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特許7498791複合人造黒鉛及びその製造方法並びに前記複合人造黒鉛を含む二次電池及び電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】複合人造黒鉛及びその製造方法並びに前記複合人造黒鉛を含む二次電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/205 20170101AFI20240605BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240605BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240605BHJP
   C01B 32/21 20170101ALI20240605BHJP
【FI】
C01B32/205
H01M4/587
H01M4/36 D
H01M4/36 A
C01B32/21
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022557066
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 CN2021119709
(87)【国際公開番号】W WO2023044625
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】李 遠源
(72)【発明者】
【氏名】沈 睿
(72)【発明者】
【氏名】何 立兵
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-173156(JP,A)
【文献】特開2004-127913(JP,A)
【文献】特開2005-044775(JP,A)
【文献】特開2005-317493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/39
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛Aと黒鉛Bとを含む複合人造黒鉛であって、
前記黒鉛Aは二次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は0.33560nm~0.33610nmであり
記黒鉛Bは一次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は0.33635nm~0.33670nmであり、且
前記複合人造黒鉛における前記黒鉛Aの質量百分率は0%~90%である、複合人造黒鉛。
【請求項2】
前記黒鉛Aの黒鉛層間隔d 002 は0.33570nm~0.33600nmである、請求項1に記載の複合人造黒鉛。
【請求項3】
前記黒鉛Bの黒鉛層間隔d 002 は0.33635nm~0.33660nmである、請求項1又は2に記載の複合人造黒鉛。
【請求項4】
前記複合人造黒鉛における前記黒鉛Aの質量百分率は70%~90%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項5】
前記複合人造黒鉛の体積平均粒径D50は11.5μm~21.5μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項6】
前記複合人造黒鉛の体積平均粒径D 50は12.0μm~16.0μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項7】
前記複合人造黒鉛の個数粒径分布D10は1.3μm~6.5μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項8】
前記複合人造黒鉛の個数粒径分布D 10は2.0μm~4.5μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項9】
前記複合人造黒鉛の2000kg圧力での粉体圧密密度は1.55g/cm~1.85g/cmある、請求項1~のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項10】
前記複合人造黒鉛のグラム容量は335mAh/g以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項11】
前記黒鉛Aの体積平均粒径D50は12.0μm~22.0μmであり、及び/又は、
前記黒鉛Aの個数粒径分布D10は1.5μm~7.5μmであり、及び/又は、
前記黒鉛Bの体積平均粒径D50は8.0μm~20.0μmであり、及び/又は、
前記黒鉛Bの個数粒径分布D10は1.2μm~6.0μmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項12】
前記黒鉛Aの体積平均粒径D 50は14.0μm~20.0μmであり、及び/又は、
前記黒鉛Aの個数粒径分布D 10は2.5μm~4.5μmであり、及び/又は、
前記黒鉛Bの体積平均粒径D 50は10.0μm~15.0μmであり、及び/又は、
前記黒鉛Bの個数粒径分布D 10は1.5μm~2.0μmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項13】
前記黒鉛Aの黒鉛化度は91%~97%であり、及び/又は、
前記黒鉛Bの黒鉛化度は85%~90%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項14】
前記黒鉛Aの黒鉛化度は94%~97%であり、及び/又は、
前記黒鉛Bの黒鉛化度は86%~89%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛。
【請求項15】
複合人造黒鉛の製造方法であって、
1)黒鉛Aの製造ステップであって、
S11:原料1に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体1を得る、
S12:ステップS11で得られた前駆体1に対して造粒処理を行い、中間体1を得、前記造粒プロセスにおいて、接着剤を添加しないか又は添加し、且つ接着剤を添加する時、前記接着剤の使用量は、造粒ステップS12に用いられる前駆体1の重量の4%~16%であり、
S13:ステップS12で得られた中間体1に対して2800℃~3200℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Aを得て、前記黒鉛Aは二次粒子であり、その黒鉛層間隔は0.33560nm~0.33610nmであるステップと、
2)黒鉛Bの製造であって、
S21:原料2に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体2を得る、
S22:ステップS21で得られた前駆体2に対して2500℃~2700℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Bを得て、前記黒鉛Bは一次粒子であり、その黒鉛層間隔は0.33620nm~0.33670nmであるステップと、
3)ステップ1)で得られた黒鉛Aとステップ2)で得られた黒鉛Bを、40%~90%の黒鉛Aと10%~60%の黒鉛Bの質量百分率に従って均一に混合し、前記複合人造黒鉛を得て、ここで、前記質量百分率は前記複合人造黒鉛に対する重量であるステップとを含む、複合人造黒鉛の製造方法。
【請求項16】
複合人造黒鉛の製造方法であって、
1)黒鉛Aの製造ステップであって、
S11:原料1に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体1を得る、
S12:ステップS11で得られた前駆体1に対して造粒処理を行い、中間体1を得、前記造粒プロセスにおいて、接着剤を添加しないか又は添加し、且つ接着剤を添加する時、前記接着剤の使用量は、造粒ステップS12に用いられる前駆体1の重量の4%~16%であり、
S13:ステップS12で得られた中間体1に対して2800℃~3200℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Aを得て、前記黒鉛Aは二次粒子であり、その黒鉛層間隔は0.33570nm~0.33600nmであるステップと、
2)黒鉛Bの製造であって、
S21:原料2に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体2を得る、
S22:ステップS21で得られた前駆体2に対して2500℃~2700℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Bを得て、前記黒鉛Bは一次粒子であり、その黒鉛層間隔は0.33630nm~0.33660nmであるステップと、
3)ステップ1)で得られた黒鉛Aとステップ2)で得られた黒鉛Bを、70%~90%の黒鉛Aと10%~30%の黒鉛Bの質量百分率に従って均一に混合し、前記複合人造黒鉛を得て、ここで、前記質量百分率は前記複合人造黒鉛に対する重量であるステップとを含む、複合人造黒鉛の製造方法。
【請求項17】
前記原料1は、ニードル生石油コークスと、非ニードル生石油コークスと、ニードル石炭系生コークスと、非ニードル石炭系生コークスと、か焼ニードルコークスと、か焼石油コークスとのうちの一つ又は複数を含み、
