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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】粉砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 7/08 20060101AFI20240605BHJP
   B02C 7/11 20060101ALI20240605BHJP
   B02C 7/175 20060101ALI20240605BHJP
   A23G 1/06 20060101ALN20240605BHJP
【FI】
B02C7/08
B02C7/11 A
B02C7/175
A23G1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021534014
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020027982
(87)【国際公開番号】W WO2021015151
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2019136280
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三角 勝
(72)【発明者】
【氏名】杉本 尚泉
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-211997(JP,A)
【文献】特開2018-069136(JP,A)
【文献】特開平05-184298(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235445(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00- 7/18
B02C 15/00-17/24
A23G 1/00- 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料が収容される収容部と、回転駆動され前記固体原料を粉砕する粉砕部と、を有する粉砕ユニットと、
前記粉砕ユニットを内部に収容し、前記内部の温度を調整する温調容器と、
前記粉砕ユニットにより粉砕された前記固体原料である粉砕物を前記温調容器の外部に排出する排出部と、を備え、
前記粉砕ユニットと前記排出部は、前記温調容器に対して着脱自在に設けられ、
前記粉砕ユニットと前記排出部が前記温調容器に装着されているとき、当該粉砕ユニットの粉砕物の排出経路と、当該排出部の粉砕物の排出経路とが連通される粉砕装置。
【請求項2】
前記排出部は、
前記粉砕部の駆動軸に対して直交する方向に着脱自在に設けられている請求項1に記載の粉砕装置。
【請求項3】
前記粉砕ユニットの排出経路と、前記排出部の排出経路とを温めるヒータをさらに備えている請求項1または2に記載の粉砕装置。
【請求項4】
前記温調容器は、
吸気口と、
排気口と、
前記吸気口から吸気した空気を当該温調容器内で循環させる循環ファンと、
前記吸気口から吸気した空気を当該温調容器内の冷却対象物に当てて前記排気口から排気させる冷却ファンと、を備えていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の粉砕装置。
【請求項5】
回転駆動される粉砕部を有し、固体原料を前記粉砕部にて粉砕する粉砕ユニットと、
前記粉砕ユニットを内部に収容する温調容器と、
前記粉砕ユニットにより固体原料が粉砕された粉砕物を排出する排出部と、
前記温調容器に設けられ、前記排出部の温度を検出する温度センサと、
前記粉砕ユニットの粉砕部を駆動制御する制御部と、を備え、
前記粉砕ユニットと前記排出部は、前記温調容器に対して着脱自在に設けられ、
前記粉砕ユニットと前記排出部が前記温調容器に装着されているとき、当該粉砕ユニットの粉砕物の排出経路と、当該排出部の粉砕物の排出経路とが連通され、
前記制御部は、
前記温度センサが所定温度以上の温度を検出したときに、前記粉砕部を駆動させる粉砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カカオ豆等の固体原料を粉砕する粉砕装置に関する。本願は、2019年7月24日に、日本に出願された特願2019-136280に優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
