(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06N 3/04 20230101AFI20240605BHJP
【FI】
G06N3/04 100
(21)【出願番号】P 2022203634
(22)【出願日】2022-12-20
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】202210947851.1
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521162399
【氏名又は名称】之江実験室
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 紅陽
(72)【発明者】
【氏名】胡 炳洋
(72)【発明者】
【氏名】▲ち▼ 慶国
(72)【発明者】
【氏名】李 朝
【審査官】石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-146889(JP,A)
【文献】特開2020-194255(JP,A)
【文献】特表2023-544175(JP,A)
【文献】Bing Yu, Haoteng Yin, Zhanxing Zhu,Spatio-Temporal Graph Convolutional Networks: A Deep Learning Framework for Traffic Forecasting,Proceedings of the Twenty-Seventh International Joint Conference on Artificial Intelligence,2018年07月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法であって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含
み、
前記ステップS1の知覚データ監視ネットワークを構築することは、
実知覚データ監視ネットワークの構築、または、仮想知覚データ監視ネットワークの構築を含み、
前記仮想知覚データ監視ネットワークの構築は、具体的に、
監視領域を座標メッシュ分割して複数のメッシュ領域を取得し、
各前記メッシュ領域に対応して1つの仮想データ収集ノードを仮想し、他のデータソースで記録されている知覚履歴データを、各前記知覚履歴データの発生位置によって対応する前記メッシュ領域内に分割するとともに、前記知覚履歴データを、前記メッシュ領域に対応する仮想データ収集ノードで記録される生知覚データと見なすことを含む
ことを特徴とするグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法。
【請求項2】
前記実知覚データ監視ネットワークの構築は、具体的に、
データ監視装置及び通信ネットワークモジュールから構成される複数のデータ収集ノードからなり、
各前記データ収集ノードを、予め設定された距離、等間隔、マトリックス状に監視領域に配列し、
前記データ収集ノードを、現在領域を監視してデータを収集するとともに、統一のフォーマットでデータ特徴情報を表すことを含むことを特徴とする請求項
1に記載のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法。
【請求項3】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法であって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含み、
前記ステップS2の前記前処理は、具体的に、前記生知覚データをタイムスライスするとともに、時間記録順序に基づいてマトリックス配列に処理することを含み、
前記マトリックス配列における各要素は、前記データ収集ノードに対応し、
各要素の前記マトリックス配列における配列位置が前記データ収集ノードの前記知覚データ監視ネットワークにおける空間特徴情報に対応し、各要素の前記マトリックス配列における値が現在時刻の前記データ収集ノードの前記知覚データ監視ネットワークにおける時間特徴情報に対応する場合、上記の空間特徴情報及び前記時間特徴情報を含むマトリックス配列によって時空間マップ知覚データが構成されることを特徴とするグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法。
【請求項4】
V
tは、t時刻データ収集ノードのクラスタを表し、
各データ収集ノードの特徴は、データ収集ノードで記録されている知覚データの特徴情報を表し、
Eは、エッジセットを表し、
各エッジは、2つずつのデータ収集ノードの関係を表し、
Wは、隣接マトリックスを表し、エッジ セットの各エッジの重みを記録することを特徴とする請求項
3に記載のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法。
【請求項5】
【請求項6】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法であって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含み、
前記ステップS3の前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、時空間マップ畳み込みモジュール及び出力層を含み、
前記時空間マップ畳み込みモジュールは、2つの時間領域畳み込みモジュールと、2つの時間領域畳み込みモジュールの間に挟まれる1つの空間領域畳み込みモジュールとから構成され、
前記出力層は、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層からなり、
