(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
G01K 1/143 20210101AFI20240605BHJP
【FI】
G01K1/143 ZHV
(21)【出願番号】P 2022112988
(22)【出願日】2022-07-14
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松島 知宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 豪
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 央恵
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-12809(JP,A)
【文献】特開2016-50882(JP,A)
【文献】特開2017-227555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、
前記センサ部を押圧することが可能な付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、
前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧部と、
前記押圧部に、前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧方向の一方側への付勢力を付与する付勢部と、
前記押圧方向の他方側への移動が規制された状態で保持部材に保持される被保持部と、
を備え、
前記被保持部は、前記押圧方向と交差する交差方向に弾性変形可能な係止片と、前記係止片に設けられ、前記押圧方向の他方側への移動が規制された状態で前記保持部材に係止される係止部と、を備え、
前記付勢部材には、前記係止片の前記交差方向への移動を規制し、前記係止部と前記保持部材との係止の解除を抑制する規制部が設けられている、
温度センサ。
【請求項2】
前記規制部は、前記押圧部に設けられ、前記係止部と前記保持部材との係止が解除される前に前記係止片を接触させることが可能な押圧部側規制壁を有する、
請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記規制部は、前記係止部に設けられ、前記交差方向で前記保持部材と対向する係止部側規制壁を有する、
請求項1または請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、
前記センサ部を押圧することが可能な付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、
前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧部と、
前記押圧部に、前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧方向の一方側への付勢力を付与する付勢部と、
前記付勢部を間に配置した状態で前記押圧部に係合する被保持部と、
を有する付勢部材モジュールを備えており、
前記付勢部材モジュールが、前記被保持部の前記押圧方向の他方側への移動が規制された状態で保持部材に保持されるように構成されている、
温度センサ。
【請求項5】
フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、
前記センサ部を押圧することが可能な付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、
前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧部と、
前記押圧部に、前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧方向の一方側への付勢力を付与する付勢部と、
前記押圧方向の他方側への移動が規制された状態で保持部材に保持される被保持部と、
を備え、
前記被保持部は、前記保持部材に対して前記押圧方向と交差する交差方向に相対的に移動させることができるように構成されており、
前記保持部材に対して所定の位置となるように前記被保持部を前記交差方向に相対的に移動させた状態で、前記付勢部によって前記押圧方向の他方側へ押圧されることで、前記被保持部が前記交差方向への移動が規制された状態で前記保持部材に保持されるようにした、
温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の温度センサとしては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1では、温度センサは、センサ部を押圧することが可能な付勢部材を備えており、付勢部材が、センサ部を被測定部に向けて押圧する押圧部と、押圧部を被測定部(下側)に向けて押圧する付勢部と、保持部材に保持されるカバーと、を備えている。
【0003】
また、特許文献1では、カバーが、水平方向に弾性変形可能な係止片と、係止片に設けられ、押圧方向の他方側(上下方向の上側)への移動が規制された状態で保持部材に係止される係止部と、を備えている。こうすることで、被測定部が位置する側とは反対側(上側)への係止部の移動が規制されるようにし、温度センサを被測定部により確実に接触させることができるようにしている。そして、温度センサを上述した構成とすることで、温度センサによる被測定部の測温性能が低下してしまうことを抑制することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示の構成でも、被測定部の測温性能が低下してしまうことを抑制することが可能であるが、被測定部の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制できるようにするのが好ましい。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、被測定部の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することが可能な温度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る温度センサは、フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、前記センサ部を押圧することが可能な付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧部と、前記押圧部に、前記センサ部を前記被測定部に向けて押圧する押圧方向の一方側への付勢力を付与する付勢部と、前記押圧方向の他方側への移動が規制された状態で保持部材に保持される被保持部と、を備え、前記被保持部は、前記押圧方向と交差する交差方向に弾性変形可能な係止片と、前記係止片に設けられ、前記押圧方向の他方側への移動が規制された状態で前記保持部材に係止される係止部と、を備え、前記付勢部材には、前記係止片の前記交差方向への移動を規制し、前記係止部と前記保持部材との係止の解除を抑制する規制部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る温度センサが配置される場所の一例を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る温度センサの取付構造を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る温度センサが備える付勢部材を示す分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