この種の粉砕装置としては、例えば特許文献1に開示されている電動粉挽き機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-69136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電動粉挽き機は、清掃を容易にするために、主要な部品が容易に分解して取り外せる構造となっている。
【0005】
しかしながら、目詰まり解消のために、部品を細かく分解して清掃した場合、再度、部品を組立て直す必要があり、結果として、清掃が煩わしいものとなる。
【0006】
本発明の一態様は、部品を細かく分解することなく、目詰まりを解消できる粉砕装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る粉砕装置は、回転駆動される粉砕部を有し、固体原料を前記粉砕部にて粉砕する粉砕ユニットと、前記粉砕ユニットを内部に収容する温調容器と、前記粉砕ユニットにより固体原料が粉砕された粉砕物を排出する排出部と、を備え、前記粉砕ユニットと前記排出部は、前記温調容器に対して着脱自在に設けられ、前記粉砕ユニットと前記排出部が前記温調容器に装着されているとき、当該粉砕ユニットの粉砕物の排出経路と、当該排出部の粉砕物の排出経路とが連通されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、部品を細かく分解することなく、目詰まりを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る粉砕システムの斜視図である。
図2図1に示した粉砕システムの要部の概略断面図である。
図3図1に示した粉砕システムの粉砕装置の概略断面図である。
図4図3に示した粉砕装置の分解斜視図である。
図5図3に示した粉砕装置が備える温調装置の概略構成を示す図である。
図6図5に示した温調装置の吸気口および吸気口の配置位置を示す図である。
図7図3に示した粉砕装置が備える制御部のブロック図である。
図8図3に示した粉砕装置の概略断面図である。
図9図3に示した粉砕装置の概略分解断面図である。
図10】本発明の実施形態2に係る粉砕装置の概略分解断面図である。
図11図10に示す粉砕装置が備える制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(固体原料の粉砕についての概要)
穀類や豆類等の固体の粉砕は、固体が粉砕されることによって用途が飛躍的に拡大するため、さまざま食品に対して利用されている。しかしながら、均一な粉砕物を効率良く、かつ風味の劣化を防いで行うことの困難さもまた良く知られているところである。粉砕効率を重視すれば、粉砕物の粒子が粗く不均一となり、小麦粉、蕎麦粉等では滑らかさが失われ、うどんや蕎麦の品質が低下するのみならず、粉砕時に余分な熱が掛かるために酸化による風味の劣化が起こり易い。粉砕時に余分な摩擦熱が粉砕物に加わった場合、お茶では新鮮な風味が損なわれ、豆乳では青臭さの強いものになってしまう。臼をゆっくりと回転させて粉砕物を粉砕するという古くからの考え方は、摩擦熱の発生が抑えられるので、加工中の粉砕物の風味の劣化を防ぐという点で極めて理にかなっている。
【0011】
石臼のように回転する砥石と固定された砥石の間のクリアランスによって、粉砕物の粒度を調整するという粉砕方式は、材質が天然石からセラミック、金属へと変わっても、基本的な考えは同じである。これは乾式粉砕においても、湿式粉砕に於いても同様であり、蕎麦製造における蕎麦の実の粉砕は乾式で行われ、豆腐製造に於ける大豆の粉砕は湿式で行われている代表例である。石臼方式での粉砕は、様々な分野で利用されているが、乾式、湿式を問わず1段の粉砕で目的の粒子サイズとなるよう、回転砥石部と固定砥石部のクリアランス調整を行って実施されている。また、材質をステンレスの様な金属とした粉砕機においても、その回転刃と固定刃とのクリアランスの調整は、1段の粉砕で目的のサイズの粉砕物となるよう設計され、実施されている。
【0012】
