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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】反射装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20240605BHJP
   G09F 13/16 20060101ALI20240605BHJP
   G02B 5/124 20060101ALI20240605BHJP
   E01F 9/619 20160101ALN20240605BHJP
【FI】
G01C15/06 T
G09F13/16 F
G02B5/124
E01F9/619
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022209695
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】596118530
【氏名又は名称】テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】森田 栄治
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04202600(US,A)
【文献】特表2001-525555(JP,A)
【文献】実開平07-019706(JP,U)
【文献】特開平06-265355(JP,A)
【文献】実開平07-042932(JP,U)
【文献】米国特許第04189209(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/06
G09F 13/16
G02B 5/12
E01F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量対象物に設けられ、測量機から照射される光を再帰反射する反射装置であって、
一方が平面であり、他方に前記再帰反射を可能とする再帰性反射体が配列して構成された支持層を有する再帰反射部を備え、
前記再帰反射部は、
前記再帰反射の方向が異なる方向に設定された複数の反射領域を有し、
前記複数の反射領域のうち、前記測量対象物に取り付けられたときに、再帰反射の方向が同じ反射領域が左右対称の位置に設けられ
前記各反射領域の前記再帰性反射体における光が入射したときに最も明るく再帰反射する反射軸が、前記支持層の前記一方の平面の法線方向から光が照射されたときを基準として、伏角を含んで傾いて設けられたことを特徴とする反射装置。
【請求項2】
前記再帰性反射体は、マイクロプリズムであることを特徴とする請求項1に記載の反射
装置。
【請求項3】
前記再帰反射部は、基盤に設けられ、該基盤と前記再帰反射部との間に空気層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射装置。
【請求項4】
前記基盤は、反射装置を固定するための固定手段を備えたことを特徴とする請求項3に
記載の反射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射装置に関し、特に、広い範囲から入射した光を再帰反射可能な反射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射装置は、車両や道路標識、測量等に利用されている。例えば、測地測量、土木工事測量及び建築測量では、測量対象物の目標位置に、反射度の大きい反射シートや三角プリズム等の標的(ターゲット)を配置し、自動視準機能を有する測量機によりターゲットから反射された光を自動的に捕捉することでなされている。反射された光の強度は、目標物に対する視準線と、反射シートの反射面又はプリズム面とのなす角度により左右される。例えば、自動視準可能な角度は、反射シートでは約±20°、三角プリズムで約±20°の範囲がそれぞれ限界とされている。このため、近年では、特許文献1に開示されるような、全方向、360°の角度において自動視準可能な三角プリズムを主体とするターゲット装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-98175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動視準可能な三角プリズムを主体とするターゲット装置は、非常に高価であり、破損しやすい構造となっており、取り扱いに注意が必要とされる。また、反射シートや三角プリズムは、前述のように自動視準可能な範囲に制限があるため、自動視準機能を生かすには、測量機械の位置を都度変更する必要が生じていた。測量機械の位置を変更する都度、測量機械の運搬、組み立て、整準操作などの作業が発生し、測量対象物の連続的な捕捉を阻害している。
また、車両や道路標識に用いられている反射装置も、認識に至る光の入射角度が限定的であるため、より広範な角度からの認識が可能とされることが好ましい。
