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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240605BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20240605BHJP
【FI】
H04N5/64 511F
A63F13/25
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022020238
(22)【出願日】2022-02-14
(65)【公開番号】P2023117593
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 由佳
(72)【発明者】
【氏名】岡 透修
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健一
(72)【発明者】
【氏名】堅田(高久) 晴子
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 和彦
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-177324(JP,A)
【文献】特開2000-167228(JP,A)
【文献】特開2003-245429(JP,A)
【文献】特開2019-017557(JP,A)
【文献】特開2013-244733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
A63F 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に、
視認側に表示面が向けられた平板状の表示ユニットと、
前記表示面の視認側に少なくとも一部が配置され、流動物が収容され、前記筐体の所定の動作によって、前記表示面の視認側で前記流動物が流動可能に構成された透明タンクと、
前記表示ユニットにおける画像表示を制御する制御ユニットと、を備え、
前記透明タンクは、正立状態で見た場合に、前記流動物を貯留する貯留部と、前記貯留部から起立し前記貯留部に連通し前記表示面を視認側から被覆する起立部と、
を備えた、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記筐体が倒立状態にあるとき、前記表示面の少なくとも一部に前記流動物が視認側で重なって留まる、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記流動物は、可視光の少なくとも一部を透過可能である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記流動物は、液体である、ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記透明タンクは、前記表示面の全体を視認側から被覆している、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置の姿勢を検出する姿勢検出ユニットを更に備え、
前記制御ユニットは、前記姿勢検出ユニットによる検出結果に応じて、前記表示ユニットに表示させる画像を変化させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記筐体が正立状態か倒立状態かに応じて画像表示のモードを変更させる、ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記姿勢検出ユニットは、少なくとも鉛直方向の重力加速度成分を検出する、ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記筐体の視認側の面に操作子が設けられている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記透明タンクには前記流動物として液体が収容され、
前記透明タンクの栓は、正立状態で見た場合に、前記透明タンクの下側に位置し、
前記透明タンクと前記表示ユニットとの間には、前記透明タンクが視認側から嵌め込まれた支持枠が配置され、
さらに、前記支持枠は、正立状態で見た場合に、前記支持枠の下部は、前記透明タンクの下部背面、下部両側面及び下面を覆うように構成され、前記栓を覆う部分には栓収容部が形成され、前記栓収容部の床には、漏れた前記液体を排出する切欠きが形成され、前記切欠きには、前記筐体に設けた排出口が連通している、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術を利用するゲーム機等の様々な表示装置が数多く提案されている。こうした表示装置では、デジタル技術を利用して、利用者の操作入力に応じた、画像表示や音出力を行うことにより、利用者が楽しめるようになっている。