前記原料2は、ニードル生石油コークスと、非ニードル生石油コークスと、冶金コークスと、生ピッチコークスと、ニードル石炭系生コークスと、非ニードル石炭系生コークスと、か焼ニードルコークスと、か焼石油コークスとのうちの一つ又は複数を含む、請求項15又は16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記中間体1に対して3000℃~3200℃の温度で黒鉛化処理を行い、且つ前記前駆体2に対して2500℃~2600℃の温度で黒鉛化処理を行う、請求項15~17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
二次電池であって、負極極板を含み、前記負極極板は、負極活物質を含み、前記負極活物質は、請求項1~14のいずれか一項に記載の複合人造黒鉛を含む、二次電池。
【請求項20】
請求項1に記載の二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項21】
請求項20に記載の電池モジュールを含む、電池パック。
【請求項22】
請求項1に記載の二次電池、請求項20に記載の電池モジュール又は請求項21に記載の電池パックから選択される少なくとも一つを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、二次電池技術分野に関し、特に、複合人造黒鉛及びその製造方法並びに前記複合人造黒鉛を含む二次電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、エネルギー密度が高く、汚染がなく、耐用年数が長いなどの顕著な特徴を有するため、広く用いられている。
【0003】
しかしながら、二次電池において、継続的な充放電によって、負極活物質がリチウムを脱離するプロセスにおいて体積変化を発生し、例えばサイクルプロセスにおいて体積膨張を発生し、電池の内部応力の増大を引き起こすことによって、電池の耐用年数と安全性に影響を及ぼすことがある。最近では、新エネルギー自動車の迅速な普及に伴い、動力型二次電池の耐用年数と安全性に対する市場の要求は、ますます高まっている。そのため、新エネルギー自動車の市場競争力を高めるために、二次電池の体積膨張を低減させることができる新規技術を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願は上記課題に鑑みてなされたものであり、低膨張で高グラム容量を兼ね備える複合人造黒鉛及びその製造方法、並びにこの複合人造黒鉛を負極活物質として製造される負極極板を提供することを目的とする。さらに、本出願は、さらにサイクルプロセスにおいて体積膨張が低く、且つ高いエネルギー密度を有する二次電池、この二次電池を含む電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を実現するために、本出願の第1の態様は、複合人造黒鉛を提供する。前記複合人造黒鉛は、黒鉛Aと黒鉛Bとを含み、ここで、前記黒鉛Aは二次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は0.33560nm~0.33610nmであり、前記黒鉛Bは一次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は0.33620nm~0.33670nmであり、且つ前記複合人造黒鉛における前記黒鉛Aの質量百分率は40%~90%である。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Aの黒鉛層間隔d002は、0.33570nm~0.33600nmであってもよく、前記黒鉛Bの黒鉛層間隔d002は、0.33630nm~0.33660nmであってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記複合人造黒鉛における前記黒鉛Aの質量百分率は、70%~90%であってもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記複合人造黒鉛の体積平均粒径D50は、11.5μm~21.5μmであってもよく、任意選択的に、12.0μm~20.0μmであり、さらに任意選択的に、12.0μm~16.0μmである。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記複合人造黒鉛の個数粒径分布D10は、1.3μm~6.5μmであってもよく、任意選択的に、2.0μm~4.5μmである。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記複合人造黒鉛の2000kg圧力での粉体圧密密度は、1.55g/cm~1.85g/cmであってもよく、任意選択的に、1.65g/cm~1.80g/cmである。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記複合人造黒鉛のグラム容量は、335mAh/g以上であってもよく、任意選択的に、342mAh/g以上である。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Aの体積平均粒径D50は、12.0μm~22.0μmであってもよく、任意選択的に、14.0μm~20.0μmであり、さらに任意選択的に、14.0μm~16.0μmである。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Aの個数粒径分布D10は、1.5μm~7.5μmであってもよく、任意選択的に、2.5μm~4.5μmである。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Bの体積平均粒径D50は、8.0μm~20.0μmであってもよく、任意選択的に、10.0μm~15.0μmである。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Bの個数粒径分布D10は、1.2μm~6.0μmであってもよく、任意選択的に、1.5μm~2.0μmである。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Aの黒鉛化度は、91%~97%であってもよく、任意選択的に、94%~97%である。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Bの黒鉛化度は、85%~90%であってもよく、任意選択的に、86%~89%である。
【0018】
本出願の第2の態様は、複合人造黒鉛の製造方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
【0019】
1)黒鉛Aの製造:
S11:原料1に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体1を得る、
S12:ステップS11で得られた前駆体1に対して造粒処理を行い、中間体1を得る、任意選択的に、前記造粒プロセスにおいて、接着剤を添加しないか又は添加し、且つ接着剤を添加する時、前記接着剤の使用量は、造粒ステップS12に用いられる前駆体1の重量の4%~16%であってもよく、
S13:ステップS12で得られた中間体1に対して2800℃~3200℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Aを得る。
【0020】
2)黒鉛Bの製造:
S21:原料2に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体2を得る、
S22:ステップS21で得られた前駆体2に対して2500℃~2700℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Bを得る。
【0021】
3)ステップ1)で得られた黒鉛Aとステップ2)で得られた黒鉛Bを、40%~90%の黒鉛Aと10%~60%の黒鉛B、任意選択的に、70%~90%の黒鉛Aと10%~30%の黒鉛B、さらに任意選択的に、80%~90%の黒鉛Aと10%~20%の黒鉛Bの質量百分率に従って均一に混合し、前記複合人造黒鉛を得、ここで、前記質量百分率は、前記複合人造黒鉛に対する重量である。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記黒鉛Aは、二次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は、0.33560nm~0.33610nmであり、任意選択的に、0.33570nm~0.33600nmであり、前記黒鉛Bは、一次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は、0.33620nm~0.33670nmであり、任意選択的に、0.33630nm~0.33660nmである。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記原料1は、ニードル生石油コークスと、非ニードル生石油コークスと、ニードル石炭系生コークスと、非ニードル石炭系生コークスと、か焼ニードルコークスと、か焼石油コークスとのうちの一つ又は複数を含んでもよく、前記原料2は、ニードル生石油コークスと、非ニードル生石油コークスと、冶金コークスと、生ピッチコークスと、ニードル石炭系生コークスと、非ニードル石炭系生コークスと、か焼ニードルコークスと、か焼石油コークスとのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、ステップS12で得られた中間体1に対して3000℃~3200℃の温度で黒鉛化処理を行ってもよく、且つステップS21で得られた前駆体2に対して2500℃~2600℃の温度で黒鉛化処理を行ってもよい。
【0025】