る温度センサの取付構造を示す図であって、被測定部に接触させずに保持部材に保持させた温度センサを幅方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る温度センサの取付構造を示す図であって、被測定部に接触させずに保持部材に保持させた温度センサを前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る温度センサの取付構造を示す図であって、被測定部に接触させつつ保持部材に保持させた場合における温度センサを前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る温度センサの取付構造を示す図であって、被測定部に接触させつつ保持部材に保持させた状態で押圧部が上方に移動した場合における温度センサを前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図8】第1実施形態の変形例に係る温度センサの取付構造を示す図であって、被測定部に接触させつつ保持部材に保持させた場合における温度センサを前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図9】第1実施形態の変形例に係る温度センサの取付構造を示す図であって、被測定部に接触させつつ保持部材に保持させた状態で押圧部が上方に移動した場合における温度センサを前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る温度センサの取付構造を前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図11】第3実施形態に係る温度センサの取付構造を前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図12】第4実施形態に係る温度センサの取付構造の要部を前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図13】第5実施形態に係る温度センサの取付構造を前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図14】第6実施形態に係る温度センサが備える付勢部材モジュールを示す斜視図である。
【
図15】第6実施形態に係る温度センサの取付構造を前後方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図16】第6実施形態に係る温度センサの取付構造を幅方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図17】第7実施形態に係る温度センサの取付構造を示す斜視図である。
【
図18】第7実施形態に係る温度センサの取付構造を示す分解斜視図である。
【
図19】第7実施形態に係る温度センサの取付構造を幅方向に直交する面で切断した断面図である。
【
図20】第8実施形態に係る温度センサの取付構造を示す斜視図である。
【
図21】第8実施形態に係る温度センサの取付構造を示す分解斜視図である。
【
図22】第8実施形態に係る温度センサの取付構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る温度センサについて詳細に説明する。以下では、電動化車両(例えば、HV,PHV,EV,FCV等)に搭載される電池モジュールが備える単電池の温度を検知する温度センサを例示する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
また、以下では、単電池が下方に位置し、上方から温度センサを単電池に接触させた状態における上下方向を温度センサの上下方向と規定して説明する。そして、フレキシブル薄板状の電線が延在する方向を温度センサおよび保持部材の前後方向、フレキシブル薄板状の電線の幅方向を温度センサおよび保持部材の幅方向と規定して説明する。また、フレキシブル薄板状の電線の実装部側を前後方向の前方と規定して説明する。
【0011】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0012】
まず、本実施形態に係る温度センサ10が配置される場所の一例を
図1に基づき説明する。
【0013】
本実施形態に係る温度センサ10は、電気自動車やハイブリッド電気自動車等の電動化車両に搭載され、駆動源として使用される単電池(被測定部)30の温度を検知するためのセンサである。
【0014】
具体的には、複数個(本実施形態では28個)の単電池30を並設し、互いに隣り合う単電池30の図示省略した端子同士をバスバー40に接続させることで、複数個の単電池30を直列または並列接続させた電池パック(電池モジュール)Mを形成している。そして、電池パックMが備える複数個の単電池30のうちの一部の単電池30と接触するように温度センサ10を配置している。本実施形態では、3つの温度センサ10を、複数個の単電池30のうちの3つの単電池30にそれぞれ接触させている。なお、単電池30としては、例えば、リチウム電池を用いることができる。
【0015】
また、本実施形態では、3つの温度センサ10をフレキシブルプリント配線板(FPC)50に接続させている。そして、3つの温度センサ10で検知したそれぞれの単電池30の温度データが、コネクタ51を介してECU(Electrical Control Unit)に出力されるようになっている。このように、本実施形態では、フレキシブルプリント配線板(FPC)50を用いることで、電子部品の配置自由度を向上させつつ、電池パック(電池モジュール)Mに接続されるバスバーモジュールの低背化を図れるようにしている。
【0016】
また、温度センサ10は、バスバーモジュールが備えるハウジング(保持部材20)に保持された状態で、単電池30と接触するようにしている。すなわち、保持部材20に温度センサ10を保持させつつ、単電池30に温度センサ10を接触させることで、温度センサ10の取付構造1を形成している。
【0017】
以下では、温度センサ10の取付構造1の具体的な構成について説明する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、
図2~
図7を用いて第1実施形態に係る温度センサ10の取付構造1について説明する。
【0019】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1は、温度センサ10を、上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0020】
温度センサ10は、温度センサモジュール110と、温度センサモジュール110が上方から挿入保持されるケース120と、温度センサモジュール110を上方から押圧することが可能な付勢部材130と、を備えている。
【0021】
また、温度センサモジュール110は、
図4に示すように、フレキシブル薄板状の電線111と、フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられて単電池(被測定部)30の温度を検知するセンサチップ(センサ部)112と、を備えている。さらに、温度センサモジュール110は、センサチップ112の周囲に配置される枠状部材113と、枠状部材113とセンサチップ112との間に充填されてセンサチップ112を外部に露出しないように被覆する樹脂被覆部114と、を備えている。
【0022】
また、本実施形態では、フレキシブル薄板状の電線111として、フレキシブルプリント配線板(FPC)を用いている。そして、このフレキシブルプリント配線板(FPC)は、先端に設けられて、センサチップ112が実装される実装部1111と、実装部1111に連結されるケーブル1112と、を備えている。
