(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】検温システム、検温方法、および検温システムの登録方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20240605BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20240605BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20240605BHJP
【FI】
A61B5/01 350
G01J5/48 A
G06T7/70 A
(21)【出願番号】P 2021002376
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
(72)【発明者】
【氏名】千葉 拓史
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112033543(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0003454(US,A1)
【文献】中国実用新案第203576475(CN,U)
【文献】特表2007-516018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/01
G01J 5/00- 5/90
G01K 1/00-19/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカーが設けられた黒体炉と、
前記マーカーを含む可視光領域の画像データおよび前記画像データに対応する赤外光領域の温度分布データを生成する撮像装置と、
前記画像データの中から前記マーカーに対応するマーカー領域を検出し、前記マーカー領域に基づき、前記画像データの中の前記黒体炉の位置情報を取得し、前記黒体炉の位置情報に基づき、前記温度分布データの中から前記黒体炉の温度情報を取得する情報処理装置と、を含む検温システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、さらに、前記画像データの中から人物の顔情報を生成し、前記黒体炉の位置情報および前記人物の顔情報に基づき、前記温度分布データから前記黒体炉の温度によって補正された前記人物の温度情報を生成する、請求項1に記載の検温システム。
【請求項3】
前記マーカーは、矩形の対角に位置する少なくとも2つの図形を含み、
前記黒体炉の位置情報は、前記2つの図形の中心を結んだ直線の中点の位置から取得される、請求項1または請求項2に記載の検温システム。
【請求項4】
前記マーカーは、
二次元コードである、請求項1または請求項2に記載の検温システム。
【請求項5】
前記マーカー領域が検出されないとき、前記情報処理装置は、情報通信端末に送信される警告情報を生成する、請求項1に記載の検温システム。
【請求項6】
さらに、警告装置を含み、
前記人物の温度情報に含まれる温度が所定の温度を超えるとき、前記情報処理装置は、さらに、前記警告装置を作動させる制御信号を生成する、請求項2に記載の検温システム。
【請求項7】
可視光領域の画像データおよび前記画像データに対応する赤外光領域の温度分布データを取得し、
前記画像データの中から黒体炉に設けられたマーカーに対応するマーカー領域を検出し、
前記マーカー領域に基づき、前記画像データの中の前記黒体炉の位置情報を取得し、
前記黒体炉の位置情報に基づき、前記温度分布データの中から前記黒体炉の温度情報を取得する、検温方法。
【請求項8】
さらに、
前記画像データの中から人物の顔情報を生成し、
前記黒体炉の位置情報および前記人物の顔情報に基づき、前記黒体炉の温度によって補正された前記人物の温度情報を生成する、請求項7に記載の検温方法。
【請求項9】
前記マーカーは、矩形の対角に位置する少なくとも2つの図形を含み、
前記黒体炉の位置情報は、前記2つの図形の中心を結んだ直線の中点の位置から取得される、請求項7または請求項8に記載の検温方法。
【請求項10】
前記マーカーは、
二次元コードである、請求項7または請求項8に記載の検温方法。
【請求項11】
前記マーカー領域が検出されないとき、情報通信端末に送信される警告情報を生成する、請求項7に記載の検温方法。
【請求項12】
さらに、前記人物の温度情報に含まれる温度が所定の温度を超えるとき、警告装置を作動させる制御信号を生成する、請求項8に記載の検温方法。
【請求項13】
マーカーが設けられた黒体炉、撮像装置、および情報処理装置を含む検温システムの登録方法であって、
可視光領域の画像データを取得し、
前記画像データの中から前記マーカーに対応するマーカー領域を検出し、
前記マーカー領域の大きさに基づき、前記撮像装置から前記黒体炉までの距離を算出する、検温システムの登録方法。
【請求項14】
前記マーカーは、少なくとも矩形の対角に位置する2つの図形を含む、請求項13に記載の検温システムの登録方法。
【請求項15】
前記マーカーは、
二次元コードである、請求項13に記載の検温システムの登録方法。
【請求項16】
さらに、
前記
二次元コードに含まれる距離情報に基づき、算出された前記距離が適正か否かを判定する、請求項15に記載の検温システムの登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、人物の体温を検出する検温システムに関する。また、本発明の一実施形態は、人物の体温を検出する検温方法に関する。また、本発明の一実施形態は、検温システムに黒体炉の位置を登録する検温システムの登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行中の人物を撮影し、その人物の顔認証を行う、いわゆるウォークスルー型の顔認証システムを利用して、入場者に対して入場管理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ウォークスルー型の顔認証システムは、歩行中の人物(入場者)が入場ゲートに到達するまでに認証処理を完了し、入場者に対して入場許可判定を行うことができる。そのため、ウォークスルー型の顔認証システムは、入場者への負担が少なく、利便性が高いと言える。
【0003】
また、近年、インフルエンザウイルスまたはコロナウイルスなどの感染症の拡大を防止するため、人物の体温測定を行い、入場を管理する機会が増えている。例えば、特許文献2には、入場者の個人認証および検温を行う認証装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-1790号公報
【文献】特開2012-219539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触で人物の検温を行うことができる方法の1つとして、赤外光領域を撮影するカメラ(サーマルカメラ)を用いて人物の温度を検出する方法が知られている。この検温方法では、黒体炉の温度を基準として人物の温度を測定することできるため、人物の温度を精密に測定することができる。
【0006】
しかしながら、従来の黒体炉を用いる検温方法は、使用前に黒体炉の位置を登録しておく必要があった。また、黒体炉が登録された位置から移動し、または人物によって黒体炉が隠されてしまうと、基準温度が検出することができなくなり、人物の温度を精密に測定することができないなどの問題点があった。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、人物の体温を精密に検出することができる検温システムを提供することを課題の一つとする。また、人物の体温を精密に検出することができる検温方法を提供することを課題の一つとする。また、本発明の一実施形態は、検温システムへの黒体炉の位置の登録が容易な検温システムの登録方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る検温システムは、マーカーが設けられた黒体炉と、マーカーを含む可視光領域の画像データおよび画像データに対応する赤外光領域の温度分布データを生成する撮像装置と、画像データの中からマーカーに対応するマーカー領域を検出し、マーカー領域に基づき、画像データの中の黒体炉の位置情報を取得し、黒体炉の位置情報に基づき、温度分布データの中から黒体炉の温度情報を取得する情報処理装置と、を含む。
【0009】
情報処理装置は、さらに、画像データの中から人物の顔情報を生成し、黒体炉の位置情報および人物の顔情報に基づき、温度分布データから黒体炉の温度によって補正された人物の温度情報を生成してもよい。
【0010】
マーカー領域が検出されないとき、情報処理装置は、情報通信端末に送信される警告情報を生成してもよい。
【0011】
検温システムは、警告装置を含み、人物の温度情報に含まれる温度が所定の温度を超えるとき、情報処理装置は、さらに、警告装置を作動させる制御信号を生成してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る検温方法は、可視光領域の画像データおよび画像データに対応する赤外光領域の温度分布データを取得し、画像データの中から黒体炉に設けられたマーカーに対応するマーカー領域を検出し、マーカー領域に基づき、画像データの中の黒体炉の位置情報を取得し、黒体炉の位置情報に基づき、温度分布データの中から黒体炉の温度情報を取得する。
【0013】
検温方法は、さらに、画像データの中から人物の顔情報を生成し、黒体炉の位置情報および人物の顔情報に基づき、黒体炉の温度によって補正された人物の温度情報を生成してもよい。
【0014】
マーカーは、矩形の対角に位置する少なくとも2つの図形を含み、黒体炉の位置情報は、2つの図形の中心を結んだ直線の中点の位置から取得されてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る検温システムの登録方法は、マーカーが設けられた黒体炉、撮像装置、および情報処理装置を含む検温システムの登録方法であって、可視光領域の画像データを取得し、画像データの中からマーカーに対応するマーカー領域を検出し、マーカー領域の大きさに基づき、撮像装置から黒体炉までの距離を算出する。