本出願の第3の態様は、二次電池を提供する。前記二次電池は、負極極板を含み、前記負極極板は、負極活物質を含み、前記負極活物質は、本出願の第1の態様による複合人造黒鉛を含むか又は本出願の第2の態様による方法で製造される複合人造黒鉛を含む。
【0026】
本出願の第4の態様は、本出願の第3の態様による二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0027】
本出願の第5の態様は、本出願の第4の態様による電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0028】
本出願の第6の態様は、本出願の第3の態様の二次電池、本出願の第4の態様の電池モジュール、又は本出願の第5の態様の電池パックから選択される少なくとも一つを含む電力消費装置を提供する。
【0029】
有益な効果
【0030】
本出願による二次電池において、負極活物質は、複合人造黒鉛を含み、この複合人造黒鉛は、二次粒子黒鉛Aと一次粒子黒鉛Bとを含み、ここで、黒鉛Aの黒鉛層間隔d002は0.33560nm~0.33610nmであり、黒鉛Bの黒鉛層間隔d002は0.33620nm~0.33670nmであり、両者を特定の割合に従って混合することで得られる複合人造黒鉛は、高いグラム容量と低いサイクル膨張率を有し、この複合人造黒鉛を含有する二次電池のサイクルプロセスにおける体積膨張を明らかに低減させ(サイクルプロセスにおける二次電池の体積膨張が小さいと、それが高い体積エネルギー密度を維持することに有利であり、低い体積膨張はさらに、二次電池のコア内部応力を低減させ、内部応力の作用によるコアの変形を減少させ、二次電池の安全性を効果的に改善することもできる)、高いエネルギー密度であり、さらに、二次電池の安全性とエネルギー密度を高めることができる。なお、体積膨張が低い二次電池は、サイクルプロセスにおいて、電解液浸潤に適する内部構造を維持することができ、電解液をコアに十分に浸潤させることができ、それによって二次電池のサイクル寿命を高める。それとともに、一次粒子とする黒鉛Bと二次粒子とする黒鉛Aを混合することで、単独の二次粒子黒鉛では一般的に加工性が悪く、集電体との粘着力が低く、集電体から脱落しやすいという欠点を克服することができる。両者を混合することで得られる複合人造黒鉛は、改善した加工性能を有し、集電体との粘着力が高く、脱落しにくいという利点を有することによって、二次電池の耐用年数をさらに高めることができる。本出願の電池モジュール、電池パック及び電力消費装置は、本出願による二次電池を含むため、少なくとも前記二次電池と同じ優位性を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、当然のことながら、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を用いることなく、その図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【0032】
図1】本出願の実施例による二次電池の概略図である。
図2】本出願の実施例による電池モジュールの概略図である。
図3】本出願の実施例による電池パックの概略図である。
図4図3の分解図である。
図5】本出願の実施例による電力消費装置の概略図である。
図6a-6c】それぞれ本出願の実施例1、実施例2、実施例3による複合人造黒鉛のSEM(scanning electron microscope、走査型電子顕微鏡)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付図面を適当に参照しながら、本出願の複合人造黒鉛及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。しかし、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するためのものではない。
【0034】
本出願に開示される「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、所与の範囲は、一つの下限と1つの上限を選択することによって限定され、選択された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定する。このように限定される範囲は、両端値を含むか又は含まないものであってもよく、任意の組合せが可能であり、即ち、任意の下限と任意の上限との組合せは一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータについて60-120と80-110の範囲が列挙されている場合、60-110と80-120の範囲も予想されると理解される。なお、最小範囲値1と2が列挙される場合、及び最大範囲値3、4、及び5が列挙される場合、1-3、1-4、1-5、2-3、2-4及び2-5の範囲は、全て予想される。本出願において、特に断りのない限り、「a-b」という数値範囲は、a~bの任意の実数の組み合わせの省略表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、「0-5」という数値範囲は、本明細書において「0-5」の間の全ての実数を列挙していることを意味し、「0-5」は、これらの数値の組合せの省略表現にすぎない。なお、あるパラメータが≧2の整数であると表記すると、そのパラメータが例えば整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0035】
特に説明しない場合、本出願の全ての実施形態及び任意選択的な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0036】
特に説明しない場合、本出願の全ての技術的特徴及び任意選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0037】
特に説明しない場合、本出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含むことは、ステップ(c)が任意の順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0038】
特に説明しない場合、本出願で言及された「含む」と「包含」は、開放型を表すが、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、列挙されていない他の要素をさらに含み又は包含してもよく、列挙された要素のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0039】
特に説明しない場合、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」という用語は、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真である(又は存在する)条件と、また、AとBが共に真である(又は存在する)条件のいずれかも「A又はB」を満たしている。
【0040】
本明細書の記述では、別段の記載がない限り、「以上」、「以下」は、その数字を含むものであり、「一つ又は複数」のうちの「複数」の意味は、2つ以上であることを理解されたい。
【0041】
電気エネルギーは、経済的で、実用的で、クリーンで、制御及び変換が容易なエネルギー形態として、様々な電力消費装置にますます多く応用されている。二次電池は、エネルギー密度が高く、携帯性に優れ、記憶効果がなく、環境にやさしい等の利点を有するため、電力消費装置の電源として好ましい。しかしながら、二次電池は、サイクルプロセスにおいて体積膨張が発生することによって、電池の内部応力の増大を引き起こし、ひいては二次電池の故障リスクを引き起こし、二次電池のエネルギー密度の向上を制限し、さらに、電池の耐用年数と安全性に影響を及ぼす。そのため、サイクルプロセスにおける二次電池の体積膨張をどのように低減させるかは、既に二次電池の技術分野の焦点となっている。
【0042】
本発明者らは鋭意研究によって、低い黒鉛層間隔d002を有する二次粒子黒鉛と高い黒鉛層間隔d002を有する一次粒子黒鉛を特定の割合に従って混合することで得られた複合人造黒鉛が、高いグラム容量と低い膨張率を兼ね備えることができ、この複合人造黒鉛を含有する二次電池のサイクルプロセスにおける体積膨張を低減させることができるとともに、二次電池が高いエネルギー密度を維持することにも有利であり、さらに、二次電池、及びこの二次電池を含む電池モジュール、電池パック及び電力消費装置の耐用年数と安全性を改善することができることに気付いた。
【0043】
〔複合人造黒鉛〕
【0044】
本出願の第1の態様によれば、複合人造黒鉛を提供する。前記複合人造黒鉛は、黒鉛Aと、黒鉛Bとを含み、ここで、前記黒鉛Aは二次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は0.33560nm~0.33610nmであり、前記黒鉛Bは一次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は0.33620nm~0.33670nmであり、且つ前記複合人造黒鉛における黒鉛Aの質量百分率は40%~90%である。
【0045】