前記グラフニューラルネットワークモデルにおける前記時間領域畳み込みモジュールは、具体的に、
入力を2つのチャネルに分割して1次元に畳み込んだ後、1つのチャネルにsigmod操作を行い、 もう1つのチャネルを残差に加算し、最終的に2つのチャネルの結果をアダマール積によって出力し、
Mは、時空間マップがM個の時刻を有することを表し、
nは、監視領域がn個のデータ収集ノードを有することを表し、
C
iは、データ収集ノード記録特徴の次元を表し、
【請求項7】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法であって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含み、
前記ステップS3の前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、時空間マップ畳み込みモジュール及び出力層を含み、
前記時空間マップ畳み込みモジュールは、2つの時間領域畳み込みモジュールと、2つの時間領域畳み込みモジュールの間に挟まれる1つの空間領域畳み込みモジュールとから構成され、
前記出力層は、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層からなり、
前記グラフニューラルネットワークモデルにおける前記空間領域畳み込みモジュールは、具体的に、入力にグラフ畳み込み操作を行って空間特徴情報を取得して出力し、
具体的に、前記時空間マップ畳み込みモジュールにおける第1時間領域畳み込みモジュールから出力される時空間マップの各時刻に対応するグラフデータを入力
【請求項8】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法であって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含み、
前記ステップS3の前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、時空間マップ畳み込みモジュール及び出力層を含み、
前記時空間マップ畳み込みモジュールは、2つの時間領域畳み込みモジュールと、2つの時間領域畳み込みモジュールの間に挟まれる1つの空間領域畳み込みモジュールとから構成され、
前記出力層は、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層からなり、前記グラフニューラルネットワークモデルにおける前記時空間マップ知覚データが時空間マップ畳み込みモジュールを通過する場合、時間領域畳み込みモジュール、空間領域畳み込みモジュール、時間領域畳み込みモジュールを順次に通過し、
前記時空間マップ知覚データが前記時間領域畳み込みモジュールを通過するたびに、時間次元は(K
t-1)減少するため、空間領域畳み込みモジュールの出力を第2時間領域畳み込みモジュールに再入力した後、時間次元の長さは2(K
t-1) 減少し、最
【請求項9】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法であって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含み、
前記ステップS3の前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、時空間マップ畳み込みモジュール及び出力層を含み、
前記時空間マップ畳み込みモジュールは、2つの時間領域畳み込みモジュールと、2つの時間領域畳み込みモジュールの間に挟まれる1つの空間領域畳み込みモジュールとから構成され、
前記出力層は、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層からなり、
前記グラフニューラルネットワークモデルにおける前記時空間マップ畳み込みモジュールの出力は、最後に出力層を通過し、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層を順次に通過し、
グラフニューラルネットワークモデルをトレーニングする場合、損失関数を予測値
トレーニング中に、トレーニングデータを分割してモデルに入力し、モデルパラメータを漸次に調整することで、収束までに前記損失関数をトレーニング集合において徐々に減らすか、または、損失関数の値が設定された閾値よりも低いとトレーニングを停止させ、最終的なグラフニューラルネットワークモデルを得ることを特徴とするグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法。
【請求項10】
グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測システムであって、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにより生知覚データを取得する知覚データ監視ネットワークモジュールと、
前記生知覚データをタイムスライスするとともに、時間記録順序に基づいてマトリックス配列に処理し、空間特徴情報及び時間特徴情報を含むマトリックス配列により時空間マップ知覚データが構成される知覚データ前処理モジュールと、
前記時空間マップ知覚データを用いてグラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングし、トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルを取得するグラフニューラルネットワークと知覚データとの結合に基づく時空間特徴情報予測分析モジュールと、
tは、将来のある時刻を表し、時間情報であり、
マトリックスの各要素位置は、データ収集ノードの所在領域に対応し、空間情報であり、