【0016】
マーカーは、少なくとも矩形の対角に位置する2つの図形を含んでいてもよい。
【0017】
マーカーは、QRコード(登録商標)であってもよい。
【0018】
検温システムの登録方法は、さらに、QRコード(登録商標)に含まれる距離情報に基づき、算出された距離が適正か否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態に係る検温システムは、人物の体温を精密に検出することができる。また、本発明の一実施形態に係る検温方法は、人物の体温を精密に検出することができる。さらに、本発明の一実施形態に係る検温システムの登録方法は、検温システムへの黒体炉の位置を容易に登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る検温システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る検温システムの配置を説明する模式図および撮像装置で撮影される映像を説明する模式図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る検温システムの黒体炉の構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る検温システムの検温処理を示すフローチャート図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る検温システムの登録処理を示すフローチャート図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る検温システムの黒体炉に設けられたマーカーを説明する模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムの配置図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける入場処理のフローチャート図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける入場処理のフローチャート図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける退場処理のフローチャート図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るユニットパネルの模式的な斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るユニットパネルの模式的な平面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るユニットハウスの外観を示す模式的な斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係るユニットハウスの内部構成を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0022】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物が設置される場合、構造物が通常設置される設置面側を「下」または「下方」とする。
【0023】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0024】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これらの複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、小文字または大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、1つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0025】
本明細書において、「映像」とは、静止画像だけでなく、動画像を含む場合がある。
【0026】
本明細書において、「対象者」とは、入場および退場が管理される者であって、例えば、建設現場の作業者またはイベント施設もしくはイベント会場の利用者などである。
【0027】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0028】
<第1実施形態>
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る検温システム10について説明する。
【0029】
[1.検温システム10の構成]
図1は、本発明の一実施例に係る検温システム10の構成を示すブロック図である。
図2(A)は、本発明の一実施形態に係る検温システム10の配置を説明する模式図である。また、
図2(B)は、本発明の一実施形態に係る検温システム10の撮像装置12で撮影される映像を説明する模式図である。
【0030】
図1に示すように、検温システム10は、黒体炉11、撮像装置12、および情報処理装置13を含む。
図2(A)に示すように、黒体炉11は、撮像装置12から一定の距離を有し、撮像装置12と対向する位置に配置されている。黒体炉11の位置は、撮像装置12の画角に入るように調整されている。黒体炉11の高さは、黒体炉11を支持する支持体によって調整することができる。支持体は、床面だけでなく、壁面または天井面に設置することもできる。なお、支持体は、黒体炉11と撮像装置12との距離を調整することができることが好ましい。撮像装置12は、天井面に配置することができるが、これに限られない。撮像装置12は、壁面に配置されていてもよい。
【0031】
図2(B)に示すように、撮像装置12は、人物とともに黒体炉11を撮影することができる。情報処理装置13は、撮像装置12の近傍に配置することができるが、これに限られない。情報処理装置13は、撮像装置12と有線または無線によって接続されていればよく、撮像装置12が配置されている場所とは異なる場所に配置することもできる。
【0032】
黒体炉11は、熱放射により設定された温度に応じた赤外波長域のスペクトルの電磁波を発している。以降、説明を簡便化するために黒体炉が赤外線を放射すると説明する。ここで、
図3を参照して、黒体炉11の構成について説明する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る検温システム10の黒体炉11の構成を示す模式図である。
図3に示すように、黒体炉11は、筐体11a、黒体面11b、およびマーカー11cを含む。筐体11aは、黒体面11bを支持することができる。また、図示しないが、筐体11a内には、ヒーターおよびヒーター制御部が設けられている。一例として、ヒーターには、ペルチェ素子を用いることで、指定した温度を容易に保持することができる。黒体面11bは、筐体の一面に設けられ、ヒーターおよびヒーター制御部によって所定の温度に保持されている。そのため、黒体面11bは、所定の温度に対応する赤外光を放射することができる。マーカー11cは、黒体面11bが設けられた筐体の一面に設けられている。具体的には、マーカー11cは、1つまたは複数の図形によって構成されており、1つまたは複数の図形の各々が、黒体面11bの周囲に設けられている。
図3に示す図形は、矩形であるが、これに限られない。マーカー11cとして用いられる図形は、円形、楕円形、多角形、または十字形であってもよい。1つまたは複数の図形の各々は、矩形の黒体面11bの頂点に対応する位置に設けられている。マーカー11cとして用いられる図形は、1つであってもよいが、少なくとも2つ以上であることが好ましい。特に、黒体面11bの対角の位置(すなわち、矩形の対角の位置)に設けられた2つの図形がマーカー11cとして用いられることが好ましい。マーカー11cが矩形の対角に位置する2つの図形を含むことにより、2つの図形の中心を結んだ線の中点の位置を黒体炉11の位置と特定することができるとともに、2つの図形の位置、大きさ、または辺の長さを比較することにより黒体炉11の傾きを検出することができる。また、矩形の頂点に位置する3つの図形を含むことでも、黒体炉11の位置を特定し、傾きを検出することができる。
【0034】
再び、
図1に戻り、検温システム10の構成について説明する。
【0035】
撮像装置12は、人物および黒体炉11を撮影することができる。撮像装置12は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどの固体撮像素子を含むカメラである。撮像装置12は、可視光領域の映像だけでなく、赤外光領域の映像を撮像することができる。撮像装置12は、1つのカメラで可視光領域および赤外光領域の映像を撮像してもよく、2つのカメラを備え、一方のカメラが可視光領域の映像を撮像し、他方のカメラが赤外光領域の映像を撮像してもよい。撮像された赤外光領域の映像からは、映像内に含まれる対象者または物体などの温度分布が得られる。なお、撮像装置12が2つのカメラを備える場合、可視光領域の映像内の位置と赤外光領域の映像内の位置とが対応するように2つのカメラが配置されていることが好ましい。
【0036】
撮像装置12は、撮像部12aを含む。撮像部12aは、人物および黒体炉11を含む可視光領域の映像を撮像し、画像データを生成することができる。また、撮像部12aは、人物および黒体炉11を含む赤外光領域の映像を撮像し、温度分布データを生成することができる。画像データおよび温度分布データの各々は、情報処理装置13に送信される。
【0037】
