IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Pioneer DJ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-音響装置 図1
  • 特許-音響装置 図2
  • 特許-音響装置 図3
  • 特許-音響装置 図4
  • 特許-音響装置 図5
  • 特許-音響装置 図6
  • 特許-音響装置 図7
  • 特許-音響装置 図8
  • 特許-音響装置 図9
  • 特許-音響装置 図10
  • 特許-音響装置 図11
  • 特許-音響装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H04R3/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022547347
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2020034609
(87)【国際公開番号】W WO2022054263
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】315017409
【氏名又は名称】AlphaTheta株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐川 健太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 満宣
(72)【発明者】
【氏名】大谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】津田 悠佑
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/119115(WO,A1)
【文献】特開2018-117245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データの再生を可能とする複数の再生部と、
前記複数の再生部から任意の再生部を選択し、選択された再生部にて再生されている楽曲を操作する複数の操作制御部と、を備え、
前記複数の操作制御部は、前記選択された再生部に関連付けられた第1操作制御部を含み、
前記複数の再生部のうち前記第1操作制御部に関連付けられている再生部とは異なる再生部が前記第1操作制御部によって新たに選択されると、前記第1操作制御部に関連付けられた再生部と前記第1操作制御部との関連付けが解除されることを特徴とする音響装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響装置において、
前記複数の再生部のうち、前記第1操作制御部との関連付けが解除された再生部による前記楽曲データの再生は、前記第1操作制御部との関連付けが解除された後も継続されることを特徴とする音響装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音響装置において、
前記複数の再生部のうち、前記第1操作制御部との関連付けが解除された再生部による前記楽曲データの再生状態は、前記第1操作制御部との関連付けが解除された後も維持されることを特徴とする音響装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の音響装置において、
前記複数の再生部は、第1再生部、第2再生部、第3再生部及び第4再生部を含み、
前記複数の操作制御部は、前記第1操作制御部、及び、前記第1操作制御部とは異なる第2操作制御部を含み、
前記第1操作制御部が前記第1再生部に関連付けられ、前記第2操作制御部が前記第2再生部に関連付けられているときに、前記第1操作制御部によって前記第4再生部が新たに選択されると、前記第1操作制御部と前記第1再生部との関連付けが解除され、前記第2操作制御部によって前記第3再生部が新たに選択されると、前記第2操作制御部と前記第2再生部との関連付けが解除されることを特徴とする音響装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の音響装置において、
前記第1操作制御部は、前記複数の再生部のうち、前記第1操作制御部に関連付けられている再生部にて再生されている楽曲と、前記第1操作制御部に関連付けられていない再生部にて再生されている楽曲とを同時に操作可能であることを特徴とする音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実行されて、ミキサー等に対する楽曲の供給を管理するDJアプリケーションが知られている(例えば非特許文献1参照)。
非特許文献1に記載のDJアプリケーションを実行する情報処理装置は、複数の楽曲データを再生可能である。例えば、情報処理装置は、楽曲データを個別に再生する複数のデッキを構成する。
また、情報処理装置に接続される2チャンネルのミキサーが知られている。ミキサーのチャンネルは、入力される楽曲を操作するものであり、ユーザーの操作に応じて、デッキを選択し、選択されたデッキにて再生されている楽曲に対してループ再生及び音量の増減等を行う。
このようなミキサーが、複数のデッキに対応する複数の入力部を有する場合、ミキサーは、ユーザーの操作に応じて、複数のデッキから第1チャンネルを選択し、また、ユーザーの操作に応じて、複数のデッキから第2チャンネルを選択する。例えば、情報処理装置が4つのデッキを有し、ミキサーが4つの入力部を有する場合、第1チャンネルは、2つのデッキから選択可能であり、第2チャンネルは、他の2つのデッキから選択可能である。
【0003】
また、非特許文献1に記載のDJアプリケーションでは、インスタントダブルと呼ばれる機能を実行可能である。インスタントダブルは、対象となるデッキの楽曲データを、他のチャンネルによって選択可能なデッキにコピーする機能である。例えば、第2チャンネルとして選択されているデッキに対してインスタントダブルを実行する場合、当該デッキにて再生されている楽曲データが、第1チャンネルとして選択可能なデッキのうち、第1チャンネルとして選択されていないデッキにコピーされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】AlphaTheta株式会社,「rekordbox 操作説明書」,インターネット,[検索日:令和2年8月24日],URL:https://cdn.rekordbox.com/files/20200522203344/rekordbox6.0.1_manual_JA.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インスタントダブルによってデッキの楽曲データを他のデッキにコピーした場合、コピー元のデッキには楽曲データが入力されたままである。このため、当該デッキに新たな楽曲データを入力するには、デッキをイジェクトする必要があり、使い勝手が悪いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る音響装置は、楽曲データの再生を可能とする複数の再生部と、前記複数の再生部から任意の再生部を選択し、選択された再生部にて再生されている楽曲を操作する複数の操作制御部と、を備え、前記複数の操作制御部は、前記選択された再生部に関連付けられた第1操作制御部を含み、前記複数の再生部のうち前記第1操作制御部に関連付けられている再生部とは異なる再生部が前記第1操作制御部によって新たに選択されると、前記第1操作制御部に関連付けられた再生部と前記第1操作制御部との関連付けが解除される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る音響システムの構成を示す模式図。
図2】一実施形態に係る楽曲供給装置の構成を示すブロック図。
図3】一実施形態に係る操作画面の一例を示す図。
図4】一実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図。
図5】一実施形態に係るミキサーを示す平面図。
図6】一実施形態に係るミキサーの構成を示すブロック図。
図7】一実施形態に係る通常時のミキサーにおける楽曲のフローを示す図。
図8】一実施形態に係るデッキムーブ処理前の操作画面の一例を示す図。
図9】一実施形態に係るデッキムーブ処理後の操作画面の一例を示す図。
図10】一実施形態に係るデッキムーブ処理を説明する図。
図11】一実施形態に係るクロスフェーダーアサインモードがオンであるミキサーに入力された楽曲のフローを示す図。
図12】一実施形態に係るデュアルコントロールモードがオンであるミキサーに入力された楽曲のフローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
[音響システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る音響システム1の構成を示す模式図である。
音響システム1は、図1に示すように、楽曲供給装置2、ターンテーブル3L,3R、ミキサー4及びスピーカーSPL,SPRを備える。音響システム1は、楽曲供給装置2から供給される楽曲をミキサー4にてミックスし、ミックスした楽曲をスピーカーSPL,SPRから出力する。楽曲供給装置2及びミキサー4は、音響装置10を構成する。