発明者らは、複合人造黒鉛における二次粒子黒鉛Aの黒鉛層間隔d002と一次粒子黒鉛Bの黒鉛層間隔d002が適切であり、且つ複合人造黒鉛における黒鉛Aと黒鉛Bの割合が適切である時、高いグラム容量を兼ねるとともに、複合人造黒鉛のサイクル膨張を明らかに低減させることができ、それによってこの複合人造黒鉛を含有する負極極板と二次電池のサイクルプロセスにおける体積膨張を明らかに低減させることができることを発見した。サイクルプロセスにおける二次電池の体積増加が小さく、その高いエネルギー密度を維持するのに有利である。特に、サイクル膨張が低い二次電池は、サイクルプロセスにおいて、電解液浸潤に適する内部構造を維持することができ、電解液をコアに十分に浸潤させることができ、それによって二次電池のサイクル寿命を高める。それとともに、二次電池がサイクル膨張を有すると、コア内部応力を低減させ、内部応力の作用によるコアの変形を減少させ、二次電池の安全性を効果的に改善することもできる。この二次電池を用いる電池モジュール、電池パック及び電力消費装置の安全性と耐用年数もそれによって向上する。
【0046】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛における黒鉛Aの黒鉛層間隔d002は、0.33570nm~0.33600nm、例えば、0.33580nm~0.33600nm、0.33570nm~0.33590nm、0.33580nm~0.33590nmであってもよく、黒鉛Bの黒鉛層間隔d002は、0.33630nm~0.33660nm、例えば、0.33630nm~0.33650nm、0.33640nm~0.33660nm、0.33630nm~0.33640nm、0.33650nm~0.33660nmであってもよい。
【0047】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛における黒鉛Aの質量百分率は、任意選択的に、70%~90%、例えば、70%、80%、85%、90%、75%~90%、85%~90%、80%~85%である。複合人造黒鉛における黒鉛Aの質量百分率は、さらに任意選択的に、80%~90%であり、この質量百分率範囲を用いる黒鉛Aは、複合人造黒鉛が高いグラム容量を有することを維持するとともに、この複合人造黒鉛を含有する負極極板と二次電池に、サイクルプロセスにおいて、より低い体積膨張を持たせ、それは、二次電池のエネルギー密度と耐用年数の向上にさらに有利である。
【0048】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛の体積平均粒径D50は、11.5μm~21.5μmであってもよく、任意選択的に、12.0μm~20.0μmであり、さらに任意選択的に、12.0μm~16.0μmである。複合人造黒鉛の適切なD50は、それに高い活性イオンと電子伝送性能を持たせることに適するとともに、負極での電解液の副反応を低減することもできる。適切なD50を有する複合人造黒鉛はさらに、自分の粉体圧密密度の向上にも有利であり、この複合人造黒鉛を用いれば、極板のプレス密度が高く、それによって二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0049】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛の個数粒径分布D10は、1.3μm~6.5μmであってもよく、例えば、複合人造黒鉛のD10は、1.5μm~6.0μm、1.5μm~5.0μm、2.0μm~4.5μmであってもよい。複合人造黒鉛のD10が適切であれば、その自体に高いグラム容量を持たせることができる。なお、複合人造黒鉛の適切なD10によれば、その活性比表面積が小さいため、電解液との副反応が少なく、二次電池のサイクル膨張もさらに低減できる。さらに、小さい粒子を適量に含有する複合人造黒鉛において、小さい粒子は、大きい粒子の間の空隙を小さい粒子で埋めることができ、この複合人造黒鉛にさらに、高いタップ密度と粉体圧密密度を持たせることができ、それによってこの複合人造黒鉛を用いる負極極板は、高い極板プレス密度を得ることができ、それによって二次電池のエネルギー密度をさらに高めることができる。
【0050】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛の2000kg圧力での粉体圧密密度は、1.55g/cm~1.85g/cmであってもよく、任意選択的に、1.65g/cm~1.80g/cmである。粉体を適切な範囲にプレスすれば、負極極板のプレス密度を高めることができ、それによって二次電池のエネルギー密度をさらに高めることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、複合人造黒鉛のグラム容量は、335mAh/g以上、例えば、335mAh/g~360mAh/gであってもよく、任意選択的に、342mAh/g以上、例えば、342mAh/g~360mAh/gであってもよい。複合人造黒鉛のグラム容量が高いほど、それを含有する二次電池のエネルギー密度が高くなる。本出願による複合人造黒鉛は、低いサイクル膨張を有するとともに、高いグラム容量をさらに有し、両者の総合的な作用によって、本出願による二次電池が、低いサイクル膨張特性と高いエネルギー密度特性を兼ね備える。
【0052】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛における黒鉛Aの体積平均粒径D50は、12.0μm~22.0μmであってもよく、任意選択的に、14.0μm~20.0μmであり、さらに任意選択的に、14.0μm~16.0μmであり、黒鉛Aの個数粒径分布D10は、≧1.5μmであってもよく、任意選択的に、1.5μm~7.5μmであり、さらに任意選択的に、2.5μm~4.5μm、例えば、1.5μm、1.7μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、4.0μm、5.0μm、6.0μm、7.5μm、1.5μm~6.0μm、3.0μm~4.5μmである。二次粒子黒鉛Aの個数粒径分布D10が上記範囲内にある時、黒鉛Aに、高いグラム容量を持たせることができ、さらに、複合人造黒鉛のグラム容量の向上に有利であり、かつサイクル副反応の発生を抑制し、サイクルプロセスにおける二次電池の体積膨張が小さい。黒鉛AのD10が上記範囲よりも低い場合は、微小粒子が多いため、複合人造黒鉛のグラム容量の向上に不利であり、且つ多数のサイクル副反応が発生し、サイクルプロセスにおける二次電池の体積膨張が大きくなることを引き起こす。
【0053】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛における黒鉛Bの体積平均粒径D50は、8.0μm~20.0μmであってもよく、任意選択的に、10.0μm~15.0μmである。黒鉛Bの個数粒径分布D10は、≧1.2μmであってもよく、任意選択的に、1.2μm~6.0μmであり、さらに任意選択的に、1.5μm~2.0μm、例えば、1.2μm、1.5μm、1.7μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、4.0μm、5.0μm、6.0μm、1.5μm~6.0μm、1.5μm~2.0μmである。一次粒子黒鉛Bの個数粒径分布D10が上記範囲内にある時、黒鉛Bに、高いグラム容量を持たせることができ、さらに、複合人造黒鉛のグラム容量の向上に有利であり、かつサイクル副反応の発生を抑制し、サイクルプロセスにおける二次電池の体積膨張が小さい。
【0054】
いくつかの実施例において、複合人造黒鉛における黒鉛Aの黒鉛化度は、91%~97%であってもよく、任意選択的に、94%~97%であり、黒鉛Bの黒鉛化度は、85%~90%であってもよく、任意選択的に、86%~89%である。黒鉛Aと黒鉛Bの黒鉛化度が上記範囲内にあれば、両者を混合することで形成される複合人造黒鉛に、高い粉体圧密密度とグラム容量を持たせることができる。特に、黒鉛化度が上記範囲内にあれば、さらに、電池サイクルプロセスにおいて複合人造黒鉛に溶媒の共インターカレーションが発生しにくくなり、黒鉛層の剥離が発生しにくくなり、これによって極板と電池のサイクル膨張を低減させることができる。それとともに、この複合人造黒鉛の構造安定性が高く、負極極板を製造するロールプレスプロセスにおいて、分解が発生しにくいため、極板における粒子間の内部凝集力が高いことによって、極板と電池のサイクルプロセスにおける膨張を減少させることができる。
【0055】
〔製造方法〕
【0056】
本出願の第2の態様によれば、複合人造黒鉛の製造方法を提供する。この製造方法によって、上記いずれか一つの複合人造黒鉛を製造することができる。
【0057】
本出願の実施例において、複合人造黒鉛の製造方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
【0058】
1)黒鉛Aの製造:
S11:原料1に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体1を得て、
S12:ステップS11で得られた前駆体1に対して造粒処理を行い、中間体1を得て、任意選択的に、前記造粒プロセスにおいて、接着剤を添加しないか又は添加し、且つ接着剤を添加する時、前記接着剤の使用量は、造粒ステップS12に用いられる前駆体1の重量の4%~16%であり、
S13:ステップS12で得られた中間体1に対して2800℃~3200℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Aを得る。
【0059】
2)黒鉛Bの製造:
S21:原料2に対して破砕を行い、グレーディング、整形処理を行い、前駆体2を得て、
S22:ステップS21で得られた前駆体2に対して2500℃~2700℃の温度で黒鉛化処理を行い、前記黒鉛Bを得る。
【0060】
3)ステップ1)で得られた黒鉛Aとステップ2)で得られた黒鉛Bを、40%~90%の黒鉛Aと10%~60%の黒鉛B、任意選択的に、70%~90%の黒鉛Aと10%~30%の黒鉛Bの質量百分率に従って均一に混合し、前記複合人造黒鉛を得、ここで、前記質量百分率は、前記複合人造黒鉛に対する重量である。