情報処理装置13は、プログラムに基づいて演算処理を実行することができる。情報処理装置13は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、例えば、演算手段として中央演算処理装置(Central Proceessing Unit:CPU)および記憶手段として記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、ランダムアクセスメモリ(Ramdom Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、またはハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)などである。
【0038】
情報処理装置13は、黒体炉情報生成部13a、顔情報生成部13b、および温度情報生成部13cを含む。
【0039】
黒体炉情報生成部13aは、画像データを受信し、画像データからマーカー領域を検出することができる。また、黒体炉情報生成部13aは、画像データから検出されたマーカー領域に基づいて、黒体炉11の位置情報を含む黒体炉情報を生成することができる。なお、黒体炉11の位置情報には、画像データの中における黒体炉11の位置だけでなく、撮像装置12から黒体炉11までの距離が含まれてもよい。例えば、撮像装置12から黒体炉11までの距離は、所定の関係式に基づき、登録時のマーカー11cの大きさとマーカー領域の大きさとを比較することによって取得することができる。
【0040】
ここで、黒体炉情報生成部13aによって実行されるマーカー領域の検出処理について説明する。黒体炉情報生成部13aは、予め登録されたマーカー11cのマーカーデータを拡大、縮小、または変形させながら、画像データの中からマーカーデータと一致するマーカー領域を検出することができる。また、機械学習またはディープラーニング(畳み込みニューラルネットワークを含む。)などを利用し、画像データの中からマーカーデータを識別することもできる。
【0041】
また、黒体炉情報生成部13aによって実行される黒体炉情報に含まれる黒体炉11の位置および距離の算出処理について説明する。黒体炉情報生成部13aは、マーカー領域が検出されたとき、マーカー11cに含まれる矩形の対角に位置する2つの図形を識別し、2つの図形の中心を結んだ直線の中点の位置を黒体炉11の位置として算出することができる。また、黒体炉情報生成部13aは、マーカー領域の位置から、画像データの中の黒体炉11の位置を算出することができる。さらに、黒体炉情報生成部13aは、検出されたマーカー領域の大きさと、黒体炉11に設けられたマーカー11cの大きさ(予め登録されたマーカー11cのマーカーデータの大きさ)との比率に基づいて、撮像装置12から黒体炉11の距離を算出することができる。
【0042】
顔情報生成部13bは、画像データを受信し、画像データから人物の顔領域を検出することができる。また、顔情報生成部13bは、画像データから検出された顔領域の位置情報を含む顔情報を生成することができる。
【0043】
ここで、顔情報生成部13bによって実行される顔領域の検出処理について説明する。顔情報生成部13bは、画像データの中から顔を構成する部位である目、鼻、または口などの特徴点を検出し、これらの特徴点の相対的位置から顔領域を検出することができる。また、顔情報生成部13bは、画像データに対してエッジ処理を実行し、人物の頭部の輪郭と近似した楕円形のエッジ分布を検出し、エッジ分布に囲まれた領域を顔領域として検出することもできる。また、顔情報生成部13bは、予め登録された顔形状モデルと照合させて類似度を算出し、所定の類似度以上の領域を顔領域として検出することもできる。
【0044】
温度情報生成部13cは、温度分布データ、黒体炉情報、および顔情報を受信し、黒体炉情報および顔情報に基づき、黒体炉の温度によって補正された人物の顔の温度(すなわち、人物の体温)を示す温度情報を生成することができる。例えば、温度情報生成部13cは、温度分布データにおける黒体炉11の位置情報に対応する温度を基準として、顔情報に含まれる人物の顔の位置情報に対応する温度を取得し、黒体炉11の温度によって補正された人物の温度情報を生成することができる。
【0045】
以上、検温システム10の構成について説明したが、検温システム10の構成は、これらに限られるものではない。詳細は後述するが、検温システム10は、人物の温度情報に含まれる温度が所定の温度を超える場合に作動する警告装置を含むこともできる。
[2.検温システム10の検温処理]
図4は、本発明の一実施形態に係る検温システム10の検温処理を示すフローチャート図である。具体的には、
図4は、検温システム10の情報処理装置13で実行される検温処理を示している。
【0046】
はじめに、情報処理装置13は、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS100)。赤外光領域の温度分布データは、可視光領域の画像データと対応している。換言すると、温度分布データの中の位置座標は、画像データの中の位置座標と対応している。
【0047】
次に、情報処理装置13(黒体炉情報生成部13a)は、画像データの中から黒体炉11に設けられたマーカー11cによって決定されるマーカー領域を検出することができる(ステップS110)。なお、マーカー領域は、画像データ内の位置情報が登録されていてもよい。マーカー領域の位置情報がマーカー位置情報として登録されていれば、画像データ内から容易に検出することができる。マーカー領域が検出された場合(ステップS110:YES)、情報処理装置13は、マーカー領域に基づき、画像データの中の黒体炉11の位置情報を含む黒体炉情報を生成することができる(ステップS120)。もし登録位置付近を検索しても画像データ内からマーカー領域が検出されなかった場合(ステップS110:NO)、情報処理装置13は、マーカー領域の不検出条件を判定することができる(ステップS130)。例えば、マーカー領域の不検出条件として、マーカー領域が連続する複数のフレームで検出されていないことを、マーカー領域の不検出条件とすることができる。この場合、撮像装置12の画角から黒体炉11が外れている可能性がある。そのため、不検出条件を満たす場合(ステップS130:YES)、情報処理装置13は、黒体炉11の位置を確認するための警告情報を生成することができる(ステップS140)。警告情報は、検温システム10の管理者の情報端末に送信されてもよい。警告情報の生成後は、再度、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS100)。また、不検出条件を満たさない場合も(ステップS130:NO)、再度、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS100)。つまり、マーカー領域がマーカ位置情報として登録されていれば、画像データの中からマーカー11cを検索するのが容易になり、演算量の削減、処理時間の削減をすることができる。
【0048】
次に、情報処理装置13(顔情報生成部13b)は、画像データの中から顔領域を検出することができる(ステップS150)。顔領域が検出された場合(ステップS150:YES)、情報処理装置13は、画像データの中の顔領域の位置情報を含む顔情報を生成することができる(ステップS160)。例えば、情報処理装置13は、両目の間の位置を顔領域の位置情報とすることができる。顔領域が検出されなかった場合(ステップS150:NO)、情報処理装置13は、再度、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度温度分布データを取得することができる(ステップS100)。
【0049】
次に、情報処理装置13(温度情報生成部13c)は、黒体炉情報および顔情報に基づき、温度分布データから黒体炉の温度によって補正された人物の顔の温度を含む温度情報を生成することができる(ステップS170)。
【0050】
温度情報が生成されたとき、検温処理は終了する。
【0051】
生成された人物の温度情報は、人物の体温として、他の装置(例えば、表示装置など)に提供することができる。検温システム10は、マーカー11cを自動検出し、マーカー領域を登録することができる。つまり黒体炉の位置は厳密に決められたものではなく、検温システム10は、画像データ内から黒体炉が自動で検出し、マーカー領域が自動で登録されるため、検温システムの設定が容易となる。さらに、検温システム10の運用時には、マーカー領域内のマーカー11cを用いて、撮像装置12が撮影した映像の中から黒体炉11を容易に検出することができる。また、黒体炉11または撮像装置12が移動し、黒体炉11が撮像装置12の画角から外れた場合は、人物の体温を測定せず、警報装置を用いて異常を通知することができる。したがって、検温システム10は、常に黒体炉11の温度に基づき人物の体温を測定することができるため、人物の検温の精度が向上する。なお、検温システム10は、黒体炉11の位置を予め登録しなくても運用することができる。
【0052】
以上、主に、情報処理装置13で実行される処理に基づいて検温システム10の検温処理を説明したが、検温システム10の検温処理は、これに限られるものではない。
【0053】
[3.検温システム10の登録処理]
図5は、本発明の一実施形態に係る検温システム10の登録処理を示すフローチャート図である。具体的には、
図5は、検温システム10の情報処理装置13で実行される登録処理を示している。
【0054】
はじめに、情報処理装置13は、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データを取得することができる(ステップS200)。
【0055】
次に、情報処理装置13(黒体炉情報生成部13a)は、画像データの中から黒体炉11に設けられたマーカー11cに対応するマーカー領域を検出することができる(ステップS210)。マーカー領域が検出された場合(ステップS210:YES)、情報処理装置13は、撮像装置12から黒体炉11の距離を算出することができる(ステップS220)。マーカー領域が検出されなかった場合(ステップS210:NO)、情報処理装置13は、再度、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データを取得することができる(ステップS200)。なお、マーカー領域が検出されなかった場合、黒体炉11が撮像装置12の画角から外れている、または黒体炉11が撮像装置12から離れすぎている可能性がある。そのため、黒体炉11の位置を調整した後、情報処理装置13が、撮像装置12で撮像された可視光領域の画像データを取得してもよい。
