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特許7498695決済システム、決済手段の利用方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】決済システム、決済手段の利用方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20240605BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021194727
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023081057
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井山 寿朗
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071655(JP,A)
【文献】特開2019-175223(JP,A)
【文献】特開2021-086344(JP,A)
【文献】特開2020-205084(JP,A)
【文献】特開2010-039589(JP,A)
【文献】特開2005-352733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャージ方法の中から選択されたチャージ方法に基づいて、ユーザの決済手段に関するチャージ処理を実行するチャージ処理実行部と、
前記複数のチャージ方法の各々のチャージ分が混在する前記決済手段の残高のうち、どの前記チャージ方法のチャージ分から利用するかを示す優先順位を特定する特定部と、
前記優先順位に基づいて、前記決済手段の利用に関する利用処理を実行する利用処理実行部と、
を含む決済システム。
【請求項2】
前記利用処理実行部は、前記優先順位に基づいて、前記決済手段からの出金に関する出金処理を、前記利用処理として実行する、
請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記利用処理実行部は、前記優先順位に基づいて、前記決済手段を利用した支払に関する支払処理を、前記利用処理として実行する、
請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記利用処理実行部は、前記優先順位に基づいて、前記決済手段を送るための送り処理を、前記利用処理として実行する、
請求項1~3の何れかに記載の決済システム。
【請求項5】
前記決済手段は、複数の利用目的で利用可能であり、
前記利用目的ごとに、前記優先順位が関連付けられており、
前記特定部は、前記決済手段の前記利用目的に関連付けられた前記優先順位を特定し、
前記利用処理実行部は、前記複数の利用目的のうちの何れかの前記利用処理を、当該利用目的に関連付けられた前記優先順位に基づいて実行する、
請求項1~4の何れかに記載の決済システム。
【請求項6】
前記決済システムは、前記ユーザによる、前記優先順位の指定を受け付ける受付部を更に含み、
前記特定部は、前記ユーザにより指定された前記優先順位を特定する、
請求項1~の何れかに記載の決済システム。
【請求項7】
前記決済システムは、
前記チャージ処理の履歴に関するチャージ履歴情報を取得するチャージ履歴情報取得部と、
前記チャージ履歴情報に基づいて、前記優先順位を決定する第1決定部と、
を更に含み、
前記特定部は、前記第1決定部により決定された前記優先順位を特定する、
請求項1~の何れかに記載の決済システム。
【請求項8】
前記複数のチャージ方法は、クレジットカードを利用したチャージ方法を含み、
前記チャージ処理実行部は、前記ユーザが複数のクレジットカードを保有する場合に、前記複数のクレジットカードの各々に基づいて、前記チャージ処理を実行可能であり、
前記クレジットカードごとに、前記優先順位が関連付けられており、
前記特定部は、前記複数のクレジットカードの各々に関連付けられた前記優先順位を特定し、
前記利用処理実行部は、前記複数のクレジットカードの各々に関連付けられた前記優先順位に基づいて、前記利用処理を実行する、
請求項1~の何れかに記載の決済システム。
【請求項9】
前記決済手段は、複数種類の残高を含み、
前記残高ごとに、前記優先順位が定められており、
前記特定部は、前記複数種類の残高のうち、前記利用処理で利用される残高の種類に関連付けられた前記優先順位を特定し、
前記利用処理実行部は、前記複数種類の残高のうちの何れかの前記利用処理を、当該残高の前記優先順位に基づいて実行する、
請求項1~の何れかに記載の決済システム。
【請求項10】
前記決済システムは、前記決済手段の残高のうち、前記複数のチャージ方法の各々のチャージ分に基づいて、前記優先順位を決定する第2決定部を更に含み、
前記特定部は、前記第2決定部により決定された前記優先順位を特定する、
請求項1~の何れかに記載の決済システム。
【請求項11】
前記決済システムは、前記決済手段の残高のうち、前記複数のチャージ方法の各々のチャージ分を表示部に表示させる表示制御部を更に含む、
請求項1~10の何れかに記載の決済システム。
【請求項12】
前記利用処理実行部は、前記決済手段の残高のうち、前記優先順位が相対的に高い前記チャージ方法のチャージ分だけでは足りない場合に、前記優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるように、前記利用処理を実行する、
請求項1~11の何れかに記載の決済システム。
【請求項13】
前記利用処理実行部は、前記決済手段の残高のうち、前記優先順位が相対的に高い前記チャージ方法のチャージ分が、前記優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分よりも多く利用されるように、前記利用処理を実行する、
請求項1~12の何れかに記載の決済システム。
【請求項14】
複数のチャージ方法の中から選択されたチャージ方法に基づいて、ユーザの決済手段に関するチャージ処理を実行するチャージ処理実行ステップと、
前記複数のチャージ方法の各々のチャージ分が混在する前記決済手段の残高のうち、どの前記チャージ方法のチャージ分から利用するかを示す優先順位を特定する特定ステップと、
前記優先順位に基づいて、前記決済手段の利用に関する利用処理を実行する利用処理実行ステップと、
を含む決済手段の利用方法。
【請求項15】
複数のチャージ方法の中から選択されたチャージ方法に基づいて、ユーザの決済手段に関するチャージ処理を実行するチャージ処理実行部、
前記複数のチャージ方法の各々のチャージ分が混在する前記決済手段の残高のうち、どの前記チャージ方法のチャージ分から利用するかを示す優先順位を特定する特定部、
前記優先順位に基づいて、前記決済手段の利用に関する利用処理を実行する利用処理実行部、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、決済システム、決済手段の利用方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子マネー等の決済手段に関するチャージ処理を実行する決済システムが知られている。特許文献1には、複数のチャージ方法に基づいて、ユーザのICカードに格納された電子マネーにチャージ可能なシステムにおいて、複数のチャージ方法の各々に基づいて、ICカードの電子マネーにチャージする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-73973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、複数のチャージ方法で決済手段にチャージ可能な場合に、決済手段の残高を利用する時の優先順位をつけることができれば、ユーザの利便性が高まると考えられる。しかしながら、従来の技術では、チャージ日時が古いものから順番に利用されることが一般的であり、チャージ方法に優先順位をつけることができないので、ユーザの利便性を高めることはできなかった。
【0005】
本開示の目的の1つは、複数のチャージ方法でチャージ可能な決済手段を利用するユーザの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る決済システムは、複数のチャージ方法の中から選択されたチャージ方法に基づいて、ユーザの決済手段に関するチャージ処理を実行するチャージ処理実行部と、前記複数のチャージ方法の各々に関連付けられた優先順位を特定する特定部と、前記優先順位に基づいて、前記決済手段の利用に関する利用処理を実行する利用処理実行部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数のチャージ方法でチャージ可能な決済手段を利用するユーザの利便性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】決済システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】ユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。
