(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】基板情報分析システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20240605BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H05K3/00 Q
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2021186286
(22)【出願日】2021-11-16
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511248629
【氏名又は名称】由田新技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】鄒嘉駿
(72)【発明者】
【氏名】林伯聰
(72)【発明者】
【氏名】黄冠勳
(72)【発明者】
【氏名】張▲すん▼豪
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-88911(JP,A)
【文献】特開平2-162205(JP,A)
【文献】特開昭62-272141(JP,A)
【文献】特開平9-81737(JP,A)
【文献】特開2021-135300(JP,A)
【文献】特開2022-13913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00―21/958
G01R 27/00―27/32
G01R 31/00―31/315
G06F 30/00―30/398
G01B 11/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を分析するのに用いる基板情報分析システムであって、
前記基板の目標領域を検出し、配線画像を取得する少なくとも一以上のセンサー装置と、
前記少なくとも一以上のセンサー装置と結合し、前記配線画像に基づいて配線サイズ情報を作り出す画像測量モジュールと、
前記配線サイズ情報に基づいて配線特性情報を作り出す特性分析モジュールとを有し、
前記配線特性情報は、配線の電気抵抗値情報または配線のインピーダンス値情報を含むことを特徴とする基板情報分析システム。
【請求項2】
前記配線サイズ情報は、配線幅、配線の高さ、配線の長さまたは配線の断面積を含み、
前記配線幅は、上側配線幅と下側配線幅を含み、
前記配線特性情報は、電気的欠陥、電磁干渉またはインピーダンス・マッチングを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板情報分析システム。
【請求項3】
前記特性分析モジュールは、前記配線の断面積と前記配線の長さに基づいて前記配線の電気抵抗値情報を作成することを特徴とする請求項2に記載の基板情報分析システム。
【請求項4】
前記特性分析モジュールは、前記配線幅、前記配線の高さ及び前記目標領域の誘電体層の高さと誘電体層係数に基づいて前記配線のインピーダンス値情報を作成することを特徴とする請求項2に記載の基板情報分析システム。
【請求項5】
前記特性分析モジュールは、前記配線の断面積または配線の体積に基づいて配線のインピーダンスに異常を生じたと判定することを特徴とする請求項2に記載の基板情報分析システム。
【請求項6】
前記少なくとも一以上のセンサー装置は、目標領域の上面方向に設置され、前記配線画像の上面画像を取得する上面画像キャプチャ装置と、目標領域の側面方向に設置され、前記配線画像の側面画像を取得する側面画像キャプチャ装置を備え、
前記側面画像キャプチャ装置は、その光軸方向と前記基板の平面との間に撮影角度を有し、前記撮影角度は0度から90度の間であることを特徴とする請求項1に記載の基板情報分析システム。
【請求項7】
前記センサー装置は レーザー三次元スキャン装置を含み、前記基板と前
記配線の三次元画像を取得することで、前記配線サイズ情報を測量することを特徴とする請求項1に記載の基板情報分析システム。
【請求項8】
前記基板情報分析システムは更に、三次元画像作成モジュールを含み、前記三次元画像
作成モジュールは前記配線サイズ情報に基づいて前記基板の配線三次元モデルを取得することを特徴とする請求項1に記載の基板情報分析システム。
【請求項9】
前記基板情報分析システムは更に、配線計測モジュールを含み、前記配線計測モジュールは前記配線画像に基づいて前記基板の表面欠陥の計測結果を取得することを特徴とする請求項1に記載の基板情報分析システム。
【請求項10】
基板情報の分析方法であって、
センサー装置により基板の目標領域を検出し、配線画像を取得するステップと、
前記配線画像に基づいて、配線サイズ情報を作成するステップと、