要素の値は、具体的な特徴情報を表し、予測される将来イベントの時空間特徴情報を詳細に記述し、ある時刻、ある地域の具体的な特徴情報が予め設定された閾値を超えると予測された場合、当該地域に警報情報を送信することを特徴とするグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測システム。
【請求項11】
知覚データ監視装置、ネットワーク通信装置、メモリ、プロセッサ、ディスプレイ及び前記メモリに記憶されて前記プロセッサにおいて作動可能なコンピュータプログラムを含むデバイスによって設定、使用される、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置であって、
前記知覚データ監視装置及び前記ネットワーク通信装置により、知覚データ監視ネットワークが構築され、知覚データ監視ネットワークにより得られたデータを前記メモリに記憶し、
前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~
9のいずれか一項に記載のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を実現するとともに、前記ディスプレイは、前記プロセッサで前記コンピュータプログラムを実行して得られるデータを視覚的に表示可能であることを特徴とするグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムにより、請求項1~
9のいずれか一項に記載のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を実現し、
プロセッサまたはクラウドサーバーにおいて設定されることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互引用]
本発明は、2022年8月9日に中国特許庁に出願された、発明の名称が「グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法及びシステム」であって中国出願番号が「202210947851.1」である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、その内容の全てを本願に援用する。
本発明は、深層学習の技術分野に関し、特に、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展と進歩に伴い、世のあらゆる情報は、監視装置により感知される可能性がある。我々は、このような情報を知覚データと呼ぶ。例えば、地震の監視と知覚は、その典型的な例の1つである。それは、地震が人命や健康、財産、安全に最大の脅威を与えるとともに、最も予測不可能な自然災害の1つでもあるためである。関連の統計によると、グローバルでは、毎年平均500万回以上の地震が発生しており、そのうち約数十回が人類に深刻な災害をもたらし、社会経済の発展、治安秩序、生態環境などに多大な影響を与える。また、社会交通流監視データは、最も一般的な知覚データの1つであり、人々の日常の外出移動経路の計画や移動時間などに影響を与えるだけでなく、社会交通の管理と規制にも重要な意味を持っている。そのため、地震データや交通データに代表される知覚データを最大限にデータマイニング・解析し、これに基づいて将来時間内のデータ予測を行い、人類が地震などの災害の脅威に対応して効果的な緊急配備管理を行うことができるか否かも、日常の交通手段などの日常生活を合理的に手配、指導、さらには管理することも重要な研究価値を持っている。
【0003】
一般に、膨大の知覚データには、あるイベントの異なる時点と場所における特徴情報が記録されているため、知覚データに大量の時空間特徴情報が含まれている。したがって、知覚履歴データによる、将来起こり得るイベントの予測は、主に将来起こり得るイベントの時空間特徴情報の予測であり、平たく言えば、将来の一定期間内に起こり得るイベントを予測するとともに、イベントの発生時間や場所などの主な特徴情報を比較的に正確に予測することを意味する。統計法は、大量のデータを数式モデル化することによって将来のイベントを予測する典型的な方法であることが知られている。統計法の自然な数式モデル化属性と近年の人工知能技術の急速な発展により、多くの研究者は、機械学習、深層学習などの方法を、地震や交通などのような知覚データのモデル化に適用し、これらのモデルを用いて、知覚データ間の潜在的な関連をより完全にマイニングして関連特徴を抽出し、イベントが発生するいくつかの内部法則を見つけて予測分析の精度を向上させる。研究者は、初期からサポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)などの機械学習分類モデルを用いて知覚データの簡単な特徴を識別し、後期に再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)などの深層学習モデルを用いて知覚データの発生時系列の内部関連をさらにマイニングする。しかしながら、これらの方法は、このような知覚データが自然な空間相関を無視する。実際に、地震や交通などのような知覚データを効果的に予測しようとする方法では、時間相関のほか、空間相関情報も無視できない重要な情報である。しかし、残念ながら、現在、知覚データにおける時間的及び空間的情報特徴を同時に利用する予測方法はまれであり、特に深層学習予測モデルにおいても関連情報の利用も不足する。このため、知覚データの時間及び空間特性に基づいて将来に発生するイベントの時空間特徴情報を予測する方法及びシステムを発明することは、特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、本発明は、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法及びシステムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の技術問題を解消するために、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法及びシステムを提供する。