例えば、チョコレートの場合、カカオニブと呼ばれる、焙煎したカカオ豆を粗粉砕した原料を使用する。チョコレート工房など店舗で粉砕する場合は石臼方式を利用することがあり、石臼同士のクリアランスを段階的に調整する。所望の滑らかなチョコレートになるまで、クリアランスを徐々に狭くしながら粉砕を複数回繰り返す必要がある。原料であるカカオの一粒のサイズはクリアランスに対して比較的大きく不利である。すなわち、カカオは徐々に細かく粉砕されるので、目的とする粒子となるまでに時間が掛かることとなる。
【0013】
カカオの粉砕には、カカオの融点が35℃程度であり、カカオニブ粉砕時の臼とカカオニブとの摩擦熱により液(ペースト)状となることを利用し、湿式粉砕を採用する。粉砕中のカカオおよび臼の温度は成り行きで決まることになり従来制御されてこなかった。温度が低ければ、カカオが臼内で流動できず溝に固着し、粉砕できない上、モータへの負荷が増大することになる。一方温度が高すぎる場合は、カカオが焦げ付くことがあり、カカオの品質を低下させることになる。
【0014】
〔実施形態1〕
(粉砕システムの概要)
図1は、本実施形態の粉砕システムの正面図である。図2は、図1に示した粉砕システムの要部の概略断面図である。
【0015】
粉砕システム101は、図1に示すように、2台の粉砕装置1と、粉砕装置1を搭載する載置台201とを含んでいる。
【0016】
載置台201は、粉砕装置1を吊り下げる天面部201aと、天面部201aを両端部で支える柱状部201bとを含み、天面部201aと両側の柱状部201bによってアーチを形成している。
【0017】
粉砕システム101は、載置台201の天面部201aの上面から被粉砕物である固体原料を収容するホッパー13が露出し、天面部201aの下面から保温容器12、モータ14、排出部10が露出するように、2台の粉砕装置1を載置台201に固定している。つまり、粉砕システム101では、2台の粉砕装置1が載置台201に吊り下げられた状態で固定されている。
【0018】
具体的には、図2に示すように、載置台201の天面部201a内で、粉砕装置1の構成要素の一つである保温容器12が複数のネジ401によって固定されている。
【0019】
また、載置台201の柱状部201b内には、粉砕装置1を駆動制御するための制御基板301が収容されている。なお、載置台201の両側の柱状部201bそれぞれに、2つの粉砕装置1の制御基板301それぞれが収容されている。
【0020】
(粉砕装置1の概要)
図3および図4に示すように、粉砕装置1は、粉砕ユニット11、保温容器12、ホッパー13、モータ14およびカカオマス取出しレバー15を備えている。
【0021】
粉砕ユニット11は保温容器(温調容器:温度調節するための容器)12の内部に着脱自在に収容され、ホッパー13は粉砕ユニット11の上に取り付けられている。ホッパー13は固体原料を収容する。本実施形態では固体原料がカカオニブである場合について説明する。モータ14は粉砕装置1の下部に設けられ、粉砕ユニット11の粉砕部26を回転させる。カカオマス取出しレバー15は粉砕装置1の側部に位置する。カカオマス取出しレバー15が下方へ回転操作されることにより、粉砕ユニット11にて粉砕されたカカオニブのカカオマス(カカオ粉末)を取出し口16から取り出すことができる。
【0022】
ここで、カカオマス取出しレバー15と、取出し口16とで、粉砕ユニット11にて粉砕されたカカオマスを排出する排出部10を構成している。排出部10は、保温容器12に着脱可能に設けられている。排出部10は、保温容器12に装着されている際に、粉砕ユニット11からのカカオマスを受け取り、取出し口16まで導く排出経路10aと、粉砕ユニット11が粉砕したカカオマスを排出する排出経路35とが連通するように形成されている。
【0023】
粉砕装置1では、清掃のために、排出部10および粉砕ユニット11は、保温容器12に対して着脱可能に嵌合され、ホッパー13は、粉砕ユニット11に対して着脱可能に嵌合されている。また、粉砕ユニット11には、ハンドル(図示せず)が設けられており、このハンドルを利用し当該粉砕ユニット11の着脱を行うようになっている。
【0024】
上記構成の粉砕ユニット11は、上述したように、保温容器12に着脱収容される。保温容器12は、収容された粉砕ユニット11を構成しているコニカル臼、平臼を所定温度で維持する。以下に、保温容器12を備えた温調装置の詳細について説明する。
【0025】
(温調装置)
