(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】含酸素化合物生成のための移動ヒドロホルミル化
(51)【国際特許分類】
C07C 45/69 20060101AFI20240605BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20240605BHJP
C07C 47/347 20060101ALI20240605BHJP
C07C 1/207 20060101ALI20240605BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20240605BHJP
C07C 11/107 20060101ALI20240605BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240605BHJP
【FI】
C07C45/69
C07C47/02
C07C47/347
C07C1/207
C07C11/04
C07C11/107
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2021512674
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2019072222
(87)【国際公開番号】W WO2020057878
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-16
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ウィアーサム アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス リュック
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0127329(US,A1)
【文献】特開2003-251192(JP,A)
【文献】特開昭63-218252(JP,A)
【文献】特開昭63-264434(JP,A)
【文献】特開昭63-088150(JP,A)
【文献】特開昭57-114545(JP,A)
【文献】Mechanisms of the transfer hydroformylation catalyzed by rhodium, cobalt, and iridium complexes: Insights from density functional theory study,Journal of Organometallic Chemistry,2017年03月15日,Vol.833,p71-79
【文献】Rh-catalyzed C-C bond cleavage by transfer hydroformylation,Science,2015年01月02日,Vol.347, No.6217,p56-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C、C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒドの調製方法であって、
1)下記
a)C
xアルデヒド(ここで、xは、3~41の整数である)であって、
前記アルデヒドが下記式(I):
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表される
C
x
アルデヒド;
b)C
yオレフィン(ここで、yは、2~40の整数である)であって、
前記C
yオレフィンが下記式(II):
【化2】
(式中、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表され、前記C
yオレフィンがαオレフィンである
、C
y
オレフィン;及び
c)金属触媒であって、
前記金属触媒が下記式(III):
M[L]
n(III)
(式中、Mは第9族金属であり、Lは、第9族金属
に配位
することができる任意の適切な配位子であり、nは、1~10の整数である)で表される
金属触媒、
を反応容器内で接触させるステップ;及び
2)下記
(i)C
y+1アルデヒド生成物であって、
前記アルデヒド生成物が下記式(V):
【化4】
(式中、R
5及びR
6は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)
で表されるC
y+1
アルデヒド生成物;及び
(ii)C
x-1アルケン生成物であって、
前記アルケン生成物が下記式(IV):
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり;R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表される
C
x-1
アルケン生成物、
を得るステップを含む、アルデヒドの調製方法。
【請求項2】
さらに、反応温度を80℃~100℃に維持するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、反応圧力を150psig(1034kPa)以下に維持するステップを含む、請求項1か又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、シンガス及び
/又は一酸化炭素を前記反応容器に導入することを含まない、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルケン生成物がエチレンである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式(I)のR
1及びR
2が水素である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R
3及びR
4が、それぞれ独立に水素又はC
1-C
5アルキルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)のR
3及びR
4が、それぞれ水素である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
MがRh又はCoである、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属触媒が、Rh
4(CO)
12、Rh
6(CO)
16、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、クロロジカルボニルロジウム二量体、クロロビス(エチレン)ロジウム二量体、HRh(CO)
4、HRh(CO)PPh
3、[RhCOD(OMe)]
2、
及び[Rh(CO)
2(アセチルアセトナト)]から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属触媒が、Co(acac)
3、HCo(CO)
4、及びHRh(CO)(PPh
3)
3から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
式(IV)のR
1及びR
2が水素である、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
R
5及びR
6の少なくとも1つがC
1-C
38アルキルであ
る、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
R
5及びR
6の少なくとも1つがC
10-C
38アルキルであ
る、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
R
5が水素であり、R
6がC
10-C
38アルキルであ
る、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アルデヒドがプロパナールであり、前記アルデヒド生成物が、ヘプタナール、ノルボルナール、
及びトリデカナールのうちの1つ又はそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、代替物としてのアルデヒドの移動ヒドロホルミル化によって高級オレフィンから高級含酸素化合物を生成するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ヒドロホルミル化(OXOプロセス)は、一酸化炭素及び水素(シンガス、又は合成ガスとしても知られる)とオレフィン不飽和を含有する炭素化合物との反応による含酸素有機化合物の調製を伴う重要な工業プロセスである。直鎖及び分岐の両アルデヒドが形成され、これらはさらにアルコール、ジオール、カルボン酸、アミン、アクロレイン、アセタール及びアルドール縮合生成物に変換される。ヒドロホルミル化生成物は、種々のバルク及び化学薬品、主に可塑剤(すなわち材料の可塑性又は流動性を高める添加剤)、界面活性剤用の原材料としてのみならず、天然物及び香料の合成に広く用いられている。この反応は、カルボニル化触媒(例えば、ロジウム(Rh)又はコバルト(Co))の存在下で行なわれ、結果として、その分子構造に出発オレフィン原料より1個多い炭素原子を有する化合物、例えば、アルデヒドを形成する。ロジウム及びコバルトは、商業的に使用されており、一般的にロジウムがコバルトより活性である。例えば、高級アルコールは、市販のC2-C40オレフィン部分のアルデヒド含有オキソ合成生成物へのヒドロホルミル化によるいわゆる「OXO」プロセスで生成可能であり、これは水素化によりそれぞれのC3-C41飽和アルコールをもたらす。ヒドロホルミル化反応の粗生成物は、触媒、アルデヒド、アルコール、未反応供給原料、シンガス及び副生物を含有するであろう。
【0003】
さらに、シンガスは、炭素含有燃料のガス状生成物へのガス化によって生成され、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素の混合物である。このガス化は、ガス化及びリフォーミングユニットでの部分酸化及び/又はリフォーミング反応によって達成される。シンガスは、その後炭化水素及び含酸素化合物に変換され得る、一酸化炭素、二酸化炭素及び水素の混合物である。シンガスは、天然ガス、石炭、バイオマス、又は実質的にいずれの炭化水素原料をも含めた多くのソースから、部分酸化を引き起こすための蒸気又は酸素との反応によって生成され得る。シンガスは、水素、アンモニア、メタノール、及び合成炭化水素燃料の生産に不可欠な中間資源である。
