(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】動力電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20240605BHJP
B60L 50/64 20190101ALI20240605BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240605BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240605BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240605BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240605BHJP
【FI】
H01M50/209
B60L50/64
H01M50/249
H01M50/289 101
H01M50/342 101
H01M50/35 201
(21)【出願番号】P 2021540123
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2019092393
(87)【国際公開番号】W WO2020143177
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-09-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】201910021244.0
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020967.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021246.X
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021248.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021247.4
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020925.5
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】江文▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲衛▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
(72)【発明者】
【氏名】王信月
(72)【発明者】
【氏名】何科峰
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】稲葉 崇
【審判官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0226034(US,A1)
【文献】特開2018-73552(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108417747(CN,A)
【文献】特開2012-243438(JP,A)
【文献】特開2018-6313(JP,A)
【文献】特開2018-202946(JP,A)
【文献】特開2012-79511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/35
H01M 50/342
H01M 50/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池パックであって、
内部に収容空間が画定されたパック本体であって、前記パック本体は、少なくとも1つの中間クロスビームを備え、前記収容空間が前記中間クロスビームによって少なくとも2つの収容チャンバーに分割されるパック本体と、
複数の収容チャンバー内に配列された複数の単電池であって、各収容チャンバー内に少なくとも1つの単電池が整列されて、電池アレイを構成する複数の単電池と、
を含み、
前記パック本体は、前記収容空間の両側に対向して設けられた第1のサイドビーム及び第2のサイドビームを含み、単電池は、長手方向において、第1の端部及び第2の端部を有し、複数の単電池は、複数の配列方式のうちの少なくとも1つの配列方式で配列されており、
前記複数の配列方式とは、
第1の端部は、第1のサイドビームに支持され、第2の端部は、中間クロスビームに支持され
、単電池の全荷重は、前記第1のサイドビーム及び前記中間クロスビームに支持される配列方式、
第2の端部は、第1のサイドビームに支持され、第1の端部は、中間クロスビームに支持され
、単電池の全荷重は、前記第1のサイドビーム及び前記中間クロスビームに支持される配列方式、
パック本体は、少なくとも2つの中間クロスビームを備え、第1の端部と第2の端部は、隣接する2つの中間クロスビームによって支持され
、単電池の全荷重は、前記隣接する2つの中間クロスビームに支持される配列方式、
第1の端部は、中間クロスビームに支持され、第2の端部は、第2のサイドビームに支持され
、単電池の全荷重は、前記中間クロスビーム及び前記第2のサイドビームに支持される配列方式、または、
第2の端部は、中間クロスビームに支持され、第1の端部は、第2のサイドビームに支持され
、単電池の全荷重は、前記中間クロスビーム及び前記第2のサイドビームに支持される配列方式である、
動力電池パック。
【請求項2】
前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの幅方向に沿って延びる幅方向クロスビームであり、前記収容チャンバーの、動力電池パックの長手方向に沿った両側を、第1側、第2側としたとき、前記収容チャンバー内の少なくとも1の単電池は、動力電池パックの長手方向に沿って、対応する収容チャンバーの第1側から第2側まで連続して延びている、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項3】
単電池の長手方向は、前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数の単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、前記動力電池パックの長手方向において、各収容チャンバーは、1つの単電池のみを収容する、
請求項2に記載の動力電池パック。
【請求項4】
単電池の長手方向は、前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数の単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、前記動力電池パックの長手方向において、単電池の一端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L1であり、単電池の他端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L2であり、単電池の長さL0としたとき、
L1+L2<L0
を満たす、
請求項2に記載の動力電池パック。
【請求項5】
前記パック本体内には、前記動力電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイが含まれる、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項6】
前記第1のサイドビームは、第1のビームであり、前記第2のサイドビームは、第2のビームであり、前記第1のビーム及び第2のビームは、いずれも動力電池パックの長手方向に沿って延び、前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの長手方向に沿って延びる長手方向クロスビームである、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項7】
前記パック本体は、底板と、動力電池パックの長手方向に沿って収容空間の両側に位置する第3のビーム及び第4のビームとを含み、前記第3のビーム及び第4のビームは、いずれも前記動力電池パックの幅方向に沿って延び、前記第3のビーム、第4のビーム、第1のビーム及び第2のビームは、共に固定されて矩形枠を形成し、前記矩形枠と前記底板は、収容空間を画定し、前記第3のビームと第4のビームは、それぞれ自体に隣接する単電池に内向きの押圧力を提供する、
請求項6に記載の動力電池パック。
【請求項8】
前記矩形枠と底板は、車両用トレイを形成し、前記第1のビームと第2のビームのそれぞれに、動力電池パックを車両に取り付ける吊り金具が設けられている、
請求項7に記載の動力電池パック。
【請求項9】
前記吊り金具には、パック本体の車両への取付のための取付孔が設けられている、
請求項8に記載の動力電池パック。
【請求項10】
前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの長手方向に沿って延びる長手方向クロスビームであり、前記収容チャンバーの、動力電池パックの幅方向に沿った両側を、第3側、第4側としたとき、前記収容チャンバー内の少なくとも1つの単電池は、動力電池パックの幅方向に沿って収容チャンバーの第3側から第4側まで連続して延びている、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項11】
単電池の長手方向は、前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、各収容チャンバーに、前記動力電池パックの幅方向に1つの単電池のみが収容されている、
請求項10に記載の動力電池パック。
【請求項12】
単電池の長手方向は、前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、
前記動力電池パックの幅方向において、単電池の一端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L3であり、単電池の他端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L4であり、単電池の長さL0としたとき、
L3+L4<L0
を満たす、
請求項10に記載の動力電池パック。
【請求項13】
前記パック本体内には、前記動力電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイが含まれる、
請求項10に記載の動力電池パック。
【請求項14】
前記第1のサイドビームは、第3のビームであり、前記第2のサイドビームは、第4のビームであり、前記第3のビーム及び前記第4のビームは、いずれも動力電池パックの幅方向に沿って延び、前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの幅方向に沿って延びる幅方向クロスビームである、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項15】
前記パック本体は、底板と、動力電池パックの幅方向に沿って収容空間の両側に位置する第1のビーム及び第2のビームとを含み、前記第1のビーム及び前記第2のビームは、いずれも前記動力電池パックの長手方向に沿って延び、前記第3のビーム、第4のビーム、第1のビーム及び第2のビームは、共に固定されて矩形枠を形成し、前記矩形枠と前記底板は、収容空間を画定し、前記第1のビームと第2のビームは、それぞれ、それに隣接する単電池に内向きの押圧力を提供する、
請求項14に記載の動力電池パック。
【請求項16】
前記矩形枠と前記底板は、車両用トレイを形成し、前記第3のビームと前記第4のビームのそれぞれに、動力電池パックを車両に取り付ける吊り金具が設けられる、
請求項15に記載の動力電池パック。
【請求項17】
前記吊り金具には、パック本体の車両への取付のための取付孔が設けられる、
請求項16に記載の動力電池パック。
【請求項18】
複数の単電池の体積の和V1と動力電池パックの体積V2は、
V1/V2≧55%
を満たす、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項19】
V1/V2≧60%
である、
請求項18に記載の動力電池パック。
【請求項20】
複数の単電池の体積の和V1と収容空間の容積V0は、
81%≦V1/V0≦97%
を満たす、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項21】
前記収容空間は、底面を有し、複数の単電池の前記底面への正射影の面積の和S1と前記底面の面積S0は、
72%≦S1/S0≦88%
を満たす、
請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項22】
