(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】鉱物充填剤の新規の使用
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240605BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240605BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/34
C08K5/00
(21)【出願番号】P 2020568792
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019065229
(87)【国際公開番号】W WO2019238690
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】アブラー キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】メリ ジル
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127405(JP,A)
【文献】特開2012-180469(JP,A)
【文献】特開2002-003692(JP,A)
【文献】米国特許第08642683(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物の引掻抵抗性を改善するおよび/または熱膨張係数異方性を低減するための、前記ポリマー組成物中でのタルク、ウォラストナイトおよび有機結合剤を含む鉱物充填剤の使用であって、タルクが、セディグラフによって測定して0.5μm~2.0μmのd
50を有し、
鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比が、1:4~4:1であり、
ウォラストナイトが、レーザー散乱によって測定して1.0μm~15.0μmのd
50を有し、
鉱物充填剤が、該鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、0.1質量%~5.0質量%の有機結合剤を含む、
前記使用。
【請求項2】
前記鉱物充填剤が、該鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、25.0質量%~
70.0質量%のタルク、および25.0質量%~
70.0質量%のウォラストナイトを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記タルクが板状の粒子形態を有し、および/または前記ウォラストナイトが針形の粒子形態を有しており、前記ウォラストナイトが、1.0μm~15.0μmの平均粒径を有していてもよく、20.0μm~100.0μmの平均粒子長さを有していてもよい、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記有機結合剤が、ステアリン酸もしくはその塩、パラフィン、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、酸性基を有する脂肪酸エステルコポリマーのブレンド、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アルキルもしくはエステル変性シロキサン、アルカンスルホネート、またはそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記鉱物充填剤が、圧縮した造粒鉱物充填剤であり、前記圧縮した造粒鉱物充填剤が、ISO 787/11による、0.4g/cm
3~1.4g/cm
3のタップ密度を有していてもよい、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記圧縮した造粒鉱物充填剤が、レンガ状、ブリケット、ペレット、成形品、プリフォーム、噴霧乾燥粉末、ロッド、もしくは顆粒の形態、またはそれらの混合物である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記鉱物充填剤が、該鉱物充填剤の合計質量を基準にして、1.0質量%以下の水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリマー組成物が、ポリオレフィン;ポリプロピレンコポリマー;ポリカーボネートアロイ;ポリアミドのうちの1種以上を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
ポリマー組成物の引掻抵抗性を改善するおよび/または熱膨張係数異方性を低減する方法であって、タルク、ウォラストナイトおよび有機結合剤を含む鉱物充填剤を前記ポリマー組成物に添加することを含み、タルクが、セディグラフによって測定して0.5μm~2.0μmのd
50を有し、
鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比が、1:4~4:1であり、
ウォラストナイトが、レーザー散乱によって測定して1.0μm~15.0μmのd
50を有し、
鉱物充填剤が、該鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、0.1質量%~5.0質量%の有機結合剤を含む、
前記方法。
【請求項10】
前記鉱物充填剤が、該鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、25.0質量%~
70.0質量%のタルク、および25.0質量%~
70.0質量%のウォラストナイトを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タルクが板状の粒子形態を有し、および/または前記ウォラストナイトが針形の粒子形態を有しており、前記ウォラストナイトが、1.0μm~15.0μmの平均粒径を有していてもよく、20.0μm~100.0μmの平均粒子長さを有していてもよい、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記有機結合剤が、ステアリン酸もしくはその塩、パラフィン、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、酸性基を有する脂肪酸エステルコポリマーのブレンド、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アルキルもしくはエステル変性シロキサン、アルカンスルホネート、またはそれらの混合物から選択される、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記鉱物充填剤が、圧縮した造粒鉱物充填剤であり、前記圧縮した造粒鉱物充填剤が、ISO 787/11による、0.4g/cm
3~1.4g/cm
3のタップ密度を有していてもよい、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記圧縮した造粒鉱物充填剤が、レンガ状、ブリケット、ペレット、成形品、プリフォーム、噴霧乾燥粉末、ロッド、もしくは顆粒の形態、またはそれらの混合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記鉱物充填剤が、該鉱物充填剤の合計質量を基準にして、1.0質量%以下の水を含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー組成物が、ポリオレフィン;ポリプロピレンコポリマー;ポリカーボネートアロイ;ポリアミドのうちの1種以上を含む、請求項9~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ポリマー組成物用の鉱物充填剤であって、前記鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして:40.0質量%~60.0質量%のタルク;25.0質量%~
55.0質量%のウォラストナイト;および0.1質量%~10.0質量%の有機結合剤を含み、タルクが、セディグラフによって測定して0.5μm~2.0μmのd
50を有する、鉱物充填剤。
【請求項18】
請求項17に記載の鉱物充填剤を含むポリマー組成物。
【請求項19】
請求項18に記載のポリマー組成物を含む、製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引掻抵抗性を改善し、熱膨張係数異方性を低減するための、ポリマー組成物中でのタルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤の使用、ポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改善し、鉱物充填剤の圧密性(compactibility)を改善するための、ウォラストナイトを含む鉱物充填剤中でのタルクの使用、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤、そのような鉱物充填剤を含むポリマー組成物、ならびにそのようなポリマー組成物から形成された製品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
鉱物充填剤は、ポリマー組成物の電気的、物理的、機械的、熱的または光学的性質を改変、増強または調整するために機能性充填剤としてポリマー組成物に添加される。鉱物充填剤はまた、例えばインクまたは塗料中に増量充填剤としてポリマー組成物に添加されてもよい。例えば、タルク充填剤は、典型的には剛性を与えるためにポリマー組成物に添加され、ウォラストナイト充填剤は、典型的には強度を与えるためにポリマー組成物に添加される。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様によると、本発明は、ポリマー組成物の引掻抵抗性を改変する、例えば、改善する、および/または熱膨張係数異方性を改変する、例えば、低減するための、ポリマー組成物中でのタルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤の使用を対象とする。
第2の態様によると、本発明は、ポリマー組成物の引掻抵抗性を改変する、例えば、改善する、および/または熱膨張係数異方性を改変する、例えば低減する方法であって、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤をポリマー組成物に添加することを含む方法を対象とする。
第3の態様によると、本発明はポリマー組成物用の鉱物充填剤であって、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のタルク;約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイト;および約0.1質量%~約10.0質量%、例えば、約0.1質量%~約5.0質量%、または約0.1質量%~約1.0質量%、または約0.1質量%~約0.9質量%、または約0.3質量%~約0.7質量%の有機結合剤を含む鉱物充填剤を対象とする。
第4の態様によると、本発明は、本発明の第3の態様による鉱物充填剤を含むポリマー組成物を対象とする。
【0004】
第5の態様によると、本発明は、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤を含むポリマー組成物を含む、例えば、それから形成された、例えば、自動車構成要素である、製品を対象とする。