なお、以下の説明において、楽曲データは、所定のファイル形式の音声ファイルを示し、楽曲は、楽曲データを再生して得られる音声を示す。
【0009】
音響システム1には、DVS(Digital Vinyl System)が組み込まれている。音響システム1は、ターンテーブル3L,3Rの操作に応じて、楽曲供給装置2が有する再生部27(図4参照)のうち、ユーザーによって選択された再生部27による楽曲データの再生状態を操作可能である。
ターンテーブル3L,3Rは、例えばタイムコードが記録されたタイムコードレコード(コントロールバイナル)を再生する。タイムコードレコードには、ユーザーによってスクラッチ等の操作が行われる。ターンテーブル3L,3Rは、タイムコードレコードからタイムコードを読み取り、読み取ったタイムコードを出力する。読み取られたタイムコードは、ミキサー4を介して楽曲供給装置2に入力される。これにより、楽曲供給装置2は、楽曲に対する操作がユーザーによって行われたことを把握でき、このような操作に基づいて、当該楽曲に対応する楽曲データを再生する。
なお、ターンテーブル3Lは、後述する第1チャンネルの楽曲として選択された楽曲データの再生状態を操作し、ターンテーブル3Rは、後述する第2チャンネルの楽曲として選択された楽曲データの再生状態を操作する。すなわち、ターンテーブル3L,3Rは、楽曲供給装置2を操作する操作装置ということができ、ターンテーブル3L,3Rが出力するタイムコードは、楽曲供給装置2を操作する操作信号ということができる。
【0010】
スピーカーSPL,SPRは、ミキサー4から入力される音声信号に応じた音声を出力する。スピーカーSPLは、左側音声を出力し、スピーカーSPRは、右側音声を出力する。なお、スピーカーSPL,SPRがアンプ機能を有しない場合には、ミキサー4とスピーカーSPL,SPRとの間に、入力される音声信号を増幅させるアンプが設けられていてもよい。
【0011】
[楽曲供給装置の構成]
図2は、楽曲供給装置2の構成を示すブロック図である。
楽曲供給装置2は、ミキサー4と接続され、ミキサー4にてミックスされる楽曲を供給する。本実施形態では、楽曲供給装置2は、DJアプリケーションを実行可能な情報処理装置によって構成される。情報処理装置としては、PC(Personal Computer)及びスマートフォンを例示できる。
楽曲供給装置2は、図2に示すように、操作部21、通信部22、表示部23、記憶部24、メモリー25及び制御部26を有する。
【0012】
操作部21は、ユーザーの操作に応じた操作信号を制御部26に出力する。例えば、操作部21は、キーボードと、マウス等のポインティングデバイスとによって構成される。
通信部22は、外部機器と有線又は無線にて通信する。例えば、通信部22は、有線にて接続されるミキサー4、及び、ミキサー4を介して接続されるターンテーブル3L,3Rと通信する。通信部22は、詳しくは後述するが、ミキサー4に楽曲を出力する第1出力部221、第2出力部222、第3出力部223、第4出力部224と、ミキサー4から操作信号が入力される入力部225と、を有する。
表示部23は、制御部26から入力する画像信号に応じた画像を表示する。例えば表示部23は、後述するDJアプリケーションの操作画面PS(図3参照)を表示する。なお、楽曲供給装置2がノート型PCである場合には、表示部23は、ノート型PCの筐体に設けられたディスプレイであってもよい。また、表示部23は、楽曲供給装置2に接続された表示装置であってもよい。
【0013】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成されており、楽曲供給装置2の動作に必要なプログラム及びデータを記憶している。例えば、記憶部24は、楽曲データを記憶している他、DJアプリケーションを記憶している。
メモリー25は、制御部26のワークメモリーである。
【0014】
[制御部の構成]
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備え、楽曲供給装置2の動作を制御する。例えば制御部26は、ユーザーの操作に応じて、記憶部24に記憶されているDJアプリケーションを実行し、DJアプリケーションの操作画面PS(図4参照)を表示部23に表示させる。DJアプリケーションは、例えば記憶部24に記憶された楽曲データから選択された複数の楽曲データのそれぞれを個別に再生し、ユーザーの操作に応じて楽曲データの再生を制御するものである。
【0015】
[操作画面の構成]
図3は、DJアプリケーションの操作画面PSの一例を示す図である。なお、図4に示される操作画面PSは、4つのデッキ画面P1~P4が設けられた操作画面である。
ここで、制御部26によるDJアプリケーションの実行時に表示される操作画面PSの一例を説明する。
操作画面PSは、図3に示すように、操作画面PSにおける上部に配置されたプレーヤーパネルPS1と、操作画面PSにおける下部に配置されたブラウズパネルPS2と、を含む。
【0016】
[プレーヤーパネルの構成]
プレーヤーパネルPS1は、楽曲データの再生状態を示す画面である。プレーヤーパネルPS1は、第1デッキ画面P1、第2デッキ画面P2、第3デッキ画面P3、第4デッキ画面P4、詳細波形画面P5及び動画表示画面P6を含む。
【0017】
[第1デッキ画面の構成]
第1デッキ画面P1は、第1デッキの音源として入力された楽曲データ(第1楽曲データ)に関連する情報を表示する他、第1楽曲データの再生状態を調整する画面である。第1デッキ画面P1は、トラック情報パネルP11、パフォーマンスパッドP12、ジョグパネルP13及びフェーダーP14を含む。
【0018】
トラック情報パネルP11は、第1楽曲データに関連する情報を表示する。トラック情報パネルP11は、第1パネルP111及び第2パネルP112を有する。
第1パネルP111に表示される情報は、楽曲名、アーティスト名、BPM(Beat Per Minute)、キー、楽曲の終了までの残り時間及び再生経過時間を含む。
第2パネルP112は、波形情報を含む楽曲構成情報を表示する。波形情報は、楽曲の再生時間に応じた信号強度をグラフ化した波形であり、横軸を楽曲の再生時間とし、縦軸を楽曲の信号強度としたグラフである。第2パネルP112は、楽曲の全体波形を表示する。なお、図示を省略するが、全体波形には、楽曲の現在の再生位置を示すマーカーと、楽曲に関連付けて登録されたキューの位置を示す印とが示されていてもよい。
【0019】
パフォーマンスパッドP12は、それぞれソフトウェアキーである8つのボタンP121と、機能ボタンP122と、を有する。8つのボタンP121のいずれかが押下されると、機能ボタンP122によって切り替えられた機能が実行される。例えば、図3に示される第1デッキ画面P1の例では、「HOT CUE」モードに切り替えられているので、「B」と表記されたボタンP121が押下されると、押下されたボタンP121に登録された時間に、第1楽曲の再生位置が移動される。なお、キューが登録されていないボタンP121が押下されると、押下されたボタンP121に現在の再生位置を示す時間がキューとして第1楽曲データに関連付けて登録される。
【0020】
ジョグパネルP13は、第1楽曲データの再生速度等を調整する。ジョグパネルP13には、円環状のダイヤルP131が表示され、ダイヤルP131の内側には、第1楽曲データの現在のBPMが表示されている。図示を省略するが、ダイヤルP131には、第1楽曲データのBPMや再生速度を調整するための複数のボタンが設定されている他、第1楽曲データの現在のBPMに応じた速度でダイヤルP131の周方向に沿って移動するマーカーが表示される。
【0021】
フェーダーP14は、上下にスライド可能な操作子を備えて構成され、ミキサー4に出力される第1楽曲の音量を調整する。
具体的に、フェーダーP14の操作子が上方に操作されると、楽曲供給装置2から出力される第1楽曲の音量が大きくなる。換言すると、フェーダーP14の操作子が上方に操作されると、楽曲供給装置2から出力される第1楽曲の信号レベルが大きくなる。
フェーダーP14の操作子が下方に操作されると、楽曲供給装置2から出力される第1楽曲の音量が小さくなる。換言すると、フェーダーP14の操作子が下方に操作されると、楽曲供給装置2から出力される第1楽曲の信号レベルが小さくなる。
【0022】
[第2デッキ画面の構成]
第2デッキ画面P2は、第2デッキの音源として入力された楽曲データ(第2楽曲データ)に関連する情報を表示する他、第2楽曲データの再生状態を調整する画面である。第2デッキ画面P2は、プレーヤーパネルPS1の略中央に配置された詳細波形画面P5を挟んで第1デッキ画面P1とは反対側に配置されている。
第2デッキ画面P2は、第1デッキ画面P1と同様に、トラック情報パネルP11、パフォーマンスパッドP12、ジョグパネルP13及びフェーダーP14を含む。
第2デッキ画面P2におけるパフォーマンスパッドP12、ジョグパネルP13及びフェーダーP14は、第1デッキ画面P1におけるパフォーマンスパッドP12、ジョグパネルP13及びフェーダーP14と左右対称に配置されている。
【0023】
[第3デッキ画面及び第4デッキ画面の構成]