図3】ユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。
図4】決済システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図5】決済データベースの一例を示す図である。
図6】決済システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図7】変形例における機能ブロックの一例を示す図である。
図8】変形例5でユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.決済システムの全体構成]
本開示に係る決済システムの実施形態の一例を説明する。図1は、決済システムの全体構成の一例を示す図である。決済システムSは、決済サーバ10及びユーザ端末20を含む。これらは、インターネット等のネットワークNに接続可能である。決済システムSは、少なくとも1つのコンピュータを含めばよく、図1の例に限られない。
【0010】
決済サーバ10は、サーバコンピュータである。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。記憶部12は、RAM等の揮発性メモリと、ハードディスク等の不揮発性メモリと、を含む。通信部13は、有線通信用の通信インタフェースと、無線通信用の通信インタフェースと、の少なくとも一方を含む。
【0011】
ユーザ端末20は、ユーザのコンピュータである。例えば、ユーザ端末20は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、又はパーソナルコンピュータである。制御部21、記憶部22、及び通信部23の物理的構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部24は、タッチパネル等の入力デバイスである。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0012】
なお、決済サーバ10及びユーザ端末20の各々に記憶されるプログラムは、ネットワークNを介して供給されてもよい。また、情報記憶媒体に記憶されたプログラムが、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、光ディスクドライブやメモリカードスロット)、又は、外部機器とデータの入出力をするための入出力部(例えば、USBポート)を介して供給されてもよい。
【0013】
[2.決済システムの概要]
本実施形態では、ユーザが決済アプリから決済サービスを利用する場合を例に挙げる。決済アプリは、決済サービスの提供者が提供するアプリケーションである。決済アプリは、ユーザ端末20にインストールされる。決済サービスで利用可能な決済手段は、任意の種類であってよい。例えば、電子マネー、ポイント、クレジットカード、デビットカード、銀行口座、ウォレット、又は仮想通貨が、決済手段として利用可能である。決済手段は、支払手段と呼ばれることもある。バーコード又は二次元コードといったコードが決済手段に相当することもある。決済手段は、電子決済で利用される何らかの手段であればよい。
【0014】
図2及び図3は、ユーザ端末20に表示される画面の一例を示す図である。例えば、ユーザ端末20の決済アプリが起動すると、ユーザが決済サービスにログインするためのログイン処理が実行される。本実施形態では、ユーザは、決済サービスに利用登録済みであるものとする。例えば、ユーザは、決済サービスにおけるユーザID及びパスワードを入力する。ログイン処理が成功すると、決済アプリのホーム画面G1が表示部25に表示される。
【0015】
ホーム画面G1には、決済サービスにおいてユーザを識別可能なコードIDを含むコードC10が表示される。コードIDは、ユーザIDとは異なる情報である。決済サーバ10は、他のユーザのコードIDと重複しないように、コードIDを発行する。コードIDは、任意のタイミングで更新可能である。例えば、決済アプリが起動した場合、ホーム画面G1が表示された場合、コードIDの有効期限が切れた場合、又はユーザが所定の操作をした場合に、コードIDが更新される。
【0016】
図2の例では、バーコード及び二次元コードの両方がコードC10として表示される場合を示しているが、コードC10自体は、任意のコードであってよい。例えば、バーコード又は二次元コードの何れか一方のみがコードC10として表示されてもよい。例えば、ユーザが訪れた店舗の端末でコードC10が読み取られると、ユーザが支払元として設定した決済手段に基づいて、決済処理が実行される。
【0017】
本実施形態では、支払元が電子マネーである場合を例に挙げる。図2の例では、決済サービス「AAAペイ」で利用可能なオンライン型の電子マネー「AAAキャッシュ」が支払元として設定されている。例えば、店舗の端末でコードC10が読み取られると、電子マネーの残高が所定の額だけ減少し、決済が完了する。コードC10は、店舗の端末以外にも、自動販売機等の任意の端末で読み取り可能である。
【0018】
なお、ユーザが決済アプリから利用可能な決済方法は、コードC10を利用する方法に限られない。例えば、店舗に掲示されたコードをユーザ端末20で読み取る決済方法、店舗の端末に表示されたコードをユーザ端末20で読み取る決済方法、ユーザ端末20に対する操作のみで完結する決済方法、又は無線通信可能な端末にユーザ端末20をかざす決済方法といった任意の方法を利用可能である。
【0019】
例えば、ユーザがボタンB11を選択すると、電子マネーのメニューM13が表示部25に表示される。メニューM13では、電子マネーに関する各種操作が可能である。例えば、ユーザがボタンB14を選択すると、電子マネーの残高の残部又は一部を他のユーザに送ることができる。ユーザがボタンB15を選択すると、電子マネーの残高の残部又は一部を出金できる。ユーザがボタンB16を選択すると、電子マネーにチャージできる。
【0020】
本実施形態では、複数のチャージ方法が用意されている。チャージ方法とは、電子マネーのチャージで利用する方法である。例えば、チャージ方法は、チャージで利用する決済手段の種類である。例えば、クレジットカード、デビットカード、ポイント、及び銀行口座からのチャージが可能だったとすると、少なくとも4つのチャージ方法が存在する。ユーザが複数のクレジットカードを保有する場合には、チャージ方法は、クレジットカードの種類を意味する。電子マネーにチャージ可能なポイントが複数存在する場合には、チャージ方法は、ポイントの種類を意味する。
【0021】
例えば、ユーザがボタンB16を選択すると、チャージ画面G2が表示部25に表示される。例えば、ユーザは、入力フォームF20にチャージ額を入力する。チャージ画面G2には、ユーザが選択可能なチャージ方法を示すボタンB21が表示される。ユーザは、ボタンB21を選択することによって、複数のチャージ方法の何れかを選択する。図2の例では、ユーザが、「クレジットカードX」及び「クレジットカードY」の2枚のクレジットカードを、決済アプリに登録している。ユーザは、これら2枚のクレジットカードのうちの任意の方を利用して、電子マネーにチャージできる。
【0022】
例えば、ユーザは、決済サービスと連携するフリーマーケットサービスの売上金を利用してチャージするチャージ方法、又は、決済サービスと連携する金融サービスで売買される仮想通貨を利用してチャージするチャージ方法も選択可能である。以降、クレジットカードを利用したチャージ方法、売上金を利用したチャージ方法、及び仮想通貨を利用したチャージ方法を、それぞれカードチャージ、売上金チャージ、及び仮想通貨チャージという。
【0023】
例えば、ユーザが、「クレジットカードX」を利用してチャージするチャージ方法を示すボタンB21を選択すると、チャージの最終確認をするための確認画面G3が表示部25に表示される。確認画面G3には、ユーザが選択した「クレジットカードX」のカード番号、ユーザが入力したチャージ額、及び電子マネーの残高の変化といった情報が表示される。ユーザがボタンB30を選択すると、「クレジットカードX」を利用したチャージが行われる。
【0024】
チャージが完了すると、図3のホーム画面G1のように、電子マネーの残高が増加する。カードチャージでは、ショッピング枠を利用したチャージだけでなく、キャッシング枠を利用したチャージが可能であってもよい。この場合、カードチャージとして、ショッピング枠を利用したチャージ方法と、キャッシング枠を利用したチャージ方法と、の2つのチャージ方法が存在する。
【0025】
本実施形態では、ユーザは、複数のチャージ方法の中から任意のチャージ方法を選択できる。個々のチャージ方法には、ユーザが電子マネーを利用する場合における優先順位が関連付けられている。複数のチャージ方法の各々におけるチャージ分が電子マネーの残高に混在したとすると、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法におけるチャージ分が優先的に利用される。
【0026】