さらに、電池管理システム、および、電池熱管理システムの少なくとも1つを含む、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項23】
前記パック本体は、電気自動車に一体的に形成される、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項24】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体は、長さL、幅H及び厚さDを有し、前記電池本体の長さLは、幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hは、厚さDより大きく、前記電池本体の長さLと幅Hは、
L/H=4~21
を満たす、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項25】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の厚さDは、
L/D=23~208
を満たす、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項26】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の体積Vは、
L/V=0.0005mm
-2~0.002mm
-2
を満たす、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項27】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の幅Hと前記電池本体の体積Vは、H/V=0.0001mm
-2~0.00015mm
-2を満たすことを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項28】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の厚さDと前記電池本体の体積Vは、
D/V=0.0000065mm
-2~0.00002mm
-2
を満たす、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項29】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の表面積Sは、
L/S=0.002mm
-1~0.005mm
-1
を満たす、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項30】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の表面積Sと前記電池本体の体積Vは、
S/V=0.1mm
-1~0.35mm
-1
を満たす、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項31】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLは、700mm~2500mmである、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項32】
単電池は、アルミニウムケース角型電池であり、電池本体及び防爆弁を含み、前記防爆弁が前記電池本体の長手方向に沿う前記電池本体の少なくとも1端に設けられる、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項33】
単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長手方向に沿う前記電池本体の両端にそれぞれ防爆弁が設けられ、前記電池本体の両端の前記防爆弁は、異なる排気通路により排気する、
請求項1~21のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ビーワイディー・カンパニー・リミテッドが2019年6月21日に出願した国際特許出願(国際特許出願番号PCT/CN2019/092393)、および、同国際特許出願が優先権を主張する、2019年1月9日に提出した、中国特許出願第「201910021244.0」、「201910020967.9」、「201910021246.X」、「201910021248.9」、「201910021247.4」及び「201910020925.5」号、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的には、動力電池パック及び前記動力電池パックを有する電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、例えば、電気自動車に適用される動力電池パックは、主に、パック本体と、パック本体内に取り付けられ、それぞれが複数の単電池からなる複数の電池モジュールとを含む。
【0004】
電気自動車のバッテリー寿命に対するユーザーの要件が徐々に高まっているにつれて、車体の底部の空間が限られている場合、従来技術における動力電池パックを採用すれば、内部空間の利用率が低くなる。加えて、動力電池パックのエネルギー密度が需要を満たすことができず、これも電気自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。
【発明の概要】
【0005】
関連する従来技術では、
図1に示すように、動力電池パック10′のパック本体200′′は、幅方向クロスビーム500′及び長手方向クロスビーム600′によって、複数の電池モジュール400′の取付領域に分割されることが多く、例えば、CN107925028Aに開示された組電池における電池モジュール400′は、ねじなどの方式により、幅方向クロスビーム500′又は長手方向クロスビーム600′に固定される。電池モジュール400′は、順に配列された複数の単電池を含み、複数の単電池は、配列されて電池アレイを形成し、電池アレイの外部に端板及び/又は側板が設けられ、一般的には、端板と側板を同時に含み、端板と側板は、固定されて電池アレイを収容する空間を囲む。同時に、端板と側板は、電池アレイの固定を実現するために、ねじにより接続されるか、又はタイロッドなどの他の接続部材により接続される。
【0006】
発明者は、試験及び分析により、電池モジュール400′がねじなどの構造により幅方向クロスビーム500′又は長手方向クロスビーム600′に固定される場合、空間が無駄になり、また、ねじなどの接続部材を増加させるため、重量が高くなり、なお、電池モジュール400′が端板と側板の組み合わせにより設計され、端板と側板がいずれも一定の厚さ及び高さを有するため、パック本体200′′の内部空間が無駄になり、パック本体200′′の体積利用率が低くなることを見出した。一般的な場合には、上記従来技術における動力電池パック10′は、パック本体200′′内の単電池の体積の和とパック本体200′′の体積との比がいずれも50%程度であり、更に40%まで低い。
【0007】
上記従来技術の実施例に係る電池パック10′によれば、それが採用した電池モジュール400′の端板、側板、及び動力電池パック10′の内部の接続取付形態などは、いずれもパック本体200′′の内部空間の利用率を低下させ、その結果、動力電池パック10′では、単電池の体積の和とパック本体200′′の体積との比が低すぎて、そのエネルギー密度が電気自動車の航続能力に対するユーザの需要を満たすことができず、これは、電気自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。なお、組立過程が煩雑であり、組立工程が複雑であり、先に電池モジュールとして組み立て、次に電池モジュールをパック本体内に取り付ける必要があるため、手間や物資などのコストを増加させ、同時に、複数回の組立工程が必要であるため、動力電池パックの組立過程において、不良品発生の確率が高まり、複数回の組立により、動力電池パックが緩み、取付が強固にならない可能性が大きくなり、動力電池パックの品質に悪影響を及ぼし、かつ動力電池パックの安定性及び信頼性を低下させる。
【0008】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決しようとする。したがって、本願は、空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が強く、信頼性が高く、コストが低く、品質が高いなどの利点を有する動力電池パックを提供することを1つの目的とする。
【0009】
本願は、前記動力電池パックを有する電気自動車をさらに提供する。
【0010】
本願の第1の態様の実施例に係る動力電池パックは、内部に収容空間が画定され、かつ少なくとも1つの中間クロスビームが設けられ、前記収容空間が前記中間クロスビームによって少なくとも2つの収容チャンバーに分割されるパック本体と、前記パック本体内に設けられ、かつ前記収容チャンバー内に配列され、各前記収容チャンバー内に、電池アレイを構成するように少なくとも1つが配置される複数の単電池と、を含み、前記パック本体は、前記収容空間の両側に対向して設けられた第1のサイドビーム及び第2のサイドビームを含み、前記単電池の長手方向においては、第1の端部及び第2の端部を有し、前記単電池の配置は、前記第1のサイドビームが前記第1の端部を支持し、前記中間クロスビームが前記第2の端部を支持する方式、或いは、前記第1のサイドビームが前記第2の端部を支持し、前記中間クロスビームが前記第1の端部を支持する方式、或いは、隣接する2つの前記中間クロスビームがそれぞれ前記第1の端部と第2の端部を支持する方式、或いは、前記中間クロスビームが前記第1の端部を支持し、前記第2のサイドビームが前記第2の端部を支持する方式、或いは、前記中間クロスビームが前記第2の端部を支持し、前記第2のサイドビームが前記第1の端部を支持する方式のうちの少なくとも1つを選択する。
【0011】
本願に係る動力電池パックは、複数の単電池をパック本体内の複数の収容チャンバー内に直接配置配列することにより、従来の電池パックにおける、電池モジュールを取り付ける様々な取付構造を除去し、パック本体の内部空間の利用率を向上させ、パック本体の内部の単電池の体積の和を増加させ、換言すれば、単電池の体積とパック本体の体積との比を増加させ、一定の体積空間内に、より多くの単電池を組み立てて、動力電池パックのエネルギー密度を向上させることを実現する。同時に、組立過程が簡単で、工程が簡単であり、手間や物資などのコストを低減し、また、組立工程が少なくなり、動力電池パックの組立過程において、不良品発生の確率を低減し、緩みが発生し、取付が強固にならない可能性が小さくなり、動力電池パックの品質を向上させ、かつ電池パックの安定性及び信頼性を向上させる。単電池の両端はそれぞれ、第1のサイドビーム、第2のサイドビーム又は中間クロスビームに支持され、単電池自体が荷重支持部材として利用されるため、電池パックの底部トレイなどの他の部材に対する単電池の圧力を減少させ、単電池自体は荷重を支持し、両端が支持されて支持作用を果たすことにより、モジュールフレームなどの、単電池を固定し荷重を支持する他の部材の体積を低減し、空間利用率を増加させ、エネルギー密度を向上させることができる。
【0012】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの幅方向に沿って延びる幅方向クロスビームであり、前記収容チャンバー内の単電池は、動力電池パックの長手方向に沿って収容チャンバーの一側から他側まで延びる。
【0013】
本願のいくつかの具体的な実施形態では、前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、前記複数の単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、前記動力電池パックの長手方向において、各前記収容チャンバーは、1つの前記単電池のみを収容する。
【0014】
本願のいくつかの具体的な実施形態では、前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、前記複数の単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、前記動力電池パックの長手方向において、前記単電池の一端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L1であり、前記単電池の他端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L2であり、前記単電池の長さL0は、L1+L2<L0を満たす。
【0015】
本願のいくつかの具体的な実施形態では、前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、前記複数の単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、前記パック本体内には、前記動力電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイが含まれる。