【0004】
さらに、ヒドロホルミル化は、オレフィン供給原料から含酸素化合物(例えば、アルデヒド及びアルコール)を製造するために工業規模で広く利用されている。伝統的反応条件は、高温及び中程度乃至高いシンガス圧力(H2/CO圧力)を必要とすることが多い。例えば、分岐高級オレフィンに対して利用されるコバルト触媒系は、1000psi(6.9×106Pa)超のシンガス圧力及び150℃又はその近くの温度を必要とすることが多い。ホスフィン含有ロジウム又はコバルト触媒に基づくいわゆる低圧プロセスでさえ、100psi(6.9×105Pa)より高いシンガス圧力で作動する。従って、当技術分野にはシンガスを使用せずにオレフィンを高級含酸素化合物に変換するための改善された費用効率及びエネルギー効率の高いプロセスが必要である。さらに、従来のヒドロホルミル化技術に代わるメタン/二酸化炭素フリーの技術を提供する必要がある。
【0005】
Dong及び共同研究者が発見したRh-キサントホス触媒移動ヒドロホルミル化反応は、シンガス代替ヒドロホルミル化技術における相当なブレークスルーになる。彼らの研究の鍵となる特徴は、ホルミル基アクセプターとしての歪みオレフィン(例えば、ノルボルネン及びノルボルナジエン)の使用と併せて、プロトン移動を媒介できる弱配位性アニオンの使用を含む。しかしながら、架橋環状炭化水素の歪みエネルギー(約24kcal/mol)は、移動ヒドロホルミル化プロセスを完了させるのに十分なので、Dong及び共同研究者は歪みオレフィンを選択した。環歪みの緩和が起こらなければ、直鎖アルデヒド及びオレフィンを巻き込む移動ヒドロホルミル化反応はほぼ熱的中性であると予測され、媒介するのは難しいと予想された。従って、アルデヒド及びオレフィンを使用し、かつ副生物(例えば、エチレン)が揮発性であり、容易に除去されるであろう高級オレフィン(例えば、1-ヘキセン)を用いて高級含酸素化合物の合成に近づく移動ヒドロホルミル化プロセスが必要である。
【0006】
興味ある参考文献としては、以下のものが挙げられる:Wu, L., Liu, Q., Beller, M., Angew. Chem. Int. Ed., 2014, 25, pp. 6310-6320; Fuentes, J.A., Pittaway, R., Clarke, M. L., Chem. Eur. J., 2015, 21, pp. 10645-10649; Pino, P., Piacenti, F., Bianchi, M., Organic Syntheses via Metal Carbonyls; 1st ed.; Wiley: New York, 1977, Vol 2.; Fristrup, P., Kreis, M., Palmelund, A., Norrby, P., Madsen, R., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, pp. 5206-5215.; Morioka, T., Nishizawa, A., Furukawa, T., Tobisu, M., Chatani, N., J. Am. Chem. Soc., 2017, 139, pp. 1416-1419; Changsoo, K., Matsui, Y., Orchin, M., J. Organomet. Chem., 1985, 279, pp. 159-164; Murphey, S. K., Park, J., Cruz F.A., Dong, V. M., Science, 2015, 347, pp. 56-60; Murphey, S. K. "Activating Aldehyde C-H Bonds: Applications to Hydroacylation and Transfer Hydroformylation" PhD Thesis, Department of Chemistry, University of Toronto, 2015; Czelusniak, I., Szymanska-Buzar T., Kenwright, A., Khosravi, E., Ring Opening Metathesis Polymerization and Related Chemistry, Springer, 2002, pp. 157-161; Luo, X, Bai, R., Liu, S., Shan, C., Chen, C., Lan, Y., J. Org. Chem., 2016, 81, pp. 2320-2326; Franke, R., Selent, D., Borner, A., Chem. Rev., 2012, 112, pp. 5675-5732; Hebrard, F., Kalck, P., Chem. Rev., 2009, 109, pp. 4272-4282; US 8604254; US 20140350307; US 20140350307; US 9181156; US 8604254; CN 101774912; US 20150064763; US 5214220; US 4292198; FR 2275434; US 3946082; Suarez, et al., Journal of Molecular Catalysis (1985), 32(2), 191-199; Sanchez-Delgado, et al., Journal of the Chemical Society, Chemical Communications (1983), (8), 444-445; US 9688599; US 9492813; BR 2006004284; US 6049011; US 6265619; US 5520722; Dong et al., Journal of Organometallic Chemistry (2017), 833, 71-79; Applied Catalysis, A: General (2012), 421-422, 161-163; Karaenan, et al., Organic & Biomolecular Chemistry (2004), 2(22), 3379-3384。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、シンガスに代わるホルミル(CHO)源としてのアルデヒド、オレフィン、及び触媒を利用することを含む、高級オレフィンから高級含酸素化合物を形成する方法を提供する。少なくとも1つの実施形態では、方法は、C3-C41アルデヒド、C2-C40オレフィン、及び金属触媒を接触させ、C3-C41アルデヒド及びアルケンを得ることを含む。
少なくとも1つの実施形態では、アルデヒドの調製方法は、Cxアルデヒド、Cyオレフィン、及び金属触媒を反応容器内で接触させることを含む。ここで、xは、3~41の整数であり、yは、2~40の整数である。本方法は、Cy+1アルデヒド生成物及びCx-1アルケン生成物を得ることを含む。
C3-C41アルデヒドは、下記式(I):
【0008】
【0009】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり;R3及びR4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表すことができる。
C2-C40オレフィンは、下記式(II):
【0010】
【0011】
(式中、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)で表すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示は、シンガスに代わるホルミル(CHO)源としてのアルデヒドの移動ヒドロホルミル化を含む、オレフィンから含酸素化合物を形成する方法を提供する。本開示はさらに、高級オレフィンの高級アルデヒドへの変換のために低温及び周囲圧力又はその近くで行なわれ、この結果として例えば供給原料の二重結合若しくは骨格異性化によるか、又は形成されたアルデヒド及びアルコールのさらなる変換(すなわち、縮合生成物の形成;脱カルボニル化;さらなる酸化)による副生物の形成を少なくする、移動ヒドロホルミル化プロセスを提供する。
例えば、本開示は、アルデヒドを生成するための移動ヒドロホルミル化プロセスであって、1種以上の触媒、及び任意的な担体を含む触媒系を、温和な条件下で、低コストアルデヒド供給原料及び1種のC2-C40オレフィン、例えばC3-C18オレフィンと接触させて、アルデヒド生成物及び揮発性オレフィン副生物を得ることを含むプロセスに関する。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、歪みオレフィン(例えば、ノルボルネン)及びプロピオンアルデヒド(プロパナール)の代わりに直鎖アルケンを利用して、プロパナール出発物質からガス状オレフィン生成物(例えば、エチレン)を生成することによって移動ヒドロホルミル化反応の平衡を制御する。本開示は、6個以上の炭素原子、例えば10個以上の炭素原子を有するオレフィンに対して移動ヒドロホルミル化を使用し、供給原料としてプロパナールを利用することを説明する。さらなる実施形態では、本開示は、有機リン配位子(例えば三級有機ホスフィン又は有機ホスファイト等)と共にロジウム錯体を含む触媒の存在下、並びに出発アルデヒドをアルケンに及び出発オレフィンを高級含酸素化合物の混合物に全体的又は部分的に変換する条件下での単一液相の1種以上のアルデヒドと1種以上のアルケンを含有する供給を含む、アルデヒド混合物の生成プロセスを提供する。例えば、プロパナールからエチレン及びヘキセンからヘプタナール。
【0014】
本開示の方法は、周囲圧力又はその近くで典型的に70℃~120℃の温和な温度範囲にて作動できる反応条件下で操作することによって、新プラント構築における資本コストの節約及び既存ヒドロホルミル化ユニットの操業コストの節約を可能にする、従来のヒドロホルミル化技術の魅力的な代替技術を提供する。本開示は、適切な触媒系(例えば、ロジウムホスフィン)が、高級含酸素化合物(例えば、アルデヒド及びアルコール)を温和な条件下で生成するために低コストアルデヒド供給原料(すなわち、プロピオンアルデヒド)から高級オレフィンへのホルミル基の見掛け上の移動を媒介する移動ヒドロホルミル化技術を利用するヒドロホルミル化プロセスに関する。
