(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】ヒューマンマシンインターフェースを備えた手持ち式動力工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240605BHJP
A01G 3/08 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 H
A01G3/08 503
(21)【出願番号】P 2020568699
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 SE2019050613
(87)【国際公開番号】W WO2020013747
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511234781
【氏名又は名称】フスクバルナ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ニーバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ビュールンド
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク イーセン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ラルセン
(72)【発明者】
【氏名】パール-オーラ スベンソン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン スターク
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3188638(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0015383(US,A1)
【文献】国際公開第2012/134473(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
A01G 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(3)と、
前記工具(3)に動力を供給するように構成された動力源(5)と、
スロットルレバー(7)と、
回路基板(9)と、
前記回路基板(9)に配置された構成要素(15、17、19)を具備する、ヒューマンマシンインターフェース(10)と、
前記スロットルレバー(7)に動作可能に接続された磁石(11)と、
前記回路基板(9)に配置され、前記磁石(11)の磁場の強度を検知するように構成されたセンサ装置(13)と、を具備する、動力工具(1)において、
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)が、前記回路基板(9)の第1の側部(9')に配置されており、更に前記磁石(11)は、前記回路基板(9)の第2の側部(9”)において、前記回路基板(9)から離間して配置され、
前記センサ装置(13)は、前記回路基板(9)の前記第2の側部(9”)に配置される、動力工具(1)。
【請求項2】
前記センサ装置(13)は、第1の検知方向(d1)及び第2の検知方向(d2)沿って前記磁石(11)の前記磁場の強度を検知するように構成され、
第2の検知方向(d2)は、前記第1の検知方向(d1)とは異なる、請求項1に記載の動力工具(1)。
【請求項3】
前記第1の検知方向(d1)は、前記磁石(11)の移動経路(tp)の方向(dt)と実質的に一致する方向に延びる、請求項2に記載の動力工具(1)。
【請求項4】
前記回路基板(9)は、第2の平面(p2)内において広がり、そして前記第2の検知方向(d2)は、前記第2の平面(p2)を通り延びる、請求項2又は3に記載の動力工具(1)。
【請求項5】
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)は、1つ以上のボタン(15)を具備する、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項6】
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)は、キーパッド(17)を具備する、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項7】
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)は、ディスプレイ(19)を具備する、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項8】
前記スロットルレバー(7)は、非作動位置と作動位置との間で変位可能であり、
前記動力工具(1)は、前記スロットルレバー(7)が非作動位置から変位した時に信号を生成するように構成された、機械的スイッチ(21)を具備する、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項9】
前記スロットルレバー(7)は、非作動位置と作動位置との間で変位可能であり、
前記非作動位置から前記作動位置へ向かって前記スロットルレバー(7)が変位すると、前記磁石(11)の
前記磁場が、前記センサ装置(13)の位置において及び前記センサ装置(13)の少なくとも1つの検知方向(d、d1、d2)において、極性を変化させるように、前記磁石(11)及び前記センサ装置(13)は配置される、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項10】
前記作動位置は、完全に作動された位置であり、
前記スロットルレバー(7)が前記非作動位置と前記作動位置との間において前記スロットルレバー(7)の全移動長の5%~20%の範囲内で変位する時に、前記磁石(11)の
前記磁場が、前記センサ装置(13)の位置において及び前記センサ装置(13)の少なくとも1つの検知方向(d、d1、d2)において、極性を変化させるように、前記磁石(11)及び前記センサ装置(13)は配置される、請求項9に記載の動力工具(1)。
【請求項11】
前記磁石(11)は、第1の端点と第2の端点(ep1、ep2)との間の移動方向(dm)において移動可能に配置されており、
前記移動方向(dm)における前記磁石(11)の長さ(L)は、前記第1の端点と第2の端点(ep1、ep2)の間の前記磁石(11)の移動距離(23)の、50%~300%の範囲内にある、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項12】
前記回路基板(9)は、第2の平面(p2)において広がり、前記磁石(11)は、第3の平面(p3)において移動可能に配置されており、更に前記第3の平面(p3)は、前記第2の平面(p2)に実質的に平行である、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項13】
前記磁石(11)は、弧に沿って移動可能に配置される、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項14】
前記磁石(11)は、第1の端点(ep1)と第2の端点(ep2)との間において移動可能に配置されており、そして前記動力工具(1)は、前記磁石(11)を前記第1の端点(ep1)に向かって付勢するように配置された、ばね(25)を具備する、請求項1~13のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項15】
前記動力工具(1)は、密閉された筐体(27)を具備しており、
前記回路基板(9)は、前記密閉された筐体(27)内に配置される、請求項1~14のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項16】
前記磁石(11)は、前記密閉された筐体(27)の外側に配置される、請求項15に記載の動力工具(1)。
【請求項17】
前記センサ装置(13)は、各々が前記磁石(
11)の
前記磁場の強度を検知するように構成される、少なくとも2つのセンサ(13'、13”)を具備する、請求項1~16のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項18】
前記磁石(11)は、移動経路(tp)に沿って移動可能に配置されており、
前記少なくとも2つのセンサ(13'、13”)は、移動経路(tp)に実質的に垂直な第1の平面(p1)に配置される、請求項17に記載の動力工具(1)。
【請求項19】
前記磁石(11)の前記移動経路(tp)と一致する点(pt)において前記第1の平面(p1)で測定される、前記少なくとも2つのセンサ(13'、13”)の内の2つのセンサ(13'、13”)の間の角度(a1)は、約90度又は約180度である、請求項18に記載の動力工具(1)。
【請求項20】
前記センサ装置(13)は、3つのセンサ(13‘、13“、13”’)を具備しており、
前記磁石(11)の前記移動経路(tp)と一致する点(pt)において前記第1の平面(p1)で測定される、前記3つのセンサ(13‘、13“、13”’)の内の2つの隣接するセンサ(13’、13“、13”’)間の角度(a2)は、約90度又は約120度である、請求項18に記載の動力工具(1)。
【請求項21】