【0056】
次に、情報処理装置13(黒体炉情報生成部13a)は、算出された黒体炉11の距離を含む黒体炉情報を生成することができる(ステップS230)。
【0057】
黒体炉情報が生成されると、登録処理は終了する。
【0058】
検温システム10では、算出された撮像装置12から黒体炉11までの距離を基に、黒体炉11または撮像装置12の位置を調整することができる。または、黒体炉11の位置を算出し、撮像装置12から黒体炉11までの距離を調整してもよい。そのため、検温システム10を用いて、黒体炉11と撮像装置12との距離を適正な範囲に登録することができる。また、検温システム10は、マーカーを用いて、撮像装置12が撮影した映像の中の黒体炉を検出することができるため、黒体炉11の位置を決められた位置に配置する必要がない。したがって、検温システム10は、あらゆる場所に簡便に設置することができる。
【0059】
以上、主に、情報処理装置13で実行される処理に基づいて検温システム10の登録処理を説明したが、検温システム10の登録処理は、これに限られるものではない。
【0060】
<変形例>
図6を参照して、黒体炉11に設けられたマーカー11cの変形例であるマーカー11c’および11c’’の構成について説明する。但し、マーカー11cの変形は、以下に説明するものに限られない。なお、以下では、マーカー11c’および11c’’がマーカー11cと同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0061】
図6(A)および
図6(B)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る検温システム10の黒体炉11に設けられたマーカー11c’および11c’’を説明する模式図である。
【0062】
図6(A)および
図6(B)のそれぞれに示すマーカー11c’および11c’’は、黒体炉11の筐体11aの上部に設けられている。マーカー11c’および11c’’の各々は、例えば、矩形の平板であるが、マーカー11c’および11c’’の形状はこれに限られない。マーカー11c’および11c’’は、円形、楕円形、もしくは多角形の平板、または円柱、楕円柱、または多角柱などであってもよい。マーカー11c’および11c’’は、いずれも矩形の図形を含む。矩形の図形は、平板が加工されていてもよく、平板上に印刷されていてもよい。なお、マーカー11c’または11c’’が黒体炉11の筐体11aの上部に設けられる場合、マーカー11c’または11c’’の大きさ(矩形の幅または高さであってもよい。)と、マーカー11c’または11c’’の中心から黒体炉11の黒体面11bの中心までの距離との比率が一定である。そのため、マーカー11c’または11c’’の大きさが決定されれば、黒体面11bの中心の位置を検出することができる。また、マーカー11c’または11c’’の傾き(矩形の幅および高さの比率であってもよい。)から黒体炉11の傾きを検出することができる。
【0063】
マーカー11c’はいわゆるQRコード(登録商標)であり、マーカー11c’’はいわゆるARコードである。すなわち、マーカー11c’および11c’’は、単なる図形ではなく、情報を含む図形である。そのため、撮像装置12によってマーカー11c’または11c’’が検出されると、マーカー11c’または11c’’に含まれる情報を取得することができる。
【0064】
マーカー11c’または11c’’に含まれる情報としては、例えば、黒体炉11が適正に使用することができる距離の範囲などである。検温システム10の登録処理において、撮像装置12によってマーカー11c’または11c’’が検出されると、黒体炉11が適正に使用することができる距離の範囲を取得することができる。例えば、黒体炉11の支持体に黒体炉11の位置を調整するアクチュエータが設けられている場合、情報処理装置13は、アクチュエータに制御信号を送信し、黒体炉11と撮像装置12との距離が適正な距離の範囲内となるように、黒体炉11の位置を調整することができる。
【0065】
以上、変形例も含め、検温システム10について説明したが、検温システム10は、黒体炉11に設けられたマーカー11cに対応する画像データのマーカー領域を検出して温度を補正することができる。換言すると、検温システム10は、マーカー領域が検出されない場合、すなわち何らかの理由によって黒体炉11が認識できない場合には、人物の温度を測定しない。そのため、検温システム10は、常に黒体炉11の温度を基準にして補正された人物の温度を検出することができるため、人物の体温を精密に検出することができる。
【0066】
<第2実施形態>
図7~
図11を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20について説明する。入退場管理システム20は、検温システム10を含む。そのため、入退場管理システム20では、検温システム10を利用して、人物の体温を測定することができる。なお、以下では、一例として、入退場管理システム20が建設現場に設置されているものとし、入退場管理システム20を利用した建設現場の作業者(対象者)の入退場管理について説明する。
【0067】
[1.入退場管理システム20の構成]
図7は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の配置図である。入退場管理システム20は、第1のゲート100と第1のゲート100に対向する第2のゲート110とを接続する通路120内に設置されて利用される。建設現場は第2のゲート110の先にあり、対象者は、第2のゲート110を通り抜け、建設現場に入場することができる。すなわち、入退場管理システム20は、建設現場の出入口に設置することができる。
図7(A)および
図7(B)は、入退場管理システム20の配置は同一であるが、それぞれ、対象者の入場時および退場時を示している。対象者が建設現場に入場するとき、対象者は、第1のゲート100から進入し、入退場管理システム20を利用した入場処理が行われ、第2のゲート110から退出する。対象者が建設現場から退場するとき、対象者は、第2のゲート110から進入し、入退場管理システム20を利用した退場処理が行われ、第1のゲート100から退出する。したがって、対象者は、建設現場への入場だけでなく退場においても、入退場管理システム20を用いて入退場管理(入場処理および退場処理)が行われる。
【0068】
なお、
図7では、第1のゲート100および第2のゲート110が示されているが、第1のゲート100および第2のゲート110は明確に設置されていなくてもよい。例えば、通路120の途中に入退場管理システム20が設置され、入退場管理システム20が設けられた通路120の一方の端が第1のゲート100となり、他方の端が第2のゲート110となる場合がある。この場合であっても、対象者が通路120を通る際に入退場管理システム20を利用するため、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0069】
図7(A)および
図7(B)に示すように、入退場管理システム20は、第1の情報処理装置200、第1の撮像装置210、第1の表示装置220、警告装置230、黒体炉240、第2の情報処理装置300、第2の撮像装置310、第2の表示装置320、および第3の情報処理装置400を含む。第1の情報処理装置200、第1の撮像装置210、第1の表示装置220、警告装置230、および黒体炉240は、対象者の入場処理において利用される。第2の情報処理装置300、第2の撮像装置310、および第2の表示装置320は、対象者の退場処理において利用される。第3の情報処理装置400は、対象者の入退場管理処理において利用される。
【0070】
詳細は図示しないが、第1の撮像装置210、第1の表示装置220、および警告装置230は、第1の情報処理装置200と接続されている。また、第2の撮像装置310および第2の表示装置320は、第2の情報処理装置300と接続されている。さらに、第1の情報処理装置200および第2の情報処理装置300は、第3の情報処理装置400と接続されている。なお、これらの接続は、有線による接続であってもよく、無線による接続であってもよい。
【0071】
第1の撮像装置210、第1の表示装置220、および警告装置230は、第2のゲート110の近傍に配置されている。第1の撮像装置210は、例えば、通路120の天井面または壁面に配置されている。第1の撮像装置210は、第1のゲート100から進入し、通路120を通過する対象者を撮影することができる。第1の撮像装置210は、歩行している対象者および黒体炉240を撮影することができ、対象者は、必ずしも第1の撮像装置210の前で停止する必要はない。黒体炉240は、第1の撮像装置210の画角内であって、第1の撮像装置210から適切な距離に設置されている。第1の情報処理装置200は、撮影した対象者を照合し、または対象者の温度(体温)を判定することができる。第1の情報処理装置200は、通路120内に設置されていてもよく、通路120外に配置されていてもよい。第1の表示装置220は、対象者の照合結果を表示することができる。対象者は、第1の表示装置220の画面に表示された照合結果を確認し、第2のゲート110から退出することができる。警告装置230は、対象者の温度がしきい値を超える場合に作動し、体温の異常が認められることを対象者に通知する。
【0072】
同様に、第2の撮像装置310および第2の表示装置320は、第1のゲート100の近傍に配置されている。通路120の天井面または壁面に配置された第2の撮像装置310は、第2のゲート110から進入し、通路120を通過する対象者を撮影することができる。通路120内または通路120外に配置された第2の情報処理装置300は、撮影した対象者を照合することができる。対象者は、第2の表示装置320の画面に表示された照合結果を確認し、第1のゲート100から退出することができる。