【0006】
本発明の技術は以下通りである。グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法は、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得するステップS1と、
前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換するステップS2と、
グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングするステップS3と、
トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信するステップS4と、を含む。
【0007】
さらに、前記ステップS1の知覚データ監視ネットワークを構築することは、実知覚データ監視ネットワークの構築、または、仮想知覚データ監視ネットワークの構築を含む。
【0008】
さらに、前記実知覚データ監視ネットワークの構築は、具体的に、データ監視装置及び通信ネットワークモジュールからなる複数のデータ収集ノードにより構成され、各前記データ収集ノードを、予め設定された距離、等間隔、マトリックス状に監視領域に配列し、前記データ収集ノードで現在領域を監視してデータを収集するとともに、統一のフォーマットでデータ特徴情報を表すことを含む。
【0009】
さらに、前記仮想知覚データ監視ネットワークの構築は、具体的に、監視領域を座標メッシュ分割して複数のメッシュ領域を取得し、各前記メッシュ領域に対応して1つの仮想データ収集ノードを仮想し、他のデータソースで記録されている知覚履歴データを、対応する前記メッシュ領域内に各前記知覚履歴データの発生位置によって分割するとともに、前記知覚履歴データを、前記メッシュ領域に対応する仮想データ収集ノードで記録される生知覚データと見なすことを含む。
【0010】
さらに、前記ステップS2の前記前処理は、具体的に、前記生知覚データをタイムスライスするとともに、時間記録順序に基づいてマトリックス配列に処理することを含む。前記マトリックス配列における各要素は、前記データ収集ノードに対応する。各要素の前記マトリックス配列における配列位置は、前記データ収集ノードの前記知覚データ監視ネットワークにおける空間特徴情報に対応する。各要素の前記マトリックス配列における値は、現在時刻の前記データ収集ノードの前記知覚データ監視ネットワークにおける時間特徴情報に対応すると、上記の空間特徴情報及び前記時間特徴情報を含むマトリックス配列によって時空間マップ知覚データが構成される。
【0011】
【0012】
【0013】
さらに、前記ステップS3の前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、時空間マップ畳み込みモジュール及び出力層を含む。前記時空間マップ畳み込みモジュールは、2つの時間領域畳み込みモジュール、及び2つの時間領域畳み込みモジュールの間に挟まれる1つの空間領域畳み込みモジュールにより構成される。前記出力層は、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層により構成される。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
本発明は、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測システムをさらに提供し、
知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにより生知覚データを取得する知覚データ監視ネットワークモジュールと、
生知覚データをタイムスライスするとともに、時間記録順序に基づいてマトリックス配列に処理し、空間特徴情報及び時間特徴情報を含むマトリックス配列により時空間マップ知覚データが構成される知覚データ前処理モジュールと、
【0019】
本発明は、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置をさらに提供し、知覚データ監視装置、ネットワーク通信装置、メモリ、プロセッサ、ディスプレイ及び前記メモリに記憶されて前記プロセッサにおいて作動可能なコンピュータプログラムを含む。前記知覚データ監視装置及び前記ネットワーク通信装置により、知覚データ監視ネットワークが構築され、知覚データ監視ネットワークによって得られたデータを前記メモリに記憶し、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、上記の実施例のいずれかに記載のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を実現するとともに、前記ディスプレイは、前記プロセッサで前記コンピュータプログラムを実行して得られるデータを視覚的に表示可能である。
【0020】
本発明は、コンピュータプログラムをさらに提供し、コンピュータプログラムにより、上記の実施例のいずれかに記載のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を実現し、プロセッサまたはクラウドサーバーにおいて設定される。
【0021】
本発明の有益な技術的効果は以下通りである。