【0023】
ケース120は、熱伝導率の高い材料(例えば、金属、金属酸化物、セラミック等)を用いて形成することができ、本実施形態では、金属を用いてケース120を形成している。この金属製のケース120は、
図4および
図5に示すように、略矩形板状の底壁121と、連結壁123を介して底壁121に連結された周壁122と、を備えており、上方に開口した略直方体の箱状をしている。
【0024】
また、幅方向の両側の周壁122には、前後方向に貫通する一対の貫通孔1221が形成されており、前後方向の後側の周壁122には、上方に開口して上下方向に延在する切り欠き1222が形成されている。一対の貫通孔1221は、付勢部材130の後述する押圧部131をケース120に固定するために設けられたものである。一方、切り欠き1222は、温度センサモジュール110をケース120内に挿入する際に、フレキシブル薄板状の電線111(ケーブル1112)が周壁122と干渉してしまわないようにするために設けられたものである。
【0025】
さらに、本実施形態では、底壁121の底面1211が単電池30に接触する接触面となっている。そして、付勢部材130によって温度センサモジュール110を下方(単電池30側)に向けて押圧することで、ケース120の底壁121が下方(単電池30側)に向けて押圧されるようにしている。こうすることで、底壁121の底面1211を、より確実に単電池30に接触させることができるようにしている。
【0026】
付勢部材130は、
図3に示すように、温度センサモジュール110およびケース120を単電池30に向けて押圧する押圧部131を備えている。また、付勢部材130は、押圧部131に、温度センサモジュール110およびケース120を単電池30に向けて押圧する下方(押圧方向の一方側)への付勢力を付与するスプリング(付勢部)132を備えている。さらに、付勢部材130は、上方(押圧方向の他方側)への移動が規制された状態で保持部材20に保持されるスプリング押さえ(被保持部)133を備えている。
【0027】
ここで、本実施形態では、押圧部131、スプリング132およびスプリング押さえ133がそれぞれ別体に形成されている。そして、別体に形成された押圧部131とスプリング押さえ133との間にスプリング132を介在させた状態で、スプリング押さえ133を保持部材20に保持させることで、温度センサ10の取付構造1が形成されている。
【0028】
保持部材20は、例えば、合成樹脂等の材料を用いて形成することができ、上下方向に貫通する空間Sが形成されている。そして、この空間S内に温度センサ10が挿入されるようになっている。具体的には、保持部材20は、上下方向に延在して前後方向で対向する前壁21および後壁22と、前壁21および後壁22の幅方向の両側に連設される一対の側壁23と、を備えている。
【0029】
本実施形態では、
図2に示すように、前壁21の幅方向の中央の上部には、前方に突出する突出壁部211が形成されており、この突出壁部211の内側の下端に、温度センサ10の押圧部131が上方から載置される載置部2111が形成されている。
【0030】
また、後壁22には、後方に突出する突出壁部221が形成されている。そして、この突出壁部221の幅方向の中央には、上方に開口するスリット2211が形成されており、このスリット2211にフレキシブル薄板状の電線111が上側から挿入されるようになっている。また、スリット2211の下端部には、ケーブル保持壁2212が形成されており、このケーブル保持壁2212によって、フレキシブル薄板状の電線111が撓んだ状態で保持されるようにしている。
【0031】
さらに、本実施形態では、突出壁部221には、温度センサ10の押圧部131が上方から載置される載置部2213が形成されている。このように、本実施形態では、上方から空間S内に挿入した押圧部131が、前壁21の載置部2111および後壁22の載置部2213によって保持部材20に保持されるようにしている。
【0032】
また、本実施形態では、一対の側壁23の前後方向の中央の上部には、幅方向の外側に突出する突出壁部231がそれぞれ形成されている。すなわち、保持部材20は、上部に形成されて幅方向の幅が比較的狭くなる幅狭部24と、幅狭部24の下部に形成されて、幅狭部24よりも幅方向の幅が広くなる幅広部25と、を備えている。さらに、本実施形態では、保持部材20は、幅狭部24の下端と幅広部25の上端とを連結する段差部26を備えており、この段差部26が、温度センサ10のスプリング押さえ133が係止される被係止部261となっている。
【0033】
押圧部131は、下部に形成されて幅方向の幅が比較的広くなる幅広部1311と、幅広部1311の上部に形成されて、幅広部1311よりも幅方向の幅が狭くなる幅狭部1312と、を備えている。さらに、押圧部131は、幅広部1311の上端と幅狭部1312の下端とを連結する連結傾斜部1313を備えている。
【0034】
そして、幅広部1311の中央部には、下方に延在して、温度センサモジュール110およびケース120を単電池30に向けて押圧する押圧片13111が形成されている。また、幅広部1311の幅方向の両側には、ケース120の貫通孔1221に係止される係止部13112がそれぞれ形成されている。
【0035】
さらに、本実施形態では、幅狭部1312の上端の中央部に、スプリング132が挿入保持される挿通孔1314が形成されている。また、幅狭部1312の上端の前後方向の両側に、前壁21の載置部2111および後壁22の載置部2213にそれぞれ載置される載置壁1315が形成されている。
【0036】
そして、温度センサモジュール110およびケース120を保持した状態で、押圧部131を上方から空間S内に挿入し、載置壁1315を載置部2111および載置部2213に載置させることで、押圧部131が保持部材20に保持されるようにしている。
【0037】
一方、スプリング押さえ133は、天壁1331と、天壁1331の幅方向の両端から下方に向けて延設され、幅方向(交差方向)に弾性変形可能な一対の係止片1332と、を備えている。そして、天壁1331の中心部には保持軸部13311が下方に延在するように形成されている。また、一対の係止片1332のそれぞれには、外方に向けて突出し、被係止部261に係止されるフック(係止部)1333が形成されている。このように、本実施形態では、スナップフィットによりスプリング押さえ133が保持部材20に保持されるようにしている。
【0038】
このスプリング押さえ133の保持部材20への保持は、下記に示す方法により行われる。まず、保持部材20に保持された押圧部131の挿通孔1314にスプリング132を挿入する。次に、スプリング押さえ133を上方から空間S内に挿入し、保持軸部13311をスプリング132に挿入した状態で、フック1333を被係止部261に係止させる。こうすることで、スプリング押さえ133が保持部材20に保持されるようにしている。
【0039】
このように、本実施形態では、保持部材20および温度センサ10を上述したような構成とすることで、各部品を上から順番に組み付けることで、温度センサ10の取付構造1が形成されるようにしている(
図4および
図5参照)。
【0040】
そして、温度センサ10の取付構造1を形成した後に、温度センサ10のケース120の底面1211を単電池30に接触させることで、センサチップ112が単電池30の温度を検知するようにしている。このとき、
図6に示すように、スプリング132が圧縮された状態でケース120の底面1211が単電池30に接触するようにしている。こうすることで、スプリング132の弾性復元力により下方に付勢された押圧部131によって温度センサモジュール110が下方に押圧されるようにし、より精度よく単電池30の温度を検知することができるようにしている。