配線サイズ情報に基づいて、配線特性情報を作成するステップを含み、
前記配線特性情報は、配線の電気抵抗値情報または配線のインピーダンス値情報を含むことを特徴とする基板情報の分析方法。
【請求項11】
前記配線サイズ情報は、配線幅、配線の高さ、配線の長さまたは配線の断面積を含み、
前記配線幅は、上側配線幅と下側配線幅を含み、
前記配線特性情報は、電気的欠陥、電磁干渉またはインピーダンス・マッチングを含むことを特徴とする請求項10に記載の基板情報の分析方法。
【請求項12】
配線サイズ情報に基づいて配線特性情報を作成するステップは、前記配線の断面積と前記配線の長さに基づいて前記配線の電気抵抗値情報を作成することを含むことを特徴とする請求項11に記載の基板情報の分析方法。
【請求項13】
配線サイズ情報に基づいて配線特性情報を作成するステップは、前記配線幅、前記配線の高さ及び前記目標領域の誘電体層の高さと誘電体層係数に基づいて前記配線のインピーダンス値情報を作成することを含むことを特徴とする請求項11に記載の基板情報の分析方法。
【請求項14】
前記配線の断面積または配線の体積に基づいて配線のインピーダンスに異常を生じたと判定することを含むことを特徴とする請求項11に記載の基板情報の分析方法。
【請求項15】
前記配線サイズ情報に基づいて前記基板の配線三次元モデルを取得することを含むことを特徴とする請求項10に記載の基板情報の分析方法。
【請求項16】
前記配線画像に基づいて前記基板の表面欠陥の計測結果を取得することを含むことを特徴とする請求項10に記載の基板情報の分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板情報分析システム及びその方法に関し、特に、基板の配線情報を計測する分析システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業の全自動化の発展に伴い、自動光学検査(Automatic Optical Inspection,AOI)は既に工業製造過程においてよく見られる代表的な手法である。主な方法は、撮影装置を用いて検査対象物の表面状態を撮影し、パソコンの画像処理技術を用いて、異物やパターン異常等の欠陥を検出する。非接触検査であるため、生産過程の半製品の検査に用いることができる。自動光学検査はその利点から、既に電子産業における回路基板組立ラインの外観検査に普遍的に応用されるものとなり、従来の人による目視検査(Visual Inspection)に取って代わった。
【0003】
今日の5G技術に必要とされる高周波技術は、基板製造に大きな課題をもたらしている。同様に、電子装置の外観サイズがますます縮小化している事も、この課題を更に克服困難なものにしている。これら精密装置の高密度インターコネクト(HDI)の設計には、システムの外観サイズを可能な限り縮小しつつ、入出力を大幅に増加させるために、更に微細な配線が求められる。しかし、微細な配線では信号が劣化するというリスクが高まる可能性がある。配線の物理的特性(上下の幅の広さなど)が元々の設計により変化してしまうと、RF信号の出力に数ミリ秒の遅れが生じ、信号の同期がなされなかった場合にはシグナルチェーンに影響が生じる。
【0004】
高密度の信号完全性はプリント基板配線の狭い幾何学構造内の、厳格なインピーダンス制御によって決まる。従来のサブトラクティブ法を用いて作られる配線には通常、不規則な四角形の断面が現れるため、多量のインピーダンス異常が発生していた。セミアディティブ法(mSAP)の改良はこの問題を改善することができ、配線を更に高精度に形成し、真っ直ぐな配線壁はインピーダンス制御を向上する効果が得られる。
【0005】
既存の技術では画像を通して配線の表面欠陥を認識することは出来るが、有効に識別することができないような形状の結果もあるほか、配線形状とインピーダンス・マッチング及びノイズ信号の発生の間には高い相関性があるため、人による検査では検出できない違いもまた同様に、インピーダンスの不一致やEMIノイズを生み出すリスクがあるなど、まだまだ克服すべき課題がある。
【0006】
