の配置状態を検査する検査工程と、
を備えるバックアップ部材の配置方法。
【請求項2】
前記第一ヘッドに設けられた前記保持ツールを用いて複数回に亘り実行される前記配置工程に並行して、前記第二ヘッドに設けられた前記カメラを用いた前記撮像工程の少なくとも一部を実行する、請求項1に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項3】
前記配置工程の実行中における前記第一ヘッドの作業位置および移動経路に基づいて、前記第一ヘッドに前記第二ヘッドが非干渉となる領域を示す非干渉領域が設定され、
前記撮像工程において、並行に実行される前記配置工程において前記第一ヘッドが前記目標位置において停止している期間に、前記第二ヘッドを前記非干渉領域に退避させた状態を維持する、請求項1または2に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項4】
前記配置工程は、前回の前記配置工程により配置された前記バックアップ部材を対象とした前記検査工程が終了してから実行する、請求項1-3の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項5】
前記配置工程には、前記保持ツールを上昇させて前記バックアップ部材を採取する採取工程、前記バックアップ部材を前記目標位置の上方まで移動させる移動工程、および前記保持ツールを下降させて前記バックアップ部材を載置する載置工程が含まれ、
前記配置工程は、前回の前記配置工程により配置された前記バックアップ部材を対象とした前記検査工程に並行して前記採取工程を実行するとともに、前記検査工程が終了してから前記移動工程および前記載置工程を実行する、請求項1-3の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項6】
前記バックアップ部材には、軸部材の外周から径方向に突起して前記保持ツールと係止する係止部が前記軸部材の周方向に複数設けられ、
前記撮像工程は、前記バックアップ部材のうち少なくとも前記軸部材および複数の前記係止部が前記カメラのカメラ視野に収まるように撮像し、
前記検査工程は、前記画像データにおける複数の前記係止部の形状に基づいて、前記バックアップ部材の鉛直方向に対する傾きを前記配置状態として認識する、請求項1-5の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項7】
前記バックアップ部材の配置方法は、
前記検査工程における検査により前記バックアップ部材の配置状態が不良であると判定された場合に、以降の前記配置工程および前記撮像工程の実行を規制するとともに、作業者に検査結果を通知する通知工程をさらに備える、請求項1-6の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項8】
前記通知工程は、不良と判定された前記配置状態、および前記バックアップ部材に対応する前記目標位置を前記検査結果とともに通知する、請求項7に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項9】
前記第一ヘッドおよび前記第二ヘッドには、前記保持ツールおよび前記カメラがそれぞれ設けられ、
前記配置工程は、前記第一ヘッドに設けられた前記保持ツール、および前記第二ヘッドに設けられた前記保持ツールを用いて複数回に亘り実行され、
前記撮像工程は、前記第二ヘッドに設けられた前記カメラを用いて前記第一ヘッドにより実行された前記配置工程で配置された前記バックアップ部材を撮像の対象とし、前記第一ヘッドに設けられた前記カメラを用いて前記第二ヘッドにより実行された前記配置工程で配置された前記バックアップ部材を撮像の対象とする、請求項1-8の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項10】
前記対基板作業機は、前記第一ヘッドにより部品を採取して、基板に前記部品を装着する部品装着機である、請求項1-9の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項11】
前記対基板作業機は、前記第一ヘッドおよび前記第二ヘッドにより部品をそれぞれ採取して、基板に前記部品を装着するツインヘッド式の部品装着機である、請求項1-9の何れか一項に記載のバックアップ部材の配置方法。
【請求項12】
バックアップ部材により支持された基板に部品を装着する部品装着機であって、
前記部品装着機は、
機内を互いに独立して移動可能な第一ヘッドおよび第二ヘッドと、
前記第一ヘッドに設けられた保持ツールと、
前記第二ヘッドに設けられたカメラと、
前記保持ツールを用いてバックアップ部材を保持し目標位置まで移動させる配置工程と、前記カメラを用いて前記目標位置に配置された前記バックアップ部材を撮像する撮像工程と、前記カメラの撮像により取得した画像データに基づいて前記バックアップ部材の配置状態を検査する検査工程とを実行する制御装置と、