理論によって束縛されるものではないが、移動ヒドロホルミル化反応においては、ドナーアルデヒドが遷移金属媒介脱カルボニル化反応を受けて、金属カルボニルヒドリド中間体を生成する。この中間体は、次にアクセプターオレフィンと反応して所望のヒドロホルミル化生成物を生成することができる。この化学による注目すべき特徴は、あるアルデヒドの脱カルボニル化が別のヒドロホルミル化と効率的に連結されることである。さらに、副生物(例えばエチレン)の除去が高級オレフィンの変換プロセスを促進し、所望の高級含酸素化合物のより多くの生成につながる。
本開示は、高級オレフィンの高級アルデヒドへの変換の低温及び低圧プロセスを提供できる移動ヒドロホルミル化方法を提供する。低過酷度プロセスの使用は、例えば供給原料の二重結合若しくは骨格異性化によるか、又は形成されたアルデヒド及びアルコールのさらなる変換(すなわち、縮合生成物の形成;脱カルボニル化;さらなる酸化)による副生物の形成を少なくする。
【0015】
定義
本開示の目的では、周期表の族の付番規定は、Chemical and Engineering News, 63(5), pg. 27 (1985)に記載どおりに用いる。従って、「第4族金属」は、周期表の第4族の元素、例えば、Hf、Ti、又はZrである。
本開示では、品詞「a」又は「an」は、明白に特定されているか又は文脈により1を意味すると指示されていない限り、少なくとも1を意味する。
第1の化合物の「異性体」は、各分子が第1の化合物と同一の構成原子を含有するが、3次元の当該原子の配置が異なる別の化合物である。
アルキル、アルケニル、アルコキシド、又はアリールと名付けられた群の異性体(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)が存在する場合、群の1員(例えば、n-ブチル)への言及は、その系統群の残りの異性体(例えば、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)を明示的に開示する。同様に、特定異性体の明記のないアルキル、アルケニル、アルコキシド、又はアリール群への言及(例えば、ブチル)は、明示的に全ての異性体(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)を開示する。
用語「置換基」、「基(radical)」、「基(group)」、及び「部分」は、互換的に使用してよい。
本明細書で使用する場合、特別の定めのない限り、用語「Cn」は、1分子当たりn個の炭素原子を有する炭化水素を意味し、ここで、nは正の整数である。
本明細書で使用する場合、特別の定めのない限り、用語「炭化水素」は、炭素に結合した水素を含有する化合物の分類を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物、及び(iii)異なる値のnを有する炭化水素化合物の混合物を含めた炭化水素化合物(飽和及び/又は不飽和)の混合物を包含する。
【0016】
用語「アルキル基」又は「アルキル」は、互換的に、炭素及び水素原子から成る飽和ヒドロカルビル基を指す。「直鎖アルキル基」は、全ての炭素原子が2個以下の炭素原子に共有結合している非環式アルキル基を指す。「分岐アルキル基」は、少なくとも1個の炭素原子が2個より多くの炭素原子に共有結合している非環式アルキル基を指す。「シクロアルキル基」は、全ての炭素原子が、1個以上の環を含む環構造を形成しているアルキル基を指す。
用語「アリール基」は、炭素及び水素原子から成り、炭素原子が結合して共役π系を形成している不飽和の環式ヒドロカルビル基を指す。アリール基の非限定例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、3-ナフチル等が挙げられる。
用語「アリールアルキル基」は、アリール基又はアルキルアリール基で置換されたアルキル基を指す。アリールアルキル基の非限定例としては、ベンジル、2-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、3-(3-メチルフェニル)プロピル、3-(p-トリル)プロピル等が挙げられる。
用語「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されたアリール基を指す。アルキルアリール基の非限定例としては、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-メチル-1-ナフチル、6-フェニルヘキシル、5-ペンチルフェニル、4-ブチルフェニル、4-三級(tertery)ブチルフェニル、7-フェニルヘプタニル、4-オクチルフェニル等が挙げられる。
【0017】
用語「シクロアルキルアルキル基」は、シクロアルキル基又はアルキルシクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。シクロアルキルアルキル基の例は、シクロヘキシルメチルである。
用語「アルキルシクロアルキル基」は、アルキル基で置換されたシクロアルキル基を指す。アルキルシクロアルキル基の非限定例としては、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4-三級ブチルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシル、シクロヘキシルペンチル等が挙げられる。
置換ヒドロカルビル基は、少なくとも1個の水素原子が、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基、例えばハロゲン(Cl、Br、I、F)、NR*
2、OR*、SeR*、TeR*、PR*
2、AsR*
2、SbR*
2、SR*、BR*
2、SiR*
3、GeR*
3、SnR*
3、PbR*
3等の少なくとも1つの官能基と置き換えられているか、又は少なくとも1個のヘテロ原子、例えばハロゲン(Cl、Br、I、F)、O、S、Se、Te、NR*、PR*、AsR*、SbR*、BR*、SiR*
2、GeR*
2、SnR*
2、PbR*
2等がヒドロカルビル基内に挿入されている基であり、R*は、独立に、水素又はヒドロカルビルである。
「Cn」基又は化合物は、総数nで炭素原子を含む基又は化合物を指す。従って、「Cm-Cn」又は「Cm~Cn」基又は化合物は、m~nの範囲の総数で炭素原子を含む基又は化合物を指す。従って、C1-C50アルキル基は、1~50の範囲の総数で炭素原子を含むアルキル基基を指す。
【0018】
アルカン又はアルキル基における用語「炭素骨格」は、問題になっている化合物又は基の分子中の最長直線炭素鎖を指す。
オレフィンの用語「炭素骨格」は、最高数の炭素数を有する、その中にC=C官能性を含む直線炭素鎖と定義される。
用語「オレフィン」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合をその構造中に含有する炭化水素鎖を有する不飽和炭化水素化合物を指し、ここで、炭素-炭素二重結合は、芳香環の一部を構成しない。オレフィンは、直線状、分岐した直線状、又は環状であってよい。
「オレフィン」、「アルケン」と呼ばれることもあり、少なくとも1つの二重結合を有する炭素と水素の直鎖、分岐、又は環式化合物である。
用語「末端オレフィン」は、その構造中に末端の炭素-炭素二重結合を有するオレフィンを指す((R1R2-)-C=CH2、式中、R1及びR2は、独立に水素又は任意のヒドロカルビル基であってよく、例えばR1が水素であり、R2がアルキル基である)。「直鎖末端オレフィン」は、R1が水素であり、R2が水素又は直鎖アルキル基である、このパラグラフで規定した末端オレフィンである。
用語「ビニル」は、下記式:
【0019】
【0020】
(式中、Rは、ヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)を有するオレフィンを意味する。
用語「ビニリデン」は、下記式:
【0021】
【0022】
(式中、各場合のRは、独立にヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)を有するオレフィンを意味する。
用語「1,2-二置換ビニレン」は、
(i)下記式:
【0023】
【0024】
を有するオレフィン;又は
(ii)下記式:
【0025】
【0026】
を有するオレフィン;又は
(iii)(i)及び(ii)のそれらの任意の比率の混合物
を意味し、ここで、各場合のRは、独立にヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である。
用語「三置換ビニレン」は、下記式:
【0027】
【0028】
(式中、各場合のRは、独立にヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)を有するオレフィンを意味する。
用語「四置換ビニレン」は、下記式:
【0029】
【0030】
(式中、各場合のRは、独立にヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)を有するオレフィンを意味する。
「置換アルキル」又は「置換アリール」基は、炭素及び水素でできたアルキル又はアリール基であって、少なくとも1個の水素が、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有基、又は1~30個の炭素原子を有する直鎖、分岐、若しくは環状置換若しくは非置換ヒドロカルビル基で置き換えられている基である。ヘテロ環式環は、環原子上の水素がヘテロ原子で置き換えられているヘテロ原子置換環とは対照的に、環構造内にヘテロ原子を有する環である。例えば、テトラヒドロフラン(THF)はヘテロ環式環であり、4-N,N-ジメチルアミノフェニルはヘテロ原子置換環である。
用語「ヘテロアリール」は、1個の環炭素原子(又は2若しくは3個の環炭素原子)がN、O、又はS等のヘテロ原子で置き換えられているアリール基を意味する。本明細書で使用する場合、用語「芳香族」は、芳香族ヘテロ環式配位子に類似の特性及び構造(ほぼ平面)を有するが、芳香族の定義によらないヘテロ環式置換基である擬芳香族ヘテロ環をも指し;同様に芳香族という用語は置換芳香族をも指す。