【0041】
ここで、本実施形態では、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを、より確実に抑制することができるようにしている。
【0042】
先行技術文献で示した温度センサのように、押圧方向と交差する交差方向に弾性変形可能な係止片に係止部を設けた構成とすると、下記のような問題が発生する可能性があるためである。
【0043】
例えば、異物の上に搭載されたり振動したりすることで単電池30が押圧方向の他方側へ移動して付勢部材130に大きな荷重がかかった場合、
図7に示すように、係止片1332が弾性変形して、下端側が幅方向の内側に移動してしまうことになる。そして、係止片1332の下端が幅方向の内側に移動してしまうと、フック1333と被係止部261との係止が緩くなってしまい、スプリング押さえ133が保持部材20から外れてしまう可能性がある。
【0044】
そのため、本実施形態では、付勢部材130に大きな荷重がかかった場合であっても、フック1333と被係止部261との係止が解除されてしまうことを抑制できるようにしている。
【0045】
具体的には、付勢部材130に、係止片1332の幅方向への移動を規制し、フック1333と被係止部261との係止の解除を抑制する規制部を設けるようにしている。
【0046】
ここで、本実施形態では、規制部が、押圧部131に設けられ、フック1333と被係止部261との係止が解除される前に係止片1332を接触させることが可能な押圧部側規制壁を有するようにしている。
【0047】
具体的には、押圧部131の幅広部1311が、押圧部側規制壁としての機能を有するようにしている。
【0048】
本実施形態では、保持部材20の幅狭部24の幅方向の内寸W21がスプリング押さえ133の一対の係止片1332の間の幅方向の外寸W11よりも大きくなるようにしている。こうすることで、保持部材20の空間S内に一対の係止片1332を挿入することができるようにしている。
【0049】
また、スプリング押さえ133の一対の係止片1332の間の幅方向の内寸W12が押圧部131の幅広部1311の幅W31よりも大きくなるようにしている。この押圧部131の幅広部1311の幅W31は、押圧部131の幅狭部1312の幅W32よりも大きくなっている。こうすることで、押圧部131が、一対の係止片1332の間でスプリング押さえ133に対して上下方向に相対的に移動することができるようにしている。
【0050】
また、保持部材20の幅広部25の幅方向の内寸W22とスプリング押さえ133の一対のフック1333の先端間の幅W13とがほぼ同じ寸法となるようにしている。こうすることで、保持部材20が幅方向に大型化してしまうことを抑制しつつ、フック1333と被係止部261との係止量C1を大きくすることができるようにしている。
【0051】
また、温度センサ10の取付構造1を形成しつつ、温度センサ10を単電池30に接触させていない状態では、スプリング押さえ133の係止片1332の下端1332aが、押圧部131の幅広部1311の上端1311aよりも上方に位置するようにしている。すなわち、
図5に示す状態では、スプリング押さえ133の係止片1332と押圧部131の幅広部1311とが上下方向でオーバーラップしないようにしている。こうすることで、スプリング押さえ133を保持部材20に保持させる際に、係止片1332が幅広部1311と干渉してしまうことを抑制できるようにし、より確実にスプリング押さえ133を保持部材20に保持させることができるようにしている。
【0052】
本実施形態では、下端1332a側が幅方向の内側に撓むように一対の係止片1332を弾性変形させることで、一対のフック1333を保持部材20の幅狭部24内の空間に挿入させるようにしている。そして、一対のフック1333を幅狭部24内の空間に挿入させながら、スプリング押さえ133を下方に移動させて、一対のフック1333を保持部材20の幅広部25内の空間に位置させるようにしている。こうすることで、一対の係止片1332の弾性復元力によって、一対のフック1333を幅方向の外側に移動させて一対の被係止部261にそれぞれ係止させるようにし、スプリング押さえ133を保持部材20に保持させている。
【0053】
このとき、一対のフック1333を幅狭部24内の空間に挿入させるためには、スプリング押さえ133の一対のフック1333の先端間の幅W13が、保持部材20の幅狭部24の幅方向の内寸W21よりも小さくなるようにする必要がある。すなわち、スプリング押さえ133の一対のフック1333の先端間の幅W13が、保持部材20の幅狭部24の幅方向の内寸W21よりも小さくなるまで、一対の係止片1332を下端1332a側が幅方向の内側に移動するように撓ませる必要がある。そして、一対の係止片1332を下端1332a側が幅方向の内側に移動するように撓ませると、一対の係止片1332の下端1332aの内側1332bが最も内側に寄ることになる。したがって、スプリング押さえ133を保持部材20に保持させるためには、一対のフック1333が幅狭部24内の空間に位置する状態で、下端1332aの内側1332bがスプリング132および幅狭部1312に接触しないようにする必要がある。このことは、以下で説明する
図8~
図12に示す構成の場合にも当てはまるものである。
【0054】
一方、温度センサ10の取付構造1を形成しつつ、温度センサ10を単電池30に接触させた状態では、スプリング押さえ133の係止片1332の下端1332aが、押圧部131の幅広部1311の上端1311aよりも下方に位置するようにしている。すなわち、
図6に示す状態では、スプリング押さえ133の係止片1332と押圧部131の幅広部1311とが上下方向にオーバーラップするようにしている。こうすることで、付勢部材130に大きな荷重がかかって、押圧部131がスプリング押さえ133に対して上方に相対的に移動した場合に、押圧部131が軸ずれしてしまうことを抑制することができるようにしている。
【0055】
さらに、本実施形態では、付勢部材130に大きな荷重がかかって、押圧部131がスプリング押さえ133に対して上方に相対的に移動した場合に、幅方向の内側に移動した係止片1332が幅広部1311と干渉するようにしている。このとき、
図7に示すように、フック1333と被係止部261との係止が解除される前に、係止片1332が幅広部1311と干渉する(係止片1332の下端1332aの内側1332bが幅広部1311の外面に当接)ようにしている。すなわち、幅広部1311の幅W31が、フック1333と被係止部261との係止が解除される瞬間における一対の係止片1332の間の幅方向の内寸W12よりも大きくなるようにしている。こうすることで、押圧部131の幅広部1311が、押圧部側規制壁としての機能を有するようにし、付勢部材130に大きな荷重がかかった場合であっても、フック1333と被係止部261との係止が解除されてしまうことを抑制できるようにしている。
【0056】
このような構成とすれば、構成の簡素化を図りつつ、フック1333と被係止部261との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。さらに、フック1333を保持部材20の外側に突出させずに、フック1333と被係止部261とを係止させる構成とした場合であっても、フック1333と被係止部261との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。
【0057】
そして、温度センサ10を上述したような構成とすれば、車両の寿命まで温度センサ10を単電池30に接触させることも可能になるため、車両振動等で温度センサ10が浮いてしまうことが抑制されて、常時、単電池30の温度の監視ができるようになる。このように、より確実に温度センサ10を単電池30に接触させることができるようにすれば、単電池30の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0058】