第6の態様によると、本発明は、ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加時にポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改変する、例えば、改善または増加させるための、ウォラストナイト含有鉱物充填剤中でのタルクの使用を対象とする。
第7の態様によると、本発明は、ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加時のポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改変する、例えば、改善または増加させる方法であって、ウォラストナイト含有鉱物充填剤にタルクを添加することを含む方法を対象とする。
第8の態様によると、本発明は、ウォラストナイト含有鉱物ブレンドの圧密性を改変する、例えば改善または増加させるための、ウォラストナイト含有鉱物ブレンド中でのタルクの使用を対象とする。
第9の態様によると、本発明は、ウォラストナイト含有鉱物ブレンドの圧密性を改変する、例えば改善または増加させる方法であって、ウォラストナイト含有鉱物ブレンドにタルクを添加することを含む方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施例に記載の幾つかの組成物の引掻抵抗性を要約するプロットである。
【
図2】実施例に記載の幾つかの組成物の引掻抵抗性を要約するプロットである。
【
図3】実施例に記載の幾つかの組成物の線熱膨張係数異方性を要約するプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
驚いたことに、ポリマー組成物に、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤を添加すると、ポリマー組成物の引掻抵抗性を改善し、熱膨張係数異方性を低減し得ることがわかった。ウォラストナイト含有鉱物充填剤へタルクを添加すると、ウォラストナイト含有鉱物充填剤の圧密性を改善(例えば、増加)することができ、ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加時にポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改善する(例えば、増加させる)ことができることもわかった。
【0007】
タルク
本明細書および添付された特許請求の範囲の全体にわたって、用語「タルク」は、ケイ酸マグネシウム鉱物、または鉱物の緑泥石(すなわちケイ酸マグネシウムアルミニウム)、またはその2種の、任意に他の鉱物、例えばドロマイトおよび/またはマグネサイトを伴う混合物、またはさらに、滑石としても知られる合成タルクのいずれかを指す。
タルクは微粉化タルクであってもよい。タルクは単峰性粒度分布を有していてもよい。タルクは、多峰性粒度分布、例えば、二峰性粒度分布を有していてもよい。タルクは陽イオン性タルクであってもよい。タルクは、微粉化タルク、単峰性タルク、二峰性タルク、陽イオン性タルクまたはその混合物のうちの1種以上を含んでもよい。
タルクは板状の粒子形態を有していてもよい。
本明細書において言及する粒度特性は、Micromeritics Instruments Corporation, Norcross, Georgia, USA( web-site:www.micromeritics.com)によって供給される「Micromeritics Sedigraph 5100装置」とも本明細書では称されるSedigraph 5100機を使用して、水性媒体中での完全分散状態の粒状充填剤または材料の沈降によって周知の方式で測定することができる。そのような機械は、当業界で「球相当径(equivalent spherical diameter)」(e.s.d)と称される大きさが所与のe.s.d値未満である粒子の測定値および累積質量パーセントのプロットを提供する。平均粒度d50は、そのd50値未満の球相当径を有する粒子が50質量%である、この方法で求められた粒子e.s.dの値である。d98、d90およびd10は、d98、d90またはd10値未満の球相当径を有する粒子がそれぞれ98質量%、90質量%および10質量%である、この方法で測定された粒子e.s.dの値である。
【0008】
粒度特性はまた、湿式Malvernレーザー散乱(標準ISO 13320-1)によって測定されてもよい。この技法において、粉末、懸濁液および乳剤中の粒子の大きさは、Mie理論の適用を基準にしてレーザー光線の回折を使用して測定することができる。そのような機械、例えばMalvern Mastersizer S(Malvern instrumentsによって供給される)は、当業界で「球相当径」(e.s.d)と称される大きさが所与のe.s.d値未満である粒子の測定値および累積体積パーセントのプロットを提供する。平均粒度d50は、、d50値未満の球相当径を有する粒子が50体積%である、この方法で測定された粒子e.s.dの値である。誤解を回避するために記すと、レーザー光散乱を使用する粒度の測定は、上で言及した沈降法と等価な方法ではない。
【0009】
本明細書において使用される場合、用語「ラメラリティ指数(lamellarity index)」は以下の比によって定義される:
【数1】
式中、「d
平均」は、湿式Malvernレーザー散乱(標準AFNOR NFX11-666またはISO 13329-1)による粒度測定によって得られる平均粒度(d
50)の値であり、「d
50」は、下記のようにセディグラフ(標準AFNOR X11-683またはISO 13317-3)を使用して、沈降によって得られるメジアン径の値である。G. Baudet and J. P. Rona, Ind. Min. Mines et Carr. Les techn. June, July 1990, pp 55-61による論文を参照することができ、この指数は、粒子の最大寸法と最小寸法の平均比と相関することを示す。
本明細書において使用される「形態係数(shape factor)」は、変動する大きさおよび形態の粒子の集団の粒径と粒子厚さの比の指標であり、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,576,617号に記載の電気伝導率法、装置および式を使用して測定される。形態係数を測定するための技法が、617号特許にさらに記述されているように、試験する配向した粒子の水性懸濁液組成物の電気伝導率は、組成物を容器に流しながら測定される。電気伝導率の測定は、容器の1つの方向に沿って、および第1の方向に対して横切る容器の別の方向に沿って得られる。2つの導電率測定の間の差を使用して、試験する粒状材料の形態係数が測定される。
【0010】
タルクは、約15.0μm以下、例えば、約10.0μm以下、または約5.0μm以下、または約3.0μm以下、または約2.0μm以下、または約1.5μm以下のd50(セディグラフによって測定)を有していてもよい。タルクは、約0.05μm以上、例えば、または約0.1μm以上、または約0.5μm以上のd50(セディグラフによる)を有していてもよい。タルクは、0.05μm~約15.0μm、例えば、約0.1μm~約10.0μm、または約0.1μm~約5.0μm、または約0.5μm~約3.0μm、または約0.5μm~約2.0μm、または約0.5μm~約1.5μm、例えば、約1.0μm、または約1.1μmのd50(セディグラフによる)を有していてもよい。タルクは、または約0.8μm~約2.0μm、または約0.9μm~約1.9μm、または約1.0μm~約1.6μm、または約1.1μm~約1.5μm、または約1.2μm~約1.4μmのd50(セディグラフによって測定)を有していてもよい。
【0011】
タルクは、約20.0μm以下、例えば、約15.0μm以下、または約10.0μm以下、または約8.0μm以下、または約6.0μm以下、または約5.0μm以下、または約4.0μm以下のd50(レーザー回折によって測定)を有していてもよい。タルクは、約0.05μm以上、例えば、または約0.1μm以上、または約0.5μm以上、または1.0μm以上、または約2.0μm以上、または約3.0μm以上、または約4.0μm以上のd50(レーザー回折によって)を有していてもよい。タルクは、0.05μm~約20.0μm、例えば、約0.1μm~約15.0μm、または約0.1μm~約10.0μm、または約0.5μm~約10.0μm、または約0.5μm~約8.0μm、または約1.0μm~約6.0μm、または約2.0μm~約8.0μm、または約2.0μm~約6.0μm、または約3.0μm~約6.0μm、または約3.0μm~約5.0μm、または約4.0μm~約6.0μm、例えば、約3.9μm、約4.0μm、約5.0μmのd50(レーザー回折による)を有していてもよい。タルクは、約3.0μm~約4.5μm、または約3.5μm~約4.5μm、または約3.7μm~約4.3μmのd50(レーザー回折によって測定)を有していてもよい。
タルクは、約15.0μm以下、例えば、約10.0μm以下、または約85.0μm以下、または約5.0μm以下、または約4.0μm以下のd95(セディグラフによって測定)を有していてもよい。タルクは、約0.1μm以上、例えば、または約0.5μm以上、または約1.0μm以上、または約2.0μm以上、または約3.0μm以上のd95(セディグラフによって)を有していてもよい。タルクは、0.1μm~約15.0μm、例えば、約0.1μm~約8.0μm、または約0.5μm~約5.0μm、または約1.0μm~約5.0μm、または約2.0μm~約5.0μm、または約3.0μm~約4.0μm、例えば、約3.4μmのd95(セディグラフによる)を有していてもよい。
【0012】
タルクは、約20.0μm以下、例えば、約15.0μm以下、または約10.0μm以下、または約9.0μm以下、または約8.0μm以下のd95(レーザー回折によって測定)を有していてもよい。タルクは、0.1μm以上、例えば、または約0.5μm以上、または1.0μm以上、または約2.0μm以上、または約3.0μm以上、または約4.0μm以上、または約5.0μm以上、または約6.0μm以上、または約7.0μm以上のd95(レーザー回折によって)を有していてもよい。タルクは、0.1μm~約20.0μm、例えば、約0.5μm~約15.0μm、または約0.5μm~約10.0μm、または約1.0μm~約10.0μm、または約2.0μm~約10.0μm、または約3.0μm~約10.0μm、または約4.0μm~約10.0μm、または約5.0μm~約10.0μm、または約6.0μm~約9.0μm、または約7.0μm~約9.0μm、または約7.0μm~約8.0μm、例えば、約7.0μm、または約8.0μm、または約7.8μmのd95(レーザー回折による)を有していてもよい。
【0013】
タルクは、15以上、例えば、20以上、または30以上、または40以上、または50以上、または60以上、または70以上、例えば、80以上または90以上の形態係数を有していてもよい。ある実施形態において、タルク粒子は、150以下、例えば130以下、例えば110以下の形態係数を有する。ある実施形態において、形態係数は、15~150、または15~130、または15~110、または30~150、または30~130、または30~110、または40~150、または40~130、または40~110、または70~150、または70~130または70~110である。そのような実施形態において、タルクは、約15.0μm以下、例えば、約10.0μm以下、または約5.0μm以下、例えば、約0.5~5.0μm、約1.0~4.0μm、約1.0~3.0μmのd50(セディグラフによって測定)を有していてもよい。
【0014】