本発明は、広い範囲から入射した光を再帰反射可能な反射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための反射装置の構成として、測量対象物に設けられ、測量機から照射される光を再帰反射する反射装置であって、一方が平面であり、他方に再帰反射を可能とする再帰性反射体が配列して構成された支持層を有する再帰反射部を備え、再帰反射部は、再帰反射の方向が異なる方向に設定された複数の反射領域を有し、複数の反射領域のうち、測量対象物に取り付けられたときに、再帰反射の方向が同じ反射領域が左右対称の位置に設けられ、各反射領域の再帰性反射体における光が入射したときに最も明るく再帰反射する反射軸が、支持層の一方の平面の法線方向から光が照射されたときを基準として、伏角を含んで傾いて設けられた構成とした。
本構成によれば、広い範囲から入射した光を再帰反射させることができる。また、測量機の自動視準機能を利用した測量対象物の連続的な捕捉が可能となり、測量作業の効率を向上させることができる。
また、再帰性反射体が、マイクロプリズムで構成されたことにより、例えば、視認や測量等に必要とされる光束を有する再帰反射光が得やすくなる。
また、再帰反射部は、基盤に設けられ、該基盤と再帰反射部との間に空気層を有する構成としたことにより、反射装置を安価、かつ容易に製造することができる。
また、基盤は、反射装置を固定するための固定手段を備えた構成とすることにより、反射装置の設置作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係るターゲット1の平面図である。
図2】本実施形態に係るターゲット1の分解図である。
図3】ターゲット1の断面図である。
図4】再帰性反射体を示す図である。
図5】各反射領域R1~R5における再帰性反射体の向き及び配列状態を示す平面図である。
図6】各反射領域R1~R5における再帰性反射体の向き及び配列状態を示す平面図である。
図7】ターゲットの作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
本発明に係る反射装置は、例えば、測量用のターゲット1として利用することができる。以下の説明では、反射装置について測量用のターゲット1を用いて説明する。
本実施形態に係るターゲット1は、測量対象物に取り付けられ、測量機から測距光を照射して測量対象物の位置や向き等の測量に利用されるものであって、例えば、一つの測量対象物の複数箇所に取り付けたり、複数の測量対象物に複数取り付けたりしたときに、測量対象物への取り付けを容易にするとともに、例えば、測量機が自動視準機能を備えている場合には、一つ箇所から複数の測定位置の測量を可能に構成されている。以下の説明では、測量機4は、自動視準機能を有しているものとして説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るターゲット1の一例を示す平面図である。図2は、本実施形態に係るターゲット1の構成を示す分解斜視図である。
図3は、ベース部材10と反射部材20を一体化させてターゲット1を構成したときのベース部材10と反射部材20の関係を示す断面図である。
なお、ターゲット1には、測量対象物へ取り付けるための向きを規定する上下方向が設定されている。以下の説明では、例えば、ターゲット1を柱などに取り付けられたときを想定し、図中矢印で示すように、上下方向、左右方向、前後方向として方向を特定して説明する。
【0010】
ターゲット1は、平面視において正方形状(図1(a)参照)、側方視において平板状(図1(b)参照)に形成され、例えば、ベース部材10と、反射部材20とを備えた構成とされる。ベース部材10は、ターゲット1における一面側をなし、反射部材20は、ターゲット1における他面側をなすように構成されている。
【0011】
図1図2に示すように、ベース部材10は、正方形状に形成された基板10Aと、該基板10Aの外周を囲むように立ち上がる枠10Bを有する一方(前方)側が開口する箱型に形成されている。基板10Aは、例えば、厚みが一定の平板状に形成されている。枠10Bは、例えば、基板10Aの一方側に向けて均一の高さで立ち上がり、厚みが一定の板状に形成されている。
【0012】
ベース部材10は、例えば、樹脂材、ポリエチレン材等を素材として構成することができ、例えば、白や黒などに着色され、光の透過を許容しないように構成することができる。
【0013】
反射部材20は、光透過性を有する樹脂等を素材として構成される。図3に示すように、反射部材20は、光の再帰反射を可能とする再帰性反射体50を支持層22上に複数配置して構成される。以下の説明では、複数配列された再帰性反射体50の集合を反射構造部20Aという場合がある。支持層22及び再帰性反射体50は、反射部材20として一体的に形成されている。
【0014】
支持層22は、ベース部材10との重ね合わせが可能となるように、例えば、平面視においてベース部材10の枠10Bの外周寸法(外形形状)に一致する正方形の板状に形成される。複数の再帰性反射体50は、支持層22をベース部材10に重ね合わせたときに、枠10Bの内周寸法内に含まれるように一面側に整列して設けられる。