を備える部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ部材の配置方法および部品装着機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バックアップ部材は、所定の対基板作業において、基板を下方から支持する部材として用いられる。バックアップ部材は、実行予定の対基板作業や基板の種別、基板の裏面(位置決めされた基板の下面)の状態に応じて、数量、種類、および配置位置などが適宜設定される。特許文献1には、対基板作業の段取り替えとしてバックアップ部材を自動配置する構成が開示されている。バックアップ部材の配置作業では、バックアップ部材が目標位置に正常に配置されたかを画像処理により検査する構成が適用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/059822号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなバックアップ部材の配置作業では、バックアップ部材の配置、配置後の撮像、および画像処理を伴う検査が順次実行される。そのため、バックアップ部材の数量などによっては配置作業が対基板作業の段取り替えの所要時間に影響することが懸念される。バックアップ部材の配置方法およびバックアップ部材を自動配置する機能を有する部品装着機には、より効率的に配置作業を行うことの要請がある。
【0005】
本明細書は、機内を互いに独立して移動可能な複数のヘッドを備える対基板作業を対象として、バックアップ部材の配置作業の効率化を図ることができるバックアップ部材の配置方法および配置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、対基板作業機の機内を移動可能な第一ヘッドに設けられた保持ツールを用いてバックアップ部材を保持し目標位置まで移動させる配置工程と、前記第一ヘッドとは独立して前記対基板作業機の機内を移動可能な第二ヘッドに設けられたカメラを用いて前記目標位置に配置された前記バックアップ部材を撮像する撮像工程と、前記カメラの撮像により取得した画像データに基づいて前記バックアップ部材の配置状態を検査する検査工程と、を備えるバックアップ部材の配置方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によると、配置工程に用いられる第一ヘッドと、その配置工程により配置されたバックアップ部材を撮像する撮像工程に用いられる第二ヘッドとが別々となる。これにより、本来であれば、目標位置に対して保持ツールおよびカメラの順に位置決めするようにヘッドを移動させていたのに対して、予めカメラを目標位置の近くまで移動させることが可能であり、また撮像工程の実行中に次回の配置工程に応じた第一ヘッドの移動を行うことができる。よって、各工程の少なくとも一部が並行に実行されるので、バックアップ部材の配置作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における部品装着機の構成を模式的に示す平面図である。
図2】基板搬送装置のバックアップ装置を示す側面図である。
図3】2種類のバックアップ部材と保持ツールを示す図である。
図4】バックアップ部材の被保持部を示す平面図である。
図5】部品装着機およびバックアップ部材の配置装置の機能ブロック図である。
図6】バックアップ部材の配置処理を示すフローチャートである。
図7】バックアップ部材の配置処理における第一ヘッドおよび第二ヘッドの移動経路を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.部品装着機1の構成
部品装着機1は、図1に示すように、基板搬送装置10と、一対の部品供給装置20A,20Bと、一対の部品移載装置30A,30Bと、一対の部品カメラ30A,30Bと、制御装置50とを備える。以下の説明において、部品装着機1の水平幅方向(図1の左右方向)をX方向とし、部品装着機1の水平前後方向(図1の上下方向)をY方向とし、X方向およびY方向に直交する鉛直方向(図1の前後方向)をZ方向とする。
【0010】
1-1.基板搬送装置10
基板搬送装置10は、Y方向に並んで設置された複数の搬送機構11などにより構成される。複数の搬送機構11は、一対のガイドレール12,13、およびコンベアベルト14をそれぞれ有する。一対のガイドレール12,13は、基板の搬送方向(X方向)に延伸し、コンベアベルト14に載置されて搬送される基板91の周縁を支持する。一対のガイドレール12,13の少なくとも一方は、Y方向に移動可能に基台9に設けられる。
【0011】
基板搬送装置10は、基板91を搬送方向へと順次搬送するとともに、基板91を機内の所定位置に位置決めする。基板搬送装置10は、位置決めされた基板91をクランプするバックアップ装置15を有する。基板搬送装置10およびバックアップ装置15の詳細構成については後述する。基板搬送装置10は、部品の装着処理の実行後に、基板91を部品装着機1の機外に搬出する。
【0012】
1-2.一対の部品供給装置20A,20B
一対の部品供給装置20A,20Bは、部品装着機1の前側(図1の下側)と後側(図1の上側)に対向して設けられている。一対の部品供給装置20A,部品供給装置20Bのそれぞれは、基板91に装着される部品を採取可能に供給する。一対の部品供給装置20A,20Bは、実質的に同一構成であるため、以下では前側の部品供給装置20Aについて説明する。