タルクは、少なくとも約2.2、例えば、少なくとも約2.4、または少なくとも約2.6、または少なくとも約2.8のラメラリティ指数を有していてもよい。ある実施形態において、タルクは、約5.0以下、例えば、約4.0以下、または約3.0以下のラメラリティ指数を有する。ある実施形態において、タルクは、約2.2~約5.0、例えば、約2.2~約4.0、または約2.2~約3.0、例えば、約2.4~約4.0、または約2.4~約3.0、または約2.6~約4.0、または約2.6~約3.0、または約2.8~約4.0または約2.8~約3.0、例えば、約2.9のラメラリティ指数を有する。そのような実施形態において、タルクは、約15.0μm以下、例えば、約10.0μm以下、または約5.0μm以下、例えば、約0.05~5.0μm、または約0.1~4.0μm、または約0.5~2.0μmのd50(セディグラフによって測定)を有していてもよい。
鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約90.0質量%以下、例えば、約85.0質量%以下、または約80.0質量%以下、または約75.0質量%以下、または約70.0質量%以下、または約65.0質量%以下、または約60.0質量%以下、または約55.0質量%以下、または約50.0質量%以下、または約45.0質量%以下、または約40.0質量%以下、または約35.0質量%以下、または約30.0質量%以下、または約25.0質量%以下、または約20.0質量%以下、または約15.0質量%以下、または約10.0質量%以下のタルクを含んでもよい。鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約10.0質量%以上、例えば、約15.0質量%以上、または約20.0質量%以上、または約25.0質量%以上、または約30.0質量%以上、または約35.0質量%以上、または約40.0質量%以上、または約45.0質量%以上、または約50.0質量%以上、または約55.0質量%以上、または約60.0質量%以上、または約65.0質量%以上、または約70.0質量%以上、または約75.0質量%以上、または約80.0質量%以上、または約85.0質量%以上、または約90.0質量%以上のタルクを含んでもよい。鉱物充填剤は鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約10.0質量%~約90.0質量%、例えば、約25.0質量%~約75.0質量%、または約40.0質量%~約60.0質量%、または約45.0質量%~約55.0質量%のタルクを含んでもよい。
【0015】
ウォラストナイト
本明細書および添付された特許請求の範囲の全体にわたって、用語「ウォラストナイト」は、カルシウムを置換する少量の鉄、マグネシウムおよび/またはマンガンを含んでいてもよいイノケイ酸カルシウム鉱物(CaSiO3)を指す。ウォラストナイトはまた、ガーネット、ベスブ石、透輝石、透角閃石、緑簾石、斜長石、長石、輝石および方解石などの随伴鉱物(associated mineral)を含んでいてもよい。
ウォラストナイトは細かく分割されたウォラストナイトであってもよい。ウォラストナイトは単峰性粒度分布を有していてもよい。ウォラストナイトは、多峰性粒度分布、例えば、二峰性粒度分布を有していてもよい。
【0016】
ウォラストナイトは、約20.0μm以下、例えば、約15.0μm以下、または約10.0μm以下、または約9.0μm以下、または約8.0μm以下のd50(レーザー散乱によって測定)を有していてもよい。ウォラストナイトは、約0.1μm以上、例えば、または約1.0μm以上、または約3.0μm以上、または約5.0μm以上、または約6.0μm以上のd50(レーザー散乱による)を有していてもよい。ウォラストナイトは、0.1μm~約20.0μm、例えば、約1.0μm~約15.0μm、または約3.0μm~約10.0μm、または約5.0μm~約9.0μm、または約6.0μm~約8.0μm、例えば、約7.0μmのd50(レーザー散乱による)を有していてもよい。
ウォラストナイトは針形(すなわち、針状)の粒子形態を有していてもよい。
ウォラストナイトは、約20.0μm以下、例えば、約15.0μm以下、または約10.0μm以下の平均粒径を有していてもよい。ウォラストナイトは、約0.5μm以上、例えば、約1.0μm以上、または約3.0μm以上の平均粒径を有していてもよい。ウォラストナイトは、約0.5μm~約20.0μm、例えば、約1.0μm~約15.0μm、または約3.0μm~約10.0μmの平均粒径を有していてもよい。
【0017】
平均粒子長さは走査電子顕微鏡検査(SEM)を使用して測定することができる。ウォラストナイトは、約150.0μm以下、例えば、約100.0μm以下、または約80.0μm以下の平均粒子長さを有していてもよい。ウォラストナイトは、約10.0μm以上、例えば、約20.0μm以上、または約30.0μm以上、または約40.0μm以上の平均粒子長さを有していてもよい。ウォラストナイトは、約10.0μm~約150.0μm、例えば、約20.0μm~約100.0μm、または約30.0μm~約80.0μm、または約40.0μm~約80.0μmの平均粒径を有していてもよい。
鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約90.0質量%以下、例えば、約85.0質量%以下、または約80.0質量%以下、または約75.0質量%以下、または約70.0質量%以下、または約65.0質量%以下、または約60.0質量%以下、または約55.0質量%以下、または約50.0質量%以下、または約45.0質量%以下、または約40.0質量%以下、または約35.0質量%以下、または約30.0質量%以下、または約25.0質量%以下、または約20.0質量%以下、または約15.0質量%以下、または約10.0質量%以下のウォラストナイトを含んでもよい。鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約10.0質量%以上、例えば、約15.0質量%以上、または約20.0質量%以上、または約25.0質量%以上、または約30.0質量%以上、または約35.0質量%以上、または約40.0質量%以上、または約45.0質量%以上、または約50.0質量%以上、または約55.0質量%以上、または約60.0質量%以上、または約65.0質量%以上、または約70.0質量%以上、または約75.0質量%以上、または約80.0質量%以上、または約85.0質量%以上、または約90.0質量%以上のウォラストナイトを含んでもよい。鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約10.0質量%~約90.0質量%、例えば、約25.0質量%~約75.0質量%、または約40.0質量%~約60.0質量%、または約45.0質量%~約55.0質量%のウォラストナイトを含んでもよい。
【0018】
有機結合剤
鉱物充填剤は有機結合剤を含んでもよい。有機結合剤は、ステアリン酸もしくはその塩、パラフィン、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、酸性基を有する脂肪酸エステルコポリマーのブレンド、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アルキルもしくはエステル変性シロキサン、アルカンスルホネート、またはその混合物から選択されてもよい。ステアリン酸塩は、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸亜鉛から選択されてもよい。
【0019】
鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約10.0質量%以下、例えば、約9.0質量%以下、または約8.0質量%以下、または約7.0質量%以下、または約6.0質量%以下、または約5.0質量%以下、または約4.0質量%以下、または約3.0質量%以下、または約2.0質量%以下、または約1.0質量%以下、または約0.9質量%以下、または約0.8質量%以下、または約0.7質量%以下、または約0.6質量%以下、または約0.5質量%以下の有機結合剤を含んでもよい。鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約0.05質量%以上、例えば、約0.1質量%以上、または約0.3質量%以上、または約0.4質量%以上、または約0.5質量%以上の有機結合剤を含んでもよい。鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約0.05質量%~約10.0質量%、例えば、約0.1質量%~約7.0質量%、または約0.1質量%~約5.0質量%、または約0.05質量%~約1.0質量%、または約0.1質量%~約1.0質量%、または約0.05質量%~約0.9質量%、または約0.1質量%~約0.9質量%、または約0.5質量%~約0.9質量%、または約0.1質量%~約0.5質量%、または約0.3質量%~約0.7質量%、または約0.4質量%~約0.6質量%の有機結合剤を含んでもよい。
【0020】
鉱物充填剤
鉱物充填剤は、典型的にはタルクおよびウォラストナイトの両方を含み、有機結合剤を含んでもよい。鉱物充填剤はさらに水を含んでもよい。
鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比は、約4:1以下、例えば、約3:1以下、または約2:1以下、または約3:2以下、または約1:1以下であってもよい。鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比は、約1:4以上、例えば、約1:3以上、または約1:2以上、または約2:3以上、または約1:1以上の比であってもよい。鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比は、約1:4~約4:1、例えば、約1:3~約3:1、または約1:2~約2:1、または約2:3~約3:2であってもよい。鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比は、約1:1であってもよい。
鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約25.0質量%~約75.0質量%のタルクおよび約25.0質量%~約75.0質量%のウォラストナイト、例えば約40.0質量%~約60.0質量%のタルクおよび約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイト、または約45.0質量%~約55.0質量%のタルクおよび約45.0質量%~約55.0質量%のウォラストナイトを含んでもよい。
【0021】
鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約25.0質量%~約75.0質量%のタルク、約25.0質量%~約75.0質量%のウォラストナイトおよび約0.1質量%~約10.0質量%の有機結合剤、例えば約40.0質量%~約60.0質量%のタルク、約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイトおよび約0.1質量%~約7.0質量%の有機結合剤、または約45.0質量%~約55.0質量%のタルク、約45.0質量%~約55.0質量%のウォラストナイトおよび約0.1質量%~約5.0質量%の有機結合剤を含んでもよい。
鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約25.0質量%~約75.0質量%、例えば約40.0質量%~約60.0質量%のタルク;約25.0質量%~約75.0質量%、例えば約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイト;および約0.1質量%~約10.0質量%、例えば、約0.1質量%~約5.0質量%、または約0.1質量%~約1.0質量%、または約0.1質量%~約0.9質量%、または約0.3質量%~約0.7質量%の有機結合剤を含んでもよい。鉱物充填剤は、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約45.0質量%~約55.0質量%のタルク;約45.0質量%~約55.0質量%のウォラストナイト;および約0.3質量%~約0.7質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよい。
【0022】
鉱物充填剤は実質的に乾燥していてもよい。例えば、鉱物充填剤は、鉱物充填剤の合計質量を基準にして、約1.0質量%以下の水を含んでいてもよい。
鉱物充填剤は圧縮した鉱物充填剤であってもよい。鉱物充填剤は、造粒(granulated)鉱物充填剤であってもよい。鉱物充填剤は圧縮した造粒鉱物充填剤であってもよい。圧縮した造粒鉱物充填剤は、レンガ状、ブリケット、ペレット、プレス成形品(pressing)、成形品(mould)、プリフォーム、噴霧乾燥粉末、錠剤、集合体、ロッド、顆粒もしくは凝集体の形態、またはそれらの任意の混合物である鉱物充填剤であってもよい。
圧縮した造粒鉱物充填剤は、約2.0g/cm3以下、例えば、約1.8g/cm3以下、または約1.6g/cm3以下、または約1.4g/cm3以下、または約1.2g/cm3以下のISO 787/11によるタップ密度を有していてもよい。圧縮した造粒鉱物充填剤は、約0.4g/cm3以上、または約0.6g/cm3以上、または約0.8g/cm3以上の、ISO 787/11によるタップ密度を有していてもよい。圧縮した造粒鉱物充填剤は、約0.4g/cm3~約2.0g/cm3、例えば、約0.6g/cm3~約1.6g/cm3、または約0.6g/cm3~約1.4g/cm3、または約0.8g/cm3~約1.2g/cm3の、ISO 787/11によるタップ密度を有していてもよい。
【0023】
圧縮した造粒鉱物充填剤は、撹拌槽中で有機結合剤、タルクおよびウォラストナイトおよび任意に水を配合し、続いて得られた混合物をペレット化することにより生成されてもよい。混合物を造粒する方法は水を40質量%まで添加することを含んでもよい。混合物はKahlプレス中で造粒されてもよい。当業者に公知の標準ペレット化技法が用いられてもよい。方法は、加熱によるペレット化の前または後のいずれかに、混合物を乾燥することを含んでもよい。方法は、水およびタルクおよびウォラストナイトと混合する前に、有機結合剤を加熱することを含んでもよい。方法は、タルクおよびウォラストナイトと混合する前に、加熱した水に有機結合剤を添加することを含んでもよい。有機結合剤は、タルクおよびウォラストナイトと混合する前に、水と予備混合されてもよく、表面試剤は有機結合剤および水の混合物に対して添加されてもよい。
【0024】
ポリマー組成物
ポリマー組成物は典型的には1種以上のポリマーを含む。ポリマー組成物は1種以上のポリオレフィン(例えば1種以上のポリアルケン)を含んでもよい。ポリマー組成物は1種以上の熱可塑性ポリオレフィンを含んでもよい。ポリマー組成物はポリエチレンを含んでもよい。ポリマー組成物はポリプロピレンを含んでもよい。ポリマー組成物は、1種以上のポリアミド、例えば、PA6、PA66、PA11、PA12および/またはPA46を含んでもよい。ポリマー組成物は、1種以上のポリエステルまたは1種以上のポリエステル系ブレンド、例えば、ポリカーボネート、ポリカーボネート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)、および/または、ポリカーボネートポリブチレンテレフタレート(PC/PBT)を含んでもよい。ポリマー組成物は、1種以上のスチレンポリマー、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)および/またはポリスチレンを含んでもよい。ポリマー組成物は1種以上のコポリマーを含んでもよい。ポリマー組成物はポリプロピレンコポリマーを含んでもよい。ポリマー組成物はエチレン-オクテンコポリマーを含んでもよい。ポリマー組成物はポリマーブレンド、例えば相溶性のポリマーブレンドまたは混和性のポリマーブレンドを含んでもよい。ポリマー組成物は1種以上の多相コポリマーを含んでもよい。ポリマー組成物は1種以上のポリマーアロイを含んでもよい。ポリマー組成物は1種以上のポリカーボネートアロイを含んでもよい。
【0025】
ある実施形態において、ポリマー組成物は1種以上の熱可塑性ポリオレフィンを含む。
ある実施形態において、ポリマー組成物はポリプロピレンを含む。ある実施形態において、ポリマー組成物はポリプロピレンコポリマーを含む。
ポリマー組成物は、1種以上のポリマーを鉱物充填剤と配合することによって作製されてもよい。配合それ自体は、高分子加工および製造の当業者によく知られている技法であり、溶融状態のポリマーおよび任意選択の添加剤を混合および/またはブレンドすることによってプラスチック配合物を調製することからなる。配合が、構成要素が溶解する温度未満で行われるブレンドまたは混合過程とは異なることは当業界で理解される。配合は、例えば、マスターバッチ組成物を形成するために使用されてもよい。配合は、例えば、さらなるポリマー組成物を形成するためにポリマーにマスターバッチ組成物を添加することを含んでもよい。
【0026】
ポリマー組成物は、例えば、押出されてもよい。例えば、配合は、スクリュー、二軸スクリュー、コンパウンダー、例えば、Baker Perkins25mm二軸スクリューコンパウンダーを使用して実行されてもよい。例えば、配合は、多重ロールミル、例えば二本ロールミルを使用して実行されてもよい。例えば、配合はコニーダーまたは密閉式混合機を使用して実行されてもよい。本明細書において開示した方法は、例えば、圧縮成形または射出成形を含んでもよい。ポリマー、および/または鉱物充填剤、および/または、任意選択の添加剤は予備混合されて、単一ホッパーから供給されてもよい。
例えば、結果として得られた溶融物は、例えば、水浴中で冷却されて、次いでペレット化されてもよい。結果として得られた溶融物はカレンダー加工されてシートまたはフィルムを形成してもよい。
ポリマー組成物から所望の形または物品が成形されてもよい。ポリマー組成物の成形は、例えば、組成物を加熱して軟化することを含んでもよい。ポリマー組成物は、例えば、成形(例えば、圧縮成形、射出成形、延伸ブロー成形、射出ブロー成形、オーバーモールディング)押出し、注型または熱成形により成形されてもよい。
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約50質量%以下、例えば、約40質量%以下、または約30質量%以下、または約25質量%以下、または約20質量%以下の鉱物充填剤を含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%以上、例えば、約5質量%以上、または約10質量%以上、または約15質量%以上、または約20質量%以上の鉱物充填剤を含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%~約50質量%、例えば、約5質量%~約40質量%、または約5質量%~約30質量%、または約10質量%~約30質量%、または約15質量%~約25質量%の鉱物充填剤を含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約20質量%の鉱物充填剤を含んでもよい。
【0027】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約50質量%以下、例えば、約40質量%以下、または約30質量%以下、または約25質量%以下、または約20質量%以下のタルクおよびウォラストナイトを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%以上、例えば、約5質量%以上、または約10質量%以上、または約15質量%以上、または約20質量%以上のタルクおよびウォラストナイトを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%~約50質量%、例えば、約5質量%~約40質量%、または約5質量%~約30質量%、または約10質量%~約30質量%、または約15質量%~約25質量%のタルクおよびウォラストナイトを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約20質量%のタルクおよびウォラストナイトを含んでもよい。
【0028】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約50質量%以下、例えば、約40質量%以下、または約30質量%以下、または約25質量%以下、または約20質量%以下の鉱物充填剤を含んでもよく、鉱物充填剤は、約2:1~約1:2、例えば、約1:1の質量比のタルクおよびウォラストナイトを含む。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%以上、例えば、約5質量%以上、または約10質量%以上、または約15質量%以上、または約20質量%以上の鉱物充填剤を含んでもよく、鉱物充填剤は、約2:1~約1:2、例えば、約1:1の質量比のタルクおよびウォラストナイトを含む。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%~約50質量%、例えば、約5質量%~約40質量%、または約5質量%~約30質量%、または約10質量%~約30質量%、または約15質量%~約25質量の鉱物充填剤を含んでもよく、鉱物充填剤は、約2:1~約1:2、例えば、約1:1の質量比のタルクおよびウォラストナイトを含む。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約20質量%の鉱物充填剤を含んでもよく、鉱物充填剤は、約2:1~約1:2、例えば、約1:1の質量比のタルクおよびウォラストナイトを含む。
【0029】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約30質量%以下、例えば、または約25質量%以下、または約20質量%以下、約15質量%以下、または約13質量%以下、または約12質量%以下、または約11質量%以下、または約10質量%以下のタルクを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%以上、例えば、約5質量%以上、または約8質量%以上、または約9質量%以上、または約10質量%以上のタルクを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%~約30質量%、例えば、約1質量%~約25質量%、または約1質量%~約20質量%、または約1質量%~約15質量%、または約5質量%~約20質量%、または約5質量%~約15質量%、または約8質量%~約12質量%、または約9質量%~約11質量%、例えば、約10質量%のタルクを含んでもよい。
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約30質量%以下、例えば、または約25質量%以下、または約20質量%以下、約15質量%以下、または約13質量%以下、または約12質量%以下、または約11質量%以下、または約10質量%以下のウォラストナイトを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%以上、例えば、約5質量%以上、または約8質量%以上、または約9質量%以上、または約10質量%以上のウォラストナイトを含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%~約30質量%、例えば、約1質量%~約25質量%、または約1質量%~約20質量%、または約1質量%~約15質量%、または約5質量%~約20質量%、または約5質量%~約15質量%、または約8質量%~約12質量%、または約9質量%~約11質量%、例えば、約10質量%のウォラストナイトを含んでもよい。