【0015】
即ち、反射部材20は、一方の面が平面、他方の面に複数の再帰性反射体50が突出する反射構造部20Aを備えた構成とされている。反射構造部20Aは、例えば、ベース部材10の枠10B内に収容可能な範囲、ベース部材10の枠10Bの内側の形状に沿う正方形を描くように配列して支持層22に形成されている。
【0016】
ターゲット1は、例えば、反射部材20の支持層22をベース部材10の枠10B上に接触させ、重ね合わせたときに、反射部材20の支持層22から突出する反射構造部20Aと、ベース部材10の基板10Aとの間に空気層30が形成されるように、ベース部材10及び反射部材20を一体化して構成される。
【0017】
なお、反射部材20の支持層22から突出する反射構造部20Aと、ベース部材10の基板10Aとの間は、空気層30に限定されない。例えば、空気層30に代えて反射部材20よりも屈折率の小さい物質を充填するようにしても良く、また、反射部材20の反射構造部20Aに対してベース部材10の基板10Aが合致するようにベース部材10を形成しても良い。
【0018】
ベース部材10及び反射部材20は、例えば、接着剤や嵌め合い等の固定手段を利用して一体化することができる。
【0019】
ベース部材10及び反射部材20が一体化されたターゲット1は、反射部材20における平面20a部分が測量機から照射された視準光や測距光が入射する照射面1a、ベース部材10における平面10a部分がターゲット1を測量対象物に取り付けるための取付面1bとして機能する。照射面1a及び取付面1bは、互いに平行とされている。また、ターゲット1は、n等分された反射部材20とベース部材10が一体化された部材を基盤に固定した構成であっても良い。
【0020】
取付面1bには、例えば、ターゲット1の測量対象物への取り付けを容易にするための固定手段(図外)を予め備えた構成としておくと良い。固定手段には、例えば、両面テープやマグネット、接着剤等を利用することができる。これにより、例えば、鉄骨などの建ち精度などを測量するときのターゲット1の設置作業を容易にすることができる。なお、本実施形態に係るターゲット1の利用はこれに限定されない。
【0021】
図4は、本実施形態に係る再帰性反射体50を示す図である。
本実施形態では、再帰性反射体50は、図4に示すようなコーナーキューブ型のマイクロプリズムとして説明するが、再帰反射を可能とするものであれば、ガラスビーズ等の他のマイクロプリズムであっても良い。再帰性反射体50には、マイクロプリズムを用いることにより、自動視準機能に必要とされる光束が得やすくなる。
【0022】
図4に示すように、コーナーキューブ型の再帰性反射体50は、立方体を形成するうちの一つの頂点を三角錐の頂点51Aとし、この頂点に隣接する3つの頂点51B,51C,51Dを通る平面で切り出した形状とされる。
【0023】
即ち、再帰性反射体50とされる三角錐は、図4に示すように、側面52a,52b,52cが互いに直角に交差し、側辺の長さが同じ長さに形成される。
再帰性反射体50は、図3に示すように、コーナーキューブとして立方体から切り出された三角錐の底面52dを支持層22に向けて配列され、支持層22とともに一体的に形成されることで反射構造部(再帰反射部)20Aを形成する。
【0024】
反射構造部20Aを構成する(配列された)一つ一つの再帰性反射体50は、支持層22を通過し、底面52dから入射した光(入射光)を、3つの側面(のうちの内面)52a,52b,52cで1回ずつ正反射したのち、再び底面52dから入射方向に反射する(再帰反射)プリズムとして機能する。
なお、再帰性反射体50は、前述のように支持層22に一体に形成されるため、図3乃至図6に示した底面52dは、説明の便宜上明示した仮想的な面である。
【0025】
本実施形態に係る反射部材20は、測量機から照射される視準光の入射角度が大きな場合であっても測量機に向けた再帰反射を可能に構成されている。具体的には、反射構造部20Aは、再帰反射の方向が異なる方向となるように形成された複数の反射領域を有するように構成されている。本実施形態では、5種類の反射領域R1,R2,R3,R4,R5(図1参照)を有するように構成されている。
【0026】
各反射領域R1,R2,R3,R4,R5における再帰反射の方向は、各反射領域R1,R2,R3,R4,R5を構成する再帰性反射体50を傾けて配置することで実現される。傾けて配置とは、図3に示すように反射軸Jが照射面1aの法線Nとなるように配置したときを基準としている。反射軸Jとは、再帰性反射体50に光が入射したときに最も明るく再帰反射する方向をいい、本実施形態では、再帰性反射体50の底面52dに直交し、再帰性反射体50の頂点51Aを通る線により定義した。
なお、各反射領域R1,R2,R3,R4,R5による再帰反射は、反射軸Jの方向のみに限るものではなく、ある程度(例えば±20°)の範囲(角度)からの光の入射が許容される。
【0027】
