(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】治療剤の溶解性およびバイオアベイラビリティを改善する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/51 20060101AFI20240605BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240605BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240605BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240605BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240605BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240605BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20240605BHJP
A61P 33/14 20060101ALI20240605BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240605BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240605BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240605BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
A61K9/51
A61K47/32
A61K47/38
A61K31/196
A61K31/513
A61K31/519
A61K31/573
A61K45/00
A61K31/56
A61K31/4535
A61K31/496
A61K31/58
A61K31/404
A61K31/4439
A61K31/47
A61P31/04
A61K47/30
A61P33/14
A61P31/10
A61P31/12
A61P29/00
A61P37/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176622
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2020504279の分割
【原出願日】2018-04-06
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519362088
【氏名又は名称】エムエイエイ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MAA Laboratories, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アンジャニ・クマール・ジャー
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-521931(JP,A)
【文献】特表2012-524723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ボールミル粉砕装置内で医薬組成物を粉砕して、粉砕ナノ粒子形態の医薬組成物を生成すること(ここで、該粉砕は、溶媒成分の非存在下で行われる)、および
ii)粉砕ナノ粒子形態の医薬組成物を、1種以上のポリマーでコーティングして、約10%w/w~約12%w/wのポリマーを含むコーティングされたナノ粒子医薬組成物を得ること(ここで、該コーティングは、溶融押出法、メルトブロー法、スパンボンド法、または高温粉砕法を使用して行われる)
を含む連続方法であって、
該医薬組成物が、カペシタビン、メトトレキセート、ジクロフェナクおよびプレドニゾンから選択される治療剤またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、
方法。
【請求項2】
医薬組成物が、治療剤および1種以上の薬学的に許容される賦形剤の固体混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径が、約1~約1000μmである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
粉砕ナノ粒子形態の医薬組成物が、粉砕前の医薬組成物の表面積の約2~約400倍の表面積を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
治療剤またはその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティが、該方法を行う前の治療剤またはその薬学的に許容される塩と比較して約2倍~約20倍増加する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性が、該方法を行う前の治療剤またはその薬学的に許容される塩と比較して約2倍~約50倍増加する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1種以上のポリマーのそれぞれが、独立して、カルボン酸官能化ポリマー、中性非セルロース系ポリマー、およびセルロース系ポリマーからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、コポビドンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程ii)のコーティングが、(a)ナノ粒子形態の医薬組成物の混合ならびに溶融および/または軟化;(b)ナノ粒子形態の医薬組成物の押出;ならびに(c)医薬組成物の冷却および/または成形の1つ以上をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程ii)の1種以上のポリマーが、約400nm以下の厚さのコーティングとして医薬組成物に適用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程ii)の1種以上のポリマーが、約400nm以上の厚さのコーティングとして医薬組成物に適用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ボールミル粉砕装置が、アトライタ装置である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
i)ボールミル粉砕装置内で医薬組成物を粉砕して、粉砕ナノ粒子形態の医薬組成物を生成すること(ここで、該粉砕は、溶媒成分の非存在下で行われる)、および
ii)粉砕ナノ粒子形態の医薬組成物を、1種以上のポリマーでコーティングして、約10%w/w~約12%w/wのポリマーを含むコーティングされたナノ粒子医薬組成物を得ること(ここで、該コーティングは、溶融押出法、メルトブロー法、スパンボンド法、または高温粉砕法を使用して行われる)
からなる連続方法であって、
該医薬組成物が、カペシタビン、メトトレキセート、ジクロフェナクおよびプレドニゾンから選択される治療剤またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、
方法。
【請求項14】
治療剤が、カペシタビンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
治療剤が、メトトレキセートである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
治療剤が、ジクロフェナクである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
治療剤が、プレドニゾンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年4月7日に出願された米国仮特許出願第62/482,944号の優先権を主張する(その開示は出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)。
【0002】
技術分野
本発明は、疾患の処置に有用なナノ治療化合物(nanotherapeutic compound)およびナノ治療化合物を含む組成物を調製する方法に関する。この技術は、例えば除草剤および/または殺虫剤等の獣医学および農芸化学用途における、さらなる用途を有し得る。
【背景技術】
【0003】
薬物のバイオアベイラビリティの改善は、患者の様々な疾患の処置に利点をもたらすことができる。活性薬剤のバイオアベイラビリティに影響する因子としては、例えば、投与の形態、投与様式、および/または活性薬剤の溶解性を挙げることができる。
【発明の概要】
【0004】
本願は、とりわけ、
i)ボールミル粉砕装置内で医薬組成物を粉砕し、ナノ粒子形態の医薬組成物を生成すること、および
ii)該ナノ粒子形態の医薬組成物を1種以上のポリマーでコーティングすること
を含む方法であって、該医薬組成物が、治療剤またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、方法を提供する。
【0005】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、ナノ粒子形態の治療剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、治療剤および1種以上の薬学的に許容される賦形剤の固体混合物を含む。
【0006】
いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕は、医薬組成物を物理的にブレンドすることを含む。いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕は、溶媒成分の非存在下で行われる。
【0007】
いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前の医薬組成物の中央粒径は、約1~約100μmである。該医薬組成物の中央粒径が約100μmを超える場合、本明細書に記載の粉砕法を行う前に、追加的なサイズ減少技術を使用して中央粒径を下げてもよいことが理解される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、粉砕技術を用いて、約100μmを超える中央粒径を有する医薬組成物を粉砕して、約1~約100μmの中央粒径を有する医薬組成物を形成することをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前の医薬組成物の中央粒径は、約1~約75μmである。いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前の医薬組成物の中央粒径は、約1~約50μmである。
【0009】
いくつかの実施態様において、医薬組成物の中央粒径は、レーザー回折法、動的光散乱法、またはそれらの組合せにより決定される。
【0010】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、ナノ粒子形態の医薬組成物の表面積の約2~約400倍の表面積を含む。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、医薬組成物の表面積の約10~約300倍の表面積を含む。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、医薬組成物の表面積の約20~約200倍の表面積を含む。
【0011】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物の表面積は、レーザー回折法により決定される。
【0012】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティは、約2倍~約20倍増加する。
【0013】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、治療剤と比較して約2倍~約50倍増加する。
【0014】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、治療剤と比較して約2倍~約20倍増加する。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、治療剤と比較して約2倍~約10倍増加する。
【0015】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1:100の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1:50の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1:10の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1~約20種の薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1~約10種の薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1~約5種の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0017】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、溶融押出法、メルトブロー法、スパンボンド法、または粉砕法(例えば高温粉砕法)を使用して行われる。
【0018】
いくつかの実施態様において、1種以上のポリマーのそれぞれは、独立して、カルボン酸官能化ポリマー、中性非セルロース系ポリマー、およびセルロース系ポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、ポリマーは、コポビドンである。
【0019】
いくつかの実施態様において、治療剤は、化学療法剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗菌剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、および抗真菌剤からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、治療剤は、化学療法剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗炎症剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、免疫抑制剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、ステロイドである。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗菌剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、駆虫剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗ウイルス剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗微生物剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗真菌剤である。
【0020】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩は、結晶性、非晶質またはそれらの組合せである。
【0021】
本願は、さらに、本明細書に記載のナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩である化合物を提供し、ナノ粒子形態は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って調製される。
【0022】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の、化学療法剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗菌剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、および抗真菌剤からなる群から選択される治療剤、またはその薬学的に許容される塩である。