一方で、従来の方法では配線に対して三次元測定を行う際、主に共焦点顕微鏡(Confocal microscopy)、三角測量法、白色干渉法など、いずれも点状を計測する方法で三次元模型を生成しているが、測定時間が遅いだけでなく、大量の計測を行う際に困難がある上、点状測定にも制限があるため、一部の高度情報しか取得できず、組み合わせて配線全体の断面積情報を得ることは難しい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主な目的は、基板を分析するのに用いる、基板情報分析システムを提供することにある。前記基板情報分析システムは少なくとも一以上のセンサー装置と、画像測量モジュールと、特性分析モジュールを有する。前記センサー装置は前記基板の目標領域を検出し、配線画像を取得する。前記画像測量モジュールは前記少なくとも一以上のセンサー装置と結合し、前記画像測量モジュールは前記配線画像に基づいて配線サイズ情報を作り出す。前記特性分析モジュールは前記配線サイズ情報に基づいて配線特性情報を作り出す。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、センサー装置を通して基板の目標領域を検出し配線画像を取得すること、前記配線画像に基づいて配線サイズ情報を作り出すこと、前記配線サイズ情報に基づいて配線特性情報を作り出すことを含む、基板情報の分析方法を提供することにある。
【0009】
これらをもって、本発明は画像計測方式を通じて基板の配線サイズ情報(例えば上側配線幅、下側配線幅、配線の高さ、配線の長さ、配線の断面積などを含む)を取得し、取得したこれら配線サイズ情報を用いて更に配線特性情報を取得することで、画像から配線特性を取得する機能を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の基板情報分析システムを示す説明図である。
【
図2】本発明の実施例における設備の外観を示す説明図である。
【
図3】本発明の基板配線の側面を示す説明図である。
【
図4】本発明の基板配線の複数の断面を示す説明図である。
【
図5】本発明のマイクロストリップラインの側面を示す説明図である。
【
図10】本発明の基板配線の座標位置決め図である。
【
図11】本発明の基板配線の上面画像を示す説明図である。
【
図12】本発明の基板配線の側面画像を示す説明図である。
【
図13】本発明の基板配線の三次元画像を示す説明図(一)である。
【
図14】本発明の基板配線の三次元画像を示す説明図(二)である。
【
図15】本発明の基板配線の三次元画像を示す説明図(三)である。
【
図16】本発明の基板情報の分析方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の技術内容を図面に基づいて説明する。なお、これら図面は説明のためのものであるため、実際の比率に従い描かれたものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
以下、本発明の実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の基板情報分析システムを示す説明図である。
【0013】
本実施例では基板情報分析システム100について説明する。基板情報分析システム100は基板Bの計測に使用し、マシンビジョンを通して基板Bあるいは集積回路の情報を確認し、配線情報を用いて基板Bの各データを分析することで、基板Bに欠陥がないかを確認する。基板Bは例えば片面基板(Single-Layer PCB)、両面基板(Double-Layer PCB)、多層基板(Multi-layer board)あるいはその他配線を設置した任意の基板であってもよいが、本発明では限定しない。
【0014】
基板情報分析システム100は少なくとも一以上のセンサー装置10と、センサー装置10に接続または結合されたコンピュータ設備20を備える。
【0015】
センサー装置10は基板Bの目標領域の検出に使用し、配線画像を取得する。センサー装置10は画像撮影を行うことによって基板Bの配線画像を取得する。具体的には、センサー装置10はエリアスキャンカメラやラインスキャンカメラを備えてもよく、これらの撮影装置を通して配線画像を撮影する。本発明における実施例では、センサー装置10は TOFセンサーや三角測量装置(Triangulation)やダブルビジョンカメラなどのレーザー三次元スキャン装置を含み、基板Bと基板配線の三次元画像を取得することで、配線の各種情報を精確に測量する。前記目標領域とは基板B上にある配線を含む任意の領域を指す。
【0016】
センサー装置10によって撮影された画像はコンピュータ設備20(コンピュータもしくはサーバなど)に転送され、コンピュータ設備20のプロセッサによりストレージに読み込まれた後、画像処理プログラムを呼び出し、取得された配線画像は画像処理プログラムにより画像処理が行われ、その処理の結果に基づいて配線サイズ情報が作成される。配線サイズ情報は配線の計測結果と、測定結果と、配線特性情報を作成する。このうち、ストレージはキャッシュメモリ、ダイナミックRAM、持続性メモリ(Persistent Memory)などのデータの保存および取り出しに使用することができるデバイスまたはそれらの組み合わせであってもよいが、本発明では限定しない。
【0017】