第3デッキ画面P3は、第3デッキの音源として入力された楽曲データ(第3楽曲データ)に関連する情報を表示する他、第3楽曲データの再生状態を調整する画面である。第3デッキ画面P3は、第1デッキ画面P1の下側に配置されている。第3デッキ画面P3は、第1デッキ画面P1と略同じレイアウトで配置されたトラック情報パネルP11、パフォーマンスパッドP12、ジョグパネルP13及びフェーダーP14を含む。
第4デッキ画面P4は、第4デッキの音源として入力された楽曲データ(第4楽曲データ)に関連する情報を表示する他、第4楽曲データの再生状態を調整する画面である。第4デッキ画面P4は、第2デッキ画面P2の下側に配置されている。第4デッキ画面P4は、第2デッキ画面P2と略同じレイアウトで配置されたトラック情報パネルP11、パフォーマンスパッドP12、ジョグパネルP13及びフェーダーP14を含む。
【0024】
なお、図示を省略するが、各デッキ画面P1~P4には、後述するミキサー4の周波数変更つまみ563~565と同様に、楽曲の周波数域を増減する複数の操作子、及び、フィルターつまみ566と同様に、楽曲にフィルターエフェクトを付加する操作子が設けられていてもよい。
【0025】
[詳細波形画面の構成]
詳細波形画面P5は、プレーヤーパネルPS1の略中央に、第1デッキ画面P1及び第3デッキ画面P3と第2デッキ画面P2及び第4デッキ画面P4との間に挟まれるように配置されている。
詳細波形画面P5は、各デッキ画面P1~P4に表示される楽曲の波形のうち、現在の再生位置を含む所定期間内の波形を拡大し、拡大された波形を縦方向に沿うように表示する。詳細波形画面P5は、左側から右側に向かって、第3楽曲の波形、第1楽曲の波形、第2楽曲の波形及び第4楽曲の波形を表示する。各楽曲の波形は、各楽曲の現在の再生位置が詳細波形画面P5における縦方向の中央と一致するように表示される。
【0026】
[動画表示画面の構成]
動画表示画面P6は、音声出力される楽曲の歌詞等を示すアニメーションや、プロモーションビデオを表示する画面である。例えば、動画表示画面P6は、カラオケのように、楽曲の歌詞に含まれる一部の歌詞を、当該一部の歌詞の再生タイミングに合わせて表示するアニメーションを表示する。
【0027】
[ブラウズパネルの構成]
ブラウズパネルPS2は、記憶部24に記憶された楽曲データの情報を表示する画面であり、ユーザーがデッキに入力する楽曲データを選択する楽曲選択画面である。ブラウズパネルPS2は、ツリービュー画面P7及びトラックリスト画面P8を有する。
【0028】
[ツリービュー画面の構成]
ツリービュー画面P7は、楽曲データのタグ情報に含まれるジャンル等の分類名、及び、楽曲データが保存されている記憶部24及び外部記憶装置のフォルダーやプレイリスト(操作者等によって楽曲が再生順に並べられたリスト)が、ツリー形式で表示される画面である。ツリービュー画面P7に表示されている分類名が選択されると、選択された分類名に分類される楽曲データが、トラックリスト画面P8にリスト表示される。また、ツリービュー画面P7に表示されているフォルダーやプレイリストが選択されると、選択されたフォルダーやプレイリストに保存された楽曲データが、トラックリスト画面P8に表形式にて表示される。
【0029】
[トラックリスト画面の構成]
トラックリスト画面P8は、ツリービュー画面P7にて選択された分類又はフォルダーやプレイリストに応じた楽曲データに関する情報を表形式にて表示する詳細表示画面である。トラックリスト画面P8には、左から順に、楽曲のプレビュー画面P81と、楽曲の詳細情報P82とが表示される。
プレビュー画面P81には、該当する楽曲データの全体波形が横軸に沿って表示される。図示を省略するが、楽曲データにキューが設定されている場合には、全体波形と併せて、キューの位置を示す印が表示される。
詳細情報P82には、それぞれ該当する楽曲データのタグ情報が表示される。詳細情報P82に表示されるタグ情報は、例えば、楽曲のBPM、アートワーク、タイトル、アーティスト名、アルバム名、キー、DJプレイ回数及びジャンルを含む。
【0030】
トラックリスト画面P8に表示された楽曲データのうち1つの楽曲データが選択された後、デッキ画面P1~P4のうち1つのデッキ画面が選択されると、制御部26は、選択された1つの楽曲データを、選択されたデッキ画面に対応するデッキに入力する。例えば、1つの楽曲データがデッキ画面P1~P4のうち1つのデッキ画面にドラッグアンドドロップされた場合、或いは、1つの楽曲を右クリックする等して表示されるメニューからデッキ画面P1~P4のうち1つのデッキ画面が選択されると、制御部26は、選択された1つの楽曲データを、選択されたデッキ画面に対応するデッキに入力する。デッキに入力された楽曲データは、後述する第1再生部271、第2再生部272、第3再生部273及び第4再生部274のうち対応する再生部によって再生される。すなわち、デッキに楽曲データが入力されるとは、第1再生部271、第2再生部272、第3再生部273及び第4再生部274のうち対応する再生部に楽曲データが入力されることを示す。
【0031】
図4は、制御部26の構成を示すブロック図である。
制御部26は、図4に示すように、操作取得部261、再生制御部262及び複数の再生部27を有する。再生制御部262及び複数の再生部27は、制御部26がDJアプリケーションを実行することによって機能する。
操作取得部261は、操作部21、ターンテーブル3L,3R及びミキサー4から入力される操作信号を取得し、再生制御部262に、入力された操作信号に応じた処理を実行させる。
【0032】
複数の再生部27のそれぞれは、操作画面PSに設けられたデッキ画面P1~P4に設定された楽曲データ、すなわち、デッキ画面P1~P4に対応するデッキに入力された楽曲データを再生する。複数の再生部27は、第1再生部271、第2再生部272、第3再生部273及び第4再生部274を含む。
第1再生部271は、第1デッキに入力された第1楽曲データを再生する。第1再生部271は、通常、再生した第1楽曲データに基づく第1楽曲を、通信部22の第1出力部221に出力する。第1出力部221は、ミキサー4において後述する第1入力部43(図6参照)に第1楽曲を第1デッキの楽曲として出力する。
第2再生部272は、第2デッキに入力された第2楽曲データを再生する。第2再生部272は、通常、再生した第2楽曲データに基づく第2楽曲を、通信部22の第2出力部222に出力する。第2出力部222は、ミキサー4において後述する第2入力部44(図6参照)に第2楽曲を第2デッキの楽曲として出力する。
【0033】
第3再生部273は、第3デッキに入力された第3楽曲データを再生する。第3再生部273は、通常、再生した第3楽曲データに基づく第3楽曲を、通信部22の第3出力部223に出力する。第3出力部223は、ミキサー4において後述する第3入力部45(図6参照)に第3楽曲を第3デッキの楽曲として出力する。
第4再生部274は、第4デッキに入力された第4楽曲データを再生する。第4再生部274は、通常、再生した第4楽曲データに基づく第4楽曲を、通信部22の第4出力部224に出力する。第4出力部224は、ミキサー4において後述する第4入力部46(図6参照)に第4楽曲を第4デッキの楽曲として出力する。
このような第1再生部271、第2再生部272、第3再生部273及び第4再生部274は、全体で1つの回路によって構成されてもよく、複数の回路によって構成されてもよい。
【0034】
再生制御部262は、複数の再生部27による楽曲データの再生、及び、楽曲データが再生されて得られる楽曲の出力を制御する。例えば、再生制御部262は、操作画面PSに対するユーザーの操作、或いは、ターンテーブル3L,3R及びミキサー4に対するユーザーの操作に応じて、複数の再生部271~274のうち選択された1つの再生部による楽曲データの再生を制御する。また、詳しくは後述するが、デッキムーブボタン58A,58Dの入力に応じた操作信号がミキサー4から入力された場合には、対応する再生部27を入れ替え、各再生部27による楽曲の出力先を変更する。
【0035】
[ミキサーの構成]
図5は、ミキサー4を示す平面図である。
ミキサー4は、楽曲供給装置2から供給される楽曲をミックスし、ミックスした楽曲に応じた音声信号をスピーカーSPL,SPRに出力する。ミキサー4は、4デッキ2チャンネルミキサーであり、楽曲供給装置2から第1~第4デッキの楽曲が入力される。ミキサー4は、入力される第1デッキの楽曲及び第3デッキの楽曲から選択される第1チャンネルの楽曲と、入力される第2デッキの楽曲及び第4デッキの楽曲から選択される第2チャンネルの楽曲とを操作可能である他、各チャンネルの楽曲に所定のエフェクトを付加可能である。
なお、第1チャンネルの楽曲は、後述する第1チャンネル操作部56Lのソース切替スイッチ561をユーザーが操作することによって切り替えられ、第2チャンネルの楽曲は、後述する第2チャンネル操作部56Rのソース切替スイッチ561をユーザーが操作することによって切り替えられる。
ミキサー4は、図5に示すように、略直方体状の筐体41と、筐体41の天面41Aに設けられた操作部42と、を備える。
【0036】
[操作部の構成]
操作部42は、各種ボタン及び各種ダイヤルによって構成され、ミキサー4を操作し、ひいては、入力される楽曲を操作する。操作部42は、第1ブラウザー部51、第2ブラウザー部52、第1ループ設定部53、第2ループ設定部54、パフォーマンス部55、上部ミキサー部56、エフェクト部57及び下部ミキサー部58を有する。
【0037】
[第1ブラウザー部、第2ブラウザー部、第1デッキ部及び第2デッキ部の構成]