【0016】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記第1のサイドビームは、第1のビームであり、前記第2のサイドビームは、第2のビームであり、前記第1のビーム及び第2のビームは、いずれも動力電池パックの長手方向に沿って延び、前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの幅方向に沿って延びる幅方向クロスビームである。
【0017】
前記パック本体は、動力電池パックの長手方向に沿って収容空間の両側に位置する第3のビーム及び第4のビームを含み、前記第3のビーム及び第4のビームは、いずれも前記動力電池パックの幅方向に沿って延び、前記第3のビーム、第4のビーム、第1のビーム及び第2のビームは、共に固定されて矩形枠を形成し、前記矩形枠と1つの底板は、収容空間を画定し、前記第3のビームと第4のビームは、それぞれ自体に隣接する単電池に内向きの押圧力を提供する。
【0018】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記矩形枠と底板は、車両用トレイを形成し、前記第1のビームと第2のビームのそれぞれに、収容空間外に延びる吊り金具が設けられる。
【0019】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記吊り金具には、パック本体の車両への取付のための取付孔が設けられる。
【0020】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの長手方向に沿って延びる長手方向クロスビームであり、前記収容チャンバー内の単電池は、動力電池パックの幅方向に沿って収容チャンバーの一側から他側まで延びる。
【0021】
本願のいくつかの具体的な実施形態では、前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、前記複数の単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、前記動力電池パックの幅方向において、各前記収容チャンバーは、1つの前記単電池のみを収容する。
【0022】
本願のいくつかの具体的な実施形態では、前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、前記複数の単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、前記動力電池パックの幅方向において、前記単電池の一端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L3であり、前記単電池の他端とそれに隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L4であり、前記単電池の長さL0は、L3+L4<L0を満たす。
【0023】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記パック本体内には、前記動力電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイが含まれる。
【0024】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記第1のサイドビームは、第3のビームであり、前記第2のサイドビームは、第4のビームであり、前記第3のビーム及び第4のビームは、いずれも動力電池パックの幅方向に沿って延び、前記中間クロスビームは、前記動力電池パックの幅方向に沿って延びる幅方向クロスビームである。
【0025】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記パック本体は、動力電池パックの幅方向に沿って収容空間の両側に位置する第1のビーム及び第2のビームを含み、前記第1のビーム及び第2のビームは、いずれも前記動力電池パックの長手方向に沿って延び、前記第3のビーム、第4のビーム、第1のビーム及び第2のビームは、共に固定されて矩形枠を形成し、前記矩形枠と1つの底板は、収容空間を画定し、前記第1のビームと第2のビームは、それぞれ、それに隣接する単電池に内向きの押圧力を提供する。
【0026】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記矩形枠と底板は、車両用トレイを形成し、前記第3のビームと第4のビームのそれぞれに、収容空間外に延びる吊り金具が設けられる。
【0027】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記吊り金具には、パック本体の車両への取付のための取付孔が設けられる。
【0028】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記複数の単電池の体積の和V1と前記動力電池パックの体積V2は、V1/V2≧55%を満たす。
【0029】
本願のいくつかの具体的な実施例では、V1/V2≧60%である。
【0030】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記複数の単電池の体積の和V1と前記収容空間の容積V0は、81%≦V1/V0≦92%を満たす。
【0031】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記収容空間は、底面を有し、前記複数の単電池の前記底面への正射影の面積の和S1と前記底面の面積S0は、72%≦S1/S0≦88%を満たす。
【0032】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記動力電池パックの幅方向での前記パック本体の幅Fは、500mm~1500mmである。
【0033】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記動力電池パックは、電池管理システム及び/又は電池熱管理システムをさらに含む。
【0034】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記パック本体は、電気自動車に形成される。
【0035】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記動力電池パックは、幅方向が車体の幅方向に沿うとともに長手方向が車体の長手方向に沿うように配置され、或いは、前記動力電池パックは、幅方向が車体の長手方向に沿うとともに長手方向が車体の幅方向に沿うように配置される。
【0036】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体は、長さL、幅H及び厚さDを有し、前記電池本体の長さLは、幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hは、厚さDより大きく、前記電池本体の長さLと幅Hは、L/H=4~20を満たす。
【0037】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の厚さDは、L/D=23~200を満たす。
【0038】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の体積Vは、L/V=0.00045mm-2~0.0015mm-2を満たす。
【0039】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の幅Hと前記電池本体の体積Vは、H/V=0.0001mm-2~0.00015mm-2を満たす。
【0040】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の厚さDと前記電池本体の体積Vは、D/V=0.0000065mm-2~0.00002mm-2を満たす。
【0041】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の表面積Sは、L/S=0.002mm-1~0.005mm-1を満たす。
【0042】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の表面積Sと前記電池本体の体積Vは、S/V=0.1mm-1~0.35mm-1を満たす。
【0043】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLは、700mm~2500mmである。
【0044】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、アルミニウムケース角型電池であり、電池本体及び防爆弁を含み、前記防爆弁が前記電池本体の長手方向での少なくとも1端に設けられる。
【0045】
本願のいくつかの具体的な実施例では、前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長手方向での両端にぞれぞれ防爆弁が設けられ、前記電池本体の両端の防爆弁は、異なる排気通路により排気する。
【0046】
本願の第2の態様の実施例に係る電気自動車は、本願の第1の態様の実施例に記載の動力電池パックを含む。
【0047】
本願の実施例に係る電気自動車は、本願の第1の態様の実施例に記載の動力電池パックを利用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0048】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、前記動力電池パックは、前記電気自動車の底部に設けられ、前記パック本体は、前記電気自動車のシャーシに固定接続される。
【0049】
本願のいくつかの具体例によれば、前記電気自動車は、前記電気自動車の底部に設けられた1つの動力電池パックを含み、前記動力電池パックは、幅方向が前記電気自動車の車体の幅方向に沿うとともに長手方向が前記電気自動車の車体の長手方向に沿うように配置される。
【0050】
前記パック本体の幅Fと車体の幅Wは、50%≦F/W≦80%を満たす。
【0051】
前記単電池は、電池本体を含み、前記動力電池パックの幅方向での前記電池本体の長さLと車体の幅Wは、40%≦L/W≦70%を満たす。
【0052】
本願のいくつかの具体例によれば、前記車体の幅Wは、500mm~2000mmである。
【0053】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
以下、本願の上記及び/又は追加の様態及び利点は、図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【
図1】従来技術における動力電池パックの分解図である。
【
図2】本願の実施例に係る動力電池パックの断面図である。
【
図3】本願の実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【
図4】本願の実施例に係る動力電池パックの分解図である。
【
図5】本願の実施例に係る単電池の概略構成図である。
【
図6】本願の実施例に係る動力電池パックの電池アレイの配列方式概略図である。
【
図7】本願の別の実施例に係る動力電池パックの電池アレイの配列方式概略図である。
【
図8】本願の実施例に係る動力電池パックのパック本体が電気自動車に形成された概略構成図である。
【
図9】本願の実施例に係る電気自動車の概略構成図である。
【
図10】本願の実施例に係る電気自動車の分解図である。
【
図12】本願の第1の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【
図13】本願の第2の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【
図14】本願の第3の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【
図15】本願の第4の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【
図16】本願の第5の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
(従来技術)
動力電池パック10′、パック本体200′′、電池モジュール400′、長手方向クロスビーム600′、幅方向クロスビーム500′
(本開示)