【0013】
部品供給装置20Aは、X方向に並んで配置された複数のスロット21および複数のリール保持部22を有する。複数のスロット21には、フィーダ23が着脱可能にそれぞれセットされる。部品供給装置20Aは、多数の部品が収納されたキャリアテープをフィーダ23により送り移動させて、フィーダ23の先端側に位置する供給位置において部品を採取可能に供給する。リール保持部22は、キャリアテープが巻回されたリールを交換可能に保持する。
【0014】
1-3.一対の部品移載装置30A,30B
一対の部品移載装置30A,30Bは、部品装着機1の前側と後側に対向して設けられる。前側の部品移載装置30Aは、前側の部品供給装置20Aにより供給された部品を基板91の所定の装着位置に移載する。後側の部品移載装置30Bは、後側の部品供給装置20Bにより供給された部品を基板91の所定の装着位置に移載する。一対の部品移載装置30A,30Bは、実質的に同一構成であるため、以下では前側の部品移載装置30Aについて説明する。
【0015】
部品移載装置30Aのヘッド駆動装置31は、直動機構により移動台32を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。移動台32には、図示しないクランプ部材により第一ヘッド33が交換可能に固定される。第一ヘッド33には、供給される負圧エアにより部品を吸着する吸着ノズル35が着脱可能に取り付けられる。上記の他に、第一ヘッド33には、部品をクランプするチャックや、後述するバックアップ部材70を保持する保持ツール80が必要に応じて取り付けられる。吸着ノズル35や保持ツール80は、ツール駆動部38の駆動によりZ軸と平行なR軸回りに回転するとともに、鉛直方向に昇降する。
【0016】
移動台32には、第一マークカメラ36が設けられる。第一マークカメラ36は、CMOSなどの撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。第一マークカメラ36は、制御信号に基づいて撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを送出する。第一マークカメラ36は、移動台32の移動に伴って第一ヘッド33と一体的に移動する。
【0017】
第一マークカメラ36は、基板91を上方から撮像可能に構成され、主として基板91に付された基準マークを撮像の対象とする。また、上記のような構成により、第一マークカメラ36は、基板91が機内に搬送されていない状態においては、バックアップ装置15を上方から撮像することができる。なお、後側の部品移載装置30Bの第二ヘッド34および第二マークカメラ37は、前側の部品移載装置30Aの第一ヘッド33および第一マークカメラ36に対応し、実質的に同様の構成であるため詳細な説明を省略する。
【0018】
なお、本明細書において、「ヘッドに設けられたカメラ」には、ヘッドと一体的に移動可能に設けられたカメラが含まれるものとする。具体的には、上記のカメラには、第一ヘッド33と一体的に移動可能に移動台32に設けられた第一マークカメラ36、および第二ヘッド34と一体的に移動可能に移動台32に設けられた第二マークカメラ37がそれぞれ含まれるものとする。
【0019】
上記のように、本実施形態の部品装着機1は、機内を互いに独立して移動可能な第一ヘッド33および第二ヘッド34を備えるいわゆるツインヘッド式である。部品装着機1は、第一ヘッド33および第二ヘッド34に吸着ノズル35やチャックが取り付けられることにより、部品をそれぞれ採取して、基板91に部品を装着することができる。また、部品装着機1は、第一ヘッド33および第二ヘッド34の少なくとも一方に保持ツール80が取り付けられることにより、バックアップ部材70の配置作業を行うことができる。
【0020】
なお、本明細書において、「ヘッドに設けられた保持ツール」には、ヘッドと一体的に移動可能に取り付けられた保持ツールが含まれるものとする。具体的には、上記の保持ツールには、第一ヘッド33と一体的に移動可能に第一ヘッド33に取り付けられた保持ツール80、および第二ヘッド34と一体的に移動可能に第二ヘッド34に取り付けられた保持ツール80がそれぞれ含まれるものとする。
【0021】
なお、第一ヘッド33は、第一可動領域Mv1の内部のみで移動が可能に構成されている。また、第二ヘッド34は、第二可動領域Mv2の内部のみで移動が可能に構成されている。第一可動領域Mv1および第二可動領域Mv2は、同一の基板91に対して第一ヘッド33および第二ヘッド34の両方が装着作業を可能とするために、互いに一部が重複している。
【0022】
1-4.一対の部品カメラ40A,40B
一対の部品カメラ40A,40Bは、デジタル式の撮像装置である。一対の部品カメラ40A,40Bは、通信可能に接続された制御装置50による制御信号に基づいてカメラ視野に収まる範囲の撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを制御装置50に送出する。一対の部品カメラ40A,40Bは、光軸が鉛直方向(Z方向)の上向きとなるように部品装着機1の基台9に固定されている。