【0061】
いくつかの実施例において、上記製造方法のステップ1)とステップ2)によって、黒鉛層間隔d002が0.33560nm~0.33610nmであり、任意選択的に、0.33570nm~0.33600nmである二次粒子黒鉛Aと、黒鉛層間隔d002が0.33620nm~0.33670nmであり、任意選択的に、0.33630nm~0.33660nmである一次粒子黒鉛Bをそれぞれ得る。両者を特定の割合に従って混合した後に、本出願の第1の態様による複合人造黒鉛を製造する。
【0062】
いくつかの実施例において、ステップ1)において、黒鉛Aを製造するための原料1は、ニードル生石油コークスと、非ニードル生石油コークスと、ニードル石炭系生コークスと、非ニードル石炭系生コークスと、か焼ニードルコークスと、か焼石油コークスとのうちの一つ又は複数を含んでもよく、冶金コークスと生ピッチコークスも一般的に用いられる、人造黒鉛の製造用原料であるが、本発明において、冶金コークスと生ピッチコークスを原料とする時、必要な黒鉛層間隔を有する黒鉛Aを製造しにくい。ステップ2)において、黒鉛Bを製造するための原料2は、ニードル生石油コークスと、非ニードル生石油コークスと、冶金コークスと、生ピッチコークスと、ニードル石炭系生コークスと、非ニードル石炭系生コークスと、か焼ニードルコークスと、か焼石油コークスとのうちの一つ又は複数を含んでもよい。本出願において、黒鉛Aと黒鉛Bを製造する原料の上記組み合わせを用いることで、製造される黒鉛Aと黒鉛Bに、予め設定された黒鉛層間隔d002を有することを確保することができ、さらに、両者を特定の割合に従って混合することで得られる複合人造黒鉛は高いグラム容量を維持するとともに、この複合人造黒鉛を含有する負極極板と二次電池のサイクルプロセスにおける体積膨張を効果的に低減させることができる。
【0063】
いくつかの実施例において、ステップS11とステップS21において、いずれも、本分野で既知の機器と方法、例えば、ジェットミル、機械式ミル又はロールミルを用いて、原料を破砕することができる。破砕プロセスにおいて、しばしば、過小粒子が多く発生し、場合によっては過大粒子が存在するため、破砕後に必要に応じてグレーディング処理を行い、破砕後の粉体における過小粒子と過大粒子を除去することができる。グレーディング処理後に、良好な粒径分布を有する粒子生成物を得ることができ、後続の整形及び/又は造粒プロセスを容易にするために、粒径分布、例えばD50を6.0μm~16.5μmの範囲にしてもよい。グレーディング処理は、本分野で既知の機器と方法、例えば、グレーディング篩、重力グレーディング装置、遠心グレーディング装置などを用いて行ってもよい。
【0064】
いくつかの実施例において、ステップS11とステップS21において、本分野で既知の機器(例えば、整形機又は他の整形機器)と方法を用いて、グレーディング処理後に得られた粒子生成物に対して整形処理を行い、例えば、グレーディング処理によって得られた粒子生成物のエッジ角を研磨することができ、これにより後続の操作を容易にし、整形処理後に得られた生成物に高い安定性を持たせる。
【0065】
いくつかの実施例において、ステップS11とステップS21において、整形後に微粉を除去することがさらに含まれてもよい。整形後の微粉除去処理によって、整形後の粒子生成物をD10≧1.2μmに調節し、得られた黒鉛Aと黒鉛BのD10を必要な範囲内にすることができる。
【0066】
本分野で既知の機器と方法、例えば、グレーディング篩、重力グレーディング機械、遠心グレーディング機械などを用いて微粉を除去することができる。
【0067】
いくつかの実施例において、ステップS12において、ステップS11で得られた前駆体1に対して造粒を行うことで、独立して分散した一次粒子を凝集させて二次粒子を形成し、さらに、黒鉛Aを得る。造粒プロセスにおいて、接着剤を用いてもよいか又は接着剤を用いなくてもよい。例えば、黒鉛Aの原料が揮発分≧10%の生石油コークスである時(生コークスの揮発分含有量は、本分野で既知の方法でテストされてもよく、例えば、SH/T 0026-1990を参照しながらテストしてもよい)、接着剤を用いなくてもよい。接着剤を用いる時、任意選択的に、前記接着剤の使用量は、造粒ステップS12に用いられる前駆体1の重量の4%~16%であってもよい。
【0068】
ステップS12において、本分野で既知の機器、例えば、造粒機を用いて造粒を行ってもよい。造粒機は、通常、攪拌反応釜と、反応釜に対して温度制御を行うモジュールとを含む。さらに、造粒プロセスにおける攪拌回転数、昇温速度、造粒温度、降温速度などのプロセス条件を調節することで、造粒によって得られた生成物(即ち、中間体1)の体積平均粒径を制御することができる。任意選択的に、本出願において、造粒時の攪拌回転数は、800r/min~1500r/minであり、昇温速度は、8~15℃/分間であり、造粒温度は、400℃~650℃であり、造粒時間は、6~10時間である。
【0069】
いくつかの実施例において、ステップS13では、ステップS12で得られた中間体1に対して高温黒鉛化処理を行い、適切な黒鉛化度と黒鉛層間隔を有する黒鉛Aを得る。いくつかの実施例において、ステップS13で黒鉛化処理を行う温度は、2800℃~3200℃、例えば、2900℃~3100℃、3000℃~3200℃であってもよい。適切な黒鉛化温度で製造される黒鉛Aは、適切な黒鉛化度と黒鉛層間隔を得ることができ、それによって複合人造黒鉛が高い構造安定性とグラム容量、及び低いサイクル膨張率を得ることができる。
【0070】
いくつかの実施例において、ステップS22では、ステップS21で得られた前駆体2に対して低温黒鉛化処理を行い、適切な黒鉛化度と黒鉛層間隔を有する黒鉛Bを得る。いくつかの実施例において、ステップS22で黒鉛化処理を行う温度は、2500℃~2700℃、例えば、2500℃~2600℃、2600℃~2700℃であってもよい。適切な黒鉛化温度で製造される黒鉛Bは、適切な黒鉛化度と黒鉛層間隔を得ることができ、それによって複合人造黒鉛が高い構造安定性とグラム容量、及び低いサイクル膨張率を得ることができる。
【0071】
本出願において、黒鉛層間隔d002と黒鉛化度は、本分野で既知の方法を用いてテストされてもよい。例えば、黒鉛化度は、X線回折装置(例えば、Bruker D8 Discover)を用いてテストされてもよく、テストにおいて、JIS K 0131-1996、JB/T 4220-2011を参照しながら、d002の大きさをテストし、続いて、式G=(0.344-d002)/(0.344-0.3354)に応じて、黒鉛化度を算出することができ、ここで、d002は、ナノメートル(nm)で表される人造黒鉛結晶体構造における層間隔である。
【0072】
本出願において、黒鉛のD10、D50は、標準GB/T 19077.1-2016を参照し、レーザー粒度分析器(例えば、Malvern Masterize 3000)で測定されてもよい。
【0073】
ここで、D10、D50の物理的定義は、以下のとおりである。
【0074】
10:黒鉛累積個数分布パーセントが10%に達する時に対応する粒径。
【0075】
50:黒鉛累積体積分布パーセントが50%に達する時に対応する粒径。
【0076】
本出願において、黒鉛のタップ密度は、本分野で既知の方法を用いてテストされてもよい。例えば、標準GB/T 5162-2006を参照し、粉体タップ密度テスター(例えば、Dandong Bettersize BT-301)でテストしてもよい。
【0077】
本出願において、黒鉛の粉体圧密密度は、本分野で既知の方法を用いてテストされてもよい。例えば、標準GB/T 24533-2009を参照し、電子圧力試験機(例えば、UTM7305)でテストしてもよい。一定の量の粉末を圧密専用金型に置きし、異なる圧力を設定し、機器から、異なる圧力での粉末の厚さを読み出し、異なる圧力での圧密密度を計算することができる。
【0078】
〔二次電池〕
【0079】
本出願の第3の態様は、二次電池を提供する。前記二次電池は、本発明の第1の態様によるいずれか一つの複合人造黒鉛を含むか又は本発明の第2の態様による方法で製造されるいずれか一つの複合人造黒鉛を含む。
【0080】
本出願の実施例において、二次電池を提供する。通常、二次電池は、正極極板と、負極極板と、電解質と、セパレータとを含む。電池の充放電過程において、活性イオンは正極極板と負極極板との間を往復してインターカレーションやデインターカレーションをする。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設けられ、主に正負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、イオンを通過させることができる。
【0081】
[負極極板]
【0082】
負極極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設けられる負極膜とを含む。例として、負極集電体は、その厚さ方向で対向する二つの表面を有し、負極膜は、負極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方に積層して形成される。
【0083】
負極集電体は、良好な導電性及び機械的強度を有する材質を採用してもよく、導電と集電の役割を果たす。いくつかの実施例において、負極集電体は銅箔を採用してもよい。
【0084】