本発明は、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法及びシステムを提供し、生知覚データを時空間マップ知覚データに革新的に変換し、知覚データに含まれる時間、空間的相関を考慮するとともに、グラフニューラルネットワークを用いて知覚データにおける時間、空間的特徴情報を完全にマイニングし、将来に発生するイベントの時空間特徴情報の予測精度を向上させる。本発明は、最新のグラフニューラルネットワークモデルを合理的に用いることにより、より優れた一般化能力と自己学習能力を備える。本発明は、地震や交通などのような知覚データの予測に用いられる場合、精度が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明のグラフニューラルネットワークモデルの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明を実施例1の地震知覚データ分布図及び仮想知覚データ監視ネットワークノード分割に適用する場合を示す図である。
【
図4】本発明を実施例1の地震知覚データに適用する場合のシステム構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明を実施例1の地震知覚データに適用する場合のシステム設定を示す図である。
【
図6】本発明を実施例2の交通知覚データ監視ネットワークに適用する場合を示す図である。
【
図7】本発明を実施例2の交通知覚データに適用する場合のシステム構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明を実施例2の交通知覚データに適用する場合のシステム設定を示す図である。
【
図9】本発明に係るグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例の記述は、本発明及びその適用や使用を制限するものではなく、実際に説明のためのものである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0024】
図1を参照し、グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法は以下通りのステップを含む。
ステップS1:知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得する。
知覚データ監視ネットワークを構築することは、実知覚データ監視ネットワークの構築、または、仮想知覚データ監視ネットワークの構築を含む。
【0025】
前記実知覚データ監視ネットワークの構築は、具体的に、データ監視装置及び通信ネットワークモジュールからなる複数のデータ収集ノードから構成され、各前記データ収集ノードを、予め設定された距離、等間隔、マトリックス状に監視領域に配列し、前記データ収集ノードで現在領域を監視してデータを収集するとともに、統一のフォーマットでデータ特徴情報を表すことを含む。
【0026】
前記仮想知覚データ監視ネットワークの構築は、具体的に、監視領域を座標メッシュ分割して複数のメッシュ領域を取得し、各前記メッシュ領域に対応して1つの仮想データ収集ノードを仮想し、他のデータソースで記録されている知覚履歴データを、各知覚履歴データの発生位置によって対応する前記メッシュ領域内に分割するとともに、前記知覚履歴データを、前記メッシュ領域に対応する仮想データ収集ノードで記録される生知覚データと見なすことを含む。
【0027】
ステップS2:前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換する。
前記前処理は、具体的に、前記生知覚データをタイムスライスするとともに、時間記録順序に基づいてマトリックス配列に処理することを含む。前記マトリックス配列における各要素は、前記データ収集ノードに対応する。各要素の前記マトリックス配列における配列位置は、前記データ収集ノードの前記知覚データ監視ネットワークにおける空間特徴情報に対応する。各要素の前記マトリックス配列における値は、現在時刻の前記データ収集ノードの前記知覚データ監視ネットワークにおける時間特徴情報に対応すると、上記の空間特徴情報及び前記時間特徴情報を含むマトリックス配列によって時空間マップ知覚データが構成される。
【0028】
【0029】
【0030】
ステップS3:グラフニューラルネットワークモデルを構築するとともに、前記時空間マップ知覚データにより前記グラフニューラルネットワークモデルのパラメータをトレーニングする。
図2を参照し、前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、時空間マップ畳み込みモジュール及び出力層を含む。前記時空間マップ畳み込みモジュールは、2つの時間領域畳み込みモジュールと、2つの時間領域畳み込みモジュールの間に挟まれる1つの空間領域畳み込みモジュールとから構成される。前記出力層は、1つの時間領域畳み込みモジュール及び1つの全結合層から構成される。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
ステップS4:トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに所定の時空間マップ知覚データを入力して予測値を出力し、予測値が予め設定された閾値を超えた場合に警報情報を送信する。
【0036】
【0037】
実施例1
ステップS1:知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得する。
仮想地震知覚データ監視ネットワークでは、米国のカリフォルニア州及びその隣接地域(西経125度~113度、北緯32度~42度の領域)を監視領域として選択し、