例えば、電子マネーの残高が10000円だったとする。10000円の残高のうち、カードチャージのチャージ分、売上金チャージのチャージ分、及び仮想通貨チャージのチャージ分が、それぞれ7000円、1000円、及び2000円だったとする。更に、売上金チャージの優先順位が最も高く、仮想通貨チャージの優先順位が2番目に高く、カードチャージの優先順位が最も低かったとする。
【0027】
上記の例において、ユーザが、10000円の残高のうち、5000円分を利用したとする。この場合、優先順位が最も高い売上金チャージのチャージ分である1000円の全てが利用される。売上金チャージのチャージ分だけでは、利用額の5000円に足りないので、優先順位が2番目に高い仮想通貨チャージのチャージ分である2000円が利用される。仮想通貨チャージのチャージ分を利用しても、利用額の5000円に足りないので、残りの2000円分は、優先順位が最も低いカードチャージのチャージ分が利用される。
【0028】
なお、上記の例において、ユーザの利用額が1000円以下であれば、売上金チャージのチャージ分だけで足りるので、仮想通貨チャージのチャージ分と、カードチャージのチャージ分と、は利用されない。ユーザの利用額が3000円以下であれば、売上金チャージのチャージ分と、仮想通貨チャージのチャージ分と、で足りるので、カードチャージのチャージ分は利用されない。ユーザの利用額が3000円よりも多ければ、売上金チャージのチャージ分及び仮想通貨チャージのチャージ分の全部が利用され、かつ、カードチャージのチャージ分の全部又は一部が利用される。
【0029】
本実施形態では、ユーザが、電子マネーの利用目的ごとに、優先順位を指定できるようになっている。例えば、電子マネーの残高は、店舗等における支払で利用する目的(以降、支払目的)、残高の一部又は全部を他のユーザに送る目的(以降、送り目的)、及び現金として出金する目的(以降、出金目的)で利用可能である。電子マネーは、任意の利用目的で利用可能であり、これら3つの利用目的に限られない。例えば、これらのうちの任意の2つだけの利用目的であってもよい。例えば、他の電子マネーへのチャージ目的、又は、ポイントへの変換目的といった他の利用目的であってもよい。
【0030】
例えば、ユーザが、ホーム画面G1のアイコンI12を選択し、支払目的の優先順位を指定するための操作をすると、当該優先順位の指定を受け付ける指定画面G4Aが表示される。ユーザは、複数のチャージ方法の各々の優先順位を入力フォームF40に入力する。ユーザは、支払目的の優先順位として、他の利用目的と同じ優先順位を指定してもよいし、他の利用目的とは異なる優先順位を指定してもよい。ユーザが支払目的で電子マネーを利用する場合には、指定画面G4Aに入力された優先順位に基づいて、電子マネーが利用される。
【0031】
指定画面G4Bは、送り目的の優先順位の指定を受け付ける画面である。指定画面G4Cは、出金目的の優先順位の指定を受け付ける画面である。指定画面G4B,G4Cの構成は、指定画面G4Aと同様である。ユーザは、指定画面G4B,G4Cの各々から、任意の優先順位を指定可能である。ユーザが送り目的又は出金目的で電子マネーを利用する場合には、指定画面G4B,G4Cに入力された優先順位に基づいて、電子マネーが利用される。以降、指定画面G4A~G4Cを区別しない時は、単に指定画面G4と記載する。
【0032】
以上のように、本実施形態の決済システムSでは、複数のチャージ方法の各々に、ユーザが指定した優先順位が関連付けられる。ユーザが電子マネーの残高を利用する場合に、個々のチャージ方法に関連付けられた優先順位に基づいて、電子マネーが利用される。これにより、複数のチャージ方法でチャージ可能な電子マネーを利用するユーザの利便性を高めることができる。以降、決済システムSの詳細を説明する。
【0033】
[3.決済システムで実現される機能]
図4は、決済システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0034】
[3-1.決済サーバで実現される機能]
データ記憶部100は、記憶部12を主として実現される。指定受付部101、チャージ処理実行部102、特定部103、及び利用処理実行部104は、制御部11を主として実現される。
【0035】
[データ記憶部]
データ記憶部100は、ユーザに決済サービスを提供するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、決済データベースDBを記憶する。
【0036】
図5は、決済データベースDBの一例を示す図である。図5に示すように、決済データベースDBは、決済サービスにおけるユーザに関する情報が格納されたデータベースである。例えば、決済データベースDBには、ユーザID、パスワード、氏名、コードID、有効期限、支払元情報、カード情報、電子マネー情報、銀行口座情報、利用履歴情報、及びチャージ履歴情報が格納される。決済データベースDBに格納される情報は、ユーザに関する任意の情報であってよく、図5の例に限られない。
【0037】
ユーザIDは、ユーザを識別可能なユーザ識別情報の一例である。ユーザ識別情報は、任意の情報であってよく、例えば、ユーザアカウントと呼ばれる情報、メールアドレス、又は電話番号であってもよい。例えば、ユーザ識別情報は、文字、数字、その他の記号、又はこれらの組み合わせである。ユーザID及びパスワードは、決済サービスにログインするために利用される。
【0038】
本実施形態では、ユーザIDだけではなく、コードIDもユーザを識別可能な情報なので、コードIDもユーザ識別情報に相当する。コードC10には、何らかのユーザ識別情報が含まれるようにすればよい。コードC10には、コードIDではなく、ユーザID等の他のユーザ識別情報が含まれてもよい。有効期限は、コードIDが発行されてから所定時間後の時点である。有効期限は、任意の長さであってよく、例えば、1分~1時間程度であってもよいし、数時間~数日程度であってもよい。コードIDには、有効期限が設定されなくてもよい。
【0039】
支払元情報は、支払元として設定された決済手段を識別可能な情報である。例えば、支払元として電子マネーが設定された場合、支払元情報は、電子マネーを識別可能な電子マネーIDであってもよい。例えば、支払元としてクレジットカードが設定された場合、支払元情報は、クレジットカードのカード番号であってもよい。カード情報は、ユーザのクレジットカードに関する情報である。例えば、カード情報は、カード番号、有効期限、及び名義人を含む。ユーザは、複数のクレジットカードを登録可能である。
【0040】
電子マネー情報は、ユーザの電子マネーに関する情報である。例えば、電子マネー情報は、電子マネーの残高を示す情報を含む。本実施形態では、電子マネー情報には、残高の内訳を示す情報が含まれる。内訳は、残高を構成するチャージ分の情報である。例えば、内訳として、チャージ日時、チャージ方法に関するチャージ方法情報、及びチャージ額のうちの未利用分が電子マネー情報に含まれる。電子マネーの残高が、ある1回のチャージにおけるチャージ分のみを含む場合には、この残高の内訳は、当該1回のチャージにおけるチャージ分を示す。電子マネーの残高が、複数回のチャージの各々におけるチャージ分を含む場合には、この残高の内訳は、複数回のチャージの各々におけるチャージ分を示す。カードチャージのチャージ分については、カードチャージで利用されたクレジットカードのカード情報が内訳に含まれてもよい。
【0041】
図5のユーザ「山田 太郎」を例に挙げると、電子マネーの残高である6000円の内訳は、2021年11月1日の11:23:50に行われたカードチャージによる3000円分、2021年11月5日の19:25:42に行われた売上金チャージによる1000円分、及び2021年11月12日の10:56:11に行われた仮想通貨チャージによる2000円分である。この状態で、2021年11月25日の13:20:58に、4000円分のカードチャージが行われると、電子マネーの残高が10000円になる。10000円の残高の内訳として、2021年11月25日の13:20:58に行われたカードチャージによる4000円分が追加される。
【0042】
優先順位情報は、複数のチャージ方法の各々の優先順位を示す情報である。本実施形態では、利用目的ごとに優先順位が指定されるので、優先順位情報は、利用目的ごとに、複数のチャージ方法の各々の優先順位を示す。あるチャージ方法で複数回のチャージが行われた場合には、このチャージ方法の複数回のチャージにおけるチャージ分うち、チャージ日時が古い順に利用されるものとする。ユーザが指定画面G4から優先順位を指定すると、優先順位情報が更新される。ユーザが優先順位を指定しない場合には、デフォルトの優先順位を示す優先順位情報になる。
【0043】
銀行口座情報は、ユーザが指定した銀行口座に関する情報である。例えば、銀行口座情報は、金融機関名、支店名、口座番号、及び名義人を含む。この銀行口座は、電子マネーの残高を出金目的で利用する場合の振込先である。電子マネーの残高は、銀行以外の金融機関の口座に出金されてもよい。他にも例えば、口座ではなく、ATMから現金を排出することによって出金が行われてもよい。なお、クレジットカードのショッピング枠を利用したチャージ分については、出金できないものとする。