【0023】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の化学療法剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0024】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の、ラロキシフェン、ダサチニブ、アビラテロン、スニチニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、もしくはカボザンチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物である。
【0025】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンである。
【0026】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、約267℃において吸熱ピークを有するDSCサーモグラムにより特徴付けられる。
【0027】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、実質的に
図2に示されるようなDSCサーモグラムを有する。
【0028】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、結晶形態の塩酸ラロキシフェンである。
【0029】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、非晶質形態の塩酸ラロキシフェンである。
【0030】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、結晶形態および非晶質形態の組合せの塩酸ラロキシフェンである。
【0031】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも5つのXRDピークを有する。
【0032】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも4つのXRDピークを有する。
【0033】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも3つのXRDピークを有する。
【0034】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも2つのXRDピークを有する。
【0035】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも1つのXRDピークを有する。
【0036】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、実質的に
図5に示されるようなXRDプロファイルを有する。
【0037】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、実質的に
図3に示されるようなFTIRプロファイルを有する。
【0038】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗炎症剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0039】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の免疫抑制剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0040】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態のステロイドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0041】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗菌剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0042】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の駆虫剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0043】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗ウイルス剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0044】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗微生物剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0045】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗真菌剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0046】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩は、結晶性である。
【0047】
本願は、さらに、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0048】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、ナノ粒子形態の医薬組成物である。
【0049】
本願は、さらに、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って調製されるナノ粒子形態の医薬組成物を提供する。
【0050】
本願は、さらに、本明細書に記載の方法の1つまたは複数に従って調製される、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0051】
本願は、さらに、本明細書に記載の方法の1つまたは複数に従って調製される、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンを含む医薬組成物を提供する。
【0052】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本発明における使用のための方法および材料が本明細書に記載されるが、当技術分野において公知の他の好適な方法および材料もまた使用され得る。材料、方法および例は、例示のみを目的としており、限定を意図するものではない。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、シーケンス、データベースエントリおよび他の参考文献は、出典明示によりその全体を本明細書の一部とする。矛盾する場合は、定義を含めて本明細書が優先される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の粉砕法に従って調製された代表的ナノ製剤(nanoformulation)の粒径および分布を示す。
【
図2】
図2は、代表的な粉砕ナノ製剤および未粉砕製剤の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの比較を示す。
【
図3】
図3は、本明細書に記載の粉砕法に従って調製されたナノ製剤および未粉砕製剤からのラロキシフェンHClのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルの比較を示す。
【
図4】
図4は、本明細書に記載の粉砕法に従って調製されたラロキシフェンHClのナノ製剤および未粉砕製剤の溶出プロファイルの比較を示す。
【
図5】
図5は、本明細書に記載の粉砕法に従って調製されたラロキシフェンHClのナノ製剤および未粉砕製剤のXRDスペクトルの比較を示す。
【
図6】
図6は、本明細書に記載のラロキシフェン(raxolifine)の粉砕ナノ製剤(25mg/kg)またはラロキシフェンの未粉砕製剤を投与されたラットのラロキシフェン血漿濃度の比較を示す。
【
図7】
図7~8は、ジクロフェナク酸ナノ製剤の粒径/サイズ分布の代表例を示す。データは、Mastersizer M3000レーザー回折計を使用して取得した。
【
図8】
図7~8は、ジクロフェナク酸ナノ製剤の粒径/サイズ分布の代表例を示す。データは、Mastersizer M3000レーザー回折計を使用して取得した。
【
図9】
図9は、充填剤としてラクトース一水和物およびマンニトールを使用したジクロフェナク酸ナノ製剤の粒径/サイズ分布を示す。データは、Mastersizer M3000レーザー回折計を使用して取得した。
【
図10】
図10は、異なる粉砕速度を使用したジクロフェナク酸ナノ製剤の粒径/サイズ分布を示す。データは、Mastersizer M3000レーザー回折計を使用して取得した。
【
図11】
図11は、様々な薬物負荷条件下でのジクロフェナク酸ナノ製剤の粒径/サイズ分布を示す。データは、Mastersizer M3000レーザー回折計を使用して取得した。
【
図12】
図12は、市販の製剤と比較したジクロフェナク酸ナノ製剤(15%薬物負荷量)の溶出を示す。データは、別段の定めがない限り、15%薬物負荷量の製剤に対するものである。
【
図13】
図13は、様々な薬物負荷条件下での市販の製剤と比較したジクロフェナク酸ナノ製剤の溶出を示す。
【
図14】
図14は、充填剤としてラクトース一水和物またはマンニトールを使用した、市販の製剤と比較したジクロフェナク酸ナノ製剤の溶出を示す。
【
図15】
図15は、250rpmまたは300rpmで粉砕を行った場合の市販の製剤と比較したジクロフェナク酸ナノ製剤の溶出を示す。
【
図16】
図16は、粉砕前、粉砕後および押出後のジクロフェナク酸を比べたFTIRデータを示す。
【
図17】
図17は、粉砕前、粉砕後および押出後のジクロフェナク酸の溶融ピークを比べた示差走査熱量測定データを示す。異なる大きさの同様のピークは、薬物の融点がナノ製剤化および押出の間変化しなかったことを裏付けている。
【
図18】
図18は、粉砕前、粉砕後、およびホットメルト押出後のジクロフェナク酸ナノ製剤のX線回折スペクトルを示す。
【
図19】
図19は、ホットメルト押出後のポリマーコーティングジクロフェナク酸ナノ結晶の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図20】
図20は、酢酸アビラテロンナノ製剤の粒径および分布を示す。データは、Mastersizer M3000レーザー回折計を使用して取得した。
【
図21】
図21は、酢酸アビラテロンの未粉砕の市販製剤と比較した酢酸アビラテロンナノ製剤の溶融ピークを比べた示差走査熱量測定データを示す。
【
図22】
図22は、酢酸アビラテロンの未粉砕の市販製剤と比較した酢酸アビラテロンナノ製剤のフーリエ変換赤外(FTIR)分光データを示す。
【
図23】酢酸アビラテロンのナノ製剤(粉砕)および市販製剤(粉砕)のX線回折スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
粉砕法
本願は、とりわけ、
i)ボールミル粉砕装置内で医薬組成物または治療剤を粉砕すること、および
ii)粉砕医薬組成物または粉砕治療剤を1種以上のポリマーでコーティングすること
を含む方法を提供する。
【0055】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、医薬組成物もしくは治療剤を安定化するか、医薬組成物もしくは治療剤の溶解性を高めるか、医薬組成物もしくは治療剤のバイオアベイラビリティを高めるか、医薬組成物もしくは治療剤の物理化学的特性を高めるか、医薬組成物もしくは治療剤の生物学的性能を高めるか、医薬組成物もしくは治療剤の放出プロファイルを調整するか、またはそれらの任意の組合せを提供する。
【0056】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物もしくは治療剤の化学的安定性を改善するか、粉砕医薬組成物もしくは治療剤の溶解性を増加させるか、粉砕医薬組成物もしくは治療剤のバイオアベイラビリティを増加させるか、粉砕医薬組成物もしくは治療剤の物理化学的特性を改善するか、粉砕医薬組成物もしくは治療剤の生物学的性能を改善するか、粉砕医薬組成物もしくは治療剤の放出プロファイルを調整する、またはそれらの任意の組合せもしくは部分的組合せを提供する。
【0057】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物の化学的安定性を改善する(例えば、コーティングされていない粉砕医薬組成物または工程i)に従って粉砕されていない医薬組成物と比較して)。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物または治療剤の保存安定性を改善する。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、低pH環境(例えば対象体の胃内)における粉砕医薬組成物または治療剤の化学的安定性を改善する。
【0058】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物の溶解性を増加させる(例えば、コーティングされていない粉砕医薬組成物または工程i)に従って粉砕されていない医薬組成物と比較して)。
【0059】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物のバイオアベイラビリティを増加させる(例えば、コーティングされていない粉砕医薬組成物または工程i)に従って粉砕されていない医薬組成物と比較して)。
【0060】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物の物理化学的特性(例えば溶解性、pHプロファイル、固体安定性および溶媒安定性等)を改善する(例えば、コーティングされていない粉砕医薬組成物または工程i)に従って粉砕されていない医薬組成物と比較して)。
【0061】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物の生物学的性能(例えば薬物動態特性)を調整する(例えば、コーティングされていない粉砕医薬組成物または工程i)に従って粉砕されていない医薬組成物と比較して)。
【0062】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、粉砕医薬組成物の放出プロファイル(例えば制御放出、パルス放出および持続放出等)を調整する(例えば、コーティングされていない粉砕医薬組成物または工程i)に従って粉砕されていない医薬組成物と比較した、対象体における放出プロファイル)。
【0063】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、治療剤またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0064】
いくつかの実施態様において、本願は、ナノ粒子形態もしくはマイクロ粒子形態の医薬組成物、またはナノ粒子形態もしくはマイクロ粒子形態の治療剤を調製する方法であって、ボールミル粉砕装置(例えばアトライタ粉砕装置)内で医薬組成物または治療剤を粉砕し、それによりナノ粒子形態もしくはマイクロ粒子形態の医薬組成物、またはナノ粒子形態もしくはマイクロ粒子形態の治療剤を形成することを含む、方法を提供する。
【0065】
いくつかの実施態様において、本願は、医薬組成物または治療剤(例えば、ナノ粒子形態の医薬組成物またはナノ粒子形態の治療剤)を1種以上のポリマーでコーティングする方法を提供する。
【0066】
いくつかの実施態様において、該方法は、
i)ボールミル粉砕装置(例えばアトライタ粉砕装置)内で医薬組成物を粉砕して、ナノ粒子形態の医薬組成物を生成すること、および
ii)ナノ粒子形態の医薬組成物を、1種以上のポリマーでコーティングすること
を含み、該医薬組成物は、治療剤またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0067】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、医薬組成物もしくは治療剤を安定化するか、医薬組成物もしくは治療剤の溶解性を高めるか、医薬組成物もしくは治療剤のバイオアベイラビリティを高めるか、医薬組成物もしくは治療剤の物理化学的特性を高めるか、医薬組成物もしくは治療剤の生物学的性能を高めるか、医薬組成物もしくは治療剤の放出プロファイルを調整するか、またはそれらの任意の組合せを提供する。