電気自動車1、動力電池パック10、単電池100、電池本体110、パック本体200、トレイ210、上部カバー220、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203、第4のビーム204、排気通路222、吸気口221、電池アレイ400、第1の端子101、第2の端子102、防爆弁103、長手方向クロスビーム600、幅方向クロスビーム500、動力電池パック10の長手方向A、動力電池パック10の幅方向B、動力電池パック10の高さ方向C、電池本体110の長さL、電池本体110の幅H、電池本体110の厚さD、車体の幅W、パック本体200の幅F
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示され、全体を通して同一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、若しくは同一又は類似する機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0057】
なお、本願の説明において、用語「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0058】
また、本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0059】
従来技術における動力電池パックの現状を考慮して、本願は、空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が高いなどの利点を有する動力電池パック及びそれを有する電気自動車を提供する。
【0060】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る動力電池パック10を説明し、動力電池パック10は、長手方向が矢印Aで示され、幅方向が矢印Bで示される。
【0061】
図13及び15に示すように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0062】
パック本体200の内部に収容空間が画定され、かつ少なくとも1つの中間クロスビームが設けられ、上記収容空間が、上記中間クロスビームによって少なくとも2つの収容チャンバーに分割され、上記複数の単電池100は、上記パック本体内に設けられ、かつ上記収容チャンバー内に配列され、各上記収容チャンバー内に、電池アレイを構成するように少なくとも1つの単電池100が配置され、上記パック本体200は、上記収容空間の両側に対向して設けられた第1のサイドビーム及び第2のサイドビームを含み、上記単電池100の長手方向においては、第1の端部及び第2の端部を有し、上記単電池100の配置は、前記第1のサイドビームが前記第1の端部を支持し、前記中間クロスビームが前記第2の端部を支持する方式、或いは、前記第1のサイドビームが前記第2の端部を支持し、前記中間クロスビームが前記第1の端部を支持する方式、或いは、隣接する2つの前記中間クロスビームがそれぞれ前記第1の端部と第2の端部を支持する方式、或いは、前記中間クロスビームが前記第1の端部を支持し、前記第2のサイドビームが前記第2の端部を支持する方式、或いは、前記中間クロスビームが前記第2の端部を支持し、前記第2のサイドビームが前記第1の端部を支持する方式のうちの少なくとも1つを選択する。
【0063】
本願の具体的な実施例によれば、上記中間クロスビームは、上記動力電池の幅方向に沿って延びる幅方向クロスビーム500である。
【0064】
本願の具体的な実施例によれば、上記中間クロスビームは、上記動力電池パックの長手方向に沿って延びる長手方向クロスビーム600である。
【0065】
幅方向クロスビーム500又は長手方向クロスビーム600について、幅方向クロスビーム500は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、長手方向クロスビーム600は、動力電池パックの長手方向Aに沿って延びる。上記収容空間は、幅方向クロスビーム500又は長手方向クロスビーム600によって複数の収容チャンバーに分割される。複数の単電池100は、パック本体200内に設けられ、かつ上記複数の収容チャンバー内に直接配置配列され、各上記収容チャンバー内に、電池アレイを構成するように少なくとも1つの単電池100が配置される。
【0066】
例えば、
図13及び15に示すように、パック本体200内に、幅方向クロスビーム500と長手方向クロスビーム600のうちの一種が設けられ、幅方向クロスビーム500は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、かつパック本体200内に動力電池パックの長手方向Aに沿って収容空間を複数の収容チャンバーに仕切っており、
図13に示すように、幅方向クロスビーム500は、収容空間を2つの収容チャンバーに仕切っており、各収容チャンバー内に、1つの電池アレイが対応して配置され、長手方向クロスビーム600は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って延び、かつパック本体200内に動力電池パックの幅方向Bに沿って収容空間を複数の収容チャンバーに仕切っており、
図15に示すように、長手方向クロスビーム600は、収容空間を2つの収容チャンバーに仕切っており、各収容チャンバー内に、1つの電池アレイが対応して配置される。複数の単電池100は、上記複数の収容チャンバー内に直接配置配列され、各上記収容チャンバー内に、電池アレイを構成するように少なくとも1つの単電池100が配置される。
【0067】
なお、上記直接配置配列における「直接」とは、収容チャンバー内の複数の単電池100が収容チャンバー内に取り付けられる前に、電池モジュールとして予め組み立てられず、組立過程において、複数の単電池100を収容チャンバー内に直接配置することにより、取付を実現することを指す。例えば、単電池100で形成された電池アレイには、端板及び側板などの構造が設けられない(例えば、
図1に示す構造であり、まず単電池を電池モジュールに構成し、次にパック本体内に入れる)。
【0068】
本願に係る動力電池パック10は、複数の単電池100をパック本体内の複数の収容チャンバー内に直接配置配列することにより、従来の電池パックにおける、電池モジュールを取り付ける様々な取付構造を除去し、パック本体200の内部空間の利用率を向上させ、パック本体200の内部の単電池100の体積の和を増加させ、換言すれば、単電池100の体積とパック本体200の体積との比を増加させ、一定の体積空間内に、より多くの単電池100を組み立てて、動力電池パック10のエネルギー密度を向上させることを実現する。同時に、組立過程が簡単で、工程が簡単であり、手間や物資などのコストを低減し、また、組立工程が少なくなり、動力電池パック10の組立過程において、不良品発生の確率を低減し、緩みが発生し、取付が強固にならない可能性が小さくなり、動力電池パックの品質を向上させ、かつ電池パックの安定性及び信頼性を向上させる。
【0069】
本願の具体的な実施例によれば、パック本体200内に、少なくとも1つの幅方向クロスビーム500が設けられ、単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って延び、かつ動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、即ち、上記収容チャンバー内の単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って収容チャンバーの一側から他側まで延び、パック本体200及び幅方向クロスビーム500は、共に単電池100の長手方向での端部を支持する。
【0070】
動力電池パック10の長手方向Aにおいて、単電池100とパック本体200の端壁との間の間隔は、単電池100の長さよりも小さい。具体的には、動力電池パック10の長手方向Aにおいて、単電池100の一端とそれ(上記単電池100の一端)に隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L1であり、単電池100の他端とそれ(上記単電池100の他端)に隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L2であり、単電池100の長さL0は、L1+L2<L0を満たす。このように、動力電池パック10の長手方向Aにおいて、追加の別の単電池100を収容することができない。
【0071】
換言すれば、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aにおいて、各収容チャンバーが1つの単電池100のみを収容する。即ち、動力電池パック10の長手方向Aにおいて、単電池100は、2つ以上の数で同じ収容チャンバー内に該方向に配置することができない。
【0072】
本願の具体的な実施例によれば、上記第1のサイドビームと第2のサイドビームは、それぞれ動力電池パック10の幅方向Bでのパック本体200の両側の第1のビームと第2のビームであり、上記第1のビーム及び第2のビームは、動力電池パック10の長手方向に沿って延び、本願の具体的な実施例によれば、上記第1のサイドビームと第2のサイドビームは、それぞれ動力電池パック10の長手方向Aでのパック本体200の両側の第3のビームと第4のビームであり、上記第3のビーム及び第4のビームは、いずれも動力電池パック10の幅方向に沿って延び、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203及び第4のビーム204は、仕切り部材、絶縁部材、放熱部材又は防護仕切り板などであってよい。
【0073】
パック本体200内には、動力電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも2層の電池アレイが含まれる。これにより、単電池100の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0074】
本願のいくつかの具体例では、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置する第3のビーム及び第4のビームを含み、上記第3のビーム及び第4のビームは、単電池100の長手方向の端部を支持し、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置する第1のビーム及び第2のビームを含み、上記第1のビーム及び第2のビームは、それに隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。
【0075】
図15に示すように、パック本体200は、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203及び第4のビーム204を有し、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203及び第4のビーム204は、共に固定されて矩形枠を構成し、上記矩形枠と1つの底板は、収容空間を画定し、第1のビーム201と第2のビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bにおいて対向し、第3のビーム203と第4のビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aにおいて対向する。第3のビーム203及び第4のビーム204は、単電池100の長手方向での端部に支持力を提供する。第1のビーム201及び第2のビーム202は、単電池100の厚さ方向での両側に押圧力を提供し、即ち、第1のビーム201は、第1のビーム201に隣接して設けられた単電池100に対して第2のビーム202に向かう作用力を印加し、第2のビーム202は、第2のビーム202に隣接して設けられた単電池100に対して第1のビーム201に向かう作用力を印加することにより、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って第1のビーム201と第2のビーム202との間に緊密に配列し、複数の単電池100の間が互いに貼り合わせることができる。また、第1のビーム201及び第2のビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bにおいて複数の単電池100を位置規制し、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に対して緩衝作用を果たし、内向きの圧力を提供して、単電池100の膨張量及び変形量が大きすぎることを防止することができる。
【0076】
単電池100の長手方向においては、第1の端部及び第2の端部を有し、単電池100の配置は、第3のビーム203が単電池100の第1の端部を支持し、幅方向クロスビーム500が単電池100の第2の端部を支持する方式と、第3のビーム203が単電池100の第2の端部を支持し、幅方向クロスビーム500が単電池100の第1の端部を支持する方式と、隣接する2つの幅方向クロスビーム500がそれぞれ単電池100の第1の端部と第2の端部を支持する方式と、幅方向クロスビーム500が単電池100の第1の端部を支持し、第4のビーム204が単電池100の第2の端部を支持する方式と、幅方向クロスビーム500が単電池100の第2の端部を支持し、第4のビーム204が単電池100の第1の端部を支持する方式とのうちの少なくとも1つを選択する。