【0031】
用語「アルコキシ」又は「アルコキシド」は、アルキルエーテル又はアリールエーテル基を意味し、ここで、用語アルキルは上記定義どおりである。好適なアルキルエーテル基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシル等が挙げられる。
アルキル、アルケニル、アルコキシド、又はアリールと名付けられた群の異性体(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)が存在する場合、群の1員(例えば、n-ブチル)への言及は、その系統群の残りの異性体(例えば、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)を明示的に開示するものとする。同様に、特定の異性体を明記しないアルキル、アルケニル、アルコキシド、又はアリール基(例えば、ブチル)への言及は、明示的に全ての異性体(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)を開示する。
用語「環原子」は、環式環構造の一部である原子を意味する。この定義によれば、ベンジル基は6個の環原子を有し、テトラヒドロフランは5個の環原子を有する。
【0032】
本開示及びそれに加えて特許請求の範囲の目的では、用語「置換」は、水素基がヘテロ原子、又はヘテロ原子含有基で置き換えられていること意味する。例えば、「置換ヒドロカルビル」は、炭素と水素でできた基であって、少なくとも1個の水素がヘテロ原子又はヘテロ原子含有基(上述したように)で置き換えられている基である。
本明細書で使用する場合、Mwは質量平均分子量であり、wt%は質量パーセントであり、mol%はモルパーセントである。特に断りのない限り、全ての分子量単位(例えば、Mw)は、g/molである。
簡単にするため特定の略語を使用することがあり、これには、限定するものではないが、以下のものがある:Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Etはエチルであり、Prはプロピルであり、iPrはイソプロピルであり、n-Prはノルマルプロピルであり、Buはブチルであり、cPRはシクロプロピルであり、iBuはイソブチルであり、tBuは三級ブチルであり、p-tBuはパラ-三級ブチルであり、nBuはノルマルブチルであり、sBuはsec-ブチルであり、p-Meはパラ-メチルであり、Phはフェニルであり、Bnはベンジル(すなわち、CH2Ph)であり、CODはシクロオクタジエンであり、THF(thfとも称される)はテトラヒドロフランであり、acacはアセチルアセトンであり、RTは室温であり(別段の指示がない限り23℃である)、tolはトルエンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、Cyはシクロヘキシルであり、inHgは水銀柱インチであり、psiは重量ポンド毎平方インチである。
【0033】
含酸素化合物及びその作製プロセス
一般
少なくとも1つの実施形態では、本開示は、オレフィンから含酸素化合物を形成する方法であって、オレフィンのヒドロホルミル化を含み、かつアルデヒド(シンガスに代わるホルミル(CHO)源として)を利用する方法に関する。方法は、アルデヒド(例えばC3-C41アルデヒド)、オレフィン(例えばC2-C40オレフィン)、及び金属触媒を接触させ、アルデヒド生成物(例えばC3-C41アルデヒド生成物)及びアルケン生成物(例えばエチレン)を得ることを含み得る。
【0034】
アルデヒド
いずれの適切なアルデヒドをも本開示のプロセスに使用してよい。少なくとも1つの実施形態では、アルデヒドは、下記式(I):
【0035】
【0036】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり、R3及びR4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表されるC3-C41アルデヒドである。少なくとも1つの実施形態では、R1及びR2は水素である。R3及びR4は、独立に水素又はC1-C38アルキル、例えばC1-C20アルキル、例えばC1-C10アルキル、例えばC1-C5アルキルであり得る。少なくとも1つの実施形態では、R3及びR4はそれぞれ水素である。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、アルデヒドは、プロパナール、ブタナール、ペンタナール(バレルアルデヒド)、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、ペンタデカナール、3-メチルブタナール、3-メチルプロパナール(イソバレルアルデヒド)、4-メチルプロパナール、非置換及び置換シクロヘキサンカルバルデヒドの1種以上であり得る。ガス状オレフィン生成物、例えばエチレンに変換することになるアルデヒド、例えばプロパナールを使用すると、ガス状オレフィン生成物の揮発性及び反応容器からの(容易な除去)のためヒドロホルミル化反応の平衡の制御を可能にする。さらに、高級オレフィンへの供給原料として安価なプロパナールを使用すると、高級含酸素化合物の形成につながる。プロパナールは、エチレンのヒドロホルミル化によって生じるため容易に手に入る出発物質でもあり、本開示のプロセスの副生物としてのエチレンを再循環させてさらにプロパナールを形成することができる。
少なくとも1つの実施形態では、アルデヒドとオレフィンのモル比は、20:1~1:1、例えば15:1~1:1、例えば10:1~2:1、例えば5:1~2:1である。
【0038】
オレフィン
本開示のプロセスで使用するオレフィンは、α-オレフィン、1,2-二置換ビニレン、又は三置換ビニレンであってよい。
いずれの適切なオレフィンをも本開示のプロセスに使用してよい。少なくとも1つの実施形態では、オレフィンは、下記式(II):
【0039】
【0040】
(式中、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)で表されるC2-C40オレフィンである。少なくとも1つの実施形態では、オレフィンは、R7及びR8が水素である、α-オレフィンである。
少なくとも1つの実施形態では、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である。少なくとも1つの実施形態では、R5、R6、及びR7は独立に水素又はC1-C38アルキル、例えばC1-C20アルキル、例えばC1-C10アルキル、例えばC1-C5アルキルである。少なくとも1つの実施形態では、R5、R6、及びR7の1つ以上がC1-C38アルキル、C1-C20アルキル、例えばC1-C10アルキル、例えばC1-C5アルキルである。
少なくとも1つの実施形態では、R5及びR6の1つ以上がC10-C38アルキル、例えばC20-C38アルキル、例えばC30-C38アルキルである。少なくとも1つの実施形態では、R5が水素であり、R6がC10-C38アルキル、例えばC20-C38アルキル、例えばC30-C38アルキルである。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、適切なオレフィンには、置換若しくは非置換C2-C40オレフィン、例えばC2-C20オレフィン、例えばC2-C12オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン及びこれらの異性体が含まれる。C2-C40オレフィン単量体は、直鎖、分岐、又は環式であってよい。C2-C40環式オレフィンは、歪んでいるか又は歪んでいない単環式又は多環式であってよく、任意にヘテロ原子及び/又は1つ以上の官能基を含んでよい。
少なくとも1つの実施形態では、適切なオレフィンには、C2-C40オレフィン、例えばC2-C20オレフィン、例えばC2-C12オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンが含まれる。少なくとも1つの実施形態では、C3-C40オレフィン単量体は直鎖であってよく、かつ任意にヘテロ原子及び/又は1つ以上の官能基を含んでよい。
C2-C40オレフィン、例えばC2-C18オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7-オキサノルボルネン、7-オキサノルボルナジエン、これらの置換誘導体、及びこれらの異性体、例えばヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5-シクロオクタジエン、1-ヒドロキシ-4-シクロオクテン、1-アセトキシ-4-シクロオクテン、5-メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、及びそれらのそれぞれの異性体、同族体及び誘導体、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、及びジシクロペンタジエンであり得る。
【0042】
本開示の目的では、エチレンをα-オレフィンとみなすものとする。
少なくとも1つの実施形態では、アルケンはガス状オレフィンであり、反応容器内のオレフィン圧力は約5psig(34.5kPa)超、例えば約10psig(68.9kPa)超、例えば約45psig(310kPa)超であり、かつ反応容器内の圧力は150psig(1034kPa)未満である。ガス状アルケンと共に希釈剤を使用するとき、オレフィンと希釈剤の総圧力として上記圧力範囲を適宜用いてもよい。同様に、液体アルケンを利用し、プロセスを不活性ガス雰囲気下で行なうときには、不活性ガス圧に合わせて上記圧力範囲を適宜用いてよい。
【0043】
金属触媒
「触媒系」は、任意の適切なロジウム前駆体、少なくとも1種の有機リン配位子及び適切なカルボン酸を含む。触媒系は、触媒成分を適切な方法で組み合わせて活性触媒錯体を得ることによって生成され得る。有機リン配位子と金属前駆体の組み合わせを用いて、単離又はその場生成され得る未活性触媒錯体(プレ触媒)を得ることができる。活性化前の触媒化合物を表すために「触媒系」という用語を用いるときは、それは有機リン配位子と合わせた金属前駆体を意味する。活性化後の組み合わせを表すためにこの用語を使用するときは、それは遷移金属前駆体/有機リン配位子とカルボン酸の組み合わせを意味する。遷移金属化合物は、プレ触媒におけるように中性であるか、又は荷電種であり得る。本開示の目的で、成分の中性安定形を含むと触媒系について述べるときは、当業者ならイオン形をも利用できることを十分に理解する。例えば、カルボン酸アニオンを遷移金属と結び付けて中性種を得るか又は解離させて遷移金属カチオンとカルボン酸アニオンを得ることができる。