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)及び前記スロットルレバー(7)は、前記動力工具(1)の位置に配置され、片手で前記ヒューマンマシンインターフェース(10)と前記スロットルレバー(7)とを、ユーザーが同時に操作することを可能にする、請求項1~20のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項22】
前記動力工具(1)は、前記センサ装置(13)からのデータに基づいて前記スロットルレバー(7)の位置を監視するように構成された、制御ユニット(29)を具備する、請求項1~21のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項23】
前記制御ユニット(29)は、前記回路基板(9)に配置される、請求項22に記載の動力工具(1)。
【請求項24】
前記センサ装置(13)は、少なくとも2つのセンサ(13 '、13”)を具備しており、
前記制御ユニット(29)は、前記少なくとも2つのセンサ(13‘、13“)からのデータを使用して、非作動位置からの前記スロットルレバー(7)の変位を検出するように構成される、請求項22又は23に記載の動力工具(1)。
【請求項25】
前記動力工具(1)は、動力源制御装置(31)を具備し、
前記制御ユニット(29)は、前記動力源制御装置に動作可能に接続され、
前記動力源制御装置(31)は、前記スロットルレバー(7)の監視された位置に応じて、前記動力源(5)の動力を制御するように構成される、請求項22~24のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項26】
前記動力工具(1)は、電子通信バス(32)を具備しており、そこでは
前記制御ユニット(29)は、前記電子通信バス(32)を介して前記動力源制御装置(31)に動作可能に接続する、請求項25に記載の動力工具(1)。
【請求項27】
前記制御ユニット(29)は、マイクロプロセッサ(33)を具備する、請求項22~26のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項28】
前記マイクロプロセッサ(33)は、前記ヒューマンマシンインターフェース(10)に動作可能に接続する、請求項27に記載の動力工具(1)。
【請求項29】
前記回路基板(9)は、前記センサ装置(13)と前記マイクロプロセッサ(33)との間においてデータを伝送するように構成された、電子通信バス(35)を具備する、請求項27又は28に記載の動力工具(1)。
【請求項30】
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)は、マイクロコントローラ(37)を具備しており、そして前記回路基板(9)は、前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の前記マイクロコントローラ(37)と前記マイクロプロセッサ(33)との間でデータを伝送するように構成された、電子通信バス(39)を具備する、請求項28に記載の動力工具(1)。
【請求項31】
前記回路基板(9)は、外部通信ユニット(43)との間でデータを送受信するように構成された、無線通信ユニット(41)を具備する、請求項1~30のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【請求項32】
前記回路基板(9)は、少なくとも選択的に前記回路基板(9)に電力を供給するように構成された、電池(45)を具備する、請求項1~31のうちいずれか1項に記載の動力工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板を具備する、動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、市場において入手可能な多くの種類の動力工具が存在する。例としては、チェーンソー、丸鋸、トリマー、ヘッジトリマー、芝刈り機、リーフブロワ、マルチツール、除雪機等がある。動力工具は、例えば、産業において、建設において、庭において、家事作業用に、及び留め具の打ち込み、穴あけ、切断、成形、研磨、研削、ルーティング(routing)、艶出し、塗装、加熱等の目的で家の周りにおいて、使用される。
【0003】
動力工具の一般的な特徴は、それらが単に手作業以外の動力源により駆動可能な工具を具備することである。動力源は、例えば、電気モータ、空圧モータ、燃焼機関等を具備してもよい。通常、動力工具は、動力源により出力される動力をユーザーが制御できるようにする、スロットルレバーを具備する。多くの解決策は、スロットルレバーの位置を示すためのポテンショメータを利用する。しかし、その様な解決案は、幾つかの問題及び欠点に関連する。例としては、耐久性及び信頼性である。
【0004】
最新の動力工具は、動力工具の使用を容易にし及び/又は動力工具の使用期間の結果を改善できる、様々な特徴及び機能を備えることができる。しかし、これらの特徴及び機能の多くは、動力工具のコストを上げ、より複雑化する。一例として、1つ以上の特徴及び機能を追加するには、通常、幾つかの電気部品と、電気ケーブル等の電気接続部と、を追加する必要がある。
【0005】
動力工具を設計する時に対処されてもよい、問題が更に幾つか存在する。上に示したように、1つの問題は信頼性である。つまり、動力工具は通常、埃、瓦礫、水、振動等が多い過酷な環境で動作する。従って、動力工具を設計する場合には、動力工具の耐久性及び信頼性を確保することが好ましい。1つ以上の特徴及び機能を追加することにより、動力工具の耐久性及び信頼性が損なわれる可能性もある。対処できる可能性のある更なる問題は、使い易さである。例えば、もしユーザーが人間工学的且つ直感的な方法で動力工具を操作できるように、動力工具が設計される場合には、それは有利である。
【0006】
更に、一般的に、今日の消費者市場において、もし動力工具等の製品が、費用効果の高い方法で製造され且つ組み立てられることに適した条件及び/又は特性を有する場合には有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題及び欠点の少なくとも幾つかを克服するか、又は少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態によれば、その目的は、工具と、工具に動力を供給するように構成された動力源と、スロットルレバーと、回路基板と、前記回路基板に配置された構成要素を具備する、ヒューマンマシンインターフェース(human machine interface)と、を具備する動力工具により実現される。動力工具は、スロットルレバーに動作可能に接続する磁石と、磁石の磁場の強度を検知するように構成されたセンサ装置(sensor arrangement)と、を更に具備する。センサ装置は、回路基板に配置される。
【0009】
動力工具は、スロットルレバーに動作可能に接続する磁石と、磁石の磁場の強度を検知するように構成されたセンサ装置とを具備するので、スロットルレバーの位置の検知は正確であり、強靭且つ長持ちする。更に、動力工具が、回路基板に配置された構成要素を具備する、ヒューマンマシンインターフェースを具備し、更にセンサ装置が回路基板に配置されるので、動力工具を大幅にコスト増加及び複雑化することなく、幾つかの特徴及び機能のための条件を有する、動力工具が提供される。更に、これらの特徴により、費用効果の高い方法を用いた製造且つ組み立てに適した条件と特性とを有する、動力工具が提供される。
【0010】
更に、スロットルレバーの位置が、磁石の磁場の強さを検知することにより、即ち非接触の状態で検知されるので、耐埃/耐瓦礫/耐水性のあるケーシング内に回路基板を単に配置することにより、耐埃/耐瓦礫/耐水性の動力工具を得るための条件が提供される。
【0011】
従って、上記の問題及び欠点の少なくとも幾つかを克服するか又は少なくとも軽減するような、動力工具が提供される。その結果として、上記の目的は達成される。
【0012】
任意選択で、ヒューマンマシンインターフェースの構成要素は、回路基板の第1の側部に配置されており、磁石は、回路基板の第2の側部において、回路基板から離間して配置される。これにより、動力工具において利用可能な空間が効率的に利用される、動力工具が提供される。これは、ほとんどの場合において、ヒューマンマシンインターフェースは、動力工具の操作中に動力工具のユーザーに面する側に配置されており、スロットルは、動力工具の操作中にユーザーから離れて面する動力工具の側に配置されることによる。従って、ヒューマンマシンインターフェースの構成要素を回路基板の第1の側部に配置し、且つ回路基板の第2の側部において回路基板から磁石を離間して配置することにより、動力工具において利用可能な空間は、効率的な方法で利用される。
【0013】
任意選択で、センサ装置は、回路基板の第2の側部に配置される。それにより、スロットルレバーの位置を改善された精度で検知できる、動力工具が提供される。更に、回路基板上で利用可能な空間が効率的な方法で利用される、動力工具が提供される。
【0014】
任意選択で、センサ装置は、第1の検知方向(sensing direction)及び第2の検知方向に沿って、磁石の磁場の強度を検知するように構成されており、第2の検知方向は、第1の検知方向とは異なる。それにより、スロットルレバーの位置が、改善された精度で且つ外乱に対してより耐性のある方法で検知される、動力工具が提供される。これは、磁石の磁場を2つの異なる検知方向において検知することにより、組み合わされた検知が、磁場の磁場強度だけでなく、磁場の角度を示すことになるためである。磁場の角度は、変化がより少なく、磁場の磁場強度に比べて、外乱からの影響がより少ない。従って、2つの異なる検知方向において磁石の磁場を検知することにより、スロットルレバーの位置は、改善された精度で且つ外乱に対してより耐性のある方法で検知される。
