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▶ エジョット ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】接続要素、部品およびその接続方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20240605BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20240605BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
B23K20/12 G
F16B5/04 Z
F16B5/00 C
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021520465
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019066532
(87)【国際公開番号】W WO2019243607
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】102018114982.4
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520503142
【氏名又は名称】エジョット ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】EJOT GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルクマイスター、 マルコ
(72)【発明者】
【氏名】デュビエル、 ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブランダウ-ウォルフ、 アンジェリーク
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-526666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332215(US,A1)
【文献】特開2002-174219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0243960(US,A1)
【文献】特表2010-509072(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106112543(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102006053800(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0096295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
F16B 5/00 - 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒形シャフト(12,42,76)と、前記シャフト(12,42,76)を一方向に回転駆動することができるドライブ(16)とを有し、前記中空円筒形シャフト(12,42,76)は、少なくとも1つの自由端を有し、前記ドライブ(16,48)は、前記自由端の反対側に配置され、前記中空円筒形シャフト(12,42,76)内には、中空空間が形成されている、ベース層(52,72)の部品をその上に配置された最上層(54,74)の部品に接続する接続要素(10,30,40,58,78)であって、
前記中空円筒形シャフト(12)の円周方向に作用するドライバ構造(22,32)が、前記中空空間に配置されており、
前記ドライバ構造は、要素中心軸(M)に平行または側面(20)に投影された要素中心軸(M)に対して最大20°の角度偏差で、直線的に設定方向に側面(20)上を延びるように配置され、および/または、前記ドライブ側端に配置されており、
前記ドライバ構造(22,32)は、前記シャフト(12)によって前記最上層(54,74)から切り取ったスラグを前記シャフト(12)と一緒に回転させるものであり、
前記シャフト(12,42,76)に接続される肩部(18,44)を備え、
前記肩部(18)は、最小径が少なくとも中空円筒形シャフト(12)の内径に対応する中央の凹部(24)を有する環状肩部(18)として設計されており、
前記中央の凹部(24)は、その直径が前記シャフト(12)の前記自由端から離れる方向に増加するように設計されている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項2】
請求項1に記載の接続要素において、
前記肩部(18,44)は、前記シャフトの端部を形成するヘッド(46)の一部である
ことを特徴とする接続要素。
【請求項3】
請求項1または2に記載の接続要素において、