【0044】
触媒系及び/又はその成分は、酸素及び/又は湿気に敏感であり得るので、その調製及び/又は貯蔵及び/又はヒドロホルミル化プロセス中の使用は、実質的に酸素及び/又は湿気の非存在下で行なわれる。本開示の少なくとも1つの実施形態では、触媒の調製及び/又はヒドロホルミル化反応は、不活性雰囲気、例えば窒素若しくはヘリウム雰囲気又はアルゴン中で行なわれる。少なくとも1つの実施形態では、触媒の調製及び/又はヒドロホルミル化反応は、不活性ガス充満環境、例えばグローブボックス内で行なわれる。
本開示では種々のロジウム前駆体及び有機リン配位子を使用することができる。エチレン、プロピレン及びブテン等の低級オレフィンのヒドロホルミル化反応は一般的に、低圧オキソ(LPO)技術として知られるもので操作されるリン含有配位子によって安定化されたロジウム触媒を利用している。本開示は、周囲圧力に近い圧力下で作動するプロセスを提供する。別の実施形態では、コバルト含有触媒を使用し、プロセスをより高い圧力で操作する。コバルトと同様に、ロジウム触媒ヒドロホルミル化をより高い圧力で操作してもよく、いくつかの実施形態では、一酸化炭素以外の配位子を安定化しないか又は例えば、トリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)のような弱配位子を用いる。本開示は、周囲圧力に近い圧力下で作動するRh又はCo媒介ヒドロホルミル化プロセスを提供する。
【0045】
本明細書の説明において、触媒M[L]nを触媒前駆体、プレ触媒化合物、M[L]n触媒化合物又は遷移金属化合物と記述することがあり、これらの用語は互換的に用いられる(式中、Mはロジウムであり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子、例えばホスフィンであり、nは正の整数、例えば1、2、3、4、5、又は6である)。「アニオン配位子」は、1つ以上の電子対を金属イオンに供与する負に荷電した配位子である。「中性ドナー配位子」は、1つ以上の電子対を金属イオンに供与する中性に荷電した配位子である。
金属触媒は下記式(III)で表すことができる。
M[L]nX (III)
式中、Mはロジウムであり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子、例えばホスフィンであり、nは正の整数、例えば1、2、3、4、5、又は6であり、Xは弱配位性アニオン配位子、例えばアルキル又はアリールカルボキシラートである。
【0046】
反応混合物に含まれる触媒は、配位子との任意の適切なロジウム金属錯体であり得る。錯体は、金属及び有機配位子を含むと特徴づけられるとはいえ、実際にそれが機能するときの活性触媒は、理論によって束縛されるものではないが、有機リン安定化金属カルボキシラートであると理解される。配位子としては、単座又は多座のトリ有機ホスフィン、トリ有機ホスファイト、トリ有機アルシン、又はトリ有機スチビンが挙げられ、ホスフィン及びホスファイトは産業上特に重要である。例えば、トリフェニルホスフィン及びトリフェニルホスファイトによって例示されるように、単純な単座ホスフィン及びホスファイトを使用することができる。しかしながら、多座配位子は、単座配位子が使用されるときとは異なり、大過剰の配位子が使用されることが多いという点で有利である。カルボン酸アニオンとしては、限定するものではないが、アリールカルボン酸アニオン、例えば3,5-ジメチル安息香酸アニオン、及びアルキルカルボン酸アニオン、例えば、ステアリン酸又はヘキサン酸又はナフテン酸アニオンが挙げられる。
【0047】
本開示のヒドロホルミル化反応媒体には、任意の適切な濃度の触媒を使用することができる。例えば、触媒金属がロジウムであるとき、及び配位子がキサントホスであるとき、液体反応媒体は、約0.01モル%~20モル%のロジウム及び約50モル%のキサントホスを含有することができる。
ロジウム前駆体の例としては、限定するものではないが、以下の任意の適切な酸化状態(例えば、(I)、(II)、又は(III))のロジウム及びその混合物が挙げられる:酸化物;無機塩、例えばフッ化ロジウム、塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム、及び硫酸ロジウム;カルボン酸のロジウム塩、例えば酢酸ロジウム;四酢酸二ロジウム、ロジウムアセチルアセトナート、イソ酪酸ロジウム(II)、2-エチルヘキサン酸ロジウム(II);ロジウムカルボニル化合物、例えばRh4(CO)12、Rh6(CO)16、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I);及び他の一般的なロジウム種、例えばクロロジカルボニルロジウム二量体、[RhCOD(OMe)]2、[Rh(CO)2(アセチルアセトナト)]等。
触媒担体を使用する場合、方法が所望の生成物まで進行するという条件で、任意の量で触媒化合物を触媒担体上に負荷することができる。例えば、触媒化合物に担体を加えた総量に基づいて、約0.01wt%超の第9族金属、例えば約0.05wt%超の第9族金属である量で担体上に触媒化合物を負荷することができる。例えば、触媒化合物と担体の総量に基づいて、約20wt%未満の第9族金属、例えば約10wt%未満の第9族金属である量で触媒化合物を担体上に負荷することができる。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、反応混合物は、オレフィンに対して約10モル%以下である触媒M[L]n(式中、Mはロジウムであり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子、例えばホスフィンであり、nは正の整数、例えば1、2、3、4、5、又は6である)の負荷を含む。少なくとも1つの実施形態では、ヒドロホルミル化反応における触媒M[L]nの負荷は、約0.0005モル%~約8モル%、例えば約0.001モル%~約4モル%、例えば0.005モル%~約2モル%、例えば約0.01モル%~約1.5モル%、例えば約0.02モル%~約1モル%、例えば約0.03モル%~約0.5モル%である。
少なくとも1つの実施形態では、適切な遷移金属錯体としてRhベース錯体を含めることができる。さらに、該遷移金属錯体を二座の配位子によって架橋させることができる。適切な二座の配位子としては、限定するものではないが、二座のリン配位子、例えばキサントホスが挙げられる。
【0049】
ホスフィン化合物
用語「ホスフィン化合物」は、式PR3(式中、各Rは、独立にヒドロカルビル基、例えばアリール基、アルキルアリール基、アルキル基、又はアリールアルキル基であり、代わりに各R基が同一である)を有するリン含有有機化合物を指す。
ホスフィンの非限定例としては、P(OMe)3、P(OPh)3、トリフェニルホスフィン、トリ(n-ブチル)ホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ペンチル)ホスフィン、トリ(n-ヘキシル)ホスフィン、トリ(n-ヘプチル)ホスフィン、トリ(n-オクチル)ホスフィン、トリ(n-ノニル)ホスフィン、トリ(n-デシル)ホスフィン、及びこれらの2種以上の任意の混合物等が挙げられる。
【0050】
用語「アルキルホスファイト」は、各Rが独立にアルコキシ基であり、代わりに各R基が同一である、ホスファイトの一部である。同様に、用語「アリールホスファイト」は、各Rが独立にアリールオキシ基であり、代わりに各R基が同一である、ホスファイトの一部である。修飾語「置換」なしで使用するときの用語「ジホスファイト」は、式R2の化合物であり、ここで、u2のとき、各Rは、独立にアルコキシ、アリールオキシ、及びアラルコキシ(aralkoxy)であり、当該用語は上記定義どおりであり、Lは、アルコキシジイル又はアリールオキシジイルである。当該用語のいずれも、修飾語「置換」と共に使用するときは、1個以上の水素原子が、独立に、-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3、又は-S(O)2NH2に置き換えられている。
さらなる実施形態では、ロジウム錯体は、反応溶媒に溶解し、強ホスフィン配位子を含有しない[RhCOD(OMe)]2錯体又はその変形である。いずれの特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、ホスフィンは、ホスファイトより良いシグマドナーであり、触媒系の所望アルデヒドへの選択性を高め得ると考えられる。
【0051】
生成物
アルケン生成物
本開示のプロセスはアルケンを生成する。アルケンは、下記式(IV):
【0052】
【0053】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり;R3及びR4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表すことができる。少なくとも1つの実施形態では、R1及びR2はそれぞれ水素である。
【0054】
含酸素化合物:アルデヒド生成物
本開示のプロセスは、アルデヒド生成物(含酸素化合物としても知られる)をも生成する。少なくとも1つの実施形態では、アルデヒド生成物は、下記式(IV):
【0055】
【0056】
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基、例えば飽和ヒドロカルビル基である)で表されるC3-C41アルデヒド生成物である。
少なくとも1つの実施形態では、R5及びR6は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である。少なくとも1つの実施形態では、R5及びR6は、独立に水素又はC1-C38アルキル、例えばC1-C20アルキル、例えばC1-C10アルキル、例えばC1-C5アルキルである。少なくとも1つの実施形態では、R5及びR6の1つ以上がC1-C38アルキル、例えばC1-C20アルキル、例えばC1-C10アルキル、例えばC1-C5アルキルである。