【0077】
本願のいくつかの具体例では、上記矩形枠と底板は、車両用トレイを形成し、第3のビーム203と第4のビーム204のそれぞれに、動力電池パックを車両に取り付ける吊り金具が設けられ、かつ上記吊り金具には、パック本体200の車両への取付のための取付孔が設けられる。
【0078】
本願の具体的な実施例によれば、パック本体200内に、少なくとも1つの長手方向クロスビーム600が設けられ、単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、かつ動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、即ち、上記収容チャンバー内の単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って収容チャンバーの一側から他側まで延び、パック本体200及び長手方向クロスビーム600は、共に単電池100の長手方向での端部を支持する。
【0079】
動力電池パック10の幅方向Bにおいて、単電池100とパック本体200の側壁との間の間隔は、単電池100の長さより小さく、具体的には、動力電池パック10の幅方向Bにおいて、単電池100の一端とそれ(上記単電池100の一端)に隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L3であり、単電池100の他端とそれ(上記単電池100の他端)に隣接する収容チャンバーの側壁との間の最近接距離は、L4であり、単電池100の長さL0は、L3+L4<L0を満たす。このように、動力電池パック10の幅方向Bにおいて、収容チャンバーは、追加の別の単電池100を収容することができない。
【0080】
換言すれば、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向Bにおいて、各収容チャンバーが1つの単電池100のみを収容する。即ち、動力電池パック10の幅方向Bにおいて、単電池100は、2つ以上の数で同じ収容チャンバー内に該方向に配置することができない。
【0081】
なお、動力電池パック10の幅方向Bにおいて、パック本体200の両側は、第1のビームと第2のビームであり、動力電池パック10の長手方向Aにおいて、パック本体200の両端は、第3のビームと第4のビームであり、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203及び第4のビーム204は、仕切り部材、絶縁部材、放熱部材又は防護仕切り板などであってよい。
【0082】
パック本体200内には、動力電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも2層の電池アレイが含まれる。これにより、単電池100の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0083】
本願のいくつかの具体例では、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置する第1のビーム及び第2のビームを含み、上記第1のビーム及び第2のビームは、単電池100の長手方向の端部を支持し、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置する第3のビーム及び第4のビームを含み、上記第3のビーム及び第4のビームは、それに隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。
【0084】
図13に示すように、パック本体200は、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203及び第4のビーム204を有し、第1のビーム201、第2のビーム202、第3のビーム203及び第4のビーム204は、共に固定されて矩形枠を構成し、上記矩形枠と1つの底板は、収容空間を画定し、第1のビーム201と第2のビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bにおいて対向し、第3のビーム203と第4のビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aにおいて対向する。第1のビーム201及び第2のビーム202は、単電池100の長手方向での端部に支持力を提供する。第3のビーム203及び第4のビーム204は、単電池100の厚さ方向での両側に押圧力を提供し、即ち、第3のビーム203は、第3のビーム203に隣接して設けられた単電池100に対して第4のビーム204に向かう作用力を印加し、第4のビーム204は、第4のビーム204に隣接して設けられた単電池100に対して第3のビーム203に向かう作用力を印加することにより、複数の単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って第3のビーム203と第4のビーム204との間に緊密に配列し、複数の単電池100の間が互いに貼り合わせることができる。また、第3のビーム203及び第4のビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aにおいて複数の単電池100を位置規制し、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に対して緩衝作用を果たし、内向きの圧力を提供して、単電池100の膨張量及び変形量が大きすぎることを防止することができる。
【0085】
単電池100の長手方向においては、第1の端部及び第2の端部を有し、単電池100の配置は、第1のビーム201が単電池100の第1の端部を支持し、長手方向クロスビーム600が単電池100の第2の端部を支持する方式、或いは、第1のビーム201が単電池100の第2の端部を支持し、長手方向クロスビーム600が単電池100の第1の端部を支持する方式、或いは、隣接する2つの長手方向クロスビーム600がそれぞれ単電池100の第1の端部と上記第2の端部を支持する方式、或いは、長手方向クロスビーム600が単電池100の第1の端部を支持し、第2のビーム202が単電池100の第2の端部を支持する方式、或いは、長手方向クロスビーム600が単電池100の第2の端部を支持し、第2のビーム202が単電池100の第1の端部を支持する方式のうちの少なくとも1つを選択する。
【0086】
本願のいくつかの具体例では、上記矩形枠と底板は、車両用トレイを形成し、第1のビーム201と第2のビーム202のそれぞれに、収容空間外に延びる吊り金具が設けられ、上記吊り金具には、パック本体200の車両への取付のための取付孔が設けられる。
【0087】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る動力電池パック10を説明する。
【0088】
図2~
図16に示すように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0089】
いくつかの実施例では、パック本体200は、トレイ210及び上部カバー220を含み、トレイ210及び上部カバー220は、共に複数の単電池100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設けられ、かつ上部カバー220によりカバーされる。該実施例では、トレイ210は、上側が開口したボックス本体であってよく、上部カバー220は、平板状であり、トレイ210の上側開口を密封し、業界の一般的な解決手段において、トレイ210は、上側が開口したボックス本体であり、上部カバー220は、それと対向する、下側が開口したボックス本体であり、トレイ210の上側開口は、上部カバー220の下側開口に対応し、組立時、両者を整列して内部収容空間に対するパッケージを実現する。
【0090】
当然のことながら、別のいくつかの特別な実施例では、例えば単電池全体の防水性能が高く、又はパック本体が電気自動車に直接形成される場合、上部カバーを設ける必要がなく、1つのトレイだけで複数の単電池で構成された電池アレイを支持すればよい。さらにいくつかの実施例では、パック本体において、その周囲に位置するサイドビーム又はフレームを設ける必要がなく、パック本体が、平板により近く、フレームがなく、単電池を該平板に直接的に設けるか、又は平板にクロスビームを設け、次にクロスビームで単電池を固定する。より具体的には、パック本体を、単電池を支持し、単電池で形成された電池アレイを電気自動車に取り付けるブラケットとして想定してよく、完全なパック本体に限定する必要がない。
【0091】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図2~
図16に示すように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0092】
複数の単電池100は、パック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の単電池100を収容するケースとして理解することができ、パック本体200の構造は、トレイ210及び上部カバー220を含んでよく、トレイ210及び上部カバー220は、共に複数の単電池100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設けられ、かつ上部カバー220によりカバーされ、即ち、上記複数の単電池100は、収容空間内に設けられる。上記複数の単電池100の体積の和V1と上記収容空間の容積V0は、81%≦V1/V0≦97%を満たす。
【0093】
当業者であれば理解できるように、V1は、各単電池100の体積と単電池100の数との積であり、即ち、V1は、複数の単電池100の総体積であり、V0とは、パック本体200の総体積から、トレイ底板、トレイ底板の周囲を囲む4つのフレーム及び上部カバーなどのケースの体積と、内部電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積とを除去して、実際に残される、単電池100、幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600を収容できる体積を指し、即ち、V0とは、パック本体200内に開設された、単電池100及び幅方向クロスビーム500又は長手方向クロスビーム600を収容する空間の体積を指す。
【0094】
本願の実施例の動力電池パック10によれば、単電池100の体積V1の和と収容空間の容積との割合、即ち、81%≦V1/V0≦97%を限定することにより、動力電池パック10の空間利用率を向上させ、動力電池パック10内に、より多くの単電池100を配置し、即ち、単位空間内に、より多くのエネルギー供給構造を配置するため、エネルギー密度を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0095】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図2~
図16に示すように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0096】
複数の単電池100は、パック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の単電池100を収容するケースとして理解することができ、例えば、トレイ210及び上部カバー220を含んでよく、トレイ210及び上部カバー220は、共に複数の単電池100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設けられ、かつ上部カバー220によりカバーされ、即ち、収容空間内に設けられ、上記収容空間は、底面を有し、該底面は、即ち収容空間を画定する底壁の部分である。複数の単電池100の上記底面への正射影の面積の和S1と上記底面の面積S0は、72%≦S1/S0≦88%を満たす。
【0097】
当業者であれば理解できるように、S1は、各単電池100の底面への正射影の面積と単電池100の数との積であり、S0は、底面の面積であり、なお、ここで底面の面積とは、底面の全体の平坦面積を指し、いくつかの凹凸構造の表面積を含まず、換言すれば、底面の水平面への正射影の面積として理解することができる。
【0098】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の底面への正射影の面積の和と底面の面積との割合、即ち、72%≦S1/S0≦88%を限定することにより、動力電池パック10の空間利用率を向上させ、動力電池パック10内に、より多くの単電池100を配置し、即ち、単位空間内に、より多くのエネルギー供給構造を配置するため、エネルギー密度を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0099】