【0003】
一方、従来から、アナログ技術のみを利用する簡易な表示装置も提案されている(特許文献1参照;以下、「従来例」という)。この従来例の表示装置に関する技術は、例えば、哺乳瓶玩具に適用可能な技術であり、(A)下部に配置され、透明素材からなり、上端部が開口し、液体を収容する下部筒状容器と、(B)上部に配置され、不透明素材からなり、下端部が下部筒型容器と接合するとともに、所定量の液体を収容可能な上部容器と、を備える構成を採用している。
【0004】
かかる哺乳瓶玩具においては、正立状態では、乳を模した白色液体が下部筒状容器に収容されて、外部から可視となる。一方、当該哺乳瓶玩具を傾けると、当該液体が上部容器に移動して行く。この結果、当該哺乳瓶玩具を正立状態から傾けると、授乳の進行を模した外観を呈させることができる。なお、傾斜状態から正立状態に戻すと、上部容器内にあった液体が、下部筒状容器に戻るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案公告 平1-12869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来例の技術では、重力による液体の液面の推移というアナログ的に実現される変化態様を楽しむことができる。しかしながら、当該変化態様は単純なものである。
【0007】
一方、近年のデジタル技術を利用する表示装置では、視覚、聴覚に訴える変化態様を複雑なものとすることができる。しかしながら、当該変化態様は、全てが仮想世界におけるもので、現実感にかける傾向がある。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、液体と、デジタル技術による画像と、を組み合わせることにより、新たなテイスト効果を発揮することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の手段は、
筐体の内部に、
視認側に表示面が向けられた平板状の表示ユニットと、
前記表示面の視認側に少なくとも一部が配置され、流動物が収容され、前記筐体の所定の動作によって、前記表示面の視認側で前記流動物が流動可能に構成された透明タンクと、
前記表示ユニットにおける画像表示を制御する制御ユニットと、を備え、
前記透明タンクは、正立状態で見た場合に、前記流動物を貯留する貯留部と、前記貯留部から起立し前記貯留部に連通し前記表示面を視認側から被覆する起立部と、
を備えた、
ことを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段であって、前記筐体が倒立状態にあるとき、前記表示面の少なくとも一部に前記流動物が視認側で重なって留まる、ことを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第1又は第2の手段であって、前記流動物は、可視光の少なくとも一部が透過可能である、ことを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第3の手段であって、前記流動物は、液体である、ことを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第1~第4の手段のいずれかであって、
前記透明タンクは、前記表示面の全体を視認側から被覆している、ことを特徴とする。
【0015】
第6の手段は、第1~第5の手段のいずれかであって、
前記表示装置の姿勢を検出する姿勢検出ユニットを更に備え、
前記制御ユニットは、前記姿勢検出ユニットによる検出結果に応じて、前記表示ユニットに表示させる画像を変化させる制御を行う、
ことを特徴とする。
【0016】
第7の手段は、第6の手段であって、前記制御ユニットは、前記筐体が正立状態か倒立状態かに応じて画像表示のモードを変更させる、ことを特徴とする。
【0017】
第8の手段は、第6又は第7の手段であって、前記姿勢検出ユニットは、少なくとも鉛直方向の重力加速度成分を検出する、ことを特徴とする。
【0018】
第9の手段は、第1~第8の手段のいずれかであって、前記筐体の視認側の面に操作子が設けられている、ことを特徴とする。
【0019】
第10の手段は、第1~第9の手段のいずれかであって
前記透明タンクには液体が収容され、