少なくとも1つの実施形態では、R5及びR6の1つ以上がC10-C38アルキル、例えばC20-C38アルキル、例えばC30-C38アルキルである。少なくとも1つの実施形態では、R5は水素であり、R6はC10-C38アルキル、例えばC20-C38アルキル、例えばC30-C38アルキルである。
【0057】
担体
少なくとも1つの実施形態では、本開示の方法に利用する触媒化合物を固体触媒担体上に結合又は沈着させることができる。固体触媒担体は、触媒化合物を不均一状態にする。触媒担体は、触媒の強度及び耐損耗性を高めることができる。触媒担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライトその他の結晶性多孔質アルミノケイ酸塩を含めたアルミノケイ酸塩、並びにチタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、炭素、及び架橋網状高分子樹脂、例えば官能化架橋ポリスチレン、例えば、クロロメチル官能化架橋ポリスチレンが挙げられる。触媒化合物は、例えば、含浸、イオン交換、沈着沈殿、及び蒸着等の当業者に周知のいずれの方法によっても担体上に沈着させることができる。これとは別に、1つ以上の共有化学結合を介して触媒化合物を担体に化学的に結合させることができる。例えば、触媒の配位子の1つ以上の置換基との1つ以上の共有結合によって触媒化合物を固定化することができる。
【0058】
活性化剤
本明細書では用語「共触媒」及び「活性化剤」を互換的に使用し、中性触媒化合物を触媒的に活性な触媒化合物カチオンに変換することによって上記触媒化合物のいずれか1つを活性化できる任意の化合物であるとこれらの用語を定義する。
上記錯体を合成した後、それらを任意の適切な方法で非配位性アニオン等の活性化剤と混ぜ合わせることによって触媒系を形成することができる。例えば、非配位性アニオンは、安息香酸又はヒンダードカルボン酸アニオンであり得る。例としては、アリールカルボン酸アニオン、例えば3,5-ジメチル安息香酸アニオン、及びアルキルカルボン酸アニオン、例えばステアリン酸又はヘキサン酸又はナフテン酸アニオンが挙げられる。
【0059】
ヒドロホルミル化条件
少なくとも1つの実施形態では、アルデヒドの調製方法は、反応容器内でCxアルデヒド、Cyオレフィン、及び金属触媒を接触させることを含む。ここで、xは、3~41の整数であり、yは、2~40の整数である。本方法は、Cy+1アルデヒド生成物及びCx-1アルケン生成物を得ることを含む。
ヒドロホルミル化中の反応混合物の温度は、標準的な加熱及び/又は冷却装置を用いて任意の適切な温度に維持することができる。反応温度は、約0℃~約120℃、例えば約10℃~約90℃、例えば約25℃~約75℃、例えば室温(例えば、特に断りのない限り、23℃)、場合により25℃~70℃、代わりに30℃~65℃の範囲であり得る。場合により反応温度は70℃未満である。好ましくは反応は、80℃~100℃の反応温度を維持する。反応(例えば反応混合物の撹拌及び/又は加熱)は、任意の適量の時間、例えば、反応の完了まで行なうことができる。本開示の少なくとも1つの実施形態では、反応温度は約90℃である。少なくとも1つの実施形態では、反応時間は、約5時間~約100時間、例えば約15時間~約75時間、例えば約24時間又は約96時間である。反応圧力は、150psig(1034kPa)以下であり得る。
【0060】
反応系に使用できる不活性溶媒の独自性は、それが触媒系並びに反応物質及び反応生成物と混和性であり、反応生成物及びそれからの副生物のストリッピングを容易にするように揮発性が低く、かつ、当然に、ヒドロホルミル化反応系内で化学的に不活性であるか、或いは当該系内でそれ自体不活性である誘導体を形成する限りはフレキシブルである。分子量は揮発性に関連しているので、分子量は反応溶媒の要因であり、当然に、重質留分として不活性溶媒の保持を促しながら、それから反応生成物が放散されるように、相対的に高い分子量が望ましい。
溶媒には、ヒドロホルミル化条件下で不活性ないずれの適切な有機溶媒も含まれる。溶媒としては、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、脂肪族炭化水素、アルコール、又はその混合物がある。適切な溶媒としては、THF、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ペンタン、イソヘキサン、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、フルオロベンゼン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。本開示の少なくとも1つの実施形態では、溶媒はTHFである。
これとは別に、ヒドロホルミル化は、「純粋に(neat)」、例えば反応混合物中に溶媒が存在せずに行なわれる。該実施形態では、反応混合物は、触媒、アルデヒド及びオレフィンのみを含む。アルデヒド及びオレフィンは、触媒及び生成物の希釈剤であり得る。
【0061】
少なくとも1つの実施形態では、供給材料の転化率は、約50モル%以上、例えば約60モル%以上、例えば約70モル%以上、例えば約80モル%以上、例えば約95モル%以上、例えば約99%以上である。
少なくとも1つの実施形態では、ヒドロホルミル化反応を周囲圧力(大気圧)又はその近く、例えば約28inHg(13.7psi、94.8KPa)~約31inHg(15.2psi、105KPa)、例えば約29inHg(14.2psi)~約30inHg(14.7psi)で行なうことができる。
利用する液体反応媒体又は触媒溶液は、(a)触媒錯体、(b)触媒の金属成分を錯化するための量に加えて錯体を形成する際に利用される過剰の有機配位子、(c)ヒドロホルミル化反応生成物(ヒドロホルミル化生成物アルデヒドとそれ自体の望ましくない縮合の結果として生じする副生物と共に)、(d)オレフィンの分子量によって異なる量でヒドロホルミル化される量の前記オレフィン(反応媒体中の液体オレフィンの比率は、エチレン等の低級アルケンを用いるより高分子量オレフィンを用いると一般的に大きい)、及び(e)低分子量乃至中間分子量のオレフィンの処理を伴うほとんどの系では、不活性な反応溶媒を含む。例えば、オクテンのような高分子量オレフィンを用いれば、液相中のオレフィン自体が反応溶媒として機能することができる。
【0062】
少なくとも1つの実施形態では、立体的に妨害された酸、例えば3,5-ジメチル安息香酸を用いて、安息香酸イオンのロジウム触媒への配位を減らすか又は妨げることができる。理論によって束縛されることを望むものではないが、該酸は非配位性アニオンとして機能すると考えられる。
この方法の特定の利点は、シンガスの非存在下で作動できることであり、例えば、本方法は、シンガスを反応容器に導入することを含まない。
この方法の特定の利点は、一酸化炭素の非存在下で作動できることであり、例えば、本方法は、一酸化炭素を反応容器に導入することを含まない。
この方法の特定の利点は、シンガス及び一酸化炭素の非存在下で作動できることであり、例えば、本方法は、シンガス及び一酸化炭素を反応容器に導入することを含まない。
【0063】
本発明は、下記にも関する:
1. アルデヒドの調製方法であって、下記:Cxアルデヒド、Cyオレフィン、及び金属触媒を反応容器内で接触させること(ここで、xは、3~41の整数であり、yは、2~40の整数である);及びCy+1アルデヒド生成物及びCx-1アルケン生成物を得ることを含む、方法。
2. オレフィンがαオレフィンである、パラグラフ1に記載の方法。
3. 80℃~100℃の反応温度を維持することをさらに含む、パラグラフ1又は2に記載の方法。
4. 150psig(1034kPa)以下の反応圧力を維持することをさらに含む、パラグラフ1~3のいずれか1つに記載の方法。
5. 方法が、シンガスを反応容器に導入することを含まない、パラグラフ1~4のいずれか1つに記載の方法。
6. 方法が、一酸化炭素を反応容器に導入することを含まない、パラグラフ1~5のいずれか1つに記載の方法。
7. アルケン生成物がエチレンである、パラグラフ1~6のいずれか1つに記載の方法。
8. アルデヒドが下記式(I):
【0064】
【0065】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり、R3及びR4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表される、パラグラフ1~7のいずれか1つに記載の方法。
9. R1及びR2が水素である、パラグラフ8に記載の方法。
10. R3及びR4が、独立に水素又はC1-C5アルキルである、パラグラフ8又は9に記載の方法。
11. R3及びR4がそれぞれ水素である、パラグラフ8~10のいずれか1つに記載の方法。
12. C2-C40オレフィンが下記式(II):
【0066】
【0067】
(式中、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表される、パラグラフ1~11のいずれか1つに記載の方法。
13. 金属触媒が下記式(III):
M[L]n(III)
(式中、Mは第9族金属であり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子であり、nは、1~10の整数である)で表される、パラグラフ1~12のいずれか1つに記載の方法。
14. MがRh又はCoである、パラグラフ13に記載の方法。
15. 金属触媒が、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、クロロジカルボニルロジウム二量体、クロロビス(エチレン)ロジウム二量体、HRh(CO)4、HRh(CO)PPh3、及び[RhCOD(OMe)]2、[Rh(CO)2(アセチルアセトナト)]から選択される、パラグラフ14に記載の方法。
16. 金属触媒が、Co(acac)3、HCo(CO)4、及びHRh(CO)(PPh3)3から選択される、パラグラフ14に記載の方法。
17. アルケン生成物が下記式(IV):
【0068】