図5は、図3に示した粉砕装置1が備える温調装置の概略構成を示す図である。図6は、図3に示した温調装置の吸気口および排気口の配置位置を示す図であり、符号1061で示す図は、上面から見た図であり、符号1062で示す図は、符号1061で示した図の要部を拡大した図である。
【0026】
本実施形態に係る温調装置は、保温容器12と、保温容器12内の空気を外部に排気するための第1ファン(循環ファン)17a、保温容器12内に外気を取り込むための第2ファン(吸気ファン)17b、保温容器12内を温めるための第1ヒータ(加熱部)18aおよび第2ヒータ(加熱部)18b、第1ヒータ18aおよび第2ヒータ18bのオン・オフするためのスイッチ19、保温容器12内の温度を検出するための温度センサ(温度検出部)20、温度センサ20の検出結果に応じて、第1ファン17a、第2ファン17b、第1ヒータ18a、第2ヒータ18b、スイッチ19の駆動を制御する制御部51を含んでいる。なお、上述した通り、粉砕ユニット11は、粉砕装置1から着脱可能となっているため、第1ファン17a、第2ファン17b、第1ヒータ18a、第2ヒータ18bは、粉砕ユニット11以外に設けられている。
【0027】
保温容器12は、内部に粉砕ユニット11を収容する略円筒形状の容器であって、収容した粉砕ユニット11の周囲に空間を形成する。この空間に存在する空気を暖めたり、冷やしたりすることで、当該空間内の温度を所定温度に維持するようになっている。この所定温度の詳細については後述する。なお、保温容器12の円筒形部分はガラスで形成されているが、ガラスに限定されるものではない。
【0028】
なお、保温容器12の円筒形部分をガラスで形成した場合、以下のようなメリットがある。すなわち、粉砕ユニット11を保温容器に着脱できる構成であり、保温容器内に粉砕ユニットが正しい位置(前後、上下)へ嵌合されているかを、ガラスを通して確認することができる。また、粉砕ユニット11が粉砕装置1にセットされているか否かを、ガラスを通して一目で確認できるため、粉砕ユニット11を入れ忘れた状態でホッパー13を取り付けて、誤ってホッパー13の栓(シャッター)を回してしまうと、カカオニブが保温容器12内にこぼれ落ちてしまうことを防止することができる。
【0029】
また、粉砕ユニット11からカカオマスが漏れる等のエラー発生の有無を目視で確認でき、保温容器12内部の清掃時の視認性を良くすることができる。
【0030】
第1ファン17aは、例えばプロペラファンからなり、図5に示すように、保温容器12の上面12aにおいて、斜め下(保温容器12内側)に向くように配置され、内部の空気を外部に排気する排気ファンとして機能している。
【0031】
一方、第2ファン17bは、例えばシロッコファンからなり、保温容器12の上面12aの第1ファン17aと対向する位置に設けられており、保温容器12の外部から外気を吸って、当該保温容器12内に排出する。この第2ファン17bから外気が排出されると、当該保温容器12の空気の温度を下げることになる。つまり、第2ファン17bは、冷却ファンとして機能する。
【0032】
保温容器12は、上述した通り、第1ファン17a,第2ファン17bを駆動させることで、当該保温容器12の外部から吸気し、外部へ排気することで、保温容器12内の空気の温度を所定温度に保つようになっている。保温容器12の吸排気を実現するために、粉砕装置1は、ホッパー13の導入部13aの周囲を囲む略円板状の吸排気部材113が設けられている。
【0033】
吸排気部材113は、図6に示すように、同心円上に複数のスリット113aが形成されており、連続した複数個のスリット113aによって、排気口114と吸気口115を形成している。ここでは、排気口114が利用するスリット113aの数は、吸気口115が利用するスリット113aの数よりも多い。
【0034】
吸排気部材113は、図6に示すように、略円板状の部材からなり、中心から外に向かって長方形状に切り欠かれた複数のスリット113aが同心円状に配されている。これらスリット113aの一部を利用して、排気口114と吸気口115としている。すなわち、連続した複数個のスリット113aによって、排気口114と吸気口115を形成している。
【0035】
排気口114は、保温容器12内の空気を外部へ排出する。吸排気部材113は、ホッパー13と保温容器12との間に設けられているため、排気口114は保温容器12の上部に設けられていることになる。
【0036】