前記透明タンクの栓は、正立状態で見た場合に、前記透明タンクの下側に位置し、
前記透明タンクと前記表示ユニットの間には、前記透明タンクが視認側から嵌め込まれた支持枠が配置され、
さらに、正立状態で見た場合に、前記支持枠の下部は、前記透明タンクの下部背面、下部両側面及び下面を覆うように構成され、前記栓を覆う部分には栓収容部が形成され、前記栓収容部の床には、漏れた前記液体を排出する切欠きが形成され、前記切欠きには、前記筐体に設けた排出口が連通している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1の手段によれば、例えば、倒立状態にした場合には、表示面の視認側で流動物が流動するので、表示面に表示されるデジタル画像というデジタル技術により生成される視認対象(以下、「デジタル視認対象」ともいう)と、アナログ的に流動する物像というアナログ的な視認対象(以下、「アナログ視認対象」ともいう)とを同時に視認可能とすることができる。
ここで、透明タンクに収容される流動物は液体のみならず固体であってもよい。また、流動物は、可視光の少なくとも一部が透過可能か否かも問わない。例えば、可視光が透過
できない固体であっても、白色のチップの場合には雪が降る様子、黒色のチップの場合には暗闇が迫る様子、青色のチップの場合には海の飛沫が掛かる様子などを表現できる。また、その他の色の場合には、場面を変更する垂れ幕を表現できる。
このように、アナログ的な変化態様と、デジタル技術による変化態様とを組み合わせることができ、新たなテイスト効果を発揮することができる。
また、第1の手段によれば、筐体の姿勢に応じて、貯留部内の流動物を起立部に移動させたり、起立部内の流動物を貯留部に移動させたりすることで、表示面と流動物とを重ねたり、表示面から流動物を退かせたりすることができる。
【0021】
第2の手段によれば、筐体が倒立状態にあるとき、表示面の少なくとも一部に流動物が視認側で重なって留まるので、雪が積もった状態、部屋の汚れた状態、風呂水が溜まった状態、水嵩が増した状態などを表現できる。
【0022】
第3の手段によれば、可視光の少なくとも一部が透過可能な流動物を用いているので、流動物を通して表示面の表示画像を重ねて視認することができる。
【0023】
第4の手段によれば、流動物が液体なので、固体を使用する場合に比べて、滑らかに流動するので、それに適した表現、例えば雨降りの様子、水中の様子などの表現を行うことができる。
【0024】
第5の手段によれば、透明タンクが表示面の全体を視認側から被覆しているので、広い範囲で、アナログ的な変化態様と、デジタル技術による変化態様とを組み合わせることができる。
【0027】
第6の手段によれば、姿勢検出ユニットにより検出された表示装置の姿勢に応じた画像を表示面に表示させる。一方、表示装置の姿勢に応じて、アナログ視認対象である液体像も変化する。このため、デジタル視認対象の変化と、アナログ視認対象の変化の同期を図りつつ、視認対象を変化させることができる。
【0028】
第7の手段によれば、制御ユニットは、筐体が正立状態か倒立状態かに応じた画像表示のモードを変更させるので、正立状態か倒立状態かに適した興趣性の高い表示が可能となる。
【0029】
第8の手段によれば、姿勢検出ユニットは、少なくとも鉛直方向の重力加速度成分を検出するので、少なくとも鉛直下方方向に対する表示装置の姿勢に応じて、視認対象を変化させることができる。
【0030】
第9の手段によれば、筐体の視認側の面に操作子が設けられているので、筐体が正立状態か倒立状態かによらず操作子の操作が簡単に行えることになる。
【0031】
第10の手段によれば、正立状態のときに液体が漏れたとき、排出口から排出できるにで、漏れた液体が筐体内に留まることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の外観を説明するための斜視図である。
図2】表示装置の分解斜視図である。
図3】透明タンク、支持枠及び基板の斜視図である。
図4】支持枠の斜視図である。
図5】基板に搭載される回路要素を説明するためのブロック構成図である。
図6】表示装置の重力方向に対する姿勢に応じた視認領域における液体表面の変化を説明するための図である。
図7】処理制御ユニットが実行する処理の概要を説明するためのフローチャートである。
図8】待ち受け状態における視認領域内の画像例を説明するための図である。
図9】メニュー選択状態における視認領域内の画像例を説明するための図である。
図10】「掃除ゲーム」が開始された場合の視認領域内画像の変遷例を説明するための図である。