【0044】
利用履歴情報は、ユーザによる決済サービスの利用履歴に関する情報である。利用履歴情報は、決済手段の利用目的に応じた情報を含む。例えば、支払目的であれば、利用履歴情報は、利用日時、利用店舗、及び利用額を含む。送り目的であれば、利用履歴情報は、利用日時、送り相手のユーザ、及び利用額を含む。出金目的であれば、利用履歴情報は、利用日時、出金した銀行口座、及び利用額を含む。ユーザが決済サービスを利用するたびに、ユーザの利用履歴情報が更新される。
【0045】
本実施形態の決済アプリは、電子マネー以外の他の決済手段を利用可能なので、他の決済手段が利用された場合にも、利用履歴情報が更新される。この場合、利用された決済手段を識別可能な情報も利用履歴情報に含まれるものとする。電子マネーが利用された場合には、電子マネーの残高の内訳のうち、どの部分が利用されたのかを識別可能な情報が利用履歴情報に含まれてもよい。即ち、どのチャージ方法でチャージされたチャージ分がどれだけ利用されたのかを示す情報が利用履歴情報に含まれてもよい。このため、利用履歴情報にもチャージ方法情報が含まれてもよい。
【0046】
チャージ履歴情報は、電子マネーに対するチャージの履歴に関する情報である。例えば、チャージ履歴情報は、電子マネーのチャージ日時、チャージ方法、及びチャージ額を含む。ユーザが電子マネーにチャージするたびに、ユーザのチャージ履歴情報が更新される。チャージ履歴情報に情報が格納された過去のチャージのうち、チャージ額が残っているものについては、電子マネー情報の内訳として情報が格納される。カードチャージの場合には、カードチャージに利用されたクレジットカードのカード情報がチャージ履歴情報に含まれてもよい。決済データベースDBに格納される情報は、図5の例に限られず、任意の情報であってよい。例えば、決済手段として銀行口座又はポイントが利用可能なのであれば、決済データベースDBには、銀行口座又はポイントに関する情報が格納される。
【0047】
[指定受付部]
指定受付部101は、ユーザによる、優先順位の指定を受け付ける。本実施形態では、指定画面G4で優先順位が指定される場合を説明するが、優先順位が指定される画面は、他の任意の画面であってよい。例えば、指定受付部101は、ユーザ端末20から、指定画面G4で指定された優先順位を示すデータを受信することによって、優先順位の指定を受け付ける。本実施形態では、優先順位を示す数字が入力フォームF40に入力されることによって、優先順位が指定される場合を説明するが、優先順位は、任意の操作によって指定可能である。例えば、プルダウン、ラジオボタン、又はチェックボックスといった他のユーザインタフェースを利用して、優先順位が指定されてよい。
【0048】
[チャージ処理実行部]
チャージ処理実行部102は、複数のチャージ方法の中から選択されたチャージ方法に基づいて、ユーザの電子マネーに関するチャージ処理を実行する。チャージ処理は、電子マネーにチャージするための処理である。例えば、チャージ処理は、電子マネーの残高を増やす処理である。チャージ処理自体は、種々の処理を利用可能である。本実施形態では、決済データベースDBに格納された電子マネーの残高を増やす処理がチャージ処理に相当する。チャージ処理は、他の処理を含んでもよい。例えば、チャージ処理は、電子マネーの残高の内訳を更新する処理を含んでもよい。
【0049】
本実施形態では、チャージ対象となる決済手段の一例として、電子マネーを説明する。このため、電子マネーと記載した箇所は、決済手段と読み替えることができる。チャージ対象となる決済手段は、任意の種類であってよく、電子マネーに限られない。チャージ対象となる決済手段は、残高の概念がある決済手段であればよい。例えば、ポイントに対するチャージが可能なのであれば、ポイントが決済手段に相当してもよい。例えば、コードを利用した決済サービスでチャージが可能なのであれば、コードが決済手段に相当してもよい。本実施形態では、「AAAキャッシュ」といったように「マネー」といった名前を含まない電子マネーを例に挙げるが、決済手段は、任意の名前で呼ばれるものであってよい。
【0050】
なお、チャージ方法自体は、任意のチャージ方法であってよく、本実施形態の例に限られない。例えば、クレジットカードのショッピング枠又はキャッシング枠を利用したチャージが可能なのであれば、チャージ処理実行部102は、ショッピング枠又はキャッシング枠を利用したチャージ処理を実行してもよい。例えば、チャージ処理実行部102は、売上金チャージ、仮想通貨チャージ、ポイントの残高を利用したチャージ、又は、銀行口座を利用したチャージといった他のチャージ方法に基づいて、チャージ処理を実行してもよい。
【0051】
[特定部]
特定部103は、複数のチャージ方法の各々に関連付けられた優先順位を特定する。本実施形態では、ユーザが自分で優先順位を指定するので、特定部103は、ユーザにより指定された優先順位を特定する。例えば、優先順位情報が決済データベースDBに格納されているので、特定部103は、決済データベースDBに格納された優先順位情報を取得することによって、優先順位を特定する。優先順位は、予め指定されるのではなく、ユーザが電子マネーを利用する場合にその場で指定されてもよい。この場合、特定部103は、ユーザ端末20から、ユーザが電子マネーを利用する場合に指定された優先順位を示す優先順位情報を取得することによって、優先順位を特定すればよい。
【0052】
本実施形態では、電子マネーは、複数の利用目的で利用可能である。利用目的ごとに、優先順位が関連付けられている。特定部103は、電子マネーの利用目的に関連付けられた優先順位を特定する。例えば、支払目的、送り目的、及び出金目的といった3つの利用目的で電子マネーが利用される場合、ユーザは、3通りの優先順位を指定する。特定部103は、電子マネーが利用される場合に、その利用目的に応じた優先順位を特定する。例えば、特定部103は、決済データベースDBに、利用目的に関連付けられて格納された優先順位情報を取得することによって、利用目的に関連付けられた優先順位を特定する。
【0053】
[利用処理実行部]
利用処理実行部104は、優先順位に基づいて、電子マネーの利用に関する利用処理を実行する。利用処理は、電子マネーを利用するための処理である。例えば、利用処理は、電子マネーの残高を減らす処理である。利用処理自体は、種々の処理を利用可能である。本実施形態では、決済データベースDBに格納された電子マネーの残高を減らす処理が利用処理に相当する。利用処理は、他の処理を含んでもよい。例えば、利用処理は、電子マネーの残高の内訳を更新する処理を含んでもよい。
【0054】
利用処理実行部104は、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分が優先的に利用されるように、利用処理を実行する。優先順位が相対的に高いチャージ方法とは、このチャージ方法よりも優先順位が低い他のチャージ方法が存在することである。チャージ分が優先的に利用されるとは、利用額自体が高いこと、又は、チャージ分全体に対する利用額の割合が高いことである。利用処理実行部104は、優先順位が高いチャージ方法のチャージ分であるほど優先的に利用されるように、利用処理を実行する。
【0055】
例えば、電子マネーの残高が3000円であり、カードチャージのチャージ分が1000円であり、売上金チャージのチャージ分が2000円だったとする。更に、カードチャージの優先順位は、売上金チャージの優先順位よりも高いものとする。この例において、利用額が500円である場合に、500円全てをカードチャージのチャージ分から減らすことは、売上金チャージのチャージ分を利用しないので、優先順位が高いチャージ方法のチャージ分を優先的に利用することに相当する。カードチャージのチャージ分と、売上金チャージのチャージ分と、を併用する場合であったとしても、カードチャージのチャージ分を400円利用し、売上金チャージのチャージ分を100円分利用することは、カードチャージのチャージ分の利用額の方が多いので、優先順位が高いチャージ方法のチャージ分を優先的に利用することに相当する。
【0056】
上記の例において、利用額が2500円である場合に、カードチャージのチャージ分を1000円全て利用し、売上金チャージのチャージ分を1500円利用することは、利用額だけを見れば、売上金チャージのチャージ分の方が多いが、チャージ分に全体に対する利用額の割合は、カードチャージのチャージ分の方が多いので、優先順位が高いチャージ方法のチャージ分を優先的に利用することに相当する。即ち、カードチャージのチャージ分は、1000円全て(100%)を利用するのに対し、売上金チャージのチャージ分は、2000円のうちの1500円分(75%)しか利用しないので、優先順位が高いチャージ方法のチャージ分を優先的に利用することに相当する。
【0057】
本実施形態では、利用処理実行部104は、優先順位に基づいて、電子マネーからの出金に関する出金処理を、利用処理として実行する。出金処理は、電子マネーの残高を出金する処理である。出金は、現金化ともいえる。出金処理自体は、公知の処理を利用可能である。例えば、出金処理は、電子マネーの残高を減らし、当該減った分をユーザの銀行口座に振り込む処理である。例えば、出金処理は、電子マネーの残高を減らし、ATM等の端末から現金を排出する処理である。