前記ドライブ(16,48)は、ヘッド(46)および/または前記肩部(18)に形成されている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の接続要素において、
前記ドライブ側端に配置された前記ドライバ構造は、ヘッド(46)の下側に形成されている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項5】
求項1乃至4の何れか1項に記載の接続要素において、
前記要素中心軸に平行に直線的に前記側面上を延びる、または、前記側面に投影された前記要素中心軸に対して20°の角度偏差で直線的に前記側面上を延びる前記ドライバ構造は、隆起部分(22)の形で設けられている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項6】
求項1乃至5の何れか1項に記載の接続要素において、
前記要素中心軸に平行に直線的に前記側面上を延びる、または、前記側面に投影された前記要素中心軸に対して20°の角度偏差で直線的に前記側面上を延びる前記ドライバ構造は、溝(32)の形で設けられている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項7】
求項1乃至6の何れか1項に記載の接続要素において、
特に面取り(26)の形の刃先を前記自由端に備えている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項8】
求項1乃至7の何れか1項に記載の接続要素において、
鉄金属、とりわけ鋼で形成されている
ことを特徴とする接続要素。
【請求項9】
ベース層(52,72)とその上に配置された最上層(54,74)とを含む2つの部品層(52,54,72,74)を、中空円筒形シャフト(12,42,76)を有する接続要素(10,30,40,58,78)で接続する部品の接続方法であって、
続要素(10,30,40,58,78)が、回転および軸力の下、前記最上層(54,74)に打ち込まれ、
前記シャフトの内部によって前記最上層(54,74)からスラグ(62,82)が切りだされて前記接続要素の回転によって同伴され、
回転および接触圧力の下、前記スラグ(62,82)が前記ベース層(52,72)に溶接され、
前記接続要素(10,30,40,58,78)の少なくとも一部が、前記ベース層(52,72)に押し込まれる
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項10】
請求項9に記載の部品の接続方法において、
前記スラグ(62,82)が所定位置に溶接されるまで前記接続要素(10,30,40,58,78)が駆動される速度は、少なくとも2000rpmである
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項11】
請求項10に記載の部品の接続方法において、
前記接続要素(10,30,40,58,78)が前記ベース層(52,72)の表面に到達するまで前記スラグ(62,82)が切られるときに前記接続要素(10,30,40,58,78)の変形を確実に防止するように、前記接続要素(10,30,40,58,78)が切断のために適切な速度と軸力で適用される第1工程が実行される
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項12】
請求項11に記載の部品の接続方法において、
前記スラグ(62,82)を回転し続けながら溶接するための軸力を前記スラグ(62,82)に加えることによって、前記切り出されたスラグ(62,82)が前記ベース層(52,72)に溶接される第2工程が実行され、
前記溶接するための工具によって加えられる前記軸力は、切断するために加えられる前記軸力と比べて増大している
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項13】
請求項12に記載の部品の接続方法において、
前記接続要素(10,30,40,58,78)は、その挿入方向と反対の端部で前記中空円筒形シャフト(12,42,76)を閉じるヘッドを有し、
前記接続要素の前記ヘッドは、溶接するための軸力を前記スラグ(62,82)に加える
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項14】
請求項12に記載の部品の接続方法において、
前記接続要素(10,30,40,58,78)は、少なくとも前記中空円筒形シャフト(12,42,76)の内面の上方で挿入方向に対して開いており、
前記接触圧力は、前記接続要素(10,30,40,58,78)に前記接触圧力を加える設定ツールによって前記スラグ(62,82)に加えられる
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れか1項に記載の部品の接続方法において、