【0030】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にしてポリマー組成物の合計質量を基準にして、約1質量%~約30質量%のタルクおよび約1質量%~約30質量%のウォラストナイト、例えば、約1質量%~約25質量%のタルクおよび約1質量%~約25質量%のウォラストナイト、または約1質量%~約20質量%のタルクおよび約1質量%~約20質量%のウォラストナイト、または約1質量%~約15質量%のタルクおよび約1質量%~約15質量%のウォラストナイト、または約5質量%~約20質量%のタルクおよび約5質量%~約20質量%のウォラストナイト、または約5質量%~約15質量%のタルクおよび約5質量%~約15質量%のウォラストナイト、または約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイト、または約9質量%~約11質量%のタルクおよび約9質量%~約11質量%のウォラストナイト、例えば、約10質量%のタルクおよび約10質量%のウォラストナイトを含んでもよい。
【0031】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約2.0質量%以下、例えば、約1.5質量%以下、または約1.0質量%以下、または約0.5質量%以下、または約0.1質量%以下、または約0.09質量%以下の有機結合剤を含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約0.01質量%以上、例えば、約0.05質量%以上、または約0.1質量%以上の有機結合剤を含んでもよい。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、または約0.01質量%~約1.0質量%、または約0.01質量%~約0.5質量%、または約0.01質量%~約0.1質量%、または約0.01質量%~約0.09質量%、または約0.05質量%~約2.0質量%、または約0.05質量%~約1.0質量%、または約0.05質量%~約0.1質量%、または約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤を含んでもよい。
【0032】
ポリマー組成物はポリマー組成物の合計質量を基準にして、以下のように含んでもよい:約1質量%~約30質量%のタルクおよび約1質量%~約30質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;例えば、約1質量%~約25質量%のタルクおよび約1質量%~約25質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約1質量%~約20質量%のタルクおよび約1質量%~約20質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約1質量%~約15質量%のタルクおよび約1質量%~約15質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約5質量%~約20質量%のタルクおよび約5質量%~約20質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約5質量%~約15質量%のタルクおよび約5質量%~約15質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約9質量%~約11質量%のタルクおよび約9質量%~約11質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤;または約10質量%のタルクおよび約10質量%のウォラストナイトおよび約0.01質量%~約2.0質量%、例えば、約0.01質量%~約1.5質量%、もしくは約0.01質量%~約1.0質量%、もしくは約0.01質量%~約0.5質量%、もしくは約0.01質量%~約0.1質量%、もしくは約0.01質量%~約0.09質量%、もしくは約0.05質量%~約2.0質量%、もしくは約0.05質量%~約1.0質量%、もしくは約0.05質量%~約0.1質量%、もしくは約0.05質量%~約0.09質量%の有機結合剤。
【0033】
ポリマー組成物はポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルク;約8質量%~約12質量%のウォラストナイト;および約0.02質量%~約0.18質量%、例えば、約0.06質量%~約0.14質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよい。
【0034】
性質
ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重で測定して約4.0以下、例えば、または約3.5以下、または約3.4以下、または約3.3以下、または約3.2以下、または約3.1以下、または約3.0以下、または約2.9以下、または約2.8以下、または約2.7以下、または約2.6以下、または約2.5以下、または約2.4以下、または約2.3以下、または約2.2以下、または約2.1以下、または約2.0以下の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重で測定して約0.1以上、例えば、約0.5以上、または約1.0以上の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重で測定して約0.1~約4.0、例えば、約0.1~約3.5、または約0.1~約3.0、または約0.1~約2.8、または約0.1~約2.6、または約0.1~約2.5、または約0.1~約2.4、または約0.1~約2.3、または約0.1~約2.2、または約0.1~約2.1、または約0.1~約2.0、または約0.5~約3.0、約0.5~約2.8、または約0.5~約2.6、または約0.5~約2.5、または約0.5~約2.4、または約0.5~約2.3、または約0.5~約2.2、または約0.5~約2.1、または約0.5~約2.0、または約1.0~約3.0、約1.0~約2.8、または約1.0~約2.6、または約1.0~約2.5、または約1.0~約2.4、または約1.0~約2.3、または約1.0~約2.2、または約1.0~約2.1、または約1.0~約2.0の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。
【0035】
ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重でポリマー組成物の標準小板試料について測定して約3.0以下、例えば、約2.9以下、または約2.8以下、または約2.7以下、または約2.6以下、または約2.5以下、または約2.4以下、または約2.3以下、または約2.2以下、または約2.1以下、または約2.0以下の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重でポリマー組成物の標準小板試料で測定して約0.1以上、例えば、約0.5以上、または約1.0以上の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重でポリマー組成物の標準(すなわち、滑らかまたはざらざらしていない)小板試料で測定して約0.1~約3.0、例えば、約0.1~約2.8、または約0.1~約2.6、または約0.1~約2.5、または約0.1~約2.4、または約0.1~約2.3、または約0.1~約2.2、または約0.1~約2.1、または約0.1~約2.0、または約0.5~約3.0、約0.5~約2.8、または約0.5~約2.6、または約0.5~約2.5、または約0.5~約2.4、または約0.5~約2.3、または約0.5~約2.2、または約0.5~約2.1、または約0.5~約2.0、または約1.0~約3.0、約1.0~約2.8、または約1.0~約2.6、または約1.0~約2.5、または約1.0~約2.4、または約1.0~約2.3、または約1.0~約2.2、または約1.0~約2.1、または約1.0~約2.0の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。
【0036】
ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重でポリマー組成物のざらざらした小板試料で測定して約4.0以下、例えば、または約3.5以下、または約3.4以下、または約3.3以下、または約3.2以下、または約3.1以下、または約3.0以下、または約2.9以下、または約2.8以下、または約2.7以下、または約2.6以下、または約2.5以下、または約2.4以下、または約2.3以下、または約2.2以下、または約2.1以下、または約2.0以下の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重でポリマー組成物のざらざらした小板試料について測定して約0.1以上、例えば、約0.5以上、または約1.0以上の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ポリマー組成物は、GMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって10Nの荷重でポリマー組成物のざらざらした小板試料について測定して約0.1~約4.0、例えば、約0.1~約3.5、または約0.1~約3.0、または約0.1~約2.8、または約0.1~約2.6、または約0.1~約2.5、または約0.1~約2.4、または約0.1~約2.3、または約0.1~約2.2、または約0.1~約2.1、または約0.1~約2.0、または約0.5~約3.0、約0.5~約2.8、または約0.5~約2.6、または約0.5~約2.5、または約0.5~約2.4、または約0.5~約2.3、または約0.5~約2.2、または約0.5~約2.1、または約0.5~約2.0、または約1.0~約3.0、約1.0~約2.8、または約1.0~約2.6、または約1.0~約2.5、または約1.0~約2.4、または約1.0~約2.3、または約1.0~約2.2、または約1.0~約2.1、または約1.0~約2.0の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。ざらざらした小板試料は、細かく粗化(例えばPSA P100)または粗く粗化(例えばVW K59)されてもよい。
【0037】
Erichsen引掻試験において、半径(0.5±0.01)mmの研磨したボール形末端の円筒状硬質金属ペンを有するErichsen引掻試験器を使用して、定められた機械的負荷の下で材料試料の表面にクロスハッチパターンの掻き傷を付ける。40mm以上の表面にわたってペンで(1000±50)mm/分の速度で掻き傷を付ける。掻き傷を付けた領域の明度または輝度
【数2】
(CIELAB色空間のL*の項を測定する)は、掻き傷を付けていない領域の明度
【数3】
と比較して次のように定義される引掻抵抗性パラメーターΔL
*の項の掻き傷を付けた領域の視認性を定量する:
【数4】
【0038】
明度値はISO 7724の必要条件を満たす分光光度計、例えば、D65光源および色空間CIE LAB(1976)を有するKonica Minolta CM-3700d分光光度計を使用して測定することができる。引掻は、ΔL*のより高い値を有する材料でより目立ち、結果的に、そのような材料はより少ない引掻抵抗性であることとして記載される。
【0039】