【0073】
入退場管理システム20では、対象者が建設現場に入場するときには対象者の温度を検出するが、対象者が建設現場から退場するときには対象者の温度を検出していない。但し、入退場管理システム20は、対象者が退場するときに対象者の温度を検出してもよい。その場合、入退場管理システム20は、対象者の入場時と退場時の温度を比較し、所定の温度差であったときに、警告装置を作動させて体温の異常が認められることを対象者に通知することができる。
【0074】
なお、上述した装置の配置は一例であって、本実施形態に係る入退場管理システム20の装置の配置はこれに限られない。
【0075】
以下では、入退場管理システム20の各装置の構成について説明する。なお、以下では、入退場管理システム20が検温システム10と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0076】
第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400の各々は、プログラムに基づいて演算処理を実行することができる。第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400は、1つのコンピュータであってもよく、それぞれが処理可能な複数のコンピュータであってもよい。
【0077】
第1の撮像装置210は、検温システム10の撮像装置12と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。第2の撮像装置310は、少なくとも可視光領域の映像を撮像することができればよく、第1の撮像装置210と同様のカメラであってもよい。
【0078】
第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々は、映像を表示することができる装置であり、例えば、液晶表示装置またはOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置である。また、第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々は、入力装置を備えていることが好ましく、例えば、画面上の表示に触れて操作することができるタッチパネルを含んでいてもよい。
【0079】
警告装置230は、異常が発生したことを対象者に知らせることができることができる装置であり、例えば、警告灯または警告音を発するスピーカーなどである。また、警告装置230は、電光掲示板であってもよい。
【0080】
黒体炉240は、検温システム10の黒体炉11と同様の構成である。すなわち、黒体炉240は、マーカーを含む。
【0081】
以下では、
図8を参照して、入退場管理システム20の各装置の構成について、さらに詳細に説明する。
【0082】
図8は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の構成を示すブロック図である。
【0083】
図8に示すように、入退場管理システム20は、第1の撮像部1010、黒体炉情報生成部1020、第1の顔情報生成部1030、温度情報生成部1040、第1の登録情報記憶部1050、第1の顔照合部1060、入場者情報処理部1070、第1の表示部1080、警告部1090、第2の撮像部1110、第2の顔情報生成部1130、第2の顔照合部1160、退場者情報処理部1170、第2の表示部1180、入退場管理情報処理部1210、および入退場管理情報記憶部1220を含む。
【0084】
第1の情報処理装置200は、黒体炉情報生成部1020、第1の顔情報生成部1030、温度情報生成部1040、第1の登録情報記憶部1050、第1の顔照合部1060、および入場者情報処理部1070を含む。第1の撮像装置210は、第1の撮像部1010を含む。第1の表示装置220は、第1の表示部1080を含む。警告装置230は、警告部1090を含む。第2の情報処理装置300は、第2の顔情報生成部1130、第2の登録情報記憶部1150、第2の顔照合部1160、および退場者情報処理部1170を含む。第2の撮像装置310は、第2の撮像部1110を含む。第2の表示装置320は、第2の表示部1180を含む。第3の情報処理装置400は、入退場管理情報処理部1210および入退場管理情報記憶部1220を含む。
【0085】
なお、各装置の構成は、
図8に示すものに限られない。例えば、第1の撮像装置210が、第1の撮像部1010、第1の顔情報生成部1030、および温度情報生成部1040を含み、第1の情報処理装置200が、第1の顔照合部1060および入場者情報処理部1070を含んでいてもよい。
【0086】
第1の撮像部1010は、検温システム10の撮像部12aと同様の構成である。第1の撮像部1010によって生成された画像データは、黒体炉情報生成部1020および第1の顔情報生成部1030に送信される。また、第1の撮像部1010によって生成された温度分布データは、温度情報生成部1040に送信される。
【0087】
黒体炉情報生成部1020は、検温システム10の黒体炉情報生成部13aと同様の構成である。黒体炉情報生成部1020によって生成された黒体炉情報は、温度情報生成部1040に送信される。
【0088】
第1の顔情報生成部1030は、画像データを受信し、画像データから対象者の顔領域を検出することができる。また、第1の顔情報生成部1030は、画像データから検出された顔領域を含む顔画像データを生成し、顔画像データおよび画像データにおける顔画像データの位置情報を含む顔情報を生成することができる。第1の顔情報生成部1030によって生成された顔情報の全部または一部は、温度情報生成部1040、第1の顔照合部1060、および入場者情報処理部1070に送信される。
【0089】
第1の顔情報生成部1030によって実行される顔領域の検出処理は、検温システム10の顔情報生成部13bと同様であるため、ここでは説明を省略する。第1の顔情報生成部1030は、検出した顔領域の大きさに基づいて、顔領域を含む矩形の顔画像データを生成することができる。但し、顔画像データの照合においては、目、鼻、または口などの特徴点をより詳細に検出できる程度の解像度が要求されるため、第1の顔情報生成部1030は、生成された顔画像データに対して大きさ(または解像度)判定処理を実行してもよい。顔画像データの大きさ判定処理では、顔画像データの面積が所定の範囲内である場合に、適正な顔画像データとして判定される。また、顔画像データの水平方向の長さおよび垂直方向の長さの各々が所定の範囲内である場合に、適正な顔画像データとして判定されてもよい。なお、適正と判定された顔画像データは、照合処理に適合した大きさとするため、所定の大きさに変換されてもよい。
【0090】
画像データに複数の人物が含まれる場合、第1の顔情報生成部1030は、複数の顔領域を検出し、複数の顔画像データを生成することがある。この場合、第1の顔情報生成部1030は、検出された複数の顔領域の中から最前の人物の顔領域を選択し、最前の人物の顔領域を含む顔画像データを生成することができる。例えば、第1の顔情報生成部1030は、最前の人物の顔領域として最大面積を有する顔領域を選択し、顔画像データを生成することができる。
【0091】
第1の顔情報生成部1030は、以上のような処理を実行し、生成された顔画像データを含む顔情報を第1の顔照合部1060に送信することができる。また、第1の顔情報生成部1030は、画像データにおける顔画像データの位置情報を算出し、顔画像データの位置情報を含む顔情報を温度情報生成部1040に送信することができる。
【0092】
温度情報生成部1040は、検温システム10の温度情報生成部13cと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。温度情報生成部1040によって生成された温度情報は、入場者情報処理部1070に送信される。
【0093】
第1の登録情報記憶部1050は、建設現場で作業する作業者の情報(登録情報)をデータベースとして格納することができる。登録情報は、予め作成しておくことができる。登録情報は、例えば、作業者の顔画像データ、所属、または氏名などを含み、これらが紐付けられて格納されている。
【0094】
第1の顔照合部1060は、顔情報を受信するとともに、第1の登録情報記憶部1050から登録情報を取得し、顔情報の顔画像データと登録情報の顔画像データとを照合することができる。また、第1の顔照合部1060は、照合処理によって対象者が特定することができた場合(照合処理において、少なくとも1人の登録者との類似度がしきい値以上である場合)は、照合された登録者の登録情報の全部または一部を入場者情報処理部1070に送信することができる。第1の顔照合部1060は、照合処理によって対象者が特定することができなかった場合(照合処理において、いずれの登録者との類似度がしきい値未満である場合)は、照合不可情報を生成し、照合不可情報を入場者情報処理部1070に送信する。
【0095】
ここで、第1の顔照合部1060によって実行される顔画像データの照合処理について説明する。
【0096】
第1の顔照合部1060は、画像データの中から顔を構成する部位である目、鼻、または口などの大きさ、方向、または相対的位置などの特徴点を検出することができる。また、第1の顔照合部1060は、顔の輪郭を特徴点として検出することもできる。第1の顔照合部1060は、検出された特徴点を、第1の登録情報記憶部1050に格納されたデータベースの登録情報の顔画像データの特徴点と比較し、類似度を算出する。第1の顔照合部1060は、類似度の最も高い登録情報の登録者を対象者として特定することができる。
【0097】