なお、
図8および
図9に示すように、幅狭部1312における係止片1332の先端(下端)と幅方向で対向する部位を厚肉部13121とし、幅狭部1312を押圧部側規制壁として機能させるようにすることも可能である。すなわち、係止片1332が幅方向の内側に弾性変形した際に、フック1333と被係止部261との係止が解除される前に係止片1332が厚肉部13121に接触するようにすることも可能である。
【0059】
このような構成とすることでも、上記第1実施形態で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、
図10を用いて第2実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0061】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1は、基本的に上記第1実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0062】
また、本実施形態においても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを、より確実に抑制することができるようにしている。
【0063】
具体的には、一対の側壁23の前後方向の中央部に、下方に開口して上下方向に延在するスリット234をそれぞれ形成し、このスリット234の上端にフック1333が係止されるようにしている。したがって、本実施形態では、側壁23におけるスリット234が形成された部位が、温度センサ10が係止される被係止部235となっている。
【0064】
そして、付勢部材130に、係止片1332の幅方向への移動を規制し、フック1333と被係止部235との係止の解除を抑制する規制部を設けるようにした。
【0065】
本実施形態では、規制部が、フック1333に設けられ、幅方向で側壁23(保持部材20)と対向する係止部側規制壁13331を有するようにした。具体的には、フック1333の形状を上方に折り返された形状としている。すなわち、フック1333と被係止部235とを係止させた状態で、フック1333の先端がスリット234から側壁23の外側に突出するようにしている。そして、フック1333における外側に突出した部分に、上方に突出する係止部側規制壁13331を連設させるようにしている。こうすることで、フック1333と被係止部235とを係止させた際に、係止片1332と係止部側規制壁13331との間に側壁23が介在するようにしている。
【0066】
そして、このような構成とすることで、構成の簡素化を図りつつ、付勢部材130に大きな荷重がかかった場合であっても、フック1333と被係止部235との係止が解除されてしまうことを抑制できるようにしている。
【0067】
さらに、本実施形態では、フック1333の折り返し高さH1が上下方向の振動ずれ量D1よりも大きくなるようにしている。こうすることで、付勢部材130に大きな荷重がかかって、押圧部131がスプリング押さえ133に対して上方に相対的に移動した場合であっても、フック1333と被係止部261との係止が解除されてしまうことを抑制できるようにしている。
【0068】
また、フック1333の折り返し幅W41が幅方向の振動ずれ量D2よりも大きくなるようにしている。こうすることで、押圧部131がスプリング押さえ133に対して幅方向に相対的に移動した場合であっても、フック1333と被係止部261との係止が解除されてしまうことを抑制できるようにしている。
【0069】
このような構成とすることでも、上記第1実施形態およびその変形例で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、
図11を用いて第3実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0071】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1は、基本的に上記第2実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0072】
また、本実施形態においても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを、より確実に抑制することができるようにしている。
【0073】
具体的には、付勢部材130に、係止片1332の幅方向への移動を規制し、フック1333と保持部材20との係止の解除を抑制する規制部を設けるようにしている。そして、規制部が、フック1333に設けられ、幅方向で保持部材20と対向する係止部側規制壁13331を有するようにしている。
【0074】
本実施形態では、フック1333と保持部材20とを係止させた状態で、フック1333の先端がスリット234から側壁23の外側に突出するようにしている。そして、フック1333における外側に突出した部分に、上方に突出する係止部側規制壁13331を連設させるようにしている。こうすることで、フック1333と保持部材20とを係止させた際に、係止片1332と係止部側規制壁13331との間に側壁23が介在するようにしている。
【0075】
ここで、本実施形態では、係止部側規制壁13331が形成される部位であるスプリング押さえ133を、金属を用いて形成している。具体的には、一枚の金属板を折り曲げることで、スプリング押さえ133を形成している。
【0076】
このように、スプリング押さえ133を金属で形成するようにすれば、スプリング押さえ133の薄型化を図ることができるようになる。その結果、側壁23の外側に突出する係止部側規制壁13331を薄くすることができるようになるため、温度センサ10および温度センサ10の取付構造1の小型化を図ることができるようになる。
【0077】
さらに、本実施形態では、スプリング押さえ133が、係止部側規制壁13331とで側壁23を挟持する挟持片1334を備えるようにしている。こうすることで、フック1333と被係止部235とを係止させた際に、挟持片1334と係止部側規制壁13331との間に側壁23が介在するようにしている。
【0078】
このような構成とすることでも、上記第1,第2実施形態およびその変形例で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0079】
(第4実施形態)
次に、
図12を用いて第4実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0080】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、基本的に上記第2実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0081】
また、本実施形態においても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを、より確実に抑制することができるようにしている。
【0082】
具体的には、付勢部材130に、係止片1332の幅方向への移動を規制し、フック1333と保持部材20との係止の解除を抑制する規制部を設けるようにしている。
【0083】
ここで、本実施形態では、規制部が、フック1333に設けられ、保持部材20から押圧方向の一方側に突出する突部236が挿入される規制凹部(規制部)13332を有するようにしている。
【0084】