前記ベース層(52,72)および/または前記最上層(54,74)に対して前記軸方向に確実な接続を生成するために、前記接続要素(10,30,40,58,78)および前記スラグ(62,82)に作用する軸前記第2工程における軸力と比較して増大し、速度は減速する第3工程が実行される
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項16】
請求項15に記載の部品の接続方法において、
前記接続要素(10,30,40,58,78)は、少なくとも前記中空円筒形シャフト(12,42,76)の内面の上方で挿入方向に対して開いており、
前記接触圧力は、前記接続要素(10,30,40,58,78)に前記接触圧力を加える設定ツールによって前記スラグ(62,82)に加えられ、
挿入方向の反対側に位置する前記スラグ(62,82)の端部は、フレア状になる
ことを特徴とする部品の接続方法。
【請求項17】
ベース層(52,72)およびその上に配置された少なくとも1つの最上層(54,74)と、中空円筒形シャフト(12,42,76)および前記シャフト(12,42,76)を回転方向に駆動するドライブを有する接続要素(10,30,40,58,78)とを備え、前記中空円筒形シャフト(12,42,76)は少なくとも1つの自由端を有し、前記ドライブは前記自由端の反対側の端部に配置され、前記中空円筒形シャフト(12,42,76)によって中空空間が形成され、前記中空円筒形シャフト(12,42,76)の一部は前記ベース層(52,72)によって完全に囲まれており、前記中空円筒形シャフト(12,42,76)の内部によって前記最上層(54,74)からスラグ(61,82)が切り出される、前記接続要素(10,30,40,58,78)で接続された部品であって、
前記中空空間には、前記ベース層と前記スラグ(61,82)との間に材料接続が存在する
ことを特徴とする部品。
【請求項18】
請求項17に記載の部品において、
前記中空円筒形シャフトの円周方向に作用するドライバ構造が、前記中空空間に配置され、
前記ドライバ構造は、前記スラグの材料によって囲まれている
ことを特徴とする部品。
【請求項19】
請求項17または18に記載の部品において、
軸方向に作用する確実な接続は、前記最上層(54,74)から突出する前記スラグ(62,82)の半径方向に変位した材料が前記最上層(54,74)および/または前記接続要素(10,30,40,58,78)上にカラーを形成することによって生成される
ことを特徴とする部品。
【請求項20】
請求項17または18に記載の部品において、
軸方向に作用する確実な接続は、前記接続要素(10,30,40,58,78)と前記最上層(54,74)との確実な適合、および前記ベース層の前記接続要素(10,30,40,58,78)の確実な適合によって生成される
ことを特徴とする部品。
【請求項21】
請求項17乃至20の何れか1項に記載の部品において、
前記ベース層(52,72)との確実な接続は、挿入方向に延びる前記接続要素(10,30,40,58,78)の前記自由端をフレア加工することによって生成される
ことを特徴とする部品。
【請求項22】
請求項17乃至21の何れか1項に記載の部品において、
前記接続要素(10,30,40,58,78)は、前記ベース層(52,72)および前記最上層(54,74)よりも高い強度を有している
ことを特徴とする部品。
【請求項23】
請求項17乃至22の何れか1項に記載の部品において、
前記ベース層および前記最上層(54,74)は非鉄金属で作られ、前記接続要素は鋼または非鉄金属で作られている
ことを特徴とする部品。
【請求項24】
請求項17乃至22の何れか1項に記載の部品において、
前記ベース層および前記最上層(54,74)は熱可塑性材料で作られ、前記接続要素はプラスチック材料、鋼または非鉄金属で作られている
ことを特徴とする部品。
【請求項25】
請求項17乃至24の何れか1項に記載の部品において、
前記接続要素は、請求項1乃至8の何れか1項に記載された形式の接続要素である
ことを特徴とする部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分で特定された接続要素、請求項12の前段部分で特定された部品接続の生産方法および請求項21の前段部分で特定された部品接続に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの重ねられた部品層を接続するために用いられる接続要素は、従来技術で知られている。これらの接続要素は、半管状のセルフピアスリベットとしても知られている。特許文献1は、回転駆動されるような半管状のセルフピアスリベットを開示しており、その回転により、リベットとベース層との間の接触領域が加熱され、リベットがベース層を貫通しやすくなる。さらに、リベット内に保持されたスラグの軸方向の緩みを防ぐために、接続要素の中空空間に保持構造が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0332215号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、重ねられた部品層のせん断強度を高める部品接続を生産するための接続要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それ自体は知られている方法で、接続要素は、シャフトと、前記シャフトを一方向に回転駆動することができるドライブとを有し、中空円筒形の前記シャフトは、少なくとも1つの自由端を有し、前記ドライブは、前記自由端の反対側に配置されている。前記中空円筒形シャフト内には、中空空間が形成されている。