センサー装置10が基板B上の配線画像の関心領域を容易に取得し、更に配線サイズ情報を取得できるようにするためと、コンピュータ設備20が基板B上の配線サイズ情報を容易に取得できるようにするため、基板情報分析システム100は適切な光源を配置してもよい。
【0018】
以下、本発明の基板情報分析システム100のハードウェア構成を実施例に基づいて説明する。
図2は本発明の実施例における設備の外観を示す説明図である。
【0019】
本実施例ではセンサー装置10は、上面画像キャプチャ装置11と、側面画像キャプチャ装置12を備える。上面画像キャプチャ装置11は、目標領域の上面方向に設置され、配線の上面画像を取得する。側面画像キャプチャ装置12は、目標領域の側面方向に設置され、配線の側面画像を取得する。具体的な実施例では、側面方向とは基板Bの左右両側の真横方向の位置(
図2の基板Bの左側あるいは右側に相当)か、斜め上方の位置(
図2の基板Bの左上側あるいは右上側に相当)を指し、側面画像キャプチャ装置12の撮影方向が基板Bの配線に対して適切な傾角を保つようにする。本発明の実施例では、側面画像キャプチャ装置12の光軸方向Lと基板Bの平面との間に撮影角度αを有し、撮影角度αは0度から90度の間である。
【0020】
上記の配置を通して、上面画像キャプチャ装置11と側面画像キャプチャ装置12は基板Bの上面画像と側面画像(以下、配線画像とする)を取得する。これらの配線画像を通してコンピュータ設備20は基板Bの配線の配線サイズ情報を取得できる。本発明の実施例では、上述の光学配置のほか、TOFセンサーや三角測量装置(Triangulation)やダブルビジョンカメラなどのレーザー三次元スキャン装置から配線サイズ情報を作成してもよく、これらの装置が配線サイズ情報を取得するためのアルゴリズムなどに関しては、本発明では限定しない。
【0021】
以下、
図1を用いて、コンピュータ設備20とそのアルゴリズムについて説明する。配線画像を通して配線サイズ情報を作成し、前記配線サイズ情報に基づいて配線の計測結果と、測定結果と、配線特性情報を作成するため、コンピュータ設備20のプロセッサはストレージのプログラムを読み込んだ後、前記配線画像の分析を行う。具体的には、コンピュータ設備20の機能に基づいて、画像測量モジュールF1と、特性分析モジュールF2と、三次元画像作成モジュールF3と、配線計測モジュールF4に分けることができる。ここで明記すべきなのは、これらのモジュールは単一の装置によって実行されても、複数個の装置によって個別にあるいは同時に実行されてもよく、本発明では限定しない。
【0022】
以下、
図3から
図7を用いて、画像測量モジュールF1、特性分析モジュールF2、三次元画像作成モジュールF3、配線計測モジュールF4が行う演算工程をそれぞれ説明する。
【0023】
コンピュータ設備20は通信ポート21を通してセンサー装置10に接続あるいは結合し、配線画像を取得する。コンピュータ設備20はプロセッサ22とストレージ23と連携し、保存したストレージ23内のプログラムを用いて相応するアルゴリズムを実行する。コンピュータ設備20が前記配線画像を取得した後、まず前記配線画像を通して配線サイズ情報を作成し、前記配線サイズ情報に基づいて配線の計測結果と、測定結果と、電気計測結果を取得する。本発明の実施例では、コンピュータ設備20は更に画像処理を行う画像処理プログラムを備える。前記画像処理プログラムは画像前処理プログラム、画像分割及び位置決め、欠陥の検出(勾配、エリア成長、成長補償等)、機械学習システム、ディープラーニング(深層学習)システムなどであってもよいが、本発明では限定しない。
【0024】
以下、
図1を用いて画像測量モジュールF1の機能について説明する。画像測量モジュールF1は少なくとも一以上のセンサー装置10と結合し、前記配線画像に基づいて配線サイズ情報を作成する。具体的には、コンピュータ設備20が画像測量モジュールF1の工程を実行すると、前記配線画像を分析し前記配線画像内の第一区域画像特徴(上幅の広さ)と第二区域画像特徴(側壁の広さ)を取得する。具体的には、画像測量モジュールF1は画像の前処理工程(画像の強化、ノイズ除去、コントラスト強化、輪郭の強調、特徴の取得、画像の圧縮、画像変換など)を行ってもよく、画像前処理工程後の画像に分割を行うか、あるいはそこから輪郭の取得を行い、関心領域(Region of Interest,ROI)の分割を行う。関心領域の取得方法は、二値化処理(Binarization)でもよく、あるいは機械学習システム、ディープラーニング(深層学習)システムなどのニューラルネットワークにより訓練した後、第一区域画像特徴と第二区域画像特徴を画像内から分割してもよいが、本発明では限定しない。また、ここに述べた配線画像とは単一の画像とは限らず、複数個の配線画像を用いて三次元空間内の分布資料から配線を分析するために、二以上の配線画像である可能性もある。