【0068】
本明細書に記載の方法は、より高い薬物負荷量(例えば2%w/w超)を含み得るナノ製剤を提供し、パブリックドメインで利用可能な代替の方法と比較してより良好にナノ粒子形態の粒径を制御する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、約2%w/w超、約10%w/w超、約25%w/w超、または約50%w/w超の薬物負荷量を含むナノ製剤を提供する。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤(microformulation)は、約10%~約20%w/wの薬物負荷量を含む。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤は、約10%w/w~約15%w/wの薬物負荷量を含む。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤は、約15%w/w~約20%w/wの薬物負荷量を含む。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤は、約10%w/wの薬物負荷量を含む。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤は、約12%w/wの薬物負荷量を含む。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤は、約15%w/wの薬物負荷量を含む。いくつかの実施態様において、ナノ製剤またはマイクロ製剤は、約20%w/wの薬物負荷量を含む。本明細書に記載の方法はまた、安定なナノ粒子の調製において、パブリックドメインで利用可能な代替の方法と比較して実質的に少ない工程を含む。
【0069】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、バッチプロセスとして行われる。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、連続プロセスとして行われる。
【0070】
工程ii)のコーティングは、工程i)で調製されたナノ粒子を安定化し、それによりナノ粒子の凝集、集塊化またはそれらの組合せを防止または阻害する。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、工程i)で調製されたナノ粒子の凝集を阻害する。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、工程i)で調製されたナノ粒子の集塊化を阻害する。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、工程i)で調製されたナノ粒子の凝集を防止する。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、工程i)で調製されたナノ粒子の集塊化を防止する。
【0071】
工程ii)のコーティングは、さらに、医薬組成物または治療剤の透過性を高める。例えば、コーティングは、生物薬剤分類システム(BCS)においてBCS II、BCS IIIおよび/またはBCS IV薬剤として分類される治療剤に関連する技術における使用のための、医薬組成物または治療剤の透過性を増加させ得る。
【0072】
また、工程ii)のコーティングは、2種以上の医薬品有効成分(API)を含む医薬組成物の薬物間相互作用の可能性を減少させ、2種以上の薬物を単位用量として調製することを可能にする。
【0073】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、コーティングされた医薬組成物(例えばコーティングされたナノ粒子形態の医薬組成物)またはコーティングされた治療剤を提供し、ナノ粒子は、結晶性ナノ粒子、非晶質ナノ粒子またはそれらの組合せである。いくつかの実施態様において、ナノ粒子は、結晶性ナノ粒子である。いくつかの実施態様において、ナノ粒子は、非晶質ナノ粒子である。いくつかの実施態様において、ナノ粒子は、結晶性ナノ粒子および非晶質ナノ粒子の混合物を含む。
【0074】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、ナノ粒子形態の治療剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、治療剤および1種以上の薬学的に許容される賦形剤の固体混合物を含む。
【0075】
いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕は、医薬組成物を物理的にブレンドすることを含む。いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕は、溶媒成分の非存在下で行われる。
【0076】
いくつかの実施態様において、粉砕は、鋼ボール、ジルコニアボール、ガラスビーズ、またはそれらの組合せを使用して行われる。いくつかの実施態様において、粉砕は、約0.1インチ~約0.5インチ、例えば約0.1インチ~約0.5インチ、約0.1インチ~約0.4インチ、約0.1インチ~約0.3インチ、約0.1インチ~約0.25インチ、約0.1インチ~約0.2インチ、約0.2インチ~約0.5インチ、約0.2インチ~約0.4インチ、約0.2インチ~約0.3インチ、約0.2インチ~約0.25インチ、約0.25インチ~約0.5インチ、約0.25インチ~約0.4インチ、約0.25インチ~約0.3インチ、約0.3インチ~約0.5インチ、約0.3インチ~約0.4インチ、または約0.4インチ~約0.5インチの平均直径を有するボールおよび/またはビーズを使用して行われる。いくつかの実施態様において、粉砕は、約0.2インチ~約0.4インチの平均直径を有するボールおよび/またはビーズを使用して行われる。いくつかの実施態様において、粉砕は、約0.25インチ~約0.375インチ(すなわち1/4”~約3/8”)の平均直径を有するボールおよび/またはビーズを使用して行われる。いくつかの実施態様において、粉砕は、約0.25インチ(すなわち1/4”)の平均直径を有するボールおよび/またはビーズを使用して行われる。いくつかの実施態様において、粉砕は、約0.375インチ(すなわち3/8”)の平均直径を有するボールおよび/またはビーズを使用して行われる。いくつかの実施態様において、ボールミル粉砕装置は、アトライタミルである。
【0077】
いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径は、約1μm~約100μm、例えば約1μm~約100μm、約1μm~約90μm、約1μm~約80μm、約1μm~約70μm、約1μm~約60μm、約1μm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~約30μm、約1μm~約20μm、約1μm~約10μm、約10μm~約100μm、約10μm~約90μm、約10μm~約80μm、約10μm~約70μm、約10μm~約60μm、約10μm~約50μm、約10μm~約40μm、約10μm~約30μm、約10μm~約20μm、約20μm~約100μm、約20μm~約90μm、約20μm~約80μm、約20μm~約70μm、約20μm~約60μm、約20μm~約50μm、約20μm~約40μm、約20μm~約30μm、約30μm~約100μm、約30μm~約90μm、約30μm~約80μm、約30μm~約70μm、約30μm~約60μm、約30μm~約50μm、約30μm~約40μm、約40μm~約100μm、約40μm~約90μm、約40μm~約80μm、約40μm~約70μm、約40μm~約60μm、約40μm~約50μm、約50μm~約100μm、約50μm~約90μm、約50μm~約80μm、約50μm~約70μm、約50μm~約60μm、約60μm~約100μm、約60μm~約90μm、約60μm~約80μm、約60μm~約70μm、約70μm~約100μm、約70μm~約90μm、約70μm~約80μm、約80μm~約100μm、約80μm~約90μm、または約90μm~約100μmである。いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径は、約1~約80μmである。いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径は、約1~約75μmである。いくつかの実施態様において、工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径は、約1~約50μmである。
【0078】
いくつかの実施態様において、医薬組成物の中央粒径は、当技術分野において標準的であり、当業者にすでに知られているプロセス(例えばレーザー回折法および/または動的光散乱法)により決定され得る。いくつかの実施態様において、医薬組成物の中央粒径は、レーザー回折法、動的光散乱法、またはそれらの組合せにより決定される。
【0079】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、ナノ粒子形態の医薬組成物の表面積の約2~約400倍、例えば約2~約400倍、約2~約300倍、約2~約200倍、約2~約100倍、約2~約50倍、約2~約10倍、約10~約400倍、約10~約300倍、約10~約200倍、約10~約100倍、約10~約50倍、約50~約400倍、約50~約300倍、約50~約200倍、約50~約100倍、約100~約400倍、約100~約300倍、約100~約200倍、約200~約400倍、約200~約300倍、または約300~約400倍の表面積を含む。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、医薬組成物の表面積の約10~約300倍の表面積を含む。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、医薬組成物の表面積の約20~約200倍の表面積を含む。
【0080】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物の表面積は、当技術分野において標準的であり、当業者にすでに知られているプロセス(例えばレーザー回折法)により決定され得る。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物の表面積は、レーザー回折法により決定される。
【0081】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティは、非ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩(すなわち、本明細書に記載の方法を行う前の治療剤またはその薬学的に許容される塩)と比較して増加する。
【0082】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティは、非ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩と比較して約2倍~約20倍、例えば約2倍~約20倍、約2倍~約15倍、約2倍~約10倍、約2倍~約5倍、約5倍~約20倍、約5倍~約15倍、約5倍~約10倍、約10倍~約20倍、約10倍~約15倍、または約15倍~約20倍増加する。
【0083】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、非ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩(すなわち、本明細書に記載の方法を行う前の治療剤またはその薬学的に許容される塩)と比較して増加する。
【0084】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、非ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩と比較して約2倍~約100倍、例えば約2倍~約100倍、約2倍~約50倍、約2倍~約20倍、約2倍~約10倍、約2倍~約5倍、約5倍~約100倍、約5倍~約50倍、約5倍~約20倍、約5倍~約10倍、約10倍~約100倍、約10倍~約50倍、約10倍~約20倍、約20倍~約100倍、約20倍~約50倍、または約50倍~約100倍増加する。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、治療剤と比較して約2倍~約20倍増加する。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性は、治療剤と比較して約2倍~約50倍増加する。
【0085】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1:100、例えば約1:100、約1:90、約1:80、約1:70、約1:60、約1:50、約1:40、約1:30、約1:20、約1:10、約1:5、または約1:2の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比(すなわち治療剤:1種以上の薬学的に許容される賦形剤)を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1:50の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1:10の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む。
【0086】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1~約20種、例えば約1~約20種、約1~約15種、約1~約10種、約1~約5種、約1~約3種、約1~約2種、約2~約20種、約2~約15種、約2~約10種、約2~約5種、約2~約3種、約3~約20種、約3~約15種、約3~約10種、約3~約5種、約5~約20種、約5~約15種、約5~約10種、約10~約20種、約10~約15種、または約15~約20種の薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1~約10種の薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約1~約5種の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0087】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、米国特許第7,491,407号に記載の1つ以上のプロセスに従って行われる(その開示は出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)。例えば、工程ii)のコーティングは、以下の工程:
(1)ミクロンサイズ粒子(すなわちマイクロ粒子)の成分またはナノ粒子形態の医薬組成物が混合され、溶融または軟化される、調製工程;
(2)押出工程、ならびに適宜、
(3)冷却および/または成形する工程
を含んでもよい。
【0088】
工程ii)のコーティングにおいて有用な例示的押出プロセスは、例えば、米国特許第7,491,407号の
図1~2に示されている。
【0089】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、溶融押出プロセス、メルトブロープロセスもしくはスパンボンドプロセス、または高温での他の賦形剤および薬物とのポリマーの粉砕を使用して行われる。いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、溶融押出プロセスを使用して行われる。
【0090】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ粒子形態の医薬組成物は、薬物および他の薬剤(例えばポリマーコーティング)のより迅速な溶出に対応しそれを促進するために、増大した表面積を有する1つ以上の繊維の形態である。
【0091】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、局所的薬物送達を達成するために適用され得る。
【0092】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、治療剤もしくは医薬組成物に関連する副作用、治療剤もしくは医薬組成物に関連する毒性、またはそれらの組合せを最小限化および/または防止するために適用され得る。