第1ブラウザー部51は、天面41Aの左側上部に設けられ、第2ブラウザー部52は、天面41Aの右側上部に設けられている。第1ブラウザー部51及び第2ブラウザー部52は、DJアプリケーションを実行中の楽曲供給装置2を操作する部位である。
第1ループ設定部53は、第1ブラウザー部51と隣接して第1ブラウザー部51に対する下側に設けられている。第1ループ設定部53は、第1チャンネルの楽曲のループ再生を制御する3つのボタン531を有する。
第2ループ設定部54は、第2ブラウザー部52と隣接して第2ブラウザー部52に対する下側に設けられている。第2ループ設定部54は、第2チャンネルの楽曲のループ再生を制御する3つのボタン541を有する。
【0038】
[パフォーマンス部の構成]
パフォーマンス部55は、天面41Aにおいて上下方向における略中央に設けられている。パフォーマンス部55は、左右のそれぞれに8つずつ配置されたパッド551と、各パッド551のモードを設定する4つのボタン552と、パラメーターの設定を行う4つのボタン553と、を有する。例えば、左側のパッド551を操作することによって、第1チャンネルの楽曲に所定のエフェクトを付加でき、右側のパッド551を操作することによって、第2チャンネルの楽曲に所定のエフェクトを付加できる。
【0039】
[上部ミキサー部の構成]
上部ミキサー部56は、ミキサー4に対する楽曲のソース切替、及び、各チャンネルの楽曲に対して各種レベルの切替を行う。上部ミキサー部56は、第1チャンネル操作部56L及び第2チャンネル操作部56Rと、シフトボタン56A、表示切替ボタン56B、マスターレベル調整つまみ56C及びブースモニターレベルつまみ56Dと、を有する。
第1チャンネル操作部56Lは、第1チャンネルの楽曲を操作し、第2チャンネル操作部56Rは、第2チャンネルの楽曲を操作する。第1チャンネル操作部56L及び第2チャンネル操作部56Rは、ソース切替スイッチ561、トリムつまみ562、周波数変更つまみ563~565及びフィルターつまみ566を有する。
【0040】
ソース切替スイッチ561は、ミキサー4に接続された機器から楽曲の入力ソースを切り替える。
第1チャンネル操作部56Lのソース切替スイッチ561が第1位置に設定されると、楽曲供給装置2から供給される第1デッキの楽曲が第1チャンネルの楽曲として利用可能となり、第2位置に設定されると、第3デッキの楽曲が第1チャンネルの楽曲として利用可能となる。すなわち、第1チャンネル操作部56Lのソース切替スイッチ561が第1位置に設定されると、複数の再生部27のうち、第1デッキの楽曲を再生している再生部27と後述する第1操作制御部47とが関連付けられる。また、第1チャンネル操作部56Lのソース切替スイッチ561が第2位置に設定されると、複数の再生部27のうち、第3デッキの楽曲を再生している再生部27と第1操作制御部47とが関連付けられる。
第2チャンネル操作部56Rのソース切替スイッチ561が第1位置に設定されると、楽曲供給装置2から供給される第2デッキの楽曲が第2チャンネルの楽曲として利用可能となり、第2位置に設定されると、第4デッキの楽曲が第2チャンネルの楽曲として利用可能となる。すなわち、第2チャンネル操作部56Rのソース切替スイッチ561が第1位置に設定されると、複数の再生部27のうち、第2デッキの楽曲を再生している再生部27と後述する第2操作制御部48とが関連付けられる。また、第2チャンネル操作部56Rのソース切替スイッチ561が第2位置に設定されると、複数の再生部27のうち、第4デッキの楽曲を再生している再生部27と第2操作制御部48とが関連付けられる。
【0041】
トリムつまみ562は、対応するチャンネルに入力される音声レベルを調整する。
周波数変更つまみ563~565は、対応するチャンネルの周波数域を増減する3つのつまみを有する。最上部に位置する周波数変更つまみ563は、高周波数帯域の周波数域を増減し、中部に位置する周波数変更つまみ564は、中周波数帯域の周波数域を増減し、最下部に位置する周波数変更つまみ565は、低周波数帯域の周波数域を増減する。
フィルターつまみ566は、対応するチャンネルの楽曲にフィルターエフェクトを付加する。
【0042】
シフトボタン56Aは、各ボタンの機能を切り替える。
表示切替ボタン56Bは、パネル表示を切り替える。
マスターレベル調整つまみ56Cは、マスター出力の音声レベル、すなわち、スピーカーSPL,SPRに出力される音声レベルを調整する。
ブースモニターレベルつまみ56Dは、BOOTH端子から出力される音声レベルを調製する。
【0043】
[エフェクト部の構成]
エフェクト部57は、第1ループ設定部53、第2ループ設定部54及び上部ミキサー部56とパフォーマンス部55との間に設けられている。エフェクト部57は、第1エフェクト選択ボタン571、第2エフェクト選択ボタン572、第1エフェクトレバー573、第2エフェクトレバー574、第1設定ボタン575、第2設定ボタン576、調整つまみ577、エフェクトボタン578,579及び時間リセットボタン57Aを有する。
【0044】
第1エフェクト選択ボタン571及び第2エフェクト選択ボタン572は、第1チャンネルの楽曲及び第2チャンネルの楽曲に適用するエフェクトを選択する。
第1エフェクトレバー573及び第2エフェクトレバー574は、上方向及び下方向に傾倒可能に設けられ、レバー573,574が傾けられている間、選択されたエフェクトが、該当するチャンネルの楽曲に適用される。具体的に、第1エフェクトレバー573が下方に傾いている間、選択されたエフェクトが第1チャンネルの楽曲に適用される。第1エフェクトレバー573が上方に傾けられると、第1エフェクトレバー573の傾倒状態が維持され、第1エフェクトレバー573から手を放しても、選択されたエフェクトが第1チャンネルの楽曲に適用される。第2チャンネル用の第2エフェクトレバー574も同様である。
【0045】
第1設定ボタン575は、エフェクトオンを同期させる拍の倍率を設定する。
第2設定ボタン576は、楽曲供給装置2から出力されるサンプラー音に選択したエフェクトを適用する。
調整つまみ577は、エフェクトの量的パラメーターを調整する。
エフェクトボタン578は、DJアプリケーションから出力されるサンプラー音に選択されたエフェクトを適用する。エフェクトボタン579は、ミキサー4のAUX入力の音声に選択されたエフェクトを適用する。
時間リセットボタン57Aは、エフェクト時間をリセットする。
【0046】
[下部ミキサー部の構成]
下部ミキサー部58は、インジケーター581、第1チャンネルフェーダー582、第2チャンネルフェーダー583、クロスフェーダー584、サンプラーボリュームつまみ585、ヘッドフォンレベルつまみ586、ヘッドフォンミックスつまみ587及びヘッドフォンフェーダー588と、デッキムーブボタン58A,58D、クロスフェーダーアサインボタン58B,58E及びデュアルコントロールボタン58C,58Fと、を有する。
【0047】
インジケーター581は、図示を省略するが、マスター出力の音声レベルを表示するマスターレベルインジケーターと、第1チャンネルフェーダー582を通過する前の第1チャンネルの音声レベルを表示する第1チャンネルレベルインジケーターと、第2チャンネルフェーダー583を通過する前の第2チャンネルの音声レベルを表示する第2チャンネルレベルインジケーターと、を有する。
【0048】
第1チャンネルフェーダー582は、上下に移動可能な操作子を有する。操作子が上方に移動されると、第1チャンネルの音量が増大し、操作子が下方に移動されると、第1チャンネルの音量が低減される。第1チャンネルの楽曲として第1デッキの楽曲が選択されている場合には、第1チャンネルフェーダー582によって調整される音量は、第1デッキの音量であり、第3デッキの音量は調整されない。第3デッキの音量は、第3デッキ画面P3のフェーダーP14によって調整される。第1チャンネルの楽曲として第3デッキの楽曲が選択されている場合でも、第1チャンネルフェーダー582によって調整される音量は、第3デッキの音量であり、第1デッキの音量は、第1デッキ画面P1のフェーダーP14によって調整される。
第2チャンネルフェーダー583は、第1チャンネルフェーダー582と同様に、上下に移動可能な操作子を有する。操作子が上方に移動されると、第2チャンネルの音量が増大し、操作子が下方に移動されると、第2チャンネルの音量が低減される。第2チャンネルの楽曲として第2デッキの楽曲が選択されている場合には、第2チャンネルフェーダー583によって調整される音量は、第2デッキの音量であり、第4デッキの音量は調整されない。第4デッキの音量は、第4デッキ画面P4のフェーダーP14によって調整される。第2チャンネルとして第4デッキが選択されている場合でも、第2チャンネルフェーダー583によって調整される音量は、第4デッキの音量であり、第2デッキの音量は、第2デッキ画面P2のフェーダーP14によって調整される。
【0049】
クロスフェーダー584は、左右に移動可能な操作子を有する。操作子が左方に移動されるに従って、ミキサー4から出力される音量における第1チャンネルの割合が大きくなり、操作子が右方に移動されるに従って、ミキサー4から出力される音量における第2チャンネルの割合が大きくなる。