本願のいくつかの具体例では、複数の単電池100の体積の和V1と動力電池パック10の体積V2は、V1/V2≧55%を満たす。
【0100】
当業者であれば理解できるように、V1は、各単電池100の体積と単電池100の数との積であり、V2は、動力電池パック10の外郭によって画定された立体形状の全体積であり、即ち、動力電池パック10の内部空間を含む体積であり、即ち、動力電池パック10の外郭によって空間上で囲まれた立体領域の体積である。V1/V2は、空間利用率として定義できる。
【0101】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の体積V1の和と動力電池パック10の体積との割合、即ち、V1/V2≧55%を限定することにより、動力電池パック10の空間利用率を向上させ、動力電池パック10内に、より多くの単電池100を配置し、即ち、単位空間内に、より多くのエネルギー供給構造を配置するため、エネルギー密度を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0102】
本願のいくつかの実施例では、単電池100の体積の和と動力電池パック10の体積との割合は、V1/V2≧60%を満たし、本願の別のいくつかの実施例によれば、単電池100の体積の和と動力電池パック10の体積との割合は、V1/V2≧62%を満たし、本願の別のいくつかの実施例によれば、単電池100の体積の和と動力電池パック10の体積との割合は、V1/V2≧65%を満たす。
【0103】
当業者であれば理解できるように、いくつかの要因の影響により、例えば、トレイの底部の衝突防止空間及び液冷システム、保温材料、絶縁保護材、熱安全補助部品、火炎排出及び排気通路、高圧配電モジュールなどを含む周辺部品がパック本体200の内部空間を占有するため、V1/V2の最大値は、一般的に80%であり、即ちV1/V2≦80%である。
【0104】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施例に係る動力電池パック10を説明し、動力電池パック10は、長手方向が矢印Aで示され、幅方向が矢印Bで示され、高さ方向が矢印Cで示される。
【0105】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図13に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は、動力電池パック10の長さAに沿って配列されることにより、動力電池パック10の空間利用率を55%、60%、62%、65%又はそれ以上に設定することに役立つ。
【0106】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図15に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100は動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列されることにより、動力電池パック10の空間利用率を50%、60%、62%、65%又はそれ以上に設定することに役立つ。
【0107】
本願のいくつかの具体的な実施例では、複数の単電池100は、複数の電池アレイ400に組み立てることができ、複数の電池アレイ400は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列されてもよく(
図6に示す)、動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列されてもよく(
図15に示す)、動力電池パック10の高さ方向Cに沿って多層構造を形成するように配列されてもよく(
図7に示す)、換言すれば、単電池100が動力電池パック10の幅方向Bに沿って延びるか又は長手方向Aに沿って延びるかにかかわらず、複数の単電池100は、いずれも動力電池パック10の高さ方向Cに沿って多層に配列することができる。当然のことながら、複数の電池アレイ400は、動力電池パック10の長手方向A及び高さ方向Cに沿って同時に配列されてもよく、動力電池パック10の幅方向A及び高さ方向Cに沿って同時に配列されてもよい。これにより、電池アレイ400の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。なお、本願の実施例における電池アレイ400には、端板及び側板等の構造が設けられない。
【0108】
従来技術において、単電池の寸法が小さく、長さが短く、単電池の対向する両端が、パック本体200′′における対向して設けられた2つの側壁に合わせることができないため、パック本体200′′内に、単電池の組立が容易になるように、長手方向クロスビーム600′及び幅方向クロスビーム500′(
図1に示す)を設ける必要がある。
【0109】
従来技術におけるパック本体200′′内に長手方向クロスビーム600′及び幅方向クロスビーム500′が設けられ、長手方向クロスビーム600′及び幅方向クロスビーム500′がパック本体200′′内の単電池を収容する大量の取付空間を占めるため、パック本体200′′の空間利用率が低く、一般的に、単電池の体積の和とパック本体200′′の体積との比は約40%であり、さらにより低く、即ち、従来技術におけるパック本体200′′内の約40%の空間のみに単電池を取り付けるため、パック本体200′′内に収容可能な単電池の数が限られ、動力電池パック10′全体の容量、電圧が制限され、動力電池パック10’の航続能力が低い。
【0110】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200内の長手方向クロスビーム及び幅方向クロスビームの使用を低減することにより、長手方向クロスビーム及び/又は幅方向クロスビームがパック本体200内に占める空間を低減し、パック本体200の空間利用率を向上させる一方、電池アレイ400内の端板及び側板の使用を低減し、端板及び側板がパック本体200に占める空間を低減することにより、パック本体200の空間利用率を向上させることができる。多くの単電池100をパック本体200内にできるだけ配置することにより、動力電池パック全体の容量、電圧及び航続能力を向上させる。
【0111】
また、パック本体200内の長手方向クロスビーム及び幅方向クロスビームの使用を低減するため、パック本体200の製造プロセスを簡略化し、単電池100の組立の複雑度を低減し、生産コストを低減する一方、パック本体200及び動力電池パック10全体の重量を軽減して、動力電池パック10の軽量化を実現する。特に、動力電池パック10が電気自動車に取り付けられる場合、電気自動車の航続能力を向上させ、電気自動車の軽量化を実現することもできる。
【0112】
本願のいくつかの具体例では、単電池100は、電池本体110(タブなどの小さな寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる)を含み、電池本体110の体積Vと電池本体110のエネルギーEは、V/E≦2000mm3・Wh-1を満たす。これにより、十分な放熱面積を保証して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積割合を低減することができ、複数の単電池100の動力電池パック10での配置のコンパクト化に役立つ。
【0113】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図9及び
図10に示すように、上記パック本体200は、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースと異なり、特に寸法及び荷重支持の態様において、パック本体200は、車両本体/車体と係合する、単電池100を収容し担持する構造を形成するように、車体と係合して接続された車両用トレイ210を含んでよく、該車両用トレイ210は、独立して製造される、単電池100を収容し取り付けるトレイである。単電池100を車両用トレイ210内に取り付けた後、該車両用トレイ210を締結具により車体に取り付けることができ、例えば、電気自動車のシャーシに吊り下げて、収容及び荷重支持の作用を果たす。
【0114】
動力電池パック10が、車両に使用される、電気エネルギーを提供する動力電池パックとして使用される場合、単電池100の長手方向を車体の幅方向、即ち車両の左右方向に沿うように配置してよく、この場合、単電池100の長さが車両の幅に合わせるように、単電池100の電池本体110の長さLは、600~2500であってもよく、本願の別のいくつかの実施例によれば、600mm~1500mmであってもよい。
【0115】
単電池100は各収容チャンバー内に、収容チャンバーの内側壁に対して垂直に設けられてもよく、傾斜して設けられてもよい。
【0116】
本願のいくつかの具体例では、
図8に示すように、パック本体200は、電気自動車に直接形成されてよく、即ち、パック本体200は、電気自動車の任意の適切な位置に形成される、単電池100を取り付ける装置である。例えば、パック本体200は、電気自動車のシャーシに形成されてよい。
【0117】
本願のいくつかの具体的な実施例では、動力電池パック10が電気自動車に配置される場合、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池と異なり、動力電池パック10は、電池管理システム(BMS)、電池コネクタ、電池サンプラー及び電池熱管理システムのうちの少なくとも1つなどの車両用電池に必要な部材を含み、動力電池パック10は、幅方向Bが車体の幅方向、即ち車両の左右方向に沿うとともに長手方向が車体の長手方向、即ち車両の前後方向に沿うように配置される。当然のことながら、本願は、これに限定されず、動力電池パック10を、幅方向Bが車体の長手方向に沿うとともに長手方向Aが車体の幅方向に沿うように配置してよい。
【0118】
当業者であれば理解できるように、単電池100の動力電池パック10内での方向配置及び動力電池パック10の電気自動車での方向配置は、異なる形式で組み合わせることができ、例えば、単電池100は、長手方向が動力電池パック10の幅方向Bに沿うように配置されてもよく、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置されてもよく、動力電池パック10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されてもよく、幅方向Bが車体の長手方向に沿うように配置されてもよく、さらに、例えば、動力電池パック10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されるか又は車体の長手方向に沿うように配置されるにかかわらず、単電池100は、長手方向が車体の幅方向に沿うように配置される。単電池100、動力電池パック10及び車体の相対的な配置方向は、実際の応用に応じて設定することにより、異なる要求を満たすことができる。
【0119】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る単電池100を説明する。
【0120】
以下の具体的な実施例では、長さL、幅H及び厚さDの単位は、いずれもミリメートル(mm)であり、表面積Sの単位は、平方ミリメートル(mm2)であり、体積Vの単位は、立方ミリメートル(mm3)であり、エネルギーEの単位は、ワット時(Wh)である。
【0121】
図5に示すように、本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110を含み、電池本体110は、タブなどの小さな寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる。電池本体110は、長さL、幅H及び厚さDを有する。
【0122】
電池本体110の長さLは、電池本体110の幅Hより大きく、電池本体110の幅Hは、電池本体110の厚さDより大きく、電池本体110の長さLと電池本体110の幅Hは、L/H=4~21を満たし、本願のいくつかの具体的な実施例では、電池本体110の長さLと電池本体110の幅Hは、L/H=9~13を満たす。
【0123】