【0006】
本発明によれば、前記中空円筒形シャフトの円周方向に作用するドライバ構造が、前記中空空間に配置されている。側面では、これらのドライバ構造は、要素軸に平行に直線的に延びるか、側面に投影された要素軸に対して20°以下の角度偏差で直線的に延びており、および/または前記ドライバ構造はドライブ側端に配置されている。
【0007】
ドライバ構造は、中空円筒形シャフトによって部品接続の最上層からスラグ片を切り取り、シャフトと一緒にスラグを回転させるために使用される。これにより、スラグを接続要素と一緒に回転させると、スラグをベース層に溶接することができる。ベース層に溶接されたスラグは最上層内に延びているため、せん断方向に明確な接続が生成される。これにより、ベース層と最上層との間のせん断強度が著しく増大する。
【0008】
好ましくは、接続要素は、シャフトに接続される肩部を有する。これにより、前述の確実な接続に加えて、最上層と肩部との間に接続要素の縦軸に沿った確実な接続も生成される。これにより、横方向だけでなく縦方向にも2つの部品が強力に接続され、これは、特に、スラグの溶接後のリベット締め工程でシャフトがベース層でフレア状になっている場合に顕著である。
【0009】
第1の実施形態では、肩部は、シャフトを閉じるヘッドの一部であり得る。これは、特に回転可能な半管状のセルフピアスリベットに似たシンプルなデザインである。
【0010】
あるいは、肩部は、その最小径が少なくとも中空円筒形シャフトの内径に対応する中央の凹部を有する環状肩部の形状に設計することもできる。結果として、スラグ材料が中空円筒形シャフトを上方に通過することを可能にしながら、環状カラーと最上層との間に確実な接続を生成することができる。その中で上昇した材料は、その後、ヘッドを形成するために再利用することができる。したがって、概して言えば、部品接続に入る材料の量は少なく、その結果、全体の取り付け高さが低くなる。
【0011】
中央の凹部は、その直径がシャフトの自由端から離れる方向に増加するように設計されることが好ましい。これにより、スラグの材料を収容するためのより大きな容積が生成され、そのため、軸方向の力が作用したときに最上層の方向により容易に押すことが可能な幾何学的形状に肩部を生成することができる。
【0012】
好ましくは、ドライブは、ヘッドおよび/または肩部に形成される。これにより、特に回転運動を効率的に伝達することができる。
【0013】
別の好ましい実施形態によれば、ドライブ側端に配置されたドライバ構造は、ヘッドの下側に形成されている。
【0014】
特に有利な方法で、要素の中心軸に平行に直線的に側面上を延びる、または、側面に投影された要素の中心軸に対して20°の角度偏差で直線的に側面上を延びるドライバ構造は、隆起した設計である。これには、隆起した構造がスラグの壁に押し込みやすく、そのため、信頼性の高いスラグの回転同調が保証されるという利点がある。隆起した設計のドライバ構造を断面で見た場合、半径方向にさらに内側にある平坦は、半径方向にさらに外側にある平坦よりも小さい領域である。
【0015】
隆起したドライバ構造に加えて、またはその代わりに、要素の中心軸に平行に直線的に側面に延びる、または、側面に投影された要素の中心軸に対して20°の角度偏差で側面に延びるドライバ構造は、溝の形で設計することができる。
【0016】
別の好ましい実施形態によれば、特に、面取りの形の刃先を自由端に備えることができる。これにより、一方では最上層からスラグを切り出すことが容易になり、他方では接続要素がベース層に浸透しやすくなり、その層で自由端はフレア加工するために変形工程にかけられる。
【0017】
特に、接続要素は、鉄金属、とりわけ鋼で形成されている。
【0018】
本発明による接続要素の全長は、中空円筒形シャフトの外径の2.5倍未満であり、特に10mm未満であることが好ましい。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、それは、ベース層とその上に配置された最上層とを含む2つの部品層間の部品接続の生産方法に関する。この方法では、中空円筒形シャフトを有する接続要素に軸力が作用して、要素を回転させて最上層に打ち込む。シャフトの内部は、最上層からスラグを切り取り、スラグは、回転するときに接続要素内に同伴される。回転するときに下向きの力がスラグに作用し、スラグがベース層に溶接され、その後、接続要素の少なくとも一部がベース層に押し込まれる。