射出成型された材料の熱膨張係数異方性は、材料の射出成型された試料について測定された平行熱膨張係数(すなわち射出成形過程中の塑性流動の方向に対して平行に測定された線熱膨張係数)と垂直熱膨張係数(すなわち、射出成形過程中の塑性流動の方向に対して垂直に測定した線熱膨張係数)の間の差である。ポリマー組成物の(すなわちポリマー組成物の射出成型された試料の)熱膨張係数異方性は、約10x10-6C-1以下、例えば、約9x10-6C-1以下、または約8x10-6C-1以下、または約7x10-6C-1以下、または約6x10-6C-1以下、または約5x10-6C-1以下、または約4x10-6C-1以下、または約3x10-6C-1以下、または約2x10-6C-1以下、または約1x10-6C-1以下であってもよい。ポリマー組成物の(すなわちポリマー組成物の射出成型された試料の)熱膨張係数異方性は、約0.1x10-6C-1以上、例えば、約1x10-6C-1以上の異方性であってもよい。ポリマー組成物の(すなわちポリマー組成物の射出成型された試料の)熱膨張係数異方性は、約0.1x10-6C-1~約10x10-6C-1、例えば、約0.1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約2x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約1x10-6C-1、約1x10-6C-1~約10x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約2x10-6C-1であってもよい。
【0040】
材料の射出成型された試料の熱膨張係数異方性は、射出成形中の塑性流動方向と平行および垂直な2つの軸に沿った試料の膨張の測定により試料を23℃の最初の開始温度から加熱して2つの歪みゲージ、およびデータロガーに接続された1つの温度センサーを使用して求めることができる。寸法50mm×50mmの材料の試料小板が使用されてもよい。試料は、23℃の開始温度から70℃の終了温度まで1℃/分から2℃/分の間の加熱速度で加熱されてもよい。線熱膨張係数αは、次に従って平行および垂直の方向のそれぞれに求めることができる:
【数5】
式中、Lは、平行または垂直方向それぞれの試料の最初の長さであり、
【数6】
は、温度の変化に対して前記方向の試料の長さの変化率である。熱膨張係数異方性は、平行および垂直の方向で測定された線熱膨張係数間の差として求めることができる。
【0041】
熱膨張係数異方性の測定前に、試料は、少なくとも80℃に4時間アニールし、その後、室温に冷ましてもよい。アニーリングは試料の射出成形の少なくとも48時間後に実行されるべきである。
ポリマー組成物は、約2.70GPa以下、例えば、約2.65GPa以下、または約2.60GPa以下、または約2.55GPa以下、または約2.50GPa以下の曲げ弾性率を有していてもよい。ポリマー組成物は約2.00GPa以上、例えば、約2.20GPa以上、または約2.40GPa以上の曲げ弾性率を有していてもよい。ポリマー組成物は約2.00GPa~約2.70GPa、例えば、約2.00GPa~約2.65GPa、または約2.00GPa~約2.60GPa、または約2.00GPa~約2.55GPa、または約2.00GPa~約2.50GPa、または約2.20GPa~約2.70GPa、または約2.20GPa~約2.60GPa、または約2.20GPa~約2.50GPa、または約2.40GPa~約2.70GPa、または約2.40GPa~約2.60GPa、または約2.40GPa~約2.50GPaの曲げ弾性率を有していてもよい。
【0042】
用語「曲げ弾性率」は、屈曲変形または曲げ加工時に測定された場合の材料の弾性率を指す。材料の曲げ弾性率は、フックの法則が当てはまるような相対的に低い歪みで測定される場合(すなわち応力歪みプロットの線形領域で)、材料の試料の屈曲試験(例えば、ISO 178による)中に測定される応力と歪みの比として求められる。
ポリマー組成物は、ISO 179-1/1fUに従ってシャルピー衝撃試験によって-20℃の温度で測定して、約50kJ/m2以下、例えば、約45kJ/m2以下、または約40kJ/m2以下、または約35kJ/m2以下の耐衝撃性(「衝撃エネルギー」または「衝撃強さ」とも称される)を有していてもよい。ポリマー組成物は、約25kJ/m2以上、例えば、約30kJ/m2以下の、ISO 179-1/1fUに従ってシャルピー衝撃試験によって-20℃の温度で測定される耐衝撃性を有していてもよい。ポリマー組成物は、約25kJ/m2~約50kJ/m2、例えば、約25kJ/m2~約45kJ/m2、または約25kJ/m2~約40kJ/m2、または約25kJ/m2~約35kJ/m2、または約30kJ/m2~約50kJ/m2、または約30kJ/m2~約45kJ/m2、または約30kJ/m2~約40kJ/m2、または約30kJ/m2~約35kJ/m2のISO 179-1/1fUに従ってシャルピー衝撃試験によって-20℃の温度で測定される耐衝撃性を有していてもよい。
【0043】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイトを含んでもよく、ポリマー組成物は、約0.1~約4.0、例えば、約0.1~約3.5、または約0.1~約3.0、または約0.1~約2.6、または約0.1~約2.5、または約0.1~約2.4、または約0.1~約2.3、または約0.1~約2.2、または約0.1~約2.1、または約0.1~約2.0、または約0.5~約3.0、約0.5~約2.8、または約0.5~約2.6、または約0.5~約2.5、または約0.5~約2.4、または約0.5~約2.3、または約0.5~約2.2、または約0.5~約2.1、または約0.5~約2.0、または約1.0~約3.0、約1.0~約2.8、または約1.0~約2.6、または約1.0~約2.5、または約1.0~約2.4、または約1.0~約2.3、または約1.0~約2.2、または約1.0~約2.1、または約1.0~約2.0の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。
【0044】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイトを含んでもよく、ポリマー組成物(すなわちポリマー組成物の射出成型された試料の)は、約0.1x10-6C-1~約10x10-6C-1、例えば、約0.1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約2x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約1x10-6C-1、約1x10-6C-1~約10x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約2x10-6C-1の熱膨張係数異方性を有していてもよい。
【0045】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイトを含んでもよく、ポリマー組成物は、約2.00GPa~約2.70GPa、例えば、約2.00GPa~約2.65GPa、または約2.00GPa~約2.60GPa、または約2.00GPa~約2.55GPa、または約2.00GPa~約2.50GPa、または約2.20GPa~約2.70GPa、または約2.20GPa~約2.60GPa、または約2.20GPa~約2.50GPa、または約2.40GPa~約2.70GPa、または約2.40GPa~約2.60GPa、または約2.40GPa~約2.50GPaの曲げ弾性率を有していてもよい。
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイトを含んでもよく、ポリマー組成物は、シャルピー衝撃試験によって-22℃の温度で測定して、約25kJ/m2~約50kJ/m2、例えば、約25kJ/m2~約45kJ/m2、または約25kJ/m2~約40kJ/m2、または約25kJ/m2~約35kJ/m2、または約30kJ/m2~約50kJ/m2、または約30kJ/m2~約45kJ/m2、または約30kJ/m2~約40kJ/m2、または約30kJ/m2~約35kJ/m2の耐衝撃性を有していてもよい。
【0046】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイト、ならびに約0.02質量%~約2.0質量%、例えば、約0.02質量%~約1.0質量%、または約0.02質量%~約0.18質量%、または約0.06質量%~約0.14質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよく、ポリマー組成物は、約0.1~約4.0、例えば、約0.1~約3.5、または約0.1~約3.0、または約0.1~約2.8、または約0.1~約2.6、または約0.1~約2.5、または約0.1~約2.4、または約0.1~約2.3、または約0.1~約2.2、または約0.1~約2.1、または約0.1~約2.0、または約0.5~約3.0、約0.5~約2.8、または約0.5~約2.6、または約0.5~約2.5、または約0.5~約2.4、または約0.5~約2.3、または約0.5~約2.2、または約0.5~約2.1、または約0.5~約2.0、または約1.0~約3.0、約1.0~約2.8、または約1.0~約2.6、または約1.0~約2.5、または約1.0~約2.4、または約1.0~約2.3、または約1.0~約2.2、または約1.0~約2.1、または約1.0~約2.0の引掻抵抗性、ΔL*を有していてもよい。
【0047】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイト、ならびに約0.02質量%~約2.0質量%、例えば、約0.02質量%~約1.0質量%、または約0.02質量%~約0.18質量%、または約0.06質量%~約0.14質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよく、ポリマー組成物(すなわちポリマー組成物の射出成型された試料の)は、約0.1x10-6C-1~約10x10-6C-1、例えば、約0.1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約2x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約1x10-6C-1、約1x10-6C-1~約10x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約2x10-6C-1の熱膨張係数異方性を有していてもよい。
【0048】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイト、ならびに約0.02質量%~約2.0質量%、例えば、約0.02質量%~約1.0質量%、または約0.02質量%~約0.18質量%、または約0.06質量%~約0.14質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよく、ポリマー組成物は、約2.00GPa~約2.70GPa、例えば、約2.00GPa~約2.65GPa、または約2.00GPa~約2.60GPa、または約2.00GPa~約2.55GPa、または約2.00GPa~約2.50GPa、または約2.20GPa~約2.70GPa、または約2.20GPa~約2.60GPa、または約2.20GPa~約2.50GPa、または約2.40GPa~約2.70GPa、または約2.40GPa~約2.60GPa、または約2.40GPa~約2.50GPaの曲げ弾性率を有していてもよい。