【0023】
前側の部品カメラ40Aは、前側の部品移載装置30Aの下方に配置され、第一ヘッド33に取り付けられた吸着ノズル35に保持された部品を撮像可能に構成される。後側の部品カメラ40Bは、後側の部品移載装置30Bの下方に配置され、第二ヘッド34に取り付けられた吸着ノズル35に保持された部品を撮像可能に構成される。
【0024】
1-5.制御装置50
制御装置50は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置50は、基板91に部品を装着する装着処理を実行する。制御装置50は、図5に示すように、装着制御部51および非干渉制御部52を備える。装着制御部51は、装着処理において、各種センサから出力される情報や画像処理の結果、予め記憶された制御プログラムなどに基づき、一対の部品移載装置30A,30Bの動作を制御する。これにより、第一ヘッド33および第二ヘッド34に支持された複数の吸着ノズル35の位置および角度が制御される。
【0025】
非干渉制御部52は、第一ヘッド33および第二ヘッド34の動作状況に応じて、一方または両方の移動を制約して両者の干渉を防止する非干渉制御を実行する。より詳細には、非干渉制御部52は、第一ヘッド33を現在位置から目標位置まで移動させる場合に、目標位置までの移動中に第二ヘッド34に干渉するか否かを定期的に判定し、干渉のおそれがある場合には第一ヘッド33の移動を制約する。これにより、第一ヘッド33が一時的に待避した状態となり、第一ヘッド33と第二ヘッド34の干渉が防止される。非干渉制御部52は、第二ヘッド34を移動させる場合にも同様に、第一ヘッド33の状態に応じて第二ヘッド34の移動を制約する。
【0026】
また、制御装置50には、バックアップ部材70の配置装置60が組み込まれている。配置装置60は、装着処理において基板搬送装置10が基板91を下方から支持するのに用いるバックアップ部材70の増設または除去、およびバックアップ部材70の位置の変更を含む配置作業を実行する。配置装置60は、実行予定の装着処理ごとに設定されたバックアップ部材70の配置位置を示す指令情報に基づいて、上記の配置作業を実行する。この指令情報には、バックアップ部材70の配置位置および種別が含まれる。バックアップ部材70の配置作業は、例えば対基板作業の段取り作業において必要に応じて実行される。
【0027】
2.基板搬送装置10およびバックアップ装置15の詳細構成
基板搬送装置10は、上記のように複数の搬送機構11を備えるダブルトラックコンベア方式である。搬送機構11を構成する一対のガイドレール12,13は、Y方向に相対移動可能に基台9に設けられる。これにより、複数の搬送機構11は、基板91のY方向の寸法に対応して、一対のガイドレール12,13の間隔を調整される。
【0028】
バックアップ装置15は、搬送機構11により搬送された基板91を下方から支持するとともに、一対のガイドレール12,13との間で基板91をクランプする。本実施形態において、バックアップ装置15は、基板91の下面にバックアップ部材70を接触させて基板91を支持する。これにより、バックアップ装置15は、一対のガイドレール12,13との間で基板91をクランプするとともに、バックアップ部材70が接触した部位の高さを維持することで基板91の撓みを防止する。
【0029】
バックアップ装置15は、図2に示すように、バックアッププレート16、および昇降装置17を備える。バックアッププレート16は、搬送機構11により位置決めされた基板91の下面に対向して配置される。バックアッププレート16は、Z方向に昇降可能に基台9に設けられる。本実施形態において、バックアッププレート16は、矩形状に形成される。バックアッププレート16の上面には、バックアップ部材70が着脱可能に配置される。
【0030】
昇降装置17は、バックアッププレート16を基台9に対して昇降させる。本実施形態において、昇降装置17は、ロッド18およびシリンダ本体19を有する複数のエアシリンダにより構成される。各エアシリンダのロッド18は、バックアッププレート16の四隅に着脱可能に固定される。各エアシリンダのシリンダ本体19は、空気圧に応じてロッド18をZ方向に進退させる。
【0031】
バックアップ装置15の昇降装置17は、基板91が搬入または搬出される際に基板91の裏面からバックアップ部材70を下方に退避させる。これにより、昇降装置17は、基板91の裏面に装着された部品(裏面部品)とバックアップ部材70とが干渉しない準備高さまでバックアッププレート16を下降させる(図2の二点鎖線にて示す)。また、昇降装置17は、装着処理の実行中において、バックアッププレート16をバックアップ高さ(図2の実線にて示す)まで上昇させる。これにより、バックアップ装置15は、基板91を下方から押し上げて支持する。
【0032】
ここで、バックアップ部材70は、バックアッププレート16の上面に着脱可能に配置される。本実施形態において、バックアップ部材70には、図3に示すように、先端の支持部76が比較的硬い部材(例えば金属部材)で構成されているハードピン70Aと、支持部76が比較的軟らかい部材(例えばゴム部材)で構成されているソフトピン70Bとが含まれる。
【0033】