【0093】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、即時放出組成物、制御放出組成物、持続放出組成物、急速溶融組成物、パルス放出組成物、複合即時放出プロファイル、および/または組合せ放出プロファイルを形成するために適用される。
【0094】
いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、薄膜コーティング(例えば400nm未満の厚さ)として適用され得る。いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、厚膜コーティング(例えば400nm超)として適用され得る。
【0095】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングは、配合および/またはブレンドにより、ナノ粒子形態の医薬組成物を好適なポリマー担体中の1種以上のポリマーでコーティングし、ブレンドまたは配合された材料を押出により押し出し、それによってポリマーコーティングナノ粒子組成物の送達のための手段を提供することを含む。本明細書に記載のコーティング方法に従って調製され得る繊維の例は、例えば、米国特許第7,491,407号の
図5~13に示されている。いくつかの実施態様において、繊維は中空である。いくつかの実施態様において、繊維は、鞘断面(sheath cross section)、芯断面(core cross-section)、中実断面(solid cross section)、または中空断面(hollow cross-section)を含む。いくつかの実施態様において、繊維は、リボンまたはスタック構成(ribbon or stacked configuration)に形成される。いくつかの実施態様において、繊維は、サイドバイサイド断面(side-by-side cross section)を含む。いくつかの実施態様において、繊維は、海島型断面(island in sea cross-section)を含む。いくつかの実施態様において、繊維は、セグメント化パイ型断面(segmented pie cross section)を含む。いくつかの実施態様において、ポリマーは、繊維または非繊維ポリマーである。
【0096】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングに使用される1種以上のポリマーは、それぞれ、独立して、カルボン酸官能化ポリマー、中性非セルロース系ポリマー、およびセルロース系ポリマーからなる群から選択される。
【0097】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングに使用されるポリマーは、1種以上の中性非セルロース系ポリマーを含む。例示的なポリマーとしては、ヒドロキシ、アルキル、アシルオキシ、および環状アミドである置換基を有するビニルポリマーおよびコポリマーが挙げられる。これらとしては、少なくとも、反復単位の一部が非加水分解(例えば酢酸ビニル)形態であるポリビニルアルコール(例えばポリビニルアルコール-ポリ酢酸ビニルコポリマー);ポリビニルピロリドン;ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー;ポリエチレンポリビニルアルコール、コリドンVA64、プラスドンS630、ポロキサマー(polaxamer)、ポリビニルピロリジノンおよびポリビニルピロリジノンコポリマー、例えばポリビニルピロリジノン-ポリ酢酸ビニルコポリマーおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーが挙げられる。いくつかの実施態様において、ポリマーは、コポビドンを含む。いくつかの実施態様において、ポリマーは、コポビドンである。
【0098】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングに使用されるポリマーは、1種以上のカルボン酸官能化ポリマーを含む。カルボン酸官能化ポリマーの例としては、カルボン酸官能化された:ビニルポリマー、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、アミン官能化ポリアクリレート、タンパク質、およびカルボン酸官能化デンプン、例えばグリコール酸デンプンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングに使用されるポリマーは、1種以上のセルロース系ポリマーを含む。例示的セルロース系ポリマーとしては、少なくとも1つのエステル結合および/またはエーテル結合を有するセルロース系ポリマー:エチル安息香酸セルロース、エトキシ安息香酸(ethyoxybenzoic acid)置換基、セルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート(phathalate)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートテレフタレートおよびセルロースアセテートイソフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、セルロース系ポリマーは、生理学的に関連したpHで少なくとも部分的にイオン化可能であり、エーテル結合またはエステル結合され得る少なくとも1つのイオン化可能な置換基を含む。
【0100】
いくつかの実施態様において、工程ii)のコーティングに使用されるポリマーは、コポビドンである。
【0101】
本明細書に記載の化合物、組成物および方法に好適なポリマーはブレンドされ、そのようなポリマーのブレンドもまた、本発明において有用となり得ることが理解される。したがって、ポリマーという用語は、単一種のポリマーに加えて、ポリマーのブレンドを含むことを意図することが理解される。本発明において有用なさらなるポリマーはまた、米国特許出願公開第2015/0190402号(例えば[0014]~[0036]を参照)に開示されているポリマーの1つまたは複数を含む(その開示は出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)。
【0102】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩は、結晶性である。
【0103】
いくつかの実施態様において、治療剤は、化学療法剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗菌剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、および抗真菌剤からなる群から選択される。
【0104】
いくつかの実施態様において、治療剤は、化学療法剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗炎症剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、免疫抑制剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、ステロイドである。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗菌剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、駆虫剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗ウイルス剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗微生物剤である。いくつかの実施態様において、治療剤は、抗真菌剤である。
【0105】
本明細書に記載の方法において使用され得る例示的治療剤としては、ラロキシフェン、細胞分裂阻害剤、プロテオソーム阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソール、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、テモゾロミド、チピファルニブ、ゲフィチニブ、塩酸エルロチニブ、EGFRに対する抗体、メシル酸イマチニブ、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、フォリン酸、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド、17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミソール、ビノレルビン、アナストラゾール、レトロゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ヘキサメチルメラミン、ベバシズマブ、ベキサール、ベルケード、ゼバリン、トリセノックス、ゼローダ、ポルフィマー、アービタックス、チオテパ、アルトレタミン、トラスツズマブ、フルベストラント、エキセメスタン、リツキシマブ、アレムツズマブ、クロファラビン、クラドリビン、アフィジコリン、スニチニブ、ダサチニブ、テザシタビン、トリアピン、ジドックス、トリミドックス、アミドックス、ベンダムスチン、オファツムマブ、イデラリシブ、コルチコステロイド、例えばコルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、またはプレドニゾン、抗ヒスタミン剤、例えばセチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ロラタジン、エフェドリン、またはテオフィリン、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、インフリキシマブ、メトトレキセート、タクロリムス、アミノグリコシド、例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、またはストレプトマイシン、ペニシリン、例えばアモキシシリンまたはアンピシリン、マクロライド、例えばエリスロマイシン、ポリエン剤、例えばアンホテリシンBまたはカンジシジン、イミダゾール剤、例えばビホナゾール、クロトリマゾール、またはエコナゾール、トリアゾール剤、例えばアルバコナゾール、エフィナコナゾール、またはフルコナゾール、チアゾール剤、例えばアバファンギン、アリルアミン剤、例えばアモロルフィン、ブテナフィン、またはナフチフィン、エキノカンジン、例えばアニデュラファンギンまたはカスポファンギン(caspofungi)、アスピリン、サリチル酸コリン、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクナトリウムおよびミソプロストール、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナメム酸ナトリウム、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカン、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、トルメチンナトリウム、およびバルデコキシブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
いくつかの実施態様において、治療剤は、ラロキシフェン、ダサチニブ、アビラテロン、スニチニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、もしくはカボザンチニブ、またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、治療剤は、ラロキシフェン、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、治療剤は、塩酸ラロキシフェンである。
【0107】
ナノ粒子化合物および医薬組成物
本願は、さらに、本明細書に記載のナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩である化合物を提供し、ナノ粒子形態は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って調製される。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩は、結晶性、非晶質またはそれらの組合せである。
【0108】
「化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、示された種の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体を含むことを意味する。本明細書において1つの特定の互変異性体形態として名称または構造により特定された化合物は、別段に指定されない限り、他の互変異性体形態を含むことを意図する。
【0109】
全ての化合物、およびその薬学的に許容される塩は、水および溶媒等の他の物質と一緒に見出され得るか(例えば水和物および溶媒和物)、または単離され得る。
【0110】
いくつかの実施態様において、化合物の調製は、例えば、所望の反応の触媒作用または酸付加塩等の塩形態の形成に影響を与えるように、酸または塩基の添加を含んでもよい。
【0111】
例示的な酸は、無機酸または有機酸であってもよく、強酸および弱酸を含むが、これらに限定されない。いくつかの例示的な酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸および硝酸が挙げられる。いくつかの弱酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、酒石酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、およびデカン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
例示的な塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および重炭酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの例示的な強塩基としては、水酸化物、アルコキシド、金属アミド、金属水素化物、金属ジアルキルアミドおよびアリールアミンが挙げられ、アルコキシドとしては、メチル、エチルおよびt-ブチルオキシドのリチウム、ナトリウムおよびカリウム塩が挙げられ;金属アミドとしては、ナトリウムアミド、カリウムアミドおよびリチウムアミドが挙げられ;金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化リチウムが挙げられ;金属ジアルキルアミドとしては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、トリメチルシリルおよびシクロヘキシル置換アミドのリチウム、ナトリウム、およびカリウム塩が挙げられる。
【0113】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の化合物またはその塩は、実質的に単離されている。「実質的に単離されている」とは、化合物が、その形成または検出された環境から少なくとも部分的または実質的に分離されていることを意味する。部分的分離は、例えば、本明細書に記載の化合物が濃縮された組成物を含み得る。実質的な分離は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%の本明細書に記載の化合物またはその塩を含有する組成物を含み得る。化合物およびその塩を単離するための方法は、当技術分野において慣例的である。
【0114】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の化学療法剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗炎症剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の免疫抑制剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態のステロイドまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗菌剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の駆虫剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗ウイルス剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗微生物剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の抗真菌剤またはその薬学的に許容される塩である。