一方、吸気口115は、当該保温容器12内に空気を取り込む。吸気口115の近傍には吸気のための第2ファン17bが設けられ、当該第2ファン17bを駆動させることで、吸気口115から外気を積極的に導入し、保温容器12に排出することができる。これにより、保温容器12は、内部の空気を外部に排出すると共に、外部から空気を取り込むことになる。つまり、本実施形態では、保温容器12内への空気の吸排気を積極的に行う構成となっている。
【0037】
保温容器12における昇温、冷却機能について補足すると以下のようになる。
【0038】
昇温時、第1ファン17aの前方に第1ヒータ18aが設置されていることで、当該第1ファン17aを駆動させることで、当該第1ヒータ18aによって温められた空気(温風)を保温容器12内部へ送り出し、保温容器12内全体を温めることが可能である。第1ファン17aの左右に設けられた空間(図5の紙面手前側と奥側)を、当該第1ファン17aの回転によって生じた風が通り、保温容器12内で温風を循環させることになるので、当該保温容器12内を効率よく温めることができる。
【0039】
一方、冷却時、煙突効果により温められた保温容器12内の空気は排気口114より上方へ排気される。このとき、第1ファン17aをON、第1ヒータ18aをOFFにすることで排気および冷却を促すことができ、第2ファン17b(冷却ファン)を使用することで吸気口115から外気を取り込み効率よく保温容器12内を冷却可能となる。
【0040】
第2ファン17bの近傍(保温容器12の下方)には、当該第2ファン17bによって吸気された空気を保温容器12の底部に向かって排出させるための銅製の排出用パイプ40が設けられている。排出用パイプ40は、保温容器12の底面(下部)の第2ヒータ18b(加熱部)の方に向かって空気を排出するように配置されている。つまり、排出用パイプ40は、第2ファン17bによって吸気された空気を粉砕ユニット11のコニカル臼、平臼に向かって吹出すようになっている。これにより、コニカル臼、平臼が高温になりすぎるのを防止すると共に、第2ヒータ18bによって温められた空気が排出用パイプ40から排出される空気により押し出されて、保温容器12の天面に設けられた吸排気部材113の排気口114に向かって移動する。このように、第2ファン17bを駆動させることで、吸排気部材113の吸気口115から取り込まれた空気は、排出用パイプ40から排出され、保温容器112の内部を循環して、排気口114から排出される。
【0041】
なお、吸排気部材113は、上述した通り、排気口114が利用するスリット113aの数は、吸気口115が利用するスリット113aの数よりも多い。これは、吸気口115では、第2ファン17bによって積極的に吸気できるが、排気口114では、排気用のファンが設けられておらず、強制的に排気できないため、多くのスリット113aを利用して自然排気させるようにしているためである。
【0042】
上記構成の保温容器12の空気の温度制御(温調制御)について以下に説明する。
【0043】
(温調制御)
図7は、図3に示した粉砕装置1が備える温調装置を制御する制御部のブロック図である。
【0044】
制御部51は、温度センサ20が検出する保温容器12内の温度を所定温度に維持するように、第1ファン17a、第2ファン17b、第1ヒータ18a、第2ヒータ18b、スイッチ19の駆動を制御する。ここで、所定温度は、被粉砕物であるカカオ豆の粉砕が最適に行え、且つ、粉砕されたカカオ豆の粉が固着しない温度とする。
【0045】
具体的には、制御部52は、温度センサ20が検出する保温容器12内の温度を所定温度に維持するように、第1ヒータ18aおよび第2ヒータ18bの駆動を制御すると共に、第1ファン17aおよび第2ファン17bの駆動を制御する。
【0046】
第1ヒータ18aと第2ヒータ18bの駆動制御だけでも、保温容器12内の温度を所定温度に維持することはできる。さらに、第1ファン17a、第2ファン17bの駆動制御を加えることで、保温容器12内の温度を迅速に且つ安定して所定温度で維持できる。
【0047】
特に第2ファン17bの駆動を制御することで、保温容器12の吸気口115から積極的に外気を導入することが可能となり、当該保温容器12内で温まり過ぎた空気を迅速に冷却することが可能となる。これにより、保温容器12内の空気を所定温度で安定して維持することが可能となる。
【0048】
(排出部10)