【0025】
画像測量モジュールF1は第一区域画像特徴と第二区域画像特徴を取得した後、前記第一区域画像特徴と前記第二区域画像特徴の分析を通して基板Bの配線幅(上側配線幅と下側配線幅などを含む)、配線の高さあるいは配線の断面積などの配線サイズ情報を取得する。配線サイズ情報の取得方法については以下に説明する。
【0026】
図3が示すように、基板Bの配線の例と上記に取り上げた2つのキャプチャ装置(上面画像キャプチャ装置11と側面画像キャプチャ装置12)の実施例のように、上述の光学配置を経由した後、画像測量モジュールF1は二組の異なる方向から撮影された画像から上側配線幅UW1と、下側配線幅UW2と、配線の高さTを取得し、これらの情報から配線の断面積を算出する。
【0027】
上面画像と側面画像からこれらの配線サイズ情報を取得する他に、三次元スキャン技術(TOFセンサー、三角測量装置、ステレオビジョンなど)から配線サイズ情報を作成してもよく、これら配線サイズ情報の取得方法については、本発明では限定しない。
【0028】
上記の実施例の他、測定結果は、例えば基板配線の上側配線幅、下側配線幅、配線の高さ、配線の長さ、配線の断面積、配線の体積などの各測定データであってもよいが、本発明では限定しない。配線の体積は配線の断面積と配線の長さから算出されてもよく、より精確な計算方法では、配線の体積は各サンプルの配線の断面積と各サンプルの配線の長さから算出されてもよい。
【0029】
以下、
図4から
図5を用いて、特性分析モジュールF2の機能について説明する。特性分析モジュールF2は前工程で取得した配線サイズ情報に基づいて、対応する配線特性情報を作成する。このうち、配線特性情報には配線の電気抵抗値情報あるいは配線のインピーダンス値情報が含まれていてもよい。特性分析モジュールF2は前記配線の断面積と前記配線の長さに基づいて前記配線の電気抵抗値情報を作成する。具体的には、前記配線の電気抵抗値情報は、以下の式を用いて取得できる。
【0030】
【0031】
このうち、Rは電気抵抗値、ρは電気抵抗係数、Lは配線の長さ、Aは配線の断面積である。
図4で示すように、上記の配線サイズ情報で取得した断面積に基づき、多くとも最大解像度までの配線の各区間SG1-SGNの断面積データを取得できる。上述の式を用いて各小区間の長さL1-LNの断面積に相応する抵抗値を合算した後、最終的に全区間の配線の電気抵抗値情報を取得できる。
【0032】
図5は本発明のマイクロストリップラインの側面を示す説明図である。本実施例では、特性分析モジュールF2は前記配線幅、前記配線の高さ、前記目標領域の誘電体層の高さと誘電体層係数に基づいて前記配線のインピーダンス値情報を作成する。具体的には、特性分析モジュールF2は例えば以下の式を適用し配線のインピーダンス値情報を取得できるが、本発明では限定しない。
【0033】
【0034】
このうち、Z0はシングルエンド・インピーダンス値、εγは相対誘電率、Wは配線幅、Tは配線の高さ、Hは誘電体層の高さであり、相対誘電率εγは予測値である。配線幅Wと配線の高さTは前述の画像測量モジュールF1から画像分析を通して取得できる。本発明の実施例では、誘電体層の高さHは誘電体層の配線画像が遮られていない時、前述の画像測量モジュールF1の画像分析後に取得できる。別の実施例では、基板Bのサイズの精度が相対的に安定している時、誘電体層の高さHは固定値として事前に設定するか、事前に計測して取得することもできるが、本発明では限定しない。
【0035】
上述の実施例では、配線の断面積の形状は長方形で例示しているが、台形あるいはその他の他面形であってもよく、本発明では限定しない。上述の公式は、例えばIPC-2221、IPC-2222、IPC-2223、IPC-2224、IPC-2225、IPC-2226、IPC-2227などの、国際電子工業連接協会が発布するIPCなどの関係規定を満たす計算式を使用してもよいが、これらに限定しない。別の実施例では、特性分析モジュールF2はルックアップテーブルからインピーダンスや電気抵抗を取得してもよい。ルックアップテーブルにない数値が現れた場合はK近傍法または内挿法で計算してもよく、この部分に関しては設計要件により決定されるものである。
【0036】
上述の実施例では、電気的欠陥の計測とは、例えばショートの計測、断線の計測、漏電の計測であってもよいが、これらに限定しない。ショートの計測は配線画像内の各配線間に接続エリアがあるかどうかで検出する。断線の計測は取得した配線断面積と配線の体積から判定でき、配線断面積と、配線体積が設定された閾値よりも低い時、断線していると判定する。別の実施例では、基板の配線の三次元画像を通して目視もしくはマシンビジョンにより判断する。漏電の計測は配線画像の絶縁層の状態により検出する。
【0037】