【0115】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の、ラロキシフェン、ダサチニブ、アビラテロン、スニチニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、もしくはカボザンチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物である。
【0116】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンである。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態のアビラテロンである。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンである。
【0117】
いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性である、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性である、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンである。
【0118】
いくつかの実施態様において、化合物は、非晶質である、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、非晶質である、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンである。
【0119】
いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性、非晶質、またはそれらの組合せである、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性、非晶質、またはそれらの組合せである、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンである。
【0120】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、約267℃において吸熱ピークを有するDSCサーモグラムにより特徴付けられる。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、実質的に
図2に示されるようなDSCサーモグラムを有する。
【0121】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも7つのXRDピークを有する。
【0122】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも6つのXRDピークを有する。
【0123】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも5つのXRDピークを有する。
【0124】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも4つのXRDピークを有する。
【0125】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも3つのXRDピークを有する。
【0126】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも2つのXRDピークを有する。
【0127】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、2シータに関して、約12.5°、約16.2°、約19.5°、約19.6°、約19.0°、約20.8°、約21.0°、約23.0°、約25.5°、および約27.5°から選択される少なくとも1つのXRDピークを有する。
【0128】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、実質的に
図5に示されるようなXRDプロファイルを有する。
【0129】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンは、実質的に
図3に示されるようなFTIRプロファイルを有する。
【0130】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の、ジクロフェナク(すなわち2-(2,6-ジクロロアニリノ(dichloranilino))フェニル酢酸;ジクロフェナク酸)またはその薬学的に許容される塩である。
【0131】
いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性である、ナノ粒子形態のジクロフェナクまたはその薬学的に許容される塩である。
【0132】
いくつかの実施態様において、化合物は、非晶質である、ナノ粒子形態のジクロフェナクまたはその薬学的に許容される塩である。
【0133】
いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性、非晶質、またはそれらの組合せである、ナノ粒子形態のジクロフェナクまたはその薬学的に許容される塩である。
【0134】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、実質的に
図17に示されるようなDSCサーモグラムを有する。
【0135】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも7つのXRDピークを有する。
【0136】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも6つのXRDピークを有する。
【0137】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも5つのXRDピークを有する。
【0138】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも4つのXRDピークを有する。
【0139】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも3つのXRDピークを有する。
【0140】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも2つのXRDピークを有する。
【0141】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、2シータに関して、約12.4°、約16.3°、約19.1°、約19.4°、約19.5°、約19.9°、約21.1°、約25.5°、約26.2°、約27.4°、約28.2°、および約28.5°から選択される少なくとも1つのXRDピークを有する。
【0142】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、実質的に
図18に示されるようなXRDプロファイルを有する。
【0143】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態のジクロフェナクは、実質的に
図16に示されるようなFTIRプロファイルを有する。
【0144】
いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態のアビラテロンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンである。
【0145】
いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性である、ナノ粒子形態のアビラテロンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性である、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンである。
【0146】
いくつかの実施態様において、化合物は、非晶質である、ナノ粒子形態のアビラテロンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、非晶質である、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンである。
【0147】
いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性、非晶質、またはそれらの組合せである、ナノ粒子形態のアビラテロンまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施態様において、化合物は、結晶性、非晶質、またはそれらの組合せである、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンである。
【0148】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、実質的に
図21に示されるようなDSCサーモグラムを有する。
【0149】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、選択される少なくとも7つのXRDピークを有する。
【0150】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、約12°、約16°、約20°、約21°、約24°、および約27°から選択される少なくとも6つのXRDピークを有する。
【0151】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、約12°、約16°、約20°、約21°、約24°、および約27°から選択される少なくとも5つのXRDピークを有する。
【0152】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、約12°、約16°、約20°、約21°、約24°、および約27°から選択される少なくとも4つのXRDピークを有する。
【0153】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、約12°、約16°、約20°、約21°、約24°、および約27°から選択される少なくとも3つのXRDピークを有する。
【0154】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、約12°、約16°、約20°、約21°、約24°、および約27°から選択される少なくとも2つのXRDピークを有する。
【0155】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、2シータに関して、約12°、約16°、約20°、約21°、約24°、および約27°から選択される少なくとも1つのXRDピークを有する。
【0156】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、実質的に
図23に示されるようなXRDプロファイルを有する。
【0157】
いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の酢酸アビラテロンは、実質的に
図22に示されるようなFTIRプロファイルを有する。
【0158】
本発明はまた、本明細書に記載のナノ粒子化合物の薬学的に許容される塩を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、親化合物が既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することにより修飾されている、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩または有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的に許容される塩としては、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された親化合物の非毒性塩が挙げられる。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、水中もしくは有機溶媒中またはその2つの混合物中で適切な塩基または酸の化学量論的量と反応させることにより調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えばメタノール、エタノール、iso-プロパノールもしくはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)等の非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418およびJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に見出される(それぞれ出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)。
【0159】
医薬品として使用される場合、本明細書に記載のナノ粒子化合物およびその塩は、医薬組成物の形態で投与され得、したがって、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含み得る。したがって、本願はさらに、本明細書に記載のナノ粒子形態の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、ナノ粒子形態の医薬組成物である(すなわち、医薬組成物の成分の1つ以上がナノ粒子成分である)。いくつかの実施態様において、ナノ粒子形態の医薬組成物は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って調製される。
【0160】
ナノ粒子化合物および組成物は、製薬分野において周知の方法で調製され得、局所的または全身的のどちらの処置が望まれているかに依存して、および処置される領域に依存して、様々な経路により投与され得る。投与は、局所(経皮、表皮、眼科的、ならびに鼻腔内、膣内および直腸内送達を含む経粘膜を含む)、経肺(例えば、ネブライザによるものを含む散剤またはエアゾール剤の吸入または送気による;気管内または鼻腔内)、経口、または非経口であってもよい。例示的な投与技術としては、経口、経肺、直腸内、結腸内、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、眼内、耳内、局所的(local)、口腔内、経鼻および局所的(topical)投与が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のナノ粒子化合物および組成物は、分散液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル剤からなる群から選択される剤形;制御放出製剤、速溶製剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、即時放出・制御放出複合製剤、またはそれらの組合せからなる群から選択される剤形に製剤化され得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または注射もしくは注入;または頭蓋内、例えばくも膜下腔内または脳室内投与が挙げられる。非経口投与は、単一ボーラス投薬の形態であり得るか、または、例えば連続注入ポンプによるものであってもよい。局所投与用の医薬組成物および製剤としては、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、坐剤、スプレー剤、液剤および散剤が挙げられ得る。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、および増粘剤等が必要となり得るかまたは望ましくなり得る。
【0161】