【0069】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり;R3及びR4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表される、パラグラフ1~16のいずれか1つに記載の方法。
18. 式(IV)のR1及びR2が水素である、パラグラフ17に記載の方法。
19. アルデヒド生成物が下記式(V):
【0070】
【0071】
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表される、パラグラフ1~18のいずれか1つに記載の方法。
20. R5及びR6の少なくとも1つがC1-C38アルキルである、パラグラフ19に記載の方法。
21. R5及びR6の少なくとも1つがC1-C10アルキルである、パラグラフ20に記載の方法。
22. R5及びR6の少なくとも1つがC1-C5アルキルである、パラグラフ21に記載の方法。
23. R5及びR6の少なくとも1つがC10-C38アルキルである、パラグラフ19に記載の方法。
24. R5及びR6の少なくとも1つがC20-C38アルキルである、パラグラフ23に記載の方法。
25. R5及びR6の少なくとも1つがC30-C38アルキルである、パラグラフ24に記載の方法。
26. R5が水素であり、R6がC10-C38アルキルである、パラグラフ19に記載の方法。
27. R6がC30-C38アルキルである、パラグラフ26に記載の方法。
28. アルデヒドがプロパナールであり、アルデヒド生成物がヘプタナールである、パラグラフ1に記載の方法。
29. アルデヒドがプロパナールであり、アルデヒド生成物がノルボルナールである、パラグラフ1に記載の方法。
30. アルデヒドがプロパナールであり、アルデヒド生成物がトリデカナールである、パラグラフ1に記載の方法。
31. アルデヒドの調製方法であって、下記:
1) 下記:
a) 下記式(I):
【0072】
【0073】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり、R3及びR4は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表されるCxアルデヒド(xは、3~41の整数である);
b) 下記式(II):
【0074】
【0075】
(式中、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表されるCyαオレフィン(yは、2~40の整数である);及び
c) 式(III):M[L]n (III)
(式中、Mは、第9族金属、好ましくはRh又はCoであり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子であり、nは、1~10の整数である)で表される金属触媒
を反応容器内で80℃~100℃の反応温度及び150psig(1034kPa)以下の反応圧力で接触させること;及び
2) 下記:
i) 下記式(V):
【0076】
【0077】
(式中、R5及びR6は、それぞれ前記定義どおりである)で表されるCy+1アルデヒド生成物;及び
ii)下記式(IV):
【0078】
【0079】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ前記定義どおりである)で表されるCx-1アルケン生成物
を得ることを含み、
場合により、シンガス及び又は一酸化炭素を反応容器に導入することを含まない、方法。
32. アルケン生成物がエチレンである、パラグラフ31に記載の方法。
33. R1及びR2が、それぞれ水素であり、R3及びR4が、それぞれ独立に水素又はC1-C5アルキルであり、R5及びR6が、それぞれC1-C5アルキルであり、MがRh又はCoである、パラグラフ31に記載の方法。
35. 金属触媒が、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、クロロジカルボニルロジウム二量体、クロロビス(エチレン)ロジウム二量体、HRh(CO)4、HRh(CO)PPh3、[RhCOD(OMe)]2、[Rh(CO)2(アセチルアセトナト)]、Co(acac)3、HCo(CO)4、及びHRh(CO)(PPh3)3から選択される、パラグラフ31に記載の方法。
35. アルデヒドがプロパナールであり、アルデヒド生成物がヘプタナール、ノルボルナール、トリデカナール、又はその混合物である、パラグラフ31に記載の方法。
【実施例】
【0080】
実験
全ての反応は、不活性雰囲気下で行なった。無水溶媒は、商業的供給源から購入し、使用前に脱気し、モレキュラーシーブ上で乾燥させた。重水素化溶媒は、商業的供給源から購入し、使用前に脱気し、モレキュラーシーブ上で乾燥させた。ノルボルネン、プロパナール、ヘプタナール、3,5-ジメチル安息香酸、キサントホス、及び[RhCOD(OMe)]2は、商業的供給源から購入し、受け取ったまま使用した。ヘキセン、オクテン、及びドデセンは、精油所原料から得、脱気し、Na/Kで乾燥させた。
全ての1H NMRデータは、Bruker AVANCE III 400 MHz分光器でTopspin(商標)3.0ソフトウェアを実行しながら室温(RT)にて全ての材料について重水素化溶媒を用いて収集した。
GC-MS分析:ヒドロホルミル化生成物の収率及び触媒回転数は、Agilent(商標)6890 GC分光器で記録されたデータから後述するように計算した。転化率は、1H NMR又はGC-MSを用いて生成物面積/(出発物質面積+生成物面積)の相対積分によって決定した。
【0081】
全ての反応は、不活性雰囲気下で90℃にて溶媒としてTHFを用いて行なった。実験的検証は、ドナーアルデヒドとしてのプロパナールを種々のアクセプターオレフィン、例えば1-ヘキセン、並びに市販のC6(直鎖)、C8(混合)及びC12(直鎖)供給原料と組み合わせて用いて得た。変換値を高めようと努力して比較的高い触媒負荷と共に20倍過剰のプロパナールを使用した。プロパナールは比較的安価であり、移動ヒドロホルミル化プロセス中に生じるエチレン副生物は揮発性なので、容易に分離できる。さらに、エチレンガスを発生する能力は、移動ヒドロホルミル化反応を高転化率に至らせる代替方法を提供する。工業プロセスでは、気相中の連続的エチレン除去を利用して変換値を高めることができる。表1は、上記条件下で得られた結果を示す。実験は、不活性雰囲気下で90℃にて溶媒としてTHFを用いて行なった。触媒負荷は[RhCOD(OMe)]2に基づいた。あらゆる当量の[RhCOD(OMe)]2に対して2当量の3,5-ジメチル安息香酸及びキサントホスを用いた。全てのモル%値は、アクセプターオレフィンの理論分子量に基づいて計算した。エントリー5は、供給原料がC8異性体の多くの錯体混合物を含有した条件に相当する。ホルミル源としてプロパナールを用いる移動ヒドロホルミル化の決定的証拠は、直鎖C6(エントリー3)及びC12オレフィン(エントリー6)に対して得られた。大量の内部オレフィンを含有するC8リッチC7~C9供給原料については変換値が低かった。種々のC9含酸素化合物の存在の痕跡証拠はGC-MS分析(エントリー5)で検出された。理論によって束縛されることを望むものではないが、高度の分岐内部オレフィンが、Rh-キサントホス系を用いる移動ヒドロホルミル化の能力又は速度を妨害すると考えられる。1,5-シクロオクタジエン(COD)前駆体は、異性化を受けて1,3及び1,4-シクロオクタジエンを与えることが分かった。プロパナールを利用する全ての実験において、エチレンの濃度(GC積分に基づく)は、所望の移動OXO生成物より高いことが分かった。この知見は、競合反応経路としてのシンガスへの脱カルボニル化と一致する。プロセスは、シンガスの低分圧の存在から利益を得ることができる。
【0082】
【0083】
【0084】
全体的に見て、本開示のアルデヒド、触媒、触媒系、及びプロセスは、オレフィンから含酸素化合物を与えることができる。ヒドロホルミル化は、オレフィンから含酸素化合物を形成することを含む移動ヒドロホルミル化であり得る。これは、シンガスに代わるホルミル源としてのアルデヒドのヒドロホルミル化反応を含む。本移動ヒドロホルミル化プロセスは、低温及び周囲圧力又はその近くで高級オレフィンの高級アルデヒドへの変換を果たし、この結果として例えば供給原料の二重結合若しくは骨格異性化によるか、又は形成されたアルデヒド及びアルコールのさらなる変換(すなわち、縮合生成物の形成;脱カルボニル化;さらなる酸化)による副生物の形成を少なくすることができる。歪みオレフィン(例えば、ノルボルネン)の代わりにガス状オレフィン生成物(例えば、エチレン)を使用すると、移動ヒドロホルミル化反応の平衡制御を改善する。本開示は、高級オレフィンに対して移動ヒドロホルミル化を用いて、例えば、プロピオンアルデヒド(プロパナール)を供給原料として利用すると、含酸素化合物の形成をもたらし得ることを実証する。
【0085】
特別の定めのない限り、「から本質的になる」及び「から本質的に成ること」という表現は、他のステップ、要素、又は材料の存在を、具体的に本明細書で述べたかどうかに関わりなく、該ステップ、要素、又は材料が、本開示の基本的及び新規特徴に影響を与えない限り排除せず、さらに、それらは、使用する要素及び材料に一般的に付随する不純物及び変動を排除しない。
簡単にするため、本明細書では特定範囲のみを明示的に開示している。しかしながら、任意の下限からの範囲を任意の上限と組み合わせて、明示的に列挙されていない範囲を列挙し得るのみならず、任意の下限からの範囲を任意の他の下限と組み合わせて、明示的に列挙されていない範囲を列挙することができ、同様に、任意の上限からの範囲を任意の他の上限と組み合わせて、明示的に列挙されていない範囲を列挙し得る。さらに、たとえ明示的に列挙されていなくても、ある範囲の終点間のあらゆる点又は個々の値はその範囲内に含まれる。従って、あらゆる点又は個々の値は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために、任意の他の点若しくは個々の値又は任意の他の下限若しくは上限と組み合わせてそれ自体の下限又は上限として役立ち得る。
【0086】