図8は、図3に示す粉砕装置1の概略断面図である。図9は、図3に示す粉砕装置1の概略断面分割図である。
【0049】
排出部10は、図8に示すように、保温容器12に対して、粉砕ユニット11の駆動部の駆動軸(粉砕ユニット11内の臼(図示せず)を回す駆動軸)X対して直交する矢印Y方向(設置面に対して水平な方向)に着脱自在となっている。つまり、排出部10は、保温容器12に対して水平方向に着脱自在となっている。これにより、排出部10は、保温容器12に装着される際に、当該排出部10を上下方向で支持するための部材を設ける必要がないため、構成を簡素化できる。
【0050】
また、排出部10を保温容器12に装着するだけで、当該排出部10の排出経路10aと、粉砕ユニット11が粉砕したカカオマスを排出する排出経路35とを簡単に連通することができる。
【0051】
さらに、排出部10の排出経路10aと、粉砕ユニット11が粉砕したカカオマスを排出する排出経路35との近傍に、第2ヒータ18bが設けられているので、連通した排出経路を温めることで、当該排出経路においてカカオマスの固着、詰まりを防止することができる。
【0052】
排出部10は、図9に示すように、カカオマス取出しレバー15が排出部10の本体部に対して回転軸15aを中心に矢印方向(排出経路10aと反対側の方向)に回動するようになっている。カカオマス取出しレバー15のレバー部15bとは反対側には、排出部10の排出経路10aと取出し口16とを連通状態と非連通状態とに切替えるための切替部材15cが設けられている。
【0053】
切替部材15cは、排出部10における取出し口16と直交する方向に形成された貫通孔10bを移動可能に設けられており、カカオマス取出しレバー15が矢印方向に回動すると、切替部材15cが貫通孔10bを保温容器12側に移動し、排出経路10aと取出し口16とが連通した連通状態になる。このとき、切替部材15cの先端(保温容器12側の端部)は、保温容器12の下部に設けられた粉砕スイッチ22を押下するようになっている。
【0054】
従って、カカオマス取出しレバー15を回動操作すること(カカオマス取出しレバー15を押し倒すように操作すること)により、粉砕スイッチ22を押下して、粉砕を開始させると共に、粉砕物を取出し口16から排出可能な状態にできる。つまり、カカオマス取出しレバー15を押し倒すように回動させることで、粉砕と粉砕物の送り出しが連動しているため、カカオマス取出しレバー15を押し倒し続けることで、粉砕スイッチ22を押下し続けることになるため、粉砕されたペーストが次々に送り出される事になる。
【0055】
ところで、粉砕装置1を使用し続けると粉砕ユニット11の温度が上がり、その結果、粉砕装置1全体の各部の温度が上がる。しかしながら、粉砕装置1が十分に冷えた後、再度、粉砕装置1を使用するとき、カカオマスの排出経路が十分に温まっていないため、カカオマスが排出経路内で固着し、詰まる恐れがある。このため、排出経路内の温度が所定の温度以上にならないと、カカオマス取出しレバー15を押し下げても、粉砕装置1の粉砕が開始しないように制御することが好ましい。以下の実施形態2では、排出経路内の温度に応じて、粉砕装置1の粉砕開始の制御を行う例について説明する。
【0056】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
(粉砕装置の概要)
図10は、本発明の実施形態2に係る粉砕装置の概略分解断面図である。
【0058】
図10に示すように、排出部10を保温容器12に装着したときに、排出部10の排出経路10aと、保温容器12側の排出経路35とが連通して形成される排出経路上に当該排出経路の温度を検出する温度センサ21が設けられ、さらに、保温容器12に装着した排出部10のカカオマス取出しレバー15を押し下げたときに、切替部材15cによって押下される粉砕スイッチ22が設けられている。
【0059】
(温調制御)
図11は、図10に示す粉砕装置が備える制御部のブロック図である。
【0060】
制御部52は、温度センサ21が検出する保温容器12内のカカオマスの排出経路の温度に応じて、第1ファン17a、第2ファン17b、第1ヒータ18a、第2ヒータ18b、モータ14、粉砕スイッチ22の駆動を制御する。
【0061】