【0049】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイト、ならびに約0.02質量%~約2.0質量%、例えば、約0.02質量%~約1.0質量%、または約0.02質量%~約0.18質量%、または約0.06質量%~約0.14質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよく、ポリマー組成物は、約25kJ/m2~約50kJ/m2、例えば、約25kJ/m2~約45kJ/m2、または約25kJ/m2~約40kJ/m2、または約25kJ/m2~約35kJ/m2、または約30kJ/m2~約50kJ/m2、または約30kJ/m2~約45kJ/m2、または約30kJ/m2~約40kJ/m2、または約30kJ/m2~約35kJ/m2の、ISO 179-1/1fUに従ってシャルピー衝撃試験によって-20℃の温度で測定される耐衝撃性を有していてもよい。
【0050】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計質量を基準にして、約8質量%~約12質量%のタルクおよび約8質量%~約12質量%のウォラストナイト、ならびに約0.02質量%~約2.0質量%、例えば、約0.02質量%~約1.0質量%、または約0.02質量%~約0.18質量%、または約0.06質量%~約0.14質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含んでもよく、ポリマー組成物は、約0.1~約4.0、例えば、約0.1~約3.5、または約0.1~約3.0、または約0.1~約2.8、または約0.1~約2.6、または約0.1~約2.5、または約0.1~約2.4、または約0.1~約2.3、または約0.1~約2.2、または約0.1~約2.1、または約0.1~約2.0、または約0.5~約3.0、約0.5~約2.8、または約0.5~約2.6、または約0.5~約2.5、または約0.5~約2.4、または約0.5~約2.3、または約0.5~約2.2、または約0.5~約2.1、または約0.5~約2.0、または約1.0~約3.0、約1.0~約2.8、または約1.0~約2.6、または約1.0~約2.5、または約1.0~約2.4、または約1.0~約2.3、または約1.0~約2.2、または約1.0~約2.1、または約1.0~約2.0の引掻抵抗性、ΔL*、および約0.1x10-6C-1~約10x10-6C-1、例えば、約0.1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約2x10-6C-1、または約0.1x10-6C-1~約1x10-6C-1、約1x10-6C-1~約10x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約9x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約8x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約7x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約6x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約5x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約4x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約3x10-6C-1、または約1x10-6C-1~約2x10-6C-1の熱膨張係数異方性を有していてもよい。
【0051】
例えば、鉱物充填剤とのポリマー組成物の押出し時に、ウォラストナイト含有鉱物充填剤(例えば、タルクなしの、ウォラストナイト含有鉱物充填剤)へタルクを添加すると、ウォラストナイト含有鉱物充填剤(例えば、タルク添加前のタルクなしの、ウォラストナイト含有鉱物充填剤)をポリマー組成物に組み入れることができる比率に対して、約25%も、例えば、約50%も、または約75%も、または約100%も、または約125%も、または約140%も鉱物充填剤がポリマー組成物に組み入れることができる比率を増加させることができる。例えば、鉱物充填剤とのポリマー組成物の押出し時に、ウォラストナイト含有鉱物充填剤(例えば、タルクなしの、ウォラストナイト含有鉱物充填剤)へタルクを添加すると、ウォラストナイト含有鉱物充填剤(例えば、タルク添加前のタルクなしの、ウォラストナイト含有鉱物充填剤)をポリマー組成物に組み入れることができる比率に対して、約300%以下、例えば、約250%以下、または約200%以下、または約175%以下、または約160%以下、鉱物充填剤がポリマー組成物に組み入れることができる比率を増加させることができる。例えば、鉱物充填剤とのポリマー組成物の押出し時に、ウォラストナイト含有鉱物充填剤(例えば、タルクなしの、ウォラストナイト含有鉱物充填剤)へタルクを添加すると、ウォラストナイト含有鉱物充填剤(例えば、タルク添加前のタルクなしの、ウォラストナイト含有鉱物充填剤)をポリマー組成物に組み入れることができる比率に対して、約25%~約300%、または約50%~約300%、または約75%~約300%、または約100%~約300%、または約125%~約300%、または約140%~約300%、または約140%~約200%、または約140%~約175%、または約140%~約160%、鉱物充填剤がポリマー組成物に組み入れることができる比率を増加させることができる。鉱物充填剤がポリマー組成物に組み入れられる比率は、典型的には、成功裡に組み入れることができる、単位時間当たり鉱物充填剤の質量、例えばkg/時間の単位として測定される。
【0052】
製品
製品は、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤を含むポリマー組成物を含み、例えば、それから形成されてもよい。製品は、自動車の構成要素、例えば、グリル、スポイラーまたはリフトゲートなどの自動車の内部の構成要素または自動車の外側の構成要素であってもよい。製品は電子構成要素であってもよい。
誤解を回避するために記すと、本出願は、以下の番号付きパラグラフに記載の主題を対象とする。
【0053】
1.ポリマー組成物またはポリマー組成物から形成される物品の引掻抵抗性を改善するおよび/または熱膨張係数異方性を低減するための、ポリマー組成物中でのタルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤の使用。
2.ポリマー組成物、またはポリマー組成物から形成される物品の引掻抵抗性を改善するおよび/または熱膨張係数異方性を低減する方法であって、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤をポリマー組成物に添加することを含む方法。
3.鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比が、約1:4~約4:1、例えば、約1:2~約2:1である、番号付きパラグラフ1に記載の使用または番号付きパラグラフ2に記載の方法。
4.鉱物充填剤が、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のタルク、および約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイトを含む、番号付きパラグラフ1~3のいずれか1つに記載の使用または方法。
【0054】
5.タルクが、約0.1μm~約5.0μm、例えば、約0.5μm~約2.0μmのd50(セディグラフによって測定)を有する、番号付きパラグラフ1~4のいずれか1つに記載の使用または方法。
6.ウォラストナイトが、約1.0μm~約15.0μm、例えば、約3.0μm~約10.0μmのd50(レーザー散乱によって測定)を有する、番号付きパラグラフ1~5のいずれか1つに記載の使用または方法。
7.タルクが板状の粒子形態を有する、番号付きパラグラフ1~6のいずれか1つに記載の使用または方法。
8.ウォラストナイトが、針形の粒子形態を有し、約1.0μm~約15.0μm、例えば約3.0μm~約10.0μmの平均粒径、および約20.0μm~約100.0μm、例えば約40.0μm~約80.0μmの平均粒子長さを有していてもよい、番号付きパラグラフ1~7のいずれか1つに記載の使用または方法。
【0055】
9.鉱物充填剤が、有機結合剤、例えば、ステアリン酸もしくはその塩、パラフィン、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、酸性基を有する脂肪酸エステルコポリマーのブレンド、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アルキルもしくはエステル変性シロキサン、アルカンスルホネート、またはその混合物から選択される有機結合剤を含む、番号付きパラグラフ1~8のいずれか1つに記載の使用または方法。
10.鉱物充填剤が、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約0.1質量%~約5.0質量%の有機結合剤を含む、番号付きパラグラフ9に記載の使用または方法。
11.鉱物充填剤が、圧縮した造粒鉱物充填剤、例えば、レンガ状、ブリケット、ペレット、プレス成形品、成形品、プリフォーム、噴霧乾燥粉末、錠剤、集合体、ロッド、顆粒もしくは凝集体の形態、またはそれらの任意の混合物である鉱物充填剤である、番号付きパラグラフ1~10のいずれか1つに記載の使用または方法。
【0056】
12.圧縮した造粒鉱物充填剤が、ISO 787/11による、約0.4g/cm3~約1.4g/cm3のタップ密度を有する、番号付きパラグラフ11に記載の使用または方法。
13.鉱物充填剤が、実質的に乾燥しており、例えば、鉱物充填剤の合計質量を基準にして、1.0質量%以下の水を含む、番号付きパラグラフ1~12のいずれか1つに記載の使用または方法。
14.ポリマー組成物が、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィンまたはポリエチレン;ポリカーボネートアロイ;ポリアミドのうちの1種以上を含む、番号付きパラグラフ1~13のいずれか1つに記載の使用または方法。
15.ポリマー組成物、またはポリマー組成物から形成される物品の引掻抵抗性を約3.1以下の値のΔL*に改善することを含む、および/またはポリマー組成物、またはポリマー組成物から形成される物品の熱膨張係数異方性を約10x10-6C-1以下の値に低減することを含む、番号付きパラグラフ1~14のいずれか1つに記載の使用または方法。
【0057】
16.ポリマー組成物用の鉱物充填剤であって、鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして:約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のタルク;約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイト;および約0.1質量%~約10.0質量%、例えば、約0.1質量%~約5.0質量%、または約0.1質量%~約1.0質量%、または約0.1質量%~約0.9質量%、または約0.3質量%~約0.7質量%の有機結合剤を含む鉱物充填剤。
17.有機結合剤がグリセロールモノステアレートである、番号付きパラグラフ16に記載の鉱物充填剤。
18.番号付きパラグラフ16または番号付きパラグラフ17に記載の鉱物充填剤を含むポリマー組成物であって、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン、またはポリエチレン;ポリプロピレンコポリマー;ポリカーボネートアロイ;ポリアミドのうちの1種以上を含むポリマー組成物。