【0058】
例えば、利用処理実行部104は、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分だけでは足りない場合に、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるように、出金処理を実行する。図5のユーザ「山田 太郎」が3000円分の出金を指示したとする。この場合、出金目的では、売上金チャージが最も優先順位が高く、仮想通貨チャージが2番目に優先順位が高く、カードチャージが最も優先順位が低い。この場合、利用処理実行部104は、売上金チャージのチャージ分である1000円だけでは足りないので、仮想通貨チャージのチャージ分が2000円分利用されるように、出金処理を実行する。カードチャージのチャージ分は、出金処理で利用されない。
【0059】
本実施形態では、利用処理実行部104は、優先順位に基づいて、電子マネーを利用した支払に関する支払処理を、利用処理として実行する。支払処理は、電子マネーの残高で支払をする処理である。支払処理自体は、公知の処理を利用可能である。例えば、支払処理は、電子マネーの残高を減らし、当該減った分に応じた額を店舗が受け取る処理である。支払処理は、決済処理と呼ばれることもある。
【0060】
例えば、利用処理実行部104は、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分だけでは足りない場合に、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるように、支払処理を実行する。図5のユーザ「山田 太郎」が5000円分の支払をしたとする。この場合、支払目的では、カードチャージが最も優先順位が高く、売上金チャージが2番目に優先順位が高く、仮想通貨チャージが最も優先順位が低い。この場合、利用処理実行部104は、カードチャージのチャージ分である3000円と、売上金チャージのチャージ分である1000円と、を合わせても足りないので、仮想通貨チャージのチャージ分が1000円分利用されるように、支払処理を実行する。
【0061】
本実施形態では、利用処理実行部104は、優先順位に基づいて、電子マネーを送るための送り処理を、利用処理として実行する。送り処理は、電子マネーの残高の全部又は一部を他のユーザに送る処理である。送り処理は、あるユーザの電子マネーの残高を減らし、他のユーザの電子マネーの残高を増やす処理である。送り処理は、送金処理と呼ばれることもあるが、厳密には、現金がやり取りされるわけではないので、送り処理と記載する。送り処理自体は、公知の処理を利用可能である。
【0062】
例えば、利用処理実行部104は、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分だけでは足りない場合に、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるように、送り処理を実行する。図5のユーザ「山田 太郎」が3500円分を他のユーザに送るとする。この場合、送り目的では、仮想通貨チャージが最も優先順位が高く、カードチャージが2番目に優先順位が高く、売上金チャージが最も優先順位が低い。この場合、利用処理実行部104は、仮想通貨チャージのチャージ分である2000円だけでは足りないので、カードチャージのチャージ分が1500円分利用されるように、送り処理を実行する。売上金のチャージ分は、出金処理で利用されない。
【0063】
以上のように、利用処理実行部104は、複数の利用目的のうちの何れかの利用処理を、当該利用目的に関連付けられた優先順位に基づいて実行する。複数の利用目的のうちの何れの利用目的で電子マネーを利用するかは、ユーザにより指定されるものとする。例えば、ボタンB14~B16の各々が選択されることによって、利用目的が指定される。利用処理実行部104は、ユーザが指定した利用目的に関連付けられた優先順位情報に基づいて、優先順位が高いチャージ方法のチャージ分が優先的に利用されるように、当該指定された利用目的の利用処理を実行する。
【0064】
本実施形態では、利用処理実行部104は、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分だけでは足りない場合に、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるように、利用処理を実行する。この点は、出金処理、支払処理、及び送り処理以外の利用処理が実行される場合も同様である。例えば、利用処理実行部104は、優先順位が最も高いチャージ方法のチャージ分が利用額以上存在する場合には、このチャージ分だけで利用処理を実行する。利用処理実行部104は、優先順位が最も高いチャージ方法のチャージ分が利用額未満である場合には、2番目に優先順位が高いチャージ方法のチャージ分と併用するように、利用処理を実行する。以降、利用処理実行部104は、チャージ分の合計が利用額に達するまで、優先順位が高い順に次々とチャージ方法を選択し、利用処理を実行する。
【0065】
なお、ある特定の利用処理は、特定のチャージ方法でチャージしたチャージ分しか利用できないようにしてもよい。この場合、利用目的ごとに、利用可能なチャージ方法が予め定められているものとする。利用処理実行部104は、ある利用目的の利用処理を実行する場合に、この利用目的で利用可能なチャージ方法を特定する。利用処理実行部104は、電子マネーの残高の内訳を参照し、当該特定されたチャージ方法のチャージ分のみが利用されるように、利用処理を実行する。
【0066】
例えば、クレジットカードのショッピング枠でチャージしたチャージ分は、出金目的では利用できず、他のチャージ方法でチャージしたチャージ分は、出金目的で利用できるものとする。この場合、利用処理実行部104は、出金目的の利用処理(出金処理)を実行する場合に、電子マネーの残高の内訳を参照し、ショッピング枠を利用したチャージ以外のチャージ方法のチャージ分のみが利用されるように、利用処理を実行する。他のチャージ方法でチャージしたチャージ分が優先的に利用されると、出金目的で利用可能な残高が少なくなる。この場合、カードチャージのうち、ショッピング枠を利用したチャージ方法の優先順位を高くすることによって、出金目的で利用可能な残高が極力残るようにしてもよい。この点は、送り目的で利用可能なチャージ方法が限られている場合、支払目的で利用可能なチャージ方法が限られている場合、又は他の目的で利用可能なチャージ方法が限られている場合も同様である。
【0067】
[3-2.ユーザ端末で実現される機能]
データ記憶部200は、記憶部22を主として実現される。表示制御部201及び操作受付部202は、制御部21を主として実現される。
【0068】
[データ記憶部]
データ記憶部200は、ユーザが決済サービス及びカードサービスの各々を利用するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部200は、決済アプリ及びコードIDを記憶する。ユーザ端末20は、決済サーバ10により発行されたコードIDを受信して自身のデータ記憶部200に記録する。ユーザ端末20は、コードIDの有効期限も受信した場合には、有効期限も自身のデータ記憶部200に記録する。
【0069】
[表示制御部]
表示制御部201は、任意の画面を表示部25に表示させる。例えば、表示制御部201は、決済アプリに基づいて、図2及び図3で説明した画面を表示部25に表示させる。
【0070】
[操作受付部]
操作受付部202は、ユーザによる任意の操作を受け付ける。例えば、操作受付部202は、決済アプリ上に表示された図2及び図3で説明した画面に対する操作を受け付ける。
【0071】
[4.決済システムで実行される処理]
図6は、決済システムSで実行される処理の一例を示すフロー図である。この処理は、制御部11,21がそれぞれ記憶部12,22に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。図6では、決済システムSで実行される処理のうち、主に、チャージ方法の優先順位に関する処理について示している。
【0072】
図6のように、ユーザ端末20は、決済アプリが起動すると、決済サーバ10との間で決済サービスにログインするためのログイン処理を実行し、ホーム画面G1を表示部25に表示させる(S1)。S1のログイン処理では、決済サービスにおけるユーザID及びパスワードの入力が求められてもよいし、過去にログイン済みなのであれば、その旨を示す情報がユーザ端末20に記録され、この情報を利用してユーザID及びパスワードの入力が省略されてもよい。他にも例えば、生体認証等の他の認証が利用されてもよい。
【0073】