電気自動車の開発において、単電池の電圧プラットフォームに対する要求が予め決められているため、単電池の体積は一定値になり、即ち、ある電圧プラットフォームに達する場合、同じ化学系材料を使用する上で、その単電池に収容された材料の量が一定であるため、体積は一定である。本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110の長さLと幅Hとの比を設計することにより、一定の体積で電池本体110を合理的に扁平化することができ、動力電池パック内での全体的な配列に役立つ(例えば、本願の上記実施例に係る動力電池パック10の配列を実現する)ことにより、動力電池パックの空間利用率を向上させ、動力電池パックのエネルギー密度を向上させて、動力電池パックの航続能力を向上させる一方、単電池100が十分に大きな放熱面積を有することを保証し、内部の熱量をタイムリーに外部に伝導して、熱量が内部に集まることを防止することにより、高いエネルギー密度に適合し、航続能力の向上をサポートすることができる。
【0124】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、単電池100の動力電池パック内での配列を最適化し、単電池100の放熱能力を向上させるために、電池本体110の長さLと厚さDは、L/D=23~208を満たし、本願の別のいくつかの具体的な実施例によれば、電池本体110の長さLと厚さDは、L/D=50~120を満たす。
【0125】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図5に示すように、電池本体110は、一定の構造強度を有するように、外面が平滑な直方体形状に構成され、例えば、電池用電極体を角型電池ケース内に入れ、蓋板で電池ケースの開口部分を密封し、電解液を注入する。アルミプラスチック複合膜の電池と比較して、本願の実施例に係る単電池100は、熱伝導性能が高く、従来の電池熱管理構造と組み合わせて、大きな寸法の構造による放熱問題を効果的に回避することができる。円筒型電池と比較して、空間利用率がより高く、製造組立プロセスがより簡単である。
【0126】
本願の実施例に係る単電池100が動力電池パック10のパック本体200内に配置される場合、電池本体110は、長手方向及び厚さ方向が水平方向に沿って延び、幅方向が垂直方向に沿って延びることができ、即ち、単電池100が縦に立てて配置され、該水平方向及び垂直方向は、いずれも動力電池パック10を使用する場合(例えば、電気自動車に適用する場合)の方向を基準とする。
【0127】
本願のいくつかの具体例では、単電池100の動力電池パック10内での配列を最適化することにより、エネルギー密度を向上させて航続能力を向上させ、パック本体200の限られた空間内に、電池本体110をよりコンパクトに配列し、エネルギーをより集中させるために、単電池100の他のパラメータを設計する。
【0128】
本願のいくつかの実施例によれば、電池本体110の長さLと電池本体110の体積Vは、L/V=0.0005mm-2~0.002mm-2を満たし、例えば、L/V=0.00045mm-2~0.0015mm-2を満たし、本願のいくつかの実施例によれば、電池本体110の幅Hと電池本体110の体積Vは、H/V=0.0001mm-2~0.00015mm-2を満たし、本願のいくつかの実施例によれば、電池本体110の厚さDと電池本体110の体積Vは、D/V=0.0000065mm-2~0.00002mm-2を満たす。これにより、一定の体積の電池本体110に対して、長さL、幅H及び厚さDのそれぞれと体積Vとの割合を設計することにより、単位数量のエネルギーの空間での分布を最適化し、このように、パック本体200内での配置に役立つ。
【0129】
本願のいくつかの実施例では、電池本体110の長さLと電池本体110の表面積Sは、L/S=0.002mm-1~0.005mm-1を満たし、電池本体110の長さLと電池本体110のエネルギーEは、L/E=0.8mm・Wh-1~2.45mm・Wh-1を満たし、本願のいくつかの実施例によれば、電池本体110の長さLと電池本体110のエネルギーEは、L/E=1.65mm・Wh-1~2.45mm・Wh-1を満たす。このように、単電池100がその長手方向にパック本体200の対向する両辺を跨ぐことに役立つことにより、動力電池パック10の航続能力を向上させ、かつ単電池100の構造強度及び放熱効果を両立させる。
【0130】
本願のいくつかの他の例では、電池本体110の表面積Sと電池本体110の体積Vは、S/V=0.1mm-1~0.35mm-1を満たす。これにより、十分な放熱面積を保証して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積割合を低減することができ、複数の単電池100の動力電池パック10での配置のコンパクト化に役立つ。
【0131】
電池本体110の表面積Sと電池本体110のエネルギーEは、S/E≦1000mm・Wh-1を満たす。このように、単電池100の表面の放熱面積が十分であり、特に三元又は高ニッケル三元正極材料を採用する場合、電池内部の熱量をタイムリーに伝導することを保証でき、電池の安全に役立つ。また、本願の実施例における単電池100は、外面が平滑な角型電池であり、一定の構造強度を有し、金属熱伝導性が良好であり、波形により表面積を増加させる電池と比較して、プロセス及び後期の組立の難度が小さい。
【0132】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図5に示すように、単電池100は、第1の端子101及び第2の端子102をさらに含む。
【0133】
第1の端子101は、電池本体110の長手方向での一端に設けられ、第2の端子102は、電池本体110の長手方向での他端に設けられる。換言すれば、単電池100の長手方向は、単電池100の内部の電流方向であってよく、即ち、単電池100の内部の電流方向は、矢印Bにより示すとおりである。このように、電流方向が単電池100の長手方向と同じであるため、単電池100の有効放熱面積がより大きく、放熱効率がより高い。ここで、第1の端子101は、単電池100の正極タブに接続され、第2の端子102は、単電池100の負極タブに接続され、或いは、第1の端子101は、単電池100の負極タブに接続され、第2の端子102は、単電池100の正極タブに接続される。
【0134】
本願のいくつかの具体例では、
図5に示すように、単電池100は、防爆弁103をさらに含む。
【0135】
防爆弁103は、電池本体110の長手方向での少なくとも1端に設けられる。単電池100が故障して膨張すると、その内部は、防爆弁103内の反転シートを突き破るのに十分な気圧を有することにより、単電池100を短絡させ、単電池100の安全を保証し、単電池100が爆発することを防止することができる。
【0136】
当業者であれば理解できるように、防爆弁103を設けることは、アルミニウムケース電池だけでなく、パウチ電池にも適用することができ、また、防爆弁103は、電池本体110の端部以外の他の位置に設けられてよい。
【0137】
本願のいくつかの具体的な実施例では、電池本体110の長手方向での両端にぞれぞれ防爆弁103が設けられ、電池本体110の両端の防爆弁103は、異なる排気通路222により排気する。
【0138】
例えば、
図2、
図5及び
図11に示すように、単電池100の第1のビーム201に向かう第1の端部に防爆弁103が設けられ、第1のビーム201の内部に排気通路222が設けられ、各単電池100の防爆弁103に対応する第1のビーム201での位置にいずれも吸気口221が設けられ、吸気口221が排気通路222に連通し、パック本体200に排気通路222に連通する排気孔が設けられ、及び/又は
単電池100の第2のビーム202に向かう第2の端部に防爆弁103が設けられ、第2のビーム202の内部に排気通路222が設けられ、各単電池100の防爆弁103に対応する第2のビーム202での位置にいずれも吸気口221が設けられ、吸気口221が排気通路222に連通し、パック本体200に排気通路222に連通する排気孔が設けられる。
【0139】
従来技術において、単電池の使用過程において、その内部の気圧がある程度まで上昇すれば、防爆弁が開き、単電池の内部の火炎、煙又はガスが防爆弁を通って排出され、動力電池パックの内部に集まり、タイムリーに排出できなければ、単電池に対して二次的な損傷を与える。本願の実施例では、第1のビーム201及び/又は第2のビーム202に、単電池100の防爆弁103に対応する吸気口221が設けられ、かつ第1のビーム201及び/又は第2のビーム202の内部に排気通路222が設けられるため、単電池100の内部の気圧が上昇すると、その防爆弁103が開き、その内部の火炎、煙又はガスなどが直接的に吸気口221を通って第1のビーム201及び/又は第2のビーム202内の排気通路222に入り、かつ排気孔を通って第1のビーム201及び/又は第2のビーム202から排出され、例えば、排気孔を通って大気中に排出され、このように、該火炎、煙又はガスがパック本体200の内部に集まらないことにより、火炎、煙又はガスが単電池100に対して二次的な損傷を与えることを回避する。
【0140】
また、複数の単電池100における各単電池100は、一端が第1のビーム201内の排気通路222により排気し、他端が第2のビーム202内の排気通路222により排気し、これにより、単電池100の両端は異なる通路により排気し、排気距離を増加させ、交差排気を形成することにより、温度を低減することができる。
【0141】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る電気自動車1を説明し、該電気自動車は、動力電池パックを使用して電気エネルギーを提供することにより、走行を駆動する必要がある商用車、特種車、電動自転車、電動バイク、電動スクーターなどの電気自動車を含んでよい。
【0142】
図9及び
図10に示すように、本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例に係る動力電池パック10を含み、パック本体200は、電気自動車に一体成形されてもよく、独立して製造される、単電池100を収容し取り付ける車両用トレイであってもよい。
【0143】
本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例に係る動力電池パック10を利用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0144】
本願のいくつかの具体的な実施例では、
図9及び
図10に示すように、動力電池パック10は、電気自動車1の底部に設けられ、パック本体200は、電気自動車1のシャーシに固定接続される。電気自動車1のシャーシでの取付空間が大きいため、動力電池パック10を電気自動車1のシャーシに設けることにより、単電池100の数をできるだけ増加させて、電気自動車1の航続能力を向上させることができる。
【0145】
本願のいくつかの具体例では、
図9及び
図10に示すように、電気自動車1は、電気自動車1の底部に設けられた1つの動力電池パック10を含み、パック本体200は、電気自動車1のシャーシに固定接続され、動力電池パック10は、幅方向が電気自動車1の車体の幅方向、即ち電気自動車1の左右方向に沿うとともに長手方向が電気自動車1の車体の長手方向、即ち電気自動車1の前後方向に沿うように配置される。他の実施例では、電気自動車1は、電気自動車1の底部に設けられた複数の動力電池パック10を含んでよく、該複数の電池パック10の形状及び寸法は、同じであっても異なってもよく、各動力電池パック10は、電気自動車1のシャーシの形状及び寸法に応じて調整でき、複数の動力電池パック10は、車体の長手方向、即ち前後方向に沿って配列される。
【0146】
本願のいくつかの具体例では、パック本体200の幅Fと車体の幅Wとの比は、50%≦F/W≦80%を満たす。本願の別のいくつかの実施例では、上記動力電池パックの幅方向での上記電池本体の長さLと車体の幅Wは、46%≦L/W≦76%を満たす。上記実施例では、車体の幅方向に沿って1つのパック本体200のみを設けることで実現することができ、パック本体200が複数である場合、複数のパック本体200は、車体の長手方向に沿って配列される。一般的には、大部分の車両にとって、車体の幅Wが500mm~2000mm、例えば500mm、1600mm、1800mm、2000mmであり、車体の長さが500mm~5000mmであり、乗用車にとって、乗用車の幅が一般的に500mm~1800mmであり、車体の長さが500mm~4000mmである。
【0147】
本願のいくつかの他の実施例では、パック本体200の幅Fは、500mm~1500mmであり、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースよりはるかに大きく、CN107925028Aのような組電池の電池アレイ400を収容し、航続能力を保証し、かつ車体の寸法に適合することに役立つ。
【0148】
本願のいくつかの具体例では、単電池100は、電池本体110を含み、電池本体110の長さLと車体の幅Wとの比は、46%≦L/W≦76%を満たす。本実施形態では、車体の幅方向に沿って1つの単電池100のみを設けることで実現することができる。他の可能な実施形態では、このような寸法要求を満たす場合、長手方向に複数の電池アレイ400又は複数の単電池100を設けることで実現することができる。いくつかの実施例として、電池本体110の長さLは、600mm~2500mmである。