負極膜は、負極活物質を含み、負極活物質は、本出願の第1態様によるいずれか一つの複合人造黒鉛を含み、本出願の複合人造黒鉛を含む負極極板のサイクルプロセスにおける体積膨張を明らかに低減させることができる。低い体積膨張は、二次電池が高い体積エネルギー密度を維持することに有利であるだけでなく、二次電池のコア内部応力を低減させ、内部応力の作用によるコアの変形を減少させることにも寄与し、二次電池の安全性を効果的に改善することもできる。
【0085】
いくつかの実施例において、本出願のいずれか一つ又は複数の複合人造黒鉛を用いて負極極板を製造するステップは、本出願のいずれか一つ又は複数の複合人造黒鉛を含む負極活物質、接着剤、及び任意選択的な増稠剤と導電剤を導電剤に分散させ、溶媒は脱イオン水であってもよく、均一な負極スラリーを形成することと、負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスなどのプロセスを経た後、負極極板を得ることとを含んでもよい。
【0086】
いくつかの実施例において、負極極板はさらに、任意選択的に、二次電池の負極に使用可能な他の負極活物質を含む。他の負極活物質は、他の黒鉛材料(例えば、他の人造黒鉛、天然黒鉛)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMBと略称される)、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン系材料、及びスズ系材料のうちの一つ又は複数であってもよい。
【0087】
いくつかの実施例において、接着剤は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)から選択された一つ又は複数であってもよい。
【0088】
いくつかの実施例において、増稠剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)であってもよい。
【0089】
いくつかの実施例において、負極極板に用いられる導電剤は、黒鉛、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーから選択された一つ又は複数であってもよい。
【0090】
[正極極板]
【0091】
正極極板は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ、且つ正極活物質を含む正極膜とを含む。例として、正極集電体は、その厚さ方向で対向する二つの表面を有し、正極膜は、正極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方に積層設置される。
【0092】
正極集電体は、良好な導電性及び機械的強度を有する材質を採用してもよい。いくつかの実施例において、正極集電体はアルミニウム箔を採用してもよい。
【0093】
本出願は、正極活物質の具体的な種類は具体的に限定されず、二次電池の正極に適用可能で当分野で知られている活物質を採用することができ、当業者は実際の需要に応じて選択することができる。
【0094】
いくつかの実施例において、二次電池は、リチウムイオン二次電池であってもよい。正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物及びその改質材料から選択されてもよく、改質材料は、リチウム遷移金属酸化物をドーピング改質したもの及び/又は表面被覆改質したものであってもよい。例えば、リチウム遷移金属酸化物は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びオリビン構造のリチウム含有リン酸塩から選択された一つ又は複数であってもよい。
【0095】
例として、二次電池の正極活物質は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM333)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2(NCM622)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811)、LiNi0.85Co0.15Al0.05、LiFePO(LFP)及びLiMnPOから選択された一つ又は複数であってもよい。
【0096】
いくつかの実施例において、正極膜に、任意選択的に、接着剤がさらに含まれる。接着剤の種類は具体的に限定されず、当業者は実際の需要に応じて選択することができる。例として、正極膜に用いられる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0097】
いくつかの実施例において、正極膜に、任意選択的に、導電剤がさらに含まれる。導電剤の種類は具体的に限定されず、当業者は実際の需要に応じて選択することができる。例として、正極膜に用いられる導電剤は、黒鉛、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0098】
[電解質]
【0099】
電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。本出願は、電解質の種類を具体的に限定せず、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、液状、ゲル状又は全固体状であってもよい。
【0100】
いくつかの実施例において、電解質は電解液を採用する。電解液は、電解質塩と、溶媒とを含む。
【0101】
いくつかの実施例において、電解質塩は、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロホウ酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、LiAsF(リチウムヘキサフルオロアルセネート)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiDFOB(ジフルオロ(オキサラトホウ酸リチウム)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレート)、LiPO(ジフルオロリン酸リチウム)、LiDFOP(リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート)及びLiTFOP(リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート)から選択された一つ又は複数であってもよい。
【0102】
いくつかの実施例において、溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ぎ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)から選択された一つ又は複数であってもよい。
【0103】
いくつかの実施例において、電解液に、任意選択的に、添加剤がさらに含まれる。例えば、添加剤は、負極被膜形成添加剤を含んでいてもよいし、正極被膜形成添加剤を含んでいてもよいし、電池の何らかの性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤などを含んでいてもよい。
【0104】
[セパレータ]
【0105】
電解液を用いる二次電池、及び固体電解質を用いるいくつかの二次電池に、セパレータがさらに含まれる。セパレータは正極極板と負極極板との間に設けられ、それらを隔離する効果を果たす。本出願は、セパレータの種類には特別な制限がなく、任意の公知の良好な化学安定性と機械安定性を有する多孔質構造セパレータを選択することができる。いくつかの実施例において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニリデンフルオライドから選択された一つ又は複数であってもよい。セパレータは、単層フィルムであってもよいし、多層複合フィルムであってもよい。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0106】
[外装体]
【0107】
いくつかの実施例において、二次電池は、正極極板、負極極板及び電解質をパッケージングするための外装体を含んでもよい。一例として、正極極板、負極極板及びセパレータは、積層又は巻回によって積層構造コア又は巻回構造コアを形成することができ、コアは、外装体内にパッケージングされ、電解質は、コア内に浸漬される電解液を採用してもよい。二次電池におけるコアの数は、一つ又は数個であってもよく、需要に応じて調整してもよい。
【0108】
いくつかの実施例において、二次電池の外装体は、軟包装、例えば袋式軟包装であってもよい。軟包装の材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレンPP、ポリブチレンテレフタレートPBT、ポリブチレンサクシネートPBSなどのうちの一つ又は複数を含んでもよい。二次電池の外装体は、ハードケース、例えばアルミニウムケースなどであってもよい。
【0109】
いくつかの実施例において、正極極板、負極極板及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極コンポーネントを製造することができる。
【0110】
本出願は、二次電池の形状に特に制限がなく、それは、円柱状、四角形又は他の任意の形状であってもよい。図1は一例としての角形構造の二次電池5である。
【0111】
〔電池モジュール〕
【0112】
本出願の第4の態様において、二次電池は電池モジュールに組み立てることができ、電池モジュールに含まれる二次電池の数は複数であってもよく、具体的な数は電池モジュールの適用及び容量に基づいて調節することができる。
【0113】