入退場管理システム20が建設現場で利用されるとき、対象者がヘルメットおよびマスクを装着している場合がある。特に、対象者がマスクを装着している場合には、鼻および口がマスクで覆われるため、検出される特徴点が少なくなる。そのため、第1の顔照合部1060は、顔画像データに対してマスクの装着の判定処理を行い、マスクが装着されていると判定された場合には、特徴点として目の優先順位を高くするような重み付けを行い、類似度を算出することもできる。
【0098】
第1の顔照合部1060は、以上のような処理を実行し、特定された登録者の登録情報を入場者情報処理部1070に送信することができる。第1の顔照合部1060は、算出された類似度がいずれもしきい値未満である場合、照合不可情報を生成し、照合不可情報を入場者情報処理部1070に送信することができる。
【0099】
入場者情報処理部1070は、顔情報、温度情報、および登録情報を受信し、これらが紐付けられた入場者情報を生成することができる。入場者情報は、例えば、入場日時、顔情報の顔画像データ、温度情報の温度(体温)、または登録情報の顔画像データ、所属、もしくは氏名などを含む。入場者情報は、入退場管理情報処理部1210に送信される。また、入場者情報処理部1070は、入場者情報を表示画像信号に変換し、表示画像信号を第1の表示部1080に送信することができる。入場者情報処理部1070は、照合不可情報を受信した場合、顔情報の顔画像データを表示画像信号に変換し、表示画像信号を第1の表示部1080に送信することができる。また、温度情報に含まれる対象者の温度が所定の温度を超える場合、入場者情報処理部1070は、制御信号を生成し、制御信号を警告部1090に送信することができる。
【0100】
第1の表示部1080は、表示画像信号を受信し、表示画像信号に基づく画像を第1の表示装置220の画面に表示することができる。第1の表示部1080は、例えば、顔情報の顔画像データ、温度情報の温度、または登録情報の顔画像データ、所属、もしくは氏名などを第1の表示装置220の画面に表示することができる。また、第1の表示部1080は、顔情報と登録情報とが一致しているか否かを確認するためのアイコン、例えば、対象者の照合が誤検出である場合にタッチ操作可能なアイコンを画面に表示することができる。対象者によってアイコンがタッチされた場合、第1の表示部1080は、操作情報を生成し、操作情報を入場者情報処理部1070に送信する。
【0101】
警告部1090は、制御信号を受信し、制御信号に基づいて警告装置230を作動させることができる。
【0102】
第2の撮像部1110は、少なくとも可視光領域の映像を撮像し、画像データを生成することができるが、第1の撮像部1010と同様の構成であってもよい。第2の撮像部1110によって生成された画像データは、第2の顔情報生成部に送信される。
【0103】
第2の顔情報生成部1130は、第1の顔情報生成部1030と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。第2の顔情報生成部1130によって生成された顔情報の全部または一部は、第2の顔照合部1160および退場者情報処理部1170に送信される。
【0104】
第2の登録情報記憶部1150は、第1の登録情報記憶部1050と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0105】
第2の顔照合部1160は、第1の顔照合部1060と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。照合処理によって対象者が特定することができた場合は、特定された登録者情報の全部または一部が退場者情報処理部1170に送信される。また、照合処理によって対象者が特定することができなかった場合は、生成された照合不可情報が退場者情報処理部1170に送信される。
【0106】
退場者情報処理部1170は、顔情報および登録情報を受信し、これらが紐付けられた退場者情報を生成することできる。退場者情報は、例えば、退場日時、顔情報の顔画像データ、または登録情報の顔画像データ、所属、もしくは氏名などを含む。退場者情報は、入退場管理情報処理部1210に送信される。また、退場者情報処理部1170は、退場者情報を表示画像信号に変換し、表示画像信号を第2の表示部1180に送信することができる。退場者情報処理部1170は、照合不可情報を受信した場合、顔情報の顔画像データを表示画像信号に変換し、表示画像信号を第2の表示部1180に送信することができる。
【0107】
第2の表示部1180は、第1の表示部1080と同様の同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。第2の表示部によって生成された操作情報は、退場者情報処理部1170に送信される。
【0108】
入退場管理情報処理部1210は、入場者情報および退場者情報を受信し、これらが紐付けられた入退場管理情報を生成することができる。すなわち、入退場管理情報処理部1210は、入場者情報および退場者情報をそれぞれ識別し、入場者情報および退場者情報のそれぞれを項目とし、データベース化された入退場管理情報を生成することができる。具体的には、入退場管理情報処理部1210は、入場者情報を用いてデータベース化された入退場管理情報を生成し、退場者情報を用いて入退場管理情報を更新することができる。退場者情報を入場者情報と紐付ける場合、入退場管理情報処理部1210は、入退場管理情報記憶部1220に格納された入退場管理情報を取得し、入退場管理情報を更新することができる。入退場管理情報は、例えば、入場者情報の入場日時、温度、所属、もしくは氏名、または退場者情報の退場日時、所属、もしくは氏名などを含む。また、入退場管理情報は、入場者情報に含まれる顔情報の顔データまたは退場者情報に含まれる顔情報の顔データを含んでいてもよい。
【0109】
入退場管理情報記憶部1220は、入退場管理情報処理部1210によって生成された入退場管理情報をデータベースとして格納することができる。
【0110】
上述した装置および各装置の構成は一例であって、本実施形態に係る入退場管理システム20の構成はこれに限られない。例えば、各構成によるデータまたは情報の送受信が無線である場合には、各装置に通信部が含まれていてもよい。
【0111】
また、入退場管理システム20の利用は、建設現場における入退場管理に限られない。例えば、イベント施設またはイベント会場の出入口に入退場管理システム20を設置し、利用者の入退場管理を行うこともできる。イベント施設への入退場管理システム20の設置の一例としては、利用者の顔画像データを登録させてチケットを販売する場合が挙げられる。この場合、利用者はウォークスルーでイベント施設へ入退場できるとともに、後に、利用者の中にインフルエンザウイルスまたはコロナウイルスの感染者がいたことが判明した場合であっても、入退場管理システム20を用いて利用者がイベント施設へ入退場していたことを確認することができる。
【0112】
以下では、
図9~
図11を参照して、入退場管理システム20による入場処理および退場処理について説明する。
【0113】
[2.入退場管理システム20の入場処理]
図9および
図10は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の入場処理を示すフローチャート図である。具体的には、
図9は、第1の情報処理装置200および第3の情報処理装置で実行される処理を示し、
図10(A)は、第1の表示装置220で実行される処理を示し、
図10(B)は、警告装置230で実行される処理を示している。
【0114】
はじめに、第1の情報処理装置200は、第1の撮像装置210で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS1000)。赤外光領域の温度分布データは、可視光領域の画像データと対応している。換言すると、温度分布データの中の位置座標は、画像データの中の位置座標と対応している。
【0115】
次に、第1の情報処理装置200(黒体炉情報生成部1020)は、画像データの中から黒体炉240に設けられたマーカーに対応するマーカー領域を検出することができる(ステップS1010)。マーカー領域が検出された場合(ステップS1010:YES)、第1の情報処理装置200は、マーカー領域に基づき、画像データの中の黒体炉240の位置情報を含む黒体炉情報を生成することができる(ステップS1020)。マーカー領域が検出されなかった場合(ステップS1010:NO)、第1の情報処理装置200は、マーカー領域の不検出条件を判定することができる(ステップS1030)。例えば、マーカー領域の不検出条件として、マーカー領域が連続する複数のフレームで検出されていないことを、マーカー領域の不検出条件とすることができる。この場合、第1の撮像装置210の画角から黒体炉240が外れている可能性がある。そのため、不検出条件を満たす場合(ステップS1030:YES)、第1の情報処理装置200は、黒体炉240の位置を確認するための警告情報を生成することができる(ステップS1040)。警告情報は、入退場管理システム20の管理者の情報端末に送信されてもよい。警告情報の生成後は、再度、第1の撮像装置210で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS1000)。また、不検出条件を満たさない場合(ステップS1030:NO)も、再度、第1の撮像装置210で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS1000)。
【0116】
次に、第1の情報処理装置200(第1の顔情報生成部1030)は、画像データの中から顔領域を検出することができる(ステップS1050)。顔領域が検出された場合(ステップS1050:YES)、第1の情報処理装置200は、顔領域に基づき、顔画像データを生成することができる(ステップS1060)。顔領域が検出されなかった場合(ステップS1050:NO)、第1の情報処理装置200は、再度、第1の撮像装置210で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS1000)。