【0020】
好ましくは、スラグが溶接されるまで接続要素が駆動される速度は、少なくとも2000rpmである。
【0021】
この目的のために、接続要素は、ドライバ構造の有無にかかわらず、半中空シャフトまたは中空シャフトを有することができる。
【0022】
本発明による生産方法のさらなる開発において、接続要素を、特に5000rpmを超える高速で、特に3kN未満の軸力で、シャフト上に配置する、少なくとも第1工程を含むことができる。これにより、接続要素がベース層の表面に到達するまでスラグが切り取られるときに、接続要素の変形を確実に防ぐことができる。
【0023】
本発明によれば、スラグが回転し続けるときにスラグに軸方向の下向きの力を加えることによって切り出しスラグをベース層に溶接し、同時に、工具によって加えられる軸力を初期力と比較して増大させる、第2工程をさらに実行することができる。この力は、6kNを超えることが好ましい。速度は、最初の段階と同じにする、または、スラグと下部の部品層との間の滑りを大幅に防ぐために減速することができる。
【0024】
第2工程は、初期位置から開始した接続要素が、軸方向に最上層の厚さを通過したときに1回開始することができる。
【0025】
押圧力は、その駆動方向と反対の中空円筒形シャフトを閉じるヘッドを有する接続要素に加えることができ、そこから、この力は、接続要素のヘッドを介してスラグに加えられる。
【0026】
本発明によれば、接続要素はさらに、少なくとも中空円筒形シャフトの中空空間の上方で駆動方向に対して開いており、押圧力は、接続要素に押圧力を加える設定ツールによってスラグに直接加えられる。
【0027】
さらに、本発明によれば、第3工程を実行することができる。第3工程は、第2工程に続いて、または第1工程の直後に実行することができる。この工程では、接続要素およびスラグは、特に8kNを超える軸力を受け、この軸力は、第2工程の摩擦軸方向の力と比較して増加し、速度は特にゼロまで減速する。これにより、接続要素をベース層および/または最上層に対して軸方向に確実に接続することができる。好ましくは、第2工程が完了し、第3工程は、ヘッドがトップボードと接触する直前に、特にヘッドの下側が、最上層から1/10mmから5/10mmの間隔を置いているときに開始される。したがって、部品層の既知の厚さおよび接続要素の寸法に基づいて、相対移動距離を事前に計算することができる。第3段階は、好ましくは、0.1秒から0.5秒の間である特定の期間の後に完了する。
【0028】
特に第1および第2工程において、軸力および速度は、可能な限り一定に維持することを目的として調整される。同様の調整が、第3工程で実行される。このようなアプローチにより、接続要素が軸力および回転の下で部品接続を貫通する。
【0029】
接続要素が少なくとも中空円筒形シャフトの中空空間の上方で挿入方向に対して開いていて、接触圧力を接続要素に加える設定ツールによって接触圧力がスラグに直接加えられる場合、スラグを挿入方向と反対の端でフレア加工させる。このようにして、スラグと最上層との間に確実な接続を生成することができる。この場合、スラグは、間接的に、すなわち接続要素を介して、最上層に確実に接続するか、または直接的に最上層に確実に接続することができる。
【0030】
本発明による方法は、好ましくは、マグネシウム合金の少なくとも1つの層および/またはアルミニウム合金の少なくとも1つの層、特にAl5xxx、Al6xxxまたはAl7xxxを含む部品接続を生産するために使用される。この目的のために、第1工程では、約2kNの軸力で約8000rpmの速度が設定され、第2工程では、約8kNの軸力で約5000rpmの速度が設定される。第3工程では、軸力が約9kNに調整され、速度がゼロに調整される。この配置では、接続要素は鋼であることが好ましい。この文脈での「約」とは、プラスマイナス20%の偏差を意味する。
【0031】
さらに本発明は、ベース層およびその上に配置された少なくとも1つの最上層と、中空円筒形シャフトおよびシャフトを回転方向に駆動することができるドライブを有する接続要素とを含む部品接続に関する。中空円筒シャフトは自由端を有しており、ドライブはシャフトの自由端の反対側の端部に配置されている。中空円筒形シャフトによって中空空間が形成される。
【0032】
シャフトの自由端にある中空円筒形シャフトの一部は、ベース層によって完全に囲まれており、中空円筒形シャフトの内部は、最上層から切り出されたスラグを収容している。
【0033】
接続要素の中空空間には、ベース層とスラグとの間に材料接続が存在する。
【0034】
好ましくは、中空円筒形シャフトの円周方向に作用するドライバ構造は、中空空間に配置され、そのドライバ構造は、スラグの材料によって囲まれ、さらに、ベース層とスラグとの間に材料接続が存在する。
【0035】
好ましくは、部品接続は、最上層を越えて軸方向に突出するスラグの半径方向に変位した材料を、最上層および/または接続要素への確実な接続を提供するカラーに成形することによって作成される軸方向に作用する確実な接続を含むことができる。