図2は、一例としての電池モジュール4である。図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の縦方向に沿って順に並べて設けられてもよい。もちろん、他の任意の方式で配列してもよい。さらに、この複数の二次電池5を締め具で固定してもよい。
【0114】
任意選択的には、電池モジュール4は、複数の二次電池5を収容する収容空間を有する筐体をさらに含んでもよい。
【0115】
〔電池パック〕
【0116】
本出願の第5の態様において、本出願の第4の態様による電池モジュールはさらに電池パックを組み立てることができ、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの適用及び容量に基づいて調節することができる。
【0117】
図3および図4は、一例としての電池パック1である。図3および図4を参照すると、電池パック1には、電池ケースと、電池ケースに設けられた複数の電池モジュール4とが含まれてもよい。電池ケースは上ケース2と下ケース3とを含み、上ケース2は下ケース3を覆うように設けられ、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成する。複数の電池モジュール4は任意の方式で電池ケースに配列することができる。
【0118】
〔電力消費装置〕
【0119】
本出願の第6の態様は、本出願の第3の態様の二次電池を含む電力消費装置をさらに提供し、前記二次電池は、前記電力消費装置に電源を提供する。前記電力消費装置は、モバイル機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電気自動車(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、それらに限定されない。
【0120】
前記電力消費装置は、その使用需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0121】
図5は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置は二次電池に対する高パワー及び高エネルギー密度の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを用いることができる。
【0122】
別の例としての電力消費装置は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンなどであってもよい。この電力消費装置は、一般に軽量化が求められており、二次電池を電源として採用することができる。
【0123】
実施例
【0124】
以下では、本出願の実施例を説明する。以下に記述されている実施例は、例示的なもので、本出願を解釈することのみに用いられ、本出願を制限するものとして理解すべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていないものは、当技術分野の文献に記述されている技術若しくは条件、又は製品説明書に従って実行される。使用する試薬又は機器について、製造メーカーが明記されていないものは、いずれも市販で購入できる一般的な製品である。
【0125】
[性能テスト]
【0126】
(1)複合人造黒鉛のグラム容量テスト
製造された複合人造黒鉛、導電剤Super P、増稠剤(CMC-Na)、接着剤(SBR)を94.5:1.5:1.5:2.5の質量比に従って溶媒である脱イオン水と均一に混合し、スラリーを製造し、製造されたスラリーを銅箔集電体に塗布し、オーブンにおいて乾燥して使用に備え、リチウム金属シートを対極とし、ポリエチレン(PE)フィルムをセパレータとして用い、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1:1に従って混合し、続いて、LiPF6を上記溶液に均一に溶解し、電解液を得た。ここでLiPF6の濃度は1mol/Lである。そして、アルゴンガスで保護されたグローブボックス内において、上記各部材をCR2430型コイン電池に組み立てた。
【0127】
得られたコイン電池を12時間静置した後、ランドテスタで、0.05Cの電流で0.005Vまで定電流放電し、10分間静置し、10μAの電流でさらに0.005Vまで定電流放電し、そして0.1Cの電流で2Vまで定電流充電し、充電容量を記録した。充電容量と複合人造黒鉛の質量との比は、製造された複合人造黒鉛のグラム容量である。
【0128】
(2)負極極板のサイクル膨張率テスト
冷間プレスした後負極極板の厚さをH0と記した。冷間プレスした後の負極極板と正極極板、セパレータ、電解液によって二次電池を製造した。45℃で、二次電池に対して、Neware充放電機によって100% DOD(100%放電深度、即ち、満充電後に再満放電)の1C/1Cサイクルを行った。初回サイクルの放電容量(即ち、初期容量)を100%と記し、サイクル容量維持率が初期容量の80%である場合、サイクルを停止した。続いて、二次電池を100% SOC(State of Charge、荷電状態)に充電し、二次電池を解体させ、対応する負極極板の厚さをテストし、H1と記した。負極極板のサイクル膨張率は、(H1/H0-1)×100%である。
【0129】
(3)サイクル容量維持率
45℃で、リチウムイオン電池に対して充放電テストを行った。一つの充放電サイクルプロセスは、以下のとおりである。1Cの電流で4.3Vまで定電流充電し、続いて、4.3Vで、電流0.05Cに定電圧充電し、5min静置し、続いて、1Cの電流で2.8Vまで定電流放電し、この時の電池容量をC1として記録する。以上は、電池の一つの充放電サイクルである。上記プロセスに応じて1200のサイクルを行い、この時の電池の容量C1200を記録した。サイクル容量維持率=C1200/C1×100%である。
【0130】
実施例1
【0131】
複合人造黒鉛の製造
【0132】
1)黒鉛Aの製造:
S11:か焼ニードルコークスをロールミルによって、D50が10.0μmとなるまで破砕し、整形と微粉除去処理を行い、前駆体1を得た。
S12:ステップS11で得られた前駆体1を反応釜に添加し、造粒に用いられる前駆体1の重量の12%の接着剤であるアスファルトを添加し、造粒を行い、攪拌回転数を1200r/minとし、室温で、10℃/minの速度で560℃まで昇温し、さらに8時間保温し、D50が17.2μmとなるまで造粒し、中間体1を得た。
S13:ステップS12で得られた中間体1を黒鉛化炉に添加し、3000℃まで昇温し高温黒鉛化を行い、D50が15.6μmである黒鉛Aを得て、この黒鉛Aは二次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は下記表1に示すとおりである。
【0133】
2)黒鉛Bの製造:
S21:ニードル生石油コークスを機械式ミルによって、D50が11.2μmとなるまで破砕し、整形と微粉除去処理を行い、前駆体2を得た。
S22:ステップS21で得られた前駆体2を黒鉛化炉に添加し、2500℃まで昇温し低温黒鉛化を行い、D50が10.0μmである黒鉛Bを得て、この黒鉛Bは一次粒子であり、その黒鉛層間隔d002は下記表1に示すとおりである。
【0134】
3)複合黒鉛の製造:黒鉛Aと黒鉛Bを質量比75%:25%に従って均一に混合し、複合人造黒鉛を得て、この複合人造黒鉛のグラム容量は、下記表2に示すとおりであり、この複合人造黒鉛のSEM写真は、図6aに示すとおりである。図6aに示すように、一次粒子黒鉛Bは単一の塊状粒子であり、二次粒子黒鉛Aは二つ又は二つ以上の塊状粒子を接着することで構成される。
【0135】
負極極板の製造
【0136】
上記製造された複合人造黒鉛、導電剤(Super P)、接着剤(SBR)、増稠剤(CMC-Na)を96.2:0.8:1.8:1.2の質量比に従って適量の脱イオン水に十分に攪拌して混合し、均一な負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体銅箔の表面に塗布し、乾燥、冷間プレスを経た後、負極極板を得た。前記負極極板のプレス密度は、1.65g/cmであり、面密度は、10.7mg/cmであり、この負極極板のサイクル膨張率の結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。
【0137】
正極極板の製造
【0138】
正極活物質LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523)、導電剤(Super P)、接着剤PVDFを96.2:2.7:1.1の重量比に従って適量のNMPに十分に攪拌して混合し、均一な正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔の表面に塗布し、乾燥、冷間プレスを経た後、正極極板を得た。前記正極極板のプレス密度は、3.45g/cmであり、面密度は、18.8mg/cmである。
【0139】
電解液の製造
【0140】
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1:1に従って混合し、続いて、LiPFを上記溶液に均一に溶解して電解液を得た。ここでLiPFの濃度は1mol/Lであった。
【0141】
セパレータ
【0142】
ポリエチレン(PE)フィルムを用いた。
【0143】
二次電池の製造
【0144】
正極極板、セパレータ、負極極板を順番に積層し、巻回を経た後、コアを得て、コアを外装体に装入し、上記電解液を添加し、パッケージング、静置、化成、エイジングなどのプロセスを経た後、二次電池を得た。前記外装体は、長さ*幅*高さ=148mm*28.5mm*97.5mmのハードケースを選択する。
【0145】
実施例2~11
【0146】