【0117】
次に、第1の情報処理装置200(第1の顔情報生成部1030)は、画像データにおける顔画像データの位置情報を取得し、顔画像データおよび位置情報を含む顔情報を生成することができる(ステップS1070)。また、第1の情報処理装置200(温度情報生成部1040)は、黒体炉情報および顔情報に基づき、温度分布データから黒体炉240の温度によって補正された対象者の温度情報を生成することができる(ステップS1080)。なお、ステップS1070とステップS1080とは順序が入れ替わっても、並列処理されても情報が紐づけされていればよい。
【0118】
次に、第1の情報処理装置200(第1の顔照合部1060)は、生成された顔情報の顔画像データと、登録情報の顔画像データとを照合し、対象者を特定することができる(ステップS1090)。対象者が特定された場合(ステップS1090:YES)、第1の情報処理装置200(入場者情報処理部1070)は、顔情報、温度情報、および登録情報を紐付けた入場者情報を生成することができる(ステップS1100)。対象者が特定されなかった場合(ステップS1090:NO)、第1の情報処理装置200(第1の顔照合部1060)は、照合不可情報を生成することができる(ステップS1110)。なお、この場合、第1の情報処理装置200(入場者情報処理部1070)は、顔情報、温度情報、および照合不可情報を紐付けた入場者情報を生成することができる(ステップS1100)。
【0119】
次に、第1の情報処理装置200(入場者情報処理部1070)は、対象者の温度情報に含まれる温度が所定の温度以下であるか否かの判定を行うことができる(ステップS1120)。対象者の温度が所定の温度以下である場合(ステップS1120:YES)、第1の情報処理装置200は、生成された入場者情報を表示画像信号に変換することができる。表示画像信号は、第1の表示装置220に送信され、表示処理が実行される(ステップS1130)。対象者の温度が所定の温度を超える場合(ステップS1120:NO)、第1の情報処理装置200は、制御信号を生成することができる(ステップS1140)。生成された制御信号は、警告装置230に送信され、警告処理(ステップS1150)が実行される。
【0120】
ここで、
図10(A)を参照して、表示処理(ステップS1130)について説明する。
【0121】
はじめに、第1の表示装置220は、表示画像信号を取得する(ステップS1131)。
【0122】
次に、第1の表示装置220は、表示画像信号を基に、画面に画像を表示する(ステップS1132)。このとき、第1の表示装置220の画面には、対象者の照合結果が表示されている。そのため、対象者は、画面を見て、照合結果が正しいか否かを確認することができる。
【0123】
次に、第1の表示装置220は、画面に表示されている照合結果が誤検出であるか否かを判定する(ステップS1133)。具体的には、第1の表示装置220は、対象者による誤検出の入力操作が行われた否かを判定する。誤検出の入力操作が行われた場合(ステップS1133:YES)、第1の表示装置220は、操作情報を生成することができる(ステップS1134)。生成された操作情報は、第1の情報処理装置200に送信される。操作情報が生成されると、表示処理(ステップS1130)は終了する。誤検出の入力操作が行われなかった場合(ステップS1133:NO)も、表示処理(ステップS1130)は終了する。
【0124】
また、
図10(B)を参照して、警告処理(ステップS1150)について説明する。
【0125】
はじめに、警告装置230は、制御信号を取得することができる(ステップS1151)。
【0126】
次に、警告装置230は、制御信号に基づき、作動することができる(ステップS1152)。対象者は、警告装置230の作動により、自分自身の体温が高いことを確認することができる。警告装置230が作動すると、警告処理(ステップS1150)は終了する。
【0127】
再び、
図9に戻り、表示処理(ステップS1130)および警告処理(ステップS1150)の終了後の処理について説明する。
【0128】
警告処理(ステップS1150)の終了後は、再度、第1の撮像装置210で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS1000)。
【0129】
表示処理(ステップS1130)の終了後は、第1の情報処理装置200(入場者情報処理部1070)は、操作情報を受信したか否かを判定することができる(ステップS1160)。例えば、第1の情報処理装置200が、一定の時間内に操作情報を受信することを判定条件とすることができる。第1の情報処理装置200が操作情報を受信した場合(ステップS1160:YES)、再度、第1の撮像装置210で撮像された可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを取得することができる(ステップS1000)。第1の情報処理装置200が操作情報を受信しなかった場合(ステップS1160:NO)、入場者情報が第3の情報処理装置400に送信される。第3の情報処理装置400(入退場管理情報処理部1210)は、入場者情報をデータベース化した入退場管理情報を生成することができる(ステップS1170)。
【0130】
入退場管理情報が生成されると、入場処理は終了する。
【0131】
[3.入退場管理システム20の退場処理]
図11は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の退場処理を示すフローチャート図である。具体的には、
図11は、第2の情報処理装置300および第3の情報処理装置で実行される処理を示している。
【0132】
退場処理のステップS2000~ステップS2080およびステップS2100は、入場処理のステップS1000~ステップS1070ならびにステップS1190およびステップS1110と同様の処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0133】
対象者が特定された場合(ステップS2080:YES)、第2の情報処理装置300(退場者情報処理部1170)は、顔情報および登録情報を紐付けた退場者情報を生成することができる(ステップS2090)。対象者が特定されなかった場合(ステップS2080:NO)、第2の情報処理装置300(退場者情報処理部1170)は、顔情報および照合不可情報を紐付けた退場者情報を生成することができる(ステップS2090)。
【0134】
次に、第2の表示装置320による表示処理(ステップS2120)が実行されるが、表示処理(ステップS2120)は、表示処理(ステップS1130)と同様の処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0135】
表示処理(ステップS2120)の終了後は、第2の情報処理装置300(退場者情報処理部1170)は、操作情報を受信したか否かを判定することができる(ステップS2120)。例えば、第2の情報処理装置300が、一定の時間内に操作情報を受信することを判定条件とすることができる。第2の情報処理装置300が操作情報を受信した場合(ステップS2120:YES)、再度、第2の撮像装置310で撮像された可視光領域の画像データを取得することができる(ステップS2000)。第2の情報処理装置300が操作情報を受信しなかった場合(ステップS2120:NO)、退場者情報が第3の情報処理装置400に送信される。第3の情報処理装置400(入退場管理情報処理部1210)は、入退場管理情報記憶部1220から入退場管理情報を取得し、入退場管理情報を更新することができる(ステップS2130)。
【0136】
入退場管理情報が更新されると、退場処理は終了する。
【0137】
以上、入退場管理システム20の構成ならびに入場処理および退場処理について説明したが、入退場管理システム20は、対象者の入場だけでなく、退場も管理することができる。そのため、対象者の滞在時間、または対象者と接触した可能性のある作業者などを容易に把握することができる。
<第3実施形態>
図12および
図13を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システムを含むユニットパネル30について説明する。ユニットパネル30に含まれる入退場管理システムが、入退場管理システム20と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0138】
図12および
図13は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るユニットパネル30の模式的な斜視図および模式的な平面図である。ユニットパネル30は、パネル材500Aを含み、パネル材500Aには、入退場管理システムの構成の全部または一部が設けられている。パネル材500Aに設けられる入退場管理システムは、例えば、第1の情報処理装置200A、第1の撮像装置210A、第1の表示装置220A、警告装置230A、第2の情報処理装置300A、第2の撮像装置310A、または第2の表示装置320Aである。したがって、建設現場の出入口にユニットパネル30を設置すれば、ユニットパネル30に備えられた入退場管理システムを利用し、建設現場の作業者の入退場管理を行うことができる。なお、黒体炉240Aは、第1の撮像装置210Aの画角内に入る位置に配置される。
【0139】
パネル材500Aの材質は、特に限定されない。パネル材500Aとして、例えば、木材または樹脂材などを用いることができる。また、パネル材500Aには、対象者が通り抜けるための開口部510Aが設けられている。
【0140】
パネル材500Aの第1の面501Aの一方の側に、第1の撮像装置210A、第1の表示装置220A、および警告装置230Aが設けられている。また、これらの装置が設けられたパネル材500Aの裏面である第2の面502Aの一方の側に、第1の情報処理装置200Aが設けられている。第1の撮像装置210A、第1の表示装置220A、および警告装置230Aは、第1の情報処理装置200Aと接続されている。なお、第1の情報処理装置200Aが無線で接続される場合、第1の情報処理装置200Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0141】