【0036】
別の有利な実施形態によれば、軸方向に作用する確実な接続は、接続要素と最上層との確実な適合、およびベース層の接続要素の確実な適合によって達成することができる。
【0037】
特に、ベース層への確実な接続は、挿入方向に面する接続要素の自由端をフレア加工することによって達成される。
【0038】
接続要素は、ベース層および最上層よりも高い強度を有している。これにより、スラグは確実に最上層から切り出され、接続要素はベース層を貫通することができる。
【0039】
原則として、ベース層および最上層は非鉄金属で作ることができ、接続要素は鋼または非鉄金属で作ることができる。
【0040】
あるいは、ベース層および最上層、または最上層のみは熱可塑性材料で作ることができ、接続要素はプラスチック材料、鋼または非鉄金属で作ることができる。
【0041】
特に有利な実施形態において、部品接続の接続要素は、上記の設計のものである。
【0042】
本発明の追加の利点、特徴および可能な用途は、図面に示されている実施形態を参照する以下の説明から収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明による接続要素の側面図である。
図1A図1Aは、図1に見られる本発明による接続要素の断面図である。
図1B図1Bは、図1の接続要素のシャフトを横断する断面図である。
図2図2は、カラーを備えた図1の接続要素を上から見た斜視図である。
図3図3は、本発明による接続要素の別の実施形態の側面図である。
図3A図3Aは、図3に見られる接続要素の断面図である。
図3B図3Bは、図3の接続要素のシャフトを横断する断面図である。
図4図4は、本発明による別の接続要素の側面図である。
図4A図4Aは、図4に見られる接続要素の断面図である。
図4B図4Bは、図4の接続要素を横断する断面図である。
図5A図5Aは、図1に示す本発明による接続要素を用いた部品接続の生産における第1工程の図である。
図5B図5Bは、図1に示す本発明による接続要素を用いた部品接続の生産における第2工程の図である。
図5C図5Cは、図1に示す本発明による接続要素を用いた部品接続の生産における第3工程の図である。
図6A図6Aは、図4に示す本発明による接続要素を用いた部品接続の生産における第1工程の図である。
図6B図6Bは、図4に示す本発明による接続要素を用いた部品接続の生産における第2工程の図である。
図6C図6Cは、図4に示す本発明による接続要素を用いた部品接続の生産における第3工程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1の側面図は、ベース層をその上に配置された最上層に接続するための本発明による接続要素10を示す。接続要素10は、自由端14と、自由端14の反対側の端部に設けられたドライブ16とを有する中空円筒形シャフト12を含む。ドライブ16は、外付けドライブとして設計されており、対応する確実なロック構造を有する。以下の図を参照しながら、接続要素10についてより詳細に説明する。
【0045】
図1Aは、接続要素10の断面図である。この図に示されているのは、中空円筒形シャフト12と、ドライブ16が形成されたカラー18である。中空円筒形シャフト12は、その内側側面20にリブ22を有しており、この例では、リブは、中空円筒形シャフト12の全長に亘って延びている。接続要素10のリブ22は、接続要素10の回転動作時に最上層から除去されたスラグを同伴するように機能する。接続要素の回転動作にスラグを巻き込むことにより、摩擦溶接工程においてスラグをベース層に一体的に結合することができる。
【0046】
中空円筒形シャフト12の自由端14には、最上層の貫通を容易にし、必要に応じて、中空円筒形シャフト12がベース層の変形工程でフレア加工することを可能にする面取り26が設けられている。
【0047】
この図は、接続要素10の要素中心軸Mに平行に延びるリブ22も示している。
【0048】
図1Bは、接続要素10のシャフト12を通るB-B線に沿って切断された断面図である。この図に見られるように、本実施形態は、側面20に設けられた3つのリブ22を有する。これらのリブ22は、接続要素の回転動作において最上層から打ち抜かれたスラグを同伴するように作用し、その結果、スラグと前面側のベース層との間に溶接接合が行われるようにする。
【0049】
図1Aは、接続要素10が完全に中空であることを明確に示している。したがって、カラー18は、シャフト12の自由端14と反対の方向に軸方向にフレアする開口部24の周りに延びる。このようにして、最上層から除去された材料は、接続工程において接続要素10を通過し、そのため、接続要素とスラグとの間に確実な適合を生成する。
【0050】
図2は、図1に示す接続要素10の斜視図である。図2で特に明確に見られるのは、接続要素10の中央にある開口部24である。この開口部24は、接続工程で完全に満たされるので、堅い接続が保証される。開口部24は、接続要素とベース層との間に確実な接続が確立されていない接続に特に有利であることが証明されている。