【0015】
任意選択で、第1の検知方向は、磁石の移動経路の方向と実質的に一致する方向において伸びる。これにより、スロットルレバーの位置を効率的で且つ信頼性の高い検知することができる。
【0016】
任意選択で、回路基板は、第2の平面内において広がり、そして第2の検知方向は、第2の平面を通って伸びる。それにより、スロットルレバーの位置を効率的且つ信頼性の高い検知をすることができる。
【0017】
任意選択で、ヒューマンマシンインターフェースの構成要素は、1つ以上のボタンを具備する。それにより、動力工具を大幅にコスト増加及び複雑化することなく、幾つかの特徴と機能のための条件を有する、動力工具が提供される。これは、回路基板が、磁石の磁場の強度を検知するように構成されたセンサ装置だけでなく、1つ以上のボタンを含む構成要素を具備することによる。
【0018】
任意選択で、ヒューマンマシンインターフェースの構成要素は、キーパッドを具備する。それにより、動力工具を大幅にコスト増加及び複雑化することなく、幾つかの特徴と機能とのための条件を有する、動力工具が提供される。これは、回路基板が、磁石の磁場の強さを検知するように構成されたセンサ装置だけでなく、キーパッドを含む構成要素を具備することによる。
【0019】
任意選択で、ヒューマンマシンインターフェースの構成要素は、ディスプレイ(display)を具備する。それにより、動力工具を大幅にコスト増加及び複雑化することなく、幾つかの特徴と機能とのための条件を有する、動力工具が提供される。これは、回路基板が、磁石の磁場の強さを検知するように構成されたセンサ装置だけでなく、ディスプレイを含む構成要素を具備することによる。
【0020】
任意選択で、スロットルレバーは、非作動位置(unactuated position)と作動位置(actuated position)との間において変位可能であり、そこでは、動力工具は、スロットルレバーが非作動位置から変位した時に信号を生成するように構成された、機械的スイッチを具備する。それにより、スロットルレバーの非作動位置からの変位について、強靭且つ信頼性の高い検知を行うことができる。
【0021】
任意選択で、スロットルレバーは、非作動位置と作動位置との間において変位可能であり、そこでは、非作動位置から作動位置に向かってスロットルレバーが変位すると、磁石の磁場が、センサ装置の位置において及びセンサ装置の少なくとも1つの検知方向において極性を変化させるように、磁石及びセンサ装置は配置される。それにより、スロットルレバーの位置を更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知をすることができる。これは、磁石の磁場の極性の変化が、磁場の強さの変化に比べて、より正確な方法で検知可能であることによる。
【0022】
任意選択で、作動位置は、完全に作動された位置であり、そこでは磁石及びセンサ装置は、スロットルレバーが非作動位置と作動位置の間においてスロットルレバーの全移動長の5%~20%の範囲内で変位した時に、磁石の磁場が、センサ装置の位置において及びセンサ装置の少なくとも1つの検知方向において、極性を変化させるように配置される。それにより、非作動位置からのスロットルレバーの変位の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。これは、磁石の磁場の極性の変化が、磁場の強さの変化に比べて、より正確な方法で検知可能であることによる。これらの特徴の別の結果として、より安全な動力工具が提供可能である。
【0023】
任意選択で、磁石は、第1の端点と第2の端点との間の移動方向において移動可能に配置されており、そこでは移動方向における磁石の長さは、第1の端点と第2の端点の間の磁石の移動距離の、50%~300%の、例えば100%~200%等の、範囲内にある。それにより、スロットルレバーの位置の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。
【0024】
任意選択で、回路基板は第2の平面内において広がり、そして磁石は、第3の平面内において移動可能に配置されており、そこでは、第3の平面は、第2の平面に実質的に平行である。それにより、動力工具において利用可能な空間が効率的な方法で利用されながら、スロットルレバーの位置の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知をすることができる。
【0025】
任意選択で、磁石は、弧に沿って移動可能に配置される。それにより、スロットルレバーの位置の正確で強靭且つ信頼性の高い検知をすることができると共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造して組み立てる条件が提供される。
【0026】
任意選択で、磁石は、回転可能に配置される。それにより、スロットルレバーの位置の正確で強靭且つ信頼性の高い検知をすることができると共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造して組み立てる条件が提供される。
【0027】
任意選択で、磁石は、車輪として形成される。それにより、スロットルレバーの位置の正確で強靭且つ信頼性の高い検知をすることができると共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造して組み立てる条件が提供される。
【0028】
任意選択で、磁石は、第1の端点と第2の端点との間において移動可能に配置されており、そこでは動力工具は、磁石を第1の端点に向かって付勢するように配置された、ばねを具備する。それにより、費用対効果の高い方法で製造して組み立てることに適した条件と特性とを有する、シンプルで安全な動力工具が提供される。
【0029】
任意選択で、動力工具は密閉された筐体を具備しており、そこでは回路基板は、密閉された筐体内に配置される。それにより、シンプル且つ費用効果の高い方法で、埃、瓦礫及び/又は水に対してより耐性のある、動力工具が提供される。
【0030】
任意選択で、磁石は、密閉された筐体の外側に配置される。磁石は、密閉された筐体の外側に配置されるので、機械的連結部等の必要性はなく、密閉された筐体を通って伸びる。従って、簡単で且つ費用効果の高い方法で、埃、瓦礫、及び/又は水に対してより耐性のある動力工具が提供される。
【0031】
任意選択で、センサ装置は、少なくとも2つのセンサを具備しており、各々は、磁石の磁場の強度を検知するように構成される。それにより、スロットルレバーの位置の更により正確且つ強靭な検知をすることができる。更に、外乱に対してより耐性のあるセンサ装置が提供される。
【0032】
任意選択で、磁石は、移動経路に沿って移動可能に配置されており、そこでは少なくとも2つのセンサは、移動経路に実質的に垂直な第1の平面に配置される。それにより、スロットルレバーの位置の更により正確且つ強靭な検知をすることができる。更に、外乱に対してより耐性のあるセンサ装置が提供される。
【0033】
任意選択で、磁石の移動経路と一致する点において第1の平面で測定された、少なくとも2つのセンサの内の2つのセンサ間の角度は、約90度又は約180度である。それにより、スロットルレバーの位置の更により正確且つ強靭な検知をすることができる。更に、外乱に対してより耐性のあるセンサ装置が提供される。
【0034】
任意選択で、センサ装置は、3つのセンサを具備しており、そこでは磁石の移動経路と一致する点において第1の平面で測定された、3つのセンサの内の2つの隣接するセンサ間の角度は、約90度又は約120度である。それにより、スロットルレバーの位置の更により正確且つ強靭な検知をすることができる。更に、外乱に対してより耐性のあるセンサ装置が、提供される。
【0035】
任意選択で、ヒューマンマシンインターフェース及びスロットルレバーは、ユーザーが片手でヒューマンマシンインターフェースとスロットルレバーとを同時に操作することを可能にする、動力工具の位置に配置される。それにより、人間工学的で且つ使い易い動力工具が、費用効果の高い方法で提供される。更に、直感的な方法で使用されるための条件と特性とを有する、動力工具が提供される。
【0036】
任意選択で、動力工具は、センサ装置からのデータに基づいて、スロットルレバーの位置を監視するように構成された、制御ユニットを具備する。それにより、スロットルレバーの位置の正確、強靭且つ信頼性の高い監視をすることができると共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造して組み立てる条件が、提供される。
【0037】
任意選択で、制御ユニットは、回路基板に配置される。それにより、スロットルレバーの位置の正確、強靭且つ信頼性の高い監視をすることができる共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造して組み立てる条件が、提供される。
【0038】
任意選択で、センサ装置は、少なくとも2つのセンサを具備しており、そこでは制御ユニットは、少なくとも2つのセンサからのデータを使用して、非作動位置からのスロットルレバーの変位を検出するように構成される。それにより、非作動位置からのスロットルレバーの変位の更により正確、強靭且つ信頼性の高い検知をすることができる。別の結果として、より安全な動力工具は、費用効果の高い方法で提供可能である。