本発明はまた、1種以上の薬学的に許容される担体(賦形剤)と組み合わせて、活性成分として本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物を含む。いくつかの実施態様において、組成物は、局所投与に好適である。本発明の組成物の作製において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合されるか、賦形剤により希釈されるか、または、例えばカプセル、サシェ、紙もしくは他の容器の形態の担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、賦形剤は、活性成分のビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体または液体材料であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェー剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体として、もしくは液体媒体中で)、例えば活性化合物を10重量%まで含有する軟膏剤、軟および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射液剤、および滅菌包装散剤の形態であり得る。
【0162】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、非限定的であるが、ラクトース、デキストロース、シュークロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。該製剤は、非限定的であるが、滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化および分散剤;保存剤、例えばメチル-およびプロピルヒドロキシ-ベンゾエート;甘味剤;香味剤、またはそれらの組合せをさらに含むことができる。
【0163】
活性ナノ粒子化合物は、幅広い投薬量範囲にわたって効果的であり得、一般に治療有効量で投与される。しかしながら、実際に投与されるナノ粒子化合物の量および投与スケジュールは、通常、処置される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の対象体の年齢、体重および応答、ならびに対象体の症状の重症度等を含む関連する状況に従って、医師により決定されることが理解される。
【0164】
組成物は、各投薬量が約5~約1000mg(1g)、より一般的には約100~約500mgの活性成分を含有する単位剤形として製剤化されてもよい。「単位剤形」という用語は、各単位が所望の治療効果を奏するように計算された所定量の活性材料を好適な医薬賦形剤と併せて含有する、ヒト対象体および他の哺乳動物への単一投薬量として好適な物理的に別個の単位を指す。
【0165】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、例えば、約5~約50mgの活性成分を含有してもよい。これは、具体的には約5~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、約25~約30、約30~約35、約35~約40、約40~約45、または約45~約50mgの活性成分を含有する組成物であることが、当業者に理解される。
【0166】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、例えば、約0.1~約500mgの活性成分を含有してもよい。これは、具体的には約0.1~約100、約0.5~約100、約1~約100、約10~約100、約25~約100、約50~約100、約100~約150、約150~約200、約200~約250、約250~約300、約350~約400、または約450~約500mgの活性成分を含有する組成物であることが、当業者に理解される。
【0167】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、例えば、約500~約1,000mgの活性成分を含有してもよい。これは、具体的には約500~約550、約550~約600、約600~約650、約650~約700、約700~約750、約750~約800、約800~約850、約850~約900、約900~約950、または約950~約1000mgの活性成分を含有する組成物であることが、当業者に理解される。
【0168】
本発明の方法および使用において、本明細書に記載のナノ粒子化合物の同様の投薬量が使用され得る。
【0169】
活性化合物(例えば本明細書に記載のナノ粒子化合物)は、幅広い投薬量範囲にわたって効果的であり得、一般に薬学的有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、処置される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の対象体の年齢、体重および応答、ならびに対象体の症状の重症度等を含む関連する状況に従って、医師により決定されることが理解される。
【0170】
錠剤等の固体組成物を調製するために、主要活性成分(例えば本明細書に記載のナノ粒子化合物)は医薬賦形剤と混合されて、本発明の化合物の均質混合物を含有する固体製剤組成物を形成する。これらの製剤組成物を均質であるという場合、活性成分は、典型的には、組成物がさらに錠剤、丸剤およびカプセル剤等の同等に効果的な単位剤形に容易に分割され得るように組成物全体に均一に分散している。次いで、この固体製剤は、例えば約0.1~約1000mgの本発明の活性成分を含有する上記のタイプの単位剤形にさらに分割される。
【0171】
本発明の錠剤または丸剤は、持続的作用の利点をもたらす剤形を提供するためにコーティングされ得るか、または別様に調合され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内側投薬(inner dosage)成分および外側投薬(outer dosage)成分を含むことができ、後者は前者の外皮の形態である。この2つの成分は、胃内での崩壊に抵抗して内側成分が十二指腸に無傷で通過できるようにするかまたは放出を遅らせることができる腸溶性層で分離することができる。そのような腸溶性層またはコーティングには様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、多くのポリマー酸、ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロース等の材料との混合物が挙げられる。
【0172】
経口投与または注射による投与のために本発明の化合物および組成物を組み込むことができる液体形態は、水性液剤、好適に風味付けされたシロップ剤、水性または油性懸濁剤、および綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油等の食用油による風味付乳剤、ならびにエリキシル剤および同様の医薬ビヒクルを含む。
【0173】
吸入または送気用の組成物としては、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物による液剤および懸濁剤、ならびに散剤が挙げられる。液体または固体組成物は、上述のような好適な薬学的に許容される賦形剤を含有してもよい。いくつかの実施態様において、組成物は、局所的または全身的な効果のために、口または鼻呼吸経路により投与される。組成物は、不活性ガスの使用により霧化されてもよい。霧化液剤は霧化デバイスから直接吸気されてもよいか、または、霧化デバイスをフェイスマスク、テントまたは間欠的陽圧呼吸器に取り付けることができる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、製剤を適切な方法で送達するデバイスから経口的または経鼻的に投与され得る。
【0174】
局所製剤は、1種以上の慣用の担体を含有し得る。いくつかの実施態様において、軟膏剤は、水と、例えば液体パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコールおよび白色ワセリン等から選択される1種以上の疎水性担体とを含有し得る。クリーム剤の担体組成物は、グリセロールおよび1種以上の他の成分、例えばグリセリンモノステアレート、PEG-グリセリンモノステアレートおよびセチルステアリルアルコールと組み合わせた水をベースとし得る。ゲル剤は、イソプロピルアルコールおよび水を、好適には他の成分、例えばグリセロールおよびヒドロキシエチルセルロース等と組み合わせて使用して製剤化され得る。いくつかの実施態様において、局所製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5wt%の本発明の化合物を含有する。局所製剤は、選択された適応症、例えば乾癬または他の皮膚状態の処置のための説明書を付随していてもよい、例えば100gの、チューブ内に好適に包装され得る。
【0175】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されているもの、投与の目的、例えば予防または治療、患者の状態、および投与様式等に応じて変動する。治療用途では、組成物は、すでに疾患に罹患している患者に、該疾患およびその合併症の症状を治癒または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で投与され得る。効果的な用量は、処置されている疾患状態に依存し、また、疾患の重症度、ならびに患者の年齢、体重および全体的な状態等の因子に応じて担当医の判断に依存する。
【0176】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、慣用の滅菌技術により滅菌されてもよいか、または滅菌濾過されてもよい。水性液剤は、そのまま使用するために包装されてもよいか、または凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8である。ある種の前記賦形剤、担体または安定剤の使用は、薬学的塩の形成をもたらすことが理解される。
【0177】
本発明の化合物の治療投薬量は、例えば、処置が行われる特定の用途、化合物の投与様式、患者の健康および状態、ならびに処方する医師の判断に従って変動し得る。医薬組成物中の本発明の化合物の割合または濃度は、投薬量、化学的特性(例えば疎水性)、および投与経路を含む多くの因子に応じて変動し得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与用に、約0.1~約10%w/vの化合物を含有する生理学的緩衝水溶液として提供され得る。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/kg~約1g/kg体重である。いくつかの実施態様において、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg~約100mg/kg体重である。投薬量は、疾患または障害の種類および進行度、特定の患者の全体的健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の配合、ならびにその投与経路等の変数に依存しやすい。効果的な用量は、インビトロ(in vitro)または動物モデル試験系から得られた用量-応答曲線から推定され得る。
【0178】
使用方法および組合せ療法
本願は、さらに、疾患の処置を必要とする対象体における該疾患を処置する方法をさらに提供する。本明細書で使用される場合、「対象体」という用語は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類およびヒトを含む動物を指す。いくつかの実施態様において、対象体はヒトである。いくつかの実施態様において、方法は、治療有効量の本明細書に記載のナノ粒子化合物もしくは医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象体に投与することを含む。いくつかの実施態様において、ナノ粒子化合物、その塩、または医薬組成物は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って調製される。
【0179】
いくつかの実施態様において、疾患は、がん、自己免疫疾患、心臓血管疾患、中枢神経系の疾患(例えば神経変性疾患)、および炎症性疾患からなる群から選択される。
【0180】
例示的ながんとしては、肺がん、黒色腫、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、結腸がん、子宮内膜がん、膀胱がん、皮膚がん、子宮がん、腎臓がん、胃がん、肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、または血液がん(例えば白血病またはリンパ腫)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、疾患は乳がんである。
【0181】
例示的な中枢神経系の疾患としては、鬱病、統合失調症、双極性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
いくつかの実施態様において、中枢神経系の疾患は、統合失調症、双極性障害、アルツハイマー病、およびハンチントン病からなる群から選択される。
【0183】
例示的な炎症性および/または自己免疫疾患としては、円形脱毛症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、糖尿病(1型)、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、心筋炎、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症/全身性硬化症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、および多発血管性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
例示的な心臓血管疾患としては、冠動脈疾患、高血圧、心停止、鬱血性心不全、不整脈、末梢動脈疾患、心筋症(例えば拡張型心筋症)、心室細動、頻脈、心筋梗塞、QT延長症候群、ブルガダ症候群、進行性心臓伝導障害、洞不全症候群、心房細動、高血圧症、心筋炎、および心不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
「薬学的に許容される量」または「治療有効量」という語句は、本明細書において、正しい医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、炎症、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに人間および動物の組織と接触して使用するのに好適であるこれらの化合物、材料、組成物および/または剤形を指すために使用される。例えば、「薬学的に許容される量」または「治療有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって組織、系、動物、個体またはヒトにおいて求められる生物学的または医薬的応答を惹起する活性化合物または医薬品の量を指す。
【0186】
本明細書で使用される場合、「処置すること」または「処置」という用語は、(1)疾患の阻害;例えば、疾患、状態または障害の病状または症候を経験しているかまたは示している個体における疾患、状態または障害の阻害(すなわち、病状および/または症候のさらなる発症の停止);ならびに(2)疾患の寛解;例えば、疾患、状態または障害の病状または症候を経験しているかまたは示している個体における疾患、状態または障害の寛解(すなわち、病状および/または症候の逆転)、例えば疾患の重症度の低下または疾患の1つ以上の症状の低減もしくは軽減の1つ以上を指す。
【実施例】
【0187】
具体例を用いて本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、例示を目的として提供され、いかなる方法でも本発明を制限することを意図しない。当業者であれば、本質的に同じ結果を得るために変更または修正することができる様々な重要でないパラメータを容易に認識する。
【0188】
実施例1.ナノ製剤粉砕法
アトライタ(attitor)またはボールミルを使用して、固体製剤ブレンドの粉砕を行った。粉砕室内に鋼ボールが入ったミルに製剤を入れた。約25~35分間粉砕を行い、次いでラロキシフェンの粒径分析を行った。医薬品有効成分(例えばラロキシフェン)の中央粒径が約100nmとなるまでこの手順を繰り返した。インプロセス試料を使用して、サイズ減少プロセス全体で粒径およびサイズ分布を測定した。
【0189】
実施例2.代表的ナノ製剤