図11】「捕獲ゲーム」が開始された場合の視認領域内画像の変遷を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態を、図1図11を参照して説明する。なお、以下の説明及び図においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略するものとする。
【0034】
[構成]
図1(A)は、表示装置10の正面側から見た斜視図、図1(B)は、表示装置10の背面側から見た斜視図である。
【0035】
表示装置10の前面には、矩形の視認領域VRGが形成され、この視認領域VRGからは後述の表示ユニット25の表示面25Sを見通せるようになっている。また、表示装置10の前面には、正面視で左に操作ボタン15,15が設けられ、右に操作ボタン15,15が設けられている。
【0036】
ここで、操作ボタン15は、後述するメニュー選択画面(図9参照)に列挙されているゲーム中において選択候補ゲームとなっているゲームから、すぐ前に列挙されているゲームに選択候補ゲームを変化させるための選択戻りボタンである。また、操作ボタン15は、メニュー選択画面に列挙されているゲーム中において選択候補ゲームとなっているゲームから、すぐ次に列挙されているゲームに選択候補ゲームを変化させるための選択進めボタンである。
また、操作ボタン15は、実行中のゲームの進行を中止させる等を行わせるための実行キャンセルボタンである。また、操作ボタン15は、実行するゲーム(実行ゲーム)を決定させる等を行わせるための決定ボタンである。
【0037】
一方、表示装置10の後面には、中央部に、開閉可能又は取り外し可能な蓋部材19が装着されている。この蓋部材19を開放又は取り外すことにより、後述の乾電池BAT~BATを適宜に装着又は交換できるように構成されている。
【0038】
図2は、表示装置10の分解斜視図である。
この表示装置10は、外形が略同形の前部筐体11F及び後部筐体11Bを備え、この前部筐体11Fと後部筐体11Bとによって表示装置10の筐体が構成されている。
【0039】
前部筐体11Fには、前面上部に、上記視認領域VRGに対応する矩形の開口11Hが形成されている。また、正面視左に、操作ボタン15,15を貫通させるための対応する孔(符号省略)が設けられ、右に操作ボタン15,15を貫通させるための孔(符号省略)が設けられている。
【0040】
前部筐体11Fの前側には、透明パネル21及び装飾シート22が設置されている。
透明パネル21は、硬質のプラスチック板から構成され、前部筐体11Fの外形よりも僅かに小さな外形を有し、前部筐体11Fの縁に前側から嵌め込み可能となっている。この透明パネル21には、操作ボタン15~15を貫通させるための孔(符号省略)が形成されている。
また、装飾シート22は、紙製であり、表面には装飾絵柄が印刷されている。この装飾シート22には、上記視認領域VRGに対応する矩形の開口22Hが形成されている。この装飾シート22には、操作ボタン15~15を貫通させるための孔(符号省略)が形成されている。この装飾シート22は、前部筐体11Fの前面と透明パネル21との間に挟み込まれる。
【0041】
一方、表示装置10内には、前部筐体11Fの直後に透明タンク23が支持枠35に支持されて設置されている。透明タンク23は、少なくとも後述の表示面25Sと重なる部分が透明となっていればよい。
図3は、透明タンク23、支持枠35及び基板24の斜視図、図4は、支持枠35の斜視図である。
透明タンク23は、正面視で縦長長方形、右側面視で肉厚のL字型となっている。このタンク23は、本実施形態では、耐水性の透明プラスチック材料から成る容器であり、水漏れを防止するため、例えば、一体成型により形成されている。この透明タンク23には、例えば、内部空間に液体(本実施形態では、「着色も混入物もない水」)が収容され、栓32(図4参照)がされている。透明タンク23を正立させたとき、栓32は透明タンク23の下方に位置する。
この透明タンク23は、下部の液溜め部である貯留部23aと、貯留部23aの前部から直立する起立部23bとを有する。
貯留部は、液体を溜めておく部分であり、例えば、透明タンク23の正立状態で貯留部23aを満たす程度の液体が入れられている。そして、透明タンク23を逆さにしたときには、例えば、液体は起立部23bを満たすようになっている。
【0042】
支持枠35は、正面視で、縦長長方形となっており、透明タンク23よりも僅かに大きい外形を有している。支持枠35には後壁35aが設けられ、この後壁35aの前側に、透明タンク23を嵌め合わせるための第1凹部が形成されている。