【0039】
任意選択で、動力工具は、動力源制御装置を具備しており、そこでは、制御ユニットが動力源制御装置に動作可能に接続しており、動力源制御装置は、スロットルレバーの監視された位置に応じて動力源の動力を制御するように構成される。それにより、動力源の動力を正確に、強靭に且つ高い信頼性で制御できると共に、コスト効率の高い方法で動力工具を製造して組み立てる条件が、提供される。
【0040】
任意選択で、動力工具は、電子通信バスを具備しており、そこでは制御ユニットは、電子通信バスを介して動力源制御装置に動作可能に接続する。それにより、動力源の動力を正確に、強靭に且つ高い信頼性で制御できると共に、更によりコスト効率の高い方法で動力工具を製造して組み立てる条件が提供される。これは、電子通信バスが、動力工具において必要な電気接続部の数を減少させることによる。更に、動力工具のコストと複雑化を大幅に引き上げることなく、幾つかの特徴と機能とを追加するための条件を有する、動力工具が提供される。
【0041】
任意選択で、制御ユニットは、マイクロプロセッサを具備する。それにより、スロットルレバーの位置を正確に、強靭に且つ高い信頼性で検知することが可能になると共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造して組み立てる条件が提供される。更に、動力工具にコストと複雑化を大幅に引き上げることなく、幾つかの特徴と機能とを追加するための条件を有する、動力工具が提供される。
【0042】
任意選択で、マイクロプロセッサは、ヒューマンマシンインターフェースに動作可能に接続する。それにより、動力工具にコスト及び複雑化を大幅に引き上げることなく、幾つかの特徴と機能のための条件を有する、動力工具が提供される。
【0043】
任意選択で、回路基板は、センサ装置とマイクロプロセッサとの間においてデータを伝送するように構成された、電子通信バスを具備する。それにより、スロットルレバーの位置の正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供されると共に、動力工具をコスト効率の高い方法で製造及び組み立てるための条件が提供される。これは、電子通信バスが、動力工具に必要な電気接続部の数を減少させることによる。
【0044】
任意選択で、ヒューマンマシンインターフェースは、マイクロコントローラを具備しており、そこでは回路基板は、ヒューマンマシンインターフェースのマイクロコントローラとマイクロプロセッサとの間においてデータを伝送するように構成された、電子通信バスを具備する。それにより、動力工具にコスト及び複雑化を大幅に引き上げることなく、幾つかの特徴と機能のための条件を有する、動力工具が提供される。
【0045】
任意選択で、回路基板は、外部通信ユニットとの間でデータを送受信するように構成された、無線通信ユニットを具備する。それにより、動力工具にコスト及び複雑化を大幅に引き上げることなく、幾つかの特徴と機能のための条件を有する、動力工具が提供される。これは、動力工具が、ヒューマンマシンインターフェースに既に利用され、磁石の磁場の強度を検知するように構成されたセンサ装置に既に使用されている、回路基板を具備することによる。
【0046】
任意選択で、回路基板は、少なくとも選択的に、回路基板に動力を供給するように構成された、電池を具備する。それにより、例えば動力工具の主動力供給部が切断されるか、オフにされるか、又は空になった時に、電池が回路基板に電力を供給してもよいので、より強靭で使い易い動力工具が提供される。
【0047】
本発明の別の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の詳細な説明を検討する時に,明らかになるであろう。
【0048】
その特定の特徴と利点とを具備する、本発明の様々な形態は、以下の詳細な説明及び添付の図面において説明される、例示的な実施の形態から直ちに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、幾つかの実施の形態による動力工具を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示される動力工具のヒューマンマシンインターフェース及びスロットルレバーの構成要素の分解図を示す。
【
図3】
図3は、組み立てられた状態の
図2に示される構成要素を示す。
【
図4】
図4は、
図1~
図3に示す動力工具の実施の形態の回路基板と磁石との側面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、幾つかの別の実施の形態による回路基板と磁石との側面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、
図5に示される実施の形態による回路基板と磁石との断面を示す。
【
図7】
図7は、幾つかの別の実施の形態による回路基板と磁石との側面図を概略的に示す。
【
図8】
図8は、幾つかの別の実施の形態による回路基板と磁石との断面を概略的に示す。
【
図9】
図9は、
図1に示される動力工具の回路基板と動力源と動力源制御装置とを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
次に、本発明の形態が、より十分に説明される。同様の番号は、全体を通して同様の要素を参照する。既知の機能又は構造は、簡潔及び/又は明確にするために、必ずしも詳細に説明されるとは限らない。
【0051】
図1は、幾つかの実施の形態による動力工具1を示す。図示の実施の形態によれば、動力工具1は、工具3用の接続部4を備える長柄2を具備する、組み合わせ工具(combi-tool)とも呼ばれるマルチツールの形態の手持ち式動力工具である。工具3は、
図1において破線で示される。ユーザーは、トリマーヘッド、ヘッジトリマー切断ユニット、チェーンソー刃等の工具3を接続部4に接続してもよい。動力工具1は、工具3に動力を供給するように配置された、動力源5を更に具備する。図示の実施の形態によれば、動力工具1は、長柄2を介して伸びるシャフトを具備しており、そこではシャフトは、動力源5から工具3に動力を伝達するように配置される。図示の実施の形態によれば、動力源5は、電気モータを具備する。動力工具1は、動力源5を収容する動力源ケーシング6を具備する。更に、動力工具1は、動力源ケーシング6内に配置された電池を具備する。電池は、動力源5の電気モータ等の動力工具1の構成要素に電気を供給するように構成される。別の実施の形態によれば、動力源5は、燃焼機関又は空気圧モータ等の別のタイプの動力源を具備してもよい。図示されたマルチツールは、本発明の例示的な実施の形態を構成しており、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されるべきである。従って、本明細書の実施の形態によれば、動力工具1は、チェーンソー、丸鋸、トリマー、ヘッジトリマー、芝刈り機、リーフブロワ、除雪機等のマルチツールとは別のタイプの動力工具であってもよい。
【0052】
図示の実施の形態によれば、動力工具1は、ユーザーの一方の手で把持されるように配置された第1のハンドル部8’と、ユーザーのもう一方の手で把持されるように配置された第2のハンドル部8”と、を具備する。第2のハンドル部8”は、ユーザーの手のひらで押圧されるように配置された安全スイッチ12を具備する。更に、動力工具1の第2のハンドル部8”は、スロットルレバー7を具備する。図示の実施の形態によれば、スロットルレバー7は、ユーザーの1本以上の指で押圧されるように構成される。本明細書で更に説明されるように、スロットルレバー7は、ユーザーが動力源5により出力される動力を制御することを可能にする。更に、動力工具1は、ヒューマンマシンインターフェース10、即ち物理的入力ハードウェアと物理的出力ハードウェアとを具備する、インターフェースを具備する。図示の実施の形態によれば、ヒューマンマシンインターフェース10は、ボタン15とディスプレイ19とを備えた、キーパッド17を具備する。ヒューマンマシンインターフェース10は、ユーザーが動力工具1を設定して、動力工具1の動作モードを選択し、動力工具1の電池のエネルギ状態等をチェックできるように構成されてもよい。
【0053】
図示の実施の形態によれば、ヒューマンマシンインターフェース10は、第2のハンドル部8”に隣接して配置される。更に、図示の実施の形態によれば、ヒューマンマシンインターフェース10は、第2のハンドル部8”を手で把持する際に、ヒューマンマシンインターフェース10のボタン15を、ユーザーの指、例えばユーザーの親指で押圧できるように配置される。従って、図示の実施の形態によれば、ヒューマンマシンインターフェース10及びスロットルレバー7は、動力工具1において、ユーザーが片手のみを使用してヒューマンマシンインターフェース10とスロットルレバー7とを同時に操作することを可能にする位置に配置される。
【0054】
図2は、
図1に図示される動力工具1のヒューマンマシンインターフェース10とスロットルレバー7との構成要素の分解図を示す。