上述の実施例では、電磁干渉(EMI)の計測は、三次元画像作成モジュールF3を通して配線の三次元モデルを波動場シミュレーションシステム(HFSSなど)に入力して波動場シミュレーション図を出力し、波動場シミュレーション図から電磁干渉の可能性を評価することができるが、これに限定しない。
【0038】
上述の実施例では、インピーダンス・マッチングの計測は、配線の電気抵抗値情報と、配線のインピーダンス値情報を取得することで、各配線の配線電気抵抗値情報と配線のインピーダンス値情報が設定された合理的範囲内に収まるかどうかを分析し、配線の電気抵抗値情報の結果の分析を通して、インピーダンス・マッチングの結果を確認できるが、これに限定しない。
【0039】
図6と
図7が示すように、別の実施例では、基板の配線の三次元画像を通して目視もしくはマシンビジョンによりインピーダンス・マッチングを判定する。画像分析を通して検査対象となる配線の断面積、配線の体積を判定し、配線の断面積と配線の体積に、配線の陥没や突出などの異常なパターンや特徴が生じた場合、配線のインピーダンスに異常を生じたと迅速に判定することができる。
【0040】
図6が示すように、配線上面の陥没DF1は一般的なカメラが撮影できる二次元画像では、画像(俯瞰画像など)内から欠陥を確認するのは難しいが、配線の断面積や配線の体積からは異常なパターンや特徴の有無をすぐに確認でき、配線のインピーダンスに異常が生じたと迅速に判定することができる。
【0041】
図7が示すように、配線両側の陥没DF2とDF3は、一般的なカメラが撮影できる二次元画像では画像(上面あるいは側面画像など)内から欠陥を確認するのは難しいが、上記と同様に、配線の断面積や配線の体積からは異常なパターンや特徴の有無をすぐに確認でき、配線のインピーダンスに異常が生じたと迅速に判定することができる。
【0042】
前述の
図4から
図7の実施例は、片面基板を計測した場合を例としている。以下、
図8を用いて本発明が多層基板全体に対して行える電気計測について説明する。なお、前述の実施例で提示した片面基板と、その配線のインピーダンス値情報もしくは電気抵抗値情報の計算例など、前述の実施例と本実施例で同一あるいは重複する部分に関しては説明を省略する。
【0043】
本実施例では、多層基板を電気計測した場合を提示する。本実施例の多層基板Aは五層の基板A1-A5の圧縮から成る。個別の独立した基板A1-A5はそれぞれ配線を備え、基板A1には配線L1を、基板A2には配線L2を、基板A3には配線L3を、基板A4には配線L4を、基板A5には配線L5をそれぞれ備える。
【0044】
それぞれの層の配線(配線L1-L5)を電気的に接続させるため、基板A2にはスルーホールTH2を、基板A3にはスルーホールTH3を、基板A4にはスルーホールTH4を、基板A5にはスルーホールTH5を備える。基板A1の配線L1と基板A2の配線L2はスルーホールTH2を通して、基板A2の配線L2と基板A3の配線L3はスルーホールTH3を通して、基板A3の配線L3と基板A4の配線L4はスルーホールTH4を通して、基板A4の配線L4と基板A5の配線L5はスルーホールTH5を通して、電気的に接続している。ここで特に明記すべきなのは、本実施例では説明の簡略化のため、各回路板はそれぞれ一つの配線しか備えていないが、通常、多層基板は各層の基板に複数個の配線を備えており、画像認識とあらかじめ保存されている配線の配置からこれらの配線を分類することで、各配線間の電気的接続関係を確認してもよい。配線の種類については本発明では限定しない。
【0045】
前述の実施例によって、各層の基板A1-A5の配線L1-L5のインピーダンス値あるいは電気抵抗値情報をそれぞれ取得することができる。また、スルーホールTH2-TH5のインピーダンスはスルーホールの内孔径、スルーホールの外孔径、スルーホールの高さ、参考平面のスルーホールの空白部の直径、スルーホールの電気メッキの厚さなどのスルーホール情報に基づき取得される。最終的には複数個の配線L1-L5とスルーホールのインピーダンス値の合計計算から全ての配線のインピーダンス値を取得できる。例えばインピーダンス計算の結果から取得した配線L1のインピーダンス値をZ1、配線L2のインピーダンス値をZ2、配線L3のインピーダンス値をZ3、配線L4のインピーダンス値をZ4、配線L5のインピーダンス値をZ5、スルーホールTH2のインピーダンス値をZT2、スルーホールTH3のインピーダンス値をZT3、スルーホールTH4のインピーダンス値をZT4、スルーホールTH5のインピーダンス値をZT5とするとき、配線の総合インピーダンス値(ZL1)は上記のインピーダンス値の合計に相当する。
【0046】
【0047】
インピーダンス値の他、電気抵抗値もまた上述の式に当てはめることができる。上述の方法で多層基板Aの全ての配線のインピーダンス特性情報を取得することができる。