なお、クロスフェーダー584は、天面41Aにおいて幅方向の中央に設けられており、クロスフェーダー584に対して左側には、第1チャンネルの楽曲を操作する操作子が主に配置され、クロスフェーダー584に対して右側には、第2チャンネルの楽曲を操作する操作子が主に配置されている。
【0050】
サンプラーボリュームつまみ585は、DJアプリケーションのサンプラーデッキ全体の音声レベルを調整する。
ヘッドフォンレベルつまみ586は、ミキサー4においてヘッドフォンを接続可能なPHONES端子から出力される音声レベルを調整する。
ヘッドフォンミックスつまみ587は、ヘッドフォンフェーダー588で選択されたチャンネルの音声とマスターチャンネルの音声とのモニター音量バランスを調整する。
ヘッドフォンフェーダー588は、PHONES端子から出力される第1チャンネルの音声と第2チャンネルの音声との割合を変化させる。
【0051】
デッキムーブボタン58A、クロスフェーダーアサインボタン58B及びデュアルコントロールボタン58Cは、天面41Aにおける左側下部に設けられている。デッキムーブボタン58D、クロスフェーダーアサインボタン58E及びデュアルコントロールボタン58Fは、天面41Aにおける右側下部に設けられている。
デッキムーブボタン58Aは、楽曲供給装置2に操作信号を出力して、第1デッキと第4デッキとを入れ替える。
デッキムーブボタン58Dは、楽曲供給装置2に操作信号を出力して、第2デッキと第3デッキとを入れ替える。
デッキムーブボタン58A,58Dが入力された場合の楽曲供給装置2における処理については、後に詳述する。
【0052】
クロスフェーダーアサインボタン58Bは、第1デッキの音量と第3デッキの音量とをクロスフェーダー584によって同時に操作可能とする。クロスフェーダーアサインボタン58Eは、第2デッキの音量と第4デッキの音量とをクロスフェーダー584によって同時に操作可能とする。すなわち、クロスフェーダーアサインボタン58Bは、第1チャンネルについてクロスフェーダーアサインモードをオン/オフし、クロスフェーダーアサインボタン58Eは、第2チャンネルについてクロスフェーダーアサインモードをオン/オフする。
クロスフェーダーアサインモードについては、後に詳述する。
【0053】
デュアルコントロールボタン58Cは、第1デッキの楽曲と第3デッキの楽曲とを第1チャンネルの楽曲として同時に操作するデュアルコントロールモードをオン/オフする。
デュアルコントロールボタン58Fは、第2デッキの楽曲と第4デッキの楽曲とを第2チャンネルの楽曲として同時に操作するデュアルコントロールモードをオン/オフする。
デュアルコントロールモードについては、後に詳述する。
【0054】
[ミキサーの他の構成]
図6は、ミキサー4の構成を示すブロック図である。
ミキサー4は、筐体41及び操作部42の他、図6に示すように、第1入力部43、第2入力部44、第3入力部45、第4入力部46、第1操作制御部47、第2操作制御部48及び出力部49を備える。
第1入力部43には、楽曲供給装置2から第1デッキの楽曲が入力される。
第2入力部44には、楽曲供給装置2から第2デッキの楽曲が入力される。
第3入力部45には、楽曲供給装置2から第3デッキの楽曲が入力される。
第4入力部46には、楽曲供給装置2から第4デッキの楽曲が入力される。
【0055】
第1操作制御部47は、第1チャンネルを構成し、第1チャンネルの楽曲を操作する。第1操作制御部47には、第1入力部43を介して第1デッキの楽曲が入力される他、第3入力部45を介して第3デッキの楽曲が入力される。第1操作制御部47は、操作部42に対するユーザーの操作に応じて、第1デッキの楽曲の出力及び第3デッキの楽曲の出力を操作し、操作した楽曲に応じた音声信号を出力部49に出力する。例えば第1操作制御部47は、第1デッキの楽曲及び第3デッキの楽曲のうち、第1チャンネルの楽曲として選択された楽曲を、操作部42に対するユーザーの操作に応じて操作する。すなわち、第1操作制御部47は、再生部27のうち、第1チャンネルの楽曲として選択された楽曲を再生する再生部27と関連付けられて、第1チャンネルの楽曲を操作可能となる。
【0056】
第2操作制御部48は、第2チャンネルを構成し、第2チャンネルの楽曲を操作する。第2操作制御部48には、第2入力部44を介して第2デッキの楽曲が入力される他、第4入力部46を介して第4デッキの楽曲が入力される。第2操作制御部48は、操作部42に対するユーザーの操作に応じて、第2デッキの楽曲の出力及び第4デッキの楽曲の出力を操作し、操作した楽曲に応じた音声信号を出力部49に出力する。例えば第2操作制御部48は、第2デッキの楽曲及び第4デッキの楽曲のうち、第2チャンネルの楽曲として選択された楽曲を、操作部42に対するユーザーの操作に応じて操作する。すなわち、第2操作制御部48は、再生部27のうち、第2チャンネルの楽曲として選択された楽曲を再生する再生部27と関連付けられて、第2チャンネルの楽曲を操作可能となる。
【0057】
出力部49には、第1操作制御部47から出力された音声信号、及び、第2操作制御部48から出力された音声信号が入力される。出力部49は、入力された音声信号に含まれる左側信号及び右側信号のうち、左側信号をスピーカーSPLに出力し、右側信号をスピーカーSPRに出力する。
【0058】
図7は、通常時のミキサー4における楽曲のフローを示す図である。
図7に示すように、第1チャンネル操作部56Lのソース切替スイッチ561によって、第1入力部43に入力される第1デッキの楽曲が第1チャンネルの楽曲として選択されている場合には、第1デッキの楽曲は、操作部42に対するユーザーの操作に応じて第1操作制御部47によって操作される。例えば、第1チャンネルの楽曲である第1デッキの楽曲の音量は、第1デッキ画面P1のフェーダーP14(図3参照)によって調整可能である他、第1チャンネルフェーダー582及びクロスフェーダー584によって調整された後、出力部49に入力される。一方、第3入力部45に入力された第3デッキの楽曲は、第1操作制御部47によって操作されず、第3デッキ画面P3のフェーダーP14(図3参照)によって調整された音量のまま、出力部49に入力される。すなわち、第3デッキの楽曲が第1チャンネルの楽曲として選択されていない場合には、第3入力部45に入力された第3デッキの楽曲は、第1操作制御部47によって操作されずに出力部49に出力される。
なお、第1チャンネル操作部56Lのソース切替スイッチ561によって、第3デッキの楽曲が第1チャンネルの楽曲として選択されている場合には、第3デッキの楽曲は、操作部42に対するユーザーの操作に応じた第1操作制御部47によって操作可能となる。この場合、第1デッキの楽曲は、第1操作制御部47によって操作されずに出力部49に出力される。
【0059】
また、第2チャンネル操作部56Rのソース切替スイッチ561によって、第2入力部44に入力される第2デッキの楽曲が第2チャンネルの楽曲として選択されている場合には、第2デッキの楽曲は、操作部42に対するユーザーの操作に応じて第2操作制御部48によって操作される。例えば、第2チャンネルの楽曲である第2デッキの楽曲の音量は、第2デッキ画面P2のフェーダーP14(図3参照)によって調整可能である他、第2チャンネルフェーダー583及びクロスフェーダー584によって調整された後、出力部49に入力される。一方、第4入力部46に入力された第4デッキの楽曲は、第2操作制御部48によって操作されず、第4デッキ画面P4のフェーダーP14(図3参照)によって調整された音量のまま、出力部49に入力される。すなわち、第4デッキの楽曲が第2チャンネルの楽曲として選択されていない場合には、第4入力部46に入力された第4デッキの楽曲は、第2操作制御部48によって操作されずに出力部49に出力される。
なお、第2チャンネル操作部56Rのソース切替スイッチ561によって、第4デッキの楽曲が第2チャンネルの楽曲として選択されている場合には、第4デッキの楽曲は、操作部42に対するユーザーの操作に応じた第2操作制御部48によって操作可能となる。この場合、第2デッキの楽曲は、第2操作制御部48によって操作されずに出力部49に出力される。
【0060】
このように、ミキサー4が通常状態である場合、すなわち、例えばミキサー4の動作モードが後述するクロスフェーダーアサインモード及びデュアルコントロールモードでない場合には、操作部42に対するユーザーの操作に応じて第1操作制御部47により操作される楽曲は、第1デッキの楽曲及び第3デッキの楽曲のうちの一方の楽曲であり、他方の楽曲は、入力された音量のまま出力部49に出力される。
同様に、ミキサー4の動作モードがクロスフェーダーアサインモード及びデュアルコントロールモードでない場合には、操作部42に対するユーザーの操作に応じて第2操作制御部48により操作される楽曲は、第2デッキの楽曲及び第4デッキの楽曲のうちの一方の楽曲であり、他方の楽曲は、入力された音量のまま出力部49に出力される。
【0061】
[デッキムーブボタン処理]
ここで、例えば第1デッキの楽曲を第1チャンネルの楽曲として利用し、第2デッキの楽曲を第2チャンネルの楽曲として利用している状態にて、第1デッキの楽曲及び第2デッキの楽曲を出力しつつ、新たな楽曲を第1チャンネル又は第2チャンネルにて操作したい場合がある。この場合、上記したインスタントダブルの機能によって、例えば第2楽曲データを第3デッキにコピーし、コピーされた第2楽曲データを第3再生部273にて再生した後に、第2デッキをイジェクトして第2楽曲データを解除し、イジェクトされた第2デッキに新たな楽曲データを入力することが考えられる。しかしながら、このような操作は煩雑であり、音響装置10、ひいては、音響システム1の使い勝手が悪い。