すなわち、フック1333と保持部材20とを係止させた際に、突部236を規制凹部13332に挿入させることで、係止片1332の幅方向への移動が規制されるようにしている。
【0085】
このような構成とすることでも、上記第1~第3実施形態およびその変形例で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0086】
また、本実施形態で示したような構成とすれば、フック1333を保持部材20の外側に突出させる必要がなくなるため、温度センサ10のより一層の小型化を図ることができるようになる。また、フック1333を保持部材20の外側に突出させずに、フック1333と保持部材20とを係止させる構成とした場合であっても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。
【0087】
(第5実施形態)
次に、
図13を用いて第5実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0088】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、基本的に上記第2実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0089】
また、本実施形態においても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを、より確実に抑制することができるようにしている。
【0090】
具体的には、付勢部材130に、係止片1332の幅方向への移動を規制し、フック1333と保持部材20との係止の解除を抑制する規制部を設けるようにしている。
【0091】
本実施形態では、規制部が、幅方向(交差方向)で対向する一対の係止片1332と、一対の係止片1332のそれぞれに、幅方向の内側に突出するように設けられたフック1333と、を有するようにしている。
【0092】
したがって、本実施形態では、保持部材20の外側からフック1333がスリット234に挿入されることになる。
【0093】
このような構成とすることでも、上記第1~第4実施形態およびその変形例で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0094】
また、本実施形態で示したような構成とすれば、単電池30が押圧方向の他方側(上下方向の上側)へ移動して付勢部材130に大きな荷重がかかった場合に、係止片1332を幅方向の内側に弾性変形させることができるようになる。すなわち、係止片1332は、フック1333を保持部材20に係止する方向に弾性変形させることができるようになる。そのため、付勢部材130に大きな荷重がかかった場合であっても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。その結果、より確実に温度センサ10を単電池30に接触させることができるようになって、単電池30の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0095】
(第6実施形態)
次に、
図14~
図16を用いて第6実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0096】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、基本的に上記第2実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0097】
そして、温度センサ10が、フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられて単電池30の温度を検知するセンサチップ112と、センサチップ112を押圧することが可能な付勢部材130と、を備えるようにしている。
【0098】
また、本実施形態では、付勢部材130が付勢部材モジュール1300を備えており、各部材を一体化させた状態で、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持できるようにしている。
【0099】
具体的には、付勢部材モジュール1300が、センサチップ112を単電池30に向けて押圧する押圧部131を備えている。また、付勢部材モジュール1300が、押圧部131に、センサチップ112を単電池30に向けて押圧する押圧方向の一方側(上下方向の下側)への付勢力を付与するスプリング132を備えている。さらに、付勢部材モジュール1300が、スプリング132を間に配置した状態で押圧部131に係合するスプリング押さえ133を備えている。
【0100】
本実施形態では、
図15に示すように、スプリング押さえ133が、押圧部131に係止される係止部1335を備えている。具体的には、係止部1335は、上下方向に延在して前後方向に弾性変形可能な一対のアーム部13351と、一対のアーム部13351の先端にそれぞれ設けられ、押圧部131の係止凹部1316に係止されるフック13352と、を備えている。
【0101】
そして、スプリング押さえ133と押圧部131との間にスプリング132を配置した状態で、フック13352を係止凹部1316に係止させるようにしている。こうすることで、スプリング押さえ133と押圧部131とが係止されて、付勢部材モジュール1300が形成されるようにしている。なお、スプリング押さえ133は、押圧部131に対して上下方向の移動が許容された状態で押圧部131に係止されている。
【0102】
また、本実施形態においても、上記第5実施形態と同様に、幅方向の内側に突出するように一対のフック13352が形成されている。したがって、付勢部材130に大きな荷重がかかった場合であっても、スプリング押さえ133が押圧部131から外れてしまうことを抑制できるようになっている。
【0103】
そして、付勢部材モジュール1300は、押圧方向の他方側(上下方向の上側)へのスプリング押さえ133の移動が規制された状態で保持部材20に保持されるように構成されている。
【0104】
本実施形態では、付勢部材モジュール1300を下方から保持部材20に挿入し、押圧部131に形成された係止部1317を保持部材20に形成された被係止部27に係止させることで、付勢部材モジュール1300が保持部材20に保持されるようにしている。具体的には、係止部1317は、上下方向に延在して前後方向に弾性変形可能な一対のアーム部13171と、一対のアーム部13171の先端にそれぞれ設けられるフック13172と、を備えている。そして、フック13172を被係止部27に引っ掛けることで、付勢部材モジュール1300が保持部材20に保持されるようにしている。
【0105】
このとき、
図16に示すように、スプリング押さえ133が保持部材20の天壁28に当接するようにしている。こうすることで、押圧方向の他方側(上下方向の上側)へのスプリング押さえ133の移動が規制された状態で、付勢部材モジュール1300が保持部材20に保持されるようにしている。
【0106】
なお、付勢部材モジュール1300の保持部材20への取り付けは、付勢部材モジュール1300に温度センサモジュール110を取り付けた後で行ってもよいし、付勢部材モジュール1300に温度センサモジュール110を取り付ける前に行ってもよい。
【0107】
このような構成とすることでも、上記第1~第6実施形態およびその変形例で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0108】
また、本実施形態で示したような構成とすれば、付勢部材モジュール1300を保持部材20に保持させた際に、スプリング押さえ133が押圧部131から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、より確実に温度センサ10を単電池30に接触させることができるようになって、単電池30の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0109】