【0048】
上述の計測方法の他、
図9に示すように、本発明は層をまたぐ配線に対して電気計測を行うこともできる。なお、前述の実施例で示した片面基板や、その配線のインピーダンス値情報あるいは電気抵抗値情報の計算例など、前述の実施例と本実施例で同一あるいは重複する部分に関しては説明を省略する。
【0049】
本実施例では層をまたぐ配線に対して行う電気計測について説明する。本実施例の多層基板B’は五層の基板B1-B5の圧縮から成る。このうち基板B2と基板B4はそれぞれ配線を備え、基板B2には配線K2を、基板B4には配線K4を備える。基板B2の配線K2と基板B4の配線K4を接続するため、基板B3はスルーホールYH3を、基板B4はスルーホールYH4を備え、スルーホールYH3を通して基板B2の配線K2を、スルーホールYH4を通して基板B3のスルーホールYH3と基板B4の配線K4を電気的に接続する。
【0050】
前述の実施例によって、各層の基板B1-B5の配線K2と、配線K4と、スルーホールYH3-YH4のインピーダンス値情報あるいは電気抵抗値情報をそれぞれ取得することができ、最終的には複数個の配線のインピーダンス値とスルーホールYH3-YH4のインピーダンス値の合計計算を通して、全ての配線のインピーダンス値情報を取得することができる。例えば前述の片面基板の計測からそれぞれ得た配線K2のインピーダンス値をZ2、配線K4のインピーダンス値をZ4、スルーホールYH3のインピーダンス値をZT3、スルーホールYH4のインピーダンス値をZT4とするとき、配線の総合インピーダンス値(ZL2)は上述のインピーダンス値の合計に相当する。
【0051】
【0052】
インピーダンス値の他、電気抵抗値もまた上述の式に当てはめることができる。上述の方法で多層基板の配線特性情報を取得することができる。
【0053】
三次元画像作成モジュールF3は前工程で取得した配線の情報に基づいて基板Bの三次元モデルを取得することができる。以下より、
図10から
図15を用いて、2つのキャプチャ装置を用いた実施例を例にとり、三次元画像の作成方法について説明する。
【0054】
まず
図10に示すように、三次元画像作成モジュールF3は基板Bの第一画像と第二画像を受信した後、前記第一画像と前記第二画像の片側境界線に連続した複数個の座標位置M1(X1,Y1,Z1)…Mn(Xn,Yn,Zn)…MN(XN,YN,ZN)を設定する。前記座標位置の設定はステレオビジョン画像処理(Stereo Vision Algorithm)により行い、画像のピクセル座標(u,v)をワールド座標(XW,YW,ZW)に変換し、画像内の目標座標位置のキャリブレーションを行う。また別の実施例としては、前記複数個の座標位置をもう一方の側面の境界線、中心線やその他判別しやすい参考箇所に設定することもできるが、本発明においてはこれらに限定しない。更に別の実施例としては、特にラインスキャンカメラを利用する実施例において、前記座標位置をコンベア装置のデータを受け取ることで確認することもできる。
【0055】
図11に示すように、座標位置の設定を完了した後、三次元画像作成モジュールF3は第一画像内から上側配線幅UW1と、下側配線幅UW2を取得する。上側配線幅UW1と下側配線幅UW2間の相対的な位置は第一画像内の第一側面幅W1と、第二側面幅W2から、あるいは第一側面幅W1と第二側面幅W2の間の比率から取得する。
【0056】
続いて
図12に示すように、三次元画像作成モジュールF3は配線の前記第二画像を受信した後、前記第二画像から配線画像の配線側面幅W3を分析する。
【0057】
上記2つのステップを経て、三次元画像作成モジュールF3は上側配線幅UW1と、下側配線幅UW2と、第一側面幅W1と、第二側面幅W2を取得し、これらの配線情報をもとに配線の高さTを計算により取得すると同時に、これらのパラメータが属する座標位置Mn(Xn,Yn,Zn)も記録する。
【0058】
続いて
図13に示すように、上側配線幅UW1、下側配線幅UW2及び配線の高さTと、対応する座標位置Mn(Xn,Yn,Zn)を取得した時、三次元画像作成モジュールF3は上側配線幅UW1、下側配線幅UW2及び配線の高さTに基づいて目標断面画像を構築する。このステップにおいて、まず第一側面幅W1と第二側面幅W2から、上側配線幅UW1と下側配線幅UW2の相対的な位置関係を確認し、配線の高さTのパラメータ条件も確認できた上で、台形断面の底辺、上辺、高さ、第一斜辺、第二斜辺を確認し、そこから前述のパラメータより前記断面エリアの二次元的な形態を確定し、さらに二次元断面画像ST1を構築する。
【0059】
最後に
図14及び