ハードピン70Aおよびソフトピン70Bは、下端に位置する基部71に磁石が埋設され、磁力によいバックアッププレート16に固定される。基部71には、上方に延伸する円柱状の胴体部72が設けられる。胴体部72の先端側には、胴体部72と同軸上に軸部材74が設けられる。軸部材74には、軸部材74の外周から径方向に突起して保持ツール80と係止する複数の係止部75が設けられる。複数の係止部75は、軸部材74の周方向に複数設けられる(図4を参照)。
【0034】
ハードピン70Aは、係止部75の先端側において、基板91の下面に接触して支持する支持部76が設けられる。支持部76の先端は、平面状に形成される。ソフトピン70Bは、胴体部72の中間部に配置された連結部73を介して支持部76が設けられる。ソフトピン70Bの支持部76の先端は、半球状に形成される。また、ソフトピン70Bの支持部76は、比較的軟らかい部材で構成され、基板91を支持した際に基板91からの反力によって弾性変形する。
【0035】
保持ツール80は、本体部81および採取部82を有する。本体部81は、全体形状としては円筒形状に形成される。本体部81は、吸着ノズル35と同様に第一ヘッド33または第二ヘッド34に取り付け可能に形成される。採取部82は、本体部81の下端に設けられる。採取部82は、バックアップ部材70の係止部75に係止する。保持ツール80は、バックアップ部材70を保持した状態を維持するために、本体部81の内部に設けられた弾性部材の弾性力により係止部75の先端を押圧し、係止部75の下端部を採取部82に付勢する。
【0036】
3.バックアップ部材70の配置作業の概要
バックアップ部材70の配置装置60は、例えば所定の基板製品に対応する装着処理(次回の対基板作業)を実行する前に、バックアップ部材70の移動装置として機能する部品移載装置30A,30Bを用いて、指令情報に基づくバックアップ部材70の配置作業を実行する。配置作業を実行する目的は、例えば基板91の寸法や装着する部品の数量や位置に応じて変動し得るバックアップ部材70の種別および配置すべき位置に対応するためである。
【0037】
なお、基板91の寸法が大きく、また装着時に基板に比較的強い押付力が加えられるなどの事情により基板の撓みが懸念される場合に、バックアップ部材70としては、基板の下面における被支持部の変位を最小限にできるハードピン70Aが適している。一方で、装着処理においてバックアップ部材70により支持される基板の下面に前工程で部品が既に装着されている場合に、バックアップ部材70としては、基板の下面の凹凸を吸収しつつ支持可能なソフトピン70Bが適している。
【0038】
そのため、配置装置60は、生産する基板製品の種類が変わる際に、段取り作業の一つとしてバックアップ部材70の配置作業を必要に応じて実行する。この配置作業には、バックアップ部材70を基板91の下方に位置するバックアッププレート16に固定することの他に、バックアップ部材70の除去(基板91の支持には用いられない予備のバックアップ部材70が載置される退避領域Ae(図7を参照)への移動)が含まれる。
【0039】
配置装置60は、バックアップ部材70の配置作業を実行するに際して、第一ヘッド33にバックアップ部材70を保持可能な保持ツール80を取り付ける。上記の保持ツール80は、例えば複数の吸着ノズル35を収容するノズルステーション(図略)に収容され、第一ヘッド33に取り付けられている吸着ノズル35と交換される。配置装置60は、部品移載装置30Aを駆動させて、対象のバックアップ部材70を指令情報により示される目標位置に移動させる。
【0040】
上記のように配置装置60は、次回の装着処理の段取り作業に際して、指令情報、今回の装着処理に使用されたバックアップ部材70ごとの現在位置を示す位置情報、および退避領域Aeに載置された予備のバックアップ部材70の現在位置を示す予備情報に基づいて、バックアップ部材70を個々に移動させる。そして、配置装置60は、全てのバックアップ部材70の配置が完了した後に、ノズルステーションに保持ツール80を収容させて配置処理を終了する。
【0041】
なお、配置装置60は、配置作業において目標位置に移動されたバックアップ部材70を対象とする配置状態の検査を行う。上記の検査には、配置されたバックアップ部材70を撮像して取得された画像データ95(図4を参照)が用いられる。配置状態の良否は、主としてバックアップ部材70の位置、および姿勢(特に、鉛直方向に対する角度)により判定される。
【0042】
つまり、バックアップ部材70が目標位置に配置されていたとしても、例えばバックアップ部材70が鉛直方向に対して傾斜している場合には、配置状態が不良であると判定される。これは、例えばバックアッププレート16と基部71との間に異物(例えば、落下した部品など)が挟まることにより発生し得る。
【0043】
配置装置60は、所定の動作モードにおいて、検査結果が「良」である場合に限り次のバックアップ部材70の配置工程に移行する。この動作モードでは、検査のための撮像工程および検査工程が終了するまで、次回の配置工程の実行が規制される。また、別の動作モードにおいて、配置装置60は、検査工程を全ての配置工程の後に実行することがある。しかしながら、配置状態が「不良」である場合には作業者による復旧作業を要することが多く、個々の配置工程ごとに検査工程を実行して配置作業を進行することが好適である。