後壁には、視認領域VRGに対応して矩形の開口35Hが形成されている。また、後壁の下部には、後方に張り出す膨出部が形成され、この膨出部には、透明タンク23の貯留部23aに対応する第2凹部(符号省略)が形成されている。そして、透明タンク23は、前方から第1凹部及び第2凹部に嵌り込む。
また、支持枠35の底壁は、栓32に対応する部分が盛り上がり、その盛り上がり部分35bは二重底となっていて、そこには、切欠き35cが形成されている。そして、透明タンク23が第1凹部及び第2凹部に嵌り込んだ際、二重底の底同士の間(栓収容部)に栓32が嵌り込む。なお、前部筐体11Fの底壁には、栓32の下方となる部分に排出口(図示せず)が形成されている。
この結果、透明タンク23が正立した状態で、栓32付近で液漏れが発生したときに、液体は前部筐体11Fの孔から下方に落ちる。
さらに、透明タンク23と支持枠35との間には、シール部材33~333が設けられている。シール部材33~33は、接着剤等により、透明タンク23に固定されている。このうち平帯状のシール部材33は、透明タンク23の上縁部と支持枠35の天壁との間に介装されている。また、L字状のシール部材33は、透明タンク23の左縁部及び下縁部と支持枠35の左壁及び底壁との間に介装されている。さらに、逆L字状のシール部材33は、透明タンク23の右縁部及び下縁部と支持枠35の右壁及び底壁との間に介装されている。なお、シール部材332,33の一端は盛り上がり部分35bの側壁に当接している。
この結果、透明タンク23が倒立した状態で、栓32付近で液漏れが発生したときに、シール部材33~33によって基板24側への液漏れが遮断される。
【0043】
支持枠35の直後には、表示ユニット25が搭載された基板24が設けられている。
基板24には、表示面25Sは前向となるように表示ユニット25が前面側に配置されている。
基板24には、表示ユニット25の外、後述する回路要素群50(図5参照)が搭載されている。また、基板24には、回路要素間等の配線パターンが形成されている。
【0044】
なお、操作ボタン15~15の電気的な接点部は、基板24の配線パターンに電気的に接続されるようになっている。
また、基板24は、透明タンク23を支持する支持枠35と一緒に前部筐体11Fに螺着されている。
【0045】
一方、後部筐体11Bの内側には、電池収納部26が形成され、この電池収納部26には乾電池BAT~BATが収納されている。
【0046】
[回路要素群50の構成]
上述した回路要素群50は、図5に示されるように、処理制御ユニット51と、記憶ユニット52と、センサーユニット53と、音出力ユニット54とを備えている。
【0047】
なお、表示ユニット25及び回路要素群50には、は、電池収納部26に収納された乾電池BAT~BATから、基板24に形成された配線パターンを介して、動作電力が供給される。
【0048】
処理制御ユニット51は、本実施形態では、中央処理装置及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御ユニット51は、様々なプログラムを実行することにより、表示装置10としての機能を実現する。なお、処理制御ユニット51が実行する処理については、後述する。
【0049】
記憶ユニット52は、不揮発性の記憶素子を備えて構成されている。この記憶ユニット52には、表示装置10で利用される様々な情報データが含まれている。こうした情報データには、処理制御ユニット51が実行するプログラムデータ等が含まれている。なお、記憶ユニット52には、処理制御ユニット51がアクセス可能となっている。
【0050】
センサーユニット53は、本実施形態では、3軸加速度センサを備えている。センサーユニット53による検出結果は、処理制御ユニット51へ送られる。このため、処理制御ユニット51は、各時刻における表示装置10の重力方向に対する3次元姿勢を把握することができる。また、処理制御ユニット51は、表示装置10を振った回数をカウントすることができる。
【0051】
音出力ユニット54は、スピーカユニットを備えて構成されている。音出力ユニット54は、処理制御ユニット51から送られた出力音データを受ける。そして、音出力ユニット54は、当該出力音データに応じた音を出力する。このため、処理制御ユニット51は、ガイダンス音、演出音等の出力音を適宜出力させることができる。
【0052】
なお、表示ユニット25は、処理制御ユニット51から送られた画像データを受ける。そして、表示ユニット25は、当該画像データに応じた画像を表示面に表示する。このため、処理制御ユニット51は、表示装置10の姿勢の変遷に応じた画像を適宜表示させることができる。
【0053】