図2に示されるように、動力工具1は、回路基板9を具備する。回路基板9は、第1の側部9'と第2の側部9”とを具備する。第2の側部9”は、第1の側部9'に対向する。組み立てられた状態において、ヒューマンマシンインターフェース10の構成要素15、17、19は、回路基板9の第1の側部9'に配置される。図示の実施の形態によれば、スロットルレバー7は、旋回軸部の周りで旋回するように動力工具に配置される。動力工具は、スロットルレバー7に動作するように接続された磁石11を具備する。図示の実施の形態によれば、磁石11は、旋回軸部から離間したホルダー14に収容される。更に、磁石11は、回路基板9の第2の側部9”において、回路基板9から離間して配置される。ホルダー14は、スロットルレバー7に接続する。この様にして、スロットルレバー7の変位は、旋回軸部の周りの磁石11の変位に変換される。従って、図示の実施の形態によれば、磁石11は、弧に沿って移動可能に配置され、スロットルレバー7の変位により移動するように配置される。スロットルレバー7は、非作動位置と作動位置との間で変位可能である。
図2において、スロットルレバー7は、非作動位置にある状態で示される。
【0055】
図2において示されないが、動力工具は、回路基板9に配置されたセンサ装置13を具備する。図示の実施の形態によれば、センサ装置13は、回路基板9の第2の側部9”に配置される。センサ装置13は、磁石11の磁場の強度を検知するように構成される。本明細書で更に説明するように、ヒューマンマシンインターフェース10の構成要素15、17、19、並びにセンサ装置13が、回路基板9に配置されるという事実により、幾つかの利点が得られる。更に、本明細書で更に説明するように、センサ装置13は、磁石11の磁場の強度を検知するように構成された、1つ、2つ、又は3つのセンサ等の1つ以上のセンサを具備してもよい。しかし、
図2に示される実施の形態によれば、センサ装置13は、磁石11の磁場の強度を検知するようにのみ構成された、単一のセンサを具備する。
【0056】
更に、図示の実施の形態によれば、動力工具は、機械的スイッチ21と、スロットルレバー7に動作可能に接続されたアクチュエータ(作動機)22と、を具備する。
アクチュエータ22は、スロットルレバー7が非作動位置から変位した時に機械的スイッチ21を作動させるように配置される。機械的スイッチ21は、作動時に信号を生成するように構成される。この様にして、非作動位置からのスロットルレバー7の変位は、より信頼性の高い方法で検出可能である。
図2に示されるように、動力工具は、上部カバー27’と、下部カバー27”と、を具備する。組み立てられた状態において、上部カバー及び下部カバー27'、27”は、回路基板9用の密閉された筐体を形成する。この様にして、動力工具は、簡単で且つコスト効率の良い方法で、埃、瓦礫、及び/又は水に対する耐性がより高くなる。下部カバー27”は、ねじ、ボルト、リベット又はスナップイン(パチンと篏合留め)接続具等の1つ以上の締結要素24を使用して上部カバー27’に取り付けられてもよい。
【0057】
図3は、組み立てられた状態の
図2に示される構成要素を示す。
図3において、密閉された筐体27が示されており、筐体27は、従って、
図2に示される上部カバー27’と下部カバー27”とにより形成される、容積を構成してもよい。更に、
図3に示されるように、実施の形態によれば、磁石11及びスロットルレバー7は各々、密閉された筐体27の外側に配置される。この様に、密閉された筐体27を通り抜けて伸びる機械的連結部等は必要ない。
【0058】
図4は、
図2及び
図3に示される実施の形態の回路基板9及び磁石11の側面図を概略的に示す。ヒューマンマシンインターフェース10の構成要素は、回路基板9の第1の側部9'に配置されており、センサ装置13は、回路基板9の第2の側部9”に配置される。図示の実施の形態によれば、センサ装置13は、磁石11の磁場の強度を検知するように構成された単一のセンサ13'を具備する。回路基板9は、平面pにおいて広がる。センサ13’は、検知方向dに沿って磁石11の磁場の強度を検知するように構成される。図示の実施の形態によれば、検知方向dは、平面pを通って伸びており、平面pに実質的に垂直である。この様にして、磁石11の磁場の変化は、磁石11の変位の際に、センサ装置13のセンサ13’を使用して、正確で且つ信頼性の高い方法で検知可能である。
【0059】
磁石11は、第1と第2の端点ep1、ep2との間の移動経路tpに沿って移動方向dmにおいて移動可能に配置される。図示の実施の形態によれば、センサ13’の検知方向dは、磁石11の移動経路tpと交差する。更に、図示の実施の形態によれば、磁石11は、軸方向に磁化された棒状体を具備する。磁石11の長さLは、移動方向dmにおいて、磁石11が第1の端点ep1から第2の端点ep2に移動する時の磁石11の移動距離23の、50%~300%の範囲内、例えば、75%~250%の範囲内又は100%~200%の範囲内であってもよい。これらの特徴により、磁石11の変位時の磁場の変化は、その変位の際に、センサ13’を使用して、正確で且つ信頼性の高い方法において検知可能である。
【0060】
本明細書で更に説明されるように、本開示の幾つかの実施の形態によれば、センサ装置13は、磁石11の磁場の強度を検知するように構成された1つ以上のセンサ13'を具備してもよい。幾つかの実施の形態によれば、センサ装置13の位置において及びセンサ装置13の少なくとも1つの検知方向dにおいて、磁石11の磁場が、非作動位置から作動位置に向かうスロットルレバーの変位において、極性を変化させるように、磁石11及びセンサ装置13は配置される。これにより、磁石11の位置の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。これは、磁石11の磁場の極性の変化が、磁石11の磁場の磁場強度の変化に比べてより正確な方法で検知できることによる。極性の変化は、本明細書で言及されるように、ゼロ遷移(トランジッション)と呼ばれてもよい。
【0061】
図4に示される実施の形態によれば、磁石11は、スロットルレバーが非作動位置にある時に磁石11が第1の端点ep1の位置をとるように、及びスロットルレバーが十分な作動位置にある時に第2の端点ep2をとるように、スロットルレバー7に動作可能に接続する。本開示の幾つかの実施の形態によれば、センサ装置13の位置において及びセンサ装置13の少なくとも1つの検知方向dにおいて、スロットルレバー7が非作動位置と作動位置との間でスロットルレバー7の全移動長さの5%~20%の範囲内の距離を変位する時に、磁石11の磁場が極性を変化させるように、磁石11及びセンサ装置13は配置される。それにより、第1の端点ep1からの磁石11の変位の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。これは、磁石11の磁場の極性の変化が、磁石11の磁場の磁場強度の変化に比べてより正確な方法で検知可能であることによる。
【0062】
図5は、幾つかの別の実施の形態による回路基板9及び磁石11の側面図を概略的に示す。
図5に示される構成は、以下に説明する幾つかの相違と共に、上記のものと同じ特徴と機能と利点とを具備する。
図5に示される実施の形態によれば、回路基板9のセンサ装置13は、それぞれの検知方向d1、d2に沿って磁石11の磁場の強度を検知するように構成される、2つのセンサ13'、13”、即ち第1のセンサ13’と第2のセンサ13”と、を具備する。即ち、図示の実施の形態によれば、センサ装置13は、第1の検知方向d1及び第2の検知方向d2に沿って磁石11の磁場の強度を検知するように構成されており、そこでは第2の検知方向d2は、第1の検知方向d1とは異なる。
【0063】
更に、図示の実施の形態によれば、磁石11は、第1及び第2の端点ep1、ep2との間において実質的に線形の移動経路tpに沿って移動可能に配置される。動力工具は、磁石11を第1の端点ep1に向かって付勢するように配置された、ばね25を具備する。
【0064】
センサ装置のセンサ13’、13”は、第1の平面p1に配置され、回路基板9は、第2の平面p2において広がり、磁石11は、第3の平面p3において移動可能に配置される。第3の平面p3は、第2の平面p2に実質的に平行である。第1の平面p1は、移動経路tpに実質的に垂直であるので、従って第2と第3の平面p2、p3に実質的に垂直である。第1の検知方向d1は、磁石11の移動経路tpの方向dtと実質的に一致する方向において伸びる。従って、図示の実施の形態によれば、第1の検知方向d1は、第2と第3の平面p2、p3に実質的に平行である。第2の検知方向d2は、第2と第3の平面p2、p3を通って伸びており、第2と第3の平面p2、p3に実質的に垂直である。
【0065】
これらの特徴により、磁石11の位置の、より強靭で信頼性の高い検知が提供される。これは、2つの異なる検知方向d1、d2における磁石11の磁場の測定を利用することにより、組み合わされた測定が、磁場の強さだけではなく、磁場の角度を示しており、磁石11の磁場の強さの測定のみを利用する場合に比べて、変化がより少なくて且つ外乱により敏感ではないからである。
【0066】
「実質的に平行」という表現は、本明細書において、参照される物体間の角度が5度未満であると定義されてもよい。「実質的に垂直」という表現は、本明細書において、参照される物体間の角度が85度から95度の範囲内にあると定義されてもよい。
【0067】
図6は、
図5に示される実施の形態による回路基板9及び磁石11の断面を示す。
図6において、断面は、第1の平面p1において形成される。