19.ポリマー組成物、またはポリマー組成物から形成される物品が、約3.1以下の引掻抵抗性値、ΔL*および/または約10x10-6C-1以下の熱膨張係数異方性を有する、番号付きパラグラフ18に記載のポリマー組成物。
20.ポリマー組成物を含む、例えばポリマー組成物から形成された、製品、例えば自動車または電子用の構成要素であって、前記ポリマー組成物が、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤を含む、製品。
【0058】
21.ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加時にポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改善するための、ウォラストナイト含有鉱物充填剤中でのタルクの使用。
22.ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加時にポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改善する方法であって、ウォラストナイト含有鉱物充填剤にタルクを添加することを含む方法。
23.ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加が、ウォラストナイト含有鉱物充填剤とのポリマー組成物の押出しを含む、番号付きパラグラフ21に記載の使用または番号付きパラグラフ22に記載の方法。
24.ウォラストナイト含有鉱物ブレンドの圧密性を改善するための、ウォラストナイト含有鉱物ブレンド中でのタルクの使用。
25.ウォラストナイト含有鉱物ブレンドの圧密性を改善する方法であって、ウォラストナイト含有鉱物ブレンドにタルクを添加することを含む方法。
【実施例】
【0059】
異なる比の粉末ウォラストナイトおよび粉末タルクを組み合わせることによって、幾つかの異なる圧縮および造粒したブレンド鉱物充填剤を調製した。ウォラストナイトは7.0μmのd50(レーザーによって測定)を有し、タルクは1.0μmのd50(セディグラフによって測定)を有していた。
0.0質量%から2.0質量%(鉱物の量に加えて)の間の、グリセロールモノステアレート(GMS)またはアルカンスルホン酸ナトリウム(H)から選択される有機結合剤と予備混合した40質量%(鉱物の量に加えて)までの熱水と粉末鉱物を撹拌槽中で混合した。適切なグリセロールモノステアレートの一例はCroda International Plcから入手可能なAtmer(商標)1013である。適切なアルカンスルホン酸ナトリウムの一例は、Clariant International Ltd.から入手可能なHostastat(登録商標)HS 1FFである。結果として得られた混合物をKahlプレス中で造粒した。オーブン中で造粒混合物をペレット化し乾燥した。
3つの比較用鉱物充填剤:圧密化していない形の、粉末ウォラストナイト単品を含むもの;圧密化していない形の、粉末タルク単品を含むもの;および圧密化した形の、粉末タルク単品を含むものを調製した。最初の比較用鉱物充填剤は圧密化しなかった。タルクの比較用鉱物充填剤はいずれも40質量%の水で造粒し、ペレット化し乾燥した。
【0060】
20質量%の装填量でポリプロピレンコポリマーを、ブレンド鉱物充填剤および比較の鉱物充填剤とそれぞれ別々に押出すことによって、幾つかの異なるポリマー組成物をニ軸押出機で調製した。押出したポリマー組成物は材料試験のためのISO試料に射出成型した。
以下の材料試験結果を鉱物ブレンド中に存在するタルクとウォラストナイトの比(例えば、50/50または33/66のタルクとウォラストナイト);存在する有機結合剤(例えば、グリセロールモノステアレート(GMS)またはHostastat(登録商標)有機結合剤(H))の質量%;および造粒、ペレット化および乾燥の前に鉱物ブレンドに添加した水の質量%に従って表示する。
図1は、幾つかの異なるポリマー組成物から形成した標準小板について10Nの荷重でGMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって求めた引掻抵抗性、ΔL*を示す。タルクおよびウォラストナイトの両方を含む鉱物ブレンドを組み入れたポリマー組成物のΔL*の値は、タルク単品およびウォラストナイト単品の比較組成物のΔL*より低いことがわかった。ΔL*のより低い値は改善された引掻抵抗性と一致する(すなわち引掻視認性が低減された)。
【0061】
図2は、2つの比較ポリマー組成物、およびタルクとウォラストナイトのブレンドを組み入れた3つのポリマー組成物から形成されたざらざらした小板について10Nの荷重でGMW 14688法Aに従ってErichsen引掻試験によって求めた引掻抵抗性、ΔL*を示す。タルクおよびウォラストナイトの両方を含む鉱物ブレンドを組み入れたポリマー組成物のΔL*は、タルク単品を組み入れたポリマー組成物のΔL*の値よりかなり低く、ウォラストナイト単品を組み入れたポリマー組成物について測定した値により近いことがわかった。実際には、1:1質量比のタルクおよびウォラストナイトの両方を組み入れたポリマー組成物のΔL*は、タルク単品およびウォラストナイト単品組成物のΔL*の平均をとることによって予想されるより低いことがわかった。
【0062】
図3は、幾つかの異なるポリマー組成物から形成した射出成型試料について、平行、垂直の方向に沿って測定した線熱膨張係数を示す。平行および垂直の方向は、試料の射出成形時の塑性流動方向に関連すると定義している。アニールした試料を23℃から70℃まで1.2℃/分の速度で加熱し、2つの歪みゲージを使用して、平行および垂直の軸に沿って試料の膨張を測定することによって熱膨張係数を測定した。線熱膨張係数の平行と垂直の値の間の差が、熱膨張係数異方性の指標である。熱膨張係数異方性は、一般に、タルクおよびウォラストナイトの両方を組み入れた組成物について比較充填剤単品を組み入れた組成物の熱膨張係数異方性より低いことがわかった。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ポリマー組成物の引掻抵抗性を改善するおよび/または熱膨張係数異方性を低減するための、前記ポリマー組成物中でのタルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤の使用。
〔2〕ポリマー組成物の引掻抵抗性を改善するおよび/または熱膨張係数異方性を低減する方法であって、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤を前記ポリマー組成物に添加することを含む方法。
〔3〕前記鉱物充填剤中のタルクの質量とウォラストナイトの質量の比が、約1:4~約4:1、例えば約1:2~約2:1である、前記〔1〕に記載の使用または前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記鉱物充填剤が、該鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のタルク、および約25.0質量%~約75.0質量%、例えば約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイトを含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔5〕前記タルクが、セディグラフによって測定して約0.1μm~約5.0μm、例えば約0.5μm~約2.0μmのd
50
を有し、および/またはウォラストナイトが、レーザー散乱によって測定して約1.0μm~約15.0μm、例えば約3.0μm~約10.0μmのd
50
を有する、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔6〕前記タルクが板状の粒子形態を有し、および/または前記ウォラストナイトが針形の粒子形態を有しており、前記ウォラストナイトが、約1.0μm~約15.0μm、例えば約3.0μm~約10.0μmの平均粒径を有していてもよく、約20.0μm~約100.0μm、例えば約40.0μm~約80.0μmの平均粒子長さを有していてもよい、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔7〕前記鉱物充填剤が、有機結合剤、例えば、ステアリン酸もしくはその塩、パラフィン、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、酸性基を有する脂肪酸エステルコポリマーのブレンド、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アルキルもしくはエステル変性シロキサン、アルカンスルホネート、またはそれらの混合物から選択される有機結合剤を含み、前記鉱物充填剤が、該鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして、約0.1質量%~約5.0質量%の前記有機結合剤を含んでいてもよい、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔8〕前記鉱物充填剤が、圧縮した造粒鉱物充填剤、例えば、レンガ状、ブリケット、ペレット、プレス成形品、成形品、プリフォーム、噴霧乾燥粉末、錠剤、集合体、ロッド、顆粒もしくは凝集体の形態の鉱物充填剤、またはそれらの混合物であり、前記圧縮した造粒鉱物充填剤が、ISO 787/11による、約0.4g/cm
3
~約1.4g/cm
3
のタップ密度を有していてもよい、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔9〕前記鉱物充填剤が、実質的に乾燥しており、例えば、該鉱物充填剤の合計質量を基準にして、1.0質量%以下の水を含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔10〕前記ポリマー組成物が、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィンまたはポリエチレン;ポリプロピレンコポリマー;ポリカーボネートアロイ;ポリアミドのうちの1種以上を含む、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の使用または方法。
〔11〕ポリマー組成物用の鉱物充填剤であって、前記鉱物充填剤中の非水性成分の合計質量を基準にして:約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のタルク;約25.0質量%~約75.0質量%、例えば、約40.0質量%~約60.0質量%のウォラストナイト;および約0.1質量%~約10.0質量%、例えば、約0.1質量%~約5.0質量%、または約0.1質量%~約0.9質量%、または約0.3質量%~約0.7質量%の有機結合剤、例えば、グリセロールモノステアレートを含む鉱物充填剤。
〔12〕前記〔11〕に記載の鉱物充填剤を含むポリマー組成物。
〔13〕ポリマー組成物を含む、例えばポリマー組成物から形成された、製品、例えば自動車または電子用の構成要素であって、前記ポリマー組成物が、タルクおよびウォラストナイトを含む鉱物充填剤を含む、製品。
〔14〕ポリマー組成物へのウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加時に前記ポリマー組成物中へのウォラストナイトの組み入れを改善するための、前記ウォラストナイト含有鉱物充填剤中でのタルクの使用であって、例えば、前記ポリマー組成物への前記ウォラストナイト含有鉱物充填剤の添加が、前記ウォラストナイト含有鉱物充填剤との前記ポリマー組成物の押出しを含む、タルクの使用。
〔15〕ウォラストナイト含有鉱物ブレンドの圧密性を改善するための、前記ウォラストナイト含有鉱物ブレンド中でのタルクの使用。