図3に示すように、緯度経度座標に基づいて長方形の監視領域をメッシングし、緯度経度0.5度を単位にして経度を24メッシュに分割し、緯度を20メッシュに分割し、合計でこの監視領域をメッシュ領域に分割し、各メッシュ領域に対応して1つの仮想のデータ収集ノードを設定する。次に、米国地質調査所(USGS)での記録時間範囲が1990年1月1日~2021年12月31日の期間、記録場所が米国のカリフォルニア及びその隣接地域(西経125度~113度、北緯32度~42度の領域)で発生したマグニチュード3以上の地震の地震履歴データを知覚データ例とする。地震履歴データには、各地震の発生時間、緯度経度、地震の深さ、地震のマグニチュード、合計で約2万件が記録されている。震源の中心位置に応じて、各地震履歴データを対応するメッシュ領域に分割するとともに、この地震情報を、このメッシュ領域に対応する仮想データ収集ノードで記録されている生地震知覚データと見なす。ここでは、計算量を減らすために、ここで記録されている知覚データ特徴情報としては、地震のマグニチュードのような一次元情報のみを選択したことを注意されたい。
【0038】
ステップS2:前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換する。
生地震知覚データを地震時空間マップ知覚データに変換する。この方法では、仮想地震知覚データ監視ネットワークで記録されている生地震知覚データをタイムスライスする。タイムスライスによって得られるデータは異なることを注意されたい。タイムスライスが短すぎると、タイムスライス全体内に地震発生記録がなくなり、一方、タイムスライスが長すぎると、同じタイムスライス内に、同一のデータ収集ノードで複数の地震情報を収集する可能性がある。そのため、適切なタイムスライスのサイズを選択することを注意されたい。また、仮想データ収集ノードの構築を用いるため、同じタイムスライス内にあるデータ収集ノードで複数の生地震知覚データ記録が発生する場合、もう1つの仮想データ収集ノードで地震を記録する生地震知覚データがないおそれがあるので、適切なタイムスライスのサイズを選択することは非常に困難になる。そのため、実際の操作としては、重複のデータを除去するとともに適切なダウンサンプリング操作を行って、データフォーマットに適合することを保証する必要がある。しかしながら、本実施例では、実地震知覚データ監視ネットワークの構築を用いると、上記の問題が発生しない。それは、設定される全てのデータ収集ノードは、定期的に地震監視データを同期に更新し、各データ収集ノードのタイムスライスを同じにすることで、同じタイムスライス内に、全てのデータ収集ノードで同数の地震データが記録されることになる。
【0039】
次に、時間記録順序に従って、生地震知覚データをマトリックス配列に処理する。このマトリックス配列は、時間が連続する一連の複数のマトリックスで構成され、各マトリックスは、1つのスライス内の生地震知覚データを表す。本実施例では、監視領域を24×20=480メッシュに分割し、地震知覚特徴情報として地震マグニチュードのような1つの特徴情報のみを選択するため、各マトリックスサイズ次元は24×20×1、計480個の要素である。各マトリックスの要素は、監視領域内の24×20=480メッシュにおいて仮想されるデータ収集ノードと1対1で対応する。これは以下の2つの意味を含む。1つの意味としては、要素のマトリックス配列における配列位置は、対応する監視領域のメッシュ、及びそれに対応する仮想データ収集ノードを表す。もう1つの意味としては、要素の値は、対応するデータ収集ノードが現時点に監視された地震知覚特徴情報を表し、本実施例では、一次元地震知覚特徴情報-地震マグニチュード情報を選択することである。処理された一連の地震マトリックス配列データは、すなわち、地震時空間マップ知覚データである。マトリックス自体は空間情報を表し、マトリックスの配列は時間情報を表し、異なる期間内に、地震時空間マップ知覚データにおける要素値が変化することは、異なる時間内、異なる位置にある収集ノードで監視される地震データが変化し、本実施例において地震のマグニチュードが変化することを表す。これらの地震時空間マップ知覚データは、後続の情報処理モジュールに入力される。
【0040】
【0041】
本実施例では、σ=10及びε=0.5を選択し、今回の実験では、地震知覚特徴情報として地震のマグニチュードのみを選択するため、特徴次元は1である。
【0042】
ステップS4:トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに、時空間マップとして処理された地震履歴知覚データを入力して将来を予測する地震知覚データを出力し、ある時刻、ある領域の予測値である地震のマグニチュードが予め設定された閾値を超えた場合にシミュレーション警報情報を送信する。
【0043】
最後に、地震知覚データによる時空間特徴情報予測に本実施例を適用した場合、システム全体の構造模式図は
図4に示される。システム全体は、1つの中央の情報処理センターによって管理され、まず、仮想地震知覚データ監視ネットワークで地震情報を監視して情報処理センターのストレージモジュールに記憶する。次に、データ前処理モジュールは、情報処理センターのメモリにおける生地震知覚データを前処理してマトリックス配列フォーマットの地震時空間マップデータに変換して出力する。次に、情報処理センターは、大量の地震時空間マップデータをトレーニングサンプルセットとして選択して1つのグラフニューラルネットワークモデルを構築し、このトレーニングサンプルを使用してトレーニングを行い、トレーニングが完了した後、所定の地震時空間マップデータを入力し、将来の一定期間の地震時空間マップデータ、すなわち、将来の地震発生時間、場所及び地震のマグニチュードなどの情報を予測する。最後に、知覚データ予測モジュールは、予測情報に基づいて、予測値の地震のマグニチュードが閾値を超えた場合、システムは、対応するデータ収集ノードの所在領域及びその隣接領域に警報情報を送信し、地震が発生した場合の生命や健康、財産の損失を減らすために、事前に準備するよう人々に注意喚起する。予測値の地震のマグニチュードが閾値を超えない場合、前記システムは、続けて地震知覚データ監視やデータ前処理、地震知覚予測などの動作を実行する。このシステムは、実際に