具体的には、制御部52は、温度センサ21が検出する温度が所定の温度以上でなければ、第1ヒータ18aおよび第2ヒータ18bを駆動させるが、粉砕スイッチ22がオンされても、モータ14を駆動させないように制御する。つまり、制御部52は、保温容器12内のカカオマスの排出経路の温度が所定の温度以上でなければ、粉砕装置1の粉砕を行わないように制御している。ここで、所定の温度は、被粉砕物であるカカオ豆の粉砕が最適に行え、且つ、粉砕されたカカオ豆の粉(カカオマス)が固着しない温度とする。
【0062】
従って、排出経路が所定の温度以上であれば、排出経路内でカカオマスが固着しないため、詰まることもない。
【0063】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る粉砕装置は、回転駆動される粉砕部26を有し、固体原料を前記粉砕部26にて粉砕する粉砕ユニット11と、前記粉砕ユニット11を内部に収容する温調容器(保温容器12)と、前記粉砕ユニット11により固体原料が粉砕された粉砕物を排出する排出部10と、を備え、前記粉砕ユニット11と前記排出部10は、前記温調容器(保温容器12)に対して着脱自在に設けられ、前記粉砕ユニット11と前記排出部10が前記温調容器(保温容器12)に装着されているとき、当該粉砕ユニット11の粉砕物の排出経路35と、当該排出部10の粉砕物の排出経路10aとが連通されていることを特徴としている。
【0064】
上記構成によれば、粉砕ユニットの排出経路と排出部の排出経路とに粉砕物が詰まった場合、粉砕ユニットと排出部を、温調容器から取りはずだけで、それぞれの排出経路を簡単に確認することができる。
【0065】
本発明の態様2に係る粉砕装置は、態様1において、前記排出部10は、前記粉砕部26の駆動軸Xに対して直交する方向に着脱自在に設けられていてもよい。
【0066】
上記構成によれば、装置の小型化を図ることができる。すなわち、排出部を粉砕部の駆動軸に対して平行な方向に着脱自在に設けた場合、温調容器の下部には、排出部を上下方向(駆動軸に対して平行な方向)に移動させて、当該排出部の着脱を行うための空間と、排出部を保持、更にレバー操作に耐える構造が必要になる。これに対して、排出部を粉砕部の駆動軸に対して直交する方向に着脱自在に設けた場合、温調容器の下部には、排出部を前後方向(駆動軸に対して直交する方向)に移動させるための空間、すなわち、排出部の大きさ程度の空間が必要になるが、この空間は、排出部を粉砕部の駆動軸に対して平行な方向に着脱自在に設けた場合の空間よりも小さくて済む。よって、装置の小型化を図ることができる。
【0067】
本発明の態様3に係る粉砕装置は、態様1または2において、前記粉砕ユニット11の排出経路35と、前記排出部10の排出経路10aとを温めるヒータ(第2ヒータ18b)をさらに備えていてもよい。
【0068】
上記構成によれば、ヒータによって、粉砕ユニットの排出経路と、排出部の排出経路が温められるため、粉砕物の固着を防ぐと共に、目詰まりを防ぐことができる。
【0069】
本発明の態様4に係る粉砕装置は、態様1~3の何れか1態様において、前記粉砕ユニット11の粉砕部26を駆動制御する制御部51と、前記温調容器(保温容器12)に設けられ、前記排出部10の温度を検出する温度センサ20と、をさらに備え、前記制御部51は、前記温度センサ20が所定温度以上の温度を検出したときに、前記粉砕部26を駆動させてもよい。
【0070】
上記構成によれば、排出部の温度が所定温度以上にならないと粉砕部が駆動しないため、所定温度を粉砕物の固着しない温度とすれば、粉砕部によって粉砕された粉砕物が排出部で固着されることはない。
【0071】
本発明の態様5に係る粉砕装置は、態様3または4において、前記温調容器(保温容器12)は、吸気口115と、排気口114と、前記吸気口115から吸気した空気を当該温調容器(保温容器12)内で循環させる循環ファン(第1ファン17a)と、前記吸気口115から吸気した空気を当該温調容器(保温容器12)内の冷却対象物に当てて前記排気口114から排気させる冷却ファン(第2ファン17b)と、を備えていてもよい。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
図1
図2
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図4
図5
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図9
図10
図11