[動作]
次に、上記のように構成された表示装置10の動作について説明する、
【0054】
<表示装置10の姿勢変化に応じた、視認領域VRG内の液面の変化>
まず、表示装置10の姿勢変化に応じた、視認領域VRG内の液面の変化について説明する。
【0055】
図6(A)に示されるように、表示装置10が正立した状態が第1所定時間にわたって継続した場合には、液面(水面)LSの位置は、表示面25Sの下端位置付近となる。液面LSは平面となるが、ここでは、見やすくするために波形で表示している。また、図6(B)に示されるように、表示装置10が倒立した状態が第2所定時間にわたって継続した場合には、視認領域VRG内の液面LSの位置は、表示面25Sの上端位置付近となる。
【0056】
図6(A)の姿勢から図6(B)の姿勢に変化させた場合には、第1所定時間以下の期間にわたって、液面LSが図6(A)の位置から図6(B)の位置に徐々に変化する。一方、図6(B)の姿勢から図6(A)の姿勢に変化させた場合には、第2所定時間以下の期間にわたって、液面LSが図6(B)の位置から図6(A)の位置に徐々に変化する。
【0057】
なお、表示装置10を傾斜させた場合には、液面LSは、傾斜量に応じた所定位置へ徐々に変化していく。
【0058】
[処理制御ユニット51において実行される処理]
次いで、処理制御ユニット51において実行される処理について説明する。
【0059】
処理制御ユニット51は、動作電力の供給が開始されると、所定の初期化処理の後に、図7に示される処理を開始する。この図7に示すように、処理制御ユニット51は、ステップS11において、待ち受け画像を表示面25に表示させる。こうした待ち受け画像を含む視認領域VRGの視認画像の例が、図8に示されている。
【0060】
図8の画像例では、表示面25Sに、待ち受け画像に重ねてガイダンス画像が表示されるようになっている。なお、図8の画像例は、上述した図6(A)の姿勢の場合の画像例となっている。
【0061】
本実施形態では、処理制御ユニット51は、待ち受け画像に重ねてガイダンス画像を表示させている期間にわたって、待ち受け効果音及びガイダンス音を出力させる。
【0062】
待ち受け画像の表示中に、操作ボタン15又は15(以下、総称して「選択ボタン」とも記す)が押下されると、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、処理制御ユニット51は、実行ゲームが決定されたか否かを判定する。
【0063】
ステップS12では、処理制御ユニット51は、まず、ゲーム選択用画像を表示面25Sに表示させる。こうしたゲーム選択用画像を含む視認領域VRGの視認画像の例が、図9に示されている。なお、図9の画像例は、上述した図6(A)の姿勢の場合の画像例となっている。
【0064】
図9の画像例では、選択可能なゲームが列挙されるとともに、操作ボタン15を押下すれば、実行ゲームに決定されるゲーム(選択候補ゲーム;図9では、「ゲームB」)がハイライト表示されている。この状態で操作ボタン15が押下されると、処理制御ユニット51は、選択候補ゲームを「ゲームA」に遷移させるとともに、ハイライト表示対象を「ゲームA」に変化させる。一方、図9の表示状態で操作ボタン15が押下されると、処理制御ユニット51は、選択候補ゲームを「ゲームC」に遷移させるとともに、ハイライト表示対象を「ゲームC」に変化させる。このステップS12の処理は、操作ボタン(決定ボタン)15が押下されるまで、繰り返される。
【0065】
なお、この場合、処理制御ユニット51は、図9の表示を行う前に、表示装置10の姿勢を検出することとしてもよい。表示装置10が正立姿勢の場合には、例えば、水に関係のない陸上又は空中の情景、例えば部屋の中、山、街中、空などの情景を伴うモードのゲームを提示する。一方、表示装置10が倒立姿勢の場合には、例えば、水に関係する情景、例えば川中、海中、水中又は雨中などの情景を伴うモードのゲームを提示する。ゲーム開始時の情景だけをこのようにしてもよい。
或いは、処理制御ユニット51は、表示装置10が正立姿勢の場合と倒立姿勢の場合とに共通するテーマとするゲームを図9で提示(例えば「掃除ゲーム」などを提示)しておき、ステップS12の後に、表示装置10の姿勢を検出することとし、ステップS13でその姿勢に応じたゲームを実行することとしてもよい。
本実施形態では、選択可能なゲームとして、例えば、「掃除ゲーム」や「捕獲ゲーム」のように、表示装置10が正立姿勢の場合と倒立姿勢の場合とに共通するテーマとするゲームを提示している。
また、本実施形態では、処理制御ユニット51は、ゲーム選択用画像の表示期間にわたって、ゲーム選択効果音及びガイダンス音を出力させる。