即ち、反射領域R1,R2,R3,R4,R5は、同一の領域内では、再帰性反射体50の反射軸Jの傾きが同じとなるように配置される。また、異なる反射領域R1,R2,R3,R4,R5を構成する再帰性反射体50は、反射軸Jが傾斜する角度が異なるように反射部材20に形成されている。
【0028】
実施形態では、例えば、図1(a)に示すように、平面視において上下、左右方向に均等な間隔で反射構造部20Aを25個の領域に区画され、各区画が正方形状とされている。正方形状に区画された領域には、反射領域R1,R2,R3,R4,R5が形成されている。
【0029】
反射領域R1は、反射構造部20Aの中央に配置され、反射領域R1を囲むように反射領域R2,R3が配置され、反射領域R2,R3を囲むように反射領域R4,R5が配置される。
詳細には、反射領域R1として区画された正方形の中心と、ターゲット1における中心Oとが一致するように配置される。また、反射領域R2は、反射領域R1の4辺に接するように反射領域R1の上下左右に配置され、反射領域R3は、反射領域R1の頂点で隣接するように反射領域R1の4つの対角位置に配置されている。また、反射領域R4は、反射領域R1を取り囲む反射領域R2,R3の外側において、反射領域R1の上下左右及び対角の位置に配置され、反射領域R5は、反射領域R1を取り囲む反射領域R2,R3の外側に設けられた反射領域R4の間に配置される。
【0030】
即ち、ターゲット1は、反射軸Jの傾きが同じ領域が、反射構造部20Aの中心O周りに対称となるように配置されている。このように反射軸Jの傾きが同じ反射領域R1~R5を反射構造部20Aの中心O周りに対称となるように配置することにより、各反射領域R1~R5から反射された光からターゲット1の中心Oの位置を検出することができ、測量における精度を維持することができる。
【0031】
図5図6は、各反射領域R1~R5における再帰性反射体50の配列を示す平面図である。詳細には、図5は、ターゲット1を上方から見たときの各反射領域R1~R5における再帰性反射体50の配列状態を示し、図6は、ターゲット1を側方から見たときの各反射領域R1~R5における再帰性反射体50の配列状態を示している。なお、図5図6では、側方や上方から見えるすべてを記載したものではなく、一列に並ぶ再帰性反射体50の一部を抽出して示したものである。
【0032】
反射領域R1は、照射面1aの法線Nに対して、反射軸Jが左右方向には0°(図5(a)参照)、上下方向には下に15°(図6(a)参照)傾斜するように再帰性反射体50を傾けて配置される。
【0033】
反射領域R2は、照射面1aの法線Nに対して、反射軸Jが左右方向には左に15°(図5(b)参照)、上下方向には下に15°(図6(b)参照)傾斜するように再帰性反射体50を傾けて配置される。
【0034】
反射領域R3は、照射面1aの法線Nに対して、反射軸Jが左右方向には右に15°(図5(c)参照)、上下方向には下に15°(図6(c)参照)傾斜するように再帰性反射体50を傾けて配置される。
【0035】
反射領域R4は、照射面1aの法線Nに対して、反射軸Jが左右方向には左に30°(図5(d)参照)、上下方向には下に30°(図6(d)参照)傾斜するように再帰性反射体50を傾けて配置される。
【0036】
反射領域R5は、照射面1aの法線Nに対して、反射軸Jが左右方向には右に30°(図5(e)参照)、上下方向には下に30°(図6(e)参照)傾斜するように再帰性反射体50を傾けて配置される。
【0037】
即ち、ターゲット1を鉛直方向に延びる柱等の測量対象物の表面に取り付けたときに、反射領域R1は、測量機から照射された視準光が方向角0°、伏角15°で、照射面1aから入射したときに最も明るく反射するように構成されている。
また、反射領域R2は、測量機から照射された視準光が方向角左に15°、伏角15°で、照射面1aから入射したときに最も明るく反射するように構成されている。
また、反射領域R3は、測量機から照射された視準光が方向角右に15°、伏角15°で、照射面1aから入射したときに最も明るく反射するように構成されている。
また、反射領域R4は、測量機から照射された視準光が方向角左に30°、伏角30°で、照射面1aから入射したときに最も明るく反射するように構成されている。
また、反射領域R5は、測量機から照射された視準光が方向角右に30°、伏角30°で、照射面1aから入射したときに最も明るく反射するように構成されている。
【0038】
図7は、ターゲット1の作用を示す図である。本実施形態に係るターゲット1は、前述したように反射軸Jの向きが異なる反射領域R1~R5を備えた構成とされていることから、例えば、図7に示すような範囲に配置に対応することができる。
【0039】
図7に示す1(a)は測量機4から見て方向角0°,仰角15°に配置されたターゲットを示し、1(b)は測量機4から見て方向角左15°、仰角15°に配置されたターゲットを示し、1(c)は測量機4から見て方向角右15°、仰角15°に配置されたターゲットを示し、1(d)は測量機4から見て方向角左30°、仰角30°に配置されたターゲットを示し、1(e)は測量機4から見て方向角右30°、仰角30°に配置されたターゲットを示している。なお、ターゲット1(a)~1(e)は、同一のものである。