なお、付勢部材モジュール1300を下方から保持部材20に挿入し、スプリング押さえ133に形成された係止部を保持部材20に形成された被係止部に係止させることで、付勢部材モジュール1300が保持部材20に保持されるようにしてもよい。
【0110】
(第7実施形態)
次に、
図17~
図19を用いて第7実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0111】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、基本的に上記第2実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0112】
ここで、本実施形態では、スプリング押さえ133を、保持部材20に対して押圧方向と交差する交差方向(水平方向)に相対的にスライド(移動)させることで温度センサ10が保持部材20に保持されるようにしている。すなわち、本実施形態では、スプリング押さえ133が、保持部材20に対して押圧方向と交差する交差方向(水平方向)に相対的に移動させることができるように構成されている。
【0113】
具体的には、
図18に示すように、保持部材20の上部に、水平方向に開口する溝291が形成されており、この溝291内にスプリング押さえ133をスライドさせながら挿入することで、温度センサ10が保持部材20に保持されるようにしている。
【0114】
そして、保持部材20に対して所定の位置となるようにスプリング押さえ133を交差方向(水平方向)に相対的に移動させた状態で、スプリング132によって押圧方向の他方側(上下方向の上側)へ押圧されるようにしている。
【0115】
本実施形態では、スプリング押さえ133が、天壁1331のスライド方向の両端から上方に向けて連設された一対の規制壁1336を備えている。また、スプリング押さえ133は、一対の規制壁1336が保持部材20の外側に位置するまで交差方向(水平方向)に相対的にスライドさせることができるようになっている。具体的には、溝291の高さ方向の長さL1が天壁1331の下面から規制壁1336の上端面までの長さL2よりも大きくなるようにしている。こうすることで、スプリング押さえ133を溝291内に挿入する際に、規制壁1336が保持部材20と干渉してしまうことを抑制できるようにしている。
【0116】
そして、一対の規制壁1336が保持部材20の外側に位置するようにした状態で、スプリング132によってスプリング押さえ133を上方に移動させることができるようにしている。こうすることで、一対の規制壁1336が保持部材20の上壁281と対向することになって、スプリング押さえ133が交差方向(水平方向)への移動が規制された状態で保持部材20に保持されるようにしている。
【0117】
このように、本実施形態では、スプリング押さえ133を、一対の規制壁1336が保持部材20の外側に位置するまで交差方向にスライドさせた状態が、保持部材20に対するスプリング押さえ133の所定の位置となっている。
【0118】
なお、温度センサ10のスプリング押さえ133以外の部材は、上記第1~第6実施形態およびその変形例と同様、上から順番に保持部材20に挿入することで組み付けられるようになっている。
【0119】
このような構成とすることでも、上記第1~第6実施形態およびその変形例で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0120】
また、本実施形態で示したような構成とすれば、保持部材20に係止されるフック1333を設けることなく、スプリング押さえ133が保持部材20から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、温度センサ10の構成の簡素化を図ることができるようになる。
【0121】
また、スプリング押さえ133を交差方向(水平方向)にスライドさせる構成とすることで、より容易にスプリング押さえ133を保持部材20に対して所定の位置とすることができるようになる。
【0122】
(第8実施形態)
次に、
図20~
図22を用いて第8実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0123】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1は、基本的に上記第2実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0124】
ここで、本実施形態では、スプリング押さえ133を、保持部材20に対して押圧方向と交差する交差方向(水平方向)に相対的に回動(移動)させることで温度センサ10が保持部材20に保持されるようにしている。すなわち、本実施形態では、スプリング押さえ133が、保持部材20に対して押圧方向と交差する交差方向(水平方向)に相対的に移動させることができるように構成されている。
【0125】
具体的には、
図21に示すように、保持部材20の上部に、上方に開口する略L字状の溝292が形成されている。一方、スプリング押さえ133は、天壁1331が略円板状に形成されており、この天壁1331の外周側には、径方向の外側に突出するように一対の突壁1337が形成されている。また、天壁1331の中心部には保持軸部13311が下方に延在するように形成されている。
【0126】
そして、下記の動作を行うことで、温度センサ10が保持部材20に保持されるようにしている。
【0127】
まず、保持軸部13311をスプリング132に上方から挿入しつつ、突壁1337が溝292の開口から溝292内に挿入されるようにする。そして、スプリング押さえ133を下方に押圧し、突壁1337を溝292の下部(水平方向に延在する部分)まで移動させる。その後、押圧方向(上下方向)に延在する保持軸部13311を軸としてスプリング押さえ133を回動させることで、スプリング押さえ133が保持部材20に対して所定の位置となるようにする。
【0128】
本実施形態では、溝292の水平方向の最奥部までスプリング押さえ133を回動させるようにしている。したがって、本実施形態では、スプリング押さえ133を、溝292の水平方向の最奥部まで回動させた状態が、保持部材20に対するスプリング押さえ133の所定の位置となっている。
【0129】
そして、保持部材20に対して所定の位置となるようにスプリング押さえ133を交差方向(水平方向)に相対的に回動(移動)させた状態で、スプリング132によって押圧方向の他方側(上下方向の上側)へ移動させる。そして、突壁1337が保持部材20の上壁282に形成された切り欠き2821に挿入されるようにする。こうすることで、スプリング押さえ133が交差方向(水平方向)への移動が規制された状態で保持部材20に保持されることになる。
【0130】
なお、本実施形態では、スプリング押さえ133を含む温度センサ10の各部材は、上記第1~第6実施形態およびその変形例と同様、上から順番に保持部材20に挿入することで組み付けられるようになっている。
【0131】
また、本実施形態で示したような構成とすれば、保持部材20に係止されるフック1333を設けることなく、スプリング押さえ133が保持部材20から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、温度センサ10の構成の簡素化を図ることができるようになる。
【0132】
また、スプリング押さえ133を交差方向(水平方向)に回動させる構成とすることで、より容易にスプリング押さえ133を保持部材20に対して所定の位置とすることができるようになる。