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順を含め、このテキストと矛盾しない程度まで、参照によって本明細書に組み込まれる。前述の一般的説明及び具体的実施形態から明らかなように、本開示の形態を例示かつ説明したが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の修正を加えることができる。従って、本開示は、それらによって限定されることを意図しない。同様に、用語「comprising」は、用語「including」と同義とみなされる。同様に移行句「comprising」が組成物、要素又は要素群に先行するときはいつでも、我々は、組成物、要素又は要素群の列挙に先行する移行句「から本質的に成る」、「から成る」、「から成る群より選択される」、又は「である」を伴う同一の組成物又は要素群をも企図し、逆もまた同様であることを理解すべきである。
本開示をいくつかの実施形態及び実施例に関して説明したが、本開示の利益を得る当業者は、本開示の範囲及び精神を逸脱しない他の実施形態を考案できることを認識するであろう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕アルデヒドの調製方法であって、下記:
C
x
アルデヒド、C
y
オレフィン、及び金属触媒を反応容器内で接触させること(ここで、xは、3~41の整数であり、yは、2~40の整数である);及び
C
y+1
アルデヒド生成物及びC
x-1
アルケン生成物を得ること
を含む、前記方法。
〔2〕前記オレフィンがαオレフィンである、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕80℃~100℃の反応温度を維持することをさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕150psig(1034kPa)以下の反応圧力を維持することをさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕前記方法が、シンガスを前記反応容器に導入することを含まない、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕前記方法が、一酸化炭素を前記反応容器に導入することを含まない、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕前記アルケン生成物がエチレンである、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕前記アルデヒドが下記式(I):
【化1】
(式中、R
1
及びR
2
は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり、R
3
及びR
4
は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表される、請求1に記載の方法。
〔9〕R
1
及びR
2
が水素である、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕R
3
及びR
4
が、独立に水素又はC
1
-C
5
アルキルである、前記〔8〕に記載の方法。
〔11〕R
3
及びR
4
がそれぞれ水素である、前記〔8〕に記載の方法。
〔12〕前記C
2
-C
40
オレフィンが下記式(II):
【化2】
(式中、R
5
、R
6
、R
7
、及びR
8
は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表される、前記〔1〕に記載の方法。
〔13〕前記金属触媒が下記式(III):
M[L]
n
(III)
(式中、Mは第9族金属であり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子であり、nは、1~10の整数である)で表される、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕MがRh又はCoである、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記金属触媒が、Rh
4
(CO)
12
、Rh
6
(CO)
16
、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、クロロジカルボニルロジウム二量体、クロロビス(エチレン)ロジウム二量体、HRh(CO)
4
、HRh(CO)PPh
3
、[RhCOD(OMe)]
2
、[Rh(CO)
2
(アセチルアセトナト)]から選択される、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕前記金属触媒が、Co(acac)
3
、HCo(CO)
4
、及びHRh(CO)(PPh
3
)
3
から選択される、前記〔14〕に記載の方法。
〔17〕前記アルケン生成物が下記式(IV):
【化3】
(式中、R
1
及びR
2
は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり;R
3
及びR
4
は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表される、前記〔1〕に記載の方法。
〔18〕式(IV)のR
1
及びR
2
が水素である、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記アルデヒド生成物が下記式(V):
【化4】
(式中、R
5
及びR
6
は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表される、前記〔1〕に記載の方法。
〔20〕R
5
及びR
6
の少なくとも1つがC
1
-C
38
アルキルである、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕R
5
及びR
6
の少なくとも1つがC
1
-C
10
アルキルである、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕R
5
及びR
6
の少なくとも1つがC
1
-C
5
アルキルである、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕R
5
及びR
6
の少なくとも1つがC
10
-C
38
アルキルである、前記〔19〕に記載の方法。
〔24〕R
5
及びR
6
の少なくとも1つがC
20
-C
38
アルキルである、前記〔23〕に記載の方法。
〔25〕R
5
及びR
6
の少なくとも1つがC
30
-C
38
アルキルである、前記〔24〕に記載の方法。
〔26〕R
5
が水素であり、R
6
がC
10
-C
38
アルキルである、前記〔19〕に記載の方法。
〔27〕R
6
がC
30
-C
38
アルキルである、前記〔26〕に記載の方法。
〔28〕前記アルデヒドがプロパナールであり、前記アルデヒド生成物がヘプタナールである、前記〔1〕に記載の方法。
〔29〕前記アルデヒドがプロパナールであり、前記アルデヒド生成物がノルボルナールである、前記〔1〕に記載の方法。
〔30〕前記アルデヒドがプロパナールであり、前記アルデヒド生成物がトリデカナールである、前記〔1〕に記載の方法。
〔31〕アルデヒドの調製方法であって、下記:
1) 下記:
a) 下記式(I):
【化5】
(式中、R
1
及びR
2
は、それぞれ独立に水素、アルコキシド、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルであり、R
3
及びR
4
は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビルである)で表されるC
x
アルデヒド(xは、3~41の整数である);
b) 下記式(II):
【化6】
(式中、R
5
、R
6
、R
7
、及びR
8
は、それぞれ独立に水素、又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基である)で表されるC
y
αオレフィン(yは、2~40の整数である);及び
c) 式(III):M[L]
n
(III)
(式中、Mは、第9族金属、好ましくはRh又はCoであり、Lは、第9族金属を配位させることができる任意の適切な配位子であり、nは、1~10の整数である)で表される金属触媒
を反応容器内で80℃~100℃の反応温度及び150psig(1034kPa)以下の反応圧力で接触させること;及び
2) 下記:
i) 下記式(V):
【化7】
(式中、R
5
及びR
6
は、それぞれ前記定義どおりである)で表されるC
y+1
アルデヒド生成物;及び
ii)下記式(IV):
【化8】
(式中、R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、それぞれ前記定義どおりである)で表されるC
x-1
アルケン生成物
を得ることを含む、前記方法。
〔32〕前記方法が、シンガス及び又は一酸化炭素を前記反応容器に導入することを含まない、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記アルケン生成物がエチレンである、前記〔31〕に記載の方法。
〔34〕R
1
及びR
2
が、それぞれ水素であり、R
3
及びR
4
が、それぞれ独立に水素又はC
1
-C
5
アルキルであり、R
5
及びR
6
が、それぞれC
1
-C
5
アルキルであり、MがRh又はCoである、前記〔31〕に記載の方法。
〔35〕前記金属触媒が、Rh
4
(CO)
12
、Rh
6
(CO)
16
、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、クロロジカルボニルロジウム二量体、クロロビス(エチレン)ロジウム二量体、HRh(CO)
4
、HRh(CO)PPh
3
、[RhCOD(OMe)]
2
、[Rh(CO)
2
(アセチルアセトナト)]、Co(acac)
3
、HCo(CO)
4
、及びHRh(CO)(PPh
3
)
3
から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔36〕前記アルデヒドがプロパナールであり、前記アルデヒド生成物がヘプタナール、ノルボルナール、トリデカナール、又はその混合物である、前記〔31〕に記載の方法。