図15に示すとおり、前記連続した複数個の配線サンプル座標位置M1(X1,Y1,Z1)…Mn(Xn,Yn,Zn)…MN(XN,YN,ZN)と、それぞれの座標位置M1(X1,Y1,Z1)…Mn(Xn,Yn,Zn)…MN(XN,YN,ZN)に対応する二次元断面画像ST1-STn-STNから、画像スタックSTKを構築する。画像スタックSTKが完成した後、画像の間隔の座標位置の間(M1(X1,Y1,Z1)…Mn(Xn,Yn,Zn)…MN(XN,YN,ZN))を内挿法で補間する。これにより
図15に示す基板配線三次元画像を得ることができる。
【0060】
配線計測モジュールF4は、前記配線画像に基づいて前記基板B上の表面欠陥の計測結果を取得する。
【0061】
上述の実施例では、表面欠陥の計測結果とは、例えば、表面品質や、配線の欠陥情報などの、任意の構造上の視認できる欠陥であってもよいが、これに限定されない。本発明の実施例では、配線計測モジュールF4は第一、第二画像内から非構造上の欠陥(インク汚れやその他の汚れなど)を直接取得し、マシンビジョンを通して直接、画像内から欠陥のマーキングを行ってもよい。表面構造上の欠陥(破損や隙間など)は光学配置を通して、欠陥と近接する表面とのコントラストを明確にし、あるいは三次元画像作成モジュールF3から基板配線の三次元画像を再作成した後、目視検査あるいは断面図の閾値を設定するなど、上述の方法を用いることで欠陥を探し出し、計測結果を出力することができる。
【0062】
以下、本発明の基板情報の分析方法について説明を行う。
図16は本発明の基板情報の分析方法を示すフローチャートである。
【0063】
本発明の実施例では、以下のステップを含む基板情報の分析方法を提示する。
【0064】
ハードウェア構成において、まずセンサー装置を基板の片側に提供して、基板の目標領域を検出し、配線画像を取得する(ステップS01)。本発明の実施例では、上面画像キャプチャ装置を基板の上方向側に、側面画像キャプチャ装置を基板の横方向側に提供し、上面画像キャプチャ装置と側面画像キャプチャ装置から、それぞれ基板の第一画像と第二画像を取得する。
【0065】
続いて、コンピュータ設備が前記配線画像を取得した後、前記配線画像に基づいて、配線サイズ情報を作成する(ステップS02)。前記配線サイズ情報には、配線幅、配線の高さ、あるいは配線の断面積などが含まれる。別の実施例では、前記配線サイズ情報は上側配線幅、下側配線幅、配線の体積も含む。
【0066】
最後に、コンピュータ設備が前記配線サイズ情報に基づいて、配線特性情報を作成する(ステップS03)。本発明の実施例では、上述の配線特性情報は、例えば配線の電気抵抗値情報あるいは配線インピーダンス値情報を含んでいてもよいが、これに限定されない。
【0067】
上述のステップを通して、本発明の基板情報の分析方法は撮影された配線の画像から基板配線の計測結果や、測定結果や、電気計測結果を取得する。このうち、計測結果は表面品質や配線の欠陥情報を含み、測定結果は、上側配線幅、下側配線幅、配線の高さ、配線の長さ、配線の断面積、配線の電気抵抗値情報、配線の体積を含み、電気計測は、電気的欠陥、電磁干渉、インピーダンス・マッチングを含み、最終的に基板の各データの計測を実施する。
【0068】
上述のとおり、本発明は画像計測方式から、基板の五次元的配線情報(上側配線幅、下側配線幅、配線の高さ、配線の長さ、配線の断面積、配線の電気抵抗値情報を含む)を取得することができ、これらの配線情報を利用することでから配線の計測、配線の測定、配線の電気計測を行うことができる。
【0069】
以上が本発明における詳細の説明である。ここに述べられたものは、本発明における好ましい実施例であり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の請求の範囲に対し行われる変更や内容の追加もまた本発明の請求の範囲内である。
【符号の説明】
【0070】
100 基板情報分析システム
10 センサー装置
11 上面画像キャプチャ装置
12 側面画像キャプチャ装置
20 コンピュータ設備
21 通信ポート
22 プロセッサ
23 ストレージ
B 基板
L 光軸方向
α 撮影角度
F1 画像測量モジュール
F2 特性分析モジュール
F3 三次元画像作成モジュール
F4 配線計測モジュール
DF1 配線上面の陥没
DF2 配線両側の陥没
DF3 配線両側の陥没
A 多層基板
A1-A5 基板
L1-L5 配線
TH2-TH5 スルーホール
B’ 多層基板
B1-B5 基板
K2、K4 配線
YH3ーYH4 スルーホール
SG1 配線区間
L1-LN 区間の長さ
UW1 上側配線幅
UW2 下側配線幅
W1 第一側面幅
W2 第二側面幅
W3 配線側面幅
ST 二次元断面画像
ST1-STn-STN 二次元画像断面図
STK 画像スタック
W 配線幅
T 配線の高さ
H 誘電体層の高さ
ステップ S01-S04