図6に示されるように、図示の実施の形態によれば、磁石11の移動経路tpと一致する点ptにおいて第1の平面p1で測定された、センサ装置13のセンサ13'、13”間の角度a1は約90度である。別の実施の形態によれば、磁石11の移動経路tpと一致する点ptにおいて第1の平面p1で測定された、センサ装置13のセンサ13’、13”間の角度a1は、約180度である。その様な実施の形態によれば、並びに本明細書で説明される別の実施の形態によれば、センサ装置13のセンサ13’、13”は、
図5及び
図6に示されるものに比べて回路基板からより遠い距離をおいて配置されてもよい。
【0068】
別の実施の形態によれば、
図5及び
図6に示される実施の形態の第1と第2のセンサ13'、13”の検知方向d1、d2は、
図5に示されるもの以外のものであってもよい。例えば、第1と第2のセンサ13'、13”は各々、第2の平面p2に実質的に平行な検知方向d1、d2を具備してもよい。別の例として、第1と第2のセンサ13’、13”は各々、第2の平面p2に実質的に垂直な検知方向d1、d2等の、第2の平面p2と交差する、検知方向d1、d2を具備してもよい。
【0069】
以下の
図9を参照して更に説明されるように、第1と第2のセンサ13’、13”は各々、非作動位置からのスロットルレバーの変位を検出するように使用されてもよい。その様な実施の形態によれば、第1と第2のセンサ13’、13”は各々、スロットルレバーが非作動位置から変位した時に離散信号(discrete signal)を生成するように構成されてもよい。スロットルレバーが非作動位置から特定の距離だけ変位した時に、第1と第2のセンサ13'、13”の位置において、磁石11の磁場が極性を変えるように、磁石11及びセンサ装置13は配置されてもよい。非作動位置からのスロットルレバーの変位を検出するために2つのセンサ13’、13”を利用することにより、非作動位置からのスロットルレバーの変位の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。更に、これらの実施の形態によれば、センサ装置13は、磁場の強度を検知するように構成された、1つ以上の別のセンサを具備してもよく、そこでは、動力源の動力の制御は、1つ以上の別のセンサからのデータに基づく。
【0070】
「約90度」という表現は、本明細書において、85度から95度の範囲内の角度として定義されてもよい。「約180度」という表現は、本明細書において、175度から185度の範囲内の角度として定義されてもよい。
【0071】
図7は、幾つかの別の実施の形態による回路基板9及び磁石11の側面図を概略的に示す。
図7に示される配置は、以下に説明する幾つかの相違と共に、上記のものと同じ特徴と機能と利点とを具備する。
図7に示される実施の形態によれば、磁石11は、車輪状に成形されており、軸部の周りに回転可能に配置される。軸部axは、回路基板9が広がる、平面pに実質的に平行である。従って、磁石11の回転平面は、回路基板9が広がる平面pに実質的に垂直である。磁石11は、磁石11の回転平面内で磁石の磁場が変化するように配置される。磁石11は、スロットルの変位が磁石11の回転に変換されるように、動力工具のスロットルレバーに動作可能に接続する。図示の実施の形態によれば、センサ装置13は、回路基板9が広がる平面pに実質的に平行な検知方向dにおいて磁石11の磁場を検知するようにのみ構成された、1つのセンサ13'を具備する。しかしながら、これらの実施の形態においてもまた、センサ装置13は、各々が磁石11の磁場を検知するように構成された、2つ以上のセンサを具備してもよい。
【0072】
図8は、幾つかの別の実施の形態に従う回路基板9及び磁石11の断面を概略的に示す。
図8に示される実施の形態によれば、センサ装置13は、3つのセンサ13’、13”、13’”を具備する。センサ13’、13”、13”’は、回路基板9が広がる第2の平面p2に実質的に垂直な第1の平面p1に配置される。
図8の断面は、第1の平面p1により形成される。第1の平面p1は、磁石11の移動経路tpに垂直である。
図8に示されるように、図示の実施の形態によれば、磁石11の移動経路tpと一致する点ptにおいて第1の平面p1で測定された、3つのセンサ13'、13”、13”’の内の2つの隣接するセンサ13'、13”、13”’間の角度a2は、約90度である。別の実施の形態によれば、磁石11の移動経路tpと一致する点ptにおいて第1の平面p1で測定された、3つのセンサ13'、13”、13”’の内の2つの隣接するセンサ13'、13”、13”’間の角度a2は、約120度である。これらの特徴により、外乱に対する感度がより低いセンサ装置13が提供される。「約120度」という表現は、本明細書において、115度から125度の範囲内の角度として定義されてもよい。
【0073】
幾つかの実施の形態によれば、3つのセンサ13’、13”、13”’は各々、別個の検知方向を具備してもよい。更に、3つのセンサ13’、13”、13”’は各々、第2の平面p2に実質的に平行な検知方向を具備してもよい。別の方法として、3つのセンサ13’、13”、13”’は各々、第2の平面p2に実質的に垂直な検知方向等の、第2の平面p2と交差する検知方向を具備してもよい。
【0074】
以下の
図9を参照して更に説明されるように、3つのセンサ13’、13”、13”’は各々、非作動位置からのスロットルレバーの変位を検出するように使用されてもよい。その様な実施の形態によれば、3つのセンサ13’、13”、13”’は各々、スロットルレバーが非作動位置から変位した時に離散信号を生成するように配置されてもよい。磁石11及びセンサ装置13は、スロットルレバーが非作動位置から変位した時に、3つのセンサ13'、13”、13”’の位置において、磁石11の磁場が極性を変えるように配置されてもよい。非作動位置からのスロットルレバーの変位を検出する3つのセンサ13’、13”、13”’を利用することにより、非作動位置からのスロットルレバーの変位の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。更に、これらの実施の形態によれば、センサ装置13は、磁場の強度を検知するように構成された、1つ以上の別のセンサを具備してもよく、そこでは、動力源の動力の制御は、1つ以上の別のセンサからのデータに基づく。
【0075】
図9は、
図1に示される動力工具1の回路基板9と動力源5と動力源制御装置31とを概略的に示す。以下では、
図1と
図2と
図4と
図9とを同時に参照する。
図9に示すように、動力工具1は、回路基板9に配置された制御ユニット29を具備する。制御ユニット29は、センサ装置13からのデータに基づいてスロットルレバー7の位置をチェックするように構成される。制御ユニット29は、センサ装置13の1つ以上のセンサ13'、13”、13”’に動作可能に接続しており、センサ装置13の1つ以上のセンサ13'、13”、13”’からのデータに基づいて、スロットルレバー7の位置をチェックするように構成される。
【0076】
図示の実施の形態によれば、制御ユニット29は、マイクロプロセッサ33を具備する。従って、図示の実施の形態によれば、回路基板9は、マイクロプロセッサベースの回路基板である。更に、回路基板9は、センサ装置13とマイクロプロセッサ33との間でデータを伝送するように構成された、電子通信バス35を具備する。即ち、図示の実施の形態によれば、制御ユニット29は、電子通信バス35を介してセンサ装置13に動作可能に接続する。これらの実施の形態によれば、センサ装置13は、マイクロプロセッサを具備してもよい。
【0077】
更に、制御ユニット29は、動力源制御装置31に動作可能に接続する。制御ユニット29は、スロットルレバー7の位置を表す信号を動力源制御装置31に出力するように構成される。動力源制御装置31は、スロットルレバー7の位置に応じて動力源5の動力を制御するように構成される。図示の実施の形態によれば、動力工具1は、制御ユニット29と動力源制御装置31との間でデータを伝送するように構成された、電子通信バス32を具備する。従って、制御ユニット29は、電子通信バス32を介して動力源制御装置31に動作可能に接続する。
【0078】
更に、図示の実施の形態によれば、制御ユニット29のマイクロプロセッサ33は、ヒューマンマシンインターフェース10に動作可能に接続する。ヒューマンマシンインターフェース10は、マイクロコントローラ37を具備しており、回路基板9は、ヒューマンマシンインターフェース10のマイクロコントローラ37と制御ユニット29のマイクロプロセッサ33との間でデータを伝送するように構成された、電子通信バス39を具備する。従って、制御ユニット29のマイクロプロセッサ33は、電子通信バス39を介してヒューマンマシンインターフェース10に動作可能に接続する。
【0079】
更に、図示の実施の形態によれば、回路基板9は、外部通信ユニット43との間でデータを送受信するように構成された、無線通信ユニット41を具備する。図示の実施の形態によれば、制御ユニット29のマイクロプロセッサ33は、電子通信バス36を介して無線通信ユニット41に動作可能に接続する。従って、無線通信ユニット41は、外部通信ユニット43にデータを無線で送信し、及び/又は外部通信ユニット43からデータを受信するように構成される。無線通信は、例えば、インターネット又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)等のワイヤレス接続を介して、あるいは短波長、すなわち、例えばブルートゥース(登録商標)の2.4~2.485GHzの産業的で科学的で且つ医療用(ISM)の帯域の極超短波(UHF)の電波、を使用して短距離でデータを交換するためのワイヤレス接続を介して、実行されてもよい。外部通信ユニット43は、例えば、無線ネットワークルータ、例えばWi-Fiルータ、又は携帯電話であってもよい。