【0149】
当業者であれば理解できるように、本願のいくつかの他の実施例では、動力電池パック10は、幅方向が電気自動車1の車体の幅方向に沿うとともに長さ方向が電気自動車1の車体の長手方向に沿うように配置されてよく、該実施例では、パック本体200の幅Fと車体の幅Wとの比及び電池本体110の長さLと車体の幅Wとの比は、対応して調整される。
【0150】
本願の実施例に係る単電池100、動力電池パック10及び電気自動車1の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であるため、ここで詳細に説明しない。
【0151】
以下、比較例1及び実施例1~3、比較例2及び実施例4~5、比較例3及び実施例6~7により説明し、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の配列及び寸法パラメータなどを設計することにより、エネルギー密度などの態様で向上する。
【0152】
以下の実施例及び比較例では、いずれも電力が73kwhのリン酸鉄リチウム電池を例とする。
【0153】
比較例1及び実施例1~3では、動力電池パックの総体積は、213Lであり、パック本体の長さ=1380、幅=1005、厚さ=13であり、トレイ及び上部カバーなどのケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との和は、58Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方向クロスビームを収容できる体積は、155Lである。
【0154】
比較例1
従来技術における動力電池パック10′は、
図1に示すように、パック本体200′′内に、2つの幅方向クロスビーム500′及び1つの長手方向クロスビーム600′が設けられ、2つの幅方向クロスビーム500′及び1つの長手方向クロスビーム600′が、単電池を6つの組電池400′に仕切っており、各組電池400′が、いずれも組電池のケースを有する。
【0155】
実施例1
本願の実施例に係る電池パック10において、
図12に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100が動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの幅方向Bにおいて2つの単電池100を収容する。パック本体200内に、1つの幅方向クロスビーム500及び1つの長手方向クロスビーム600が設けられ、幅方向クロスビーム500は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、複数の単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、幅方向クロスビーム500は、電池アレイを動力電池パック10の長手方向Aに沿って2つの部分に分割する。また、複数の単電池100は、動力電池パックの幅方向Bに沿って2列の電池アレイとして配置され、長手方向クロスビーム600は、隣接する2列の電池アレイの間に位置する。動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の長手方向Aの両側に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【0156】
実施例2
本願の実施例に係る動力電池パック10において、
図13に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100が動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの幅方向Bにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体200内に1つの幅方向クロスビーム500が設けられ、長手方向クロスビーム600が設けられておらず、幅方向クロスビーム500は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、複数の単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、幅方向クロスビーム500は、電池アレイを動力電池パック10の幅方向Bに沿って2つの部分に分割する。動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の長手方向Aの両側に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【0157】
実施例3
本願の実施例に係る動力電池パック10において、
図14に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100が動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの幅方向Bにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体200内に幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600が設けられていない。動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【0158】
当業者であれば、上記比較例1と実施例1~3を比較して分かるように、従来技術における動力電池パック10′と比較して、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の配列、寸法パラメータ及び他の要因の設計により、空間利用率が従来の動力電池パックの制限を打破できることにより、より高いエネルギー密度を実現する。
【0159】
比較例2及び実施例4~5では、動力電池パックの総体積は、310Lであり、パック本体の長さ=1580、幅=1380、厚さ=137であり、トレイ及び上部カバーなどのケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との和は、89Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方向クロスビームを収容できる体積は、221Lである。
【0160】
比較例2
従来技術における動力電池パック10′は、
図1に示すように、パック本体200′′内に、2つの幅方向クロスビーム500′及び1つの長手方向クロスビーム600′が設けられ、2つの幅方向クロスビーム500′及び1つの長手方向クロスビーム600′が、単電池を6つの電池モジュール400′に仕切っており、各組電池400′が、いずれも側板及び端板を有する。
【0161】
実施例4
本願の実施例に係る動力電池パック10において、
図15に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パックの長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100が動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの長手方向Aにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体200内に1つの長手方向クロスビーム600が設けられ、幅方向クロスビーム500が設けられておらず、長手方向クロスビーム600は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って延び、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列されて電池アレイを形成し、長手方向クロスビーム600は、電池アレイを動力電池パック10の幅方向Bに沿って2つの部分に分割する。動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【0162】
実施例5
本願の実施例に係る動力電池パック10において、
図16に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パックの長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100が動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの長手方向Aにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体200内に幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600が設けられていない。動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【0163】
比較例3及び実施例6では、動力電池パックの総体積は、414Lであり、パック本体の長さ=2130、幅=1380、厚さ=137であり、トレイ及び上部カバーなどのケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との和は、58Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方向クロスビームを収容できる体積は、312Lである。
【0164】
実施例7では、動力電池パックの総体積は、508Lであり、パック本体の長さ=2630、幅=1380、厚さ=137であり、トレイ及び上部カバーなどのケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との和は、119Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方向クロスビームを収容できる体積は、389Lである。
【0165】
比較例3
従来技術における動力電池パック10′は、
図1に示すように、パック本体200′′内に、2つの幅方向クロスビーム500′及び1つの長手方向クロスビーム600′が設けられ、2つの幅方向クロスビーム500′及び1つの長手方向クロスビーム600′が、単電池を6つの組電池400′に仕切っており、各組電池400′が、いずれも組電池のケースを有する。
【0166】
実施例6及び実施例7
本願の実施例に係る動力電池パック10において、
図16に示すように、単電池100は、長手方向が動力電池パックの長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100が動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの長手方向Aにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体200内に幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600が設けられていない。動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【0167】
実施例1~7と比較例1~3の具体的なパラメータを表1に示す。
【0168】
【0169】
当業者であれば、上記比較例1と実施例1~3を比較して分かるように、従来技術における動力電池パック10′と比較して、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の配列、寸法パラメータ及び他の要因の設計により、空間利用率が従来の動力電池パックの制限を打破できることにより、より高いエネルギー密度を実現する。
【0170】
当業者であれば、上記比較例2と実施例4~5、比較例3と実施例6~7を比較して分かるように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の配列、寸法パラメータ及び他の要因の設計により、空間利用率が従来の動力電池パックの制限を打破できることにより、より高いエネルギー密度を実現する。また、このようなエネルギー密度の向上は、動力電池パックの全体積の上昇に伴って拡大され、即ち、動力電池パックの体積が大きいほど、本願の実施例の技術手段によるエネルギー密度の向上効果が顕著となる。
【0171】
本明細書の説明において、用語「具体的な実施例」、「具体例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0172】
本願の実施例を例示し説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原則及び主旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその等価範囲で限定される