【0066】
ゲーム選択用画像の表示中に操作ボタン(決定ボタン)15が押下されると、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、処理制御ユニット51が、決定された実行ゲームの処理を実行する。そして、実行ゲームの処理が終了すると、処理はステップS12へ戻る。以後、ステップS12,S13の処理が繰り返される。
【0067】
なお、実行ゲームの処理の終了要因には、実行ゲームの処理の最後までの実行終了に加えて、操作ボタン(キャンセルボタン)15の押下が含まれている。
【0068】
[掃除ゲーム]
次に、表示装置10が正立姿勢で「掃除ゲーム」が実行ゲームに決定された場合の処理を、主に図10の画像推移図を参照しつつ説明する。
【0069】
「掃除ゲーム」が実行ゲームに決定されると、例えば、現在、表示装置10が正立姿勢か倒立姿勢かが検出され、正立姿勢の場合、処理制御ユニット51は、まず、図10(A)の画像例で示されるような室内画像を表示面25Sに表示させる。本実施形態では、当該室内画像は、時間の経過とともに、室内が汚れていく様子を示す画像となっている。そして、室内がある程度以上汚れた状態となると、処理制御ユニット51は、室内画像に重ねて、ゲームを進行させるためのガイタンス画像(「さかさにして!」)を表示させる。また、処理制御ユニット51は、室内画像に応じた効果音及びガイダンス音を出力させる。
【0070】
「さかさにして!」のガイダンスに従って、利用者が表示装置10を倒立姿勢にすると、処理制御ユニット51は、図10(B)の画像例で示されるように液体で満たされた掃除モード画像を表示面25Sに表示させる。そして、ガイダンス(「ふって!」)に従って、利用者が表示装置10を所定時間振ると、処理制御ユニット51は、例えば、振った総数をカウントする。その後、図示はしないが、掃除モード画像に重ねてゲームを進行させるためのガイタンス画像(「さかさにして!」)を表示させる。また、処理制御ユニット51は、室内画像に応じた効果音及びガイダンス音を出力させる。
【0071】
引き続き、「さかさにして!」のガイダンスに従って、利用者が表示装置10を正立姿勢に戻すと、処理制御ユニット51は、利用者が表示装置10を振った総数に応じて汚れが除去された室内画像を表示させる。この後、第2所定時間が経過すると、処理制御ユニット51は、掃除ゲームの開始時と同様の室内画像を表示面25Sに表示させる。
【0072】
[捕獲ゲーム]
次に、表示装置10が倒立姿勢で「捕獲ゲーム」が実行ゲームに決定された場合の処理を、主に図11の画像推移図を参照しつつ説明する。
【0073】
「捕獲ゲーム」が実行ゲームに決定されると、例えば、現在、表示装置10が正立姿勢か倒立姿勢かを検出し、倒立姿勢の場合、処理制御ユニット51は、まず、図11(A)の画像例に示す水中画像を表示面25Sに表示させる。本実施形態では、当該水中画像は、時間の経過とともに、キャラクタが水中を遊泳していく様子を示す画像となっている。そして、水中をある程度遊泳すると貝殻に近付く。貝殻に近付くと、処理制御ユニット51は、水中画像に重ねて、ゲームを進行させるためのガイタンス画像(「さかさにして!」)を表示させる。また、処理制御ユニット51は、室内画像に応じた効果音及びガイダンス音を出力させる。
【0074】
「さかさにして!」のガイダンスに従って、利用者が表示装置10を正立姿勢にすると、表示ユニット25の表示面の前の液体が図11(B)の画像例で示されるように徐々になくなっていき、液体がなくなった所で、処理制御ユニット51は、図11(B)の画像例で示されるような陸上画像を表示面25Sに表示させる。陸上でキャラクタが貝殻に入っていれば、貝殻をゲットする。このようなゲームを数回繰り返す。
【0075】
[実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の表示装置10によれば、例えば、表示装置10を正立状態と倒立状態との間で回転させると、回転量に応じて、利用者により視認される液面LSの表示面25Sに対する相対的な位置が変化する。このため、当該表示面25Sに表示されるデジタル画像というデジタル技術により生成されるデジタル視認対象と、表示装置の回転によりアナログ的に変化する液体像というアナログ視認対象とを同時に視認可能とすることができる。これにより、表示に立体感が生じ、興趣性の高い表示装置10が実現できる。
【0076】
したがって、アナログ的な変化態様と、デジタル技術による変化態様とを組み合わせることができ、新たなテイスト効果を発揮することができる。