実施例2~5と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、黒鉛A、黒鉛Bを製造する原料と黒鉛化温度が調整されていることである。各実施例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と負極極板のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。図6b、図6cは、それぞれ実施例2、実施例3のSEM写真である。
【0147】
実施例6~11と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、黒鉛A、黒鉛Bの混合質量比がそれぞれ90%:10%、80%:20%、70%:30%、60%:40%、50%:50%及び40%:60%に調整されていることである。各実施例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と負極極板のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。
【0148】
比較例1~14
【0149】
比較例1~4と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、異なる複合人造黒鉛を得るために、黒鉛Bの製造プロセスパラメータが調節されていることである。各比較例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と負極極板のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。具体的には、比較例1~4において、黒鉛Bを製造する原料がニードル生石油コークス、か焼石油コークス又はか焼ニードルコークスであり、黒鉛化温度を調整し、異なる一次粒子を得たことを含む。
【0150】
比較例5~8と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、異なる複合人造黒鉛を得るために、黒鉛原料、製造プロセスパラメータ及び混合割合が調節されていることである。各比較例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と二次電池のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。
【0151】
具体的には、比較例5において、黒鉛Aを製造する原料が生ピッチコークスであり、黒鉛化温度を調整し、黒鉛層間隔が大きい二次粒子を得た。黒鉛Bを製造する原料が生ピッチコークスであり、黒鉛層間隔が大きい一次粒子を得た。
【0152】
比較例6において、黒鉛Aを製造する原料がニードル生石油コークスであり、造粒において接着剤であるアスファルトを添加せず、黒鉛化温度を調整し、黒鉛層間隔が大きい二次粒子を得た。黒鉛Bを製造する原料がニードル生石油コークスであり、黒鉛層間隔が大きい一次粒子を得た。黒鉛Aと黒鉛Bの混合割合は、60%:40%に調整された。
【0153】
比較例7において、黒鉛Aを製造する原料がニードル生石油コークスであり、造粒において接着剤であるアスファルトを添加せず、黒鉛化温度を調整し、黒鉛層間隔が大きい二次粒子を得た。黒鉛Bを製造する原料がか焼ニードルコークスであり、黒鉛層間隔が大きい一次粒子を得た。黒鉛Aと黒鉛Bの混合割合は、50%:50%に調整された。
【0154】
比較例8において、黒鉛Aを製造する原料がニードル生石油コークスであり、黒鉛化温度を調整し、黒鉛層間隔が大きい二次粒子を得た。黒鉛Bを製造する原料がニードル生石油コークスであり、黒鉛層間隔が大きい一次粒子を得た。黒鉛Aと黒鉛Bの混合割合は、40%:60%に調整された。
【0155】
比較例9~10と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、異なる複合人造黒鉛を得るために、黒鉛Aと黒鉛Bの混合割合が調節されていることである。各比較例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と負極極板のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。
【0156】
具合的には、比較例9において、黒鉛Aと黒鉛Bの混合割合は、95%:5%に調整された。
【0157】
比較例10において、黒鉛Aと黒鉛Bの混合割合は、30%:70%に調整された。
【0158】
比較例11~12と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、異なる複合人造黒鉛を得るために、黒鉛Aと黒鉛Bの製造において、同じ原料、同じ黒鉛化温度が使用されていることである。各比較例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と負極極板のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。
【0159】
具体的には、比較例11において、黒鉛Aと黒鉛Bを製造する原料がいずれもニードル生石油コークスであり、黒鉛化温度がいずれも2700℃であった。
【0160】
比較例12において、黒鉛Aと黒鉛Bを製造する原料がいずれもか焼ニードルコークスであり、黒鉛化温度がいずれも3000℃であった。
【0161】
比較例13~14と実施例1の製造方法は類似しており、相違点は、異なる複合人造黒鉛を得るために、黒鉛Aの原料が調節されており、各比較例のプロセスパラメータ及び黒鉛Aと黒鉛Bの物理的パラメータのテスト結果は、下記表1に示すとおりである。得られた複合人造黒鉛のグラム容量のテスト結果と負極極板のサイクル膨張率のテスト結果、二次電池のサイクル容量維持率の結果は、下記表2に示すとおりである。
【0162】
具体的には、比較例13において、黒鉛Aを製造する原料は、冶金コークスであり、比較例14において、黒鉛Aを製造する原料は、生ピッチコークスであった。
【0163】
【0164】
【0165】
上記表1と上記表2に示す実施例1-11と比較例1-14の比較から分かるように、小さい黒鉛層間隔を有する二次粒子黒鉛Aと大きい黒鉛層間隔を有する一次粒子黒鉛Bを特定の割合に従って混合した後、得られた複合人造黒鉛は、高いグラム容量を有するとともに、サイクルプロセスにおける負極極板の膨張率を効果的に低減させ、さらに、二次電池が高いエネルギー密度を有することを維持できる場合に、サイクルプロセスにおける二次電池の体積膨張を効果的に低減させることができ、低減した体積膨張は、さらに、二次電池がより高いエネルギー密度を有することに有利であり、そのため二次電池の耐用年数と安全性を効果的に高めることができる。
【0166】
比較例1-4の黒鉛Aと黒鉛Bの製造プロセスでは、いずれも、高い黒鉛化温度を用いており、得られた複合人造黒鉛のグラム容量が高いが、サイクルプロセスにおける負極極板の膨張率が大きく、サイクル性能の深刻な劣化を引き起こし、二次電池の耐用年数が劣るものであった。
【0167】
比較例5-8の黒鉛Aと黒鉛Bの製造プロセスでは、いずれも、低い黒鉛化温度を用いており、得られた複合人造黒鉛を負極極板の製造に用いた後、サイクルプロセスにおける極板の膨張率を効果的に低減させることができるが、この複合人造黒鉛のグラム容量が低く、粉体圧密密度が低く、二次電池のエネルギー密度を大幅に低下させるものであった。
【0168】
比較例9の黒鉛Aと黒鉛Bの含有量の比は95%:5%であり、この場合、二次粒子黒鉛Aの含有量が高すぎることにより、得られた複合人造黒鉛のグラム容量は高くなるものの、複合人造黒鉛の加工性が悪く、接着力が低く、脱型が発生しやすくなって、サイクルプロセスにおける負極極板の膨張率のテスト試験に失敗してしまった。
【0169】
比較例10の黒鉛Aと黒鉛Bの含有量の比は30%:70%であり、この場合、一次粒子黒鉛Bの含有量が高すぎることにより、サイクルプロセスにおける負極極板の膨張率が大きくなってしまうとともに、複合人造黒鉛のグラム容量を低減させ、さらに、二次電池のエネルギー密度の劣化を引き起こしてしまった。
【0170】
比較例11-12では、黒鉛Aと黒鉛Bの製造に同じ原料と黒鉛化条件を使用しており、得られた複合人造黒鉛のグラム容量は要件を満たしたが、サイクルプロセスにおける負極極板の膨張率が大きくなってしまった。
【0171】
比較例13-14では、黒鉛Aを製造する原料として冶金コークスと生ピッチコークスを使用しており、この原料で得られた二次粒子黒鉛はグラム容量が低く、得られた複合人造黒鉛を負極極板の製造に用いた後、サイクルプロセスにおける極板の膨張率を低減できるものの、この複合人造黒鉛のグラム容量が低く、粉体圧密密度が低く、二次電池のエネルギー密度を大幅に低下させてしまった。
【0172】
注意すべきことは、本出願は上記実施形態に限定されないことである。上記実施形態は例示に過ぎず、本出願の技術案の範囲内で、技術思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用と効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれるものとする。なお、本出願の主旨から逸脱しない範囲内で、実施形態に対して当業者が想到し得る様々な変形を実施し、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本出願の範囲内に含まれるものとする。
【0173】
ここで、符号の説明は、以下のとおりである。
1.電池パック、
2.上ケース、
3.下ケース、
4.電池モジュール、
5.二次電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c