これに対し、本実施形態では、ミキサー4にデッキムーブボタン58A,58Dが設けられており、デッキムーブボタン58A,58Dの入力に応じて楽曲供給装置2がデッキムーブ処理を実行することによって、ユーザーの操作の煩雑さを低減して、音響装置10の使い勝手を高めている。
以下、楽曲供給装置2によって実行されるデッキムーブ処理について説明する。
【0062】
図8は、デッキムーブ処理前の操作画面PSの一例を示す図である。
例えば、第1デッキに第1楽曲データが入力され、第2デッキに第2楽曲データが入力され、第3デッキ及び第4デッキに楽曲データが入力されていない場合には、図8に示すように、操作画面PSの第1デッキ画面P1には第1楽曲データに関する情報が表示され、第2デッキ画面P2には第2楽曲データに関する情報が表示される。この場合には、第3デッキ画面P3及び第4デッキ画面P4には、楽曲データに関する情報は表示されない。
【0063】
図9は、デッキムーブ処理後の操作画面PSの一例を示す図である。
図8に示した状態にて、デッキムーブボタン58D(図5参照)が入力された場合には、図9に示すように、制御部26は、第2デッキ画面P2における表示内容と第3デッキ画面P3における表示内容とを入れ替える。また、詳細波形画面P5において、第2楽曲の波形と第3楽曲の波形とを入れ替える。すなわち、制御部26は、第2楽曲の波形を第3楽曲の波形が表示される位置(最も左側の位置)に配置するとともに、第3楽曲の波形を第2楽曲の波形が表示される位置(右から2番目の位置)に配置する。
【0064】
図10は、デッキムーブボタン58Dが入力されたときのデッキムーブ処理を説明する図である。
また、第2チャンネルとして第2デッキが選択されている状態にて、デッキムーブボタン58D(図5参照)が入力されると、第2再生部272と第3再生部273とが入れ替わる。
具体的に、第2チャンネルとして第2デッキが選択されている状態にて、デッキムーブボタン58Dが入力されると、第2再生部272を選択して第2再生部272に関連付けられた第2操作制御部48は、第2チャンネルの楽曲を再生する再生部として第3再生部273を新たに選択し、第2再生部272との関連付けを解除する。そして、再生制御部262は、図10に示すように、第3再生部273の出力先を、第2操作制御部48に楽曲を出力する第2出力部222に変更し、第2再生部272の出力先を、第1操作制御部47に楽曲を出力する第3出力部223に変更する。これにより、見た目上、第2チャンネルとして選択可能な第2デッキを構成する第2再生部272と、第1チャンネルとして選択可能な第3デッキを構成する第3再生部273とが入れ替わる。すなわち、デッキムーブボタン58Dが入力されたときのデッキムーブ処理は、第2再生部272と関連付けられた第2操作制御部48が、新たに第3再生部273を選択することによって、第2操作制御部48と第3再生部273とを関連付ける一方で、第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けを解除する処理である。
【0065】
第2再生部272と第3再生部273とが入れ替わることにより、第2再生部272による第2楽曲データの再生が継続されたまま、第2楽曲は、第3デッキの楽曲としてミキサー4の第3入力部45に入力される。すなわち、第2楽曲データを再生する第2再生部272と第2操作制御部48との関連付けが解除され、第2楽曲は、第2チャンネルとして選択可能な第2デッキの楽曲ではなく、第1チャンネルとして選択可能な第3デッキの楽曲となる。
一方、第3再生部273に第3楽曲データが入力されていなければ、第2デッキ画面P2を介して第3再生部273に新たな楽曲データを入力可能である。入力された新たな楽曲データは、第3再生部273によって再生され、再生された楽曲は、第2デッキの楽曲として第2入力部44に入力される。第2デッキの楽曲は第2チャンネルの楽曲として選択できるので、第3再生部273に新たな楽曲データを入力することにより、新たな楽曲を第2操作制御部48によって操作できる。
なお、第3再生部273に楽曲データが入力されている状態にてデッキムーブボタン58Dが入力された場合には、第3再生部273の出力先を第2出力部222に変更するタイミングにて第3再生部273をイジェクトして楽曲データを解除し、第3再生部273に新たな楽曲データを入力可能としてもよい。
【0066】
一方、第1チャンネルとして第1デッキが選択されている状態にて、デッキムーブボタン58A(図5参照)が入力されると、第1再生部271と第4再生部274とが入れ替わる。
具体的に、第1チャンネルとして第1デッキが選択されている状態にて、デッキムーブボタン58Aが入力されると、第1再生部271を選択して第1再生部271と関連付けられた第1操作制御部47は、第1チャンネルの楽曲を再生する再生部として第4再生部274を新たに選択し、第1再生部271との関連付けを解除する。そして、再生制御部262は、図示を省略するが、第4再生部274の出力先を、第1操作制御部47に楽曲を出力する第1出力部221に変更し、第1再生部271の出力先を、第2操作制御部48に楽曲を出力する第4出力部224に変更する。これにより、見た目上、第1チャンネルとして選択可能な第1デッキを構成する第1再生部271と、第2チャンネルとして選択可能な第4デッキを構成する第4再生部274とが入れ替わる。すなわち、デッキムーブボタン58Aが入力されたときのデッキムーブ処理は、第1再生部271と関連付けられた第1操作制御部47が、新たに第4再生部274を選択することによって、第1操作制御部47と第4再生部274とを関連付ける一方で、第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けを解除する処理である。
【0067】
このように第1再生部271と第4再生部274とが入れ替わることにより、第1再生部271による第1楽曲データの再生が継続されたまま、第1楽曲は、第4デッキの楽曲としてミキサー4の第4入力部46に入力される。すなわち、第1楽曲データを再生する第1再生部271と第1操作制御部47との関連付けが解除され、第1楽曲は、第1チャンネルとして選択可能な第1デッキの楽曲ではなく、第2チャンネルとして選択可能な第4デッキの楽曲となる。
また、第4再生部274に第4楽曲データが入力されていなければ、第1デッキ画面P1を介して第4再生部274に新たな楽曲データを入力可能である。入力された新たな楽曲データは、第4再生部274によって再生され、再生された楽曲は、第1デッキの楽曲として第1入力部43に入力される。第1デッキの楽曲は第1チャンネルの楽曲として選択できるので、第4再生部274に新たな楽曲データを入力することにより、新たな楽曲を第1操作制御部47によって操作できる。
なお、第4再生部274に楽曲データが入力されている状態にてデッキムーブボタン58Aが入力された場合には、第4再生部274の出力先を第1出力部221に変更するタイミングにて第4再生部274をイジェクトして楽曲データを解除し、第4再生部274に新たな楽曲データを入力可能としてもよい。
【0068】
[クロスフェーダーアサインモード]
上記のように、チャンネルとして選択されたデッキの音量は、対応するデッキ画面のフェーダーP14だけでなく、ミキサー4のチャンネルフェーダー582,583及びクロスフェーダー584によって調整可能である。一方、チャンネルとして選択されていないデッキの音量は、対応するデッキ画面のフェーダーP14によって調整可能である。しかしながら、チャンネルとして選択されていないデッキの音量を調整するときに、操作画面PSのフェーダーP14を操作するのは煩雑である。
これに対し、クロスフェーダーアサインボタン58B,58Eを入力して、クロスフェーダーアサインモードをオンにすることによって、チャンネルとして選択されているデッキの音量だけでなく、チャンネルとして選択されていないデッキの音量をクロスフェーダー584にて調整可能である。
以下、クロスフェーダーアサインモードがオンになった場合のミキサー4の処理について説明する。
【0069】
図11は、クロスフェーダーアサインモードがオンであるミキサー4に入力された楽曲のフローを示す図である。
クロスフェーダーアサインボタン58Bが入力されて、第1チャンネルについてクロスフェーダーアサインモードがオンになると、ミキサー4は、図11に示すように、第1デッキの音量と第3デッキの音量とをクロスフェーダー584によって同時に調整する。詳述すると、第1チャンネルとして第1デッキが選択されているときに、第1チャンネルについてクロスフェーダーアサインモードがオンにされると、第1操作制御部47は、第1チャンネルフェーダー582を通過した後の第1デッキの音量と、第3入力部45を通過した後の第3デッキの音量とを、クロスフェーダー584の左側領域によって同時に増減させる。第1チャンネルとして第3デッキが選択されている場合も同様である。
【0070】