【0044】
そうすると、バックアップ部材70の数量などによっては配置作業が段取り替えの所要時間に影響することが懸念される。そこで、本実施形態において、配置装置60は、部品装着機1がツインヘッド式、すなわち機内を互いに独立して移動可能な第一ヘッド33および第二ヘッド34を備えることを利用して、より効率的にバックアップ部材70の配置作業を行うことができる構成を採用する。
【0045】
4.配置装置60の詳細構成
4-1.配置制御部61
配置装置60は、図5に示すように、配置工程を実行する配置制御部61を備える。配置制御部61は、目標位置Ptへとバックアップ部材70を移動させる。本実施形態において、配置制御部61は、移動装置(部品移載装置30A,30B)のヘッド駆動装置31および第一ヘッド33の動作を制御することによって目標位置Ptへとバックアップ部材70を移動させる配置工程を実行する。
【0046】
これにより、複数のバックアップ部材70のうち基板91の支持に用いられるものは、それぞれ指令情報に示される目標位置Ptへと移動される。また、配置制御部61は、例えば終了した装着処理に用いられたバックアップ部材70がバックアッププレート16に配置された状態にあり、次回の装着処理では不要と判断されたものを退避領域Aeへと移動する。このバックアップ部材70は、予備とされる。
【0047】
4-2.撮像部62
配置装置60は、図5に示すように、撮像工程を実行する撮像部62を備える。撮像部62は、撮像工程において、配置工程に用いられた第一ヘッド33とは異なる第二ヘッド34に設けられた第二マークカメラ37によりバックアップ部材70を撮像する。本実施形態において、撮像工程は、バックアップ部材70のうち少なくとも軸部材74および複数の係止部75が第二マークカメラ37のカメラ視野に収まるように撮像する。
【0048】
なお、撮像工程は、配置工程に第二ヘッド34が用いられた場合には、第二ヘッド34とは異なる第一ヘッド33に設けられた第一マークカメラ36によりバックアップ部材70を撮像する。撮像部62は、上記のような撮像工程により、図4に示すように、軸部材74および複数の係止部75を上方から撮像した画像データ95を取得する。
【0049】
4-3.検査部63
配置装置60は、図5に示すように、検査工程を実行する検査部63を備える。検査部63は、検査工程において、画像データ95に基づいてバックアップ部材70の配置状態を検査する。本実施形態において、検査工程は、画像データ95における複数の係止部75の形状に基づいて、バックアップ部材70の鉛直方向に対する傾きを配置状態として認識する。詳細には、検査部63は、先ず画像データ95における係止部75の見かけの長さL1-L3を算出する画像処理を実行する。そして、検査部63は、複数の係止部75のそれぞれが軸部材74の中心軸から径方向に同じ長さだけ突起していることを利用し、上記の長さL1-L3の差分が許容範囲を超えている場合に、配置状態が「不良」であると判定する。
【0050】
一方で、検査部63は、上記の長さL1-L3の差分が許容範囲にあり、且つ軸部材74の中心が画像データ95における規定範囲に収まっている場合に、配置状態が「良」であると判定する。検査部63は、検査結果として、配置状態の良否、検査対象のバックアップ部材70に対応する目標位置Ptを記録する。
【0051】
4-4.通知部64
配置装置60は、図5に示すように、通知工程を実行する通知部64を備える。通知部64は、検査工程における検査によりバックアップ部材70の配置状態が「不良」であると判定された場合に、通知工程を実行する。通知部64は、通知工程において、以降の配置工程および撮像工程の実行を規制するとともに、作業者に検査結果を通知する。このとき、通知部64は、通知工程において、不良と判定された配置状態、およびバックアップ部材70に対応する目標位置Ptを検査結果とともに通知してもよい。
【0052】
これにより、作業者は、複数の目標位置Ptのうち何れの目標位置Ptにバックアップ部材70の配置を試行したときに不良が発生したのかを把握することができる。また、配置状態(例えば、バックアップ部材70が鉛直方向に対して傾斜している)を把握することで、不良の原因(例えば、基部71の下に異物が存在する)を特定しやすくなる。これにより、作業者による復旧作業の効率化を図ることができる。
【0053】
5.バックアップ部材70の配置方法
バックアップ部材70の配置方法について、図6および図7を参照して説明する。部品装着機1は、今回の基板製品を対象とした装着処理を終了すると、次回の装着処理のための段取り作業を必要とすることがある。この場合に、制御装置50の配置装置60は、図6に示すような各種処理を実行して、バックアップ部材70の配置処理を実行する。
【0054】
配置制御部61は、次回の装着処理に応じた指令情報に基づいて、第1回目の配置工程を実行する(S10)。配置工程(S10)には、採取工程(S11)、移動工程(S12)、および載置工程(S13)が含まれる。採取工程(S11)は、先ず保持ツール80を所定のバックアップ部材70の上方まで移動させた後に下降させ、さらに保持ツール80をR軸回りに回転させる。そして、採取工程(S11)は、保持ツール80を上昇させてバックアップ部材70を採取する(図7の移動経路R11)。