【0040】
即ち、測量機4の視準機能により視準光が方向角0°,仰角15°に向けて照射されたときに、ターゲット1(a)において反射軸Jが方向角0°,伏角15°とされた反射領域R1から最も明るく測量機4に向けて視準光を反射する。
また、測量機4の視準機能により視準光が方向角右15°,仰角15°に向けて照射されたときに、ターゲット1(b)において反射軸Jが方向角右15°,伏角15°とされた4つの反射領域R2から最も明るく測量機4に向けて視準光を反射する。
また、測量機4の視準機能により視準光が方向角左15°,仰角15°に向けて照射されたときに、ターゲット1(c)において反射軸Jが方向角左15°,伏角15°とされた4つの反射領域R3から最も明るく測量機4に向けて視準光を反射する。
また、測量機4の視準機能により視準光が方向角右30°,仰角30°に向けて照射されたときに、ターゲット1(d)において反射軸Jが方向角右30°,伏角30°とされた8つの反射領域R4から最も明るく測量機4に向けて視準光を反射する。
また、測量機4の視準機能により視準光が方向角左30°,仰角30°に向けて照射されたときに、ターゲット1(e)において反射軸Jが方向角左30°,伏角30°とされた8つの反射領域R5から最も明るく測量機4に向けて視準光を反射する。
【0041】
このように、ターゲット1が複数の反射軸Jを備えた構成とすることにより、図7に示すように1種類のターゲットを共通して利用することができるので、ターゲット1の設置作業を容易にすることができるとともに、測量機4の位置を動かすことなく、複数箇所に設置されたターゲット1を連続的に視準し、測量できる。
【0042】
図7に係る説明では、説明の便宜上ターゲット1に設定された反射軸J上に測量機4が位置するものとしたが、ターゲット1は、必ずしも測量機4から照射される視準光が反射軸Jに一致するように配置されている必要はない。各反射領域R1~R5を構成する再帰性反射体50は、反射軸Jを中心として、反射軸Jからずれた光の再帰反射を許容するので、より幅広い範囲での自動視準が可能とされる。
【0043】
前述した各反射領域R1~R5に設定される反射軸Jの向きは、上記実施形態の角度に限定されず、適宜変更しても良い。例えば、仰角が低く、方向角が広い測量に好適にターゲット1を構成する場合には、仰角に比べて方向角について反射軸Jが多く変化するように反射領域を設定すれば良く、仰角が高く、方向角が狭い測量に好適にターゲット1を構成する場合には、方向角に比べて仰角について反射軸Jが多く変化するように反射領域を設定するなどしてターゲット1を構成すれば良い。
【0044】
上記実施形態では、ターゲット1の形状を正方形として説明したが、これに限定されない。ターゲット1の形状は、例えば、長方形や矩形以外の多角形、或いは円や楕円であっても良い。ここで言うターゲット1の形状とは、ターゲット1の平面形状やターゲット1における反射構造部20Aの平面形状を意味する。
【0045】
ターゲット1の形成において肝要なのは、反射軸Jの傾きが異なる反射領域Rを複数(2以上)種類、反射構造部20Aに備えた構成とすると良い。また、反射軸Jの傾きが同じ反射領域Rは、ターゲット1に設定される上下方向に対して少なくとも左右対称に設けると良い。
【0046】
また、上記実施形態では、ターゲット1は、複数の反射領域を一つの反射部材20に形成するものとして説明したが、反射軸Jの傾きが異なる反射領域毎に反射部材を個別に形成し、個別に形成した複数の反射部材をベース部材10によって一体化するように構成しても良い。
【0047】
本発明に係る反射装置について測量用のターゲット1に用いて説明したが、その対象は限定されない。例えば、車両用や道路標識等であっても良い。この場合、測量用のターゲット1のように、再帰反射の方向が異なる方向に設定された複数の反射領域が左右対称の位置に配置されている必要はなく、広い範囲から入射した光を再帰反射可能となるように、各反射領域における再帰反射の方向を設定すれば良い。
【0048】
また、各反射領域間に設定される再帰反射の方向は、1つの反射領域における再帰反射の範囲内にあっても良いが、1つの反射領域における再帰反射の範囲外とすることにより、より広い範囲から入射した光について再帰反射を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 (測量用)ターゲット、1a 照射面、4 測量機、10 ベース部材、
20 反射部材、20A 反射構造部(再帰反射部)、22 支持層、30 空気層、
50 再帰性反射体、J 反射軸、R1,R2,R3,R4,R5 反射領域。
【要約】
【課題】広い範囲から入射した光を再帰反射可能な反射装置を提供する。
【解決手段】照射された光を再帰反射する反射装置であって、前記再帰反射を可能とする再帰性反射体を配列して構成された再帰反射部を備え、前記再帰反射部は、再帰反射の方向が異なる方向に設定された複数の反射領域を備える構成とした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7