クロスフェーダーアサインボタン58Eが入力されて、第2チャンネルについてクロスフェーダーアサインモードがオンになると、ミキサー4は、図11に示すように、第2デッキの音量と第4デッキの音量とをクロスフェーダー584によって同時に調整する。詳述すると、第2チャンネルとして第2デッキが選択されているときに、第2チャンネルについてクロスフェーダーアサインモードがオンにされると、第2操作制御部48は、第2チャンネルフェーダー583を通過した後の第2デッキの音量と、第4入力部46を通過した後の第4デッキの音量とを、クロスフェーダー584の右側領域によって同時に増減させる。第2チャンネルとして第4デッキが選択されている場合も同様である。
このように、各チャンネルに選択されていないデッキの音量をミキサー4にて調整可能であるので、ミキサー4の使い勝手、ひいては、音響装置10の使い勝手を高めることができる。
【0071】
[デュアルコントロールモード]
上記のように、チャンネルとして選択されていないデッキの音量は、対応するデッキ画面のフェーダーP14によって調整可能である。この他、クロスフェーダーアサインモードがオンである場合には、1つのチャンネルとして選択可能な複数のデッキの音量は、クロスフェーダー584によって同時に調整可能である。しかしながら、クロスフェーダーアサインモードでは、複数のデッキの楽曲を同時に操作することはできない。
これに対し、デュアルコントロールボタン58C,58Fを入力して、各チャンネルについてデュアルコントロールモードをオンにすることによって、1つのチャンネルとして選択可能な複数のデッキの楽曲を同時に操作可能となる。
以下、デュアルコントロールモードがオンになった場合のミキサー4の処理について説明する。
【0072】
図12は、デュアルコントロールモードがオンであるミキサー4に入力された楽曲のフローを示す図である。
デュアルコントロールボタン58Cが入力されて、第1チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンになると、ミキサー4は、図12に示すように、第1デッキの楽曲と第3デッキの楽曲とを第1操作制御部47によって同時に操作可能とする。すなわち、第1操作制御部47は、第1操作制御部47に関連付けられている再生部27にて再生されている楽曲と、第1操作制御部47に関連付けられていない再生部27にて再生されている楽曲とを同時に操作可能とする。
例えば、第1チャンネルとして第1デッキが選択されているときに、第1チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンにされると、第1操作制御部47は、第1デッキの音量及び第3デッキの音量を、第1チャンネルフェーダー582及びクロスフェーダー584によって同時に調整する他、第1デッキの楽曲及び第3デッキの楽曲を、第1チャンネル操作部56Lのトリムつまみ562、周波数変更つまみ563~565及びフィルターつまみ566(図5参照)によって同時に調整する。第1チャンネルとして第3デッキが選択されているときでも同様である。
【0073】
デュアルコントロールボタン58Fが入力されて、第2チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンになると、ミキサー4は、第2デッキの楽曲と第4デッキの楽曲とを第2操作制御部48によって同時に操作可能とする。すなわち、第2操作制御部48は、第2操作制御部48に関連付けられている再生部27にて再生されている楽曲と、第2操作制御部48に関連付けられていない再生部27にて再生されている楽曲とを同時に操作可能とする。
例えば、第2チャンネルとして第2デッキが選択されているときに、第2チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンにされると、第2操作制御部48は、第2デッキの音量及び第4デッキの音量を、第2チャンネルフェーダー583及びクロスフェーダー584によって同時に調整可能とする他、第2デッキの楽曲及び第4デッキの楽曲を、第2チャンネル操作部56Rのトリムつまみ562、周波数変更つまみ563~565及びフィルターつまみ566(図5参照)によって同時に調整する。第2チャンネルとして第4デッキが選択されているときでも同様である。
このように、デュアルコントロールモードをオンにすることによって、1つのチャンネルとして選択可能な複数のデッキの楽曲を同時に調整可能となり、ミキサー4の使い勝手を高めることができる。
【0074】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る音響システム1は、以下の効果を奏し得る。
音響システム1は、楽曲供給装置2及びミキサー4を含む音響装置10を備える。楽曲供給装置2は、楽曲データを再生可能な複数の再生部27を備え、ミキサー4は、複数の再生部27から任意の再生部を選択し、選択された再生部にて再生されている楽曲を操作する複数の操作制御部47,48を備える。例えば、第1操作制御部47は、第1再生部271にて再生されている楽曲を操作可能であるときは、第1再生部271に関連付けられている。また例えば、第2操作制御部48は、第2再生部272にて再生されている楽曲を操作可能であるときは、第2再生部272に関連付けられている。
デッキムーブボタン58Aが入力されて、第1再生部271と関連付けられている第1操作制御部47によって複数の再生部27のうちの第4再生部274が新たに選択されると、第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けは、解除される。また例えば、デッキムーブボタン58Dが入力されて、第2再生部272と関連付けられている第2操作制御部48によって複数の再生部27のうちの第3再生部273が新たに選択されると、第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けは、解除される。
すなわち、所定の操作としてデッキムーブボタン58Aが入力されると、第1再生部271と第1操作制御部47との関連付けが解除され、第1再生部271によって再生される楽曲は、第2操作制御部48によって選択可能な第4デッキの楽曲となる。
また、所定の操作としてデッキムーブボタン58Dが入力されると、第2再生部272と第2操作制御部48との関連付けが解除され、第2再生部272によって再生される楽曲は、第1操作制御部47によって選択可能な第3デッキの楽曲となる。
【0075】
このような構成によれば、例えば第2操作制御部48によって操作可能であった第2デッキの楽曲をミキサー4から出力可能としつつ、第3再生部273に新たな楽曲データを入力することにより、第2操作制御部48によって操作可能な楽曲を新たに入力できる。従って、第2デッキの楽曲を第3デッキにコピーした後に第2デッキをイジェクトして第2デッキに入力された第2楽曲データを解除する場合に比べて、音響装置10の使い勝手を高めることができる。
【0076】
音響装置10の楽曲供給装置2において、第1操作制御部47との関連付けが解除された第1再生部271による楽曲データの再生は、第1操作制御部47との関連付けが解除された後も継続される。同様に、第2操作制御部48との関連付けが解除された第2再生部272による楽曲データの再生は、第2操作制御部48との関連付けが解除された後も継続される。
これによれば、例えば第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けが解除された後でも、第1再生部271によって再生される第1楽曲を継続して出力でき、また第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けが解除された後でも、第2再生部272によって再生される第2楽曲を継続して出力できる。従って、音響装置10の使い勝手を更に高めることができる。
【0077】
音響装置10の楽曲供給装置2において、第1操作制御部47との関連付けが解除された第1再生部271による楽曲データの再生状態は、第1操作制御部47との関連付けが解除された後も継続される。同様に、第2操作制御部48との関連付けが解除された第2再生部272による楽曲データの再生状態は、第2操作制御部48との関連付けが解除された後も継続される。
すなわち、デッキムーブボタン58Aが入力されたとき、第1再生部271によって再生される第1楽曲の出力先が第1出力部221から第4出力部224に変更されるが、第1再生部271による第1楽曲の再生状態に変更はない。このため、第1楽曲の再生状態は、第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けが解除された後も維持される。
同様に、デッキムーブボタン58Dが入力されたとき、第2再生部272によって再生される第2楽曲の出力先が第2出力部222から第3出力部223に変更されるが、第2再生部272による第2楽曲の再生状態に変更はない。このため、第2楽曲の再生状態は、第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けが解除された後も維持される。
このような構成によれば、第1操作制御部47と再生部27との関連付け、及び、第2操作制御部48と再生部27との関連付けが解除された場合でも、操作画面PS等によって調整された楽曲の再生状態を再度調整する必要がない。従って、音響装置10の使い勝手を高めることができる。
【0078】
複数の再生部27は、第1再生部271、第2再生部272、第3再生部273及び第4再生部274を含む。ミキサー4は、互いに異なる第1操作制御部47及び第2操作制御部48を有する。