図5に示されるように設定される。本実施例では、簡略化のために、実験室のサーバー装置で設定されて実証を行い、地震監視装置の機能に代わって仮想地震知覚データ監視ネットワークを構築し、サーバー自体のメモリハードディスクでメモリ機能を実現し、生地震知覚データ、プログラミング言語による地震知覚データ前処理、グラフニューラルネットワークと知覚データとの結合による時空間特徴情報予測の方法、及び本発明に係る全ての方法のコンピュータプログラムを記憶し、最終的にサーバー自体のチップでプロセッサ機能を実現する。なお、GPUは、専用のプロセッサ機能を実現し、計算を高速化するためにグラフニューラルネットワークモデルの構築、トレーニングを専用に担当する。CPUは、汎用プロセッサの機能を実現し、情報処理センターの他のタスクを担当し、すなわち、コンピュータプログラムにおける残りの部分を実行する。プロセッサは、予測結果を算出した場合、予測結果の中に、所定の閾値を超える要素値(すなわち、地震のマグニチュード)があるか否かを自ら判断し、予測結果の中の、閾値を超えた要素値に対応する地域にシミュレーション警報情報を送信するか否かを実行する。実験中、サーバーに外接されるディスプレイは、コンピュータプログラムで実行されたデータ結果をリアルタイムに視覚的に表示可能である。
【0044】
実施例2
ステップS1:知覚データ監視ネットワークを構築するとともに、前記知覚データ監視ネットワークにおけるデータ収集ノードにより生知覚データを取得する。
実交通知覚データ監視ネットワークでは、米国のカリフォルニア州運輸局が提供するカリフォルニア州の一部の交通区間の交通流データセットPeMSD7を選択してテストを行う。このデータセットは、各道路区間及び交差点に交通流監視装置と通信ネットワークモジュールを設置して通過車両を定期的に感知することで、記録される交通流データをデータセンターに送信する。そのため、カリフォルニア州運輸局で設置された大量の交通流監視装置から構成される実交通知覚データ監視ネットワークは、本発明で説明される実知覚データ監視ネットワークと見なされる。実交通知覚データ監視ネットワークは、
図6に示され、各データ収集ノードでは、所在位置を通過する通過車両の数を交通流情報として5分毎にカウントし、現在の記録時刻、位置情報を追加し、ネットワーク経由で情報処理センターにアップロードして記録、保管する。実知覚データ監視ネットワークが使用されるため、設定される全てのデータ収集ノード、すなわち、交通流監視装置は、定期的に交通流監視データを同期的に更新し、各データ収集ノードのタイムスライスを同じにすることで、同じタイムスライス内に、全てのデータ収集ノードで同数の交通量データを記録する。
【0045】
ステップS2:前記生知覚データを前処理して時空間マップ知覚データに変換する。
時間記録順序に従って、交通流データをマトリックス配列に処理する。このマトリックス配列は、時間が連続する一連の複数のマトリックスで構成され、各マトリックスは、1つのスライス内の交通流知覚データを表す。本実施例では、異なる交通データ監視装置は、異なる監視領域に対応し、実験計算のオーバーヘッドを削減する目的から、隣接する19×12=228個のデータ収集ノードを生データソースとして選択し、交通流情報を知覚特徴情報とするため、本実施例の交通流知覚データでは、各マトリックスサイズ次元は19×12×1、計228個の要素であり、要素のマトリックスにおける配列位置は、データ収集ノードの監視領域に対応する位置の相対関係を表す。一方、要素の値は、対応するデータ収集ノードで現時点に監視された交通流情報を表す。処理された一連の交通流マトリックス配列データは、すなわち、交通流時空間マップ知覚データである。マトリックス自体は空間情報を表し、マトリックス配列は時間情報を表し、異なる期間内に、交通流時空間マップ知覚データにおける要素値が変化することは、異なる時間内、異なる位置にある収集ノードで監視される交通流データが変化することを表す。これらの交通流時空間マップ知覚データは、後続の情報処理モジュールに入力される。
【0046】
【0047】
【0048】
ステップS4:トレーニングされたグラフニューラルネットワークモデルに、時空間マップとして処理された交通流履歴知覚データを入力して将来を予測する交通量知覚データを出力し、ある時刻、ある領域の予測値である交通流が予め設定された閾値を超えた場合にシミュレーション警報情報を送信する。
【0049】
最後に、交通流知覚データによる時空間特徴情報予測に本実施例を適用した場合、システム全体の構造模式図は
図7に示される。システム全体は、1つの中央の情報処理センターによって管理され、まず、実交通流知覚データ監視ネットワーク、一般的に、実際の交通監視ネットワークで交通流情報を監視して情報処理センターのストレージモジュールに記憶する。次に、データ前処理モジュールは、情報処理センターのメモリにおける交通流知覚データを前処理してマトリックス配列フォーマットの時空間マップデータに変換して出力する。次に、情報処理センターは、グラフニューラルネットワークと知覚データとの結合による時空間特徴情報予測方法により、大量の交通量時空間マップデータをトレーニングサンプルセットとして選択して1つのグラフニューラルネットワークモデルを構築し、このトレーニングサンプルを使用してトレーニングを行い、トレーニングが完了した後、所定の交通量時空間マップデータを入力し、将来の一定期間の交通量時空間マップデータ、すなわち、将来の一定期間、異なる監視場所の所在位置の交通流情報を予測する。最後に、知覚データ予測モジュールは、予測情報に基づいて、予測値の交通量の値が閾値を超えた場合、システムは、対応するデータ収集ノードの所在領域及びその隣接領域に警報情報を送信し、この領域の交通量が多くて渋滞を引き起こす可能性があり、事前にルートを計画するよう人々に注意喚起するとともに、状況に応じて交通の迂回と制御を行うよう交通管理部門に可及的に警報情報を送信する。予測値の地震のマグニチュードが閾値を超えていない場合、前記システムは、続けて交通量データ監視やデータ前処理、交通量知覚予測などの動作を実行する。このシステムは、実際に