【0133】
また、スプリング押さえ133を交差方向(水平方向)に回動させる構成とすれば、スプリング押さえ133を相対移動させる際に、スプリング132が水平方向に位置ずれしてしまうことを抑制することが可能になる。
【0134】
[作用・効果]
以下では、上記各実施形態およびその変形例で示した温度センサの特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0135】
上記各実施形態およびその変形例で示した温度センサ10は、フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられて単電池(被測定部)30の温度を検知するセンサチップ(センサ部)112を備えている。また、温度センサ10は、センサチップ112を押圧することが可能な付勢部材130を備えている。また、付勢部材130は、センサチップ112を単電池30に向けて押圧する押圧部131を備えている。また、付勢部材130は、押圧部131に、センサチップ112を単電池30に向けて押圧する押圧方向の一方側(上下方向の下側)への付勢力を付与するスプリング(付勢部)132を備えている。さらに、付勢部材130は、押圧方向の他方側(上下方向の上側)への移動が規制された状態で保持部材20に保持されるスプリング押さえ(被保持部)133を備えている。
【0136】
また、スプリング押さえ133は、押圧方向と交差する交差方向(水平方向)に弾性変形可能な係止片1332を備えている。さらに、スプリング押さえ133は、係止片1332に設けられ、押圧方向の他方側(上下方向の上側)への移動が規制された状態で保持部材20に係止されるフック(係止部)1333を備えている。
【0137】
そして、付勢部材130には、係止片1332の交差方向(水平方向)への移動を規制し、フック1333と保持部材20との係止の解除を抑制する規制部が設けられている。
【0138】
こうすれば、単電池30が押圧方向の他方側(上下方向の上側)へ移動して付勢部材130に大きな荷重がかかった場合であっても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。その結果、より確実に温度センサ10を単電池30に接触させることができるようになって、単電池30の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0139】
また、規制部が、押圧部131に設けられ、フック1333と保持部材20との係止が解除される前に係止片1332を接触させることが可能な幅広部(押圧部側規制壁)1311を有するようにしてもよい。
【0140】
こうすれば、構成の簡素化を図りつつ、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。さらに、フック1333を保持部材20の外側に突出させずに、フック1333と保持部材20とを係止させる構成とした場合であっても、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。
【0141】
また、規制部が、フック1333に設けられ、交差方向(水平方向)で保持部材20と対向する係止部側規制壁13331を有するようにしてもよい。
【0142】
こうすれば、係止片1332と係止部側規制壁13331とで保持部材20を挟み込む構成とすることができ、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制することができるようになる。また、係止片1332と係止部側規制壁13331とで保持部材20を挟み込むだけで、フック1333と保持部材20との係止が解除されてしまうことを抑制できるようにしているため、構成の簡素化を図ることができるようになる。
【0143】
また、付勢部材130が付勢部材モジュール1300を備えるようにしてもよい。そして、付勢部材モジュール1300が、センサチップ112を単電池30に向けて押圧する押圧部131を備えていてもよい。また、付勢部材モジュール1300が、押圧部131に、センサチップ112を単電池30に向けて押圧する押圧方向の一方側(上下方向の下側)への付勢力を付与するスプリング132を備えていてもよい。さらに、付勢部材モジュール1300が、スプリング132を間に配置した状態で押圧部131に係合するスプリング押さえ133を備えていてもよい。そして、付勢部材モジュール1300が、押圧方向の他方側(上下方向の上側)へのスプリング押さえ133の移動が規制された状態で保持部材20に保持されるように構成されていてもよい。
【0144】
こうすれば、付勢部材モジュール1300を保持部材20に保持させた際に、スプリング押さえ133が押圧部131から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、より確実に温度センサ10を単電池30に接触させることができるようになって、単電池30の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0145】
また、スプリング押さえ133が、保持部材20に対して押圧方向と交差する交差方向(水平方向)に相対的に移動させることができるように構成されていてもよい。そして、保持部材20に対して所定の位置となるようにスプリング押さえ133を交差方向(水平方向)に相対的に移動させた状態で、スプリング132によって押圧方向の他方側(上下方向の上側)へ押圧されるようにしてもよい。こうすることで、スプリング押さえ133が交差方向水平方向への移動が規制された状態で保持部材20に保持されるようにしてもよい。
【0146】
こうすれば、保持部材20に係止されるフック1333を設けることなく、スプリング押さえ133が保持部材20から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、温度センサ10の構成の簡素化を図ることができるようになる。
【0147】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0148】
例えば、上記各実施形態およびその変形例で示した構成を適宜組み合わせた温度センサとすることが可能である。
【0149】
また、上記各実施形態およびその変形例では、略直方体状のセンサチップ112を例示したが、センサチップ112の形状は、このような形状に限られるものではなく、略円柱状等、様々な形状とすることが可能である。
【0150】
また、上記各実施形態およびその変形例では、略直方体の箱状をしたケース120を例示したが、ケース120の形状も、このような形状に限られるものではなく、略円柱の箱状等、様々な形状とすることが可能である。
【0151】
また、上記各実施形態およびその変形例では、略四角形の輪郭形状をした枠状部材113を例示したが、枠状部材113の輪郭形状も、このような形状に限られるものではなく、略円形の輪郭形状等、様々な形状とすることが可能である。
【0152】
また、上記各実施形態およびその変形例では、付勢部としてスプリングを例示したが、ゴム等の弾性体で付勢部を形成することも可能である。
【0153】
また、センサ部や付勢部材、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0154】
10 温度センサ
111 フレキシブル薄板状の電線
112 センサチップ(センサ部)
130 付勢部材
1300 付勢部材モジュール
131 押圧部
1311 幅広部(押圧部側規制壁:規制部)
132 スプリング(付勢部)
133 スプリング押さえ(被保持部)
1332 係止片
1333 フック(係止部)
13331 係止部側規制壁(規制部)
20 保持部材
30 単電池(被測定部)