複数の操作制御部47,48のうち、第1操作制御部47が第1再生部271に関連付けられ、第2操作制御部48が第2再生部272に関連付けられているときに、デッキムーブボタン58Aが入力されて、第1操作制御部47によって第4再生部274が新たに選択されると、第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けは解除される。
また、第1操作制御部47が第1再生部271に関連付けられ、第2操作制御部48が第2再生部272に関連付けられているときに、デッキムーブボタン58Dが入力されて、第2操作制御部48によって第3再生部273が選択されると、第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けは解除される。
このような構成によれば、デッキムーブボタン58Dが入力された場合には、第2再生部272にて第2楽曲データを再生しつつ、第3再生部273に新たな楽曲データを入力することによって、第3再生部273にて再生される楽曲を第2操作制御部48によって操作できる。また、デッキムーブボタン58Aが入力された場合には、第1再生部271にて第1楽曲データを再生しつつ、第4再生部274に新たな楽曲データを入力することによって、第4再生部274にて再生される楽曲を第1操作制御部47によって操作できる。
【0079】
第1チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンである場合には、第1操作制御部47は、第1デッキの楽曲及び第3デッキの楽曲を同時に操作できる。例えば、第1操作制御部47と第1再生部271とが関連付けられているときに、第1チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンになると、第1操作制御部47は、複数の再生部27のうち、第1操作制御部47に関連付けられている第1再生部271にて再生されている楽曲と、第1操作制御部47に関連付けられていない第3再生部273にて再生されている楽曲とを同時に操作可能である。
また、第2チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンである場合には、第2操作制御部48は、第2デッキの楽曲及び第4デッキの楽曲を同時に操作できる。例えば、第2操作制御部48と第2再生部272とが関連付けられているときに、第2チャンネルについてデュアルコントロールモードがオンになると、第2操作制御部48は、複数の再生部27のうち、第2操作制御部48に関連付けられている第2再生部272にて再生されている楽曲と、第2操作制御部48に関連付けられていない第4再生部274にて再生されている楽曲とを同時に操作可能である。
このような構成によれば、第1デッキの楽曲及び第3デッキの楽曲を1つの楽曲として、第1操作制御部47によって操作できる。また、第2デッキの楽曲及び第4デッキの楽曲を1つの楽曲として、第2操作制御部48によって操作できる。従って、音響装置10の使い勝手を高めることができる。
【0080】
[実施形態の変形]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記実施形態では、音響装置10は、DJアプリケーションを実行する楽曲供給装置2と、楽曲供給装置2から供給される複数の楽曲をミックスして出力するミキサー4とを含むとした。しかしながら、これに限らず、音響装置は、楽曲供給装置2及びミキサー4が一体化された構成であってもよい。すなわち、ミキサー4が楽曲供給装置2の機能を備えていてもよい。また、ミキサー4に代えて、オールインワンタイプのDJシステムを採用してもよい。すなわち、音響装置10の構成は問わない。
【0081】
上記実施形態では、デッキムーブボタン58Aが入力された場合、再生制御部262による制御の下、第1再生部271は、楽曲の出力先を第4出力部224に変更し、第4再生部274は、楽曲の出力先を第1出力部221に変更するとした。しかしながら、これに限らず、デッキムーブボタン58Aが入力された場合に、第1再生部271にて再生されていた楽曲データを第4再生部274にコピーしつつ、第1再生部271をイジェクトして、第1再生部271によって再生される楽曲データを削除してもよい。
上記実施形態では、デッキムーブボタン58Dが入力された場合、再生制御部262による制御の下、第2再生部272は、楽曲の出力先を第3出力部223に変更し、第3再生部273は、楽曲の出力先を第2出力部222に変更するとした。しかしながら、これに限らず、デッキムーブボタン58Dが入力された場合に、第2再生部272にて再生されていた楽曲データを第3再生部273にコピーしつつ、第2再生部272をイジェクトして、第2再生部272によって再生される楽曲データを削除してもよい。
【0082】
上記実施形態では、第1再生部271に第1楽曲データが入力され、第4再生部274に第4楽曲データが入力されていない状態で、デッキムーブボタン58Aが入力された場合について説明した。しかしながら、第1再生部271に第1楽曲データが入力され、第4再生部274に第4楽曲データが入力されている状態で、デッキムーブボタン58Aが入力されたときに、第1再生部271の出力先と第4再生部274の出力先とを入れ替えてもよい。この場合、第1デッキの楽曲として第4再生部274が再生する第4楽曲データは、ユーザーが削除してもよい。
上記実施形態では、第2再生部272に第2楽曲データが入力され、第3再生部273に第3楽曲データが入力されていない状態で、デッキムーブボタン58Dが入力された場合について説明した。しかしながら、第2再生部272に第2楽曲データが入力され、第3再生部273に第3楽曲データが入力されている状態で、デッキムーブボタン58Dが入力されたときに、第2再生部272の出力先と第3再生部273の出力先とを入れ替えてもよい。この場合、第2デッキの楽曲として第3再生部273が再生する第3楽曲データは、ユーザーが削除してもよい。
【0083】
上記実施形態では、第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けが解除された場合でも、第1再生部271による楽曲データの再生は、継続されるとした。また、第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けが解除された場合でも、第2再生部272による楽曲データの再生は、継続されるとした。しかしながら、これに限らず、デッキムーブ処理の対象となる再生部27による楽曲データの再生は、停止されてもよい。
同様に、第1操作制御部47と第1再生部271との関連付けが解除された場合でも、第1再生部271による楽曲データの再生状態は、維持されるとした。また、第2操作制御部48と第2再生部272との関連付けが解除された場合でも、第2再生部272による楽曲データの再生状態は、維持されるとした。しかしながら、これに限らず、デッキムーブ処理の対象となる再生部27による楽曲の再生状態は、リセットされてもよい。
【0084】
上記実施形態では、楽曲供給装置2は、4つの再生部27を備え、ミキサー4は、2つの操作制御部47,48を有する2チャンネル4デッキミキサーであるとした。しかしながら、これに限らず、ミキサー4が有する操作制御部の数は、2以上であればよく、楽曲供給装置2が有する再生部27の数は、ミキサー4が有する操作制御部の数よりも多ければよい。
また、第1チャンネルの楽曲、すなわち、第1操作制御部47によって操作される楽曲は、第1入力部43に入力される第1デッキの楽曲と、第3入力部45に入力される第3デッキの楽曲とから選択されるとした。第2チャンネルの楽曲、すなわち、第2操作制御部48によって操作される楽曲は、第2入力部44に入力される第2デッキの楽曲と、第4入力部46に入力される第4デッキの楽曲とから選択されるとした。しかしながら、これに限らず、第1操作制御部47は、第1操作制御部47によって操作される楽曲を再生する再生部を複数の再生部から選択できればよく、選択可能な再生部の数は、2に限らない。第2操作制御部48も同様である。
【0085】
上記実施形態では、ミキサー4は、クロスフェーダーアサインモード及びデュアルコントロールモードを有するとした。しかしながら、これに限らず、ミキサー4は、クロスフェーダーアサインモード及びデュアルコントロールモードのうち少なくとも1つのモードは無くてもよい。
【0086】
上記実施形態では、楽曲供給装置2によって実行されるDJアプリケーションの操作画面の一例として、図3に示す操作画面PSを示した。しかしながら、これに限らず、操作画面のレイアウトは、適宜変更可能である。
上記実施形態では、ミキサーの一例として、図5に示すミキサー4を示した。しかしながら、これに限らず、ミキサー4に配設されたボタン、レバー及びつまみ等の操作子のレイアウトは、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…音響システム、10…音響装置、2…楽曲供給装置、27…再生部、271…第1再生部、272…第2再生部、273…第3再生部、274…第4再生部、4…ミキサー、47…第1操作制御部、48…第2操作制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12