ホーム画面G1が表示部25に表示された場合、ユーザは、ユーザ端末20を利用して任意の操作を行う(S2)。ここでは、ボタンB11を選択する操作、支払のための操作(例えば、ユーザ端末20から支払先の店舗を選択する操作、店舗等のコードを読み取る操作、又は店舗等の端末にコードC10を読み取らせる操作)、又はアイコンI12を選択する操作が行われる場合を説明する。ボタンB11が選択されると(S2:メニュー)、ユーザ端末20は、メニューM13を表示部25に表示させる(S3)。ユーザは、メニューM13から任意の操作を行う(S4)。ここでは、ボタンB14~B16の何れかを選択する操作が行われる場合を説明する。
【0074】
ボタンB14が選択されると(S4:送り)、ユーザ端末20は、送り目的に関連付けられた優先順位に基づいて、決済サーバ10との間で送り処理を実行する(S5)。ボタンB15が選択されると(S4:出金)、ユーザ端末20は、出金目的に関連付けられた優先順位に基づいて、決済サーバ10との間で出金処理を実行する(S6)。ボタンB16が選択されると(S4:チャージ)、ユーザ端末20は、決済サーバ10との間でチャージ処理を実行する(S7)。
【0075】
S2において、支払のための操作が読み取られると(S2:支払)、決済サーバ10は、ユーザ端末20及び店舗の端末の少なくとも一方との間で、支払目的に関連付けられた優先順位に基づいて、支払処理を実行する(S8)。アイコンI12が選択されると(S2:優先順位)、ユーザ端末20は、指定画面G4を表示部25に表示させ、ユーザによる優先順位の指定を受け付けて、決済サーバ10に指定結果を送信する(S9)。決済サーバ10は、優先順位の指定結果を受信すると(S10)、決済データベースDBに格納された優先順位情報を更新する(S11)。
【0076】
本実施形態の決済システムSによれば、複数のチャージ方法の各々に関連付けられた優先順位に基づいて、電子マネーの利用に関する利用処理を実行する。これにより、チャージ方法に応じた優先順位で電子マネーを利用できるので、複数のチャージ方法でチャージ可能な電子マネーを利用するユーザの利便性が高まる。例えば、従来のように、チャージ日時が古い順に電子マネーが利用される場合には、ユーザが利用したくないチャージ方法のチャージ分が先に利用される可能性がある。この点、チャージ方法に優先順位を付けることによって、ユーザが利用したいチャージ方法のチャージ分を優先的に利用することができるので、ユーザの利便性が高まる。例えば、クレジットカードのキャッシング枠を利用したチャージ方法のチャージ分が利用されると、キャッシングの返済対象になったり利息が発生したりすることがあるので、このようなチャージ分の優先順位を下げることによって、キャッシングの返済や利息を発生しにくくすることができる。例えば、特定のチャージ方法のチャージ分についてのみ、出金目的で利用できるといった制限を設ける場合には、出金目的で利用可能なチャージ方法の優先順位を低くして、出金目的で利用できないチャージ方法の優先順位を高くすることにより、出金目的で利用可能なチャージ方法のチャージ分を極力利用しないようにすることができる。
【0077】
また、決済システムSは、複数のチャージ方法の各々に関連付けられた優先順位に基づいて、電子マネーからの出金に関する出金処理を、利用処理として実行する。これにより、チャージ方法に応じた優先順位で電子マネーを出金できるので、出金時のユーザの利便性が高まる。例えば、キャッシング枠を利用したチャージ方法のチャージ分が出金されると、キャッシングの返済対象になったり利息が発生したりしたとしても、このようなチャージ分の優先順位を下げることによって、キャッシングの返済や利息を発生しにくくすることができる。例えば、複数のチャージ方法のチャージ分を出金目的で利用可能であるが、そのうちの一部のチャージ方法だけが、他の目的で利用可能な場合には、他の目的で利用できないチャージ方法の優先順位を上げて優先的に利用することにより、他の目的で利用可能なチャージ分を極力残すことができる。
【0078】
また、決済システムSは、複数のチャージ方法の各々に関連付けられた優先順位に基づいて、電子マネーを利用した支払に関する支払処理を、利用処理として実行する。これにより、チャージ方法に応じた優先順位で電子マネーを支払できるので、出金時のユーザの利便性が高まる。例えば、キャッシング枠を利用したチャージ方法のチャージ分が支払で利用されると、キャッシングの返済対象になったり利息が発生したりしたとしても、このようなチャージ分の優先順位を下げることによって、キャッシングの返済や利息を発生しにくくすることができる。例えば、複数のチャージ方法のチャージ分を支払目的で利用可能であるが、そのうちの一部のチャージ方法だけが、他の目的で利用可能な場合には、他の目的で利用できないチャージ方法の優先順位を上げて優先的に利用することにより、他の目的で利用可能なチャージ分を極力残すことができる。
【0079】
また、決済システムSは、複数のチャージ方法の各々に関連付けられた優先順位に基づいて、電子マネーを送るための送り処理を、利用処理として実行する。これにより、チャージ方法に応じた優先順位で電子マネーを支払できるので、出金時のユーザの利便性が高まる。例えば、キャッシング枠を利用したチャージ方法のチャージ分が支払で利用されると、キャッシングの返済対象になったり利息が発生したりしたとしても、このようなチャージ分の優先順位を下げることによって、キャッシングの返済や利息を発生しにくくすることができる。例えば、複数のチャージ方法のチャージ分を送り目的で利用可能であるが、そのうちの一部のチャージ方法だけが、他の目的で利用可能な場合には、他の目的で利用できないチャージ方法の優先順位を上げて優先的に利用することにより、他の目的で利用可能なチャージ分を極力残すことができる。
【0080】
また、決済システムSは、電子マネーの利用目的ごとに関連付けられた優先順位に基づいて、出金処理等の利用処理を実行する。これにより、利用目的ごとに異なる優先順位を設定可能になるので、ユーザの利便性が高まる。
【0081】
また、決済システムSは、ユーザにより指定された優先順位を特定する。これにより、ユーザが自分好みの優先順位を指定できるので、ユーザの利便性が高まる。例えば、ある特定のウェブサイトで電子マネーを利用する場合に、ある特定のチャージ方法のチャージ分を利用すると、獲得できる特典が多くなるものとする。この場合に、ユーザが良く利用するウェブサイトで獲得できる特典が多くなるチャージ方法の優先順位を高くすることにより、ユーザの利便性が高まる。より具体的には、ショッピングモールのウェブサイトでは、このウェブサイトが提携するクレジットカードのカードチャージのチャージ分を利用すると、獲得できる特典が多くなり、オンラインフリーマーケットのウェブサイトでは、売上金チャージのチャージ分を利用すると、獲得できる特典が多くなるものとする。この場合、ショッピングモールをよく利用するユーザは、カードチャージの優先順位を上げて特典を獲得しやすくして、オンラインフリーマーケットをよく利用するユーザは、売上金チャージの優先順位を上げて特典を獲得しやすくするといったように、自身の好みに応じた優先順位を指定すればよい。
【0082】
また、決済システムSは、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分だけでは足りない場合に、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるように、利用処理を実行する。これにより、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分を極力多く利用できるので、ユーザの利便性が高まる。
【0083】
[5.変形例]
なお、本開示は、以上に説明した実施形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0084】
図7は、変形例における機能ブロックの一例を示す図である。チャージ履歴情報取得部105、第1決定部106、第2決定部107、及び表示制御部108は、制御部11を主として実現される。
【0085】
[5-1.変形例1]
例えば、実施形態では、ユーザがチャージ方法の優先順位を指定する場合を説明したが、チャージ方法の優先順位の決定方法は、実施形態の例に限られない。変形例1では、ユーザが過去に利用したチャージ方法の履歴に基づいて、優先順位が決定される場合を説明する。変形例1の決済システムSは、チャージ履歴情報取得部105及び第1決定部106を含む。
【0086】
チャージ履歴情報取得部105は、チャージ処理の履歴に関するチャージ履歴情報を取得する。例えば、チャージ履歴情報取得部105は、決済データベースDBに格納されたチャージ履歴情報を取得する。チャージ履歴情報は、他のデータベースに格納されていてもよい。チャージ履歴情報取得部105は、優先順位を決定するタイミングが訪れた場合に、チャージ履歴情報を取得する。優先順位を決定するタイミングは、任意のタイミングであってよい。例えば、所定の日時が訪れた場合、ユーザがログインした場合、ユーザ端末20から決済サーバ10に何らかのアクセスがあった場合、チャージ回数が所定回数以上になった場合、チャージ総額が所定額以上になった場合に、優先順位が決定されてもよい。
【0087】