【0055】
移動工程(S12)は、バックアップ部材70を目標位置Ptの上方まで移動させる(図7の移動経路R12)。載置工程(S13)は、保持ツール80を下降させてバックアップ部材70を載置する。詳細には、載置工程(S13)は、バックアップ部材70がバックアッププレート16に接触した後に、保持ツール80を採取工程(S11)のときとは反対側にR軸回りに回転させる。そして、載置工程(S13)は、保持ツール80を上昇させてバックアップ部材70から離間する。
【0056】
ここで、非干渉制御部52により、図7に示すように、第一ヘッド33に第二ヘッド34が非干渉となる領域を示す非干渉領域Axが設定される。詳細には、非干渉制御部52は、上記のような配置工程(S10)の実行中における第一ヘッド33の作業位置(バックアップ部材70の元の位置、および目標位置Pt)および移動経路R11-R12に基づいて、非干渉領域Axを設定する。そして、第1回目の配置工程(S10)に並行に、この配置工程(S10)で配置されたバックアップ部材70を対象とする撮像工程が実行される(S20)。
【0057】
詳細には、撮像部62は、撮像工程(S20)において、並行に実行される配置工程(S10)において第一ヘッド33が目標位置Ptにおいて停止している期間に、予備移動により第二ヘッド34を非干渉領域Axに退避させた状態を維持する(S21)。これにより、第一ヘッド33と第二ヘッド34の干渉が防止される(図7の移動経路R21)。
【0058】
配置制御部61は、配置工程(S10)の終了後に退避予備移動により第一ヘッド33を目標位置Ptの上方から退避させる(S14)。この退避予備移動(S14)は、部品装着機1の前側に所定距離だけ第一ヘッド33を移動させるとともに、次回の配置工程(S10)において配置されるバックアップ部材70の現在位置に向かうように第一ヘッド33を予備移動させるものである(図7の移動経路R13)。
【0059】
撮像部62は、退避予備移動(S14)により非干渉領域Axが更新されて第二ヘッド34が目標位置Ptの上方まで移動することを許容された後に、本移動により第二マークカメラ37のカメラ視野にバックアップ部材70の軸部材74および複数の係止部75が収まるように第二ヘッド34を移動させる(S22)(図7の移動経路R22)。その後に、撮像部62は、第二マークカメラ37に撮像させて画像データ95を取得する(S23)。撮像部62は、第二ヘッド34を部品装着機1の後側に退避させる(S24)(図7の移動経路R23)。
【0060】
検査部63は、撮像工程(S20)が終了した後に、検査工程を実行する(S30)。検査工程(S30)は、先ず取得した画像データ95を対象に画像処理を実行し、バックアップ部材70の鉛直方向に対する傾きを含む配置状態を認識する(S31)。次に、検査部63は、認識された配置状態の良否を判定する(S32)。配置状態が「良」の場合であって(S32:Yes)、全ての配置工程(S10)が終了していなければ(S15:No)、2回目以降の配置工程が実行される。一方で、全ての配置工程(S10)が終了していれば(S15:Yes)、配置装置60は、配置作業を終了する。
【0061】
また、検査工程(S30)における検査によりバックアップ部材70の配置状態が「不良」であると判定された場合に(S32:No)、通知部64は、以降の配置工程(S10)および撮像工程(S20)の実行を規制するとともに、通知工程を実行する(S41)。通知部64は、通知工程(S41)において、不良と判定された配置状態、およびバックアップ部材70に対応する目標位置Ptを検査結果とともに通知する。
【0062】
その後に、作業者による復旧作業がなされた場合に、配置装置60は、中断した配置作業における配置工程(S10)および撮像工程(S20)の規制を解除し、以降の各工程を再開する。これにより、実行予定の装着処理に必要なバックアップ部材70が配置される。
【0063】
このような構成によると、配置工程(S10)に用いられる第一ヘッド33と、その配置工程(S10)により配置されたバックアップ部材70を撮像する撮像工程(S20)に用いられる第二ヘッド34とが別々となる。これにより、本来であれば、目標位置Ptに対して保持ツール80およびカメラの順に位置決めするようにヘッドを移動させていたのに対して、予め第二マークカメラ37を目標位置Ptの近くまで予備移動させることができる(S21)。また、撮像工程(S20)の実行中に次回の配置工程に応じた第一ヘッドの予備移動を行うことができる(S14)。よって、各工程の少なくとも一部が並行に実行されるので、バックアップ部材70の配置作業の効率化を図ることができる。
【0064】
6.実施形態の変形態様
6-1.バックアップ部材70の配置作業について
実施形態において、バックアップ部材70の配置作業は、第一ヘッド33に取り付けられた保持ツール80を用いて配置工程(S10)を実行するとともに、第二ヘッド34と一体的に移動可能に移動台32に設けられた第二マークカメラ37を用いて撮像工程(S20)を実行する態様を例示した。これに対して、第二ヘッド34に同様に保持ツール80が取り付けられ、その保持ツール80を用いて配置工程(S10)を実行してもよい。