【0051】
次に、図5a~図5cを参照しながら、部品接続を生産する方法をより詳細に説明する。
【0052】
図3図3Aおよび図3Bは、本発明による接続要素30の別の実施形態を示す。図3Aは、接続要素30の図1のA-A線に沿って切断した断面図である。この接続要素30は、図1を参照して説明した接続要素10に実質的に対応する。図3の実施形態は、この場合、ドライバ構造がリブ22の形態ではなく、溝32の形態であるという点で、図1の実施形態とは異なる。これは、シャフトをB-B線に沿って切断した断面図(図3B)で特によく見ることができる。
【0053】
図4は、接続要素40の別の実施形態を示しており、図1のように、シャフト42を有するが、ドライブ48は、カラー44ではなく、カラー44が設けられたヘッド46上に配置されている。この実施形態では、ヘッド46は、図4AのA-A線に沿って切断した接続要素40の断面図に示されるように、そのヘッド側端部で中空円筒形シャフト42の端部を形成する。この実施形態では、最上層から切り出された材料は、接続要素から逃げることができない。この実施形態では、スラグに作用する力は、ヘッド46を介して加えられる。
【0054】
図4Bは、そのヘッド46の閉じた表面を示す接続要素40の斜視図である。
【0055】
図5A図5Cは、例えば図1に示すように、全体が中空である本発明による、ベース層52、最上層54および接続要素58との間の接続を生産する方法の生産工程を例示する図である。
【0056】
ベース層52と最上層54は、アンビル56とセッティングユニットとの間に保持されている。
【0057】
セッティングユニットは、接続要素58を回転駆動するように適合されたドライブツール60を備える。同時に、ドライブツールは、駆動方向において接続要素58に軸方向接触圧力を加える。ドライブツール60は、特に円錐形の中央バルジ61を有し、接続要素58に接触すると、接続要素58の中空空間に突出する。これは、接続要素58を最上層54上に配置するように作用する。
【0058】
図5Bは、本発明による部品接続の生産のための工程の図であり、接続要素58は、回転および接触圧力下で最上層54からスラグ62を切り取り、そのスラグは、中空空間に収容される。スラグは、中空空間内に配置されたドライバ構造64によって回転され、接触圧力および回転の下で、ベース層52の材料と摩擦溶接された接合部を形成する。
【0059】
図5Cは、接続要素がベース層52をさらに貫通するにつれて上昇するスラグ62の材料を示している。その材料は、ドライブツール60まで上昇し、そこで、ドライブツールのバルジ61によって横方向に変位する。結果として、スラグ62は、そのヘッドエンドで円錐状に凹んでいる接続要素58を介して確実な接続を生成する。このようにして、接続要素58およびスラグ62を介して、最上層54とベース層52との間に信頼できる接続が行われる。
【0060】
図6A図6Cは、部品接続を生産するための方法のさらなる実施形態を示しており、この方法は、図5A図5Cを参照して説明したものと同様である。部品接続は、ベース層72、その上に配置された最上層74、および本発明による特に図4に示す接続要素78を備える。接続要素78は、ドライブが設けられたヘッド80を有し、このヘッド80は、接続要素78の中空シャフト76の端部を形成する。ベース層72および最上層74はアルミニウムで作られていることが好ましいが、接続要素78は鋼で作られている。上記のように、接続要素78は、好ましくは2000rpmを超える速度で、好ましくは3kN未満の接触圧力で、第1の切断段階において最上層74に打ち込まれる。したがって、スラグ82は、最上層74の材料から切り出され、側面の内側に形成された、好ましくは、要素中心軸Mに平行に延びるリブの形態をとるドライバ構造によって、接続要素78の回転動作に巻き込まれ、次にその前面を介して最上層74に溶接される。溶接は、前の切断段階で使用されたよりも高い接触圧力で実行されることが好ましい。ドライブツール(ここには示されていない)によって加えられた接触圧力は、接続要素のヘッドを介してスラグ82に伝達される。さらに、図5Cは、ベース層72とスラグ82との間に形成された材料接続を伴う完全な接続を示しており、接続要素78は、アンビル84によってベース層72を介して貫通するように変形され、リベット接続の場合のように、ベース層72に位置するシャフト76の端部が外側にフレアするように変形され、そのため、ベース層72と最上層74との間の設定方向において適合接続を確立する。リベット工程は、特に増加した接触圧力を使用して行われる。
【0061】
したがって、摩擦溶接によってベース層72に接続されたスラグ78は、剪断の方向、すなわち、設定方向に対して横方向に、耐荷重能力が改善された接続を提供する。
図1
図1A
図1B
図2
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C