第1決定部106は、チャージ履歴情報に基づいて、優先順位を決定する。例えば、第1決定部106は、あるチャージ方法のチャージ回数が多いほど、そのチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定する。第1決定部106は、あるチャージ方法のチャージ頻度が高いほど、そのチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定する。第1決定部106は、あるチャージ方法のチャージ額が多いほど、そのチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定する。このようにすれば、よく利用するチャージ方法のチャージ分を早めに利用できる。第1決定部106は、優先順位の決定結果に基づいて、優先順位情報を更新する。
【0088】
上記とは逆に、第1決定部106は、あるチャージ方法のチャージ回数が少ないほど、そのチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定してもよい。第1決定部106は、あるチャージ方法のチャージ頻度が低いほど、そのチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定してもよい。第1決定部106は、あるチャージ方法のチャージ額が少ないほど、そのチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定してもよい。このようにすれば、あまり利用しないチャージ方法のチャージ分を早めに利用できる。
【0089】
特定部103は、第1決定部106により決定された優先順位を特定する。第1決定部106により優先順位が決定される点で実施形態とは異なるが、特定部103が優先順位情報を取得することによって優先順位を特定する点は、実施形態で説明した通りである。
【0090】
変形例1によれば、チャージ履歴情報に基づいて、優先順位を決定する。これにより、ユーザに応じた優先順位になるので、ユーザの利便性が高まる。ユーザが自身で優先順位を指定しなくて済むので、ユーザの操作負担も軽減できる。
【0091】
[5-2.変形例2]
例えば、実施形態で説明したように、複数のチャージ方法は、クレジットカードを利用したチャージ方法を含んでもよい。クレジットカードを利用したチャージ方法は、クレジットカードのショッピング枠及びキャッシング枠の少なくとも一方を利用したチャージ方法である。チャージ処理実行部102は、ユーザが複数のクレジットカードを保有する場合に、複数のクレジットカードの各々に基づいて、チャージ処理を実行可能である。図2の例であれば、ユーザは、自身が決済アプリに登録した「クレジットカードX」及び「クレジットカードY」のうちの任意の方を選択し、電子マネーにチャージできる。
【0092】
変形例2では、クレジットカードごとに、優先順位が関連付けられている。図2の例であれば、「クレジットカードX」を利用したチャージ方法の優先順位と、「クレジットカードY」を利用したチャージ方法の優先順位と、が別々に定められている。実施形態のように、ユーザが自身で優先順位を指定する場合には、ユーザは、「クレジットカードX」の優先順位と、「クレジットカードY」の優先順位と、を別々に指定する。
【0093】
変形例1のように、チャージ履歴情報に基づいて優先順位が決定される場合には、第1決定部106は、ユーザのチャージ履歴情報に基づいて、「クレジットカードX」の優先順位と、「クレジットカードY」の優先順位と、を決定する。例えば、「クレジットカードX」を利用したチャージ回数が「クレジットカードY」を利用したチャージ回数よりも多い場合、「クレジットカードX」の優先順位は、「クレジットカードY」の優先順位よりも高くなる。ユーザが3枚以上のクレジットカードを電子マネーのチャージで利用可能な場合も同様である。
【0094】
特定部103は、複数のクレジットカードの各々に関連付けられた優先順位を特定する。クレジットカードごとに優先順位が関連付けられている点で実施形態とは異なるが、特定部103が優先順位情報を取得することによって優先順位を特定する点は、実施形態で説明した通りである。
【0095】
利用処理実行部104は、複数のクレジットカードの各々に関連付けられた優先順位に基づいて、利用処理を実行する。クレジットカードごとに優先順位が関連付けられている点で実施形態とは異なるが、利用処理実行部104が優先順位に基づいて利用処理を実行する点は、実施形態で説明した通りである。
【0096】
変形例2によれば、クレジットカードごとに優先順位が関連付けられており、複数のクレジットカードの各々に関連付けられた優先順位に基づいて、利用処理を実行する。これにより、複数のクレジットカードを保有するユーザの利便性が高まる。例えば、クレジットカードのキャッシング枠を利用したチャージが可能であり、利用額に応じた利息が発生する場合に、より利息の少ないクレジットカードの優先順位を上げることによって、利息の総額を抑えることができる。例えば、特定のクレジットカードのチャージ分を利用すると、ユーザに何らかの特典が付与されるキャンペーンが実施されている場合に、このクレジットカードの優先順位を上げることによって、ユーザが特典を獲得しやすくなる。
【0097】
[5-3.変形例3]
例えば、電子マネーは、複数種類の残高を含んでもよい。変形例3では、電子マネーは、プレミアム型の残高と、基本型の残高と、を含む場合を説明する。電子マネー情報は、プレミアム型の残高を示す情報と、基本型の残高を示す情報と、を含む。
【0098】
プレミアム型の残高は、第1残高の一例である。基本型の残高は、第2残高の一例である。このため、プレミアム型の残高と記載した箇所は、第1残高と読み替えることができる。基本型の残高と記載した箇所は、第2残高と読み替えることができる。電子マネーは、3つ以上の残高が存在してもよい。ホーム画面G1には、第1残高及び第2残高の合計が表示されるものとするが、個々の残高が別々に表示されてもよい。
【0099】
第1残高は、ユーザが選択可能な複数のチャージ方法のうちの一部である第1チャージ方法によって増加する残高である。第1残高は、ある1つのチャージ方法によってのみ増加する残高であってもよいし、複数のチャージ方法でも増加する残高である場合を説明する。例えば、売上金チャージ、仮想通貨チャージ、又はキャッシング枠を利用したチャージ方法によって、第1残高が増加してもよい。
【0100】
第1残高は、任意の目的で利用可能である。例えば、第1残高は、支払目的、送り目的、及び出金目的で利用可能である。ユーザが他のユーザに第1残高の一部又は全部を送った場合、他のユーザの第1残高が増加する。第1残高を保有するために所定の申し込みが必要であり、他のユーザが、その申し込みをしていない場合には、ユーザが他のユーザに第1残高の一部又は全部を送った場合、他のユーザの第2残高が増加してもよい。即ち、ユーザの第1残高の一部又は全部が第2残高に変換されたうえで、他のユーザに送られてもよい。
【0101】
第2残高は、ユーザが選択可能な複数のチャージ方法のうち、第1チャージ方法以外の第2チャージ方法によって増加する残高である。例えば、第2残高は、クレジットカードのショッピング枠を利用したチャージ方法によって増加する残高である。第2残高は、このチャージ方法によってのみ増加する残高であってもよいし、他のチャージ方法でも増加してもよい。例えば、第2残高は、ユーザが保有するポイントを利用したチャージ方法によって増加してもよい。
【0102】
第2残高は、任意の目的で利用可能である。例えば、第2残高は、支払目的及び送り目的で利用可能である。ただし、ユーザが他のユーザに第2残高の一部又は全部を送った場合、他のユーザの第1残高ではなく第2残高が増加する。本実施形態では、第2残高は、出金目的では利用できないものとする。このため、ユーザの第2残高の一部又は全部を受け取った他のユーザは、出金目的では利用できないものとする。これにより、クレジットカードのショッピング枠を利用した現金化を防止できる。
【0103】
変形例3では、電子マネーの残高ごとに、優先順位が定められている。例えば、プレミアム型の残高の優先順位と、基本型の残高の優先順位と、が別々に定められている。実施形態のように、ユーザが自身で優先順位を指定する場合には、ユーザは、プレミアム型の残高の優先順位と、基本型の残高の優先順位と、を別々に指定する。変形例1のように、チャージ履歴情報に基づいて優先順位が決定される場合には、第1決定部106は、プレミアム型の残高へのチャージ履歴情報に基づいて、プレミアム型の残高の優先順位を決定する。第1決定部106は、基本型の残高へのチャージ履歴情報に基づいて、基本型の残高の優先順位を決定する。電子マネーの残高が3つ以上存在する場合も同様である。
【0104】
特定部103は、複数の残高のうち、利用処理で利用される残高の種類に関連付けられた優先順位を特定する。残高ごとに優先順位が関連付けられている点で実施形態とは異なるが、特定部103が優先順位情報を取得することによって優先順位を特定する点は、実施形態で説明した通りである。プレミアム型の残高と、基本型の残高と、の優先順位は、予め指定されていてもよいし、ユーザが指定してもよい。例えば、プレミアム型の残高が優先的に利用されるようにしてもよい。