【0077】
また、表示装置10によれば、透明タンク23が表示面25Sの全体を視認側から被覆しているので、表示ユニット25の表示面25Sと液体とを広い領域で重ねることができる。
【0078】
また、表示装置10によれば、センサーユニット33を利用して検出された表示装置10の姿勢に応じた画像を表示ユニット25に表示させる。一方、表示装置10の姿勢に応じて、アナログ視認対象である液体像も変化する。このため、デジタル視認対象の変化と、アナログ視認対象の変化との同期を図りつつ、視認対象を変化させることができる。
【0079】
また、表示装置10によれば、センサーユニット33の検出結果を利用して、重力方向(鉛直下方方向)を把握できるので、少なくとも鉛直下方方向に対する表示装置10の姿勢に応じて、視認対象を変化させることができる。
【0080】
また、表示装置10によれば、表示装置10の姿勢に応じて、貯留部23a内の液体を起立部23bに移動させたり、起立部23b内の液体を貯留部23aに移動させたりすることができる。
【0081】
また、表示装置10によれば、液体収容ユニット31が一体成型により形成されているので、蒸散等による液体収容ユニット31内の液体の減少を有効に防止することができる。
【0082】
また、表示装置10によれば、シール部材33~33を備えているので、倒立状態にある場合に、透明タンク23からの液漏れが発生したとき、表示ユニット25及び回路要素群50の側への液漏れを遮断することができる。
【0083】
[実施形態の変形]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で様々な変形が可能である。
【0084】
上記の実施形態では、図6に例示した液面LSの位置は、実装されるゲームに応じた他の位置となるようにするようにしてもよい。例えば、図6(A)に示した姿勢の場合に、視認領域VRG内で液体画像が見えないようにしてもよい。また、図6(B)に示した姿勢の場合に、視認領域VRGの全領域が液体を介して見えるようにしてもよい。
【0085】
また、実施形態おける表示面25Sの表示画像はあくまで例示であって、他の画像としてもよい。また、実施形態おける効果音やガイダンス音の出力は適宜省略してもよい。
【0086】
また、実施形態では、表示装置10に実装されるゲームとして、「掃除ゲーム」及び「捕獲ゲーム」を例示したが、これらに代えて、又は、これらに加えて、他のゲームが実装されるようにしてもよい。
【0087】
また、実施形態では、表示装置10を正立状態と倒立状態のいずれも取ることを想定するゲームを例示したが、正立状態と倒立状態とに応じて行うゲームであってもよい。また、表示装置10に実装されるゲームとして、表示装置10を傾けた状態とすることを想定したゲームを実装するようにしてもよい。例えば、倒立状態では貯留部23aの液体が全部起立部23bに流れるが、表示装置10を傾け90度回転状態とした場合に貯留部23aから起立部23bに流れる液体量を少なくなるような構造にすることで、陸上と海(又は川や池)とを同時に表示し、魚を釣るゲームなどを行うことができ、遊びのバリエーションを広げることができる。
【0088】
また、液体収容ユニット31に収容される液体を、所定の透明度を確保可能な着色水としてもよい。また、液体収容ユニット31に収容される液体に、所定の透明度を確保可能な程度で比重が液体よりも大きい混入物を入れ雪や雨の降る様子を表示させたり、小型の浮遊物を含ませて魚が泳いでいる様子等を表示させたりしてもよい。さらに、水よりも粘性のある液体のり等を使用してもよい。この場合には、液体の動きが緩慢となるので、倒立させた場合、液体が流動するので、雨が降っている状況などを暫し楽しめることになる。
【0089】
さらに、上記実施形態では、表示装置10をゲーム装置としたが、置物としてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 表示装置
11F 前部筐体
11B 後部筐体
15~15 操作ボタン
21 透明パネル
22 装飾シート
23 透明タンク
24 基板
25 表示ユニット
25S 表示面
35 支持枠
50 回路要素群
51 処理制御ユニット(制御ユニット)
52 記憶ユニット
53 センサーユニット
54 音出力ユニット
BAT~BAT 電池
LS 液面
VRG 変化画像の視認領域
図1
図2
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図4
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図11