【0080】
上記で参照され、
図9に示される、1つ以上の電子通信バス32、35、36、39は、単一の電子通信バス、又は単一の通信バスシステムにより構成されてもよい。更に、簡潔で且つ明確にするために、回路基板9の構成要素は、
図9の回路基板9の同じ側に示される。しかし、センサ装置13及びヒューマンマシンインターフェース10等、回路基板9の幾つかの構成要素は、回路基板9の反対側に配置されてもよい。
【0081】
1つ以上の電子通信バス32、35、36、39を使用することにより、ケーブルの数が大幅に削減され、更に動力工具1のコスト及び複雑化を大幅に引き上げることなく、幾つかの高度な機能を動力工具1に実装することができる。更に、ケーブルの数を減らすことにより、より強靭且つ信頼性の高い動力工具1が提供される。更に、制御ユニット29は、
図9に示されるものとは別の、1つ以上のシステム及び構成要素に動作可能に接続されてもよい。一例として、制御ユニット29は、1つ以上の補助ボタン、アクチュエータ、安全スイッチ12等に動作可能に接続してもよい。
【0082】
本明細書において更に説明されるように、本開示の幾つかの実施の形態によれば、センサ装置13は、少なくとも2つのセンサ13’、13”を具備する。その様な実施の形態によれば、制御ユニット29は、少なくとも2つのセンサ13’、13”からのデータを使用して、非作動位置からのスロットルレバー7の変位を検出するように構成されてもよい。それにより、スロットルレバー7の非作動位置からの変位の更により正確で強靭且つ信頼性の高い検知が提供される。別の結果として、より安全な動力工具1が、費用効率の高い方法で提供可能である。
【0083】
図9に示される実施の形態によれば、回路基板9は、少なくとも選択的に、回路基板9に電力を供給するように構成された、電池45を具備する。電池45は、例えば、動力工具1の主動力供給部が切断されるか、オフにされるか、又は空であるかの場合に、回路基板9に電力を供給してもよい。電池45用のホルダー46が、
図2に示される。
【0084】
本明細書において参照されるセンサ装置13の1つ以上のセンサ13’、13”、13”は各々、ホール効果センサ、巨大磁気抵抗センサ等を具備してもよい。巨大磁気抵抗センサは、GMRセンサと呼ばれることもある。
【0085】
上に示したように、本開示の実施の形態によれば、動力工具1は、デブリブロワ、リーフブロワ、スノーブロワ等のブロワであってもよい。その様な実施の形態によれば、本明細書において参照される工具3は、ファンとファンケーシングとを具備してもよい。
【0086】
本明細書において参照される磁石11は、軸方向に磁化された棒状体を具備してもよい。更に、本明細書において参照される磁石11は、NdとFeとBの合金からなり、NdFeB、NIB又はNeo磁石としても知られるネオジム磁石、又はサマリウムとコバルトの合金からなるSmCo磁石としても知られる、サマリウム-コバルト磁石等の、希土類磁石を有してもよい。更に、幾つかの実施の形態によれば、磁石11は、希土類磁石粉末等のプラスチックボンド磁石粉末を有してもよい。
【0087】
制御ユニット29は演算装置を備える。前記演算装置は、実質的にあらゆるタイプの適切なプロセッサ回路又はマイクロコンピュータ、例えば、デジタル信号処理用の回路(デジタル信号プロセッサ、DSP)、中央演算処理装置(CPU)、プロセシング・ユニット、処理回路、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、又は命令を解釈して実行することが可能な他の処理論理回路、の形態にしてもよい。本明細書において利用される表現「演算装置」は、例えば、上記のいずれか、幾つか又は全てのもの等の複数の処理回路を具備する、処理回路構成を表すものであっても良い。
【0088】
制御ユニット29は、記憶装置(memory unit)を更に具備してもよく、前記演算装置は、記憶装置に接続してもよく、例えば、記憶装置は、計算することを可能にさせる必要があるかもしれない記憶されたプログラムコード及び/又は記憶されたデータを演算装置に提供してもよい。演算装置はまた、計算の部分的又は最終的な結果を記憶装置に記憶するように用いられてもよい。記憶装置は、一時的又は永続的な方式で、データ又はプログラム、即ち、一連の命令を記憶するように利用される、物理的デバイスを具備してもよい。幾つかの実施の形態によれば、記憶装置は、シリコンベースのトランジスタを備える集積回路を具備してもよい。記憶装置は、異なる実施の形態において、例えば、メモリカード、フラッシュメモリ、USBメモリ、ハードディスク、又は、データを記憶するための別の同様の揮発性又は不揮発性記憶装置、例えば、ROM(Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable PROM)、EEPROM(Electrically Erasable PROM)等、を具備してもよい。
【0089】
制御ユニット29は、入力及び出力信号を受信及び/又は送信するために動力工具1の構成要素に接続する。これらの入力及び出力信号は、波形、パルス、又は入力信号受信デバイスが情報として検出可能であって且つ制御ユニット29により処理可能な信号に変換可能な別の特性を具備してもよい。これらの信号は、その後、演算装置に送信されてもよい。1つ以上の出力信号送信デバイスは、演算装置からの計算結果を変換して、動力工具1の制御システムの別の部分及び/又は、信号が意図される1つ以上の構成要素に、伝達するための信号を出力するように構成されてもよい。入力信号及び出力信号を送受信するための動力工具1のそれぞれの構成要素への各接続部は、ケーブル、電子通信バス、又は無線接続部の中から1つ以上の形態であってもよい。
【0090】
図示の実施の形態において、動力工具1は、制御ユニット29を具備するが、しかしこれとは別に、2つ以上の制御構成又は2つ以上の制御ユニットにおいて、全体的又は部分的に実現されてもよいであろう。
【0091】
本明細書において更に説明されるように、動力工具1の異なる電子ユニットは、1つ以上の電子通信バス(elecronic communication bus)32、35、36、39を介して相互に接続してもよい。従って、異なる電子ユニットは、1つ以上の電子通信バス32、35、36、39を介して相互に通信してもよい。1つ以上の電子通信バス32、35、36、39は、CAN(Controller Area Network)バス等のバスアーキテクチャを有してもよい。異なる電子ユニットは、1つ以上の電子通信バス32、35、36、39に接続する、多数のECU(Electronic Control Unit)又はノードを具備してもよい。各ECUは、動力工具1の1つのサブシステム、又は限られた数の関連サブシステムを制御するように構成されてもよい。各ECUは、データを計算するように構成されてもよい。従って、1つのECUにより計算されたデータは、電子通信バス32、35、36、39に接続する、別の全てのECUにアクセス可能であってもよい。
【0092】
前述の事項は、様々な例示的な実施の形態の例示であり、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることが、理解されるべきである。例示的な実施の形態が修正されてもよいことと、例示的な実施の形態の異なる特徴が、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるもの以外の実施の形態を作成するように組み合わせられてもよいことと、を当業者は理解するであろう。
【0093】
本明細書において使用されるように、「具備すること」又は「具備する」という用語は、制限のない形式であり、1つ以上の記載された特徴、要素、手順、構成要素又は機能を具備するが、しかし1つ以上の別の特徴、要素、手順、構成要素、機能、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
工具(3)と、
前記工具(3)に動力を供給するように構成された動力源(5)と、
スロットルレバー(7)と、
回路基板(9)と、
前記回路基板(9)に配置された構成要素(15、17、19)を具備する、ヒューマンマシンインターフェース(10)と、
前記スロットルレバー(7)に動作可能に接続された磁石(11)と、
前記磁石(11)の磁場の強度を検知するように構成されたセンサ装置(13)と、を具備する、動力工具(1)において、
前記センサ装置(13)は、前記回路基板(9)に配置される、動力工具(1)。
[態様2]
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)が、前記回路基板(9)の第1の側部(9')に配置されており、更に前記磁石(11)は、前記回路基板(9)の第2の側部(9”)において、前記回路基板(9)から離間して配置される、態様1に記載の動力工具(1)。
[態様3]
前記センサ装置(13)は、前記回路基板(9)の前記第2の側部(9”)に配置される、態様2に記載の動力工具(1)。
[態様4]
前記センサ装置(13)は、第1の検知方向(d1)及び第2の検知方向(d2)沿って前記磁石(11)の前記磁場の強度を検知するように構成され、
第2の検知方向(d2)は、前記第1の検知方向(d1)とは異なる、態様1~3のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様5]