【0105】
利用処理実行部104は、複数の残高のうちの何れかの利用処理を、当該残高の優先順位に基づいて実行する。残高ごとに優先順位が関連付けられている点で実施形態とは異なるが、利用処理実行部104が優先順位に基づいて利用処理を実行する点は、実施形態で説明した通りである。
【0106】
変形例3によれば、電子マネーの残高ごとに優先順位が定められており、複数の残高のうちの何れかの利用処理を、当該残高の優先順位に基づいて実行する。これにより、電子マネーが複数の残高を含む場合のユーザの利便性が高まる。例えば、クレジットカードのショッピング枠を利用したチャージ方法の優先順位を上げることにより、基本型の残高を優先的に利用させることができる。例えば、クレジットカードのショッピング枠を利用したチャージ方法の優先順位を下げることにより、利息を発生しにくくすることができる。
【0107】
[5-4.変形例4]
例えば、複数のチャージ方法の各々のチャージ分が、電子マネーの残高に混在する場合に、個々のチャージ分に基づいて、優先順位が決定されてもよい。例えば、図5のユーザ「山田 太郎」を例に挙げると、6000円の残高のうち、カードチャージのチャージ分、売上金チャージのチャージ分、及び仮想通貨チャージのチャージ分が、それぞれ3000円、1000円、及び2000円である。この場合、カードチャージの優先順位が最も高く、仮想通貨チャージの優先順位が2番目であり、売上金チャージの優先順位が最も低くなってもよい。変形例4の決済システムSは、第2決定部107を含む。
【0108】
第2決定部107は、電子マネーの残高のうち、複数のチャージ方法の各々のチャージ分に基づいて、優先順位を決定する。例えば、第2決定部107は、あるチャージ方法のチャージ分が多いほど、このチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定する。あるチャージ方法のチャージ分とは、電子マネーの残高のうち、このチャージ方法で行われたチャージの総額である。この場合、チャージ分が多いチャージ方法のチャージ分を早めに利用できる。これとは逆に、第2決定部107は、あるチャージ方法のチャージ分が少ないほど、このチャージ方法の優先順位が高くなるように、優先順位を決定してもよい。この場合、チャージ分が少ないチャージ方法のチャージ分を早めに利用できる。
【0109】
特定部103は、第2決定部107により決定された優先順位を特定する。第2決定部107により優先順位が決定される点で実施形態とは異なるが、特定部103が優先順位情報を取得することによって優先順位を特定する点は、実施形態で説明した通りである。
【0110】
変形例4によれば、電子マネーの残高のうち、複数のチャージ方法の各々のチャージ分に基づいて、優先順位を決定する。これにより、個々のチャージ方法のチャージ分に応じた優先順位になるので、ユーザの利便性が高まる。ユーザが自身で優先順位を指定しなくて済むので、ユーザの操作負担も軽減できる。
【0111】
[5-5.変形例5]
例えば、電子マネーの残高のうち、個々のチャージ方法のチャージ分を、決済アプリ上で表示させるようにしてもよい。決済システムSは、表示制御部108を含む。表示制御部108は、電子マネーの残高のうち、複数のチャージ方法の各々のチャージ分を表示部25に表示させる。変形例5では、決済サーバ10で表示制御部108が実現されるので、表示制御部108は、個々のチャージ方法のチャージ分を示す画面の表示データをユーザ端末20に送信することによって、当該チャージ分を表示部25に表示させる。
【0112】
図8は、変形例5でユーザ端末20に表示される画面の一例を示す図である。例えば、表示制御部108は、電子マネー情報の内訳を参照し、個々のチャージ方法のチャージ分を特定する。表示制御部108は、ホーム画面G1のメニューM13に、当該特定された個々のチャージ方法のチャージ分を表示させる。表示制御部108は、ホーム画面G1等の他の任意の画面に、個々のチャージ方法のチャージ分を表示させてもよい。チャージ分は、任意の画像によって示されてよく、図8のように数字を示すテキストではなく、アイコン等の他の画像であってもよい。
【0113】
変形例5によれば、電子マネーの残高のうち、複数のチャージ方法の各々のチャージ分を表示部25に表示させる。これにより、ユーザは、個々のチャージ方法のチャージ分を容易に把握できる。例えば、特定のチャージ方法のチャージ分を利用すると特典を獲得できるキャンペーンが実施されている場合に、このチャージ方法のチャージ分が十分にあるか否かを容易に把握できる。
【0114】
[5-6.変形例6]
例えば、実施形態では、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分が0になるまで利用される場合を説明したが、相対的に高いチャージ方法のチャージ分は、0になるまで利用されなくてもよい。利用処理実行部104は、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分が、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分よりも多く利用されるように、利用処理を実行してもよい。即ち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分を全て利用するのではなく、多少は残すようにして、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分が利用されるようにしてもよい。
【0115】
図5のユーザ「山田 太郎」を例に挙げると、6000円の残高のうち、カードチャージのチャージ分、売上金チャージのチャージ分、及び仮想通貨チャージのチャージ分が、それぞれ3000円、1000円、及び2000円である。例えば、売上金チャージの優先順位が最も高く、仮想通貨チャージの優先順位が2番目に高く、カードチャージの優先順位が最も低かったとする。
【0116】
上記の例において、ユーザが、6000円の残高のうち、5000円分を利用したとする。この場合、優先順位が最も高い売上金チャージのチャージ分である1000円の全てが利用されるのではなく、その一部だけが利用されてもよい。例えば、売上金チャージのチャージ分が900円分だけ利用されてもよい。利用分の5000円のうち、残りの4100円分は、仮想通貨チャージ及びカードチャージから利用されるようにすればよい。例えば、仮想通貨チャージのチャージ分が1700円分利用され、カードチャージのチャージ分が2400円分利用されてもよい。この場合、優先順位が高い順に、900円分、11700円分、2400円分利用される。利用額自体は、優先順位が相対的に低い方が多くなるが、チャージ分に対する利用額の割合は、優先順位が相対的に高い方が高くなるので、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分が優先的に利用される。
【0117】
変形例6によれば、電子マネーの残高のうち、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分が、優先順位が相対的に低いチャージ方法のチャージ分よりも多く利用されるように、利用処理を実行する。これにより、優先順位が相対的に高いチャージ方法のチャージ分を極力利用できる。
【0118】
[5-7.その他変形例]
例えば、上記説明した変形例を組み合わせてもよい。
【0119】
例えば、ユーザが決済アプリから決済サービスを利用する場合を説明したが、決済サービスを提供する媒体は、任意の媒体であってよく、決済アプリに限られない。例えば、ユーザ端末20のブラウザ、ユーザ端末20のICチップ、又はユーザが所有するICカードを利用して決済サービスが提供されてもよい。例えば、複数の利用処理で優先順位が共通であってもよい。
【0120】
例えば、決済サーバ10で実現されるものとして説明した機能は、他のサーバコンピュータで実現されてもよい。例えば、決済サーバ10で実現されるものとして説明した機能は、複数のコンピュータで分担されてもよい。各機能は、少なくとも1つのコンピュータで実現されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0121】
S 決済システム、N ネットワーク、10 決済サーバ、11,21 制御部、12,22 記憶部、13,23 通信部、20 ユーザ端末、24 操作部、25 表示部、G1 ホーム画面、G2 チャージ画面、G3 確認画面、G4,G4A,G4B,G4C 指定画面、100 データ記憶部、101 指定受付部、102 チャージ処理実行部、103 特定部、104 利用処理実行部、105 チャージ履歴情報取得部、106 第1決定部、107 第2決定部、108 表示制御部、200 データ記憶部、201 表示制御部、202 操作受付部、C10 コード、DB 決済データベース、F20,F40 入力フォーム、I12 アイコン、M13 メニュー、B11,B14,B15,B16,B21,B30 ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8