パネル材500Aの第2の面502Aの他方の側に、第2の撮像装置310Aおよび第2の表示装置320Aが設けられている。また、これらの装置が設けられたパネル材500Aの裏面である第1の面501Aの他方の側に、第2の情報処理装置300Aが設けられている。第2の撮像装置310Aおよび第2の表示装置320Aは、第2の情報処理装置300Aと接続されている。なお、第2の情報処理装置300Aが無線で接続される場合、第2の情報処理装置300Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0142】
図13(A)および
図13(B)では、第3の情報処理装置400Aがパネル材500Aから離れて設置されているが、第3の情報処理装置400Aも、パネル材500Aに設けられていてもよい。第3の情報処理装置400Aは、第1の情報処理装置200Aおよび第2の情報処理装置300Aと接続されている。なお、第3の情報処理装置400Aが無線で接続される場合、第3の情報処理装置400Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0143】
開口部510Aは、第1のゲートまたは第2のゲートに対応する。ユニットパネル30は、パネル材500Aの第2の面502Aが建設現場の出入口に接続されるように設置される。
図13(A)に示すように、入場時には、対象者は、パネル材500Aの第1の面501A側において入退場管理システムを利用した入場処理が行われ、開口部510Aを通過して第2の面502A側へ向かう。
図13(B)に示すように、退場時には、対象者は、パネル材500Aの第2の面502A側において入退場管理システムを利用した退場処理が行われ、開口部510Aを通過して第1の面501A側へ向かう。
【0144】
本実施形態に係るユニットパネル30は、あらゆる場所に簡便に設置し、または撤去することが可能である。そのため、建設現場での工程期間中、またはイベント施設もしくはイベント会場の開催期間中などにおいて、ユニットパネル30を一時的に設置し、入退場管理システムを利用して、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0145】
<第4実施形態>
図14および
図15を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システムを含むユニットハウス40について説明する。ユニットハウス40に含まれる入退場管理システムが、入退場管理システム20と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0146】
図14および
図15は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るユニットハウス40の外観を示す模式的な斜視図および内部構成を示す模式的な平面図である。ユニットハウス40は、4つの側壁面、4つの側壁面で囲まれた空間の上方を覆う天井面、および4つの側壁面で囲まれた空間の下方を覆う床面からなる箱状体600Bを含み、箱状体600B内には、入退場管理システムの構成全部または一部が設けられている。箱状体600B内に設けられる入退場管理システムは、例えば、第1の情報処理装置200B、第1の撮像装置210B、第1の表示装置220B、警告装置230B、黒体炉240B、第2の情報処理装置300B、第2の撮像装置310B、第2の表示装置320B、または第3の情報処理装置400Bである。したがって、建設現場の出入口にユニットハウス40を設置すれば、ユニットハウス40に備えられた入退場管理システムを利用し、建設現場の作業者の入退場管理を行うことができる。
【0147】
箱状体600Bの側壁面、天井面、および床面の各々は、1つの部材で構成されていてもよく、複数の部材で構成されていてもよい。また、箱状体600Bは、柱材または梁材を用いて枠体を構成し、枠体にパネル材が固定されて構成されていてもよい。箱状体600Bは、いわゆるコンテナ、プレハブハウス、またはトランクルームであってもよく、住宅、事務所、倉庫、または店舗などに用いられる簡易的な建築物であってもよい。
【0148】
なお、ユニットハウス40は、そのまま移動して建設現場に設置することができてもよく、またはいくつかの構成部材に分割され、建設現場で組み立てることによって設置することができてもよい。
【0149】
箱状体600Bの4つの側壁面のうち、対向する2つの側壁面には第1の扉610Bおよび第2の扉620Bが設けられている。第1の扉610Bおよび第2の扉620Bは、それぞれ、第1のゲートおよび第2のゲートに対応し、ユニットハウス40は、第2の扉620Bが建設現場の出入口に接続するように設置される。対象者が建設現場に入場するとき、対象者は、第1の扉610Bから進入し、入退場管理システムを利用した入場処理が行われ、第2の扉620Bから退出する。対象者が建設現場から退場するとき、対象者は、第2の扉620Bから進入し、入退場管理システムを利用した退場処理が行われ、第1の扉610Bから退出する。
【0150】
箱状体600Bの側壁面、第1の扉610B、または第2の扉620Bに窓が設けられている場合、窓を通じてユニットハウス40内に入射する光を遮光するために、窓にカーテン、ブラインド、またはスモークフィルムなどの遮光部材が設けられていることが好ましい。窓からの光を遮光することによって、箱状体600B内の照度を一定に保つことができる。そのため、常に同じ照度条件で対象者を撮影することができ、対象者の照合処理の精度が向上する。
【0151】
箱状体600Bの側壁面には、室内機651B、室外機652B、および配管653Bを含む空調機650Bが設けられている。ユニットハウス40は、空調機650Bが設けられていることにより、箱状体600B内の温度を一定に保つことができる。そのため、常に同じ温度条件で対象者を撮影することができ、対象者の体温測定の精度が向上する。また、箱状体600B内の空気を循環させるため、側壁面に換気口または換気扇などが設けられていてもよい。なお、室内機651B、換気口、および換気扇は、側壁面だけでなく、天井面に設置してもよい。
【0152】
また、ユニットハウス40は、充電可能なバッテリー部660Bを備えていることが好ましい。ユニットハウス40がバッテリー部660Bを備えることで、建設現場において外部からの電源の供給が困難である場合であっても、バッテリー部660Bからユニットハウス40の各装置に電源を供給することができる。なお、ユニットハウス40は、発電装置(例えば、天井または壁に設けられた太陽光発電装置、風力発電装置、または床下などに設けられた自己発電装置など)を備えていてもよい。
【0153】
さらに、ユニットハウス40は、第1の扉610Bまたは第2の扉620Bの開閉を検出するセンサを備えていてもよい。ユニットハウス40がセンサを備えることで、第1の扉610Bまたは第2の扉620Bが開けられたときに、例えば、ユニットハウス40の入退場管理システムの電源をオンにすることができる。
【0154】
本実施形態に係るユニットハウス40は、箱状体600Bを移動させ、いくつかの構成を取り付けることによって設置することができるため、あらゆる場所に簡便に設置し、または撤去することが可能である。そのため、建設現場での工程期間中、またはイベント施設もしくはイベント会場の開催期間中などにおいて、ユニットパネル30を一時的に設置し、入退場管理システムを利用して、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0155】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、または設計変更を行ったもの、もしくは、工程の追加、省略、または条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0156】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0157】
10:検温システム、 11:黒体炉、 11a:筐体、 11b:黒体面、 11c、11c’、11c’’:マーカー、 12:撮像装置、 12a:撮像部、 13:情報処理装置、 13a:黒体炉情報生成部、 13b:顔情報生成部、 13c:温度情報生成部、
20:入退場管理システム、 30:ユニットパネル、 40:ユニットハウス、
100:第1のゲート、 110:第2のゲート、 120:通路、
200、200A、200B:第1の情報処理装置、 210、210A、210B:第1の撮像装置、 220、220A、220B:第1の表示装置、 230、230A、230B:警告装置、 240、240A、240B:黒体炉、 300、300A、300B:第2の情報処理装置、 310、310A、310B:第2の撮像装置、 320、320A、320B:第2の表示装置、 400、400A、400B:第3の情報処理装置、
500A:パネル材、 501A:第1の面、 502A:第2の面、 510A:開口部、
600B:箱状体、 610B:第1の扉、 620B:第2の扉、 650B:空調機、 651B:室内機、 652B:室外機、 653B:配管、 660B:バッテリー部、
1010:第1の撮像部、 1020:黒体炉情報生成部、 1030:第1の顔情報生成部、 1040:温度情報生成部、 1050:第1の登録情報記憶部、 1060:第1の顔照合部、 1070:入場者情報処理部、 1080:第1の表示部、 1090:警告部、 1110:第2の撮像部、 1130:第2の顔情報生成部、 1150:第2の登録情報記憶部、 1160:第2の顔照合部、 1170:退場者情報処理部、 1180:第2の表示部、 1210:入退場管理情報処理部、 1220:入退場管理情報記憶部