前記第1の検知方向(d1)は、前記磁石(11)の移動経路(tp)の方向(dt)と実質的に一致する方向に伸びる、態様4に記載の動力工具(1)。
[態様6]
前記回路基板(9)は、第2の平面(p2)内において広がり、そして前記第2の検知方向(d2)は、前記第2の平面(p2)を通り伸びる、態様4又は5に記載の動力工具(1)。
[態様7]
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)は、1つ以上のボタン(15)を具備する、態様1~6のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様8]
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)は、キーパッド(17)を具備する、態様1~7のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様9]
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)の構成要素(15、17、19)は、ディスプレイ(19)を具備する、態様1~8のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様10]
前記スロットルレバー(7)は、非作動位置と作動位置との間で変位可能であり、
前記動力工具(1)は、前記スロットルレバー(7)が非作動位置から変位した時に信号を生成するように構成された、機械的スイッチ(21)を具備する、態様1~9のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様11]
前記スロットルレバー(7)は、非作動位置と作動位置との間で変位可能であり、
前記非作動位置から前記作動位置へ向かって前記スロットルレバー(7)が変位すると、前記磁石(11)の磁場が、前記センサ装置(13)の位置において及び前記センサ装置(13)の少なくとも1つの検知方向(d、d1、d2)において、極性を変化させるように、前記磁石(11)及び前記センサ装置(13)は配置される、態様1~10のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様12]
作動位置は、完全に作動された位置であり、
前記スロットルレバー(7)が前記非作動位置と前記作動位置との間において前記スロットルレバー(7)の全移動長の5%~20%の範囲内で変位する時に、前記磁石(11)の磁場が、前記センサ装置(13)の位置において及び前記センサ装置(13)の少なくとも1つの検知方向(d、d1、d2)において、極性を変化させるように、前記磁石(11)及び前記センサ装置(13)は配置される、態様11に記載の動力工具(1)。
[態様13]
前記磁石(11)は、第1の端点と第2の端点(ep1、ep2)との間の移動方向(dm)において移動可能に配置されており、
前記移動方向(dm)における前記磁石(11)の長さ(L)は、前記第1の端点と第2の端点(ep1、ep2)の間の前記磁石(11)の移動距離(23)の、50%~300%の範囲内、例えば100%~200%の範囲内、にある、態様1~12のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様14]
前記回路基板(9)は、第2の平面(p2)において広がり、前記磁石(11)は、第3の平面(p3)において移動可能に配置されており、更に前記第3の平面(p3)は、前記第2の平面(p2)に実質的に平行である、態様1~13のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様15]
前記磁石(11)は、弧に沿って移動可能に配置される、態様1~13のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様16]
前記磁石(11)は、第1の端点(ep1)と第2の端点(ep2)との間において移動可能に配置されており、そして前記動力工具(1)は、前記磁石(11)を前記第1の端点(ep1)に向かって付勢するように配置された、ばね(25)を具備する、態様1~15のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様17]
前記動力工具(1)は、密閉された筐体(27)を具備しており、
前記回路基板(9)は、前記密閉された筐体(27)内に配置される、態様1~16のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様18]
前記磁石(11)は、前記密閉された筐体(27)の外側に配置される、態様17に記載の動力工具(1)。
[態様19]
前記センサ装置(13)は、各々が前記磁石(13')の磁場の強度を検知するように構成される、少なくとも2つのセンサ(13'、13”)を具備する、態様1~18のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様20]
前記磁石(11)は、移動経路(tp)に沿って移動可能に配置されており、
前記少なくとも2つのセンサ(13'、13”)は、移動経路(tp)に実質的に垂直な第1の平面(p1)に配置される、態様19に記載の動力工具(1)。
[態様21]
前記磁石(11)の前記移動経路(tp)と一致する点(pt)において前記第1の平面(p1)で測定される、前記少なくとも2つのセンサ(13'、13”)の内の2つのセンサ(13'、13”)の間の角度(a1)は、約90度又は約180度である、態様20に記載の動力工具(1)。
[態様22]
前記センサ装置(13)は、3つのセンサ(13‘、13“、13”’)を具備しており、
前記磁石(11)の前記移動経路(tp)と一致する点(pt)において前記第1の平面(p1)で測定される、前記3つのセンサ(13‘、13“、13”’)の内の2つの隣接するセンサ(13’、13“、13”’)間の角度(a2)は、約90度又は約120度である、態様20に記載の動力工具(1)。
[態様23]
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)及び前記スロットルレバー(7)は、前記動力工具(1)の位置に配置され、片手で前記ヒューマンマシンインターフェース(10)と前記スロットルレバー(7)とを、ユーザーが同時に操作することを可能にする、態様1~22のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様24]
前記動力工具(1)は、前記センサ装置(13)からのデータに基づいて前記スロットルレバー(7)の位置を監視するように構成された、制御ユニット(29)を具備する、態様1~23のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様25]
前記制御ユニット(29)は、前記回路基板(9)に配置される、態様24に記載の動力工具(1)。
[態様26]
前記センサ装置(13)は、少なくとも2つのセンサ(13 '、13”)を具備しており、
前記制御ユニット(29)は、前記少なくとも2つのセンサ(13‘、13“)からのデータを使用して、非作動位置からの前記スロットルレバー(7)の変位を検出するように構成される、態様24又は25に記載の動力工具(1)。
[態様27]
前記動力工具(1)は、動力源制御装置(31)を具備し、
前記制御ユニット(29)は、前記動力源制御装置に動作可能に接続され、
前記動力源制御装置(31)は、前記スロットルレバー(7)の監視された位置に応じて、前記動力源(5)の動力を制御するように構成される、態様24~26のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様28]
前記動力工具(1)は、電子通信バス(32)を具備しており、そこでは
前記制御ユニット(29)は、前記電子通信バス(32)を介して前記動力源制御装置(31)に動作可能に接続する、態様27に記載の動力工具(1)。
[態様29]
前記制御ユニット(29)は、マイクロプロセッサ(33)を具備する、態様24~28のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様30]
前記マイクロプロセッサ(33)は、前記ヒューマンマシンインターフェース(10)に動作可能に接続する、態様29に記載の動力工具(1)。
[態様31]
前記回路基板(9)は、前記センサ装置(13)と前記マイクロプロセッサ(33)との間においてデータを伝送するように構成された、電子通信バス(35)を具備する、態様29又は30に記載の動力工具(1)。
[態様32]
前記ヒューマンマシンインターフェース(10)は、マイクロコントローラ(37)を具備しており、そして前記回路基板(9)は、ヒューマンマシンインターフェース(10)の前記マイクロコントローラ(37)と前記マイクロプロセッサ(33)との間でデータを伝送するように構成された、電子通信バス(39)を具備する、態様30に記載の動力工具(1)。
[態様33]
前記回路基板(9)は、外部通信ユニット(43)との間でデータを送受信するように構成された、無線通信ユニット(41)を具備する、態様1~32のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。
[態様34]
前記回路基板(9)は、少なくとも選択的に前記回路基板(9)に電力を供給するように構成された、電池(45)を具備する、態様1~33のうちいずれか一態様に記載の動力工具(1)。