以下の表1に示される成分を用いて、3つの異なるナノ製剤を調製した。ラウリル硫酸ナトリウムの量は、全ての製剤において一定に維持した。特定範囲の粒径および分布を維持するために、ラロキシフェン、ラクトース一水和物およびコポビドンの割合を2つのレベルで変更した。溶出のさらなる増強のためのラロキシフェン粒子のコーティングを確実にするために、ポリマー(コポビドン)のレベルを変更した。4つのバッチを製造し、4つのバッチ全ての粒径分布を測定した。4つのバッチは全て、同様の粒径および分布を有し、プロセスの堅牢性を実証していた。4つのバッチのうち、最大薬物負荷量および最小ラクトース一水和物含量を有する製剤を以下の実施例3~8に記載のさらなる分析試験に使用した。さらなる試験に使用したナノ製剤の成分を以下の表1に示す。
【0190】
【0191】
実施例3.粒径分析
ナノ製剤の粒径を、レーザー回折計(Model:S3000)により決定した。粒径および分布は数分布に基づいて得られ、値は3回の測定の平均値であった。標準粒径試料調製法を使用して、粒径分析を行った。
【0192】
図1は、市販のラロキシフェン製剤(すなわち未粉砕製剤)の粒径、ならびに本発明の代表的ラロキシフェンナノ製剤(すなわち粉砕製剤)の粒径および分布を示す。
図1はまた、粉砕前および粉砕後の薬物の粒径d50を示しており、ここではラロキシフェンと賦形剤の割合は両方の製剤に対して同じであった。ナノ製剤の粒径d50は、未粉砕製剤のd50の約280分の1であった。未粉砕製剤のd50は、約35ミクロンであった。
【0193】
実施例4.融点および結晶化
粉砕ナノ製剤および未粉砕製剤の熱曲線を、示差走査熱量計により記録した。各試料(約5mg)を、5℃/分の加熱速度で25~400℃の範囲にわたりアルミニウムパン内で走査し、空のアルミニウムパンを参照として使用した。試料は、窒素雰囲気下で加熱した。
【0194】
図2に示されるように、固体状態の粉砕ナノ製剤および未粉砕製剤に対して示差走査熱量測定(DSC)試験を行った。賦形剤およびラロキシフェンの吸熱ピークは、両方の製剤において単一ピークを示した。賦形剤およびラロキシフェンの鋭いピークは、ラロキシフェンおよび賦形剤が粉砕前および粉砕後に結晶状態であることを裏付けていた。粉砕前および粉砕後のラロキシフェンの溶融ピークは、ほぼ同じ温度であったが、これは、ラロキシフェンの結晶形態がナノ製剤化プロセス全体にわたり変化しなかったことを裏付けている。
【0195】
実施例5.フーリエ変換赤外分光法
治療剤の構造が粉砕中に変化しなかったことを検証するために、未粉砕および粉砕ナノ製剤に対してラロキシフェンの同一性を決定した。粉砕ナノ製剤および未粉砕製剤のフーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトルを慣用のKBrペレット法により得た。走査範囲は4000~550cm-1であった。全部で16回の走査を行った。
【0196】
FTIR試験は、未粉砕製剤および粉砕ナノ製剤中のラロキシフェンのスペクトルに大きな変化がないことを示した。
図3に示されるように、未粉砕製剤および粉砕ナノ製剤からのFTIRピークの波数にシフトがないことは、薬物と他の製剤成分との間に大きな相互作用がないことを示しており、したがって、これらの結果は、粉砕前および粉砕後のラロキシフェンの形態変化がないこと、またはラロキシフェンと製剤の他の成分との間にいかなる明確な相互作用も存在しないことを示した。
【0197】
実施例6.インビトロ溶出
米国薬局方(USP)装置IIに従い、50rpmで、0.1%のTween 80を含む1000mLの水を体温において用いてインビトロ溶出試験を行った。60mgのラロキシフェンと等価な粉末試料を含有するナノ製剤および未粉砕製剤のそれぞれの3つの試料を試験した。溶出媒体の試料を、自動化サンプリングシステムを使用して所定の時間間隔(10、20、30、45分)で取り出した。収集した試料を、十分に希釈した後にUV分光光度計を使用してλmax=290nmで分析した。
【0198】
粉砕ナノ製剤および未粉砕製剤の溶出試験の結果を表2および
図4に示す。45分後の粉砕ナノ製剤の溶出は、未粉砕製剤(formation)の溶出の約12倍であった。溶出試験の結果は、粉砕ナノ製剤の溶出が、未粉砕製剤よりも実質的に高いことを示した。この結果は、ナノ製剤の溶解性が、粉砕法により、未粉砕製剤と比較して実質的に増強したことを示している。
【0199】
【0200】
実施例7.X線回折
Optixロングファインフォーカス源(long, fine-focus source)を使用して生成されたCu放射線の入射ビームを使用したPANalytical X’Pert PRO MPD回折計により、粉末結晶(XRD)パターンを収集した。楕円傾斜型多層膜ミラー(elliptically graded multilayer mirror)を使用して、被検査物を通して検出器上にCu Kα X線の焦点を合わせた。被検査物から240mmに位置する走査位置感知式検出器(X’Celerator)およびData Collectorソフトウェアを使用して、回折パターンを収集した。
【0201】
XRD試験は、未粉砕ラロキシフェン製剤および粉砕ナノ製剤の結晶性を示すDSCデータを確固たるものにするために行った。未粉砕および粉砕ラロキシフェン製剤の回折スペクトルは、
図5において多くの明確なピークにより示されるように、結晶性が変化しないことを示していた。粉砕ナノ製剤の分析時には新たなピークは観察されず、これは、粉砕法中に薬物とナノ製剤の他の成分との間の相互作用がなかったことを示している。粉砕ナノ製剤および未粉砕製剤中のラロキシフェンからの顕著なピークは、XRDスペクトルにおいて同様の位置に存在し、これはDSC測定において示されたデータをさらに裏付けていた。
【0202】
実施例8.インビボアッセイ
図6は、ラロキシフェン(raxolifine)の粉砕ナノ製剤(22mg/kg)またはラロキシフェンの未粉砕製剤を投与したラットのラロキシフェン血漿濃度の比較を示す。表3は、ラロキシフェン(raxolifine)の粉砕ナノ製剤およびラロキシフェンの未粉砕製剤に対して測定された代表的PKパラメータのリストを示す。
【0203】
【0204】
実施例9.スケールアップ分析
実施例1に記載のナノ製剤化粉砕法の商業規模パラメータを確立するためのモデル化合物として、ジクロフェナク酸を使用した。ジクロフェナク酸は、水に対する低い溶解性等のいくつかの考慮点に基づいて選択された。ジクロフェナク酸の40の製剤(粉砕前)を調製し、分析した。各製剤の組成は、薬物負荷量、ポリマーの選択および負荷量、ならびに界面活性剤の選択および負荷量に応じて様々であった。充填剤の組成パーセントは、個々の製剤に対して調節した。さらに、それぞれの個々の製剤を2つの異なる粉砕条件に供し、48の異なるジクロフェナクナノ製剤を得た。これらの製剤を、以下に記載の一般的粉砕条件に従い、11℃~17℃の外側(ジャケット)温度を使用してナノ製剤化し、温度は外部冷却機を使用して制御した。ナノ製剤を調製するための変数を以下にさらに要約する。
【0205】
製剤組成
活性薬物
・ジクロフェナク酸薬物負荷量:10%、12%、または15%
【0206】
賦形剤の選択
・ポリマー(製剤の10%w/wおよび12%w/w)-Kollidon VA64またはSoluplus
・界面活性剤(0.5%および1%)-ラウリル硫酸ナトリウムまたはpoloxamer 188
・充填剤-ラクトース一水和物またはマンニトール
【0207】
粉砕条件
・大型ミル-500gのバッチで250rpmおよび300rpm;1000gのバッチで300rpm
・粉砕媒体:2つの異なる直径のステンレススチールボールを1:3の比(大直径:小直径)で使用した。20lbの粉砕媒体を500gのバッチに使用し、40lbの粉砕媒体を1kgのバッチに使用した。粉砕のせん断および衝撃メカニズムにより、この比での粉砕媒体は、100nm~200nmのd50サイズ範囲内のナノ製剤を生成した。
・粉砕時間間隔:10分、15分、20分、25分、30分、および35分。ほとんどの製剤は35分まで粉砕し、粒径データは30分および35分の2つの時点で収集した。
【0208】
総合的に、上記で概説された実験フレームワークおよび変数により、2つの異なる粉砕条件での40の個々の製剤の調製物が得られ、全部で64の粉砕ナノ製剤が得られた。様々な製剤を使用して達成された粒径およびサイズ範囲を検査するために、mastersizerレーザー回折計を使用して、全体で128の製品試料を製品サイズについて評価した。
【0209】
図7に示されるように、目標d
50範囲は、製剤中に15%の薬物負荷量(最高)および10%のポリマーを使用してジクロフェナク酸結晶を35分間粉砕した後に達成された。
図8において、目標d
50範囲は、製剤中に10%の薬物負荷量(最低)および10%のポリマーを使用してジクロフェナク酸結晶を35分間粉砕した後に達成された。製剤のブレンドおよび粉砕の独立した反復後の最終的なd
50およびサイズ分布に僅かな変動性が観察された(
図7~8)。しかしながら、ジクロフェナク酸製剤および上記の処理パラメータを使用して、目標範囲内のd
50が一貫して達成された。
【0210】
図7~8における代表的データは、充填剤としてラクトース一水和物を含有する製剤から得られた。しかしながら、最終粒径およびサイズ分布における充填剤の効果もまた調査した。製剤におけるマンニトールの使用は、平均的に、ラクトース一水和物を含有する製剤よりも大きい粒径をもたらすことが観察された(
図9)。マンニトールのこの効果は、多くの場合100~200nmの範囲内の目標粒径d50の達成を妨げたが、一方、充填剤としてラクトース一水和物を含有する製剤は、比較的堅牢な操作条件にわたり目標d50をもたらした。
【0211】
次に、粉砕速度および薬物負荷量を含む他のパラメータの効果を決定するために、一連の試験を行った(
図10~11)。総合的に、これらの試験は、モデル化合物であるジクロフェナク酸を使用して、定義された範囲の操作条件下で目標d50を達成するための概念実証を確立した。以下に示されるジクロフェナク酸の典型的な粒径は、同じパラメータを使用した塩酸ラロキシフェン、酢酸アビラテロンおよびリンゴ酸スニチニブの粒径と同様である。
【0212】
要約すると、ジクロフェナク酸からのデータは、以下のパラメータが粉砕後の薬物粒径のd50に対する効果をほとんどまたは全く有さないことを実証した。
・薬物の出発粒径(例えば、試験されたジクロフェナク酸、酢酸アビラテロン、塩酸ラロキシフェン、およびリンゴ酸スニチニブの出発粒径は異なっていた)
・界面活性剤濃度(0.5%w/wおよび1.0%w/w)
・ポリマー負荷量(10%w/wおよび12%w/w)
【0213】
対照的に、ジクロフェナク酸実験からのデータは、以下のパラメータが粉砕後の薬物粒径のd50対して著しい測定可能な効果を示すことを実証した。
・薬物負荷量
・ポリマーの種類
・充填剤の種類
・粉砕時間
【0214】
上記で論じたように、被験製剤の調製において、10%および12%(w/w基準)の2つの負荷量で2つの異なるポリマーを使用した(Kollidon VA64またはSoluplus)。賦形剤、および特にポリマーは、170℃の融点を有する有効活性成分(API)であるジクロフェナク酸との融点差に基づいて選択した。
【0215】
溶融押出分析
所望の粒径およびサイズ範囲を達成するための候補製剤を開発した後、大規模500gバッチサイズのホットメルト押出のためのパラメータを研究した。ナノ粉砕製剤の押出の温度範囲を選択するために、まず小規模での温度範囲最適化試験を行った。これらの予備試験に基づいて、2つの異なる条件をホットメルト押出に使用した。
・20rpmおよび40rpm、目標供給速度0.5kgおよび1kg毎時。
・押出ゾーン温度は、製剤中のポリマーに固有であった。Kollidon VA64(融点145℃)を含有する製剤は135℃~145℃で押し出した。10分間の操作後、ホットメルト押出機バレル内の二軸スクリューの混合中に生じた熱を相殺するために、温度を低下させた。Soluplus(融点120℃)を含有する製剤は110℃~120℃で押し出した。
【0216】
これらの条件を使用して達成された実際の供給速度は、それぞれ、上記のrpmパラメータを使用して0.18kg/時間および0.24kg/時間であった。これらの試験によって、全部で256の実験およびポリマーコーティング製剤が生成された。これらの256の試料は、40の異なるナノ製剤から得られた全部で64の供給試料から生成された。得られるポリマーコーティングナノ製剤の代表的な溶出データを、
図12~15に示す。
【0217】
本明細書に記載のナノ製剤化ジクロフェナク酸(15%の薬物負荷量および10%のポリマー)は、対応する市販製剤と比べて、溶出の著しい改善を示した(
図12)。同様の溶出の改善が、10%、12%、または15%の薬物負荷量のジクロフェナク酸ナノ製剤で観察された(
図13)。また、最終製剤中12%のポリマー(16の異なる製剤)を使用して、予備試験を行った。10%のポリマーは、市販の製剤と比べて、溶出の大幅な増加を与えるのに十分であることが観察された。特定の充填剤(ラクトース一水和物またはマンニトール)の使用、または粉砕速度の差も同様に、未粉砕製剤に比べてジクロフェナクの溶出を増加させたが、条件間の溶出改善の差とは関連していなかった(
図14~15)。
【0218】
押し出されたナノ製剤の結晶同一性を特性決定するために、また、ナノサイズ結晶上の均一なポリマーコーティングを確認するために、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)およびX線回折(XRD)を含む様々な技術を使用して、粉砕および押出プロセス中に生じた可能性のある結晶の起こり得る形態変化を研究した。
【0219】
FTIRデータから、スペクトルまたは明確なピークの数に差がないことが明らかとなり、これは薬物と賦形剤との間に相互作用がないことを示唆している(
図16)。さらに、DSCデータにより、未粉砕、粉砕、および押出材料が、明確な同様の融点ピークを示すことが実証されており、これは結晶形態が変化しなかったことを示唆している(
図17)。同様に、XRDスペクトルは、以下の表4に示されるように、未粉砕、粉砕および押出材料において一貫したピークを示した。
【0220】
【0221】
粉砕および未粉砕製剤からのジクロフェナク酸の顕著なピークは同様の位置で明確に観察されており、これはナノ製剤化プロセス中に結晶性が変化しなかったことを実証している(
図18)。最後に、押出後のナノ結晶の均一なポリマーコーティングを確認するために、使用された走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用した。SEM顕微鏡写真により、押出生成物においてナノ結晶がポリマーでコーティングされ、薬物粒子がポリマーの表面に吸着し、これが粒子を離散状態に維持してその集塊化および凝集を防止したことが明らかとなった(
図19)。
【0222】
さらに、充填剤としてマンニトールを含有するいくつかの製剤が、粉砕法中に粘結問題を示し、これが押出機へのその後の供給のための生成物収量を減少させること(500gのバッチから約300gのナノ粉砕材料)が分かった。この問題は、充填剤としてラクトース一水和物を含有する製剤では生じなかった。さらに、目標生成物プロファイルを達成するために湿度制御は必要ないことが分かった。
【0223】
実施例10.酢酸アビラテロンのナノ製剤化
実施例9に記載の本発明者等の結果に基づいて、前立腺がん薬である酢酸アビラテロンのナノ製剤を生成するために、実験で決定された製剤化パラメータを使用した。ジクロフェナクおよびラロキシフェンHClと同様に、酢酸アビラテロン製剤のナノ粉砕により、
図20に示されるように、目標d
50および狭いサイズ分布内の粉砕生成物が得られた。
図21に示されるように、固体状態のナノ製剤および未粉砕製剤に対して示差走査熱量測定(DSC)試験を行った。賦形剤および酢酸アビラテロンの吸熱ピークは、両方の製剤において単一ピークを示した。賦形剤および酢酸アビラテロンの鋭いピークは、酢酸アビラテロンおよび賦形剤が粉砕前および粉砕後に結晶状態であることを裏付けており、同様の温度における溶融ピークは、酢酸アビラテロンの結晶形態がナノ製剤化プロセス中に変化しないことを裏付けていた。
【0224】
FTIR試験は、市販製剤(すなわち粉砕前)およびナノ製剤(すなわち粉砕後)における酢酸アビラテロンのスペクトルに大きな変化がないことを示した。
図22に示されるように、市販製剤およびナノ製剤からのFTIRピークの波数にシフトがないことは、薬物と賦形剤との間に大きな相互作用がないことを示していた。これらの結果は、粉砕前および粉砕後の酢酸アビラテロンの形態変化がないこと、または酢酸アビラテロンと製剤中に使用される賦形剤との間のいかなる明確な相互作用も存在しないことを実証した。
【0225】
次に、酢酸アビラテロンのナノ製剤および市販製剤に対してX線回折試験を行った。これらの試験は、DSCデータと照合検査するために行われて、粉砕およびコーティングの前後で酢酸アビラテロンの結晶性が変化しないことを示した。同様に、未粉砕および粉砕酢酸アビラテロンの回折スペクトルは、