図8に示されるように設定される。サーバー自体のメモリハードディスクは、メモリ機能を実現し、交通量データ、プログラミング言語による交通量知覚データ前処理、グラフニューラルネットワークと知覚データとの結合による時空間特徴情報予測の方法、及び本発明に係る全ての方法のコンピュータプログラムを記憶し、最終的にサーバー自体のチップでプロセッサ機能を実現する。なお、GPUは、専用のプロセッサ機能を実現し、計算を高速化するためにグラフニューラルネットワークモデルの構築、トレーニングを専用に担当する。CPUは、汎用プロセッサの機能を実現し、情報処理センターの他のタスクを担当し、すなわち、コンピュータプログラムにおける残りの部分を実行する。プロセッサは、予測結果を算出した場合、予測結果の中に、所定の閾値を超える要素値があるか否かを自ら判断し、予測結果の中の、閾値を超えた要素値に対応する地域にシミュレーション警報情報を送信するか否かを実行する。実験中、サーバーに外接されるディスプレイは、コンピュータプログラムで実行されたデータ結果をリアルタイムに視覚的に表示可能である。
【0050】
本発明は、前記グラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法の実施例に対応してグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置の実施例をさらに提供する。
【0051】
図9を参照し、本発明の実施例に係るグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置は、知覚データ監視装置、ネットワーク通信装置、メモリ、プロセッサ、ディスプレイ及び前記メモリに記憶されて前記プロセッサにおいて作動可能なコンピュータプログラムを含む。前記知覚データ監視装置及び前記ネットワーク通信装置により、知覚データ監視ネットワークが構築され、知覚データ監視ネットワークにより得られたデータを前記メモリに記憶し、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、上述した実施例のいずれかのグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を実現し、前記ディスプレイは、前記プロセッサで前記コンピュータプログラムを実行して得られるデータ結果を視覚的に表示可能である。
【0052】
本発明のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置の実施例は、データ処理機能を有する任意の設備に適用してもよい。前記データ処理機能を有する任意の設備は、例えば、コンピュータなどの設備または装置であってもよい。装置の実施例は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、ハードウェアまたはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。ソフトウェアでの実現を例として、論理的な意味の装置は、データ処理機能を有する任意の設備のプロセッサによって不揮発性メモリ内の対応するコンピュータプログラム命令を、メモリに読み取って実行することによって形成される。ハードウェアの観点から、
図9に示すのは、本発明のグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測装置が所在する、データ処理能力を有する任意の設備のハードウェアの構造を示す図である。
図9に示されたプロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェース、及び不揮発性メモリ以外、実施例の装置が所在するデータ処理機能を有する任意の設備は、通常、データ処理機能を有する任意の設備の実際の機能によって、他のハードウェアをさらに含んでもよいが、詳細を省略する。
【0053】
上記の装置における各手段の機能及び作用の実現過程については、具体的に、上記の方法の対応するステップの実現過程を参照するため、ここで詳細を省略する。
【0054】
装置実施例は、基本的に、方法実施形態に対応しており、且つ、従って、関係する内容については、方法実施例における説明を参照可能である。上述の装置実施例は、概略的なものに過ぎない。別個の部分として記述されているユニットは、物理的に別個であってもよく、或いは、そうでなくてもよく、且つ、ユニットとして表示されている部分は、物理的なユニットであってもよく、或いは、そうではなくてもよく、一つの位置において配置されてもよく、或いは、複数のネットワークユニット上において分散されてもよい。本出願の解決策の目的を実現するべく、ユニットうちのいくつか又はすべてが、実際のニーズに従って選択されてもよい。当業者は、創造的な努力を払うことなしに、本発明を理解すると共に実施することができる。
【0055】
本発明の実施例は、コンピュータプログラムをさらに提供し、コンピュータプログラムにより、上記の実施例のいずれかのグラフニューラルネットワークに基づく時空間知覚情報予測方法を実現し、プロセッサまたはクラウドサーバーにおいて設定される。
【0056】
上記の記載は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の限定を意図しない。当業者は、本発明にさまざまな変更及び変形を加えることができる。本発明の精神及び原則内でのいかなる修正、等価置換、改良等も、本発明の保護範囲内にすべて包含される。