【0065】
具体的には、第一ヘッド33および第二ヘッド34には、上記のように保持ツール80およびカメラ(第一マークカメラ36,第二マークカメラ37)がそれぞれ設けられる。そして、配置作業において、配置工程(S10)は、第一ヘッド33に設けられた保持ツール80、および第二ヘッド34に設けられた保持ツール80を用いて複数回に亘り実行されるものとする。
【0066】
このとき、撮像工程(S20)は、実施形態で例示したように、第二ヘッド34に設けられた第二マークカメラ37を用いて第一ヘッド33により実行された配置工程(S10)で配置されたバックアップ部材70を撮像の対象とする。さらに、別の撮像工程(S20)では、第一ヘッド33に設けられた第一マークカメラ36を用いて第二ヘッド34により実行された配置工程(S10)で配置されたバックアップ部材70を撮像の対象とする。
【0067】
このような構成によると、所要時間の異なる配置工程(S10)と撮像工程(S20)とが第一ヘッド33および第二ヘッド34のそれぞれに分担されるので、配置作業の全体としての所要時間を短縮することができる。また、このような構成において、退避予備移動(S14)や予備移動(S21)の後に待機時間が生じ得ることを利用して、例えばこれらの移動(S14,S21)の前に、次回の配置工程(S10)の採取工程(S11)を実行してもよい。これにより、配置作業の所要時間の短縮を図ることができる。
【0068】
また、上記のように複数回に亘る配置工程(S10)および撮像工程(S20)を、第一ヘッド33および第二ヘッド34に等しく分担する態様の他に、例えば第二ヘッド34を用いて既に配置されているバックアップ部材70を退避領域Aeに移動させる退避工程と、第一ヘッド33を用いてバックアップ部材70を配置する配置工程(S10)とを交互に実行するようにしてもよい。
【0069】
このような態様において、第二ヘッド34は、退避工程において不要なバックアップ部材70を保持した後に非干渉領域Axに移動し、第一ヘッド33を用いた配置工程(S10)が終わるのを待機する。そして、第二ヘッド34は、配置工程(S10)で配置されたバックアップ部材70を撮像するとともに、保持している不要なバックアップ部材70を退避領域Aeに移動させる。このような構成によると、退避工程、配置工程、撮像工程、および検査工程がタイミングによって並行に実行され、配置作業の所要時間の短縮を図ることができる。
【0070】
6-2.カメラについて
実施形態において、撮像工程(S20)に用いられるカメラは、第二ヘッド34に設けられ(第二ヘッド34と一体的に移動可能に移動台32に設けられ)、主として基板91に付された基準マークを撮像の対象とする第二マークカメラ37であるものとした。このような構成は、バックアップ部材70を対象とした撮像工程(S20)に既存設備を流用できるため製造コストを低減できるという利点がある。
【0071】
これに対して、撮像工程(S20)に用いられるカメラは、マークカメラとは別の専用カメラとしてもよい。このような構成によると、例えば撮像対象であるバックアップ部材70の種類や形状などに対応して、好適なカメラ視野や解像度、被写界深度のカメラを、第二ヘッド34の好適な位置(例えば、移動台32とは反対側の第二ヘッド34の先端位置など)に設けることができる。
【0072】
6-3.対基板作業機について
実施形態において、対基板作業機は、基板91に部品を装着する部品装着機1であるものとして説明した。これに対して、バックアップ部材70の配置方法および配置装置60は、種々の対基板作業機のうち所定の対基板作業の実行中においてバックアップ部材70を用いて基板91を支持するものに適用することができる。具体的には、対基板作業機は、基板91にはんだを印刷する印刷機、または基板91に接着剤などを塗布する塗布機としてもよい。なお、部品装着機1や印刷機、塗布機などの対基板作業機において、バックアップ部材70を移動させる移動装置は、それぞれの機内に配置される専用装置であってもよい。
【0073】
6-4.その他
実施形態において、配置装置60は、部品装着機1の制御装置50に組み込まれる構成とした。これに対して、配置装置60および配置装置60を構成する各部61-63の少なくとも一部は、制御装置50の外部に設けられてもよい。例えば、上記の各部61-63の一部または全部は、対基板作業機と通信可能なホストコンピュータや専用の外部装置に組み込まれる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:部品装着機(対基板作業機)、 15:バックアップ装置、 33:第一ヘッド、 34:第二ヘッド、 36:第一マークカメラ、 37:第二マークカメラ、 60:配置装置、 61:配置制御部、 62:撮像部、 63:検査部、 64:通知部、 70:バックアップ部材、 74:軸部材、75:係止部、 76:支持部、 80:保持ツール、 91:基板、 95:画像データ、 Ax:非干渉領域、 Pt:目標位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7