図23において観察される多くの明確なピークにより実証されるように、結晶性が変化しないことを示した。新たなピークは観察できず、これは薬物と担体との間に相互作用がないことを示唆している。粉砕および未粉砕製剤からの酢酸アビラテロンの顕著なピークは同様の位置で明確に観察され、これは、ナノ製剤化プロセス中に結晶性が変化しなかったことを実証している。XRD分析において観察された代表的2シータピークを、以下の表5に示す。
【0226】
【0227】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、上記説明は本発明を例示することを意図しており、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を制限する意図はないと理解されるべきである。他の態様、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
また、本願は、以下の態様も包含する。
[態様1]
i)ボールミル粉砕装置内で医薬組成物または治療剤を粉砕して、粉砕ナノ粒子形態または粉砕マイクロ粒子形態の医薬組成物または治療剤を生成すること、および
ii)粉砕ナノ粒子形態または粉砕マイクロ粒子形態の医薬組成物または治療剤を、1種以上のポリマーでコーティングすること
を含む方法であって、
該医薬組成物が、治療剤またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、方法。
[態様2]
ナノ粒子形態の医薬組成物が、ナノ粒子形態の治療剤を含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
ナノ粒子形態の医薬組成物が、ナノ粒子形態の、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、態様1または2に記載の方法。
[態様4]
マイクロ粒子形態の医薬組成物が、マイクロ粒子形態の治療剤を含む、態様1または2に記載の方法。
[態様5]
マイクロ粒子形態の医薬組成物が、マイクロ粒子形態の、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、態様1または2に記載の方法。
[態様6]
医薬組成物が、治療剤および1種以上の薬学的に許容される賦形剤の固体混合物を含む、態様1または2に記載の方法。
[態様7]
工程i)の粉砕が、医薬組成物または治療剤を物理的にブレンドすることを含む、態様1~6のいずれか一つに記載の方法。
[態様8]
工程i)の粉砕が、溶媒成分の非存在下で行われる、態様1~7のいずれか一つに記載の方法。
[態様9]
工程i)の粉砕の前、医薬組成物または治療剤の中央粒径が、約1~約1000μmである、態様1~8のいずれか一つに記載の方法。
[態様10]
工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径が、約1~約100μmである、態様1~8のいずれか一つに記載の方法。
[態様11]
工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径が、約1~約75μmである、態様1~8のいずれか一つに記載の方法。
[態様12]
工程i)の粉砕の前、医薬組成物の中央粒径が、約1~約50μmである、態様1~8のいずれか一つに記載の方法。
[態様13]
医薬組成物の中央粒径が、レーザー回折法、動的光散乱法、またはそれらの組合せにより決定される、態様1~12のいずれか一つに記載の方法。
[態様14]
ナノ粒子形態の医薬組成物または治療剤が、ナノ粒子形態の医薬組成物の表面積の約2~約400倍の表面積を含む、態様1~13のいずれか一つに記載の方法。
[態様15]
ナノ粒子形態の医薬組成物または治療剤が、医薬組成物の表面積の約10~約300倍の表面積を含む、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
[態様16]
ナノ粒子形態の医薬組成物または治療剤が、医薬組成物の表面積の約20~約200倍の表面積を含む、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
[態様17]
ナノ粒子形態の医薬組成物または治療剤の表面積が、レーザー回折法により決定される、態様1~16のいずれか一つに記載の方法。
[態様18]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティが、約2倍~約20倍増加する、態様1~17のいずれか一つに記載の方法。
[態様19]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性が、治療剤と比較して約2倍~約50倍増加する、態様1~18のいずれか一つに記載の方法。
[態様20]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性が、治療剤と比較して約2倍~約20倍増加する、態様1~18のいずれか一つに記載の方法。
[態様21]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩の溶解性が、治療剤と比較して約2倍~約10倍増加する、態様1~18のいずれか一つに記載の方法。
[態様22]
医薬組成物が、約1:100の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む、態様1~21のいずれか一つに記載の方法。
[態様23]
医薬組成物が、約1:50の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む、態様1~21のいずれか一つに記載の方法。
[態様24]
医薬組成物が、約1:10の治療剤対1種以上の薬学的に許容される賦形剤の化学量論比を含む、態様1~21のいずれか一つに記載の方法。
[態様25]
医薬組成物が、約1~約20種の薬学的に許容される賦形剤を含む、態様1~24のいずれか一つに記載の方法。
[態様26]
医薬組成物が、約1~約10種の薬学的に許容される賦形剤を含む、態様1~24のいずれか一つに記載の方法。
[態様27]
医薬組成物が、約1~約5種の薬学的に許容される賦形剤を含む、態様1~24のいずれか一つに記載の方法。
[態様28]
工程ii)のコーティングが、溶融押出法、メルトブロー法、スパンボンド法、または高温粉砕法を使用して行われる、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
[態様29]
1種以上のポリマーのそれぞれが、独立して、カルボン酸官能化ポリマー、中性非セルロース系ポリマー、およびセルロース系ポリマーからなる群から選択される、態様1~28のいずれか一つに記載の方法。
[態様30]
ポリマーが、コポビドンである、態様1~29のいずれか一つに記載の方法。
[態様31]
工程ii)のコーティングが、(a)ナノ粒子形態またはマイクロ粒子形態の医薬組成物または治療剤の混合ならびに溶融および/または軟化;(b)ナノ粒子形態またはマイクロ粒子形態の医薬組成物または治療剤の押出;(c)医薬組成物または治療剤の冷却および/または成形の1つ以上をさらに含む、態様1~30のいずれか一つに記載の方法。
[態様32]
工程ii)のコーティングが、即時放出組成物、制御放出組成物、持続放出組成物、急速溶融組成物、パルス放出組成物、複合即時放出プロファイル、および/または組合せ放出プロファイルをもたらす、態様1~31のいずれか一つに記載の方法。
[態様33]
工程ii)の1種以上のポリマーが、約400nm以下の厚さのコーティングとして医薬組成物または治療剤に適用される、態様1~32のいずれか一つに記載の方法。
[態様34]
工程ii)の1種以上のポリマーが、約400nm以上の厚さのコーティングとして医薬組成物または治療剤に適用される、態様1~33のいずれか一つに記載の方法。
[態様35]
治療剤が、化学療法剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗菌剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、および抗真菌剤からなる群から選択される、態様1~34のいずれか一つに記載の方法。
[態様36]
治療剤が、化学療法剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様37]
治療剤が、抗炎症剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様38]
治療剤が、免疫抑制剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様39]
治療剤が、ステロイドである、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様40]
治療剤が、抗菌剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様41]
治療剤が、駆虫剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様42]
治療剤が、抗ウイルス剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様43]
治療剤が、抗微生物剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様44]
治療剤が、抗真菌剤である、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様45]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩が、結晶性、非晶質またはそれらの組合せである、態様1~35のいずれか一つに記載の方法。
[態様46]
ボールミル粉砕装置が、アトライタ装置である、態様1~45のいずれか一つに記載の方法。
[態様47]
(1)ナノ粒子形態の治療剤もしくはその薬学的に許容される塩、または(2)ミクロン粒子形態の治療剤もしくはその薬学的に許容される塩である、化合物であって、ナノ粒子形態またはミクロン粒子形態が、態様1~46のいずれか一つに記載の方法に従って調製される、化合物。
[態様48]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47に記載の化合物。
[態様49]
マイクロ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47に記載の化合物。
[態様50]
ナノ粒子形態の、化学療法剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗菌剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、および抗真菌剤からなる群から選択される治療剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様51]
ナノ粒子形態の化学療法剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様52]
ナノ粒子形態の、ラロキシフェン、ダサチニブ、アビラテロン、スニチニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、もしくはカボザンチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物である、態様47または48に記載の化合物。
[態様53]
ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩である、態様47、48および51のいずれか一つに記載の化合物。
[態様54]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンである、態様47、48、51および52のいずれか一つに記載の化合物。
[態様55]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、約267℃において吸熱ピークを有するDSCサーモグラムにより特徴付けられる、態様54に記載の化合物。
[態様56]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、実質的に図2に示されるようなDSCサーモグラムを有する、態様54または55に記載の化合物。
[態様57]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも5つのXRDピークを有する、態様54~56のいずれか一つに記載の化合物。
[態様58]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも4つのXRDピークを有する、態様54~56のいずれか一つに記載の化合物。
[態様59]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも3つのXRDピークを有する、態様54~56のいずれか一つに記載の化合物。
[態様60]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも2つのXRDピークを有する、態様54~56のいずれか一つに記載の化合物。
[態様61]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、2シータに関して、約12.5°、16.2°、19.5°、19.6°、19.0°、20.8°、21.0°、23.0°、25.5°、および27.5°から選択される少なくとも1つのXRDピークを有する、態様54~56のいずれか一つに記載の化合物。
[態様62]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、実質的に図5に示されるようなXRDプロファイルを有する、態様54~61のいずれか一つに記載の化合物。
[態様63]
ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンが、実質的に図3に示されるようなFTIRプロファイルを有する、態様54~62のいずれか一つに記載の化合物。
[態様64]
ナノ粒子形態の抗炎症剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様65]
ナノ粒子形態の免疫抑制剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様66]
ナノ粒子形態のステロイドまたはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様67]
ナノ粒子形態の抗菌剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様68]
ナノ粒子形態の駆虫剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様69]
ナノ粒子形態の抗ウイルス剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様70]
ナノ粒子形態の抗微生物剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様71]
ナノ粒子形態の抗真菌剤またはその薬学的に許容される塩である、態様47または48に記載の化合物。
[態様72]
ナノ粒子形態の治療剤またはその薬学的に許容される塩が、結晶性である、態様47または48に記載の化合物。
[態様73]
態様47~63のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
[態様74]
ナノ粒子形態またはマイクロ粒子形態の医薬組成物である、態様73に記載の医薬組成物。
[態様75]
マイクロ粒子形態の医薬組成物である、態様73に記載の医薬組成物。
[態様76]
態様1~46のいずれか一つに記載の方法に従って調製される、ナノ粒子形態の医薬組成物。
[態様77]
態様1~37のいずれか一つに記載の方法に従って調製される、ナノ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
[態様78]
態様1~46のいずれか一つに記載の方法に従って調製される、ナノ粒子形態の塩酸ラロキシフェンを含む医薬組成物。
[態様79]
態様1~46のいずれか一つに記載の方法に従って調製される、マイクロ粒子形態のラロキシフェンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
[態様80]
態様1~46のいずれか一つに記載の方法に従って調製される、マイクロ粒子形態の塩酸ラロキシフェンを含む医薬組成物。